大英帝国の香りを強烈に発散させるバンドの'90年発表のデビュー・アルバム。 ROLLING STONESやFACESの影響をモロに感じさせるが,それはあくまでもプラスに作用している。 ブラス、ストリングス、女性コーラスのアレンジも絶妙。 そして何よりも、明らかにロッド・スチュワートの影響を受けたと思われるスパイクのソウルフルな歌唱が素晴らしい! ホンキー・トンク調の「7 O'CLOCK」、軽快なギター・リフと女性コーラスがゴージャスな「MAN ON THE LOOSE」、ルーズな曲調がとても渋い「WHIPPIN' BOY」、ノリノリのパーティ・ソング「SEX PARTY」、共に口ずさみたくなるメロディの「SWEET MARY ANN」、正に歌で聴かせる感動的なバラード「I DON'T LOVE YOU ANYMORE」、スライド・ギターがいかした「HEY YOU」、イントロがとても印象的な「LONG TIME COMIN'」、牧歌的な曲調の「THERE SHE GOES AGAIN」、切なく物悲しいメロディの名曲「TAKE ME HOME」等、文句無しのブリティッシュ・ロックの名盤!
元SHERIFFのVo、Gと元HEARTのG、B、Dsにより結成されたバンドの'90年発表のデビュー・アルバム。 メンバー構成からも想定されるとおりの典型的な産業ロックであるが、好き者にはたまらないであろう作品だ。 特にフレディ・カーシ(Vo)の高音を駆使した歌声は絶品である。 オープニングの「SAY WHAT I WANNA SAY」こそ、あまりにもYESの「OWNER OF A LONELY HEART」に似ていて失笑モノだが、メロディアスで透明感のある「HAUNTED HEART」や「WAITING FOR LOVE」、伸びやかな歌声が心地よくドラマティックな「HEROES」、サビのメロディが美しい「AFTER ALL THE LOVE IS GONE」、全米2位を記録した甘いヒット・バラード「MORE THAN WORDS CAN SAY」、天を翔けるようなハイ・トーン・ヴォイスが素晴らしい「TRUE EMOTION」等、楽曲も目新しさはないものの好曲揃いである。
プロデューサーにジャック・ダグラスを迎え、前作より音質も演奏も格段に向上した'74年発表の2nd(邦題は「飛べ!エアロスミス」)。 グルーヴ感あふれるギター・リフがかっこいい「SAME OLD SONG AND DANCE」を筆頭に、後に「WALK THIS WAY」に発展すると予感させる「LORD OF THE THIGHS」、明るくキャッチーな「WOMAN OF THE WORLD」、バンドの本質をとらえたハード・ロック・ナンバー「S.O.S.(TOO BAD)」、YARDBIRDSの名曲を見事にカヴァーした「TRAIN KEPT A ROLLIN'」、ドラマティックかつ美しいエモーショナル・ナンバー「SEASONS OF WITHER」はなかなかの好曲揃いではあるものの、デビュー作における「DREAM ON」や「MAMA KIN」のような決定的な名曲がない為、AEROSMITHの作品の中ではやや印象の薄いアルバムだ。 アルバム全体の完成度は高く、次作でのブレイクを予感させるアルバムではあるのだが・・・。
衝撃のデビュー・アルバムから1年も経たずに発表された'74年発表の2nd。 邦題は「地獄の叫び」。 正にKISSらしいギター・サウンドの大抑でキャッチーな「GOT TO CHOOSE」、迫り来るようなリフがヘヴィな「PARASITE」、物悲しげで哀愁あるメロディが秀逸な「GOIN' BLIND」、勇ましいコーラスを叫びたくなる「HOTTER THAN HELL」、ノリノリの名ロックン・ロール・ナンバー「LET ME GO, ROCK 'N' ROLL」、一緒に歌いたくなるほどにキャッチーな「ALL THE WAY」、破壊力に満ちたサビの「WATCHIN' YOU」、エースのしわがれた歌唱による唄メロが心地よい「MAINLINE」、ヘヴィかつキャッチーな「COMIN' HOME」、引きずるようなヘヴィなリフで始まるオープニングがかっこいい「STRANGE WAYS」と、ミディアム・テンポの曲が数多いこともあり、一般的には地味なアルバムと評価されているものの、キャッチーなメロディと重厚なサウンドが同居した楽曲の出来はなかなか。
ジーン・シモンズ(Vo,B)、ポール・スタンレー(Vo,G)、エース・フレイリー(Vo,G)、ピーター・クリス(Vo,Dr)の4人で結成されたKISSの'74年発表のデビュー・アルバム。 邦題は「地獄からの使者~KISSファースト」。 明るくテンポのよい代表曲「STRUTTER」、サビがポップでキャッチーな「NOTHIN' TO LOSE」、ジーンのライヴにおける火吹きパフォーマンスでおなじみの「FIREHOUSE」、ヘヴィなギター・リフが印象的な「COLD GIN」、これまたキャッチーな唄メロが魅力の「LET ME KNOW」、コーラスを一緒に口ずさみたくなる「KISSIN' TIME」、ヘヴィかつダイナミックな名曲「DEUCE」、ユニゾンで奏でられるギターが印象的なインスト曲「LOVE THEME FROM KISS」、うねるようなベースのイントロがかっこよくハードな「100,000 YEARS」、KISS史上最もメロウかつドラマティックな「BLACK DIAMOND」と、メンバーのド派手な衣装とメイクによる話題性もさることながらキャッチーな唄メロに重点を置いた楽曲の出来も申し分なく、デビューアルバムにして名盤と呼ぶにふさわしい作品となっている。
STRAIGHTレーベルから「PRETTIES FOR YOU」と「EASY ACTION」の2枚のアルバムを発表するも大きな成功を得ることが出来なかった米国アリゾナ州出身のバンドが、後に名タッグを組んでいくこととなるボブ・エズリンをプロデューサーに迎えて'71年にWARNER BROTHERSから発表したメジャー・デビュー・アルバム。 全米トップ20入りも果たしたダークかつキャッチーなバンドの代表曲「I'M EIGHTEEN」を始め、アメリカン・ロックの典型のような「CAUGHT IN A DREAM」、疾走感抜群のハード・ロック「LONG WAY TO GO」、まるでブロードウェイ・ミュージカルのような曲調の「IS IT MY BODY」、トライバルなリズムが印象的な大曲「BLACK JUJU」、不気味でシアトリカルな「HALLOWED BE MY NAME」と好曲が続くが、何と言っても極めつけは名バラード「BALLAD OF DWIGHT FLY」の存在である。 そのドラマティックな曲調と美しく悲哀を帯びたメロディは何度聴いても感動的で、「SECOND COMING」の美しいピアノの流れを受け、さらに朗らかなコーラスの「SUN ARISE」へと繋いでいくメドレー構成も完璧だ。 個人的にはこの曲を聴く為だけにアルバムを買っても損はしないと言えるが、アルバム全体の出来も素晴らしい。
正にAMBER MICHAELSさんの言うとおりですね。 アルバム「MOTLEY CRUE」と同年の'94年発表のミニ・アルバム。 トミーによる、インダストリアル・サウンドにラップを乗せた「PLANET BOOM」、ミックによる、ブルージーで味わい深い「BITTERSUITE」、ニッキーによる、破壊的なサウンドの「FATHER」、ジョンによる、もろにBEATLESな「FRIENDS」、4人のペンによる、ファンキーな「BABYKILLS」のほか、日本版には、ムーディなジョンの歌唱が印象的な「10,000 MILES AWAY」、テクノ調にアレンジされた「HOOLIGAN'S HOLIDAY」、生音っぽいサウンドがかえってヘヴィな「HAMMERED」のデモ、ヴィンスに歌わせてみたい未発表曲「LIVIN' IN THE NO」が収録。 ミニ・アルバムといっても殆どが新曲なので、ファンにとっては貴重な1枚。
'94年発表の4thスタジオ・アルバム。 時代に迎合してダーク&ヘヴィになったと揶揄された本作であるが、劇的な変化というほどではなく、時代に合ったサウンドを自然に取り込んだという感じ。 哀愁を感じさせるギターと歌メロの「THE GATE / INVITED」、終盤のツイン・ギターがドラマティックな「SHINE AWAY」、ほのぼのとした「SHE WANT SHE WANT」、TESLAらしさに満ちたキャッチーなリーダー・トラック「NEED YOUR LOVIN'」、単調ながら魅力的なリフの「ACTION TALKS」、ヘヴィ・メタルのような「CRY」、メロディが懐かしさを感じさせる「ALOT TO LOSE」、ダークな始まりからドラマティックに展開する「RUBBERBAND」、アコースティック・ギターの優しげな音色が美しい「WONDERFUL WORLD」、ジョー・サウスの有名曲のカヴァー「GAMES PEOPLE PLAY」といった曲が特に気に入っているが、曲数が多いのに対し速い曲があまり無いのが不満と言えば不満。
評判の良かったミニ・アルバム「VICTIM OF THE SYSTEM」に続いて'94年に発表された作品。 どの曲もコンパクトで非常に分かり易く、決してギター・テクニックのひけらかしになっていないのがミソ。 疾走感に満ちたメロディアス・ナンバー「THE FUTURE IS BLACK」、オープニングのギターが美しい「FLY AWAY」、キャッチーなコーラスがかっこいい「WARRIOR」、ロブの熱唱が素晴らしい「I'LL WAIT」、インギー的なサビの「HOLD THE LINE」、変拍子なりフの「SOMETHING'S WRONG WITH THE WORLD TODAY」、バック・コーラスの掛け合いがかっこいい疾走曲「ANSWER TO THE MASTER」、ブリッジのメロディが魅力的な「HUNGRY DAYS」、凄まじいギター・ソロの「THE KING IS RISING」と捨て曲は無い。 ただし、ロブ・ロックが常に高いレンジで歌う為、曲が似通ったものになってしまっているのが残念。 決定打となるような必殺チューンも欲しかった。
突然のヴィンス・ニール解雇後、新ヴォーカリストに元THE SCREAMのジョン・コラビを迎えて'94年に発表された、MOTLEY CRUE凋落の源となったアルバム。 ボブ・ロックのプロデュースによるダークかつヘヴィなサウンドは今でも色焦ることのない迫力を伴っているが、いかんせん時代を先取りしすぎた感がある。 アルバムは、破壊力のあるヘヴィなリフの「POWER TO THE MUSIC」、うねるような「UNCLE JACK」、ヘヴィ・グルーヴの超名曲「HOOLIGAN'S HOLIDAY」、ストリングスによるサウンドがドラマティックな「MISUNDERSTOOD」、アコースティック・ギターが渋く埃っぽい「LOVESHINE」、最も従来のMOTLEY CRUEらしい「POISON APPLES」、フックのあるリフの「HAMMERED」、ダーク&ヘヴィなリフの「TIL DEATH DO US PART」、グルーヴ感に満ちた「WELCOME TO THE NUMB」、猪突猛進檄音ナンバー「SMOKE THE SKY」、ムーディな「DROPPIN LIKE FLIES」、ジョンの優しげな歌唱が美しい「DRIFTAWAY」といった構成。 冒頭からヘヴィでスローなナンバーを連発させたことがアルバムの印象をさらに悪くさせているし、ジョン・コラビの声質も、このサウンドには合っているものの、「ヴィンスの個性的な声があってこそMOTLEY CRUE」との印象を払拭するまでには至っていない。