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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2701-2800
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2701-2800
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GORGOROTH - Twilight of the Idols: In Conspiracy With Satan ★★ (2004-07-02 05:46:00)

私はこのCD、最初はメロディがいまいち寒々しくない為あまり気に入らなかったんですが、最近になってようやく良さが分かってきた感じです。

ギターのディストーションがややキツめなせいか、どこか泥臭さを感じさせる印象の音質です。この音質で疾走するとまるで砂埃を巻き上げて突進するようなブルータルな迫力があります。Voはこの前々作辺りで交代してGaahlが担当していますが、押し潰すような圧力を感じさせる声で前任者に勝るとも劣らないブラックヴォイスです…が、エフェクトを掛けたりヴォーカルを重ねたりする箇所が多く、あまりナチュラルなデス声を堪能出来ないのが少し残念です。

それとUnder~の頃と比べると、ギタリストInfernus以外のメンバーが全て代わったらしく、音もその頃とは殆ど違います。あの頃のような個性は薄れたような感じはしますが、その分邪悪さを増していて聴いていてこの暗黒に身を預けたいと思えるようなCDになっていると思います。最後の暗黒レクイエムみたいなインストも良い味を出しています。

今回、やっぱり歌詞カードがついてないんですが、メンバーの写真は載ってます。Infernusかっこいい、Gaahlは怖い(笑)


GORGOROTH - Twilight of the Idols: In Conspiracy With Satan - Exit / Through Carved Stones ★★ (2005-04-27 21:19:41)

行進曲風のリズムで入る、非常に重苦しい雰囲気の曲。
右から、左からリスナーを圧死させようとするかのような絶叫、ドスの利きまくった邪悪な祈祷を思わせる普通声など、Gaahlが大活躍しています。ラストは鐘の音で締め。


GORGOROTH - Twilight of the Idols: In Conspiracy With Satan - Of Ice and Movement... ★★ (2005-04-27 21:19:56)

邪悪なメロディを伴う、いかにもブラック然としたリフと共に疾走する、アルバムの中でも最も「ブラック」を感じさせる曲。凄くかっこいい曲なんですが、後半の2分30秒のSEはいくら次曲に繋げる為とはいえ、不必要に感じてしまう…


GORGOROTH - Twilight of the Idols: In Conspiracy With Satan - Procreating Satan ★★ (2004-07-02 05:45:19)

CDをかけていきなりな突進にちょっとびっくりです。やっぱりエクストリーム・ミュージックはこうじゃなくちゃ(笑)
中盤でのGaahlの普通声なのかなんなのか分からない声が邪悪な迫力に満ち溢れています。一緒に「Praise Satan!!」と叫びたくなる好曲です。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell ★★★ (2004-06-08 21:22:00)

ノルウェーのブラックメタルバンド、Gorgorothの97年発表の3rdアルバム(たぶん…)。
このバンドは前から気になっていたんですが(なんか名前がごっつそうで・笑)、購入し聴いてみて本当に良かったと思えるような作品でした。

このアルバムの特徴として、まず挙げられるのは「曲ごとの個性がしっかりしている」という事ですね。①②なんて実際に聴いて欲しいですが、ドラムの音質からしてかなりのインパクトがあります。この盤でVoを担当しているPestというボーカリストですが、ハッキリ言って只者じゃないです。非人間的な絶叫デス声から怒りで押し潰すような叫び、海賊の船長が朗々と歌っているような(笑)普通声などこの手の音楽が好きならきっとこの人の声は気に入って貰えると思います。

ギターも細かい荘厳でダークなメロディの、いわゆるトレモロリフ(っていうのかな?)で素晴らしく良いメロディを奏でていて、自分的にもろにツボでした。音質はかなり良く、各パートの音がしっかり聴こえる…んですが、①や②などドラムの音が独特かつ個性的で聴いていて面白いです。また、一曲が2、3分の物が多いため、時間が無い時でもサクっと聴けるのが嬉しいです。

こういう音楽が好きなら絶対にお勧めなんですが、ちょっと気に入らなかった所も…まず歌詞カードシンプル過ぎ!!歌詞自体載ってなく、アーティスト写真なんて望むべくもないです。なんかぺら紙一枚にノルウェー語で何か書いてあるだけ…

しかも彼等は歌詞を秘密にしておきたいらしく、歌詞サイトにいっても「Gorgorothの歌詞はバンド側の要望により削除されました」の文字が…!!せめて英詩のものだけでも載せて欲しかったです。あと⑧で3分くらいSEが延々と流れてます。ここだけはあまり好きになれなかった…

…とはいっても、やっぱり曲が凄く良いのでそんな事は些細な問題でしか無いとも思います。それからこの時のメンバーで今残ってるのはオリジナルメンバーらしいInfernusだけみたいです。流動的なバンドなんですね。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell - Blood Stains the Circle ★★ (2004-06-08 21:24:04)

Pestの歌い方が凄まじい曲。
高音で怒りに任せて絶叫しているのに、ドスまで効いていてかなりの迫力です。アルバムの他の曲と比べてもかなり暴虐さが際立った歌い方で、圧迫感すら感じてしまいました。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell - Funeral Procession ★★★ (2004-06-08 21:23:25)

この曲のリフ、荘厳なんだけどノリの良さもあって不思議な感じがします。ドラムのリズムも関係しているかもしれませんが、このリフにインパクトがあって良い感じです。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell - Krig ★★ (2004-06-18 03:15:21)

この曲も1曲目に負けず劣らず変なドラムの音です。DARKTHRONEがわざと汚めな音像を作っているのと同じく、この曲のドラムもわざとやってるんでしょうか?ドラムセットが見てみたいです(笑)でも、リフのメロディと相まって華麗な雰囲気が出ていて、決してマイナスに作用せず、プラスに作用させているのが凄いです。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell - Profetens åpenbaring ★★★ (2004-06-05 21:33:12)

(本当は「A」はノルウェー語のため、上に小さい丸がつく表記です)
1分弱のSEから、「Uh!」「Hi!」という掛け声と共にヴァイキングの船出を思わせるような朗誦が始まる曲。勿論非人間的なデス声もアリです!!
私はメタルのボーカリストにはハイトーンよりもこういった感じの良く通る、威厳のある声を求めているので、普通声としてはかなり理想に近い歌い方で凄く良かったです。初めて聴いた時、あまりのかっこよさに曲が終わってから朗誦部分だけ巻き戻して聴いてしまった(笑)


GORGOROTH - Under the Sign of Hell - Revelation of Doom ★★★ (2004-06-08 21:22:49)

アルバムの1曲目からして独特な曲です。
ギターも良いメロディですが、それ以上にドラムが面白すぎ(笑)なんか缶バケツを組み立ててドラムセットにしたのかと疑いたくなるほどドカドカしていて、しかも音がやたらとデッカいです…途中ドラムのどの部分を叩いてるのかを予想する事も難しいような音も入っていて、かなりインパクトがあります。


GORGOROTH - Under the Sign of Hell 2011 ★★★ (2011-12-23 20:27:56)

過去の作品を2011年に再レコーディングしたもの。
BURZUMも過去作の再録やってるし、流行ってるんでしょうか?

…GORGOROTHのInfernusと言えば、ブラックメタルに於いてはベテランでキャリアもあって、実力も認められてて、彼が関わったものはブラックメタルとしてのクオリティが保証される…くらい認められてるミュージシャンだと思いますが、良くも悪くも腕利きのベテランバンドが作った作品という感じになってますね。

まず音質は、オリジナルで特徴的だった炸裂感をある程度残しつつも、ブラックメタルとしてはかなりクリアに仕上げてきた感じ。聴きやすいけど、少し薄味に感じるかも。ヴォーカルに関しても似た印象で、オリジナルの音が割れても全く頓着しなさそうな狂気の叫びとは異なり、しっかりブラックメタルのシンガーとしての仕事を全うしている、みたいな感じ。やや粘着質な絶叫はかっこいいし、呪怨風のエッジボイスを使ってみせたり、前任者に劣らない威厳のクリーンボイスを披露したり、悪くはないと思う。

ただ、やはりオリジナルの「天才が勢い一発で作りました」みたいな衝動性は多少薄れてしまっているのは確かだと思う。個人的にはオリジナルの方がそういう点で好みなんですが、まあそれは人それぞれでしょう。こっちを先に聴いた人は、メタルとしてのクオリティや安定感が高いこちらの方を気に入るかもしれませんし。曲の方はオリジナルが多くの人が名盤と認めた作品だけあって、今でも一級品で通用するブラック(っていうか、改めて聴くとこのクオリティは異常)なので、オリジナルを聴いてない方にも聴いて欲しい所。


GORUGOTH - Gorugoth ★★★ (2011-05-24 18:17:38)

94-96年のデモ・スプリット音源等を集めたコンピレーション盤。
今話題の国産レーベルZero Dimensional Recordsより発売。

…当時の日本に、ここまでブラックの真髄を捉えたような音楽性のバンドがいたと言う事実だけで、なんだか嬉しくなってしまうような内容の作品ですね。音質、曲の展開、リフ捌きなど、どこを取っても、スラッシュメタルやデスメタルとは明らかに一線を画する、プリミティブブラック特有のものであるのが素晴らしいです。特にリフ捌き、常にドロドロした邪悪さを演出しているのがいいですね。4曲目などは、メロだけ見たら近年のSATYRICONに通じる威風すらありますし。

この音源、ドラムは打ち込みだし、ヴォーカルは篭ってるしで音質はプリミティブ系の中でも良いとは言えないんですが、逆にそれがプラスになってますよね。打ち込みのドラムはうるさく鳴らされてリフの黒さを打ち消すようなことはせず、人間臭いグルーヴを演出したりもないですし、篭ったヴォーカルのミックスは低音のデス声を獣の息のように、高音の絶叫を亡霊の叫びのように、より非人間的に聴こえさせ、更に陰惨なムードを助長してます。

94年の音源だったので、まだスラッシュ辺りのノリを引きずってる音かな…と予想してましたが、全然現代のプリミティブブラックのスタイルとして通用する音ですね。取り合えずプリブラ・国産ブラックのいずれかが好きならば買いでしょう。


GOSPEL OF THE HORNS ★★ (2012-06-03 05:37:39)

オーストラリア産ブラック/スラッシュ。
何気に来年で結成20周年らしいです。


GOSPEL OF THE HORNS - Realm of the Damned ★★ (2012-06-03 05:38:22)

2007年発表の2nd。

オーストラリアのブラックではかなり古株のバンドで、スラッシュ寄りのスタイル…という触れ込みでしたが、確かに刻みを多用しつつアクセントにブラック由来の邪悪トレモロを仕込むリフ捌き、熱いギターソロを取り入れた展開はスラッシュ色強めなんですが、リフがスラッシーなザクザクした感触と同じくらい、パンク/ハードコア的なドライブ感も強いのが特徴なんですよね。

そのリフ捌きのせいで、聴いていると体が自然と動き出しそうな、ストレートなかっこよさが上手く演出されており、鬱ブラックや陰湿なプリミティブブラックを普段聴いてる人からすれば爽やかにすら聞こえるほど(笑)。ただし、ヴォーカルはかなりエグいブラック特有の高音絶叫で、リフ・リズムの演出するノリの良さと相俟って、非常に野蛮な雰囲気を醸し出してます。人肉とか食ってそうな勢い。

オーストラリアでは重鎮のバンドだけあって、作風にブレがないというか、「俺たちはこういう音を演りたいんだ」というのが伝わる作品。音質も適度に厚みがあって悪くないですし、スラッシュ寄りのダーティでオールドスクールなブラックが好みであればチェックしておくといいかもしれません。


GOTHMOG - A Step in the Dark ★★★ (2010-01-24 12:13:00)

2009年発表のデビューアルバム。

国内盤もリリースしているらしいパワーメタルバンド、CAIN'S DYNASTYのメンバーが関わっているシンフォニック・ブラックとのことですが…SE的なパートでは主導権を握るものの、あくまでバンドサウンドや曲の雰囲気の演出をサポートするキーボードの使い方、正統派やメロデスにも通じるメタリックなリフ捌き、漢ヴァイキングメタル的なクッサいトレモロなど、各要素にどことなくパワーメタルバンドとしての感性が発揮された、シンフォニックブラックを演ってますね。

ブラックとしての邪悪さこそ希薄なものの、疾走パートの迫力も十分で、ヴォーカルも怒りまくり気合入りまくりのデスヴォイスを聴かせてくれるしで、エクストリームメタルとしての攻撃性も文句なし。音圧もかなり高く、クリアな音質も相まって、DIMMU辺りよりも更にメジャーメタルを志向した音に聴こえます。展開のドラマ性の高さの割に、各曲が短めに纏まっているのも好印象。ヴァイキング的朗唱をするも、ビブラートの掛け方がどうにもパワーメタルなのはご愛嬌でしょうか(笑)。

DIMMUやCRADLEなどのメジャー(でメタリック)なシンフォニックブラック好き以外にも、クサメタル経由でシンフォ系やヴァイキング系に入った人にもお勧めの作品。邪悪さ重視系シンフォニック・ブラックよりも、大分間口の広い音になっていると思いますので、CAIN'S DYNASTYに続いて是非こちらも国内盤リリースして欲しいですね。

…ちなみに、CRYING BLOODの最新作と同じレーベルで、ジャケ横の題字のフォントも一緒ですが、こっちに関してはバンドのメジャー志向な作風に良くあってると思います。


GOTHOLOCAUST - Lucifer_h ★★★ (2015-08-03 19:16:46)

2015年発表の2nd。
日本のレーベルhidden Marlyからの発売。

フランス産のプリミティブブラックとの事ですが、個人的にはMUTIILATIONなどのフランスのLLN勢のような病んだムードよりも、SATANIC WARMASTER(特に初期)などNorthern Heritage系のフィンランドのバンドに近い、Rawで寒々しい雰囲気を持った作風という印象ですね。ガラガラした声質で一心不乱に叫び続けるヴォーカルも衝動性に満ちていて非常に良い具合。

…ぶっちゃけこの手のブラックって、演ってることはあまり変わらないので、後はどれだけリフやリズムでの聴かせ方が上手いか…みたいなところはありますが、このバンドはかなり上質ですね。基本はスリ込むようなリフで聴かせつつ、要所でメロディを強調して聴かせるスタイルですが、前者のパートでのさりげない良質なメロディの練り込み、メロディ強調時のサタニックさとメロウさを両立させるセンスの良さなど、好き者を唸らせるだけのものがあると思います。

プリミティブ好きであれば「これだよこれ!」となりそうな一枚。特に目新しさは感じませんが、聴いていて「ああ、やっぱりこういう音好きだなぁ」としみじみ思ってしまう作品でした(笑)。


GRA ★★ (2013-02-03 09:23:07)

スウェーデン産メロディック・ブラック。
正式名称は「GRÅ」ですが、これだと文字化けするので「GRA」で登録。
(コメントでは文字化けしないけど、バンド名などの項目だと文字化けするのを確認)
Åが出せない人は「オングストローム」と打って変換してみましょう。


GRA - GRA ★★★ (2013-02-03 09:25:43)

2011年発表の1st。

路線としては、如何にもスカンディナビア産のバンドらしい、寒々しいトレモロ疾走を多用した、かなりメロディアスなブラックメタル。音質はある程度鮮明さを保たれており、決してヘヴィでモダンな音作りという訳ではないものの、それがトレモロの寒々しい感触を際立たせてますね。スタイルとして典型的なだけに、このジャンルが好きな方ならすぐにでも気に入りそうな音。

但し、トレモロに込められたメロディはメロブラとしては破格のダークさで、気が滅入るような陰鬱さが演出されており、テンプレをなぞっただけの音ではないのが好感。スウェディッシュメロブラに、GEHENNAの「WW」アルバムや近年のSATYRICONの鬱メロディを加えて煮詰めたような作風。これらのバンドよりも王道っぽい音な分、取っ付きやすいとも言えるかも。このジャンル聴く人なら陰鬱で隠微なメロディはむしろご褒美でしょうし。

派手な作風ではないものの、しっかりしたクオリティと濃いムードを醸し出すメロディがある、非常に良質な作品。普段からブラックを聴いている人であれば購入リストに加えても良いと思います。


GRABAK ★★ (2013-01-02 17:51:33)

元NARGAROTHのメンバーも絡むドイツ産ブラック。
90年代半ばより活動する、ジャーマンブラックとしてはかなりのベテラン。
ちなみに某格闘技団体とは何の関係もありません(笑)。


GRABAK - Sin ★★★ (2013-01-02 17:52:34)

2011年発表の5th。

なんか寝技や組み技が強そうなバンド名ですが(笑)、基本的には1349やDARK FUNERAL辺りをもう少しマイルドにした感じの、ファストパート中心のブラック。メロい中にも暗黒性を含ませたリフのメロディもこれらのバンドと共通しますが、DISSECTIONに通じる優美さやジャーマンブラック的な寒々しいメロウさも感じられ、よりメロディアスな感触の作風。ドラムがやや丸めの音で、一歩間違えればB級バンドにありがちなチープさを醸し出してしまいそうですが、この作品はそれがむしろリフのメロさや催眠性を強調している感じに仕上がってるのは、流石ベテランといった所でしょうか。

また、ごく一部ではゴシック的な女性ヴォーカル(ソプラノ・クワイア)を取り入れ、楽曲に変化を付けているのもいいですね。特に1曲目、天使メタトロンの台詞を美麗なソプラノが歌い上げた後、ヴォーカルが「おおメタトロンよ、俺を退屈させるな(Oh Metatron don’t bore me to death)」と続けるパートはケレン味たっぷりで実に燃えます(笑)。ただし質は高いものの、1349のような大きな話題を攫うバンドと比べるとインパクトの面では劣るのも否めないかも。個人的には音作りもリフ捌きも心地良くて、聴きやすくて好きですけど。

ベテランらしい堅実な作りで、ブラックメタルが元々好きな方であれば安心して聴ける作品だと思います。アメリカのAVERSE SEFIRA辺りを愛聴する方にもお勧め。こっちの方が大分分かりやすいですけど、聴き心地の良さは通じるものがあると思う。


GRABNEBELFURSTEN - Von Schemen und Trugbildern ★★★ (2012-09-03 18:57:32)

2001年発表の1st。

やたら長いバンド名や謎のおっさんクリーチャージャケからしてヤバ気なオーラが漂いまくってますが(笑)、その予想(期待?)を裏切らない、奇妙で奇矯なブラックメタル。アトモスフェリック系のシンセやペイガン系のメロディ、メロブラ的なトレモロなどを用い、ドラマティックに仕上げたブラック…と書くとまともそうに聴こえるんですが、全体を通じて妙にユルい空気感があり、そのユルさ故になんだか前衛的で得体が知れない音に聴こえる感じですね。

まずメロディなんですが…普通にメロブラとしてかっこいい、冷厳で耳に残るメロディやペイガン系の土着的なメロウさを発揮する泣きメロをトレモロリフで弾いてたりして、センスの高さを感じさせてはくれるんですが…時折妙に調子の外れたようなメロディを仕込んでくるのが面白い。特に7曲目なんて、一部地獄のお笑い番組のテーマソングがあったらこんな感じだろうな…ってメロディまであって、それが同じ曲に神秘的なシンセや冷厳なトレモロと同居してるのが、ある意味凄まじいセンスしてると思う。

そしてヴォーカルも特徴的。低音のグロウルと高音のスクリームを使い分けるスタイルですが、喉を絞めた感じの、常に情けなく裏返るのようなスクリームが良くも悪くもヒドいです(笑)。白塗りは白塗りでも、コープスペイントというよりはバカ殿のご乱心という感じがしてしまいます(笑)。CELTIC FROSTを意識したのか「ウッ!」も披露してますが…声がアレなのでしゃっくりにしか聞こえません(笑)。特徴的過ぎて純粋に邪悪系を求めて聴いたら嫌悪感感じるレベルかも。ちなみにグロウルは普通に邪悪。

明らかに変態的で、しかもユルい感性を持っている変り種のブラックなのに、メロディのセンスが無駄に素晴らしい辺りなんとも心憎い作品。時折メロブラでも明らかに極上レベルのメロディが出てくるんですよね…こんな変な作風なのに。ともかく変なだけでもユルいだけでもないブラックですので、個性派好きならば聴いて損はないかもしれません。


GRAFVOLLUTH - Long Live Death! (2016-06-26 23:59:07)

2011年発表の2nd。

…一言で言うならば、「色々やる系」のブラックでしょうか。
どす黒いエナジーが密集するかのようなノイジーな音像と、粘着質さと切れ味の良さを兼ね備えた、凄まじく邪悪ながなり声を聴かせるヴォーカルが、凄みを効かせる真性ムード高いブラックをベースに、宗教的クワイア風のSEやノイズ方面へのアプローチなど、様々な工夫を凝らして聴かせる音。

ただ、それが必ずしも良い方向に作用しているとは言い難いのが悲しい所…。特にアンビエントに寄ったパート、幾らなんでも音割れ気味の微妙な音色のキーボードや、単調なアルペジオで何分も引っ張るのは肯定的には見れないです。前述の宗教的クワイアも同じフレーズ連続させ過ぎて何かシュールですし…。ひしゃげた音色のトレモロが地獄の情景を映すような、アトモスフェリック寄りのパートやパーカッシブなドラムが儀式的な雰囲気を演出するパートなんかは結構好きですが。

元々の素材がなかなかいいだけに、この料理の仕方はちょっと残念。特にヴォーカルの声部分的にはかなり好みなんですよね…。


GRAM - May I Never Hear Your Voices Again... ★★ (2013-07-24 20:36:48)

2009年発表の1st。
全く知らないバンドでしたが、妙に凝ったジャケに惹かれ購入。

音的には、粗いリフのディストーションが抽象的な雰囲気を演出する音像の中、ブラックらしいトレモロを中心としたメロウなメロディを響かせつつ疾走するスタイルで、WOLVES IN THE THRONEROOMやASH BORERなどのカスカディアン勢を思わせるようなブラックメタル。情景描写に特化する余り変に気取った音にならず、ブラックらしいサベージな暴虐性もあってバランスのいい仕上がりだと思う。意外にオールドスクールな展開を垣間見せるパートも。

取り分け気に入ったのが、やたらいがらっぽいガラガラ感あるヴォーカルの絶叫。魔獣が喉を鳴らしながら獲物を習ってるような感じがあるというか、かなり味のある声で好きですね。また、ドイツ産らしい薄暗い叙情性の篭もったメロディもなかなかにグッド。この手にありがちな浮遊感を演出したりなどは余りせずに、もっとダイレクトに暗い叙情を叩き込んでくるようなメロディ。…個人的には、ダークファンタジーな世界観が見えてくるような、エピック性を感じたりも。

何気に良作だとは思うんですが、厚紙などを使い、一見凝ったジャケ、実はこれがちょっと厄介。厚紙に留め具が糊付けされてて、そこにCDの穴を嵌める使用は盤面に傷が付きそうでかなり不安…。まあ、ジャケが凝ってなければ手に取ってなかった可能性もあるし、一概にマイナスとは言えませんけど…。


GRAND BELIAL'S KEY - Mocking the Philantrophist ★★★ (2012-10-03 17:37:37)

97年発表の1st。

これはかっこいいですね。
一聴すると、アングラ臭を隠そうともしない、生々しく泥臭いようなリフの音色に、吐き捨てるような低音がなりヴォーカルが乗る、ウォーブラックのような音なんですが…ウォーブラック的な荒さをしっかり感じさせつつも、メロディアスな哀愁であったり、ドラマティックな展開があったり、正統派メタルを通過しているような、メタリックな感性…それもメロデスのような洗練されたものではなく、もっと古臭くアングラなものが備わっている感じのする音。

一見するとその二つって相性が良いようには思えないんですが、アングラでオールドスクールなメタルの素養を感じさせる演奏であったり、時々クサメロの領域に入りかけるメロディアスさであったりが、意外にも汚い音質による生々しい演奏によって更なる魅力を引き出されているんですよね。時に牙を剥く、ウォーブラック的な自棄な攻撃性も、メタル本来の持つドラマ性をより強化している感じ。…まあ、単に私がこの泥臭い音作りがツボなだけというのも否定はしませんが(笑)。

これはブラックのアングラな音質に抵抗がないなら是非とも聴いておいてほしい一枚ですね。とにかくかっこいい。その一言に尽きます。


GRAND EXTREME BLACK - 荘厳極激黒 ★★ (2009-03-29 22:08:00)

大阪産独りシンフォニック・ブラック。
…「荘厳激極黒」って、普通に「そうごんげきごくこく」って読んでいいのかな…?


GRAND EXTREME BLACK - 荘厳極激黒 - WORLD DESOLATION - 世界荒廃 ★★★ (2009-03-29 22:04:00)

2008年発表の6曲入りCD-R。バンド初の音源らしいです。
…これはもっと早く買っておくべきでした。

路線的には、バンドサウンドに「乗る」ではなく、バンドサウンドを「包み込む」ようなキーボードを大々的に取り入れたシンフォニック・ブラック。こういうオーロラめいた音色のキーで、キーそのものの音圧も高いという音って、何か魔性めいたものが感じられてツボなんですよね。アトモスフェリック・メタル寄りの路線ながら、メロデス好きにも受けそうなメロいフレーズも弾きながらブラック特有の邪悪な呪術性を醸し出すギターワークもかっこよく、刻みパートの圧力もかなり高い。ヴォーカルはこの手には珍しい低音咆哮で、愚かな人間に天罰を下す怒れる神という趣き。

この「音圧の高い魔性キー」「重く歪んだギターの音色」「低音咆哮ヴォーカル」を合わせた音から感じるのは、アングラな音楽特有の凄み。この凄みが感じさせるのか、個人的には黎明期ブラックの名盤めいた雰囲気も漂っていると思うんですよね。実際、ブラックメタルのヤバイ雰囲気や魅力を伝えるパワーは、あの頃の名盤群にも匹敵すると思います。
CD-Rメディアですが音質は悪くなく、音量も適正くらい。多少音割れはありますが、まあこれくらいなら生々しさとして受け入れられるレベルだと思う。

ちなみに値段は500円でした。いくら何でも安すぎでしょう…お試し価格じゃないんだから(笑)。敢えて安く価格を設定する事でこの音を普及させ、悪魔の下僕を増やす事が目的だったりして(笑)。ともかく、ブラックのクラシックな名盤にも劣らない雰囲気の作品が安価で買えるチャンス。ちょっとでも興味があれば是非。


GRAND EXTREME BLACK - 荘厳極激黒 - WORLD DESOLATION - 世界荒廃 - DARKNESS EMPIRE - 暗黒帝国 ★★★ (2009-03-29 22:06:42)

暗黒を広げるようなギターメロ、速さを感じる限界レベルの豪速ブラスト、それらを纏めて包み込むキーボード…アングラ志向のシンフォブラックとして隙のない完成度の曲。ラストに相応しい凄絶っぷりです。


GRAND EXTREME BLACK - 荘厳極激黒 - WORLD DESOLATION - 世界荒廃 - SURRENDER OF HEAVEN - 天国陥落 ★★★ (2009-03-29 22:05:44)

途中の呪術めいたキーボードの音が嫌でも印象に残る曲。
魔界の底に木霊するような音色だわ…。


GRAUPEL - Am Pranger... ★★★ (2011-05-03 17:34:08)

2010年発表の2nd。

まずキメを使ったバンドサウンドと、それを無視するかのように恨みを込めて叫ぶヴォーカルの導入部からして最高にかっこいいですね。ENDSTILLEのメンバーが絡んでますが、同じファストブラックでも、こちらの方が音作りが荒々しくて、良い意味でアンダーグラウンドな雰囲気が強いですね。

このバンドもブラック特有の平坦気味なリフを多用してますが、それがまるで黒い緞帳を下ろしたかのように聴き手の視界を黒く染めて、そこに病気じみたメロディのトレモロが迸ると、もう完全に暗黒な世界観の完成。憎しみを肺胞に溜めて吐き出すようなヴォーカルも含め、ファスト系では屈指の邪悪さ。

ファスト系好きで、メジャーな音より邪悪さ重視な音が好きならば必聴です。


GRAUZEIT - Tyrannei Der Tristesse ★★★ (2014-10-21 19:29:57)

2013年発表の4曲入りEP。
リリース元は鬱ブラックの総本山、Self Mutilation Services。

ドイツ産のディプレッシブ/シューゲイザーブラックとの事ですが…これ、鬱ブラックだよね!?と、一瞬怪訝に思ってしまいました(笑)。メロディ自体もメランコリックで儚さが強く、十二分に鬱ですし、それを絡めたトレモロやアルペジオを中心とした展開、絶望感を感じさせるがなり声など、鬱ブラックとしての要件は完全に満たしているんですが、メロディがかなり前に出ているお陰で、微妙に華やかな音に聴こえるんですよね。

もちろん、だから駄目という訳では全くなく、メロディ自体がシューゲイザー系のブラックとして非常に優れているせいもあって、私としては妙にツボに入ってしまったんですよね…。また、もう一つの特徴としては、打ち込みに理解がある事も挙げられますね。一部のパートではキーボードやアルペジオによるメランコリックなメロディに打ち込みドラムを合わせてますが、これがアーバンな鬱感を演出していてムーディなんですよね。バンドサウンド部分もかなり良かったけど、むしろこのパートはもっと好きかもしれないです。ほんと良い雰囲気出せてると思う。

EPにつき収録時間こそ短めですが、かなりの好内容。ひたすら沈み込むような鬱ブラックが好みの方には合わない可能性が高いですが、アーバンで雰囲気のある、メロディ重視な鬱/シューゲイザーブラック好きなら是非。


GRAVDAL ★★ (2012-06-06 14:46:38)

AETERNUSのメンバーが関与する、ノルウェー産ブラック。


GRAVDAL - Torturmantra ★★ (2012-06-06 14:48:49)

2010年発表の2nd。
4曲目ではSHININGのKvarforth氏がゲストヴォーカルで参加。

ブラック特有の黒く塗り潰すようなリフの音色と、ミディアムテンポで自然と体が動くようなパート中心のリズムを組み合わせ、邪悪なグルーヴを演出しつつ、サタニックな黒く爛れたメロディのトレモロで止めを刺すような、起伏に富んだブラックメタル。疾走パートも全力でカチ込む部分より、聴いてて気持ちの良い疾走感を感じるような部分が多く、邪悪ムードも重視しつつ、聴き心地の良さがかなり重視されている印象ですね。

ヴォーカルは常に裏返る寸前くらいの、かなりマジな絶叫で、息を吸い込む音が嗚咽のように聞こえたりする箇所もあり本気度高め。4曲目のKvarforthによる、カルグラに通じる低音唸りから、鬱系のネガティブ絶叫までこなす、ジャンルのトップクラスの抑揚スキルを持ったパフォーマンスとは好対照。流石にKvarforthと比較すると表現力に差がある感じはしますが、一心不乱で鬼気迫る感じは素晴らしいと思う。

個人的にはデスメタル化したAETERNUSよりも好みの音ですね。音は分離が良く、各パートの音はしっかり聴こえるものの、やや薄め…なんですが、それが曲調とも合ってて、逆に心地良かったり。ラストの、後味の悪い締め方もグッドです(笑)。


GRAVE DESECRATOR - Dust to Lust ★★★ (2017-05-10 13:26:55)

2016年発表の3rd。

ジャケに貼付されたシールで引き合いに出されてるバンドが、「BLASPHEMY」「BESTIAL WARLUST」「ARCHGOAT」等の時点で、ほぼどんな音か想像がついてしまいますよね(笑)。演奏が崩壊していたり極端にプロダクションが劣悪だったりということはなく、普通にエクストリームメタルとしてのクオリティを保った音ですが、ウォー/ベスチャルな感性もがっつり伴ったダーティなブラックメタルを展開。

まるで五寸釘を打ち付けるが如くRawなドラムの音色といい、初期BEHERITの吐き捨てならぬ吐き出し系のヴォーカルを再解釈したようなエグみ溢れるヴォーカルといい、耳に突き刺さってくる音の一つ一つに獣性が感じられるのが素晴らしい。鐘の音色を取り入れて儀式的なムードを醸し出してみせたり、どこか密教的な雰囲気を感じさせるパートがあるのもカルトな感じで良いんですよね。

大手レーベルのSeason of Mistと契約したことからも分かる質の高さと、ウォー/ベスチャルな感性によるカルト性が入り混じった、かなりの好盤。この系統としてはマニア以外にもお勧めできる作品だと思います。


GRAVELAND ★★ (2007-07-02 18:25:00)

ポーランドのペイガン/ブラック/ヴァイキングメタルバンド。
ペイガン系では最も有名なバンドの内の一つではないでしょうか。
初期の作品はまだ未聴ですが、プリミティブ好きにもかなり受けてるらしいです。


GRAVELAND - Will Stronger Than Death ★★ (2007-07-02 18:24:00)

2007年発表の10th。
私はまだこれしか持ってないんですが、かなりベテランなんですね…。
このバンドはペイガン的思想で有名で、その思想のためかブラックメタルよりもどっちかと
言うと、土着性を感じるメロディ、キーやクワイアなどによって演出される壮大な世界観は
ヴァイキングメタルに近い感じでしょうか。ペイガン思想をミディアムテンポで土着的メロディ、
北欧神話的世界観で表現したアルバムというとNOKTURNAL MORTUMの4thなんかが思い
浮かびますが、このバンドの音には向こうみたいなキャッチーでクサいお祭りメロはなく、
アトモスフェリックで幽玄な感覚をより強く押し出している感じだと思います。
メタルサウンドを濃い靄のようなキーボードが包み込み、その中に浮かぶ切り立った崖だったり
そこに集合する屈強極まりない戦士達、彼らの打ち鳴らす勇壮なリズム、死した戦士を
ヴァルハラへと導かんとする戦乙女達の歌声、そして彼らを統率するRob氏の威厳に満ちた
低音デスヴォイス…音から受けるイメージとジャケから受けるイメージが見事に一致してますね。
純粋なメタル音楽と言うよりも、北欧神話由来の戦争の空気を音に封じ込めたような音楽。
メタル的な魅力は希薄かもしれませんが、そういう空気感では右に出る者はいないでしょう。
軍隊とかでかけておいたら戦意が上がるかも…それくらい雰囲気の濃いアルバムです。
しかし、このバンドはかなり強い信念を持ってペイガンメタル演ってるみたいですが…
日本人がヴァルキリープロファイルとかオーディンスフィアとか、北欧神話をエンタメ化した
ゲームで遊んでいる事を知ったらどう思うんでしょうか(笑)。インタビューを読むに、彼は
一つの国家に多種な文化が混在するのを良しとしていなさそうなので、そういう折衷みたい
なのはかなり嫌いそう。でも逆に神話時代の壮大な空気をもっと強く感じたい人にはお勧めです。


GRAVEN - The Shadows Eternal Call ★★★ (2013-01-10 23:19:46)

2005年発表の2nd。
これ、中古で凄く安かったんですけど…かなりの良盤ですね。

作風としては、耳に優しくないノイジーなリフを特色とする、プリミティブブラックの様式を踏襲したスタイルですが…単にRAWなだけでなく、音質も楽曲自体もしっかり作りこまれている印象。特にオールドスクールなものを中心としつつ、時に幻惑的なフレーズを挟んだり、ジャーマンブラック特有の氷の礫が吹き付けるようなトレモロを交えたりするリフが素晴らしい。

それを奏でるギターの音色も、薄っぺらではなくしっかりと厚みのある、骨の太い音で、リフの魅力を引き出してくれてるのが良いですね。現在ENDSTILLEでも活躍するZingultusのヴォーカルは、鬼気迫るような気迫の篭もった絶叫で噛み千切るような迫力がある。プリブラとしては迫力のある音作りですが、ヴォーカルがそれに負けない壮絶さである事も音の凄みを増す要因となってますね。

関連バンドのENDSTILLEやGRAUPEL辺りと比べるとRAWでプリミティブ色が強く、やや地下臭い作品かもしれませんが、ジャーマンブラックが好きであれば推薦。良いアルバムですよ。


GRAVES AT SEA - The Curse That Is ★★ (2017-04-18 00:08:39)

2016年発表の1st。

音は一言で言えばブラッケンド・スラッジでしょうか。占める割合としてはスラッジ・ドゥームが8、ブラック要素が2くらいでスラッジの方がメインな感じですね。ただ重々しく引き摺るだけでなく、なにか異質な生命が脈打つかの如き動きのあるリフにより、ダイナミックかつグロテスクな音を演出していくスタイル。フューネラル系とはまた違った意味での拷問感ある音です。

メロディの志向としてもメロウさや絶望感よりも、乾いた感触が強く、ヴォーカルの絶叫とも相俟ってヒリついた雰囲気が演出されてますね。また、パートによってはかなりメロウでダークな優美さを感じさせるヴァイオリンがフィーチャーされているのも特徴で…パート自体はそれほど長くないものの、作品の中にあってインパクトを残し、メリハリを付ける展開として機能しているように思います。

ブラックの要素はやや薄めですが、殺伐とした雰囲気に身を浸したい時にはうってつけの作品。どちらかというとエクスペリメンタルかつ暗黒趣味強いメタルがお好きな方向けでしょうか。


GRAVEWORM - Collateral Defect ★★ (2012-05-08 22:50:06)

2007年発表の6th。
実は初めて聴きました、GRAVEWORM。

よくDISSECTIONやNAGLFAR辺りのバンドが「メロデスっぽい」との評価を受けているのを耳にしますが、それよりも更にメロデスに近い音ですね。ムードよりも実体的なドラマ性だったりヘヴィネスだったりを追求した音作りもそうですし、メロディもブラックの邪悪さや陰湿さはまるで感じさせず、派手でかっこいい感じ。フックのあるフレーズも多く、洗練されたクオリティの高さのある作品。

当然音質も各楽器の分離が良く、モダンな重さをしっかり備えた、客観的に見たらエクストリームメタルとしてごく良質なもの。ただ、個人的にはこの音質は今ひとつ好きになれなかったり…。ドラムの音があまりバランスの良いものではなく、「迫力がある」というよりは「聴き疲れする」と感じられてしまう…。ちょっとメロディを食い気味の感もあるので、そこだけは見直して欲しかったですね…。

クオリティが高い事は断言できるんですが、それが個人的な好みにハマるかというと微妙なアルバム。どちらかというとメロデスや、エクストリームメタル全般を好んで聴く方にお勧め。


GREEN CARNATION ★★ (2006-10-30 16:58:00)

元EMPERORのTchortの在籍するバンド。
プログレ好きからの評価も高いとか。
息子の誕生にインスパイアされた60分の大曲を一曲のみ収録とか、
全編アコースティックとか結構実験的なアルバムが多めです。
そういう所もプログレファンに受けるのかもしれませんね。
しかし、このバンドに付いて調べてたら、同名の花屋のHPがヒットして驚きました(笑)


GREEN CARNATION - Light of Day, Day of Darkness ★★ (2006-12-21 22:39:00)

2001年発表の2nd…でいいのかな?
Tchortが自らの息子さんに捧げたという、60分の曲を一曲のみ収録。
そういうバックグラウンドで制作されたせいか、息子さんの声まで聴けちゃいます。
60分を一曲のみというとどうも取っ付きづらそうなイメージを抱いてしまいがちですが、
曲自体は叙情的な男声ヴォーカルのプログレ/ゴシック・メタルで、どのパートも良い
メロディがフィーチャーされている上に、大体5~7、8分くらいで一区切り付くような
展開が多いので聴きやすいです。曲は静謐なだけではなく、ブラックメタルを思わせる
トレモロリフの儚い旋律や、ディストーションギターの重々しい音色をバックにデス声が
炸裂する個所もあり、聴き応えはありすぎるくらいあります。徹頭徹尾かっこいい作品ですが、
特に序盤のクラシック的な狂気を感じさせる低音でのヴォーカルのメロディ、中盤の跳ねた
リズムの上に展開していく圧巻と言うほか無い間奏、五分にも及ぶサックスと最早トレモロと
言っても良いくらいに激しくビブラートを掛けた女性Voの絡みなどは聴き所でしょう。
ラストはオルゴールで儚く締め。出自が出自だけに、胎教にも良さそうかも(笑)。
全体的には、当然の様にクオリティが高くて満足なんですが、一つ不満も。
上記の様に5~7分位で一区切り付く展開が多いのだから、DEVIL DOLLの「DIES IRAE」の
様に展開ごとにトラック分けをして欲しかったです。一つのトラックに60分という点に
何かこだわりがあるのかもしれませんが、やっぱり聴く上での便利さは重要かも…。
とは言え素晴らしい作品には変わりありませんが。


GREEN CARNATION - The Acoustic Verses ★★ (2006-10-30 16:55:00)

2005年発表の5thアルバム。
この作品をリリースした2005年でバンド結成15周年だとか。
作風は、タイトルの通りギター(もちろんアコースティックギター)を中心として、
ストリングスやメロトロン、キーボードなどのアコースティックな楽器とマイルドな普通声の
ヴォーカルがメロウさを演出するもので、どっちかというとメタルよりはプログレの範疇に
入りそうな感じ。OPETHでいう「Damnation」に近い作風だと思います。
私は正直言って、この作品を最初流してかけていた時は割と地味な作品という印象だったんですが…。
後からヘッドフォンで目を閉じてちゃんと聴いてみたらとんでもないですね。
フレーズの一つ一つに込められた叙情性がリスナーを捉えて放しません。
さりげなくストリングスやメロトロン入れてくる所とかヤバいです。
…これはプログレ好きに評価されるわけですね…。でも静かな作風とは言え、考え事をする時の
BGMには向かないかも。曲に意識が引っ張られてそれどころではなくなります(笑)。
ヴォーカルも上手いです。見た目的には大柄でスキンヘッドだし、用心棒のような強そうな
風貌(笑)ですが、それに反して凄く優しく繊細な歌声。「9-29-045」の後半の歌い上げや、
「High Tide Waves」でのややダークな雰囲気を醸し出す歌い方などでは表現力の高さも光ってます。
曲も似たような曲ばかりではなく、「Alone」のようにキャッチーなのあり、「9-29-045」の
ような大作ありでバラエティに富んでいて飽きずに聴き通せます。…私は「Alone」をコンピで
聴いて購入を決めたんですが、予想以上に良い作品で大満足。
唯一の不満は歌詞が「続きはWebで」状態なところかな(笑)。
近年の研究では、憂鬱な時はアップテンポなものではなく、気分に同調するような
メランコリックなものを聴いた方がそこから抜け出しやすいという事が分かってきたらしいです。
そういう時に聴く音楽としてはこれ以上のものはなかなか無いのではないでしょうか。
勿論リラックスしたい時に聴いても効果ありだと思いますし、お勧めです。
…しかし、こういうアルバムがポンと出てくるのが、メタルのフィールドの凄さだと思いますね…。
ほんと、メタルって凄いです。


GREEN CARNATION - The Acoustic Verses - 9-29-045 ★★★ (2006-10-30 16:52:59)

約15分、3部構成の大作。
【Part1 : My Greater Cause】
このパートのさり気ないメロトロンからストリングスに繋げる部分、景色が見えるようで凄くぐっと来ます。歌に込められた哀感もかなりのもので、聴いてて胸が苦しい。
【Part2 : Homecoming】
インスト&語りの第2部。ここのキーボードやメロトロンは優しげな雰囲気で良いなぁ…パーカション(ウィンドシェルっていうのかな)の音色がちょっと可愛い(笑)。インストで引っ張るパートですが引き込まれまくりでだれることはありません。ほんと、何時までも聴いていたいです…。
【Part3 : House of Cards】
締めに相応しい、感情の篭もった歌い上げがなんとも言えず…。
ラストのギターも実に儚げですね。実に有意義な15分間でした。
ごちそうさま(笑)。


GREEN CARNATION - The Acoustic Verses - Alone ★★★ (2006-10-30 16:50:37)

歌メロもストリングスのメロも取っ付きやすい曲。
特にストリングスは北欧の爽やかなそよ風って感じで気に入ってます。聴くと新鮮なミルクとか飲みたくなったりして(笑)。歌詞はどこかで聞いた事あると思ったら、ARCTURUSも引用したポーの同タイトルの詞ですね。この詞には北欧の腕利きミュージシャン達を惹き付ける何かがあるのだろうか…やっぱり歴史に残る詞だけあって押韻が美しく、そこから触発されたと思しきメロディもまた綺麗です。


GREEN CARNATION - The Acoustic Verses - Child's Play, Part 3 ★★★ (2006-10-30 16:51:45)

ゲストのチェリスト作曲のインスト。
アコギリフのミックスはちゃんと音響面でも考えられていて、聴いていると深遠の世界へ螺旋を描きながら落ちていくような錯覚を覚えます。メインのメロディを担うピアノのフレーズもどこまでも美しく、もう酩酊状態に陥ってしまいそう。ヤバいですね、これは…。
この曲だけタイトルの表記の仕方が他の「Child's play」と違うけど、単に表記法が違うだけなのかな?なんか収まりが悪い感じが…(笑)


GREEN CARNATION - The Acoustic Verses - The Burden Is Mine... Alone ★★ (2006-10-30 16:49:42)

このアコギリフ、哀愁を感じさせながらも催眠効果とかありそう…
それでいてメロディは分かりやすいのがいいですね。


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring ★★ (2007-02-15 22:21:00)

2005年発表の4th。
このバンドは「The Acoustic Verses」と「Light of Day, Day of darkness」の二枚を
先に聴いていて、それらからはやや陰鬱で悲哀と美しさを表現するプログレッシブな
ゴシックメタルをやっているという印象を受けていたんですが、ここでは結構普遍性の高い
ハードロックの要素がある音楽をやっていて驚きました。ライブでの盛り上がりが予想できる
パートや、時には爽やかささえ感じるメロディをフィーチャーしたパートまであるのが意外。
ヴォーカルもデス声は使ってませんが、割とダーティーな歌い方も披露してます。
前述の二枚が特別なアルバムだっただけに、こっちの路線が基本なのかもしれません。
とても元EMPERORのメンバーがリーダーとは思えない感じなまともさ。
でも後半のTchortが自らの亡くなった息子さんに捧げたと思われる「Child's Play Part1」を
過ぎた辺りから段々叙情性を増し、ラストに差し掛かる頃には鬱と悲しみと美しさが同時に
聴き手の胸を打つ構成や、プログレ的なひねくれ方も感じられるアレンジは流石ですね。
でも、個人的には「Light~」の方が好みかな。クオリティは高いと思います。
何故かメンバーの写真は子供の頃のもの。っていうかTchortが超カワイイんだけど(笑)


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring - CHILD'S PLAY - PARTⅡ ★★★ (2007-02-16 18:25:31)

アルバムのラストを飾る曲ですが、悲しいけど最後に希望が見えました的なありがちな終わり方ではなく、やはり沈痛な空気感の中幕を閉じます。息を呑むような美しさのピアノも、ただただ悲しい…。最後に「The game is...over...?」と「?」が付いてるのが救いかもしれませんが、そもそも救いといえるのかどうか…。


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring - Child's Play - PartⅠ ★★★ (2007-02-16 18:21:41)

おそらくTchortが亡くなった息子さんの為に書いた曲。
そういうバックグラウンドがあるせいか、凄く沈痛な曲調で、時にうっすらと、時に前に出たりと常に被さっているキーが去らない悲しみを表しているかのようです。アルバムの構成的にも、この曲を境にディープな方向へ舵を切ってる感じ。


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring - Dead but Dreaming ★★★ (2007-02-16 18:28:11)

イントロ~Aメロまでは結構ロック色が強くノリも良い感じですが、サビに入るとメランコリックなキーが入ってきて悲しげな雰囲気になります。このキー、ほんとタイトル通りの音色ですね…。キャッチーさと深みを両立させた名曲。


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring - The Quiet Offspring ★★ (2007-02-15 22:23:49)

結構ロックなノリのタイトルトラック。
取っ付きやすいサウンドですが、途中に変な引力が発生しそうな感じのアンサンブルを入れたりしてて聴き応えのある仕上がり。


GREEN CARNATION - The Quiet Offspring - When I Was You ★★★ (2007-02-16 18:35:12)

後半の、悲しみが胸の中で押さえきれなくなって圧倒されてしまうような悲痛な盛り上がりは、個人的にはこのアルバムのクライマックスと言っても良さそう。ヴォーカルも感極まっていつ泣いてもおかしくないほどエモーショナル。
ちなみに、作詞、作曲ともにヴォーカルが担当してますが、歌詞的には「Child's Play」とは関係無いのかな?「Child's Play」で「Torn between you and me」という詞を「Torn between me and me」と発音してた事を考えると、このタイトルはどうも無関係ではなさそうな印象を受けるのですが…。


GREY AURA - Waerachtighe Beschryvinghe Van Drie Seylagien, Ter Werelt Noyt Soo Vreemt Ghehoort ★★ (2017-07-31 11:26:15)

2014年発表の1st。
CD2枚組、変形デジパックに箔押しと装丁がかなり豪華で目を惹きます。

ポスト/アトモスフェリックブラックには都会主義だったり、空想の世界だったり色々な情景を描くバンドが多いですが、このバンドが描くのは雪山のような寒々しい光景で、ある意味ブラックメタルとしては王道なのかも。霜柱を踏み砕くようなノイジーなリフ、体温を下げるようなメロディ使いが直接的に聴き手を極寒の自然に置き去りにしたような感覚を味合わせる作品。

アトモスフェリックブラックって結構聴かせるバランスが難しくて、下手するとミニマルさやノイジーさが仇となって間延びしてしまいがちですが…このバンドは聴かせるべきフレーズも、全体的な展開もしっかりメリハリがついているように思います。ちなみにドイツ語なので何を言ってるのかは不明ですが、会話のSEが入っているので…なんだか遭難ものの映画を見ているような気持ちにもなります。

やたら豪華な装丁がハッタリに思えない好盤。COLDWORLDやAUTUMN'S DAWN辺りのバンドを好む方に。


GREY SKIES FALLEN - The Many Sides of Truth ★★ (2017-03-15 14:36:36)

2014年発表の4th。

低音で朗々と歌いつつ、ドゥーミーなリフと美しいキーボードで耽美な雰囲気を演出するゴシックドゥーム的なパートや、デス声ヴォーカルと共にデス/ブラック由来の攻撃性を見せつつ疾走するパートがあったり、様々なメタルのサブジャンル内を横断するような、マージナルな作風の音。

…ただ、多サブジャンルを横断するプログレッシブな音ではありますが、儚さや美しさなどゴシックな叙情美に重きが置かれているようで、過度な前衛性だったり情報量の多さだったりは排除されている印象で、エクストリームメタルとしてはかなり聴きやすい部類ですね。その辺りを整合性があると取るか、逆に物足りないと取るかで評価が変わってきそう。

メロデス期のOPETHやDARK TRANQUILLITY辺りの美意識のあるメロデスが好きな方にお勧めですが、これらバンドと比べるとちょっとだけ訴求力が弱い印象も…。


GREY WATERS - Below the Ever Setting Sun ★★ (2014-08-26 23:23:22)

2010年発表の5曲入りEP。

WOODS OF DESOLATION、AUSTERE、GERMなど、鬱ブラック好きには知名度の高いバンドの関連メンバーによるプロジェクトですが、こちらはブラックメタル的な要素は殆どなく、メランコリックなメロディを大フィーチャーした鬱っ気のあるロックで、ヴォーカルもマイルドなクリーン。一般的なロックよりやや強めな歪みのギターと、そこに込められた哀愁深いメロディが鬱ブラックの出自を感じさせます。

流石に鬱ブラックで名を馳せたメンバーがやっているだけあって、ムードの醸し出し方のセンスは一級品。個人的にはOPETHの「Damnation」やGREEN CARNATIONの「The Acoustic Verses」アルバムの雰囲気を、ディストーション強めなギターによるアプローチでやっているような印象。ただこの2作に比べると、雰囲気の演出力は肉薄しているものの、ヴォーカルが若干喉締め気味なのがちょっと惜しいんですよね…。Mikaelくらいクリーンに人を酔わす力があると尚良かった。

EPを一枚出したのみで活動を停止した、短命に終わったプロジェクトですが、個人的にはこの路線かなり良いと思うんですよね…。雰囲気自体は関連バンドのGERMなんか近いものを持ってますけど、こちらはよりメタル離れし、メランコリーに特化した作風という感じなので、活動を停止してしまったのが惜しいです。


GRIEF OF EMERALD ★★ (2011-08-17 23:39:21)

スウェーデン産シンフォニック・ブラック。
何気に過去に日本盤を出した経験があったりします。


GRIEF OF EMERALD - Malformed Seed ★★ (2011-08-17 23:40:48)

2000年発表の2nd。
Soundholicから日本盤も発売されています。

荘厳なキーボードを曲全体に配した、シンフォニックブラックのスタイルですが、キーは主にオルガン系のアトモスフェリックな音色でバンドサウンドを包み込むような使われ方がメインで、曲の展開はデスメタル的な重さを伴う、リフの方が担っている感じです。リフの重さが際立つ作りで、帯には「ドゥーム的ヘヴィネスとアトモスフェリックな空間の融合」と称されてますね。

ヘヴィなリフ+空間系キーという作りなので、劇的なメロディを求める向きには合わない可能性もありますが…それでも、荘厳さを保ったまま畳み掛けるパート、オカルティックなキーの下でトレモロが蠢くパート、キーボードが空間演出の領分を越えてドラマティックなメロディを弾くパートなど、聴かせ所での爆発力は素晴らしいと思う。

ただ、このバンドも「引き」を魅力的に聴かせる能力がイマイチですよね…特にヘヴィなリフの圧力メインで押しているパートは、リフ自体がダイナミックで印象に残るものを弾いてたり、ドゥーム的な重さがキーの荘厳さと交じり合い、絶望的なムードが醸し出されたりしている部分はいいんですが、そうでない部分は正直退屈と紙一重だと思う。


そうは言っても、そんなパートが続くわけではないし、聴かせ所も多いしで差し引きではプラスだと思う。しっかり音を作り込んだ、クオリティの高いサウンドは日本盤が出るのも納得できます。


GRIEF OF EMERALD - The Devils Deep ★★★ (2012-01-27 23:24:02)

2011年発表の4th。
かつては日本盤もリリースされるほど知名度があった彼らですが、前作を発表したあと暫くリリースのない期間が続き、今作は9年振りとなるフルアルバムだとか。

路線としては、邪悪なトレモロも多用するメロディック・ブラックに、荘厳なキーが絡むシンフォニックブラックで、DIMMU BORGIRほど大仰でもないし、COFほど正統派に寄ってもいない、LIMBONIC ARTほどアトモスフェリックでもない、今時ちょっと珍しいくらい衒いのない、ジャンルの王道的な音。5曲目でちょっとだけ前衛的な音色も取り入れてはいるものの、その王道振りが質の高さも相俟って聴いていて安心できる作品。

個人的にはこの作品のメロディセンスがかなり好きですね。シンフォ系ってどうしても派手なメロディになりがちですが、このバンドは荘厳さやクラシカルさはしっかり感じさせつつも、邪悪さや暗黒な感触をちゃんと残してくれているのが素晴らしい。キーボードの音色を使い過ぎていないのも、私的には好感触。聴いていて心地良いメロディと音像を、常に奏でながら展開してくれてる感じ。

また、日本盤も出た2ndを聴いたときは、「引き」パートの弱さを感じてしまいましたが、今作ではそれはすっかり解消されてるように思います。キーボードがよりメロディアスになったこと、バンドサウンドがメロディック・ブラックとしての説得力を上げたことで、1曲1曲を、そしてアルバム全体を頭から終わりまで、インテンスな雰囲気を保ったまま聴かせる力が備わったような感じですね。

最近シンフォ系って、ABIGAIL WILLIAMSの1stを筆頭に、どんどんクオリティの非常に高い作品が出てきてますが、このアルバムもその中でがっつり勝負できる質の高さがあるように思います。ブランクどころかかなりパワーアップしてますので。最近のシンフォ系ではTROLLの最新作など、邪悪さを残しつつメタルとしてのクオリティも高い路線の作品が好きな方にお勧め。


GRIFTESKYMFNING - DJAVULENS BONING ★★ (2011-08-20 20:34:35)

2009年発表の1st。

SVARTRITのメンバーが在籍という事で、作風はかなり似てますね。
特に聴かせどころとも言える、2本のギターで神秘的なメロディのトレモロリフを掻き鳴らし、それが未加工の生々しさを削がない、RAWさを保った音質のバンドサウンドに乗る音作りは一瞬どっちを聴いているのか分からなくなりそうなくらい似てる。イントロ明けからいきなりそのスタイルが炸裂する展開なので、よりSVARTRITが思い起こされるんですよね。

ただ、こちらは靄系のアトモスフェリックなキーで邪悪さを演出したり、ザラついた、プリミティブな質感のリフと共に疾走したり、展開のパターンが多くムードを重視している感じ。ヴォーカルも狂気よりも病的な感じが強いですし。また、時折狂ったように疾走しますが…これがメジャーな音質でないからこその、生々しい狂性が感じられて素晴らしいんですよね。ヤケクソでドラムしばき倒してそうな。

7曲目ではクリーントーンにトレモロを掛けてるのか、他ではあまり聴けない、ある意味雅やかとも言えそうな響きのインストが聴けたり、神秘的トレモロリフ垂れ流し状態のSVARTRITと比べると、こっちは搦め手も使いつつ、要所で神秘トレモロを爆発させる感じでしょうか。どっちにしても、トレモロ含有率はブラックでもかなり高いので、神秘主義的なムードのメロブラが好きな人なら気に入るかと。


GRIGORI ★★ (2012-09-14 00:28:55)

ニュージーランド産独りブラック。
かなり宗教色強めなカルトなサウンド。


GRIGORI - Principivm et finis ★★★ (2012-09-14 00:28:09)

2009年発表の、ブックレットの香りが素晴らしい1st。
ULVERの「Blood Inside」もこんな匂いでしたね。

英古語やラテン語のフレーズをまぶして宗教色を演出するブックレットや、イントロから邪悪に響く聖歌SEなど、どこか3rd以降のDEATHSPELL OMEGAから世界観的な影響を受けているような感じを受けますが…こちらの方がもっとプリミティブ寄りで、ストレートな音ですね。ドゥーミーに引き摺るギターや聖歌、オルガンやキーボード等を組み合わせたSE的パートを挿入し、宗教じみた厳かなムードを醸し出しつつ進行するアルバム構成が特色。

この引き摺るようなギターはブラックメタル部分にも使われており、まるで邪悪な気を集める磁場がどす黒い音塊の中にあるかのような、圧迫感すら与える音像を演出してますね。加えて宗教的な厳かさが逆説的にブラック特有の邪悪さに繋がるような、神秘的かつ畏怖を感じさせるメロディの使い方も相俟って、根深いカルトさが感じられる仕上がりに。一部では初期DISSECTIONを思わせるようなアコースティックギターのフレーズも聴け、バンドのセンスの高さを知らしめてくれます。

ただ、確かに素晴らしいアルバムなんですが、ブラックメタルパートが本当に良いだけに、SE的なパートがちょっと長過ぎる気はするんですよね…イントロは音飛びっぽいノイズまで入ってるし。正直ちょっと勿体付け過ぎな構成という気も。とは言っても、余裕で★3つ付けますけど。宗教じみたカルト性をブラックに求めている方なら聴いておいて損はないバンドかと。ちなみに発売元はABSOLUTE OF MALIGNTYやARKHA SVAのリリースで知られるSatanic Propagandaで、その繋がりで知った方にもお勧め。


GRIMFAUG - Defloration of Life's Essence ★★★ (2013-07-29 12:57:58)

2007年発表の2nd。

ある程度緩急は付けつつ、基本はブラストビートで疾走をかますリズム構成、サタニックで寒々しいメロディを練り込んだトレモロリフ、擦り込むようなギターノイズが支配する音像…どれも典型的なプリミティブブラックの特徴で、確かに巷で言われている通り、大きい特徴の無い音といえばそうなんですけど(強いて言えば、メロウなベースやギターソロが入りプリブラとしては展開豊富な方である事くらい)、「プリミティブブラックとして」という観点では、かなりクオリティの高いアルバムだと思います。

まずは何気にメロディのセンスが素晴らしいんですよね。ブラックメタルとしての邪悪さやネガティビティはしっかりと演出しつつも、どこか壮大な情景が浮かんでくるようなメロディ。これがトレモロリフに練り込まれ、ギターノイズの奥から幽かに聴こえてくると、今正に悪魔の軍勢が攻めて来ようとしているかのような臨場感を覚えるんですよね。ドスの効いた低音がなりにエフェクトを掛け、地獄の底から響くようにも聴こえるヴォーカルもその情景に凄みを与えているように思います。

プリミティブブラックとしては過不足無く良い出来のアルバムではないでしょうか。普段からプリブラを聴いている人であれば確実に何か感じるものがあると思います。プリブラも様式が出来上がってる感じなので、意外に黎明期の基本アルバムより聴きやすかったりする…のかも。その辺り、ずっとこういう音を聴いてると麻痺するので良く分かりませんが(笑)。


GRIMFIST - 10 Steps to Hell ★★ (2011-10-27 21:57:41)

2005年発表の2nd。

超ハイテンションで猛然と刻み込む、スラッシーなリフを軸に攻め立てるブラックメタル…というか、演奏だけ聴くとほぼスラッシュメタルですね。ヴォーカルはブラックメタル特有の殺気立ちまくった絶叫で、スラッシュとブラックのゴツイ所のみを合わせたような、野蛮極まりない音。もう音からイカツイ漢どもが演ってそうな感じで、音質のゴツさもあって聴いていて爽快なほど。

ただ、ゴツイだけでは終わらないのがこのバンドの面白いところ。
スラッシュをベースに展開しつつ、所々でメロブラ的な広がりのあるメロディだったり、メロデスの正統派にも通じるメロくて高揚感のあるリフだったり、様々な要素を挟んでくるのが特徴。1曲目から全体のいかつさとは裏腹の、ゴシックのような哀感を醸すクリーンパートを挿入していて、「クリーン入りメタルコアでもここまで落差ある曲作りしないよなぁ…」と、なんか感心してしまいました(笑)。

展開も結構面白いし、なによりスラッシーでゴツいリフの応酬は聴いているだけでスカッとするのでお勧め。


GRIMOIRE - À la lumière des cendres ★★★ (2014-09-21 12:17:52)

2010年発表の1st。

バンド名の「Grimoire」は魔術書を意味する単語ですが、出音としては自然崇拝系のアトモスフェリック・ブラックに近い印象ですね。若干篭もり気味なバンドサウンドに、神秘的な音色のキーボードが絡み、メロウで美しい情景を演出していく作風。この手としては、バンドサウンド部分にオールドスクールな色が強いのが、少し珍しい気もしますね。バンドサウンドの歪め方も、耳に痛くないRawさで個人的にはかなり好み。

もう一つ、特記したい事項としては、メロディが非常に美しい事ですね。バンドサウンドをヴェールで包むように、神秘性を与えていくキーボード、涙腺に来るような泣きも感じられるトレモロの相乗効果でメロウ度が半端なく高くなってます。3曲目のピアノインストの儚さなんかも絶品。調べてみると、CSEJTHEのメンバーが関与しているという事で、なんか納得。ただ音作りに癖のあったCSEJTHEよりも、こちらの方が耳に優しめな分、よりメロウさに特化した音と言えるのかも。

アトモスフェリック・ブラックに近い音ですが、抽象的ムードよりも、直接的に聴き手の琴線に触れるようなメロディを重視したタイプですね。メロディアスなブラックが好きであれば、チェックしておいて損はないバンドだと思います。


GRIS(NIFLHEIM) ★★ (2008-04-15 22:11:00)

カナダ、ケベック州出身のブラックメタルバンド。芸術的・哲学的でありながら鬱で絶望を
感じさせる音楽性が、耳聡いブラック好きからの支持を受け始めている模様。
以前はNIFLHEIMの名前で活動していて、1stやデモはそっちの名義で出してるみたいです。
名前以外は同バンドみたいなので纏めて登録しておきました。


GRIS(NIFLHEIM) - IL ETAIT UNE FORET... ★★ (2008-04-15 22:05:00)

2007年発表の2nd。

これは鬱ブラックとしてかなり凄い作品なのではないでしょうか。
…鬱ブラックで括ってしまうには美しさや芸術性が強い気もしますが。他のバンドを引き合いに出すなら…厚いギターノイズに覆われたプロダクションや悲痛なメロディセンスは近年のNARGAROTHに、嗚咽を漏らしながら悲鳴を上げて訴えかけるヴォーカルはSILENCERに、時々聴けるSEの、更に鬱な情景や不条理性を浮かび上げるような使い方はLIFELOVER辺りに通じるものがあるように思います。

でもそれらバンドの所を良い所を吸収して、新たなスタイルを提示したというよりは各バンドのキッツい所、鬱な所ばかりを集めて凝縮したような感じですね(笑)。殊にヴォーカルは、憎しみが募りすぎて声を震わせながら語ってる所とかもあって、ある意味SILENCERよりキてるかも。間違い無く名演と言えるでしょう。

また、このバンドはメンバーがピアノやヴァイオリン、チェロを担当している事もあるのかメロディのセンスがかなり素晴らしいです。ノスタルジックな情景が浮かぶという点ではALCESTにも通じるものがあるような気もしますが、ALCESTは追憶の情景によってカタルシスを得られるような癒し効果がありそうなのに対し、こっちは家族からも冷たくされた孤独な引き篭もり老人の憎しみの感情を、昔の良かった事へのノスタルジーが触発して部屋の壁に食事を塗りつけたりといった異常行動に掻き立てているかの様な絶望感とやるせなさ。

最近鬱系が注目を浴びてますが、このバンドの表現する鬱の感情ってどこか芸術性や哲学性も感じられて、それらが更に鬱を増してるような感じがするんですよね。NARGAROTHの3rd辺りがツボな方に特にお勧め。


GRIS(NIFLHEIM) - IL ETAIT UNE FORET... - IL ETAIT UNE FORET... ★★★ (2008-04-15 22:07:34)

このバンド、ギターノイズを上手く利用してるだけあって、やっぱり音の作り方が上手い。特に、途中ギターのディストーションの粒子とドラムの音が混ざり合って、波動を発しているように聴こえる箇所があるのが面白い。


GRIS(NIFLHEIM) - IL ETAIT UNE FORET... - LE GALA DES GENS HEUREUX ★★★ (2008-04-15 22:08:48)

人々の喝采のSEと、その上に乗る怒りと憎しみで表情が崩壊して半笑いの様になりながら涙目で何かを訴えてくるようなヴォーカルの対比が見事。こういうセンスがどこか哲学的な雰囲気を醸し出してるんですよね…。


GRIS(NIFLHEIM) - IL ETAIT UNE FORET... - VEUX-TU DANSER? ★★★ (2008-04-15 22:10:46)

この曲調だと、最初のSEは老人が異常をきたして幼児退行を起こしたように思えてしまいます(笑)。ヴォーカルも老人が無理矢理搾り出しているかのような痛々しさがあって素晴らしい。天国に召される最後の時まで、恨み言と助けを求める声の入り混じった意味不明の言葉を吐き出しながらもがいてる感じ。…といっても、この曲のタイトルは日本語に訳すと「踊りませんか?(Do you want to dance?)」なので、そのイメージは私の勝手な妄想ですが(笑)


GRISATRE - L’idée de Dieu ★★ (2014-05-31 09:57:02)

2010年発表の1st。

目の細かいノイズ質を含む、アンビエンスを重視したギターリフが、鬱々としたスロー中心のテンポに乗せて展開され、じめじめした質感と共に視界を塗り潰すような鬱ブラック。あくまで基本はバンドの音で聴かせるスタイルながら、鬱く美しいインストパートを挟み込む構成、空間的なノイズの使い方など、アンビエント志向がやや強めな音。リバーブ掛かったヴォーカルも、闇の底から響いてくるようですね。

そしてそのドス黒く、湿り気のある音の空間が演出された中での、メロディの聴かせ方もかなり上手いです。アルペジオが破滅を緩やかに告げる鐘の音にも聴こえますし、トレモロは嘆き悲しみ暮れる精神の代弁をしているかのよう…。この辺りアンビエント志向な感性がプラスに(感情的にはどマイナスですけど・笑)働いていて、似た作風の多いジャンル内でも無個性な音にはなっていないのではないでしょうか。

鬱ブラックの中では情景的で、内省的な雰囲気の強い繊細な作風と言える音だと思います。狂気よりも悲しみや陰りといったキーワードが浮かんでくるような作品。


GROMTH ★★ (2012-02-25 11:11:08)

ノルウェー産シンフォニック・ブラック。
DIMMU BORGIRの創設メンバーでもある、Tjodalv氏も参加。


GROMTH - THE IMMORTAL ★★★ (2012-02-25 11:12:55)

2011年発表の1st。

DIMMU BORGIR人脈のバンドで、しかもボーナスディスクとして本編のオーケストラアレンジを付けるほどシンフォ要素に自信を持っている…という時点で、かなり期待はしていたんですが…これ、予想してたよりも凄まじいです。シンフォニック・ブラックが好きなら必聴のレベル。

近年のDIMMU BORGIRに対抗できるくらい、シンフォパートの派手さや緻密さ、バンドサウンドとの絡みの濃厚さに富んだ作品。特にまずバンドサウンドありきで、シンフォ要素を後乗せした感じではなく、シンフォパートが最初にあって、それに合わせてバンドサウンドを付けて行ったのでは…と思わせるほど、シンフォニックな部分の充実振りには目を瞠るものがあります。

大仰なメロディはシンフォパートに振られる事が多く、メロブラ的なトレモロリフやギターソロの頻度は少なめですが、ヘヴィで迫力のあるプロダクションが刻みを多用する重厚な音作りとマッチしており、バンドサウンドの方も疎かになっていないのがまた素晴らしい。このヘヴィなバンドサウンドと大仰なシンフォの融合は、生でオーケストラの演奏を聴いた際、震える空気に飲み込まれそうになるあの感覚と聴き心地が似ているように思います。

オーケストラがホラー的なメロディを奏でれば、バンドの方もおどろおどろしいリズムを演出してみせたり、大仰なメロディのアクセントの部分にヘヴィなリフが同期したりなど、シンフォ要素とバンドの音がしっかり不可分一体になっている、曲作りの丁寧さも重厚感に繋がってますね。音に圧倒されてしまって目が向きづらいですが、何気にヴォーカルの引きちぎるような絶叫もかなり凶悪でかっこいいです。

思った以上にクオリティが高く、素晴らしい作品。
DIMMU BORGIRやANOREXIA NERVOSA辺りと比較してもなんら劣る事のない、超ハイクオリティなシンフォニックブラックです。


GRONDHAAT - Humanity : the Flesh for the Satan's Pigs ★★★ (2014-06-15 13:47:14)

2011年発表の1st。

音の方は、どこか湿り気を感じさせる、ノイジーさの強い音色のトレモロを伴い、シンプルに疾走していく、「如何にも」なプリミティブ・ブラックですが…レーベル(Ketzer)がVINTERRIKETやCIRITH GORGORなどある程度有名なバンドの作品をリリースしてる所だけあって、この手としてはかなりツボを突いた作品なのではないでしょうか。

この作品、トレモロリフを多用しているだけあって、よく聴くとメロディアスな側面もあったりするんですが、パッと聴いての印象が全然メロウじゃないのが面白いですよね。それくらいメロディが陰湿。厳かに呪いの言葉を吐き続けるように呻くヴォーカル、地下臭く湿ったプロダクションもあり、その陰湿さは更に強調されてます。中盤にBEHERITの「The Gate of Nanna」のカヴァーを挿入してますが、原曲からして密教的なムードの強い楽曲だっただけに、全く違和感なくハマッていますね。

聴いているだけで肩が重くなってきそうな、根暗なムードに特化したようなダウナー系プリミティブ・ブラック。これを流しているだけで部屋がカビ臭くなってきそうです(笑)。


GRUNEWALD - GRUNEWALD ★★ (2009-03-17 22:41:00)

2008年発表の1st。

ドローン/アンビエントもネオフォークも、地下のメタルシーンでは最近注目されているジャンルですが、このアルバムの音楽性はそれらを上手く組み合わせたような感じですね。低音のドローンに、主にアコギによる浮遊感のあるメロディを合わせたスタイルで、時折ドイツ語による普通声も入れてきます。

この手ではヘヴィさ、ダークさ、ノイジーさなどは薄い方で、派手なサウンドではないですが、アコギメロとドローン、穏やかなドラムが混ざり合い、まどろんでいるような感覚を与える音はなかなかに心地良いです。特に、人の声にも聞こえるドローンで魔素濃度を上げ、暖かさとも妖しさともつかない幻惑的なメロディで聴き手を瞑想状態に誘っていくような3曲目がお気に入り。ただ、SUNN O)))やNADJAと比べると、明らかに地味目な音なので、この手が好きでないと少し退屈に感じるかもしれません。

ちなみに、このアルバムを買った最大の理由は、メタル雑誌で高い評価を受けていたからでも、そのレビューでULVERの最新作が引き合いに出されていたからでも、レーベル(Eichenwald Industries)がブラックも取り扱っているところで似た感性が期待できそうだったからでもなく、バンド名の「グリューネヴァルト」という響きがかっこよかったから(笑)。ジャケ買いならぬ、バンド名買いです(笑)。まあ、日本語にすると「緑の木(Greenwood)」なんですけどね。


GRUNT ★★ (2008-12-20 22:22:00)

DEATHSPELL OMEGAやCLANDESTINE BLAZE等で名を馳せる、Mikko Aspaのノイズ・プロジェクト。
この名義の作品をリリースしてるFreak Animalも彼が設立したレーベルだとか。
ポルノも自前で撮影してるらしいし、ほんとアングラの寵児みたいな人ですね…。
何十年か後、カルトな物を好む人たちの間で伝説になってそうな気がします。


GRUNT - Seer of Decay ★★ (2008-12-20 22:19:00)

何枚目かは分かりませんが、2006年発表の二枚組アルバム。
一枚目は小品を11曲で約50分、二枚目は4曲入りで一時間を超える大作主義な作風という内容。
DEATHSPELL OMEGAのヴォーカルも努め、今やブラック好きでその名を知らぬ者は
いないのでは…という程の大物である、社長ことMikko Aspaですが、彼はノイズ界隈でも
かなりの有名人で、既にこのGRUNTとNICOLE 12名義では来日も果たしているとか。
内容はカルトなメタル好きにも受けそうな轟音インダストリアル/ノイズで、耳の周りに
小さい戦闘機が絨毯爆撃してるような音、大量の金属の塊が転がり落ちながら粉々になって
ノイズが生まれるような音、三半規管がイカれそうな奇妙な波形のノイズ音など、
音作りの上手さには人気・知名度の高さを裏付けるだけの物があると思います。
…が、社長の魅力といえばやはりそのカルト性でしょう。特にディスク2の後半、ただでさえ
ガラスや金属引っ掻く系の音も含んだ爆音なのに、こんなに音上げなくても…と思うくらい
音がデカイです(笑)。これに比べたらBEHERITのベスト盤もSTALAGGHのノイズ地獄も
可愛いものだと思いますもん。1曲目は割と普通な音量なだけに、漫然と聴きつづけてたら
えらい目に遭います。でもこれ、どんなに音量を下げたとしても聴き手を思考停止させる
くらいの迫力は残ってしまうんですが…。さすが社長。
アートワークのこだわり振りといい、必要以上の爆音といい、社長のカルト志向が嫌というほど
伝わってくる作品。でもカルトな作品を複数のジャンルに跨って出して、レーベルも設立して、
ハードコア・ポルノも撮って…しかもそのジャンル内で高い評価まで受けてるし、社長って
数いるミュージシャンの中でも最もその活動を楽しんでる人の一人なんじゃないかと思います(笑)。


GRUNT - Seer of Decay - Electrified Steel ★★★ (2008-12-20 22:22:01)

これは…実際に戦地に赴いて、空襲の様子をフィールドレコーディングしてきた…と噂が立ってもおかしくないような豪音ですね。社長ならやりかねないし(笑)。ノイズが一部歯医者のドリルみたいですが…案外歯医者嫌いの小学生が治療受けてる時の心象風景を無駄にリアルかつやたらシリアスに表現したらこんな感じかも?「痛い痛い痛い痛い手挙げてるのに!!!」みたいな(笑)。


GRUNT - Seer of Decay - Recycled Ironworks ★★★ (2008-12-20 22:21:10)

これ普通の音量で聴いたら耳潰れますって(笑)
冷静に聴くと始まりと終わりでそこまで音圧が違うわけではないんですが、段々音のボルテージが上がってる感じもするし。私は流石に音量下げて聴いてますけど、こんなんじゃ社長に「お前が俺の音楽に触れるのは百年早いぜ」とか言われそうです(笑)。


GUARDIAN HACKER - BURN ME AWAY - BURN ME AWAY ★★ (2009-04-26 22:28:33)

かなりヘヴィな音作り、ハスキーで感情の篭もったソウルフルな歌声(ちょっとTORN似かも?)の、独特な英語の発音で勢いのあるヴォーカル、入る頻度は少ないものの、何気にかっこいい擦れまくった男声デスヴォイスなど聴き所も多いし、完成度の高い曲。
でも、これからのバンドのシングル曲にしては、「俺達の曲を知らしめてやるぜ」みたいなパワーや愛想の良さに欠けるきらいも。HEAD PHONES PRESIDENTやMYPOLLUX辺りに負けないような、一聴で彼らと分かる強烈な個性を身につけたらもっと良くなりそうなんですが。


G∀LMET - Love Met ★★ (2009-12-13 17:45:00)

2009年発表の3曲入りミニ。
キャッチコピーの「カオティック★萌えデスメタル!?」からは、何となく
へびーめたるにーそっくすとか、あの辺りのアニメSE入りグラインドを想像してたんですが…
実体はメロディックで、正統派的な魅力を持つリフに、ARCH ENEMYのAngelaを思わせる
女性らしいサベージさを湛えたデスヴォイスを乗せた、メロデスに近いスタイルで音を聴く
限り色物っぽさ、萌えっぽさは皆無ですね(笑)。2曲目の普通声も別にアニメ声ではなく、
デスの音に合う妖しい歌唱だし、メンバーの格好も多少フリル付けてるくらいで、むしろ
ゴスっぽいし。真面目なメロデスサウンドで、真っ向からメタルの魅力で勝負しているような音。
ただ、ヴォーカルのしなやかで狡猾な絶叫など、かっこいい部分もあるし、曲もごく
キャッチーで悪くないんですが、音質が汚めなのが惜しいですね…。
アングラメタルでオーバープロデュースなのもどうかと思いますが、これは遠くで
演奏しているような迫力の無さがあって、プリブラのような意図的な雰囲気の演出としての
音の悪さではないのが残念。そこを改善してくれたら、もっと良くなるのではないかと思います。


G∀LMET - Love Met - Cypress ★★ (2009-12-13 17:47:10)

地縛霊的な、おどろおどろしい普通声といい、中近東っぽいリードフレーズといい、個性的でかつその個性が個人的なツボに嵌まった曲。なんですけど、ヴォーカルにエフェクト掛かってると思ったら、なんか全体的に音質悪いですね…今にも消え入りそうな音の部分もあるし。音が良ければ星3つなんですが。


G∀LMET - Love Met - Unchained Love ★★ (2009-12-13 17:47:53)

ゲームのボス戦のような、ヒロイックでどキャッチーなメロディが聴ける曲。やっぱりこのバンド、「カオティック」というより「メロディック」だと思います。かなり既聴感あるメロディなんですが、そこがまた良いです。


HAAR - The Wayward Ceremony ★★★ (2016-04-19 00:23:33)

2015年発表の1st。

個人の勝手な印象ですが、ATMFって相当のマニア以外誰も付いて来れないほどマニアックという訳ではないけど独特なニッチさと、質の高さを両立させたバンドを多く抱えているレーベルというイメージがあるんですが…この作品もそんな中の一枚。タイプとしては、プログレデス的なテクニカルなアンサンブルや、知性に統御された展開で聴かせるプログレッシブなブラックメタルで、楽曲それ自体はかなり知的ですが…。

どす黒く濃い靄に包まれるような、アトモスフェリックブラック的な空気感を醸し出しつつ、デス的なヘヴィさも感じるプロダクション、こちらを害する意図満々の神経をえぐるようなメロディ使い、そして知性的な展開を見せるバンドとしてはちょっと珍しいくらいのヴォーカルの獣じみた咆哮…と、暗黒でカルトなエクストリームメタルであることもかなり追求されている印象。知性と血腥さが同居しているような音だと思います。

物凄く振り切っている作品…という訳ではないのですが、こういうバランスの作風って結構珍しいと思います。ATMF産だけあってクオリティはかなり高いですし、独特だけど芯が通ってるバンドが好きであればお勧め。


HAAT - Recidivus in Obscurum ★★ (2016-06-27 23:30:08)

2002年発表の1st。

Hailリストの中にILDJARNやAKITSAがあったり、ボーナスにVONのカヴァーを入れていることからも想像の付く通り、一般的な意味での聴き心地の良さに反逆するようなRawブラック。特に打ち込みと思しきドラムの音色が印象的で…ILDJARNがよく演っていた、スチスチと抜けの良い金属的な音にそっくりで、そこか非常に特徴的なんですよね。

リフも薄っぺらなノイジーさではなく、厚みのあるエグめの音で、前述のスチスチいうドラムと相俟ってILDJARNにも通じるプリブラ特有の、この手が好きな人のみが感じられる心地良さが演出されてますね。また、曲間にダークアンビエントを挟みこむのも印象的ですが…雰囲気の演出は良いものの、音割れしてたりするのはちょっと雑に感じてしまうかも。

プリブラって3部作期のDARKTHRONEフォロワーやMUTIILATION辺りのフォロワーが多めで、ILDJARNをリスペクトしてるバンドって(比率としては)少なめな印象なんですが、このバンドはそんな感じですね。実際にトリビュートにも参加しているようですし。しかし何気にオランダってヤバいバンドが多いような…。


HAEMOTH - In Nomine Odium ★★★ (2012-04-14 20:30:30)

2011年発表の3rd。
タイトルは「憎悪の名の下に」の意。多分。

DEATHSPELL OMEGAの行き過ぎた神秘主義とか、MUTIILATIONの病気じみた世界観だとかフランス産のブラックって何処かネジが一つ外れてるようなバンドが多い印象なんですが、このバンドも大概ですね(笑)。音圧の高い殺気立ったノイジーなギターリフが、全てを飲み込んだまま暴走する、非常にブルータルなブラックメタル。

ドラムの音もリフと一体化して攻撃性を更に上げるようなプロダクションのため、ファスト系のようなスピード感は然程感じないんですが、代わりに聴くだけで頭が真っ白になるような、もっと直接的な暴力性がありますね。そしてホワイトアウトした視界に、ブラック特有の宗教的で寒々しいメロディが流し込まれると、なにか神々しさすら覚えますね…。

語尾の先まで全力で憎悪を込めて絶叫するヴォーカルも素晴らしく、脳内メーカーをやったら中身が全部「殺殺殺殺殺殺殺殺殺」で埋め尽くされてしまいそうな、猛悪で残虐極まりない音を出している作品。ANTAEUSやAOSOTH辺りの、殺伐感の強い暴虐な路線のバンドが好きな方には大推薦。


HAGALAZ' RUNEDANCE ★★ (2007-11-14 21:59:00)

ノルウェーのペイガン/フォーク。
EMPERORのSamothの元奥さんのAndrea Nebel Haugenのプロジェクト。
なので作品によってはTrymが参加してたりGarmのリミックスがあったりします。


HAGALAZ' RUNEDANCE - Frigga's Web ★★ (2007-11-14 21:56:00)

2002年発表の3rd。

このプロジェクトは北欧のペイガニズムの神秘性、中でも冥界の女王ヘルやオーディンの妻フリッガなど、神話における女性の占める部分に特に焦点を当てたものとの事。特にこのアルバムでは生と死や死後の世界などがテーマで、その他にも児童虐待や愛犬の死など、社会的だったりパーソナルだったり、ペイガニズム以外の題材も扱っている模様。

サウンドの方は、トライバルなリズムにバグパイプなどの民族楽器が乗る、かなり本格的なペイガン/フォーク。Andreaのヴォーカルも中音域中心で、異境の民族の祈祷師が歌っているみたいな雰囲気。バグパイプが持続音的に鳴る箇所などもあり、シャーマニックな酩酊感の強い音ですが、割と歌の重要度が高い音なので案外聴きやすいかと思います。

手法は違っても、音を通じて見えてくる景色はGRAVELAND等に通じる物があるかも。個人的にはGRAVELANDやENSLAVEDなどのペイガン/ヴァイキングメタルバンドのファン以外にも、ZABADAKや新居昭乃辺りのファンにも敢えて勧めてみたい作品。ZABADAK→HAGAZ'RUNEDANCE→GRAVELAND→DARKTHRONE、みたいな異端の経緯でHR/HMにハマる人がいても面白いんじゃないかと思います(笑)。


HAGALAZ' RUNEDANCE - Frigga's Web - Albion Autumn ★★★ (2007-11-14 21:57:47)

アルビオンは確かイギリスの事だったかな?
この曲は歌メロが凄く良いです。繰り返しのリズムが酩酊感を醸し出してて浸れます。


HAGALAZ' RUNEDANCE - Frigga's Web - Little Light ★★ (2007-11-14 21:58:29)

児童虐待について歌った曲らしいです。曲のテーマを読んだからかもしれませんが、虐待で亡くなった子供たちに対する「御魂送り」的な雰囲気があるように感じました。Rob Darkenがペイガンの戦士なら、この人はペイガンの祈祷師かも。


HAGL - Irminsul ★★★ (2014-09-20 21:24:43)

2011年発表の2nd。

バンドロゴやアートワーク等から、なにかマイナー臭というか、垢抜けなさみたいなものを感じていたんですが…音を聴いたら土下座して謝りたくなりました(笑)。これはメロディックさとブルータリティ、そしてアングライズムがバランスよく共存した、メロブラやペイガンブラックとしてかなりの良盤なのではないでしょうか。

ブラックメタルらしい寒々しいトレモロを基調としつつ、スラッシュメタル由来のキレの良さや、正統派メタル由来のドラマティックさも感じられるリフを聴かせる作風は、初期~中期DISSECTIONに近いでしょうか。ただしこちらは、ペイガニズムをテーマにしているからか、メロディに民族的な哀愁が感じられるのも特徴ですね。お祭り系の笛などの導入は無く、あくまで民族色はギターメロに練りこんで聴かせる感じ。

そしてDISSECTIONと異なるのは、こちらはデスメタル的なダイレクトなブルータリティもまた強い事。バスドラをバキバキ言わせつつカチ込むドラミングと、耳を圧迫するようなノイジーさで迫るギターリフが合わさると、音の壁に押し潰されるような迫力。初めて聴いた時は圧倒されてしまい、メロディが実に甘美である事に一瞬気が付かなかったほど。音に慣れ、冷静に聴くと楽曲がかなりドラマティックに作られてることに驚きます。

これはメロディック・ブラックやペイガンブラックが好きな人になら文句無くお勧めできます。これだけダイレクトに暴虐性を発揮しながら、それがペイガニズムから来るメロディックさをスポイルしていないセンスが素晴らしいです。演奏時間はやや短めながら、かなり満足度の高い一枚。


HAKUJA - Legacy ★★★ (2009-03-01 07:26:00)

FUNERAL ELEGYのメンバーによる独りブラックの1st。

メロウ/ディプレッシブなリフ捌きを前面に押し出した作風は、MUTIILATIONなどのLes Legion Noire関連のバンドが良く引き合いに出されているようですが…個人的にはこのバンドのメロディからは、LLN的な毒々しさと耽美さの秘められたメロウさというよりは、新世代ブラック(KRALLICE、LANTLOS辺り)にも通じる、聴いていて浄化されるようなメロウさを強く感じられるんですよね。ヴォーカルはモロにBURZUMやSILENCER系の真に迫った悲鳴で、このエモーショナルなメロディが終始鳴り響く作風と良く合っていると思います。

曲自体はプリブラ的ミニマルな2ビート疾走を軸に据えたスタイルで、プリミティブブラックと定義できそうなんですが、音質はかなり良いですね。特にリフの良い感じにラフでいて、尚且つメロディの魅力を損なわない歪め方は、プリブラではCRAFTに匹敵するくらいレベル高いと思う。ベースが非常に良く聴こえ、歌心のあるメロディを弾いているのも大きな特徴で、これがメロディアスなリフと相まってメロウさを更に際立ててます。

これは日本産ブラックの名盤が新たに誕生したのではないでしょうか…なんだかんだ言って、やっぱり日本のブラックは質が高いと思う。「メロウなプリブラ」「日本産ブラック」のカテゴリに興味があるなら間違いなく楽しめると思います。


HAKUJA - Legacy - Kanata ★★★ (2009-03-01 07:27:49)

曲自体はメロウな疾走で、このアルバムの典型と言える曲調ですが…このタイトル、「外国人から見た日本の文化」を意識してるのかもしれませんね。「刀」とか「the Blade」とかにしないあたりそう思います。
本当だ、「Kanata」ですね…変な分析までしてしまって恥ずかしい(汗)修正依頼を出しておきました。


HAMMEMIT - Spires over the Burial Womb ★★ (2014-09-12 20:06:41)

2008年発表の、改名後は初となるフルアルバム。
EMIT時代も大量のデモやスプリット、音源集などをリリースしていたものの、フルアルバムは一枚のみだったようなので、実質的にはこれが2枚目という扱いになるのでしょうか。

改名前はブラックメタル/ダークアンビエントのバンドとして認知されていたらしいですが、この作品はメタル要素はほぼ皆無で、完全にダークアンビエント方向に舵を切ってますね。一応ディストーションギターの音色を加工したようなノイズも一部で使用してはいますが、基本はダークな音色のキーボードと、サンプリングなどを丁寧に組み合わせた、暗黒で頽廃的なアンビエント。

このアルバム、出音は完全にダークアンビエントながら、端々にブラックメタルへの敬意のようなものが感じられるんですよね。例えば1曲目のサンプリングの裏で密かに鳴っている、火花が散るようなノイズ、微妙にULVERの「Nattens Madrigal」っぽいんですよね。あのアルバムの、リフが入る前の微弱なノイズに似てる。4曲目の奥行きのある薄暗さは、1stや2ndまでのBURZUMがもう少し良い機材使ってたら、ブラックメタル曲の合間に入れそうな感じですし。

という訳で、確実にブラックメタル好きの感性には響くものがあるであろう作品。レーベルもブラックメタルとは非常に縁の深い、Total Holocaustですし。衝動性や攻撃性ではない「静の狂気」に触れてみたい方は是非。


HANDFUL OF HATE - Vicecrown ★★★ (2015-12-02 12:36:20)

2003年発表の3rd。

これ、無茶苦茶かっこいいです。
スラッシーなノリのよさとファストブラックの攻撃性を飲み込み、暴虐の限りを尽くすような作風で、CADAVER INC.辺りの炸裂感のあるブルータリティが好きな人にはドツボに嵌まりそうな音。意外にもリフはメロディアス…というか、メロディのぶっ込み方が上手いので暴虐一辺倒にならないドラマティックさも持ち合わせてますね。

…何が素晴らしいかというと、全体を通じての熱量の高さ。粗くも抜けの良い音色で、速いだけでなく針の筵を転げ回るかのごときオカズを入れつつぶっ飛ばすドラミング、歪み切り声量もある狂犬としかいいようのないヴォーカル、分かりやすい邪悪さを湛えたリフといい、とにかく聴いていて熱くなれる作品なんですよね。その熱量はスローな曲でも発揮されており、焼け付くような緊張感が感じられます。

聴いていると、嫌が応にもテンションが上がってしまう一枚。暴虐な音で頭と鼓膜をぶち抜かれたい方には大推薦です。ほんとかっこいい。


HAPPY DAYS - Happiness Stops Here... ★★★ (2014-12-13 15:06:43)

2009年発表の3rd。
元はSelf Mutilation Servicesからのリリースでしたが、2013年に日本のMaa Productionsから再発されています。

これ、ホントに鬱ブラックを分かってる人が作った鬱ブラックって感じで、素晴らしいんですよね。鬱系って、例えば絶叫が裏返り過ぎて逆に滑稽だったり、メロディアス過ぎて絶望感が足りない、逆にメロディが薄くて面白くない、メタリック過ぎて抽象的ムードが薄い、アンビエントに寄りすぎててメタルである必要性を感じないetc…とか、本当に色々な陥穽のあるジャンルなんですよね。そのどれにも嵌まることなく、鬱ブラックの王道を貫いている辺り並々ならぬセンスの持ち主だと思う。

メロウさを過度に強調するのではなく、感情のさざなみを描写するかのようなトレモロ、鬱々としたミッドテンポを基調としつつ、単調になり過ぎない曲展開、感情表現が過度でなく、ブラック本来の凶悪さも感じさせるヴォーカル、チェコのTRIST辺りにも通じる、荒廃した精神状態を表すような、乾いた暗黒性を感じさせるプロダクション…と全ての要素が噛み合って、鬱ブラックとしての一つの世界観を築き上げているような感じ。鬱ブラック中の鬱ブラックと言っても過言ではないのではないでしょうか。

特に目新しい事をやっているわけではないのですが、このサブジャンルとしてはほぼパーフェクトに近い音なのではないでしょうか。褒めるところはあっても貶すところが取りあえず見つからないです。日本盤もリリースされたことですし、このジャンルが好きであれば買ってまず損はしないでしょう。


HARAKIRI FOR THE SKY - Harakiri for the Sky ★★★ (2015-05-23 20:58:43)

2012年発表の1st。

日本人なら、どうしても気になってしまうバンド名ですよね(笑)。私もそれに釣られて購入しましたが、これがかなりの「当り」盤で驚きました。基本的にはエモーショナルなメロディを、ブラックメタルらしいトレモロを多用しつつ、ディストーションの強い音像で聴かせる、シューゲイザー/ポストハードコア要素の強いブラック…という感じですが、音に迫力があり、それが楽曲と実にマッチしているのが素晴らしいんですよね。

ダイナミックなドラムのミックス、「音の壁」を作るようなディストーション、その中でもはっきり聴こえる繊細なトレモロ、そしてハードコアのヤケクソさが感じられるような、何かを必死に訴えかけるような、歪み切った怒号ヴォーカル…それらが一体となって迫り来る音像は、聴き手の心をも揺さぶること必至です。そして楽曲そのものも、この手としてもかなり良いと思う。ただ悲痛な迫力で押すだけじゃなく、泣かせにかかるようなミディアムからツーバス連打に繋げ、ドラマ性たっぷりに展開していくなど、構成もホント上手い。

独特なバンド名に釣られた人も多ければ、逆に敬遠してしまっている人も多いかもしれません。しかしこれ、かなり素晴らしいので敬遠するには余りにももったいないです。そういえば2ndのタイトルが「Aokigahara」ですが、メンバーは日本フリークなのでしょうか…?


HARDINGROCK ★★ (2007-08-12 18:01:00)

PaganHordeさんの情報で知りました。情報提供ほんと感謝です!
まだアルバム出てないみたいですが、出たら絶対需要あると思うので追加しときますね。
EMPERORのIhsahnと彼の妻のIhriel、フィドル奏者のKnutからなるバンド。
試聴した限りではフォークメロの上にあのデス声が乗るスタイルで凄く良さそう。
ああ、早くアルバム出さないかな…。


HARDINGROCK - Grimen ★★★ (2007-08-29 10:39:00)

2007年発表の1stアルバム。
まさかIhsahnがこういう音楽性まで出来るとは…ほんと彼の多才さには恐れ入ります。

内容は、ノルウェーのトラッドを主にメタルを中心とした現代の音で解釈したと言えるもので、コンセプト的にはSatyr(SATYRICON)やFenriz(DARKTHRONE)等がやっていたSTORMに近いものがあるのかもしれませんね。ただ、ギターの荒さなどプリミティブ的な感覚すら想起するSTORMに比べると、こっちはフィドル奏者が正式メンバー(リーダー?)だったり、どこか後期PECCATUMにも通じる上品さが感じられたり、よりブラック色は希薄。

この作品の一番の特徴は、やはりGrimen氏のフィドルでしょうか。
ノルウェーの小さな村の収穫を祝う祭りで、村娘が投げたブーケを受け取った人は幸せになれる…みたいなストーリーが勝手に浮かんでくるような民族クサメロで、曲を縦横無尽に彩ってます。付属の解説を読むと悪魔が出てきたり結構ダークな物語が根底にあるらしく、フィドルのメロも時折ダークさや神秘性を垣間見せますが、基本的には叙情メロで大きなウリになっていると思います。音色自体も民族楽器ならではの繊細さや素朴さがあって好み。

また、時々母国語による彼の語りが入るのも大きな特徴と言えるかもしれません。ノルウェー語なので何を言っているのか全く分かりませんが(笑)、なんか村の長老から民話を聞かされているようなフィーリングがあって良いと思います。英訳が欲しい…。

ただ、前述したようにブラック色はかなり薄く、Ihsahnのデス声を除くとブラック的な要素は殆ど無い…というか、メタルをベースにトラッド要素を取り入れていると言うよりも、メタルとトラッドを同じくらいの割合で融合させているという感じなので、Ihsahnのネームバリューからブラック的なものを期待すると肩透かしかもしれません。

とは言え、今までの彼の関わったバンド同様、相変わらず高品質なものを提供してくれているので、彼の創造性に惹かれている方や民族系好きな人ならば購入の価値大有りです。何気にクサメタラーにも大推薦。

しかし、やっぱりIhsahnって天才の二文字が相応しいミュージシャンですね…寒々しいコールドブラックからプログレッシブでテクニカルなブラック、ゴシックメタルにアヴァンギャルドなダークロックからトラッドまでこなし、全てが良い出来とは…。彼はノルウェーの至宝ですね。


HARDINGROCK - Grimen - Den Bergtekne ★★★ (2007-08-29 10:48:13)

山の主に連れ去られた村娘の悲劇を、ダークなメタルサウンドとIhrielの可憐なヴォーカルによって表現した曲。フィドルの素朴な音色が、情景に民話的な要素を添えていて良い感じ。Ihrielのヴォーカルは村娘というには神秘的すぎる気もしますが、やっぱり良い声。


HARDINGROCK - Grimen - Faens Marsj ★★★ (2007-08-29 10:49:24)

メロだけ聴いてると、本当に村のお祭りみたいな雰囲気なんですが…そこにIhsahnの悪魔貴族的デスヴォイスが炸裂!!最後は悪魔笑いまでこなしてます。村祭りに悪魔が乱入、しかし楽しげな雰囲気に呑まれて一緒に踊ってる感じでしょうか(笑)。
解説を読むと、天界を追放されたルシファーが永遠の、神に見捨てられた地を往く際に、この曲を標にしていた…みたいなことが書かれてますが…あれ?(笑)しかし、これだけクサメロを乗っけながら、リフに妥協をしない作風はさすがIhsahnですね。


HARDINGROCK - Grimen - Fanitullen ★★★ (2007-08-29 10:42:24)

Ihsahnの気品溢れる普通声と、フィドルとメタルサウンドの濃厚かつ実にクサい絡み!…これだけでも、名曲にならない訳が無いですね。ラストのギターとフィドルが民族メロを奏でながらの疾走には痺れました。