デビュー・アルバムから僅か数ヵ月後に発表された'71年発表の2nd。 プロデューサーは再びボブ・エズリン。 前作はデビュー・アルバムとしては申し分のない売上げを記録したものの、どことなく散漫な印象を受ける作品であった。 この2ndではバンドの方向性がしっかりと定まったとの印象を受けるが、これもひとえにアリス・クーパーのキャラクターをいち早く見抜き、ショック・ロッカーとして売り込んでいったボブ・エズリンのプロデュース能力のなせる業であろう。 バンドは既にこのころからギロチンや蛇を用いたシアトリカルなライヴを展開していた。 ロックのスタンダード・ナンバーともなった軽快なハード・チューン「UNDER MY WHEELS」と美しいアコースティック・ギターとオーケストレーションをバックに哀愁の歌メロを聴かせる名バラード「DESPERADO」を筆頭に、キャッチーなリフとコーラスの「BE MY LOVER」、オペラ座の怪人を思わせるメロディがギャロップ・ビートに乗って迫る大作「HALO OF FLIES」、モダンなドラム・サウンドを聴かせる「YOU DRIVE ME NERVOUS」、明るくキャッチーなノリの「YEAH,YEAH,YEAH」、ミステリアスかつドラマティックな「DEAD BABIES」、ハードボイルドなタイトル曲「KILLER」と、やはり捨て曲は見当たらない。 毒々しくも美しいアルバム・カヴァーも非常にクールだ。
前作「DOWN TO EARTH」発表後、TV番組「THE OSBOURNES」のヒットによりすっかりお茶の間の人気者と化した闇の帝王オジー・オズボーンが、スタジオアルバムとしては約6年振りに世に放った'07年発表の9th。 メンバーは、ザック・ワイルド(G)、マイク・ボーディン(Dr)のほか、METALLICAに加入したロバート・トゥルージロに変わり、ROB ZOMBIEのバンドにいたブラスコ(B)が参加(ツアーには一時、METALLICAを脱退したジェイソン・ニューステッドを参加させていた)。 プロデューサーには「UNDER COVER」にエンジニアとして参加していたケヴィン・チャーコを起用。 前作では作曲に関わることのなかったザックが、本作ではプロデューサーのケヴィンとともに作曲にほぼ全面的に参加。 その結果、ザックならではの魅惑的でパワフルなギター・リフの詰まった好作品に仕上がった。 現代版BLACK SABBATHのようなパワフルなギター・リフを持ったヘヴィ・チューン「NOT GOING AWAY」、まるでROB ZOMBIEのようなグルーヴ感を持つリーダー・トラックの「I DON'T WANNA STOP」、中近東風のメロディを導入し、オリエンタルな雰囲気を醸し出すことに成功した新機軸のタイトル・チューン「BLACK RAIN」の冒頭3曲は特に強烈。 愁いを帯びたバラード「LAY YOUR WORLD ON ME」、終始ハイ・テンションで突き進む「11 SILVER」、FAITH NO MOREにも似た曲調の「CIVILIZE THE UNIVERSE」、オジーお得意の甘いメロディを備えたバラード「HERE FOR YOU」、ザックの破壊力に満ちたギター・リフがかっこいい「COUNTDOWN'S BEGUN」も素晴らしい。 個人的には、ブラスコによるベース・ラインが印象的な「THE ALMIGHTY DOLLAR」とオジーの魅惑的な歌メロを中心とした「TRAP DOOR」といったザックが作曲に関わっていないモダンで実験的な曲よりも、緻密に刻まれるギター・リフの「I CAN'T SAVE YOU」やピアノをバックにした美しいメロディの「NIGHTMARE」といった伝統的ヘヴィ・メタルの薫りのする2曲の日本盤ボーナス・トラックを本編に収録して欲しい気はする。 いずれにしろ、KISSと同様、強力な最新作を出さずともツアーを行えるほどに存在が神格化したオジーがこのような充実作品を発表してくれたことに敬意を表したい。
「GAMES PEOPLE PLAY」等でもおなじみのJOE SOUTHの有名曲のカヴァーで、全米4位をも記録したヒット・シングル。 「na nana na nana na nana na」との陽気なメロディはあまりにも有名。 個人的にはオリジナルの方が好きなのですが、こちらの演奏はハイ・テンションで壮絶。
スウェーデン出身のメロディック・パワー・メタル・バンドによる、'97年に日本先行発売された2nd。 ジャーマン・メタルのような牧歌的メロディと北欧バンド特有のクラシカルなサウンドが我々日本人のツボを大いに刺激し、ここ日本ではたちまちに話題となった。 ヴォーカルが若干不安定であるなど技術には未熟な点も目立つし、音楽性もHELLOWEENのフォロワーの域を抜きんでるまでには至っていないが、正統的なメロディアス疾走チューンの「LOST IN TIME」、HELLOWEENのようなコミカルなメロディの「CHANGE THE WORLD」、アンダース・ザックリソンの伸びやかな歌声が秀逸な「THE VISION」、イングヴェイの「FOREVER IS A LONG TIME」のような「PENTAGRAM」、パッヘルベルのカノンをモチーフにしたメロディアス・パワー・メタルの名曲「RING OF STEEL」は特にお勧めのナンバーだ。 良質な楽曲群に比べて音質がチープなのが残念であり、いっそ良質のサウンド・プロダクションの下にアルバム全体をリメイクした形で聴いてみたい気もする。 海外版はアルバム・カヴァーと曲順が変更されており、日本版ではボーナス・トラック扱いだった2曲が本編収録されている。
1stに引き続き2ndも大ヒットを記録し、昇り調子にあったバンドが'80年に発表した3rd(邦題は「暗黒の掟」)。 彼らの作品の中でも特に地味な印象の強い本作であるが、駄作と決定付けるのは早計である。 イントロのギターからしてエディのそれと分かる「AND THE CRADLE WILL ROCK…」やトライバルなリズムのイントロから明るいメロディへと展開する「EVERYBODY WANTS SOME !」といったナンバーは特に彼ららしい好きナンバーであるし、物凄いシャウトを聴かせる「TORA ! TORA !」から前に前にと突っ込んでいくかの如く突き進む激走チューン「LOSE OF CONTROL」へのヘヴィメタリックな流れも素晴らしい。 後にMR.BIGが影響を受けたと思われるような白熱したプレイを聴かせる「ROMEO DELIGHT」は名曲だ。 ヘヴィなギター・リフの「FOOLS」、デイヴのファンキーな歌唱がマッチした「TAKE YOUR WHISKEY HOME」、良き田舎の風景を想起させるカントリー風の「COULD THIS BE MAGIC?」、演奏の押し引きが巧みな「IN A SIMPLE RHYME」も悪くない。 確かに前作までと比較すると突出して秀でた楽曲は見当たらないかもしれないが、バンド史上において最もヘヴィでラウドなサウンドが本作の特色だ。