前作「BACK IN BLACK」での大成功を引き継ぎ、ついに全米1位に到達した'81年発表の大ヒット作。 プロデュースは三たびロバート・ジョン“マット"ランジが手がけており、そのヘヴィかつファットな音作りは絶品。 楽曲の方はというと、明るくノリのいい「PUT THE FINGER ON YOU」、AC/DC独特のリズム感を持った「LET'S GET IT UP」、リフがヘヴィな「INJECT THE VENOM」、テンションの高い「SNOWBALLED」、「T.N.T」を髣髴させるコーラスの「C.O.D.」、コーラスがキャッチーな「NIGHT OF THE LONG KNIVES」、不気味な盛り上がりを見せる「SPELLBOUND」等、決して悪くはないものの、いかんせん決定打に欠ける。 ライヴにおけるラス曲として定番となっている大砲ぶっ放しナンバー「FOR THOSE ABOUT TO ROCK(WE SALUTE YOU)」は緩急をつけた展開が見事な名曲ではあるが。
前作「HIGHWAY TO HELL」は紛れもない名盤であったが、結果的にボン・スコットの遺作となってしまった。 バンドは意気消沈することなく、ボンの後任の座に英国はニューキャッスル出身のブライアン・ジョンソン(元GEORDIE)を据えて活動を再開。 結果、全英で1位、全米でも4位といった空前の大ヒットを記録したのが'80年発表の本作だ。 プロデュースは前作に引き続き名手ロバート・ジョン“マット"ランジ。 新加入のブライアンの歌声については好き嫌いがハッキリと分かれるところであろうが、そのカミソリ・ヴォーカルは強力無比だ!! ボンへの追悼の意を表すような鐘の音のイントロがあまりにも有名な超名曲「HELLS BELLS」、その余韻覚めやらぬままに抜群の疾走感で聴き手を惹き込む「SHOOT TO THRILL」、ロック界屈指の超有名ギター・リフがインパクト絶大な「BACK IN BLACK」、キャッチーなコーラスが秀逸な「YOU SHOCK ME ALL NIGHT LONG」といった代表曲を始め、ビッグなサウンドと力強いコーラスが魅力の「WHAT DO YOU DO FOR MONEY HONEY」、ブライアンとバック・コーラスとの掛け合いがかっこいい「GIVEN THE DOG A BONE」、AC/DCにしてはあまりにもメロディアスな隠れた名曲「LET ME PUT MY LOVE INTO YOU」、トリッキーなギター・リフを聴かせる「HAVE A DRINK ON ME」、駆け上るようなリフがかっこいいハイ・テンション・ナンバー「SHAKE A LEG」、ルーズで気だるい感じがたまらないヘヴィ・ロック「ROCK AND ROLL AIN'T NOISE POLLUTION」と、バラエティに富んだ楽曲のいずれもが超強力。 バンドの代表作であることは勿論、ロック史に残る名盤である。
BON JOVIと同じニュー・ジャージー州出身の4人組による'90年発表の1st。 コアなHR/HMファンの間ではアイドル・バンドのような受け取られ方をして毛嫌いされてしまったが、実力はしっかりしており、これぞアメリカン・ハード・ロック!といった趣の名曲「HEART OF STEEL」、ほのぼのとしたメロディの「ONE IN A MILLION」、優しげな歌声が感動を呼ぶバラード「SURRENDER」、ノリのよさが抜群の「GIVE IT TO ME GOOD」、哀愁のメロディが秀逸な「ONLY YOUNG ONCE」、サビがキャッチーな「ALWAYS A VICTIM」、ヘヴィなリズムが心地よい「PLAY ROUGH」、甘い歌声のバラード「ON AND ON」等、楽曲の質も文句なしであった。 上の方の発言にもあるとおり、FIREHOUSEやGOTTHARD等が好きなファンにはオススメ。
マシュー“マット"タック(Vo, G)、マイケル“パッジ"パジェット(G, Vo)、ジェイソン“ジェイ"ジェイムズ(B, Vo)、マイケル“ムース"トーマス(Ds)の4人編成の英国はウェールズ出身のバンドによる'05年発表の1stフル・アルバム。 ここ日本においても新世代ヘヴィ・メタル・バンドとして賞賛されており、クリーン・ヴォイスとデス・ヴォイスを使い分けたヴォーカルとIRON MAIDEN直系のギター・メロディが特徴のサウンドは最近のIN FLAMESやSOILWORKに近いものも感じさせる。 叙情的で美しいAPOCALYPTICAによる「INTRO」から続く破壊的でアグレッシヴなヘヴィ・チューン「HER VOICE RESIDES」、イントロのギターがメロディアスな「4 WORDS (TO CHOKE UPON)」、ヴォーカルとユニゾンで奏でられるギターがかっこいい「HIT THE FLOOR」、慟哭のような歌唱を聴かせる劇的な「ALL THESE THINGS I HATE (REVOLVE AROUND ME)」、カツカツと刻まれるリフがクールな「ROOM 409」、メロディアスなギターを聴かせるタイトル曲「THE POISON」、ツイン・ギターのハーモニーが美しい「10 YEARS TODAY」、イントロのメロディが美しい「CRIES IN VAIN」、心地よい疾走感を持った「SPIT YOU OUT」、メタルの魅力を全て詰め込んだようなドラマティック・ナンバー「THE END」と好曲揃いであるが、個人的にはサビのメロディが叙情的で美しい「TEARS DON'T FALL」とあまりにもかっこいいギター・リフを持ったアルバムのハイライト曲「SUFFOCATING UNDER WORDS OF SORROW (WHAT CAN I DO)」がヘヴィ・ローテーション。 間違いなく次世代を担うこととなるバンドの一つであろう!!
本国の米国では'05年に発表されたカリフォルニア州出身の5人組による3rd。 これまではハード・コアなサウンドを奏でるバンドであったが、本作は「ホントに米国のバンドなの?」と耳を疑いたくなるほどメロディアスで、むしろジャーマン・メタルのそれに近い。 サビにおけるメロディが抜群のかっこよさを誇る名曲「BEAST AND THE HARLOT」、イントロのギターがHELLOWEENを髣髴させる「BURN IT DOWN」、ツインで奏でられるギターがかっこいい「BLINDED IN CHAINS」、ロックン・ロール色が強く突進力の凄まじい、リーダー・トラックともなった「BAT COUNTRY」、メロスピ・ファンには涎モノの激走チューン「TRASHED AND SCATTERED」の冒頭からの5連発にはノック・アウト必至! その後は、GUN'Sのスラッシュのようなギター・ソロを聴かせる「SEIZE THE DAY」、オールド・スクール・スラッシュ・メタルのようなギター・リフの「SIDEWINDER」、ギター・フレーズがスリリングな「THE WICKED END」、アルバムのハイ・ライト的な壮大でドラマティックなナンバー「STRENGTH OF THE WORLD」、バック・コーラスとの掛け合いが美しい「BETRAYED」、メロディアスなツイン・リードによるギター・ソロと壮大なクワイアが美しい「M.I.A.」と、ストリングスやシンガロングを導入した壮大な曲が目立つ。 全身タトゥーだらけのバッド・ボーイなメンバーのルックスもクール! 「未来のメタル界を背負って立つのは彼らでは?」と期待させるほどに将来が楽しみなバンドだ。
元GUNのポール(G,Vo)&エイドリアン(B,Vo)のガーヴィッツ兄弟と元SPOOKY TOOTHのマイク・ケリー(Dr)の3人で結成されたバンドによる'70年発表の1st。 とにかく各楽器のハイ・テンションなプレイが半端じゃなく凄まじい! 気合の入った各楽器のプレイの応酬が凄まじい「BUTTER QUEEN」、ツインで奏でられるギター・リフがかっこいい「DAZE」、ドッシリと刻まれるヘヴィなリフがクールな「ANOTHER WAY」、美しい情景が目の前に浮かぶようなドラマティックな名インスト曲「A THIRD OF A LIFETIME」、バンド名を冠したメロディアスかつドラマティックな名曲「THREE MAN ARMY」、哀愁ある歌メロが秀逸な「AGENT MAN」、まるで機関車のような突進力が凄まじい「SEE WHAT I TOOK」、メロディがあまりにも物悲しい「TOGETHER」等、楽曲も熱いプレイが凝縮された曲、ドラマティックな展開を見せる曲、叙情的な美しさを備えた曲と幅広く、それでいて散漫な印象を与えないのだから素晴らしい。 穴空きジャケットも秀逸。
↑でも既に説明されているとおり、1st~4thまでの代表曲にリミックスを施したベスト盤。 2ndから「I'M A REBEL」、「THE KING」、3rdから「BURNING」、「SON OF A BITCH」、「BREAKER」、「MIDNIGHT HIGHWAY」、4thから「FAST AS A SHARK」、「PRINCESS OF THE DAWN」、「RESTLESS AND WILD」と、代表曲はほぼ抑えられている(1stからの曲と、個人的には「STARLIGHT」と「FLASH ROCKIN' MAN」は収録して欲しかった気もするが)。 バック・コーラスが前面に出ているなど音質はよりクリアになっているが、個人的にはラフなオリジナルの音蔵の方が好きだな。
アメリカ進出のきっかけとなった'84年発表の5th。 プロデュースはバンド自身、エンジニアはMSGを手がけたルイス・オースチン。 ギターの片割れにハーマン・フランクが加入。 全体的にミディアム・テンポのナンバーが中心となっていることから地味であるとの声もあるが、どうしてどうして。 この作品は「男の挽歌」的な哀愁の度合いが素晴らしく、個人的にはJUDAS PRIESTの「DEFENDER OF THE FAITH」と双璧をなすものである。 男声コーラスがヘヴィで迫力満点な永遠のアンセム「BALLS TO THE WALL」、グルーヴィーなリフがかっこいい「LONDON LEATHERBOYS」、ウドが狂獣のようなシャウトを聴かせる「FIGHT IT BACK」、哀愁漂う歌メロと美しいギター・フレーズの名曲「HEAD OVER HEELS」、こちらも歌メロに哀愁漂う隠れた名曲「LOSING MORE THAN YOU'VE EVER HAD」、ギター・リフとブリッジのメロディがかっこいい「LOVE CHILD」、歌メロが感動的ですらある「TURN ME ON」、正統派ヘヴィ・メタルの「LOSERS AND WINNERS」、やはり哀愁あるメロディが秀逸な「GUARDIAN OF THE NIGHT」、クリスタルのような輝きを放つバラード「WINTERDREAMS」と、捨て曲なしの名盤。
前作にも増してヘヴィ・メタリックになった'82年発表の4th。 前作発表後、ヨルグ・フィッシャー(G)が脱退し、本作のギター・パートは全てウルフが担当している。 プロデュースはバンド自身が行い、エンジニアにはマイケル・ワグナーを迎えている。 このアルバムの強みは何といってもヘヴィ・メタル史上に残る超名曲「FAST AS A SHARK」が収録されていることだろう。 ウドの金切り声シャウトとツイン・リードによるギター・ソロが印象的なこの疾走曲は後続バンドたちに多大な影響を与えた。 ほかにも、前に前にと突っ込んでくるような迫力に満ちたタイトル曲「RESTLESS AND WILD」、破壊力と叙情美とが同居したクラシカルな「NEON NIGHTS」、N.W.O.B.H.Mのような正統派ヘヴィ・メタル曲「FLASH ROCKIN' MAN」、名リフにより繰り広げられる展開がドラマティックな超名曲「PRINCESS OF THE DAWN」といった代表曲を収録。 ギターのカッティングがかっこいい「AHEAD OF THE PACK」、ヘヴィで破壊力抜群の「SHAKE YOUR HEADS」、縦ノリロック・ナンバー「GET READY」、ストレートなメタル・ソング「DEMON'S NIGHT」、サビのメロディが明るくも哀愁のある「DON'T GO STEALIN' MY SOUL AWAY」も悪くない。 本作を最高傑作に挙げるファンも多いHM史の残る名盤。