正にAMBER MICHAELSさんの言うとおりですね。 アルバム「MOTLEY CRUE」と同年の'94年発表のミニ・アルバム。 トミーによる、インダストリアル・サウンドにラップを乗せた「PLANET BOOM」、ミックによる、ブルージーで味わい深い「BITTERSUITE」、ニッキーによる、破壊的なサウンドの「FATHER」、ジョンによる、もろにBEATLESな「FRIENDS」、4人のペンによる、ファンキーな「BABYKILLS」のほか、日本版には、ムーディなジョンの歌唱が印象的な「10,000 MILES AWAY」、テクノ調にアレンジされた「HOOLIGAN'S HOLIDAY」、生音っぽいサウンドがかえってヘヴィな「HAMMERED」のデモ、ヴィンスに歌わせてみたい未発表曲「LIVIN' IN THE NO」が収録。 ミニ・アルバムといっても殆どが新曲なので、ファンにとっては貴重な1枚。
メジャー・レーベルをドロップした背景もあってか、バンドの「自分達のやりたいようにやる!」といったような、ヤケクソ的な勢いに満ちた'94年発表作。 特に「ON YOUR FEET OR ON YOUR KNEES」、「BURNER」、「DEATH OR GLORY」の冒頭からの疾走曲3連発は見事で、その3曲ともタイプの違った疾走感を持っているのだから凄いとしか言いようがない。 それ以降のミディアム・テンポの楽曲を中心としたナンバーもフックがきいており、刻まれるリフが耳に心地よい「I AM THE SWORD」、歌メロのキャッチーな「BORN TO RAISE HELL」、男の挽歌のような渋みを持つ「DON'T LET DADDY KISS ME」、エレクトリック・ピアノも飛び出すロックン・ロール曲「BAD WOMAN」、ダークなリフの「LIAR」、コーラスがかった歌メロがメロディアスな「WE BRING THE SHAKE」、曲のエンディングが感動的な「DEVILS」等、飽きさせることはない。 90年代においてもMOTORHEADは健在であるということを強烈にアピールする素晴らしいアルバムである!
名手ジョニー・ウリーン率いるスウェーデン出身のバンドによる'94年発表のデビュー・アルバム。 はっきり言って「インギーのパクリ?」と呼びたくなるような曲もいくつかあるが、北欧バンドに連想される叙情性と哀愁に満ちた好曲が並ぶ。 HELLWEENのようなポップなメロディの「DESTINY」,クラシック曲をモチーフにしたようなギター・ソロが圧巻の「EVERYTHING」、歌メロがキャッチーな本国でのリーダー・トラック「HANG HIM HIGH」、ドラマティックで叙情性に満ちた「WAY OF LOVE」、明るくメロディアスなサビのハード・ドライヴィング・ナンバー「DANCE FOREVER」が特にお気に入り。 ギター・ソロは全編聴き所アリ。
レコード会社をElectraに移籍後の'80年に発表された幻の名盤との呼び声も高い2nd(邦題は「果てしなき冒険」)。 プロデュースはQUEEN等のエンジニアを手掛けたマイク・ストーンとジョン・ファノン(Vo,G)自身が担当。 バンドの特徴とも言える透明感のある哀愁メロディは本作においても健在で、天を翔るかのごとき極上メロディを有する「LIVIN'IN THE EIGHTIES」や重厚なコーラスが美しくキャッチーな「CONVERSATION」は、ポップでありつつも決して売れ線とはならない珠玉の名曲。 透明感あるメロディが美しくドラマティックなタイトル曲「EXPLORER SUITE」は本作のハイ・ライト・チューンであるし、終盤のキーボードとギターのプレイが圧巻の「HOPE」も素晴らしい。 その他、アルバムの冒頭を飾るスペーシーな「HONEY MONEY」、きらびやかなキーボード・リフの「IT'S NEVER TOO LATE」、クラシカルなサウンドの疾走チューン「SEAL IT WITH A KISS」、ポップな中にも哀愁を感じさせる「HEY YOU'RE ON THE RUN」、メロディに温かみのあるバラード「NO PLACE TO GO」、ギターのハーモニーが絶品の「SEARCHIN'」、透き通るような美しさの「YOU'LL BE BORN AGAIN」と、捨て曲は一切見あたらない。 幻想的なアート・ワークも秀逸。
スウェーデン出身のメロディック・パワー・メタル・バンドによる、'97年に日本先行発売された2nd。 ジャーマン・メタルのような牧歌的メロディと北欧バンド特有のクラシカルなサウンドが我々日本人のツボを大いに刺激し、ここ日本ではたちまちに話題となった。 ヴォーカルが若干不安定であるなど技術には未熟な点も目立つし、音楽性もHELLOWEENのフォロワーの域を抜きんでるまでには至っていないが、正統的なメロディアス疾走チューンの「LOST IN TIME」、HELLOWEENのようなコミカルなメロディの「CHANGE THE WORLD」、アンダース・ザックリソンの伸びやかな歌声が秀逸な「THE VISION」、イングヴェイの「FOREVER IS A LONG TIME」のような「PENTAGRAM」、パッヘルベルのカノンをモチーフにしたメロディアス・パワー・メタルの名曲「RING OF STEEL」は特にお勧めのナンバーだ。 良質な楽曲群に比べて音質がチープなのが残念であり、いっそ良質のサウンド・プロダクションの下にアルバム全体をリメイクした形で聴いてみたい気もする。 海外版はアルバム・カヴァーと曲順が変更されており、日本版ではボーナス・トラック扱いだった2曲が本編収録されている。
前作「DOWN TO EARTH」発表後、TV番組「THE OSBOURNES」のヒットによりすっかりお茶の間の人気者と化した闇の帝王オジー・オズボーンが、スタジオアルバムとしては約6年振りに世に放った'07年発表の9th。 メンバーは、ザック・ワイルド(G)、マイク・ボーディン(Dr)のほか、METALLICAに加入したロバート・トゥルージロに変わり、ROB ZOMBIEのバンドにいたブラスコ(B)が参加(ツアーには一時、METALLICAを脱退したジェイソン・ニューステッドを参加させていた)。 プロデューサーには「UNDER COVER」にエンジニアとして参加していたケヴィン・チャーコを起用。 前作では作曲に関わることのなかったザックが、本作ではプロデューサーのケヴィンとともに作曲にほぼ全面的に参加。 その結果、ザックならではの魅惑的でパワフルなギター・リフの詰まった好作品に仕上がった。 現代版BLACK SABBATHのようなパワフルなギター・リフを持ったヘヴィ・チューン「NOT GOING AWAY」、まるでROB ZOMBIEのようなグルーヴ感を持つリーダー・トラックの「I DON'T WANNA STOP」、中近東風のメロディを導入し、オリエンタルな雰囲気を醸し出すことに成功した新機軸のタイトル・チューン「BLACK RAIN」の冒頭3曲は特に強烈。 愁いを帯びたバラード「LAY YOUR WORLD ON ME」、終始ハイ・テンションで突き進む「11 SILVER」、FAITH NO MOREにも似た曲調の「CIVILIZE THE UNIVERSE」、オジーお得意の甘いメロディを備えたバラード「HERE FOR YOU」、ザックの破壊力に満ちたギター・リフがかっこいい「COUNTDOWN'S BEGUN」も素晴らしい。 個人的には、ブラスコによるベース・ラインが印象的な「THE ALMIGHTY DOLLAR」とオジーの魅惑的な歌メロを中心とした「TRAP DOOR」といったザックが作曲に関わっていないモダンで実験的な曲よりも、緻密に刻まれるギター・リフの「I CAN'T SAVE YOU」やピアノをバックにした美しいメロディの「NIGHTMARE」といった伝統的ヘヴィ・メタルの薫りのする2曲の日本盤ボーナス・トラックを本編に収録して欲しい気はする。 いずれにしろ、KISSと同様、強力な最新作を出さずともツアーを行えるほどに存在が神格化したオジーがこのような充実作品を発表してくれたことに敬意を表したい。