今後のSAVATAGEの路線を決定付けた'90年発表のドラマティックな名盤。 このアルバムの売りはなんと言っても美しくドラマティックな超名曲「GUTTER BALLET」だろう。 個人的はこの1曲だけでアルバムを買っても損はしないが、風変わりなベース・リフの「OF RAGE AND WAR」、ジョンの慟哭のような歌唱が胸を締め付ける「WHEN THE CROWDS ARE GONE」、美しいギター・インストの小作品「SILK AND STEEL」、アグレッシヴな疾走曲「SHE'S IN LOVE」、壮大でドラマティックに展開する「HOUNDS」、劇的なオープニングの正統派ナンバー「THE UNHOLY」、心の琴線に触れるような感動的なバラード「SUMMER'S RAIN」等も捨て難く、いわゆる捨て曲というものは見当たらない。 クリス・オリヴァの官能的なギター・プレイも堪能して欲しい。
前作「WHEELS OF STEEL」から僅かな製作期間で発表された'80年発表の3rd。 そのせいか、楽曲のインパクトは前作に比べて若干劣る気はするものの、ヘッド・バンガーズ・アンセムたる「HEAVY METAL THUNDER」を始め、メロディアスな疾走曲「TO HELL AND BACK AGAIN」、コーラスを共に叫びたくなるタイトル曲「STRONG ARM OF THE LAW」、轟音のようなイントロの「TAKING YOUR CHANCES」、フックのきいたギター・リフの「20,000 FT」、イントロのギター・メロディが秀逸な「HUNGRY YEARS」、メロディに爽快感さえ感じさせる「SIXTH FORM GIRLS」、幾重にも重ねられていくギター・リフが圧巻の「DALLAS 1 PM」といった名曲・佳曲が収録された充実作であることは間違いない。 リマスター盤には「20,000 FT」、「DALLAS 1 PM」、「HUNGRY YEARS」、「STRONG ARM OF THE LAW」、「HEAVY METAL THUNDER」の'81年のライヴ・ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されている。
全英チャート5位を記録したバンドの代表作でもある'80年発表の2nd(邦題は「暴走ドライヴィン」)。 ここ日本では本作にてデビューを飾った。 メインとなるのはMOTORHEADのような痛快な激走ロックであるが、ビフの上ずり気味の歌メロを中心としたメロディアスな一面も聴き逃せない。 バイカーズ・アンセムともいうべき超名曲「MOTORCYCLE MAN」を筆頭に、ギター・リフがメロディアスな「STAND UP AND BE COUNTED」、繰り返されるヘヴィ・リフがかっこいい「FREEWAY MAD」、ブギー調のロックン・チューン「STREET FIGHTING GANG」、爆音の塊のような「MACHIN GUN」といった彼等お得意の疾走曲はもちろんのこと、ブリティシュ・ヘヴィ・メタルらしい哀愁に満ちた「747(STRANGER IN THE NIGHT)」、ライブでは大合唱となる縦ノリ・ナンバー「WHEELS OF STEEL」、メロディアスな疾走パートからグルーヴ感のあるヘヴィ・パートへのな展開が秀逸な「SEE THE LIGHT SHINING」、歌メロがキャッチーな「SUZIE HOLD ON」といった曲も素晴らしく、捨て曲は一切なしのNWOBHMを代表する名盤である。 リマスター盤にはボーナス・トラックとして「WHEELS OF STEEL」の7インチヴァージョンとライヴ、「JUDGEMENT DAY」、「SEE THE LIGHT SHINING」、「747 (STRANGERS IN THE NIGHT)」、「STALLIONS OF THE HIGHWAY」を収録。
マイケル・シェンカーの参加したことで話題性十分であった前作「LOVE DRIVE」と大ヒットを記録した次作「BLACKOUT」の間に発表されたにもかかわらず、イマイチ評価の低い'80年発表作品(邦題は「電獣」)。 決して楽曲が悪いわけではなく、彼らならではの官能的なメロディを聴かせる「MAKE IT REAL」、ガッツ溢れるギター・リフの疾走曲「DON'T MAKE NO PROMISES (YOUR BODY CAN'T KEEP)」、優しげで爽やかなバラード「LADY STARLIGHT」、イントロのギター・リフの迫力にノック・アウト必至のライヴでの定番曲「THE ZOO」といった曲はヘヴィ・ローテーションになり得るし、クラウスの高音シャウトが凄い「HOLD ME TIGHT」、ギラギラしたサウンドが異彩を放つ「TWENTIETH CENTURY MAN」、サビのメロディがキャッチーな「FALLING IN LOVE」、ダークな曲調から一変するサビのメロディが美しい「ONLY A MAN」、気だるく憂鬱な気分を音にしたかのような「ANIMAL MAGNETISM」も悪くない。 確かに突出した曲はないかも知れないが、これほどの楽曲を揃えながらも高評価を得られないことに彼らに求められているハードルの高さを痛感させられる。 アルバム・ジャケットはやっぱり発禁。
DAMN YANKEESの活動停止後、同バンドのメンバーだったトミー・ショウ(Vo,G)とジャック・ブレイズ(Vo,B)の2人のプロジェクトにより'95年に発表された作品。 ドラマーにやはり元DAMN YANKEESのマイケル・カーテロンと元JOURNEYのスティーヴ・スミスが参加。 アコースティック・ギターを基調としたサウンドが全編を覆っており、CREAMの「SUNSHINE OF YOUR LOVE」のリフを拝借したような「MY HALLUCINATION」、爽やかなコーラス・ワークが美しい「I ALWAYS BE WITH YOU」、AEROSMITHがカヴァーしたら見事にはまりそうな「COME TO BE MY FRIEND」、優しげで温かみのあるバラード「DON'T TALK TO ME ANYMORE」、EAGLESを髣髴させる「I STUMBLE IN」、甘く切ないメロディを持った「I CAN'T LIVE WITHOUT YOU」等、AEROSMITH、ALICE COOPER、VINCE NEILといった大物に楽曲を提供している作曲チームだけあってどれも楽曲の質が高く、まるで「余計な装飾がなくともいい曲はいい」と主張しているようである。 まあ、悪く言ってしまえば提供楽曲サンプル集のようにも聞こえてしまうのだが。
前作発表後、2代目ドラマーとして長年バンドの屋台骨を支えてきたポール・ボスタフが脱退(後にEXODUSに加入)、オリジナル・メンバーであったデイヴ・ロンバードを呼び戻し、前作から約5年の歳月を経た'06年に発表された9th。 プロデューサーはジョシュ・エイブラハム。 ハード・コア色の強かった前作から一転し、本来のスラッシュ色を再び取り戻した感のある作風となっており、デイヴ在籍時最後のスタジオ作品であった「SEASONS IN THE ABYSS」を想起させる場面も。 冒頭の「FLESH STORM」は「WAR ENSEMBLE」と「BLOOD RED」を合体したような強烈なナンバーで、トリッキーなイントロで始まる「JIHAD」、邪悪なリフのファスト・チューン「CONSFEARACY」、ドリルのような鋭いギター・サウンドの「SUPERMIST」といったオールド・スラッシュ・チューンや強烈無比なドラミングとギター・リフを持ったリーダー・トラック「CULT」といったナンバーも聴き逃せない。 その他のハードコアな「CATALYST」、ザクザク刻まれるリフが印象的な「SKELETON CHRIST」、グラミー賞のメタル部門にもノミネートされたダークかつグルーヴィーな「EYES OF THE INSANE」、引き摺るようにヘヴィなリフの「CATATONIC」、うねるようなヘヴィ・リフの「BLACK SERENADE」といった曲も悪くない。 常に変化のない姿を見せてきたように感じられたSLAYERであったが、「本来の姿で帰ってきた」という不思議な感覚に陥れられた。 邪悪に満ちたアルバム・ジャケットも強烈。 個人的には'06年の一押しアルバムである。
名曲「THE HANDS OF TIME」が話題となった前作に続く3rd。 本作にもメロスピ・ファンであれば泣いて喜びそうな「CHASING SHADOW」、「HOLD ON TO YOUR DREAM」、「WE ARE THE FUTURE」、「SHATTERED」といったメロディアスな疾走曲が収録されているほか、透明感あるサビのメロディが美しい「EYES OF THE WORLD」、曲のタイトルに相応しい悲哀感あるバラード「TEARS OF ICE」、トリッキーなイントロが印象的な「DREAMSPACE」、ポップで壮大なキーボード・リフの「WINGS OF TOMORROW」等のミディアム&スロー・テンポの曲もなかなかの出来栄え。 ただし、やはりティモ・トルキ自身のヴォーカルが弱いこと、歌メロに頼りすぎてバックの演奏が単調であることが個人的には気になる。
名手マイケル・ロメオ率いるバンドによる'94年発表のデビュー・アルバム。 クラシカルな曲調やギター・プレイはイングヴェイの、リフの組立やプログレッシブな構成はDREAM THEATERの、オペラチックな曲展開はQUEENの影響を感じさせ、ときには聴いたことがあるようなメロディも登場するが、1stということを考えれば上出来だと思う。 「THE RAGING SEASON」などの高音を必要とされる曲では線の細さが若干気になるヴォーカルも他の曲ではなかなかの力強さを感じさせてくれる。 様式美ファン必聴の「MASQUERADE」、プログレッシブな展開が圧巻の「ABSINTHE AND RUE」、メロディアスで美しいバラード「SHADES OF GREY」、疾走感に満ちた「TAUNTING THE NOTORIOUS」、キャッチーな歌メロが印象的な「RAPTURE OR PAIN」等は特にオススメ。