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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1701-1800

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1701-1800
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CROW'SCLAW - Crossfire Barrage - Scarlet Devil ★★★ (2008-07-22 19:11:57)

1曲目のイントロからこのメロディアスさ…。
インストで、がっつりしたメタルを聞かせてくれるのに、曲の8割くらいが一緒に歌えそうなメロディで締められているというどキャッチーな曲。「メロディック~」とつくジャンルのメタルにも、なかなかここまで上手くメロディを聞かせられる曲はないでしょう。


CROW'SCLAW - Crossfire Barrage - Still Winter ★★★ (2008-07-22 19:10:49)

シャッフルのリズムのグルーヴが心地良い曲。前作の作風にも通じるワイルドな雰囲気を醸し出しながら、どこか洗練されているという印象もあります。こういう曲の質も高いからこそ、アルバムの流れも締まるんですよね。


CROW'SCLAW - Frozen Frog ★★ (2008-07-11 21:15:00)

2008年発表の上海アリス幻樂団カヴァーアルバム。全曲インストです。
タイトルや氷の結晶をあしらったジャケ絵からは何か冷涼なものをイメージしますが、
実際に音を聴いてみると泥臭く、暑(苦し)いブルージーなハードロック。
この後に出た「Crossfire Barrage」が余りにも素晴らしかったので、殆ど間を置かずに
これも買ってしまったんですが、ほぼ別のアーティストみたいな出音にびっくり。
帯に「サザン・メタル」とは書いてありましたが、まさかこんなにも違うとは…。
今作ではリフだけでなく、ベースやドラムが一丸となって演出するグルーヴが心地良いです。
クレジットを見る限り一人バンドのようですが、スタジオでジャムりながら作ったような
雰囲気があると思います。CROW'SCLAWはジャンルの中でも音のヘヴィさやリードギターの
聞かせ方の上手さが優れていると思いますが、その個性が実に作風とマッチしてますね。
メロディも哀メロ・美メロには定評のある上海~のものを使ってるので当然の如く高品質。
ただ、十分楽しめましたが正直言ってこの路線自体は好みではないかも…。
全体を通じて明るいというか、「このグルーヴで体を動かそうぜ!」みたいな「健全さ」が
あってちょっと鬱陶しい部分も。これで暑苦しいハイトーンとか入ってたら聴けないと思う…。
でもこれは私がメタルは暗黒系や鬱系ばっか聴いてるリスナーだからで、他の音楽ファンは
そうは思わないと思います(笑)。レビューした人の嗜好に問題ありと思ってください(笑)。
9曲目のリフなんかはメロくて鮮烈でグルーヴィだし、作品の質自体は高いですよ。


CROW'SCLAW - Frozen Frog - Cirno Blues (2008-07-22 19:15:30)

まさかこのメロディで典型的なブルースを演るとは…
初めて聴いた時は結構衝撃でした。


CROW'SCLAW - Frozen Frog - Crow Called Windgirl ★★ (2008-07-22 19:18:01)

荒野をジープで走っているような土臭い雰囲気のある曲。
こういうアレンジなら、弾幕系STGよりもワイルドアームズのフィールドとかで流れてた方がしっくり来そうかも。


CROW'SCLAW - Frozen Frog - Mystery Metropolis ★★★ (2008-07-22 19:17:12)

原曲は「天空の花の都」という曲らしいですが…そういう二つ名が当てはまりそうな、風光明媚な観光地にトリップしたかのような感覚が味わえる曲。情景の描き方はどこかプログレにも通じる物があるかも。聴いていると夢心地になれます。


CROW'SCLAW - Frozen Frog - R'N'R 1969 ★★★ (2008-07-22 19:16:22)

荒くれっぽいワイルドな雰囲気を感じさせつつも、広がりのあるギターリフはどこか繊細さも感じられて、綺麗。今作の中では速いし、リフのインパクトもあるし、個人的にはこのアルバムの中で最も好きな曲。


CROWN OF AUTUMN - Splendours From the Dark (2012-03-17 22:35:10)

2011年発表の2nd。

確か14年ぶりのフルアルバムでしたっけ…
歳月が経っても路線に大きな変化はなく、中世的・土着的な香りのする、上品で高品質なクサメロとメロデス的なストレートなかっこよさを体現するリフ捌きで聴かせる、ジャンルでも最高級に聴きやすい、かつドラマティックなシンフォニック・ブラック。前作で物足りなさを覚えた音質も、満足とは言えないまでもある程度改善されていて、クオリティ自体は上がった印象。

…なんですけど、個人的には望まぬ方向に行ってしまったな…という感じも。前作から変わった点としては、パワーメタル風のクリーンが大幅増強し、むしろそっちがメインになったことが挙げられますが…このヴォーカル正直苦手なんですよね…。メロデス的なリフ捌き自体も正統派からの流れを感じさせますし、最早エクストリームメタルとは言えない作風だと思う。

…別にエクストリームでなくても自分の好みにフィットすれば全然構わないんですが、正直苦手なタイプのヴォーカルがこうまでフィーチャーされてるとげんなりしてしまうかも…。メロパワも行ける方なら問題なく楽しめるでしょう。


CROWN OF AUTUMN - The Treasures Arcane ★★ (2012-03-01 22:53:13)

97年発表の1st。

一言で言うなら、メロディアスさを追求する余りブラックメタルの価値観から離れたところに着地したシンフォニック・ブラック…という感じですね。トレモロを交えたリフ捌きやがなりヴォーカル、ファストパートを多く含む展開などはブラック的ですが、そこにメロデス的なメロディックなギター、シンフォメロスピ風の中世ファンタジー的な大仰なオーケストレーションを導入し、更にメロさを強調させたような作風。

ヴォーカル面でもヴァイキング風のダミ声やマイルドな声質のクリーンヴォーカルを導入し、更にメロディアス・エピック・ドラマティックな仕上がりに。最早ブラックメタルの邪悪さとか攻撃性だとかは感じられない音ですが、上品にファンタジックな世界観を紡ぎ上げていて、これはこれでかっこいい。シンフォブラックの中でも最も聴きやすい部類に属すると思う…曲だけなら。

ただ、音質がドラムが軽い・軽い割にやけに前に出てくる、そもそも全体の音量が小さい…という三重苦背負ったものなので、実際の曲よりマニアックに聞こえてしまうのが残念。確かに音の悪さがミステリアスな雰囲気を醸し出しているパートもなくはないですが、こういう作風ならメタリックで硬質な音作りにした方が、より楽曲のドラマ性が強調されると思うんですよね…。少なくともマスターボリューム下げ過ぎたのは失敗かと。

ちなみにこの作品、ケースがかなり凝ってるので必見。CDに傷が付きそうな紙ジャケットでレア感狙うバンドよりも、こういうこだわりあるパッケージングをしてくれるバンドの方が断然好感を持てます。


CRUCIFIST ★★ (2011-11-05 16:28:14)

Profound Loreより1枚のアルバムをリリースしている、アメリカのブラックメタルバンド。既に解散していますが、様々な有名メタルバンドに参加した経歴を持つDan Lilker氏も在籍していました。


CRUCIFIST - Demon-haunted World ★★ (2011-11-05 16:32:01)

2009年発表の1st。

曲名のほうも「Anus Mundi」というものがあったり、パンチが効いてる感じですが、音の方もスラッシュやサタニックなデスメタルの要素の強い、オールドスクールなブラックメタルでダーティ極まりない雰囲気を醸し出してますね。音の分離は悪くないものの、Dan Lilker氏の弾くベースの音色がやたらヴォルヴォル言ってて、ただでさえ地下臭いムードを更に助長させてます。

この手のスラッシーでオールドスクールなブラックって、割とスラッシュ由来のかっこよくて熱いメロディが多かったりしますが、このバンドはどこか病んで湿ったような雰囲気のメロディが多く、ホラーでカルトなムードも強いのが特徴。個人的には酔っ払いダーティなふてぶてしさで地声混じりにがなりヴォーカルのスタイルはいまいちツボに嵌まらないんですが、黴の生えそうな作風自体は結構好きですね。

オールドスクールな路線ではあるものの、Profound Lore産らしい捻りも効いていてユニークな音。ダーティで汚らしいブラック好きな人、レーベルの作品を追っている人にお勧めです。


CRUENTA LACRYMIS - Sweetness and Blasphemy ★★★ (2016-04-16 17:15:23)

2015年発表の1st。

ヴォーカル、ベース、キーボードと編成の半数以上を女性が占めるイタリア産のシンフォニック・ブラックというプロフィール、そしてCDを取り出すと読み取り面の外周にお洒落な装飾があり…と、前情報からは華やかで派手なシンフォブラックを期待してしまいますが…派手さは予想通りなものの、大方の推測を裏切る野蛮さを感じる音で驚きました。シンフォ系ながらむしろノリとしては南米やオセアニアのブラックに近いんじゃないか…っていう。

まずリフの残響音すら重々しく感じるプロダクションがかなりヘヴィなことに加えて、時々リフやリズムのフレーズがオールドスクールというか、ロックなノリを見せており、それがエクストリームメタルの攻撃性と合わさり非常に野蛮で攻撃的な音に。更に女性ヴォーカルが、女性特有の憎々しさやサベージさを感じさせつつ、男性以上のパワーを出すことに「成功してしまっている」という稀有なタイプなこともあり、より野卑な雰囲気が強調されてます。若干英語の発音が訛っているというか、フリーダムなのも素晴らしい(笑)。「Hades」という単語が「ア゙ア゙ア゙ア゙イ゙!!」としか聴こえない所とかあるし(笑)。

…こう書くとぶっ壊れただけの音源を想像してしまうかもしれませんが、シンフォニック・ブラックとしての構築性やクオリティ、メロディアスさなどはしっかり保持しているのでご安心を。ただ、この手の音としてここまで野蛮さを感じさせるのは結構独特ですね。シンフォブラックを聴き込んでいる人にも結構な衝撃になる作品なのでは…と思います。


CRUXIFICTION ★★ (2013-04-19 14:29:44)

フランス産ブラックメタルバンド。
バンド名はCrucifixionではないので注意。


CRUXIFICTION - The Coming ★★★ (2013-04-19 14:31:01)

2011年発表の1st。
これはメロブラでもかなりドラマティックな作品ですね。

基本はブラストも交えつつ緩急付けたリズムに、メロウなトレモロリフや、やや粗くノイジー気味なリフを絡ませた典型的なブラックメタルのスタイルですが、泣きメロのギターソロ(パートによってはツインリードまである)を長めにフィーチャーしたり、チャーチオルガンとバンドサウンドの絡みがあったり、アルペジオがアトモスフェリックな空間を演出したり、展開にかなり工夫が見られ、衝動性よりも構築美やドラマ性を重視した仕上がりの音。

音圧、フレーズの聴き取りやすさなど、音質面でも申し分なしで、純粋にメタルとして非常にクオリティの高い音と言えるかと。何気に刻みを利用して厚みを出すパートもかっこよかったり。トレモロなどに見られるメロディの美しさはフランス産のバンドらしさを醸し出してますが、リフのザリザリした、氷の礫が吹き付けるような感触はジャーマンブラックに通じるものがあると思う。これらの要素が上手く絡み合って、メロブラの中でも「耳に残る」音になっているように思います。

メタルとしてのクオリティの高さ、構築美を重視した曲作りから、アングライズムやカルトな空気感は感じられませんが、純粋に質の高い暗黒音楽としてはかなりお勧めできる逸品。マニアックでないブラックもそれはそれで素晴らしいですよ。


CRYING BLOOD - ANIMAE DAMNATAE ★★★ (2010-01-23 19:38:00)

2009年発表の3rd。

雰囲気系(空間系)のキーボードが、「雰囲気系」という領分を越えて派手に暴れまわるシンフォニック・ブラック。キーボードの音色の選択のセンスは黎明期シンフォブラの妖しさを、メロディの派手さやメタルとしての質の高さは現代シンフォブラのモダンさをそれぞれ備えていて、昔からこの系統を好んで聴いている人にも、最近聴き始めた人にもアピール出来る路線と言えそう。リフもしっかりしていて、キーばかりに頼り過ぎないアンサンブルも良い按配。

ただし、「鬼女」期のDaniを、更に喉を絞ったようなギーギーヴォーカルは壮絶で個性的ではありますが、結構好みが分かれると思う。このヴォーカル、「鬼女」期のDaniを越えるドMスロートの持ち主ですぜ(笑)。「苦虫を噛み潰したような」とは、本来表情への形容ですが、ヴォーカルを聞いてこんな言葉が思い浮かぶとは思わなかった…。

この作品なら、例えばABGAIL WILLIAMS辺りのメタルコア好きにも受け入れられているバンドのファンにも、ブラック特有の妖しい雰囲気を楽しんでもらえるのでは。少しドラムにRAWな響きこそあれ、クオリティは非常に高いです。ただ、GOTHMOG辺りもそうですが、このレーベルはジャケ横のバンド名のフォントを工夫して欲しいなぁ…。シンフォブラックっぽくない感じがするんですよね。


CRYPTIK HOWLING - Synthetic Ascension Design ★★★ (2014-04-15 22:28:35)

2013年発表の3rd。
ショップでの紹介と、アルバムタイトルのかっこよさに惹かれ購入。

ショップでもCRADLE OF FILTHやDIMMU BORGIR辺りのバンドが引き合いに出されていた通り、一言で言えば楽曲展開や音質など、トータルでのクオリティも高いシンフォニック・ブラック…という感じですが、その辺りのメジャーバンドと比較すると、こちらはアングラなブラックにも通じる不穏さが強めな作風ですね。個人的には2曲目の中間部なんかはMAYHEMにも通じる陰湿さを感じたり。

どちらかというとシンセよりもトレモロリフのメロディを強調するパートに主眼が置かれている印象ですが、メロディの傾向としてはメロブラ特有の邪悪な優美さを感じさせつつも、湿り気のある、仄暗い雰囲気が強い感じ。シンセはこの手のバンドとしてはやや派手さは抑え目ではありますが、上手くメロディの陰湿なムードを際立てていて良い感じです。

音作りや楽曲の良さなど、基本的なクオリティの高さを押さえつつも、ブラック特有の陰湿さを感じさせてくれる良作だと思います。近年のシンフォブラックでは、例えばWINTERBURSTやSATURNIAN辺りの近作が派手でメジャーな音を出していたのとは好対照。


CRYSTALIUM - De Aeternitate Commando ★★ (2006-07-07 21:10:00)

2002年発表の2nd。
各種レビューサイトでもDARK FUNERAL辺りに次ぐ、ブルータルでメロウなブラックメタルの中でも質の高い作品として評判のこのアルバムですが、流石に高い評価を得るだけあって凄いですね。

割とマイナーなバンドだと思いますが、ブルータリティ、メロウさ、曲の完成度などを取ってもDFのようなメジャーブラックに負けていないと思います。流石にNEHEMAHのメンバーが絶賛しているだけの事はありますね…。荒涼なだけではなく、時折耽美だったり幻想的だったりするメロディ、強烈な勢いで中音域のがなり声を披露するヴォーカルが特に素晴らしいです。フランス語って発音からメタルには合わない言語と思われている節がありますが、こうまで叫ばれると最早関係ナシ(笑)。フランスのブラックメタルバンドのヴォーカルって、アノレクといいNEHEMAHといいテンション高い人が多いような…。

また、あくまで雰囲気作りといった感じのキーボードの導入のセンスも良い感じ。ただ音質は癖があってちょっとアングラっぽいかも。ドラムがバスドラの音が高くて大きく、スネアの音が小さめで、迫力はあるけど少し喧しい感じ。ギターも右チャンネルが結構ジリジリしていて、ブラックリスナー以外には少しきついかも。とはいっても、音の分離は良いですし、低音も効いてて何より曲が良いのでお勧めのアルバムです。

特にDF、MARDUK等スウェディッシュ好きは必聴!!


CRYSTALIUM - De Aeternitate Commando - Au Nom de la Rébellion ★★★ (2006-07-07 21:21:27)

タイトルは「反逆の名において」でいいのかな?
このアルバムはメロディの良さが際立った作品ですが、中でもこの曲の出だしなどで使われているメロディは特に好き。この耽美さって、やっぱりフランス的なのかな。勿論荒涼感もあって最高です。


CRYSTALIUM - De Aeternitate Commando - Je Suis le Christ ★★★ (2006-07-07 21:16:03)

タイトルは「私はキリスト」。分かりやすい…(笑)
いきなり掛け合いが入ってきたりめちゃめちゃテンションの高い曲です。一緒に叫びたくなるかも。


CRYSTALIUM - De Aeternitate Commando - La Valeur de la Haine ★★★ (2006-07-07 21:13:47)

タイトルは「憎しみの価値」。
イントロの掛け声からノリノリの曲が始まるかと思ったら、超が付くくらいメロウで激しいブラックでした。特に途中のメロディは、メロだけ聴いたら水晶の洞窟とかそういう綺麗な映像が浮かびそうなくらい美しいです。


CRYSTALIUM - Doxa O Revelation ★★ (2007-08-18 16:48:00)

2007年発表の4thアルバム。
彼らは2ndがDARK FUNERAL等にも次ぐコールド&ファストなブラックの名作として評価されているようですが、本作も基本的にはその路線を崩してませんね。

まず良かった所は、音質が良くなった所。ドラムの音に癖があった2ndと比べると、本作は全体的にメジャー志向の纏まった音になっており、音質が向上した事によってドラムのブラストの爽快感が格段にアップしていると思います。ただテンポが速いだけじゃなくて、体感速度を増すようなオカズもしっかり入れてきてほんと気持ち良いです。

曲の方も、勢いで押していた印象のある2ndよりも展開が上手くなっているのではないかと思います。…といっても、全体の8~9割はブルータルな疾走ですが。逆に悪かった所は、何と言ってもメロディが弱くなってしまった事。それに加えてほとんど疾走という曲調、長い演奏時間も相まって曲ごとの個性が弱くなり、結果聴いてて少しダレる部分も。ヴォーカルも上手くなってるんでしょうけど、以前ほど必死さが感じられなかったり、がなりでメロ歌ったりしなくなったので少し不満。

…全体的に日本盤が出てもおかしくないくらい、エクストリームメタルとしてのクオリティが上がって、アングラ感も余り感じられなくなってますが、私的には2ndのヤケクソ気味とも言える荒涼疾走が懐かしくもあったり。このバンドのアルバムはこの作品と2ndを聴いてますが、どっちも一長一短なんですよね…。

2nd並にメロが印象的で、全体を短く纏めてくれれば個人的には超名盤なのになぁ…。


CRYSTALIUM - Doxa O Revelation ★★ (2008-09-29 19:33:00)

追記ですが…。
このアルバム、なんとなく大音量で聴くべき作品のような気がして、実際に大きめの音量で聴いた時の感想は上の通りなんですが、一回小さめの音で聴いてみて評価変わりました。

大音量で聴くとドラムに圧倒されてリフの味が効かずいまいちだと思ったんですが、じっくり聴いてみると、ブルータルブラックの中でもかなりリフや展開を練ってある作品であることに気付いて、それからかなりのお気に入り盤になりました。

爆走やメロの明瞭さなど、インパクトの部分では確かに2ndより劣るかもしれませんが、じっくり腰を落ち着けて、展開を味わいながら聴くならこっちだと思います。メロもこれくらいの方が、邪悪な雰囲気が出ているという気もしますし。ただ、人間性を捨てきれてないダミ声ヴォーカルは、やっぱり好きになれないかも…。


CSEJTHE - Réminiscence ★★★ (2014-08-19 19:42:51)

2013年発表の2nd。

冒頭の、音が割れまくりのチャーチオルガンのSEで若干イヤな(?)予感が走りましたが、本編を聴いてその予感は的中。何なんだ、この暴力的な音像は!イヤフォンで聴くと、耳孔内に限界を超えた音の濁流をぶち込まれるかのような轟音。ULVERの3rdのような「耳に刺さる」系のノイジーさではなく、ノイジーながら「物量で攻めてくる」ような印象を受ける音。ノイジーなリフの音が膨らんで、常に割れる寸前になっているかのような感じ。

ただこの作品、他のポスト・シューゲイザーブラックと比較しても、トレモロによるメロディの美しさは群を抜いているように思うんですよね。バンド名にバソリー伯爵夫人の居城の名を冠している通り、中世の歴史をテーマにしているようですが、この悲壮感に溢れた美メロは見事にそれを体現してますね。一聴でリスナーを引き込めるだけの力のあるメロディを書けるセンスが、本当に素晴らしい。

最初は耳が破裂するような圧迫感を覚えた音質も、普段からRaw音質のブラックに親しんでいる聴き手であればすぐに馴染めてしまうだろうし、むしろこの美メロを引き立てていると思えばそんなに悪くないかもしれません。ディプレッシブ、ポスト・シューゲイザー系のブラックが好みで、ノイジーな音質が苦でなければ是非。かなり良いアルバムですよ。


CULT OF ERINYES - A Place To Call My Unknown ★★ (2012-07-16 10:29:54)

2011年発表の1st。

個性派を多数輩出するベルギー産のブラックという事ですが…スタイル自体はスローパートも適度に設け、トレモロリフでアクセントを付けつつ緩急付けて展開する、北欧スタイルのブラックメタルという感じですが…ゴリゴリいうベースといい引き摺るようなノイズを伴うギターリフといい、妙に重苦しくのしかかるような音作りが成されているのが特徴。そのせいで特にスローパートでの閉塞感が凄まじく、6曲目ラストなどはヴォーカルの凄絶さも相俟って世界の絶望を一身に引き受けているかのよう。そこから一転して音が途切れる展開は絶妙的な気持ち悪さ(笑)。

ただ、マイナーバンドにありがちなんですが、大きく話題になるようなバンドと比べると「引き」のパートが大分弱いんですよね…。アトモスフェリックな音使いで死が迫ってくるような気味悪さを演出するパートや、トレモロリフが邪悪通り越して破滅的な情景を描き出すパートなど、聴かせどころとなる部分は非常に魅力的なんですが、アルバム全体を通して今ひとつ聴き手の注意を引き続ける力に欠ける感じ。ヴォーカルも最初ホイッスル気味の絶叫をしてますが…あんな声出せるならもっとガンガンに使った方がインパクトあるのに。緩急や抑揚を付けようとして却って出し惜しみに聞こえる感じも。

前述のように音作り自体に工夫も見られるし、フレットレスベースやパーカッションを部分的に取り入れていたり、一歩抜きん出るための努力はしてると思うんですが、いまいちそれが伝わりにくい印象の作品。この作品をリリースしたあと、Code666に移籍したようなので、もう少し分かりやすく秀でた部分を見せ付けるような、曲を通してのプレゼン能力の向上に期待したいところですね。


CULTES DES GHOULES ★★ (2014-01-01 23:12:45)

ポーランド産ブラック。
かつてはBESTIAL RAIDSのメンバーが在籍していた模様。


CULTES DES GHOULES - Henbane ★★★ (2014-01-01 23:15:10)

2013年発表の2nd。
これはかなりツボに来ました。

VONやBEHERIT、BAHIMIRON辺りのいわゆるアーリーブラック…プリブラの高域強調型とはまた違った音質の粗さで、冒涜的で衝動性の強い、オールドスクールな路線のブラックメタルをベースに、反復を上手く使った長尺で耽溺性のある構成、パーカッシブなドラミングや効果音等の醸し出す儀式的ムード等を取り入れ、より密教的な邪悪さを強調したような作風…という感じなんですが、これがバンド名通りの凄まじいカルト性を感じさせるんですよね。

ただ歪んでいるだけでなく、「澱み」のようなものも感じられるリフの音色、楽曲の持つ、ブラックの中でも生え抜きといえる暗黒趣味の強さに、更なる説得力を持たせる、低音の効いたプロダクション、殺気の篭もったがなりだけでなく、悲鳴や笑い声まで聴かせ、表現力を見せ付けつつもどこか箍が外れたようなヴォーカル…などから醸造される音は、凄まじくカオティック。個人的には、KATHARSISの名盤「VVORLDVVITHOUTEND」に通じる、酸化してどす黒くなった血のような赤黒い狂気を纏った作品…という印象ですね。

取り合えず、素晴らしいとしか言い様がないです。まず雰囲気が素晴らしいですが、リフなどフレーズ自体や楽曲そのものもそれ以上に素晴らしい。腐食した血の饐えた匂う漂う、地下臭いブラックが好きであれば問答無用にオススメです。


CULTUS - A Seat in Valhalla ★★★ (2013-11-11 18:53:56)

2004年発表の1st。

この作品も、例によって投げ売られていたのをサルベージしてきた訳なんですが、これが「メロウなプリブラ」カテゴリでもかなり優秀なアルバムで、かなり得した気分です(笑)。作風はシンプルなミニマルに疾走するリズムに、トレモロリフと割れ割れのヴォーカルという典型的ブラックの要素を乗せた感じですが、トレモロのメロディが優れているためにエピックな雰囲気を纏っているというタイプで、個人的にはMOONBLOOD辺りに通じるものを感じたり。

リフやリズムの構成はシンプルなんですが、何気に時折メロディアスなベースのフレーズが出てくるのが、またメロウさを強調していて良いんですよね。やや高音強調気味のリフの音色の歪め方、威厳を伴うヴォーカルなど、各要素も申し分なくレベルが高いと思う。ちなみに、CD版にはSORHINのカヴァーも入ってますが、これがメロディの聴かせ方の違いはあれどアルバムの雰囲気に馴染んでいてかなり良い感じ。少し毛色の違うメロディで良いアルバムの締めになってると思います。

メロウなトレモロでミニマルに攻めるタイプのプリブラが好きであれば推薦できる作品。ジャンル聴き始めの方でもDARKTHRONEのTransylvanian Hungerを聴いて「これは名盤だ!」と感銘を受けた方ならばハマること間違いなしです。


CURRENT 93 - Nature Unveiled ★★ (2009-10-26 13:06:00)

84年発表のデビューアルバム。
SKITLIVやSIGHなどの作品にも関わり、ブラックメタルシーンとも繋がりのある彼らですが、
確かにブラックメタルから発展した形のアンビエントやインダストリアル(VELVET CACCOONの
「Atropine」やSTALAGGHの各作品、THE AXIS OF PERDITIONの「Urfe」辺り)が好きな人なら、
モロにツボを直撃しそうな音を出しております。
聖歌をSEにフィーチャーした宗教的ムード作り、深くぬかるんだ空間を作り出すドローン、
語り(呪文の詠唱?)をデス声風に加工したり、ピッチを変えてハモらせたりなどの
アヴァンギャルドな手法などを駆使した、妖しく呪術めいた雰囲気の上手さは、84年の
作品ながら今のブラック派生型アンビエントと比較しても全く劣りません。
ぶっちゃけ1曲目は声が苦手なタイプだし、2曲目はちょっとファニー(ママママママママ…
ピンガー!!!とか言ってる)なんですが、加工や使い方が上手く、しっかりムード作りに
貢献させているのが凄い。特に2曲目、段々本当に「本当の呪文というのはこういうもの
なのでは…」とか思えてきましたもん。ただし、部分的にSTALAGGHレベルの有害さのノイズが
含まれているので、心臓の弱い方は注意かも。
…と言う訳で、基本ノイズ/アヴァンギャルドの棚に置いてあるアーティストながら、
ブラックメタル好きの感性にもビビッと来るであろう作品。
と言うか、北欧の、例えばEuronymousの店にたむろってたようなブラックメタラーの中にも、
愛聴者が多かったんじゃないでしょうか。


CURSE - SLAUGHTER OF THE STARS ★★★ (2012-01-02 22:09:40)

2006年発表の2nd。

この作品、ブラックメタルであることは100%間違いないんですが…どのサブジャンルに入るかが特定しづらいような、拡散した音楽性を持ってますよね。オールドスクールなリフで攻めることもあれば、キーボードを取り入れシンフォな音像を演出してみせたり、アルペジオを上手く使って幻惑的な空間を作ったり、プリブラっぽく疾走してみせたり…2曲目なんかはクリーンヴォーカルを取り入れ、CODEに通じるような妖しい世界観も。

ただ、拡散し過ぎてブラックから離れない、アルバム全編でしっかりブラックとしての筋を通すような作風で、かつ邪悪さや妖しさ、神秘性、ダーティさなど出したい雰囲気に合わせて的確にメロディや音像を提供できるセンスがあるのが素晴らしいですね。ヴォーカルが少し浮いてる感じですが、悪魔の言葉を預かる司祭の声が上から響くようで雰囲気出てると思う。プリブラよりながら低音域をスカスカにしない、ダーティな音質もカルト性を演出。あとはドラムの音、特にバスドラが少し貧相な音なのを改善してくれれば言うこと無しなんですが…。

アイスランドってあまりブラックのイメージがないですが、メンバーが相当このジャンルに入れ込んでるのが伝わってくるような力の入ったアルバムだと思う。個人的にはNACHTMYSTIUMの「Instinct : Decay」アルバムに通じるような、拡散すれども邪悪さをキープできるセンスの高さを感じる作品です。


Cali≠Gari ★★ (2004-10-06 10:54:00)

昭和歌謡に始まりフォークやテクノ、ジャズなど様々な音楽性に手を出すごった煮音楽集団・cali≠gari。
村井研次郎さんのスラップ・ベースや桜井青さんの時に人間の感情を上手く描写し、時にグロさとポップさを両立させる作詞能力は一度聴いた者を虜にしてしまう力を持っています。
更に「嘔吐」「マグロ」「君が咲く山」などの一聴するとポップで能天気に思えるのに、実は良く歌詞を読むとグロい…という新しいジャンル「奇形メルヘン」を発明し、既存の音楽の模倣に留まらない深い才能を感じさせます。
それにしても、青さんはともかく、秀仁さんの詞って難しすぎると思いません?
「近代的コスメ唱歌」なんて分かり易い皮肉で面白いですが、曲によっては何の事を歌ってるのかさっぱり分からないものもあったり。


Cali≠Gari ★★ (2005-04-16 14:26:00)

>szさん
別に無理に好きになる必要はないと思いますよ。
私は「マグロ」「君が咲く山」等のグロさとポップさの両立や
「デジタブルニウニウ」「東京病」を同じアルバムに入れるセンスには感銘を受けますし、
「冷たい雨」「ただいま。」等の歌詞にはほろりとさせられてしまいますが、
そういうのって他人に強制できるものではないと思います。
むしろ良い所を探そうと思って無理に聴くと、より嫌いになってしまう恐れもあるかもしれないですしね。
ただ、「この曲を聴け」という主旨のページでそういう発言をわざわざ書き込む心理というのは、どうも理解しかねますが…
>中曽根栄作さん
ホモ=桜井青さん、天然=武井誠さんですね(笑)
このバンドって変なキャラ付けも面白いですよね。戦隊モノみたいな(?)。


Cali≠Gari ★★ (2005-05-18 20:47:00)

>ポナイポさん
登録どうもです。でも大丈夫ですよ。
「青春狂騒曲」はアルバム「8」にちゃんと入ってます。


Cali≠Gari - 8 ★★ (2005-05-14 22:27:00)

2003年発表の、メジャーでは2枚目となるオリジナルアルバム。
このアルバムを出した後、暫くの後にバンドは活動停止になってしまいます。
「実験室」の名こそ付いていませんが、実験的な要素は以前よりも強くなったアルバムで、
「虜ローラー」「読心」などの空間全体を利用した、メロディよりも音響を重視した作品が
特に耳を引きます。これらの楽曲と「新宿ヱレキテル」「破れた電報」などの情念を込めた曲の
乖離を見るに、活動停止も仕方ないのかなぁ…と思います。その後出された秀仁さんの
プロジェクト「goatbed」の1stも買いましたが、殆どテクノになってましたし。
そんな中で、音響と情念を折衷させた名曲が「パイロットフィッシュ」。
ドワ~とした響きの低音と破滅的かつ日常的な歌詞が不気味なほどにマッチしています。
また、音響重視以外の、バンドサウンドで聴かせる楽曲もキャッチーでない、一筋縄ではいかない
展開を持った曲が多く、全体としては今までよりも難解になった印象のアルバムです。
個人的には展開は良いんですが、このバンドの持つブラックユーモア的な部分が薄いことが少し残念。
やっぱりこういうサウンドにはあまり合わないのかな?


Cali≠Gari - 8 - その行方 徒に想う・・・ ★★ (2005-05-17 23:06:53)

いきなりな打ち込み音で始まる曲。タイトルは「そのゆくえ、いたずらにおもう・・・」と読みますが、私は普通に「あだにおもう・・・」と読んでました…
曲のテーマは「いかにグルーヴ感を出さないか」らしいです…ひねくれ過ぎ(笑)歌メロがぶつ切りで、全くキャッチーじゃないのは、歌メロがこうであってもポップに仕上げられると証明したかったのでしょうか。


Cali≠Gari - 8 - ダ・ダン・ディ・ダン・ダン ★★ (2005-05-17 23:20:01)

シングル曲を除けば、アルバム中で最もポップな曲。
…とはいっても、途中いきなりコーラスをバックに語りをやったり、テクノっぽくなったりするので練り込み度は他の曲以上。キメが多いので、バンドで合わせたら楽しそうです。


Cali≠Gari - 8 - パイロットフィッシュ ★★★ (2004-10-01 14:22:27)

ドワ~ンと歪んだ低音が閉鎖的な空間を演出する曲。
こういう空間を利用した曲というのは得てして歌メロが弱くなりがちですが、この曲では「およげ!たいやきくん」を思わせる哀愁あるメロディを聴く事が出来ます。タイトルの「パイロットフィッシュ」とは水槽の水質調整のために先に水槽に入れられる魚の事。


Cali≠Gari - 8 - 新宿ヱレキテル ★★ (2005-05-17 22:57:50)

桜井青さんの歌う、新宿2丁目系(?)情熱歌謡。
巻き舌入ってたり、くどすぎるほどくどい(誉めてますよ、念のため)ヴォーカルが非常にいい味出してます。青さんのヴォーカルではこれが一番好きですが、「パイロットフィッシュ」「破れた電報」という、物凄い暗い曲に挟まれる曲順は合ってないと思う。


Cali≠Gari - 8 - 青春狂騒曲~青雲立志編~ ★★★ (2005-05-17 22:52:42)

アルバム中、一曲だけ明らかに浮いてる爽やか疾走系の曲。もともとcali≠gariに取ってはメロディの良さも武器の一つだと思うんですが、その楽曲の中でも最上級に良いメロディです。個人的には、シングルもしくはベストに入ってる台詞無しのテイクの方が好き。


Cali≠Gari - 8 - 白い黒 (2005-05-17 23:16:05)

一言で表すと、なにがなんだか分からない曲。
攻撃的にも聴こえるし、シンセの音色はムーディーだし、そうかと思えば鈴木慶一さんの演説とか入ってるし…未だにこの曲、よく分からないです。「知にまみれた正常。気は平気か?」=「血にまみれた星条旗は兵器か?」の掛け言葉の上手さには唸らされます。


Cali≠Gari - 8 - 虜ローラー ★★ (2004-10-02 09:35:00)

テクノ好きの石井秀仁さんらしい、凝りに凝ったリズムを持つ曲。
cali≠gariの曲の中でも空間的要素の強い曲で、コーラスの使い方やリズムに耳を傾けると段々気分が良くなっていきそうです。


Cali≠Gari - グッド・バイ ★★ (2004-10-06 10:55:00)

活動休止に合わせて出されたベスト盤。新曲2曲入りで既存曲も一部録り直されていたりします。
奇形メルヘンな「君が咲く山」、泣けるバラード「冷たい雨」、アンビエントな感触の強い「空想カニバル」、テクノ色の強い「フラフラスキップ」など、その多彩な音楽性を一通り網羅しているので、cali≠gariの楽曲を初めて聴く人にはもってこいのアルバムだと思います。
…ですが、あまり同路線の曲は入れない方針が貫かれているためか、「ただいま。」や「『依存』という名の病気を治療する病院」などのスタンダード性を持った曲がイマイチ少ないのが少しネックです。


Cali≠Gari - グッド・バイ - まほらばぶる~ず ★★ (2004-10-06 10:56:37)

「第7実験室」収録曲のリメイク。
第7~の時は著作権により歌詞を改訂せざるを得なかったんですが、こっちでは元の歌詞のまま歌っています。歌われる内容は全て太宰治が川端康成に対して送った芥川賞の受賞を哀願する書簡からの引用で、「経済的にすくはれたなら」とか「私を見殺しにしないで」とか歌われるのを聴くと、あの大作家も必死だったんだなぁという事が分かって面白いです。
ただ、ヴォーカルが第7~の時より細くなっているのがネックでしょうか。


Cali≠Gari - ブルーフィルム - ブルーフィルム ★★ (2004-10-01 14:23:28)

まるで青春映画のエンディング・テーマかのような、爽やかなメロディで疾走していく曲。ハイハットの刻みがフィルムリールの音の様に聴こえるのは狙っているのでしょうか。ベスト盤には1stプレスのテイクが使用されていますが、個人的には2ndプレスで取り直したヴァージョンのほうがヴォーカルが前に出たミックスで気に入っています。


Cali≠Gari - ブルーフィルム - 真空回廊 ★★ (2004-09-29 21:42:26)

たおやかなピアノをメインとした、3拍子の楽曲。
音響面での「美しさ」はcali≠gariの曲の中でも上位に食い込む曲だと思います。サビでたおやかさを打ち消さずに視界が広がる展開も見事。


Cali≠Gari - 再教育・右 - せんちめんたる ★★ (2005-05-17 23:03:23)

確か放火について歌った曲、だったかな…?
一見して気味の悪い歌詞に、「楽しく笑ってお茶飲んで暮らすから」といきなり日常的な表現を挿入し、さらに不条理な感じを演出する手法には「さすが!!」と、もう喝采を送りたい気分です(笑)「目には目を、歯には歯を」の掛け合いもかっこいい。


Cali≠Gari - 再教育・右 - リンチ ★★★ (2004-09-29 21:10:54)

「追伸・僕は死にました」の一言からメロディアスに疾走する楽曲。
作曲者の桜井青さんが「日本語特有の陰惨さを表現したかった」と語る通り、テーマはかなりヘヴィ。周りに流されて相手をいじめてしまい、その相手が自殺、自分もその後を追おうとするが死ねずに日が暮れる…という内容で、最後のがなり気味で歌っている所等は聴いていて泣きそうになります。いじめていた同級生が悲しいふりをして葬列に加わる事を皮肉った「用意された葬列 ミナゴロシニシヨウ」という一行も強烈。


Cali≠Gari - 再教育・右 - 禁色 ★★ (2004-09-29 21:42:46)

cali≠gari流のタンゴ。
オルガン風のレトロな音色と石井秀仁さんの無駄にセクシーな(笑)ヴォーカルが聴き所。ムックの「イタイ手紙」という曲はこの曲とそっくりなイントロを持っていますが、オマージュでしょうか。


Cali≠Gari - 再教育・右 - 僕は子宮 ★★★ (2004-09-29 21:43:58)

ジャジーなピアノが活躍する、お洒落な感じの曲。
この曲だけかなりこもった音質(特にヴォーカルは音が割れ気味)ですが、それが逆に何かに包まれるかのような雰囲気を曲に与えているのが面白い。


Cali≠Gari - 再教育・左 ★★ (2005-05-15 21:53:00)

2001年発表のベスト盤。
メンバーチェンジにあたり、過去の曲を録り直したアルバムで、どちらかといえば
マニアックな曲を集めた「再教育・右」と対になっています。
今では手に入りにくくなってしまいましたが、桜井青さんのブラックユーモアやシニカルな
視点の中に隠された暖かさを感じさせる詞と、昭和歌謡にインスパイアされたと思われる
キャッチーかつ泣き度の高いメロディが頭から尻尾まで万遍なく詰まったアルバムで、
もし店などで見かけたら四の五の言わずにゲットを推奨する名盤です。
なんでこんな良いアルバムを廃盤にしてしまうんでしょうね…もはや文化の損失です。
これこそcali≠gariを知らない人に聴かせるには絶好のアルバムだと思うのに。
ファンならばレア物を取り扱う店に出向いてでも買うべし、です。


Cali≠Gari - 再教育・左 - 「依存」という名の病気を治療する病院 ★★★ (2004-10-02 09:33:42)

この曲はタイトルからして私のツボを突いています(笑)
昭和風のメロディに内省的な歌詞を載せて疾走、という音楽性は他のV系でも見受けられるパターンかと思いますが、cali≠gariの曲はシリアスさや描写の上手さでは他の有象無象を全く寄せ付けないレベルの高さです。それが最も良く分かるのがこの曲でしょう。是非「♪君は『依存』という名の病気を治療する病院で~」からのパートを聴き、そして泣いてください!!


Cali≠Gari - 再教育・左 - 君が咲く山 ★★★ (2004-09-29 21:05:07)

鼓笛隊を大胆に取り入れた音が新鮮な曲。
歌詞はピクニックに来た子供の目から見た風景の様にも思えますが、実は死体愛好についての曲です…!!歌詞の「野良犬くんと小鳥さんと仲良し小良し」という部分は殺した相手の死体に野犬やカラスが群がるということなのでしょう。


Cali≠Gari - 再教育・左 - 冬の日 ★★★ (2005-05-18 20:59:25)

聴いていると、歌詞の主人公が回想する、幼少の頃の優しい思い出に自分も触れているようで暖かな気持ちになれます。でも同時に、現在の自分と照らし合わせるとちょっとほろりとなってしまうんですよね…う~ん、複雑(笑)青さんは人の心を歌う詞を書かせたら天才的だと思います。


Cali≠Gari - 再教育・左 - 誘蛾灯 ★★★ (2004-09-29 21:44:14)

「もしも愛する人が非合法なクスリに手を出さないと生きていけない程の状態になってしまっても、変わらず愛していけるのか…」という重い問いかけが胸を打つ曲。
前半(というかAメロ)はアングラな感じですが、サビのメロディは美しく、アコギによるソロは泣きそうになります。しかしこのサビは一度鼻歌やりだすと止まらなくなってしまう(笑)


Cali≠Gari - 再教育・左 - 冷たい雨 ★★★ (2004-09-29 21:44:33)

桜井青さん曰く「最高傑作」のバラード。
救いを求めている主人公が最終的に前向きになるという内容の曲は、結局の所他人に縋っているだけの無内容なものが多いですが、この曲はそういう所に陥ってない所がすごいです。「僕が僕をやめる事、それが一番いけないことだよ」なんてシンプルで胸に刺さるフレーズなのでしょうか。正に作詞家としての青さんの面目躍如って感じですね。


Cali≠Gari - 第2実験室 改訂予告版 - 腐った魚 (2004-10-02 09:04:50)

雑誌の付録としてついて来たCDに収録された曲で、「第2実験室 改訂版」収録曲の別ヴァージョン。
フォークからの影響が感じられるバラードで、アルバム版ではわざとこもった音質にすることで水槽の中にいるような空間を演出していましたが、こっちは素直なアレンジになっています。


Cali≠Gari - 第2実験室改訂版 - オヤスミナサイ ★★★ (2004-10-06 10:55:52)

歌メロとアコースティックギターが爽やかな曲。ライナーを読むとこういう楽曲は「ネオ・アコースティック」というジャンルに分類されるらしいです。私は普段は結構ダークなものが好きなんですが、ここまで徹底して爽やかだといっそ心地良いです。


Cali≠Gari - 第2実験室改訂版 - 夏の日 ★★★ (2004-10-06 10:55:28)

デモテープ「第2実験室」を新メンバーで再録するにあたり、新しく追加された曲。
曲調的には綺麗なメロディが堪能出来るポップな楽曲…と言いたい所ですが、流石桜井青氏、それだけでは終わりません。やはり歌詞が素晴らしいです。後半の主人公が蝉の抜け殻を握り潰し(今までの自分との訣別の比喩と思われる)、旅立ちを決意するくだりなどはホント勇気付けられます。


Cali≠Gari - 第2実験室改訂版 - 嘔吐 ★★ (2004-10-02 09:32:28)

村井研次郎さんのベースは音楽好きの間では高く評価されているようですが、それが最も良く分かる曲。イントロからかっこいいスラップを使ったベースリフで聴かせてくれます。
カニバリスティックな歌詞も過激で良い感じ。


Cali≠Gari - 第6実験室 ★★ (2005-05-14 09:47:00)

石井秀仁、桜井青、村井研次郎、武井誠の布陣になってから、初のオリジナルアルバム。
2001年に発表された作品。
このアルバムはcali≠gariの中でも最も整合性のある作品だと思います。
「フラフラスキップ」「近代的コスメ唱歌」といった秀仁さん主導の楽曲と、
「ママが僕をすててパパが僕をおかした日」「ただいま。」などの青さん主導の曲では
明らかに路線が違うのに、このアルバムでは上手く共存できています。
この作品から秀仁さんが作詞・作曲にも参加していますが、彼の書く詞はブラックユーモアや
情景や心情の描写を得意とした青さんのそれとは違い、小生意気な(褒め言葉)風刺に満ちています。
例えば、しょぼいV系バンドがファンに呆れられ、離れられていく様子を歌った「近代的コスメ唱歌」
好きなバンドがリスナーのニーズに合わせられて音楽性を曲げられていく事を嘆き、
終いには「死んでください」と言い切る「マス現象」など、よくこのフィールドにいながら
こんな詞を書くなぁ…と、彼の度胸やセンスには感嘆します。
極めつけは「ドラマ『近代的コスメ唱歌』」として挿入されるショート・コント。
雑誌のインタビュアーと勘違い系V系バンドのインタビューシーンを描いたものですが、
約10分間失笑・苦笑の嵐です。これで笑えなかったらV系ファン失格!!と言いたくなる位
黒い笑いに満ちていて、下手な芸人のネタよりよっぽど笑えます。是非聴いてみてください。


Cali≠Gari - 第6実験室 - ただいま。 ★★★ (2004-10-02 09:36:00)

cali≠gariのバラードは聴いていると泣きそうになる程胸に来るものが多いですが、この曲はその中でも最も「泣ける」曲だと思います。
歌詞は端的に言うと失恋を歌っていますが、無理矢理前向きになろうとする主人公が痛々しくて共感してしまいます。特に家に帰っても「おかえり」を言ってくれる人がいないから自分で自分に言ってあげる所とか、苛立ちの余り壊してしまった目覚し時計を飾っておく所とか、これで泣かなきゃ何で泣く!!ってくらい心を震わすものがあります。


Cali≠Gari - 第6実験室 - ママが僕をすててパパが僕をおかした日 ★★★ (2004-10-01 14:25:14)

タイトルだけを見るとどうも色物っぽい感じがしますが、実はかなりシリアスな内容の歌詞の曲。特に冒頭の主人公が公園で平穏に暮らす家族を見かけ羨んでいる描写や、どんなに辛い事が起きても青空を見上げて耐えていこうとする心情の描写は、胸を打つ物があります。
曲のほうも薄くディストーションを掛けたカッティングを使用したギターリフとハモンド系のオルガンの音が程よく混ざり合っていて、かっこいいけど聴きやすい仕上がりになっていると思います。


Cali≠Gari - 第6実験室 - 近代的コスメ唱歌 ★★ (2004-09-29 21:20:59)

「付け焼き刃のゴシック」「中二の単語でつまずいたならシャウト」と上っ面だけのヴィジュアル系を痛烈に風刺した歌詞が小気味良い楽曲。
自らもヴィジュアル系のフィールドに居ながらにしてこんな詞を書いてしまうセンスに脱帽。


Cali≠Gari - 第7実験室 - きりきりまいむ (2005-06-16 18:24:31)

知る人ぞ知る、某バンドの「キリキリ×イ」の元となったと思われる曲。
まぁ、是非はともかくとしてこの割と地味めな曲に目をつけたのは何気に慧眼だと思った。


Cali≠Gari - 第7実験室 - デジタブルニウニウ ★★ (2004-10-06 10:56:59)

よく分からないタイトルのテクノ・ポップ。デジタブルという単語を採用したのは「ベジタブル」はあるのに、「デジタブル」はありそうで無いような響きが気に入ったのだとか。
リズムやエフェクトボーカルのアレンジによって、ポップで可愛らしい曲になっています。


Cali≠Gari - 第7実験室 - ハイカラ・殺伐・ハイソ・絶賛 ★★★ (2004-10-06 10:56:16)

ギターを前面に押し出したロックで、異彩を放つものが多いcali≠gariの曲の中では普通のロック好きやV系好きが取っ付きやすいであろう曲。特にイントロのカッティングリフのかっこよさは特筆ものです。
歌詞は…よく意味が分からない(笑)インタビューを読む限りではこの意味不明さは意図的な物らしいですが…


Cali≠Gari - 第7実験室 - マグロ ★★ (2004-09-29 21:17:07)

祭囃子のようなリズム メロディと「♪ぐーるぐるーぐる」というポップな語感の歌詞が印象深い曲。
曲の表層だけをなぞると明るい曲に思えますが、本当は電車による自殺を歌った曲で、「マグロ」は飛散する肉片を赤身魚の刺身に例えたもの。このセンスがいかにも彼等らしくて好きです。ギターソロの能天気なメロディも良いですね。


Cali≠Gari - 第7実験室 - 体内騒音あやなしアンチ苦笑 ★★ (2005-05-18 21:04:22)

タイトルの意味は不明(笑)「あんちくしょう」??
後のgoatbedにも繋がっていくようなアンビエントな曲調。子供の声なども入っていて、夕暮れの公園の幼心には幻想的に見える光景が目に浮かびます。


Cali≠Gari - 第7実験室 - 東京ロゼヲモンド倶楽部 ★★★ (2005-05-18 20:54:19)

「さくら さくら」のメロディをテルミンが弾くオープニングから、cali≠gariお得意のジャジー・ポップに。ヴォーカルはサビを除いて語り調ですが、それでもポップな曲に仕上げるアレンジは流石です。
でも、「♪万引きをした老人を撃ち殺して誇らしげな警察官」というセンテンスを決して肯定的でない文脈で用いただけで削除を要求する音楽業界には超失望。もともと歌詞の聞こえ辛い曲なのでもっと配慮してくれても…


Child of Light ★★★ (2014-08-16 21:35:55)

2014年にフランスのゲーム会社Ubisoftから発売されたRPG。
様々な機種で発売されており、現在のところPS3、4、VITA、XBOX 360、One、WiiU、Windows版がリリースされている模様。ちなみに本編のみなら価格は約1500円で、一般的なJRPGと比較するとややストーリーは短めなのを差し引いても、かなりリーズナブルな値段設定。私はVITAのDL版スペシャルパックを購入しました。

元は海外のゲームのローカライズと言う事ですが、このソフトを制作するにあたって日本のRPGやアニメ等をかなり参考にしたらしく、国産RPGとそう変わらない感覚で遊べるのが良いですね。絵本風のファンタジックなグラフィック、その情景に見事に調和したBGM、主人公のパートナーである、ホタルのイグニキュラスの「光」を利用した謎解き、タイムライン制を採用した戦闘など、RPGの王道をがっつり押えた上での工夫が成されており、下手な国産フルプライス作品よりもRPGとして全然出来が良いと思う。

特筆したいのは、探索パートにおけるアクションの楽しさですね。序盤を過ぎた辺りから空を飛べるようになるんですが、この飛行移動がアクション性が強くてかなり楽しい。棘の壁の間を上手くすり抜けたり、イグニキュラスの発光で敵を怯ませつつ、華麗にバックを取ったり…。ちなみにお金の概念はなく、パーティの強化はオキュライ(宝石)を合成しての装備と、スキルツリーでのポイント割り振りによるスキル獲得で行うんですが、こういう仕様にしたことでアクションや戦闘以外に割く時間が少なくて済むのも、個人的には歓迎したいですね。

ストーリーも変に演出がくどくてプレイヤーの操作不能時間が長かったりということがなく、全体的に「プレイしての楽しさ」が最重要視されている印象。敵の行動を阻害する事が重要になる、単なるごり押しでは勝てない戦闘システムも楽しいですし。ダメージを食らう度にいちいち王冠を落っことす主人公や、伸び上がって攻撃を躱すピエロなど、キャラクターの動きも可愛らしくて見てて飽きない。探索パートで敵の背後を取る楽しさもあって、ついつい雑魚には喧嘩を売りまくってしまいますね(笑)。

少し残念だったのは、原語が日本語でないため、所々で会話が不自然な所でしょうか。原語では押韻がされたり、上手いシャレが炸裂してるんだろうな…と脳内変換が必要な所が若干あったかも(特にルベラの言い間違い関連)。まあ、翻訳の不自然さが逆にファンタジー世界っぽさを出していて、「味」と捉えられなくもないですけど。あとは戦闘に参加できるメンバーが二人のみというのはちょっと寂しい気がするのと、課金アイテム(スペシャルパックには初期状態で付いてくる)は微妙なのが多いのが、少々不満だった点でしょうか。特に課金アイテム、ゴーレムを仲間に出来るものや主人公のカラーバリエーション、ステ上げアイテム集はともかく、オキュライ集はわざわざ課金してまで付けなくてもいい気が。プリンセスストーンとは言わないまでも、せめて上位のオニキスやダイヤモンドくらいは欲しかったかも。

近年、ワイルドアームズシリーズも続編の噂を聞きませんし、幻想水滸伝シリーズは凋落気味ですし、ゲーム業界にRPG分が足りないと思うんですよね(DRPG、SRPGは結構あるのに)。そんな中で、こういう長年続いているシリーズ物でない、良質でRPGの王道を踏まえている作品が出てくれるのはかなり歓迎したいところです。値段も安いですし、RPG好きであればお勧め。


Cocco - ブーゲンビリア - カウントダウン ★★★ (2005-01-15 21:07:24)

加虐的ながら裏切られた者の情念が痛くて切ない詞が秀逸な楽曲。
この曲を知ったのは友人のカラオケでしたが、画面に表示される歌詞に酷く感銘を受けて、音源を入手しました。実際聴いてみての感想ですが、この情念は凄まじいの一言ですね…ここまで愛されたら嬉しいのか、それとも怖いのか…


D'espairsRay - Born - Quarter Void ★★★ (2005-10-29 01:39:34)

構成の良さとヴォーカルのヒステリックさがとてもかっこいい曲。
シャウト部分もかなりの物ですが、メロディアスなサビでさえヒステリックさをキープしてる歌いっぷりが特に好き。「Hardship over」の部分、そうは聞こえないんですが(笑)


DAEMONLORD - GODLESS PRAYER ★★ (2012-03-23 20:10:46)

2011年発表の4th。

これ、メロブラ好きなら再生してすぐ「おおおお!」って思いますよね(笑)。ともかく冒頭のDISSECTIONの「Storm~」やSATYRICONの「Nemesis Divina」アルバムを思わせるような、凍てつくトレモロを伴う疾走が、既にかっこよすぎて悶絶。寒々しいばかりでなく、オールドスクールで熱い展開や、近年のSATYRICONに通じる妖しい感性を見せるパート、神秘的なキーボードの導入等もあり、ブラックらしい土着的な邪悪さとドラマ性を感じさせる、水準を軽く超えたメロディックブラックに仕上がってますね。

ただ、最初聴いたときの衝撃には、ものの30秒程度で「ん?」っていう陰りが差してしまうんですが…その理由がヴォーカル。パフォーマンス自体はそれなりに狂気的で迫力もあり、悪くない…むしろ良い方だと思うんですが、わざとらしいリバーブが掛かってるのがどうにも…。曲はメロブラなのに、ヴォーカルミックスだけプリブラのようなチグハグ感。曲はこの手のメロブラの中でも相当にレベル高いと思うのに、この音作りだけは心底残念だと思う。

まあ多少残念な部分はありますが、作品の最も根幹である「曲作り」にセンスが感じられるアルバムなので、その辺りはまだ目を瞑って楽しめるかと。かなりクオリティ高いのでメロブラ好きなら是非。


DAEVA DURZEIRICHE ★★ (2011-01-01 22:40:04)

ブラックアンビエント/サタニックノイズを標榜する国産バンド。
…このバンド名、そらで書けるようになる気がしないです(笑)。


DAEVA DURZEIRICHE - Invoke (2011-01-01 22:40:56)

2010年発表の2nd。

ブラックアンビエントを標榜しているアーティストですが、この作品にはヴォーカルやバンドサウンドは無く、ドローン/アンビエントに的を絞った内容。とは言っても、全体に漂う悪魔の吐息に巻かれるようなどす黒い雰囲気は、間違いなくブラックメタルにも通じるものがあると思う。特に、死の渓谷に音も無く雪が降り続けるような、仄暗いメロディが聴け、VINTERRIKET(のアンビエント作品)
にも通じる厳かさを醸し出す1曲目、推理物などで密閉された館で殺人が起き、互いに疑心暗鬼になっている登場人物の疑念を音にしたような5曲目は素晴らしいと思う。

ただ、間の3曲は、良くも悪くも雰囲気ものになりすぎというきらいも。まあ、VELVET CACOONの「Atropine」を名盤と断定するレベルのブラックアンビエント中毒者なら、この「雰囲気もの」的な側面も、間違いなくプラスに感じるかと思います。


DAGOR DAGORATH ★★ (2011-01-04 21:35:29)

イスラエル産ブラックメタルバンド。
バンド名はトールキンの小説の、世界の終末的なイベントかららしいです。


DAGOR DAGORATH - Yetzer Ha’ra ★★ (2011-01-04 21:36:36)

2009年発表の1st。

最近、WINTERHORDEやDEMONIC RESSURECTION等、中東やインドからもクオリティの高いシンフォニックブラックを聴かせるバンドが現れてますが、このバンドも1stにしてかなりレベルの高い作品を作ってますね。

上記の2バンドは、明らかにシンフォニックブラックでありながら、ギターリフにNAGLFARや初期DISSECTIONよりも露骨にメロデス的なフレーズを取り入れていましたが、このバンドにも同様の特徴がありますね。加えて、クリアでベースが聴こえやすい音質かつ、ベースラインがメロウなため、リフが刻みに回っていてもメロディ成分が足りなくならず、シンフォブラックとしてもかなり聴きやすい音作りをしていると思います。

また、キーが「Midian」「Bitter Suites~」期のCRADLE並みに煌びやかな、リフ的なフレーズを多く弾いているのも特徴。あの頃のCRADLEは、大編成のオーケストラでは成しえない、キーならではの「フレーズの煌びやかさ」「ゴシック的耽美さ」がありましたが、装飾の方向性が、その頃のCRADLEと同様の路線だと思う。殆ど欧米のバンドと聞き分けのつかない音のWINTERHORDEやDxRxと比較すると、フレーズに(僅かに)中東っぽさも感じられ、それがまたスケールの大きさに繋がってるんですよね。

CRADLE OF FILTHやDIMMU BORGIR等、メジャーブラック好きにお勧めの作品。特にCRADLEは名盤扱いされやすい「鬼女」「Damnation~」「Godspeed~」ではなく、「Midian」こそ真に至高のアルバムだという人には、波長が合うのではないでしょうか。


DANNAGOISCHD - Emm dichdâ Ondrholz ★★ (2011-12-12 21:50:52)

2009年発表の1st。

VINTERRIKETのメンバーが独りで演っているフォークメタル…という触れ込みで買ってみましたが、実際はメタルの要素は殆どなく、ほぼ(ネオ)フォーク/アンビエントと言っていい路線。生っぽい響きのドラムにアコギや笛などによるトラッドメロ、朴訥としたクリーンボイスが乗り、自然音のSEが素朴な雰囲気を演出する作風…ですが、たまにブラックに通じるダークアンビエントパートもあるのが特徴。

しかしやはりアトモスフェリック・ブラックとしては第一級のVINTERRIKETを動かしているだけあって、音で景色を描くのが上手いですよね。聴いてると森林を流れる川のほとりでテント張って暮らしている気分になるような、妙な生活感がある感じしますもん。また低めの声でメロディを歌うノーマルボイスも非常に魅力的で癒されます。時折ちょっと滑稽な感じの掛け声も入り、小さな盛り上がりを見せるのも良いですね。

…そんな長閑な音なのにダークアンビエントパートが入るのが意外といえば意外ではあるんですが、自然的な世界観を描き続けた後だけに、ダークで超自然的な音が来ても音の風景的には地続きに聞こえたりもするんですよね。この辺りの演出のセンスの良さは流石と言ったところでしょうか。

ただ、この作品かなり人を選ぶとは思います。まずブラックメタル要素がほぼ排されているし、フォーキーではあってもクサくはなく、素朴なムード重視なのでキャッチーさも少なめ。音で森林浴をして、癒されたい方にはかなりお勧めできる作品です。


DANTALION - Return to Deep Lethargy ★★★ (2014-10-19 11:00:36)

2012年発表の4th。
ジャケやブックレットの「Letargy」は誤表記らしいです。

2004年にバンドが発足して以来、コンスタントにアルバムを発表し続けているだけあって、メロブラとして申し分のないクオリティのある作品ですね。モダンすぎずRawすぎず、ブラック好きのツボをくすぐる良い按配のプロダクション、ミッドテンポを重視しつつも、緩急付いたドラマティックな楽曲構成など、基本的な部分が高いレベルで纏まっている印象を受けます。

ブラックって他のサブジャンルと比べると、ソロを重視しない傾向がありますが、この作品はギターソロが楽曲の最も重要な部分を担っていると言っても過言ではないくらい、ウェイトが置かれているのが特徴ですね。少し鬱傾向の感じられるメロウなメロディから、ブルージーな泣きメロ、トレモロリフを交えた激情的なものまで、メロディのバリエーションが多く楽曲を更にドラマティックなものにしていると思う。ダンタリオンとは悪魔の名前を指す言葉ですが、宗教性よりも「感情の音楽」という感じがします。ヴォーカルも嘆き呻くような感情の込め方ですし。

ブラック特有の薄暗い雰囲気の中、叙情的なメロディが楽しめる、メロブラとしてかなり優れた作品。ソロを弾いていても陰りが強く感じられる辺り、メロデスとはノリが違う感じがするんですよね。私はこういう雰囲気が好きです。


DARK FORTRESS - Ylem ★★★ (2010-02-02 18:28:00)

2010年発表の6th。
このバンドは94年ごろから活動する古参で、メロブラ・シンフォブラ好きの間でも高い評価を得ているということですが、私はこの作品が初体験。

1曲目の頭からかなりメロディックなリードギターが挿入され、確かに「メロブラ」ではあるんですが…このバンドの音は「メロブラ」や「シンフォブラ」と言われているものの中では、破格の邪悪さを持っていて、雰囲気的にはむしろ真性ブラックに近いのが特徴ですね。

一応、リードギターが(邪悪さを同時に感じさせるとはいえ)哀メロ・美メロを紡ぐ個所も多く、頻度は少ないもののキーも入るので、メロブラとしての体裁は保たれていますが…リフそのものの余りにも暗く抑鬱され、圧迫感のある響きや、ヴォーカルの伏魔殿の最深に棲む魔王のような、威風を感じさせるデス声などから、いやがおうにも真性以上の邪悪さを感じてしまいます。「我こそはジャーマンブラックの真祖なり」とでも言わんばかりの、凄まじい威厳の伴った音。

流石に年季の入った邪悪さを感じさせる音で、メロブラ好きにも芯までブラックに染まった人にもお勧め出来るであろう作品。ただし、ここまで「濃い」音なのに、収録時間が70分を超えるのは人によってはもたれるかもしれません。


DARK FUNERAL ★★ (2005-11-17 20:02:00)

新作の日本盤「OPEN THE GATE」の再録が入るみたいですね。
あの曲ライブ盤聴いて一発で気に入ってしまったので、すごく楽しみです。


DARK FUNERAL - Angelus exuro pro eternus ★★ (2009-12-14 17:44:00)

2009年発表の5th。
限定盤はライブとプロモを収録したDVD付き。B'zのライブとかと比べるとパイロが微妙にしょぼい…しょうがないですけど(笑)。

DARK FUNERALといえばファストブラックでも生え抜きの暴虐な疾走に、2本のギターがブリザードスタイルの叙情リフを紡ぎ上げていく作風で高い評価を得ていますが、今回も頑固なまでにそれを貫いてますね。変わった所といえば、前作から音の硬質さは引継ぎつつも、よりドラムやヴォーカルが、自然に音に溶け込むようになったことでしょうか。

…彼らの長所は、何と言ってもその類稀なメロディセンスだと思います。メロディだけで、ここまで「寒々しく」「叙情的で」かつ「悪魔的」な雰囲気を表現できるバンドは、ファストブラックでも稀といえるのでは。最もメロディの分かりやすいパートのメロだけを抜き出して聴いたとしても、確実にメロデスとは一線を画している感じだと思う。

ただ、前作辺りから、ヴォーカルが「威厳」から「狂気」方向にシフトしているのは私は余り歓迎できないかも…彼の高音絶叫って微妙に苦しそうなんだもん。前作よりも伸びがあるとは思いますが、付属のライブDVDで見ててもやっぱり苦しそう。また、暴虐でメロが優れているスタイルは初心者にも絶大なインパクトを与える事間違い無しですが、曲の差別化や緩急を付ける事はしてるとはいえ、終始ブリザードギターに覆われた音像の作風は、このジャンルにある程度以上の理解がある方でないとダレるおそれも。

とは言っても、これだけ「悪魔的な意味で」優れたメロのリフを書けるバンドも珍しいと思う。ファストブラック好きならまあ鉄板でしょう。


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus ★★★ (2005-12-22 21:53:00)

05年、クリスマス直前に日本盤が発売された4th。…なんのつもりでしょうか(笑)

なんとなくDARK FUNERALの音楽って、同郷のMARDUK辺りと比べるとどこか繊細な感覚があるような気がします。もちろんMARDUKの太い音も好きですけどね。音楽的には、自分の音楽性を持っているバンドだと思うので特に大きな変わりはないです。それでも細かいところは結構前作から変わったり、進歩してる所が見受けられます。

まずは音質がアップしてますね。
3rdは悪くないけどドラムが気持ち良く聴ける音量で聴くと耳が疲れてしまう感じがしましたが、今作は音がより明瞭になリ、特にヴォーカルとドラムが聴こえやすくなって快適です。

もう一つはヴォーカルの歌い方。
ドスの利き具合では前作のほうが良かったと思いますが、今回は声のガラガラ感がアップし半分裏返るくらいの必死な絶叫を繰り返しているので、狂気という面から見たら前作以上ではないかと思います。音質アップで音の分離が良くなった事もそう思わせる一因かも。

とにかく前作同様、堅実でかっこいいブラックをやってますので、こういうのが好きなら安心して買える出来です。リフの寒くメロウなメロディセンスも相変わらず素晴らしいです。それと、買うなら絶対日本盤をお勧めします。ボーナストラックの「OPEN THE GATES」のリテイクバージョンはほんとかっこいい…ライブ盤のイントロでやってた「Satan...Satan...Satan...Satan!!!」の叫びが一つに統一されたのは少し残念ですが、やっぱり低音と高音の使い分けの冴え渡るサビは鳥肌もの。


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus - 666 Voices Inside ★★ (2005-12-26 18:18:40)

これは曲も凄いけど、歌詞も凄いですね…
内なる悪魔に取り憑かれてしまう男の歌?でもこの歌詞を聴いて「サタニズムっていいなぁ…」とか思う人いるんでしょうか(笑)でもこういう歌詞は個人的に結構好きだったり。


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus - Angel Flesh Impaled ★★★ (2005-12-30 08:48:58)

少し溜めるようなイントロの後に繰り出される、金物鳴らしまくりのブラストの迫力が凄い事になっています。ここだけでもう圧倒的。


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus - Godhate ★★★ (2005-12-26 18:13:52)

時々アクセントに入るブレイクと雪崩れ込むドラムがかっこいい曲。
この曲のサビ部分の「guilty,guilty!!!」の絶叫がかなりヤバイです。血管切れてるんじゃないでしょうか?普通の人が真似したら、腹筋を酷使しすぎで吊りそうになるか、脳の酸素を使い果たして貧血に陥ってしまいそうです(笑)


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus - King Antichrist ★★★ (2005-12-26 18:16:27)

前作の「でやぁぁぁぁああああ!!!」も相当なインパクトでしたが、この曲の寒々しいイントロから音質アップにより重量感を増し、ガトリングガンのようになったリズムへとつなぐ部分もオープニングとして劣っていませんね。悲愴リフもかっこいい。


DARK FUNERAL - Attera Totus Sanctus - Open the Gates(2005 Version) ★★★ (2005-12-21 22:49:18)

この曲のために日本盤発売を待ってました…
呪われそうでいながら悲しみに満ち溢れたリフも素晴らしいですが、Bメロにあたりそうな崇拝対象に対して呼びかけている部分から急にキャッチーになり、サビはもっと分かりやすく、一緒に歌えるくらいに…という展開が良すぎる。DARK FUNERALの曲の中では1、2を争うほど好き。この曲を日本盤のボーナスに入れてくれたバンド側に対しては、もう感謝の気持ちで一杯です(笑)


DARK FUNERAL - De profundis clamavi ad te domine: Live in South America 2003 ★★ (2004-06-19 22:30:00)

確か秋頃の南アメリカでのライブを収録したCDです。
まず思った事はライブの雰囲気が非常に良い事。「DARK FUNERAL」コールは勿論の事、アンコールや終演時になど客がみんなでサッカーのサポーターの様に「♪Ole~Ole,ole,ole~DARK FU~NERA~L」と合唱したり、演奏側だけでなく客のテンションもかなり高めで聴いているこっちも一緒に合唱したくなっちゃいます(笑)。
選曲もデビュー盤から3rdまでまんべんなく散りばめられていて、3rdしか持っていない私はかなり楽しむ事が出来ました。またボーカルは高音こそスタジオ版の方が出ているものの、ドスの効いた低音の破壊力ではアルバム以上だと思います。


DARK FUNERAL - De profundis clamavi ad te domine: Live in South America 2003 - Open the Gates ★★ (2004-06-19 22:31:03)

「OPEN THE FXXKIN' GATE!!」の掛け声で始まる、暴力的な曲。
確かデビュー盤「DARK FUNERAL」のみに収録の曲だったと思いますが、こういう割とマニアックな曲も演ってくれて嬉しいです。
サビ部分が「SATAN...OPEN THE GATE」と、覚えやすく一緒に叫びたくなる良い楽曲です。しかも「SATAN」は高音で「OPEN THE GATE」は低音の叫びと使い分けているのが素晴らしいです。


DARK FUNERAL - Diabolis Interium ★★ (2003-11-20 22:34:00)

同郷のアーティストであるMARDUKと比べると、MARDUKはところどころにスローな曲も入れて緩急を付けたアルバム構成にしていますが、彼らは唯一のミディアムナンバーである③(と、ボーナストラック)を除いてほっとんど突っ走ってます!!
この人たちは何を生き急いでるんでしょうか(笑)。こういうアルバムは大好きですね。
このアーティストのもう一つの特徴ですが、それは滅茶苦茶心に来るメロディのギターリフだと思います。私的には今まで聴いたアーティストの中で一番好きなタイプのリフかもしれません、それくらい良いメロディです。
ボーカルはとにかく凄い肺活量ですね!!一曲目のイントロから歌い出しまでずっと叫んでますが、大丈夫でしょうか(笑)。一本調子と言えなくもないですが、技巧に頼らず思いっきり叫ぶことで表現をするスタイルが潔くてカッコイイです。
上の方の書き込みを見るとキーが入っている、とありますが本当に入ってるんでしょうか?私はギターの音にしか聴こえなかったですけど…
とにかくスカっとしたい人から、美しいメロディを求める人まで様々なニーズに応える素晴らしいアルバムであると思います!!


DARK FUNERAL - Vobiscum Satanas - Vobiscum Satanas ★★★ (2004-06-19 22:30:20)

タイトルはラテン語で「サタンは貴方達と共にあり」の意。
この曲はライブ盤にて聴いたんですが、滅茶苦茶良い曲ですね。
いつもの高音絶叫とは一味違った低音でのドスの効いたボーカルがかなり気に入りました。この人は声量も凄そうですね…勿論リフはDARK FUNERALらしいかっこよさがあって、お勧めの一曲です。


DARK FURY ★★ (2011-08-05 00:31:45)

ポーランド産NSブラック。
人脈的にはFULLMOONやTHOTHと繋がりがある模様。


DARK FURY - Saligia ★★ (2011-08-05 00:33:20)

2010年発表の6th。

「シンフォニック」や「プリミティブ」などの形容詞の付かない、純粋なブラックメタルという感じの音ですね。トレモロリフを聴かせるパートではかなりメロディが強調されるため、敢えて言うならメロブラに近い感じ。NSやペイガン的な思想を持って活動しており、ブックレットにもそれっぽいステイトメントを載せたりしていますが、メロディは民族っぽさはそれ程感じない、ブラックメタルらしい暗度の非常に高いものになっています。

全体的にブラストと暗黒なメロのトレモロで攻めるパートの頻度が高めですが、ミディアムパートにもそれなりに力を割いていて、それらのパートではかなりの威風や存在感を感じさせてくれる辺り、流石ベテランといったところでしょうか。狂犬というより、狂犬病的なダウナーなヴォーカルも、目の焦点が合わないような狂気を感じさせてくれ、結構独特だと思う。

ギターの音色は少しノイズ質を引きずり、圧力の強い傾向はあるものの、適度にアナログっぽさのある音は割と聴きやすいし、ブラックメタルのCDを買うことが日常の一部になってる人ならばすぐに分かる魅力のある一枚。特に特別な事はやってませんが、メロディ・曲・プロダクション共に良質な作品です。


DARK HAUNTERS - To Persevere is Diabolical ★★★ (2017-04-18 00:11:49)

2016年発表の1st。
最初「DARK HUNTERS」だと思っていて、「(ゲームの)ヴァンパイアが元ネタかな?」と
思ってしまいました(笑)。

路線としては、メロデスにも通じるメロディックで高揚感あるリフに、大仰なキーボードで華麗に味付けをしたシンフォニックブラック。ギターワークなどはメロデスと比較してもかなりメロディアスですが、ブラック特有のネガティブでダークな雰囲気もあるのが良いですね。若干音質・音量がDIMMU BORGIRクラスと比較すると一歩譲るものの、ブラックの陰惨さにクラシカルな上品さをプラスした楽曲はかなりハイレベル。

このバンド、メロディの展開によるドラマ性の演出が物凄く上手いんですよね。例えば、インスト明け二曲目の「The Burning Eyes of Vengence」。この曲のブラックメタルらしい邪悪でメロウなトレモロから、メロデス的なクラシカルで優美なメロディに変化していくパートなんて、あまりに劇的で、あまりにクサくて…思わず悶絶してしまいました。…最近話題になったバンドで言うなら、HYPERION辺りをチェックしてる人はツボにハマる可能性大です。

…流石にメジャー級の音とまでは言えないものの、楽曲が良いのでかなりの良盤ではないかと思います。クサメタルの国イタリア…そこで王道のシンフォニックブラックを演ったらどうなるか、その見本みたいな音だと思います。


DARK INSANITY - Catastrophe ★★ (2009-03-22 20:24:00)

2008年発表の1st。

某店では、「和製CRADLE OF FILTHをコンセプトに、未だ確立されていない日本のGothシーンを確立すべく活動する…」みたいなコピー(うろ覚え)でプッシュされていたこの作品ですが、実際に聴いてみるとトレモロとメロい刻みを多用したメロブラ的手法、美麗なツインリードでの泣きメロを多く取り入れたメロデス的音像、全体に漂う耽美で退廃的なゴシック的ムードなど、各ジャンルの美味しいとこどりをしたメロブラ/メロデスという感じ。

レーベル名がInner Circle Japanなので、「どんだけ初期ノルウェジアンかぶれの音なんだろう」と思わせますが、BURZUMやMAYHEM、THORNSなどのインナーサークル関連のバンドと共通するような部分はほとんどなく、むしろDARK TRANQUILITYやSERPENTなどメロデスに近い音。特にリフやリードに込められた甘美なメロディの良さは特筆に値し、北欧のバンドでも「これ以上やったら甘すぎになってしまう」と躊躇しそうなところをためらいなく踏み出すメロウさ加減は、同じく国産のSERPENTに匹敵すると思う。ヴォーカルも低音咆哮と高音絶叫を使い分けるタイプで、特に泣きの入った張り裂けるような絶叫がかっこいいし、総じて音のレベルは高いと思う。ただ、音質は第一線のバンドと比較するとまだ弱いし、歌詞も正直チープな感じがあるのがネック。

個人的には、和製COFというよりはメロブラ化したSERPENTという印象。向こうと違って、ギターヒーロー的な売り出し方をされていないため(むしろヴィジュアルの売り出し方はV系っぽい)未チェックの方も多いと思われますが、こっちも素晴らしい出来。新人バンドの30分足らずのアルバムに2000円出すのは結構勇気が要ると思うんですが、これはメロブラ/メロデスや国産ブラック好きなら買って損はないと思います。


DARK INSANITY - Catastrophe - BLOODSTAINED MADONNA ★★★ (2009-03-22 20:30:07)

メタル専門店などで配布された無料シングルにも入っていた曲。
メロウなメロディを疾走で切り裂いていくときの陶酔感は、確かにCOFの「鬼女の蘭」の疾走パートと共通するものがあるのかも…手法はほとんどメロデスですが。特に疾走部分の、早いテンポにマッチしたメロディが素晴らしく、COF抜きにしても超がつく名曲。…これで音が良ければ神曲なんだけど。


DARK INSANITY - Catastrophe - SACRIFICE ★★ (2009-03-22 20:31:44)

この曲はアルバムの中でもヘヴィさを出す事に成功している感じがします。この重い音作りが2曲目辺りでも出来ていれば、もっと良かったんだけど…。


DARK INSANITY - Providence of Darkness ★★★ (2014-12-08 22:16:01)

2014年発表の2nd。
これ、今年のリリースの中でも激オススメです!

1stの時点では「和製CRADLE OF FILTH」と言われつつ、その実メロデスにかなり近いスタイルのメロブラを展開していましたが…今作はクオリティが鬼アップしただけでなく、作風がより確固たるものになったことで、前作以上に素晴らしい作品になっているように思います。国産ブラックの中でもかなり好きな音です。

まず耳を突くのがゴシック的耽美さの大増量っぷり。元からメロディにクラシカルな要素はありましたが、今作は泣き以上に美しさを最重要視しているような印象。小フーガをモチーフにしたと思しきトレモロリフなんか聴かされたら燃えない訳がありません。ピアノやオーケストレーションを大々的に取り入れたことも、耽美さを強めただけでなく曲のメリハリを際立て、より緊張感の増した展開を聴かせるようになったと思います。

また、前作でも個人的な評価の高かったメロディアス極まりないトレモロリフはそのままに、ギターの歪みを強くして得たノイジーさと、空間系のキーボードを合わせたアトモスフェリックブラック的なパートも取り入れるようになったり、ブルータルに攻めるパートでの攻撃性が強化されたりなど、ブラックメタルの要素も更に「濃く」なっている感じがします。

ヴォーカルも大分パワーアップした感じで、DARK FUNERALのCaligula氏を思わせるタメの利かせ方、腹筋を全力で使ってるような絶叫振りですが…Caligula氏が殺意100%だとすると、この作品のヴォーカルは欝や悲哀など色々な感情が入っている感じで、よりエモーショナル。単純な攻撃性ではCaligula氏に軍配が上がるかもしれませんが、この人の肺腑から様々な感情を搾り出すような悲痛さと、決してそれを滑稽に聴こえさせない太さのある歌い方は味があって本当に好き。

ゴシックにしろブラックにしろ、ジャンルを良く研究した上で作ったというのが伝わってくる作品。研究したという以上に、それを自分達の作品として見事に昇華してみせているのがほんと素晴らしいです。曲によってはBeneath the Howling StarsやBathory Ariaへのあからさまなオマージュも見受けられ、前作よりCOF愛がダイレクトに感じられるのもいいですね(笑)。邪悪さよりは耽美さや煌びやかさ、メロさを重視した作風なのでJUNO BLOODLUSTやHATRED ANGEL辺り好きな方にも大推薦。


DARK LAY STILL - THROUGH HELL... ★★ (2012-08-18 17:52:55)

2009年発表の1st。
残念ながらフルアルバムはこの一枚のみで解散してしまった模様。

作風は1stの頃のABGAIL WILLIAMSやSOTHIS辺りを思わせる、DIMMU BORGIRの影響下にありそうなアメリカン・シンフォニックブラックですが…これらのバンドと比べると、ギターワークが邪悪さ・ヘヴィさよりもメロデス的な泣き・メロウさがより強い感じで、更に聴きやすい音と言えるかもしれません。ドラムの音量が控えめだったり、ギターの音作りをヘヴィにし過ぎていなかったり、メロディの優美な感覚が強調されている音だと思う。

もう一つ、特徴としてはヴォーカルがブラックメタル的なハイピッチのスクリームだけでなく、デスメタルのスタイルに近いグロウルも用いることも挙げられますね。一部ではガテラルに近いエグさも感じられますが…販促シールでDIMMU BORGIRだけでなく、BEHEMOTHやORIGINのファンにも勧めていたのはこのヴォーカルに因るところが大きいのかも。楽曲のクオリティも申し分なく、特に邪悪なメロディを紡ぐリフの上に甘美なピアノを乗せた6曲目は、うっとりするような暗黒美が感じられますね。

唯一無二となるようなオリジナリティこそないものの、星3つ付けても良い出来ではあるんですが…紙にゴムの突起を糊付けして、そこにCDの穴を嵌めるタイプの収納ケースは個人的に大嫌いなので星マイナス1個。これ、いつの間にかCD盤面に傷が入ってたりするんですよね…。歌詞やクレジットも読みづらいし。あと、イントロ等で聴かれるピアノが微妙な気がするんですが…あれは演出ですよね…(笑)。


DARK MIRROR OV TRAGEDY - The Pregnant of Despair ★★ (2010-01-03 09:55:00)

2009年発表の2nd。

韓国のシンフォニックブラックメタルバンドという事ですが…何気に、アジアって良質なシンフォニックブラック多いですよね。女性ヴォーカルやヴァイオリンが耽美な妖気と物悲しげなムードを演出する、ゴシックメタル的な感性を持ったスタイルで、PANTHEON Iの2ndをよりメタリックかつ分かりやすくしたような感じ。それでいて左右のトレモロとブラストで嵐のような、問答無用の迫力を演出するパートもあり、押し引きの巧さも見事。

ヴォーカルはシンフォニックブラックによくあるタイプの中~高音域の喚きですが、極端な超高音こそないものの「鬼女と野獣」期のDani Filthに通じる味があるような気がします。なかなか悪くないヴォーカルかと。ただ、音質はクリアで迫力があるんですが、ドラムの音がバスドラがビキビキ行ってて今一つなのがネック。暴虐パートではこの音が更なる迫力を生んでいると言えなくもないですが…それ以前に、耳が痛くなりそうでちょっと(苦笑)。

アジアのバンドですが、メロディは超一流のヨーロピアンゴシック。現地人でないからこそ、想像力が働いてここまでの雰囲気を演出できるのかもしれませんね。PANTHEON IやCHTHONICの最新作が気に入った方は、こちらもチェックしてみてはどうでしょう。