アメリカ進出のきっかけとなった'84年発表の5th。 プロデュースはバンド自身、エンジニアはMSGを手がけたルイス・オースチン。 ギターの片割れにハーマン・フランクが加入。 全体的にミディアム・テンポのナンバーが中心となっていることから地味であるとの声もあるが、どうしてどうして。 この作品は「男の挽歌」的な哀愁の度合いが素晴らしく、個人的にはJUDAS PRIESTの「DEFENDER OF THE FAITH」と双璧をなすものである。 男声コーラスがヘヴィで迫力満点な永遠のアンセム「BALLS TO THE WALL」、グルーヴィーなリフがかっこいい「LONDON LEATHERBOYS」、ウドが狂獣のようなシャウトを聴かせる「FIGHT IT BACK」、哀愁漂う歌メロと美しいギター・フレーズの名曲「HEAD OVER HEELS」、こちらも歌メロに哀愁漂う隠れた名曲「LOSING MORE THAN YOU'VE EVER HAD」、ギター・リフとブリッジのメロディがかっこいい「LOVE CHILD」、歌メロが感動的ですらある「TURN ME ON」、正統派ヘヴィ・メタルの「LOSERS AND WINNERS」、やはり哀愁あるメロディが秀逸な「GUARDIAN OF THE NIGHT」、クリスタルのような輝きを放つバラード「WINTERDREAMS」と、捨て曲なしの名盤。
JUDAS PRIEST、IRON MAIDENといった正統ヘヴィ・メタルの後継者と謳われた独産HMバンドACCEPTの'82年発表の3rd(邦題は「戦慄の掟」)。 エンジニアには後にMOTLEY CRUEやDOKKEN等を手がけるマイケル・ワグナーを迎えている。 正にヘヴィ・メタルを歌うために生まれてきたかのようなウドの強烈無比なカミソリ・ヴォーカルや官能的なメロディを奏でるウルフのギターといったバンドの個性が本格的に発揮されたのもこのころから。 ウドのヒステリックなヴォーカルと魅惑的なツイン・リード・ギターが聴ける「STARLIGHT」、ツー・バス連打が凄まじいヘヴィ・メタルの超名曲「BREAKER」、突進力あるギター・リフとメロディアスなコーラス・ワークの「RUN IF YOU CAN」、ウドが情念に満ちた歌唱を聴かせるドラマティック・バラード「CAN'T STAND THE NIGHT」、迫力あるバック・コーラスと流麗なギター・ソロが圧巻の「SON OF A BITCH」、軽快なACCEPT流ロックン・ロール「BURNING」、ヘヴィなリズムの「FEELINGS」、明るくキャッチーな「MIDNIGHT HIGHWAY」、ウルフの奏でる泣きのギターが美しいピーターが歌うバラード「BREAKING UP AGAIN」、ウドの歌唱が迫力に満ちた「DOWN AND OUT」と、楽曲もすこぶる充実。 個人的には正統ヘヴィ・メタルの教科書のような本作こそがACCEPTの最高傑作。
↑でも既に説明されているとおり、1st~4thまでの代表曲にリミックスを施したベスト盤。 2ndから「I'M A REBEL」、「THE KING」、3rdから「BURNING」、「SON OF A BITCH」、「BREAKER」、「MIDNIGHT HIGHWAY」、4thから「FAST AS A SHARK」、「PRINCESS OF THE DAWN」、「RESTLESS AND WILD」と、代表曲はほぼ抑えられている(1stからの曲と、個人的には「STARLIGHT」と「FLASH ROCKIN' MAN」は収録して欲しかった気もするが)。 バック・コーラスが前面に出ているなど音質はよりクリアになっているが、個人的にはラフなオリジナルの音蔵の方が好きだな。
ドラムの座をステファン・カウフマンにチェンジしての`80年発表の2nd。 音質・楽曲はデビュー作から目覚しく向上し、ウドの金切り声が炸裂する「SAVE US」、メロディアスなギター・リフの「CHINA LADY」、キャッチーなコーラス・ワークの「DO IT」はなかなかの好曲であるが、レコード会社から売れる曲を要求されたという経緯もあってか、いささか散漫な印象は受ける。 特に、外部ライターのペンによる「I'M A REBEL」はAC/DC調の縦ノリロックの好ナンバーであるが、他の曲と比較して浮いている感は否めない。 叙情的バラード「NO TIME TO LOOSE」とRAINBOWの「TEMPLE OF THE KING」を彷彿させる「THE KING」で再びピーター・バルテスがヴォーカルを担当している。
前作にも増してヘヴィ・メタリックになった'82年発表の4th。 前作発表後、ヨルグ・フィッシャー(G)が脱退し、本作のギター・パートは全てウルフが担当している。 プロデュースはバンド自身が行い、エンジニアにはマイケル・ワグナーを迎えている。 このアルバムの強みは何といってもヘヴィ・メタル史上に残る超名曲「FAST AS A SHARK」が収録されていることだろう。 ウドの金切り声シャウトとツイン・リードによるギター・ソロが印象的なこの疾走曲は後続バンドたちに多大な影響を与えた。 ほかにも、前に前にと突っ込んでくるような迫力に満ちたタイトル曲「RESTLESS AND WILD」、破壊力と叙情美とが同居したクラシカルな「NEON NIGHTS」、N.W.O.B.H.Mのような正統派ヘヴィ・メタル曲「FLASH ROCKIN' MAN」、名リフにより繰り広げられる展開がドラマティックな超名曲「PRINCESS OF THE DAWN」といった代表曲を収録。 ギターのカッティングがかっこいい「AHEAD OF THE PACK」、ヘヴィで破壊力抜群の「SHAKE YOUR HEADS」、縦ノリロック・ナンバー「GET READY」、ストレートなメタル・ソング「DEMON'S NIGHT」、サビのメロディが明るくも哀愁のある「DON'T GO STEALIN' MY SOUL AWAY」も悪くない。 本作を最高傑作に挙げるファンも多いHM史の残る名盤。
「TOYS IN THE ATTICK」、「ROCKS」と併せて初期の3部作と並び称される'77年発表の5th。 プロデューサーは前作に引き続きジャック・ダグラスとバンド自身。 あまりにもかっこいいギター・リフとスティーヴンの血管ぶち切れ気味のシャウトが凄まじい超名曲「DRAW THE LINE」、ブラスとエレピのサウンドがゴージャスな「I WANNA KNOW WHY」、スティーヴンの歌い回しが絶妙な「CRITICAL MASS」、終盤の畳み掛けが素晴らしいファンキーな「GET IT UP」、ジョーのヴォーカルによるドライヴ・ナンバー「BRIGHT LIGHT FRIGHT」、異色の哀愁ドラマティック・ナンバー「KINGS AND QUEENS」、スティーヴンのシャウトが狂気的な「THE HAND THAT FEEDS」、グルーヴ感に満ちた「SIGHT FOR SORE EYES」、バンドのプレイが凝縮されたブルーズ曲のカヴァー「MILK COW BLUES」と、このころのAEROSMITHが完全にドラッグ漬けとなっていた影響からか、アルバム全体が異常なほどのテンションの高さに満ちている。 前作に存在していたキャッチーさが減退しているのが残念であるが、本作も紛れもなく名盤である。
プロデューサーにジャック・ダグラスを迎え、前作より音質も演奏も格段に向上した'74年発表の2nd(邦題は「飛べ!エアロスミス」)。 グルーヴ感あふれるギター・リフがかっこいい「SAME OLD SONG AND DANCE」を筆頭に、後に「WALK THIS WAY」に発展すると予感させる「LORD OF THE THIGHS」、明るくキャッチーな「WOMAN OF THE WORLD」、バンドの本質をとらえたハード・ロック・ナンバー「S.O.S.(TOO BAD)」、YARDBIRDSの名曲を見事にカヴァーした「TRAIN KEPT A ROLLIN'」、ドラマティックかつ美しいエモーショナル・ナンバー「SEASONS OF WITHER」はなかなかの好曲揃いではあるものの、デビュー作における「DREAM ON」や「MAMA KIN」のような決定的な名曲がない為、AEROSMITHの作品の中ではやや印象の薄いアルバムだ。 アルバム全体の完成度は高く、次作でのブレイクを予感させるアルバムではあるのだが・・・。
ジャック・ダグラスとバンド自身のプロデュースによる'76年発表の4th。 前作「TOYS IN THE ATTICK」もロックの代表曲が多数収められたロック史に残る名盤であったが、本作は突出した曲こそないものの、アルバム全体の充実度という点において前作を上回る。 スティーヴンが野生的なシャウトを聴かせるヘヴィ・ナンバー「BACK IN THE SADDLE」、変幻自在な歌を聴かせる独特のルーズ感を持ったナンバー「LAST CHILD」、超ハイ・テンションなドライヴ・ナンバー「RATS IN THE CELLER」、オープニングのヘヴィなリフがかっこいい「COMBINATION」、メロディアスなギター・ソロや終盤のリフの応酬がいかしている「SICK AS A DOG」、スティーヴンのシャウトが狂気を発するウルトラ・ヘヴィな「NOBODY'S FAULT」、小気味良いリフの「GET THE LEAD OUT」、軽快なギター・リフとキャッチーな歌メロが魅力の「LICK AND A PROMISE」、スティーヴンの甘い歌唱が絶品のバラード「HOME TONIGHT」と、アルバムのタイトルが表すとおり、数々の名ロック・チューンが揃った名盤中の名盤!
ロック界にAEROSMITHの名を知らしめることとなった'75年発表の出世作(邦題は「闇夜のヘヴィ・ロック」)。 プロデューサーは前作に引き続きジャック・ダグラス。 これまでに発表した2作とは比べ物にならないほどハイ・クオリティ&ハイ・テンションなロックを聴かせる名盤である。 バンドのハード・ロック宣言ともとれるタイトル曲「TOYS IN THE ATTIC」、スティーヴンのラップ調ヴォーカルとファンキーなギター・リフが印象的な超名曲「WALK THIS WAY」、スティーヴンとジョーが美しいヴォーカル・ハーモニーを聴かせる「SWEET EMOTION」といった、今でもライヴで演奏される代表曲を始め、米産バンドならではのルーズな感覚がイカしている「UNCLE SALTY」、ツイン・ギターのハーモニーがクールな「ADAM'S APPLE」、軽快なジャンプ・ナンバーのカヴァー「BIG TEN INCH RECORD」、哀愁漂うメロディが秀逸な「NO MORE NO MORE」、まるでZEPPELINのようなヘヴィ・ブルーズ「ROUND AND ROUND」、オーケストラとの競演による感動の名バラード「YOY SEE ME CRYING」と、非常に高品質の楽曲が収録されている。 もし、「AEROSMITHで一番好きなアルバムは?」と聞かれたならば、間違いなく次作「ROCKS」か本作を挙げるだろう。
元SHERIFFのVo、Gと元HEARTのG、B、Dsにより結成されたバンドの'90年発表のデビュー・アルバム。 メンバー構成からも想定されるとおりの典型的な産業ロックであるが、好き者にはたまらないであろう作品だ。 特にフレディ・カーシ(Vo)の高音を駆使した歌声は絶品である。 オープニングの「SAY WHAT I WANNA SAY」こそ、あまりにもYESの「OWNER OF A LONELY HEART」に似ていて失笑モノだが、メロディアスで透明感のある「HAUNTED HEART」や「WAITING FOR LOVE」、伸びやかな歌声が心地よくドラマティックな「HEROES」、サビのメロディが美しい「AFTER ALL THE LOVE IS GONE」、全米2位を記録した甘いヒット・バラード「MORE THAN WORDS CAN SAY」、天を翔けるようなハイ・トーン・ヴォイスが素晴らしい「TRUE EMOTION」等、楽曲も目新しさはないものの好曲揃いである。
全米№1をも記録したALICE COOPER最大のヒット作にして最高傑作である'73年発表の4th。 プロデューサーはもちろんボブ・エズリンで、レコーディングにはT.REXのマーク・ボラン、THE WHOのキース・ムーン、ルー・リード、ドノヴァンといった超大物がゲスト参加している。 楽曲の水準が押しなべて高く、美しくも劇的なオープニング曲「HELLO HOORAY」、アリスを大統領になぞらえたゴージャスなサウンドの「ELECTED」、ヘヴィかつダークなギター・リフを持ったドノヴァンとのデュエットによるタイトル曲「BILLION DOLLAR BABIES」、MEGADETHもカヴァーした、アリスの狂気的かつキャッチーな歌唱が魅力の「NO MORE MR. NICE GUY」、ライヴでギロチン・ショーが行われる際に演奏される美しくドラマティックな「I LOVE THE DEAD」といった有名曲を始め、初期のサウンドに近い「RAPED AND FREEZIN'」、バンドの演奏が極めて秀逸な「UNFINISHED SWEET」、アコースティック・ギターの音色が美しい「GENERATION LANDSLIDE」、ピアノをバックにアリスが優しげに歌う小曲「MARY ANN」といったナンバーも素晴らしい。 蛇側の財布をモチーフにしたアルバム・ジャケットのセンスも秀逸である。 「アメリカン・ハード・ロック史上に残る名盤」と呼んで差し支えないほどの高作品であるが、ここ日本においてはあまり聴かれていないというのは非常に残念でならない。