PRIESTの全盛期といえる'82年のメンフィスにおけるライヴを収録した'83年発表のビデオ(後に2曲を追加した形で'06年に待望のDVD化)。 まるでSMのようなロブの衣装やブロンド・ヘアーがまぶしいK.K.のルックス、レーザー光線を駆使した立体的なステージセットも抜群にかっこいい。 オープニングはこの曲を差し置いては考えられない「THE HELLION~ELECTRIC EYE」、ロブの歌唱がスタジオ版を凌駕する「RIDING ON THE WIND」、メンバーの動きが非常にアグレッシブな「HEADING OUT TO THE HIGHWAY」、力強いロブの動きが何ともかっこいい「METAL GODS」、より重厚さを増した「BLOODSTONE」、フォーメーション・プレイがかっこいい「BREAKING THE LAW」、アグレッシヴに演奏される「SINNER」、スタジオ版を凌駕するスピーディーな演奏と持ち前のハイ・トーンで観客を煽る「DESERT PLAINS」、スモークがたかれる中で不気味なリフがこだまする「THE RIPPER」、あまりに激しく演奏される「DIAMONDS AND RUST」、珍しく演奏陣のバック・コーラスが聴ける「DEVIL'S CHILD」、ストロボ・ライトが点滅する中でのパフォームが見事な「SCREAMING FOR VENGEANCE」、ギタリスト2人の絡みと観客との掛け合いが見ものの「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'」、ロブとグレンの絡みも多い重厚なラス曲「VICTIM OF CHANGES」、アンコールにふさわしい軽快なロック・ナンバー「LIVING AFTER MIDNIGHT」、「SHOUT OH YEAH!」で散々観客をいじった後、美しいグリーン・ライトに照らされて演奏される「THE GREEN MANALISHI(WITH THE TWO PRONGED CROWN)」、ハーレーに跨って登場したロブが鞭を片手に大暴れをするセカンド・アンコール「HELL BENT FOR LEATHER」と、ベストな選曲による迫力のライヴが展開されている。
前作「BRITISH STEEL」の作風を踏襲しつつ、よりシンプルになった'81年発表作品(邦題は「黄金のスペクトル」)。 プロデュースはバンド自身とトム・アロム。 「TURBO」と並んで「問題作」と評価されることの多いこのアルバムであるが、楽曲そのものの出来は悪くない。 ライヴで演奏されることも多い、明るく軽快なハード・ロック曲「HEADING OUT TO THE HIGHWAY」、あまりにもシンプルなギター・リフを持つ「DON'T GO」、繰り返されるリフがキャッチーな「TURNING CIRCLES」、ダイナミックなドラミングと質の高いメロディを持った名曲「DESERT PLAINS」、サビがなくとも壮大なムードを醸し出している「SOLAR ANGELS」、小気味よく刻まれるリフとキャッチーなメロディが印象的な「YOU SAY YES」、ロブのヴォーカル・メロディが主体の「ALL THE WAY」、まるでAC/DCのような「TROUBLESHOOTER」、ロブの高音で伸びやかな歌声が素晴らしい「ON THE RUN」と、シンプルながらもソリッドでメタリックなサウンドであった前作に対し、本作はキャッチーでアメリカナイズされた感がある。 かっこよいギター・リフを持った疾走感溢れる名曲「HOT ROCKIN'」の存在がギラリと光っている。 駄作とまでは思わないし、好きか嫌いかと言われればやはり好きなアルバムであるが、これまで発表してきた名盤に比べれば聴き劣りする感があるのは否めない。 リマスター版には「TURBO」発表後に作られた好曲「THUNDER ROAD」と疾走感を増したライヴ版「DESERT PLAINS」を収録。 ちなみに米版はジャケット違いで発表されている。
BLACK SABBATHを生んだイギリスはバーミンガム出身のバンドによる'74年発表のガル・レコードからのデビュー・アルバム。 メンバーは、ロブ・ハルフォード(Vo)、K.K.ダウニング(G)、グレン・ティプトン(G)、イアン・ヒル(B)、ジョン・ヒンチ(Dr)。 プロデューサーはBLACK SABBATH等を手がけたロジャー・ベイン。 本作は「若気の至りで作られた凡作」とか「現在とは異なる音楽性」といった評価が一般的で、熱心なファンからも無視された存在となっているが、そのような悪い評価しかされないのは何とも理不尽なことである。 メイン・コンポーザーの1人であるグレンが加入して間もないためいくつかの捨て曲も見受けられるし、ロブのハイ・トーンやツイン・リード・ギターといった個性も本領発揮とは言い難いが、次作「SAD WINGS OF DESTINY」に通じる様式美がここにはある。 おそろしくかっこいいキラー・リフを持ったタイトル曲「ROCKA ROLLA」や引き摺るようなヘヴィなリフがかっこいい「NEVER SATISFIED」、ロブの歌唱が見事なドラマティック曲「RUN OF THE MILL」、静と動とが同居したプログレッシブな曲展開の「DYING TO MEET YOU」は特にオススメ。 ブルージーなヘヴィ・ロック「ONE FOR THE ROAD」、グルーヴ感のあるリフが延々と繰り返される「CHEATER」もなななかの出来。 お粗末なジャケットとアルバム・タイトルがつくづく悔やまれる。
バンドがHR/HMブームの中心的存在となる上での足がかりともなった、最高傑作との呼び声も高い'82年発表の8th(邦題は「復讐の叫び」)。 プロデューサーはトム・アロム。 前作での簡素化されたサウンドから一転、かつてのスピード感、メロディ、ドラマティックな曲展開といった美点を取り戻し、強力なリフとツイン・リードによるギター・ソロも充実させた意欲作で、英国のバンドならではの叙情性と適度なアメリカン・フレーバーとが上手くミックスされた作風が見事である。 HM史上において最も劇的なオープニングともいわれる「THE HELLION」からスピード感あふれるリフがあまりにかっこいい「ELECTRICK EYE」への流れは超強烈! 激しいドラミングとギター・リフがダイナミックな「RIDING ON THE WIND」、ロブの高音スクリームと流麗なツイン・リードによるギター・ソロが素晴らしい「SCREAMING FOR VENGEANCE」、突き進むようなギター・リフが単調ながらもかっこいい、アンコールでもおなじみのヒット・チューン「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'」といった名曲も聴き逃せない。 その他、印象的なギター・リフを持つ「BLOODSTONE」、ボブ・ハリガン・JRのペンによる叙情的な「(TAKE THESE) CHAINS」、ロブの情念のこもった歌唱が聴ける「PAIN AND PLEASURE」、叙情的なメロディとドラマティックな曲展開が美しい「FEVER」、バック・コーラスとの掛け合いもキャッチーな「DEVIL'S CHILD」といった好曲揃いで、捨て曲は見当たらない。 リマスター盤はボーナス・トラックに美しく叙情的なバラード「PRISONER OF YOUR EYES」とロブのハイ・トーンが凄まじい「DEVIL'S CHILD」のLIVEヴァージョンを収録。 個人的には、本作品こそがPRIESTの最高傑作である!!
メジャー・レーベルであるCBSに移籍後の'77年に発表された3rd(邦題は「背信の門」)。 アラン・ムーア(ds)が脱退し、特別出演名義ながらデビッド・カヴァデールやジャック・ブルースとも共演した名手サイモン・フィリップスが参加している。 プロデューサーは元DEEP PURPLEのロジャー・グローヴァー。 前作「SAD WINGS OF DESTINY」を踏襲した作風で、まだまだヘヴィ・メタルというよりは様式美テイスト溢れるハード・ロックといった趣きだ。 アルバムのオープニングにふさわしいかっこいいギター・リフを持った「SINNER」、フォーク・シンガー、ジョーン・バエズの曲の秀逸なカヴァー「DIAMONDS AND RUST」といった代表曲を筆頭に、歌メロがキャッチーな「STARBREAKER」、PRIEST史上で最も甘いバラード「LAST ROSE OF SUMMER」、スピーディーかつメロディアスな正に隠れた名曲と呼ぶにふさわしい「LET US PREY/CALL FOR THE PRIEST」、グルーブ感溢れるヘヴィ・チューン「RAW DEAL」、ロブのハイ・トーンとディープ・ヴォイスとの使い分けが見事なパワー・バラード「HERE COME THE TEARS」、ロブの狂気じみたスクリーム凄まじくミステリアスな「DISSIDENT AGGRESSOR」と、捨て曲は見当たらないが、若干オーバー・プロデュース気味なのが残念。 リマスター盤にはボーナス・トラックとして、英国のGUNのカヴァー「RACE WITH THE DEVIL」とライヴ版「JAWBREAKER」を収録。 アルバム・ジャケットがミステリアスでありつつも美しい。
伝統的ハード・ロックからヘヴィ・メタルへの移行期にあった'78年発表の4th。 プロデューサーはデニス・マッケイ(一部、ジェームス・ガスリー)。 新ドラマーとしてレス・ビンクスが加入。 このアルバムの強みは、のちのスラッシュ・メタル勢にも多大な影響を与えることとなった激烈疾走チューン「EXCITER」とヘヴィなリフと泣きのギター・ソロによる美しくドラマティックな曲展開を繰り広げる「BEYOND THE REALMS OF DEATH」といったヘヴィ・メタル史に残る2大名曲が収録されていることで、これら2曲の存在が本作を名盤足らしめるものになっている。 高いキーで歌われるロブの歌唱が秀逸なアップ・テンポ・ナンバー「WHITE HEAT, RED HOT」、哀愁を感じさせるSPOOKY TOOTHの秀逸なカヴァー「BETTER BY YOU, BETTER THAN ME」、次々に繰り出されるギター・リフがかっこよいタイトル・チューン「STAINED CLASS」、シンコペーションの利いた軽快なドラミングを聴かせる「INVADER」、ブリティッシュな薫り漂うヘヴィ・チューン「SAINTS IN HELL」、ロブがPRIEST史上屈指のハイ・トーンを聴かせる「SAVAGE」、あまりにも不気味なギター・リフを持った「HEROES END」といった曲も素晴らしい。 よりモダンになったバンドのロゴ・マークや近未来的なアルバム・ジャケットも秀逸である。 リマスター盤のボーナス・トラックには重厚な美しさを持つ「FIRE BURNS BELOW」とライヴ版「BETTER BY YOU, BETTER THAN ME」が追加されている。
'79年2月の2度目の来日公演の模様を収録した同年発表のライヴ・アルバム。 本作よりプロデュースをトム・アロムが手がけている。 当初、「PRIEST IN THE EAST」のタイトルで日本のみでリリースされる予定であったが、その出来の良さからワールド・ワイドでのリリースとなり、DEEP PURPLEの「LIVE IN JAPAN」やSCORPIONSの「TOKYO TAPES」等と並ぶ来日ライヴ・アルバムの代表作となった。 実際にはロブがホテルの空調で喉を傷めて本調子ではなかったため、後にヴォーカル・パートを差し替えているのだが、ライブの臨場感は全く損なわれていない。 各曲ともスタジオ版をはるかに凌駕する破壊力と疾走感を伴ったパフォーマンスで、これを聴いたら二度とスタジオ版を聴く気がしなくなってしまうほど(聴くけどね)。 あまりにもアグレッシヴでハイ・テンションな「EXCITER」を是非とも多くの人に堪能してもらいたい。 初期の彼らのベスト・アルバムとしての意味合いも持っているので初心者にもうってつけ。 ファンならずともマスト・バイな必聴盤である。
衝撃のデビュー・アルバムから1年も経たずに発表された'74年発表の2nd。 邦題は「地獄の叫び」。 正にKISSらしいギター・サウンドの大抑でキャッチーな「GOT TO CHOOSE」、迫り来るようなリフがヘヴィな「PARASITE」、物悲しげで哀愁あるメロディが秀逸な「GOIN' BLIND」、勇ましいコーラスを叫びたくなる「HOTTER THAN HELL」、ノリノリの名ロックン・ロール・ナンバー「LET ME GO, ROCK 'N' ROLL」、一緒に歌いたくなるほどにキャッチーな「ALL THE WAY」、破壊力に満ちたサビの「WATCHIN' YOU」、エースのしわがれた歌唱による唄メロが心地よい「MAINLINE」、ヘヴィかつキャッチーな「COMIN' HOME」、引きずるようなヘヴィなリフで始まるオープニングがかっこいい「STRANGE WAYS」と、ミディアム・テンポの曲が数多いこともあり、一般的には地味なアルバムと評価されているものの、キャッチーなメロディと重厚なサウンドが同居した楽曲の出来はなかなか。
ジーン・シモンズ(Vo,B)、ポール・スタンレー(Vo,G)、エース・フレイリー(Vo,G)、ピーター・クリス(Vo,Dr)の4人で結成されたKISSの'74年発表のデビュー・アルバム。 邦題は「地獄からの使者~KISSファースト」。 明るくテンポのよい代表曲「STRUTTER」、サビがポップでキャッチーな「NOTHIN' TO LOSE」、ジーンのライヴにおける火吹きパフォーマンスでおなじみの「FIREHOUSE」、ヘヴィなギター・リフが印象的な「COLD GIN」、これまたキャッチーな唄メロが魅力の「LET ME KNOW」、コーラスを一緒に口ずさみたくなる「KISSIN' TIME」、ヘヴィかつダイナミックな名曲「DEUCE」、ユニゾンで奏でられるギターが印象的なインスト曲「LOVE THEME FROM KISS」、うねるようなベースのイントロがかっこよくハードな「100,000 YEARS」、KISS史上最もメロウかつドラマティックな「BLACK DIAMOND」と、メンバーのド派手な衣装とメイクによる話題性もさることながらキャッチーな唄メロに重点を置いた楽曲の出来も申し分なく、デビューアルバムにして名盤と呼ぶにふさわしい作品となっている。
アルバム・タイトル等から「ついにメイクをとる」との噂も出回った'80年発表作品。 このころのバンドの人気は下り気味で、この作品も商業的にも成功したとは言い難い。 リンゴ・スター等との共作で有名なヴィニ・ポンシアをプロデューサーに起用するなど、結果的には話題が先行した感の強いアルバムだ。 本作は非常にポップであるが、ポップといっても清涼感溢れる爽やかな音が特徴的で、きらびやかで清涼感溢れる名曲「SHANDI」を筆頭に、キャッチーな歌メロの「IS THAT YOU?」、エースの歌う単純明快なロック・チューン「TALK TO ME」、ハード・ボイルドな「NAKED CITY」、サビで疾走する展開がかっこいい「WHAT MAKES THE WORLD GO 'ROUND」、哀愁を伴ったポップなメロディが美しい「TOMORROW」、終盤のインスト部分がかっこいい「TWO SIDES OF THE COIN」、ポップなキーボードの使い方がいかにも'80年代的な「SHE'S SO EUROPEAN」、前作の香りを残すダンサンブルな「EASY AS IT SEEMS」、ヘヴィなリフの「TORPEDO GIRL」、サビのコーラスがゴージャスな「YOU'RE ALL THAT I WANT」と、楽曲自体は決して悪くないものの、「ALIVE!」の生々しさに興奮を覚えた身としては、このお上品な味付けに物足りなさを感じるのも事実。 ちなみに本作でドラムを叩いているのはセッション・ドラマーのアントン・フィグで、ピーター・クリスは本作発表後に脱退してしまった。