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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 101-200

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 101-200
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ABSU - Absu ★★★ (2009-02-23 18:37:00)

2009年発表の5th。約8年ぶりとなるフルアルバム。

2001年に「TARA」をリリースして以降、Proscriptor氏がドラマー生命に関わるような怪我をしたり、結成当初からのメンバーがバンドを脱退したり、レーベルを移籍したりかなり紆余曲折を経て完成したアルバムらしいですね。Proscriptor自身も、一時的にバンドを辞めてSLAYERのオーディションに行ったこともあったとか。セルフタイトルアルバムを作る構想自体は、随分前からあったそうです。去年からリリースされると言われてて、かなり楽しみにしてました。

路線自体はスラッシュを更に凶悪化、テクニカル化したようなブラックなんですが、まず一聴して随分洗練されたような印象を受けました。「Tara」は、アンサンブルや曲自体はかなり良かったものの、微妙なハイトーンやポコポコドラムなど、B級っぽい箇所もありましたが、今作は見事に改善されてます。ヴォーカルは早口でのリズミカルな吐き捨てにねちっこく邪悪な伸びも加わって、今までとは比較にならないくらい切れ味鋭くなってるし、音質はクリアさもブルータリティも申し分なく、ブラック的な繊細さも感じさせて間違いなく一級品だと思う。

…前作「Tara」は聴きながら、「こんな音だったらいいのになぁ…」と脳内補完してたんですが、その妄想が余りにも忠実に具現化されたような音に、思わず笑ってしまいました(笑)。ただ、これだけエクストリームメタル然とした、洗練された音になってしまうと、前作までのB級っぽさや、ダーティな雰囲気を懐かしく思ってしまう人もいるかもしれません。

また、今作はリフとリズムが弾幕を張るようなテクニカルなアンサンブルの魅力はそのままに、更に曲のヴァラエティが広がってる感じがしますね。北欧のブラックのような寒々しい疾走、MELECHESHにも通じる中近東メロ、AVERSE SEFIRAを思わせる混沌としたリフなど、様々な要素を取り込んでるお陰で、通して聴いても最後まで飽きずに聴けます。Proscriptor氏は、以前のメンバーの曲と現メンバーの曲が混在してるおかげで、アルバム全体が良い感じに多様性に富んだものになったと思う…と言ってますね。

デス/ブラックに理解があれば、およそ買って損をすることはないんじゃないか…と言うくらい質が高い作品だと思いますが、MELECHESH、AVERSE SEFIRAなどのデス要素のあるブラック、KEEP OF KALESSIN、IN BATTLEなどの「かっこいい」ブラックが好きな方には特にお勧め。今年は頭からこんな素晴らしい作品を聴けて幸先がいいです。

今年の流行語は「ABSU-LUTELY!!」でキマリだ!!


ABSU - Absu - ...Of the Dead Who Never Rest in Their Tombs Are the Attendance of Familiar Spirits... Including: a) Diversified Signs Inscribed - b) Our Earth of Black - c) Voor ★★★ (2009-02-23 18:27:30)

曲名長っ。BAL-SAGOTH超えたかも(笑)。
タイトルもインパクトありますが、曲の方もどこまでも上り詰めるようなギターメロに始まり、クワイアやハープシコードを導入した神秘性の演出、プログレッシブなキーボードソロと来てラストはアンビエントで締めと大盤振る舞いで、この一曲で一つのエピックになっている感じ。特に最初のコーラス前のギターがかっこよすぎです。


ABSU - Absu - Amy ★★★ (2009-02-24 18:33:19)

勇壮なメロディ、ダミ声のヴォーカル、キーボードやブラスによる雰囲気の演出など、ヴァイキングメタルのテイストが感じられる曲。ABSUのコンセプトからしたらこういう曲を演っても不思議じゃないのかもしれませんが…1曲目、2曲目に続いて新しく得たカードを惜しみなく出してくるようで実にスリリング。
ちなみにこのアルバムでは、ハイトーンは封印してるのでアレが苦手だった人も安心して手を出せます。


ABSU - Absu - Between the Absu of Eridu & Erech ★★★ (2009-02-23 18:31:47)

短いイントロのあとで繰り出される、明らかにメジャークラスの垢抜けた音に驚く人も多いはず。マーチ風パートの威圧感といい、凄く風格があると思う。ヴォーカルも凶悪に、凄絶になっただけでなく、パーカッシブな感覚はある程度残っているのが良いですね。


ABSU - Absu - Magic(k) Square Cipher ★★★ (2009-02-24 18:38:29)

頭の寒々しい疾走は北欧のバンドみたいですね…それにオカルトで言う携挙のシーンを思わせる神秘性を加えた感じ。北欧パートが終わると、異国メロをフィーチャーしたテクニカルな展開に。リードギターとドラムの絡みは、なにか鬼気迫るものがあります。


ABSU - Absu - Night Fire Canonization ★★★ (2009-02-24 18:29:03)

中近東の香りのするメロディとデス/スラッシュ寄りブラックを組み合わせた作風は、ちょっとMELECHESHみたいですね。リフと連動する、パーカッシブなヴォーカルラインもそれっぽい。ちなみに、ギターソロはBlasphemer(ex-MAYHEM)が弾いてます。


ABSU - Absu - Sceptre Command ★★★ (2009-02-24 18:42:06)

このキレのいいヴォーカルラインは、やっぱりスラッシュがベースにあるバンドだからこそでしょうか。今作ではそこにブラックの凶悪さもたっぷり注がれていて本当にかっこいい。めっちゃ細かいけど、「projects」の吐き捨て方が好き(笑)。トレモロをふんだんに使用した、テクニカルなリフ捌きも素晴らしい。


ABSU - Absu - Ye Uttuku Spells ★★ (2009-02-24 18:45:11)

AVERSE SEFIRAにも通じる、カオティックで不穏な雰囲気の曲。
…アルバムラストがこんな不吉な曲→インスト、でいいんでしょうか(笑)。AVERSE SEFIRAよりは多少愛想が良い感じはしますが、かなり邪悪です。


ABSU - Abzu ★★★ (2011-11-27 21:58:48)

2011年発表の6th。
ギターソロでex-MAYHEMのBlasphemerがゲスト参加。
曲数こそ6曲と少ないものの、ラストが組曲形式の大作なので、然程物足りなさは感じないかと。

まずアルバム最初の「あーーーーーーッ」で吹きました(笑)。テレビの企画でジェットコースターに無理矢理乗せられたアイドルの悲鳴を思わせる…と書こうと思いましたが、それよりももっと可愛らしい…と思い直したほどの嬌声ハイトーン(笑)。その声、封印したんじゃなかったのか…しかも、「Tara」アルバムの時より可愛くなってて、思わず萌えてしまいました(笑)。

…それはそれとして、路線の方は前作同様、スラッシュの凶悪さを追求したら、ファストブラックの域に踏み込んだかのようなテクニカルで、疾走感あるブラックメタルでやはりエクストリームメタルとして1級品のクオリティ。Proscriptor氏のセンス溢れるドラミングと、それに追従する刻みを多用した、スラッシーでフックのあるリフの絡みに惚れていた人なら今作も絶対に買うべき。

ただ、前作よりも全体的にヤケクソ感が増してる…というか戻ってきてる印象なんですよね。ヴォーカル面でも前作のシャープさはそのままに、フレーズの一部を強調して吐き捨てる歌い回しをしていたり、リズム面でもスラッシュのハードコア由来のグルーヴィな感覚がより強くなっていたりで、テンションの高さが異様なことに。完成度は落とさずに、前作を洗練されすぎたと感じた人でも、満足できる作品に仕上げてきたと思う。

取り合えず前作に続いて必聴盤であることは間違いありません。エクストリームメタルのような、リフとリズムの絡みで引っ張っていくような音楽が好きならば、まず買って損はしないと思う。


ABSU - Mythological Occult Metal 1991-2001 ★★ (2007-06-09 19:06:00)

2005年発表のベスト盤。レアトラックやカヴァー、ライブ、サントラ提供曲など、アルバム未収録曲を中心にした構成。

基本的にはスラッシュ寄りのブラックですが、やっぱり10年分の曲が入っているので色々なタイプの曲が楽しめて面白いですね。最初期の曲なんかはBEHERITを思わせる吐瀉物を噴きそうなヴォーカルをフィーチャーした、デス寄りのスタイルですし、この時点での最新作の「TARA」収録曲の一枚目の3曲目なんかは、確かな演奏力と迫力のある曲作りで聞かせてる非常にハイクオリティなブラックをやってます。シンセのインストなんかも収録されていて幅広い音楽性。音質は、流石に綺麗さでは音源によってかなり開きがありますが、おそらくリマスターされているらしく極端な音量の上下も無く快適に聴けます。

このアルバムで最も興味深いのはProscriptorの存在。
彼がバンドの主導権を握ってから明らかにリフの多様性や曲のドラマティックさ、演奏の上手さなどがレベルアップしていると思います。特に彼のドラムはかっこよく、前述の一枚目の3曲目で聴ける馬鹿みたいに速いロールなんかは圧巻。ただ、ヴォーカルはShaftielが続けたほうが良かったなぁ…偶にとっちゃん坊やや女の子を思わせる高音シャウトをするのがずっこけるし、二枚目5曲目のライブMCの高音なんて鳥肌立ちそうなくらい苦手な声。かといってデス声の方も取り立てて魅力的とは言いがたい。ドラムに専念して欲しいんですが…

このバンド、最近アメリカのバンドが話題になっているのに、曲のクオリティの高さの割にはあまり話題になってませんが、やっぱりヴォーカルにパンチが足りないからかなぁ…個人的にはこの曲の高品質さとKRIEG並にブチキレたヴォーカルを両立させてくれたら最高だと思うんですが、やっぱりキツいのかなぁ…。


ABSU - Mythological Occult Metal 1991-2001 - Deathcrush ★★ (2007-06-09 18:43:17)

MAYHEMカヴァー。
ベスト盤のバージョンだと頭に「Silvester Anfang」が付いたものになってます。MAYHEMのミラノでのライブ版に負けないくらい、爆発力のあるアレンジ。でもヴォーカルはManiacやDeadに比べるとかなり魅力に欠けるのがマイナス。


ABSU - Mythological Occult Metal 1991-2001 - Reliquiae Celticae (2007-06-09 18:46:49)

シンセインストまでこなすProscriptorの器用さに脱帽。


ABSU - Mythological Occult Metal 1991-2001 - The Gold Torques of Ulaid ★★ (2007-06-09 18:40:17)

なんてかっこいいリフ捌きなんだ…
なんて嫌な声のヴォーカルなんだ…
なんでこんな良い曲にこんなヴォーカルを乗せるんだろう。勿体無い…


ABSU - Mythological Occult Metal 1991-2001 - Transylvania ★★★ (2007-06-09 18:45:11)

IRON MAIDENカヴァー。
いわゆる「メイデンリフ」の叙情性と、ABSUの爆発力。これが合わされば名曲間違いなしって感じですね。インストなので、リフの良さをじっくりと味わえるのも良いです。


ABSU - Tara ★★★ (2008-04-09 23:07:00)

2001年発表の4thアルバム。
このアルバムの日本盤が出たら、帯の表記が「亜不細工/鱈」だったりして(笑)

この作品の特徴は、皆さんも仰っている通り、とにかく速い!!しかもそれだけに留まらず、演奏が非常にテクニカルでかっこいいんですよね。スラッシュがルーツにあるらしく、ドラムはオカズ入れたり速い中で緩急つけたりして聴き応えありますが、その全てが体感速度を速めることに向けられてる感じ。その馬鹿っ速いドラムに連動するリフ捌きも実にテクニカルかつスリリング。ドラムとリフの絡みあいを聴いてるだけでどうにかなってしまいそうな程です(笑)。

ただ、曲は特A級なのにドラムの音やヴォーカルがイマイチだったり、どうにも微妙にB級感が漂ってるんですよね…特にヴォーカル、デス声が今ひとつなのは良いとして、3曲目冒頭の女の子が無理矢理絶叫マシーンに乗せられたかのようなハイトーンには思わず笑いが…。見た目のゴツさもあって、女装(ワンピースのスカート)したヒゲマッチョが突風でスカートを捲られて「イヤーン」っていう絵が浮かんでしまい、オカルティックな雰囲気が台無し(笑)。

…なんて散々な事を言ってますが、内容自体はスラッシーなハイスピードの中、メタルらしい楽器のスリルあるせめぎあいが堪能出来る名盤。KEEP OF KALESSINの近作や、CADAVER INC等ハイクオリティでテクニカル、かつ激速なブラックが好きならば間違い無くマスト盤かと。


ABSU - Tara - Stone of Destiny (...for Magh Slecht and Ard Righ) ★★★ (2007-06-09 18:34:24)

後半のトレモロと刻みを絶妙に交えたリフとに、普通声や馬鹿みたいに速いドラムロールが絡むパートが圧巻…。全体的にドラマティックな展開で、クオリティの高い一曲。私はベストで聴きましたが、これはズバ抜けていい曲だと思います。


ABSURD ★★ (2009-03-11 07:21:00)

登録されてなかった…。
おそらくジャーマンブラックでは最も有名なバンド。
ブラックメタル研究本Lords of Chaosでもかなりのページが割かれていた
バンドです。…と言っても、音楽性よりも事件の方にスポットが当たってましたが。


ABSURD - RAUBRITTER / GRIMMIGE VOLKMUSIK ★★ (2009-03-11 07:37:00)

04年、06年に発表したEPのカップリング再発盤。

ブラックメタルとしてはグルーヴィなリフとミディアムテンポ中心のリズムに、ヴァイキング系民謡メロが乗る作風で、ペイガン/フォークメタルを愛聴する人にお勧めできそうな音楽性。ヴォーカルは典型的なブラックのがなりでなかなか悪くないです。

このバンドはNS的な思想で知られてるようですが…この哀愁メロは、どこか日本の軍歌を思わせるところもあって、もしかしたら民族の種類には関係無く、民族的な高揚を促すための共通したメロディの感覚…みたいなものがあるのかもしれません。

…というような事を「Raubritter」の音源を聴きながら考えていましたが、真に衝撃を受けたのは「Grimmige Volkmusik」の1曲目(アルバムでは5曲目)を聴いた時。ヴォーカルこそ凶悪なものの、軽快なテンポに陽性のメロディ、キャッチーなシンガロングパート…まるっきりメロコアみたいなんですけど(笑)。ここだけ聴くとNS的な思想じゃなくて、普通に高校生が卒業式の後に音楽室借りて歌ってそうな感じがするんですが…(笑)。

ブラックとハードコアの融合はDARKTHRONEやTHE MEADS OF ASPHODELを聴いていたので慣れてたつもりでしたが、これには驚きましたね…その後はブラスト入れたりしてメタリックになりますが、最後の曲でまた衝撃。このメロディ、ヴァイキング風とか軍歌風を通り越して、ほとんど演歌の世界に足突っ込んでるような哀メロなんですが…。

ABSURDというと事件や思想が取り沙汰されがちですが、それがなくても独特なブラック観を持ってるバンドだと思う。ペイガン/ヴァイキング好きな人に推薦。ラストの男泣きの哀メロが炸裂する曲では、クサメタラーも悶絶間違いなし。


ABSURD - RAUBRITTER / GRIMMIGE VOLKMUSIK - DES WOTANS SCHWARZER HAUFEN ★★★ (2009-03-11 07:46:41)

ペイガン/ヴァイキング/フォークメタルには哀愁メロディはつきものですが…ここまでの男泣きメロディはなかなか聴けるものではないと思う。最早演歌の「情念の世界」に足を突っ込みかけてます。ヴォーカルや掛け声の雄々しい雰囲気もたまらない。


ABSURD - RAUBRITTER / GRIMMIGE VOLKMUSIK - EIN JAGER AUS WALHALL ★★★ (2009-03-11 07:42:37)

これを聴いて衝撃を受けない人がいるのか…
古代の神々が闘っている神話的な情景…ではなくて、青空と太陽の下で汗を流している、青春な光景が浮かんでくる曲。キャッチーなコーラスパートはモンゴル800とか好きな人が聴いてもぐっと来そう。ラストはトレモロリフとブラストで締めますが、これが鬼かっこいい。最初は拒絶反応起こしそうでしたが、一回受け入れてしまうと凄く良い曲に思えてくる。


ABYSS INFERNO ★★ (2011-01-01 15:45:12)

GRAND EXTREME BLACKのDesolate氏によるブラック。
シンフォなGEBと比べ、こっちは1stの時点ではメロブラ志向な音。


ABYSS INFERNO - THE BIBLE OF HATE ★★ (2011-01-01 15:46:42)

2010年発表の1st。

GEBのメンバーによる新プロジェクトと言う事で、GEBとは差別化された音なのか、どうなるのかかなり気になっていましたが…こちらはキーを使用しない、ギターがメロディを担当するタイプのメロブラで、やはりGEBとはかなり異なる路線ですね。

GEBでも思ったんですが、Desolate氏のメロディセンスは北欧の一流のブラックと比較しても、全く遜色の無いレベルですよね…。リフには甘くなり過ぎない、グルーヴを放棄しない程度にメロディをしっかり練りこんでくれているし、リードフレーズもブラックらしいトレモロピッキングを多用した、荘厳なメロディを弾いていてうっとり出来る。

また、何気に音作りも上手いと思う。今作はキーが無い代わり、ギターがガリガリした音質で、しかも刻みがしっかり重さを伴って聴こえる音なんですが、このギターの音が地下臭さをかなり醸し出していると思う。ファストパートでの転げまわるような打ち込みビートとの相性もいいし、スローパートでは破滅的な音に聴こえる。粗さではプリブラ的、重さではデス的と言えるかもしれません。

ただ、エコー掛かったヴォーカルエフェクトと、歌詞を追っているとどうも間延びして聴こえるヴォーカルラインは、ちょっとマイナスかも。低音咆哮スタイル自体は好きですが、どうしても作り物っぽく聴こえてしまう…。個人的には、歌詞をもっと言葉を詰め込んで、更に生々しいミックスにしてくれたら最高なんですが…。

ちなみに、今作は普通に1500円でした(笑)。GEBの商売する気あるのか、って値段に慣れてると、微妙に割高に思えてしまうかも(笑)。


ABYSSIC - A Winter's Tale ★★★ (2017-05-08 12:20:51)

2016年発表の1st。

OLD MAN'S CHILDやGROMTH、SUSPERIAなど、メロディック/シンフォニックブラック絡みのメンバーによるバンドですが、シンフォブラックばりの大仰さのあるキーボードと、フューネラルドゥームの凌遅的絶望感をミックスさせたような、独自のエクストリームメタルを展開。通常の葬式系のモノクロームな世界観とは若干情景の異なる、色の付いた絶望を見せる音をCDの収録時間限界まで詰め込んだ作品。

基本的に頽廃的・破滅的な美しさのある情景を描くように進行しますが、時折大仰なキーのメロディ、獰猛なグロウル、圧殺リフが渾然一体となって襲い掛かってくるパートの迫力は凄まじいものが…。まるで何か悪しきものの封印が解かれて溢れ出したかのよう。一曲目なんかは、水音のSEと流れるようなストリングスによって、三途の川を思わせる情景を描き出していますが…突如として魂を喰らう化物が現れたような強烈な印象を残します。

シンフォニックブラックの感性を以って、フューネラルドゥームの絶望感を表現しようとすると、なるほどこういう作風になるのか…と、ある意味とても興味深く聴けた作品。もちろん興味深いだけに留まらず、しっかりと心地よく絶望に浸らせてくれます。


ABYSSION - Luonnon Harmonia ja Vihreä Liekki ★★ (2017-03-12 20:23:08)

2015年発表の2nd。

販売元のSvart Recordsはドゥームやプログレメタルを始め、前衛・実験系のメタルにも強いレーベルらしいですが、このバンドもプリミティブブラックを基調としながら、一捻り加えたような音を出してますね。基本は荒々しい音質でトレモロを伴いつつ疾走する、プリブラ路線ですが、サンプリングやノイズ、ギターのフレーズなど時折サイケデリックな要素を加えてくるのが特徴。

更にヴォーカルが地声の混じった、やたら野太い怒号で、かつ耳元で叫ばれるようなミックスになっており、母国語の響きとも相俟ってなにか異常性を感じられるのも印象深いポイント。このせいでサイケデリックさが演出するものが、精神世界系というよりは精神にエラーが起きて異常な状態になったような雰囲気になってる印象を受けます。

フルとしては演奏時間はかなり短めですが、独特なプリブラ観を持ってるバンドだと思うので気になった方は要チェックです。


ACEDI - 2008 Demos ★★ (2014-05-14 18:37:29)

2008年発表のデモ2作(「Glemt」「Lonely Soul」)を、2012年にPest Productionsが纏め、CD化して再発したもの。500枚限定。30枚限定でテープ版も出ているとか。

タイプとしては、典型的な鬱ブラックのスタイルといっていいと思います。憎悪をたっぷりと込めて絶叫するヴォーカル、基本的に覇気も生気もないミディアム~スローで進行していく曲展開、陰りのある…というか、陰鬱さしか感じられないようなメロディセンス…と、ほぼこのジャンルのテンプレートに沿った音作りが成されていると言えるでしょう。

テンプレ通りの音でありながら、楽曲によって聴かせ方が違うのが良いですね。メロディは控えめで、ノイジーなリフが精神を削っていくような音だったり、アルペジオの残響が無情さを強調していたり、鬱々しいトレモロをゆるゆると垂れ流したり、伝え方のバリエーションは違えどどの曲もひたすら絶望感を振りまく事に終始してます。

何気に胸を掻き毟るような、歪み切ったヴォーカルなんかはかなり良い線行ってると思うし、鬱ブラックとしてはごく良質な作品といえるでしょう。ただ、個人的にはもう一声なにかこれというものが欲しい所。


ACHERON - Kult des Hasses ★★ (2015-08-24 14:21:01)

2014年発表の8th。

実は結成されたのが80年代末の大ベテランであったり、中心人物のVincent Crowley氏がかつてアントン・ラヴェイの悪魔教会に所属していたガチな人だったり、色々とハクの付いたバンドですが…それを物語るかのように、確信に満ちたエネルギーのある作品。リフとリズムの応酬や、サタニックな雰囲気の演出で押すのではなく、あくまで起承転結のある展開で聴かせる感じで、デス/ブラックの攻撃性でビルドアップされたヘヴィメタルという印象。

サタニズムの表現方法が、ブラックメタルよりも伝統的なヘヴィメタルのそれに基づいているという感じで、そこがブラックメタル黎明期以前より活動するベテランらしさを感じますね。ただしドスの利いたがなり声のヴォーカル、どす黒いエネルギーを内に秘めたような歪みのあるプロダクション、それだけでサタニックさを感じさせる邪悪なメロディ使いなど、直接的な攻撃性でも若いバンドに劣らない力があるように思います。

ただ、キャリアを感じさせるクオリティの高さがある作品ですが、個人的に好みかどうかはちょっと微妙かも。ブラックとしてはヘヴィメタル然としすぎているような気もするんですよね。聴き手によってはだからこそ良い作品なんだと思いますが。


ACHERONTAS - Hermeticism ★★★ (2011-11-25 00:57:36)

2011年発表のEP。
CD盤はDROWING THE LIGHTとのスプリットの曲も収録。
…と言っても、その曲を入れても3曲約16分で、割と短め。

しかしこれ、3曲しか入ってないのが本当に惜しいですよね。彼らの標榜する、「True Occult Black Art」、その言葉が指し示すとおりの、神秘主義の深淵を垣間見るかのような、邪悪極まりないブラックメタル。毒々しく密教的なトレモロや邪悪な存在からの啓示を受けているようなアルペジオなど、構成パーツや音像など自体は特に衒いのないブラックなんですが、聴き手の想像力を喚起する力が半端ない。

もう1曲目の頭、ブラック特有の歪んだリフが視界を黒く塗り潰した時点で日常から乖離した彼らのオカルト世界に引き込まれていくし、2曲目の少し明るい?メロディが出てくる部分は現世から解脱したようで逆に怖い。3曲目のトレモロ疾走なんかは今正に神聖な存在が堕落しているかのような、濃厚な邪悪さを感じさせてくれてると思う。構成もドラマティックで、16分があっという間過ぎて辛い(笑)。

当然曲も素晴らしいんですが、何気にこの瘴気の濃密さはヴォーカルも相当貢献してると思うんですよね。血錆を吐き出しながら叫んでいるような、太くうめくようながなりで、黒いバンドサウンドに血腥さを足し、音像をジャケの色合いのような赤黒いものにしている感じ。がなり時の表現力といい、祭壇のある洞穴から聞こえてくるようなクリーンといい、かなりセンス良いと思う。

確かに収録時間は短いんですが、これだけ充実してれば納得ですね。ただ今年フルアルバムが出る(もう出てる?)みたいなので、それを待ってもいいかも。


ACHERONTAS - Vamachara ★★★ (2011-12-21 23:15:57)

2011年発表の3rd。
STUTTHOF時代からAcherontas氏が関わってきた作品としては5枚目。

今年の春に出たEPが個人的にかなりツボに入り、凄く期待していたんですが…まずいかにもバンドの標榜するオカルトっぽい世界観が表現された、凝ったオープニングで更にその期待が高められますが、2曲目の冒頭を聴いて一瞬「アレ?」ってなりました。メロディがやけにはっきり聴こえる音像だし、泣きのリードギターまで入ってるし、まるでメロデスっぽい…。

まあEPにもメロディアスなパートはあったし、音質の歪みやヴォーカルエフェクトが少し減ったせいでそれが強調されるようになっただけ…ではあるんですが、良くも悪くも聴きやすくなった印象。ただ曲の方はやはりメロウなメロを書かせても抜群だし、NED系に通じる邪悪で密教的な雰囲気もしっかり醸し出せてるし、「Ohm Krim Kari」ではパーカッションやアコギを導入した、本格的に儀式的ムードを追及するなど、相変わらず魅力的であることに翳りはありませんが。

ただ、泣きメロが増えた事、音が聴きやすくなった(一般のエクストリームメタルよりややRAW、程度)事で、受け入れられやすい音になった感じはしますね。その分、EPの血の儀式の祭壇の饐えた匂いまで漂ってきそうなムードはほんの少しだけ減衰傾向かも。それでも曲はかなり良いと思うし、☆は3つ付けざるを得ないですけど…やっぱり個人的にはEPの音作りをそのまま引き継いで欲しかったところ。


ACID BLACK CHERRY - BLACK LIST - Black Cherry ★★★ (2007-10-17 23:31:28)

「BLACK JACK」や「Dry?」にも通じる、アップテンポなシャッフルチューン。やっぱりこういう曲を聴くとyasuさんってメロディセンスに優れてると思いますね。早口で楽しそうだし、カラオケで歌っても面白そう。
…でも、「あっ、あっ、あっ、あっ、中に出して~♪」はエロはエロでもちょっと下品に聴こえるかも(笑)。まあ、インタビューで曲のタイトルに付いて臆面も無く「キ○○マ的な」とか言ってましたからね(笑)。それも持ち味ってことで。


ACID BLACK CHERRY - BLACK LIST - SPELL MAGIC ★★ (2007-10-17 23:36:35)

JANNEのハードな曲が好きな方にも受けそうなかっこいい曲。
…ソロになると音楽的実験をしたり、自己の内面を描くような志向が強まったりするアーティストが多いですが、彼の場合(取り合えず現時点では…この曲はソロ第一弾シングル)バンドの時のキャッチーさを更に追求したような作風になっている所が「らしい」ですね。


ACID BLACK CHERRY - Spell Magic - シャイニン・オン 君が哀しい ★★ (2007-10-17 23:42:33)

彼のルーツにはやっぱり歌謡曲/ポップスがあるんだなぁ…と実感できる一曲。メロディが一昔前のポップスって感じで、聴いてて一回り前の世代の人たちとカラオケ行った時のような気分になってきます(笑)。


ACRIMONIOUS - PURULENCE ★★★ (2013-05-02 23:02:41)

2009年発表の1st。

よくレビューサイトや通販サイト、メタル系CDショップ等でDEATHSPELL OMEGAが引き合いに出されている通り、DSOが「Si Monumentum~」アルバムで見せたような、不穏で宗教じみたメロディを取り入れた、禍々しさに満ちたブラックメタル。DSOの「Si~」ほど思索性やコンセプト性に富む訳ではないものの、こちらはプリブラにも通じるオールドスクールな衝動性も感じられる音で、DSOのプリブラ期と「Si~」アルバムを繋ぐミッシングリンク的な作風といえるのかも。

基本はそんな感じの宗教色強い不穏なブラックですが、何気に楽曲の展開に幅を持たせているんですよね。例えば2曲目では近年のWATAIN的な、ストレートにかっこいい畳み掛けが聴けるし、5曲目の一部ではちょっとクサめなトレモロの絡みまで聴かせてくれたり。タイトルトラックでもある6曲目の、隠微なギターノイズの中で繰り広げられる不吉なメロディと脈動するミドルテンポの生み出す邪悪ムードも良い感じ。色々展開に工夫はしていますが、決して「ブラックメタルである」「邪悪で宗教的である」ことは崩さないので、ある意味安心して聴けます。

ややRAWさを残しつつもフレーズをしっかり聴かせてくれる絶妙なプロダクション、ドスの効いた凄みを感じさせる中音域がなりヴォーカル等、どの要素もレベル高く纏まっているし、かなりの良盤だと思います。目新しさとかはないですけど、ブラック好きなら買って損はない作品かと。


ACROSOME - Dementia Praecox ★★ (2014-05-31 09:52:16)

2011年発表の8曲入りEP。
ジャケ裏の曲名リストを見た時はフルかと思ったんですが、1曲が短く全体を通して約23分というランニングタイム。ブラックパートが短いため、実際の演奏時間以上に物足りなさを感じるかも…。

ジャケの某ムササビ系ガンシューティングゲームのメーカーロゴのような(笑)仮面が象徴的ですが、鬱な感情というよりはサイコで狂気的な雰囲気の強いブラックメタル。どんよりと澱んだ空間が展開されるような、ある意味で「広がりのある」ドゥーミーなリフが抑鬱的なムードを作り、そこに神経を侵すような、情緒不安定になりそうなメロディを流していくような音。

潰れた喉から発せられる呻き声のようなヴォーカル、サイコな雰囲気を助長するSEなどと同様、雰囲気を出すのに一役買っているのがギターのフィードバック音。これが精神の脆い部分を引っ掻いていくかの如く、イヤな感じを醸し出していてグッド。ただ、フィードバック音とヴォーカルのみで展開される4曲目は、わざとらしいというか、ちょっとやり過ぎててクドく感じてしまいますが…。

ブラックメタルパートに於ける、ブラックの様式をキープしつつのサイコな雰囲気の演出が秀逸だっただけに、ブラックパートはもう少し長くても良いんじゃないかな…と思います。精神に来る、アンビエンス重視の鬱ブラックを求める方に。


AD HOMINEM - Dictator - A Monument of Glory ★★★ (2011-05-18 18:06:17)

2009年発表の4th。

ディスクユニオンのガイド本でも紹介されてたアルバムですが、これはかっこいい。不穏なリフ捌きを中心に、ブラストビートで責め立てるファスト系寄りのブラックメタルですが、この手としては珍しく、客振り出来そうなヴォーカルパートや掛け合いがあって、かなり熱い作風。ヴォーカルが完全なブラックのスタイルながら、ハードコア的な勢いもある絶叫であることも相俟って、ミリタントなイメージを演出してます。

また、基本はリフは少々ノイジーで、ブラックらしくスリ込むようなものを中心にしてますが、時々出てくるメロディックなリフの殺傷力がヤバい。フランスらしい毒性を伴っていて、氷礫でなく剃刀が渦を巻くブリザードという感じ。これとブラストが合わさったときのかっこよさは筆舌に尽くしがたいほど。音質もクリアで、特にミディアムのときなど、時折ベースがガリガリ響かせるのがかっこいい。

ヴォーカルラインの意外なキャッチネスもあって、聴いてて単純に熱くなれるブラックメタルです。その熱さが、ブラックメタル特有の残忍なムードを掻き消してしまわない、むしろ増長させるところが素晴らしい作品。


AD-HOC - Ad-hoC ★★★ (2012-09-02 00:27:02)

2011年発表の1st。

「アドホック」というバンド名からは、ついインダストリアル/サイバー系のブラックなんだろうな…と予想してましたが、ところがどっこい、激ドラマティックかつハイクオリティなジャーマンメロブラで、良い意味で裏切られました。このアルバムは2011年のリリースの中でもかなりお勧めですね。

路線としては、ヴァイオリンやピアノ、アトモスフェリックなキーボードを絡めつつ、灼け付くような哀愁リードギター、繊細に鳴り響くトレモロを駆使し、極上のメロディアスさで展開していくメロディック・ブラック。ヴォーカルの絶叫こそ食いしばった歯の隙間から憎悪が漏れ出してくるような憎々しげなダーティさを放ってますが、メロディがドイツ産らしい上品なメロウさに満ちていて、それだけでもう悶絶出来ます。

妖しい普通声などを取り入れたり、前衛的な感性も見え隠れしますが、それによって聴きづらくなったりする事はなく、あくまでハイクオリティなメロブラを貫いている感じ。特に、アトモスフェリックなキーボードと高音のトレモロが絡み、発生した星雲を光速で切り裂いていくような、トリップ感すら覚える疾走パートがかっこよすぎです。シューゲイザー系・ポストハードコア系ブラックにも通じる儚さも感じますが、本格的にそっちに行く3歩手前で留まっているのがまた良い感じ。

欲を言えば、ちょっと普通声が弱いのでそこは改善して欲しい感じですが、十二分に素晴らしい作品だと思う。個人的な印象としては、初期ARCTURUSをもう少しストレートにして、ジャーマンメロブラの感性で再構築した感じ。DER WEG EINER FREIHEITやODEM ARCARUMなどのドイツ産メロブラが好きな方は勿論、Cold Dimension系のどこか超越的な雰囲気があるブラックが好きな方にもお勧め。


ADKAN - Compendivm XI ★★★ (2015-06-09 22:28:43)

2014年発表のコンピレーションアルバム。
2003年の「Black Dominions」、2006年の「Infernal」、2010年の「Insanity from your Nails」の3本のデモを纏め、ボーナストラックを付けた編集盤。

この中の、「Infernal」パートに収録の「Vincent」という楽曲を試聴したんですが、もう一聴き惚れでしたね…。様式自体はプリミティブブラックそのものなんですが、Satanicなだけでなく、「Majesty」をも感じさせる邪悪極まりない、それでいてメロウなトレモロ、メリハリ付けつつもブラストパートではヤケクソな炸裂感を感じさせるリズム、喉が張り裂けるような感情の篭もった絶叫の中に、ドスの聴いた怒声を混じらせるヴォーカル…と、どの要素を取り上げても、このジャンルの音として滅茶苦茶ハイレベル。CRAFTやARCKANUMの音源同様、作り手がブラックメタルに取り憑かれているのが音から伝わるかのよう。

「Infernal」の音源からはそんな印象を受け、個人的に物凄くドツボに嵌まったんですが、残り二つのパートも悪くない…というか、「Infernal」が素晴らし過ぎたせいで若干霞んでますが、こちらも凄まじく良質なプリブラ。「Black Dominions」デモは、高音域のノイズを強調した音質と、バスドラの低音が噛み合った音が気持ち良く、プリミティブで邪悪さ満点な中にも正統派に通じるようなメロディのドラマ性があるのも素晴らしい。「Insanity~」デモは、メロディから感じるカタルシスが上がったのと、リフの歪め方がより破壊的になり、スラッシーなフレーズの攻撃性が更にアップしていて、もっとドラマティックな作風に仕上がっている感じ。個人的には、どす黒くもコシのある音質で、最もストレートに邪悪さが伝わる「Infernal」デモの音源が、やはり一番好きです。

某脚本家とかハンターハンターの雑魚敵を思い起こさせるようなバンド名ですが、音楽性は本当に素晴らしい!日本盤が出たことで注目しましたが、ほんと良いバンド見つけてきたな…という感じです。


ADUSTUM - SEARING FIRES AND LUCID VISIONS ★★★ (2012-09-03 19:01:44)

2011年発表の1st。
注目レーベルWorld Terror Committeeよりリリース。

ベルギー産ブラックメタルバンドのデビュー作という事ですが…ベルギーと言えば20年近いキャリアを持つ大ベテランのENTHRONEDが有名ですが、このバンドも新進気鋭ながらENTHRONEDに喰らい付かんとする、邪悪さもクオリティも非常に高いブラックメタルを演ってますね。ENTHRONEDやWATAIN、AZAGHAL辺りのハイクオリティな真性系のブラックが好きならば、何かしら感じるものはあるだろう作品。

音としては、ミニマリズムやRAWさに頼ることなく、メタリックなかっこよさを残しつつブラック特有の邪悪さもしっかり演出していく、ストレートなブラックメタルで、前述したバンドにかなり近いものがあると思う。ただしENTHRONEDやWATAINの近年の作品と比べるとプロダクションにやや粗さは残ってますが、オーバープロダクションにならない生々しさがありつつ、マニアックな聴き辛さはない音質で悪くないと思います。

しかしこの作品、リフやメロディなど、ブラックの根幹となる要素が悉く素晴らしいんですよね。ブラック特有の平坦リフは腐食部分がジクジクと広がるような、爛れた邪悪さが感じられますし、トレモロリフに込められたメロディは闇の帳が緩やかに降りてくるような、品性のあるダークさがあって非常にかっこいい。ギターソロも用いる作風ですが、そのメロディもメロウさと神秘性が同居していてうっとり出来るんですよね。

また、悪意と威厳を伴った、太いがなり声で邪悪さ十分のパフォーマンスを聴かせつつ、時折地獄に落ちる男の悲鳴のような絶叫を響かせるヴォーカルの表現力、聴き手に常に緊張感を持つ事を強いるような、ところどころでフックのあるフレーズを仕込んでくるドラミングもまた素晴らしい。演奏時間こそ31分と短いのがネックなものの、デビューアルバムとしては隙がなさすぎて怖いくらいの出来だと思う。

流石WTCだけあって、またしても素晴らしく有望なバンドを発掘してきましたね…世の中の邪悪音楽好き全員にお勧めしたい作品です。特にENTHRONEDやWATAIN、AZAGHALなどの真性ブラックが好きな方は是非。ほんと素晴らしいです。


ADVERSAM ★★ (2013-06-24 18:54:27)

イタリア産シンフォニック・ブラック。
国産ブラックJUNO BLOODLUSTのSummum Algor氏も在籍。


ADVERSAM - Proclama ★★★ (2013-06-24 18:55:14)

2008年発表の2nd。

JUNO BLOODLUSTのドラマーが在籍するシンフォニック・ブラックという予備知識しかなかったんですが、聴いてみて驚きました。何なんでしょう、この「止まったら死ぬ」的な爆走具合は…。まるでKULT OV AZAZEL辺りがシンフォ化したような凄まじさで、むしろブルータルブラックのカテゴリに入れてもいいと思うような暴虐さ。ヴォーカルがデス的な低音咆哮中心なのも、更に暴力的なムードに拍車を掛けてますね。

そしてブルータルブラックとしても、このドラムは本当にかっこいいと思う。ただブラスト爆走パートが多いというだけじゃなくて、2バスやオカズの入れ方、ちょっとしたタメ具合など、フレーズにグルーヴィさも感じる躍動的なプレイで、聴いててテンションが上がる。ロック魂を持ってエクストリームメタルを演ってる…みたいな感じでしょうか。ドラム聴いてるだけで耳が幸せ。

シンフォニック・ブラックとしてはそこまでキーボードに依存しない音作り、重さよりは爽快さを感じるプロダクション等も、ドラムの心地良い飛ばしっぷりと上手く噛み合ってる感じですね。例えばDIMMU BORGIRやCRADLE OF FILTHほど大胆な場面変化のある作風という訳ではないですが、要所で印象的なフレーズを挟み、神秘性を演出するキーボード、禍々しさを演出するリフ捌きなどもあり、楽曲自体もかなり良質だと思います。

個人的には、ド派手でクラシカルなシンフォニックブラックを好む方よりも、爽快に飛ばすブルータルブラックが好みの方に推薦したい作品。特にこの心地良い爆走感、KULT OV AZAZELとかなり近いものがあると思うんですよね。


ADVERSARIAL - All Idols Fall Before the Hammer ★★ (2011-10-29 10:47:07)

2010年発表の1st。
EPが良かったので、フルのほうも購入しましたが…こっちは微妙かも。

リフとヴォーカルが引っ込み、代わりに缶を叩くような奇妙な響きのドラムが前に出てきてますが…確かにドラムの響きは変で好きではあるんですが、このバンドの美点であるリフが聴こえづらくなってるのはかなりマイナスかも。ヴォーカルも低音咆哮スタイル自体は変わらないものの、ウィスパー程度にしか聴こえないミックスのせいで迫力が落ちてしまってる…。

ただ、音作りが変化しただけで、リフや曲作りの方は相変わらず素晴らしいんですよね。まあそれが、更に惜しく思わせてしまうんですが。RAWブラックやダーティなウォーブラック、地下臭いサタニックデスなど、篭った音質をむしろプラスと捉えられる人は、EPよりこっちの方が気に入るかも。


ADVERSARIAL - Prophetic Plain of Abyssal Revelation ★★★ (2011-10-29 10:48:16)

08年発表のデモに未発表曲・新曲を加え、11年にリリースした音源集。

良質のブラッケンド・デスが入荷したとの事で、なんとなく買ってしまったんですが…これは「良質」どころじゃ済まされない、本当に素晴らしい作品。何と言ってもデス・ブラックの良いとこ取りをしたリフが素晴らしい。昔のMORBID ANGELに通じる魔闘気と、真性ブラックめいた邪気をブレンドしたような、極上の妖気を放つリフ。個人的にはこのリフに嬲られてるだけで幸せだわ…(笑)。

音質は少し篭りがちですが、逆にそれが冒涜的なムードを強め、リフの音色に邪悪な響きを帯びさせているので全くマイナスにはなりませんね。デモ音源なんてベースレスですが、むしろRAWでテンションの高い疾走振りと、リフの良さが際立っていて悪くないと思う。ヴォーカルはかなりデスに寄った低音咆哮スタイルですが、篭って光の差さないような音作りに良く映える声で、かなり雰囲気出てて良い感じです。

これはEPですが、正直去年出たフルアルバムよりも断然良かったので、スルーは厳禁です。むしろフル先に聴いてカルト過ぎて駄目だった方にもお勧めしたいところ。


AEBA - Kodex Ⅴ ★★★ (2009-03-27 18:14:00)

2008年発表の4th。
曲名に英・仏・独・羅と四ヶ国語も使われていてなんだか豪華(笑)。セールで安かったのと、ジャケから只ならぬ雰囲気を感じて購入に至ったんですが…またしても掘り出し物を発見してしまいました…。

WATAINあたりにも似る、悪意の篭もった邪悪極まりないヴォーカルのがなり声、ベースを効かせた、コシのある黒光りする音像などから感じるのは、紛れもない「真性ブラックメタル」のオーラ。…なんですけど、曲自体はメロディへの志向性のかなり高い、メロディックブラックにカテゴライズ出来そうな感じですね。

このバンド、「真性」な雰囲気が、メロブラ的な曲調に凄くプラスに作用してると思います。元々メロウさだけでなく毒々しさも秘めたメロディの特性が、この雰囲気によって更に触発され、より凄みを持っている感じ。ギタメロも素晴らしいですが、音像に太さを与えるべき所では与え、メロディアスになる所ではそれを助長する、ベースが何気に作品の鍵を握っていると思う。

メロブラとしては特にメロがクサい訳ではないものの、どの曲にもフックがあり、全曲が勝負曲くらいの気迫が感じられて、66分の長丁場を聴かせる力があるアルバムだと思うし、メロブラ好きなら聴いておいて損はありません。ちなみに演奏時間は66分6秒とこだわってますが…最後に短めのSEを入れてる辺り、なんか無理矢理帳尻を合わせたような感じが…(笑)。


AEBA - Kodex Ⅴ - Geist Der Dekadenz ★★★ (2009-03-27 18:21:46)

流して聴いてるとマジビビリする絶叫で後半戦開始。
タイトルの通り、メロディには他の曲よりも退廃的な美意識が強いような感じ。…しかし、メロディもリフもギターソロも、暗黒系に興味がないメタラーが聴いても唸るくらいかっこいいと思うんですが…この知名度の低さは正直解せない。


AEBA - Kodex Ⅴ - La Petite Morte ★★★ (2009-03-27 18:20:50)

黒くて叙情的なメロディが、泉のように湧き出してくるようなインスト。
アルバムの半ばに位置する短いインスト曲ですが、全然箸休め的な感じじゃないです。


AEBA - Kodex Ⅴ - Lifecode Sin ★★★ (2009-03-27 18:19:55)

空間演出的なキーボードとギターの歪みやメロディが絡み、一体となって非日常的な雰囲気を演出するパートが印象的な曲。このパートだけを聴いても、只者ではない才覚を持ったバンドだということが伝わってくる…。


AEBA - Kodex Ⅴ - Lux Ex Tenebris ★★★ (2009-03-27 18:16:10)

最近、1曲目にSE的な曲を入れるけど、どうも「早く本編に行けば良いのに」と思ってしまう作品が少なくないんですが…この1曲目は良いですね。バンドサウンドによるオープニングですが、実質的な1曲目に向かってテンションを上げてくれる感じ。これを飛ばすなんてとんでもない、むしろ単品でもかっこいいと思う。


AEBA - Kodex Ⅴ - More Than Hate ★★★ (2009-03-27 18:17:05)

ジャケやタイトルから感じられる雰囲気の割には、メロデスと比べてもなんら遜色のないくらいメロディックな、実質的な1曲目。ただし悪意を持って噛み潰すようなヴォーカルや、黒い溶岩が煮えたぎるようなベースが唸る音像から感じるのは真性の邪悪さ。いきなり実力を見せ付けてくれます。


AEBA - Kodex Ⅴ - Nemesis - Lass Sie Brennen ★★★ (2009-03-27 18:18:00)

黒い音像の中で、上り詰めるような高揚をもたらすメロディが聴ける曲。
特にメロディアスなパートでなくても、持ち前の邪悪さで蹂躙するような凄みが感じられて魅力的なのが素晴らしい。メロいパートもそうでないパートも魅力的だから、曲にメリハリが出て更に良いものになっているのかも。


AEBA - Kodex Ⅴ - Seven Souls ★★★ (2009-03-27 18:18:55)

妖気漂うアコギメロで聴き手を引き込んでいく曲。
十分に引き込んだところで、唸るベースによって推進力を付け、ヴォーカルの大絶叫と共に一気に爆走!!…か、かっけー…。聴いててマジで脈拍が速くなるんですけど(笑)。冒頭以外のメロディも、どこか異境的な妖気が感じられるのが良いです。


AEBA - Kodex Ⅴ - The God Below Us ★★★ (2009-03-27 18:22:34)

腐毒が滴るようというか、五寸釘を打ち込まれるようというか…そんな重苦しいムードから始まり、ドラマティックに展開していく曲。次の展開に移る時のタメの作り方とか、ゾクゾク来るツボを的確に突いてくる感じ。このバンドは間違いなく本物だと思う…。


AENAON ★★ (2013-07-13 19:26:34)

ギリシャ産アヴァンギャルド/プログレッシブ・ブラック。
VARATHRONのメンバーが絡んでいる模様。


AENAON - Cendres et sang ★★ (2013-07-13 19:27:35)

2010年発表の1st。
アルバムタイトルは「灰と血」の意。

幻惑的なアンサンブルや妖しげなメロディで聴き手を煙に巻きつつ、サックスなども導入して前衛的なムードも醸し出す、お洒落かつ不条理な雰囲気のあるブラックメタル。但し前衛的なだけでなく、ブラストでの暴虐疾走や厚みのあるリフなど、エクストリームメタルとしての攻撃性や音作りの強烈さもしっかり残しているのが特徴ですね。知性的だけど頭でっかちではない印象。

個人的には、VED BUENS ENDEやVIRUS、或いはLUGUBRUM辺りを真っ当なエクストリームメタルに近付けたような印象なんですが、それらバンドのような「悪意」は割りと薄めで、その代わりに「知性」で楽曲が構築されているような印象を受けるんですよね。不条理で悪夢的な世界観を描きつつ、暴虐性もある音だけど、邪悪な雰囲気は良くも悪くも薄いと言うか…その辺りが肌に合うかどうかで、評価が変わってくる作品だと思います。

個人的には、不条理系のアンサンブルが時折物凄くかっこいい方向に作用している箇所があって、結構好きな路線だったりします。欲を言えば、もっとサックスとかバンバン使って妖しい方向に突き進んで頂きたい所ですけど。


AETERNUS - A Darker Monument ★★ (2011-06-08 18:30:04)

2003年発表の5th。

Samothのレーベル、Nocturnal Art所属のバンドですが、個人的にこのレーベルってブラックのやぶれかぶれな精神よりも、デスメタル的なキッチリ作り込まれた、エクストリームメタル好き全般にアピール出来るバンドが多い印象なんですが、このバンドも例に漏れず、しっかりヘヴィな音出してますね。…というか、ほとんどデスメタルです。

リフに中近東フレーバーなメロディを練り込み、ファストパートではブルータルに畳み掛け、スロー~ミドルパートではドゥーミーに引き摺る、重々しいサウンド。ヴォーカルもデスメタル的な咆哮がメインで、重苦しい音作りに合ってると思う。時々ブラックに通じるメロいトレモロも出てきますが、寒々しさよりうねりや禍々しさが強かったり、メロを刻みに引き継いでみせたり、やはりデスメタルの感性が強い感じ。

個人的にこういう、デスメタル特有のうねるリフって好きなので、作風自体は割と好みなんですが…プロダクションが今ひとつなのが惜しいですね…。バスドラがビキビキいうリズム、ジリジリしたリフの音色などB級ブラックっぽい音。これくらいデスメタル的な作風なら、音作りの方もHATE ETERNALくらいブルータルな方が良かったと思う。


AETHERNAEUM ★★ (2013-09-16 12:46:50)

ドイツ産アトモスフェリック・ブラック。
EDEN WEINT IM GRABのメンバーが在籍。


AETHERNAEUM - Wanderungen durch den Daemmerwald ★★★ (2013-09-16 12:50:16)

2013年発表の1st。

カテゴリーとしては、生のチェロやヴァイオリン等も使用し、フォーキーで仄暗い叙情性を込めたメロディを、アトモスフェリックな音像を醸し出す、心地良くノイジーなリフと展開のスパンが長めの構成、大作主義な作風で聴かせることで、丁寧に情景を描いていくアトモスフェリック・ブラック…という感じで、ドイツのバンドながらカスカディアン勢にも通じる、儚い叙情を感じる繊細な音を出してますね。

関連バンドのEWIGはブラックよりゴシックとして認識されているようですが、そういったバックグラウンドを持っているという事が、かなりプラスに働いているように思います。儚いだけでなく陰影の濃いメロディ、ナルシシズムを感じられる幽玄な低音クリーンなど、ゴシックの美意識が感じられる要素が、この音像の中にあって悉く耳を惹くんですよね。特に陰りのあるメロディの演出する、身を切るような感触はコールドブラックが好きな方も好みそうだと思う。

情景的なブラックメタルが好きであれば、幅広くお勧め出来る作品だと思います。COLDWORLDやAURVANDIL、NEFARIOUS辺りのコールド系、DORNENREICHやHELRUNAR辺りのフォーク系、WOLVES IN THE THRONEROOM、SKAGOS、PANOPTICONなどのカスカディアン系など、どのタイプを好む方が聴いてもなにか感じるものがあるかと。


AGAINST THE PLAGUES ★★ (2011-05-07 11:36:46)

アメリカ産シンフォニックブラック。
先日ex-BEHEMOTHのNovyが加入した模様。


AGAINST THE PLAGUES - Decoding the Mainframe ★★★ (2011-05-07 11:38:29)

2010年発表の2nd

いわゆるシンフォニック・ブラックに分類される音ですが、結構珍しい音作りのバンドですよね。音全体のバランスは非常に良好だし、キーボードやリードギターなどの音質は非常にクリアなのに、リフの音色のみがブラック特有のノイジーさで、それが所々で炸裂するファストブラック並の爆走とも相俟って、かなり凶悪な印象を受けます。

また、キーや曲展開のバリエーションが豊富なのも特徴。
メロデス的なリード・リフ使いも見られ、割とメジャーっぽい作風なのに、時折出てくるトレモロリフは初期DISSECTIONやNAGLFAR、NECROPHOBIC的な正統なメロブラの邪悪さが篭っていて、凄く惹き付けられる。キーもアトモスフェリックな不穏さを醸しだしたり、大仰なクラシカルフレーズを弾いたり、スペイシーな宇宙観を演出したり、シンフォブラックで出来る事を一通り網羅してる感じ。

この作風の幅広さが、展開の劇的さを生んでますよね。ブラストで爆走した後、キーメインのシンフォパートに突入する部分なんて、突っ走ってたらいきなり宇宙に放り出されたかのような感覚がありますもん(笑)。単に凶悪にガナるだけではなく、しっかりパーカッシブに曲を彩ってくれるヴォーカルもまた魅力的。

現時点でも相当に魅力的な音だと思いますが、後1つなにか「このバンドならでは」という、強烈な個性があれば、シンフォニック・ブラック聴くならこれを聴け!と謡われる作品になるのではないでしょうか。


AGALLOCH - Marrow of the Spirit ★★★ (2011-01-26 18:02:02)

2010年発表の4th。

このバンドは、1stの「Pale Folklore」を持ってましたが…
その頃と比べると大分変化しましたね。一言で言うなら、ポストブラックの繊細さ、情景描写能力を残したまま、一般的なメロディックブラックの聴きやすさを手に入れた感じでしょうか。

オープニングやインストパートに長めの時間を割いたり、情景の描写のためにメジャーなバンドが演らなそうな事も演ってはいるんですが、今作は疾走パートも多く含む、メタルとしてのドラマ性にも富んだ作風で、例えポストメタルに全く理解がない人が聴いても魅了される事請け合い。

特筆すべきはメロディですね。「Pale Folklore」の頃もそうでしたが、このバンドは「フレーズそのものがドラマティック」でありながら、「それが自然に聴こえる」という、なかなか両立できない要素を兼ね備えた、優れたメロディを書くのが上手いと思う。今作は特に普遍的なメロブラに接近しているので、そのメロディセンスがより浮き彫りに。

最初はヴォーカルが掠れ過ぎてて弱いかな、とも思いましたが、これも音・曲展開を自然に聴かせるためと思うと、これはこれでと思うように。今作の疾走パートも、例えブラストを取り入れていたとしても、感じるのは暴虐性でなく、身を切るような風の冷たさですしね。

同じ自然崇拝系ブラックでも、音像志向の強めなWOLVES IN THE THRONEROOMに対し、こっちはメロブラ的フレーズ志向強め。個人的にはメロデス好きにも聴いてほしいですね。極メロディック/ドラマティックなのに情景描写的だし、こういう世界があるというのを是非体験して欲しい。


AGATHODAIMON - Serpent's Embrace - Cellos for the Insatiable ★★★ (2009-03-24 21:02:57)

やっぱり1曲目のこれが一番好きかな…。
何気にブラスの音はメタルと相性が良いと思う。妖気が漂い、その中に蜃気楼が見えるような、幽遠で妖しいムードがある。「Step into~」からのヴォーカルラインもかっこいいです。


AGATHODAIMON - Serpent's Embrace - Light Reborn ★★ (2009-03-24 21:04:44)

スラッシュ寄りの刻みリフが聴ける、アルバムで最も攻撃的なパートを含む曲…なんですが、美声で歌い上げるメロウなパートもあってドラマティックな構成。…でもこれ、上手く纏まってますけど、攻撃的パートだけだとアルバムの雰囲気から浮く気も。


AGATHODAIMON - Serpent's Embrace - Solitude ★★★ (2009-03-24 21:03:44)

女性ヴォーカルをフィーチャーしたゴシックバラード。
ここまで完全にゴシック化した曲は期待してなかったんですが、それでも引き込まれる美しさがある名曲。特にメロディがクサい訳ではないけれど、雰囲気が凄くロマンティックで美しい。


AGATHODAIMON - Serpent's Embrace - The Darkness Inside ★★★ (2009-03-24 21:05:49)

Metal Mind盤ライナーでAMON AMARTHが引き合いに出されている通りの、ヴァイキング的勇壮さのある曲調は最初は結構面食らいますね…。正統派っぽいかっこよさもあると思う。トレモロリフで聴かせるパートの、雄大でメロウなメロディも素晴らしいです。


AGES - The Malefic Miasma ★★ (2016-02-28 20:47:22)

2015年発表の1st。

DISSECTION絡みのメンバーが参加したスウェディッシュ・ブラックとして推されていて、気になったので購入しましたが…同じメロブラでもDISSECTIONとは全く傾向の異なる音ですね。DISSECTIONがリフとリズムの兼ね合いで、疾走感を持ってメロディを聴かせる傾向にあったのに対し、こちらは中世的でゴシック風味な美メロをミッドテンポ中心で丁寧に聴かせる事に主軸が置かれている感じ。

時折入る攻めなパートでも、それほど疾走感は意識しておらず、むしろメロディを重厚に聴かせる事が念頭に置かれているような作風で、アルペジオやキーボード、ストリングスも多用し、かなりメロい音。トレモロリフによるハーモニーも、決して少なくない頻度で用いられており、ゴシックテイストのあるメロディック・ブラックが好きであればじっくり聴き入れそう。どことなく気高さも感じる音ですね。

音質もまずまず、展開もしっかりしていてクオリティは十分。ブラックに衝動性を求める方にはお勧めは出来ませんが、中世的なメロディを丁寧に紡ぎあげる作風はその手が好きであればかなり魅力的に映るように思います。


AGRUSS - Morok ★★★ (2013-06-01 17:49:24)

2012年発表の1st。

端的に言ってしまえば、アトモスフェリック・ブラック的な包み込むようなどす黒さを感じさせるディストーションと、刻みやメロディアスなフレーズ等を仕込んだ、メタリックなかっこよさも感じさせるリフを組み合わせた、暗黒度の非常に高いメロディック・ブラック…とでも言えそうな路線なんですが、そんな単純な説明では言い表せない程のカオスを感じさせてくれる、かなりの邪悪盤。

まずヴォーカルの表現力、これが何気に素晴らしい。地を這うような低音グロウルから、喉が張り裂けるような絶叫までを使いこなし、狂性たっぷりに聴き手を圧倒していくようなパフォーマンスも然る事ながら、そのスタイルと、作品の邪悪で重苦しい靄に包まれるような、黒い音質がこの上なくマッチして非常に混沌とした雰囲気に。楽曲の方も、例えばカオティックなメロディとうねるベースを絡ませるパートを設けてみたり、この手の定型をある程度守りつつ、テンプレに嵌まり過ぎない豊かな展開があって、それがまたカルトさを感じさせるんですよね。

これは新興のバンドでもかなり良い線行ってる作品なのではないでしょうか。メロディックブラックのドラマ性と、暗黒アトモスフェリックブラックの禁忌に触れたような邪悪さ、その二つを見事に融合させる事に成功した、かなりの良盤ですよ。


AHAB - The Call of the Wretched Sea ★★ (2007-01-22 21:20:00)

2006年発表の1st。
この手のバンドって、WORSHIPといいMOURNFUL CONGREGATIONといい一枚目から素晴らしい作品を
作る事が多いですよね。そういえばEURO ROCK PRESSにもレビューが乗ってましたね。
結構注目されているバンドなんでしょうか。
曲の方はKamikoさんが仰っているように、引き摺るリフの重さが圧倒的。
WORSHIP辺りとタメを張れるくらいの迫力があると思います。WORSHIPと比べると
スクラッチ音などギターの音作りそのものの聞かせ方の上手さだったら向こうの方が
上手いかな…とも思いますが、こっちはヘヴィさに加えてMOURNFUL CONGREGATIONを思わせる
緩やかながらドラマティックな展開やメロディアスな部分もあり、決して魅力では負けてません。
ヴォーカルの低音咆哮の迫力も凄い。やっぱりデス声はこうでないと!
ちなみに、バンド名の示す通り、彼らの音楽はH・メルヴィルの「白鯨」がテーマみたい
ですね(エイハブ=白鯨モビーディックを追う船長の名前)。歌詞の方も、曲によっては
「白鯨」のテキストをそのまま使用しているみたいです。正にそのコンセプトや、ジャケの
嵐や鯨の激しい力強さを体現するような音を出してます。これは大当たりでした。
私はこのジャンルに手を出して日が浅いので余り気の利いた事は言えませんが、そんな私でも
展開の上手さといい音の重さや浮かんでくる情景といい、この音には浸ってしまいます。お勧め!!


AHAB - The Call of the Wretched Sea - Old Thunder ★★★ (2007-01-19 20:13:10)

タイトル通りのまるで1打1打が雷の様に重いドラムと、そのいかづちによって呼び起こされた龍が嵐の中で踊り狂っているかのようなメロディ(テーマは「白鯨」なので龍じゃなくて巨大な鯨のモンスターがモチーフかも。ともかく自然の脅威を感じさせる雄大なメロ)が凄まじい曲。そして嵐の中から獣のような低音でエイハブ船長に何度も喚びかけるデスヴォイス…これはほんと痺れました。


AHAMKARA - The Embers of the Stars ★★ (2016-03-02 13:25:35)

2014年発表の1st。

トレモロ重視型アトモスフェリック・ブラックということでかなり気になっていたんですが、セールで安くなってたこともありこのたび購入。叙情的なトレモロリフ含有度はかなり高めで、それを強調して聴かせるパートも少なくないものの、敢えてファジーな音色にしてメロウなベースや包み込むようなキーと絡ませたりなど、ある程度変化を付けつつ聴かせる音。

ヴォーカルも例によって自然に回帰した人間の遠吠えのような絶叫ですし、WOLVES IN THE THRONEROOMを始めとしたカスカディアン・自然崇拝系ブラック好きにもお勧めできそう。そもそもメンバーがWODENSTHRONE絡みですね。ただし時折音割れ風の音色のノイジーさのある音作りに若干の癖があるのと、キーボードインスト部分がやや長く、気分でないときは若干冗長に感じるかも。

感想を書くに当たってEncyclopaedia Metallumでバンドの情報を調べてみたら、現在活動状況不明との表記があったんですが、どうやら去年ヴォーカルのSteve Black氏が亡くなってしまったようですね…。ご冥福をお祈りします。


AHERUSIA ★★ (2011-08-21 21:27:34)

ギリシャ産シンフォニックブラック/フォークメタル。
特保みたいなバンド名ですが、リラ(クレタリラ)奏者も在籍する本格派。


AHERUSIA - AND THE TIDES SHALL REVEAL THE TRACES ★★ (2011-08-21 21:29:19)

2009年発表の1st。

まず1曲目の「Birth of Immortals」を聴いて、「えっ?」てなりました(笑)。
弦楽器(これがリラでしょうか)がお祭りというよりも、もう牧場で羊追ってる姿が浮かぶレベルの牧歌的なメロディを奏でたと思ったら、メロブラ的な、体感温度を下げるトレモロリフを入れてきて、「それを合わせちゃうんだ…」と衝撃を受けました。…とは言っても、そんなパートは一部で、全体的にはヴァイキングやメロデスに通じる演奏のパートが多く、牧歌メロや壮大なメロも第一印象ほど浮いてるわけではないですが。

しかし、やはり民族楽器の奏者がいるとメロディが「濃い」ですよね。
単純に壮大だったり民族チックな雰囲気を演出しているというのではなく、もうメロディそのものの主張が非常に強いという感じ。それが壮大な世界観を演出するキーとの兼ね合いもあって、曲を上手く締めている感じがします。クサメロを求めてシンフォブラックやフォークメタルを聴いてる人にはかなりツボかと。

個人的には、寒々しいトレモロと牧歌的フォークメロの融合が面白かったので、その辺りもっと追求して欲しかったところですが…それは置いても質は高いし、フォーク・シンフォ系好きな方にはお勧めできるかと。シンフォブラックの中では、最近話題になったBRYMIRよりも更にフォーク度の高い音出してると思います。


AIHISNA ★★ (2016-05-21 05:43:10)

日本のシンフォニック/ゴシックメタルユニット。
かがやみ氏、かぶ氏による兄妹同人サークルで、音楽のみならずゲームも制作してます。実は海外の超大手レビューサイト、Encyclopaedia Metallumにも登録されてるユニットだったりします(まああそこはUI-70とかCROW’SCLAWなんかも載ってますが)。


AIHISNA - 凛然とした夢百合水仙 ★★★ (2016-05-21 05:44:14)

2015年発表のおそらく6th。

ゴシック趣味の強い、美しくて派手なオーケストレーションを、メタリックなリフ・リズムに乗せて疾走するインストメタルで、メロディのキャッチネスや音像の華美さなど、ゲーム音楽を本格的にメタルに特化させたような音。実際に、このアルバムの中の何曲かは、翌年に発表の弾幕STG「八重の妖泉華」に使用されてますね。実はそのBGMが凄く良かったのでオリジナルフルも聴いてみた次第です。

このユニットの音楽はメロディの印象深さも然る事ながら、その聴かせ方も非常に上手いのが素晴らしいです。オーケストレーションはただ漫然とストリングスの音でメロディを奏でている訳ではなく、時にピアノやヴァイオリンによる高速のパッセージを挟んでみせたり、チェロによる独奏パートがあったりなど、変化と緊張感に満ちている、ドラマ性に富んだもの。

ギターも単にメタリックなリフでヘヴィさを音像に加味するだけでなく、主旋律を担うことで音像に変化を付けたり、トレモロリフを用いてメロディを強調したりなど、オーケストラの派手さとの相乗効果を出せている印象。同人のゲーム音楽のメタルアレンジもそれなりに聴きますが…ヘヴィなリフや音像を提供出来るサークルは多くても、リフに如何にメロディを練り込むかや、キーボードとギターがどれだけメロディを分かち合うかのバランスを取るのが苦手な所が多い印象があるんですけど、このサークルの音楽はそこをクリアしているのが良いですね。特にトレモロリフをしっかり使えるというのが素晴らしい。

しかし、今作に収録されていない「八重の妖泉華」の楽曲は、次作に収録されるんでしょうか…。背後から高速で飛んでくる鐘弾のトラウマが蘇るラスボス曲「水鏡の朧鐘」とか、がっつり音源で聴きたい所です。


AISLING - Stone of Light ★★ (2011-07-01 19:44:02)

2009年発表の2nd。

民族色の強いメロディをトレモロリフやキーボードで奏でつつ展開する、ペイガン/フォーク寄りのシンフォニック・ブラック。トラッドのお祭り的な、陽気な側面ではなく、飽くまで「叙情性」の部分を非常に強調した仕上がりで、ど派手とまではいかなくても、聴いててグッと来るような、胸に沁みるメロディが多い感じですね。トラッドメロで盛り上がる箇所も大仰さ・ドラマティックさはあってもはっちゃけた感じではなく、常にシリアスなムードが漂ってる感じ。

また、ノーマル声で歌い上げるパートでは、朗々と歌い上げたりダミ声でがなったりではなく、女性ヴォーカルを取り入れているのも特徴で、かなり神秘的な雰囲気。メロディの素晴らしさも然る事ながら、しっかりそれを行かした展開をしてくれるのもいいですね。メロディの押し引きと演奏の押し引きがしっかりリンクしてる。2曲目のトレモロ・刻みを交えつつリフ押しで疾走→女性Vo+ギターソロ+アルペジオで「聴かせる」展開に…の流れなんてメロディックなメタルが好きならメロメロになれます(笑)。

メロディも曲も質が高く、曲自体はEQUILIBRIUMやELUVEITIEと一緒に日本盤出したら売れそうな感じなんですが、音質が少し弱いのが残念ですね…音量はもう二目盛り分ほど上でもいいと思うし、特に刻みリフはもっと鋭い音にした方がかっこいい気がする。と言っても、十分良いアルバムなのでペイガン・シンフォ系好きなら納得出来るかとは思いますが。


AJATTARA ★★ (2011-04-29 12:06:39)

AMORPHISやWALRATI等とも人脈的繋がりのあるブラック。
お茶の名前みたいなバンド名ですが、なかなかの個性派。


AJATTARA - Kalmanto ★★ (2011-04-29 12:09:17)

2007年発表の5th。

これ、最初聴いたときは「合わない…」と思って、売ろうとすら思いました。まず曲の根幹であるリフはトレモロではなく、ハードロックベースのドゥームのようなヘヴィなものが中心だし、リズムもブラストではなくミディアムでノリのいいものが中心だし、キーが入るものの、シンフォとまでは言えない程度だし…で、個人的にブラックに求めるものが全然入っていない印象。

ただ、時間を置いて聴き返してみたら一気にイメージ変わりましたね。
重いリフで黒く塗り潰された視界に、敢えて音色を多彩にしないキーボードが妖しく仄めく音像はそれだけで奇妙な空間を作り出してるし、ヴォーカルの力強さを感じられないクリーンですら、暗黒世界に棲むシャーマンの祈祷のようで、これはこれで良いと思えるように。SEの使い方の面白さもあって、独特な側面から邪悪さを表現しているんだと納得。

ファスト系やプリミティブ、ディプレッシブを求める方ならスルーして正解かもしれませんが、どこか土着的な呪術性が感じられる、ダークなメタルを求める方であれば聴いて損はないかと。ドゥーム要素、ゴシック要素強めです。


AKB48 (2011-06-12 23:50:15)

AKB48のCDはまだ持ってない私が言うのもなんですけど…
AKB48が売れてるのは「インタラクティブ性」が時代に合ったからじゃないでしょうか。

例えば、一昔前まで最も力のあるメディアであったテレビなんかは、送り手から受け手へ、関係性が一方的でしたが、近代に入って携帯電話やインターネットなど、送り手と受け手の境界が曖昧なメディアが台頭してきましたよね。そういった世間の変化と、投票で歌唱メンバーを選抜する等、受け手が参加できるプロデュースの方向性が合致したから、ブレイクしたんじゃないかと思います。

同様のことはニコニコ動画や同人音楽の流行にも言えますが、そうした世間の風潮の変化が最も良く現れてるのが、「AKB48のブレイク」じゃないかと。テレビが力を持ってた時代、オーディション番組のASAYANがきっかけで鈴木亜美さんやモーニング娘がブレイクしたのとは好対照ですね。


AKB48 (2011-09-02 22:19:55)

買っちゃいました、フライングゲット。
音楽番組かなにかで聴いて、「これをカラオケで歌いたい!」と思ったので…ちなみに、買ったのは発売日の翌日で、値段は某大手中古書店で半額以下でした。握手券商法万歳ですね(笑)。

っていうか、その「フライングゲット」と、「ヘビーローテーション」しか知らないんですけど、AKBの曲ってそんなに駄目ですかね?私の中には、「リフとリズムの絡みが凄いバンドが素晴らしい」「幽玄さや邪悪さなど、ムードをしっかり演出できているバンドが素晴らしい」「他のバンドにない、特有の世界観を持っているバンドが素晴らしい」などの価値観に加えて、「カラオケで歌って楽しくて、皆で盛り上がれる曲が素晴らしい」という価値観もあるんですけど、そういう物差しで計れば、AKBの曲はそんなには悪くないと思いますよ。というか、AKBみたいなコマーシャルなポップスを歌唱力や本格志向性で計ることに、いまひとつピンと来ないんですが。

ちなみに、この2曲を聴く限りでは、歌の下手さは良く分かりませんでした。というか、ユニゾン重ね過ぎてて合唱曲みたいに聞こえるんですけど…。クラスの女子みんなで歌ってるような、楽しい雰囲気は凄く良いけど、一人一人の個性は全く伝わってこないかも。AKB好きな人は、これ聞き分けられるんですよね…そこは正直凄いと思う。


AKB48 - ここにいたこと ★★ (2012-04-26 20:24:37)

2011年発表の1st。

この前にもベスト盤/コンピレーション盤的な性格のアルバムは何枚か出ているようですが、オリジナルのフルレンスとしてはこれが一枚目らしいです。…ここのコメント欄を見ても分かるとおり、商業的な売り出し方やメディア戦略からか、一部の人間からは蛇蝎の如く忌み嫌われてるようですが、逆にそこまで言われると聴きたくなっちゃいますよね、ミーハー代表としては(笑)。以前聴いたフライングゲットやヘビーローテーションも悪くなかったですし。

しかし、結論から言えば「無難なアルバム」という感じで、アンチ的な立場を取ってる人を改宗させるには、ちょっと弱いかな…という印象。アルバム曲にごく普通のポップスが多くて、初見では一人ひとりの歌い方の個性がほぼ分からないであろう斉唱スタイルの多いアレンジとも相俟って、個人的にアイドルポップスには不要だと思う、「中庸感」が強く感じられてしまうんですよね…。

ただ、一曲目の「少女たちよ」は清涼感あるポップスで、期待感を煽ってくれるし、11曲目の、歌詞がメンバー紹介で内輪受けと思わせておきながら、実は鬼キャッチーなサビを持つ「チームB推し」から、親しみやすいメロディが続くシングルの曲を連発する後半はかなり持ち直している感じ。「ポニーテールとシュシュ」なんかは如何にもカラオケ向きで私好みだし、「Beginner」は個人的に彼女達のイメージにはなかった力強さも感じられて、結構楽しめました。

私としては、「少女たちよ」や「チャンスの順番」の系統の曲を薄めた感じの、普通っぽい曲は外して、シングル曲以上のキャッチネスを持つ曲かインパクトのある曲をがっつり入れてくれれば、もっと良かったのに…という感じです。秋元さんのマネーパワーに物を言わせて最強の手札を大人気なく集めました…みたいなアルバム構成にしてくれれば言うことなしなんですけどね。ただ、16曲も入って1980円と、一般アーティストのアルバムより安めなのは嬉しい所。


AKB48 - ここにいたこと - ヘビーローテーション ★★★ (2011-09-05 23:00:30)

カラオケに行くと毎回歌わされる曲(笑)
でも、Bメロの「♪こんな気持ちに~」やサビの「♪ガンガン鳴ってるMUSIC~」のところろか、張り上げて歌うには爽快な音域に設定されてるし、サビではみんながコーラスやってくれるのでホント歌ってて楽しい。カラオケ大好きなんで、こういう曲は否定できないですね。


AKB48 - シングル/カップリング等 - フライングゲット ★★★ (2011-09-05 23:10:18)

私的には、衝撃を受けるレベルの歌メロ。
この、一回聴いただけでカラオケボックスに行きたくてうずうずするような、歌心ありまくりのメロディがホントツボです。ただ、結構癖の強い歌メロなので、それに合う歌割をして欲しかったとは思いますが…こういうメロならユニゾン重ねまくるより、多少ピッチ甘くても太くて強い高音出せる人の方が合うと思うし。


AKERBELTZ - A Wave of Darkness ★★★ (2011-12-19 22:07:02)

2000年発表の1st。

適度にローファイな音質で寒々しさ、仄暗さを伴うリフと共に疾走する、「これぞプリミティブブラックだ」と言いたくなるくらい、プリブラとしてのツボを押さえた作風ですね。ヴォーカルも喉を潰しそうなひしゃげまくった絶叫で、普通のデスボイスよりも獰猛な感じにカルトなプリミティブブラックらしさが感じられてグッド。

特徴としては疾走パートがファストブラック並にテンションが高めなんですが、これがファスト系のヘヴィな音ではなく、プリミティブ系の平面的な音と合わさる事で、カルトなジャンルならではの魅力が出ているように思います。単に迫力があるというよりは、全てが暗黒に吸い込まれていくような、どす黒いムードも醸し出されている感じ。このジャンルが好きなら確実に聴いててうっとり出来ること請け合い。

ローファイながら曲の魅力を損なわない、むしろ引き出す音質、仄かにメロウなリフ、カルト性を感じさせるヴォーカルと、このジャンルにおけるクオリティはしっかり備えている作品。プリミティブブラックが好きな方なら買って損はないかと思います。


AKERCOCKE - Choronzon - Enraptured by Evil ★★ (2006-09-28 17:10:07)

曲自体はいつも通りの彼らのそれなんですが、この曲は取り立ててヴォーカルの凄まじさが際立ってます。「ゲロゲロゲッゲ、ゲロゲロゲッゲ、ゲロゲロゲッゲ、ギャーギャーギャー!!!(←どの部分を歌ってるのか不明)」嘔吐寸前の低音デスと、×チガイ絶叫のハーモニーが堪能出来る曲(笑)。


AKERCOCKE - Choronzon - Goddess Flesh ★★ (2006-09-18 22:10:29)

やはり終わりの曲も不気味ですね。
他の曲よりも実験色が濃く、メタルからも逸脱している感じ。
ホラー映画で言ったら主人公がゾンビに食われて終わり、みたいなエンディング。


AKERCOCKE - Choronzon - Leviathan ★★ (2006-09-18 22:11:26)

リヴァイアサン(レヴィアタン)は神が創った海の怪物で、時に鰐とも訳される存在ですが、ヴォーカルの普通声は海というよりも砂漠を彷徨う旅人の嘆きにも聞こえます。そこに異界的なフレーズも挿入され、空が極彩に染まった四次元の砂漠を延々と彷徨いつづけているような感覚を覚えさせる曲。


AKERCOCKE - Choronzon - Praise the Name of Satan ★★★ (2006-09-18 22:12:46)

少女に催眠術をかけて悪魔を召喚する様子と、鞭打ちのような音が響くSEから寒気がするぐらいに邪悪なリフへ。途中に挿入されるメロディの不気味さも際立ってます。3rdはやはり2ndより進歩してると思いますが、一曲のインパクトならこの曲がベストかもしれません。好き者ならこれを聴いただけで名盤確定。
…でもSEは2分もあって長すぎ。ぶっちゃけばっさりカットしたい。


AKERCOCKE - Choronzon - Prince of the North (2006-09-29 21:44:58)

2つの音色の掛け合いから、妖しげに展開していくインスト。
でも全然「North」って感じがしないのがミソ(笑)。むしろミイラとか出てきそうな雰囲気に聞こえるんですが。


AKERCOCKE - Choronzon - Scapegoat ★★★ (2006-09-29 21:42:29)

確かに、思わず笑いが込み上げてくる凄まじさです。
暴虐と禍々しさを自由に行き来するリフも凄いし、スプリンクラーの様に吐瀉物を撒き散らしてる姿しか思い浮かばない中間部のヴォーカルもイっちゃってます。本人達は至って真面目でしょう(笑)


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone ★★★ (2006-08-01 18:21:00)

2005年発表の4th。

このバンドが評判が良いと言うのは聞いていたんですが、ジャケが全裸の女性だったり(これは違うけど)、バンド名が鶏の鳴き声みたいだったりしたので、B級のバンドだと思って敬遠してたんですが…なんてもったいないことをしていたんだろう(笑)。B級なんてとんでもない。間違い無くA級…っていうかS級のメタルです。

これはジャンル的にはプログレ・デス/テクニカル・デスになるのかな?ダイナミックで暴虐性をしっかり伝える音質の良さや厚みのあるリフはデスっぽいですが、時折入る邪悪でメロウなリフや歌詞なんかはブラックっぽいですね。しかも、そのデス/ブラック的なエクストリーム・メタルなパートだけでもかっこいいのに、このバンドは幽玄なアルペジオやキーボード、妖しげな普通声などもフィーチャーした異次元的なパートを導入する事で、曲を前衛的で面白いものにしているのが興味深いです。前衛的と言ってもメリハリのある展開の為、小難しさよりもドラマティックさが強調された仕上がりになっている所などはSOLEFALD辺りとも共通する特性かもしれません。こっちの方がやや凶悪ですが(笑)。

この完成度なら例えプログレ/アバンギャルドメタルに興味が無い人でも取り込めるでしょう。しかし、このバンドは曲の完成度の高さも素晴らしいですが、ヴォーカルも壮絶ですね…喉の奥で石臼を轢くようなガテラル声で歌詞が全く聴き取れない(フィーリングで追っても大体ズレる)部分もあれば、喉が張り裂けるようなブラック的な絶叫をかます部分もあり。更にOPETHのようにマイルドだったり、怪談のようなおどろおどろしさを醸し出したりする普通声までマスターしてます。特にガテラルとブラック声はそれを専門にしているバンドのヴォーカルと比べても遜色無いかっこよさ。最初ヴォーカルは二人以上だと思ってましたが、どうやら一人らしい…声の振り幅の大きさでいったらEMPERORやOPETHよりも上だと思います。

ちなみにDVDにレコーディング等の風景が映ってますが…ブラック声の時は凄い形相(笑)。ともかくこんな素晴らしい作品のレビューがまだ書かれず、2005年度のベストアルバム投票でも誰も票を入れていないなんて信じられません。SOLEFALDといいARCTURUSといい、正統から外れた良いバンドが日本では冷遇されているような…。おそらく、こういうシアトリカルなメタルって聴かず嫌いな人が多いんだと思います。そういう人は是非これを聴いて下さい。きっとこのバンドがこういう扱いを受けている事に憤りを感じるはずです(笑)


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Abbadonna, Dying in the Sun (2006-08-06 21:54:16)

これは…アヌビス神召喚の儀式か何かですか?


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Eyes of the Dawn ★★ (2006-08-06 21:49:41)

タイトルからは夜明けだけど、昇ってくるのが太陽ではなく巨大な眼球(EYESだから複眼みたいな感じかな?)…みたいな連想なんですが、その不気味なイメージがハマってて洒落にならない曲ですね(笑)。ブルデス並の畳み掛けから唐突に妖しげなパートに移行したり、先の読めない展開。


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Lex Talionis ★★★ (2006-08-06 21:52:52)

デス要素は全く無く、祭儀的な音が流れるラスト曲。
寝る前に聴いたらこれのせいで悪夢見そう。この曲のマンドリン、絶対黒い影がその音色の裏側からこっち見てる…ある意味締めに相応しいかも。


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Seduced ★★★ (2006-08-01 18:24:42)

この肉体的ブルータリティに優れるだけでなく、精神をも衰弱させていきかねない妖気を放つ演奏…MORBID ANGELなんかと比較しても劣らないのではないでしょうか。更にこのバンドの場合、そこからプラスαな展開がありますからね…素晴らしいです。


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Seraphs and Silence ★★★ (2006-08-01 22:48:23)

最初に提示したブルータリティがドロドロに蕩けていくような展開が印象的な曲。次にブルータリティが復活した時には寒気のするようなかっこいいギターフレーズを伴い、かなりドラマティック。また天使との性交を思わせるSEを含むパートでは妖しげな雰囲気も聴き所。
しかし、ラスト近くの笑い声はちょっとこっちまで笑っちゃうなぁ(笑)ドラムのリズムに合ってるところが面白いです。


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Shelter From the Sand ★★★ (2006-08-06 21:46:30)

アルバム中、唯一10分を超える大作。
前半は黒い音塊の中狂人が笑い叫ぶようなエクストリーム・メタルですが、後半は異世界音楽に。特に8分30秒辺りからの音は悪夢としか思えません。そうかと思えば、エンディングはメタルとしての真っ当なかっこよさが復活して終了。全体としてかなりシュールな印象の曲。流石に大作だけあって展開も音作りも凝ってますね。


AKERCOCKE - Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone - Verdelet ★★★ (2006-08-01 22:52:08)

プログレ/アヴァンギャルド系のメタルを期待して聴いた人はこの音圧と、ヴォーカルの醸し出す野蛮なフィーリングにどう思うのでしょうか(笑)。ギターソロもなんだが捩れる雰囲気でいい感じ。でもブラックメタラー的に美味しいのはやっぱり途中のトレモロリフパートですね。1曲目から最高の掴みです。


AKHLYS - The Dreaming I ★★★ (2015-05-18 00:04:16)

2015年発表の2nd。
NIGHTBRINGERのNaas Alcameth氏のバンドの新作と言うことで、取り合えず試聴してみましたが…次の日即買いに走りました(笑)。最高じゃないですか、これ…。

NIGHTBRINGERや、その関連バンドであるBESTIA ARCANA、INCURSUSなどと同様、禍々しい瘴気を放つトレモロを中心に、邪悪でアトモスフェリックな雰囲気を演出するブラックメタルですが…「闇の濃さ」という点から見れば、これらのバンドの中でも随一かもしれません。

意図的に残響感を醸し出したような音像の中で、百人が聴いて百人が邪悪さを感じ取るであろう、ある意味分かりやすいトレモロや、悪寒と戦慄が走るようなアルペジオ、ブラストを中心とし、グルーヴよりも非人間的であることを重視したような苛烈なリズムなどが織り成す音階は、最早「楽曲」というよりも「邪悪の波動」をそのまま具現化したかのような感じ。この音と比べると、近年のNIGHTBRINGERはまだメタリックだなぁ…と思います。

好事家であれば、邪悪なトレモロが発する波動を浴びているだけで恍惚となれるアルバム。例えば、ポストブラックを聴いて、トレモロ含有率には満足しつつもメロディの邪悪さには満足できなかった人なんかは、もうどツボに嵌まるのではないでしょうか。ホント素晴らしいです!


AKITSA ★★ (2007-03-29 00:58:00)

ILDJARNやSORTSINDなどと同時に語られる事が多いブラックメタルバンド。
曲や作品のタイトルは殆ど仏語ですが、カナダのバンドです。
曲の中に「ケベックのエリート主義」を意味するタイトルのものがある事からも、
ナショナリズムを標榜しているのは本当なのかもしれません。


AKITSA - Aube De La Misanthropie ★★ (2007-03-29 00:19:00)

2005年発表の2枚組音源集。A5デジパックケースがかなりかさばります…。正直言ってケースは普通のが良かったかも。特にブックレットとかも無いので…。

「DISC-1」
99年発表のデモ音源を収録。
隣のスタジオから漏れてくる音を録音したかのような、恐ろしく篭もったプリミティブブラックの曲と、そのネクロな雰囲気やヴォーカルなどブラックの要素を利用してダークな音の響きを追求したような前衛的な曲をほぼ交互に演奏し、ラストの14曲目で詩の朗読(神父の説教?)とノイズを組み合わせた大作曲でトドメ…という感じの構成。前衛路線の曲はともかく、こっちのディスクのプリブラはかなり聴いててキツいものがある…これに比べると、DARKTHRONEやCLANDESTINE BLAZEはまともな音質という感じがします。

「DISC-2」
01年のCD-Rとデモ、BURZUMのカヴァーとコンピ提供曲を収録。
こっちのディスクでは前衛的なパートの占める割合が減り、プリブラ路線のパートが多くなったのと同時に、そのパートがより魅力的になっているように思います。まず音質はちゃんとプリブラとして楽しめるレベルになっているし、早歩きくらいのテンポとノイジーなリフを合わせて陶酔感を演出する作風にはILDJARNにも通じる魅力も。ヴォーカルもただ絶叫するだけではなく、最近のMUTIILATIONを思わせるジャンキー系のダウナーな病んだがなりや生気の感じられない普通声も使い出しかなり良い感じに。ただ、1~6曲目とそれ以降で音量が違うので、そのまま聴いていると耳が痛いくらいの大音響になってしまうのはちょっと不満かも。あとアウトロにタイトル付けないのは勿体無い。

…かなりコアな路線を進んでいるバンドだと思います。特に一枚目のディスクは、ブラック好きな私でも付いていけない部分が…ILDJARNやSORTSIND、STALAGGHなどノイズ要素がありカルトなブラックが好きな人にお勧め。


AKITSA - Aube De La Misanthropie - Cachots De L'obscurite ★★ (2007-03-29 00:30:09)

タイトルが仏語訳されてますが、BURZUMの「Dungions of Darkness」のカヴァー。本家よりも更にディープ&ダークで、RAISON D'ETREの「Metamorphyses」にも通じる、世界が軋みを上げるような恐ろしさのある音。…ただ、音響で深遠な恐怖感が演出できているだけに、ヴォーカルは必要無い気も。無い方が恐かったとも思う。


AKITSA - Aube De La Misanthropie - Champ De Bataille ★★ (2007-03-29 00:51:13)

この曲はヴォーカルパフォーマンスが特に凄いですね。
絶叫の方のスタジオ中を血塗れになって転がりまわっている感じもヤバいし、普通声の方は適当に歌ってるような投げ遣り感があって最高(笑)。主に普通声のせいで独特な雰囲気が…。


AKITSA - Aube De La Misanthropie - Desengrenage(les Enfants De L'illusion) ★★★ (2007-03-29 18:24:21)

低音質プリブラと不気味な普通声という好き者にはたまらない取り合わせの曲。何の感情も無く朗々と歌うヴォーカルが良いですね。やっぱりメタルのノーマル声ヴォーカルはこうでないと(暴論)。リズムの淡白さも特筆に価します。