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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1901-2000

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1901-2000
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DEATHSPELL OMEGA - Inquisitors of Satan - Succubus of All Vices ★★ (2006-03-01 21:17:11)

個人的にはラスト2曲がアルバムで最も好きなパートなんですが、次点を挙げるとしたらこの曲。荒涼とした雰囲気も展開もいいですね。このアルバム、やっぱり後半に行くほど良くなってくる気がする。


DEATHSPELL OMEGA - Kénôse ★★ (2005-07-08 17:44:00)

2005年発表の、3曲入りミニアルバム。
前作「Si Monumentum~」から続く「3部作」の第2部的な役割を持つ作品
…ではなく、「付記」的な作品になるそうです。タイトルは作中で非常な危険を
孕んだ論理として言及される、キリストの神性放棄(Kenosis)から来てるのかな?
曲の方は、3曲と言っても全部で36分と言う大作主義で、前作同様SE的な部分が
長いものの、やはり物凄い完成度です。実は私はフルアルバムだと思って買ったんですが、
それでもここまで完成度が高いと、全く後悔は無いですね。
音は前作よりも厚くなっていて、特に破滅的なメロディと共に疾走するパートでは
トゥルーブラックの邪悪さと、ブルータルブラックの暴虐性を両方備えているように思います。
特にイントロのSE的な部分が終わり、一気にブラックパートに雪崩れ込んで行く部分は
ほんとかっこいいです。そしてそれから約30分、ブラック好きには至福の時間が始まります(笑)。
しかし、この作品が「付記」なんて、三部作に凄い期待を抱いてしまいますね…


DEATHSPELL OMEGA - Kénôse - I ★★★ (2005-08-20 20:40:44)

風雲急を告げるような不穏な音色のギターリフ、手数が多く素晴らしいフィルを連発するドラムなど、曲をパーツ毎に見ても凄いですがそれらを纏め上げて非常にドラマティックに仕上げる編曲能力が凄すぎです。
こんなに混沌としているのに、一聴しただけでよく練りこまれた音楽と言うのが伝わってくる曲。前半のオープニングは、長いし個人的には別トラックにして欲しかったです…まぁ本編直前のコーラスとブラスが聴き手に不安を植え付けるような部分はかなり好きですが…


DEATHSPELL OMEGA - Kénôse - II ★★★ (2005-08-20 20:41:00)

「Ⅰ」「Ⅲ」と違いSE的な部分は無いので、純粋に高品質ブラックメタルを11分も楽しむ事が出来る曲。ラストは、ちゃんとエンディングまであるのに何故かフェイドアウト。でもそれが「Ⅲ」の前半の印象をより強めてますね。
最初は、編曲が良いとはいえ前作ほどメロディアスではないので少し戸惑いましたが、聴けば聴くほど凄い曲に思えてきます。


DEATHSPELL OMEGA - Kénôse - III ★★★ (2005-08-20 20:41:16)

後半は少し雰囲気重視になり過ぎている感じがありますが、メロディアスなリフとともに疾走する冒頭部分は「Kenose」におけるクライマックスといっても過言ではないほどかっこいいです。☆はいくつにしようか迷いましたが、前半のかっこよさは文章にし難い程なので3つで。
ちなみに歌詞の最後で犠牲者達の唱える言葉「Lamma Sabacthani」は「何故我を見捨て賜うのか」の意で、キリストが最期に唱えた言葉でもあるらしいです。その部分になるとリフが混沌性を増し、更に絶望的な雰囲気に。


DEATHSPELL OMEGA - Mass Grave Aesthetics - Mass Grave Aesthetics ★★★ (2006-03-12 15:45:16)

これも「Diabolis~」同様、KENOSE路線のオムニバス提供の大作(約20分)。
途中でヴォーカルが喚き気味な部分がありますが、Mikko Aのスタイル的にこういう喚きは結構貴重かも。それにしても、やっぱりこのバンドのリフ捌きはブラックの中でも頭一つ抜けてる邪悪さですね。たまらないものがあります。特に一度目のSEを挟み込むように挿入される、カオティックなリフはやばすぎ…っていうかこんな黒いリフで20分も押す曲なかなかないでしょう…ある意味最高に極悪(笑)
歌詞中のラテン語「Si non credideritis~」はイザヤ書の言葉で、確か「もし信じないのなら理解した事にはならない」という意味だったはず。「The howling of wolves~」はブレイクをモチーフにしてる…というかほぼ引用ですね。後半の宗教の比喩といい、このバンドの歌詞って何だか知的。


DEATHSPELL OMEGA - Paracletus ★★★ (2010-11-20 17:49:45)

2010年発表の5th。
「Si~」、「Fas~」と続く、三部作の完結編だとか。

ミニアルバム「Kenose」で不穏で混沌としたリフ捌きと、プログレッシブな曲展開で新たなブラックのヴィジョンを提示、「Fas~」では静と動の均衡を極端に付け、ブルータルでより混沌とした作風に、続く「Chaining~」ではやや展開の極端さはなりを潜めつつも、「Fas~」以上の混沌とした世界観を提示する…という変遷を辿って来た彼らですが、今作は「Chaining~」の作風を踏襲した、フルレンス版とでもいうべき作品になってますね。

今までの彼らからするとトラック毎の演奏時間は短めですが、アルバム一枚で一つの作品、トラックは楽章のような構成になっているあたり、やはりある意味大作主義は変わっていないのかも。

しかし、彼らの作品のレビューを書くたびに言ってますが、彼らのリフとリズムのアンサンブルは他に追随できるものがないくらい、凄まじいですよね。アヴァンギャルドメタルやプログレメタルが持つ奇矯さ、不条理な感覚と、エクストリームメタルが持つ凶悪さ、ブルータリティをここまで高いレベルで両立させているバンドって他に見当たらないですもん。「Kenose」のレビューで、「このリフは生きている」とコメントされてる方がいましたが、本当に有機的を通り越して、生物的ですらあると思いますし。

神学的で神秘的な、深遠な雰囲気と暴虐性を兼ね備えた名盤。凡百のブルータル系のメタルバンドがただのマッチョだとすると、こっちは人知の及ばない世界からやってきて、一瞬でそいつらを塩の柱に変えてしまうような、凄まじいパワーのある作品だと思う。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice ★★★ (2005-06-20 16:35:00)

2004年発表の3rd。

確かにこれは凄い作品ですね…
まずメロディなんですが、ちゃんとブラック特有の荘厳かつ荒涼とした物はもちろんの事、時折出てくる鬱メロディがやばいです。BURZUMにも匹敵する程の鬱屈したメロディで聴き手の生きる気力をじわじわと蝕んでいく事請け合いです。音質も低音が効いていながら、決して音圧に頼る事でマッチョになったりせず、邪悪さを保ったブラックとしては理想的な音造りなんじゃないかと思います。

そこに乗っかるヴォーカルも、うめきとがなりの中間くらいの声なんですが、明らかに喉に負担を掛けそうな歌い方にもかかわらず、安定していてまるで地獄の聖書を淡々と朗読しているかのような、威厳と邪悪さを兼ね備えた悪魔の声を出しています。

そして、この作品を超がつく程の名盤たらしめていると思うのが名曲⑪の存在。もしかしたら、ブラック黎明期の名作とされるMAYHEMの「Freezing Moon」やEMPERORの「I Am The Black Wizards」にすらも匹敵するくらいの名曲かもしれません。全体的にクオリティが高いアルバムですが、この曲によって作品が更なる高みへと引き上げられているように感じました。ただ、SE的な曲はもう少し短くして欲しかったかもしれません。雰囲気は凄く出ているんですけど、多いし5分もいらない気がします。

個人的にこの作品は、ブラック黎明期の邪悪さを、単なる懐古趣味ではなく、現代の音として再構築したような作品に感じました。ブラックメタルのアーティストの作品を買う時、ついつい昔の音源に手を出してしまう人には激オススメの作品です。

とにかく「ブラックメタル」のど真ん中に位置しそうな感じの音出してます。それにしても、商売っ気の無いジャケットですね…(笑)。イラストもB級っぽいし。あのかっこいいバンドロゴを前面に出せば、もっと売り上げが伸びると思うんだけどなぁ…


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Blessed Are the Dead Whiche Dye in the Lorde ★★★ (2005-07-08 17:45:23)

時折入る泣き声と共に、曲調を変えながら進行していく曲。
イントロの黒い霧が吹き出してくるようなギターの音色、2度目の泣き声パートの前のちょっと中近東っぽい(?)メロディのリフ、ラストの邪悪疾走など一瞬足りとも耳を離せない楽曲です。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Carnal Malefactor ★★★ (2005-06-20 16:36:28)

吹雪の中を死にそうになって彷徨うかのような、悲壮感ただよう冷たいリフをフィーチャーしたブラックメタルから、「荒城の月」のメロディを使った合唱パートに繋げる、非常にドラマティックな名曲。
私もブラック史に残る名曲だと思いますが、「荒城の月」のような日本人の「ワビ」「サビ」の世界をフランス人が覗き込んだことで、こんな邪悪な曲が出来たのかと思うと凄く興味深いです(笑)


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Drink the Devil's Blood ★★★ (2005-09-05 09:59:36)

前曲「Carnal Malefactor」が神曲レベルの名曲のせいか、最初は気付きませんでしたがこれも余裕で☆3つクラスの名曲。全体的にメロディが荘厳でいて壮絶。他の曲と比べるとめっちゃタイトルの意味が分かりやすいですね(笑)


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - First Prayer ★★ (2005-07-10 10:45:29)

SE的な曲ではこれが一番好き。
ジャケの天使なのか悪魔なのか良く分からない、不気味な存在の胎児をその誕生を願いながら、邪教徒たちが祈りを捧げているような雰囲気たっぷりな曲。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Hétoïmasia ★★★ (2005-09-05 09:58:42)

前3曲(除インスト)と比べるとやや地味な立ち上がりかもしれませんが、ラストの疾走とその前のメロウなパートなどはかなり聴き応えありです。特にギターソロはあまりにも甘美。
やっぱりこのアルバム、全曲が良いですね。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Jubilate Deo (O Be Joyful in the Lord) ★★★ (2005-06-20 16:36:12)

リフの美しさが群を抜いて秀でていると思う曲。
やっぱりこのバンドはブラック好きのツボを完璧に押える術を知っているのではないかと思います。ラテン語詞の「Inter spem et metum」は「希望と絶望の間に」という意味だそうです。その部分なんて、本当に神秘的なメロディ…。個人的には、ブラックなのにこの曲のメロディからは讃美歌を連想しました。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Odium nostrum ★★ (2005-09-05 09:59:18)

タイトルはおそらくラテン語で「我等の憎しみ」という意味かな?
「Si Monumentum…」の邪悪さを鬱に転化するような暗いメロディで、この2曲のセクションはアルバム中最も鬱度が高い部分になっているように思います。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Si monumentum requires, circumspice ★★ (2005-09-05 09:58:57)

『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者である主、嘗ておられ、今おられ、やがて来られる方(ヨハネの黙示録4 : 8)』これはトリスメギオン(三聖頌)、セラフィムが主の御座の周りをこれを唱えつづけながら回っている、ってやつですね。
いきなり重々しいリフとブラストで畳み掛ける曲。
途中のメロディが、呪いをかけているかのようにダーク…
これ、ブラック好きではない人が聴いたらメロディアスにすら感じないかも。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Sola Fide I ★★★ (2005-07-10 10:45:12)

「First Prayer」が終わると同時に、物凄い重い音塊が…
最初のほうは全ての視界を遮られてしまうような真っ黒な雰囲気ですが、途中それに加えてメロディアスなリフも。そのそれぞれが引き立て合ってこの曲を彩っています。


DEATHSPELL OMEGA - Si monvmentvm reqvires, circvmspice - Sola Fide II ★★★ (2005-07-10 10:44:55)

「SOLA FIDE Ⅰ」よりも更に長く、よりドラマティック。
1分30秒くらいの所など、度々登場するタームの長めなメロディの荘厳リフが素晴らしく良いです。ラスト近くの「SOLA FIDE...」からの呪殺声がかなり怖い。ちなみに、「Sola Fide Sola Deo Infernani Gloria」は、「信仰のみに、地獄の神のみに栄光あれ」という意味みたいです。


DEATHSPELL OMEGA - Veritas Diaboli Manet in Aeternum: Chaining the Katechon ★★ (2009-01-20 21:45:00)

2008年発表のEP。22分の大作を一曲のみ収録。
元はS.V.E.S.T.とのスプリット(アナログ盤)でしたが、CD盤は別々にリリースした模様。
CDショップに行ったらこっちしか売ってなかったので、取りあえずこれだけ買ってきました。
DEATHSPELL OMEGAの最大の特徴といえば、禍々しさや邪悪さ、血腥さだけではなく
神秘性や知性までもを感じさせる、カオティックでプログレッシブなリフだと思うんですが、
今作はそのリフを中心に、長時間を緩急付けてドラマティックに聴かせる作風で、
「Kenose」リリース後「Fas~」が出るまでの間、「Crushing the Holy Trinty」や
「From the Entrail to the Dirt」等のV.A.に提供していたのと似た路線ですね。
個人的にDSOの今までのリリースではこの路線が一番好きだったので、かなり満足。
V.A.の時と比べるとドラムの音が少し大きめになり、ブルータリティをよりよく伝えつつも
「Fas~」の時ほど展開も音質も極端になっておらず、丁度いい按配に。
…特に「Kenose」以降の彼らの作品って、禍々しく不穏な中にどこか芸術性をも感じさせる
ものがあると思うんですが、彼らの場合「お芸術」みたいなスノッブさが全くなくて、
グロテスクさを追求した結果、神秘性や芸術性にまで到達したような雰囲気なのが凄いです。
例えば、敢えてロックのリズムを取り入れたSATYRICONやSAMAEL、リフとリズムを複雑に
組み合わせたAVERSE SEFIRAなど、様々な手法でブラックメタルをスピリチュアルな領域に
押し上げようとしているバンドがいますが、DSOはブラックの根幹である「リフ」を
突き詰める事でそれを成そうとしているのが頼もしいですよね。それらのバンドと比較しても
(個人的な好みは別としても)彼らは一段上のステージにいると思いますし。
一曲のみでEPと同じくらいの値段ですが、彼らの音源を聴くなら絶対に聴いて欲しい作品。
特にブラックの中でも生え抜きの不穏さを誇るリフは、全てのメタラーに聴いて欲しいとすら思う。


DECAYED - Chaos Underground ★★ (2011-12-27 21:09:53)

2010年発表の8th。

90年代初頭から活動しているブラックメタルバンドで、もう8枚目のフルという事ですが…とてもそうは思えないようなダーティなスタイルのオールドスクールな音ですね。洗練されていない…というよりも、「洗練された洗練されてなさ」という感じ(笑)。全くメロディックでない、粗いリフの質感とか、意外にも抜けがよく心地良く聴けるドラムの音色とか、全て分かってて作ってる感じ。

時折入るリードギターの狂ったようなフレーズに、「熱さ」を感じることはあっても、それが過ぎて「明るく」ならないバランスの良さが良いですね。初期BEHERITなどに通じる地下臭さを常にキープしてくれている感じ。ちなみに、13曲目以降は98年作品のリマスター音源らしいですが…この頃から基本的な作風は殆ど変わってないですね(笑)。これからも変わりそうもないバンドだと思わせる、頼もしさのある音源です。…とか言ってBEHERITのような方向転換したらそれはそれで面白いですが(笑)。


DECLINE OF THE I ★★ (2013-06-15 16:32:26)

フランス産ポストブラック。
MERRIMACK、VORKREISTなどのメンバーによるプロジェクト。


DECLINE OF THE I - Inhibition ★★★ (2013-06-15 16:34:27)

2012年発表の1st。

ポストブラックって、バンドによってはブラック本来の持つ暗黒性やネガティビティからかけ離れた世界観を演出していて、個人的には物足りないと思うバンドが少なくないんですが、このバンドは流石MERRIMACKみたいなドス黒い音出してるバンドのメンバーが演ってるだけあって、並の鬱ブラック以上に病んだ音出してますね…。

作風的には、閉塞感を強く感じさせる、ドゥーミーに歪みを引き摺るような質感のリフにフランス産らしい病んだ耽美さを感じさせるメロディを練り込み、地下室めいた薄暗い雰囲気を演出しつつ、プログラミングやノイズ、打ち込みのリズムなどのインダストリアル要素、キーボードや女性ヴォーカル等も取り入れて前衛的に展開していく、アーティスティックで病的な感性のポストブラック。

ただし、キーボードやサンプリング等の全く開放感のない音色選びのセンス、真性ブラック的な威厳を感じさせるがなりを聴かせるヴォーカル等から感じられる暗黒なムード作りは徹底されていて、ポストな展開に引き摺られてそれが薄まったりする事が全く無いのが素晴らしい。美しくもネガティブでほんと浸れる音になってると思う。奇妙なリズム展開なども見られ凝った作りの音ですが、知的なのに狂ってる感じが良いですよね。

がっつり暗黒ムード出してるポストブラックと言う事で、個人的にもかなりお勧めの作品。部屋暗くして独りで聴くにはうってつけのアルバムですよ。


DEEP-PRESSION - Atlantis' Emerge (2015-12-09 23:32:01)

2011年発表の、おそらく4th。
データには「Atlantis’ Emerge」とありますが、CDの背には「Atlantis」としか書いてないですね…。ちなみに100枚限定らしいです。

元はHAPPY DAYSやTRIST、NOSTALGIEを始め、様々な鬱ブラックのアートワークに関与した事で名前を知られるRh-氏と、チェコの鬱ブラッカーとしては最も有名なTrist氏によって始まったプロジェクト。Trist氏の在籍期間は長くないですが、その成り立ちから鬱系以外の音を想像しろ…という方が無理ですよね(笑)。

これ以外の作品は未聴ですが、この作品はメタル要素のない、物悲しげなアンビエント。一曲目からピアノとキーボードのせせらぎのような絡みが、三途の川の水が踝を撫でているような、心地良いけれど彼岸に連れて行かれそうなムードで酔わせてくれます…が、正直個人的に聴き応えがあるのはこの部分くらいで、その後はアンビエントとしても余りにも音の動きが少なくてちょっと…。おそらく一曲目で瞑想状態に入り、意識の底深くへ少しずつ降りていくようなイメージなんでしょうが…もうちょっと変化だったり厚みがあってもなぁ…と思います。

最初は良かったものの、中盤以降は「これを聴くならドローン・アンビエントの大御所(SUNN O)))とかNADJAとか)聴いた方が…」と思ってしまいますね…もちろんそれらバンドには無い感性があるのは確かですが。VELVET CACOONの名盤はAtropineだ!と断言するような人は気に入るかも。


DEFAILLANCE - Contemplation misanthropique de l'humanité... ★★★ (2011-10-20 22:54:35)

2008年発表の1st。

3曲で30分近くという大作主義な作風の鬱ブラック。
鬱ブラックの中でも、聴いていて情景が浮かぶタイプの作風ですね。ギターが聴き手の生気を奪うように、ノイズの霧で全体を覆いつつ、そこにキーボードの淡々としたメロディが絡み、ヴォーカルが泣き叫ぶように絶叫するスタイル。

個人的にはキーボードの使い方が、BURZUMの名曲「Dunkelheit」に通じる、深淵に向かって一歩一歩踏み込んでいくような、神秘性と絶望感を感じさせてくれる音でかなりツボ。特に1曲目・3曲目は、大罪を犯した人間が死後に地獄への回廊をとぼとぼと歩いているような絵が浮かび、その情景の絶望感に打ちひしがれそうになります。

鬱系のアルバムとしては短めで、情景に浸ってると結構すぐ終わっちゃいますが、その分濃く「聴かせる」世界観を持っているのでお勧め。ほんと聴くだけで気力が萎えてきそうです(笑)。


DEFILED - In Crisis ★★★ (2011-03-30 18:14:17)

2011年発表の4th。

最近デスに嵌っていて、彼らの音も初めて聴きましたが、素晴らしいですね。
つい先日発売されたSEEDの新作同様、このバンドも全く日本っぽさ、アジアっぽさを感じさせない、アメリカの老舗バンドのような非常にブルータルでオールドスクールな音ですね。暴虐極まりないリズムの上に、キレもウネリも申し分なしのリフと怒れる神のようなグロウルが乗る音作りは、どこをどう聴いてもかっこよすぎです。

また、ベースが非常に目立っているのも特徴で、ドカドカと蹴散らすようなドラミングの上にバギバギのベースが絡み合うと、もう好き者なら、いや好き者ならずとも身を委ねたくなること請け合いな凄まじいカオスに!SEEDの最新作同様、個人的にドラム大きすぎに感じる音作りなんですが、このアンサンブルならこれでいいのかもしれません。

ゴツくテクニカルな音を気持ちよく感じる人であれば必聴。


DEFUNTOS - A Eterna Dança da Morte ★★ (2017-07-31 11:34:48)

2016年発表の7th。

ポルトガル産のディプレッシブブラック/ドゥームとのことですが、鬱系のブラックでドゥーム要素を取り入れる場合、フューネラルドゥームの様式を採用することが多いように感じますが、このバンドは躍動感やダイナミズムのある、ミディアムテンポ中心のドゥームメタルを採用。ただしブラックの暗黒性に染まり切ってる音なので、覇気よりは邪悪なものが脈動する様子を感じられるムードが強い。

フィンランドのBARATHRUMなんかとも若干共通するように感じますが、BARATHRUMはまだ音の向こう側のバンドメンバーと「熱」を共有できそうな感じでしたが、こちらはオブスキュアかつ不穏な音作りになっており、より得体の知れなさやそこから生じる不気味さの強い、闇深い音。肉体的なタフさではなく、精神世界的な部分に踏み込んでくる作風…でしょうか。

イントロの雰囲気からすると躍動感もあるパートを含む音なのは若干意外でしたが、これはこれで悪くないですね。鬱ブラックのテンプレ的ではなく、鬱な世界観を描いてくれる良質な作品。


DEIPHAGO - Into The Eye Of Satan ★★★ (2016-12-28 11:21:08)

2015年発表の3rd。

ウォー/ベスチャルブラックメタルのガイド本でもかなり大きく取り上げられていて、気になっていたので購入しましたが、これはいいですね。ほぼノイズの塊と化したようなギターリフに、「暴虐」なんて言葉ではなく、「タコ殴り」とか「ド突き回すような」とか野蛮な表現で形容したくなる残虐なリズム、理性がぶっ飛んでそうな必死極まりない絶叫が渾然一体となり、聴き手を蹂躙するような凄まじい音。

彼等が通った後には草一本残らないくらいの破壊的な音なんですが、ドラムとの絡みやカオティックなソロなどアンサンブルが分からないでもないギターや、ノイジーな轟音に埋もれることなく獣性を伝えるドラムなど、ウォー/ベスチャルや崩壊系のブラックを普段から愛聴してる人以外でも楽しめるような、ギリギリの所で整合性というかバランスが取れているような気もします。

とにかく万人が聴いて万人が破壊衝動を感じられるような音ではあると思います。このサブジャンル自体相当マニアックだと思いますが、作品自体は「何が魅力か」が凄く分かりやすい音だと思うので、気になった方は是非。


DEKADENT AESTHETIX - Dekadent Aesthetix ★★ (2011-06-17 22:51:31)

2010年発表の1st。

あのJOYLESSともスプリットを出してる事からも推察される通り、ポストブラックの「ポスト」の部分をこじらせたようなアヴァンギャルド・ブラック。シューゲイザーブラック風轟音リフとメロブラ風トレモロリフを交互に繰り出してみせたり、ハードコア的なグルーヴィな疾走を設けてみせたり、ブルース寄りのサイケなハードロックに回帰してみせたり、作風が多岐に渡り過ぎて固有のスタイルを持たないのでは?と思わせるほど。

ただ、雑多なスタイルを詰め込んではいるものの、睡眠薬によって意識がトロケるかのようなドリーミーなピアノ、神経が捩れて戻らなくなるような痙攣リフなどが随所に盛り込まれているため、全体を通して世界が歪んで見えるような、神経症的な質感は共通してますね。効果音やサンプリングを使う点はLIFELOVERとも共通してますが、女性の含み笑いや吹き出し笑いが盛り込まれた5曲目は生理的にマジで気持ち悪くなりそうな不条理さ。

ただこのバンド、何気に(正統な)ブラックメタル部分にこそ、類稀なセンスを感じたりするんですよね。例えば、8曲目や10曲目ではメロディックブラックのようなトレモロリフが聴けますが、これが物凄くかっこよくて耳に残ります。本末転倒かもしれませんが、アルバム全体が「ポスト」に偏り過ぎてて、こうしたブラックとしてスタンダードな部分が少ないのが惜しく思えるほど素晴らしい。

ポストメタルにありがちな、ミニマリズムの過剰の導入や、リスナーの想像力に依存し過ぎてつまらなくなってしまうような事はほとんど無く、全体的にキャッチーと言っていいほどの音作りが成されているため、ポストブラック入門にもいいかもしれません。個人的には、BEATLESのサイケな部分が好きな人に無理矢理聞かせて、感想を聴いてみたい作品です(笑)。


DEMETORI - Crowzfest - Adrenaline Shooting ★★★ (2009-01-20 19:21:39)

演奏時間は4分弱、最初の30秒はSEという割と短い曲ながら、へヴィネスとアンサンブルの巧みさで聴き手を引き込んでいく曲。圧倒的なもの、凄みを見せつけるという意味では文句無くこのコンピレーションでも一番かと。カヴァー曲のようなインパクトのある主題なしで、アンサンブルでここまで引き込んでいく実力があるのは凄い。


DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - オリエンタルダークフライト ★★★ (2009-01-20 19:19:47)

メタリックさをメカニカルさに向けたような曲調で、メロディ志向のアーティストの多いこの手のバンドでは珍しいと思う曲調。生演奏を売りにしているバンドですが、アルバム中ではこの曲が一番アンサンブルがかっこいいと思います。


DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - 亡き王女の為のセプテット ~ Ascending Into Naught ★★★ (2009-01-20 19:18:57)

ギターでのメロディのなぞり方やキーボードの音色の選び方など、凄くメロディの持つ情感を大切にしているのが伝わってくるアレンジ。メロの繊細さとメタルのかっこよさを上手く両立させてると思う。演奏時間は7分を超え、この手では長めですが、ドラマティックなアレンジで聴かせてくれます。特にラストの盛り上がりは素晴らしい。


DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - 妖怪の山 ~ Mysterious Mountain ★★★ (2009-01-20 19:20:36)

メロディは全然妖怪とか出てきそうにないですね(笑)。むしろサビなんかは、ヒーローが怪人をバッタバッタと薙ぎ倒しているような勇壮さがある。リフもリズムも高揚感を煽る感じで、聴いていると闘志が沸いてくるかのような曲調。


DEMONAZ ★★ (2011-06-11 17:36:10)

OLD FUNERALやIMMORTALのメンバーで、IMMORTALを抜けてからも作詞などで関わってきた人物。先日ENSLAVEDのIce Daleをギター/ベースに、IのArmageddaをドラムに迎え、1stアルバム「March of the Norse」をリリースしました。


DEMONAZ - March of the Norse ★★ (2011-06-11 17:36:57)

2011年発表の1st。

作詞・作曲は全てDemonazが行っているようですが、作風的にはIMMORTALよりもIの方に近いですね。基本的にミディアムテンポで、刻みリフに勇壮なメロディを乗せ、堂々と展開していく、エピックな感触の音。派手に疾走したりこそしないものの、リフやリードギターに練りこまれたセンスのいい、丁寧なメロディに聴き入ってしまう作風です。

ヴォーカルを務めるDemonazの声も結構独特。落ち着いた声色で語りかけるようにがなる感じですが、攻撃性は高くないものの、妙に枯れた色気が感じられて悪くないです。潰れたダミ声でメロディを歌ったり、勇壮なクワイアを従えたりすると、時々ヴァイキングメタルっぽい雰囲気もありますね。

確かにエポックメイキングな要素はないですし、わざとらしく耳を惹こうとする箇所はありませんが、しっかりとリフやメロディの練られた、渋いブラックメタルで安心して聴けますね。入門にはフックが足りないかもしれませんが、ブラックメタルを「好き」と断言できる人なら、聴いていて気持ちのいい音のはずです。


DEMONIAC (GERMANY) - Malleus Christianitatis ★★ (2017-07-31 11:38:51)

2016年発表の1st。
前身の2バンドを含めると80年代末から活動しているバンドで、90年代半ばにメンバーがメンバーがMOONBLOODを始めるにあたって一度解散したものの、2013年に再結成して出来たのがこの作品なのだとか。

…そんな経歴からも分かる通り、一本筋の通ったプリミティブブラックを展開。一応神秘的なキーボードを被せる場面も一部あるものの、基本はジギジギした音色が耳を劈くリフ、リバーブの掛かった中に殺意を込めてがなるヴォーカル、オールドスクールな疾走…とプリブラの王道を行くような音。アンダーグラウンドの様式を遵守して今に伝える、ある意味では愛想のなさが素晴らしいですね。

良くも悪くもアングラなプリブラの真ん中を突いてくる音ですので、MOONBLOODのネームバリューで注目してしまうくらいのブラック好きには確実に刺さるかと。基本この手が好きな人以外に向けて発信はしていないだろう作風です。


DEMONIC RESURRECTION ★★ (2010-09-24 23:48:00)

インド産シンフォニック・ブラック。
インド色はほぼ無いに等しいですが、非常に質の高い音を聴かせてくれるバンドです。


DEMONIC RESURRECTION - The Return To Darkness ★★ (2010-09-24 23:46:00)

2010年発表の3rdにして、名門Candlelight移籍作。
インド産とは思えない、辺境色の殆ど無い、非常にクオリティの高いシンフォニックブラックで、CDショップの紹介ではDIMMU BORGIRやLIMBONIC ARTが引き合いに出されてますが…

(最近の)DIMMUが生オーケストラとメタルサウンドの壮大なブレンドで、(初期)LIMBONIC ARTが低音質とキーの洪水で、それぞれ「映像美」を描く傾向が強いのに対し、このバンドはそういう要素も取り入れつつも、非常に物語性に富んだ曲展開を重視している感じ。シンフォブラックであると同時に、エピック・ブラックでもある作風と言える音だと思う。

驚いたのは、シンフォブラック特有の煌びやかな音像に依存し過ぎない、曲自体の構築性の高さ。ABIGAIL WILLIAMS(の1st)ばりの派手なキーボードで聴き手を圧倒するパートもあれば、キーを一旦引っ込め、メロデス的な鋭いリフでメタリックに聴かせるパートもあり、部分毎の音像にかなり幅がある感じ。しかもその上、その長所を最大限に活かして、ドラマティックな曲構成をしてるんですよね…。これはCandlelightが放って置かないはずです。欲を言えば、クリーンVoがもう少し上手いと良かったなぁ…曲は非日常の極みみたいなのに、いまいちなクリーンが妙に所帯染みて聴こえてしまう…(笑)。

歌詞を読んでみてもフィクショナルな世界観をシリアスに描き、アルバムで一つのコンセプトを成すような作りにしている辺り、リアルな邪悪さよりもエンターテイメント性を重視していると思う。そういった、「ドラマのような音楽」が聴きたい方なら、シンフォブラックファンならずとも聴く価値アリです。


DEMONIC RESURRECTION - The Return To Darkness - Lord of Pestilence ★★★ (2010-09-24 23:47:34)

11分を超える、アルバムの最長曲にして、構築性の高さを如実に表す曲。
アルペジオパートの幽玄さから、ブラストでかち込んでいくドラマティックな展開も然る事ながら、ストリングスにしっかり「激しいメロディ」を振っている所が素晴らしい。途中、跳ねたリフが出てくる辺り少し意外性もありますが、シンフォブラックの形式に囚われ過ぎていない感じがして好感が持てます。


DEN SAAKALDTE - Ol, Morke Og Depresjon ★★★ (2011-05-08 10:14:26)

2008年発表のデモ。2010年にボーナス2曲入りで再発。

鬱ブラックの代表格、SHININGのメンバーとしても有名なKvarforth氏の参加するバンドと言う事で、カルトな音楽性を予想してしまいますが…実際には、ごく真っ当なメタルの手法で描かれた、ダークなブラックメタル。刻みリフを中心に据え、聴き手の不安を煽ったり、極寒の地に放り出したり、悲しみの渦に取り込むようなメロディをドラマ性たっぷりに聴かせるスタイルは、マイナスのオーラ全開とはいえ、メタル聴く人なら誰でも唸る質の高さがあると思う。

…結構ブラックって、音像や作風自体が重視されていて、アルバム全体では超個性的な名盤クラスでも、1曲1曲の個性自体は薄いことも少なくないんですが、このバンドは「楽曲至上主義」と言えるくらい、曲自体の作りが丁寧だと思う。例えば2曲目、アコギが悲しみの極みみたいなフレーズを弾いて、それをトレモロが引き取るエンディングは感動を覚えるほどにドラマティック。SE的な使われ方で、曲の枢軸には余り絡まないとはいえ、アコーディオンやサックスを効果的に導入してるのも面白い。

また、言うまでも無い事ですが、相変わらずKvarforthのパフォーマンスは素晴らしい。ブラック的がなり声からアジアの喉歌を思わせる声ドローンっぽい不気味な声、耳をヤスリで削るようなノイジーなウィスパー、朗々と歌い上げようとするも狂気が混じってくるクリーンなど、この人の声の幅は本当に広い。曲が求める感情の流れを、リアルな狂気を持って演じきってる感じ。アートワークの彼の笑顔はマジで怖い(笑)。

…と書きましたが、思い返してみればKvarforthの参加してるバンドって、SHININGを始めとして、どれも「狂気だけ」を売り物にしている訳ではない、音楽としての真っ当さがあるんですよね。ライブで客に剃刀渡したり、失踪して路上生活送ったりと言ったエピソードとは裏腹に、アーティストとしてはごくまともな人なのかも。


DENIAL OF GOD ★★ (2013-04-10 01:14:17)

デンマーク産ブラックメタル。
1stフルアルバムの発表は2006年と割と最近ですが、90年代初頭からデモやEPなどをリリースしている、何気に古豪と言うべきキャリアのあるバンドだったりします。


DENIAL OF GOD - Death and the Beyond ★★ (2013-04-10 01:15:53)

2012年発表の2nd。

関連バンドにPANZERCHRISTがいたので勝手にアグレッシブな音を想像していましたが、これは意外。ブラストパートも時折交えつつも、基本的にミディアム中心に、サタニックで恐怖感を煽るような、ダークな雰囲気たっぷりに進行していく、オカルトなブラックメタル。薄暗い雰囲気を醸し出すピアノ、耽美で邪悪なメロディを紡ぎ上げるトレモロなど、メロのセンスはかなり良く、暗闇で蝋燭が揺らめく中儀式を執り行うかのようなアトモスフェリックな感触もありますね。

ただ、多くのアトモスフェリックな作風のブラックメタルバンドが、アンビエント方向に接近する事でメタリックさの度合いを薄めていくのに対し、この作品は普遍的なHR/HMからの影響も強い感じがします。ハードロックっぽい音の揺らし方がよりオカルトなムードを強めていたり、泣きの入ったフレーズやアンサンブルの力強さが、特にミディアムパートにおいて説得力を与えていたり、それがバンドの方向性としっかり合ってる所が素晴らしい。この辺りは古豪らしいキャリアを感じさせますね…。

正直自分のツボのど真ん中に嵌まる作品というわけではないんですが、若手のバンドには無い聴き応えや深みを感じる作品。波長が合う人が聴いたら名盤に感じるかもしれません。


DER WEG EINER FREIHEIT - Agonie ★★★ (2011-08-06 19:17:56)

2011年発表の5曲入りEP。
EPにしてはフルアルバムと同じくらいの値段だったんですけど、店頭で聴いて余りにも素晴らしかったので即買いしてしまいました。

端的に言えば、叙情的トレモロで曲全体を覆い尽くした、超メロディ重視型のブラックメタルという感じですが…KRALLICEやLITURGYなど、この手のトレモロ偏重なブラックってブラックメタル本来の価値観を逸脱していく傾向が強いのに対し、このバンドはメロディック・ブラックであることを確固として守りつつ、その上でトレモロリフに拘り抜いている感じ。

例えていうなら、DISSECTIONやNAGLFARの、トレモロリフを用いた、寒々しいパートのみを抜き出して、曲を構成したような感じでしょうか。何気に緩急の付いた曲作りや、一瞬リズムを引かせてタメを作った後の超メロウな疾走など、展開にエクストリームメタルならではのダイナミズムがしっかり息づいている辺り、本当に素晴らしいセンスだと思う。

メタリックさではDISSECTIONやNAGLFARに流石に一歩譲りますが、その代わりメロウさに特化している感じですね。そのメロディも中世的な暗い耽美さがある、非常に上品なもので個人的には大悶絶。これはブラック愛好家ならずとも、メロディックなメタルを愛する全ての人に聴いていただきたい逸品。メロディが本当に良いので、ブラックへの入門にも良いかもしれません。


DESCENDING DARKNESS - Seelenruhe ★★★ (2014-06-02 20:49:20)

2011年発表の1st。

この作品、リリースに鬱ブラックの悪の枢軸Self Mutilation Servicesが関わっている(Ashen Productionsとの共同)割には、ディプレッシブな要素はあまり無いですよね。むしろRawに歪んだノイジーなプロダクションと、自棄くそ一歩手前のような破壊衝動に任せてカチ込む、プリミティブでブルータルな作風。フランスのANTAEUSやHAEMOTHが浮かんでくるような、暴力的な雰囲気に満ちた音で凄まじくかっこいい。

一応、アルバムタイトルはドイツ語で「魂の平穏」という意味らしいのですが…むしろ精神をカミソリで直接ズタボロにされるかのような刺々しさの強い音で、アルバムタイトルとは何だったのか…という疑問が浮かんできますね(笑)。楽曲の持つ殺意全開なムードと、刺々しくノイジーなプロダクション、ガラガラに歪んだ殺る気満々のヴォーカルと、各要素が上手く絡み合いかなりのカルト性を放ってます。

このかっこいいけど、近づいたらぶっ殺されそうな人を寄せ付けない雰囲気は、ANTAEUS辺り好きな人はかなり共感できるのではないでしょうか。とにかく作品に込められた破壊的な衝動に圧倒される一枚。当然お勧めです。


DESOLATE ★★ (2014-04-04 11:38:32)

GRAND EXTREME BLACKのDesolate氏によるプロジェクト。
同氏によるABYSS INFERNOやEARTH GODLESSとも異なる路線のメロブラ。


DESOLATE - Dragonia ★★ (2014-04-04 11:39:09)

2012年発表の5曲入りEP。

様々なスタイルのメロディックブラックを手掛けるDesolate氏ですが、このプロジェクトは今までで最もメロデスに近い音かもしれません。低音を強調した、無骨なリフにメロディアスなリードギター、いつもの彼と同様の低音咆哮ヴォーカルが乗るというスタイル。リフの感触のせいか、いつもよりメタル色の強い音。タイトル曲はシンセアンビエントと今作特有のメロいギターワークを組み合わせた異色の楽曲で、雰囲気たっぷりで良い感じ。

そして彼の関連音源を聴くときはいつも思っていることですが、やはりメロディセンスが良いです。今作は邪悪さよりもメロウさ、泣きが重視されている感じで、ところどころあからさまではない程度に日本人らしいメロディが出てくるのがまた素晴らしいです。ただ、今作はメロディをリードギターに任せ、トレモロは使わないスタイルなので他のプロジェクトの方が好みといえば好み。まあ、この辺りは好きずきですが。


DESTROSE - 破壊の薔薇 - SKYKILLER ★★★ (2010-10-24 09:35:30)

表題曲よりもこっちの方がキャッチーですね。
なんか、歌い方が「悪の組織の女幹部」っぽいです(笑)。
♪シュッオンサイッ!シュッオンリッ!が特に。
サビも分かりやすくて、エンタメ的な悪のかっこよさがあると思う。


DESTROSE - 破壊の薔薇 - 破壊の薔薇 ★★ (2010-10-24 09:39:40)

曲名から察するに、バンドの表題曲っぽい感じでしょうか。
ファストなリズムに、速弾きギターソロなどを交えた
インパクトのある曲で、少しノリがXっぽいかも。歌い出しとか特に。

しかし、このシングル特典の手に入れ方がすっごいややこしい。
ブログかMixiで紹介するとゲームアプリと壁紙プレゼントって…(笑)
別に私は壁紙もアプリもいらないからいいんだけど、ライト層を全く
考慮に入れてない売りだし方はどうなんだろ。損したと思う人もいるかも。


DESTROY DESTROY DESTROY - Battle Sluts ★★ (2010-03-02 19:23:00)

2009年発表の2nd。
バンド名が「破壊・破壊・破壊」、アルバムタイトルが「戦う淫売」、そしてジャケが
異形のクリーチャーと一体どんなイカレタ音楽なんだ、と思わせますが(笑)、実は
初期CHILDREN OF BODOMのキラキラメロデスと、ヴァイキングメタルの勇壮でクサい
メロディ、サントラ的なドラマティックな展開を組み合わせたような、デス声入りの
メタルの中ではかなり聴きやすい部類の音。
私はこれ、ヴァイキングかメロデスかと言われたら、明らかに後者に属する音だと思う。
確かにメロディや音使いにはヴァイキングっぽさがあるんですが、ヴァイキングメタルを
聴いているとよく感じられる、神話崇拝的なオカルティズムや、都会離れした自然の
空気感などは余りなく、ヴァイキング的な要素はあくまで曲の劇的さ、かっこよさを
追求するのに使われている感じ。思想を音で伝えるペイガンメタルよりも、純粋にメタルの
かっこよさを追求するという点では、パワーメタル的な価値観を持ってるバンドなのかも。
ラストのお遊び的トラックが象徴するように、間違っても民族運動啓発のために危険思想に
手を染めたりしなさそうな、健全なかっこよさとクオリティを持つアルバム。バンド名の
割には非常にまともな作風で、COBなどのメロデスや、バイキング/フォーク/ペイガンなどを
クサメタルの観点から楽しんでいるメタラーにとっては、かなりの好盤になるのではないでしょうか。
フォークメタルをある意味野暮ったく感じる人も、こういう作風ならすんなり行けてしまうのでは。


DESTROYER 666 ★★ (2010-04-13 23:02:00)

オーストラリア産ブラックンドスラッシュ/ウォーブラック。
豪州産のバンドながら、何気にNecromorbus Stadioでレコーディングしてたりするんですよね。
クレジット見て驚きました。


DESTROYER 666 - Defiance ★★ (2010-04-13 22:56:00)

2009年発表の4th。

ブラックンド・スラッシュって、主にスラッシュのダーティな熱気をブラックのアングラさで強調するタイプ(AURA NOIRやCADAVER等)と、ブラック本来のどす黒さ・禍々しさをスラッシュ要素で更に強調するタイプ(IMPIETY等)に分かれると思うんですが、このバンドは後者だと思います。裏ジャケが「剣と盾」ではなく、「剣と棘付き棍棒」なんですが(笑)、正にそこに示唆されている通りの、撲殺されるようなブルータルな作品。

このバンド、スラッシュがベースながら、何気にブラックの中でも様々な手法を取り入れているんですよね…ヴァイキング的な哀メロや朗唱、ファストブラック的なブラストと荘厳リフなど、諸要素を取り入れるだけでなく、そのどのパートにおいても妥協無き邪悪さの追求が行われている感じ。そればかりでなく、ブラックとスラッシュをグロテスクに掛け合わせた、独特なリフなんかも聴けたりします。ヴォーカルも、ブラックの非人間的な凶悪さと、スラッシュのパーカッシブさを併せ持つスタイルで、この音楽性に合っていると思う。

知名度こそ北欧勢と比べるといまいちかもしれませんが、エクストリームメタルが好きならば買って損は無いであろう作品。ただ、ジャケ裏の曲リストには10曲載ってますが…実際には9曲しかありません。ラストの「The Truth」は、隠しトラックか、誤植なんでしょうか。歌詞カードにも載ってないみたいですが…。


DESTROYER 666 - Defiance - I Am Not Deceived ★★★ (2010-04-13 22:58:41)

スラッシュのメタリックさと、ブラックメタルの邪悪さが交じり合い、妙にグロテスクな印象を与えるリフが耳に残る曲。こういう曲聴くと、やっぱりデス/ブラック/スラッシュは如何に印象的なリフを書けるかに懸かってるな…と思います。


DESTROYER 666 - Defiance - Path to Conflict ★★ (2010-04-13 23:01:24)

この曲のギターリフの音、良いなぁ…目の前に巨大な壁が立ちはだかっているような、「暗黒」が立体感を持って迫ってくるような音。


DESTROYER 666 - Defiance - Sermon to the Dead ★★★ (2010-04-13 23:02:13)

哀メロや朗唱もあり、少しヴァイキングメタル風味もある曲ですが…明らかに普通のヴァイキングの戦士がどうこうというシチュエーションじゃないですよね(笑)。幽霊船の船長が死者に説法をしてるような感じ。もう空なんか、どす黒い通り越して赤黒くなってそう。ジャケット通りの音ですね。


DESTROYER 666 - Defiance - Stand Defiant ★★★ (2010-04-13 23:00:33)

もう入りの時点で伏魔殿が見えてきそうなんですが…抵抗する気も起きなくなるような、圧倒的な暗黒感。レベル1のままラスボスの魔王の城を前にした勇者の気分になれます(笑)。意外と哀愁のある、しかも印象的なメロディが聴けますが…それすら邪悪に聴こえます。音の殺気も然る事ながら、何気にメロディのセンス自体も良いですよね。


DESTROYER 666 - Defiance - The Barricades Are Breaking ★★★ (2010-04-13 22:59:37)

展開の一部やギターのフレーズに、スラッシュ風味は少し感じられるものの、寒々しいリフといいブラスト全開の曲調といい、ほぼ北欧産ファストブラックの音です。しかもDARK FUNERALやMARDUKと比較しても劣らないレベルの高さ。素晴らしい。


DESTROYER 666 - Defiance - Weapons of Conquest ★★ (2010-04-13 22:57:53)

ブラックンド・スラッシュのかっこよさをストレートに伝える1曲目。スラッシュ色の濃い、イカレたリードギターが実にかっこいい。「Weapons of Conquest」…裏ジャケに載ってる、例のアレですね(笑)。


DETONATOR 666 - At the Dawn of Sadistic Infernal Holocaust ★★★ (2012-05-03 09:07:20)

2004年発表の1st。

ツタツタ疾走するリズムに、荒涼感あるリフを乗せた展開をメインに、時折不穏で邪悪なメロディのトレモロも仕込んでくる、プリミティブブラックにも通じる感性を持ったブラックメタル。起爆装置を意味するバンド名ですが、どちらかというと爆発力よりはじわりと邪悪さが染み出してくるような音。プロダクションにMAYHEMのDMDSを思わせる湿った感触があるのも、個人的にはポイント高いです。

作風自体、ブラックの邪悪さや魅力を分かりやすく伝えてくれるもので、非常に好感触なアルバムなんですが、それ以上に衝撃的なのがヴォーカルのがなり声。病気で会話が困難なレベルで喉が嗄れた時に無理矢理搾り出したような、異様に潰れまくった凄まじい声。声帯の擦れる音が直に聞こえてくるような凄絶さで、ブラックでもここまで潰れた声は珍しいと思う。この異形な感じもまた素晴らしいですけど、喉は心配になりますね(笑)。

曲も良質ですし、異様に潰れたヴォーカルというインパクトを与える要素もあるし、かなりの好盤ではないかと思います。このバンドについて調べてるくらいのブラック好きの方なら、まあ買って損はないかと。


DEVATHORN - Diadema ★★★ (2014-10-04 20:45:31)

2007年発表の1st。
2014年にDybbuk RecordsがSelf Mutilation Servicesと共同で再発。

かつてはDODFERDに籍を置いた事もあり、2012年にはACHERONTASに加入したというSaevus Helcath氏を中心に結成されたブラックという事ですが…関連バンドはギリシャ産ブラックでもかなり知名度の高いバンドですが、それらに匹敵するくらい魅力的な音源だと思います。

路線としては、ACHERONTASやFUNERAL MISTに代表されるような、宗教色の強く儀式的なムードを持つブラックを、もう少しスラッシュ色強く、オールドスクールな感触で仕上げた感じでしょうか。ブラストで攻めるだけでなく、スラッシュビートも多用した楽曲はある意味ノリの良さも感じられ、メリハリがあってストレートにかっこいいんですが、トレモロリフに込められたメロディは禍々しく密教的なのが良いですね。

何よりも楽曲の出来が良いのが素晴らしいです。特に3曲目、「Bleed Heaven Bleed」は、「The Merciless」期のAURA NOIRにも通じる熱気と、ACHERONTASやFUNERAL MISTを思わせるインテンスさが融合している、かなりの名曲。アングラな湿り気を残しつつ、Raw過ぎないプロダクション、ガルガルと喉を鳴らすような、独特のがなりを聴かせるヴォーカルなども、ブラックの禍々しさの演出に一役買ってますね。

これは再発されたのも頷ける、(アングラ音楽としての)高品質さを感じさせる作品ですね。基本オーソドックスな中に光るものを感じさせる、なかなかのアルバムです。


DEVIAN - Ninewinged Serpent ★★ (2009-09-22 11:16:00)

2007年発表の1st。

MARDUKのLegion、Emil在籍との事ですが、ネームバリューに恥じない質の高さですね。MARDUKと比較すると、刻みリフがより多く、スラッシュビートも多めでデスラッシュ寄りのブラックと言えそうな音楽性。GOD DETHRONEDをもっと暗黒寄りにした感じというと近いと思います。メロはメロデス的なかっこいいものもありますが、基本MARDUKの「La Grande Danse Macabre」辺りに近い頽廃性の篭もったものが多く、MARDUKを愛聴して来た人にも受け入れやすそう。

結構ブラックメタルって、リフにしろリードにしろメロディを奏でる楽器の音が控え目なことが多いですが、この作品はそれがかなり太く、元々のブルータリティとの相乗効果で迫力のあるサウンドになってますね。メタルとして非常に質の高い、硬質な音作りから「もしや…」と思いましたが、やっぱりミックスはFredrik Nordstromでした。

にしても、やっぱりLegionの声は良いですね。
血糊をペースト状にして塗りつけるかのようなダミ声は、MARDUKの時同様のエグさで迫ってきます。なんか彼の声って、聴いてて耳に気持ちいいんですよね。(MARDUKの)Morganは彼がMARDULを脱退した理由について、育児と喉の疲弊を挙げてましたが…これを聴く限り全く劣化してないと思うんですが…。

一つ欲を言うなら、MARDUKでいう「World Funeral」のような圧倒的なキラー、「Summers End」「Deathmarch」のようなイレギュラーな曲が欲しかった所。曲、演奏、音質どれをとってもそこらのバンドを寄せ付けないクオリティがあるんですが、どの曲も高いレベルで纏まりすぎていて、少し変化にかける印象も。そこがクリアできたら、名盤になったんじゃないかと思います。


DEVIL DOLL - Eliogabalus ★★ (2006-11-20 12:09:00)

90年発表の2nd。
ドラマティックさにこだわったバンドは多くいますが、ここまで徹底したのは他に無いのでは…。
本当に、悪魔の演劇が行われる劇場に来てしまったかのような感覚を呼び起こす名盤です。
ストリングスやキーボード、アコーディオンや合唱などを用いた頽廃的で耽美な
オペラティック・クラシカルパートやゴシックメタル的なパートなどを組み合わせて
構成される極めてシアトリカルでドラマティックな音楽で、最早クラシックやメタルの枠を
超越した所で素晴らしい音楽を体験させてくれるという感じ。
×ィズニーの某超有名曲のオルゴールバージョンをサンプリングして琴のような音色を
被せるパートなど、時々前衛的とも言える部分も。結構展開が急な場面もあったりしますが、
全てが彼らの掌の上で行われているような雰囲気で全く無理を感じさせません。
20分を超える曲が2曲という構成ですが、どのパートもメロディアスで緊張感があって、
長い曲が苦手な人が聴いたとしても呑まれてしまいストップボタンを押せなくなる事請け合い。
っていうか45分間全くダレることが無い展開なので、耳が休まる暇が無いんですが…(笑)。
合唱やギター、ストリングスなどによるメロウなメロディをフィーチャーしたゴシックメタル的
パートなど部分的にはキャッチーと言っても良いくらいで、長い割に取っ付き辛さは
あまりなく曲に入っていきやすいのも良いですね。
ヴォーカルは魔女の囁き声のような声色で、時折がなったり朗々とメロディを歌い上げたり。
最初はちょっと苦手かと思いましたが、1曲目が終わる頃には「これしかない」という気さえ
してくる程に。このヴォーカルが曲全体を引っ張っていっているような印象すら受けます。
しかしこのバンド、今まで登録すらされていなかったというのが信じられません。
クオリティはめっちゃ高いと思うんですが…。ゴシック苦手な人多いのかな?
まだこの一枚しか聴いてないんですが、ほんと個性的で素晴らしい音楽性を持ったバンドだと思います。


DEVIL DOLL - Sacrilegium ★★ (2006-11-28 20:23:00)

92年発表の3rd。
全1曲50分。無音部分を除いても43分…徹底してますな。
音楽的には、前作通り他に類を見ないほどシアトリカル/オペラティック/ドラマティックな
プログレゴシックという感じですが、やはり各要素はパワーアップしてますね。
特にヴォーカルは更にマッドサイエンティストっぷりに磨きが掛かってます(笑)。
「ressurect! ressurect!! ressurect!!」の部分の狂気の表現なんて嫌でも耳に残るし、
30分ぐらいのゴシックメタルパートの裏声なんて、もう気分は「オペラ座の怪人」の
ファントムといった所でしょうか。曲のほうも更に静と動のコントラストや、
展開の複雑さが強化され、ドラマティックさを増している感じですね。
…ただ、前作より好きかと問われると正直素直に頷けない部分も。
静と動のギャップがありすぎて、静のパートがほんとに静か過ぎる箇所もあるのと、
ゴシックメタル的な部分が減った為少しだれる部分も。最も、静のパートが無いとこの
ドラマ性は生み出せないとも思うんですけどね。前作より取っ付きにくいと思います。
しかし、前作もそうですが、中古で買ったら解説と対訳付いてたんですが…。
こんなマニアックな音なのに国内盤出てたんだ(笑)。ちょっと驚き。


DEVILISH IMPRESSIONS - Simulacra ★★★ (2013-02-20 00:35:04)

2012年発表の3rd。

まず帯の「BEHEMOTH、DIMMU BORGIR、EMPERORファンにお勧め」というジャンルの大家ばかりが並ぶコメントからして目を引きますが、それがハッタリに思えないくらいクオリティの高いシンフォブラック。特に、シンフォブラックってクサメロを派手にブチ撒けるバンド、アトモスフェリックな妖気の漂うバンドはいても、EMPERORに通じる神話的な神秘性を感じられるバンドってなかなかレアなんですよね。この作品はそれが感じられるのがまず素晴らしいと思う。

音的には、「Puritanical~」期のDIMMU BORGIRを思わせる、ヘヴィネスも備えたモダンな質感のあるシンフォブラックという感じですが、高音Vintersorg似、中音域はIhsahn似のクリーンを大胆に取り入れた、後期EMPERORの「Elegy of Icarus」「The Eruption」辺りのエピックな曲から直接の影響を得たであろう展開の楽曲があったり、キーボードの高貴な邪悪さがやはり中期以降のEMPERORを思わせる部分があったり、聴いていてどこかEMPERORの影もちらつくサウンド。

何気にこのクリーンヴォーカルが、神話の主人公になりきっているような悲哀やナルシシズムが感じられて絶品なんですよね。単に反宗教だけでなく、神話や文学にも食指を伸ばす歌詞の世界観とも合っているのでは。また、デス声によるキャッチーなサビやヘヴィな音圧を伴い畳み掛ける突進パートを含む曲もあり、こうした楽曲ではBEHEMOTHを思わせる場面も。と言っても各バンドの影響が未消化で散漫という訳では決してなく、しっかり自分のものにして聴きやすく仕上げているのが素晴らしい。

帯に書いてあった3バンドありきで話を進めてしまいましたが、これら先人の名前を出さずとも、一回聴けばそのクオリティの高さで聴き手に強い印象を残せる、非常に優れたシンフォニックブラックだと思う。神秘性やドラマ性に優れた、キレのある音源を求めている方は是非。上記3バンド以外にもCRIONICSやSAMMATH NAURなどのポーランド産ブラック好きにもお勧め。変なマイナー臭もなく、取り合えず日本盤クラスだと思います。


DEVILMENT - The Great and Secret Show ★★★ (2014-11-27 09:58:48)

2014年発表の1st。
COFのDani Filthの新バンドと聞いて速攻で買いに走った人も多いのでは。
もちろん私もその一人です(笑)。

路線としては、COFでも演っていたシンフォニック・クラシカル・ヴァンピリックなブラックメタルをベースに、DEATHSTARSや一時期のSAMAEL辺りを思わせる、インダストリアル・ゴシックのテイストを加えた感じでしょうか。暴虐性やシンフォ度は本家よりも抑え目ですが、その分リフやリズムのグルーヴィさが増し、よりノリの良い音に仕上がっている感じですね。

こういう作風だと、Dani Filthの言語感覚の良さが凄く映えるんですよね。例えば一曲目後半「Burning in those angel eyes」からの一節は超邪悪なナーサリーライムみたいで、軽く口ずさむだけで何か洗脳されそうな気持ちよさがある(笑)。いつもの本家よりも歌詞のタッチは猥雑というかラフで、こういった言葉の響きの良さを凄く楽しみながら歌詞を書いてるんだろうな…という感じ。

今作は例えばインダストリアルな雰囲気の強い「Summer Arteries」や、エスニックで儀式的なムードを漂わせつつキャッチーな「Mother Kali」など、本家の作風と掛け離れているものほど魅力的に仕上がっているように思います。逆に「Living with the Fungus」など本家で演ってもおかしくない楽曲に関しては、正直本家の方がいいかな…とも思ったり。ともあれ今まで以上にDani様のヴォーカルの魅力が色濃く出た作品ですので、彼のファンならば必携のアルバムでしょう。


DEVILS WHOREHOUSE ★★ (2010-04-03 12:11:00)

MARDUKの中心人物、Morganがベースを担当するバンド。
元はMISFITSやSAMHAINのトリビュート・バンドとして始動したらしいです。
バンド名はMISFITSの曲名から。


DEVILS WHOREHOUSE - Blood & Ashes (2010-04-03 12:09:00)

2009年発表の2nd。

成り立ちが成り立ちだけに、やはりMARDUKとは全く異なる音を出してますね。リズムにロック的なノリの良さやハードコア的疾走感を取り入れ、グルーヴィなリフとダーティなデス声未満の濁声ヴォーカルを乗せたスタイルで、近年のDARKTHRONEを陰湿にしたような雰囲気があると思う。リフにはグルーヴだけでなく、どす黒い澱みや、荒涼感も感じられたり、怪奇趣味のドローンも演っていたりなど、デスロックを根幹としつつも、聴けばブラックに造詣が深い人物が作っている事が容易に推定される音。

個人的に、ヴォーカルが悪くは無い(メロを追ってるときの声はなかなかだと思う)けど苦手なタイプなので、諸手を上げて絶賛という訳には行きませんが、MARDUKやABRUPTUMでは見せない、Morganのルーツが垣間見えて興味深く聴けました。MARDUKのページでは、MARDUKのリフのパンクとの類似性を指摘する書き込みもありましたが、こういう素養があるからこそ、MARDUKはブラックの中でも抜けた存在になっているのかもしれませんね。


DEVILS WHOREHOUSE - Blood & Ashes - Oceans Turn to Blood ★★ (2010-04-03 12:11:15)

どす黒い澱が、渦を巻いて堆積していくようなスローパートが印象的な曲。
感性的にはかなりブラックメタルに近い音かと。


DEVILYN - Ⅺ ★★ (2010-03-04 20:08:00)

2005年発表の4th。
ポーランド産のデスメタル、しかもNovyが以前在籍していたバンドともなれば、期待せざるを
得ませんが…当然の如く、それに応えてくれるブルータルなデスメタルを演ってます。
凶悪さ・リフの切れ味、演奏力の高さなどからはHATE ETERNAL辺りを思わせますが、
他のデスメタル、例えばMORBID ANGEL辺りと比べると、ギターやドラムの音質に機械的な
無機質さがアドっているように思います。魔界の瘴気に取り込まれるというよりは、なにか
極悪な形の機械の中に放り込まれてグチャグチャのミンチにされる感じ(笑)。
まあ、曲自体は十二分に「魔界」みたいな雰囲気ですけど…(笑)。
演奏時間は約25分と短めですが、硬質な音質によるリフとリズムの凶悪な絡みが、
濃厚に詰まっている逸品。デスメタル好きならば買って損なしかと。
でも、「でびりん」って、平仮名で書くとなんか小悪魔っぽい可愛らしさがありますね(笑)
音の極悪非道っぷりとは真逆です。


DEVILYN - Ⅺ - The Seven Virtues Divine ★★★ (2010-03-04 20:10:01)

やっぱりデスメタルのメロディって良いですね。
演奏の凶悪さを差っ引いて、メロディだけ考慮しても禍々しいという。


DEVLSY - A Parade of States ★★ (2015-12-07 23:07:54)

2013年発表の1st。
日本のMaa Productionsより発売。

多分偏見ですが…どうもリトアニアのブラックというと、SVARTTHRONやPERGALE辺りのバンドのせいか、どこか病的というか異常性を感じさせるものが多いという印象を勝手に抱いているんですが…この作品も、いわゆるポスト/シューゲイザー系のブラックに分類されるような作風ながら、印象に違わないサイコな雰囲気も持ち合わせているような感じがします。

あからさまにトレモロによるメロウさを強調したりすることは余りなく、心地良く歪んだギターリフの中、じわりと叙情性が広がるような雰囲気を持ち、刻みリフの多用や力強いリズム、しっかり太く聴こえるベースの音色など、若干ロック色も強め。ヴォーカルも近年のIhsahnを思わせる高音絶叫で、変に情けないクリーンを入れてカリスマブレイクしない辺りが良いですね。ただし、叙情一辺倒ではなく、時折見せる陰湿で病んだムードが、リトアニア産ブラックらしいなぁ…という気がします(偏見)。

叙情性と病的さのコントラストが魅力的で、プロダクションも含めた楽曲の質もなかなかなので、叙情系や精神病んでる系のブラックが好きであればお勧め出来る一枚。MORODHやVIDHARR辺りまでチェックしてて、尚且つそれらのバンドが好きであれば是非。


DIABOLI ★★ (2010-05-05 21:42:00)

フィンランド産・Northern Heritage所属のブラックメタルバンド。
2002年にHrim Grimn'r氏が自殺で亡くなってからは、Petri “Pete"
Ilvespakka氏の独り体制で活動しているとか。そのPete氏も、殺人未遂や
暴力沙汰で何度か刑務所に入ったことがあるらしいです。音以上に殺伐とした
経歴がありますね…。前身バンドもカウントすると、92年から既に活動を
しているベテランでもあります。


DIABOLI - Invocation ★★ (2010-05-05 21:37:00)

2010年発表の6th。
不謹慎ですけど、ぶっちゃけバンドの経歴に惹かれて購入しました(笑)。余りのミーハーさ加減に自分自身呆れてます(笑)。

音としては、オールドスクールなダーティさと、北欧のバンド特有の寒々しいリフセンスの良いとこ取りをした、如何にもなプリミティブブラック。プリミティブ系を普段から聴いている人であれば、まぁ外すことは無いだろう、という感じですが…92年から活動してて、未だにこういう未洗練さ・未加工の荒々しさを魅力とする作風とは…本当に、アンダーグラウンドに音楽人生捧げてますって感じなんだろうなぁ…。

この作品の大きな特徴としては、ベースの聴いた音質が挙げられると思います。よくデモテープ起こしの作品とかで、ベースの音量がやたら大きく、曲の輪郭が不明瞭な代わりに、独特の澱みや汚さがある音がありますが…その手の音を、アングラな魅力を損なわずに、(プリブラ好きには)普通に聴けるように改良した…という感じの音。

反面ヴォーカルやギターリフは引っ込み気味ですが、メロディを弾く所ではそれなりにギターも聴こえるし、大抵ベースがユニゾンしてるので、メロの良さを殺しているということはありません。むしろベースのトレモロに圧迫される感覚が心地良くて好きです、この音。

ただ、ヴォーカルはプロフィールから想像するような、あからさまな「狂気」をウリにしたような感じではなく、低音で割と淡々とがなる感じなのは好みが分かれるかも。個人的には、篭もった音質とも相まって、静かに燃える、根深い狂気が息づいているようで好み。作り物ではない、「ホンモノ」の威厳が感じられるというか。

Northern Heritageらしい、「アングラな価値観」の中での質の高さの光る作品。しかし、このバンドはベースの音にこだわると言う手法を取ってますが、プリブラの価値観追求にもそのバンドごとの方法論があって面白いですよね。やっぱりブラックって深いです。


DIABOLI - Invocation - A World to Burn ★★★ (2010-05-05 21:40:26)

この手のプリブラとしては珍しく(短いけど)ギターソロがありますが…このメロディが如何にも黎明期ブラックにありそうな邪悪さでかっこいいですね。「燃やすべき世界」という曲名からして、人を寄せ付けない雰囲気全開です。


DIABOLI - Invocation - Die So You Can Live ★★★ (2010-05-05 21:41:34)

ベースが殊更に強調された音質のアルバムですが、この曲は結構ギターリフが前に出てますね。気温を下げると言うより、恐怖で聴き手の体温を直接下げにかかる暗黒リフ。叙情方向におもねりすぎないメロディの良さがありますね(クサメロ大好きな私が言っても説得力無いけど・笑)。狂気以前に、センスがいいバンドだと思う。


DIABOLICAL BREED - Compendium Infernus ★★★ (2012-03-28 00:34:17)

2004年発表の1st。
何気に日本のレーベル(Worldchaos)から出てたりします。

一言で言うなら、「実際に出力される音量以上に、音圧があるように聴こえるシンフォニックブラック」。バンドサウンドの分離ははっきり言って良くは無く、音がダマになって聞こえる感じなんですが…それが逆に凄まじい迫力を生んでいるんですよね。シンフォ系としては刻みを多用するリフも音の厚みを演出してたり、埋もれ気味のヴォーカルも闇から呻きすめきが聴こえるような感じに思えたり、作風と音作りの相乗効果でより濃い雰囲気を演出出来てる感じ。

また、そうして迫力ある音に蹂躙され、黒く塗り潰された情景に響くキーボードも、アトモスフェリックでホラーな雰囲気を伴う空間系の音色だったり、怨霊の悲鳴にも思えるようなクワイア系だったり、邪悪ムード満点なのがまた良いんですよね。耽美なピアノメロがあったり、ストリングス系の音で派手めなフレーズを弾いてたり、メロディ自体は結構フックのある部分も多いんですが、音作りとの兼ね合いもあり、決して甘口には仕上げてこない辺りが素晴らしいです。

メジャーなバンドにはない、カルトで邪悪な雰囲気の漂うシンフォニック・ブラック。初期EMPERORやLUNAR AURORAなど、神秘性が邪悪さに変換されて聞こえるようなシンフォニックブラックが好きな方にお勧めです。


DIABOLICAL MASQUERADE - Nightwork ★★ (2010-04-17 21:26:00)

98年発表の3rd。

世間の認識では、このバンドはアヴァンギャルドなメロディック・ブラックとして名が通っているらしいですが…ヴォーカルの鬼の形相が浮かぶ絶叫こそブラックのスタイルなものの、刻みを多用した、勇壮なギターワークなどはメロデスに通じるものがありますね。

時にメロディアスに、時に効果音的に雰囲気を演出するキーボードといい、クラシックの素養があると思われる、格調高いメロディといい、芸術性の高い、劇的でシアトリカルな作風。芸術性の中に、しっかりとブラック特有の頽廃性・暗黒性も含まれているのが素晴らしい。

ただ、曲自体のオリジナリティ・クオリティ共には文句の付けようも無いんですが、少し録音レベルの小さめな音質や、歌詞のブックレットも付いていない質素な装丁など、曲以外の面で聴き手を自分たちの世界に引き摺り込んでいく工夫が足りないのが本当に惜しい。

その辺りをもう少し拘ってくれれば、多くのメタラーにとって「特別な一枚」となったかもしれない…それ位のポテンシャルはゆうに備えている作品だと思うんですが…。ちなみに、Peacevilleからリマスター盤も出ているそうですが…持ってないので分かりませんが、もしかしたら上記の欠点が無くなって更に素晴らしい作品になってる…かも…?


DIABOLICAL MASQUERADE - Nightwork - Rider on the Bonez ★★ (2010-04-17 21:29:11)

神への問いかけに対して、悪魔の声で応えるSEがなんか病気じみてていいなぁ(笑)。芸術性が高くて、メタルとしてもかっこいいだけじゃなく、どこか病んだ退廃性もあるのが魅力だと思います。


DIABOLICAL MASQUERADE - Nightwork - The Eerie Obzidian Circuz ★★★ (2010-04-17 21:28:17)

劇的に…というよりは、戯曲的に暗黒性を追求したかのような曲。
特に効果音的に配置されたキーボードのフレーズが、背中を撫で上げるような恐怖を感じさせてくれます。こういう偏差値高そうな暗黒音楽も良いですよね。


DIAGNOSE : LEBENSGEFAHR ★★ (2007-03-03 00:34:00)

ex-SILENCERのNattramnのプロジェクト。
彼、もう精神の方は大丈夫なんでしょうか。


DIAGNOSE : LEBENSGEFAHR - Transformalin ★★ (2007-03-03 00:23:00)

2006年発表の1stアルバム。

音楽性は、端的に言うとノイズやキーボードをメインに据え、Nattramnのヴォーカルを乗せたインダストリアル色の強いダークアンビエント。勿論ノイズは攻撃性よりも、じわじわと精神を侵蝕するような音である意味心地良いかも。ヴォーカルはSILENCERのような金切り声は使用していませんが、芝居がかった演説調の語りを中心に呻き声や半泣きの哀願風の叫び、すすり泣きなどが用いられしっかり病気なので安心して下さい(笑)。

例えこのCDが出た経緯を全く知らない人を十人集めて聴かせたとしたら、おそらく10人とも「病んでる」「暗い」「怖い」「不気味」と評価するであろう恐ろしげで病的な雰囲気ですが、こういう雰囲気をアンビエントみたいな重層的なアレンジが必要とされるジャンルで表現するのって難しいのではないでしょうか…。

クレジットを読むと、この作品は2004年から2005年にかけて、セラピーとリハビリの過程で作られた、というような事が書いてありますが…SILENCERはNattramnが精神病院に収容されて解散したというのは本当なのかもしれませんね。でも、衝動を撒き散らすタイプならいざ知らず、こういう前衛的な作風でしっかりしたものは単なる狂人には絶対出来ないはず。SILENCERも曲のクオリティはかなり高かったし、この人実は天才なのかも…?

病んでて、更にその病巣を表現できる才能を持っているというのはある意味最強です(笑)。SILENCERの狂気に惹かれた人で、アンビエントに興味があればかなりお勧め。逆にSILENCERの極端なヴォーカルをネタとしてしか聴けない人には決してお勧め出来ない作品。


DIAGNOSE : LEBENSGEFAHR - Transformalin - De Vardar Mig in I Doden ★★★ (2007-03-03 00:10:18)

「ナイィィィ、ナィィィ、ナァァァァイィィィ!!」「ナイナイナイナイナイナイナイ…!!」の半泣きの声がかなりキてる…怖いというよりは、感情が伝わりすぎてやるせなくなってしまう感じ。


DIAGNOSE : LEBENSGEFAHR - Transformalin - Situazion: Lebensgefahr ★★★ (2007-03-03 00:09:05)

アルバム中最もメロディが導入された曲。
一人の精神を病んだ指揮官により、軍隊が破滅に向かって行進しているシーンがモノクロで浮かんでくるような、葬式ムード満点の暗く頽廃的なメロディが堪能出来ます。


DIAGNOSE : LEBENSGEFAHR - Transformalin - Upon the High Horse of Selfdestruction ★★★ (2007-03-03 00:05:17)

淡々と鳴り響くキーボードはもうそれだけで恐怖感を煽りますが、そこにゾンビのような呻き声と亡霊コーラスの悪夢の共演が乗り恐ろしげな雰囲気に…昔バイオハザードやったけど、こんな声出してましたよ、ゾンビ(笑)。暫くするとNattramnが演説を始めますが、途中で首を締められたような声を出すのが怖すぎ…。


DIE FORM ★★ (2009-08-10 22:01:00)

フランス産インダストリアル・ゴシック。
77年から活動している、大ベテラン。
「DIE」は独語の定冠詞で、「くたばれ」ではないので注意(笑)。


DIE FORM - Bach Project ★★ (2009-08-10 22:03:00)

2008年発表のバッハカヴァーアルバム。
誰もが知ってるあの曲のカヴァーもありますよ(「鼻から牛乳」で有名なあれです・笑)。
…クラシックって、長い時を聴き継がれてきただけあって、旋律の美しさや構築美はポップ音楽の
比ではないとは思うんですが、現代の音楽と比べるとリズム面や音色面で弱いと思うんですよね。
そこをフレンチインダストリアルの老舗ユニットがカバーしたのがこの作品です。
時にリズムを導入して聴きやすくし、時にメロディの耽美なムードを更に引き上げ、時に
リスナーを深淵に引き込むような、インダストリアルな音色の導入の上手さは流石老舗ユニット。
でもそれ以上に素晴らしいと思うのが、Eliane嬢の歌唱。クラシックベースの作風に合った
声楽的な歌唱なんですが、機械で震わせたような細かいビブラートが掛かった声質で、
非常に存在感があります。この人が歌うだけで、どこか天上の音楽というか、浮世離れした
雰囲気が出るような気さえします。
ミックスもロック/ポップス的な、音の鳴りの太さのあるもので聴きやすいですし、ロックや
ポップス好きにはクラシックの名盤とされるアルバム聴かせるより、これ聴かせた方がいいかもしれません。


DIE FORM - Rain of Blood ★★ (2009-08-10 22:04:00)

99年発表のEP。
フレンチインダストリアル/ゴシックの老舗ユニットという触れ込み、裸の妊婦が開口具を
噛まされている頽廃的なジャケットからは、もうコテコテに絶望的な音楽、それこそELENDを
更に救いをなくしたような音を想像してたんですが…インダストリアルの破壊性や無機質性、
ゴシックの耽美性や頽廃性も兼ね備えていながら、トランシーな四つ打ちが出てきたり、
打ち込みのハンドクラップのようなリズムを取り入れた曲があったり、意外にもポップ性も
垣間見えるような音。5曲目ではロボットボイスによるラップまで出てきます。
Eliane嬢の声楽的なだけではない、確かな個性のある歌唱もこの頃から素晴らしいし、
イメージの割には取っ付きやすい作風だと思います。個人的にELENDはムード作りに
徹底しすぎててちょっと辛い部分もあるので、こっちの方が好みですね。


DIE SAAT ★★ (2012-07-06 20:36:11)

ドイツ産ペイガンブラック。
ABSURD人脈ですが、NS的な思想は特にテーマにしてないそうです。


DIE SAAT - Wir laden zum Feste ★★ (2012-07-06 20:37:43)

2006年発表の3rd。

まず1曲目の多重ヴァイキング朗唱によるアカペラがかっこよすぎですね。マイルドで男らしい野太い声で本編への期待を煽りまくりですが、本編でもしっかりヴァイキング朗唱をフィーチャーしたペイガンブラックを演ってくれてます。冷えた空気感や幽玄なムードを醸し出すアトモスフェリック系の音色、お祭り系のフォークメタルにも通じる華やかなストリングス、ピアノ系の音色などを場面によって使い分けるキーボードも良い仕事をしていて、かなりメロディアスな音。

ただ、激しく刻んでる時やブラスト爆走パート等はいいんですが、朗唱やキーボードが曲の主導権を握っているとき、時々リフに大味さを感じるのが惜しいんですよね…。リフの音自体はヘヴィで悪くないと思うし、ペイガン系特有のインパクトの強いメロディセンスも良い感じだし、そこだけクリアできればA級の音にグッと近づきそうな感じはするんですが…現時点ではフォーク/ペイガンメタルを愛好してる人にしか敢えてお勧めはしないかな…という感じ。

…とは言っても、分かりやすい民族メロは魅力的だし、ヴァルハラでエインフェリア達が戦いの士気を上げる歌を歌ってるようなクリーンはかなり素晴らしいので、この手が好きな方には十分お勧めできるかと。


DIES ATER - Odium's Spring ★★ (2012-09-10 23:10:38)

2007年発表の4th。

実はこの作品、当時聴いた時は余り好きになれなくって、時間を置いて聴いたら気に入った…というアルバムだったりします。作風としては、ドガバキダイナミックに疾走するドラムと、粗いだけでなく、重さや厚みもしっかり感じさせる刻みリフの迫力ある絡みを軸に据えた、非常に攻撃性の高いブラック。そこにアトモスフェリックなキーを被せ、直接的な暴力性だけでない邪悪さを演出しようという試みも見られます。

他のジャーマンブラックと比べると、デス的なダイレクトな攻撃性が高く、メロディアスな部分は少なめですが…いかにもジャーマンブラックらしい冷厳なトレモロが聴ける8曲目、スケールの大きい邪悪さの感じられるラス曲など、メロディを活用する場面ではしっかり聴かせてくれるのが良いですね。まあ個人的にはもうちょっとだけメロディアスな方が好みだったりしますが。

今聴くと、ダイナミックで破壊的かつ、アトモスフェリックさも演出する音が心地良く聴けて、決して悪い作品ではないと思うんですが…おそらく当時嵌まらなかったのは、メロディ(トレモロ)成分少なめなことに加えて、バスドラの床を踏み抜くようなビキビキした音が苦手だったせいもあるかもしれません。その辺りちょっと音作りに癖があるんですが、慣れるとかなりかっこよく聴こえます。


DIMENSION F3H - Does the Pain Excite You? ★★ (2008-06-19 01:08:00)

2007年発表の2nd。
LIMBONIC ARTのMorfeusが中心人物のようですが…この作品にはかなり意表を突かれました。

ストリングスやインダストリアルな音色のキーボードをフィーチャーしたサウンドはスペースメタルとカテゴライズ出来そうな音ですが、トレモロリフやブラストビートなど、ブラックの代名詞とも言えるものはあまり使われておらず、リフはグルーヴ重視のものが多くリズムも暴虐さよりノリのよさを感じさせるパートが多めで、ブラックメタルというよりはメロデスに近い音という印象。ヴォーカルも低音のデスヴォイスに近い歪みを掛けながらメロディも付けて歌う色気のあるもので、やはりブラックから離れてる感じがします。

LIMBONIC ARTの初期作(1st、2nd、デモ再録)って、バンドサウンドよりもキーボードを中心に据えたサウンドが、神秘性や禍々しさなどのブラックメタル独特の価値観を一般的なメタルの価値観の外側に成立させた事で画期的だったと思うんですよ。そのサウンドを作った立役者であるMorfeusがこういうメタリックな音のバンドを演るなんてかなり意外…。尤も、LIMBONIC ARTの復活作(Legacy of Evil)もリフのメロディの強い、メロブラに近いサウンドだったので、最近のMorfeusはメタルモードにあるのかもしれませんね。

初期LIMBONIC ARTが好きなら逆に評価しづらいかもしれないアルバム。でもブラック的感性のサイバーな宇宙の描写とメロデス的なメタリックさの融合した音は、なかなかにかっこいいですよ。


DIMENSION F3H - Does the Pain Excite You? - Babylon ★★ (2008-06-19 00:49:46)

初期LIMBONIC ARTを聴いた事ある人は、このリフの意外さ、そしてかっこよさに驚くのではないでしょうか。しかしキーボードのフレーズの大仰さはやはりLIMBONIC ART譲りという感じ。


DIMENSION F3H - Does the Pain Excite You? - Does the Pain Excite You? ★★★ (2008-06-19 00:47:05)

ARCTURUSの4thにも通じるスペースオペラ的な雰囲気がある曲ですが、何故か歌詞はあからさまにSM的。プレイ中の恍惚感で宇宙が見えてきた感じでしょうか(笑)。でも、このギャップも意図してやってる気がします。


DIMENSION F3H - Does the Pain Excite You? - Nine Tails of the Cat ★★★ (2008-06-19 00:54:09)

やっぱりブラック好きとしては、こういうブラストの多い曲に惹かれてしまいますね…アトモスフェリックなキー、リフの不穏さなどアルバム中最もブラックっぽい曲ではないでしょうか。


DIMENSION F3H - Does the Pain Excite You? - Pin Point Dead Man Practice ★★ (2008-06-19 00:52:23)

イントロのテクノっぽい雰囲気といい、ブラックがベースなのにダンサブルなリズムといい、中盤の哀愁漂う雰囲気といい、妙なスケールの大きさがありますね…このバンドってやっぱり個性的。


DIMIDIUM MEI ★★ (2012-05-06 22:00:57)

ポーランド産ブラックメタルバンド。
バンド名はラテン語で「我が半身」の意。
多分「妻」「恋人」的な意味で使ってるのではないと思われる(笑)


DIMIDIUM MEI - Flames Of Hatred ★★★ (2012-05-06 22:01:40)

2010年発表の1st。
ぶっちゃけ、ジャケがWATAINっぽくて目に付いた…という理由(加えて、韓国の有名レーベル、Misanthropic Artから出てることや、中古で安かったこともあったけど)でレジに持っていてしまいましたが、これがなかなかの好盤で大満足。

作風としては、RAWな音作りを身上としつつも、2ビート疾走と邪悪トレモロによるプリミティブな展開だけでなく、オールドスクールでダーティな展開やミディアムでペイガン風の土着的な力強さを感じる展開などを盛り込んだ、バラエティに富んだブラックメタルという感じ。空間的なアルペジオや儀式的なリズムを用いた邪悪なムードの演出、この手には意外なベースソロを取り入れた曲もあったり、邪悪さをキープしつつ色々なアイデアが込められてる印象。

しかし個人的に感心したのは、RAWさを演出する音作りの上手さ。ギターは粗い音ながら、ノイズ質が変に前に出てくることなく、しっかりフレーズの邪悪さを際立てているし、ドラムはカッチリした音ではないものの、響きが良くブラック特有の陶酔感を増してくれてる感じ。モダンな重さとは無縁の音作りですが、ベースが結構前に出ているため、意外に骨の太い印象があるのもグッド。また、曲によってメロディの傾向は違いますが、特に陰湿系の邪悪メロのセンスが素晴らしく、音作りとも相俟ってプリブラ的なパートは作品内でも非常に魅力的に聴こえます。

WATAINに似ているジャケに目が行ってしまうくらいブラックメタルを聴いてる人なら、間違いなく楽しめる作品なのではないでしょうか。ジャケ買い上等な良質のブラックメタルです。


DIMMU BORGIR - Abrahadabra ★★★ (2010-11-30 18:39:41)

2010年発表の9th。
ABIGAIL WILLIAMSやSOTHIS、GOTHMOGのデビュー作など、良質なフォロワー的作品を多く生み出した彼らですが、本家は更に凄い事になってますね…。

確かに、フォロワー勢もメタルとしての質の高さ、音像の華美さや派手さでは負けてませんが、「オーケストレーションのレベル」は正直、格が違うと思う。この作品のそれは、クラリネットならクラリネット、オーボエならオーボエなど、その楽器が担当すべきメロディにキッチリその楽器を振っている上、音像の派手さでごまかすことなく、しっかり副旋律も緻密に練ってくれているのが素晴らしい。

アトモスフェリック系のブラックなどで、ミニマルな展開や音像を極端に重視する事で、聞き手に呪術的なまでの力で情景を見せ付けるバンドが時折いますが、彼らは緻密にオーケストレーションを練るという、ある意味どストレートな方法で「呪術的なまでの力」を手に入れてしまった感じ。呪術による宗教的恍惚の見せる神秘的な情景を、遂に最新のSFX技術を使って再現する事に成功した、ハリウッド的シンフォニックブラックとして並ぶものがないレベルの作品だと思う。

まあ、オーケストラ主導のパートは絶品ながら、リフ主導のパートが少し弱かったり、Simenが脱退してたりというマイナス点もあるといえばあるんですが、それを差し引いても金字塔的な作品ではないでしょうか。6th辺りではまだオーケストラの派手さ、エクストリームメタルの暴虐さで力押しする場面が多かった気がしますが、今作は凄く造り込まれた、末永く聴ける名盤だと思う。


DIMMU BORGIR - Death Cult Armageddon - Progenies of the Great Apocalypse ★★★ (2007-05-08 17:24:08)

個人的にDIMMUに期待しているのはこういう曲。
…もっとも、この曲はその「期待」を何倍にもして返すような名曲ですが。こういうと失礼かもしれませんが、邪悪さやブルータリティを極めたバンドって他にもいるし、DIMMUにはこういうハイクオリティでドラマティックな路線の曲を演ってほしいな。折角Simenみたいな良いヴォーカリストがいるんだし、それを活用しないのは宝の持ち腐れだと思います。


DIMMU BORGIR - Puritanical Euphoric Misanthropia ★★ (2007-03-16 11:20:00)

2001年発表の5th。
DIMMUは何故か今まで聴かなかったんですが、この作品で初めて聴きました。

まず、今まで聴いたメタル音楽の中でもトップクラスに音質が良いです。いかにもメタル的な硬質さで、ドラムの音の抜けが良くブラストの迫力は一級品。音の大きさも適正より少し大きいくらいで、エクストリームメタルとして申し分無し。この作品のプロデューサーはかなり有名らしいですが、彼の起用は大正解といえるでしょう。

曲の方は、噂通りのシンフォニックで劇的なブラックメタル。生オーケストラを使用したらしい華美な音作りがかなり素晴らしい。デスヴォイスも擦れた声でなかなかに邪悪で悪くないです…が、オーケストラやキーボード、クリーンヴォーカルといった要素が入っていない、もしくは前に出ていないパートは正直いまいちで、聴いててしんどい…そのせいで、ドラマティックな展開が冗長になっている所があるのがちょっと不満。

また個人的にですが、VortexことSimenがベース担当なのも勿体無い。あれだけ歌えるし、デス声もこなせるんだから彼をもっと前に出してあげれば良いのに…。私としては、全編「SYMPOZIUM」のイントロレベルのシンフォニックさにして欲しかったです。こういうジャンルはやりすぎてなんぼだと思うので。


DIMMU BORGIR - Puritanical Euphoric Misanthropia - Fear and Wonder ★★ (2007-03-16 11:00:09)

超大作映画のオープニングを思わせる、大仰でシンフォニックなオープニング・インスト。こんなの聴かされたら本編に期待しないわけがないですね。


DIMMU BORGIR - Puritanical Euphoric Misanthropia - Hybrid Stigmata – The Apostasy ★★ (2007-03-16 11:02:05)

確かにサスペンスって感じのメロディが聴けますね。
人妻が夫の不倫相手を思い余って包丁で刺し殺してしまい、我に返って真っ赤な両手を呆然と見つめている…みたいなシーンで流れそうなメロディ。