THE WiLDHEARTSのジンジャーによる'06年発表のソロ・アルバム。 ギター・サウンドがノイジーな「UGLY」、ポップでほんのりと哀愁の漂う「MOTHER CITY」、クラヴ・ミュージックのようにグルーヴィーなインスト「G.T.T」、シングル・カットもされたキャッチーなナンバー「YEAH,YEAH,YEAH」、サビのメロディが極上の哀愁を伴う「TEN FLAWS DOWN」、美しく感動的なバラード「THE MAN WHO CHEATED DEATH」等を収録した1枚目、ホーンの音色がクールな「THE WAY」、次々とリフが繰り出される「DRINKING IN THE DAYTIME」、メロディアスなリフの「KEEP IT COOL」、ワイハーっぽいキャッチーでメロディアスな「ONLY LONELY」、美しいバラードの小曲「YOUR MOUTH」、サビのメロディがゴージャスで重厚な「CHANGE」、ハード・ロッキングな「MY FRIEND THE ENEMY」、ギターのイントロが強烈な「BULB」等を収録した2枚目からなる2枚組。 ワイハーほどにヘヴィではなく幾分バラエティに富んだ作風となっており、飛びぬけて優れた楽曲はないものの、どの曲にもジンジャーならではのポップで哀愁を含んだメロディが聴ける。 ボーナス・トラックとしてGINGER & SONIC CIRCUSでのライヴ3曲を収録。
ブルース、エイドリアンが復帰しての3作目、通算で14作目となる'06年発表作品(邦題は「戦記」)。 プロデューサーは三度ケヴィン・シャーリー。 宗教や戦争といった問題をテーマにしていることから全体的に暗い雰囲気が漂う作品であるが、本作の特徴は何といってもその収録曲の長さであろう。 なんと収録曲10曲中、9分台が2曲、8分台が1曲、7分台が3曲あるといった具合だ。 しかし、無駄に冗長な曲は一切なく、次々と繰り出されるメロディの美しさと展開美に酔いしれること請け合い。 個人的にはスティーヴが真骨頂を発揮したドラマティック大曲の「FOR THE GREATER GOOD OF GOD」が一押し。 その他も、歌メロやギターのハーモニーにTHIN LIZZYの影響を感じさせる疾走チューン「DIFFERENT WORLD」、ギター・ソロとクワイアのユニゾンが壮大な「THESE COLOURS DON'T RUN」、重厚さと疾走感とが同居した「BRIGHTER THAN A THOUSAND SUNS」、中近東風のリフがいかした「THE PILGRIM」、ブルースの伸びやかな歌唱が素晴らしい「THE LONGEST DAY」、ブルースのソロ作品の名曲「TEARS OF THE DRAGON」に激似の「OUT OF THE SHADOWS」、風変わりなリフがヘヴィでかっこいい、リーダー・トラックとなった「THE REINCARNATION OF BENJAMIN BREEG」、ブルースのハイ・トーン・ヴォイスが壮絶な「LORD OF LIGHT」、秀逸なリフとダイナミックな曲展開が魅力の大曲「THE LEGACY」と、若干過去の曲の焼き直し的なフレーズはあるもののの、好曲揃いである。 バンドも円熟味を増し、ますますWISHBORN ASH化してきたとの印象を得た。 ただ、やはり強力な疾走チューンがもう1、2曲欲しい気はするが。
'76年発表の2nd(邦題は「未来への招待状」)。 前作はジャム・セッションを発展させたインテンスな演奏とプログレッシブな展開が魅力的な作品であった。 レコード盤でいうところのA面(1~5曲目)は、ブリティシュ・ポップを髣髴させる新機軸の「ON A SATURDAY NITE」、ジョージ・ハリスンの秀逸で爽やかなカヴァー「IT'S ALL TO MUCH」、情念のこもったブルージーな「ANYWAY」、LED ZEPPELINのような重量感のある「SHE MAKES ME (FEEL ALRIGHT)」、ニールの扇情的なギターが聴ける「YOU'RE ON YOUR OWN」と起伏に富んだ内容となっているが、やはり注目は前作の作風をさらにグレード・アップさせたB面(6~8曲目)であろう。 優しげで美しいメロディと終盤のドラマティックな展開が魅力のタイトル曲「LOOK INTO THE FUTURE」、各演奏パートの攻めぎ合いが凄まじい「MIDNIGHT DREAMER」、正に目の前で演奏されているかの錯覚を受ける「I'M GONNA LEAVE YOU」の流れはとても秀逸。
バンドがHR/HMブームの中心的存在となる上での足がかりともなった、最高傑作との呼び声も高い'82年発表の8th(邦題は「復讐の叫び」)。 プロデューサーはトム・アロム。 前作での簡素化されたサウンドから一転、かつてのスピード感、メロディ、ドラマティックな曲展開といった美点を取り戻し、強力なリフとツイン・リードによるギター・ソロも充実させた意欲作で、英国のバンドならではの叙情性と適度なアメリカン・フレーバーとが上手くミックスされた作風が見事である。 HM史上において最も劇的なオープニングともいわれる「THE HELLION」からスピード感あふれるリフがあまりにかっこいい「ELECTRICK EYE」への流れは超強烈! 激しいドラミングとギター・リフがダイナミックな「RIDING ON THE WIND」、ロブの高音スクリームと流麗なツイン・リードによるギター・ソロが素晴らしい「SCREAMING FOR VENGEANCE」、突き進むようなギター・リフが単調ながらもかっこいい、アンコールでもおなじみのヒット・チューン「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'」といった名曲も聴き逃せない。 その他、印象的なギター・リフを持つ「BLOODSTONE」、ボブ・ハリガン・JRのペンによる叙情的な「(TAKE THESE) CHAINS」、ロブの情念のこもった歌唱が聴ける「PAIN AND PLEASURE」、叙情的なメロディとドラマティックな曲展開が美しい「FEVER」、バック・コーラスとの掛け合いもキャッチーな「DEVIL'S CHILD」といった好曲揃いで、捨て曲は見当たらない。 リマスター盤はボーナス・トラックに美しく叙情的なバラード「PRISONER OF YOUR EYES」とロブのハイ・トーンが凄まじい「DEVIL'S CHILD」のLIVEヴァージョンを収録。 個人的には、本作品こそがPRIESTの最高傑作である!!
PRIESTの全盛期といえる'82年のメンフィスにおけるライヴを収録した'83年発表のビデオ(後に2曲を追加した形で'06年に待望のDVD化)。 まるでSMのようなロブの衣装やブロンド・ヘアーがまぶしいK.K.のルックス、レーザー光線を駆使した立体的なステージセットも抜群にかっこいい。 オープニングはこの曲を差し置いては考えられない「THE HELLION~ELECTRIC EYE」、ロブの歌唱がスタジオ版を凌駕する「RIDING ON THE WIND」、メンバーの動きが非常にアグレッシブな「HEADING OUT TO THE HIGHWAY」、力強いロブの動きが何ともかっこいい「METAL GODS」、より重厚さを増した「BLOODSTONE」、フォーメーション・プレイがかっこいい「BREAKING THE LAW」、アグレッシヴに演奏される「SINNER」、スタジオ版を凌駕するスピーディーな演奏と持ち前のハイ・トーンで観客を煽る「DESERT PLAINS」、スモークがたかれる中で不気味なリフがこだまする「THE RIPPER」、あまりに激しく演奏される「DIAMONDS AND RUST」、珍しく演奏陣のバック・コーラスが聴ける「DEVIL'S CHILD」、ストロボ・ライトが点滅する中でのパフォームが見事な「SCREAMING FOR VENGEANCE」、ギタリスト2人の絡みと観客との掛け合いが見ものの「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'」、ロブとグレンの絡みも多い重厚なラス曲「VICTIM OF CHANGES」、アンコールにふさわしい軽快なロック・ナンバー「LIVING AFTER MIDNIGHT」、「SHOUT OH YEAH!」で散々観客をいじった後、美しいグリーン・ライトに照らされて演奏される「THE GREEN MANALISHI(WITH THE TWO PRONGED CROWN)」、ハーレーに跨って登場したロブが鞭を片手に大暴れをするセカンド・アンコール「HELL BENT FOR LEATHER」と、ベストな選曲による迫力のライヴが展開されている。
元SANTANAのグレッグ・ローリー(Vo,Key)とニール・ショーン(G)を中心に結成されたサンフランシスコ出身のバンドによる'75年発表の1st。 その他のメンバーはジョージ・ディックナー(G)、ロス・ヴァロリー(B)、エインズレー・ダンバー(Dr)。 ニールのギターがメロウでドラマティックな「OF A LIFETIME」、正に朝の爽やかさを想起させる「IN THE MORNING DAY」、美しさと破天荒さを兼ね備えたインスト曲「KOHOUTEK」、グレッグによるキーボードが活躍する「TO PLAY SOME MUSIC」、複雑な展開がプログレッシヴなインスト「TOPAZ」、美しくドラマテックなパートと激しくロックするパートによる「IN MY LONELY FEELING/CONVERSATIONS」、堅実なベース・プレイと自己主張するギターに彩られた「MYSTERY MOUNTAIN」と、産業ロックの代表格のように謳われた現在の彼らからは想像もつかないようなインスト・パート中心とした英国的でプログレッシヴなロックが聴ける。 中でもニール・ショーンの激しく美しいギター・プレイとエインズレー・ダンバーのアグレッシヴなドラミングは秀逸!
DAMN YANKEESの活動停止後、同バンドのメンバーだったトミー・ショウ(Vo,G)とジャック・ブレイズ(Vo,B)の2人のプロジェクトにより'95年に発表された作品。 ドラマーにやはり元DAMN YANKEESのマイケル・カーテロンと元JOURNEYのスティーヴ・スミスが参加。 アコースティック・ギターを基調としたサウンドが全編を覆っており、CREAMの「SUNSHINE OF YOUR LOVE」のリフを拝借したような「MY HALLUCINATION」、爽やかなコーラス・ワークが美しい「I ALWAYS BE WITH YOU」、AEROSMITHがカヴァーしたら見事にはまりそうな「COME TO BE MY FRIEND」、優しげで温かみのあるバラード「DON'T TALK TO ME ANYMORE」、EAGLESを髣髴させる「I STUMBLE IN」、甘く切ないメロディを持った「I CAN'T LIVE WITHOUT YOU」等、AEROSMITH、ALICE COOPER、VINCE NEILといった大物に楽曲を提供している作曲チームだけあってどれも楽曲の質が高く、まるで「余計な装飾がなくともいい曲はいい」と主張しているようである。 まあ、悪く言ってしまえば提供楽曲サンプル集のようにも聞こえてしまうのだが。
アルバム・ジャケットのカミソリの刃のように鋭利でソリッドに研ぎ澄まされたリフに重点が置かれた'80年発表の名盤。 プロデューサーは同年にDEF LEPPARDのデビュー・アルバムも手がけるトム・アロム。 これまでの作品にあったメロディや構築美、ギター・ソロといった要素を一切排除した作風は、ある意味問題作とも言えるが、それ以上に曲が良いのが本作の強み。 後に自らの代名詞ともなったヘヴィ・チューン「METAL GODS」、一度聴いたら忘れることのできない、あまりにもかっこいいギター・リフを持つ「BREAKING THE LAW」、アンコールには欠かすことのできないパーティ・ロック・ソング「LIVING AFTER MIDNIGHT」といった代表曲を始め、文字どおり弾丸のような突進力に満ちた「RAPID FIRE」、金属を削るような研ぎ澄まされたギター・リフを持つ「GRINDER」、聖歌のような観客合唱型ナンバー「UNITED」、明るいロック調ナンバー「YOU DON'T HAVE TO BE OLD TO BE WISE」、重厚で威厳に満ちた「THE RAGE」、疾走感に満ちたリフが延々と繰り返される「STEELER」といった好曲が収録されている。 リマスター盤には英国国歌のような「RED,WHITE AND BLUE」と'80年のアメリカ・ツアーにおける「GRINDER」の臨場感溢れるライヴ・バージョンが追加収録。 アメリカ進出前のバンドの集大成とも言うべきアルバムであり、これまでのアルバムは本作に辿り着くまでの通過点であるといっても過言ではない! なお、本作よりドラマーがレス・ビンクスから元TRAPEZEのデイヴ・ホーランドに交代している。