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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2401-2500

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2401-2500
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ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - AUTUMN DUSK ★★★ (2009-03-26 22:36:10)

キーボードが音圧を稼いでいて、音像の中心になっている感じですけど、メロディ面ではギターがキーボードに負けないくらい貢献している…というアンサンブルが個人的にどツボ。初期LIMBONIC ARTにメロいギターをぶち込んだような完成度があると思う。アルバムの導入にして、これ聴いてビビった人も多いのではないかと。


ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - DEMON REMAINS ★★★ (2009-03-26 22:37:03)

歌詞に「エコエコアザラク」とか知ってるフレーズがあると、なんか親しみを覚えますね(笑)。しかし曲の方は豪速ブラストとスラッシュビートで絢爛な音像をぶち抜いていく、アルバムでも最もブルータルなもの。…ブルータルなんですけど、ドラムが前に出すぎず、キーの作り出す音像と上手く調和しているのが良いですね。


ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - FAR EAST GATE ★★ (2009-03-26 22:41:12)

アルバム本編のラストは、ソプラノで歌い上げるバラード。
…このバンド、SINCERITY GREENやMISTIELEGIEみたいなゴシックやっても良い物を作れるのでは…表現が堂に入ってる感じがする。


ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - LOST DESTINATION ★★★ (2009-03-26 22:39:05)

これはリフの感触からいってもほぼメロデスですね。
ギターとキーボードの掛け合い的なパートもあるし、様式美的ともいえるかも。
その掛け合いが無茶苦茶かっこいいので必聴。


ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - MIST AND THE PAGAN'S CASTLE ★★★ (2009-03-26 22:40:09)

個人的な印象では、現実の異教徒や異民族というよりも、月の眷属みたいなファンタジー設定が思い浮かぶイメージの曲。キーやギターのメロディがロマンティックな妖気を放っていて、人ならざるものが甦る夜…みたいな妖しい雰囲気があると思う。


ETHEREAL SIN - ...THE ABYSS WILL ALSO GAZE INTO THEE - SPIRITS OF SAMURAI ★★ (2009-03-26 22:37:56)

日本人が洋風メロディで描くサムライダマシイ。ゲーマーとしては、タイトルは「Samurai Spirits」にして欲しかったです(笑)。特攻隊が朝日に向かって飛び立っていくような、悲壮感に満ちた曲ですが…何故この曲の歌詞が載っていないんだろう…一番歌詞が気になる曲なのに。


ETHEREAL WOODS ★★ (2011-10-05 22:40:23)

イギリス産ブラックメタルバンド。
…やはりイギリスのブラックって、何か他と違う部分のあるバンドが多い気がする。


ETHEREAL WOODS - KENILWORTH (2011-10-05 22:41:30)

2008年発表の3rd。

触りの部分を聴いた感触では、妙に躍動感のあるリズムと、キーボードによるメランコリックなメロディを部分的に取り入れてはいるものの、喋り声をそのまま歪めたようなヴォーカルは弱いし、地味目なブラックなのかな…と思いましたが、途中でヴォーカルがちょっとラップのような歌い回しを付け出したときには耳を疑いました(笑)。あくまで「ラップっぽい」程度ですけど、突然こういう部分が来ると物凄く印象に残る。

他にも、最近のCRADLE OF FILTHの曲のクライマックスで使われそうなギターメロが唐突に登場したり、ゴシック趣味の強い耽美なピアノを大々的に取り入れてみせたり、催眠的なメロディをパーカッシブなリズムに乗せたり、とにかく一筋縄ではいかない展開が多いのが特徴。ただ、キーボードやトレモロリフがメロウなフレーズを弾くパートや、突飛な仕掛けを施したパート以外の部分は、ヴォーカルの殺る気のなさも相俟ってちょっと凡庸に聞こえてしまうかも。

まあ、中世的な上品さが感じられるメロディセンスは素晴らしいと思うし、引っ掛かりのあるパートは本当に魅力的なので、悪いアルバムというわけではないですが。特に10分を超える大作の6曲目、メロウなピアノが良い感じの5、7曲目など、後半に良い曲が多い印象があります。


EURO-ROCK PRESS ★★★ (2010-10-22 19:02:32)

基本的にプログレ寄りの雑誌ですが、メタルのレビューも取り扱ってます。
そのレビューの精度は、はっきり言ってBURRN!!誌よりも上だと思う。
B!誌のように絶対評価ではなくて、項目ごとに点数を付ける方式なので
聴くべきポイントが分かりやすい&編集者の好みから音を推測するみたいな、
まどろっこしいことをする必要がない…という点で、かなり参考になる。

トリップメタルなどB!誌で大きく扱われづらいバンドのレビューを
載せてくれるのも嬉しいところです。


EVANGELIVM - Nightside of Eden ★★★ (2011-10-15 00:02:48)

2010年発表の6曲入りミニ。
と言っても30分以上入ってるので、ボリュームはそれなり。

…もうバンド名からして、ブラックメタラー注目のレーベルNorma Evangelium Diaboliや、ひいてはDEATHSPELL OMEGAを連想してしまいますが、作風の方もかなりDEATHSPELL OMEGAの3rdと共通項の多いサウンドですね。特にアルペジオやトレモロに含有される、毒々しさや邪悪さが漏れ出してくるようなメロディの質がそっくり。ロシアのバンドですがかなりフレンチブラックっぽい音だと思う。

しかも、メロディのセンスはそういった、バースが奇妙に歪んだ絵画のような不気味さがあるにも関わらず、この系統としては意外にメロディアスなんですよね。頭のイントロから結構長めのギターソロまで入ってますし。しかしメロディのセンスがセンスなので、メロいパートであればあるほど「毒」が強くなり、決して甘くならないのが素晴らしい。

また、DSOの3rdとは異なり、ドラムが打ち込みっぽい、割とチープな音なんですが…ドラムの音質が今ひとつだからこそ、ギターのメロディが際立ってる分マイナスにはならない感じですね。むしろこのチープさを逆手に取ったようなフックを持たせている部分まであるのは、かなり感心できるポイントだと思う。

バンドとしてはかなり若く、まだフルも発表していないくらいなんですが、これを聴く限り邪悪さのセンスはかなり優れていると思う。「いかにも」な感じの、神秘主義・邪悪主義全開なバンドロゴにピンと来た方は是非。


EVIG NATT - Darkland (2012-01-25 19:23:05)

2010年発表の2nd。

ENSLAVEDやTHRONE OF KATHARSIS、THUNDRAなどノルウェーのブラックのメンバー/元メンバーが関与するゴシック/ブラックという事ですが、確かに女性ヴォーカルのゴシックにシンフォニック・ブラックのテイストを加味したような作品に仕上がってますね。曲によって演奏がほぼゴシック・ドゥームそのものだったり、メロブラっぽい疾走パートを設けてきたり、ゴシックとブラックの要素の配分を変え、聴き手を引き込むようなアルバム構成にしている感じ。

ただ、やや中性的な感じのする女性ヴォーカルの醸し出す、妖艶で耽美な世界観や、ドゥーミーなギターの音色が感じさせる灼けつくような哀愁などから感じる、仄暗い世界観は魅力的ではあるんですが…個人的にはちょっと纏まり過ぎている印象も受けるんですよね。普段からゴシック・ドゥームの緩やかに世界観に引きずり込むような音を好んで聴いてる人はかなりツボだと思うんですが、私としては5曲目や8曲目など、メロブラの要素が強い曲の方に惹きつけられたり。

個人的なツボとは多少違うんですが、音作りやアルバム構成などのレベルは非常に高いと思う。ブラックメタルより、初期THEATRE OF TRAGEDYやDRACONIANなどを好んで聴いてる人の方がハマれそうな音を出してると思います。


EWIG FROST - Rust (2016-05-19 23:51:28)

2009年発表の6曲入りEP。
収録時間は27分ありEPとしてはそれなりのボリューム。

「永遠の霜」を意味するかっこいいバンド名(+中古で安かった)に惹かれて何となく購入しましたが…まず思ったのは、音がちっさい(笑)!FUNERAL MISTの1stのようにイントロの途中で音圧を上げる事でドラマ性を演出するのかと思いきや、特にそういう訳でもなく…。個人的には音が多少割れてもこういう音楽は大音量が良いと思うので、印象は若干マイナスからでしたが…。

本編は悪くないですね。どうもこのバンドはアンチナチズムを標榜しているらしく、パンクの衝動性も加味したような音ですが…パンク要素のあるバンドとしてはかなりメロディや雰囲気が陰鬱なのも特徴。特にミディアムパートでのリフ、酸の雨が降り注ぐような、独特の薄暗さや陰湿さが醸し出されているような印象を受けます。荒廃した都市が浮かぶような音というか…。

そういう訳で、売りとなる要素もしっかりあるし、確かに悪くない作品なんですよね。でも諸手を挙げてお勧め出来るほどでもないという…。やっぱりこういう衝動性の高い音はバカでかい音で録音されていて欲しいものです。


EWIGKEIT - Battle Furies ★★ (2008-12-25 07:05:00)

97年発表の1st。邦題は「暗黒の戦士」。

ブラックを基調としながらインダストリアル、メタルコア、民族音楽など様々な音楽性を噛み砕いて取り入れた「Radio Ixtlan」とは異なり、この時点ではまだ打ち込みドラムの薄っぺらなバンドサウンドをアトモスフェリックなキーボードが包み込む、典型的なシンフォニック・ブラックといえる音楽性で、剰えBURZUMのカヴァーまで演ってます(日本盤ボーナス)。

ティンパニやオーケストラヒットの音色、女性ヴォーカルも盛り込んだドラマ性のある展開、フレーズが不鮮明なノイジーさで情景描写に貢献したり、正統派っぽいリフを弾いて勇壮さを演出したりを上手く使い分けるギターなど、曲のレベルはなかなかに高いのではないでしょうか。

「Radio Ixtlan」とは殆ど別のバンドみたいですが、曲の世界観がどこかSFじみているのは共通していると思います。この創作っぽさは、EMPERORにもLIMBONIC ARTにも無い個性ですね。ただ、個人的にはもう少しカリスマを感じさせるような要素が欲しかったです。音がチープなのは仕方ないですが、曲によって微妙に録音レベルが異なったりしてるのも萎えるし、今一つ夢中になりきれないアルバム。

ちなみに日本盤解説は「独りブラック」に付いての考察も書かれていて、読んでて結構楽しめました。でもこのライターの人、FogartyをBATHORYやBURZUMに続く「独りブラックの第3のカリスマになれる逸材」みたいに書いてますが…この後の音楽性の変化を目の当たりにして、一体どう思ったんでしょうね(笑)。


EWIGKEIT - Battle Furies - "O Elbereth'" (2008-12-25 07:08:01)

これはなんか惜しいなぁ…
オーケストラヒットを使った音は(いかがわしいけど)ドラマティックだし、疾走ぶりもかっこいいし…なんで音が小さくなるのか。


EWIGKEIT - Battle Furies - Dragons Burning ★★ (2008-12-25 07:08:47)

「暗黒のFF」みたいなメロディがいいですね。ゲーム全盛の世代にはたまらない雰囲気がある。


EWIGKEIT - Battle Furies - Ea, Lord of the Deeps ★★★ (2008-12-25 07:09:44)

BURZUMの「Ea, Lord of the Depths」のカヴァー。改題に意味はあるんでしょうか。ヴォーカルも本編よりもぶち切れてるし、メディテーション音楽みたいなシンセも入ってるしで結構センスの良いカヴァーなんじゃないかと思います。


EWIGKEIT - Battle Furies - Time Reborn ★★★ (2008-12-25 07:06:59)

不鮮明で薄いノイズ質からトレモロが浮き上がってくるギターワークといい、戦慄が加速していくような疾走といい、雰囲気の演出の巧みさが光る曲。こういうのを聴くと、彼が「独りブラック第3のカリスマ」になるのでは?と謳われたのも分かる気がする。


EWIGKEIT - Radio Ixtlan ★★ (2008-06-23 22:12:00)

2004年発表の4th。

このバンド、1stが「暗黒の戦士」という邦題付きで、「ブラックメタルの新境地を切り開く」という触れ込みで発売されたりもしてますが、ここで聴けるのはインダストリアル/エレクトロゴシック色のかなり強いサウンド。変化の仕方としてはレーベルメイトのMORTIISを思わせますが、MORTIISが完全に向こうのサウンドになってしまったのに対し、こっちはサウンドの核としてメタルがしっかり残っている感じ。

打ち込みのリズムやサウンドエフェクトを多用し、サイバーな雰囲気を醸し出しつつも、全体的にはリフで押す傾向が強いし、シンセのアレンジはシンフォニック・ブラックを思わせるところもあったりします。加えて、ヴァースでデスヴォイス、コーラスでクリーンという最近のメロデス/メタルコアに近いアレンジまでやったりもしてます。ただ、普通声は平凡で、風格が足りない感じがするのはB級っぽさを感じてしまいますが…。また、リフはリズムに合わせたグルーヴ重視のものが多く、ブラックっぽさは薄めなので注意が必要かも。

このアルバム、何気にEARACHEから出てるんですよね…。デス系のイメージが強いレーベルですが、MORTIISなど意外にインダストリアルにも食指があるっぽいですね。


EWIGKEIT - Radio Ixtlan - Esc. ★★ (2008-06-23 22:14:14)

シンフォなキーボードやリフを聴いていると、SFで主人公が非日常に巻き込まれるオープニング部分を見ているようなワクワク感がありますね。でも、微妙な普通声で「エスケイプ、エスケイプ、エスケイプ!」はちょっと萎えるかも…。


EWIGKEIT - Radio Ixtlan - Journey to IXTLAN ★★★ (2008-06-23 22:16:10)

解説に「ある意味ではアルバム全体のマクロコスモス的な楽曲」と言っているだけあり、かなり詰め込んだ印象のある曲。エスニックというよりもアボリジナルなコーラスがデジタルなサウンドに乗るパート、キーボードがFinal Fantasy風のフレーズを弾くパート、LIFELOVER的な妙な温かみのあるブラックリフをフィーチャーしたパートなど、どのパートもキャラが立ってて、聞き流そうとしても情景が浮かんできてしまう感じ。これは名曲と言ってもいいと思います。


EWIGKEIT - Radio Ixtlan - Strange Volk ★★★ (2008-06-23 22:15:16)

音の質感自体はデジタルな色が強いですが、何故かメロディはヴァイキング風で、既聴感すら覚える程のクサメロを聴かせてくれます。まさかこんな曲を演るとは思ってなかったので、驚くと同時に得した気分かも。アルバム中では「Journey~」に次いで好きです。


EX CALIGA - FIRST VISIONS ★★ (2012-01-12 00:55:45)

2002年発表の1st。
某所で中古がやたら安かったので、ジャケとタイトル等を見て、「これはブラックメタル、それもプリミティブ系だろう」と当たりを付けて購入。その勘は見事に当たったんですが…一体何なんでしょうか、この奇妙極まりない音は…。

音的には一応プリミティブブラックの様式を踏襲してはいる感じですが…遠近感の狂いまくった絵画のような、奇怪に歪んだ世界観を持ってる作品ですね。トレモロを含むリフやギターメロは音響処理のせいで妙に浮遊感のある音になっている上、フレーズ自体も宗教的な妖しさを感じさせるし、RAW音質の癖にドラムのミックスが変に凝っててアンバランスな立体感のある音像になってる。加えて所々に挿入される効果音のせいで世界観は更に歪んだものに。

アヴァンギャルド志向のミュージシャンがいたとして、彼にクスリでトリップした状態でプリミティブブラックを聴かせ、それをうろ覚えのまま再現してもらったらこんな感じの音になるのでは…みたいな、カルトでサイケな音。「Instinct : Decay」以降のNACHTMYSTIUMが、真っ当にプログレッシブな路線に行かず、ズレた方向に進み続けたらこんな音になっていたのかもしれません。間違いなく面白い音ではあると思います。

ただ、音楽性自体はユニークなんですが、録音状態が(粗いのは良しとしても)ちょっと弱めで、曲のフックに欠けるきらいがあるのが惜しいですね…その辺りクリアできれば、シーンの中でも存在感あるバンドになれそうなんですが。それは今後に期待…と思いきや、これ1枚で解散してるんですね…。如何にも続きそうなタイトルなのに、残念です。


EXHUMED - Garbage Daze Re-Regurgitated ★★ (2008-08-17 20:43:00)

2008年発表の、オリジナルとしては二枚目となるフルレンス。
C-CLAYSやソロでのインストメタルの作品と、彼がヴォーカルを取る「Karm:d」を両方
聴いた時、前者の路線に彼のヴォーカルを乗せたらきっと良いものが出来るんじゃないかと
思ってましたが、これは予想以上に凄い作品ですね…。
路線としては「闇深祭」「真遠の夜」の作風を踏襲しつつ、明確なサビのある分かりやすい
展開を設けヴォーカルを入れた…という感じなんですが、その結果シンフォ/様式美メタルの
煌びやかさやリフを始めとしたバンドアンサンブルへの妥協の無さ、V系のゴシックを噛み
砕いて分かりやすい耽美性を演出した世界観や取っ付きやすい歌メロなど、両者の長所を
上手く合わせ、更に高い次元に達したかのような素晴らしいメタル音楽が実現してます。
所々に見え隠れするプログレっぽい展開も、作風に更に深みを与えてると思います。
殊に素晴らしいと思うのはヴォーカルとメロディセンスの良さ。
ヴォーカルはラルク辺りに通じるV系寄りの歌い方なんですが、声質的に低音で歌い上げてる
時の(陰陽座の)瞬火さんにも通じる色気がある声でほんと素晴らしいです。本人は「好みが
分かれる」と言ってるようですが、確実に作品の売りになっているように思います。
メロディ、特に歌メロはV系ならMOI DIX MOISやRAPHAEL、同人シーンなら六弦アリスや
上海アリス幻樂団辺りの一流のクサメロ使いと互角に渡り合えそうなクサさ。特に7曲目が
素晴らしく、日本でも多くのメタルにはこんな良いメロディは少ないんじゃないでしょうか。
私は歌謡メタルが好きで、それだけに陰陽座の「魔王戴天」には少しがっかりしてたんですが、
そうした人もこの作品を聴いたら溜飲を下げるんじゃないかと思います。
敢えて言うならコンセプトの下敷きのストーリーがちょっと大味なのは気になりますが、
それもSOUND HORIZONやCRADLE OF FILTH辺りと比べての事で、色々と妄想を膨らましながら
聴くのには全く問題はないかと。帯にある「これを聴かずして様式美メタルは語れない」が
全く嘘に聞こえない作品。様式美メタルファン以外にもV系や歌謡メタル好きなら大推薦。
歌メロがいいので、意外とポップスファンでもいける間口の広さもある…かも。
最近ではASRIELやDRAGON GUARDIANなど、アマチュア出身でもDISK UNIONなどメタル関連の
店に置かれるバンドが多いようですが、この作品も是非置いて欲しいですね。
同人系の店よりも客層は確実にマッチすると思う。願わくば自主盤倶楽部などV系の店にも。
しかし、これで委託店舗のマージンも合わせて1260円は安いと思う。
これだけリキ入ったアルバムなら、普通のV系ならDVD付けて4000は取りますぜ(笑)。
まだ昨日買ったばかりなので聴き込み中ですが、個人的にはTRINACRIA、IHSAHN、KOKと並んで
今年のベストアルバム候補。アマチュア・同人のメタルシーンにもメジャーを脅かすほどの
質を持ったアーティストがいる事を知らしめる好例といえる作品だと思います。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye ★★ (2009-11-04 21:58:00)

2009年発表のDVD付きミニアルバム。
メンバー全員が女性のV系バンドとして有名な彼女らですが、実際に音を聴いてみると、
大鴉やHEAD PHONES PRESIDENT、KILL DIABO辺りのモダンへヴィネス要素の強い、
女性ヴォーカルのジャパメタに近い音を出してますね。ヘヴィさも海外のフィメールゴシックと
比べても太刀打ちできる、というか十二分に勝てる音で、思わず「Dir en greyもこれくらいの
ソリッドでメタリックな音にしてくれたらなぁ…」とか思ってしまうほど(笑)。
ただ、歌メロはV系の流れを汲んでいる感じがしますね。Janne Da Arcにも通じる、耳触りの
良く、一曲を通しての流れの良いメロディは、洗練されたプロフェッショナルさを感じられます。
それを歌うヴォーカルも、中性的で伸びのある、メタルバンドに相応しい歌唱力を持ちながら、
バンドの作る音世界にしっかり自分自身が酔えているような、V系的なエモーショナルさも
持ち合わせているのが素晴らしい。
V系に例えていうと、初期PIERROTの中毒性+後期PIERROTのヘヴィネス、Janne Da Arcの
洗練された歌メロを掛け合わせた感じというと近いでしょうか。メタラーにもV系ファンにも
広くお勧め出来るアルバムです。…でも、アルバムタイトルのラストの「e」には何の意味が…
アルバム登録する時何度もタイトル確認してしまったんですけど…。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye - Ambivalence ★★★ (2009-11-04 22:03:13)

タイトルは「2面性」ですが…Bメロが酷似するものであったり、1曲目とリンクする曲なのかもしれませんね。さらっと歌ってから視界が開けるようなサビに行く1曲目に対し、デス声寸前のダーティな声で唸り、落ち着いたサビへ移行する展開などから、対照になることを意識してアレンジされてるのではないかと思います。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye - Forward ★★ (2009-11-04 22:04:01)

初期PIERROTの、「最初聴いた時はアルバムの中の目立たない1曲だけど、聴きこむにつれ中毒性を増していく曲」みたいな趣のある曲。しかもサウンドは後期PIERROTと比較しても相当にヘヴィ。ジャパメタ好きだけでなく、PIERROT好きにも是非聴いてほしい1曲。個人的には一瞬だけ様式美っぽいメロの入る間奏もツボ。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye - Resonance ★★★ (2009-11-04 22:01:18)

この曲が店頭で流れていたのを聴いて購入。
一過性の「クサさ」に留まらない、洗練された「流れの良さ」を持つ歌メロ、それを歌うJanne Da Arc的な見栄の切り方の、伸びのあるヴォーカルに惹かれました。一聴でV系好き、ジャパメタ好きを惹きつける力のある1曲目。「Ambivalence」でも使われているBメロ部には、SOUNDWITCHへのリスペクトも垣間見られますね。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye - 「終わりのない世界」 ★★ (2009-11-04 22:04:50)

ダークな世界観を描き出していながらも、ラストは希望の見える曲で締める辺り、初期Janne Da Arcと似た感性を感じるんですが…でも、(Janneの)「STARE」辺りと比べるとキャッチネスが少し足りないかも。個人的にはもっと思い切ってクサくしてもいいと思う。


EXIST TRACE - Ambivalent Symphonye - 海の雫 ★★★ (2009-11-04 22:02:26)

1曲目では割と中性的な歌い方をしてましたが、この2曲目では女性らしい繊細でエモーショナルな歌い方が聴けます。そのどちらも、伸びのある、確かな歌唱力で心地良く聴かせてくれるのが素晴らしいです。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye ★★ (2009-11-04 21:58:00)

2009年発表のDVD付きミニアルバム。
メンバー全員が女性のV系バンドとして有名な彼女らですが、実際に音を聴いてみると、
大鴉やHEAD PHONES PRESIDENT、KILL DIABO辺りのモダンへヴィネス要素の強い、
女性ヴォーカルのジャパメタに近い音を出してますね。ヘヴィさも海外のフィメールゴシックと
比べても太刀打ちできる、というか十二分に勝てる音で、思わず「Dir en greyもこれくらいの
ソリッドでメタリックな音にしてくれたらなぁ…」とか思ってしまうほど(笑)。
ただ、歌メロはV系の流れを汲んでいる感じがしますね。Janne Da Arcにも通じる、耳触りの
良く、一曲を通しての流れの良いメロディは、洗練されたプロフェッショナルさを感じられます。
それを歌うヴォーカルも、中性的で伸びのある、メタルバンドに相応しい歌唱力を持ちながら、
バンドの作る音世界にしっかり自分自身が酔えているような、V系的なエモーショナルさも
持ち合わせているのが素晴らしい。
V系に例えていうと、初期PIERROTの中毒性+後期PIERROTのヘヴィネス、Janne Da Arcの
洗練された歌メロを掛け合わせた感じというと近いでしょうか。メタラーにもV系ファンにも
広くお勧め出来るアルバムです。…でも、アルバムタイトルのラストの「e」には何の意味が…
アルバム登録する時何度もタイトル確認してしまったんですけど…。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye - Ambivalence ★★★ (2009-11-04 22:03:13)

タイトルは「2面性」ですが…Bメロが酷似するものであったり、1曲目とリンクする曲なのかもしれませんね。さらっと歌ってから視界が開けるようなサビに行く1曲目に対し、デス声寸前のダーティな声で唸り、落ち着いたサビへ移行する展開などから、対照になることを意識してアレンジされてるのではないかと思います。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye - Forward ★★ (2009-11-04 22:04:01)

初期PIERROTの、「最初聴いた時はアルバムの中の目立たない1曲だけど、聴きこむにつれ中毒性を増していく曲」みたいな趣のある曲。しかもサウンドは後期PIERROTと比較しても相当にヘヴィ。ジャパメタ好きだけでなく、PIERROT好きにも是非聴いてほしい1曲。個人的には一瞬だけ様式美っぽいメロの入る間奏もツボ。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye - Resonance ★★★ (2009-11-04 22:01:18)

この曲が店頭で流れていたのを聴いて購入。
一過性の「クサさ」に留まらない、洗練された「流れの良さ」を持つ歌メロ、それを歌うJanne Da Arc的な見栄の切り方の、伸びのあるヴォーカルに惹かれました。一聴でV系好き、ジャパメタ好きを惹きつける力のある1曲目。「Ambivalence」でも使われているBメロ部には、SOUNDWITCHへのリスペクトも垣間見られますね。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye - 「終わりのない世界」 ★★ (2009-11-04 22:04:50)

ダークな世界観を描き出していながらも、ラストは希望の見える曲で締める辺り、初期Janne Da Arcと似た感性を感じるんですが…でも、(Janneの)「STARE」辺りと比べるとキャッチネスが少し足りないかも。個人的にはもっと思い切ってクサくしてもいいと思う。


EXIST†TRACE - Ambivalent Symphonye - 海の雫 ★★★ (2009-11-04 22:02:26)

1曲目では割と中性的な歌い方をしてましたが、この2曲目では女性らしい繊細でエモーショナルな歌い方が聴けます。そのどちらも、伸びのある、確かな歌唱力で心地良く聴かせてくれるのが素晴らしいです。


EXORDIUM (FINLAND) ★★ (2008-08-31 10:25:00)

フィンランドのブラックメタルバンド。
DEATHSPELL OMEGAやCLANDESTINE BLAZEなども参加した三枚組みオムニバス
「Crushing the Holy Trinity」に参加していたり、所属レーベルがMikko社長の
Northern Heritageだったりするし、ブラック好きならチェックしてる人も多いのでは。


EXORDIUM (FINLAND) ★★ (2008-08-31 21:49:00)

調べてみたら、スイスにも同名のバンドがいるみたいですね…。
しかもSatanic Propaganda所属だとか…。
こっちはフィンランドの方なので、書き込む時など間違えないようにご注意下さい。


EXORDIUM (FINLAND) - Crushing the Holy Trinity - Craving Vehemence ★★★ (2008-08-30 21:33:49)

この曲はギターソロの前の辺りが個人的に聴き所。
ミステリアスなメロディの醸し出す雰囲気が、荒々しいギターノイズによって更に濃い物になっている感じ。


EXORDIUM (FINLAND) - Crushing the Holy Trinity - Ei Toivottu Vieras (intro) / Tyrannia Martyreum ★★★ (2008-08-30 21:31:32)

まずキーボードと女性ヴォーカルによる呪術的なイントロの時点で、センスのあるバンドである事を確信するのに充分なほど雰囲気出てますね。本編もドラム・ギター共にRAWな音で気持ちいい。このコンピ盤、本当に優秀なバンドを集めたなあ…。


EXORDIUM (FINLAND) - Crushing the Holy Trinity - Unevangel ★★ (2008-08-30 21:38:07)

最初は、この音質で10分近くあってスローテンポはキツいかな…と思ってましたが…この曲、半覚醒くらいの意識の時に聴いて、脳波とギターノイズがシンクロすると、幻視体験でもしたかのような感覚に陥られる力があると思う。でもダラダラと聴く分には少し退屈かも。なので星は二個で。


EXORDIUM (FINLAND) - In Wrath Principle ★★★ (2008-08-31 10:21:00)

2008年発表の1st。
DSOやMGLA等とのオムニバスを聴いた時から気に掛かってたんですが、ようやくフルとなるアルバムを出してくれましたね。この前にもEPやライブ盤(テープ)等も出してるみたいです。

フィンランドと言うとSATANIC WARMASTERを初めとして、CLANDESTINE BLAZEやHORNA、SARGEIST等良質なプリミティブブラックメタルバンドが多数存在し、今や北欧の中でもプリブラのメッカになりつつあるという印象があるんですが、このバンドもやはりプリミティブに属するようなブラックメタルを演ってますね。

プリブラ特有のRAWな雰囲気や衝動性、酩酊感だけでなく、SETHERIALの近作に通じるようなブルータリティや構築性も備えている所がこのバンドの特徴でしょうか。音質のほうも、各楽器が漏れなく聴き取れる鮮明さで、特にドラムの音には迫力があり、作品のブルータリティを良く伝えてくれます。

ただし、ギターはプリミティブ系特有のノイジーさで、最初聴いた時は「うわ、耳痛っ!」とか思ってしまったほど(笑)。まあ、DARKTHRONEが聴ける人なら3秒くらいで慣れますが(笑)。このギターの歪みのキツさが、曲のブルータリティを精神的なものにも転化させている感じ。

ヴォーカルのねちっこい潰れた絶叫にダウナーな気味悪さを加味したようなパフォーマンスも実に素晴らしく、曲の禍々しい雰囲気を更に濃い物にしてると思います。メロディの質も違うし、こっちの方がギターの歪みが強く音像もかなり異なるんですが、個人的にはCATAPLEXYと似た雰囲気があると感じました。10年選手で、1stアルバムのリリース時期が遅くて、ライブも重視しているなど、共通点が多いからかもしれません。

良質なものが多いフィンランドのプリブラの中でも、SxWxやCxBxと比べても劣らない魅力があると思う作品。プリブラファンならばマストと言ってもいいアルバムだと思います。


EXORDIUM (FINLAND) - In Wrath Principle - Language of the Dying ★★★ (2008-09-01 20:47:53)

トレモロ+疾走のパートが魅力的なのは当然として、ミディアムパートがそれ以上に魅力的なものになっているところに凄みを感じられますね…。ふてぶてしいくらい堂々とした雰囲気を感じられます。


EXORDIUM (FINLAND) - In Wrath Principle - Nocturnal King ★★★ (2008-09-01 20:45:19)

1曲目から緩急を巧みに織り交ぜた曲で聴かせてくれます。
特にスローパートは、威風すら感じるくらい濃厚な雰囲気。まだ一枚目だと言うのに、アルバム10枚出してるバンドのような貫禄があるように思います。


EXORDIUM (FINLAND) - In Wrath Principle - Wrathprayer ★★★ (2008-09-01 20:42:05)

ブラストビートを用いたパートにはメロウさや酩酊感を演出するリフ、高速スラッシュビートのパートにはテンションの上がる禍々しさ重視のリフを合わせてたりする辺り、リフとリズムの組み立て方が上手いですよね。この巧みさで、更に音に没頭させられてしまう感じ。


EYECULT - Morituri Te Salutamus ★★ (2016-05-18 13:03:09)

2009年発表の1st。

冒頭の、まるでプラスチック製のドラムを叩いているようなドラムの音による「デデデデデデデデ…ででーん!」みたいなチープ極まりないフレーズを聴いた時は、なにか微笑ましいというか生温かいというか…そんな気持ちになりましたが、その予想を裏切って本編ではかなり良質なメロディックブラックを演ってますね。

某ショップではプリミティブ系の音にも関わらずDARK FUNERALが引き合いに出されていた通り、トレモロリフによる煽情度の高いハーモニーが全編に渡って聴けるのが特徴。ヴォーカルもなかなか気合入ってますし、やや粗めながらメロディをしっかり堪能できる程度にはプロダクションが整っているのも良いですね。個人的には、SÜHNOPFER辺りのメロディックブラックが好きな人にお勧めしたい音です。

冒頭でチープな音と決め付けるのは余りに損な作品。流石Ewiges Eisだけあって若干ニッチですが良質な音源をリリースしてくれています。


EYES OF FENRIR - Victorious Holy War ★★ (2009-10-10 18:51:00)

2009年発表の1st。
バンドロゴのフォント、COBのやつと一緒ですね(笑)。リスペクトしてるんでしょうか。
私はMARCHEN STATIONでLeo Figaro氏のヴォーカル&音楽センスに惚れ、このバンドにも
手を出してみましたが、やっぱり彼の声は良いですね。基本歌詞は英語なんですが、
単純に日本語的な発音とも言えない、妙なアクセントの付け方や、字余り気味の歌詞の乗せ方が
絶妙な個性になっていて、それが曲を更にクサいものにしていると思います。少しV系にも
通じる、ナルシスティックな自己主張の強さが感じられるのも個人的には好感を持てるポイントだったり。
ただし、歌メロはMARCHEN STATIONよりも普遍的なメロスピに近く、歌謡臭さは控え目。
…といっても水準は軽く超えてると思うし、雪原やオーロラをあしらったアートワーク通りの、
煌びやかながら品もあるキーボードや、ソロもかなり多い派手なギターワーク、劇的なメロディを
更に劇的にする疾走など、メロスピの美点はしっかり押さえている感じ。メイン作曲者の東さんは、
本当にメロスピが心の底から好きなんだろうなぁ…、と聴いていて伝わってきます。
ただ、MARCHEN STATIONもそうでしたが、音質が余り良くないのはネックかも。
繊細な音作りなのかもしれませんが、もう少し音圧・音量は上げても良いかと…。
個人的には歌謡臭さや民族っぽさがあるぶんMARCHEN STATIONの方が好みなんですが、
北欧メロスピが好きならばこちらの方が気に入るかもしれません。
メロスピ+日本人らしいクサさの演出、の組み合わせにビビっときた方は是非。


EYES OF FENRIR - Victorious Holy War - Shining Aurora ★★★ (2009-10-12 04:12:56)

ストリングスのフレーズが明らかにSOUND HORIZONの「澪音の世界」のオマージュで、メロスピ以外の音楽からの影響も色濃く感じられる曲。やっぱりSOUND HORIZONはメロスパーに人気なんでしょうか。そのフレーズがギターで奏でられるパートがたまらなくかっこいい。ボーナスで日本語版も付いてますが、個人的には英語版の方が好き。


EYES OF FENRIR - Victorious Holy War - The Dark Nordic Winter ★★★ (2009-10-12 04:13:49)

間奏の、キーボードがど派手にゴシック的な耽美メロをブチ撒けるパートが絶品な曲。歌詞もストーリーが分かりやすく描かれていて、「例のキーのフレーズは、主人公の心情を投影して書いたんだろうか…」とか、色々妄想のし甲斐のある曲になっていると思います。


EYES OF FENRIR - Victorious Holy War - Victorious Holy War ★★ (2009-10-12 04:12:02)

初っ端から「やっぱり彼の声・歌い方は良いなぁ…」と思わされます。
普通海外のシンガーは、「Victorious Holy War」という単語をこういうアクセントでは歌わないし、こういうメロディも乗せないと思う。それをやってしまうところが、もう個人的にはどツボなんですよね(笑)


EZURATE ★★ (2011-07-15 00:15:34)

BLOODTHRONEのメンバーが関わるアメリカ産ファストブラック。
NACHTMYSTIUMのBlake Juddも関わっていた時期があったらしいです。


EZURATE - Eve of Desecration ★★★ (2011-07-15 00:16:37)

2010年発表の3rd。

ヴォーカルの太っちょなルックスになんか愛らしさを覚えたりしてたんですが、音は愛らしさの欠片もない、殺伐極まりないファストブラックですね。荒涼感のある爆走にインパクトのある叙情メロを絡めて行く手法は、Legion在籍時のMARDUKにかなり近いスタイル。「Slay the Nazarene」を連呼する曲があったり、「Into the Fathomless Depths」というインストがあったり、スウェディッシュブラックへのリスペクトは並々ならぬものがありそう。

スローパートでは不気味さも醸しだすMARDUKに対し、この作品はミドルパートでは叙情メロが中心(と言っても8割強は爆走ですが…)なのもMARDUKと異なるポイントですね。音質はMARDUKの諸作よりもやや乾いた、多少RAWな音ながらメロウなベースがしっかり聴こえたり、聴きづらさは特にない感じ。ヴォーカルはLegionよりも喉を絞めた、感情表現豊かな感じですが、最も声が乗ってるときはかなりLegion似だと思う。

個人的に、このアルバムで特筆すべきはそのテンションの高さだと思う。
爆走パートでの破壊神っぷりも然る事ながら、アルペジオやメロウなリードフレーズ、ギターソロで聴かせるパートであっても、絶対に聴き手を休ませないという意志が伝わるくらい常に全力投球でそれを聴かせようとしている感じ。一応、OP、ED以外に2曲インストを挟んでますが、リスナーに箸休めの機会を与えた事を反省するかのように、すぐさま殺気3割増くらいでカチ込んできます(笑)。

しかも、そのテンションが約65分、15曲続きますからね…こういう音が好きでない人なら確実に飽きる、私でさえちょっと疲労感があるくらいなんですが…このバンドは出し惜しみなんてシャバいことはしないのでしょう(笑)。これだけの尺があって実験に走らない、アホの一念な作風が実に素晴らしい。これはファストブラック好きは聴かざるをえないかと。


FAINT IN PAIN - 悶絶元年 ★★ (2008-10-08 23:53:00)

2007年発表の1st。
…何なんですか、この「クサメタラーホイホイ」なタイトルは(笑)。
思わず買っちゃったんですけど…。
このタイトルに恥じない、女性ヴォーカルによる歌謡曲/ポップス並にクサい歌メロを
フィーチャーした正統派/メロパワで期待を裏切らない内容なんですが…、クサくて印象に残る
歌メロ、正統派寄りでスラッシーな部分もあるリフ捌きや時折メロディアスなフレーズを
挿入しクサさをブーストするベース、そこだけ聴いてもカタルシスが得られる(=悶絶)
ツインリードなど、JAPANが付く前のXを思わせる部分がかなりありますね。
リズムはXのそれ程派手ではないですが、メタリックな質感を重視してる感じがします。
ヴォーカルはちょっとヤンキーっぽい(?)感じがして大味な部分があるのが気にかかりますが、
ハスキーで力強く、突き抜ける感じがあってなかなかにかっこいいです。やっぱりこういう、
勢いのあるヴォーカルはクサメタルには必須ですね。クサい歌メロが更に際立ってます。
ただ、歌メロは十二分にクサいんですが、Xの衝撃と比べると少しインパクトが弱いかも。
Xは、歌謡曲/ポップスだけでなく、クラシック寄りのメロディも取り入れていたからこそ、
歌メロがあれほど叙情的だったと思うんですが、個人的にはこのバンドもメタルや歌謡曲だけで
なく、クラシックでも民謡でも、教会音楽でも何でもいいので、他のクサいメロディが頻出する
ジャンルから旋法を引っ張る等の工夫をして、クサい歌メロを更にリファインして欲しかった所。
…とは言っても、一回聴いただけでクサメタラーを悶絶せしめるだけのパワーがある曲が
揃ってると思うし、タイトルの「悶絶」に惹かれて買っても損はありませんよ。


FAINT IN PAIN - 悶絶元年 - EMERGE ★★ (2008-10-08 23:58:49)

オープニングのインスト。
最初のベースを聴いただけで、「これはとんでもないクサアルバムなのでは!?」と期待してしまいましたが、それを裏切らない出来。ただ、この曲は折角の疾走パートが短いので、アルバムの中ほどに入れて疾走を長くして欲しかったなぁ…。


FAINT IN PAIN - 悶絶元年 - JIHAD ★★★ (2008-10-08 23:57:39)

ミディアムテンポの曲ですが、メロディの良さはアルバム1かもしれません。
特に「♪存在するのだろう」のクラシカルなメロディの流れ、美しすぎるでしょ…。


FAINT IN PAIN - 悶絶元年 - 月恋 ★★★ (2008-10-08 23:56:39)

インスト明けいきなりのキラーチューン。
疾走感も歌メロもクサメタルとして隙がないですが、特にツインリードによる間奏パートが好きですね。「悶絶」のツボを完全に知っている人が、それを実践している感じ。


FAIRY MIRROR - Eternal Fortress ★★ (2009-11-16 22:41:00)

2003年発表の1st。
現在メジャーレーベルKing Records所属の、SAEKOさんが在籍してた事でも有名ですね。
このアルバムの時点では既に脱退し、MIYAKOさんという方に交替してますが。
女性ヴォーカルをフィーチャーした、正統派/メロパワ路線のジャパメタ。
…と、一言では言えない魅力が、演奏にはありますね。ツインギターによるリフの絡みや、
キーボードを用いたメリハリある演奏は、普通の正統派やメロパワよりも大分メロディックで、
オケだけ聴いたらメロデスっぽくも聴こえると思う。…私は最初このバンドがKing Records
所属だと思っていて、「さすがメジャーだ!!」とか勝手に思ってたんですが…(笑)。
まあそれだけ説得力ある演奏だという事で(笑)。
ただし、ヴォーカルは少し厳しいものが…キンキン声に引き攣るようなビブラートを加えた
ハイトーンは、「メタル」でも「HM/HR」でもなく、「ヘビメタ」という言葉から想起する
ようなダサさを感じてしまう…しかも中音域は更に不安定。語りの声は可愛げがあるのに…。
と言っても、このスタイルにダサさを感じるかどうかは人それぞれだし、ちょっと昔の
Toshiさんっぽい感じもあるので、好きな人は好きだと思います。
このアルバムのリリース後、バンドは一旦活動を停止したらしいですが、現在新ヴォーカルを
迎えて活動を再開したみたいですね。試聴するかぎり、演奏の良さはそのままに、ヴォーカルの
スタイルや歌メロがより洗練された印象。「好きな言葉」に、B'zの曲の中でもポップな
「Wonderful Opportunity」の歌詞を引いた、新VoのJunoさんのポップセンスが良い方向に
作用してるのかもしれませんね。フルアルバムのリリースも楽しみです。


FALKENBACH - Tiurida ★★★ (2012-03-31 11:38:49)

2011年発表の5th。

デス/ブラックベースのフォーク/ヴァイキングメタルの中でも、かなりバランスの良い作品なんじゃないかと思います。フォークメタル特有の民族的なクサメロや、アコギ、笛などのフォーキッシュな要素に加え、どこかブラック由来のダークさも漂っていて、土着的なムードが非常に強く感じられますね。KORPIKLAANIでは明る過ぎて邪悪さが足りず、ELUVEITIEではメタリック過ぎて土着性が足りず、かといってリアルにエスノセントリズム掲げてるようなカルトバンドに走るのも…と思っている、好みのうるさい貴方にも自信を持ってお勧め。

…と、無難なレビューを書いて終わらそうと思ったんですけど…もう一つ言わせてもらえれば、2曲目「…where his ravens fly…」がクサ名曲過ぎてヤバい!やったら耳に残るヴァイキング的なクサメロを、朴訥なクリーン声で何度も繰り返して歌う曲で、中毒性が半端なく高いです。アルバム全体を見ても、ブラックの苛烈さとヴァイキングの泣きメロが融合した3曲目、インストながら彼らの神話的情景が聴いてすぐ浮かぶような描写力が光る4曲目、濃厚なドラマ性を持つ6曲目など、どの曲もキャラが立っててクオリティの高いアルバムなんですが…やはりこの2曲目は頭一つ抜けて名曲だと思う。

際立った名曲もあり、メロディや情景描写のセンスも高く、この手のフォークメタルでもかなりお勧めできる作品。それにしても、このバンドって独りプロジェクトだったんですね…ここまでのものを独りで作り上げるなんて、正直ちょっと天才かも、と思いました。


FALL OV SERAFIM - Nex Iehovae ★★ (2011-05-03 23:33:46)

2006年発表の1st。

スウェーデン産のシンフォニック・ブラックとの事ですが、これを聴く限りキーボードはあくまで付加的に使われ、根幹はデスメタル的なヘヴィネス・アグレッションを伴う刻みリフと、ブラックメタルのトレモロリフの叙情性を組み合わせたギターワークで、シンフォ系の中ではかなりギターの音圧が強め。ヘヴィなリフがテクニカルに駆動する、高品質なサウンドは、メロデス好きにもお勧め。

他のサウンドの特徴としては、キーボードを使った大胆な場面転換が挙げられますね。時々、「それは無理矢理展開しすぎでは…」と思わされることもありますが、似たような音が続いてダレるよりよっぽどいいと思う。ヴォーカルは、超高音をカットし、その分力を中音域と低音域に振り分けたDani Filthという感じで、なかなか迫力あります。

クオリティも高いですし、あと1つ心をガッと動かすような何かがあれば、名盤になるかもしれませんね。個人的には、現時点では良盤クラスかと思います。しかし、MAYHEM大好き(特にWLA期)な私からすると、名曲「Fall of Seraphs」を思わせるこのバンド名こそがキラーだったりします(笑)。


FALLOCH ★★ (2011-10-25 21:59:33)

去年結成された、イギリスのポスト/フォークブラック。
ショップやレビューサイト、ブログ等での評価もかなり高い模様。


FALLOCH - Where Distant Spirits Remain ★★★ (2011-10-25 22:00:03)

2011年発表の1st。
某有名メタル取扱店で猛プッシュされてて、つい買っちゃいました(笑)。

個人的には情景描写に徹しすぎて音像にあまり動きがなかったり、メタルとしての形を留めていないポストブラックってちょっと苦手なんですが、これはいいですね。アコースティックなパートと苛烈な疾走も含むブラックパートでメリハリが付けてあるし、曲の展開によって笛やピアノ、休符を上手く使ったベースライン等を取り入れたり、聴き手を更に深く引き込むような音像の変化があるのが良いですね。ラストをピアノインストで締める構成も非常に美しい。

勿論、話題になるだけあってメロディのセンスは抜群に良いです。
笛を使っていることからも分かるように、幻想的で柔和な、トラッド色の強いメロディで、特に3曲目のアコギ・笛・シンセ・パーカッションによるインストの「Horizon」なんかは、リアルに水平線に沈む太陽が脳裏に浮かぶよう。テレビで、早朝の番組が始まる前の時間に自然の風景の映像を流してたりしますが、ああいうのに合わせたらハマりそうなんで、局の方どうでしょうか(笑)。

ちなみにヴォーカルはほぼクリーン。
OPETHやALCESTを思わせるような、優しげに歌い上げるイケメンボイスで、ハモりも多用し実に心地よく聴かせてくれます。OPETHよりもちょっと若い感じで、個人的にはもう少し軽さが無くなれば言うこと無しですが、まあ悪くないです。ただ、時折感情が高ぶったように声を荒げる部分は、デス声未満のかなりヌルいがなりになってるのでそこだけは改善して欲しいかも。叫ぶならNeigeくらいやって欲しい。

…と、色々書きましたが、確かに店の人がプッシュしたくなるのも分かる、良質のポストブラックですね。個人的には普段ワールドミュージックとか、非メタル・非ブラック聴いてる人の感想が聴いてみたい作品。ここはお店の甘言に乗せられて、手を出してしまってもいいのではないかと思います(笑)。


FALLS OF RAUROS - Believe in No Coming Shore ★★ (2015-05-24 12:38:06)

2014年発表の3rd。

2011年の2ndが結構多くのレビューサイトで評価されたり、割と話題になっていたようですが、今更になって聴いてみました。タイプとしては、フォーキーな色の強い叙情メロを、悲痛に叫ぶヴォーカルとディストーションの強い音像が強調し、より悲壮感を持って聴かせるネイチャー/アトモスフェリック・ブラック路線。この、涙を流しながら前に進んでいくような、悲壮な決意でも感じられそうな雰囲気は新世代のブラック特有ですよね。

このバンドは、その中でもメタルとしてかなり取っ付き易い音なんじゃないかと思います。展開も過剰にミニマルになることなく、ドラマ性たっぷりに緩急付けて聴かせるものですし、叙情的なリードギターのソロを結構長めに聴かせたり、渋い泣きの感じられるアルペジオをフィーチャーしたり、構成するパーツが比較的メタリックな感じなんですよね。ポスト方向に行き過ぎていない聴きやすさがあると思います。

他の似た系統のバンド…例えばVALLENDUSKなんかと比べると、若干ダークさは弱めで個人的にはそこがちょっと物足りなかったりするんですが、泣きメロや悲壮でエモーショナルな雰囲気を求めるならば、かなり良いアルバムではないかと思います。


FAMINE - Famine ★★★ (2015-09-21 09:59:32)

2007年発表の1st。
今年Avantgardeより再発され、試聴して良かったので購入。

一言で言うなら、「腐食系」とでも言えそうな、グズグズに崩れるようなカオティックさを感じるブラック。時折アヴァンギャルド性も感じられますが、リフはブラックとしてのオールドスクールさがありますし、カオスさを強調する攻撃的なリズムもかっこよく、根幹の部分はかなり真っ当にブラックしていますが…ヴォーカルや音響のせいで禍々しい雰囲気が凄まじい事に。

まずヴォーカル…単に絶叫するだけでなく、呻いたりして精神のタガが外れたようなパフォーマンスも壮絶ですが、それにリバーブが掛かりまくるので最早訳の分からないことに。音質もノイジーさがあるだけでなく、エフェクト的な音も混ぜて更にぶっ壊れた感覚をブーストさせてますね。個人的には、KATHARSISの「VVorld VVithout End」やLEVIATHANの「Massive Conspiracy Against All Life」辺りのアルバムを想起させるようなカルト性を感じます。

…こんなイカれた作品を、しかも8年も経って再発するとは、流石Avantgarde…と妙に感心してしまった1枚。地獄を体現するような禍々しさです。


FARSOT - IIII ★★★ (2011-01-13 18:46:59)

2007年発表の1st。
ブラックメタル特有の、ざらついた音質のリフによる音塊に、時に叙情的に、時に不気味さを伴うメロディを流し、情景を描写するスタイルのメロブラですね。

メランコリックな泣きメロやアコースティックギターをフィーチャーし、叙情的な、ある意味で親しみやすい一面を見せたかと思えば、幽玄で不気味なキーボードを配したり、ブラックの得体の知れない邪悪なメロディを垂れ流し、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出したり、まるで様々な表情を人知を超えた所で見せる自然を思わせる作風は、情景的にもスタイル的にもWOLVES IN THE THRONEROOM辺りと共通するものがありそう。

ただ、WOLVES~と比べると、よりメロディが前に出る部分では主張が強いものになっていたり、ヴォーカルが悪意的ながなり声で、咳き込みも見せるなど邪悪なパフォーマンスを演じていたり、より表現が分かりやすい感じがしますね。よく言えばハイライトの多い作風、悪く言えばあざとく聴こえなくもない作風だと思う。確かに身を切るような感覚では向こうの方が上かもしれませんが、個人的にはメロディ志向・邪悪さ重視志向の強いこのバンドのほうが好きだったりします。

WOLVES~と比べると大分マイナーですが、こっちも負けず劣らずの物件ですよ。情景描写重視型のメロディック・ブラックが好きなら見過ごしてはいけないアルバムです。


FATAL DESOLATION - COLD, STARLESS, MOONLESS ★★★ (2011-05-02 22:02:41)

2011年発表の1st。
DAEKTHRONEの「Skold av Satans Sol」のカヴァーも収録。

ZERO DIMENSION発のDARKTHRONEタイプ国産プリミティブブラックとして、ブラック好きの間で結構話題になっている作品ですが、確かに2ビートのミニマルな疾走と邪悪さが滲み出すようなトレモロを軸に展開する曲構成といい、音割れのノイズが全体を覆っているようなガビガビした意図的な劣悪音質といい、喉が千切れんばかりに叫ぶヴォーカルといい、確実にDARKTHRONEから影響を受けている音ですが、単なるフォロワーでない、プラスαな魅力がありますね。

諸外国から見て、日本人は割りと真面目なイメージらしいですが、この作品はそういう意味で「日本人らしいプリブラ」。DARKTHRONEの三部作を始め多くのプリブラって、「フレーズが聞き取れなくてもいいや」くらいのラフさがあったりしますが、これはノイズ塗れの中にあっても、ツインギターを利用したフレーズがあったり、ベースに見せ場があったり、しっかりフレーズを聴かせきってる作品だと思う。作風は違いますが、CRAFTにも通じる丁寧な作り。

…個人的にLes Legions Noiresの音源の約半数とか、余りにもラフ過ぎるプリブラって聴いてて辛いんですよね…なのでこの作品の、ラフ過ぎないミニマル過ぎない、バランスの良い作風はかなり好きだったりします。ところどころ登場する、土着的な薄気味悪さを感じさせるメロディ、タイトル曲で聴ける怨霊の悲鳴のようなギター音、何故か感じられるハードコア的な炸裂感など、このバンドならではというものがあるのも素晴らしい。

国産ブラック好きなら必聴。買って損する事はまずないです。


FATIMA HILL - The Snow Tower ★★ (2009-12-12 20:53:00)

2009年発表の3rd。
このバンドのアルバムは初めて聴いたんですけど、一聴した限りでは落ち着いた雰囲気で
進行していく神秘的なメタル…という印象でしたが、よく聴くと色々な要素が交じってますね。
基本的にはプログレ寄りのアンサンブルを取り入れた、ドゥーミーなゴシックという感じですが
時折入るしっかりとフレーズで主張するギターリフや、華麗さも感じられるキー&ギターソロ、
全体を包み込むようなアトモスフェリックなキーボードなどは、確かに正統派や様式美メタルが
根底にあることを感じさせてくれます。それらの要素を上手く纏め上げ、一つの情景に
昇華させる作曲・編曲能力は流石ベテランといったところですね。
その練り込まれた、絵画的な音の中でも「顔」としての存在感あるヴォーカルも素晴らしい。
低~中音域メインで、下手な男性よりも力強さがありながら、変に体育会系ズレしていない、
呪術っぽさと清楚さを兼ね備えた声なのがツボです。その歌メロも、タイトル曲のキーボードと
融け合うようなメロ、2曲目の一度聴いただけで鮮烈な印象を残すサビ、ラスト曲のJ-POPも
真っ青な歌謡曲メロなどを初め、上質な物が揃っていると思います。全体的な雰囲気の演出の
上手さと、この歌メロでプログレ性や土着性など、マニアックな部分が上手くオブラートに
包まれていて、かなり聴きやすくなっている感じですね。
…このバンドも活動歴が長く、評価も高いらしいですが…確かに、昔のジャパメタっぽさが
そこかしこに感じられるような気がするんですよね…音から見える情景は北欧のゴシックに
通じるものがあるのに。特に変にモダン化していない、音作りの面で強くそれを感じます。


FATIMA HILL - The Snow Tower - Aino-uta ★★★ (2009-12-12 21:01:50)

1曲目から聴いてきた人にとっては、余りにも親しみやすすぎるサビにかなりの衝撃を受けること間違いなし。ヴォーカルも別人みたいだし。これ、普通に石鹸のCMとかで使われても可笑しくないと思うんですけど(笑)。歌メロはJ-POP並にキャッチーですが、普通のJ-POPにはない高尚さ・繊細さがある気がします。


FATIMA HILL - The Snow Tower - The Snow Tower ★★★ (2009-12-12 20:58:19)

正にジャケット通りの音が展開されるタイトル曲。
キーボードが聴き手の眼前に情景を広げ、その中で祈るような声で歌い上げるヴォーカルが聴けるサビが本当に素晴らしい。でも、「堕落したドラゴン」というと、どうしてもルシファーを想像してしまいますが…どういうバックグラウンドのある曲なんだろう。


FEIGUR - Ⅱ, Desolation ★★ (2011-12-20 23:16:49)

2010年発表の1st。
「Ⅰ, Pestilence」に続く2作目となる作品らしいです。

鬱ブラックって、音像に工夫を凝らして聴き手を陰鬱な世界観に引きずり込もうとするバンドが多いですが、このバンドも音作りは結構拘っている感じですね。ギターのディストーションとアトモスフェリックなキーボードの混ざり合った音は、どこか鏡面を思わせ、そこに鬱々としながらも儚げなメロディが反射するように鳴り響いて作られる音は、単に悲壮感があるだけでなく、幻想的な感じ。

ただヴォーカルは鬱ブラックに典型的な、裏返り気味の絶叫で壮絶といえば壮絶なんですが…。ちょっとこの手には食傷というか、鬱系を普段から聴いてる人にとっては感情表現が想定の範囲内な感じなのが惜しい。痛絶な感情が込められてはいるんですが、「ここまで悲痛な声が出せるんだ…」くらい振り切ってくれれば尚良かったと思う。裏返り成分の少ない4曲目が個人的には一番好みだったりしますし。

とは言っても、メロディ、音像共に聴き手をしっかり世界観に惹き込む力のある作品ですので、儚く美しく、悲壮感のある鬱ブラックを求めている方にはお勧め。なかなか良質なアルバムだと思います。


FENNESZ ★★ (2011-09-14 00:01:36)

ジャンルとしてはエレクトロニカを演っているアーティストですが、ULVERの作品のリミックスを行ったり、KTLのPeter Rehbergらが運営するMegoより作品をリリースしていたり、何気にメタラーにも馴染みの深い人だったりします。坂本龍一さんともコラボレーションをしているので、エレクトロニカ聴かなくても知ってる人も多いのでは。


FENNESZ - Endless Summer ★★ (2011-09-14 00:03:15)

2001年発表の2nd。
…タイトルが「Endless Summer Vacation」じゃなくて良かったですよね。
そのタイトルにトラウマ持ってる人、ネット上には沢山いそうですし(笑)。

吹き荒れるグリッチ音や、様々な楽器やメロディの断片が電気的に処理され、それによってリスナーの脳裏に情景が浮かんでくるような作品で、メタルとは一見かなり開きがある音に聴こえますが…個人的には聴いてるとBURZUM(の特に3rdの1曲目)を思い浮かべるんですよね。実際の出音は抽象的ともいえるのに、頭の中には1つの絵画のような情景が浮かび、引き込まれるような所が似てる。

個人的に凄いと思ったのは、メロディが直接的でないこと。
確かに、メロウな雰囲気を出すような部分もあるし、断片的にはメロディアスと言ってもいい音だと思う。ですが、例えば映画とかで、ジャケの海に日が沈むような情景で流れるようなメロディって、何気に無いんですよね。それなのに、音の組み合わせで、ジャケと合致した世界観を演出しているのに凄みを感じる。美術学校で音楽を学んだというバックグラウンドがあるようですが、音が多分に絵画的なのは、そのせいもあるのかもしれませんね。

メタルと一見関連の無い音でありながら、人脈的にも情景的にも深いところでは繋がっている作品だと思う。アトモスフェリックブラックやポストメタルなどが好きな人は違和感なくハマれるのでは。


FENRISULF ★★ (2009-07-19 23:47:00)

東京産ブラックメタルバンド。
CDに詳細は書かれていなかったんですが、SARINというバンドの元メンバーが演ってるらしいです。


FENRISULF - FENRISULF ★★ (2009-07-19 23:42:00)

2009年発表の1stデモCD-R。66枚限定。
デモと言っても9曲入りで、しっかりフルアルバム並みのボリュームがあります。これで700円だからお得ですよね。私みたいなミーハーも手を出しやすい値段(笑)。

さて肝心の内容の方ですが、鬱系に通じる悲鳴と寒々しいメロディを乗せてミニマル気味に疾走するプリミティブ・ブラックで、ASHDAUTAS VRASBATLATを狂性はそのままに、展開を典型的なプリブラに近付けた感じというと近いかもしれません。リフは個人的にはMALICIOUS SECRETSに通じる壊れた雰囲気を感じたんですが、MxSxがひたすら細切れのメロを繰り出しつづける事で壊れ感を演出していたのに対し、こっちはメロディそれ自体が壊れている感じがします。

また、この手の国産ブラックの特徴なのか、このバンドのヴォーカルもASHDAUTAS~負けず劣らずのヒドさですね(褒め言葉・笑)。基本的に高音絶叫なんですが、GORGOROTH/TRELLDOMのGaahl氏のそれに近い典型的なブラックのぶち切れ絶叫から、喉を締め付けるような細い高音の搾り出し、絶叫マシンに乗せられた女性の如き高音大絶叫までその中でバリエーションを付け、かつイカレてます。ただ、少し演技っぽさも感じられてしまったので、その辺りはおいおい改善していって欲しいですね。


FENRISULF - FENRISULF - FROM PAST ★★ (2009-07-19 23:43:51)

寒々しいだけでなく、ドス黒さもしっかり感じられるリフのメロ使いが素晴らしい1曲目。…それにしても、入りの部分のギター、すっごい良い音出てるなぁ…(笑)。


FENRISULF - FENRISULF - FULL MOON ★★★ (2009-07-19 23:46:01)

このリフの黒いメロディ、素敵過ぎ。
黒さは黒さでも、酸化した血の靄が辺りを覆っているような血腥さ・瘴気がある黒さだと思う。これだけのリフが書けるんだし、是非国産アングラシーンで頑張っていただきたいです。


FENRISULF - FENRISULF - KAGEROU (2009-07-19 23:44:49)

この手の国産ブラックで路線でこういうリズムが出てくるのは結構意外。
プリブラ王道的パートも勿論装備してますが。


FESTER - THE COMMITMENTS THAT SHATTERED...1991-1992 (2012-08-17 10:04:48)

2010年発表のコンピレーション盤。

91年の「The Introduction」と92年の「Water of Sin」に、ボーナストラックとして91年に行われたライブを3曲収録、79分近くとCDの収録時間ギリギリまで詰め込んだ音源集で、初期ノルウェー産ブラックのレア音源を多数リリースするKyrck Productionsからのリリース。ちなみに1000枚限定です。

ブックレットに詳細なバイオグラフィーが書かれていますが、それによるとこのバンドは音楽性やファッションからシーンに完全に受け入れられていたとは言えないものの、インナーサークルのメンバーとの関わりもあったようで、それを物語るエピソードとしては中心人物のTiger氏は自宅でHelveteの支店的な感じで物品を売っていたり、サークルメンバーと共にアスキムの鉱山に潜ったことがあったりなどが紹介されてますね。

ただ、ブックレットに彼らがシーンの深い部分に完全には受け入れられていなかった理由として、彼らは決して「Pure Black Metal」を演奏してはいなかった…と書かれている通り、スタイル的にはデスメタルの要素が強い作風なんですよね。低予算で作られた如何にもデモな音質や高音でのやけくそな絶叫はプリミティブ系に通じはしますが、曲自体はリフのドロドロした感触といいブラックの寒々しさよりデス的なおどろおどろしさが強い感じ。

スローパートの何ともいえない粘着質な薄気味悪さとかは良い感じなんですが、正直個人的にはこれを80分近く聴き続けるのは流石にキツいと思う作風。初期ノルウェーのシーンを知るための資料や、バンドの音源集としてはかなり優れたコンピレーションだと思います。マニア向けですが貴重なバイオグラフィーもありますし、ディープなデス/ブラックファンは持っておいてもいいかも。


FESTERGUTS - Heritage of Putrescent ★★★ (2015-08-09 06:46:49)

2013年発表の1st。
このバンド、何気に90年代半ばから存在しているみたいですが、フルアルバムとしてはこれが初の作品となるようです。

タイプとしては、攻撃性剥き出しのブルータルなデス/ブラックをベースに、キーボードや女性ヴォーカルを導入したシンフォ要素で味付けした感じ…と言えそうですが、バンドサウンドの野蛮さがやたらと生々しいのが特徴ですね。リフのゴリゴリ感といいヴォーカルのグロウルのおぞましさといい…シンフォ要素が無かったとしても魅力的に聴こえるであろう、筋の通ったブルータルさ。

…例えばCRADLE OF FILTHなんかは、シンフォ要素が混じりやすいようにバンドサウンドの方も整えている感じなんですが、このバンドの作風はもっと繋げ方がダイレクトというか、無理やりというか…。美と醜の融合というよりは、基本的におぞましい醜の要素がベースで、そこに美が点在している感じでしょうか。このバランス感覚が結構面白いんですよね。音としてのクオリティも高いですし。

FLESHGOD APOCALYPSEやSEPTICFLESHなど、シンフォとデスを組み合わせたバンドのメジャーどころと比べると、もっと原初な感じのする音だと思います。


FINAL FANTASY Ⅳ ★★★ (2011-01-04 21:53:32)

超名作。
RPGと言って真っ先に浮かぶのがこれ。

何と言っても、遊びやすいゲームシステム/難易度設定と、ドラマティックな
ストーリーがいいですね。当時小学生ながらハマりにハマってましたもん。
小学生の興味を、全く途切れさせる事なく40時間以上プレイに熱中させられる
RPGが、果たしていまどれだけ出ているんでしょうね…。
王道、故に覇道…って感じです。当時のスクウェアは凄かった…。


FINAL FANTASY Ⅵ ★★★ (2011-01-08 08:29:53)

このゲームをプレイしてると、本当に「劇伴音楽」の重要性が良く分かる。
ゲームに限らず、ドラマや映画、バラエティ、なんでもそうですけど。

特に感銘を受けたのは、世界崩壊後仲間たちがバラバラになって、セリス独りで
決意を持って島を出て、フィールドで流れる「仲間を求めて」。
あのシチュエーションで、あの曲は反則でしょう。しかもフィールド音楽なので、
当然何度も聴く事になりますが、何度聴いても飽きないメロディ。
ゲーム音楽の古典的な作品として、あの曲は残しておきたいですね。

ゲーム性についても、上で既に書かれているように、何度もプレイしたくなるもので
素晴らしいです。魔石を手に入れたとき、それを割り振るときとか本当楽しい。
私はロックをレベル99まで育てましたもん(笑)。
ただ、強い魔石の方がレベルアップボーナスが大きいので、序盤や中盤でのレベル上げに
メリットが無い(むしろデメリットが大きい)のが、惜しいと言えば惜しいかも。
序盤の魔石にも終盤のものにないメリットがあれば良かったんですけど。


FINAL FANTASY Ⅳ Complete Collection ★★★ (2014-06-11 11:11:58)

SFC時代にスクウェアが残した超名作「ファイナルファンタジー4」をリメイクし、そのアフターストーリーであり、携帯アプリやWiiウェアで展開された「FF4 The After 月の帰還」を追加した上、その二つを繋ぐ「インタールード」を加え2011年にPSPでリリースされた作品集。現在PSストアで2000円ちょっとで買えるのと、VITAで64Gのメモリーカードを購入し、容量に余裕が出来た事もあり買ったんですが…これ、ホント素晴らしいですよ。

まずFF4の方ですが…これは元々が超名作だったこともあるんですが、それが更に遊びやすく改良されてますね。ドット絵が描き直され、全体的にグラフィックが綺麗に、見やすくなっていたり、街やダンジョンでのダッシュの追加、戦闘での倍速オート機能追加などが行われた事でサクサク進めるようになっていたり、より快適なプレイが出来るようになってます。純粋に遊んでて楽しく、「RPGの楽しさってやっぱこうだよな…」と思わせてくれます。

また、ラストバトル直前にパーティの入れ替えが出来るようになっていたり、そのメンバー専用の装備が手に入る追加ダンジョンがあったり、原作を遊んでいたファンにも嬉しい追加要素があるのがまた素晴らしいです。原作やってるとギルバートにもっと活躍の場を与えたくなりますが、この仕様なのでそれが叶います(笑)。ただ、セシル以外全員入れ替えの新メンバーパーティで組むと「盗む」要員がいなくなるのが、若干辛いところではありますが…。

ただ、ここまでしっかりリメイクしてくれるなら、アイテム管理のシステムも「ジ・アフター」基準にして欲しかったですね。それだとデブチョコボがいらなくなるので、まあ仕方ないのかもしれませんが…。あと、SEが全体的に劣化気味なのも気になる。エクスカリバー系の小気味良い斬音、ファイガのこんがり焼けました感、バイオの奇妙な音…みんな何処へ行った…。特にバイオは道中使用頻度の高い黒魔法なだけに、音の劣化が凄く気になる…。まあその辺りを考慮しても、超良質なリメイクであることに変わりはありませんが。

「インタールード」は正直おまけのようなものですが、「ジ・アフター」の方もかなり面白かったですね。幾つかのキャラクター毎のストーリーが展開され、最終編で集結するという内容ですが、キャラ毎のストーリーが一日一本進めるのに丁度良いくらいの長さなのが良いです(笑)。ダレずにメリハリを持ってプレイできる。

システムは本編のものをほぼ踏襲してますが、バンド技(キャラ同士の協力技)があったり、矢の仕様やアイテム管理の仕様などが変更され、より楽しく、遊びやすくなっている感じ。こちらではドロップ率を上げる装備や、ドロップのレア枠を上げる装備なんかもあるので、原作で入手が至難の業だったモンスター召喚術が割りと手に入りやすくなっているのも良いですね。ノータイムで発動、消費MPも少ない「ボム」が何気に優秀だったり。

最終編では当然好きなパーティを組めますが(セシル・セオドアですら外せる)、どのキャラでパーティを組んでも進められるバランスの良さが素晴らしい。例えばレア装備無しでは一見貧弱なカルコやブリーナでも、アサシンダガーと最後の服を手に入れた頃から雑魚散らし要員としてかなりの活躍をしてくれます。そしてギルバートがストーリーでもバトルでも活躍してくれるのが嬉しい所(笑)。

ただ、こちらは結構不満もありますね…。まずキャラ編では一定のレベル以上に育てられない仕様がどうも肌に合わないし、最終編は好みのパーティで進められる時間短か過ぎだし、そこまで進めると後はダンジョンをひたすら降りていくだけでワールドマップには戻れず、一部のアイテムを手に入れるのが物凄く困難になるのも不満。前述のドロップ率やレア率拡張装備がその「一部のアイテム」に該当しますが、これら無しでフェイズ系狩るのは苦行以外の何物でもないと思う。早く好みのパーティを組みたいが故の拙速プレイは後で泣きを見ます。

若干不満点も書きましたが、それはあくまで満足した上で更に「ここがこうだったら良いのに」という程度で、ここ数年でプレイしたRPGの中でもトップクラスに満足できた作品です。スクウェアは映像にこだわってばかりというネガティブなイメージがありましたが、この原作より更にプレイアビリティを増したリメイクは、それを覆すだけのものがあると思います。これが2000円ちょっととか安過ぎです。原作をやった方もそうでない方も是非。これが日本の誇るRPGです。


FINNENTUM ★★ (2011-04-27 18:12:40)

HORNAやSARGEISTでお馴染みShatraug氏によるプロジェクト。
ハードコア寄りブラック+微妙にトラッド風味?のメロディ。


FINNENTUM - REVERIES (2011-04-27 18:15:44)

2009年発表の1st。

レビューサイトやショップのコメントなどでは「フォーク要素のあるブラック」として紹介されていましたが…それらの要素は、当然笛などを取り入れたりはせず、アコギパートやリードのメロディが(言われてみれば)それっぽいという程度に留まり、基本はグルーヴ重視のリフとロックなリズムによる、ハードコア要素の強いブラックメタル。

ヴォーカルはAttilaの声を少し高め、歪み弱めにしたようなダミ声ですが…言われてみれば、アジアの「喉歌」の発声に近いものがあるのかも。クリーンも使いますが、こちらも呻き声のようなくぐもった声のため、それが前述のAttila風ダミ声と重なると、なかなかにカオスな音像に。ノリノリだけど地下臭い雰囲気です。

SARGEISTやHORNAと比べると少しマニア向けな音楽性。
しかし、Shatraugはスキンヘッドだし、こういうNSっぽい路線もなんか合ってる感じがしますよね。


FINNR'S CANE - Wanderlust ★★★ (2012-03-20 22:30:39)

2010年発表の1st。
1000枚限定でしたが、11年にProphecyより再発盤も出ています。

音像全体に拡散する、ギターリフのノイズに覆われた中で展開する、ザラついた抽象的ムードの強い音作り、攻撃性よりも寒々しく神秘的な雰囲気作りを重視した曲展開、音像に溶け込み、淡々と何かを唱えるようなクリーンヴォーカルなど、シューゲイザー系ブラックとも共通点の多い作風の、アトモスフェリックでダークなブラックメタル。アコースティックなパートでの、メタリックでないどこかお洒落さを感じるドラミングも雰囲気あって良い感じです。

この作品、メロディの叙情性やアコースティックパート等からは土着的なメロウさも感じられるんですが、それと人を寄せ付けないようなミステリアスな雰囲気だったり、神秘性を両立させているのが素晴らしいんですよね。単に神秘的と言うより、もっと底知れないような、ダークなムードがある感じ。リフの歪ませ方もシューゲイザーの激情的な感じよりは、ブラックの粗さを強く感じさせますし、この手の中でもブラック特有の暗黒な感性をしっかり継承してる音になってると思う。

この作品、リリースから1年でALCESTやLES DISCRETS、ARCTIC PLATEAUなどのリリースで知られるProphecy Productionsから再発されてるんですが、レーベルが目を付けるのも良く分かる、ムード作りの上手さが光る作品。AGALLOCHやALTAR OF PLAGUESなど、この系統でもブラックの寒々しさや邪悪さの強いバンドが好きな方にお勧めです。


FJOERGYN - Jahreszeiten ★★ (2014-06-14 17:51:55)

2009年発表の3rd。

ドイツ産のエピック/アヴァンギャルドブラックとの事ですが、基本ブラストも交えたエクストリームな音作りながら、フォークやクラシックの影響の見えるキーボードが華やかに楽曲を彩りつつ、マイルドな男性クリーンヴォーカルも交え知的に展開していく作風は、スウェーデンのVINTERSORG辺りに近いでしょうか。あのバンドの、フォーク色薄め、プログレ色濃いめの時の作風と大分近い雰囲気があると思います。

特筆したいのはメロディの豊富さですね。バンド紹介で「エピック」の冠が付くだけあって、幻想的でドラマティックなメロディが中心ですが、楽曲によってはクラシックの交響曲の大団円のようなエンディングがあったり、ポストブラックのクライマックスの如く儚いトレモロとブラストを組み合わせたパートがあったり、かなり耳を惹く部分が多い印象。ただ、ギターが泣きメロを奏でるパートも多く、メタルとして地に足が着いた音作りがされており、過度にアヴァンな方向へは行っていない感じ。

VINTERSORG、SOLEFALD、SOURCE OF TIDEなどの、暴力性よりも知的さや構築性の高いバンドが好みな方にお勧め。派手なメロディもあり決して取っ付きづらい音という訳ではないと思います。


FJORSVARTNIR - Legions of the North ★★★ (2015-06-05 10:49:26)

2012年発表の1st。
2014年にHidden Marlyから日本盤がリリースされてます。

…もう、この作品を日本の音楽市場に流通させてくれたHidden Marlyにはグッドジョブの一言ですね!帯のコメントに「ブラックメタルと呼ばれたサウンドを忠実に守った一枚」とありますが、そのコメントが全てを物語っています。デンマークのバンドですが、例えばGORGOROTHや初期EMPERORなど、黎明期のノルウェー産ブラックの音を現在に蘇らせたような作風なんですよね。

時々オールドスクールさも覗かせるバンドサウンドに、サタニックで禍々しいだけでなく、土着文化への敬意や自然への畏敬を感じさせるような雰囲気など、衝動性と感性の混じり具合があの頃のブラックメタル作品に近いものを感じさせますね。作風自体も神秘的なキーボードの導入、叙情性の高いリードギターなどはあるものの、ブラックの様式をかっちり守っている感じですが、それ以上に聴き心地というか雰囲気が黎明期ブラックに近くて素晴らしいです。

ブラックメタル好きのツボを適格に突いてくる一枚だと思います。最近のブラックで、何を買おうか迷っている方は是非。お勧めです。


FLAGELLANT - Monuments ★★★ (2012-04-17 23:07:53)

2010年発表の1st。

プリミティブブラックに通じる湿り気やおぞましさを残しつつ、音圧の高さや音像のクリアさを上げて迫力を出したどす黒い音塊を、土石流の如く叩きつけるような、非常に暴虐かつ邪悪さに満ちたブラックメタル。全体的には然程メロディアスという訳ではありませんが、要所要所で繰り出されるトレモロリフは荒涼感と禍々しさに満ちていて、かなり耳を引きますね。

太くてコシのある邪悪さを演出する音像、適度に緩急の付いた展開などはWATAINやOFERMOD辺りに近い感触も。ヴォーカルも野太いデス声で、声量をもってがなり散らすタイプでWATAINのErik似でかなりレベル高いと思う。ただ、近年のWATAINと比べるとリフや展開等のフックは少し抑え目で、その分邪悪で陰湿なムード作りに特化している感じ。WATAINはメタラー全般に勧められますが、こっちはブラックが好きな人向け。

個人的な印象としては、WATAINからDISSECTION的なメロさを引いて、中期DSO的な禍々しさを足したような感じ。流石注目のレーベルであるWTCから出てるだけあって、1stにしてハイクオリティな作品です。


FLAMEN - Supremo Die ★★ (2014-05-04 12:56:14)

2013年発表の4曲入りEP。

4曲中2曲がアコースティックやシンセによるインストながら、残りの2曲が割と大作なのでEPとしてのボリュームはまずます。イタリア産のペイガンブラックとの事ですが、うっすらとノイズの掛かったリフ、暴虐まで行かない、ミディアム中心のテンポ設定、楽曲の神秘性を高める、あくまで装飾的なキーボードの使用など、思想性・攻撃性よりも叙情性や情景を大事にしているような作風。

漣のようなトレモロが聴け、全体的にメロウさ強めの音作りではあるんですが…中でも2曲目「Supremo Die」の4分20秒辺りから、約2分間に渡って続くパートは常軌を逸したようなメロウさ。正にスーパーメロウタイムって感じです(笑)。3曲目の後半の高音トレモロなんかもかなりメロウ。メロメロ好きであれば脳が溶かされます(笑)。ちなみにヴォーカルはがなり声で、厳かに語りかけるような威風が作風にピッタリ合ってると思う。

メロウなメロディを聴かせるバンドの多いペイガン系のブラックにおいても、かなりメロウ度は高い作品だと思います。叙情性に、若干の勇壮さを加えたような民族メロ、それがツボなメロブラファンは是非。


FLESHPRESS ★★ (2009-01-17 01:06:00)

フィンランドのスラッジ/ドゥームメタルバンド。
DEATHSPELL OMEGA等で活躍するMikko社長がドラムを叩いてます。
…彼、アングラなジャンルは一通り網羅しないと気が済まない性質のようですね(笑)。


FLESHPRESS - Pillars ★★★ (2009-01-17 01:05:00)

2007年発表の4th。
彼らの音源は大体そうみたいですが、保存を考えていないような仕様ですね…(笑)。この収納ケース、普通にCDに傷が付きそう…。

音楽性はブラック要素も含むスラッジ/ドゥームで、このバンドではドラム担当のMikkoはGRUNTなどでノイズ界隈でも成功してるし、音響的な要素の大きいこの路線でも期待できるんじゃないかと思って買いましたが、予想通りこれは良いですね。かなり重低音効いてます。葬式ドゥームから鬱や悲しみといった感情を抜きさり、代わりに狂気や苦痛をたっぷりと注入した、生贄の儀式でも行われてるような音。

途中意外なほどノリの良いリズムも導入してますが、儀式による熱狂が増してきたような雰囲気で、殺伐としたシリアスさは全編通じて変わらず。特に4曲目、儀式によってもたらされる宗教的恍惚感すら覚えるような、後半の展開が実に素晴らしい。ヴォーカルはMikkoではなく、Teemuという人物が演ってますが、彼の泣き叫んだり笑い出したりする狂気的なパフォーマンスも、ヤバい雰囲気を醸し出すのに一役買ってますね。

また、このバンドのメインのソングライターがMikkoかどうかは分かりませんが、2曲目や6曲目ではGRUNTに通じるノイズ/ダークアンビエント、5曲目ではCLANDESTINE BLAZEを思わせるトレモロ疾走など、Mikkoの別バンドを思わせる展開も結構ありますね。ただ、2曲目や6曲目は殺意を感じる轟音というわけではないし、5曲目の疾走パートもドゥームの引きずり感が伴ってるし、しっかりこのバンドの音にチューンアップされてる感じです。

…スラッジって余り詳しくないんですが、これはMikko社長の関わったプロジェクトの中でも特に素晴らしいものだと思います。アンダーグラウンドなものを、アングラ性を損なうことなく、かつそのジャンルの魅力を凝縮して伝えることにおいては、彼の右に出る者はいないかもしれません。


FLEURETY ★★ (2007-03-05 22:57:00)

バンド名は「氷の悪魔」を意味するそうです。
ex-DODHEIMSGARDのSvein Egil Hatlevik(Mr. Magic Logic)と
ex-MAYHEMのライブギタリストAlexander Nordgarenからなるバンド。
HellhammerやCarl-Michaelを始め、ブラック界の重要人物が多く関わっています。


FLEURETY ★★ (2007-03-06 20:00:00)

1stとEPがツボだったので、2ndは近いうちに買おうと思ってたんですが…
もしかして廃盤もしくは入手困難なんでしょうか?
こういう音楽性でGarmやCzral、HellhammerにManiacまで関わってるなんて…
ブラックのエリート大集合じゃないですか(笑)。
これで悪い物が出来るはずないですね。聴きたいなぁ…。
夏の終わりに出すのは新作でしょうか?
DODHEIMSGARDやVED BUENS ENDEも今年に新作を出す予定があるようですし、
2007年はこの手が好きな人にとっては良い年になりそうですね。


FLEURETY - A Daker Shade of Evil - My Resurrection in Eternal Hate ★★★ (2007-03-06 19:48:48)

この曲は冷涼なリフを伴って疾走する箇所もありますし、普通にブラックメタラー受けしそうです。ヴォーカルは…確かに、「声」というより、「音波」ですね、これ(笑)。人間がここまで高い声を出せるとは…男性でこれより高く歌える人いるんでしょうか。


FLEURETY - A Daker Shade of Evil - Profanations Beneath the Bleeding Stars ★★★ (2007-03-19 23:20:15)

…ブラックとしての出来も勿論良いんだけど、どうしてもヴォーカルの歌手生命を犠牲にした、魂の超音波絶叫の方に耳が行ってしまいますね…。血を流しているのはヴォーカルの喉の方では…。


FLEURETY - Blackend Compilation - Absence ★★★ (2007-03-05 22:51:07)

なんじゃこりゃ…
前半なら幾分変態的な要素があるとは言え、十分ブラックの範疇で語れそうな音を出してますが、曲が進むとヴォーカルがヴォイスパーカッションなんか始めやがった…しかも絶妙な気持ち悪さ(笑)。奇形中の奇形音楽。何を考えてるんでしょう、この人たち。


FLEURETY - Last-minute Lies ★★★ (2007-03-05 00:12:00)

99年発表のEP。
ブラックメタルからより前衛的な方向に進んだEPらしいですが、これは良いですね。

ほとんどブラック色は無く、どっちかというと男女ツインヴォーカルをフィーチャーしたアヴァンギャルドゴシックという感じのサウンド。もちろん普通の女声ゴシックみたいなパートもありますが、不思議なキーボードやインダストリアルの要素、サックスなど様々な音楽のパーツを取り込み、かなり前衛的な作風。時折VED BUENS ENDEやVIRUSにも通じる奇妙なアンサンブルも聴かせてくれますが、変態フレーズ、変拍子が当り前の世界で実に聴き応えありです。

こうやって要素だけ並べるとどうも難解なサウンドを想起してしまいがちですが、パート毎にフックがあるのでそれほど取っ付き辛いとは思いません。フックがあって、酩酊感、中毒性の高いサウンドなのに掴み所がない…素晴らしいですね(笑)

脱ブラックしてからのULVERや、DODHEIMSGARDや上記のVED BUENS ENDE、VIRUS等の風変わりなブラックが好きな方なら買って損は無いんじゃないかと思います。
ちなみに、このバンドの中心人物は元DODHEIMSGARDのメンバーらしいですが…これを聴くと、
DODHEIMSGARDがブラックからはみ出した音楽性になった理由が良く分かる気がします。


FLEURETY - Last-minute Lies - Facets ★★★ (2007-03-04 23:58:36)

遊園地っぽいキーで始まる曲。
前半こそ普通に叙情的でドゥーミーな女声ゴシックメタルという感じですが、後半になっていきなり変態の牙を剥きます。この曲はやっぱりその後半に尽きますね。ほんと好き者ならうっとりする事間違いなしなサウンドです。


FLEURETY - Last-minute Lies - I Saw Claws ★★★ (2007-03-19 23:16:31)

展開は凝りまくっていて複雑なんですけど…その複雑さが、難解さやスノッブさというようなマイナスにではなく、むしろキャッチーさに繋がっているのが凄い。複雑≠難解であることを示した一曲ではないでしょうか。


FLEURETY - Last-minute Lies - Vortex ★★★ (2007-03-04 23:56:10)

イントロのリフからしてもう凄まじいインパクトですね。
こんな変なリフ聴いた事ないです(笑)。でも、中盤サックスが出てきたあたりからの展開は更に不条理極まりない。サックスが左右に分かれ、ギターリフの代わりのような役割に…しかもそのメロディが抜群に良い。ここまでされたら、星3つは私の中でもう確定でした。


FLEURETY - Min tid skal komme ★★★ (2007-03-05 22:47:00)

タイトルの意味は「我が時は来たり」。95年発表の1stアルバム。
2003年に「BLACKEND COMPILATION」に提供した曲である「ABSENCE」と93年発表のEP「A DARKER SHADE OF EVIL」の計4曲を追加したリマスター盤が再発されています。リマスター盤はノルウェー語詞の曲に英訳付き。

音楽性のタイプとしては、プログレ的な展開の妙と濃ゆいアンサンブルで聴かせる、VED BUENS ENDEタイプのアヴァンギャルド・ブラックという感じでしょうか。流石にアンサンブルの聴き応えでは、Carl-MichaelとSkollというブラック界でも最強のリズム隊が在籍していたVBEと比べると部が悪い気がしますが、こっちは叙情的なメロ使いやトレモロリフの多用、女声ヴォーカルの導入や展開の明確さといった要素もあるので、一般的なブラックメタラーから見たら取っ付きやすさでは上なんじゃないかと思います。

続くEPでは、随分前衛方向に音楽性を傾けましたが、この作品はブラック然とした絶叫ありでヘヴィな音像なので、しっかりブラックメタルをプレイしてます。
また、ボーナスの「A DARKER SHADE OF EVIL」はある意味凄い音源。この作品のレコーディングでNordgarenは喉を痛め、歌う事を止めざるを得なかったという曰くつきのヴォーカルパートが凄すぎ。最早Dani Filthなど問題にならない程の高音絶叫でぱっと聴いただけでは人間の声かどうかすら判別不能な程。私も最初聴いた時はノイズを取り入れてるんだと思ってました(笑)。もちろん曲の方も十分良いので、そのインパクトを求めてネタで買ったとしても後悔はしないと思います。

しかし、ブラックメタルの金字塔といえるMAYHEMの1stが出たのが94年で、その一年後にこんなブラックを自己流にアレンジした、ハイクオリティな作品をリリースするとは…「A DARKER~」に至っては93年だし。本当に北欧、特にノルウェーって才能の宝庫ですね…。


FLEURETY - Min tid skal komme - En skikkelse i horisonten ★★★ (2007-03-06 19:45:26)

なんだこのおっそろしいまでの完成度は…ほんとに95年の曲?
11分半の大作ですが、ここまで濃密な11分半はなかなか体験できるもんじゃありません。とにかく、展開やメロディの一つ一つがドラマティックなので、「複雑」ではあっても「難解」ではないと思います。終始メロディアスなベースが素晴らしいですね。このベースと、ベースが良く聴こえるプロダクションがあってこそこのドラマ性があるのでしょう。