全米№1をも記録したALICE COOPER最大のヒット作にして最高傑作である'73年発表の4th。 プロデューサーはもちろんボブ・エズリンで、レコーディングにはT.REXのマーク・ボラン、THE WHOのキース・ムーン、ルー・リード、ドノヴァンといった超大物がゲスト参加している。 楽曲の水準が押しなべて高く、美しくも劇的なオープニング曲「HELLO HOORAY」、アリスを大統領になぞらえたゴージャスなサウンドの「ELECTED」、ヘヴィかつダークなギター・リフを持ったドノヴァンとのデュエットによるタイトル曲「BILLION DOLLAR BABIES」、MEGADETHもカヴァーした、アリスの狂気的かつキャッチーな歌唱が魅力の「NO MORE MR. NICE GUY」、ライヴでギロチン・ショーが行われる際に演奏される美しくドラマティックな「I LOVE THE DEAD」といった有名曲を始め、初期のサウンドに近い「RAPED AND FREEZIN'」、バンドの演奏が極めて秀逸な「UNFINISHED SWEET」、アコースティック・ギターの音色が美しい「GENERATION LANDSLIDE」、ピアノをバックにアリスが優しげに歌う小曲「MARY ANN」といったナンバーも素晴らしい。 蛇側の財布をモチーフにしたアルバム・ジャケットのセンスも秀逸である。 「アメリカン・ハード・ロック史上に残る名盤」と呼んで差し支えないほどの高作品であるが、ここ日本においてはあまり聴かれていないというのは非常に残念でならない。
THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNにいたヴィンセント・クレイン(Key、Vo)とカール・パーマー(Dr)が、ニック・グラハム(B、Vo)と結成した3ピース・バンドによる'70年発表のデビュー・アルバム。 メロディアスかつエキサイティングなヴィンセントのオルガンを中心に据えたサウンドはプログレッシヴ・ロック的ですらあり、驚異的な歌唱力を誇るニックと手数の多いテクニカルなドラミングを披露するカールの驚異的なプレイにも目を見張るものがある。 疾走感に満ちたハード・ロッキングなシングル曲「FRIDAY THE THIRTEENTH」や冬の雪景色をそのままサウンドに昇華させたような哀愁漂う「WINTER」といった名曲を始め、ヴィンセントが幻惑的なオルガン・プレイを聴かせる「AND SO TO BED」、ブラスによるオープニングが壮大な「BROKEN WINGS」、ハイ・テンションなインスト・チューン「BEFORE TOMORROW」、オルガンの音色が名曲「A WHITER SHADE OF PALE」を想起させるバラード「BANSTEAD」、ファンキーなギターが印象的な「S.L.Y」、カールが恐ろしく手数の多いドラミングを聴かせる「DECLINE AND FALL」、各楽器が渾然一体となって迫る「PLAY THE GAME」といった楽曲も悪くない。 ニックとカールは、このデビュー・アルバムに参加したのみで脱退(カールはのちにEMARSON,LAKE & PALMAERを結成)してしまう。
学校の机をモチーフにしたアルバム・ジャケットが印象的な、全米2位を記録する大ヒットとなった'72年発表作品。 発売当時はレコード盤にパンティが被せられていたことでも話題を呼んだ。 メジャー・デビュー作「LOVE IT TO DEATH」に収録された「IS IT MY BODY」で既に繰り広げられていたブロードウェイのような世界観が本アルバム全体を支配しており、その展開・構成は圧巻である。 全米9位を記録するシングル・ヒットともなったオープニングのタイトル曲「SCHOOL'S OUT」はキッズ・アンセムとなる軽快なロック・ナンバーで、ダークなギター・リフの「LUNEY TUNE」、オープニングのベース・リフとウエスト・サイド物語を意識した展開がとてもクールな「GUTTER CAT VS. THE JETS」、ギャング団のケンカのシーンを描いたインスト「STREET FIGHT」、バンドの実力がいかんなく発揮されたブルー・ノートを意識しての異色曲「BLUE TURK」、美しいメロディとダイナミックな展開が見事な「MY STARS」、ゴージャスなサウンドがいかにもアメリカンな「PUBLIC ANIMAL #9」、ほのぼのとしたアコースティック・ギターによるサウンドを聴かせる「ALMA MATER」、映画のエンド・ロールで流れるような壮大なインスト曲「GRANDE FINALE」と、アルバム全体が一つの作品となった壮大なコンセプト・アルバムであり、本作も紛れもなく名盤である。
前作「LED ZEPPELIN Ⅱ」の大ヒットによりロック界の頂点を極めたバンドであるが、幾多の伝説を残したツアー終了後、ペイジとプラントがウェールズの片田舎に引っ込んで書き溜めた曲はブリティッシュ・フォークをルーツとするものであった。 それらの曲を中心に製作された'70年発表の3rdは、前作までのヘヴィでブルージーな曲調を好んだファンやプレスから酷評されもしたが、本作以降に発表されたアルバムを聴けばわかるとおり、結果的にはバンドの可能性をさらに押し広げることに成功したアルバムであった。 ストリングスが不思議な情景を醸し出す「FRIENDS」、軽快に刻まれるアコギとエレキによるリフとが絶妙に絡む「CELEBRATION DAY」、ブルージーで官能的なペイジのギターと慟哭のようなプラントの歌唱が絶品のバラード「SINCE I'VE BEEN LOVING YOU」、超弩級のヘヴィ・ナンバー「OUT ON THE TILES」、フォーキーで牧歌的な「GALLOWS POLE」、アコギの特性を活かした哀愁のバラード「TANGERINE」、プラントの伸びやかな歌唱が絶品の「THAT'S THE WAY」、作曲を行ったコテージ名を曲タイトルに掲げた、宴の様子をとらえたような「BRON Y-AUR STOMP」、ぶっ飛びのイントロを聴かせる「HATS OFF TO (ROY) HARPER」と、ギターをエレクトリックからアコースティックに持ち替えた曲を中心に据えたところで、楽曲の水準は押しなべて高い。 しかし、何といっても本作の目玉は、バンド史上屈指の名曲で、うねるようにヘヴィなギター・リフにプラントのエキセントリックな歌唱が乗ったモンスター・ソング「IMMIGRANT SONG」の存在であろう。
ツアー途中に脱退したゲイリー・ムーア(G)の後任にミッジ・ユーロとデイブ・フレットを加え、一時トリプル・ギター編成となったバンドであったが、本作はPINK FLOYDのツアー・メンバーでもあったスノーウィ・ホワイト、後に正式メンバーとなるダーレン・ワートン(Key)を迎えて製作、'80年に発表された。 アルバムをとおして一貫したストーリーがあるわけではないが、各曲とも「チャイナタウン」という舞台で起きる表と裏の世界をテーマにしているという点でコンセプト・アルバムと言えるだろう。 収録曲も素晴らしく、特に冒頭の「WE WILL BE STRONG」はツイン・ギターやコーラスのハーモニーが美しくメロディアスな超名曲である。 他にも、ギター・リフがあまりにもクールなタイトル曲「CHINATOWN」、これまたツイン・ギターやコーラスのハーモニーが美しくも甘い「SWEETHEART」、軽快なシャッフル調ナンバー「SUGAR BLUES」、全英10位を記録した鬼気迫る疾走チューン「KILLER ON THE LOOSE」、キャッチーでありながらライヴ感覚を残したアグレッシヴなギター・バトルが聴ける「HAVING A GOOD TIME」、クールでハードボイルドな雰囲気漂う「GENOCIDE (THE KILING OF THE BUFFALO)」、ギターの奏でる甘いメロディが絶品のバラード「DIDN'T I」、フィルの優しげな歌唱が胸に染みる「HEY YOU」といった名曲揃いで、捨て曲など一切見当たらない。 数々の秀作を残している彼らであるが、本作も紛れもない名盤である。
前作「DOOMSDAY MACHINE」発表後、ギターの片割れクリストファー・アモットが脱退。 その穴をFIREWINDのガス・Gや元TALISMANのフレドリック・オーケソンといった名手が埋めてツアーを行っていたが、結局、クリストファーが復帰して製作されたのが'07年発表の7thとなる本作。 プロデューサーには名作「WAGES OF SIN」を手がけたフレドリック・ノルドストロームを再び起用。 空襲警報のようなサイレンに始まる緊張感に満ちた「BLOOD ON YOUR HANDS」、名曲「NEMESIS」を彷彿させる激速ナンバー「THE LAST ENEMY」、イントロのメロディが美しくメランコリックな「I WILL LIVE AGAIN」、アンジェラが凶暴なヴォイスを聴かせる「IN THIS SHALLOW GRAVE」、アルバムのリーダー・トラックともなった、'80年代的な曲構成のアンセム的ナンバー「REVOLUTION BEGINS」、ヘヴィで独創的なメロディを持ったタイトル・トラック「RISE OF THE TYRANT」、哀愁に満ちたギター・リフが初期IN FLAMESを彷彿させる「THE DAY YOU DIED」、マイケル・アモットがマイケル・シェンカーやウリ・ジョン・ロートを彷彿させるような必殺のギター・ソロを奏でる「INTERMEZZO LIBERTE」、サビに絡みつくギター・メロディが美しい「NIGHT FALLS FAST」、不気味なクワイアを聴かせる「THE GREAT DARKNESS」、美しく緊張感に満ちたギター・プレイが満載の「VULTURES」と、楽曲のクオリティは終始落ちることがなく、メロディアスなギター・ソロが満載の、バンドの最高傑作との呼び声も高い名盤。 アンジェラの歌も力強さと凶暴性を増している。 KISSの超マイナーな楽曲を見事に蘇生させた日本盤ボーナス・トラックの「THE OATH」も非常によい出来だ。