THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNにいたヴィンセント・クレイン(Key、Vo)とカール・パーマー(Dr)が、ニック・グラハム(B、Vo)と結成した3ピース・バンドによる'70年発表のデビュー・アルバム。 メロディアスかつエキサイティングなヴィンセントのオルガンを中心に据えたサウンドはプログレッシヴ・ロック的ですらあり、驚異的な歌唱力を誇るニックと手数の多いテクニカルなドラミングを披露するカールの驚異的なプレイにも目を見張るものがある。 疾走感に満ちたハード・ロッキングなシングル曲「FRIDAY THE THIRTEENTH」や冬の雪景色をそのままサウンドに昇華させたような哀愁漂う「WINTER」といった名曲を始め、ヴィンセントが幻惑的なオルガン・プレイを聴かせる「AND SO TO BED」、ブラスによるオープニングが壮大な「BROKEN WINGS」、ハイ・テンションなインスト・チューン「BEFORE TOMORROW」、オルガンの音色が名曲「A WHITER SHADE OF PALE」を想起させるバラード「BANSTEAD」、ファンキーなギターが印象的な「S.L.Y」、カールが恐ろしく手数の多いドラミングを聴かせる「DECLINE AND FALL」、各楽器が渾然一体となって迫る「PLAY THE GAME」といった楽曲も悪くない。 ニックとカールは、このデビュー・アルバムに参加したのみで脱退(カールはのちにEMARSON,LAKE & PALMAERを結成)してしまう。
本国の米国では'05年に発表されたカリフォルニア州出身の5人組による3rd。 これまではハード・コアなサウンドを奏でるバンドであったが、本作は「ホントに米国のバンドなの?」と耳を疑いたくなるほどメロディアスで、むしろジャーマン・メタルのそれに近い。 サビにおけるメロディが抜群のかっこよさを誇る名曲「BEAST AND THE HARLOT」、イントロのギターがHELLOWEENを髣髴させる「BURN IT DOWN」、ツインで奏でられるギターがかっこいい「BLINDED IN CHAINS」、ロックン・ロール色が強く突進力の凄まじい、リーダー・トラックともなった「BAT COUNTRY」、メロスピ・ファンには涎モノの激走チューン「TRASHED AND SCATTERED」の冒頭からの5連発にはノック・アウト必至! その後は、GUN'Sのスラッシュのようなギター・ソロを聴かせる「SEIZE THE DAY」、オールド・スクール・スラッシュ・メタルのようなギター・リフの「SIDEWINDER」、ギター・フレーズがスリリングな「THE WICKED END」、アルバムのハイ・ライト的な壮大でドラマティックなナンバー「STRENGTH OF THE WORLD」、バック・コーラスとの掛け合いが美しい「BETRAYED」、メロディアスなツイン・リードによるギター・ソロと壮大なクワイアが美しい「M.I.A.」と、ストリングスやシンガロングを導入した壮大な曲が目立つ。 全身タトゥーだらけのバッド・ボーイなメンバーのルックスもクール! 「未来のメタル界を背負って立つのは彼らでは?」と期待させるほどに将来が楽しみなバンドだ。
スウェーデン出身の4人組による'94年発表のデビュー・アルバム。 HANOI ROCKS直系のパンキッシュなハード・ロックを演じており、そのプレイや楽曲からは「GUNS N'ROSESやRAMONESから多大な影響を受けた」という主張がありありと出ている。 デビュー作にしては楽曲もなかなかの完成度を誇っていて、東洋風インスト「SMELL THE MAGIC」から埃っぽい「BAD TO THE BONE」の流れ、アクセル・ローズのような歌唱とスラッシュのようなギターの音色のHANOI風ナンバー「STRANGE KIND OF ATTITUDE」、ブラス・サウンドがイカした「LOVE」、エネルギッシュな「WILD DOG」、パンク・テイスト溢れるシングル曲「ELECTRIC SUZY」、キャッチーな歌メロの「KICKIN' UP DUST」、RAMONES的と言うよりそのままの「FILL UP THIS BAD MACHINE」等、デビュー作にしてなかなかの好曲揃いである。
元オジー・オズボーン・バンドのフィル・スーザン(B)在籍するバンドによる90年発表のアルバム。 マネージメントはかのQプライム、プロデューサーはスティーヴ・トンプソン&マイケル・バービエロ、作曲クレジットにはデスモンド・チャイルドも名を連ねるなど、発売前から成功を約束されたかのような完璧な布陣で発売されたものの、結果的には話題にのぼることすらなかった。 アラビア風なイントロのメロディアスな「NO MORE BROKEN DREAMS」、爽やかでドライブ感に満ちた「BILLY KNOWS BETTER」、渋いバラードの「YOUR LOVE IS VAIN」に「KILL ME」、メロディに哀愁感漂う「ISN'T IT EASY」、コーラスの美しい「BEGGARS & THIEVES」等、曲も悪くは無いが、いかんせん普通のハード・ロックであり、このバンドならではの個性は感じられない。
オジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ビル・ワード(Ds)の4人で結成された、ヘヴィ・メタルの重鎮・ドゥーム・メタルの元祖であるイギリスはバーミンガム出身のバンドによる'70年2月13日の金曜日にVirtigo Recordsから発表されたデビュー作。 プロデューサーはロジャー・ベイン。 ブルーズを限りなくダークかつヘヴィにしたようなインテンス極まりない楽曲、狂気じみたギター、轟音のようなベース、雷鳴のようなドラミング、浮遊感のあるヴォーカルと、そのサウンドはあまりにも個性的。 雨音と雷鳴が鳴り響くイントロから不気味で重苦しいリフが奏でられる代表曲「BLACK SABBATH」を筆頭に,ギター&ベースとユニゾンで奏でられるオジーのハーモニカが魅惑的な「THE WIZARD」、ギター・リフがサイケデリックで浮遊感に満ちた「BEHIND THE WALL OF SLEEP」、一度聴いたら忘れられないほど個性的なギター・リフを持つ「N.I.B」、ブルージーながらも軽快なシングル曲でCROWのカヴァー「EVIL WOMAN(DON'T PLAY YOUR GAMES WITH ME)」、インストのアコギ・サウンドが美しくも不気味な「SLEEPING VILLAGE」、演奏陣のブルーズ・ジャムが圧巻のTHE AYNSLEY DUNBER RETALIATIONのカヴァー「WARNING」、幻惑的な世界に落ちてしまいそうなサウンドの「WICKED WORLD」といった好曲を収録。 数々の名アルバム・ジャケットを手掛けたキーフによるアート・ワークも邪悪な美しさを放っている。
トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、トニー・マーティン(Vo)、ボビー・ロンディネリ(Dr)、ジェフ・ニコルズ(key)による94年発表作品。 ロニー・ジェイムズ・ディオを擁した前作が不発に終わったことから、都合よく呼び戻された感のあるトニー・マーティンであるが、ヘヴィでモダンな曲もごく自然に歌いこなしており、前作でのロニーのようなミスマッチ感覚はない。 モダンなアプローチを見せる「I WITNESS」、まるでDIOのようなドラマティックさを持つ幻想的な名曲「CROSS OF THORNS」、うねるようなリフが魅力の「PSYCHOPHOBIA」、不気味でドゥーミーな「VIRTUAL DEATH」、ヘヴィな幕開けから疾走する展開がかっこいい「IMMACULATE DECEPTION」、静と動の対比が素晴らしい「DYING FOR LOVE」、マーティンの歌唱がアグレッシヴかつ美しい「BACK TO EDEN」、美しいメロディとうねるリフが絡み合う「THE HAND THAT ROCKS THE CRADLE」、美しくも不気味でリフがZEPPELIN的な「CARDINAL SIN」、邪悪な雰囲気の「EVIL EYE」、ボーナス・トラックの正統派ナンバー「WHAT'S THE USE」と楽曲も好曲揃い。
前作「NEVER SAY DIE」発表後に再びオジー・オズボーンが脱退、後任候補にはデヴィッド・カヴァデールやグレン・ヒューズの名も噂に上がったものの、最終的にその座に収まったのはRAINBOWで強靭な歌唱を聴かせたロニー・ジェイムズ・ディオであった。 本作はそのロニーを擁して'80年に発表された作品であるが、実力には折り紙付きのロニーを加入させたことでサウンド・スタイルもその歌唱力を生かしたドラマティックなものへと変化しており、へヴィでダークなBLACK SABBATHサウンドにDIOの中世的な世界観を融合させた良質の化学反応を起こしている。 ドライブ感に満ちたハード・ロック・チューン「NEON KNIGHT」、ディオならではのドラマティックな世界観が広がる「CHILDREN OF THE SEA」、ギーザーのグルーヴ感溢れるベースがかっこいい「LADY EVIL」、美しくドラマティックな曲調とダイナミックな展開を見せる壮大なタイトル曲「HEAVEN AND HELL」、ギター・リフが明るくうねる「WISHING WELL」、スリリングな演奏・勇壮な疾走感・美しいメロディといったヘヴィ・メタルの要素を凝縮した超名曲「DIE YOUNG」、コーラスがキャッチーな「WALK AWAY」、トニーによるヘヴィなギター・リフと美しいギター・ソロが圧巻のバラード「LONLEY IS THE WORD」と、収録曲の全てが名曲と言って差し支えのないHR/HM史に残る超名盤であり、特にここ日本においては、オジー時代のいずれの作品よりも愛されているのではないだろうか。 ロニーの歌唱力だけでなく、各メンバーのプレイも非常に素晴らしい。 プロデューサーはDEEP PURPLEやRAINBOW等を手がけたマーティン・バーチ。 キーボーディストには後々までバンドを支えていくこととなるジェフ・ニコルズが参加している。
ハンズィ・キアシュ(Vo,B)、アンドレ・オルブリッチ(G)、マーカス・ズィーペン(G)、トーマス“トーメン"スタッシュ(Dr)の4人からなるLUCIFER'S HERITAGEを前身とするドイツ出身のバンドによる'88年発表のデビュー・アルバム。 プロデューサーはカレ・トラップ。 音楽性はカイ・ハンセンのいたころのHELLOWEENに近く、疾走感ある演奏にメロディアスなコーラスが乗った良質のパワー・メタルを聴かせてくれてはいるものの、本作ではまだそのフォロワーの域を抜きん出るまでには至っていない。 しかし、ファンタジックなメロディを聴かせる「MAJESTY」や正統派パワー・メタル・チューン「RUN FOR THE NIGHT」といった曲は今でもライヴで演奏されることのある魅力的な曲であるし、迫力のあるコーラスが印象的な「GUARDIAN OF THE BLIND」、 スリリングなインスト「TRIAL BY THE ARCHON」からフックのきいたメロディの「WIZARD'S CROWN」に至る流れ、目まぐるしく展開するヘヴィなタイトル・チューン「BATTALIONS OF FEAR」も悪くない。 クラシックの「新世界」をモチーフにした「BY THE GATES OF MORIA」や、やはりクラシカルなメロディのボーナス・トラック「GANDALF'S REBIRTH」といったインスト・チューンもかっこいい。 バンドの持ち味であるファンタジックなメロディはその片鱗を垣間見せる程度であるが、デビュー作としては十分合格点に達しており、将来性のあるB級バンドとして期待が持てる作品であった。
アルバムのハイライトであるとともに、彼らの曲の中でも最高級に位置する代表曲。 その壮大でドラマティックな曲構成とスリリングなメロディは恐ろしいほどの完成度を誇る。 徹頭徹尾BLIND GUARDIANらしさが刻印された超名曲だ。 「RETURNING OF THE MIRACLES!! IT'S MY OWN REQUIEM!!」
著しい進歩を見せ付けるとともに、バンドのオリジナリティ確率にも成功した'90年発表の3rd。 プロデューサーは前作に引き続きカレ・トラップが担当。 ヒロイック・ファンタジーからの影響が顕著なメロディをスピーディーに聴かせるスタイルはこれまでと同様であるが、本作ではメロディの質が格段に向上し、どの曲でもシンガロング・パート満載の好盤に仕上がった。 中世ファンタジー的なギター・メロディと勇壮なコーラスを聴かせる名曲「TRAVELER IN TIME」、爆発力のあるコーラスが壮大な「WELCOME TO DYING」、スリリングなギターを聴かせるインスト曲「WEIRD DREAMS」、有名小説「指輪物語」を題材にした美しいバラード「LORD OF THE RINGS」、迫力あるバック・コーラスを聴かせる「GOODBYE MY FRIEND」、アルバムの中でも1,2を争うメロディアスなコーラスを聴かせる「LOST IN THE TWILIGHT HALL」、ギター・メロディが風変わりな「TOMMYKNOCKERS」、ハンズィが美しい歌唱を聴かせる異色曲「ALTAIR 4」、「GUARDIAN OF THE BLIND!」のコーラスを始めとする歌メロが抜群に格好いい「THE LAST CANDLE」と、収録曲の全てが格好よく、個人的には彼らの中で一番好きな作品が本作である。 元HELLOWEEN~GAMMA RAYのカイ・ハンセンがヴォーカルとギターでゲスト参加。 ボーナス・トラックとして1st収録の「RUN FOR THE NIGHT」のライヴ・ヴァージョンを収録。
'93年の来日公演を収録したライブ・アルバム。 メンバーはジョン・サイクス(Vo,G)を始め、マルコ・メンドーサ(B)、トミー・オスティーン(ds)、ニック・グリーン(Key)。 結構、厳しい意見も出ているが、個人的にはジョン・サイクスという人間にあまり思い入れがないものの、彼がこれまでに参加したバンドやソロからのベスト選曲的な内容は十分に楽しめる(さすがにTIGERS OF PAN TANGの曲は演っていないが)。 インプロヴィゼーション溢れる演奏もスタジオ盤を凌駕しており、ライヴでろくにアルバムの音を再現できないバンドには爪の垢を煎じて飲ませたいほど。 終盤のジャム・セッションが秀逸な「RIOT」、コーラス・ワークの再現もバッチリの「CRY FOR LOVE」、THIN LIZZYの超名曲「COLD SWEAT」、マルコのベース・プレイが素晴らしい「BILLY」、ジョンの歌唱が素晴らしい「SAVE MY LOVE」、軽快なテンポが心地よい「JELLY ROLL」、ライヴでも勢いを失わない「WE ALL FALL DOWN」、現代に蘇る感動的な名曲「PLEASE DON'T LEAVE ME」、歓声が凄まじい白蛇の超名曲「STILL OF THE NIGHT」、最後はフィル・ライノットに捧げる「DANCIN' IN THE MOONLIGHT」。 完全収録で聴いてみたいと思わせる素晴らしい内容だ。
バンドの20周年記念として'04に発売された未発表曲収録のCD4枚(日本版は更にこれまでに発表されたボーナス・トラック等を収録した1枚が追加)とインタヴュー映像等を収録したDVD1枚からなる豪華なボックス・セット。 これまでのアルバムに収録されなかったのが不思議なほどの好曲や、今となっては決して作られないであろう曲調の曲等、ファンならば大金をはたいて購入しても損はしないであろう充実した内容となっている。 まずCD1であるが、ノリのよいロックン・ロール・チューン「WHY AREN'T YOU DEAD?」、名曲「BLOOD ON BLOOD」を彷彿させる、これまでアルバムに収録されずに埋もれていたのが不思議なほどの秀作「THE RADIO SAVED MY LIFE TONIGHT」、「TOKYO ROAD」の焼き直しのようなハード・ナンバー「TAKE IT BACK」、オリジナルよりもメロディアスな「SOMEDAY I'LL BE SATURDAY NIGHT(DEMO)」、リッチーとのコーラス・ワークが美しい「MISS FOURTH OF JULY」、哀愁あるサビがとてもキャッチーな好曲「OPEN ALL NIGHT」、ジョンの優しげな歌が印象的な「THESE ARMS ARE OPEN ALL NIGHT」、「CRUSH」以降のアルバムに収録されていても違和感のない「I GET A RUSH」、ほのぼのとした曲調の「SOMEDAY JUST MIGHT BE TONIGHT」、まるでSTINGのような「THIEF OF HEARTS」、「HAVE A NICE DAY」収録のハード・ロック・ヴァージョンとは趣を異にしたアダルトな雰囲気漂う感動的なバラード「LAST MAN STANDING」、デビッドのキーボードがいい味を出している「I JUST WANT TO BE YOUR MAN」の12曲を収録。 個人的には「THE RADIO SAVED MY LIFE TONIGHT」、「OPEN ALL NIGHT」、「LAST MAN STANDING」の3曲が気に入った。