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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2101-2200

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2101-2200
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DISSECTION - Storm of the Light's Bane - No Dreams Breed in Breathless Sleep ★★ (2004-10-22 20:22:33)

アルバム最後のインストですが、これ単体で聴いても良いと思えるメロディセンスは流石DISSECTIONです!!


DISSECTION - Storm of the Light's Bane - Thorns of Crimson Death ★★★ (2004-10-22 20:23:50)

1stの「BLACK HORIZONS」のサビ部分並にテンションが上がる勇壮なリフが凄くカッコイイ曲。3回登場するサビの「THORNS OF CRIMSON DEATH」というフレーズの歌い方が毎回違いますが、私的にはライブ盤の一回目の「DEATH,DEATH,DEATH!!!」と3回叫ぶパターンが一番好き。


DISSECTION - Storm of the Light's Bane - Unhallowed ★★★ (2004-10-22 20:23:13)

この曲、DISSECTIONの曲の中でもリフが最高に邪悪な部類に入るのではないでしょうか?ほんとに猛吹雪って感じですね。ギターソロなど意外にメロディアスな部分もあります。


DISSECTION - Storm of the Light's Bane - Where Dead Angels Lie ★★★ (2004-10-22 20:23:31)

「闇は見る者を魅了するが、それに属するものでなければその餌食でしかない…」というコンセプトの曲。闇に魅せられた天使の運命や如何に…(笑)
これはDISSECTION流のバラードなのでしょうか?ゆったりと、耽美な暗黒世界を聴かせてくれます。イントロのツーバスと叙情メロのギターが絡む所は痺れました。


DISSECTION - The Somberlain ★★ (2004-07-24 12:15:00)

「ジョーン・ノトヴェイトだよ」のフレーズで有名な、異様にフレンドリーな雰囲気に
翻訳された本人の曲解説がついたDISSECTIONの1stアルバム(笑)。
この解説を読むためにも、是非とも日本盤を買ってください…ってこんなこと書いていいんでしょうか(笑)
曲はメロディック・ブラックに分類されるらしく、メロディを強調したブラックって感じです。
キーボードやストリングスを前面に出すシンフォニック・ブラックと違い、ほぼギターが
メロディを担当してます。特に②はイントロからして本当にメロディが良過ぎます…
これは聴かないと損ですよ。アコースティックの小品も個人的には大好きです。
ただ、全曲通して聴くと、曲が長いせいもあってか少し疲れてくるので、3、4曲ずつ
区切って聴くと私的に丁度良い感じです。


DISSECTION - The Somberlain - Black Horizons ★★ (2004-09-19 05:03:10)

アコースティックギターを聴かせるパートがあったり、オープニングにしてはかなり長い曲だと思いますが、それを考えても「♪I am the almighty」からのテンションが上がるメロディは一曲目に相応しいと思います。
でも…やはり前半に長い曲が固まりすぎかと。


DISSECTION - The Somberlain - Heaven's Damnation ★★ (2004-09-24 07:27:53)

少し民族音楽の香りのする荘厳なメロディを持った楽曲。
このメロディが疾走と融合すると堪らないものがあります。最後に同じ主題をアコースティックギターで繰り返す所も切なくて良い感じ。ただドラムのアクセントの付け方が妙にノリが良く聴こえる所があったので、そこだけちょっと不満でした。


DISSECTION - The Somberlain - Mistress of the Bleeding Sorrow ★★★ (2004-09-19 05:03:30)

イントロの時点でリフや短いギターソロが荘厳で、超名曲決定って感じの曲。
この曲は本人達曰く、人生の意味を見つけようという儚い望みが失われていく様子を歌った曲で、歌詞を読みながらリフに耳を傾けると凹みます(笑)アルバムのラスト(一応この後インストとボーナストラックがありますが)にこんな重い曲を持ってくるとは…でも人の心を動かす力のある曲だと思います。


DISSECTION - The Somberlain - The Somberlain ★★★ (2004-07-24 12:14:39)

タイトルトラック。このバンドはどうやら大作を前半に持ってくる傾向があるようです。
後半になってイントロの超叙情的メロディをトレモロリフで再現してみせるサビの部分は神話的な光景すら浮かぶほどです。その部分が出てくるのは結構遅いですが、それまでのリフやソロもメロディアスで聴きやすいですね。


DISSECTION - Where Dead Angels Lie - Elisabeth Bathori (2004-12-05 20:14:37)

原曲のヴォーカルをAttilaが務めているせいか、この曲でのJonの声もいつもより少しうめき気味。
今でもライブで演奏するみたいですね。


DIVINE CODEX - The Dark Descent ★★★ (2014-06-22 13:18:46)

2011年発表の2nd。

BEHEMOTHやARKHON INFAUSTUSなどを始め、デスメタル的な重さ・禍々しさを取り入れるブルータルブラックは多く存在しますが、これはその中でも素晴らしい逸品と言えるのではないでしょうか。基本的には、ある程度の緩急は付けつつも、暴虐なブラストと重々しいリフで殲滅する、直接的なブルータリティを叩き込むような凄絶なブルータル・ブラック。

このバンドは更に、そこにアトモスフェリック・ブラックのバンドがやるような、神秘的な魔的トレモロリフを被せてくるのが特徴なんですが…これが凄まじくかっこいい。単にメロウとか邪悪とかじゃなくて、どこかカリスマ性を感じさせるのが素晴らしいです。また、ヴォーカルも低音中心ですが、ただのグロウルではなく、Attila Csihar的な呪わしさを感じさせてくれる雰囲気のある声なのがまた良いです。

単にブルータルブラックとしてクオリティの高い音を出しているというだけでなく、凡百のバンドでは持ち得ない「カリスマ性」の感じられる稀有な作品。激オススメです。


DIVINE WIND ★★ (2010-09-18 11:55:00)

国産メロディックスピードメタルバンド。
先日発表された1st(CD-R)は、16曲入り500円という安価なので気になる方は是非。


DIVINE WIND - DESTINY ★★ (2010-09-18 11:51:00)

2010年発表の1st。
メンバーの別バンド「FORCE OF FLARE」の音源など7曲のボーナス入り。
…ボートラに関連バンドの音源を入れるのって、結構珍しい気がする。
ジャケに「Melodic Speed Metal Band」と書かれている通り、かなり線が細めながら相当の
高音域まで使いこなせるヴォーカル、積極的に前に出てはネオクラ的なメロディを弾き倒すギター、
スピードチューン中心のアルバム構成など、メロスピのテンプレをある程度なぞった作風ですが…
なぞる線が濃すぎて、なかなか個性的になっている感じがします。
まずギターはネオクラ的な速弾きの時にやたら強調されるし、それが無い時ですらギターシンセが
ネオクラな裏メロを弾いていたり、ベースがメロウだったりして、普通のメロスピよりもかなり
メロディアスな音だと思う。歌い上げるメロディも、歌謡曲的な分かりやすさがありつつ、
盛り上がる所に上手く高音を配置した構成なものなのも、よりメロさを際立ててます。
この、中音域にライトなV系っぽい爽やかさがあり、細い超高音を使いこなすヴォーカル、
味があって良いです。
まあ、リフの音が少し潰れ気味、プロダクションは全体的に弱い、歌詞もメロスピっぽくない
恋愛ネタなのはいいとして、なんか無難で機微に欠ける…など、改善して欲しい部分も確かに
ありますが、これは力作であると思う。ほんと、これで500円なら安いです。


DIVINE WIND - DESTINY - DESTINY ★★ (2010-09-18 11:53:19)

リフは引っ込んでるのに、ギターがネオクラ的なフレーズを弾く時だけ大音声になるのは、いかにもB級っぽいですが…逆に強調すべきポイントがはっきりしているようで好感が持てる、とも言えるかも。歌謡メロスピとしてなかなかのクオリティ。


DIVINE WIND - DESTINY - SILENT VOICES ★★ (2010-09-18 11:54:05)

殆どの曲が歌謡メロスピなのに、金太郎飴にならないところが素晴らしい。
それも歌メロに対する嗅覚が鋭いからではないかと思います。特にこの曲は、翳りのあるメロディがいいですね。


DIVINE WIND - DESTINY - TIME (2010-09-18 11:54:58)

ハードロック調のリフが来た時は、毛色の異なる曲かと思いましたが…蓋を開けてみれば、やっぱりちゃんとクラシカルなメロディが出てきます。やりたい事が、一貫してぶれていない感じですね。


DODECAHEDRON - Dodecahedron ★★★ (2012-02-06 23:11:45)

2012年発表の1st。

なかなか出てこないと思ってましたが…遂に出てきましたね、DEATHSPELL OMEGAの「Kenose」~「Paracletus」路線を引き継ぐ有望なフォロワーが。複雑怪奇でテクニカルなアンサンブルをブルデス並の超ハイテンションで叩きつける音は、DSOの「Paracletus」アルバムにかなり近い音だと思う。不穏なフレーズを交え、オーガニックな不気味さを伴いながら展開する複雑なリフ構成といい、ドラムセットになんか恨みでもあるのかと思うくらいシバキ倒すドラミングが合わさると、カオティックどころかカオスそのもの。

ドゥームやアンビエント色も感じられるスローパートでも、いつ悪意がこちらに降りかかってくるか分からない、陰湿な緊張感を感じられる辺り、邪悪な世界観の構築振りは徹底していると思う。ヴォーカルもドスを効かせてがなるだけでなく、救いを求めるように呻いてみせたり、地獄の書物を読むかのごとき語りを入れてきたり、表現力豊かでテクニカルでブルータルなアンサンブルに負けない迫力があると思う。

ただ、DSOが凄いのは、テクニカルな演奏が凄まじいだけでなく、それが聴き手の脳内に形而上学的・宗教的なイメージを喚起させることだと思うんですが、このバンドはそうした感覚は(あくまでDSOに比べれば、ですが)やや希薄。その代わり、テクニックに裏打ちされた、こちらを圧倒するような迫力はDSOにも負けず劣らずで、良くも悪くも実体的な音だと思う。プログレメタルやテクニカルデスのファンがどう評価するか楽しみでもあります。

新人にしてかなりの完成度を誇るアルバムを出してきたと思います。取り合えず最近のDSOを聴いてこの路線のバンドをもっと知りたいと思った方は必聴でしょう。近年のDSOや後期EMPEROR同様、他ジャンルのファンが聴いても凄まじい音楽である事は認めざるを得ない音だと思います。


DODHEIMSGARD ★★ (2006-09-10 19:15:00)

マジですか…
あれだけアヴァンギャルドな曲が揃ってた3rdから早7年…
っていうとまるでリアルタイムで聴いてた人みたいですね(笑)
一体どんな進化を遂げているんでしょうか…全く想像がつきません。
意外と初期のプリミティブ路線に戻ったりして…
まあタイトルからしてその可能性は非常に低そうですけど。
でも確かにあれは賛否分かれますって(笑)
私はヴォーカルスタイルが受け付けず「否」だったんですけど、聞き返したら
曲がめちゃめちゃかっこよくて「賛」の方に回りました。
「REGNO POTIRI」みたいな曲でもテクニカルなリフがあって、突き放しつつも
メタル好きの感性で作られているところが素晴らしいです。


DODHEIMSGARD ★★ (2006-09-11 22:02:00)

私はTUBE、及び渚のオールスターズを家族が聴いていた所を横から一緒に聴いて
音楽に目醒めた、バリバリ歌謡サイドの人間なのであれはキツかったです(苦笑)。
MAYHEMの「WOLF'S LAIR ABYSS」やFUNERAL MISTの「SALVATION」が個人的に
名盤だと思うのは、ヴォーカルに惹かれるからと言う点が大きいですし。
しかし3rdですが、ブラックを解体・再構築して他に似た音源が無いアルバムを
作った事自体凄いんですが、よく聴いてみるとそこに込められているリフ捌きや
キーボードの叙情性とかブラック的な要素それ自体が何気にレベル高いのが
また凄いんですよね…。おそらく、作ろうと思えば普通にハイクオリティな
ブラックも作れてしまうのではないかと思います。
なのでこれまでの路線を踏襲するにしろ、原点回帰にしろ期待できそうですね。


DODHEIMSGARD - 666 International ★★ (2006-07-15 22:58:00)

このバンド、昔は真っ当なブラックをやってたらしいですが…ここで聞けるのは、アヴァンギャルド方向に行き過ぎたサイバーブラックって感じの曲。これに比べればABORYM、ましてやZYKLONなんて全然まともです(笑)。

一応人間の速さの感覚の限界に挑戦するくらいの速いリズム(←ごく一部だけど)、ノイジーだったりヘヴィだったりするリフ、アトモスフェリックなキーボードなどブラックメタルの要素がそこかしこに取り入れられてはいるんですが、リズムはなんかダンスミュージックとかブラックどころかメタルとすら関係無いところから持ってきたような印象ですし、上記のブラックの要素も一旦破壊して再構築してから曲に取り入れたような感じで、最早「一筋縄ではいかない」どころではありません。曲中や曲間で挿入される綺麗なピアノのフレーズも、単純に美しいと言うより、このサウンドの中ではやけに不思議なものに聴こえます。

アヴァンギャルドメタルが好きな人には勿論お勧め出来る音楽性だと思いますが、「ION STORM」「SONAR BLISS」辺りは普通にエクストリームな音楽好きなら気に入るくらいかっこよく、完成度も高いのでその辺りを聴いて慣らしてから本編を聴くのもいいかも。あの1曲目は、結構「…?」と思う人が多そうな気がします(笑)。

ただ、こういう音楽を求めて聴いたにも関わらず、mokusatuさんのレビューを読んで聴きなおすまで、あまり良いと感じなかったんですよね…。その理由がヴォーカル。AldrahnとApollyonという、ブラックではかなり有名な人がしているのに、何故かここで聴けるのは間延びしたような緊張感の無い、がなりと喋りの中間のような声…。ApollyonはCADAVAR INCで聴いた時はその狂犬じみた声に強く惹かれたのですが…。これも「ブラックメタルの様式の破壊」の一環かもしれませんが、個人的には無理…。正直、音の構成の面白さに魅了されつつある今ですら、ヴォーカルの声を聴くのが辛くて曲の再生を途中で止めてしまうことがしばしば。

…でも、ある意味ではそれだけ不快感を与えられる優れた声って事なのかなぁ…。


DODHEIMSGARD - 666 International - Carpet Bombing (2005-08-12 09:36:43)

何故「絨毯爆撃」というタイトルをこういう美しいピアノインストにつけるのだろう…


DODHEIMSGARD - 666 International - Completion ★★★ (2006-07-16 18:29:37)

正直に告白すると、買ってからしばらくはヴォーカルの気持ち悪さにアルバムを聴きとおせずラストのこの曲まで掛けることが少なく、魅力に気付けませんでした…一生の不覚です…。
なんだかもうとっ散らかりすぎてて、逆に宇宙的な広がりすら感じさせる曲。一応最初なんかはブラックぽいんですけど、リフはノリやメロディ、ましてや邪悪さなどよりも、ブラック特有のノイジーさを通じて音響を追求している感じでメタルを聴いている感じがあまりしない(笑)。途中遅いトランスみたいになった時なんて吹き出しそうになりました。
…万人が良い曲とは思わないでしょうが、少なくとも面白い曲とは思うのではないでしょうか。とりあえずブラック聴くなら聴く価値が大いにあることだけは確か。


DODHEIMSGARD - 666 International - Ion Storm ★★★ (2005-06-16 18:15:02)

アフリカの未開の民族の呪術的祭事をモダンなメタルサウンドで表現したような曲調から、サイバーブラックパートへ。このサイバーブラックパート、打ち込みなんですが人間が速いと感じる限界の速度に近いものを感じます…その後のアレンジも凄く、正にメンバーの才覚が溢れ出して止められないといった様相を呈しています。


DODHEIMSGARD - 666 International - Magic ★★★ (2005-08-12 09:35:22)

アルバム中の3種のピアノインストの中では一番好き。
音色もメロディもどちらも魅力的です。曲間を繋ぐインストでも☆を三つつけたくなる出来です。


DODHEIMSGARD - 666 International - Regno Potiri ★★★ (2006-07-16 18:33:34)

だるいヴォーカルと長いランタイムのせいで第一印象最悪。
でも聴き返してみると…なんて面白くて良い曲なんだろう…。
展開の読めなさや音の面白さも然ることながら、この曲はギターだけを聴いていても充分かっこいい。こういうアレンジはブラック通ってないと出来ないんじゃないかと思います。ブラック界のエリートだからこそ成し得たアヴァンギャルド・ミュージックですね。


DODHEIMSGARD - 666 International - Shiva-Interfere ★★ (2005-08-12 09:32:55)

始まりはかなりかっこいいシンフォニック・ブラックですが、すぐにそれはフェイントだった事が分かります。こういう変な音作りって好きなんですけど、ヴォーカル…「♪the asphyx teaches」のところ、今までに聞いた中でも「嫌な声ベスト3」に入るくらいむかつく声です(笑)正直インストを聴きたいかも。


DODHEIMSGARD - 666 International - Sonar Bliss ★★★ (2005-09-13 17:22:11)

「ION STORM」と並んで、最もサイバーブラックらしい曲。
ブラック特有の荘厳リフもありながら、スキップしたくなるような跳ねたリズムとサイバーサウンドの掛け合いのような部分もあって面白い、それでいて無駄を感じさせない展開をしていきます。アルバムの中では普通に聴きやすい曲…なのかな。


DODHEIMSGARD - A Umbra Omega ★★★ (2015-03-21 22:36:39)

2015年発表の5th。
もう前作から8年も経つんですね…時間の流れの速さが怖いです(苦笑)。

買おうかどうか迷っていたんですが、試聴したところブラックメタルパートの余りのかっこよさに即購入決定でした。作風自体は相変わらずセオリー無視のアヴァンギャルド・ブラックですが、ストレートにブラックメタルしている部分は過去の名曲「Traces of Reality」を髣髴とさせる、即効性も非常に強いかっこよさがあると思います。

そしてアヴァンギャルドなパートなんですが…今回も逸脱してるといえばしてるんですが、前2作が時に邪悪さや暗黒性などよりも、目新しい音を作り上げる事に意識が向いていた印象だったんですが、今回は全体を通じてダークなムードに統一されている感じがします。サックスを用いてお洒落かつ不条理なムードを演出したり、エレクトロニカ系の音色、クラシカルなピアノ等様々な手法を取り入れてはいるんですが、今作は全編を通じて心地良いダークさがある感じ。

ただ、余りにもインパクトが強く、使われ方も鮮烈なため深く印象に残るものの、実はストレートなブラックパート自体はあまり多くはなかったり、短いオープニングを除き、全て10分超えの大作主義であることから、アヴァンな音自体が苦手な人には向かないかも。リードヴォーカルにAldrahn氏が復帰してますが、相変わらず舐めきったヘンながなりですし。逆に前作までのダークさにすら拘らない壊れ方が好きだった人には少し物足りない可能性も。個人的にはこれくらいの按配がどツボなので、凄く楽しめたアルバムでした。ヴォーカルは前作の方が好きでしたが…。


DODHEIMSGARD - Satanic Art - Traces of Reality ★★★ (2005-06-16 18:14:01)

疾走するだけでなく、重いリフにピアノが絡むパートを配したりととにかくドラマティックな曲。曲の展開にあわせてギターの音質を巧みに変えるアレンジなんてもう見事としか言い様がありません。ブラックパートも邪悪な叙情性を湛えつつも気合入りまくりの超名曲。


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast ★★ (2007-05-28 16:11:00)

2007年発表の4th。
…このアルバム、質は決して低くないんですが少し辛口になってしまいますね…。

最早前衛方向に音楽性を広げすぎてブラックメタルの様式が崩壊していた前作と比べると、奇妙なセンスのサンプリングや変なヴォーカルアンサンブル曲、捻じくれたリフ等、変態的な要素はしっかり押さえているとはいえ、今回はブラックメタル要素とそれを上手く共存させているといった印象。ただ、前作のとっ散らかり具合に惹かれた者としては、DHGにしては小粒にまとまりすぎている印象も受け、少し物足りなかったり。

普通に前衛的な要素の強いサイバーブラックになった感じです。
それだけなら良いんですが、サイバー化してからのDHGは「Trace of Realty」「Ion Storm」「Sonar Bliss」等に顕著ですが、一曲のアレンジを偏執的なまでに練り込むという特性があったと思うんですが、今回は15曲という曲数が多い代わりにその練り込みが足りず、一曲一曲の印象が弱いものになっているように思えてしまうんですよね…。

まあ3曲目などは名曲レベルなんですが、前述の曲ほど圧倒的な物を感じられる曲は正直に言って無かったかもしれません。しかもリズムは打ち込みにしてもチープな音で、聴いててしんどいものがあります。この路線でも、曲数を半分にして2倍一曲を練ってくれれば絶賛していただろうし、サンプリングやリフのセンスはやはり良いだけに惜しいです…


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast - 21st Century Devil ★★★ (2008-04-01 22:25:19)

AKERCOCKEの妖しさを機械で抽出しようとしたら、エラーが起きて更に悪性変異してしまったかのような曲。タイトルコールの掛け合いとか微妙にキャッチーさを設けてるのがまた変な感じ。


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast - All Is Not Self ★★★ (2008-04-01 22:21:25)

この何を考えてるんだか全く分からない普通声が怖い…
ロボコップ的なサイバーアーマーフル装備の浮浪者がお花畑の幻覚を見ながら廃墟の街をスキップしてる感じ。


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast - Apocalypticism ★★ (2008-04-01 22:17:39)

ででででっ、ででー♪
ででででっ、でーで♪
…何なんでしょう、このノリノリのベースライン(笑)
思わず「ポップ」にチェック入れちゃったんですが…。
変態性は前作を凌ぐかも。


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast - The Snuff Dreams Are Made Of ★★★ (2007-05-28 16:17:00)

この曲はかなり好き。
なんとも形容しがたいサンプリングのセンスは、聴いててWHENが頭をよぎります。無理に例えるならばWHENのPsychedelic Wunderbaumをブラックメタルにしたような感じでしょうか。


DODHEIMSGARD - Supervillain Outcast - Vendetta Assassin ★★ (2007-05-28 16:14:30)

よく聴くと、ドラムの音に紛れて銃撃のような音が聴こえるんですが、やはり復讐の暗殺者というタイトルの内容を表しているんでしょうか。と言ってもリズムはマシンガンっぽく、暗殺どころではない様子ですが(笑)


DODKVLT - Ⅱ ★★★ (2012-06-06 14:54:05)

2012年発表の2nd。

ジャケがコープスペイントをしたメンバーが赤錆びた血のような色で描かれたものだったので、物凄くカルトなものを想像していましたが、意外にもオールドスクールなリフ捌きが真っ当なかっこよさを演出するブラックメタル。時折トレモロリフやピアノ、キーボードによる、メロブラとしてもかなり美しさ・メロウさに重きを置いたメロディが出てくるのも、意外といえば意外かも。このジャケでこんな美メロ来る?みたいな驚きがあります(笑)。

しかし、パートによっては怨霊系のクワイアや、陰湿で不気味なメロディによって儀式的なムードを演出したり、背徳的なSEを挿入したり、しっかりカルトな面も演出してくれるのが嬉しい所。ヴォーカルは基本ブラック特有の高音絶叫ですが、時折見せる鬱ブラック的な、感情剥き出して嗚咽しながらガナったり、かなり真に迫っている印象。色々な要素を取り入れてはいますが、各パートの聴かせ所ははっきりしているため、散漫な印象はなく聴きやすいです。

ただ一つ解せないのが、DODKVLT特有の美しいメロディが華々しく炸裂し、ヴォーカルがリアルな感情を吐露する、14分を超える大作でアルバム中でもかなり作りこまれた楽曲である「Buried Beneath the Rust」が、何故かボーナス扱いなことですね。これ、彼のメロディセンスの高さを証明するような曲だと思うし、普通に本編扱いで良かった気が。

個人的な印象としては、先日フルアルバムを発表したギリシャのブラック、ACHERONTASをもう少しオールドスクールにしたような印象。カルトでオカルトなムードも出しつつ、曲の作りや聴かせ所がしっかりしてる辺りが似てると思う。70分を超える大作アルバムですが、変に長ったらしくは感じない、緊張感をキープした良い作品だと思います。


DODSENGEL - VISIONARY ★★★ (2013-01-15 20:06:58)

2009年発表の1st。
現時点で二回も再発されているらしいですが、それも頷ける作品。

路線としてはWATAINやFUNERAL MISTなどの、真性な邪悪さ全開かつメタルとしてのマッシブさもあるバンドを、もうちょっとRAWでプリミティブな方向に寄せた感じで、雰囲気としてはスウェーデンのHERESIやONDSKAPT辺りに近い雰囲気なんですが、この手のブラックの中でもトレモロ含有率がかなり高めで、メロディアスな曲作りが成されているような印象。

そしてそのメロディが、ブラックメタルとして絶品なのが素晴らしいんですよね…。初期(De Mysteriis~期)のMAYHEMを思わせる、メロディそのものにダイレクトに悪魔主義の教義が練り込まれたような戦慄感。それに加えて、ちょっと勇壮な感じのメロディやフレンチ系に通じる病的さ漂うメロディもあり、プリミティブ系苦手な人でも行けそうなドラマティックさがありますね。

そしてヴォーカルの演技力、これも素晴らしいの一言。
Maniac氏やNoktu社長系のエグすぎる喚き声を基本に、何かを必死で訴えかけるような感情を込めたがなり、吸引ホイッスルと思しき女性の悲鳴めいた絶叫など、パフォーマンスの一つ一つが真に迫っていて狂気的。楽曲の邪悪さ、病的さとも相俟って聴いているこっちの精神が参ってしまいそう…。

個人的には、単に冒涜的というよりも、もっと精神を侵すような病性のある邪悪さを感じられる作品。ブラックメタルが好きであればこのどす黒いムードやメロディのセンスには抗いがたいものがあると思う。ブラック系初心者がこのジャンルの深淵を覗くにもうってつけかもしれません。


DODSFALL ★★ (2013-06-16 11:50:23)

元はメキシコのIshtar氏によって結成されたブラックメタルバンド。後に元ANCIENTのV-Rex氏らが加入し(現在は脱退)、ノルウェーを拠点に活動しているとか。


DODSFALL - Den Svarte Skogen ★★ (2013-06-16 11:52:07)

2011年発表の1st。

このバンドって、2009年結成ですよね…?本当は15年前じゃないの?と言いたくなるくらい、堂に入ったオールドスクール・ブラックメタルを展開。ブラックらしい邪気を撒き散らしつつ、時にスラッシーさも感じさせる、メタリックながら黒いリフ捌きを中心に展開していく楽曲は、まるでGORGOROTHとDISSECTIONの中間を取ったような作風。

クリアで音圧のある音作りながら、多少刺々しさも残したプロダクションもブラック然としてますし、ヴォーカルの多少細いながらエグく潰れたがなり声も如何にもブラックメタルしてて非常にかっこいい。時折毒が効きつつも、メロディアスなトレモロを入れてくる展開も印象深いですし、オールドスクールなブラックが好きであれば反応せずにはいられないような音。

2010年代の作品ながら、ブラック黎明期の作品を聴いているような気分にさせてくれるアルバム。特に初期GORGOROTHのような混じりっ気なしの、かつメタルとしてのドラマ性もあるブラックメタルが好きな方にお勧め。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live ★★★ (2009-03-07 06:27:00)

2007年発表の3rd。

…一聴して、まずヴォーカルの凄まじい狂性に圧倒されるアルバム。BURZUMやSILENCERなどに近い、裏返りかけた悲鳴ヴォーカルなんですが、前述のバンドが鬱から狂気に発展したような歌い方なのに対し、このヴォーカルはWrathという名前の通り、怒りと憎しみに満ちている感じ。咳き込んだりはしないものの、直接的な攻撃性はSILENCERよりも上。最近、SILENCER的な高音絶叫を取り入れたバンドが増えてますが、本家に匹敵するものって少ないんですよね。これは珍しく本家に比肩するくらい狂ってると思う。
XASTHURやLEVIATHANと同じスタジオで制作したそうですが、こんな声出す人にスタジオ貸したら機材ぶっ壊されそうで恐いです(笑)。

曲の方は狂的なスピードとメロウなトレモロで攻める、スウェーデン勢に近いブラックですが、ロック(ンロール)的なグルーヴ感のあるリフやリズムを一部に取り入れているのが特徴でしょうか。こういうグルーヴを取り入れるバンドって、鬱系やプリミティブ系と比べてどうも「健全なアングライズム」に陥りがちな気がしますが、このバンドは圧倒的な狂気に満ちたヴォーカルやファストパートを多用する展開のせいで、「健全さ」が跡形もなくぶっ飛んでいるのが気持ちいいです。

SILENCERやBURZUMだけでなく、NARGAROTHやGRISなどの感情の篭もったブラックメタル、CLANDESTINE BLAZE、CRAFT辺りのプリミティブブラック、最近のハードコアに目覚めたDARKTHRONEが好きな方などに幅広くお勧め。リフのフック、迫力のある音質など基本的な質も非常に高く、ブラック好きなら聴いて損はない作品。ただ、頭から終わりまで約70分弱ずっと狂気が渦巻いてるような作品なので、免疫がないと聴き終わって体調を崩すかもしれません(笑)。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live - Cursing Your Will to Live ★★★ (2009-03-07 06:31:03)

トレモロリフによって奏でられるメロディは口ずさめる程にフックがありながら、スピードやヴォーカルは狂気そのもの。ブラックの良い所が詰まった名曲だと思います。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live - I Kept Staring With Disgust ★★ (2009-03-07 06:31:52)

ラストに狂気をもうひと爆発させるような曲。
…アルバム始まってから、爆発ばっかしてるような気もしますが(笑)。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live - I Was Challenged to Enter the Gates of Blasphemy ★★★ (2009-03-07 06:29:29)

哀しみに満ちたメロディが、トレモロリフに乗って派動になって伝わってくるかのような曲。…トレモロリフってブラックみたいなアングラなジャンルで多用されてますけど、「悲哀」の感情を伝えるにはこれ以上ないくらい適切な音色なのかもしれませんね。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live - Standing at the Ashes of a Forsaken Kingdom ★★ (2009-03-07 06:30:18)

このグルーヴィなリズムは近年のDARKTHRONEに通じるものがあるかも。
DARKTHRONEが昔のアングラメタルへの愛に溢れたダーティさを表現してるのに比べ、こっちは狂気に満ちていて感性が今風だと思う。


DODSFERD - Cursing Your Will to Live - Under a Broken Cross, I Buried Your World (2009-03-07 06:32:51)

SEと狂気Voを組み合わせた狂った寸劇。
アルバムの流れを壊してる気もしますが、ヴォーカルの表現力は凄いと思う。聴いてて本気で体調おかしくなりそうな曲。


DODSFERD - Suicide and the Rest of Your Kind Will Follow ★★ (2011-08-28 21:07:29)

2009年発表の5th。
20分、16分の大作を2曲収録。

3rdではプリミティブブラックの狂気と叙情性に、ハードコアのやけっぱちな感覚を取り入れた強烈なブラックメタルを演っていましたが…何があったのか、今作は鬱ブラックになってますね。しかもスローテンポにメロウなトレモロで攻める、王道のタイプではなく、狂気と鬱感覚を滲ませたリフの作る波に延々と揺られ続けるような、メロウさはありつつもどこか乾いた狂性が強く感じられる路線。

ただし、路線は変わってもヴォーカルはやはり強烈。
「人間はどこまで悲痛で、憎しみに満ちた声を出せるのか」でギネス申請したら通りそうなほど、凄まじく感情の篭った絶叫で、時折嗚咽したりしてるのが痛々しい。一息ごとに持てる憎しみを全て吐き出しきって、それでも後から後から憎悪と怨嗟の感情が生まれてくる…みたいな凄絶さ。

…個人的には、BURZUMやXASTHUR、NORTTなどの鬱ブラックの代表的なバンドって、ドゥームで言うとフューネラル系だと思うんですよね。その点、この作品から感じる、乾いた狂気はスラッジに通じると思う。というか2曲目の音響実験的な部分なんかはそのまんま。Maniacの演ってるSKITLIV辺りとも共通した世界観があると思います。

メロディアスでないリフをミニマルに聴かせる作風は、正直多少取っ付きづらいと思いますが、絶望的な感覚を共有できれば、危険なレベルで嵌まってしまう可能性も孕んだ作品だと思います。


DOMINION CALIGULA ★★ (2011-09-17 19:21:23)

スウェーデン産ブラック。
バンド名からも分かる通り、DARK FUNERAL人脈の別プロジェクト。
Caligula氏がメイク落としたらダウナー系イケメンで驚きました(笑)。


DOMINION CALIGULA - A New Era Rises ★★ (2011-09-17 19:23:46)

2000年発表の1st。
これ1枚でプロジェクトは解散してしまった模様。

DARK FUNERAL本隊とは明らかに差別化された音ですね。
刻みを多用する、メタリックな質感の強いリフを、ミディアムパートを中心に据えたリズムに乗せて進行する、重厚感のある音で、ブラックよりもメロデスに近い感じの作風。アトモスフェリックなキーボード、リフによる不穏さの演出、女性Voも一部取り入れたシアトリカルな部分等、ゴシックに通じる暗黒テイストも取り入れられているのも特徴ですね。

ただ、こんなメロデス/ゴシックに接近した音なのに、ヴォーカルがいつものDARK FUNERALで演っているような、地獄の劫火に焼かれるような絶叫スタイルなのが面白いですよね。お約束?の「でやああぁぁぁぁぁあああ!!」もあるし、アルバムにおいて異様な存在感を放ってます。相変わらず、顎が痛くならないか心配になる声ですね…(笑)。

DARK FUNERALの苛烈な世界観を期待すると肩透かしかもしれませんが、メタリックな音作りの中での暗黒美の演出はそれなりに凝ったもので、個人的には悪くないです。(DARK FUNERALで)SLAYERのカヴァーでも敢えて遅い曲を演ってたくらいですし、こういう邪悪さの演出もきっと好きなんでしょうね。


DOMOS - Onset of Gelid Eon ★★★ (2017-03-09 20:31:36)

2017年発表の1st。
邦題は「凍てつく永劫の始まり」。

おなじみの国産レーベル、Hidden Marlyからのリリースですが…流石に外れがないですね。コロンビア産のバンドながら北欧産より北欧産っぽい音のプリミティブブラック。ブラックバンド黎明期のDARKTHRONEやISVIND辺りの作品って、メロウなだけでなくそのバンドの哲学を勝手に想像してしまうような、そんな説得力がトレモロに込められていた感じがしますが、このバンドもそれに肉薄するような土着的で邪悪メロウなリフを聴かせてくれます。アトモス系のキーボードやドラマ性の高い展開も導入し、アルバムを通じて変化のある構成なのも良いですね。

ヴォーカルの耳元で叫ぶような絶叫や、粗めながらブラックのリフの良さを伝えるヤスリ的音作りなど、プリミティブブラックとしては隙が無い音で、良質な作品と断言は出来るんですが…何故か3曲目の後半だけトレモロリフの音量がぶっ壊れてるのが謎です(笑)。いきなり音量設定をミスったかのようなトレモロが、全ての音を遮るかのようにメロディアスなフレーズを奏でるので、良くも悪くもそこが印象に残ってしまう…。まあフレーズ自体悪くないですけど…。

そんな訳で一部「ん?」となる箇所はあったものの、プリブラの良さをがっつり伝えてくれる良い作品だと思います。これも買って正解でした。


DOODSDREK - DOODSDREK ★★ (2012-01-05 00:02:54)

2010年発表の1st。

LUGUBRUM関連のメンバーが演っている、ベルギーのブラックメタルデュオ…とのことですが、そんなプロフィールから予想される通りの個性派な音を出してますね。路線自体はガリガリしたRAWな響きのオールドスクールなリフを中心に展開し、ヤケクソ気味なヴォーカルががなり立てるプリミティブに近い音で、LUGUBRUMと比べればまだまともにブラックメタルしてると言えますが…やはりそれでは終わりませんね。

この作品で最も印象深いのが、そのヘンなドラムの音色。立て付けの悪い雨戸が暴風雨に晒されているかのような、やたらパーカッシブ…というよりもバタバタした音。まるで木で作られたドラムを叩いているかのよう。この音が、ブラスト時には他のバンドでは体験できないような妙な気持ちよさを、ミドルパートでは妙な酩酊感を生んでるんですよね…まあ、どっちも「妙な」という形容詞が付きますけど(笑)。

音質的に、リフが歪みを引き摺るような音色で、その分メロディがやや聞き取りづらくなってはいるんですが、ドラムの音色との相性はかなりいいと思う。特にミドルパートの酩酊感は、このリフとドラムの音の兼ね合いによって生まれている感じがします。最近のLUGUBRUMほどブラックの価値観から外れてる訳ではありませんが、かなりの個性派。LUGUBRUMを楽しめた方はこっちも聴いてみてもいいかも。


DOOMSDAY SUITE ★★ (2011-12-16 20:40:57)

様々な独りバンドを動かすDesolate氏の新プロジェクト。
こちらはヴォーカルレスのシンフォブラックを演っている模様。


DOOMSDAY SUITE - THE WORLD APOCALYPSE ★★★ (2011-12-16 20:41:47)

2011年発表の1st。

取り合えずDesolate氏の新プロジェクトと言う事と、インスト作品であると言うことだけ予備知識がある状態で購入してみましたが…1曲目を聴いた感じ、WONGRAVEN(SATYRICONメンバーの演ってるアンビエント)辺りに通じる、シンセアンビエントかな…と思いましたが、2曲目以降はノイジーなリフや激速(打ち込み)ドラムも入る、がっつりブラックメタルな作風でした。

音像的にはアトモスフェリックで厚みのあるキーボードと、ややノイジーなギターリフが神秘的な空間を作り出す、GRAND EXTREME BLACKにも通じるものですが、このプロジェクトではそこにかなりメロディックなリードギターが入るのが特徴。しかも、一部に入るとかそういうレベルではなく、もう殆ど曲の中核を担っているという感じ。速弾きやトレモロも交えてメロウなフレーズを弾きまくってます。

…しかしこれが本当に素晴らしいんですよね。GEBでも証明している通り、Desolate氏は聴き手を日常から乖離した、ブラック特有の神秘的な世界に惹き込むようなアトモスフェリックな音を作り出すのが上手いですが、それに意識を持っていかれつつ、繊細で上品、しかし邪悪な彼特有のメロディセンスをたっぷり含んだリードギターを聴かされるわけですからね…これは正直聴いてるだけで至福って感じです。

これ、その時の気分によっては本家より好きかもしれないです。特にメロディック派にとっては、インスト作品だからといって敬遠するにはあまりにも勿体無い作品だと言えるでしょう。


DORDEDUH ★★ (2013-01-15 19:59:18)

ルーマニア産ペイガン/アトモスフェリックブラック。
NEGURA BUNGETの元メンバーが参加。
バンド名は「精霊への思慕」という意味だとか。


DORDEDUH - Dar de Duh ★★ (2013-01-15 20:00:26)

2012年発表の1st。
ENSLAVEDのカヴァーと2010年のEPを加えた限定盤二枚組使用もあり。

NEGURA BUNGETの元メンバーが参加するバンドという触れ込みですが、確かにアトモスフェリックな要素とペイガン要素が同居するブラックと言うことで、路線の方も共通するものがありますね。NEGURA BUNGETも大概でしたが、こちらはそれ以上に前衛的というか、かなり風変わりな印象を受けるサウンド。

祭り系の歓声っぽいコーラスや民謡調のクリーンヴォーカル、薄暗いムードを壊さない程度の叙情的な笛メロなどを用いた祭儀的なパートと、深遠さを感じさせるスピリチュアルなキーボードがバンドサウンドを包み込む、アンビエンス重視のパートを両立させる構成が特徴で、聴いていると物質世界と精神世界を行ったり来たりしているような、何とも不安定な気分になる作品。

NEGURA BUNGETと比較すると、こちらはスラッシーなギターリフも登場するぶん、よりメタリックで実体的な音とも言えそうなんですが…何故か受ける印象はよりマニアックでシャーマニックな感じ。NEGURAと比べるとフレーズの印象度はちょっと弱めな感じもしますが、メタルとフォークの融合のさせ方のアイデアや世界観の演出の巧みさは引けを取らないのでは。

マニアックといってもフォーキッシュな叙情的メロディは鏤められており、初心者を完全に締め出すような作風というわけでもない辺り、割とバランス良く作られてると思う。個人的には刻みリフ頼りの部分はもうちょっと音が重くてもな…と思いますが、それだと雰囲気が崩れるように感じる人もいるのかも。


DORNENREICH - Flammentriebe ★★★ (2012-03-22 23:27:18)

2011年発表の7th。

前作はブラック要素の殆どない作品だったんですが、今作はノイジーなリフやトレモロ、絶叫を交えて疾走する、ブラックメタルのスタイルに戻ってますね。実はブラックメタルとしてのDORNENREICHを聴くのはこの作品が初めてなんですが、このバンドがこんなに素晴らしいブラックを演っていたなんて…リリースは去年でしたが、もっと早く買っておけば良かったかも。

タイプとしては、耳にキツいタイプではなく、どこかアナログ感や温かみを感じさせるノイジーさのギターリフがブラック特有のザラついた音像を作り出し、そこに神秘的なトレモロや仄暗い美しさを感じさせるヴァイオリンなどが乗るアトモスフェリック・ブラックなんですが…このバンドは音像の演出の仕方、音作りと展開のバランス等が絶妙。個人的にはこの手でも最高クラスだと思う。

単にノイジーで抽象的な音像にトレモロを奔らせるだけでなく、ギターフレーズの音色が時にモザイク状に切り刻まれたような独特の音だったり、炎に灼かれるような苛烈さを伴うものであったり、場面によって異なり、かつそのどれもが聴き手の想像力を刺激してやまないんですよね。また、ムードある音像を作るだけでなく、刻みを入れて展開にも貢献するリフ、アコギなども絡めた曲構成など、アトモスフェリックさとドラマ性を両立させた曲作りも本当に素晴らしい。

個人的にはLUNAR AURORAの「Andacht」アルバムに通じるような、スピリチュアルな神秘性を感じる音。スタイルこそ全く違いますが、聴いていて「底知れなさ」みたいなものを感じるんですよね…。Cold Dimensions系の神秘性重視のバンドや、VINTERRIKET、PAYSAGE D’HIVERなどの抽象的ムード色濃いブラックメタルが好きな人には大推薦。ほんと良いバンドですよ。


DORNENREICH - In Luft geritzt ★★ (2010-12-15 12:42:40)

2008年発表の6th。

このバンド、以前はブラックだったらしいですが、本作はほとんどメディエバル/ネオフォークになってますね。アコギの伴奏をベースに、ストリングスの民族的メロディが乗るスタイルで、ブラックメタルの要素は囁きとがなりの中間のようなヴォーカルと、民族的メロディを使っていても全く明るくならない、仄暗い世界観くらいなものでしょうか。

こう書くと地味目な音を想像されるかもしれませんが、アコギの演奏がなかなかにダイナミックかつ場面変化に富んだもので、ストリングスも風を切るような、痛切な泣きメロを奏でているので、意外にもドラマティックな仕上がりになっていると思う。それでいてムード自体は、湿った森に独りでいるかのような、ダークなものなのが素敵です。

ちなみに、初回盤ということでボーナスで、インスト版のディスクが付いてきましたが…再生してみると、普通にヴォーカル入ってるんですけど(笑)。もしかして、同じ内容のディスクが2枚…?プレスミスなのか、ヴォーカルトラック消し忘れたのか…何にせよ、ここまでブラック離れした音なら、ヴォーカルレスも聴きたかったので普通に残念。


DRAGGED INTO SUNLIGHT - Hatred for Mankind ★★★ (2011-07-12 21:21:47)

2009年発表の1st。

これはかなり面白くてカオスなアルバムですね。
ノイジーな音質に時折トレモロリフを絡める音の聴き心地は、ほぼプリミティブ・ブラックに近いものがありますが、最近お約束のノイズ・ダークアンビエント要素を始めとして、デスメタル的なブルータリティ、スラッジ・ドゥーム的なリフの引き摺り感など、様々な要素を取り込んで、質量感すら感じられるどす黒い混沌が辺りを包むような、カオティックでアヴァンギャルドなスタイルに仕上がってます。

しかも、それらの要素の取り込み方が、半端なくセンスが良いんですよね…例えばハードコアの炸裂感と、スラッジの引き摺り感を掛け合わせたようなパートでは、健全さの全く感じられない、黒い爆発力が生まれてますし、ヴォーカルのデスメタル的なグロウルは、聴き手の耳に暴力的にカオスな世界観を叩き込んでくれます。こうした高い曲作りのセンスが如何にろくでもない方向に向けられているかは、チャールズ・マンソンの演説を曲中にサンプリングしている事からも類推出来るでしょう。

昔ハマったゲームの「ファイナルファンタジーV」では、ラスボスが大技を繰り出す前に「宇宙の法則が乱れる」とメッセージが出ましたが…この音を聴いてて、不意にそれを思い出してしまいました(笑)。ブルータルかつ、どす黒くて混沌とした音、そういうものが好みな方にはモロにツボでしょう。あまり似たバンドも思い浮かばない独特の作風ですし、興味ある方は是非。


DRAGON GUARDIAN ★★ (2008-04-09 23:21:00)

このユニット、DISK UNIONメタル館(御茶ノ水だったかな?)の
週間ランキングか何かで一位になったり、結構話題になっているようですね。
もちろん値段の安さや物珍しさ、悶絶メタルさんでのプッシュなどの諸要素も
あるんでしょうけど、私は実力もあるからだと思いますね。
例えば音質やヴォーカルの歌唱力、使用楽器などこれから伸びる余地が幾らでも
あるにもかかわらず、現時点で有名なメロスピバンドと比べて何ら魅力で劣って
いないというのが凄い(思いっきり主観ですけど)。
特に歌メロや、バックにもクサメロを配するセンスは、海外の一流のメロスピ
バンドにも匹敵するんじゃないでしょうか…いや、歌メロは勝ってすらいるかも。
本当に日本のクサメタルの代名詞的存在になってしまったりして…。


DRAGON GUARDIAN ★★ (2008-08-20 07:11:00)

今回、めっちゃスケールアップしてるのに値段はあんまり変わりませんね。
ちゃんと儲けが出てるのか、ちょっと心配かも(笑)。


DRAGON GUARDIAN ★★ (2009-03-22 21:06:00)

3rdのヴォーカル、Fukiさんが演るってマジですか!?
1stでは歌唱力、2ndでは親しみやすさの面で多少物足りなさが
残ってたんですが、その両方を高いレベルで持ってる彼女がヴォーカルとは…。
俄然楽しみになってきました。


DRAGON GUARDIAN ★★ (2009-03-31 18:18:00)

>ホイラシキレアさん
ホイラシキレアさんの書き込み見るまで知りませんでした…
情報ありがとうございます。速攻で買ってきました(笑)。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン ★★ (2008-01-07 15:47:00)

2007年発表の1st。
良く参考にしているメタルレビューサイト「悶絶メタルのページ」で大々的に紹介されてて
私もそれで知りました。ちなみに、ライナーも同サイトの管理人さんによるものですが、
かなり共感できるので必読。やっぱり音楽を含む全ての芸術が人の目を気にするようになって、
自己満足性を失ったとしたら、音楽ファンとしてこれほどつまらないことは無いですよ…。
このバンドの音楽性を一言で表すなら、RHAPSODYのシンフォRPGメタルにSOUND HORIZONの
女性ヴォーカルによる歌謡的メロディと語りをぶち込んで更にクサく仕上げた感じでしょうか。
語りは正直言ってファンタジー系RPG大好きな私でも恥ずかしくなるくらいですが、
この世界観を表現するためには必要なのかもしれませんね。
私はメロスピも幾つか聴いてきたんですが、どのバンドも「メロと付く割に歌メロが歌謡曲と
比べてつまらない」「ハイトーンが暑苦しくて苦手」のどっちかに引っかかってしまいイマイチ
はまれなかったんですが、遂にその二つのハードルをクリアしてくれるバンドが現れました。
しかも、メロディは今まで聴いたどのメロスピよりもクサイと言っても過言ではない程かも。
音質は宅録なのか、平べったくてメタルとしては今ひとつですが、私的には耳を疲れさせずに
純粋にクサメロを堪能出来るので逆に好きですね。刻みやギターソロに頼りすぎず、リフにも
クサメロを捻じ込んでくるアレンジセンスも素晴らしいと思います。
歌詞は…船越英一郎が崖で犯人を追い詰める二時間ドラマ並にベッタベタ(笑)…と見せかけて、
中盤では古本屋で伝説の書物を見つけるという前代未聞の展開が。私はFF、DQ、アトリエ、
サモンナイトなどファンタジー系のRPGは大好きですが、こんな展開聞いた事ないです(笑)
ただ、女性ヴォーカルのずっと聴いていると音程感覚が狂いそうになる歌唱力だけは流石に
頂けないですね…子供が歌う設定で、わざと下手に歌う所がありますが、そこと普通に歌う所の
歌唱力に大して差が無くて、ちょっと聞いていて辛いものが…。語りの方はキャラクターの
演じ分けをノリノリでこなしてるんですけどね…。もっと頑張って欲しいです。
SOUND HORIZONを遥かに超える恥ずかしさの語りやヴォーカルの歌唱力から、正直言って
お勧めはし辛いですが、スタイル自体は非常に共感できるものなので密かに応援してます。
「RPGに使われそう」を通り越して、「RPGに使われているファンタジックなメロディを
凝縮したような」濃密なクサさを誇るメロディラインなんかは、実に素晴らしいですしね。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - いざ! 旅立ち ★★ (2008-02-06 23:44:12)

この曲を聴いていると、メロ自体やアレンジだけでなく、歌詞にもクサさを表現するセンスがあるのが感じられますね。「♪魔女との闘いに敗れて~」が良いアクセントになって、更にメロディの劇的さをアップさせてます。
この曲で新しい人物が登場し、歌パートでは媚び声に聴こえてしまうのは残念ですが、ちゃんと別人の声になってるのは流石。この演技力は保ったまま、こういう演技しながら歌っても媚びに聴こえないような歌唱力の高さを身に付けたら、最早誰にも止められなくなってしまうのでは…。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - ダリア城 ★★ (2008-01-07 15:52:31)

ライナーでブラック宣言してるので、「これはクサ歌謡シンフォとARKHA SVA並のメロウなトレモロが融合してしまうのか!?」と期待するも、ブラック要素はブラストくらいでギターはブラックっぽくないのでちょっとガッカリ…。
とは言え、やりすぎなクサメロ、クサ展開は充分すぎる程味わえます。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - 遠い掌 ★★ (2008-01-20 23:29:58)

ラジオとかでオンエアしたら、本当にかなりの求心力を得てしまいそうな曲。主人公の心情を描いたものなので、語りや過剰演技しながらの歌が無くて一番一般受けしそう。メロディも最も歌謡曲に近く、個人的にはTUBEの「純情」が頭をよぎります(笑)


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - 我らが嘆きのカルミア ★★★ (2008-01-17 01:16:58)

台詞があんまりにも恥ずかったり、サビの最高音でヴォーカルがめっちゃ辛そうだったりしてますが、そんなものはこのメロディの前ではただ無力!!X JAPANのDahliaを思わせる飛翔感がありながら、更にクサイメロディ…特にサビ後半で更にキーボードが絡んでくる所なんて、本当にカルミアの島民になって、リアルに郷愁を感じてるかのような気分に…


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - 聖と邪の決戦 ★★ (2008-02-06 23:55:32)

私は語りは有っても無くてもいいと思ってる派なんですが、この曲の魔女の台詞はちょっとかっこいいと思ってしまった…すっかり彼等のペースに乗せられてるかも(笑)。間奏パート、ほんとに決戦してますが、場面を盛り上げつつ曲としてもしっかりかっこいいものにする編曲能力の高さが凄い。
…っていうか、CDのプレイボタン押してから、この曲が終わるまで一曲たりとて歌メロが印象に残らない曲がないのも凄い。これならゲームオーバーにならずに(笑)聴かせきってしまえるのでは。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - 魔法の書 ★★★ (2008-02-06 23:49:46)

歌メロの合間に入るフレーズといい、ソロといい、メタリックな音へのピアノの乗せ方はYoshikiにも通じるセンスを感じます。Aメロなんて、歌い方が例の媚びっぽい声で思いっきり私の苦手な声だし、明らかにフィクションの世界観なのに、子供が悲しみを押さえて無理して明るく歌ってるように思えてきて、リアルに目頭が熱くなってしまったり…。


DRAGON GUARDIAN - 聖邪のドラゴン - ~序幕~ ★★ (2008-01-17 01:20:52)

オープニングのインストですが、既にこの時点で鼻が曲がる通り越して鼻血吹きそうなレベルのクサさの悶絶メロディ!ああ、堪らない(笑)。でもSEの鳥の鳴き声は、サンプリングな音色丸出しでちょっと笑えるかも。


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り ★★ (2008-08-19 21:38:00)

2008年発表の個人的に大期待してた2nd。
どの位期待してたかというと…入荷の3日くらい前からDISK UNIONや同人音楽を
取り扱ってる店を毎日覗いて、入荷されてるかチェックしてたくらい(笑)。
シンフォなメロスピを軸に歌謡曲/アニメソング的な歌メロ、SOUND HORIZON的な語り、
RPG的な世界観のコンセプトを取り入れたスタイルは前作同様ですが、今作では音質や演奏、
ヴォーカルの歌唱力など、メタルとしての根本的な部分を大幅に強化した感じですね。
今作でヴォーカルを取るMyrthaさんの声は、メタリックに歌ってるときの(陰陽座の)
黒猫さんに近いものがあるかもしれません。
こうした要素によって、メロのクサさにかまけてリフやオブリを疎かにしないという美点が
前作よりも更に際立ったように思います。特に「圧政の指揮者」のキーボード等は素晴らしく、
このアルバムを最初に聴いた時は外でウォークマンで聴いてたんですが、それにも関わらず
「おおー…」と喝采の声が出てしまいそうになったほど。
音自体は間違い無くA級にレベルアップしてると思いますが、余りにも大袈裟な語りが
あったり、説教してたキャラがあっという間に説得されたり、ちょっとB級っぽい部分が
残ってるのもまた魅力ですね。物語は複雑になってるようで、主人公が帝国の反勢力に
与してたり、いかにもRPGなアイテムが出てきたりやっぱり根幹は王道っぽい。竜も出るし(笑)
王道RPGなら「帝国」と来たら理不尽な略奪者で敵役、これは基本ですよね~(笑)
ただ、肝心の歌メロは、妙に壮大(≒ゆったり)になってしまった感じがして物足りない。
例えば勇者アーサーさんも褒めてた「(天空の城ラピュタの)君をのせて」は、例え歌メロだけ
単旋律のピアノで鳴らしてもクサメタラーに電撃を走らせる程のクサさだと思いますが、
歌メロのみを見た場合、今作にそれほどのパワーのあるものがあるとは正直思えない…です。
はっきり言って、歌メロはSOUND HORIZON辺りと比べると今作は今一つだと思う。
バックがかなり強化されてるので、それとの兼ね合いなのかもしれませんが、ここまで
思い切った音楽性を打ち出してるんだから、メタルとしての完成度よりも「サンホラも
ジブリ主題歌もまとめてぶっ潰してやるぜ」くらい、特に歌メロのクサさには拘って欲しい所。
個人的に、このバンドの最大の美点は妥協の無いメタルに他のメロスピではありえないくらいの
どキャッチーな歌メロが乗るところだと思うので…。
前作がメロスピと歌謡曲/アニメソングのクサさを掛け合わせた新奇さで話題性を獲得した
作品だとしたら、今作はメタルとしての完成度を高め、地盤を固める為の作品なのかもしれません。
いろいろキツく書きましたが、それだけ期待してもいるんですよね。この音楽性で
SOUND HORIZONやジブリ主題歌レベルの歌メロがあればマジで最強だと思いますもん(笑)


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り - アルネシアの戦い ★★★ (2008-08-22 18:49:13)

「何!?聖剣が光って眩しい!!」
ヴァイキングハーモニーのトレモロリフや笛による民族がかったメロなど、本当に北欧のヴァイキングメタルっぽい…いや、それを煮詰めて更にクサくしたかのようなパートが実に素晴らしい。このバンド、メロスピに歌謡曲的なメロディが乗る所に衝撃があると思うのに、この曲や「圧政の指揮者」などは演奏だけ聴いていても充分悶絶出来る。これで一度聴いたら頭から離れなくなるようなクドくて甘ったるい歌メロがあれば完璧だと思う。
ただ、上の台詞は思わず笑ってしまいましたが…聖剣の癖に「追加効果:暗闇」みたいな搦め手を使ってくるとは…(笑)


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り - 圧政の指揮者 ★★★ (2008-08-21 21:05:23)

本人も自信を持ってるみたいですが、確かにこれは今まで出た二枚では最高の曲かもしれない…10分を超える大作ながら、大作にありがちな反復の多用やプログレ要素の導入などに頼らず、超ドラマティックなシンフォニックメロスピで通しているのが凄い。特に語りの後、CDコンポをイコンに見立てて崇めたくなるような(笑)パートから超クサいキーボードメロで疾走、ダークなリフで落とし込む展開は「ああ、才能って美しいなぁ…」とか思ってしまいました。
でも、折角帝国の内情についての曲なんだし、君主は王じゃなくて皇帝が良かったなあ…EMPERORファンとしては。ってどうでもいいですね(笑)。


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り - 紅き契約 ★★★ (2008-08-21 21:11:39)

これ、前作を聴き込んだ人ほど成長振りに驚くんじゃないでしょうか…台詞とか抜いたら、音質、演奏、メロディどこを切ってもB級要素とか無いですもん。ヴォーカルのメロディもアルバムで一番良いと思いますし、これは「悶絶という言葉すら生温い!!」(陰陽座の某アルバムのコピーのパクり)。
でもシルフィーユさん「儂を誰だと思っている。まあよい、さあ我に乗れ」って…一人称くらい統一してください(笑)。


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り - 神話 ★★ (2008-08-22 18:53:06)

解説ではポップとか言ってますけど、あれはジョークでしょう(笑)
イントロからガチで疾走です。ただ、メロディもこの作品の中では分かりやすいし、語りもマイルドに抑えられてるしで、今まで興味なかった人でも取り込めそうな間口の広さがあると思います。
でもシルフィーユの過去話…よくあんな事して暴動とか起こらなかったなぁ…。っていうか、よく隠蔽できたと思う。


DRAGON GUARDIAN - 遥かなる契り - 天空城マナ ★★ (2008-08-21 21:19:52)

冒頭のメタルサウンドが一瞬止んで視界が開けるような展開、竜に乗った主人公が帝国空軍の攻撃をかいくぐり、目の前に天空城が現れたようなシーンがありありと浮かぶなあ…。勇者アーサーさんってシーンに合わせて音を作るのが上手いと思う。台詞の演じ分けも上手く、マナの台詞パートは小人の老人の精霊が語ってそうな雰囲気がありますね。
でも歌メロは正直微妙かな…「歌謡曲/アニソンと比べても際立って」ではなく、「メロスピにしては」クサい歌メロになっちゃってる気がする。これだったらツボに嵌まったときの陰陽座の歌メロ(妖花忍法帖とか)の方がよっぽどクサい。クサさに特化してくれるバンドだと思ってただけにちょっと肩透かし感は否めないですね…。


DRAGONLORD - Rapture ★★ (2011-06-02 23:16:20)

2001年発表の1st。

このバンドはTESTAMENTのメンバーのプロジェクトと言う事で有名らしいですが、そのバックグラウンドの影響なのか、かなりスラッシュ色の強いシンフォニック・ブラックを演ってますね。キーボードを取り去ったら、メロブラよりもデス声のスラッシュに聞こえそうなくらい、ギターの刻みが厚い音作り。疾走感とも相俟って、厚いバンドサウンドが流星で、キーボードの尾を引いているようなイメージ。

個人的には、スラッシュ色の強いギターワーク+クラシカルなキーボードという組み合わせは、「鬼女」期のCOFを思い起こさせたり。特に3曲目、「Cruelty Brought Thee Orchid」のDRAGONLORD版にも聞こえますし。イントロのホイッスル音交えた絶叫とかタメた後にブラストに美しいメロディ乗せる展開とか、確実に意識してると思う。ただ、こっちは当時のCOFが、シアトリカルさ・クラシカルさに向けていた力を、メタルとしてのマッシブさや攻撃性、分かりやすさの方に振り分けてる感じ。ある意味COFより聴きやすいです。

個人的には、メタルとして普通に聴け過ぎちゃうなぁ…という印象がありますが(ギターワークはもっと不気味でメロブラ然としてた方が好み)、純粋にクオリティが高くて、入りやすいシンフォニック・ブラックだと思います。


DRAKONHAIL - ...Des Ailes... ★★ (2014-01-04 11:01:57)

2011年発表の1st。

ポストPESTE NOIREの第一候補とでも言うべき、個性的で素晴らしいなブラックを演っていたSALE FRUEXのDunkel氏による独りブラックと言うことで、こちらも購入しましたが…SALE FRUEXとは全く違うアプローチの鬱ブラックですね。2枚組に渡る長尺かつミニマルな構成、ジト付いたネガティブなメロディに覆われた楽曲、ほぼノイズと化した絶叫など、多くのディプレッシブブラックの持つ特徴を殊更に強調したような路線。

鬱系の中でもミニマリズムの強い音で、時折アルペジオを挟んだりする以外は、基本的に弱々しく鳴り響くギターノイズと、うっすらと包むキーボードによる淡く灰色なヴェールに包まれた、鬱々しい音がひたすらに続く展開。雪原を当てもなく延々と彷徨っているような、寄る辺のない雰囲気は出てるし、初期~中期BURZUM風の絶叫も痛々しくて良いんですが、出来ればもう少し反復を抑えて一枚に纏めた方が良かったのでは…とも思います。CD代えるとどうしても現実に引き戻されますし。

鬱系としても良く言えば徹底している、悪く言えばかなり地味なサウンドで、鮮やかなメロディや奇矯な展開のあったSALE FRUEXとは全く別物。普通のメタラーには苦行のような音ですが、この薄暗い雪原を彷徨ってるような雰囲気は悪くはないです。


DRAMA ★★ (2011-09-18 21:39:00)

ロシア産メロディック・ブラック。
何気にロシアのブラックメタルバンドってレアな気がします。


DRAMA - Winds Choir Opera ★★★ (2011-09-18 21:34:08)

2005年発表の1st。

SATYRICONのトリビュートアルバムで、名曲「Mother North」の担当を任された事でも有名な彼らですが、まさしくその頃の、正統メロブラだった頃のSATYRICONの路線を引き継ぐかのような、トレモロ満載のメロディック・ブラックですね。

聴かせどころはしっかり氷の礫が交じった風が吹き荒れるような、トレモロとブラストの絡みで聴かせつつ、適度に刻みも交えて苛烈さを表現するスタイル。2000年代の作品ですが、音質は当時のノルウェー産ブラック大御所と比較してもやや荒め。ですが、この荒さが曲の「苛烈さ」を際立てていて、悪くないんですよね。

個人的には、メロブラでもやはりDISSECTIONやNECROPHOBICなどのスウェーデン産のバンドよりも、やはりSATYRICONに近い音だと思う。これだけ刻みを多用しているのに、メロディックデスに近づかず、あくまでブラックとしてのスタイルを堅持しているのが、SATYRICONっぽいと思う。キーボードやシアトリカルな展開を用いない、リフとリズムの絡みに特化したSATYRICONという感じ。

ただまあ、SATYRICONの「Mother North」のような、展開の全てが神懸かり的な曲があるかといえば、そうも言えないのが惜しい。リフ単品では、キャッチーだし寒々しさにおいて肉薄すると思わせる部分もあるんですけどね…。流石にその高過ぎるハードルを越えるような作品とは言いがたいですが、かなり良質なメロブラなので愛好家の方は是非。


DRAPSNATT - Hymner till undergången ★★ (2011-06-07 18:37:11)

2010年発表の2nd。

狂犬病に罹った犬が水を恐れるような、情けなく裏返るまで絶叫するヴォーカルや、身を切るような悲壮感に満ち満ちたトレモロリフ、シャーシャー系のギターが音を埋める意図的にややローファイにしてある音作りなどは、ディプレッシブ・ブラックのテンプレートに沿っているとも言えますが…このバンドは単なる「上モノ」に留まらない、キーボードを展開の中心に絡めてくる点がかなり個性的ですね。

まず、主にピアノの音色で挿入される、メロディ自体が他の鬱系とは一線を画す感じ。フォーク/トラッドの影響があるようですが、単に暗い・悲しいというより、ドラマや演劇の悲劇的な場面で挿入されるような、シアトリカルな感覚が強いメロなんですよね。重厚な悲壮感を演出するアトモスフェリック系の音色とも相俟って、鬱ブラックとしては破格のドラマ性のある音になってると思う。

鬱ブラックはひたすらに陰鬱さを強調するバンドも多いですが、この作品はドラマ性の高い音作りと展開で、悲劇的なムードを演出してくれているので、割と聴きやすいのではないでしょうか。メロディの方向性的に、アヴァンギャルドなものが好きな人にも受け入れられそう。ただ、音が小さめなのが個人的には残念。


DRAUGEN - AMONG THE LONELY SHADES ★★★ (2012-04-27 22:21:36)

2011年発表の1st。

これはかなり良いですね。
どこかゴシック的な重厚さも感じるミディアムパートと、ブラックらしい疾走を組み合わせたメロブラで、時々疾走が唐突と思わなくもないですが、かなりドラマティックな仕上がり。トレモロリフを前面に出してくるパートが多いんですが、このトレモロがDARK FUNERALやNAGLFAR並に印象に残る使われ方で、メロディックなものが好きなブラッカーのツボを確実に突きに来てる感じ。DARK FUNERALと比べるとこちらの方が邪悪さは譲るものの、儚さや美しさが強い印象。

また、音像の方も結構独特な作りですよね。リフのディストーションの音色の粒が硬質な感じというか、奥行きを感じるような音色になっていて、聴いていて非常に心地良い。この音作りの中に浮き上がったように聴こえるミックスのトレモロが挿入されると、メロブラ好きならそれだけで悶絶出来てしまいます。店ではシューゲイザー系ブラックとも比較されてましたが、ポストブラック的な要素が薄い割にそういったものが比較対象になるのは、このギターリフの音色やトレモロリフによる儚いメロディに拠る物が大きいのかもしれません。

フランス産らしい頽廃的な雰囲気は醸し出しつつも、病的な雰囲気より美しさの方に重きを置いた感じの、非常にメロディックなブラックメタル。メロディ派の方は是非押さえておいて欲しいバンドです。


DRAUGNIM - Northwind's Ire ★★★ (2011-10-15 00:05:53)

2008年発表の1st。

このバンドはペイガンブラックとして認知されているようですが、出音の方は笛や民族楽器を使うタイプではなく、厚いバンドサウンドをバックにギターやアトモスフェリックなキーボード、勇壮なクワイアなどがトラッド色の強めな、壮大なスケールのメロディを奏でるスタイルで、どちらかというとシンフォ系に近い感触ですね。

ただし、刻みを多用したギターリフはやや辛口なノイジーさなので、作風の割には取っ付きにくさを感じる方もいるかもしれません。私はこのややノイジーで厚いバンドサウンドが、眼前に岩壁が聳え立っているかのようなスケールを感じさせてくれるので、作風に合った音質だと思ってますが。この音色だからこそ、メロディの美しさが際立っている感じがします。

このバンドも、メロディのセンスがほんと素晴らしいと思う。
お祭り系のような派手さこそないものの、ただ壮大なスケールがあるというだけでなく、儚さだったり仄暗い哀愁だったりを感じさせてくれるメロディは、聴いてて胸を打たれる。他のシンフォ系やペイガン系と比べて、展開のスパンが長めなので、じっくりと聴き入りたい作品ですね。

個人的には、近年のGRAVELANDに通じる作風を、もっとメジャーな感性で演ってるような印象の作品。アンビエンス重視のGRAVELANDと比べると、演奏がマッシブでメロディもより実体的。メタルを、作品の風景と一体になって身を委ねるような聴き方で楽しむにお勧めです。


DRAUTRAN - Throne of the Depths ★★ (2011-09-07 18:17:16)

2007年発表の1st。

クレジットを見ると、ヴォーカリストが二人いたので、ソプラノでも入れてるのかと思いましたが…実際は裏返り気味の悲鳴と、がなり系の2種類のデス声が掛け合いのような事をやっていて超カオス。それが荒れ狂うドラミングと、それに合わせて暴れる刻みリフに乗ると、最早パニックの様相を呈してきてますね…。

そこに寒々しいキーまで重なるので、見えてくる情景は、まるで世界の終末のよう。リフが荒い刻みから、メロウなトレモロにシフトすると、今度は終末観の中で諦念が漂うようなムードに…そんな展開をみせるシンフォニックブラック。

ドラムが平たい音で、キーとギターノイズがバンドの音を包み込む音像は、メタルとしては微妙でもブラックとしては素晴らしい。この音じゃないと、このカオスでパニックな感じは出せないと思う。今までの文章だと、おそらくとっ散らかった音を想像するかもしれませんが…キーボードのメロディには妖しさ、荒涼感、メロウさがあり、シンフォブラックらしい整合性もきっちりあるのがいいですよね。

ただ、1つ不満があるとすれば、このバンドもいまひとつ「引き」のパートの聴かせ方が上手くない点。特に立ち上がり、1曲目の演奏時間の半分以上を使って、まだカオティックな部分に突入しないのは、いきなりちょっとダレてしまう。とは言っても、寒々しい、邪悪さをしっかり演出したシンフォブラックを演っているので、EMPERORの初期作等が好みの方にはお勧め。


DREAM SYMPHONYシリーズ - The Idolm@ster Dream Symphony 02 秋月涼 - DAZZLING WORLD (M@STER VERSION) ★★★ (2010-10-16 23:07:42)

胸に響くような、強めのキックと、それに絡むリズミックなピアノが
聴いていて心地よいですね。メロディも淡白に見せかけて、
「♪いつか二人は~」からしっかり期待に応える盛り上がりを見せてくれるのが素晴らしい。


DREAM SYMPHONYシリーズ - The Idolm@ster Dream Symphony 02 秋月涼 - ヒミツの珊瑚礁 ★★ (2010-10-16 23:08:30)

う~ん…符割りが複雑(しかもキー高め)で、難しそうな割には
メロが淡白に聞こえる…。ただ、アレンジは一級品ですね。
「浮き立つような」だとか「溌溂とした」とかの形容を
付けたくなるようなテンション。私的には、星が飛び散ってる
エフェクトが付いてるイメージの曲です(笑)。


DREAM SYMPHONYシリーズ - The Idolm@ster Dream Symphony 03 日高愛 - ALIVE (M@STER VERSION) ★★★ (2010-10-16 23:10:08)

「隣に…」と同系統の、壮大な世界観を持つバラード。
初めて聴いたときに浮かんできた単語が「人生」でした(笑)。
一瞬陰りの表情を見せた後、光が差し、サビで視界が開けるような
構成が非常に劇的。他の曲のパワーで押し切るようなテンションの
高さを先に聞いていると、サビでのソウルフルな歌声に驚かされます。


DREAM SYMPHONYシリーズ - The Idolm@ster Dream Symphony 03 日高愛 - GO MY WAY!! (M@STER VERSION) ★★★ (2010-10-16 23:10:43)

この曲も色々な人が歌ってますが、これが一番個性的かも。
「♪行ってみましょ↑↑」とか、「ラッキィ!!」とか、元気が
有り余ってしょうがないって感じ。やっぱり、歌でキャラ付け
出来るっていうのはいいですよね。聴いてて、なんか微笑ましいです。


DROHTNUNG ★★ (2013-06-28 21:12:39)

オーストラリア産鬱ブラック。
DROWING THE LIGHTやWOODS OF DESOLATIONへのゲスト参加の経験も持つOld氏による独りバンド。去年Misanthropic Artから1枚目のアルバムを出しています。


DROHTNUNG - Drohtnung ★★ (2013-06-28 21:13:35)

2012年発表の1st。

作風的には、ノイズと鬱ブラックを掛け合わせた…という感じですが、聴き手のイマジネーションを刺激するノイズと、聴き手を絶望のどん底に叩き込む鬱ブラックの相性は悪いはずもなく、正に負の連鎖という感じのネガティブ極まりない音になってますね…。最早悲壮感とか通り越してて、霊的な何かを感じる音。一言で言うなら「霊界ラジオ」。

ノイズが聴き手の耳を聾しながら空気を揺らし、そこに鬱ブラック特有の気が滅入るメロディを垂れ流して出来る音像は、まるで霊界に向けて発信される電波のよう。ガシャガシャいうドラムも、ヴォーカルの気が触れたような絶叫も、霊障の一部としか思えなくなってきますもん。ゆるゆるとノイズを垂れ流しながら展開する4曲目のアンビエントも、素晴らしいまでの墓場っぷり。

ちなみにラストの曲ではDROWING THE LIGHTのAzgorh氏がヴォーカルでゲスト参加してます。DTLのこのシーンを牛耳ってる感は半端ないですね(笑)。


DROPの小屋。 - 東方バロック紀行 ★★ (2010-10-13 21:58:12)

東方/上海アリス幻樂団のバロック/民族調インストアレンジ。2009年発表。

私の好きな「廃獄ララバイ」と「少女さとり」のアレンジがあった事と、裏ジャケが
ボストンバッグを持った東方キャラの絵で、旅情に溢れる音が期待できそうだった事から
購入したんですが、これは当たりですよ。元々バロックっぽいメロの雰囲気を更に強めた
「ローゼンさとりん(少女さとり)」も、夕焼けが浮かぶような一抹の寂しさが漂う
「夕凪輪廻(廃獄ララバイ)」もメロの良さを上手く活かしてると思う。

「天地神明(恋色マスタースパーク)」「静寂の森(U.N.オーエンは彼女なのか)」も、
このメロからこういう情景を引き出すか、と思えて面白いし、かなりお気に入りの作品。
東方で異国情緒ある民族インストアレンジなら、グーシャンダグーの「e-Lfingate」もお勧め。


DROPの小屋。 - 東方幻想奇談 闇色硝子 (feat. 葉月ゆら) - 愚者に創られた闇の娘 ★★★ (2010-10-13 22:02:47)

原曲は「少女さとり~3rd eye」。
葉月さんとこのりさんのデュエット曲なんですが、とにかくこのり氏の歌声のインパクトが絶大。
明らかに声楽が基礎と思われるオペラティックな、堂々とした歌い上げですが、その圧倒的な
歌唱力を用いてV系的なおどろおどろしさを表現している感じ。特にラスト付近、マイクが
イカレそうな声量で、割れ気味に歌う彼の声は狂気的と言う表現すら生温いと思う。
歌詞はホムンクルスと創造主についてでしょうか。原作全く関係無いです(笑)。


DROPの小屋。 - 東方幻想奇談 闇色硝子 (feat. 葉月ゆら) - 憂い沼に咲く享楽の蓮 ★★★ (2010-10-13 22:04:55)

原曲は「緑眼のジェラシー」。
この曲もこのりさんの歌声が衝撃的。男声の裏声、いわゆるカウンターテナーなんですが、
高音の出方が凄く綺麗で、それだけでうっとり出来る。後半、熱くなってきた所なんて
メタルのハイトーンっぽくも聴こえるし(笑)。やっぱり、クラシックの素養があって
ロックに理解がある人は強い。葉月さんも声楽的美声を聴かせてくれる箇所があり、やはり
上手いヴォーカリストだな…と思わされます。


DROPの小屋。 - 東方幻想奇談 闇色硝子 (feat. 葉月ゆら) - 恋の雪夜 ★★★ (2010-10-13 22:03:54)

原曲は「明治17年の上海アリス」。
キラ星ヒカル氏とのユニット、ROSES EPICURIANではブラームスのハンガリア舞曲第5番の、
明らかに歌が乗ることを想定していない、譜割りの細かいメロディを歌いきった実力者である
葉月ゆらさんの味を引き出す、細やかなメロディ。やっぱり彼女の声は、こういう複雑な
メロでこそ活きると思う。特にサビはALI PROJECTもびっくりな早口&クサっ振りです。


DROUGHT - Rudra Bhakti ★★ (2017-09-17 12:30:41)

2016年発表のEP。
おそらくバンドとしては初の音源かつ、正体を明かしていないバンドながら、Avangarde Musicからのリリースという快挙。

作品タイトルや曲名からはヒンドゥー教をテーマにしていることが伺えますが、あからさまに中近東系のメロディを取り入れたりなどは殆どなく、深遠なダークアンビエントと、ノイジーなリフの中で蠢くようなバンドサウンドを見せつける、儀式的なムードの漂うブラックメタル。

アルバムタイトルは「干ばつ」の意味ですが、確かにメロディには北欧的な土着性や寒々しさというよりは、乾いた狂気のようなものが感じられる気がします。それが前述したような深遠さと合わさると、プリミティブながらどこかサイケデリックな感触も覚えます。雰囲気的な面では、DEATHSPELL OMEGAの「Drought」アルバムから多少なりとも影響を受けているのかな…という感じも。まあ正体を明かさずDSOのアルバムタイトルをバンド名にしてるという時点で影響下にある可能性はかなり高いですが。

そういう訳で、儀式的なブラックが好きならばお勧めできる作品。ASOFYやTHAW辺りが行ける方なら試してみてもいいかも。


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance ★★ (2009-01-20 19:26:00)

2007年発表の3rd。
ジャケ、バンドロゴ、使用フォントからしてアングラブラック丸出しですね(笑)。ブックレットに歌詞を載せず、代わりにステイトメントを載せてるのもこの手にありがち(笑)。

路線的には、演奏時間の大半をスローパートに割くリズムに、トレモロリフやキーボードによる哀メロを乗せた演奏を、ギターノイズが淡く覆う、鬱ブラックそのものという作風ですが…発狂系のヴォーカルが多いこの手のバンドの中でも、頭一つ抜けて感情の篭もったヴォーカルが最大の特徴。この人、レコーディング時に水子の霊にでも憑依されてたんじゃないでしょうか(笑)。

絶叫自体も凄まじいんですが、叫ぶたびにいちいち語尾が泣き声になってて、聴いてて段々可哀想な気分になってくるんですが…よく心霊番組とかで、霊に取り憑かれて泣き叫ぶ人がいますが、ああいう声とブラックの絶叫を混ぜた感じ。膜が掛かったようなエフェクトもかかってるんですが、何故かそれが更に感情の生々しさを際立ててるんですよね…。

このバンド、意外とメロディに優しさがあって、特に2曲目なんかは、私はベートーベンの「第9」を思い出してしまったんですが…このヴォーカルと相まって、死後頭上に天国が見えているのに地獄に引きずり込まれていく人…みたいな情景を連想しました。人は希望がある方が絶望もより大きくなるといいますが、このバンドはそういう世界観を描いてると思います。

ただ、アルバム5曲中2曲インスト、1曲は音量が小さい上に短く、鬱ブラックとして素晴らしいのは2曲なので物足りなさを感じる人は感じるかも。もっとも、その2曲は両方とも10分を超える大曲だし、鬱度の高さもあって個人的にはお腹いっぱい。

I SHALT BECOME辺りに似た路線ながら、精神に与えるダメージはこちらの方が上。ヴォーカルに感情移入しすぎると本気で気分悪くなりそうです(笑)。流石、ARKHA SVAを初めSATANIC WARMASTER、MUTIILATION等カルトな連中とスプリット出してるだけの事はありますね。しかし、アルバムタイトルの「Existance」は誤植でしょうか…。


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance - Echoes of My Demise ★★★ (2009-01-20 19:28:48)

メロディはヴォーカルを鎮めようとしているような部分もありますが、当のヴォーカル本人はそれさえも危害に感じているようなささくれ立った雰囲気。っていうかヴォーカル、「嫌だぁ…」って言ってません(笑)?


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance - Through the Noose of Existance ★★★ (2009-01-20 19:27:46)

この曲聴いてたら、裏ジャケが三途の河に思えてきた…


DRUDKH - Estrangement ★★ (2008-05-06 18:07:00)

2007年発表の6th。
私はこれしか持ってないですけど、02年結成でもう6作目になるんですね…。VINTERRIKETやSTRIBORG程ではないですが、結構多作。

音楽を聴いていると、音楽を聴いていることを一瞬忘れて、その音に込められた情景に対峙しているような気持ちになる事ってありますよね。そういう感覚って、VINTERRIKETやXASTHURなどのアトモスフェリックなバンドや、近年のULVERやMANESのような前衛的なバンド、プリミティブ系全般のような陶酔感志向の強いバンドなどに顕著ですが、このバンドはメロディを丁寧に折り合わせてそういう感覚を味あわせてくれます。

トレモロリフやアコギ、剰え長いギターソロまで入ったサウンドで、そこに込められたメロディは実に繊細。この前に「Anti-Urban」というタイトルのEPを出したり、自然の情景をアートワークに用いたりしてる事からも分かる通り、聴いていると雄大な自然を前にした哀しみのようなものが感じられる作品。丁寧にメロディを紡ぎ合わせて情景を描く作風は、MOURNFUL CONGREGATION辺りにも通じるかもしれません。情景描写に徹する為なら暫くヴォーカルが出てこなくなったりするのも一緒(笑)。

ただ、描写が丁寧なのはサウンドに入り込めなければ冗長に感じる(36分の作品なのに10分越えが3曲)かもしれません。メロディもキャッチーでインパクトがあるという訳ではないですし、私も最初聴いた時は正直微妙だと思いました。でも、何度か聴くうちに彼らの描く情景の美しさに気が付いて、良い作品だと思うように。

感性が合えば、末永く付き合える作品になると思います。


DUNCAN EVANS - Lodestone (2014-10-22 23:04:20)

2013年発表の1st。

つい最近までA FOREST OF STARSに在籍していたHenry Hyde Bronson氏があのProphecy Productionsからリリースしたソロアルバムという事で、セールで安かったこともあり購入。ちなみに音楽性にブラックメタル要素は全くなく、自身のクリーンだけでなく一部女性ヴォーカルも導入した、アコースティック/フォーク路線。ミステリアスなジャケや女性が男性の首を斬ろうとしている内部アートワークからは、ダークな印象を受けますが、そんな事はなく叙情的な色で統一された作風。

ただこれ、個人的にはちょっときっつい作品ですね…確かに歌メロは豊饒だし、アコースティックギター主体の演奏でも、フレーズの巧さなのか一本調子には聴こえない辺り曲のセンスはいいと思いますが、如何せんヴォーカルの歌い方が…。基本的にイケメンボイス風ですが、変に力んだりしていて妙なねちっこさがあって、私としては苦手なタイプ。似た作風でもULVERの2ndみたいには行きませんね…。

という訳で、個人的にはお勧めとまでは言えない作品。まあそれは私がこのヴォーカルを苦手だからで、そうでない人が聴いたら評価はガラッと変わってくるのかも。


DUSK (HUNGARY) - Deathgate ★★★ (2014-10-27 22:34:25)

2006年発表の4th。

TYMAH (TUMAN)や666絡みのメンバーによって結成され、コンスタントに活動を続け、2014年現在では7枚のアルバムを発表しているという、かなりアクティブなバンド。メンバー構成や活発な活動振りからも分かる通り、筋金入りのブラックメタルを聴かせてくれます。楽曲のタイトルも黎明期北欧ブラックへの憧憬が垣間見れて、また良い感じなんですよね。

路線としては、TYMAH同様直球でプリミティブ志向の強いブラックですが、最も異なるのは音作りのセンスでしょうか。アンプの音量ツマミを思いっきり捻ったような轟音が、無理矢理に邪悪なアンビエンスを感じさせる音。鬱テイストを感じさせつつ、悲哀よりも殺気が上回ったようなヴォーカル、黎明期北欧ブラックを思わせる、この手が好きなら思わずハッとするようなトレモロのメロディ、Rawな突っ走り振りが非常にかっこいいドラム、威風をも感じさせるようなミディアムパートなど、ブラックメタルとしてのセンスの良さは流石と思わせるものがありますね。

TYMAH同様、黎明期北欧ブラックが好きであればグッと来るであろう作品。個人的には、トレモロリフのセンスの良さと、鬱ブラックのエモーショナルさにプリブラ期DARKTHRONEの殺気を加えたようなヴォーカルにかなり痺れました。