IRON MAIDENを脱退して'94年に発表したソロ名義での2nd。 バック・バンドであるロイ・Z率いるTRIBE OF GYPSIESの影響もあってか、IRON MAIDENのようなドラマティックかつメロディアスな曲調は余り見られず、ダウン・チューニングによるヘヴィでエッジのきいたギター・リフやトライバルなリズムが特徴的な普通のヘヴィ・メタルにブルースが様々な唱法に挑戦しているといったような印象だ。 「1000 POINTS OF LIGHT」や「SHOOT ALL THE CLOWNS」に代表されるサビのメロディが比較的キャッチーな曲や、雄たけびやラップ的歌唱を聴かせる「SECRED COWBOYS」といったグルーヴ感のある曲も魅力だが、ブルースの絶品の歌唱が聴ける「CHANGE OF HEART」とIRON MAIDENを彷彿させるドラマティックな「TEARS OF THE DRAGON」の2曲は飛びぬけて素晴らしい。
オランダが生んだ天才メロディ・メイカーVALENSIAの'94年発表のデビュー・アルバム。 フレディ・マーキュリーを彷彿させる歌唱力も絶品で、楽曲にもQUEEN的要素がチラホラ。 VALENSIAの歌唱が生きるオペラティックな曲調の名曲「GAIA」が話題になったが、他にもヴァースからサビにかけてのメロディが絶品の「TERE」に始まり、コミカルな「THE SUN」、まるでディズニーのサウンドのような「SCARABOUSHKA」、優しいタッチのバラード「NATHALIE」、陽気でポップな「TANGO TAMARA」、エリーゼのためにをモチーフにした「T'KYLAH Ⅱ」~「T'KYLAH」、ブロード・ウェイ・ミュージカルのような「MEGALOMANIA」、美しいメロディを重厚なサウンドで聴かせる「MY HEART IS IN YOUR HANDS」、80年代POPSを彷彿させるテクノ調の「MR.1999」、映画のエンディングのような壮大な「1997」と楽曲は非常にバラエティに富んでおり、そのコンポーザーとしての才能には目を見張るばかりである。
オジーの「NO REST FOR THE WICKED」アルバムがザックのリフ・メイカーとしての才能がいかんなく発揮されたアルバムであっただけに、当初はカッコイイリフの沢山詰まったヘヴィ・メタルを期待していた。 しかし実際はALLMAN BROTHERS BANDとBLACK SABBATHを足して2で割ったような、ヘヴィで骨太なサザン・ロックといった感じで少々面食らったが、これはこれで悪くない。 アメリカの田舎の酒場で聴きたくなるようなカントリー調の「LOSIN YOUR MIND」、ザックのリフ・メイカーとしての才能がいかんなく発揮された「HORSE CALLED WAR」、ギター・ソロが美しい「HARVESTER OF PAIN」、ヘヴィなリフと渋い歌唱が魅力の「THE CHOSEN ONE」、ヘーイ!とのザックの叫びが勇ましく後半部のジャムも秀逸の「TOEN THE LINE」はお気に入り。 ピアノをバックに歌う「FADIN' AWAY」も美しい。
KISSにも曲を提供しているジョン・ボウワーを擁するバンドの94年発表のデビュー・アルバム。 そのKISSのポール・スタンレーがプロデューサーに名を連ねていることもあってか、曲調はKISSを彷彿させ、ヴォーカルの声質もポール・スタンレーにとてもよく似ている。 80年代アメリカン・ロックを彷彿させる明るくポップな曲が満載で、軽快なノリの「HIKE IT UP」や「NO YOU DON'T」、80年代なら大ヒットしそうな美しいバラード「STANDING ON THE CORNER FOR YA」等、捨て曲は見当たらない。 中でも、煽情的なメロディが物悲しく美しい「DYING FOR LOVE」と、サビのバック・コーラスとの掛け合いが秀逸な「IN THE HEALER」の2曲は必聴の名曲!
91年のカリフォルニアにおけるライヴと92年のスタジオ・ライヴで構成された94年発表のライヴ・アルバム。 レコード会社移籍に伴う契約解消のためとはいえ、ジョン・ブッシュ加入の翌年にこのジョーイ・ベラドナ時代のライヴ盤を出したのはタイミングとしては非常に悪かったが、ジョーイ時代に思い入れのあるファンには嬉しい内容ではある。 「TIME」のイントロに導かれる「(Efilnikufesin)N.F.L.」で勢い良く始まり、「A.I.R」の名リフが後を引き継ぐ。KISSのカヴァー「PARASITE」、アルバムより縦ノリ感を増した「KEEP IT IN THE FAMILY」、疾走感を増した「CAUGHT IN A MOSH」、リズム隊によるトライバルなイントロで客を煽る「INDIANS」、ジョーイと観客の「oh~」との掛け合いに始まる「ANTISOCIAL」、PUBLIC ENEMYとのジョイントによる「BRING THE NOISE」までが実際のライヴ。 よりタイトになった「I AM THE LAW」、「METAL THRASHING MAD」、「IN MY WORLD」、「NOW IT'S DARK」の4曲がスタジオ・ライヴ。 代表曲はおおむね押さえてはいるものの物足りなさは残るし、全て実際のライヴ録音で聴きたかったというのが正直なところ。 「GUNG-HO」や「GOT THE TIME」等も収録してほしかった。
'94年というオルタネイティヴ・ロック隆盛の時期に発表したアルバム(邦題は「蒼い衝動」)。 ア~ア~ア~ア~とのコーラスが印象的な明るくドライヴする「MY GANG」、ややオルタネイティヴっぽいダークさを持った「WOKE UP WITH A MONSTER」、思わず口ずさみたくなるほどキャッチーでポップなサビの「YOU'RE ALL I WANNA DO」、横揺れの甘いメロディのバラード「NEVER RUN OUT OF LOVE」、これまたポップなメロディにのって流れていく「DIDN'T KNOW I HAD IT」、AC/DCのGIRLS GOT RHYTHMを彷彿させる「GIRLFRIENDS」等、ポップで良質な楽曲がぎっしり詰まった正にCHEAP TRICKらしさ満載のアルバム。 日本盤ボーナスには剣の舞をロック・アレンジした「SABRE DANCE」収録。
英国のバンドによる94年発表のアルバム。 ダサいバンド名とキーボードを含んだバンド編成からDEEP PURPLEを想像させるが、ヴォーカルの声質を含め、どちらかというとBON JOVIに近い。 ハードにドライヴする「KNOCK ME OUT」、北欧ハード・ポップのような透明感のあるコーラスが魅力の「MAYBE IT'S LOVE」、美しいアコースティック・バラード「STANDING ON THE EDGE」、キャッチーでメロディアスなサビが魅力の「TIME AND TIME AGAIN」、ウェット感あるサビのメロディが感動的な「WE ARE THE YOUNG」等、80年代ハード・ロック・ファンが泣いて喜びそうな明るくキャッチーなサウンドを身上としている。 正に掘り出し物的な1枚。
元LITTLE CAESARのロン・ヤング(Vo)、元WHITESNAKE等のエイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)、ルディ・サーゾ(B)、トミー・アルドリッヂ(Dr)と、ある意味スーパー・バンド的なメンツによる'94年発表の作品。 エイドリアンがこういう音を目指していたのであれば、ロン・ヤングの起用は大正解であった。 ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンといった伝説的人物の伝説的名曲に影響を受けたようなブルージーな曲の数々を、ロンは見事に歌い上げている。 MOVE OVERのような「CAN YOU FEEL IT」、哀愁の漂う物悲しいバラード「RIDE THE STORM」、ファンキーで軽快な「CAN'T HOLD IT」、LITTLE WINGのような「DO ANGELS DIE」、キャッチーで温かみのある歌メロが耳を引くバラード「DARK SHADE OF GREY」等、決して悪いアルバムではないが一般受けするサウンドではない。 VANDENBERGに魅了された者としては「何もキミがやらなくても」という感想が残る。
伝説的ロック・オペラの名盤「BAT OUT OF HELL」から15年以上の時を経て発表された'94年発表の続編。 全米№1を記録した劇的なバラード「I'D DO ANYTHING FOR LOVE(BUT I WON'T DO THAT)」、印象的なギター・リフと大抑なコーラスの「LIFE IS A LEMON AND I WANT MY MONEY BACK」、温かみのある歌メロが秀逸な「ROCK AND ROLL DREAMS COME THROUGH」、壮大で劇的なクワイアが涙モノの「IT JUST WON'T QUIT」、明るくキャッチーな「OUT OF THE FRYING PAN(AND INTO THE FIRE)」、ピアノの音色も美しいドラマティックなバラード「OBJECTS IN THE REAR VIEW MIRROR MAY APPEAR CLOSER THAN THEY ARE」、次曲のイントロとなる「WASTED YOUTH」、ハードなギターとスリリングな曲調から明るく曲展する「EVERYTHING LOUDER THAN EVERYTHING ELSE」、ショー的でテクノ調サウンドも聴かれる「GOOD GIRLS GO TO HEAVEN(BAD GIRLS GO EVERYWHERE)」、正にクラシックなインスト「BACK INTO HELL」、映画のエンド・ロールを見ているような「LOST BOYS AND GOLDEN GIRLS」と、美しくドラマティックな曲の数々は「BAT OUT OF HELL」を完全に超えている。 ロックの範疇を超えて素晴らしいと言える内容の超名盤。
'93年の来日公演を収録したライブ・アルバム。 メンバーはジョン・サイクス(Vo,G)を始め、マルコ・メンドーサ(B)、トミー・オスティーン(ds)、ニック・グリーン(Key)。 結構、厳しい意見も出ているが、個人的にはジョン・サイクスという人間にあまり思い入れがないものの、彼がこれまでに参加したバンドやソロからのベスト選曲的な内容は十分に楽しめる(さすがにTIGERS OF PAN TANGの曲は演っていないが)。 インプロヴィゼーション溢れる演奏もスタジオ盤を凌駕しており、ライヴでろくにアルバムの音を再現できないバンドには爪の垢を煎じて飲ませたいほど。 終盤のジャム・セッションが秀逸な「RIOT」、コーラス・ワークの再現もバッチリの「CRY FOR LOVE」、THIN LIZZYの超名曲「COLD SWEAT」、マルコのベース・プレイが素晴らしい「BILLY」、ジョンの歌唱が素晴らしい「SAVE MY LOVE」、軽快なテンポが心地よい「JELLY ROLL」、ライヴでも勢いを失わない「WE ALL FALL DOWN」、現代に蘇る感動的な名曲「PLEASE DON'T LEAVE ME」、歓声が凄まじい白蛇の超名曲「STILL OF THE NIGHT」、最後はフィル・ライノットに捧げる「DANCIN' IN THE MOONLIGHT」。 完全収録で聴いてみたいと思わせる素晴らしい内容だ。
名曲「THE HANDS OF TIME」が話題となった前作に続く3rd。 本作にもメロスピ・ファンであれば泣いて喜びそうな「CHASING SHADOW」、「HOLD ON TO YOUR DREAM」、「WE ARE THE FUTURE」、「SHATTERED」といったメロディアスな疾走曲が収録されているほか、透明感あるサビのメロディが美しい「EYES OF THE WORLD」、曲のタイトルに相応しい悲哀感あるバラード「TEARS OF ICE」、トリッキーなイントロが印象的な「DREAMSPACE」、ポップで壮大なキーボード・リフの「WINGS OF TOMORROW」等のミディアム&スロー・テンポの曲もなかなかの出来栄え。 ただし、やはりティモ・トルキ自身のヴォーカルが弱いこと、歌メロに頼りすぎてバックの演奏が単調であることが個人的には気になる。
後にJUDAS PRIESTに加入することとなるティム・オーウェンズが在籍していた正統派HMバンドによる'93年発表のデビュー・アルバム(日本発売は94年)。 楽曲の水準はまだまだ未熟であるものの、ハイ・トーンを駆使したティムの歌唱が素晴らしいということもあり、将来が楽しみなバンドであった。 タイトル曲「HEART OF A KILLER」をはじめとして好曲もあり、曲調やヴァースにおけるリフ展開等にはICED EARTHを想起させる部分もある。 マスト・バイなアルバムではないものの、JUDAS PRIEST加入前のティム・オーウェンズの力量を計り知ることのできる作品ではあるので、興味深い方は是非。
前作「SET THE WORLD ON FIRE」で飛躍的な音楽的変化を遂げたものの、ドラマー以外のメンバーが脱退し、ジェフ・ウォーターズ自らがヴォーカル&ベースも担当するなど、殆どソロ作品に近い形で作成された94年発表の4th。 問題視されたジェフのヴォーカルであるが、楽曲にうまくはまっており、違和感は感じられない。 ソリッドな殺傷力に満ちたギター・リフが次から次へと繰り出される楽曲は見事で、特に「KING OF THE KILL」、「SECOND TO NONE」の2曲は必聴! 中盤のメロウでポップなバラード「ONLY BE LONELY」やプログレッシヴな「HELL IS A WAR」、ファンキーなリズムの「SPEED」、叙情性に満ちた「IN THE BLOOD」といったフックのきいた曲の存在も見逃せない。 もっと注目を浴びてもいいと思うのだが、バンドのメンバーが固定しないのがマイナス要因。
グレン・ヒューズの真の復活作ともいうべき'94年発表のアルバム。 目立った派手さはなく、全体的にアダルトな雰囲気が漂う作品ではあるが、実はバラエティに富んだ楽曲で構成されている。 ブリッジがBURNにも似たメロディのハード・ロック曲「PICKIN' UP THE PIECES」、ブルージーかつヘヴィなリフの「LAY MY BODY DOWN」、素晴らしい歌唱で哀愁を聴かせる「THE ONLY ONE」、ゴスペルのような「WHY DON'T YOU STAY」、メタリックなギター・リフの「THE LIAR」、HUGHES/THRALL時代に作られたポップな「YOU WERE ALWAYS THERE」、北欧ハード・ポップのような「HOMELAND」、アダルトな名バラード「FROM NOW ON...」等、良質の楽曲が絶品の歌唱で聴けるのだからたまらない。 ボーナス・トラックの「BURN」と「YOU KEEP ON MOVING」も素晴らしく、グレンの歌唱はオリジナルを超える出来栄え。 ちなみにリズム隊とキーボードは元EUROPEの3人。