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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2501-2600

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2501-2600
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FLEURETY - Min tid skal komme - Fragmenter av en fortid ★★★ (2007-03-06 19:51:55)

ああ、もう1曲目から涎が出そうなぐらいの名曲だわ(笑)
もうこのドラマティックさは「劇的」なんて言葉では表せないですね。なんか壮大な歴史の物語をパノラマ映像で体感しているかのよう…FLEURETYはもっと評価されても良いと思います。


FLUORITE - Swear for the Sky - Rain Fall (2009-04-25 22:34:11)

表題曲が陰陽座風なら、こっちは犬神っぽいと思う。
和な世界観を打ち出してるわけではないし、よりメタリックなんですがHR/HMを通じて情念を表現しようとしてる所が似てると思います。表題曲と合わせて、ジャパメタ好きにはかなり入りやすいシングルになったのでは。


FLUORITE - Swear for the Sky - Swear for the Sky ★★ (2009-04-25 22:31:25)

陰陽座のシングル曲を、洋風にしたかのような歌謡メロスピ。
ヴォーカルが声色や歌い方からちょっとした癖の付け方まで、かなり黒猫さんにそっくりで、たまに本人が歌ってるように錯覚してしまうほど。サビメロ、特に「♪変わる水面が」のところはなかなかフックがあって、一見さんでも取っ付きやすい、シングルらしい曲だと思います。
…この歌詞カードのアートワーク、鳥の羽が落ちてるのね…最初印刷のインクが付いちゃったのかと思った(笑)。ハンドメイド感のある歌詞カードだし。


FOG - Through the Eyes of Night...Winged They Come ★★★ (2012-09-19 10:47:19)

2001年発表の1st。
ジャケ裏には7曲しか書かれていませんが、短いイントロとやけに長いアウトロを含むので、実際のトラック数は9。

…関連バンドのHORDES OF LUNAR EQLIPSEが割と良かったので、こちらも購入しましたが…予想以上に素晴らしいアルバムでびっくり。スタイルとしては、寒々しいトレモロや猛然とした疾走を交えつつ、緩急付けて展開する、オーソドックスなブラックメタルで、楽曲がやや長尺なことを除けば、特に衒いのある音ではないんですが…これが非常にかっこいい。

まずオーバープロダクションでもなく、ラフ過ぎて聴きづらいわけでもない、適度に湿り気と生々しさのある音作りが素晴らしく、その音でのブラストがホント気持ち良い。安心して音の渦に切り刻まれる感じ。圧倒的なのに、変に耳に痛くない音圧が最高です。加えて、ごくたまに現われる、正統派メタルにありそうなフレーズも良いフックになってると思う。

また、メロディのセンスそれ自体も素晴らしく、特に4曲目や5曲目などで聴けるトレモロリフなんて、ブラックメタルの代表曲と言われる曲のそれと比べても、全く差し支えないんじゃないかと思えるくらいにツボを突いてる。実に寒々しくて邪悪でかっこよすぎです。…この作品、あと少しジャンルの初見リスナーにも優しい分かりやすさがあったら、普通に「初心者が聴くべきアルバムn選」みたいな企画で選ばれてもおかしくないと思う。

このプリミティブにもオールドスクールにも寄りすぎていず、かつ両方の魅力をある程度備えているような音、本当に素晴らしいと思う。SATYRICONの「Nemesis Divina」アルバムに通じるドラマティックさですが、こちらの方がもっとラフでカオスな感じ。バンドは2ndアルバムの制作に着手していたものの、メンバーが抜けて解散してしまったようですが…ホント惜しすぎる…。


FOLKVANG - SIX STORIES WITHOUT KEYS ★★★ (2012-02-03 21:16:36)

2011年発表の4th。

「FOLK~」なんてバンド名を名乗ってますが、実際にはフォーク/トラッド色はリフのメロディやアコギパート等に感じられる程度で、タイプとしてはトレモロリフを多用した、儚いメロディとドラマティックな展開で聴かせるメロディック・ブラックですね。キーボードの使用はほんの味付けくらいですが、リフにしろアコギにしろギターパートはかなり哀愁のあるメロディを弾いていて、かなり聴きやすい作品。

特にトレモロリフを伴う疾走パートは、メロディの儚さも相俟ってシューゲイザー系ブラックにも通じるカタルシスかあるように思います。シューゲイザー系のバンドと比べると、メロディが抽象性よりもキャッチーさを感じるもので、パートによっては刻みリフも用いてメタリックな質感を出してたりするので、より実体的な印象が強い感じ。アコギパートの、積もった雪を割ってふきのとうが芽吹くような繊細さも素晴らしい。

ただ、音質は悪くはないですが…マニア以外にも推薦できるドラマティックな作風の割には、いまひとつメジャーになりきれない感じの音作りはちょっと勿体無いかも。ただ、前述の疾走パートのカタルシスはタイトな音質にしすぎると薄れる気もするし、6曲目ではサブタイトルの「The Sound of thunder」を意識したようなプリミティブ寄りの音作りがされてたりするし、この音質は意図的にやってる可能性が高いですが。

ちなみにメンバーはネットが発達し、音源や歌詞テキストが単なるデータのやりとりになり、CDを買う事が聴き手を新しい世界に誘うことが少なくなったのに心を痛めているらしく、今作には敢えてテキストを載せず、代わりに曲に関連するイラストを載せることにしたとか。私はデータよりもCDが欲しい派ですね…店の棚を眺めて、ジャケや店コメント、関連バンドやレーベルから吟味してCD買うのは楽しいし、何よりネット上での支払いとかお金を使ってる実感が沸かなそうで怖いので(笑)。


FONTANELLE - Vitamin F ★★ (2016-04-21 04:43:49)

2012年発表のおそらく4th。

Daymareからのリリース、SUNN O)))やEARTHなどとも人脈的に繋がりがあるバンドという事で、面白そうだと思い購入しましたが…バンドサウンドにキーボード、サックスなどがフリーキーに絡み合うインプロヴィゼーションの色の濃い音楽性で、楽曲というよりも「音そのものを楽しむ」という点ではSUNN O)))ともそう遠くない楽しみ方の出来る作品だと思います。

ただし、SUNN O)))のように暗黒性・攻撃性を志向しているわけではなく、あくまでバンドのアンサンブルの絡みであるとか、ジャズにも通じる即興的な閃きを聴かせるような音なので、普段メタルを聴き慣れていると若干耳が適応するのに時間が掛かるかも。独特のテンポ感だったり、敢えて隙間のある音作りにしていたりする箇所もあるので。

「暗黒系ではない」という点が篩になりそうではありますが…この独特な空気感は癖になりそうです。むしろエクストリームメタルからSUNN O)))界隈の音楽を聴き始めた人よりも、プログレとかを聴き漁ってる人の方が嵌まるかもしれません。


FOREST - Forest ★★ (2012-09-19 10:32:32)

96年発表の1st。
複数のレーベルから何度も再発されているアルバムらしいですね。
私が持っているのは2002年に出たISO666盤。

ロシアのペイガンブラックではかなり名の知れた存在のようですが、これは渋い(笑)。渋いプリミティブと渋いペイガンを掛け合わせたら、激シブのブラックが完成した感じ。オーソドックスなプリブラにペイガン系土着メロとクリーン朗唱を加えた感じですが、3部作期のDARKTHRONE以上にリフのメロディはシンプルだし、クリーンも歌い上げるというよりは呟く感じで、語弊を恐れずに言えば地味な音だと思う。

とは言っても、流石何度も再発されているだけあって、音作りは(プリブラとして)完成されてると思う。このリフの歪ませ方が実に心地良く、ある意味癒されます(笑)。何気に4曲目のラストなんかではかなりメロウなメロディも聴けますし、全体的に控えめながらしっかりした叙情性が感じられるのも良いですね。正直新規のジャンルファンは見込めなさそうだけど、プリブラの魅力が分かってる人には一聴で伝わる音だと思います。

ちなみに、私の買ったISO666盤にはボーナスで94年録音のリハーサルテープ収録の「Winter Howl」という、20分の大作が収録されていますが…これがほぼ別バンドみたいな音源でびっくり。マンドリンのようにも聴こえるトレモロやアルペジオ、獣の吼え声のSEなどを取り入れた、バンド名通りの森林系アトモスフェリックブラック。日も差さない森の奥で、ブラックメタルという名の儀式を執り行っているかのような、非常にカルトなムードが演出されていて素晴らしい。


FORGOTTEN TOMB - Under Saturn Retrograde ★★ (2011-05-19 21:22:28)

2011年発表の6th。

鬱ブラックとしてはスウェーデンのSHININGと並んで評価が高いバンドらしいですが、このバンドはBURZUMスタイルの、アンビエントな感性を持った鬱ブラックとは一線を画す、メタルフィーリングを残したまま鬱な感覚を演出するスタイルですね。後期SENTENCEDなどのゴシックや、OPETH辺りのメランコリックなメタルが好きな人でも普通に聴けちゃいそう。

一応、タイトル曲のパート1ではブラックメタルらしい2ビート疾走、凍てつくトレモロリフによる悲壮感の演出なども聴けはしますが、あくまでイレギュラーで、基本的にはロックのダイナミズムの強いミディアムテンポに、陰鬱というよりは悲しげなメロディが絡むタイプ。ヴォーカルのがなりが凶悪なのを除けば、ゴシック~ドゥームにかなり近い音。何気に泣きのギターソロまで出てきますし。

ただ、ヴォーカルのクリーンが…この言葉嫌いなんですけど、表現するのにピッタリなので、敢えて使わせてもらいます。低く呟くところは全然問題なしですが、歌い上げるところが「リア充っぽい」歌い方なんですよね…ほんと、何で鬱ブラックなのに普通のハードロックやブルース寄りドゥームのように歌うのか…100点満点で採点したら、この歌い方された時点で30点はさっ引きますね。

とは言っても、クリーンの使用頻度は高くはない(っていうか、私以外には別にマイナス要素ではないと思う)し、メランコリックなメロディは絶品だし、アンビエント系鬱ブラックよりも全然間口は広いと思う。ゴシックメタルやドゥームメタル聴いてる人だけでなく、KORNとかマンソンとか、いわゆる「トラウマロック」とされているバンドが好きな方もハマれるかもしれません。


FORGOTTEN WOODS - Baklengs Mot Stupet ★★ (2007-12-23 00:30:00)

2003年発表の3枚組み音源集。

ディスク一枚目が94年発表の1st「As the Wolves Gather」、二枚目が95年発表のEP「Sjel av Natten」、三枚目が96年発表の2nd「The Curse of Mankind」という内容。二枚目にはEPの音源の他にも、メンバーの別バンドのJOYLESSの音源が3曲と、2ndのLP盤にのみ収録されていた曲がボーナスとして収録されています。

このバンドは、DISK UNIONの小冊子や国内外のレビューでも、BURZUMと並んで鬱系のブラックの始祖的存在として後続へも強い影響を与えているという事ですが…。確かに、BURZUMと似ている音楽性ですね。それもアンビエント志向になってからのBURZUMではなく、「Key to the Gate」や「Lost Wisdom」辺りのロック/メタル寄りの路線を継承している感じだと思います。パートによっては、近年のENSLAVEDをチープにしたような雰囲気も感じられるかも。

BURZUMのあの路線の曲と比較すると、こっちの方が10分越えの曲も少なくなく大作主義だったり、音質は更にチープで軽く、リフの音圧の無さの割にドラムが響きすぎだったりよりマニアックな印象。ただ、BURZUMと比較されるだけあって、メランコリックなメロディのセンスは抜群に良いです。上で例に挙げたBURZUMの曲が好きならツボにはまる事間違いなしの心地良い鬱を誘発するメロディのお陰で、長い作風も意外と聴けてしまうと思います。

でもヴォーカル…これもBURZUMが比較対象に挙げられそうな高音絶叫で、その事自体はいいんですが…ヴォーカルが叫ぶと必ず「ヒャァアアーー!!(ヒャァアアーー!!)」とか「カモン!!(カモン!!)」「ウッ(ウッ)」みたいに山彦が響くような音響処理が施されているのがかなり不満…なんか、どうしても滑稽に聴こえてしまうんですよね…。このヴォーカル処理と音の小ささは何とかして欲しかったですね。

ちなみに、ボーナスで聴けるJOYLESSは、まだ女性ヴォーカル加入前でほぼ他のFxWxの音源と同じ路線。ハードコアっぽいノリがあったりサイケデリックなパートがあったりしますが、他の曲が気に入ればこっちも気に入ると思います。前述のVoのエコーが無いのも良いです。ちょっと値段は張りますが、3枚組み3時間以上収録で盛り沢山な音源集です。BURZUM好きなら押さえておいて損はないかと思います。


FORGOTTEN WOODS - Forgotten Woods / Through the Woods (2007-11-10 21:03:00)

93年に発表した二本のデモを、No Coloursが纏めてCD化したもの。ブックレットのタイトル表記は上の通りですが、CDケース側面の表記は「the demos '96」で、発表が93年である事を考えると完全に間違ってるんですが…。いい加減だなぁ…(笑)。

まず、どうしても耳が行ってしまうのが余りにもローファイな音質。基本的にテープ起こし特有のモコモコしたキレの無いサウンドで、ギターが聞こえ辛い上にドラムの金物がかなりうるさめだし、音の歪む箇所もときどき出てきたり。ただ、極めて低音質ですが、テープ起こしだからなのか低音部がどんよりと歪んで独特の雰囲気を醸し出しており、全くのマイナスという訳ではないと思います。

…とは言っても、多くのプリブラと違って意図してないような、純粋な汚さのサウンドなので結構聴いていてキツいものがあります…まあマニア向けでしょうね(笑)。曲の方は割と普通にブラックしていて、突然にブラストにトレモロリフを交えて疾走を開始したりする唐突な展開が前述した低音質とも相まって、いつメンバーが演奏を放り出して帰ってしまってもおかしくないような、妙に緊張感のある雰囲気(笑)。

ギターがかなり聴き取り辛いせいで、展開が唐突に聞こえるのかもしれませんね。ただ、鬱系の後続に影響を与えているといわれるだけあり、微かに聞こえるメロディは格別で、これだけでもCD化した価値は十二分にあったと言えるのではないでしょうか。

ちなみに1000枚限定ですが、マニアックさから言って妥当な枚数でしょう。マニア以外の方は他の音源を聴いてから聴く事をお勧めします。


FORGOTTEN WOODS - Forgotten Woods / Through the Woods - Grip of Frost (2007-11-10 21:05:41)

ギターは相変わらず聴こえ辛すぎですが、ベースが石臼を挽くような音色である意味ドゥームに通じる感触も。一部で聴かれるトラッドを暗く暗くしたようなメロディは絶品。


FORGOTTEN WOODS - Forgotten Woods / Through the Woods - Inside the Witches Cave ★★ (2007-11-10 21:06:35)

前半の曲と比べると、多少はギターが聞こえるようになってる…気がします…が、この音質で10分の曲はかなり無謀な気も(笑)。ヴォーカルの力弱い、無理に捻り出したような叫びも妙に印象に残ります。


FORGOTTEN WOODS - Forgotten Woods / Through the Woods - Winterly Battle over Northland ★★ (2007-11-10 21:04:53)

1分半くらいからのブラストビートに乗るトレモロリフは、震えが来るほどに戦慄を感じさせるメロディ…ですが、トレモロリフが聴ける以外のパートはギターが何を弾いているかかなり分かりづらく、マニアックな空気感な曲。


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain ★★★ (2007-11-10 00:54:00)

07年発表の3rd。
DISK UNIONで配布の資料によると、このバンドはBURZUM等と並んで鬱系ブラックメタルに多大な影響を与えたらしいですが…前作から10年以上を経て発表された今作では最早鬱系にはカテゴライズされないであろう、個性派ブラックを演ってます。

作風はプリミティブらしい2ビート疾走あり、メランコリックな女性ヴォーカルを取り入れたメロウな曲あり、ロックンロールのテイストを取り入れた曲もあったりで結構バラエティに富んでますが、どの曲でも基本的な「ブラックらしさ」は崩していないように思います。

ただ一般的なブラックよりも、リフがどこかグルーヴィで…それが鬱系のパイオニアらしい鬱屈したメロディやチープで味わい深い音質とも相まって、ノリの良さといった健全な方向ではなく洗脳的なムードを醸し出している感じですね。ヴォーカルも攻撃性よりもサイコな気味悪さが感じられて、この雰囲気にはあっていると思います。

また、音楽性の奇妙さに負けない、凝ったブックレットも必見。最初のページには「私はアルファでありオメガである。最初の者であり最後の者、始まりであり終わりである」と黙示録の有名なフレーズがラテン語で書かれておりブラックらしい雰囲気ですが、一ページめくると黒地に赤で大きく「?」の文字(笑)。それからガスマスクを被った集団や不思議の国のアリスの挿絵、電子レンジ(?)に入ろうとする女性などが掲載され、最後にまた「?」で締め(笑)。奇妙すぎる…。

アートワークだけでなく、Nylon氏のイイ表情にも注目。ただ、歌詞の順番がバラバラなので、そこはちょっと読みにくいかもしれません。鬱ブラックよりもFURZEやLIFELOVER等の個性派が好きな方にお勧め。
LIFELOVERよりもブラックらしさが残っているので割と聴きやすいと思います。欲を言えば、もう少し録音レベルは上の方が良かったかも。まあ、十分許容範囲ですが。


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain - Here, in the Obsession ★★★ (2007-11-10 00:56:30)

ノイジーなミディアムテンポなブラックですが、リフに込められたメロディは、どうしようもなくやるせない気分になってしまうような寂寥感がありますね。最早鬱ブラックとは言えない音楽性のアルバムですが、こういうメロディセンスは鬱系好きからも評価が高いバンドだけありますね。


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain - Nightly Paradise ★★★ (2007-11-10 00:58:22)

ロックなテイストを強く感じさせるブラックで、いきなりノリノリのギターソロが出てきたときは驚きました(笑)。最近のDARKTHRONE辺りにも通じそうなスタイルの曲ですが、こっちはノリが良い中にもやはり妙な不条理さがありますね…そもそもクレジットでギターソロについて「上手くてロックな方がNylonで下手な方がOlavかR」みたいな断りを入れる時点でなんか変(笑)


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain - One Day ★★★ (2007-11-10 00:57:28)

ノイジーなインスト後の実質的な1曲目ですが、リフもリードギターもメロディがいきなり不吉すぎます。不吉なムードとグルーヴ感、音質のチープさ…これだけ異質な要素を組み合わせてしっかり聴かせるあたり、アルバム冒頭からかなりセンスのあるバンドである事を感じさせてくれます。


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain - The Principle and the Whip ★★ (2007-11-10 01:05:20)

女性ヴォーカルをフィーチャーしたメロウな曲。
メンバーがJOYLESSをやっていた事もあるし、そこからのフィードバックと考えることも出来そう。靄がかかったような音質やパーカッションが醸し出すムードは、やはり「あっちの世界の音楽」という雰囲気ですが。


FORGOTTEN WOODS - Race of Cain - Third Eye (New Creature) ★★ (2007-11-10 00:59:26)

この曲も前曲に続いてロック色の強い曲。
「ジーク・ハイル!」の所なんて一緒に叫んで拳を振り上げたくなります。…洗脳されてるかも(笑)。12分の曲ですが、中間部は語りが長々とサンプリングされていて、ぶっちゃけ飛ばしちゃいます(笑)。ブラックメタルの部分は文句無くかっこいいですが。


FORMLOFF - Spyhorelandet ★★ (2012-09-28 20:18:22)

2012年発表の2nd。

疾走パートも適度に交えつつ、聴き手をはぐらかすようなグニャグニャしたパートや、神秘的な音色のギター、キーボード、クリーンヴォーカル等を用いて妖しくカルトなムードを演出するパートなどを挟み、悪夢が広がるかのような病んだ世界観を演出するアヴァンギャルド・ブラック。何気にメロディアスなリフも多いんですが、そのメロディにもフレンチブラックに通じる病的で美しい感触があり、作品を聴きやすくフックのあるものにするだけでなく、更に壊れた雰囲気を増しているような感じがします。

こういう、病的でぶっ壊れた世界観を持ってはいるんだけど、しっかり印象深いメロディがあって、展開自体も作りこまれている…カルトさとクオリティを上手く両立させつつ、個性的でもあるブラックってツボではあるんですが…敢えて不満を挙げるならヴォーカルに暴力性が足りないことでしょうか。声の歪みの強さや、啜り泣き等も交える演技力はまあいいんですが…個人的にはもうちょっとストレートな凶悪さが欲しい所。ちょっと駄々っ子っぽく聴こえちゃう時も。

VED BUENS ENDEを始めとした病気で前衛的なブラックや、フランス産のメロディアスなプリミティブブラックに共感を覚える方にお勧め。毒の効いたメロディと世界観が良い感じですよ。


FORTERESSE - Par hauts bois et vastes plaines ★★ (2011-11-01 23:25:21)

2010年発表の3rd。

エピック・アンビエント・ブラックメタルを標榜している通り、ブラックメタル特有のノイジーなギターリフと寒々しいムードを演出するキーボードにより、凍てつくような情景を描写する、VINTERRIKET辺りを髣髴とさせる路線ですね。検索するとこのバンドはNS的な主張を持っているとの事ですが、音からはそうした部分は全く感じられない、ひたすら情景描写に特化した作風。

ただしVINTERRIKETと比較すると、こちらはキーボードの音に「包まれている」という感触はやや希薄。ギターリフによるノイジーで寒々しい音の上に、美しいキーボードメロが乗っている感じ。個人的には、アルバムの頭の、ノイジーなバンドサウンドの上にキーボードがフェイドインしてくる箇所が凄く好きですね。日の出のシーンのような美しさを感じさせます。

もう少し「このバンドならでは」というものが欲しいところですが、しっかり寒々しいアンビエンスを演出している良作だと思います。VINTERRIKETやCOLDWORLD、AURVANDIL辺りのアンビエントブラックが好みの方にお勧め。


FOSCOR - Groans to the Guilty ★★★ (2011-11-22 00:24:11)

09年発表の3rd。

ジャケのムードが良かった事と、販促シールのSHINING、SATYRICON、CODEのファンにお勧めという文句に釣られて購入しましたが、これがなかなかの良盤。近年のSATYRICONやCODEを髣髴とさせる、鬱感覚の強いリフのメロディを聴き手の脳に刻み込みつつも、どこかふてぶてしい鈍色の光を放つかのようなブラックメタル。ヴォーカルがダミ声に近いがなりなのも、ふてぶてしさを更に助長。

ただ、近年のSATYRICONがロック的なグルーヴを取り入れ、ライブでも盛り上がるような曲作りをしているのに対し、こちらは展開こそ凝っているものの、リズム面ではまだブラックの要素を強く残しているのが大きな違い。特にミドルテンポのパートにおいては、SATYRICONよりも更に背徳感が強くなっているように思います。この辺りの鬱蒼とした感じはSHININGに近いのかも。

ちなみに、上記のバンド以外にEMPERORも引き合いに出されてましたが、シンフォ要素は特になし。ただ展開の凝り方に、僅かに共通する部分はあるかもしれません。個人的にはドイツのSECRETS OF THE MOON辺りが好きな方にもお勧めしたいところ。メタルとして質が高い中にも、ミステリアスで深遠なムードがある作風が似てると思う。


FOUNDATION HOPE - Tunes for the Wounded ★★ (2011-09-28 20:45:19)

2008年発表の…多分3rd。

インダストリアルノイズやサンプリング、クワイア等を組み合わせて陰鬱な情景を描くダークアンビエントで、Cold Meat Industry系列を追っている人なら「これだよ、これ!」と膝を打ちそうな音ですね。ジャンルがジャンルだけに、メロディらしいメロディがないのに、音像だけで暗く沈んだムードをしっかり描いているのは流石ですよね。

個人的には、音像・音響重視の作品にもかかわらず、どこかドラマ性を感じる作品でもあります。1曲目の、荘厳で宗教的と見せかけて、実は人工的に処理されたもののクワイアからインダストリアルノイズに移行する展開は、大罪を犯した男が教会に懺悔に来たら天使を発見、しかしよく見ると天使の顔はのっぺらぼうで、彼らの羽搏きが男の視界を黒く塗り潰し、視界が晴れるといつの間にか地獄にいた…みたいなストーリーを思い浮かべました。いや、曲中の語りや盤面のコメントを見る限り、そんなコンセプトはないですけど(笑)。

この手が好きならばインダストリアルノイズの冷たい質感と、アルバム全体から醸し出されるダークなムードに酔い痴れられること請け合いだと思います。


FREITOD ★★ (2013-09-09 19:00:40)

ドイツ産ブラックメタルバンド。
バンド名はドイツ語で婉曲的に「自殺」を意味する単語だとか。


FREITOD - Regenjahre ★★ (2013-09-09 19:03:33)

2012年発表の2nd。
アルバムタイトルはおそらく「雨の年(Rain Years)」の意。

バンド名通り、音楽性のカテゴリとしては鬱ブラック・ディプレッシブブラックに入りそうな感じですが、その中でもかなり穏やかで聴きやすい音を出しているバンドだと思います。しっかり低音も効いたクリアなプロダクションで、ロック色も強いミッドテンポ中心のリズムに乗せ、絶望や鬱というよりは「哀愁」を感じさせる、メロウ極まりないギターワークでドラマ性たっぷりに聴かせる作風。

ヴィンテージなプログレ色は希薄なものの、感情的なデス声とマイルドなクリーンを聴かせるヴォーカルと、哀愁のある曲想からはOPETHを想起する人も多いかもしれません。鬱ブラックでいうと、ロック色の強いリズムなんかはLIFELOVERと共通してますね。もっとも、こちらの方が良くも悪くも「まとも」な感じですが…。OPETH要素で浄化されて、綺麗になったLIFELOVER、という印象も。

鬱ブラックとしては、あからさまな狂気や絶望感の発露がないのでその辺りを期待する人には物足りなく感じるかも。ただし曲全体を覆う哀愁は根深いものがあり、それに浸りたい人にとってはかなりハマれる作品になるのではないでしょうか。


FRIGUS ET OBSCURUM - VOL. 1 ★★★ (2012-01-05 00:06:40)

2009年発表の1st。

微妙に装丁がチープ(ジャケのタイトルが「Vol 1.」になってる)だったり、オープニング曲がありがちな感じのアンビエントだったので、「これは掴まされたか…」と思いかけましたが(笑)、本編はかなり良質なメロディック・ブラックだったのでひと安心。オールドスクールなリズム展開の曲や甘美なベースラインを持つ曲等も取り入れ、変化を付けつつも、基本はメロいトレモロリフとともに疾走する、コールドブラックな路線。

このバンドも、何気にメロディのセンスが良いんですよね。場面によって寒々しさであるとか物悲しさ、邪悪さ、毒々しさなど様々な色をトレモロリフのメロディに込めている感じで、7割型トレモロ疾走ながら飽きずに聴ける作品になっていると思う。アングラ感のあるヴォーカルの狂犬的ながなり、プリブラっぽさもありつつ、チープになりすぎず割と聴きやすい録音状態等も良い味として聴けます。

個人的な印象としては、DARK FUNERALを2ビート疾走主体にして地下に潜らせたような作品。メロディセンスが良く、マイナー物件の中ではかなりお勧めできるバンドです。


FROM THE VASTLAND ★★ (2013-09-09 19:06:15)

2010年より活動する、イランの独りブラック。
2013年にノルウェーで行われたメタルフェスへ出場した際、KEEP OF KALESSINのVyl氏を始め、MYRKSKOG、元ZYKLONのDestructhor氏、DEN SAAKALDTEやPANTHEON ⅠのTjalve氏と、サポートメンバーが恐ろしく豪華だったことでも有名。


FROM THE VASTLAND - Kamarikan ★★★ (2013-09-09 19:10:29)

2013年発表の2nd。

豪華サポートメンバーを引き連れたライブの逸話といい、イラン産のブラックメタルというプロフィールといい、KOKやENSLAVEDの諸作品でも知られるIndie Recordingからの発売といい、興味を引く情報ばかりでもう買うしかない…と思ってたんですけど、やっぱりこれ、買って大正解でしたね。

タイプ的には、聴き手を薄暗い迷宮にいざなうかのような、ダークなメロディをフィーチャーしたトレモロリフをたっぷりと仕込んだ、メロディアスなブラックメタル。トレモロフェチの私が大満足なくらいトレモロの存在感がある一方で、エクストリームメタルとしてのブルータリティ、ドラマ性、ダイナミズム、そしてそれらが演出するカタルシスもしっかり備えているのが本当に素晴らしい。

独りブラックとは思えないバンド感のある音作り、楽曲のダイナミズムを引き立てるクリアなプロダクションと、ある意味メジャー志向で取っ付きやすい音と言えなくもないですが…Maniac氏を思わせる獰猛で潰れまくった非人間的な絶叫、DMDS期やWLA期のMAYHEMを分かりやすくしたような邪悪トレモロなど、ブラックメタルとしてのアンダーグラウンドなムードも上手く演出されている感じ。

2010年より活動しているバンドですが、作品からは新進気鋭というのが失礼なほど、貫禄が漂ってきてます。メタルとしてのメジャーなクオリティの高さと、ブラックの邪悪さ、アングラさを高いセンスで両立させた、素晴らしいアルバム。これはライブメンバーがやたら豪華なのも頷ける話です。ブラック好きなら青田買い必須…と言いたい所ですが、もう既に実ってる感じですね、このレベルの高さは(笑)。


FROSTMOON ECLIPSE - The End Stands Silent ★★★ (2011-05-30 22:37:21)

2011年発表の5th。

変拍子も使用する、有機的なアンサンブルと、シューゲイザー系にも通じる儚げなメロディも交えて展開する、やや前衛的なメロディック・ブラック。一部リフの歪みに間断を入れる部分等もあり、少し実験的な感じ。変拍子パートはVED BUENS ENDE辺りの影響を僅かに感じさせたりもしますが、このバンドはVBEのような不気味さは殆ど感じられず、非常に洗練された表現としてそういうアンサンブルを取り入れている感じがしますね。

また、メロウで清浄なトレモロリフで疾走するパートはシューゲイザー系のブラックにも通じるものがありますが、このバンドの場合、メロディの儚さや清浄さが何故かマイナスの感情を掻き立てるんですよね。ノスタルジーに浸っているというよりは、人生を後悔した挙句天に召されていくようなイメージが思い浮かんでしまいます(笑)。

この手のブラックとしては、ベースがかなり前に出ているのも特徴で、変拍子パートでのアンサンブルをより流動性の高いものにしていたり、メロディの儚さを更に強調してみせたり、リフの歪みに表情を与えたりと大活躍してます。個人的にはアコギと絡むパートが特にグッと来る。絶望したような呟きと、Ihsahn風の絶叫を使うヴォーカルも好印象。

感性的にポストブラック・シューゲイザーブラックとかなり共通するものを感じられる作風ですが、メロディックブラックとしてのスピードやドラマティックさもしっかり残してくれているので、エクストリームメタル好きにも取っ付きやすい作品だと思います。


FROSTREICH - Geistfahrt ★★ (2015-12-02 12:28:02)

2013年発表の1st。
日本のMaa Productionsから…ということで買ってみた一枚。タイトルの意味は精神の運行…でしょうか?じわりじわりと魂が向こうの世界に引っ張られていくような音にはピッタリのタイトルですよね。

流石に、日本のレーベルが目を付けるだけのことはあって、鬱ブラックとしての完成度はしっかりしたものがありますね。全体を通じて、叙情的ながら緩やかに破滅に向かいつつあるようなメロディ、アコギやストリングスを使ったメランコリックなムードの演出などは上質ですし、ヴォーカルもなかなか真に迫っていて悪くないです。

ただ、若干ですが音の濃密さがちょっと足りない気も…。この手の音なら、もっと厚みがあって、聴いていて飲み込まれてしまいそうになるような音の方が好みなんですよね。特にバンドサウンド部分がちょっと軽いかなー、と感じてしまいます。ドラムの音が軽めなのは、音にジャジーな(?)軽快さを加味しているようにも感じられ、よりポストブラック然とした音になっているので悪くはないですが。

個人的には良質だけど、あと一歩何か欲しいな…という感じですね。緩やかに破滅するような叙情性はかなり好きですが。


FROSTSEELE ★★ (2013-07-13 10:09:46)

ドイツ産アトモスフェリック・ブラック。
「フロストゼーレ」って名前がまずかっこいいですよね(笑)


FROSTSEELE - PrækΩsmium ★★★ (2013-07-13 10:10:22)

2012年発表の1st。

レーベルも有名なところ(Self Mutilation Services)だし、何よりバンド名のかっこよさに強く惹かれたので購入しましたが、これは釣られて正解。FROSTSEELE(霜の霊魂)のバンド名通りの、凍死系アトモスフェリックブラック。粗い氷の礫が吹き付けてくるようなディストーションと、ドイツ産らしい凍てついた哀愁の篭もったメロディにより、聴き手を雪原に放り出すかのような音世界を作り出しています。

通常、アトモスフェリックブラックって展開やフレーズよりも音像を重視した、「情景的」な音である事が多いんですが、このバンドはトレモロリフやストリングスによる、泣きの入ったメロディの主張がかなり強く、テンポの変化によるドラマ性の演出にも重きを置いているので、アトモス系の中でもメロディックさ・ドラマティックさは随一の音に仕上がってますね。根っからのアトモス系好きはもう少しオブスキュアな音を好みそうですが、この手の中ではかなり聴きやすい仕上がりになっていて個人的には好きですね。

メロディも良く、分かりやすい音の世界観を持ってるバンドなのでアトモス系の中でも入りやすい作品だと思います。凍てつくトレモロで凍らされたい人は是非。


FROZEN DAWN ★★ (2013-05-01 21:52:18)

スペイン産メロディックブラック。
今まで聴いたメロブラの中でも屈指のメロディアスさを誇る作風のバンド。


FROZEN DAWN - The Old Prophecy of Winterland ★★★ (2013-05-01 21:53:56)

2011年発表の1st。
SATYRICONの「Fuel for Hatred」のカヴァー入り。

一応、人並みにメロディックブラックは聴いてるつもりなんですが…この作品は結構な衝撃を受けましたね…。寒々しいトレモロやメロウなリードギターを武器に、緩急を上手く付けて聴かせる、作風それ自体は典型的なメロディックブラックなんですが…とにかくメロディが前に出て主張しまくるのが大きな特徴。クサメタルにどっぷり漬かった人間がDISSECTIONを聴いてその寒々しいメロディの虜になったら、こんな音を作り出す気がします。ごく短いオープニング曲「Cold Winds」の、余りにキャッチーな寒冷トレモロや馬鹿ッ速いドラムロールの時点で、このバンドが派手好きな感性を持っていることは最早確定的でしたけど(笑)。

メロディはしっかり寒々しさや邪悪さといった、ブラックメタルならではの感性が宿っているのに、余りにもそれを前に出しているせいで、最早クサメタルに半分足を突っ込みかけているようなメロメロ具合。ただメロウさや寒々しさがあるだけでなく、しっかり楽曲の展開に合わせてメロディの質感を変えてくる辺り、メロディへの嗅覚は確かなものがあると言って間違いないでしょう。メロディをがっつり強調しつつも、各楽器の音はしっかり聴き取れる音作りはモダンとは言えないものの、決して悪くはないですし、楽曲の展開もメロディの良さを生かすような起伏が設けられていて、なかなかに巧み。メジャー志向な音ではないかもしれませんが、メロブラ好きなら納得できるクオリティは間違いなくあるでしょう。

本人達の意向がどうなのかは知りませんが、クサメタル界でも十二分に通用するであろうクサさを持った、クサメロブラの名盤のお出ましです。ブラック好きのみならず、トレモロリフによって紡がれる、繊細なメロディ目当てでブラックも聴くようなクサメタラー諸兄にも大推薦。これは素晴らしい。


FROZEN DEATH - RAVENSTORM ★★★ (2012-09-22 03:22:40)

2003年発表の1st。
元は自主制作盤でしたが、Midwinterから2000年発表のデモ音源「Winter Domain」を付けて再発されています。

で、内容なんですが、これがかなり素晴らしくてびっくり。
寒々しいメロディをトレモロリフ全開で奏でながら疾走するメロディック・ブラック。トレモロリフの頻度はメロブラでもかなり高めの方ながら、左右のギターでリフの絡みがあったり猛然と刻むパートを設けたり、ブラックメタル、ひいてはヘヴィメタルの範囲から逸脱しない、ストレートなかっこよさも強い音。

個人的な印象としては、DARK FUNERALやNAGLFAR辺りを、もう少しマイルドにしてトレモロ頻度を高めた路線という感じ。ただし音作りはそれらバンドと比べて大分チープで、プリミティブ寄りなんですが…ノイジーで刺々しい方向ではなく、篭もって丸いプロダクションになっており、前述のバンドよりも攻撃性が低い音になっている分、純粋にメロディの良さを楽しめる作りになってると思う。

寒々しくメロウなメロディとトレモロリフという、メロブラ王道の組み合わせながらメロディ自体が素晴らしく、聴いていてうっとり出来る好盤。デモ音源の方も更にチープな音作りながら同路線でやはりかっこいい。Midwinter盤は500枚限定だそうですが、この優れた内容で500枚は少ないと思う。ただ、せっかく良いバンドを見つけたと思ったら、既に解散してるみたいなのが残念…。


FROZEN SHADOWS ★★ (2011-08-10 19:02:40)

カナダのブラック名産地である、ケベック州のキー入りブラック。
90年代半ばから活動していましたが、現在は活動休止中の模様。


FROZEN SHADOWS - Empires De Glace ★★★ (2011-08-10 19:03:12)

96年発表デモを99年にリレコーディングして再発したもの。

このバンドは、90年代初期のブラックメタルシーンに相当な思い入れがあるらしく、だから故意にこの作品も音質を粗いものにしているらしいですが…同じカナダではSHADEなんかがそうですが、北欧の初期ブラックシーンへの憧憬が高じて、そのムードを引き継ぎつつ、一部そのシーンの作品を越えたとすら思わせる作品を出すバンドがいますが、この作品はまさにそんな感じ。

作風は、まさしくバンド名が指し示すとおりですね。
凍てつくような寒々しいトレモロリフを交えて疾走しつつ、妖しい影がよぎるような空間系、宗教的な荘厳さを醸しだすオルガン系などの音色のキーボードを挿入した、メロディックなブラックメタル。裏返る寸前まで引き絞ったような高音絶叫スタイルのヴォーカルも、真に迫った何かを感じさせてくれます。

前述したように、この作品は初期ブラックのシーンのムードを継承するため、故意にネクロな音像を演出していますが…これが雰囲気作りに非常に奏功しているんですよね。低音質だからこそ出来る黒い音に靄のようなキーボードが入ると、まるでそれが幽霊の顔に見えるような不気味さがある。個人的には、初期SATYRICONの作品にも通じる超自然的な恐怖感を感じました。

まとめると、ムードの演出に非常に優れた、キー入りのメロディックなRAWブラックと言えるかと。レビューを見ると、最初期のEMPEROR辺りが引き合いに出されることが多いようですが、それも頷けるムードがあるように思います。


FULLMOON(POLAND) ★★ (2007-08-10 16:00:00)

ポーランドのNSブラック。
日本にも同名のバンドがいるんですね…知らなかった。


FULLMOON(POLAND) - UNITED ARYAN EVIL ★★★ (2007-08-10 15:56:00)

95年発表のデモ音源を、05年にCD化して再発した作品。
熱心なブラックメタラーの間での支持が非常に高いアルバムみたいです。

音質は当然チープなんですが、ある意味最高級かも…。
ノイジーすぎて聞きにくいこともないし、トレモロリフやキーボードのメロディもしっかり聴こえる音質で、特にギターの音は曲調に上手くフィットしており聴いてて心地良いです。肝心の曲の方も、ペイガンが好きな人にはたまらない質の高さがあると思います。

まず何と言ってもメロディが良いです。
アーリア人の優位を唱える思想を標榜しているNSバンドらしく、メロディも結構民族的な要素が感じられますが、これがメロウさ、壮大さ、邪悪さの全てを兼ね備えていて本当に素晴らしい。このメロディがチープな音質や潰れたヴォーカルと相まって、まるでスピーカーから邪悪な波動が吹き出てくるような、非常に瘴気の濃い作品になっていると思います。

バンドの思想に共鳴は出来なくても、彼らが描く音の景色に惹かれる人は多いはず。お勧め。


FULLMOON(POLAND) - UNITED ARYAN EVIL - ...BLOOD FOR IMMORTALITY ★★★ (2007-08-10 15:59:20)

ドラムの音、チープすぎるにも程があるのでは(注・けなしてません)…(笑)まるで木魚みたい。しかしこの壮大さとメロディの良さは、ほんとペイガン好きならば必聴でしょう…戦士たちの士気と、戦いで亡くなった彼らへの哀悼の念までが伝わってくるかのような名曲。


FULLMOON(POLAND) - UNITED ARYAN EVIL - THE PAGAN MOUNTAIN ★★★ (2007-08-10 15:58:04)

いかにもプリミティブブラック的な疾走パートと、広がりのあるスローパートから構成される曲。ペイガン系特有のメロウなんだけど、どこか不吉さも感じさせるメロディが素晴らしい。戦いの予感を感じさせるようなメロディ。…でもヴォーカルの「わっ」はちょっと可愛いんだけど…(笑)


FULLMOON(POLAND) - UNITED ARYAN EVIL - THE WOLFISH INITIATION ★★★ (2007-08-10 15:57:01)

12分以上の時間を掛けて、NSブラックの邪悪で、心地良い波動を浴びせ続けるかのような曲。…こんな曲をずっと聴かされていたら、本当に彼らの思想に洗脳されてしまう人もいるかもしれません(笑)。タイトル通り儀式的な曲。


FUNERAILLE - Dis Pater ★★ (2016-06-05 12:01:34)

2009年発表の1st。
中心人物のLyshd氏は元ANNTHENNATHだとか。

何となく好戦的な感じのするバンドロゴですが、実際はフランス産らしい病的なムードやメロウさを強く感じさせる、雰囲気重視なプリミティブ・ブラック。どこか閉塞感を覚えるようなジリジリした音色のリフによる、湿り気のあるメロディや、遠吠えのような掠れきったリバーブの効いた絶叫が、陰々鬱々とした空気感を演出する音。

そこにアトモスフェリックなキーボードが被さってくるのも特徴で、音色だけ聴くとどこか光が差すようにも感じられるんですが、何故かバンドの音と合わさるとより閉塞感を増しているように聞こえるんですよね。また、一部ヴォーカルがガテラルめいた低音も使う部分もありますが、それがまた楽曲のジメジメした薄暗い雰囲気を助長しているように感じます。総じて、プリミティブ系としてはかなり陰湿な印象の音に仕上がっている感じ。

衝動性よりも鬱々とした雰囲気が強い作品ですが、フレンチブラックに特有の病んだムードが好きであればツボに嵌まる音かもしれません。


FUNERAL FOG ★★ (2012-04-09 04:19:57)

現在は解散してしまったらしい、カナダのブラックメタルバンド。
…しかし思い切ったバンド名ですよね。


FUNERAL FOG - CHANNELING ANCIENT SOULS ★★ (2012-04-09 04:21:07)

2007年発表の2nd。

まあ、このバンド名でブラックメタルじゃなかったら虚偽表示もいいところですよね(笑)。内容は、「De Mysteriis~」から「Wolf’s Lair Abyss」期のMAYHEMの湿り気や展開と、三部作期のDARKTHRONEのツタツタとRAWな疾走をメインの作風を掛け合わせたようなブラックメタルの王道的な音。曲によってはキーボードも入りますが、あくまでRAWなバンドサウンドを中心とした作風。

しかし、こんなバンド名を付けるだけあって、ブラックの魅力を分かってるバンドですよね。粗めながら低音も効き、厚みのあるバンドサウンドと、ブラック特有の黒く塗り潰すような平坦系のリフの組み合わせで演出される音像はジメっとした感触で、邪悪なトレモロが非常に良く映えてる。気合の入ったがなり系ヴォーカルも、ストレートに憎悪を撒き散らしておりかなりの邪悪さを放ってます。

流石にMAYHEMやDARKTHRONEなどと比べると、決定打不足は否めないものの、ブラックメタルというジャンルが好きならば確実に楽しめる一枚だと思う。ブラックの基本バンドを一通り聴いて、このジャンルに深くハマる決心がついた方にお勧め。


FUNERAL GOAT - Mass ov Perversion ★★ (2014-05-10 11:39:40)

2009年発表の1st。

発売元のDAEMON WORSHIPって、ブラックのアングラな湿気は残しつつも、ある程度高いクオリティのプロダクションの作品をリリースするバンドが多いイメージがあるんですが、このレーベルの所属バンドとしてはかなりノイジーな部類に入る音ですね。ヒリヒリした…とか、痛みを表すような擬音で表現したくなるような、苛烈極まりない音作りで結構聴き手を選びそうな感じ。

音作りがノイジーで過激なだけでなく、ノイズ質の中からうっすらと聴こえてくるトレモロにはブラック特有の邪悪な叙情性が込められているし、生々しく活力のある疾走を聴かせるドラム、楽曲のどす黒いムードを更に強めるような、厳かに吐き出すような低音グロウルメインのヴォーカルなども、プロダクションのノイジーさと相俟ってよりカルトな雰囲気を強調してますね。

苛烈なプロダクションが、トレモロの毒気と合わさってどこか陰湿で、閉塞感があって、儀式的な雰囲気を醸し出している作品。個人的にはノイジーさが少しキツめな気はしますが、アングラなブラックとしては申し分のない邪悪さですよ。


FUNERAL MIST ★★ (2006-02-05 09:37:00)

アルバム「SALVATION」はブラックの中でも1、2を争う…というか、
今まで聴いた全てのアルバムの中でもトップ3に入るくらい好きなんですが
AriochはMARDUKに入っちゃったし、新作はまだまだ先なのかな…
Arioch関連では最近MARDUKのライブ盤とかが出て嬉しいけど、
やっぱりFUNERAL MISTの新作が聴きたいなぁ…。


FUNERAL MIST ★★ (2006-02-27 08:16:00)

>GODさん
こんにちは、お久しぶりです。そして嬉しいニュースです!!
今気になって海外の超大手レビューサイト、「Encyclopedia Metallum」を
チェックしてみたんですが、「リリースの予定は未定ながら、Ariochは現在
FUNERAL MISTの次のアルバムに向けて作業をしている。
NecromorbusはOfermodに集中する為バンドを抜けたが、MARDUKのEmilが彼に
代わりドラマーを務め、MARDUKが「PLAGUE ANGEL」を制作したEndarker Studioで
レコーディングをする予定である」…とありました。
英語力微妙なので間違ってたりミス情報だったらごめんなさい。
大袈裟かもしれないけど、生きる楽しみが一つ増えました(笑)
年内に出ると嬉しいなぁ…


FUNERAL MIST - Devilry ★★★ (2005-09-27 23:24:00)

98年発表のデビューミニの2005年再発盤。
ボーナスとして96年のデモ「HAVOC」も追加収録されています。

ヴォーカルの巧さや歌声と曲の兼ね合い、曲の邪悪さ、SEなど色々な要素ははっきり言って1stアルバム「SALVATION」の方が上だと思いますが、このアルバムではそれを補うくらいにドラムが良いです。まず速いし、音はでかいし、しかもテンションの高さは物凄く伝わってくるしでまるで両耳に削岩機を突っ込まれているような喧しさがあります。

でも、それがブルータルな音楽が好きな人の耳には実に気持ち良く響くと思います。ギターも結構荘厳でブラック好きなら気に入るような、案外分かりやすいリフを弾いたり良い感じですがやっぱりこのアルバムではドラムが主役って感じです。Necromorbusという人物が担当していますが、この人、もしかして演奏中ずっと無呼吸でこなしているんじゃないかと思う程の激しいドラミングです。

「SALVATION」が精神と肉体をまんべんなく侵していくアルバムなら、こちらは精神状態の如何に関わらず、問答無用で世界に連れ去っていく感じです。また、デモの方も音はあまり良くないとは言え、なかなか良い雰囲気です。

ブラックの邪悪な雰囲気や完成度の高い音楽が好きな人には「SALVATION」をお勧めしますが、ブルータル・ファスト好きにはこのアルバムをチェックする事をお勧めします。…まぁ、どうせなら両方買って欲しいですが(笑)


FUNERAL MIST - Devilry - Funeral Mist ★★★ (2005-09-27 23:24:24)

GORGOROTHといい、自分のバンド名を付けた曲はいいものが多い!?
かなり聴かせるリフを完備して、時には勇壮と言ってもいいほどかっこいいメロディも登場します。他の曲よりも展開が練られているのも良いです。


FUNERAL MIST - Devilry - Realm of Shades ★★ (2005-11-22 21:32:21)

タイトル通り、「Realm Of Plagues」の原曲。
歌詞や展開はほぼ一緒ですが、Plaguesの方ではぅグおオォオォオ゛ォォォ!!!!みたいに叫んでた部分が笑い声になってたり、違う部分もあって聴く価値ありな1曲。Plaguesの方が好きだけど、ラストのうめき声はこっちの方がいいかも。


FUNERAL MIST - Devilry - The Devil's Emissary ★★ (2005-09-27 23:27:38)

先に「SALVATION」の方を聴いていましたが、このヤケクソな程のテンションの高さには思わず驚いてしまいました。でも、この曲のSE(女性が怪物に沼?に引き込まれるという内容)はなんだか笑えてしまいます(笑)。


FUNERAL MIST - Devilry - The God Supreme ★★★ (2005-09-29 20:42:49)

「イヤァァァァァァァァァァェェェェェ…(約30秒)」
…凄~。Ariochは表現力や声の強さだけでなく、肺活量もかなりの物ですね…その邪悪絶叫に加えてこの曲はブラックにしては珍しく、ドラムソロまで完備。特に後半の乱打はかっこいいです。悪魔の声まで入ってくるし…リフの良さも手伝って、かなりの名曲になっています。


FUNERAL MIST - Maranatha ★★★ (2009-03-09 21:39:00)

2009年発表の2nd。

二年くらい前から新作が出る事を噂されてたんですが、それから何の音沙汰もなくて半ば諦めてたんですが…突如新作発表のニュースが飛び込んできた時はほんと衝撃でした。ちなみに、二年くらい前の噂ではMARDUKのEmilがドラムを担当すると言われてましたが、現在はArioch独りの編成で、今作のドラムはセッションドラマーを起用したそうです。

まずFUNERAL MIST最大のウリであるAriochのヴォーカルですが、もう素晴らしいなんて言葉じゃたりないくらい素晴らしいですね…邪悪好きには垂涎・落涙ものですよ、これ…。世界の全ての「穢れ」を一身に背負った預言者が、苦悶しながら何かを訴えているような声。タイトル曲の「Anathema Maranatha」のタイトルを叫ぶ部分なんて、あまりに「穢れ」が強すぎて、人間の形を保てなくなった者の咆哮を聴いているような凄絶さが…。

どこかのサイトでAriochの素顔を見たらかなりのイケメンで驚いたんですが、この作品の彼の声を聴く限り、肉が爛れてゾンビ化した人間が歌ってるようにしか聞こえません(笑)。悪意に満ちた邪悪ながなりだけでなく、咳き込む寸前の声や吸い込み系の声を出したり、表現方法をかなり追及し、実践している感じ。それだけでなく、声に掛けるエフェクトやミックスにも物凄く拘ってそうな印象があります。HR/HMに限らず、ここまで表現力のあるヴォーカリストっていないですよ…しかもその表現力の全てが邪悪さに向けられてるという。

作風は、確かにミディアムが増えたものの、宗教性・神秘性を感じさせる邪悪極まりないファストブラックなのは変わりません。音質はフレーズやヴォーカルがよりくっきり聴こえるようにはなってますが、全ての音が殺意を持って襲いかかってくるような迫力は変わってないですね。SEを上手く使い、宗教的なムードを強めているのも一緒。

ただ、不満も無いわけではないですね…。アルバムの盛り上がる所でやけに長いSEを挿入したり、約12分の大作が邪悪一色でなく、ロック的リズムを導入したものだったり、実験的な要素が多少空回りしている印象。加えて、前作の「Qui tollis peccata mundi…Agnus Dei」「death and darkness, funeral mist, desolation」「Tibi soli peccavi」辺りで聞かれたキャッチー(かつ超エグい)なヴォーカルラインが減ってる気も。ヴォーカルの歌い方、聴かせ方自体には何の文句もないですけどね。

…とはいえ、そんなものは些細なことに過ぎず、期待を裏切らない作品だと思います。私は1stを聴いたときはその邪悪さに衝撃を受け、今でもブラックメタルのアルバムベスト3に入るし、神格化レベルで好きなんですが、そういうリスナーの期待を裏切らない作品を出してくれるバンドって稀有だと思う。もしブラックにほんの少しでも興味があるなら1stと纏めて買う事を勧めます。
そしてブラック界生え抜きの表現力を持つヴォーカリストである、Arioch様の妙技をとくと味わうがいい!!(笑)


FUNERAL MIST - Salvation ★★★ (2005-09-18 11:13:00)

2003年発表の1st。

音楽性的にはブルータル・ブラックに属するんでしょうか?同郷のMARDUKやDARK FUNERALと比べると、プロダクションは少し汚な目ですが、それによってブラックとしての邪悪さは上手く出せている様に思います。

時折冷涼とした荘厳メロディを弾くリフも出てきますが、そういう場面ではギターを前に出してちゃんとメロディを聴かせるあたり、アングラ感と聴覚上の気持ちよさの兼ね合いのバランスの良さが際立っている感じがします。

このバンドはVo担当のAriochが中心人物みたいですが、彼のセンスはMARDUKでの「Life's Emblem」で死神と今正に命を奪われんとする男を類稀な表現力で演じきった時から思ってましたが、やはりただものじゃないですね。うめき、がなり、絶叫とスタイルが多く、しかもどれも苦しげな感じがするのが良いです。この人は普通にがなっても上手そうですが、微妙に地声を混ぜてわざと不気味さを演出したり、ホントにセンスいいです。

曲の場面によって音の中に混ぜるような声にしたり、低音に不気味なエフェクトをかけたり、絶叫を前に出したり、自分の声を曲全体の観点から見ても邪悪に作用するアレンジを加える所からも、それが良く分かります。また、このアルバムはSEの使い方が上手いです。個人的にあまりSEって好きじゃないんですがこのアルバムに関しては絶対にあった方が良いと思います。聖歌系が多くて凄く感じ出てます。

余談ですが、このアルバムはMARDUKのリーダー、Morganも自身のお気に入りアルバムベスト3に入るほど気に入っているそうです。そのためかLegionがMARDUKを去った後、AriochをMortuusとして加入させてしまいました。私はそこからFUNERAL MISTを知ったんですが、このアルバムはかなり気に入りました。

まぁ少し音がごちゃごちゃな所があったり、これからブラックを聴く人には流石に勧められませんがブラック好きかも、って位の人には余裕でお勧めのアルバムです。たぶん。


FUNERAL MIST - Salvation - Across the Qliphoth ★★ (2005-11-22 21:33:35)

この曲の、一瞬のブレイクにヴォーカルの邪悪なフレーズが挟まり、雪崩れ込む展開はかっこよすぎ。特に「Through the crust,penetrate」のところは一緒に叫びたくなります(笑)途中異様に潰れたうめき声も出てきてヤバい雰囲気。
しかし、FUNERAL MISTは歌詞の世界観も良い感じですね。神とユダが一つになった…とあったので、どうなるのかと思ったら最後はまとめて磔に。容赦無いなぁ。


FUNERAL MIST - Salvation - Agnus Dei ★★★ (2005-09-18 18:04:28)

『人々はその期間、死にたいと思っても死ぬ事が出来ず、切に死を望んでも死の方が逃げてゆく。(ヨハネの黙示録 9 : 6)』
SE~小さい音のバンドサウンドの流れで、「あれ、音質悪い?」と思わせながらボリュームを上げて本編に突入するオープニングはかなりドラマティック。その直後に来るリフも多少音圧の中にメロディが隠れてますが、かなり荘厳。この流れで惹きつけられ、一気に聴けてしまう曲です。
上の黙示禄以外にも、「Qui tollis~(世界の罪を取り除く、神の子羊よ)」も聖書のヨハネ福音書から取られているみたいですね。でも、この曲の場合罪を取り除いて死と疫病をもたらしていくようなノリですが(笑)


FUNERAL MIST - Salvation - Bread to Stone ★★★ (2005-10-06 21:52:11)

このアルバムでは一番短いですが、聴き応えは他の曲以上!!
…だけど、長尺曲に前後を挟まれているせいか流れ的に目立たない位置になっている印象も。やっぱりこれも「Circle Of Eyes」同様、一曲単位でも是非聴いて欲しい作品。SEの使いかた(ブラックパートをいきなり遮るように入る)も面白いです。


FUNERAL MIST - Salvation - Breathing Wounds ★★ (2005-09-18 18:04:43)

これも1曲目同様、入りがかなりかっこいいです。
「Appear!Appear!Appear!...」のエコーにやられたブラックメタラーは一体どれだけいるのだろうか。本編の「with dignity,with dignity」の邪悪でドスの効いたうめきもかなりキてます。


FUNERAL MIST - Salvation - Circle of Eyes ★★★ (2005-09-18 11:18:29)

この曲の呪文みたいな声、一応メロディを歌ってはいるみたいですがかなり怖くて良い感じです。こういうアレンジ大好き。曲は12分以上あってかなり長いですが、精神をじわじわ蝕んでいくような恐怖感は一級品。
ただ、プリミティブ以上に酩酊感のある曲なので、個人的にはアルバムの流れで聴くより単品で聴いた方が楽しめるかも。


FUNERAL MIST - Salvation - Holy Poison ★★★ (2005-10-06 21:51:47)

Arioch、いきなり凄い声出しますね…
「Satan」の部分は苦しそうな声(もがき系?)で、もう殆どこれをデス声に分類して良いのか悩むくらいなんですが、すぐにドスの効いた低音うめきに移行。これ、エフェクトも掛けてるんだろうけど、本人の声も相当なものでは…個人的にAriochが普通の歌を歌う所って全く想像できないです。


FUNERAL MIST - Salvation - In Manus Tuas ★★★ (2005-11-15 19:19:02)

タイトルは「汝の御手に」の意。私的には「Realm Of Plagues」とこれがアルバム・ペストヴォーカルパフォーマンス賞ですね。
特に血管が切れそうな声で繰り返される「Tibi soli peccavi/et malum coram te feci(唯一の貴方に罪を犯し、悪を貴方の前にて行いました)」は、内容だけ聴くと懺悔みたいなのに、明らかに懺悔を聴く神父を殺そうとするかのような殺意が篭もってるんですが…(笑)
ちなみに、12分くらいありますが後半はSEっぽいインストです。


FUNERAL MIST - Salvation - Perdition's Light ★★★ (2005-09-18 18:04:55)

タイトルは日本語で「破滅の光」…なんかRPGのラスボスの最強技っぽい(笑)。そのタイトル通り、主旋律はブラック特有の荘厳なものでかなりグっときます。特にラスト近くでツーバス連打と絡むところは最高ですね。


FUNERAL MIST - Salvation - Realm of Plagues ★★★ (2005-10-06 21:52:26)

曲の終わりに使われそうなドラムとギターの絡みと、Ariochのブチ切れたとしか言い様のない絶叫が交わる部分が最高にかっこいい曲。
これ、一体どんな形相で叫んでるんだろう…殺されそうだけど、録音ブースを覗いてみたい(笑)


FUNERAL MIST - Salvation - Sun of Hope ★★ (2005-10-06 21:51:34)

SEは悲鳴と合唱に混じって、よく聴くと鞭の音も入ってますね。
このSEからは宗教の名のもとに魔女狩りのような拷問が行われている所が想像され、それが楽曲をより印象深いものにしています。曲から受けるどこかヒステリックな雰囲気も良い感じ。


FUNERAL MOTH - Funeral Moth ★★ (2009-01-12 08:45:00)

2008年発表の2曲入りEP。1000枚限定。
EPですが30分近くあって浸るのに十分なボリュームです。
WORSHIPやMOURNFUL CONGREGATIONを思わせる葬式ドゥームで、ヴォーカルのグロウルや
重低音の効いたギターの引き摺る音色など、このジャンルとして完璧な音。前述のバンドの
1st(「Dooom」「The Monad of Creation」)は、作風は好みなものの音質が妙に繊細なのが
少し引っかかっていたんですが、このバンドの音はかなりダイナミック。
特にギターの音、空気が震える感触まで伝わってくるかのような迫力があって、このジャンルの
中でも破壊力の高い音になっているように思います。冥府からの鈴の音を思わせる音色の
ギターメロや亡者の群れの呼び声のようなコーラス、怯えたように声を震わせる
パフォーマンスも聴かせるヴォーカルなど、暗黒世界の表現もツボを突いてます。
しかし、こういう音ってバンドの息がピッタリじゃないとこんなに迫力出ないと思うんですが…
意外とこのジャンルって、演奏する側にとっては楽しいのかも?
ピッタリ合って狙った轟音が出たら絶対気持ちよさそうだし。


FUNERARY CALL - Fragments from the Aethyr ★★★ (2013-12-20 01:05:33)

何枚目かは分かりませんが、2012年発表のフルアルバム。
3曲入りですが演奏時間は40分近くあります。

MZ.412やNORDVARGRなど、ブラック系アンビエント好きな方にお勧め…という事で購入しましたが、これは邪悪!ノイズ/ドローンのみならず、管弦楽器やフィールドレコーディング、果ては喉歌(ホーミー)のサンプリングまでを駆使し、黒一色を刷毛で塗りたくったかの如きドス黒い雰囲気に特化した情景を描き出す、ただただ邪悪さのみが残る儀式系アンビエント。

作りは丁寧…というか、暗黒な情景を描くことへの偏執的なまでの拘りが感じられるような作品で、例えば轟音のノイズが耳を聾するパートでも、(物理的に)耳に痛い音=過激、のような短絡には全く陥らず、むしろ何か取り返しの付かない事が進行しているような、精神の方を積極的に嬲ってくる感じなんですよね。魔界や地獄まで行ってフィールドレコーディングやってたりして(笑)。

後、個人的に感銘を受けたのはストリングスの使い方ですね。ゲストにヴァイオリン奏者を起用してる事からも分かるとおり、弦の使用頻度が高めなんですが、面白いくらい「メロディアス」とはかけ離れた音なんですよね(笑)。神経の糸が痛みを伴いつつ、引き千切れそうにそうになるような、嫌な緊張感を演出する事に専念していて、全くクラシカルなメロディが出てこない辺り徹底してます。まあ、この手に美メロなんて誰も期待してませんが(笑)。

バンドサウンドではないため、一般的なメタルファンには間違ってもお勧め出来ませんが、日常からの解脱目的でブラック聴いている方なら心から共感出来る音でしょう。決して宗教行為に利用してはいけません、危険です(笑)。


FUNEREAL MOON ★★ (2013-06-27 18:57:35)

90年代前半より活動する、メキシコのアンビエントブラック。
FUNERALではなくFUNEREALなので注意。


FUNEREAL MOON - Beneath the Cursed Light of a Spectral Moon (2013-06-27 18:58:06)

94年発表の1st。
2006年にボーナストラックを3曲付けて再発。

メキシコ産のアンビエントブラック、しかもブラック黎明期の作品…そう聞いただけでとてもマニアックなものを想像される方も多いと思われますが、それで正解です(笑)。基本はSEやアンビエンス志向のキーボード等を用い、霊界と交信しているかの如き妖しい音像に、バンドサウンドやその一部、妖しく潰れたヴォーカルなどを絡めてくるスタイル。決してメロディアスな音像ではなく、病気なヴォーカルも前に出てくるので人を寄せ付けない雰囲気。

正直言って、アンビエント色の強いパートは気分でないときに聴くのは苦しく感じるくらいマニアックで、余りにも人を選ぶ作風だと思うんですが…時折入ってくるプリブラ期のDARKTHRONE辺りに近い、プリミティブ疾走がかなりかっこいいんですよね。RAWでアングラな雰囲気を醸し出しつつ、それをマニアックな作風ゆえの霊的なムードが後押ししている感じ。

今でこそアンビエントとブラックの融合なんて珍しくないですけど、この当時から、しかもメキシコでこんなブラックを演っていたバンドがいたというのは興味深いですよね。とにかく不気味で病的な音楽が聴きたい方向けです。


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased ★★ (2004-01-01 19:37:00)

このアルバム、ブラックでありながらもはやメロデスの範疇に入れても良いくらいのメロディックです。でもブラック特有の超高速ブラストは勿論健在ですので、安心して購入できる一枚ですね。
ボーカルは喉を潰して呻くスタイルではなく、どちらかというとかなりの高音で喉を開いて吐き捨てるような感じです(かなり語弊があると思いますが、ARCH ENEMYのAngelaの暴虐性とJohanの野蛮さを併せ持っているように思えます)。
この作品はかなりキーボードが重要な位置を占めていますが、普通のストリングス調の味付け程度のものからかなりデジタルなコンピューター音まで取り入れています。
隠しトラックにもテクノ調のものが入っていたり、ボーカルにエフェクトを掛けていたりメンバーの銀塗りに相応しいようなサイバーな感じの音も取り入れてます。
歌詞もサタン賛美ではなく、宗教を脱して自分の知識を身に付けろ、というメッセージなど人々に自分で考える方向へと啓蒙している感じでかなりお気に入りです。
でも、このライナーによるとこの作品を最後に豪腕ドラマー、Dracoが脱退してしまうらしいですね…


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - Antigod Declaration ★★ (2004-01-01 19:37:36)

ブラックにしては変わったリズムでノリノリ(?)な感じの一曲。
こんなリズムでブラスト叩けるDracoは凄いなぁ…


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - Carcass of Christ ★★★ (2004-01-01 19:38:11)

ボーナストラックなのにアルバムで一番かっこいいと思った曲(笑)
何故か音質が他の収録曲に比べて不鮮明ですが、逆にそこがかっこよさを演出していると思います。ちなみにこの曲だけドラムが交代してるらしいです。


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - Infected ★★ (2004-01-03 08:48:47)

この曲ではボーカルそのものではなく、エコーにエフェクトをかけるというやや斬新な手法で音作りがなされている曲です。
このバンドの強みはデジタルのような最新の音とブラックの持つ初期衝動的激しさを同時に出来る事かもしれないですね。


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - The Sculptor ★★★ (2004-01-01 19:38:24)

一曲目から凄まじいテンションで疾走する曲!!
キーボードがさりげない味付け程度に使われていてかなり良い雰囲気の曲です。歌詞の世界観も自分で考えることを怠る矮人どもを強烈に批判してるようでいい気分に浸れます(笑)ボーカルのエフェクトがかっこいい!!


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - The Walls Breed Larvae ★★★ (2004-01-01 19:37:54)

多分この曲がアルバムで一番速い曲だと思います。
っていうかDracoのドラムが凄まじい…。サビ部分で歌詞が割と聞き取りやすく、しかも覚えやすいキャッチーなフレーズなのも高ポイントですね。邦題が凄い(笑)


FUNERIS NOCTURNUM - Code 666 - Religion Syndrome Deceased - Vulpine Paralogism (2004-01-01 19:36:41)

キーボードがキラキラならぬ「ピコピコ」いってるちょっとデジタル風味のブラックメタル。
メンバーの銀塗りに恥じない未来的な音色の曲です。


FURBOWL ★★ (2010-06-13 19:29:00)

HEARSE、ex-ARCH ENEMYのJohanがかつて在籍していたバンド。
2nd「The Autumn Years」はビクターから日本盤も出ています(廃盤)。
去年、1stがVic Recordsより大量のボーナスを追加、リマスターして再発されました。
…でもこのバンド名からは、毛玉を模したマスコットキャラしか思い浮かばないなぁ(笑)。


FURBOWL - Those Shredded Dreams ★★ (2010-06-13 19:18:00)

92年発表の1st。
09年にデモやライブ音源を収録したボーナスディスクを付け、リマスターして再発されました。
武骨さ・野蛮さを強く感じさせる、ロックンロール的なノリも取り入れたデスメタルで、
今のHEARSEの雛型とでも言えそうな音楽性ですが…これを聴くと、良い意味で泥臭く思えた
HEARSEが如何にアップデートされた音かというのが良く分かりますね。煌びやかなギター
ワーク、ブラック並の邪悪リフも登場し、耳を引く部分も多いHEARSEと比べ、こっちは
飾り気の無い武骨さを感じさせる、本当の意味でオールドスクールな音という感じ。
この破れかぶれ感が好きという方も多いのでは。音質はリマスター効果なのかドス黒く
聴こえるほど重く、それがまた曲の武骨さを際立てていると思う。
Johanのヴォーカルは、この後に出たARCH ENEMYの1stでは、それ程強烈なデス声という
訳ではなかったため、活動最初期のこの作品も然程でもなさそう、と思ってたら…
初期ARCH ENEMYやNONEXISTでのパフォーマンスより強烈で、ビビったんですけど(笑)。
最初の第一声からして獅子の如き、堂々たる、獰猛たる咆哮。アー写見ると考古学とか
学んでる大学生にしか見えないですけど(笑)、声は完全に年季の入ったデスメタラーのそれ。
ヴォーカルは最近のHEARSEでのパフォーマンスに通じる痛烈さだし、音もARCH ENEMYの
1stに通じる、ゴリゴリした迫力のあるものですが…当時は録音環境とか今一つだった
はずなのに、やはりリマスターの効果なんでしょうか。一瞬、再録かと思いましたもん。
取り敢えず、Johanファンだけど録音状態が悪そうだと思って再発盤に手を出しかねてる
という方は、安心して買っていいと思います。


FURBOWL - Those Shredded Dreams - Buried Alive (2010-06-13 19:28:33)

Venomカヴァー。再発盤ボーナスディスク収録。
音質が悪め(篭もり気味)で、演奏の細部は不鮮明ですが、カルトブラックに通じる得体の知れない迫力がある。特にエコーが掛かったJohanのヴォーカルは、声の太さもあって怒れる魔神のような雰囲気がありますね。


FURBOWL - Those Shredded Dreams - Damage Done ★★★ (2010-06-13 19:20:26)

最初の第一声からして、何か貫禄がある…これがJohan初のフルレンスの最初の声だと思うと、何か感慨深いものがありますね。Johanのヴォーカルと、リフの掛け合いがテンション高くて妙に面白い曲。この頃はJohanがギターも演ってたんでしたっけ。しかし、前振りの長い曲です(笑)。


FURBOWL - Those Shredded Dreams - HEART INFERNO ★★★ (2010-06-13 19:27:46)

93年発表のデモ曲で、再発盤ボーナスディスクに収録。アルバム本編はかなり武骨な感じが強かったんですが、この曲ではヴァイオリンを導入していたり、リスナーにアピールする方法を試行錯誤している様子が窺えます。


FURBOWL - Those Shredded Dreams - Razorblades ★★ (2010-06-13 19:24:50)

渋いベースリフで曲を牽引していく曲で、最初聴いた時は「地味…」という印象でしたが、ボーナスのライブ版を聴いて印象変わりました。Johan、完全に曲の世界に入っていってる…。当時の彼の怪盗っぽいルックスを思うと、ステージでこれを歌ってる彼の姿を想像するとそそられるものがありますね(笑)。


FURBOWL - Those Shredded Dreams - Sharkheaven ★★ (2010-06-13 19:25:37)

邦題:おさかな天国(嘘)


FURBOWL - Those Shredded Dreams - Those Shredded Dreams ★★★ (2010-06-13 19:26:31)

一部幽玄なギターソロパートを導入しているのが、耳に残りますが…音が武骨なだけに、こういう叙情性あるパートは映えますね。それでいて、変なわざとらしさは感じられないという…少しARCH ENEMYの1stに通じるフィーリングが感じられる曲。


FURIA (FRANCE) ★★ (2011-09-14 00:21:34)

フランス産シンフォニックブラック。
ぶっちゃけポーランドのFURIAと間違えて買ったんですが、これがなかなか良い作品でラッキーでした(笑)。


FURIA (FRANCE) - A LA QUETE DU PASSE ★★ (2011-09-14 00:23:19)

2001年発表の1st。

イントロこそシアトリカルで、妖しい世界観に引き込んでいくような、如何にもシンフォブラック然としたものですが…本編は割と刻みを多用した、メロデス的な要素も強い音作りが成された作風ですね。特にイントロ明けのフレーズなんて正統派的ですらありますもん。メタリックなリフで曲を牽引しつつ、キーボードや女性ヴォーカルを入れ、ドラマティックな世界観を演出するタイプの音。音質も綺麗で、シンフォブラックとしても非常に聴きやすい感じ。

このバンドは、何気にメロディセンスが素晴らしいと思う。
リフの合間を縫って挿入されるキーボードや、女性ヴォーカルのメロディが、ことごとく上品で美しく、しかも耳に残る。個人的には、「Midian」「Bitter Suites~」期のCRADLE OF FILTHに通じる、煌びやかさと耽美さ、キャッチーさがあるように思います。全体的に品のある雰囲気ですが、暴虐な所もしっかりあり、行儀が良過ぎないところも良いですね。

フランス産らしい上質なメロディが聴ける、メロデスに寄りシンフォブラック。
ちなみに、このバンドの作品は曲の登場人物の会話によって、物語が進行していく歌詞が特徴となっているようですが…正直、フランス語なのでよく分からないです(笑)。せめて英語で訳詩を付けてくれたら良かったんですが…。


FURIA (POLAND) - Marzannnie, Królowej Polski ★★★ (2012-07-21 22:11:15)

2012年発表の3rd。

ノルウェーの黎明期ブラックって、MAYHEM、EMPEROR、DARKTHRONE、BURZUMなどのバンドがブラックの基本的な形式を完成させる傍ら、その裏でTHORNSやVED BUENS ENDEを始め、BEYOND DAWNやTULUS、INFLABITAN辺りのバンドが独自の、アヴァンギャルドでグロテスクな作風を提示してきたという印象があるんですが、このバンドはポーランド出身で、2003年結成というプロフィールにも関わらず、後者の独自路線北欧ブラックのムードを色濃く感じさせるブラックメタルを演っていますね。

作風としては、灰紫の濃霧で覆われたような、ギターリフのノイズ質で抽象的ムードを演出しつつその中で何かが蠢いている感じの、オーガニックでグロテスクなフレーズを交えつつ展開していくアヴァンギャルドな路線。メタリックな重さはある程度保ちつつも、薄気味悪いノイジーさも感じさせるプロダクションも作風にぴったり。不穏を通り越して不吉な印象を聴き手に与えるような雰囲気が常に立ち込めてます。

かなりメロディアスなトレモロを含む疾走パートもあり、聴きやすい部分もあるにはありますが…途中ハンドクラップがやたら気色悪い使われ方してたり、疾走の裏でベースが催眠的なフレーズを弾いていたり、上記のバンド以上に捻じ曲がった感性が至るところで発揮されています。リバーブも掛かった、やたら太い声のヴォーカルにもどことなく異常な雰囲気が感じられ、生理的な嫌悪感に訴えかけてくるものがあると思う。

上記のバンド以外でいうと、メンバー的にも関わりがある、同郷のMOROWE辺りにも通じる雰囲気がありますが、こちらの方がもっとグロテスクでアヴァンギャルドな印象が強いですね。黎明期の個性派ノルウェー産ブラックが好きだった方、とにかく不吉でグロテスクな音楽が好きという方にお勧めです。


FURZE ★★ (2007-06-22 22:14:00)

ノルウェー産独りブラック。
CELTIC FROSTのメンバーもインタビューで褒めてたバンドです。


FURZE - Necromanzee Cogent ★★★ (2007-10-17 23:16:00)

2003年発表の2nd。
2006年にCandlelightからスリップケース仕様でリイシューされました。

このバンドは先に3rdのUTDを聴いていて、そのブラックの要素を使いながらも変態的に仕上げた独特の音楽性にはかなり惹かれるものがあったんですが、この時点でもう変態です。むしろUTDよりもこっちの方が変態度は高いかもしれません。

ブラックメタルを一度融かして、FURZEという鋳型に入れて再構築したかのような不思議な音楽が72分に渡り吹き込まれた作品で、曲によってホラー的な悪趣味さがあったり粘性が高いブラックになってたり、23分にも渡る大曲だったりしますが、基本的にはどの曲も病んだ雰囲気で、しかもその病み方がストレートでなくネジくれてます。

プリミティブブラック自体普遍的なHR/HMの楽しみ方とは随分かけ離れた音楽ですが、それに一捻り半ヒネりを加えたらどれだけ変になってしまうのか、推して知るべしです(笑)。シンフォパートの導入の仕方も謎過ぎるし、妖しく呟いていたと思ったらいきなりマジな絶叫をかますヴォーカルも精神病的な恐さがあるし…好きな人にはたまらないでしょうね、これ。

時折最初期のBURZUMやDARKTHRONEがちらつく場面もありますが、個性が強すぎてほとんどフォロワーっぽさは感じられません。CELTIC FROSTが褒めるのも分かる気がします。何か共鳴するものがあるのでしょう(笑)。独特で病んだブラックが聴きたい方にお勧め。


FURZE - Necromanzee Cogent - Dødsrikets Fremtred ★★★ (2007-10-18 22:38:15)

前曲に続いて粘着質なブラック。こっちはこっちで12分あります。…このアルバム、正常な感性を持った人が72分全部聴いたらおかしくなるんじゃないでしょうか(笑)。途中、初期BURZUMを思わせるんだか思わせないんだか分からないパートが出てくる辺り素晴らしいですね。


FURZE - Necromanzee Cogent - For the Lust of Darkness ★★ (2007-10-18 22:35:45)

ブラックメタルを融解させ、ドロドロのまま流し込んだような粘着質な音が13分も続く、ある意味地獄のような曲。ギターをでろでろ言わせたりいきなり溺れだしたり、悪趣味にも程があります。スローでドロドロしてるので、ドゥーム好きにも受けるかも。


FURZE - Necromanzee Cogent - Sathanas' Megalomania ★★ (2007-10-17 23:20:13)

23分を超える大作…なんですが、どれだけ曲が進んでも全く曲の着地点というか、目標みたいなものが見えてこないのが恐い…精神を病んだ人の妄想に延々付き合わされてる、みたいな。曲が終わっても、何か不吉な体験をした感覚だけが残ってしまう感じ。


FURZE - Necromanzee Cogent - Seance ★★ (2007-10-17 23:23:22)

CDをトレイに乗せてプレイボタンを押すと同時に、「あ~い、りめんば~…」と不気味すぎるアカペラ…こんな悪趣味なオープニングなかなか無いです。しかもどれだけ待っても普遍的なブラックが始まる気配無いし(笑)。


FURZE - Psych Minus Space Control ★★★ (2012-07-06 20:46:25)

2012年発表の5th。
変態系だけど何気にリリースはコンスタント(笑)。

前作はこれまでよりドゥーム・サイケ色が強くなった印象ですが、今作はラストの曲以外はインストにして、更にその路線を推し進めた感じですね。プリミティブブラック由来のアナログな歪みのギターやRAWに抜けるドラム、Woe J Reaper氏の歪んだ感性が練り上げるオカルティックに引き摺るリフのフレーズが枯れた薄暗い道を演出し、そこを時々半ば酩酊したような足取りを交えてとぼとぼと暗い方へ歩いていくような、相変わらず気色の悪さでは右に出るもののいないドゥーミーなブラック。

ただ、今作ではミニムーグやメロトロンなど、ヴィンテージな鍵盤楽器も取り入れた演出もあり、今まで持っていた彼の奇妙な感性に昔のプログレやサイケデリックロックに通じる感触もブレンドされているような印象。これによってサイケデリックな感覚はいっそう深みを増したような感じはするんですが、反面3rdの時のようなルーツの見えない、見えていても彼自身の感性の独自さが強過ぎて歪んでいる、そんな得体の知れない気味悪さはちょっと減退しているかも。まあラストの曲は相変わらず変な展開だし、今まででもかなり奇妙な曲だとは思いますが。

独特なブラックメタルの視点を持っているバンドだけに、個人的にはあんまりルーツ重視の方向に行ってほしくはなかったりするんですが、ドラッギーな感触は過去作と比べても最も高い作品に仕上がったと思います。聴き手を世界に引き込む力自体は上がってると思いますし、これならプログレ好きでも行ける…ような気がしないでもないです(笑)。


FURZE - Reaper Subconscious Guide ★★★ (2011-07-25 23:19:46)

2011年発表の、個人的に密かに待ち望んでいた4th。
CandlelightからAgoniaに移籍してのリリース。

今作は70-75年のBlack Sabbathに捧げるアルバムという性格のせいか、神経症的なメロディをトレモロで弾き疾走するプリブラ的パートはありつつも、2nd以上にドゥーム色の強い作品ですね。プレイボタンを押して流れてきた音が、今にも止まりそうなポンコツカーに乗っているような奇妙なアンサンブルで、面白く思うと同時に安心しました。ああ、やっぱりこの人は変態のままだ…と(笑)。

2ndと比べると、暗黒色は多少薄まっている印象は受けますが、その代わり今までになくサイケな感触が強まってますね。この手の音ってどれだけ聴き手を陶酔させられるかが勝負…的なところがありますが、今作は適度に、というか適切にRAWなギターの音色といい、Woe J Reaper本人の演奏による無理矢理な感じのドラミングといい、聴いていて心地よい音になっていますね。…今までのFURZEの作品を受け入れられた人限定ですけど(笑)。

ただ、今まで通りの、頭の螺子がリアルに緩んでそうな、話が通じなそうな叫び・がなりが多方向から聴こえてくるヴォーカルワークは相変わらず気持ち悪くて素敵なんですが、サイケデリックロックにありがちな、気だるいノーマル声を取り入れているのはちょっと残念。FURZEのヴォーカルはもっと生理的嫌悪感を及ぼすものでないと。

しかし、一応(特定期の)Black Sabbathに捧げるアルバムとはいえ、彼らのように名を残したり、ロック/メタル/ブラックの…それどころか前衛音楽のカテゴリーの中ですら、高い評価を得ようなんて微塵も考えてなさそうな個性は本当に素晴らしいですよね…。同じアヴァンブラックでもVIRUSやULVERと違って知的な感じがしないですもん(笑)。まず根っこが変態で、それを知性で統御する気もさらさら無い感じ。ああ、ほんと聴いてて気持ちいいわ…(笑)

ちなみに、盤面によると、頑張って作ったからネットにアップロードしないでほしい(意訳)そうです。よく見たら裏ジャケにも同じメッセージが(笑)。こういうことを惜しげもなく書いてしまう辺りも「らしい」ですよね(笑)。


FURZE - Trident Autocrat ★★★ (2007-10-22 16:12:00)

2000年発表の1st。
2006年にスリップケース仕様で再発。一部は新レコーディングされてるのかな?収録時間は約31分で、2ndが70分超えだったことを考えると、かなり極端…。

「Necronanzee Cogent」「UTD」ではブラックメタルをベースに、独特の病んだ音楽を作っていたFURZEですが、このアルバムはいかにもな2ビート疾走にトレモロリフを乗せたパートを多く含む、DARKTHRONE辺りの影響が顕著なプリミティブ・ブラック。DARKTHRONEと比べるとベースが聴き取りやすいのも特徴ですね。

ただ、この1枚目の時点でも、勿論FURZEらしい独特の病み方は感じられます。メロディはストレートに邪悪さや寒々しさに向かっていかず、妙に悪趣味な感じだし、ヴォーカルもデスヴォイスだけではない薄気味悪さがあるし、極めつけは最後の曲でラスト4分くらい、テクを見せるわけでもない謎のドラムソロが続いた後終わっちゃいます。

基本的なプリブラとしての要件は満たしながらも、しっかりと独特の雰囲気を構築しているという意味ではかなりお勧め出来る作品。でももっと独特なものを求めるなら2ndのが良いかも。ある程度プリブラらしさがあった方がいいと思う人はこの作品が入りやすいと思います。


FURZE - UTD ★★★ (2007-06-22 22:10:00)

2007年発表の3rd。
1曲目と3曲目のドラムはFrost。

このバンドはまずジャケがいかにもといった白塗り男だし、「CELTIC FROSTを始めとしたミュージシャンの間でも評価が非常に高い」とか「ドラムにあのFrostがゲスト参加」とか、いかにもといった前情報を聞いていた上に、オールドスクールなサウンドと聞いていたのでてっきりCLANDESTINE BLAZEやCRAFTのような、派手さはそう無いものの地に足のついた鈍色の光を放つ、邪悪なブラックメタルを期待(想像)してたんですが…

実際にCD買って聴いてみてびっくりしました(笑)
「なんじゃこりゃ!?」って感じです。
確かに、曲的にはオールドスクールブラックで間違いないと思いますが…展開やリフの音色など、色々な所に妙なフックがある、変態的ともいえる仕上がり。ヴォーカルもエフェクト掛けたりしてブルータルとは程遠い、独特のフィーリングのある音だしリフもブラック特有のものながら、メロディは邪悪とはいえない妙な感じで展開もヘン。

変態的ブラックと言うとVED BUENS ENDEやSOLEFALDなどが有名ですが、彼らはジャズやプログレ等、他ジャンルの音を貪欲に取り入れた結果前衛的な音になっているのに対し、このFURZEはブラックの要素だけで変態的に感じる音を出しているのが凄い。ある意味、最も真性に近い変態と言えるのかもしれません(笑)

…そもそも、インナーに前作と前々作のジャケを載せて、「アートワークは版元がびびったので載せられませんでした。見たかったらLPも買ってネ」みたいなメッセージを躊躇いもなく載せてしまう時点で相当おかしいですけど(笑)一風変わっていながらも、がっつりとしたブラックが聴きたい人にお勧めのアルバムです。


FURZE - UTD - A Life About My Sabbath ★★ (2007-06-22 22:11:25)

1曲目からこんなで驚いた人も多いのでは…
Frostの激烈ドラムも気にならないくらい、「変」なブラック。開いた口がふさがらなくなる事請け合い…ですが、よく聴くとブラック以外の何物でもない音。そんな曲。


FURZE - UTD - Beneath the Wings of the Black Vomit Above ★★★ (2007-06-22 22:13:56)

ノイジーな音質、ブラック特有なリフ、そしてFrost様のドラミング…
これだけの要素が揃っていながら、一向に「邪悪さ」に傾いていかないのはある意味凄い。いや、もしかしたら邪悪だけど、このバンドの変っぽさに中てられて麻痺してるのかも。思わず「邪悪さってなんだろう」とか考えたくなります。にしても、この歌詞は一体何の隠喩なんだろう…


FURZE - UTD - Demonic Order in the Eternal Fascist's Hall ★★★ (2007-06-22 22:12:42)

この変さが凄く好きです。
ノイジーなトレモロリフを使った、いかにもアンダーグラウンドなブラックメタル的な音像なんですけど、一定のタイミングごとに高音でファニーなメロディがリフに仕込まれているのがかなり面白い。なんとなくファミコン的なチープさ。これは癖になります。