①Battleaxe 『Burn This Town』 英国はサンダーランド出身のバンド。デビューもMusic for Nationsと他のNWOBHM勢とは違い期待値の高いデビューだったと思う。埃たつ暴走ロックはパワーもあり勢いだけで押し切るだけではない芸もあった。このバンドを有名にしたのはヘタレジャケットにあるのだが、1994年に我が国オンリーで再発された時は驚いた、しかもあのジャケを採用ですからね。最後に再発されたのはドイツのSteamhammerからデジパック仕様のジャケはオリジナルを尊重した改訂ヴァージョン、個人的には、このいなたさのあるハードロックサウンドに似合うのはオリジナルジャケの方である。これと言った決め技はないのだが、合わせ技で一本と言いたい、いかにも英国なハードブギーを下地としたサウンドは親しみやすさもあり、今聴いても視聴感は悪くない。
⑤Tysondog 『Beware Of The Dog』 英国らしい情緒とスピード感溢れる展開、ギターも印象的なフレーズを奏で聴きやすさを演出と日本人好みのワビサビを感じさせるメロディと曲調に叙情派NWOBHMを代表するバンドの一つと耳に届くでしょう。所謂メタルな展開はお約束感満載、聞き慣れた手法ではあるがベタ故にカッコよさがあり、音質の悪さを吹っ飛ばすくらい重厚なメタルサウンドを奏でている。名盤は色あせませんが、1984年リリースというタイミングを悪さはあれど、この手の音楽を愛するマニアならば名盤として崇めたくなる一枚である。
③DIO - The Last In Line スーパーギタリスト、ヴィヴィアン・キャンベルが相棒を務めていた時代はどれもが素晴らしく甲乙つけがたいのだが、名曲WE ROCK収録の今作を選択。艶のあるディオのパワフルな歌声もガッツリとハマり、メタリックでシャープなサウンドへと変貌、ここにはRAINBOWのマジカルさやサバスのダークテイストも上手く飲み込みアメリカンメタル使用に仕上げている。後続に与えた影響は計り知れない歴史に残る名盤、今の若い人にはクラシックメタルとして知っても貰いたい一枚。DIOが存命でないので、残念ながら忘れられつつある、この現状に憂いを感じますが、これも時代の流れなのだろう。
④LAAZ ROCKIT - Know Your Enemy 期待感を煽るインストナンバーから一転、パワー漲るヘヴィメタルサウンドが展開、その独特の緊張感溢れる演奏と密度の濃い楽曲構成はスラッシュメタルかくありきなスリルとパワーを内包しており、ヘヴィメタルのなんたるかを体感出来る。ヘヴィメタルという位だからこれくらい金属的な音であって欲しいと思うマニアにはビンビンに響くでしょう。劇的なドラマを司る二本のギター、歌い込めるシンガーの存在と、我が国ではイマイチ跳ねないバンドなのだが、彼らの音楽性はシーンに中核に切れ込んでくる強い攻撃力を有する必殺剣のような殺傷力を持つサウンドだった。
①Oliver Magnum - Oliver Magnum アルバム一枚で消えたアメリカンパワー/スピードメタルバンド。雑誌の評価も酷く我が国では死亡確定となったバンドだが、マイク・ヴェセーラ似のメタリックなハイトーンを武器に、ダークでシャープなサウンドはクールに鳴り響きメタル魂を鼓舞するでしょうね。愛想は良くないが確実に日本でも需要のあるスタイルだけに、古典的なメタルサウンドに興味のあるマニアには是非とも手に取って欲しい一枚である。ある意味、ヘヴィメタルと呼ぶに相応しい音楽性を貫いていますからね。
②Warlord - Deliver Us アメリカのバンドながら流れるは欧州テイストのダークなメロディアス路線、その豊かなドラマ性を演出するメロディに釘付け、上手い下手や音質云々では語れないアメリカという土壌が生み出す独特の風合いがなんとも言えない個性を底上げ、ありがちなオカルトホラーテイスト強めのダークサウンドをより一層、深みのある暗黒魔境へと誘い聴き手を捕縛、永遠に抜け出せない魔の世界へと落としていくでしょう。綺麗なのに汚れている、まさに堕天使サウンドと言えるアメリカ産暗黒様式美スタイルに唸ります。 テクニカルさよりもメロディ、そこに拘ったサウンドは日本人の感性に適していると言えますよ。走るだけがメタルではない。そういう事です。
④Loudness - The Birthday Eve 個人的には人生で最も聴いたアルバムと言える一枚。とにかくジャパニーズメタルヒーローであるラウドネスのデビュー作は日本人びいき云々では括れない魅力があった。高崎のギターも既に天才的、樋口、山下の二人も阿吽の呼吸から強烈なグルーブをたたき出している。このライブ感溢れる演奏にも釘付け、若さ溢れる駆け引き無しのテクニカルプレイの応酬に唸ります。 渡米後の洗練されたスタイルも悪くないが、個人的には、このブリティッシュテイストを貫いた彼らを見たかった。
⑤Loudness - Terror ~剥離~ ブラックサバスを意識して作ったというだけあってヘヴィでダークな世界観で統一、初期のスタイルに近いと思わせるのも良かったが、このアルバムはラウドネスファンの間では相当評判が悪い。オリジナルラインナップによる中途半端路線のアルバムよりも最も支持できるスタイルなのだが、シンプルに分かりやすいスピードナンバーがないのがアカンらしい。 日本ではやたらとオジー時代のサバスを神格化したり、持ち上げる風潮があるのだが、ドゥーム系の人気は高くない、そして今作も同様である。不思議な現象だが、やはり権威主義が横行しているのだろう。音楽性云々よりも名前が重要、そのブランド力にひれふすわけだ。一時期流行ったワインブームを思い出す、味ではなく銘柄、そんな事で善し悪しは決まらない。サクソンアメリカンナイズドじゃあるまいしね。 偏見を持たない人にこそトライして欲しい、ラウドネスが初期の型を取り戻そうとした意欲作、ヘヴィメタルという言葉が似合いダークサウンドに世界を相手に戦ってきた男達の風格が漂います。
①Guardian's Nail - Believe 90年代に活動した関東メタルシーンの雄、時代の中で埋もれた感はあるが勇壮なメロディと叙情性、日本人による日本人好みのサウンドは頼もしい存在だったが2000年を前に力尽きた。またフルアルバムにこぎ着けられなかったのも悔やまれるのだが、海外のマニアにも受けそうな王道を押さえたアレンジと独自性を併せ持っていただけに再考されるべき存在だと思う。
②ARIA - Hero of Asphalt いまなお影響力を持ち続けるロシアの皇帝アーリア。初期の傑作としてマニアから愛される一枚。メイデン、JPといったバンドからの薫陶を受けたサウンドをアップデート。アクセプトのロシアヴァージョンのような音楽性へと変換、その勇ましい音楽性は、ロシア独特の土着的なメロディを組み合わせる事でオリジナリティに磨きを掛けてきた。底上げされた音楽性は力強さを漲らせ、ロシアの全土を手中に納めるべき臨戦態勢は整ったと確信させる一枚となりました。
③Warlock - You Hurt My Soul (on 'n' on...) 3曲入りのシングル。どれもがアルバム未収録なのだが、クオリティが下がっている事は無い。後にTrue as Steelリリース前の6曲入りEP『Fight for Rock』に丸々収録されるが、どちらかと言えば隠れた名曲の部類に入ってしまった。 表題曲などスローバラードと思いきやラストは一転勇ましく走る出す展開にグッとくる。シンプルでキャッチーだが厳つく走るカップリングの2曲も魅力的、トレーニングしながら聴いたりするのに丁度良い親しみやすさがある。WARLOCK自体が少々マイナーな存在になっているの為、この3曲などさらに認知度は低いがメタルな分かりやすさを内包した、芸人さんのショートネタのような顔見せ感があり、インパクトはけして弱くない。
④Metallica - Kill 'Em All 今となってはオシャレ番長だった時代は何だったのか?と語られる機会もなくはない元祖スラッシュメタル番長のメタリカのデビュー作。今の若い人は、これを知らずブラックアルバムの方がメタリカらしいと感じるらしい。これも時代の流れだからどうにもならないが、ここで聴けるはち切れんばかりのパワーとメタル愛、なにより音楽に対しての純粋な気持ちは神々しいくらいに光り輝いている。世界がメタルを商業的な商品へと変換した。その苦境の中で辛酸を舐め尽くした男達は自らの手で道を切り開き自分たちの居場所を力尽くで築いた功績は永久に色あせません。確かに雑誌のインタビューでラーズが、『最近のお気に入りはオアシス』と発言して大炎上したのも、お金持ちになりすぎたからです。
①Anthem - No Smoke Without Fire 福田洋也ラスト参加となるアルバム。他にも名盤があるのだが最近、陰が薄くなっている今作を思い押している。飛行機嫌いの柴田直人がロンドンに赴いて作品を仕上げた力作である事に変わりない。特に福田洋也は今までないくらいザクザクとしたメタルギターを披露、確かに柴田が弾いたフレーズを使用している場面も多々あるのだろうが、非凡な才能を持ち合わせたギタリストだったことを証明している。脱退前という事で世間の評価は低いのだが、福田ギターは辞める男のいい加減なプレイではない。むしろ辞めたことを後悔させてやるというプライドすら感じる。キーボードでドン・エイリー参加も話題だが、やはり海外レコーディングというのが一番作風に影響を及ぼしているだろう。それまでのアルバムよりも英国情緒が増しているように感じる。でも福田じゃなければもっと泣いていたのは間違いない。難しい問題だ。新機軸を打ち出したメロウな③に代表されるように、今作は冒険している。①だってザクザクとしたギターには驚いた、不仲説の二人によるギターとベースバトルがスリリングな④、哀愁のハードナンバー⑤、キャッチーでパワフルなスピードナンバー⑥、ドンのキーボードを生かしたシングル向けの⑦、シャッフルが心地よい⑨と変革するシーンに対してアンセムも改革を断行したと思う。それだけにイマイチ陰が薄いのは残念です。福田洋也脱退というネガティブなイメージに流されない若い人にこそ聴いて欲しい国産メタルシーンを代表するバンドの意欲作。森川之雄が何故、アンセムの看板シンガーと呼ばれるのか今作を聴けば理解できるでしょう。森川無くして今作は成立しませんよ。
③Stormwitch - Walpurgis Night NWOBHMから薫陶を受けたジャーマンメタルバンドのデビュー作。絶妙なポンコツ感はあるのだが、そこが一番愛すべき部分。メタルを愛しメタルに捧げた音楽性は多くのマニアに共感ポイントを与えるでしょう。ツインギターが奏でるキメのフレーズも嬉しくなりますよ。未消化な部分はあれど、欧州由来の叙情的なメロディとパワフルさ、そこにメタルなドラマ性を放り込みメタル一大叙情詩を展開、大げさとも言えるデフォルメ感もたまりません。こういう音は嫌いになれませんね。
④Crystal Ball - In the Beginning 北欧産クリスタルヘヴィメタルバンドの1st。日本人好みの叙情性と甘美なメロディ、フックのある展開は耳を捉えて離さないでしょう。キーボードの使い方も上手く良い感じでドラマ性を増幅、イマイチ乗り切れない歌声を皆がフォローしつつバンドサウンドを展開している全員野球感が大好きだ。突出したプレイヤーがいなくとも成立する北欧マインド全開のスタイル。忘れ去れつつある音楽性だけに、若い人にも聴いて欲しい一枚である。ちなみにシンガーのマーク・スウィーニーはウルフパックでマイケル・ヴォスの相棒を務めています。
①Saxon - Innocence Is No Excuse スウィートサクソンなどと陰口を筋金入りのマニアから陰口も叩かれたアルバム。その発言は大いに支持できるもでメロディアスな作風に舵を切っているが、これが実に味わい深い玄人好みのメロディアス路線を展開、ド派手に走る曲や分かりやすいヒット曲はないかも知れませんが、何を聴かせたいかを明確に示唆しており、硬軟のバランス感覚に秀でた一枚となっています。英国情緒のあるメロディは爽快なコーラスワークともがっちりとハマり、新生サクソンとしての及第点をたたき出している。 このギリギリの線で踏ん張る事により、ハードなサウンドに疲弊している心身へ適度な癒やしと温もりを運んでくるでしょうね。
②Motorhead - Iron Fist 駄作知らずの暴走ロックンロールバンド、どれから聴けばと聴かれても困る位なのだが名盤『ACE OF SAPED』も凄いけど、こっちも負けてないんですよね。小細工無用、圧倒的なエネルギーが漲っています。
1 ART OF ILLUSION『ART OF ILLUSION』 2 PARADOX『HERASY Ⅱ-END OF A LEGEND』 3 CHEZ KANE『CHEZ KANE』 4 MIDNIGHT CITY『ICH YOU CAN’T SCRATCH』 5 SEVENTH CRYSTAL『SEVENTH CRYSTAL』 6 TOBY HITCHCOCK『CHANGES』 7 EXODUS『PERSONA NON GRATA』 8 ACCEPT『MEAN TO DIE』 9 HUSTON『Ⅳ』 10 JORDAN JORDANOV featuring GORAN EDMAN『ANGEL’S TOUCH』
④HOUSTON - IV 遂にフロンティアと契約、愛すべきメロディアスロックサウンドを難の疑いも無く貫いてきたプロジェクトチームが、また一つ上のステージへと上り詰めましたね。今作は国内盤も出たと言うことで視聴機会も増えたのでしょうか?哀メロハードポップマニアならマストなバンドです。唄モノロックを愛する方ならば尚更でしょう。ベタに敵う物なし、彼らは見事に体現させてくれます。
⑤U.D.O. - Game Over 枯れることの無いメタルスピリット。本家との時代よりもソロの時代の方がキャリアも実績も積み上げてきたウド・ダークシュナイダー。自らが築き上げたものを擦り倒すだけではない、鋼鉄サウンドの守護神たるオーラをまとい見事に正統派スタイルを貫いている。似て非なるモノを作るのは難しい、セルフパロディにならないウド軍団の仕事っぷりに目を細めますね。大好物ですが、ゴリゴリ走る曲がもっとあればなお良かった。
⑨Marta Gabriel - Metal Queens 選曲が渋い、そしてどれもが名曲であった。クリスタルヴァイパーのマルタ嬢のソロアルバムは、往年の女性シンガーが唄ったクラシックメタルソング。オープニングのアシッドで幕が開けたのも個人的にはツボ、完全に持って行かれました。マルテーゼの曲をチョイスした彼女のセンスに惚れ惚れします。本物のメタルアーティストですね。
⑩CRYSTAL VIPER - THE CULT ポーランドが誇るベテラン正統派メタルバンド。コンスタントに作品をリリースしていますが、どれもがメタル愛に溢れた名盤ばかり。とくにバンドの顔たるマルタ嬢が全く逃げずにメタルを唄う、その真摯に向きあう姿と闘志溢れるパフォーマンスに魅了されます。
Lady Beastも良かった、サーベルタイガーも良かったがお馴染みの企画モノなので割愛。クロウリーとラウドネスは年末過ぎて間に合わん。ACCEPTはレビューまでしたのにあんまり聴いていない。これもサブスク生活の弊害というのか忘れるんですよね。最近は空白の期間を埋めるかのようにメジャー流通の古いモノがメインとなっています。
①LOUDNESS - On The Prowl マイク・ヴェセーラが加入後にリリースされたリメイクベスト。初期の名曲がマイクの歌声で復活しました。今でもNeve AgainとFind A Wayとして生まれ変わった2曲はこちらの方が好きです。マイクが歌いIn The Mirrorも良いねぇ。新曲3曲も新しい魅力を感じて喜んでいましたが、後にこれらの曲は二井原実先輩時代にあったと知って驚きましたね。そういう意味も込めて最近聞き直す機会も増えた一枚です。
③Weapon UK - Ghosts Of War 古くさいアイデアを持ち込み、往年のバンド群のアイデアを引用しながら昔の仲間で作り上げた一枚。往年のNWOBHMファン以外にも訴えかけるような古典スタイルは伝統美に溢れ自らのアイデンティティを誇示しています。代表曲のリメイクもあり。
④Victory - Don't Get Mad...Get Even 世間的には厳しい評価をもらった2枚目のアルバム。個人的には大好きなアルバムで、オープニングからノリノリで楽しめます。チャーリー・ハーンの歪んだ歌声も大好きだしツインギターコンビも的確なギターワークでハードサウンドを牽引、一発で耳に残るメロディと手堅いハードさが絶妙な加減で融合、この硬軟交えたHM/HRサウンドは浮かれまくる80年代中期としては良心となる一枚だったと思いますよ。今でも聴きたくなるご機嫌な奴です。
⑤KING KOBRA - THE LOST YEARS 幻となってしまった3枚目のアルバムを中心に未発表曲を盛り込んだファンを歓喜させる一枚。参加メンバーのレアさも含め興奮させられる一枚。マーク・フリー以外にも、これだけのシンガーが関わっていたのかを知ることが出来るのも美味しい一枚です。
①Church of Misery - The Second Coming 秩序型のシリアルキラーとして世の知らしめる残酷な殺人鬼、テッド・バンディを表紙の使うとはね。オープニングもテッドが主役です。シリアルキラーを題材として取り上げる素敵なセンスが最高のクールな血塗られた暗黒伝説をスラッジドゥームが下品にかき鳴らす。海外でもカルト的人気を誇るバンド。日本よりも海外の方が有名でしょうね。
②Rage - Secrets in a Weird World マンニ・シュミットの癖のあるギターも耳を惹きますね。メロディアスかつ緊張感のあるパワーメタルサウンドは独特の風合いがある。親しみやすいメロディも顔を出すのだが、テンションの高い演奏はトリオとは思えないほど密度が濃い。その味の濃さに唸る。
③SLY - DREAMS OF DUST 高崎晃がブッタの世界にのめり込み、流石について行けなくなった樋口が次に動き出したバンド。元は石原慎一郎のソロが母体と言われているらしいが、諸説あって面白い。金の掛かったデビュー作の流れを引き継ぐ2枚目。この時代の二井原実先輩の唄い回しが好きでは無い。妙にドスを聴かせヘヴィに唄っている。彼の持つソウルフルな味わいが薄れているのはマイナスだ。しかし、前作では散漫な印象というか弱い楽曲もあったが、統一感をお持たせ練り込んだだけに、先輩の無理目の歌声は今もって残念である。 日本人らしいキメの細やかさ、そして90年代前半を意識したヘヴィネスサウンドは和を以て洋を制すると言った趣向だろう。 忘れ去られた一枚だけに機会があれば耳を傾けて欲しい。あとラウドネス人気もあるのでサブスクで聴けるようにした方が良い。
③JEFF COSCO AND TIMES SQUARE - JEFF COSCO AND TIMES SQUARE 知る人ぞ知るアメリカ人シンガーのジェフ・コスコ。1989年にレコーディングしたものも日の目を見ることなく埋もれていましたが、今では配信版で購入も可能、唄モノマニアならば手に取って損はしないでしょう。ちなみにジェフさんは、幻の叙情派アメリカンロックバンド『Cheater』のシンガーです。そっち方面のマニアにもウケるような素直な唄モノサウンドを披露していますよ。なんでもお蔵入りしたんだろう?と言うか知名度が恐ろしく低いのが残念で仕方がない。質はめちゃくちゃ高い。Cheaterも知って欲しいなぁ。
④Tim Feehan - Tim Feehan 邦題『処刑ライダー』の主題歌として知られるWhere's The Fireがオープニングを飾るティムの出世作。ダンサウンブルな打ち込みビートとオシャレなサウンドメイク、しかし浮ついた要素はなく地に足のついたパフォーマンスで魅了。ポッとでの新人ではない確かなパフォーマンス力で魅了。フックのあるメロディを嫌みのない素直な歌声が優しく抱きしめています。
⑤David Roberts – All Dressed Up 爽快な風が吹いていますねぇ。青空が似合うメロディアスサウンドに心を洗われます。AORファンならマストな一枚と言えるでしょう。 主役のロバートさんのハートウォーミングな歌声に胸がときめきますね。
②L.A. GUNS - CHECKERED PAST フロンティアの力添えもあるのとにかく創作意欲に陰りは無い。ドタバタ劇も裏ではあるようだが、いずれにしろトレイシー・ガンズがいてのL.A GUNSであろう。ダークでメランコリック、ヘヴィなミドルナンバーもクール。バラエティ豊かな楽曲を用意するも散漫な印象を与えないのが良かった。今が全盛期だろう。
③Vicious Rumors - Digital Dictator ヘヴィでアスね、パワフルですね。適度に隙間のある音は聴いていて実に気持ちが良い。タイトで重厚なヘヴィネスサウンドに負けない唄というのも素晴らしい。ストレートに打ち鳴らされるヘヴィメタルサウンドは今聴いても十分に通用するでしょう。なんか最近のモノは妙にサイバーしたり、ドロドロとしたり、と○○風味をすぐに持ち込むが、ここにはそういう斬新と言うなのありきたりが無い。むしろ迷うこと無く王道をかき鳴らすからカッコいいのである。こういうスタイルで勝負をかけられるポテンシャルの高さに唸ります。 カール・アルバートの歌声は圧巻の一言です。
④Vanize - Bootlicker アウトレイジのカヴァー、Call of the Hunterも取り上げているのが日本人としては嬉しいです。プロデューサーはステファン・カウフマン、シンガーはウドの実弟ピーター・ダークシュナイダー。 そして出している音はジャーマンメタルの王道スタイル。熱き弾丸の如きリフとリズムが弾け出す極上のメタルを楽しめます。
⑤Outrage - Black Clouds 日本最強のスラッシュメタルバンド。紆余曲折を経て原点回帰した彼らの姿も素晴らしいのだが、デビュー作の時点で完成された音楽性に驚かされる。何度も聴いた思い入れの強い一枚。 叙情的な泣かせのギターも素晴らしい、ハイトーン系のシンガーが多いジャパメタ系とは一線を画す橋本の存在感も凄かった。
⑧LOUDNESS-ONCE AND FOR ALL 山田雅樹と沢田泰司というスターが揃っていた時代のライブアルバム。 今となっては再結成不可のラインナップに興味を惹かれるマニアもいるでしょうね。 この時代のラウドネスも無視して欲しくないねぇ。 演奏は呆れるほど上手い。そして徹頭徹尾ヘヴィである。
⑨VAIN - No Respect 退廃的で毒気のあるサウンドは唯一無二の個性を発揮、危険な香りを倍増させる歌声も相まって独自性を高めていますねぇ。 オープニングナンバーが醸し出す中毒性、リリース時は日本でもプチ話題となりましたが、2作目が突如発売中止になったりと 順調な活動をしていなかった印象が個人的には強い。 売れ損ねたアーティストと言えよう。ある意味、一発屋である。
⑩MASTERMIND - To The Wolrd Beyond イェンス・ヨハンソンのゲスト参加など話題もありましたが売れ行きはイマイチだったとか、なんかこう迷いみたいなものを感じるアルバムでしたが、ライブでは最前列で首を振っておりました。ライブの最後に手渡しでギターのピックを頂けた事は永遠に忘れません。 メリカリやヤフオクに出品すること無く大切にしますよ。 臭みの強いパワフルなメタルサウンドとネオクラ風味の融合、歪みまくったハイトーンヴォイスも高速ツインギターも最高にカッコいいですよ。
③POWERMAD - Absolute Power アルバムジャケットが損しているなぁと感じるUS産パワーメタルの隠れた名品。無愛想なUSパワーメタルだけに、情緒たっぷりのメロディアスサウンドが好みの方には少々、とっつきにくい面はあるかも知れませんが、それらを凌駕する迫力があります。 QUEENSRYCHEのフォロワー的な側面もありますが、シリアスで密度の濃いサウンドは一聴の価値ありです。
④AT WAR - ORDERED TO KILL マニア向けのウンコ垂れレーベル、我らがニュールネッサンスレコードからリリースされた一枚。レーベルの中では上位にランクインする作品ですが、音質は良くないです。しかし、そんなアウェーなど吹き飛ばすバイオレントな香りが漂うスピードメタルサウンドは、間違いなく需要はあるでしょう。
J-POPを含めれば、RADWIMPS『2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs』が、あまりに重くて別格。YUKI『Terminal』は名盤。ビッケブランカ『FATE』、ネクライトーキー『FREAK』、KIRINJI『crepuscular』、NakamuraEmi『Momi』も好き。なんかE.P.(ミニ・アルバム)が豊作で、坂本真綾『Duets』、坂本美雨『birds fly』、ヨルシカ『創作』(前年の『盗作』とセット)、B'z『FRIENDS III』も良盤。尾崎裕哉『BEHIND EVERY SMILE』もよかった。
⑥Crowley - Whisper of the Evil 伸びやかなハイトーンと地面を這いつくばる妖しげなメロディの対比がなんとも淫靡な背徳感を演出している。悪魔的なサウンドメイクは禍々しいサバトな一夜を想起させるようだ。名古屋が生んだ伝説のサタニックメタルバンド。海外でも高い評価を受けた事でも知られる今作。再発盤も出ましたが、そろそろ落ち着いたと思うのでサブスク解禁となって欲しいなぁ。
⑧Lizzy Borden - Love You to Pieces 所謂ショックロックバンドなのだが、デビュー作において既に完成していると言えるほど音楽性に隙が無い。印象的なフレーズを奏でるキレの味鋭いツインリードもクール。主役たるリジーさんのハイトーンもビシバシと決まり、バンドサウンドを見事に牽引している。現在はどうも忘れ去られた存在となっているリジー・ボーデン。メジャー流通しているアメリカ産の正統派メタルとしては最高峰に位置するバンドだと思う。欧州のような湿り気はないが光沢なまめかしい鈍色に輝くメロディアスメタルは、多くのフォロワーを生み出すような魅力に溢れていた。
①SABBRABELLS - Request Live コンプリートBOXに収録された未発表ライブ音源。いかにメジャーデビュー前の初期音源が人気であり支持されているかが分かりますよね。ライブバンドとして知られるサブラベルズの魅力をギュッと詰め込んだ一枚です。生々しい音像がより臨場感を高めています。こういうのを聴きたかった。熱気が充満しているねぇ。まさにライブアルバムです。
③ZOETROPE - A Life Of Crime クールでアグレッシブなUS産スピードメタル。直情的なビートはあくまでも冷徹なる響きを奏で路地裏感を誘発、今となっては貴重なスタイルのバンドだけに、スピード狂ならば一度は向き合って欲しいバンド。ハードコア/パンクからの影響もにじみ出たスピードロックは常にスカッとさせてくれますよ。
④VANDENBERG - Heading For a Storm ホワイトスネイクでの中途半端な成功と名声を得たことで知らない内にブルースオジサンにされてしまったエイドリアン。ここで聴ける独創的なプレイと叙情的なメロディ、そのギターワークには天賦の才を感じさせるモノであり、彼がブルースおじさんな訳がない。アコギも使いエレキとの対比も美しいプレイを導入したりと、今聴いても新鮮である。ギタリストを目指すモノならば、今作は格別な思いを抱かせるだろう。再結成したが次はどうなるのか?
⑤FIGHT - WAR OF WORDS パンテラスタイルを取り込んだ新生ロブ・ハルフォードを見せつけた一枚。リリース時は、ロブよお前もかと、求心力を失ったメタルゴッド、しかし今の感性で聴けば今作は、年寄りの冷や水と切り捨てるほど無理をした作風なんだろうか? 多角的な見方で楽しめば新しい発見もあるでしょう。ある意味、PAINKILLERの次は、こういうスタイルなんだと言われると、今ならば違和感はない。不思議なモノである。耐性がつきましたねぇ。
①Phantom Lord - Evil Never Sleeps 歴史に名を残すヘタレジャケットでお馴染みのファントムロードが1986年にリリースした2枚目。これを見て買おうと思う奴はいないぞ。中学生が世紀末的な暴力的世界を描いたようなダサダサジャケにも負けないマイナーアメリカンパワーメタルが醸し出す胡散臭さがたまりません。ギターは我らがマイナーギターヒーロー、ジャック・スター。新日でも全日でもない国際プロレスを愛する猛者ならば、このガチンコメタルにむせびますよ。うねるぜ!!
③Vanadium - Born To Fight 初期イタリアのシーンを支えた正統派HM/HRバンドの4枚目。ソリッドでシャープな質感とメジャーな感性を混ぜ合わせたサウンドは、それまでのマイナーメタルヒーローからの脱皮。華麗なキーボードのフレージングも効果的に機能、スリリングなインストバトルにも息を呑みます。聴きやすさも手伝い、飛躍した印象を与える一枚。臭過ぎず泣かせすぎない、イタリアンメタルの王道スタイルを極めた一枚。もっと認知されるべきバンドである。
④Brainfever - Face To Face ドイツ産スピードメタルバンドが1986年にリリースした2枚目。再発もなく完全に忘れ去られている一枚だが、一応、2006年にCult Metal Classics Recordsから再発盤が出ている。この無駄に力の入ったパワーとスピード、四の五の言わずに楽しんで貰いたいです。豪快にドライブするスピードナンバーは、バイカーズロックをさらに加速させたようなスリルがあり、のっけから酔い止め必死にスピード勝負なサウンドに魅了されます。ミックスが酷い、レコーディングもイマイチで演奏が下手だ、そんな事はお構いなしの乾坤一擲メタルにわしゃ激しく共感を覚えます。走るだけじゃない芸の細やかさも効いているのよねぇ。