アルバムの完成度は高く、個人的に内容も充実した仕上がりだと思う。なんと言ってもオープニングを飾る「It's My Life」、この曲こそ「低迷の10年」を経験した彼らを一気に救い上げ第二の黄金期へ突入させるに相応しいロック・ナンバーでしょう。賛否が分かれるアルバムだが、良くも悪くもBON JOVIはここで吹っ切れた。これを著頭に、いかにもBON JOVIらしい全体のポジティブさ、歌詞に込められた強いメッセージ性、ポップな質感は今作でもさすが、と思わせるセンスだし、それに聴き応えあり一緒に歌えるところあり、とどれも魅力的なメロディを持った楽曲が豊富に並んでいて楽しい。
新作(現時点ではまだ)「HAVE A NICE DAY」、そのタイトルトラックだが、個人的には好きな曲だ。ここ数年「静かになった」みたいに言われてるけど、その一方でこの曲はその世間をぶっ飛ばしそうな威力を持っているかもしれない。なんせ「新作はへヴィなギターが詰まったレコード」と語るようにこの曲ではリッチーがバックアップ係(?)ならずムードを自ら引っ張ってる感がある。 それに乗るジョンのヴォーカルも「CRUSH」時のような、あの「It's My Life」の精神とも感じ取れるようだ(個人的には)。 「衰え」という心配どころか、よりパワフルで歌心もさらに表れたかのような、ヴォーカリストとしての深みを増した印象を受けた。素晴らしい。 曲調は思うよりもわりと陰りのような感触だった。意味するものはわからないが。ともあれ、新作ではどうなるのか期待してる。
このアルバムは素晴らしい。ここでは若い頃のBON JOVIで聴けた荒くれだった80年代の'華'の面影はなく、90年代に突入し、ここではむしろしっとりとした質感を重点におき、渋く哀愁のある'大人のロック'の苦み、感動を堪能させてくれる。「KEEP THE FAITH」も同様、彼らはこの時代から円熟期に突入する。