トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、トニー・マーティン(Vo)、ボビー・ロンディネリ(Dr)、ジェフ・ニコルズ(key)による94年発表作品。 ロニー・ジェイムズ・ディオを擁した前作が不発に終わったことから、都合よく呼び戻された感のあるトニー・マーティンであるが、ヘヴィでモダンな曲もごく自然に歌いこなしており、前作でのロニーのようなミスマッチ感覚はない。 モダンなアプローチを見せる「I WITNESS」、まるでDIOのようなドラマティックさを持つ幻想的な名曲「CROSS OF THORNS」、うねるようなリフが魅力の「PSYCHOPHOBIA」、不気味でドゥーミーな「VIRTUAL DEATH」、ヘヴィな幕開けから疾走する展開がかっこいい「IMMACULATE DECEPTION」、静と動の対比が素晴らしい「DYING FOR LOVE」、マーティンの歌唱がアグレッシヴかつ美しい「BACK TO EDEN」、美しいメロディとうねるリフが絡み合う「THE HAND THAT ROCKS THE CRADLE」、美しくも不気味でリフがZEPPELIN的な「CARDINAL SIN」、邪悪な雰囲気の「EVIL EYE」、ボーナス・トラックの正統派ナンバー「WHAT'S THE USE」と楽曲も好曲揃い。
メジャー・レーベルをドロップした背景もあってか、バンドの「自分達のやりたいようにやる!」といったような、ヤケクソ的な勢いに満ちた'94年発表作。 特に「ON YOUR FEET OR ON YOUR KNEES」、「BURNER」、「DEATH OR GLORY」の冒頭からの疾走曲3連発は見事で、その3曲ともタイプの違った疾走感を持っているのだから凄いとしか言いようがない。 それ以降のミディアム・テンポの楽曲を中心としたナンバーもフックがきいており、刻まれるリフが耳に心地よい「I AM THE SWORD」、歌メロのキャッチーな「BORN TO RAISE HELL」、男の挽歌のような渋みを持つ「DON'T LET DADDY KISS ME」、エレクトリック・ピアノも飛び出すロックン・ロール曲「BAD WOMAN」、ダークなリフの「LIAR」、コーラスがかった歌メロがメロディアスな「WE BRING THE SHAKE」、曲のエンディングが感動的な「DEVILS」等、飽きさせることはない。 90年代においてもMOTORHEADは健在であるということを強烈にアピールする素晴らしいアルバムである!
名手マイケル・ロメオ率いるバンドによる'94年発表のデビュー・アルバム。 クラシカルな曲調やギター・プレイはイングヴェイの、リフの組立やプログレッシブな構成はDREAM THEATERの、オペラチックな曲展開はQUEENの影響を感じさせ、ときには聴いたことがあるようなメロディも登場するが、1stということを考えれば上出来だと思う。 「THE RAGING SEASON」などの高音を必要とされる曲では線の細さが若干気になるヴォーカルも他の曲ではなかなかの力強さを感じさせてくれる。 様式美ファン必聴の「MASQUERADE」、プログレッシブな展開が圧巻の「ABSINTHE AND RUE」、メロディアスで美しいバラード「SHADES OF GREY」、疾走感に満ちた「TAUNTING THE NOTORIOUS」、キャッチーな歌メロが印象的な「RAPTURE OR PAIN」等は特にオススメ。
モダンな方向性が賛否両論をよんだ前作も個人的には楽しめたアルバムだった。 '04発表の本作はかつての煽情的メロディが戻ったとも言われているが、基本的には前作の延長線上にあると思う。 よって、前作を支持するファンであれば、本作もきっと気に入るのではないだろうか? 暴虐的で正にデス・メタルの「F(R)IeND」、モダンな曲調の「THE QUIET PLACE」、疾走感とメロディが同居する「DEAD ALONE」、引きずるようなヘヴィなリフに哀愁のメロディがのる「TOUCH OF RED」、イントロのギターが印象的で展開もプログレッシヴな「MY SWEET SHADOW」、疾走感のあるリフが正統的な「IN SEARCH FOR I」、デジタルな音蔵による疾走感がかっこいい「SUPERHERO OF THE COMPUTER RAGE」と素晴らしい曲は多いが、「この1曲!」というような決め手となる強烈なナンバーが欲しかった。
元GUNS'N'ROSESのスラッシュ(G)、ダフ・マッケイガン(B)、マット・ソーラム(Dr)、元STONE TEMPLE PILOTSのスコット・ウェイランド(Vo)らにより結成されたバンドによる全米№1を記録した2004年発表のデビュー・アルバム。 バンド名は明らかにGUNSを意識しているが、個人的にはGN'RやSTPと比較してどうというよりも、このメンバーならではの質の高い作品を期待していた。 一聴した感想は、期待を裏切ることのない良質のハード・ロックではあるものの、期待を大きく上回るものでもなかったというのが正直なところ。 ミステリアスなイントロから疾走する危険な香りに満ちた「SUCKER TRAIN BLUES」、哀愁を感じさせるメロディの「DO IT FOR THE KIDS」、ミディアム・テンポのグルーヴィーな「BIG MACHINE」、モダンでヘヴィな「ILLEGAL i SONG」、ドライブ感溢れる「SPECTACLE」、スラッシュらしさ満点のギターが聴ける「FALL TO PIECES」、体がリズムにのせて自然に動き出す「HEADSPACE」、風変わりなリフのNIRVANAのような「SUPERHUMAN」、トリッキーなリフが印象的な疾走曲「SET ME FREE」、叙情的なメロディが心に染みる「YOU GOT NO RIGHT」、グルーヴ感とメロディの同居するリーダー・トラック「SLITHER」、疾走パートが絶妙にかっこいい「DIRTY LITTLE THING」、スコットの優しげな歌唱とスラッシュのギターが美しい「LOVING THE ALIEN」、ご存知SEX PISTOLSのカヴァーというよりコピー「BODIES」と、捨て曲はないものの、必殺の1曲も見当たらなかった。 スコットの情感をたっぷりと含んだ歌唱がこのバンドの個性となるのか注目したい。
暴力的な臭いを発散させるデビュー・アルバム。 アルバムを発表していくにつれてタイトになっていく演奏・楽曲・サウンドも、このころはヤケクソなほど勢いに満ちている。 土砂崩れのように迫るサウンドが心地よい「OVER THE WALL」、風変わりで恐怖感のあるリフの「THE HAUNTING」、メロディアスなギターが聴ける名曲「BURNT OFFERINGS」、怒涛の勢いが圧巻の「RAGING WATERS」や「C.O.T.L.O.D.」、エンジン音のようなギターが鋭い「FIRST STRIKE IS DEADLY」、歌メロがダークで美しい「ALONE IN THE DARK」、美しさと激しさの同居する「APOCALYPTIC CITY」等、殺傷力のあるギター・リフとメロディアスなギター・ソロが絡み合った破壊力抜群の楽曲が揃った、スラッシュ・メタルの名盤である。
当時はロック不毛の地と言われたスウェーデン出身の4人組による、北欧メタルの先駆けとなった'83年発表の衝撃的デビュー・アルバム(邦題「幻想交響詩」)。 メンバーはジョーイ・テンペスト(Vo,Key)、ジョン・ノーラム(G)、ジョン・レヴィン(B)、トニー・レノー(Dr)。 美しいアルバム・ジャケット、スウェーデンという出身地、果ては未熟な歌唱や演奏までもがこのバンドの神秘性を高めていた。 北欧の寒々しい風景を想起させる哀愁のメロディを備えた「IN THE FUTURE TO COME」、オープニングがかっこいい「FAREWELL」、官能的で哀愁漂うギターと透明感のあるサウンドが美しい「THE KING WILL RETURN」、ギターがあまりにもメロディアスなインスト「BOYAZONT」、疾走感抜群の「CHILDREN OF THIS TIME」、キャッチーなサビのメロディが印象的な「WORDS OF WISDOM」、トリッキーなリズムが面白い「PARADIZE BAY」、ツー・バスによる疾走感に乗せた寒々しいメロディが印象深い「MEMORIES」等、未熟さ・B級臭さは拭えないものの、透明感と哀愁に満ちた好曲が揃っている。 しかし、本作は何といっても「SEVEN DOORS HOTEL」の存在に尽きるだろう。 物悲しいピアノによるイントロダクション、疾走感に満ちた曲調と哀愁ある美しいサビのメロディ、官能的ななギター・ソロを聴かせるこの曲はメタル史に残る超名曲である!!
'93年発表の1stフルレンス・アルバム。 不気味なジャケットに思わず敬遠してしまうが、これは紛れもなくロックの名盤である。 うねるようなリフの「GREETINGS FROM SHITSVILLE」に始まり、爽快感さえ伴うハーモニーが絶妙な「TV TAN」、劇的で疾走感に満ちた「EVERLONE」、ハーモニーがポップで美しい「THE MILES AWAY GIRL」、ギターが激しい、元SPIDER FROM MARS等の故ミック・ロンソン参加の「MY BABY IS A HEADFUCK」、劇音爆走ロック・チューン「SUCKERPUNCH」、リフの応酬が激しい「LOVE U TILL I DON'T」等、これまで発表されたEPでは未熟さも感じられた楽曲も、本作では全てにおいて一緒に歌いたくなるような印象的なものばかり。 ライヴで演奏される曲もこのアルバムからのものが多い。 好きになったら病み付きになる不思議な魅力を持ったバンドである。
'92年発表のデビューEP「MONDO AKIMBO A-GO-GO」に4曲を加え、PANTERA等を手がけたテリー・デイトがミックスして同年に発表されたダブルEP(日本では1枚のアルバムとして発表)。 デビューEPに収録されていた4曲に比べ新曲4曲はリフの殺傷力が落ちているような気がするが、その分メロディやハーモニーの質が向上しており、懐かしさのような哀愁感さえ漂う。 いよいよWiLDHEARTSらしさを感じさせるポップ曲「SPLATTERMANIA」、サビのメロディが哀愁に満ちた「SOMETHING WEIRD (GOING ON IN MY HEAD)」、ライヴにはかかすことのできない大合唱ナンバー「WEEKEND (5 LONG TODAY)」、どこか懐かしささえ感じさせる「DREAMING IN A」を収録。
QUIREBOYSをクビになったジンジャーが中心となって結成されたバンドによる'92発表のデビューEP。 レコーディング・メンバーはジンジャー(Vo,G)、ダニー(B)、CJ(G)、そして元DOGS D'AMOURのバン・バン(Dr)。 スラッシュのようにヘヴィなリフによる曲展開とメロディアスでときに哀愁さえ感じさせるハーモニーとの融合が絶妙にマッチし、早くもTHE WiLDHEARTS以外の何者でもないサウンドを作りあげており、商業的ヒットを狙ってアメリカに渡る英国ミュージシャンを強烈に皮肉った「TURNING AMERICAN」にこのバンドの精神性が表れている気がする。 ヘヴィさとポップ感覚が同居した「CRYING OVER NOTHING」、イントロのギター・メロディが印象的な初期の名曲「NOTHING EVER CHANGES BUT THE SHOES」、ジワジワと始まってサビで爆発する「LIBERTY CAP」を収録。 EPは4曲入りで、のちにもう4曲を加えミックスを施したダブルEP「DONT BE HAPPY...JUST WORRY」として発表される。
UFO脱退後、アルコール依存症を乗り越えたマイケル・シェンカー(G)が自らの名前をグループ名にしたバンドによる'80年発表の1st。 他のレコーディング・メンバーは、ゲイリー・バーデン(Vo)、モ・フォスター(B)、サイモン・フィリップス(Ds)、ドン・エイリー(Key)。 プロデューサーはロジャー・グローバー。 ハード・ロックの教科書のような超名曲「ARMED AND READY」、マイケルのチョーキング・プレイが炸裂する哀愁の「CRY FOR THE NATIONS」、ザクザクと刻まれるリズム・ギターと官能のギター・ソロを兼ね備えたインストゥルメンタルの超名曲「INTO THE ARENA」を始め、ヘヴィなギター・リフの「VICTIM OF ILLUSION」、官能的なインスト曲「BIJOU PLEASURETTE」、サイモン・フィリップスによるドラム・プレイも素晴らしい「FEELS LIKE A GOOD THING」、サビのメロディがキャッチーな「LOOKING OUT FROM NOWHERE」、強烈な泣きを発するバラード「TALES OF MYSTERY」、オリエンタルなムード漂うドラマティックな「LOST HORIZONS」と、楽曲も充実している。 マイケルのエキサイティングかつエモーショナルにはじけまくったギターはあまりにも絶品で、もはや伝統芸能の域に達していると言っても過言ではない。 本作は紛れもないHR/HM史に残る超名盤である。
アルバム・タイトル等から「ついにメイクをとる」との噂も出回った'80年発表作品。 このころのバンドの人気は下り気味で、この作品も商業的にも成功したとは言い難い。 リンゴ・スター等との共作で有名なヴィニ・ポンシアをプロデューサーに起用するなど、結果的には話題が先行した感の強いアルバムだ。 本作は非常にポップであるが、ポップといっても清涼感溢れる爽やかな音が特徴的で、きらびやかで清涼感溢れる名曲「SHANDI」を筆頭に、キャッチーな歌メロの「IS THAT YOU?」、エースの歌う単純明快なロック・チューン「TALK TO ME」、ハード・ボイルドな「NAKED CITY」、サビで疾走する展開がかっこいい「WHAT MAKES THE WORLD GO 'ROUND」、哀愁を伴ったポップなメロディが美しい「TOMORROW」、終盤のインスト部分がかっこいい「TWO SIDES OF THE COIN」、ポップなキーボードの使い方がいかにも'80年代的な「SHE'S SO EUROPEAN」、前作の香りを残すダンサンブルな「EASY AS IT SEEMS」、ヘヴィなリフの「TORPEDO GIRL」、サビのコーラスがゴージャスな「YOU'RE ALL THAT I WANT」と、楽曲自体は決して悪くないものの、「ALIVE!」の生々しさに興奮を覚えた身としては、このお上品な味付けに物足りなさを感じるのも事実。 ちなみに本作でドラムを叩いているのはセッション・ドラマーのアントン・フィグで、ピーター・クリスは本作発表後に脱退してしまった。
サウンド・プロダクションが格段に向上したことによりアグレッシブさに満ちたリフをビッグでファットな迫力あるサウンドで聴かせることに成功した'77年発表のロックン・ロール史に残る名盤(邦題はズバリ「ロック魂」)。 これもワールドワイド盤とオーストラリア盤があるが、私が持っているのは前者の方。 ビッグなサウンドの「GO DOWN」、ヘッド・バンギングにもってこいの「DOG EAT DOG」、単調ながら激しく疾走する代表曲「LET THERE BE ROCK」、ギター・リフがあまりにもかっこいい隠れた名曲「BAD BOY BOOGIE」、リメイクされてエッジが増した「PROBLEM CHILD」、サビからヘヴィに刻まれるリフへ移行する様が心地よい「OVERDOSE」、AC/DC屈指の名リフである「HELL AIN'T A BAD PLACE TO BE」、ライヴではアンガス・コールでおなじみの超名曲「WHOLE LOTTA ROSIE」と、正に捨て曲なしの超名盤。 とにかくアルバム全編に尋常とは思えないほどのハイ・テンションが漲っている。 個人的にも本作こそが彼らの最高傑作であると信じてやまない。
レコード会社をアトランティックに移籍し、'76年に発表された3rd(邦題は「悪事と地獄」)。 ワールドワイド盤は、2曲を入れ替えた形で'81年にリリースされた。 サビを共に叫ばずにはいられないタイトル曲「DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP」は、個人的にも彼らの曲の中で5本の指に入れたくなるほどの名曲。 延々と続くリフとメロディアスなサビのメロディとの展開がかっこいい「AINT NO FUN (WAITING ROUND TO BE A MILLIONAIRE)」、単純ながらもかっこいいリフの「PROBLEM CHILD」、ベースの奏でるリフがハード・ボイルドでかっこいい「SQUEALER」、けだるい雰囲気がムーディな「RIDE ON」といった曲は悪くないが、AC/DCの全アルバムの中では楽曲がちと弱い。 ワールド・ワイド盤では、ビッグなギター・リフの「LOVE AT FIRST FEEL」と前作「T.N.T.」に収録されていた「ROCKER」が収録されているが、彼らが産み出した中でも屈指のギター・リフを持つ名曲「JAILBREAK」が外されたのは痛い。 この曲を聴くためには'84年発表の「'74 JAILBREAK」を待たなければならないのだった。
英国ロック復権を担う超新星バンドによる'03年発表のデビューアルバム。 メンバーはジャスティン・ホーキンス(Vo,G)、ダン・ホーキンス(G)、フランキー・ポーレイン(B)、エド・グラハム(Dr)。 近年の英国ロック界はTHE WiLDHEARTSのような素晴らしいバンドも輩出したが、こちらの方がサウンドは王道的。 キワモノ的な扱いもされるが、どうしてどうして、'70年代ロックを消化した素晴らしいロック・バンドである。 AC/DCを歌うフレディ・マーキュリーとの形容も納得。 正直、ジャスティンの歌唱はフレディと違って上手いんだか下手なんだかよくわからないんだが、はまれば癖になる魅力を持っており、このバンドを他の何者にも代えがたいものにさせる強烈な個性となっている。 THIN LIZZYの影響を大いに受けたと思われるギターも非常にメロディアス。 エネルギッシュな縦ノリロックの「BLACK SHUCK」、ジャスティンのファルセット・ヴォイス全開の疾走チューン「GET YOUR HANDS OFF MY WOMAN」、キャッチーかつメロディアスなコーラスの「GROWING ON ME」、強烈なギター・リフと超個性的な歌唱の必殺曲「I BELIEVE IN A THING CALLED LOVE」、大陸的な壮大さをほこるバラード「LOVE IS ONLY A FEELING」、AC/DC的なリフが最高にノリのよい「GIVIN' UP」、わめき声のようなシャウトが凄まじい「STUCK IN A RUT」、ポップで美しいメロディの「FRIDAY NIGHT」、骨太なヘヴィ・ロック「LOVE ON THE ROCKS WITH NO ICE」、感動的な歌メロのバラード「HOLDING MY OWN」のほか、ボーナス・トラックに熱いブギー・サウンドの「THE BEST OF ME」、近年のAC/DC的なリフの「MAKIN' OUT」を収録。 全英№1も記録した、紛れもなくロックの名盤に新たに加えられるべき作品である!!