'94年発表の4thスタジオ・アルバム。 時代に迎合してダーク&ヘヴィになったと揶揄された本作であるが、劇的な変化というほどではなく、時代に合ったサウンドを自然に取り込んだという感じ。 哀愁を感じさせるギターと歌メロの「THE GATE / INVITED」、終盤のツイン・ギターがドラマティックな「SHINE AWAY」、ほのぼのとした「SHE WANT SHE WANT」、TESLAらしさに満ちたキャッチーなリーダー・トラック「NEED YOUR LOVIN'」、単調ながら魅力的なリフの「ACTION TALKS」、ヘヴィ・メタルのような「CRY」、メロディが懐かしさを感じさせる「ALOT TO LOSE」、ダークな始まりからドラマティックに展開する「RUBBERBAND」、アコースティック・ギターの優しげな音色が美しい「WONDERFUL WORLD」、ジョー・サウスの有名曲のカヴァー「GAMES PEOPLE PLAY」といった曲が特に気に入っているが、曲数が多いのに対し速い曲があまり無いのが不満と言えば不満。
暴力的な臭いを発散させるデビュー・アルバム。 アルバムを発表していくにつれてタイトになっていく演奏・楽曲・サウンドも、このころはヤケクソなほど勢いに満ちている。 土砂崩れのように迫るサウンドが心地よい「OVER THE WALL」、風変わりで恐怖感のあるリフの「THE HAUNTING」、メロディアスなギターが聴ける名曲「BURNT OFFERINGS」、怒涛の勢いが圧巻の「RAGING WATERS」や「C.O.T.L.O.D.」、エンジン音のようなギターが鋭い「FIRST STRIKE IS DEADLY」、歌メロがダークで美しい「ALONE IN THE DARK」、美しさと激しさの同居する「APOCALYPTIC CITY」等、殺傷力のあるギター・リフとメロディアスなギター・ソロが絡み合った破壊力抜群の楽曲が揃った、スラッシュ・メタルの名盤である。
一発屋で終わるのか?それとも本物であることを世間に知らしめるのか?といったプレッシャーの下に作られたであろう'05年発表の2nd。 ベースのフランキー・ポーレインが脱退し、リッチー・エドワーズが加入している。 前作がAC/DCやQUEENを彷彿させると言われたこともあってか、プロデューサー候補には前者を手がけたロバート“ジョン"マット・ランジと後者を手がけたロイ・トーマス・ベイカーの名前が挙がっていたが、バンドが選んだのはロイ・トーマス・ベイカーの方であった。 それにより、ジャスティンの歌を中心としたポップでコンパクトな大衆受けのする曲調となり、デビュー・アルバムにあったエネルギーに満ちたギター・サウンドは若干後退した。 前作にあったロウ・パワーが本作では感じられないのが残念。 突出した曲はないものの、AC/DCの「HIGHWAY TO HELL」を彷彿させる「ONE WAY TICKET」、ジャスティンのファルセット・ヴォイスが凄まじい「KNOCKERS」、リフ使いがDEF LEPPARDを彷彿させる「IS IT JUST ME?」、U2のようなイントロのメロディアス・チューン「DINNER LADY ARMS」、ストリングスも美しい感傷的なバラード「SEEMED LIKE A GOOD IDEA AT THE TIME」、アイルランド民謡的なクサメロの「HAZEL EYES」、英国バンドらしい愁いに満ちたメロディが素晴らしい「BALD」、メチャクチャ脳天気で陽気なナンバー「GIRLFRIEND」、エレピ・サウンドやコーラスが軽快な「ENGLISH COUNTRY GARDEN」、QUEENのようなコーラスが美しい「BLIND MAN」と、全てがシングル・カット出来るほどの好曲揃い。 アルバム発表前のライヴでは演奏されたものの、ボツとなったボーナス・トラック「GRIEF HAMMER」も迫力あるバック・コーラスが魅力の好曲。
英国ロック復権を担う超新星バンドによる'03年発表のデビューアルバム。 メンバーはジャスティン・ホーキンス(Vo,G)、ダン・ホーキンス(G)、フランキー・ポーレイン(B)、エド・グラハム(Dr)。 近年の英国ロック界はTHE WiLDHEARTSのような素晴らしいバンドも輩出したが、こちらの方がサウンドは王道的。 キワモノ的な扱いもされるが、どうしてどうして、'70年代ロックを消化した素晴らしいロック・バンドである。 AC/DCを歌うフレディ・マーキュリーとの形容も納得。 正直、ジャスティンの歌唱はフレディと違って上手いんだか下手なんだかよくわからないんだが、はまれば癖になる魅力を持っており、このバンドを他の何者にも代えがたいものにさせる強烈な個性となっている。 THIN LIZZYの影響を大いに受けたと思われるギターも非常にメロディアス。 エネルギッシュな縦ノリロックの「BLACK SHUCK」、ジャスティンのファルセット・ヴォイス全開の疾走チューン「GET YOUR HANDS OFF MY WOMAN」、キャッチーかつメロディアスなコーラスの「GROWING ON ME」、強烈なギター・リフと超個性的な歌唱の必殺曲「I BELIEVE IN A THING CALLED LOVE」、大陸的な壮大さをほこるバラード「LOVE IS ONLY A FEELING」、AC/DC的なリフが最高にノリのよい「GIVIN' UP」、わめき声のようなシャウトが凄まじい「STUCK IN A RUT」、ポップで美しいメロディの「FRIDAY NIGHT」、骨太なヘヴィ・ロック「LOVE ON THE ROCKS WITH NO ICE」、感動的な歌メロのバラード「HOLDING MY OWN」のほか、ボーナス・トラックに熱いブギー・サウンドの「THE BEST OF ME」、近年のAC/DC的なリフの「MAKIN' OUT」を収録。 全英№1も記録した、紛れもなくロックの名盤に新たに加えられるべき作品である!!
'92年発表のデビューEP「MONDO AKIMBO A-GO-GO」に4曲を加え、PANTERA等を手がけたテリー・デイトがミックスして同年に発表されたダブルEP(日本では1枚のアルバムとして発表)。 デビューEPに収録されていた4曲に比べ新曲4曲はリフの殺傷力が落ちているような気がするが、その分メロディやハーモニーの質が向上しており、懐かしさのような哀愁感さえ漂う。 いよいよWiLDHEARTSらしさを感じさせるポップ曲「SPLATTERMANIA」、サビのメロディが哀愁に満ちた「SOMETHING WEIRD (GOING ON IN MY HEAD)」、ライヴにはかかすことのできない大合唱ナンバー「WEEKEND (5 LONG TODAY)」、どこか懐かしささえ感じさせる「DREAMING IN A」を収録。
'93年発表の1stフルレンス・アルバム。 不気味なジャケットに思わず敬遠してしまうが、これは紛れもなくロックの名盤である。 うねるようなリフの「GREETINGS FROM SHITSVILLE」に始まり、爽快感さえ伴うハーモニーが絶妙な「TV TAN」、劇的で疾走感に満ちた「EVERLONE」、ハーモニーがポップで美しい「THE MILES AWAY GIRL」、ギターが激しい、元SPIDER FROM MARS等の故ミック・ロンソン参加の「MY BABY IS A HEADFUCK」、劇音爆走ロック・チューン「SUCKERPUNCH」、リフの応酬が激しい「LOVE U TILL I DON'T」等、これまで発表されたEPでは未熟さも感じられた楽曲も、本作では全てにおいて一緒に歌いたくなるような印象的なものばかり。 ライヴで演奏される曲もこのアルバムからのものが多い。 好きになったら病み付きになる不思議な魅力を持ったバンドである。
QUIREBOYSをクビになったジンジャーが中心となって結成されたバンドによる'92発表のデビューEP。 レコーディング・メンバーはジンジャー(Vo,G)、ダニー(B)、CJ(G)、そして元DOGS D'AMOURのバン・バン(Dr)。 スラッシュのようにヘヴィなリフによる曲展開とメロディアスでときに哀愁さえ感じさせるハーモニーとの融合が絶妙にマッチし、早くもTHE WiLDHEARTS以外の何者でもないサウンドを作りあげており、商業的ヒットを狙ってアメリカに渡る英国ミュージシャンを強烈に皮肉った「TURNING AMERICAN」にこのバンドの精神性が表れている気がする。 ヘヴィさとポップ感覚が同居した「CRYING OVER NOTHING」、イントロのギター・メロディが印象的な初期の名曲「NOTHING EVER CHANGES BUT THE SHOES」、ジワジワと始まってサビで爆発する「LIBERTY CAP」を収録。 EPは4曲入りで、のちにもう4曲を加えミックスを施したダブルEP「DONT BE HAPPY...JUST WORRY」として発表される。
前作「EARTH VS THE WiLDHEARTS」発表後、スティディ(Dr)、CJ(G)が脱退。 後任ドラマーにリッチを加えたものの、ギターの後釜が決まらず(ツアーにはデヴィン・タウンゼントが参加)、3人編成のままでレコーディングされた'95年発表作品。 前作ではややパンク寄りと感じた曲調であるが、本作ではよりメタリックになり、それでいてコーラス・ワークはよりメロディアスになった。 特に冒頭の「I WANNA GO WHERE THE PEOPLE GO」は強烈で、極上のハード・ポップ・ロックに仕上がっている。 ほかにも、ギター・リフが超ヘヴィな「V-DAY」、ポップで哀愁のあるメロディが秀逸な「JUST IN LUST」、イントロのメロディでK.O.必至の「NITA NITRO」、愁いある曲調が魅力の「JONESING FOR JONES」、ハード・ボイルドな疾走曲「WOAH SHIT, YOU GOT THROUGH」、メロディアスかつラウドな「COLD PATOOTIE TANGO」、ヘヴィでポップなワイハの真骨頂「CAPRICE」、コーラスがかかったメロディが美しい「BE MY DRUG」、ジンジャーの歌唱が優しげな「IN LILLY'S GARDEN」、アルバムを締めるにふさわしい必殺ナンバー「GETTING IT」等、好曲が目白押し。 全英最高6位を記録した、紛れもないROCK'N'ROLLの名盤である。