ドイツのバンドによる'90年発表のデビュー・アルバム。 ヴォーカルは現HELLOWEENのアンディ・デリス。 ドイツのバンドと言って想像されるような臭みのあるメロディではなく、愁いを含んだメロディが身上のハード・ロックをやっており、より洗練されて完成度の高くなった2ndには劣るものの、この1stもなかなかの出来栄えである。 アンディ・デリスの歌唱は未熟な点も目立つものの、独特の哀愁感ある歌唱は既に健在だし、バックの演奏陣のテクニックも十分素晴らしい。 サビでアンディの哀愁節が炸裂するメタリックな「TAKE THOSE TEARS」、疾走感みなぎるハード・ロック・ソング「ROLLING DOWN A THUNDER」、アンディの哀愁ある歌唱が美しい「ONE STEP INTO PARADISE」、物悲しくメロディアスな「CLOSE YOUR EYES」、アルバムのハイライトといっていい名曲「I ONLY WANNA BE FOR YOU」等、良曲揃いなので、アンディ時代のHELLOWEENファンは必聴!
前作「THE MOMENTARY LAPSE OF REASON(鬱)」は、奇才ロジャー・ウォーターズが脱退したこともあってか批判も多かった。 約7年ぶりとなる'94年発表の本作は、身を委ねたくなるような美しいサウンドが全体を覆い尽くしているという印象だ。 美しいピアノの「CLUSTER ONE」に始まり、威厳に満ちたサウンドの「WHAT DO YOU WANT FROM ME」、ギルモアの歌声が優しく包む「POLES APART」、流麗なギター・ソロが聴けるインスト「MAROONED」、天から一筋の光が差すような美しいメロディの「A GREAT DAY FOR FREEDOM」、まるでU2のような「TAKE IT BACK」、80年代ポップのような「COMING BACK TO LIFE」、絶望的な哀愁に満ちた「HIGH HOPES」等、PINK FLOYDの名に恥じない聴き応え十分の作品である。 全米・全英№1は伊達じゃない!
オジーの「NO REST FOR THE WICKED」アルバムがザックのリフ・メイカーとしての才能がいかんなく発揮されたアルバムであっただけに、当初はカッコイイリフの沢山詰まったヘヴィ・メタルを期待していた。 しかし実際はALLMAN BROTHERS BANDとBLACK SABBATHを足して2で割ったような、ヘヴィで骨太なサザン・ロックといった感じで少々面食らったが、これはこれで悪くない。 アメリカの田舎の酒場で聴きたくなるようなカントリー調の「LOSIN YOUR MIND」、ザックのリフ・メイカーとしての才能がいかんなく発揮された「HORSE CALLED WAR」、ギター・ソロが美しい「HARVESTER OF PAIN」、ヘヴィなリフと渋い歌唱が魅力の「THE CHOSEN ONE」、ヘーイ!とのザックの叫びが勇ましく後半部のジャムも秀逸の「TOEN THE LINE」はお気に入り。 ピアノをバックに歌う「FADIN' AWAY」も美しい。
ニッキーとシスター・メアリー,ドクターXとのストーリーを歌詞にした歴史的名コンセプト・アルバム「OPERATION:MINDCRIME」の発表から18年の歳月を経た'06年に発表された続編。 プロデューサーはジェイソン・スレイター。 少々きつい言い方になるが、個人的には近年の彼らが良質の作品を残しているとは思えなかったので、この続編を作ることが過去の栄光に泥を塗ることになるのではないかとの不安があった。 しかし、結果的には続編という名に恥じない完成度を誇る作品に仕上がった。 本作のストーリーは前作において逮捕され過去の記憶を取り戻したニッキーが出所してくる場面から始まる。 物語の始まりを予感させ、聴く者の高揚感を高ぶらせるイントロ「FREIHEIT OUVERTURE」、「CONVICT」からストレートな疾走チューン「I'M AMERICAN」への流れはなかなか感動的。 サビのメロディが風変わりな「ONE FOOT IN HELL」、ジェフの伸びやかな歌唱が素晴らしい「HOSTAGE」、名盤「EMPIRE」時代のサウンドを想起させるリーダー・トラック「THE HANDS」の3曲は、コンパクトながらも多くのファンが彼らに望むであろうスタイルの好曲。 バック・コーラスとの掛け合いが印象的な「SPEED OF LIGHT」、スリリングな疾走感を伴う「SIGNS SAY GO」、ストリングスのサウンドがシンフォニックに彩る「RE-ARRANGE YOU」と続き、御大ロニー・ジェイムズ・ディオとの夢の共演を果たした「THE CHASE」と曲の中で目まぐるしく展開が変わる「MURDERER?」は本作のハイライト。 ダウナーな気分にさせる「CIRCLES」、聖歌的なパートも美しい「IF I COULD CHANGE IT ALL」、ヘヴィでありつつもメロディアスな「AN INTENTIONAL CONFRONTATION」、静と動とが同居したサウンドを聴かせる「A JUNKIE'S BLUES」、「カモン!カモン!」とのコーラスがキャッチーな「FEAR CITY SLIDE」、パメラ・ムーアとの美しいデュエットを聴かせる「ALL THE PROMISES」でエンディングを迎える。 殆どの曲で流麗なギター・ソロが聴けるのも嬉しい。
大英帝国の香りを強烈に発散させるバンドの'90年発表のデビュー・アルバム。 ROLLING STONESやFACESの影響をモロに感じさせるが,それはあくまでもプラスに作用している。 ブラス、ストリングス、女性コーラスのアレンジも絶妙。 そして何よりも、明らかにロッド・スチュワートの影響を受けたと思われるスパイクのソウルフルな歌唱が素晴らしい! ホンキー・トンク調の「7 O'CLOCK」、軽快なギター・リフと女性コーラスがゴージャスな「MAN ON THE LOOSE」、ルーズな曲調がとても渋い「WHIPPIN' BOY」、ノリノリのパーティ・ソング「SEX PARTY」、共に口ずさみたくなるメロディの「SWEET MARY ANN」、正に歌で聴かせる感動的なバラード「I DON'T LOVE YOU ANYMORE」、スライド・ギターがいかした「HEY YOU」、イントロがとても印象的な「LONG TIME COMIN'」、牧歌的な曲調の「THERE SHE GOES AGAIN」、切なく物悲しいメロディの名曲「TAKE ME HOME」等、文句無しのブリティッシュ・ロックの名盤!