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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2601-2700
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2601-2700
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FYRNASK - Eldir Nótt ★★★ (2014-04-04 11:45:52)

2013年発表の2nd。

今でこそブラックメタルとノイズ・アンビエントをくっつけて、更にドス黒さを増すような音楽性というのは珍しくないですが…このバンドはDARKSPACE辺りと並んで、その中でも頭一つ抜けた表現力を持っているのではないでしょうか。この作品で初めてこのバンドの楽曲に触れたんですが、そう思う程に圧倒されました。

楽曲はアンビエントに寄ったパートとブラックパートに分かれるタイプの構成ですが、アンビエントパートでも過度に静かにならず、ドス黒く塗り潰すような音圧と、宗教的恍惚を誘発するような妖しげなクワイア、自然音やノイズなどのSEを駆使して、聴き手を本気で殺しにかかっているような、殺気と邪気に塗れた音を聴かせてくれるのがまた素晴らしいんですよね。アンビエント要素は取り入れ方が半チクだと退屈なものになってしまいますが、この作品は退屈さなど全く感じさせません。

そしてブラックメタルパートもまた素晴らしい。アンビエントブラック特有の、黒く塗り潰す系の音像を保ったまま、ブラストビートやトレモロを入れてくるんですが、これが凄まじくマッチしてる。トレモロリフに込められたメロディは邪悪ながら神秘性も感じさせるもので、それがドローンめいた黒い音塊に映え、何か禁忌に触れてしまったかのような背徳的で魔性なムードを醸し出してます。この辺りのセンスは、同郷のLUNAR AURORAの近作にも通じるものがあると思う。

その二つが合わさって出来る世界観は、ダークでダイナミックで、映像的な感じがするんですよね。アルバムの序盤から、何か不吉な予兆…闇に閉ざされて荒廃した世界…神の手ではなく、悪魔の手による掲挙…崩壊する秩序、みたいな、やたらスペクタクルなストーリーが脳内に浮かんできてしまいましたもん(笑)。聴いてる間中、ずっとそんな感じの破滅的でスケールの大きい映像が浮かんでくる。

ブラックメタルバンドってそれぞれに独自の世界観を持っている事が多いですが、このバンドはそこが圧倒的で素晴らしいです。破滅的なヴィジョンを見てみたい方は是非。DARKSPACEやLUNAR AURORAなどが好みの方にもお勧め。


FÄULNIS ★★ (2014-04-30 12:17:06)

「ブラック・ドゥーム・パンク・ロック」を自称するドイツのバンド。
現在はCold Dimensionsに所属。


FÄULNIS - Snuff || Hiroshima ★★ (2014-04-30 12:21:01)

2014年発表の3rd。
タイトルが気になるけど、歌詞自体はドイツ語で内容が分からないのが残念…。

かのCold Dimensionsが新たに契約したバンドという事で、チェックしてみたんですが、これはなかなかユニークなバンドですね。自身の音楽性を「ブラック・ドゥーム・パンク・ロック」と自称しているようですが、パンク・ハードコア的な明るさ・キャッチネスはほぼ皆無で、実際には物悲しいトレモロを主軸とした、このレーベルらしいアトモスフェリックでメロディックなブラックメタルという感じ。

ただ、時折出てくる躍動感のあるリズム、やけっぱちに地声交じりで絶叫するヴォーカルなど、パンキッシュな部分も確かにあって、それが多くのアトモスフェリック・ブラックが演出するような、「情景的」な音とは一線を画す作風に繋がってるんですよね。もっと人間的でエモーショナルな絶望感が醸し出されており、Cold Dimensions所属バンドらしい、鬱々としたトレモロが別の形で生かされているような仕上がり。

確かにアトモスフェリック・ブラック的な側面もかなり強いバンドなんですが、感性的にはCOLDWORLDとかVINTERRIKET辺りの寒々しい情景を描くバンドよりは、むしろLIFELOVER辺りの人生に疲れて倦み切ったような感覚に近いものを感じるんですよね。最近ハードコアとブラックの要素を持つバンドのKVELERTAKがかなり話題になってますが、あのバンドのファンに聴かせてみたいです(笑)。


GAAHLSKAGG ★★ (2011-09-04 01:11:35)

TRELLDOMやGORGOROTHでの活動でもお馴染みのGaahlと、GORGOROTHやTAAKEのライブメンバーとして活動していた経験もあるSkaggによるプロジェクト。


GAAHLSKAGG - Erotic Funeral ★★★ (2011-09-04 01:14:00)

2000年発表の1st。

邪悪さよりも淫靡…というか猥雑さを感じさせるタイトルやブックレットのコメント、パーソナリティが前面に押し出されたバンド名などから、GORGOROTHやTRELLDOMとは違う方向に行くかと思いましたが…意外とそうでもないですね。ジャリジャリした摩擦リフを伴った疾走、邪悪でメロウなトレモロリフ、オールドスクールな要素も強い曲作りと、「True Norwegian Black Metal」以外の何物でもない音。ぶっちゃけあまりエロティックさとかは感じません(笑)。

やはり伝説的な人物のバンドだけあって、纏う雰囲気が一流ですよね。
Gaahlの悪意を押し付けるような、がなりというより怒鳴り声に近い狂的なヴォーカル、「Great Joy」で見せる、GORGOROTHのクラシックな名盤の収録曲と比較しても、何ら遜色のないメロディを練りこんだリフ捌きなどは、それだけで場の空気を塗り替えるようなエネルギーに満ちてると思う。この圧倒的な感じこそが、「True Norwegian Black Metal」なんだな、と思います。

ただ、アルバムが3部構成になっていて、一部一部についてオープニング・エンディングのSEに当る、ダークアンビエントやノイズ的な曲が挿入される作風は、ちょっと好みが分かれるかも。個人的にはブラックメタル部分が素晴らしかったので、それだけで通して欲しかった気もしますが…それだとGORGOROTHやTRELLDOMとそこまで大きい差のない音になってしまうのかも。ともかく、それらバンドが好きであれば、買って損をする事はないでしょう。


GALGERAS - Booswichterij ★★ (2016-06-05 11:56:05)

2005年発表の1st。

タイプとしては典型的なプリミティブブラックで、如何にも人体に有害な成分を含んでいそうなノイジーなリフと、ガラガラに歪んだヴォーカルが殺伐とした雰囲気を強烈に醸し出している音。メロディ薄めのミッドテンポのパートでは若干の淡白さを感じるものの、ノイジーなリフから漏れ聞こえるメロディはそれなりの威風があるし、ヴォーカルも堂に入った殺気たっぷりのパフォーマンスで聴かせてくれます。

ただ、妙にキーボード・アンビエントへのこだわりを見せる部分がちょっと微妙なんですよね…。オープニングのインストに3分以上も割いたり、ヴォーカル入りとはいえ5分以上のキーボード曲をプリブラ曲の間に挟むのは流石にダレる気が…。この要素が、プリミティブブラックのパートにあまり反映されていないのは、幸と見るか不幸と見るか…。

しかし、オランダのバンドは北欧のバンドと比べるとどこかニッチな感触が強いものが多い気がしますが…気のせいでしょうか(笑)。


GATE ★★ (2006-04-22 10:44:00)

読み方は「ゲイト」ではなく、「ゴーテ」。
ノルウェーのハードロック/プログレ/トラッドバンド。
たまにゴシックの棚に置いてあったりするし、やっぱりメタル好きの中では
ゴシックメタラーに受けてるのかな?


GATE - Iselilja - Du som er ung ★★ (2006-04-22 10:53:12)

これもシングルの「Sja Attende」並にキャッチーな曲。
サビのタイトル連呼が分かりやすくて良いですね。しかし、この曲に限った事ではないけど、折角綺麗に韻を踏んでいるのに言葉の壁で意味が分からないのが辛い…対訳付けてくれれば良かったのに。


GATE - Iselilja - Fredlysning ★★ (2006-04-22 10:47:16)

一曲目の頭がこれで、いきなり男性ヴォーカルが出てきたので違うCD入ってたのかと思いました(女性ヴォーカルって聞いてたので…)。しかしこの男性ヴォーカル、呪術的な雰囲気を纏っておりなかなかにかっこいいです。
この曲はオリジナルですが、他のトラッドが元になっているものよりもそれらしさを感じるメロディですね。


GATE - Iselilja - Ola I ★★★ (2006-04-22 10:59:01)

短いインストなんですけど、実はアルバムでもトップクラスのお気に入りです。
異国のお祭りの中に迷い込んでしまったような雰囲気で、特にフィドルの奏でるメロディの素晴らしさは特筆ものです。疲れているとき、せめて心だけでも旅に出たいと思った時、この曲に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


GATE - Iselilja - Sjaaren ★★★ (2006-04-22 10:55:49)

悲しげなピアノをメインにした、静謐なバラード。
他の楽器も引きを心得た演奏で、なんとも言えない儚げな雰囲気を醸し出しています。トラッドを基調としたバンドの曲ですが、このメロディは絶対に日本人の琴線に触れるものだと思います。


GATE - Iselilja - Sjå attende ★★ (2006-04-22 10:50:35)

ライナーによると、これはシングルらしいです。
なのでメロディはとてもキャッチー。友人(勿論日本人)に聞かせたところ、「懐かしさを感じるメロディ」と言ってました。こういう感覚って人類共通なんでしょうか(笑)。「♪Mae guld~」の声が割れんばかりの力を込めた歌い方がかなり好き。


GEHENNA - First Spell ★★★ (2011-07-01 05:44:16)

94年発表の5曲入りミニ。
2008年に93年のデモ「Black Seared Heart」の音源を追加・リマスターし再発。

私はオリジナル盤は聴いていないんですが、これはいいリマスター盤なのではないでしょうか。キーボードによるトラッド色もある、魔的なムードの濃厚なシンフォニック・ブラックという点では1stと似た路線ですが、こちらの方がバンドサウンドがかなり抑え目な音で、キーボードのメロディが更に前に出ている、アトモスフェリックな音像なのが特徴。

リマスターにより変にメタリックな音になったりはせず、靄が掛かったようなバンドの音に多少大きすぎるくらいの音量のキーボードを被せた、アンビエント感の強い音質は、93年の時点でVINERRIKET辺りの音楽性を先取りしているかのよう。また、キーがクラシカルだったり呪術的だったりするメロディを弾いているパートでは、メロのインパクトでそれほどでもないですが、案外音のテクスチャーは暗い(陰鬱)ですよね。この辺り、脱シンフォして異常に暗くなった「WW」への萌芽が見られる…のかも。こじつけかもしれませんが(笑)。

また、デモ音源の方は本編がキーボード重視タイプだったのに比べると、よりRAWさを重視したような、もっと尖った生々しい音。意外なことにキーボードが入ってない、オールドスクールな曲も演ってますが、他の黎明期のブラックと比べるとやっぱりどこか陰鬱さが強調されてるように思えますね。

1stよりもアンビエンス・アトモスフェア重視の傾向が強いので、シンフォ派は名盤と名高い1stよりも気に入る可能性も高い作品だと思います。しかし3曲目、キーボードの音が目覚まし時計に聴こえるんですが…(笑)。幻想的な世界から現実に引き戻されそうになってしまいます(笑)。


GEHENNA - Seen Through the Veils of Darkness (The Second Spell) ★★★ (2007-03-02 18:00:00)

95年発表の1st。
2nd Spellというサブタイトルが付いてますが、この前に出た「First Spell」はミニ扱いみたいです。

このアルバムの一番のセールスポイントは、やはりキーボードでしょうか。バンドサウンドを包み込む、空間的なストリングス系の音色を中心にピアノやチェンバロなどの音を使用し、曲に彩りを与えています。キーボードが入っているパートとそうでないパートではかなり雰囲気が違い、そのせいで展開にメリハリが付き曲がドラマティックになってますね。

しかし、この音源の素晴らしいところは例えキーボードが無かったとしても高品質なブラックになっているところ。音質も流石に最近のCradleとかメジャーなバンドと比べると荒いですが、昔の音源にありがちな音の小ささも無く、ベースがかなり良く聴こえる音質でブラックとしてはかなり良質。

また、メロディセンスも良く、ブラック特有の寒々しさや禍々しさに加えて、偶にトラッドにも通じる親しみやすいメロディが登場するという作風はSATYRICONの名盤「NEMESIS DIVINA」と共通する所があるように思います。

そこにかなりの頻度でキーボードが乗っかったとしたら…シンフォ好きならば想像しただけで涎が出そうになってしまうでしょう(笑)。1曲だけとは言え、クリーンヴォーカルであのGarm様が参加しているものULVERファンとしては嬉しい所。

意外と見過ごされがちですが、初心者でも納得できるクオリティを備えたなかなかの名盤です。カルトなバンドに行く前に、GEHENNAのこのアルバムを聴くのも良いかもしれません。


GEHENNA - Seen Through the Veils of Darkness (The Second Spell) - Dark Poems Author ★★★ (2007-03-06 23:52:52)

この曲はキーの音色がかなり好み。
なんとなく琴にも通じる、ちょっと和風な音色…な気がする(笑)。そう思って聴いてたら、ラストが尺八に聴こえてきた…。


GEHENNA - Seen Through the Veils of Darkness (The Second Spell) - Shairak Kinnummh ★★★ (2007-03-06 23:43:28)

バンドサウンドだけでも頭が真っ白になりそうなほどにノイジーですが、そこに浮遊感のあるキーボードまで入ってくるので、好き者ならば恍惚すること必至な一曲。クライマックスにおけるヒロイックと言っても差し支えない勇壮なトラッドメロも聴き所。


GEHENNA - Seen Through the Veils of Darkness (The Second Spell) - The Eyes of the Sun ★★ (2007-03-06 23:50:24)

終始キーがバンドサウンドを包んでいるような音像で展開していく、シンフォ好きなら垂涎モノの曲。キーの持続音とバンドサウンドに悲鳴のSEを絡めるエンディングも○。


GEHENNA - Seen Through the Veils of Darkness (The Second Spell) - Vinterriket ★★ (2007-03-06 23:48:07)

タイトルは「冬の王国」の意。
この曲はGarmがメインヴォーカルとして参加してます。時が経つほどに変化している彼のヴォーカルですが、この時点ではARCTURUSの1stと同じ割と素直な歌い方。それにしても、Garmは色々な音源に参加してますね。


GEHENNA - Unravel ★★★ (2014-08-19 19:48:53)

2013年発表の7th。

前作では当初シンフォニック・ブラックとして評価が高かったバンドとは思えない、不穏な真性ブラック路線で、初期とは異なり、かつ初期並かそれ以上に魅力的な作風を提示してくれましたが、今作は前作で提示した「不穏な真性ブラック」という部分自体は変えることなく、また違った情景を見せる事に成功したアルバムだと思います。

前作はどす黒くダウナーなメロディを孕むリフと、Frostのテクニカルでキレの良いドラミングを生かしたクリアな音質で、戦争状態の重苦しく破滅的な雰囲気と攻撃性を両立させていましたが、今作はリフがどす黒さを残しつつ、よりノイジーかつ有機的なドロドロさを加味したものに変化し、音質も前作ほどドラムが前に出ず、ムードを重視する傾向が強まったように思います。

更に前作よりもミッドテンポによるおどろおどろしいパートが増えた事もあって、聴いていて黒魔術的なおぞましさを感じるような作品に仕上がったように思います。ストレートな攻撃性は若干減退しましたが、よりダイレクトにサタニズムを描いているような印象ですね。前作を聴いた時は、スタイルとしてかなり完成されているように感じたので、そこからどう発展させるか興味深かったんですが、「こう来たか」という感じです。

不穏で、邪悪で、ダウナーかつ、メタルとしての質も高いブラックメタル…音の傾向自体は前作と然程変わりませんが、音を通じて感じられる情景にはかなり違いがあるのが面白いです。戦火の中に黒い影が見えるような前作の作風を踏まえると、今作の中世の絵画風のジャケは意外に思えたんですが、音を聴いてみて納得。前作も印象に残る、素晴らしいアルバムでしたが、こちらも負けず劣らず良い作品だと思います。


GEHENNA - WW ★★★ (2007-05-30 16:14:00)

2005年発表の5th(一枚目EPをアルバムとカウントするなら6th)。
ドラムにSATYRICON、1349等で活躍するFrostがゲスト参加。

私は今の所「Seen Through~」とこのアルバムしか持ってないんですが、全然違いますね。Seen Through~」は全編でキーボードが高い比重を占めた美しいアルバムでしたが、この作品はキーボードのキの字も無い、漆黒のトゥルー・ブラック。

この作品の最も際立った特長といえば、やはりそのメロディでしょうか。とにかく暗い、暗すぎるメロディです。と言っても鬱っぽい、落ちていく感じではなく、どちらかと言えば疫病系の蝕んでゆくようなメロディだと思います。メロディの面でも民族的な美しいメロディが聴けた「Seen~」の面影は無いですね。DEATHSPELL OMEGA辺りの禍々しいメロディが好きな人はハマると思います。

音質も、クリアながら暗黒感溢れる音で素晴らしい。
ドラムはFrostなので、緩急の付いた作風ながら場面によっては凄絶極まりないドラミングを披露していますが、ドラムが前に出すぎて雰囲気を壊したりしない音。とは言っても、フレーズ一つ一つのかっこよさも堪能出来るクリアさなのが嬉しい所。

ヴォーカルも音の暗黒具合に負けない、Attila系の呻き気味の咆え声。アルバム全編を通じて一定の調子で歌って(がなって)いるため、一本調子に聴こえない事もないですが、戦争の犠牲者の魂を迎えに来た死神のような冷徹な表現力があり良い感じ。

ジャケやタイトルからは戦争をイメージしますが、MARDUKが戦車や戦闘機が派手に暴れる暴虐サウンドだとしたら、こちらは戦争の犠牲者の屍が積みあがった焼け野原を、腐肉を引き摺りながら歩いているような、光の差さない絶望を感じる音と言う所でしょうか。

何故か余り話題になっていませんが、隠れた名盤だと思います。このバンドは初期のシンフォ路線が高く評価されていますが、こちらも負けない名作ですよ。


GEHENNA - WW - Abattoir ★★★ (2007-05-30 15:49:08)

よく聴くとリフは結構メロディアスなんですけど、そのメロディが余りにも暗いのと聞かせ方が上手いのとで全く甘さを感じさせない超ダークな雰囲気が素晴らしい。


GEHENNA - WW - Death to Them All ★★ (2007-05-30 15:47:14)

この曲の淡々とした疾走パート、どこか初期のDARKTHRONEとも共通する冷徹さがある気がします。プリミティブ並の魔的な雰囲気と、メンバーのミュージシャンシップの高さが上手く共存した名曲。


GEHENNA - WW - Grenade Prayer ★★★ (2007-05-30 15:44:46)

真っ黒だけどよく見ると無数の蟲が蠢いているような、抽象的な暗いイメージを喚起するダークなリフ捌きと、疾走感溢れるFrostのドラミングとの対比。1曲目から一気に絶望感が加速していくようです。


GEHENNA - WW - Pallbearer ★★★ (2007-05-30 15:52:08)

アルバム最後の曲にして、この禍々しさ。
MAYHEMの「FREEZING MOON」のスローパートからリフのある意味での親しみやすさを取り除いて、更にダークにしたような音が演奏時間一杯に詰まってます。気が滅入りそうになる暗さ。


GEHENNA - WW - Silence the Earth ★★★ (2007-05-30 15:42:02)

この曲の疾走パートはFrostのドラムがちょっとありえないですね。
この速さでよくもまあそれだけ体感速度を増すようなオカズを入れられるもんだ…って、1349その他での彼の超人っぷりを聴いていれば何を今更って感じなんですが、やっぱり凄いものは凄い。


GERM ★★ (2013-06-12 22:51:00)

AUSTEREを始め、GREY WATERS、NAZXUL、PESTILENTIAL SHADOWS、WOODS OF DESOLATIONなどに関与していた事でも知られる、オーストラリアの鬱メタルの旗手、Sorrow氏によるプロジェクト。以前在籍したバンドよりも更にブラック離れした音。


GERM - Wish ★★★ (2013-06-12 22:51:41)

2012年発表の1st。

鬱ブラック好きの間で話題を呼んだAUSTEREのメンバーによる新プロジェクトという事ですが…ブラックメタル的な要素はヴォーカルの裏返り気味の悲痛な絶叫、うっすらノイジーな音作り、一部で聴けるブラスト疾走くらいで、シューゲイザー的な儚さとエレクトロニカ的な近代性の方が目インディッシュになったような作風。普通のブラックファンには軟弱、鬱系好きには絶望感が足りないとか言われそうですけど、個人的にはこの作風、実はかなり好きなんですよね。

ただ儚いだけ、綺麗なだけの音だと、私的にはどうしても退屈に思えてしまうんですが、このバンドの作風は民族調のメロディや悲哀の篭もったピアノなどで分かりやすい哀愁があるパートであるとか、電子音だけでなく、リズムまで打ち込みにした硬質な感触のパートであるとか、パートによって聴き心地がかなり異なる上、悲痛絶叫等のブラック要素がピリッと雰囲気を締めているため、飽きずかつ心地良く聴ける。しかもどのパートも感性が近代的で儚い雰囲気で統一されてるため、散漫な感じもしないのが良いですね。

お洒落な音…なのかもしれませんが、雰囲気系になりすぎず、展開を丁度良く設けているバランスの良さが個人的にはかなりツボな作品。ヴォーカルのクリーンがなよなよしていてカリスマ性に欠けるのは唯一不満なので、欲を言えばOPETHのMichaelクラスのクリーンが欲しかった所ですね。


GERYON - The Wound and the Bow ★★ (2017-03-07 11:49:37)

2016年発表の2nd。

KRALLICEのメンバーによるテクニカルデス…という事で興味を持ったんですが、最近のKRALLICEもテクニカル・アヴァンギャルド志向を強めているとはいえ、予想以上にアヴァンギャルドな路線で少々戸惑ってしまった作品。

ベースとドラムによる複雑怪奇、かつエクストリームな絡みの上に、ハードコアテイストのある絶叫が乗る…というスタイルですが、まるでベースとドラムのアンサンブルでどこまで行けるのか、その閾値を探っているかのような実験性がある…。楽曲やサウンドスケープよりも、その時の楽器隊の絡みに音を聴く楽しみを見出す感じで、トレモロリフによる高い叙情性も評価されていたKRALLICEとは全く別物。そもそも編成がギターレスですしね。

…という訳で近年のKRALLICE以上に好みが分かれそうな作風。知性や演奏力、クオリティなどは間違いなく高いので、後は合うか合わないかですね…。


GESTALTE - Gestalte ★★ (2014-05-13 22:05:05)

2011年発表の5曲入りデモ。
Self Mutilation Servicesが1000枚限定でCD化しリリース。

ネガティビティに満ちたトレモロが楽曲の根幹を成すブラックで、Self Mutilation Servicesらしい絶望感に満ちた作風ですが…鬱ブラックとしては、かなり攻撃的でドスの効いた音になっている印象。まずその印象の大本になっているのがプロダクション。この手にありがちな高域強調ノイジーではなく、刷毛で黒の色を塗りたくったような、光を遮るような密度を感じるリフの音色が特徴的。

またヴォーカルも、鬱ブラックらしい苦悶に満ちた感情を湛えていながらも、他者を威圧するような攻撃性も備えたがなり声で、やはり鬱系にありがちな裏返り絶叫とは少し毛色が違う感じ。疾走パートも重視した楽曲展開と、プロダクションやヴォーカルの性質が相俟って、レーベルで言うとDaemon Worship ProductionsやWorld Terror Committee辺りの所属バンドに通じるような、どす黒い雰囲気を感じるんですよね。

鬱ブラックって聴いてると楽曲の持つ陰鬱な感情に徐々に引き込まれていくようなものが多いですが、これは最初からそういう「共感」めいたものを拒否してるような、殺気の篭もった作品だと思います。「同情するなら死んでみせろ」って感じの音(笑)。


GEVURAH - Necheshirion ★★★ (2014-08-09 12:01:58)

2013年発表の5曲入りEP。
MALIGNのカヴァーが入ってる辺りかなり渋いです(笑)。

様々な暗黒メタルを扱いつつ、アトモスフェリックブラックやポストブラックの名産レーベルとしても名高い名門、Profound Loreからのリリースですが…ギターリフの、空間志向があるというか、バンドのアンサンブルの一つとして機能しながらも、周りの空気を蝕んでいくような感触は、如何にもこのレーベル発のバンドらしいと言えるかもしれません。ブラックの禍々しいトレモロが、より血腥く聴こえるようなどす黒い音色。

このバンドはレーベル名通りの「深遠さ」を、全力で邪悪方向に傾けているのが素晴らしいですよね。特にリフ、空間的でありながら、変に高尚な方向に行こうとしない、ひたすらに冒涜的であろうとする意志すら込められているかのよう。NED系のバンドを追っていた人なんかは、このリフだけでグッと来ると思う。野太くドスの効いたがなり声も、地獄から響いてくるようなおぞましさを感じさせてくれます。

ドス黒い系のブラックメタルを愛聴する人であればかなりお勧めの逸品。レーベルメイトで言えば、LEVIATHANを始め、AVICHIやCOBALT、PORTAL、THE HOWLING WIND辺りが好みの方なら、おそらく波長が合うのではないでしょうか。


GHOST BATH - Moonlover ★★ (2016-12-28 11:13:59)

2015年発表の2nd。
なんと翌年にはNuclear Blastから再発されてますね。
私が購入したのもそっちの盤です。

…月の被り物をした状態で緊縛された女性のジャケが物凄く目を引きますが、これって自前で撮影してるんでしょうか…。ともかくこんなジャケを載せるバンドは変態的でアヴァンギャルドなひねくれブラックをやっているに違いない!と勝手に決めつけていましたが、意外なことに悲痛なエモーション前回のポスト/シューゲイザーブラックで逆に驚きました。

ポストロック的な柔和なパートもありますが、基本的には耳を聾するような苛烈なノイジーさの中で、儚さや哀切な雰囲気を強烈に放つトレモロリフと、BURZUMなどを思わせる肺の底から絞り出すような絶叫を聴かせる、壮絶な音。ほんと、ジャケを見せられた段階ではここまでストレートに感情を表現してくる音だとは思いませんでした。メロディのセンスも良く、この手のノスタルジックでエモーショナルなブラックが好きであれば満足できるかと。

それにしてもジャケのインパクトがヤバい…(笑)。確か武装錬金にこんな感じのやついましたよね。


GHOST CRIES - LONGING ★★ (2010-02-14 21:01:00)

09年発表の3曲入りEP。
HEAD PHONES PRESIDENTを筆頭に、ヘヴィロックの重さと女性ヴォーカルの情念を
掛け合わせて、シリアスな世界観を演出するバンドが最近増えてきている気がするんですが、
彼らもそうした要素の強い音楽を演ってますね。1曲目から「重さ」に頼り過ぎない、
確りしたリフ作りを聴かせてくれ、「おおっ」と思わせますが…続く2曲目では(一部)
葬式ドゥーム並の暗さ、3曲目では妙に印象に残るサビのギタメロなどが聴け、曲毎の個性の
付け方もなかなか。凄く「先」に期待したくなる3曲を詰めた作品だと思います。
デスとノーマルを使い分けるヴォーカルも、デス声は声量がもう少し欲しいですが、十分凶悪で
女性特有の獰猛さがあるし、ノーマル声も普通の歌いあげからデス声寸前の崩れた声、
部屋の隅っこで膝抱えてそうな泣く寸前っぽい声まで使い分け、表現力は十分。
この手の感情過多なヴォーカルには珍しく、あまりしゃくりを多用しすぎないのも好印象。
あれって、あんまり使いすぎると耳に痛いんですよ…歌のスタイルも声質も、個人的には好きなVoですね。
ただ、英語の発音は…なんだか凄い事になってるんですが(笑)。
「upsetting me」と「♪アプセットーーン、モーーイ」と歌ったときには吹きそうに
なりましたもん。多分、子音を意図して日本語の発音とずらして、本格的な英語っぽさを
出そうとしてるんでしょうけど…これ、歌詞見ながら聴いてると、洗脳されそうになるんですが(笑)。
…とはいえ、音楽的なクオリティ、楽曲自体の良さ、演奏/フレーズ、ヴォーカルの
フロントマンとしての力量などは、これを聴く限りどれもかなりのものだと思う。
取り敢えずジャパメタファンは青田買いしておいて良い物件だと思います。


GHOST CRIES - LONGING - ALONE IN THE VOID ★★ (2010-02-14 21:06:07)

割と普通に質の高いヘヴィロックしてると思いきや、サビのギターフレーズが妙に耳に残って離れません。聞き流そうとしても聞き流せないような感じ。


GHOST CRIES - LONGING - DAWN ★★★ (2010-02-14 21:04:30)

もうこの暗さだけで十分曲のキャラが立ってると思う。


GLAY - BELOVED - Lovers change fighters,cool ★★ (2004-01-17 19:57:39)

GLAYの得意とするメロディアスに疾走する曲。
なかなか良いメロディを歌ってますが、なんといってもTERUさんのラップが意外にもいい味を出しています。


GLAY - BELOVED - 春を愛する人 ★★★ (2004-01-17 19:58:09)

「カラオケでこの曲を歌ったカップルは幸せになれる」という都市伝説めいた噂が流れるほどのべったべたなラブソング…なんですが、この曲は四季を通じて主人公の心情が描かれているため、甘々が大嫌いな私でも良いと思えるようななかなか良い詞になっています。
「生きてく事は愛する事、愛される事」は名言ですね。


GLAY - HEAVY GAUGE - 生きがい ★★★ (2004-01-18 06:24:22)

この曲はちょっと「ここではない、どこかへ」とメロが似ている部分もあるんですけど、こっちの方が良い曲だと思います。
タイトルからも想像がつくように、深刻に生きる意味を問い掛ける歌詞がとても良いです。GLAYは愛だの恋だのを歌うよりこういう曲の方が上手いと思います。


GLAY - ONE LOVE ★★ (2004-05-18 20:10:00)

GLAYでの「名盤」は、個人的にはこの「ONE LOVE」か「BELOVED」のどちらかだと思います。
GLAYのスタンダードを詰め込んだ「BELOVED」に対し、こっちはロック色が強く、最初から最後までテンションが持続する所が素晴らしいです。
「嫉妬」「MARMAID」「THINK ABOUT MY DAUGHTER」なんかの王道系ももちろん良いですが、このアルバムの強みはレゲエを組み込んだという「ひとひらの自由」やリズムが面白い「夢遊病」などの実験的な曲もアルバムの一つのピースとして全く違和感無くハマっているところだと思います。
歌詞が今までよりシリアスさを前面に押し出し、色々と考えさせられるものがあるのもこのアルバムを名盤たらしめている大きな所以であるかもしれません。特に「Fighting spirit」や「夢遊病」なんかは是非とも歌詞に目を通していただきたい所です。


GLAY - ONE LOVE - THINK ABOUT MY DAUGHTER ★★★ (2004-10-19 21:36:15)

父が娘を思う気持ちを歌った、GLAY王道とも言える爽やかに疾走する曲。アルバム「ONE LOVE」にはシングル向けの曲が多いと思いますが、その中でも最もシングルに適していそうな曲です。


GLAY - ONE LOVE - 嫉妬 (KURID/PHANTOM mix) ★★★ (2004-01-17 19:58:45)

「口唇」「誘惑」に続く「漢字2文字3部作」の3曲目。いかにもGLAYって感じのスピード感の有る曲です。
でも、意地悪でツッコミ好きな私は英語部分の「Kiss me more deep」は友人間でネタにしてしまった(失礼)。曲はGLAYの中ではトップクラスにかっこいいと思います。


GLAY - pure soul - 誘惑 ★★ (2004-01-17 19:57:51)

おそらく「winter,again」と同じく、GLAYでは最も知名度の有る曲。
イントロのギターがゴリゴリしててかっこいいです。出来ればこの音圧が本編にももっと欲しかった所。


GLAY - rare collectives vol.2 - ROCK ICON ★★★ (2004-01-17 19:58:26)

GLAYの曲の中で、「かっこよさ」という観点から見た場合、この曲が一番だと思います。
「春を愛する人」みたいなラブソングと同時に、こういう棘の有る曲が作れるバンドでいてほしいですね。


GLOOMY GRIM ★★ (2011-05-16 17:55:47)

フィンランド産シンフォニック・ブラック。
凄くキャッチーなバンド名ですよね。略してぐるぐり。


GLOOMY GRIM - Life? ★★★ (2011-05-16 17:56:28)

2000年発表の2nd。

…名は体を表すという言葉が、これほどまでに似合うバンドは彼らを置いていないのではないでしょうか。正に「陰鬱で、怖気を震うような」世界観を描く、アヴァンギャルドでダークな個性派シンフォニックブラックを演ってます。

ただ、アヴァンギャルドとは言っても、展開は突飛な訳ではなく、むしろドラマ性に富んでいるし、刻みも入れたリフを含むアンサンブルなんかは、正統派メタラーでも十分受け入れられそう。変態的なのは、主にキーボードの音色の使い方と、その音色が醸しだす、薄気味悪さをメルヘンな感覚が更に気持ち悪くする、独特のムード。

しかもキーボードが不安を煽りまくるムードに便乗して、ベースを気味悪く蠢かせたり、聴き手を怖がらせる術を熟知している感じで、聴いてて酔いが回ってくる音。かなり喉声っぽいヴォーカルも、奇妙な世界の語り部として申し分の無い不気味さ。COFの「鬼女と野獣」が伯爵夫人の肖像なら、これは同じモチーフで前衛志向の画家が書いた作品と言う感じ。気味悪さでは上ですが、雰囲気自体は似てる気がする。

ロックのガイド本とか見て「薄気味悪い世界観」を演出すると言われるバンドを聴いてみても、実際はただのブルースの抜け切らない普遍的なロック音楽で、「薄気味悪さ」が歌詞や歴史的背景、聴き手の想像力など音楽以外の要素に依存するものでガッカリ…ということが結構あるんですが、このバンドは「薄気味悪い世界観」を「音そのもので」描ききっているのが素晴らしい。ロックのガイド本はこういう音こそ紹介すべきだと思う。


GLORIA DIABOLI - Gate to Sheol ★★ (2011-11-27 22:10:17)

2007年発表の7曲入りEP。
ラスト2曲はCD盤ボーナスで、前年に出たEPの曲だとか。

凄みの効いた荘厳さと、甘美な邪悪さを伴うリフ、地獄から蘇ってきたゾンビの如くドスの効いた、禍々しいがなりヴォーカル、タイトに疾走するドラムと、変則的な要素は殆どないものの、どの要素を切り取ってもレベルの高いブラック。特にどの曲も甘美で邪悪なメロディセンスが発揮されたメインリフがあり、ギターソロを入れてもメロのセンスのためか邪悪さの減退しない、曲作りはかなりクオリティが高いと思う。

ただ、個人的に気になるのは音質なんですよね…ドラムがRAWで抜けの良い音なのは良いんですが、リフに対して少し音が大きめなことと、ギター・ドラム・ヴォーカルの音の分離が妙に良いことが重なって、変に軽快に聞こえてしまうんですよね。RAWさが邪悪さを助長していない感じ。個人的にはよりプリミティブに近い音の、ボーナス2曲の方がプロダクション的には好みだったり。

そういう訳で、評価するなら楽曲は3つ星、プロダクションでマイナス1つといったところですね。THRリリースだけあってほんと楽曲は良いので、プロダクションをもっと太い邪性が感じられるものにしてくれたら、WATAIN辺りに肉薄するクオリティになると思います。その手のブラック好きなら手を出して損はないかと。


GLORIA MORTI - Anthems of Annihilation ★★★ (2011-11-04 23:20:23)

2010年発表の3rd。

メンバーの見た目からしていかついですけど、音はもっといかついですね(笑)。
店の紹介ではメロディック・ブラックとされてましたけど、個人的にはその上に「超攻撃特化型」というフレーズを上乗せしたい感じ。とにかくファストパートの殺傷力が半端でなく、粒の揃ったドラミングと、ブラックの粗さではなく、デスの重さに通じる、ヘヴィなリフによる圧殺サウンドが非常に耳に心地良い。

無慈悲に刻むフレーズを多用し、時折メロデスに通じるフックあるメロディを仕込んでくるリフ捌き自体もデスに近いですし、ヴォーカルが低音グロウルとハイピッチの絶叫をするスタイルなのもデスっぽいですが、この無闇で殺気だった爆走やピアノ・キーボードによる不穏さの演出はブラック的と言えるかも。何気に声量あるグロウルと、顎がイカレそうな絶叫のどちらも迫力満点な、ヴォーカルのパフォーマンスの良さも特筆したいところ。

確かに、音が整い過ぎていてブラックっぽくはないんですが、メリハリの付いた曲展開もド迫力の超いかつい音作りも素晴らしいし、何より単純に聴いていて気分が良いアルバムなんですよね。エクストリームメタルとして非常にクオリティの高い作品ですので、メタラーの間で広く聴かれることを願います。


GLORIOR BELLI ★★ (2010-06-14 22:06:00)

フランス産ブラックメタルバンド。
路線変更したDSOの(3rd路線の)後釜を継ぐのはこのバンドしかいない、と思いきや…


GLORIOR BELLI - Gators Rumble, Chaos Unfurls ★★ (2014-01-01 22:37:28)

2013年発表の5th。

前々作、「Meet us at the Southern Sign」を聴いた時は、DEATHSPELL OMEGAの「Si~」的なブラックメタル特有の宗教的な邪悪さを、サザンメタルの要素がより生々しく強調して感じさせるような作風で、個性と邪悪さを両立させている事にかなり感心したんですが…今作は、個性を強める余りブラック本来の邪悪さからは若干離れ気味な印象を受けます。

今までの作品と比べるとサザンメタル要素があからさまにフィーチャーされており、左右のチャンネルで有機的に絡む、ノイジーなギターリフを、単に攻撃的で暴虐なだけではない、グルーヴ感のあるドラミングに乗せたアンサンブルは、高いミュージシャンシップを感じさせつつも、ドラッギーでサイケな感触もかなり強め。プリブラなどに見られる催眠的感覚を、別の手段で上手く演出する事に成功しているように思います。

ただ、邪悪じゃないんですよね…。トレモロもブラストもあって、ヴォーカルも擦れ方が実にエグいがなりなんですが、今作はサイケさは感じても密教的な禍々しさは余り感じられない…。個性的な音だし、質も高いのは分かりますが正直昔の作風の方が好み。まあ、私はサザンメタルにありがちなブルースを通過したようなヴォーカルが嫌いなので、それに悩まされず土臭くドラッギーなアンサンブルを楽しめるのは、まあ良くはありますが。

個人的な評価は微妙ですが、気に入る人はかなり気に入る音だと思う。ヴォーカルも素晴らしいですし。まず試聴してみて、ビビッと来たら購入してみては。


GLORIOR BELLI - Manifesting the Raging Beast ★★ (2010-06-14 21:53:00)

2007年発表の2nd。
「DSOの3rdにそっくり」と、ブラック好きの間での評判を聞きつけ購入。

…確かに、10人中9人は似てると言うであろう程似てますね。
黒い霧が吹き出してくるようなギターリフの音色、平坦気味なそのリフが奏でる混沌とした不穏さを醸し出すメロディ、押し潰したようなドスの効いたがなり声…意図的に似せようとしてるとしか思えません。但し、この作品の方が音質がより整っていたり、展開や歌詞が分かりやすかったり、もう少しコンパクトな印象。

どの曲もDSOのあのアルバムに入っていても、違和感なく聴けてしまうものばかりですが…DSOでいう「Sola Fide Ⅰ&Ⅱ」「Carnal Malefactor」のような頭一つ抜けた曲に欠けるのがネック。DSOは、「Si Monumentum~」アルバムにおいて、プリミティブ志向の強い、かつムード重視の作風の中で、ああした決定的な山場を作っていたことが偉大だと思うんですが、この時点ではまだその領域には達していない気がします。ちょっと曲が均質化されている感がある。

とは言っても、プリミティブ・カルト志向の強いDSOよりも若干聴きやすく、普通のエクストリームメタラーならこっちの方を本家よりも気に入る可能性も十分あると思う質はあるかと。一曲一曲の特徴付けやアルバム構成の起伏などに更に力を入れて、本家を凌駕する魅力を身につける事を期待した方も多いと思いますが…

次作「Meet vs at the Sovthern Sign」では意外な変化を見せるのでした…。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign ★★★ (2010-06-14 21:56:00)

2009年発表の3rd。
Southern LordからCandlelightに移籍してのリリース。

前作「Manifesting the Raging Beast」では、DEATHSPELL OMEGAの「Si Monumentum~」アルバムの様式を踏襲し、若干キャッチーに仕上げたような邪悪で高品質な作風で、ブラック好きからは将来を楽しみにする声も多く上がっていましたが…今作もプレイボタンを押すと、「Si~」期のDSO的な不穏なリフが流れ始め、Mikko Aspaを少し歌詞の発音を明瞭にしたような低音デス声が入り、今作でも安心してブラックの本質を衝いた作品を聴けるな…と思っていたら…。

一分も経たない内に、不穏なメロディに混じってブルース的な、渋みの効いた乾いたメロディが挿入されて面食らいました。これは、デザートロックとかサザンロックと呼ばれる音楽性なのでは…。しかも「In Every Grief-Stricken Blues」なんて曲まで出てくるし。

ただ、普通この手の新要素を導入すると、邪悪さがその分減退するものですが…このバンドは、DSOを自分達なりに解釈した邪悪さと、ブルージーで乾いた雰囲気を見事に両立させてしまっているのが凄い。寧ろ、デザートロックの要素を盛り込んだ事で、今まで形而学上の存在であった悪魔達が、急に身近な存在になってしまったような気持ち悪さがあるんですよね。アメリカの農村部をごく普通に悪魔が闊歩しているような風景が思い浮かぶ。

人によってはDSOよりも強く、邪悪さを肌で感じられるアルバムかも。
でもこのアルバム、前作を聴いてDSOの3rd路線を引き継ぎ、高めていく事を期待したリスナーはどう思うんでしょう(笑)。このバンドは邪悪さの表現のセンスが元々高いから上手く行ってますが、一歩間違えばとんでもない(外れた)方向に行っていた可能性も否定できない変化ですよ、これ…。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign - Fivefold Thought ★★★ (2010-06-14 22:06:15)

デザートロック要素は薄く、ほぼ前作の作風を引き継いでる曲ですが…音質が僅かながら向上していたり、トレモロリフの邪悪さがより自然になっていたり、順当な進化が垣間見えますね。こういう曲があるお蔭で、リスナーから期待されてる部分と、新機軸のバランスが優れたアルバムになっているのではないでしょうか。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign - In Every Grief-Stricken Blues ★★ (2010-06-14 22:00:15)

「~ブルース」という曲名が、ブラックメタルバンドの作品に付くこと自体、意外なんですけど(笑)。曲的には、OPETHがよくやるブルージーな静パートを、邪悪で不穏なエナジーに満ちたブラックメタルで塗り潰した感じでしょうか。何気に歌いだしのノーマルヴォイスが、良い声だったので驚きました。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign - Once in a Blood Red Moon ★★ (2010-06-14 21:58:05)

不穏で不協的なメロディで、やっぱりGLORIOR BELLIはこうでなくちゃ、と思わせておいた矢先の意外な展開。「期待通り」から、「期待を裏切る」への変化が上手いと思う。この変化が受け入れられた人には、素晴らしいアルバムとなると思う。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign - Swamp That Shame ★★★ (2010-06-14 21:59:12)

今作は途中に挿入されるインストにも秀作が多いですが、中でもこれは素晴らしい。混沌としていて、グロテスクなうねりを持ったメロディは、KENOSE以降のDSOに通じるものがあると思う。雰囲気ではアルバム1かもしれません。ヴォーカルが入ってないだけで、Vo入りの他の曲にも全く見劣りしません。


GLORIOR BELLI - Meet Us at the Southern Sign - The Blazing Darkness (of Luciferian Skies) ★★★ (2010-06-14 22:05:25)

外部ミュージシャン(Ieremy Christner)による作曲だからか、この曲はデザートロックのテイストがあまり無いですね。力強いミディアムテンポで進行していく曲で、DSOの不穏で邪悪なムードと、最近のSATYRICONのどす黒いパワーを融合させたような雰囲気がありますね。


GLORIOUS AGGRESSOR - Retribution Curse ★★ (2016-06-27 23:28:19)

2012年発表のEP。
500枚限定で、今の所この音源しか発表していないようです。

まるで日本の某有名メタルバンドの楽曲のようなバンド名ですが、れっきとしたアメリカンブラック。メンバー構成のデータも無く、全く未知数のバンドの初音源としては何気に結構良いレーベル(Obscure Abhorrence)からリリースされているんですが、確かに北欧産、特にノルウェー産のバンドに通じるような、土着性の高い邪悪メロウなトレモロリフなんかは、凄くセンスを感じられるんですよね。

ただ、時折正統派メタルのような流麗なギターソロに展開を割いたり、ドラムがかなり軽めだったり結構特徴的な部分もある印象。特に後者は、真性ブラック的な重々しさは若干薄れてしまっている気はするものの、炸裂感というか聴いていて気持ちの良い音になっており、マイナスにはなっていないように思います。ソロも微妙に浮いてる気はしなくもないですが、メロウさ・メロディアスさを強調していて悪くはないかと。

北欧のバンドを思わせるリフ捌きが特に魅力的な一品で、若干癖はあるものの悪くは無い作品かと思います。メロブラ好きにお勧め。


GMORK - Ave Nihil ★★★ (2015-12-04 00:36:20)

2015年発表の3rd。

日本盤が発売、更にSIGHの川嶋さんがライナー書いているということもあって衝動的に購入した一枚。どうもこのバンド、メロブラとしてかなり評価が高かったらしいですが、今作はそのレッテル貼りを嫌い、敢えてメロディは抑え目にしてあるとか。初聴のバンドなので過去作との比較は出来ませんが、ブラックメタルとしてかなり良いバランスに仕上がっていると思います。

GORGOROTHが支持される理由って、アルバムによって作風はある程度変えても、アングラな衝動性、メタルの構築性、ブラックの土着性がバランスの良い配分で組み込まれているからだと思いますが、このバンドも共通するセンスを感じます。展開やフレーズの構成が緊張感・ドラマ性に富んだ作風、締める所でしっかり締めるリフのトレモロなどは特に。こちらの方がより野蛮で荒っぽい印象ですね。ヴォーカルのがなりに時々混じる地声がちょっとくどいのは…まあご愛嬌でしょうか(笑)。

しかし、確かにこれだけのものを聴かせられると、過去作も気になってしまいますね。このバンドのメロメロな作品も聴いてみたいものです。


GNAW THEIR TONGUES - All the Dread Magnificence of Perversity ★★ (2010-04-27 18:18:00)

2009年発表の4th。

このバンドはオランダ出身の独りノイズ/ブラックで、この手の中でも評価の高いアーティストと言う事ですが…この作品を聴く限り、ブラック的な要素は濃密な邪悪さ漂う雰囲気や、絶叫ヴォーカルくらいで、手法の方はほとんどノイズ/アヴァンギャルドですね。

それだけで辺りの雰囲気を真っ黒く染め上げるような、空気を振るわせるドローンがほぼ常時鳴り響く中で、メロディを追うのではなく、ひたすら恐怖感を演出する管楽器、病気じみたサンプリング、聴き手の焦燥感や恐怖感を煽るドラム、耳を聾するノイズ、ただただ苦痛を訴えるようなヴォーカル…など、健全な肉体に健全な魂を宿す、良識ある人間に取っては「毒」にしかならない音素を、いくつも重ねていく作風。

もちろん、病んだ音楽を所望する諸兄には、これらの要素は当然プラスに働くでしょう(笑)。空気の響きすら演出できるドローンや、意外にも繊細さのあるノイズの使い方など、音使いは素人耳にも明らかに巧みで、決して「カルトさに胡座をかいて雑音を垂れ流す」と切り捨てられないレベルの高さがあるのが、逆に性質悪いです(笑)。


GNOME - SILENT SCREAM ★★★ (2012-10-10 20:46:55)

2012にZero Dimensional Recordsから発売された音源集。
90年代半ばから後半にかけて活動したバンドですが、その時の音源を集めたもの。
2枚組限定盤にはメンバーのアンビエントプロジェクト「Human Soul」の音源も収録。

これは結構驚きましたね…90年代半ばの時点で、日本にこういうブラックメタルを演ってる事にびっくり。柔らかくも不気味で、妖気漂うようなシンセに包まれ展開するブラックメタルに、BURZUM系の裏返り気味の悲痛絶叫の絡むスタイルで、今でいう鬱ブラックとアトモスフェリックブラックを足したような感じなんですが…それだけでは終わらない個性も感じられる音。

近年の鬱ブラックやアトモスフェリックブラックと比べると、まだストレートでオールドスクールなブラックメタルをある程度踏襲しているような感じで、時折リフやリズムに躍動感のようなものを感じたりするんですよね。同様にメロディも雰囲気のあるだけでない、明瞭なものが多く、特に6曲目のベースとユニゾンするトレモロリフのメロディには、悶絶し感銘を受けてしまいました…。この気持ち悪さと哀愁の同居する、毒に満ちたムードが堪らないです。

この手のバンドって、アルバムを通して雰囲気を統一させることが多いですが、音源集という性格もあってか、1曲ごとに異なる表情を見せる構成も特徴的ですね。ちなみに本編でのメロディアスさ、メロディセンスの良さからアンビエントの方にもかなり期待をしていましたが…正直こっちはマニアック過ぎてキツい(苦笑)。FenrizやIldjarnのやってたアンビエントと比べるとちょっとカルト趣味過ぎるかも…。はっきり言って私には受け入れがたい音でした。


GO!GO!7188 - 虎の穴2 - ギンギラギンにさりげなく ★★★ (2008-07-09 23:27:31)

この曲、妙にツボなんですが…(笑)
ターキーさんのヴォーカルがほんと良い味出してる。投げ遣りなんだか熱いんだか良く分からない声色で、巻き舌で勢いよく歌う歌い方が絶妙にツボに嵌まる。これは彼にヴォーカル振って大正解でしょう。


GOATBED - goatbed - 循環の音色 ★★ (2005-06-13 18:25:18)

タイトル通り、一つのフレーズの繰り返しを軸に展開していく曲。
そんな縛りがあるのにここまでポップにしてしまう手腕は流石の一言。


GOATBED - goatbed - 風穴 ★★★ (2005-06-13 18:08:35)

音のおもちゃ箱をひっくり返したようなSEから、自分の耳元にだけ小宇宙が出現したかのような音色に繋げるイントロの時点で名曲確定。サビ部分のコーラスとの掛け合いや、巻き舌のようなサンプリングも面白いです。


GOATBED - ワーキングウォークマン ★★ (2005-06-13 18:04:00)

2005年発表の…多分4th。
10曲入り2000円で良心的な価格設定です(笑)
インタビューで巷の画一化した「良い音」への懐疑を口にしていただけあって、
相当ひねくれた音を出してますね…リズムがとても小気味良い音で録られているのに、
シンセがやけにチープな音色だったり、かっこいいギターリフを持ちながらも、それを
わざわざ刻んで曲の材料にしてしまったり…間違っても「低音が聴いてて、ヴォーカルが
前面に出てて…」みたいな、特に音楽ファンでない一般人が好みそうな音ではありません(笑)
でもその分、アイデアで勝負している感じが伝わってきて、聴いてて楽しい作品です。
「え~、そこでそんなアレンジにしちゃうの」とか心の中で突っ込みながら楽しみましょう。
「良い音」よりも、「面白い音」を求めている人は是非聴いてみるといいと思います。


GOATBED - ワーキングウォークマン - ジオデジオ ★★ (2005-06-13 18:07:41)

帯に「歌謡曲」という表記(多分皮肉でしょうけど)があるだけに、歌メロの良さも相当なもの。この曲はその歌メロと、チープなのかスリリングなのか、スタイリッシュなのか良く分からない雰囲気がお気に入り。それにしても変なタイトル…


GOATBED - ワーキングウォークマン - ツートンキラー ★★★ (2005-06-13 18:06:50)

メタルのリフをコピーする所から作曲を始めたという曲。
でも、そのリフもチャンネルでぶった切られていたり、ヴォーカルもアンニュイな低音から入ったりして結果的にメタルからかけ離れた音になってて楽しいです。「ツートンキラー」のヴォーカルとリズムの掛け合いや、その後のシンセのメロは普通にかっこいい。


GOATBED - ワーキングウォークマン - ニューロマンサー ★★★ (2005-06-13 18:05:14)

私は歌詞に関しては「情念」を重視するので、彼の「カットアップ手法」についてはあまり賛同していなかったんですが、この曲の歌いだしの「天つ風 スタンバイ」の一言でなんか納得させられてしまいました(笑)。言葉の選び方に凄いセンスを感じます。シンセがファミコンみたいで好き。


GOATBED - ワーキングウォークマン - モニカ ★★ (2005-06-13 18:06:05)

吉川晃司さんのカヴァー。
テレビで一度見ただけですが、原曲はかなり熱唱していた気が…でもこのカヴァーでは随分クールに歌ってます。アレンジも面白く、「♪モニカ~」のロボットボイスを聴いた時は吹き出しそうになってしまいました(笑)


GOATFUNERAL - Luzifer Spricht: 10 Years in the Name of the Goat ★★ (2017-09-18 04:51:15)

2016年発表のコンピレーション盤。
1stアルバムの「Bastion Lucifer」と、各種スプリット音源を収録しており、バンドがこれまでに出した楽曲を網羅できる作品。

幾つかの作品が本国で発禁になっていることでも有名なEISREGENのメンバーが関わっているバンドのようですが…露悪趣味的な部分は確かに共通していますが、様々な音楽的要素を混合し知的な展開も見せるEISREGENに対し、こちらはオールドスクールなブラックメタルを直接に聴かせる音。ただし音に「コシ」「味」があるような点は、EISREGEN譲りとも言えるでしょうか。

EISREGENと比べるとよりダイレクトな俗悪さを表現しており、気合一発みたいな作風ではありますが、プリミティブ勢に通じる野蛮さの中にもどこか知性が感じられてしまうのが特徴でしょうか。聴かせ所をしっかり設けた丁寧な展開だったり、キーボードやSEを用いたオカルティックなムード作りだったり…実は作り込んでいそうな感じですね。

ただこの作品、「Goat Worship」なカルト性・オカルト性はかなり強く感じられるものの、「Funeral」っぽさは余り感じられないような…?興味がある方はその辺りを踏まえて手を出した方がいいかも。


GOATMOON - Death Before Dishonour ★★★ (2011-10-19 21:13:57)

2004年発表の1st。

プリミティブブラックのローファイ音質にも篭り系とかノイズ系とか、色々と種類がありますが、この作品の音質は「やかましい系」って感じですね(笑)。プリブラお約束ともいえるジリジリギター、まるで金属の食器がぶつかるような、やたらウルサイ(くせに抜けのいい)ドラムの音色、プリブラの中でもテンション高い喚きまくりヴォーカルが合わさり、プリブラ屈指のやかましい音に。しかし、この手の音に慣れてると意外に不快に感じないんですよね。好き者限定とはいえ、まだ心地よく楽しめるレベルのやかましさ。

そしてもう1つ、特筆すべきなのはメロディの良さ。
全体をトレモロで覆い尽くした作風ではなく、基本オールドスクールなスタイルを踏襲しつつ、要所でメロいパートを入れてくる作風のため、冒頭を聞いただけでは世間で言うほどメロウじゃないかな、と思いましたが、3~4曲目辺りから風向きが変わってきました。特に「Humanhate Grows Strong within」は最初期のEMPERORに通じる、神秘性や異境性があると思うし、「Kunnia, Armageddon!」は「ここまでやるか」というくらい、メロディの主張が強い。

この作品、音質だけじゃなくて、曲作りの方もプリミティブと言えるのかもしれませんね。曲のバランスとか考える以前に、降りてきたメロディをそのままの、最も濃い状態で曲に注ぎ込んでいるみたいな感じ。やかましい出音にしろメロディにしろ、あるいは殺気だったヴォーカルにしろ、全力で殺りにきてる感じが素晴らしい作品です。


GOD DETHRONED - Bloody Blasphemy ★★ (2008-11-16 22:20:00)

99年発表の3rd。

デスラッシュやブルデス由来の爽快なカチコミドラム、メロデスやメロブラ由来のメロディアスな泣きリフ、デス由来のうねりのあるリフなど、様々なエクストリームメタルの良い所を抽出したようなデスメタル。

頻度こそ少ないものの、ヴァイキングメタルさながらの朗々とした歌い上げ、ゴシック的な雰囲気を醸す女性Vo、バンドサウンドを包むアトモスフェリックなキーなども聴かれるなど、かなり多様な要素を取り入れてるにも関わらず、全てこのバンドの音として昇華している辺りセンスが良いと思います。

特にリフに篭められた泣きメロと、妥協なきブルータリティの融合振りが素晴らしいです。ヴォーカルも悪くないし、デス系行ける人ならおよそ買って損するということはないんじゃないでしょうか。ベルセルクのグリフィス実写版みたいなメンバーがいるアーティスト写真、アー写下のブラックジョークの感じられるコメントなどブックレットも面白いですし(笑)。

ただ、唯一惜しいのはB級シンフォブラックのような音質。でもこの音が暴虐ゆえの聴きづらさを薄めていて、メロディの良さが際立っている気もするんですよね。


GOD DETHRONED - Passiondale (Passchendaele) ★★★ (2009-06-07 19:35:00)

2009年発表の8th。
初回盤は9曲入りライブアルバム、日本盤はライブテイク3曲のボーナス付き。初回盤のジャケットはギラギラした色で指紋が付きそうです(笑)。

デスラッシュを基本に、時にARCH ENEMYなどメロデス勢にも通じるメロディアスなリフを聴かせ、時にMARDUK等ブルデス/ブルブラ勢に通じる爆走を聴かせ、時にそれらを組み合わせてドラマティックに展開する作風に大きな変化はなく、安心して聴けるクオリティがありますね。

6thでは前半にメロい曲が集中してた傾向がありましたが、今回はそういう事もなく全編流れがスムース。また、音質もギターの歪みが圧力を増し、戦争を表現するに相応しい迫力ある音作りながら、全編聴き通しても聴き疲れしない感じで、良くなっていると思います。

前作は未聴なので6thとの比較になりますが、順当過ぎるくらい順当にレベルアップしている作品ではないでしょうか。欲を言えば、普通声を一部に取り入れること自体はいいんですけど、クリーンパートの声質は「Bloody Blasphemy」の頃の方が断然良かったなぁ…。ボーナスのライブ盤も、5thのボーナスで付いて来たものよりも遥かに音質が良くなっていて、スタジオ盤さながらの音を聴かせてくれて実に熱いです。

しかし、あのオープニング、日本人からするとツッコミ待ちにしか思えないんですが(笑)。「ああなにヨーロッパ大陸よ。一体何があったんだ」からして何かオカシイし、声質も海外ドラマの吹き替えやアニメのナレーションをやりそうな戦争のコンセプトに相応しからぬ柔らかい声で、アクセントも絶妙に変なのでまーったく緊張感がありません(笑)。

そこから超緊張感のあるバンドサウンドに雪崩れ込むわけですが…そのギャップが可笑しくて何度聴いても笑えます。その辺りも含めてお勧めのアルバムですね(笑)。


GOD DETHRONED - The Lair of the White Worm ★★ (2009-03-16 22:31:00)

2004年発表の6th。日本デビュー盤らしいです。

メロデス的な泣きメロやブルデス並のファストパートなど、エクストリームメタルの美点を集めたような作風は以前と変わってませんが、今作ではそれに纏まりが出て、そうした要素も含むデスラッシュとカテゴライズ出来そうな音になった感がありますね。以前の作品には(特に音質面で)B級っぽいところもあったんですが、作風が垢抜けたのと同時に音質もよく纏まった音になっていて、総じて一級品の、メジャー志向のメタルといえる作品に仕上がっていると思います。

ただ、後半からデスラッシュ志向が強くなりすぎて、彼らのメロディとブルータリティを高レベルで両立させている作風が好きな私にとっては、少し物足りないと思う部分も。個人的には前半だけなら名盤、トータルでは良盤という感じ。

BURRN!誌では高評価だったようですが、マニアの間では過小評価なバンド、もっと語られるべきバンドとして認識されているみたいで、世間では実力の割に評価されてないみたいですね…意外と買い逃してる人多いんじゃないでしょうか。その過小評価のせいか、メタル専門店では結構中古が安く売ってたりしますね。そんな今こそ、ARCH ENEMYやIN FLAMESと並べても何ら劣る事のない一級品のメタルが、格安で手に入るチャンスなのかもしれません(笑)。

ちなみに私は700円くらいでゲット。なんかバンドに対して申し訳なくなってきます(笑)。


GOD DETHRONED - The Lair of the White Worm - Arch Enemy Spain ★★★ (2009-03-16 22:08:59)

タイトルは「大いなる敵スペイン」くらいの意味なんでしょうけど…アルバムの中で最もメロデスに近い(というかほぼメロデス)曲にこういうタイトル付けたら、そりゃ勘繰りたくもなりますよね(笑)。メロデスなんですけど、正統派におもねりすぎず、メロディックなリフにはデス由来のうねりが強く息づいているのが良いです。


GOD DETHRONED - The Lair of the White Worm - Nihilism ★★★ (2009-03-16 22:05:27)

Target destroyed, target destroyed, another target destroyed!!…が余りにも熱すぎる1曲目。メロディック&インテンスなリフ捌きとブルータルな音作りでリスナーを歓迎してくれます。何気に一見の人にも愛想のいい曲だと思う。


GOD DETHRONED - The Lair of the White Worm - The Lair of the White Worm ★★★ (2009-03-16 22:11:40)

メロディとブルータリティを高いレベルで融和させながら気持ち良くかっ飛ばしてくれる、GOD DETHRONEDの真骨頂とも言える曲。ストーリー仕立ての歌詞も面白いですね。ホラーっぽいのにダイナマイトとか出てくるしあっさり解決するし(笑)。


GOD SEED - I Begin ★★★ (2013-02-07 10:48:56)

2012年発表の1st。

GORGOROTHの分裂後、名前を引き継いだInfernus主導の方はオールドスクールで渋めの新作を出したり、昔のアルバムをリメイクしたり懐古的な路線に進んでいるようですが、分裂前の最終作「Ad Majorem~」のヒリヒリする殺気漂うノルウェジアン・ブラック路線を引き継いでいるのはこちらですね。

「Awake」「From the Running of Blood」「The Wound」辺りはイントロから如何にもノルウェー産ブラックな、寒々しいトレモロ疾走が聴け、もうこれだけで凡百のバンドを寄せ付けない格好良さ。Ghaalの相変わらずの狂人絶叫振りとも相俟って、GORGOROTHの「Ad Majorem~」で感じられた狂気が再び蘇るかのよう。個人的には一曲目「Awake」の出だしからテンションMAXになってしまいました(笑)。

基本ストレートなノルウェジアンブラックながら、要所でキーボードを挟んでくるのも特徴ですね。シンフォ系というほど使用頻度が高いわけではないですが、空間系のアトモスフェリックな音色だけでなく、プログレ的な妖しげな音も使っていたりして結構耳に残る。真性度が薄れたように感じる人もいるようですが、私は上手く曲のアクセントになっていて良いと思う。ただ分裂前のGORGOROTHと全く同じ音でない事は意識した方がいいかも。

正直言うと、今のGORGOROTHよりもこちらの方が大分私的には好みの音なんですよね。特にジャンル代表バンドの矜持を見せ付けるような、メロウさと殺気の入り混じったトレモロ疾走が素晴らしく、これだけでもう満点付けたくなります。ちなみに私はデジパック盤を買ってしまいましたが…本当にボートラ微妙過ぎなので、拘りがなければ通常盤の方がいいかも。ケースの方が保存状態を良く保てそうだし。


GOJIRA - The Way of All Flesh - Oroborus ★★★ (2009-03-07 19:43:05)

Terrorizer誌の付録のサンプラーで聴いたんですが、これは良いですね。妖気を放つような、謎めいたギターワークがかっこいいです。ちなみにこのサンプラー、他にもENSLAVEDやSONATA ARCTICA、DESTRUCTIONなど有名バンドの音源も入ってるのに、この曲が一番プッシュされてます。そこからも注目度の高さが伺えますね。


GOL - Appaller ★★★ (2014-05-01 18:22:09)

2011年発表の1st。

オーストラリア産のプリミティブ・ブラックとの事ですが…最近聴いたプリブラの中では妙にツボに入ってしまった1枚。楽曲的には、おぞましさの感情を喚び起こすようなスロー、アングラな熱気の篭もったオールドスクールなパートも挟みつつ、基本はトレモロを伴いシンプルに疾走するプリブラですが、メロディがあからさまなまでの暗黒臭を放っているのが大きな特徴。

プレイボタンを押した途端に流れる、まるでコンピューターゲームの魔界のシーンでも演出してるような、分かりやすいダークさを湛えたメロディがまず素晴らしいんですが、薄っぺらいノイジーさに、意外にも効いている低音を組み合わせた、Rawながら妙な奥行きを感じるプロダクションがメロディの暗黒属性を更に強調してるんですよね。この音作りが、メロディの黒さの深度を上げているというか。

若干マイナーっぽいバンドですけど、これはかなり良いですよ。流石にプリブラを普段から聴いてない人にはお勧めはしませんが、しっかりツボを押さえた良質な作品だと思います。


GONTYNA KRY ★★ (2013-04-24 22:24:55)

ポーランド産ペイガンブラック。
バンド名は「血の寺院」という意味らしいです。


GONTYNA KRY - The Blood of Our Fathers ★★★ (2013-04-24 22:27:15)

2008年発表の2nd。

ディスクガイドやファンジンでも紹介されていたバンドで、ペイガンメタル愛好家から非常に高い評価を得ている…という事は知っていたんですが、実際に買ってみて驚きました。これ、予想以上に素晴らしいです。民族楽器や民族調のキーボードを作曲の主軸に据えるペイガンメタルバンドも多いですが、このバンドはギターにより神秘的なメロディを丁寧に紡ぎ上げていくスタイル。

このギターワークが、本当に素晴らしいんですよね…。トレモロだけに頼らず、リードギターによるフレーズも緻密に重ねて練り上げた音からは、個人的には後期(特に「Prometheus」アルバム)EMPERORと共通するような、熱に浮かされて悪夢に魘されるような、狂的な美しさを感じれらます。刻みも多用し、劇的に展開する音はアトモスフェリックというよりはメタリックな感触なんですが、安直にキーボードを重ねるよりも深遠な神秘性が醸し出されているように思います。

このバンドの作風ならばもっと音が重くても神秘性は損なわれないだろうし、個人的にはもうちょっとヘヴィな音作りでも良かったかな…と思うのと、演奏時間がやや短めなのがネックですが、十分名盤と言って良いアルバムだと思います。こういう、狂熱に浮かされたような神秘性を持ってるバンドって、ペイガン系の中でもレアだと思うんですよね。


GORATH ★★ (2013-10-05 10:13:08)

ベルギー産プログレッシブ/アヴァンギャルドブラック。
アルバムを6枚も出しており、かなりキャリアのあるバンドですが、どうやら今年の春に解散してしまった模様。


GORATH - Apokálypsis (Unveiling the Age That Is Not to Come) ★★★ (2013-10-05 10:11:02)

2011年発表の5th。

このバンドの音楽性は、よく「プログレッシブ」とか「アヴァンギャルド」という言葉で表される事が多いようですが、このアルバムを聴く限り、実際はリズムや音色、フレーズに引っ掛かりを持たせるような事はあっても、ブラックの邪悪さから逸脱するような事はせず、あくまでブラックらしい真正な凄みや宗教的な恍惚感で勝負する、どす黒い音を身上としている作風。

聴き手の心に不安感を植えつけるようなアルペジオ、単に暴虐さにあかせて攻めるだけでない、搦め手も時折交えるようなリズム展開など、楽曲の作りは凝っている印象ですが、トレモロフェチの私としてはやはりトレモロリフの使い方に注目したいですね。全体的にメロディが邪悪で非常に宜しいですが、特に「The Seven Seals」の理性が警鐘を鳴らすような爛れたメロディ、「Le Porteur de Lumiere」のマンドリン風(?)の枯れ落ちるような音色は個人的に心を捕まれました。

WATAINのErik風の太くキレのいいがなりを中心としながら、語りや悲鳴、詠唱風など表現力の高さを見せるヴォーカル、ギターの歪み方が多少強めながら基本的に整っているプロダクションなど、各要素のレベルも高く、まるでWATAINやVALKYLJA辺りを多少アングラ度強め、かつ前衛度を高めたかのような感じの質の高さ。上記バンドや3rdまでのDEATHSPELL OMEGA、レーベルWTCやDaemon Worshipの所属バンドが好みの方は買って損はしないかと思います。


GOREFEST - La Muerte ★★ (2016-04-22 00:09:40)

2005年発表の6th。
2015年にMetal Mindからゴールドディスク仕様で再発されてます。

バンド名がKOFの某キャラの技名に引用されたこともあって、デス系のバンドとしては格ゲーマーの中での知名度は高そうな気がしますが、私はこのアルバムが初聴。…昨今、レコーディング技術の発達もあってか、一見草食系に見える人がヘヴィな音を出してるのも珍しくないですが…この作品は聴いただけで「イカツイ男達がやってるんだろうな」と分かってしまうような、どこかタフな雰囲気のあるデスメタル。

メロディアスさを抑えたリフは骨太な音色で奏でられ、ヴォーカルも地声の太さを活かしたガナリで、非常に無骨な印象を与えますね。リフにしろリードギターにしろ時々メロディアスな部分はあるんですが、決してやりすぎることはなく、あくまで野蛮で無骨なムードは保たれている感じ。そのムードを引きずりつつ、約10分間の地獄を体現するようなラストのインスト曲も印象的。

ただ単にヘヴィなだけではなく、タフさや無骨さ、そして血腥さを感じさせる辺り、流石古参のデスメタルバンドという印象。昨今の整って派手なメロデスなどもそれはそれで好きですが、やはりこういう音も良いものですね。


GORGOROTH ★★ (2004-06-08 21:24:00)

学校の図書室で資料を調べてみたんですが…
「GORGOROTH」の意味なんですが、トールキン作の「Lord of the Ring」の中に登場する架空の地名で、冥王が要塞を築いた高原のことらしいです。読み仮名は「ゴルゴロス」とありました。ファンの間では周知の事実かもしれませんが…
そういえばBURZUMの「Grishnackh」もこの作品からとったらしいですね。
話は変わりますが、このバンドのオフィ、かなり充実してます!!
英語ですが、詳細なレビューや録音メンバーの情報付きディスコグラフィ、メンバーのフォトセッション、インタビューなど盛りだくさんで、デザインもかっこいいです。インタビューは工事中だったし、レビューは英語で結構訳せない所があったんですが、この充実振りは素晴らしいです。ディスコグラフィーによるとかつてZYKLONのZamothも参加していたとか…
それと現ボーカリストのGaahlが宗教的儀式を行うため、暴力を振るった(他の情報によると殴って血を飲んだ、とありました)ことで起訴されているとあったんですが、本当でしょうか!?オフィにあったので確実な情報だと思いますが、それにしても怖いですね…


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam ★★★ (2006-08-17 12:19:00)

2006年発表の7thアルバム。
タイトルはラテン語で「更なる偉大なサタンの栄光へ」で良いのかな…?

GORGOROTHって、他のレビューとかから察するに、アルバム毎に結構音楽性が違いながらもブラックメタル以外の何物でもない音を出してきたバンドだと思うんですが、今回の作風は珍しく前作の延長線上。とは言っても、曲のバリエーションやアルバム展開のメリハリ、印象に残るメロディの多さなどの諸要素は全作よりも上だと思います。

これによってブラックとして結構聴きやすく仕上がっていると思うので、トゥルーブラックが好きなら満足するかと。ただ、相変わらずアルバムの長さは約30分と短かめですが。Gaahlのヴォーカルは、喚き系ながら非常に悪意の篭もった声でかなりかっこいい。

また、今回はFrostがセッションドラムとして参加していますが、これによってもアルバムのクオリティが底上げされていると思います。Frostのドラムって、フレーズのかっこよさや速さだけでなく音自体も結構独特ですよね。バキバキとしばき倒すような感じ。ただ音量が前作より僅かに下がっているのは唯一不満。まあ、上げて聴けばいいんですけど。

それと、このアルバムはノルウェー本国のチャートで結構な順位(22位だったかな?)を記録したとか。アルバム自体の完成度もあるんでしょうけど、ノルウェー人マニアック過ぎです(笑)


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - God Seed (Twilight of the Idols) ★★★ (2006-08-17 22:25:37)

このメロディの華麗さ、「Under~」の頃の作風に近いかも。
とは言ってもあの頃の様にドラムの音が変じゃなく、Frostのパフォーマンスで聴かせてくれますし、音質も泥臭い湿り気があるので邪悪さは総じて上がってる印象。これは名曲です!


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - Prosperity and Beauty ★★★ (2008-06-17 17:48:52)

この曲、メロデスと比較しても劣らないくらいメロウかつメロディアスなんですが、どう聴いてもブラックにしか聞こえないのはリフやヴォーカルのタイプなど形式的なことよりも、曲自体に漂っている「悪」のオーラが強いからのように思います。エクストリームメタルとしては比較的聴きやすいといえる音なのに、ブラックの危なさを余す所なく伝えるところにベテランの貫禄や威厳が感じられますね…。


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - Sign of an Open Eye ★★ (2006-08-17 22:23:21)

ミディアムテンポなリズムに、一寸先も見えないような黒いリフが轟音で絡みつく曲。でもリードギターは何気にメロウ。鬼火のような妖しさがある曲だと思います。


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - Untamed Forces ★★★ (2006-08-17 22:26:40)

全てをぶち壊すようなハイテンション…GORGOROTHってこんなに速い曲を作るバンドでしたっけ?Gaahlのヴォーカルも、威厳の増した唸り声で怖い。
エンターテイメント化されることで骨抜きになることのない、生々しく危険な思想や音楽を体験できるのがブラックメタルの醍醐味の一つですが、この曲は「飼い慣らされない力」のタイトル通りそれを聴き手に味あわせてくれる事でしょう。


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - White Seed ★★ (2006-08-17 22:24:31)

いつもよりも高音のノイズを強調した、耳に悪そうな(笑)音作りで疾走する曲。
途中音質は元に戻りますが、今度はGaahlが涎を垂らした獣のような声を…唐突なラストも、実験的というよりも不快感を煽る為にやっているのかも。


GORGOROTH - Ad Majorem Sathanas Gloriam - Wound Upon Wound ★★★ (2006-08-17 12:23:11)

1曲目に相応しくブルータルに疾走する曲。
Frostのドラムは、ブラストの中に滑らかにオカズを入れて更に体感速度を上げているのが凄いです。彼のドラムはこういう曲だと凄い生き生きとしてますよね。なんか叩いてて楽しんでそう(笑)


GORGOROTH - Antichrist ★★ (2005-05-22 00:01:00)

96年発表の2nd…え~と、値段からするとフルアルバムなのかな?収録時間は約25分とミニアルバム並ですが(笑)。因みに今年、Season Of Mistよりリマスター&ギターピック封入で再発されました。ギターピックは片面にバンドロゴ、もう片面にInfernusと入っていて結構かっこいいです。

サウンドの方は、喚き散らす絶叫ヴォーカル、Frostによる緩急のついたドラム(ブラスト含む)、そして暴虐の中に切ないメロディを織り込むギターリフと、「ブラックメタル3種の神器」とでも言うべきものを全て持った、「説明不要」と言われそうなブラックメタルです。これは収録曲数の少なさに目をつぶれば、ブラック好きなら確実に楽しめる音でしょう。

特にギターソロまで完備した「GORGOROTH」は、自らのバンド名を付けただけの思いの入れ込みように恥じない超名曲なので必聴です。音質もそこまで良い訳ではありませんが、ベースの音までちゃんと聴こえる分離の良さでありながら、ギターの音色はなかなかに邪悪で悪くない音質だと思います。

あとこれだけは不満なんですが、リマスター効果なのかなんなのか知りませんが、何故か曲間がSEで繋がっているところもトラック分けで無理矢理分断されてるんですよね…リマスターするのなら、ちゃんとやって欲しいものです。


GORGOROTH - Antichrist - Gorgoroth ★★★ (2005-05-22 00:04:44)

自らのバンド名を冠した曲で、かなりメロディアスなスタイルのブラック。
リフやソロのメロディだけでなく、ねっとりとしたホラーチックなベースのフレーズがより漂う悲哀をより強めています。成仏できない地縛霊のような不気味なヴォーカルも印象深い名曲。もしかしたらDISSECTION辺りよりもメロウ度で勝っているかもしれません。


GORGOROTH - Antichrist - Heavens Fall ★★ (2005-05-22 00:05:41)

ブラックの様式を踏襲したインスト。
なんですが、途中一箇所だけヴォーカルが入るパートが合って、「うォォーーイ、ヤッハッハ!!」とか煽った上に嘲笑ってます。「うォォーーイ」で声がひっくり返りそうになっている所が、個人的にはポイント高いです(笑)


GORGOROTH - Antichrist - Sorg (2005-05-22 00:06:39)

雨の中教会の鐘が鳴り響くSEから、重く引きずるテンポの本編へ。
この曲でも「GORGOROTH」同様の幽霊ヴォイスが入ってますが、このテンポともあいまって更に不気味な雰囲気に。


GORGOROTH - Black Mass Krakow 2004 (dvd) ★★★ (2010-06-05 09:52:00)

2008年発表のライブDVD。
ボーナスでブートレッグ2曲とバイオ・フォトギャラリーなども収録。

GORGOROTHが、バンドのイメージそのままの、硬派なライブパフォーマンスを見せるバンドである事が良く分かるDVDだと思います。ステージ自体は、逆五芒星の垂幕や十字架に貼り付けられた裸の女性、串刺しにされた獣の頭、パイロによる演出などでショーアップされているものの、フレンドリーなMCや派手なアクションなどのエンターテイメント的要素を入れたりや、狂気に任せた暴走をしたりなどはせず、ひたすらにバンド自体が曲を通じて醸し出す風格、存在感を見せ付けていくライブ。

元々GORGOROTHの曲自体、ブラックの本道から外れることのない、リフ押しのある意味ストイックなブラックメタルですし、その曲でライブをやったらこうなるだろうな…という感じがします。エンタメ的要素は薄いですが、この存在感ならどんなに大きなフェスに出ても客を釘付けに出来ると思う。

しかし、Gaahlの声はライブの方が良いかもしれませんね…一声一声に肺の空気を全部使ってそうな伸びのある絶叫なのに、ラストまで全く衰えてないのが凄い。ちょっとは疲れを見せてくれた方が人間っぽいのに(笑)。これじゃほんまもんの悪魔ですよ(笑)。

そういう訳で、彼らのストイックかつプロフェッショナルなステージングが堪能出来るライブDVDですが…私はこれ見てると物凄いハラハラするんですよね(笑)。メンバーの棘(というかぶっとい針)付きのリストバンド、何かの拍子に目とかに刺さりそうで怖い。特にマイクを掴んで叫ぶGaahlはなんか心配になってきます(笑)。


GORGOROTH - Quantos Possunt ad Satanitatem Trahunt ★★ (2009-12-15 22:24:00)

2009年発表の8th。

…どうも前作を出してからメンバーの間でバンドの権利を巡ってのトラブルがあったらしく、法廷闘争にまで発展し、結果Infernus以外のメンバーが一新されるということになったらしいですが…ちなみにGaahlの後任には以前Voを務めていたPest氏が復帰。メンバーが変わったせいなのか、近作とは明らかに異なる音になってますね。

前作や前々作の、聴き手を恫喝し、問答無用で捩じ伏せるような勢いこそ減退したものの、全体的にテンポをぐっと落とし、オールドスクールかつメロウなリフを丁寧に紡いでいくスタイルは、昔のGORGOROTHの作風を思い起こさせ、勝るとも劣らない魅力があると思う。

今までのGORGOROTHの作品って、どれも「メタリックさ」と「アングライズム」のバランスが奇跡的に優れているという特性があると思うんですが、この作品にもその美点はきっちりと受け継がれてますね。音はモダンな作風のバンドと比べても遜色ないほど良くなり、リフの輪郭がくっきりしましたが、それでもアングライズムが微塵も衰えないのは流石。

…潰れきった声で唸るPest氏のヴォーカルを初め、全体的に渋くなった印象。ですが「Satan-Prometheus」のような頭一つ抜けた名曲もあるし、ブラックそのものが好きなら、真性にしろオールドスクールにしろどのサブジャンルが好きでも楽しめると思う。昔のGORGOROTHが好きだった人も聴いてみてはどうでしょう。


GORGOROTH - Quantos Possunt ad Satanitatem Trahunt - Cleansing Fire ★★ (2009-12-15 22:33:11)

「浄化の炎」か…かっこいいタイトルですね(笑)
リフを聴くと、硫黄交じりのドス黒い炎が降り注ぎ、三日三晩町を焼き尽くして浄化した後も、なお燃え続ける…みたいな、粘着質な攻撃性が宿っている印象があります。


GORGOROTH - Quantos Possunt ad Satanitatem Trahunt - Satan-Prometheus ★★★ (2009-12-15 22:30:22)

今までのGORGOROTHの集大成的な曲と言えるのでは…
アタマのメロくて邪悪な疾走パートは前作にあってもおかしくない感じだし、ヴァイキングを亡霊化させたような普通声で歌い上げるパートはGaahl加入以前を彷彿とさせます。Gorgoroth(曲の方)に次ぐ、バンドのクラシックとなる曲が出てきた…かも。


GORGOROTH - True Norwegian Black Metal - Live In Grieghallen ★★★ (2008-08-30 19:36:00)

2008年発表のライブ盤。

まず初めに聴いて驚いたのは音質の綺麗さ。
各楽器の音は勿論、リフの絡みまでしっかり聞き取れ、スタジオ盤と比べてもほとんど遜色が無いといえるほど。歓声も聞こえないし、ベースは再録しているらしいのでスタジオでかなり音を弄った上、一つの作品として完結させているという感じなのかもしれません。適度な生々しさ(特にヴォーカル)と聞きやすさを備えた、なかなかの好プロダクション。

選曲は…「Pentagram」「Ad Majorem~」からは選ばれてませんが、名盤「Under the Sign of Hell」から3曲も選ばれている上、海賊ヴォーカルが聴ける「Profetens Apenbaring」が入ってるのが個人的にはツボ。Gaahlの威厳と悪意のある声でこんな威風堂々とした歌唱を聴かされて、惚れるなっていう方が間違ってます(笑)。ただ、収録時間は31分と短め。まあGORGOROTHの作品は大体これ位のランタイムが基本っぽいですが。

…このライブ盤聴いてて思ったんですが、GORGOROTHって「メタルとしてのかっこよさ」と「アングラ音楽としての衝動性」「ブラックとしての邪悪さ」のバランス感覚に関しては右に出るものがいないと言っても良いくらい優れてますよね。初期から最近のアルバムの曲まで入ってますが、どの曲を聴いてもそうした長所が感じられます。…このバランスの良さが、本国のチャートで高順位を記録するほどの人気の秘訣なんじゃないでしょうか。

バンドのファンが聴いて楽しめる作品であるのは勿論のこと、ブラックを然程聴いていないメタラーがブラックメタルのアブなさを心地良く味わうのにも適していると思う作品。「True Norwegian Black Metal」…看板に偽りのないアルバムです。