ほかの方もおっしゃる通り音質がすごくいいですね。スラッシュメタル由来の切れ味の鋭いギターサウンドに加え、メタルコアバンドらしいへヴィネスも効いていて痛快です。各楽曲もAS I LAY DYING流ドラマティシズムで彩られており、劇的です。こういうドラマ性のある楽曲群を聴くと、AS Iはもろにメタルだなと思わざるを得ません。またギターソロもなかなか聴きごたえのあるものが多いですし、ドラムも要所要所で曲にダイナミズムを与えるような叩き方をしているのもグッドです。傑作です。
自分は前作、「VULCAMUS」収録のCULTURE OF FEARという曲をマイスペで聴いて、OPETHをハードコアにしたような感じでおもしろいなという感想を抱き、そのアルバムを買った次第でありますが、他の曲がもろにメタルコア、メロデスだったのでかなりがっがりしたのを覚えています。いやその後好きになりましたけど。 で今作なんですが、その「CULTURE OF FEAR」という曲にあった70年代のハード/プログレッシヴ・ロックといった要素が核になるとまでは言いませんが、かなり強まっています(でも実は自分は70年代のロックはよく知らない、とりあえずレコード会社の人が70年代と言ってたので)。そしてさらに今作では90年代前半のグランジだとかモダンヘヴィネス、特にALICE IN CHAINS、PANTERAのようなバンドが持っていたヘヴィネスがかなり強く導入されています。この点が一番の変化点ではないでしょうか。また曲によってはDOWNやMESHUGGAHっぽい要素もあります。叙情性はかなり減退したんですが、コーラスなどで大胆に取り入れらている場面もあり、またその取り入れ方がかなり上手くなっています。ボーカル面に目を向けると、グロウルは減ってかなりクリーンボイスが増えたんですが、クリーンボイスのアプローチの仕方で意識しているのは、前述のような90年代のバンドではないでしょうか。 あ~、あと、疾走する曲がほとんど無くなりました。ミッドテンポの曲がほとんどで、じっくり聴かせるような作風になりましたね。 とにかく前作から驚くべき進化を遂げていますが、全くもってメロデスでもメタルコアでも、ましてニュースクールハードコアでも無くなり、むしろSABBATH系の音を中心に いろいろなメタルやプログレ、ハードロック取り入れてみたジャンル不明瞭な音楽という趣さえします。なのでとりあえずメタルコアが嫌いであったり、聴けなかったりするような人もいけそうなサウンドなので、いっちゃってください。