JUDAS PRIEST、IRON MAIDENといった正統ヘヴィ・メタルの後継者と謳われた独産HMバンドACCEPTの'82年発表の3rd(邦題は「戦慄の掟」)。 エンジニアには後にMOTLEY CRUEやDOKKEN等を手がけるマイケル・ワグナーを迎えている。 正にヘヴィ・メタルを歌うために生まれてきたかのようなウドの強烈無比なカミソリ・ヴォーカルや官能的なメロディを奏でるウルフのギターといったバンドの個性が本格的に発揮されたのもこのころから。 ウドのヒステリックなヴォーカルと魅惑的なツイン・リード・ギターが聴ける「STARLIGHT」、ツー・バス連打が凄まじいヘヴィ・メタルの超名曲「BREAKER」、突進力あるギター・リフとメロディアスなコーラス・ワークの「RUN IF YOU CAN」、ウドが情念に満ちた歌唱を聴かせるドラマティック・バラード「CAN'T STAND THE NIGHT」、迫力あるバック・コーラスと流麗なギター・ソロが圧巻の「SON OF A BITCH」、軽快なACCEPT流ロックン・ロール「BURNING」、ヘヴィなリズムの「FEELINGS」、明るくキャッチーな「MIDNIGHT HIGHWAY」、ウルフの奏でる泣きのギターが美しいピーターが歌うバラード「BREAKING UP AGAIN」、ウドの歌唱が迫力に満ちた「DOWN AND OUT」と、楽曲もすこぶる充実。 個人的には正統ヘヴィ・メタルの教科書のような本作こそがACCEPTの最高傑作。
YARDBIRDSを脱退したジミー・ペイジ(G)が、ロバート・プラント(Vo)、ジョン・ポール・ジョーンズ(B)、ジョン・ボーナム(Dr)らと共にNEW YARDBIRDSを結成、バンド名をLED ZEPPELINに改め、'69年1月に発表したのがデビュー・アルバムにしてロック史に残る超名盤となった本作「Ⅰ」である。 キャッチーなヘヴィ・ロックの名曲「GOOD TIMES BAD TIMES」、ペイジのアコースティック・ギターが大迫力のドラマティック・バラード「BABE I'M GONNA LEAVE YOU」、WILLIE DIXSONのブルーズ・ソングの秀逸なカヴァー「YOU SHOOK ME」、バンドのテクニカルな演奏がせめぎ合う、ヘヴィかつサイケデリックなアルバムのハイライト・チューン「DAZED AND CONFUSED」、ジョンジーのハモンド・オルガンのサウンドが美しい「YOUR TIME IS GONNA COME」、ギター・サウンドがトラディショナルな「BLACK MOUNTAIN SIDE」、前曲からの流れがあまりに見事な、疾走感に満ちたハード・ロックの超名曲「COMMUNICATION BREAKDOWN」、やはりWILLIE DIXSONのブルーズ・ソングの秀逸なカヴァーである「I CAN'T QUIT YOU BABY」、ギター・リフがあまりにもかっこいい大曲「HOW MANY MORE TIMES」と、これだけの好曲揃いでありながらも更なる飛躍を感じさせるところが凄い。 ハイ・トーン・ヴォイスが素晴らしいプラント、印象的なリフを数々生み出すペイジ、テクニカルで安定のあるプレイを聴かせるジョンジー、ドラムをぶったたくような破壊力に満ちたボンゾと、4人の個性と実力のひしめき合いという点においてはあのBEATLESを超越していると言っても過言ではない。
前作までのパワー・メタル路線とはうってかわり、透明感のあるポップなハード・ロックといった趣きの'88年発表の4th。 プロデューサーは、これまでにOZZY OSBOURNE、LIZZY BORDENらを手がけたマックス・ノーマン。 格段にレベル・アップしたヴォーカリストの表現力&バンドの演奏力、魅力的な楽曲群、洗練されたサウンド・プロダクションと、これまでの作品で感じられた青臭さが嘘のような変貌を遂げている。 明らかにEUROPEの「THE FINAL COUNTDOWN」の成功を意識しており、レコード会社に魂を売ったと陰口をたたく者もいるかもしれないが、この完成度の前では愚行だ。 キャッチーなオープニング曲「THE HARDER THEY COME」、ギター・リフがトリッキーな「I'M ON FIRE」、透明感あるメロディのリーダー・トラック「BEAT OF A HEART」、哀愁に満ちたコーラス・ワークの「EYE TO EYE」、物悲しいメロディが胸を締め付ける名バラード「LOVE IS ALL YOU NEED」、軽快なノリの「LIVE IT UP」、ブリッジにおけるコーラス・ワークが美しい「MONEY TALKS」、力強いバック・コーラスの「DANGEROUS」、ポップな甘いバラード「STILL IN LOVE」、疾走感あるメタリックな「DOG EAT DOG」、バック・コーラスとの絡みがいかしたボーナス・トラック「ON THE OTHER SIDE」と、捨て曲なしの好盤。
かつてロビー・ヴァレンタインも在籍していたオランダのバンドによる'94年発表の2nd。 きらびやかなキーボード・サウンドを配したサウンドは北欧バンドならではの透明感と哀愁に満ちていて、なかなか魅力的だ。 ヴォーカリストのピーター・ストライクス(Vo)は、かつてVANDENBERGに在籍していた人物で、彼のパワフルかつ伸びやかな声が清涼感溢れるバンド・サウンドにうまくマッチしている。 キーボード・リフが華やかな「FEEL LOVE」、アルバムのハイ・ライトといっていい高品質の甘いバラード「I STILL BELIEVE IN YOU」、北欧ハード・ポップ・ファンには涎モノの「OVER AND DONE」に「TIME AFTER TIME」、愁いに満ちた珠玉のバラード「MAYBE TOMORROW NEVER COMES」に「CAN'T TALK MY HEART AWAY」等、良質の楽曲群は産業ロック・ファンに強くお勧めする。
かのマイク・ヴァーニーが発掘した名手ラーズ・エリック・マットソンを中心に据えたフィンランドのバンドによる'89年発表作品。 北欧メタルのような透明感のあるサウンドが特徴で、時折、モロにイングヴェイを感じさせる場面もあるものの、嫌いではない。 ラーズのギター・プレイも流麗で素晴らしいの一言。 スペーシーなサウンドと流麗なギターに彩られた名曲「BREAK YOUR CHAINS」、イングヴェイを髣髴させる「LET IT ROCK」、ラーズのバカテクが発揮されたインスト曲「MUJAHEDIN WARRIOR」、パイプ・オルガンのような厳かなイントロが美しい「CAN'T GO ON WITHOUT YOUR LOVE」、アルバム唯一の疾走曲「DEVIL IN YOUR MIRROR」、泣きのギターが聴けるインスト曲「TALES UNTOLD」が個人的にはお気に入り。 ボーナス・トラック2曲の出来も悪くない。
前作「EARTH VS THE WiLDHEARTS」発表後、スティディ(Dr)、CJ(G)が脱退。 後任ドラマーにリッチを加えたものの、ギターの後釜が決まらず(ツアーにはデヴィン・タウンゼントが参加)、3人編成のままでレコーディングされた'95年発表作品。 前作ではややパンク寄りと感じた曲調であるが、本作ではよりメタリックになり、それでいてコーラス・ワークはよりメロディアスになった。 特に冒頭の「I WANNA GO WHERE THE PEOPLE GO」は強烈で、極上のハード・ポップ・ロックに仕上がっている。 ほかにも、ギター・リフが超ヘヴィな「V-DAY」、ポップで哀愁のあるメロディが秀逸な「JUST IN LUST」、イントロのメロディでK.O.必至の「NITA NITRO」、愁いある曲調が魅力の「JONESING FOR JONES」、ハード・ボイルドな疾走曲「WOAH SHIT, YOU GOT THROUGH」、メロディアスかつラウドな「COLD PATOOTIE TANGO」、ヘヴィでポップなワイハの真骨頂「CAPRICE」、コーラスがかかったメロディが美しい「BE MY DRUG」、ジンジャーの歌唱が優しげな「IN LILLY'S GARDEN」、アルバムを締めるにふさわしい必殺ナンバー「GETTING IT」等、好曲が目白押し。 全英最高6位を記録した、紛れもないROCK'N'ROLLの名盤である。