全編でこの突き進むテンション、知らぬ間に頭を振ってること間違いなし。SLAYERの「Reign In Blood」が世に送り出した破壊力、殺傷力に満ち溢れたエクストリームサウンドでスラッシュ史の永遠の名盤を語り継がれる作品なら、同様にこのアルバムもデスラッシュとロックンロールとの融合を試みた革新的なスタイルで構成されたサウンドが世のエクストリームファンを震撼させたという意味ではデスラッシュ史に語り継がれる永遠の名盤に相応しい作品だと思う。とにかく聴いてみてください。
なんとなくだけど「ANGEL OF DEATH」を思い出す。かなり似てる気もするけど‥雰囲気とかじゃなく何か。そういえば最近はKREATORなんかもそーゆう曲あったよなぁ。さておき、 "デスラッシュンロール"と形容されるのも頷かせてしまいそう。途轍もない暴虐的なアグレッションにR&R調のノリも息づいている様子、聴いてて心地よく違和感なく、異様なテンションであっという間に畳み掛ける。
スウェーデンの暴走デス/スラッシュ・バンド、初代ヴォーカリスト・ピーター・ドルヴィングが復帰しての4th。 攻撃的なリフと短いながらここぞと炸裂する叙情性溢れるギター・ワークは強力であり、ピーターの過熱気味なヴォーカルとは対にあるようなこの演奏隊、看板スタイルともいうべきビョーラー兄弟の冷淡でエモーショナルなツイン・ギターを今作で最大限に活かしているのは何より今作のピーターのヴォーカルの「引き」を挿入したパートでもあるような気がする。展開毎に突如「押し」でも「引き」でも自在に操っているのが強力な緩急となって、バンドの軸になってる部分だと思う。いままで通りのアグレッションに加えて叙情性を持ち合わせたところが大きい。メタリカじゃないが初期のスピードより重さ、怠さを試みたスロー・テンポの曲が目立つが、それこそピーターの表現力の幅がぐんと上がっていることを証明している。スタスタ突っ走る疾走感とかキレ味鋭いリフ・ワークからSLAYERの面影でもあり、血統が感じられるAT THE GATES譲りの叙情性でもあり、尚かつアルバム全体から爆発するアグレッション剥き出しのバンド・アンサンブルからは、それらと似付かないモダニズムな感触があり、独特で、狂気を感じさせる不穏な雰囲気がある。アルバムのまとまりの良さは全作で見ても抜群だと思う。メロウな部分にも徹底した音作りになっているところこそ、バンドの成長を示しているところだろう。最初に聴いて「お!」っていう曲はそれほどないけど、余分な肉がないソリッドなアルバムに仕上がっている。