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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2801-2900
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2801-2900
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HARDINGROCK - Grimen - Fossegrimen ★★★ (2007-08-29 10:43:38)

ツーバス連打も含む激しいメタルサウンドの上で、フィドルとギターがクサメロ合戦を繰り広げてます(笑)。女性ヴォーカルとデス声のコントラスト、村の長老を思わせる語りも雰囲気出てますね。
解説によるとノルウェーの妖怪譚(?)がモチーフで、Fossegrimenはフィドルを操る超自然的存在で、滝の下に住み、フィドルを教える代わりに犠牲を求める…と言われているとか。こういうテーマを選ぶ事からも、作品でのフィドルの重要性が良く分かります。


HARVEST - Forgotten Vampyres of the Melancholic Night (2014-09-24 22:18:02)

2013年発表の1st。

店ではオーストラリア産の正体不明のブラックということでしたが、実はDROWNING THE LIGHTのAzgorh氏による独りプロジェクトらしいですね。自身が運営するレーベル、Dark Adversaryからの発売。ちなみにプロジェクトは既に活動を停止しているらしく、オリジナルフルアルバムとしてはこれが唯一の作品という事です。

路線としては、正にRawでポンコツを絵に描いたような、アングラ感丸出しのブラックメタル。紙ヤスリを思わせる薄っぺらくノイジーなギターリフと、生々しいミックスが逆に心地良いドラムが絡む音質、無理矢理エッジ感を出したような喉を潰す系のがなりが如何にもカルトバンドといった風情を醸し出してます。時折キーボードやアルペジオにサイケな要素が見えたり、教会音楽的な荘厳なオルガンが脈絡なく登場したりする辺り、衝動のままに曲を作ってる感じがして良いです。

故意にB級っぽさを出したような作風ですが、楽曲全体から伝わるオールドスクールな熱気やアンダーグラウンド音楽特有の陰湿なムード、ブラックメタルらしい荒涼としたトレモロなど、ポイントは押えられており「分かってる」ミュージシャンが作った音という感じ。マニア向けですが、この手のマニアなら共感する音ではないでしょうか。


HARZA ★★ (2011-11-20 23:17:30)

ロシアのブラックメタルバンド。
「War」を聴いて、かなり良いバンドだと思ったのに去年解散してたようで残念。


HARZA - WAR ★★★ (2011-11-20 23:18:21)

09年発表の2nd。

戦車ジャケやアルバムタイトルからはいかにもウォーブラック、もしくはファストブラックです的な風情を醸し出していますが…確かに、ダミ声でがなるヴォーカル、戦場に飛び交う火の粉を思わせるリフの音色、カッチリして軍隊的なイメージも想起させるリズム等、確かに戦争を直接的に匂わせる音ではあるんですが…実はそれ以上に、メロウなメロディが強調された作風で、パートによってはヴァイオリンまで入ってきます。

しかもこのバンドの場合、ただメロディがメロウというだけでなく、時折凄まじく即効性の高いメロディを仕込んでくるのがたまらないんですよね…。ブックレットを読むと、単純に戦争を題材としているだけでなく、意に沿わず殺し合いをさせられたり、自分の家族や国を守るために戦った兵士達に捧げるというコンセプトがあるらしく、この悲哀に満ちたメロディのセンスも頷けますね。

何気にメタリックなリフも多いですし、音もこの手のバンドとしてはかなり整っている方なので、メロデス好きにもお勧め。非常に良質なメロディック・ブラックを演ってるバンドだと思います。


HAT ★★ (2011-08-16 20:16:31)

ノルウェー産ブラックメタルバンド。
バンド名は「帽子」ではなくて、ノルウェー語で「憎しみ(hate)」の意。


HAT - Vortex of Death ★★★ (2011-08-16 20:17:48)

2011年発表の2nd。

私は、これ聴いてなんだがホッとした気分になってしまいました…
土着的なトレモロを交えたリフ捌き、狂気的な絶叫にややRAWな音質…曲を構成する要素のほとんどが、典型的なノルウェーのブラックメタルという感じで、聴いてて「ああ、こういうのが好きでブラック聴いてるんだよなぁ…」としみじみ実感できる音。「僕達の好きなノルウェジアンブラック」みたいな(笑)。

しかし、この手の音の中でも、各要素のレベルは非常に高いですよね。
メロウながら土着的な怖さも感じさせるトレモロリフのメロディは、時に口ずさめるほどキャッチーで、曲をビシッと締めてくれているし、1曲の録音で喉が逝きそうな、常に全力でパフォーマンスする高音絶叫ヴォーカルも素晴らしい。薄くドローンを流して聖書の朗読を入れたり、ダークアンビエントをバンドサウンドに絡めたりといった前衛的アプローチも、嫌味にならない程度にムードを演出してますね。

個人的には、ノルウェー産ブラックの名盤群の中でも、TAAKEの「Doedskvad」や、SATYRICONの「Nemesis Divina」のような、メロブラに接近しつつもブラックの王道を貫いている作品を連想しました。ただし、こちらの方が曲の殆どをトレモロリフで攻めるパートに割いていたり、音質が分離はいいがジャリジャリ感も強いRAWなものであったり、多少プリミティブ系に近い印象。

前述のTAAKEやSATYRICONを始め、MAYHEMやDARKTHRONE、EMPERORなどのノルウェー産ブラックメタルバンドの有名どころの作品が一通り棚に並んでいる方には、是非この作品も購入してほしいですね。もしかしたら死や怪奇をテーマにしているバンドに言ったら失礼なのかもしれませんが…そういうリスナーにとっては、物凄くホームな気分で楽しめる、聴いてて安心できる作品に仕上がっていると思います。


HATE ETERNAL - Fury & Flames ★★ (2008-07-23 01:19:00)

2008年発表の4th。
HATE ETERNALは初めて聴きましたが、「凄まじい」としか言えないですね(笑)。
例えるなら、MORBID ANGELの暴虐な部分、禍々しい部分のみを取り出して純粋培養した
感じというと近いでしょうか。MORBID ANGELと比べると神秘性は薄めですが、デスとしての
アグレッションでは明らかに上で、40分間ノンストップの蹂躙サウンドが楽しめます。
…ただ、ラストのインストを除いてずーっと暴虐暴虐暴虐、蹂躙蹂躙蹂躙みたいな音なので
一聴する分には曲の区別が今一つ付けづらいかもしれません。尤も、この手の音は聴いてて
その暴虐さや禍々しさに気持ち良く飲み込まれる事が出来るかどうかが重要なので、
そんな事は全くマイナスにならないと思います。よく聴くと曲毎に結構印象に残るリフが
あったりしますし。でもラストのインスト、いかにも「これから地獄巡りが始まる」的な
雰囲気なので、私的にはアタマに持ってきて欲しかった…かも。
あと、このアルバムはジャケやアートワークもいかしてますね。
右の般若、何故か体が貧弱っぽいし左の人物と比べて縮尺が大きいし、何をするでもなく
佇んでるしで実にいい味出してます(笑)。歌詞カードのイラストも締めは般若だし(笑)。


HATE ETERNAL - Fury & Flames - Hell Envenom ★★★ (2008-07-30 18:38:54)

こういう全編が怒りの感情で統一されたようなアルバムだと、どうしても1曲目の印象が強くなってしまいますね…特にトレモロリフのメロディ、音の圧に潰されて出た亡者のうめきがメロディになってるみたいで恐い。


HATE ETERNAL - Fury & Flames - Whom Gods May Destroy ★★★ (2008-07-30 18:40:01)

この不気味なリフのメロディはかなり印象に残るなあ…微妙に明るさが混じってる気もしますが、それも悪魔の大群が人間狩りをしながら行進をしているような、本人達は楽しいけど人間から見たら畏怖や恐怖の対象でしかないような雰囲気になっているように思います。


HATE FOREST - Nietzscheism ★★ (2007-12-03 16:50:00)

2005年発表の音源集。
2000年から2004年までのEPなどを纏め、カール・オルフの曲をイントロに付けた内容。

音の方は、ギターの荒いディストーションが暗い森の中を疾走するかのような情景を想起させる、雰囲気たっぷりなブラックメタルで、時折出てくるペイガン系にも通じる叙情メロといい、悪魔のような中~低音域でのデスヴォイスといい、ブラックでしか表現し得ないであろう邪悪さ、アングラな魅力のたっぷりと詰まった作品。ほんと、「これぞブラック」と言いたくなるような、魔性ムード濃すぎな音楽です。

興味深いのは、後の作品になるに従って、何故か音質が悪くなっていく事。時期的に最も初期の「Darkness EP」はまだギターの歪みに厚みが感じられるし、リズムも打ち込みっぽさがそれほど感じられないのに、続く「Blood and Fire EP」ではギターの音が薄めになり、更に「Ritual EP」の曲ではドラムがあからさまに打ち込みっぽい音になってます。これはこのバンドが、一般的な音質の良さという価値観を曲げても、自分達の表現したい世界観を追及している証拠ではないでしょうか。

ちなみに、2004年の「Resistance EP」はアンビエントっぽい作風になってますが、2曲目にはギターが入っており、それ以前の曲と比べると明らかに耳に優しくない音になってます(笑)。ブラックの、自分達の世界観を重視するような作風に共感する方にはかなりお勧めの作品です。


HATE FOREST - Nietzscheism - Annihilation ★★★ (2007-12-03 16:53:23)

前半は人面樹が生い茂る夜の森を霊柩車でぶっ飛ばしてるような冷厳、冷徹な雰囲気ですが、後半はかなりメロディアスに。でもラストは針が飛んだような唐突さ。森が続いていると思ったら、いきなり断崖だった…みたいな(笑)


HATE FOREST - Nietzscheism - The Wood Brothers ★★★ (2007-12-03 16:52:39)

叙情的なメロディがくっきりと聴こえるギターリフをフィーチャーした曲で、プリミティブ系が好きならば気に入る事間違いなしの名曲。しかし、ヴォーカルも凄いですね…重ねてある所なんて鬼のようです。


HATE MEDITATION ★★ (2013-08-31 16:27:37)

アメリカ産ブラック。
NACTHMYSTIUMのAzentriusことBlake Judd氏による新バンド。


HATE MEDITATION - Scars ★★★ (2013-08-31 16:29:29)

2013年発表の1st。

プリミティブブラック的な音から始まり、次第にサイケ色を増していったNACHTMYSTIUMですが、こちらは少々毛色の異なる音を出していますね。アメリカの初期ブラックやウォーブラックの延長、もしくはカスカディアン/アトモスフェリックブラックの延長とも取れるような、意図的に篭もり感を演出し、オブスキュアなノイズに包み込まれるようなバンドサウンドに、時折神秘的で瞑想的なキーボードを絡めてくる、新旧ブラックの良い所取り…といった感じの作風。

…なんですけど、個人的にはちょっとEMPERORの1stにも共通する、邪悪な寒々しさを感じるんですよね。キーボードの神秘性のみならず、要所で登場するサタニックなトレモロ、適度に篭もったバンドの音、ブラストだけに頼らず、その煙る音の中で心地良く炸裂するスラッシーなリズム、そして「グアアアア!」系の生々しい絶叫と、かの名盤を思わせる要素がそこかしこに鏤められている感じ。6曲目「Wrath and Revenge」のトレモロのメロディなんてモロだと思う。

ただ、やはり近年のNACHTMYSTIUM譲りの音像重視の音作り、サイケデリックな作風も少なからず混じっていて、私としてはNACHTMYSTIUMの「Instinct : Decay」とEMPEROR「The Nightside Eclipse」を足したような作品、という印象があるんですよね。サイケでドゥーミーな大作のタイトル曲なんかは、特にEMPERORとの共通性を感じる部分はない作風ですし。

カスカディアン勢を始め、最近のアメリカ大陸産のブラックって、既存のブラックに捕らわれない、進んだ感性を持つバンドが多い印象ですが、そうした感性を感じさせつつもブラック本来の邪悪さ、ミステリアスさを感じさせてくれる良盤。NACHTMYSTIUMで言うなら、「Instinct : Decay」「Silencing Machine」の路線に共感を覚える方にお勧め。


HATE PROFILE - Opus II: The Soul Proceeds ★★★ (2014-09-06 17:14:04)

2013年発表の2nd。
BLACK FLAME、DEAD TO THIS WORLD、JANVSの現メンバーでSLAVIAやDISIPLINにも在籍した経験を持つ、M:A Fog氏がドラマーとして加入してからは初のフルアルバム。

北欧ブラックに通じる暗黒性を感じさせつつも、ギラついた不穏さを漂わせるリフ、凶悪に歪みつつも切れ味鋭くがなるヴォーカル、音のクリアさが楽曲の冷徹なムードを強調するプロダクションなど、近年のSATYRICONを思わせるハイクオリティなブラック。SATYRICONはロックのリズムを取り込む事で新たなファンベースを獲得しましたが、こちらはブラストも多用する、よりダイレクトな攻撃性に重きを置いた音なのが大きな違いですね。

SATYRICONは「Rebel Extravaganza」で極端なスピードと無機質な感触で近未来的な世界観を演出、続く「Volcano」でダイナミックでキャッチーな方向へと変化していきましたが、この作品は正にその間にあるミッシング・リンクとなるような作風だと思います。案外、冷徹さと攻撃性のバランスの取れた、これくらいの按配が一番丁度良いというリスナーも多いのではないでしょうか。似た雰囲気を持つバンドとしてよくKHOLDも挙げられますが、個人的にはヴォーカルに憎々しさが篭もってる分、こちらの方が好みですね。

SATYRICONは最新作ではアナログな録音方法を試すなど、一般的なエクストリームメタル・ブラックメタルには無いこだわりも見せていましたが、こちらはエクストリームメタル本来の暴虐さが重視されているので、こっちをより気に入る人も少なくないのではと思います。クオリティも高いですし、まずは聴いてみて欲しいところ。


HATEFUL ABANDON - Liars/Bastards (2015-09-14 21:58:32)

2014年発表の2nd。
あの名門Candlelightからの発売です。

前作は未聴ですが、評判を聴く限りでは個性派の鬱ブラックとして注目されていたようですね。但し今作は、ブラックメタルの要素は殆どなく、鬱インダストリアルとでもいうべき、打ち込みやキーボード、サンプリングなどが主体の音楽に。ギターも入ってますが、ノイズやフィードバックなど音響効果的に使われており、鬱ブラックとは一線を画した使い方がされている感じ。

打ち込みリズムの淡々とした響き、キーボードのアトモスフェリックな音色が破滅し、荒廃した都市の成れの果てにいるかのような、絶望的な光景を臨場感を持って体験させるような音は、ジャンルは変わっても魅力的。ただヴォーカル…これはちょっと酷くないですか…?有って無いようなメロディのラインを、聴いていていたたまれなくなるような微妙な声色で歌い続けていて…ぶっちゃけ聴くのが辛い。声フェチなのでこれは超マイナスですね…。

雰囲気作りが上手く、またその雰囲気も私の好きなものなので、ヴォーカルが無ければ☆3つ献上なんですが…いかんせんヴォーカルが…。やっぱりJ-POPから音楽に目覚めた人としては、ヴォーカル入れるなら魅力あるものでないと受け付けないです。


HATRED ANGEL - GOD FORSAKEN ★★★ (2010-05-15 20:30:00)

2010年の3rdアルバム。
メディアがプレスCDにレベルアップすると同時に、値段もメジャー価格に…(笑)。「I don't wanna die...」では、メロデスとメロブラの中間のような音楽性でしたが、今作は完全にメロデス方向に舵を切ってきましたね。

…しかしこの作品、メロデスとしてもかなり特異なのではないでしょうか。
前作でも素晴らしかったメロディが更に前面に出され、終始メロディアスなリードギターが楽しめる作風に。しかも、このリードギターのメロディが一般的なメロデスよりもかなり歌メロ然としてるんですよね…。勿論、ギターによるメロなので、歌うには難しいメロも当然あるんですが、A→B→サビ的な流れの良さが歌モノっぽいです。
Aメロから泣き全開のクラシカルな歌謡メタルを、歌メロ部分をギターに置き換えて、各メロに対応する歌詞をデスヴォイスで乗せたら、こういう音になりそう。

…メロデスって、例えば「美と醜の対比」「リフの美学」や、「エモーショナルなギタープレイ」など、メロディそのもの以外の魅力も取り入れることで、初めて名盤たる質が備わると思うんですが…このアルバムは、メロディだけを取っても十二分に名盤と言える質の高さがあると思う。
例えば、メロデスの金字塔であるARCH ENEMYの「Burning Bridge」やクサメロデスの名盤、SERPENTの「xGODx」でも、収録曲をオルゴールのみのアレンジしたら退屈になると思う。でもこのアルバムは、例えそういうアレンジでさえ、全編聴かせてしまう程メロディの質が高いです。
…念の為言っておきますが、決して「メロディだけ」の作品ではないですよ。ライブバンドだけあって、演奏それ自体もかっこいいです。

ただ、プレスCDになったのにも関わらず、相変わらずデモのようなダイナミクスに欠ける音質だったり、ヴォーカルが迫力のない声で棒歌い(棒叫び)してるのはマイナスですね…。これで良いレコーディングエンジニアが付いて、ヴォーカルが良くなればそれこそ唯一無二のバンドになると思うんですが…。まあ、ギターメロを聴かせるために、敢えてヴォーカルは抑えてるのかもしれませんが。

楽曲に関しては、既に天上天下唯我独尊ってレベルです(笑)。
帯の「メロディックデスメタルの常識を覆す」が、全くハッタリに聴こえない作品。こんなに、歌メロ的にリードギターを用いたメロデスは初めて聴きました。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... ★★ (2008-07-13 21:20:00)

2007年発表の2ndデモ。

HR/HM、殊にブラックメタルというジャンルにおいては「イメージ」って結構重要で、真に危険な思想や経歴を持っているバンドが高い評価を得たり、逆に思想や発言がただのポーズである事が露見したバンドが低く評価されたりという事も珍しくないですが、このバンドが打ち出したイメージはなんと、「保育士がデスメタルバンドを結成!?」というコミカルなもの。宣伝ビラに「デスメタルで愛を歌う」とキャッチコピーを打っておきながら、バンド名が「憎しみの天使」なツッコミ所の多さも面白いです(笑)。
…こういうイメージをこのジャンルで打ち出すのはかなり度胸が要ったと思うんですけど…私もそこに惹かれてCD買ってしまいましたし。

肝心の音楽性のほうは、キー入りのメロデス要素もあるメロブラという感じでしょうか。缶を叩くような音色が小気味良いファストなリズムに、ブラックらしいトレモロリフやツインギターを絡ませるリフなどを入れたスタイルですが、そのメロディはフィンランド辺りのメロウなプリブラをやってるバンドにも勝るとも劣らないくらい、哀感に満ちていて扇情的。時折音像に花を添えるキーも、曲の儚さを更に際立ててますね。

売り出してるイメージこそコミカルですが、音源にはポーザー呼ばわりをさせないだけのシリアスさ、クオリティの高さがあると思います。ただ、ヴォーカルの低音デスヴォイスはex-ARCH ENEMYのJohan的な慟哭ヴォイスを目指してるのかもしれないけど、迫力も感情表現も現時点ではちょっと物足りないですね…たまに英語のアクセントが変なときがあるし。5曲目なんかは勢いがあって好きですが。
それと曲短すぎです。一曲の平均演奏時間が約2分半…こんだけ扇情度が高いリフ入れときながら、この短さだとちょっと生殺しかも。

しかし、2ndデモでこの完成度は凄いんじゃないでしょうか。音質を一般受けするようにしてヴォーカルの弱さを克服したら普通に「来る」と思います。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - ETHER ★★★ (2008-07-14 21:35:30)

ヴォーカル、迫力的にはやっぱり少し物足りないものがあるんですが、聴き手の喉元に喰い付かんとする獰猛さはかなり伝わってきますね。キーボードが入るパートは、タイトル通り「天空」に導かれるような雰囲気。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - HADES ★★★ (2008-07-14 21:38:03)

メロブラとメロデスが混交するアルバムですが、この曲はかなりメロデス色が強いですね。それもグルーヴとメロディの兼ね合いでは、かなりメロディ方向に寄ってるタイプ。個人的にこういうタイプのメロデスは大好き。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - HEMISPHERICAL SCHIZOID SIDE OF MALIGNITY ★★★ (2008-07-14 21:30:15)

バンドの押し出しているイメージからはもっと愛嬌のある音を想像してたんですが、イントロから続くこの曲でいい意味で裏切られました。氷の礫が打ちつけるようなトレモロリフにとブラストを軸に聞かせる、ガチなブラックメタル。特にメロディにおいては、北欧勢を上回ってるとすら思います。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - I DON'T WANNA DIE... ★★★ (2008-07-14 21:33:21)

これ、歌詞は裏読みせずに読むと、殺された子供とその母親の心情を歌ってるっぽいですが…途中挿入されるキーボードは、そうした命を扱った重いテーマに相応しい厳かな雰囲気を醸し出してますね。メロディ、音色の選び方ともに素晴らしいセンスです。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - I DON'T WANNA DIE...(PIANO VERSION) ★★ (2008-07-14 21:43:29)

ラストだしインストで来るだろうな…と思ってたら、意外にもヴォーカル入りのアレンジ。ちょっと英語の発音が微妙ですが、本チャンのバージョン以上に感情を込めて叫んでます。…こういうアレンジにすると、如何にこのバンドのメロディセンスが優れているか良く分かるなぁ…。


HATRED ANGEL - I DON'T WANNA DIE... - IMMORTALITY OF THE SOUL ★★★ (2008-07-14 21:40:29)

リフにしてもギターソロにしても、「モダン化ってなんですか?」と言わんばかりに派出に慟哭メロディ撒き散らしまくりで、実に素晴らしい。最近のメロデスに物足りなくなった人が聴いても悶絶出来るかも。


HATS BARN ★★ (2013-09-23 10:02:29)

フランス産プリミティブブラック。
墓荒しや違法な武器の所持で捕まった経験もあるらしいPsycho氏らによるバンド。


HATS BARN - Voices of the Ultimate Possession ★★ (2013-09-23 10:03:26)

2012年発表の3rd。

なんとも恐ろしい…じゃなくて気合の入った(笑)経歴を持つバンドですが、音の方もある意味ストイックなプリブラですね。RAWな音質が悲壮感の込められたメロディの醸し出す物悲しいムードを更に掻き立てるプリミティブブラックという感じですが、篭もった、耳に痛いノイジーさとは異なる音作りから受ける印象は、最早「湿った」を通り越して「湿気った」とでも言いたくなりそう。

基本は悲壮な哀愁メロディのトレモロで攻めるパターン多めですが、「Conquering the Throne of God」を始め、所々でカビが生えそうな陰湿なメロディも見られ、そういったパートではMUTIILATIONに通じるような病的さも垣間見せてくれます。また、ヴォーカルはがなるだけでなく、時折ホイッスル音すら混じってるように聴こえる、箍の外れた高音絶叫を交えてくるタイプで、それがアングラな狂騒感に拍車を掛けているような感じがします。

音作り、メロディ共に湿度の高い一枚。疾走パートこそ多めですが、この黴臭い陰湿な雰囲気は鬱ブラック好きにも受けるかもしれません。プリブラとしても分かりやすい魅力に満ちた一枚です。


HAUST ★★ (2012-02-01 20:47:19)

ノルウェー産ブラック/ハードコア。
SKITLIVのメンバーも関与してます。


HAUST - Ride the Relapse (2012-02-01 20:48:12)

2005年発表の1st。
元は自主制作でしたが、2008年に新曲を加えて再発されました。

タイプとしては、近年のDARKTHRONEやNONGO NINJA辺りよりも更にハードコア要素を推し進めたブラックメタルで、最早オールドスクールを通り越してパンクの方がメインになってしまっているような作風ですね。ブラック特有のトレモロはほとんど使わず、ノリのいいグルーヴィなリフを中心に、13曲23分を駆け抜けるように聴かせる小気味良いアルバム。

ただ、時折VIRUSやVED BUENS ENDEのエキスをほんの一滴だけ垂らしたような、妙に不安感を煽るフレーズも出てくるんですよね。ヴォーカルがエモーショナルとか熱いとかを通り越した、喉を絞めた感じの怪人系の奇声絶叫なのも相俟って、どことなくサイコなムードも色濃く漂ってます。方向性はかなり異なりますが、精神異常っぽい危なさがある点ではSKITLIVと共通しているのかも。

…個人的にちょっと不満だったのは、紙ケースにCDが直接入ってることですね…最近こういう装丁の作品多いですけど、ほんとCDに傷が付きそうなのでやめて欲しい。保護ケースとか買ってくるの面倒臭いので…。


HAVOC (BRAZIL) - Destroy the Planet ★★★ (2014-07-23 21:31:07)

2012年発表の2nd。

南米産のブラックで、レーベルもHammer of Damnationとなれば、ダーティでオールドスクールなブラックを連想しそうですが…このバンドはかなり北欧産に近い、しかも北欧産に勝るとも劣らないクオリティのブラックを演ってますね。各レビューやショップのコメントでも評価が高かったんですが、実際聴いてみたら予想していた以上に素晴らしかったです。

DARK FUNERALなどスウェディッシュ勢に通じる寒々しさや、(De Mysteriis期の)MAYHEMを思わせる、ノルウェー産ブラック的土着性の強い禍々しさを込めたトレモロ、フィンランドのプリブラに通じるオールドスクールな勢いなど、北欧の各国のバンドの影響を受けつつも、良いとこ取りで消化・昇華する楽曲作りのセンスが、まず素晴らしいんですよね。北欧の評価の高いバンドの中にあっても、埋没することなく輝ける器を持っているのではないでしょうか。

また、単に北欧産のバンドの作風をなぞるだけでなく、南米産らしいRawで衝動的な勢いがあるのも良いんですよね。ノイジーに切り込むプロダクションや、リバーブの強めに掛かった絶叫ヴォーカルによるカオティックで破壊的なテンションの高さと、北欧バンド由来の邪悪さが合わさると、個人的にはドイツのKATHARSISの「VVorldVVithoutEnd」アルバムに通じる荒れ狂ったカルト性を感じます。問答無用で殺しに掛かる衝動性や、音作りのRawさはあれど演奏自体はタイトですし、楽曲のクオリティは非常に高いと言えるかと。

ブラックメタルの中でも「狂気に圧倒される感覚」を味わえる、稀有な一枚だと思います。これはかなりお勧め。


HAVOHEJ ★★ (2013-06-23 23:03:09)

PROFANATICAのPaul Ledney氏による独りブラック。
バンド名はJehovahの逆さ読みから。


HAVOHEJ - Kembatinan Premaster (2013-06-23 23:14:19)

2009年発表の2nd。

PROFANATICAのメンバーによるブラックで、以前のアルバムにはPROFANATICAの楽曲の再録版も収録していたりという経緯から、本隊とさほど変わりない不敬で汚らわしいブラックだと思ってましたが…とてもそんなものでは!もっとカルトで人を寄せ付けないナニカですよ、これは…。

PROFANATICAを酸で溶かしたような崩壊しかけたWARブラックに、ノイズ要素を掛け合わせてまるで地獄の釜が煮えるかのような音像を実現し、そこにKRIEGを思わせる野蛮極まりない絶叫を乗せたスタイル。WARブラックでも普通もう少しリフにメロディを練りこむだろうし、ここまで非メロディアスな音源も珍しい…というくらい、メロディを殺し徹底した音像勝負の作品。

こういうノイズ音源って、聴き手のイマジネーションを刺激する触媒になってくれる事が多いんですけど、これはただただどす黒くて暴力的な音塊という感じですね。聴き手を選ぶにも程がある…というか、正直私でもこれはキツいです(笑)。PROFANATICAやKRIEG、VON辺りのアメリカ産カルトブラックが行ける方であっても、かなり覚悟して聴かれたほうが宜しいかと…。


HEAD CONTROL SYSTEM ★★ (2006-10-21 19:11:00)

ULVERのGarmことTrickster Gとex-SIRIUSのDanielのプロジェクト。
もちろんULVERも大好きですが、Garmのヴォーカルがまたメタルで聴けるとは…。
実はつい最近までこのプロジェクトの事を知りませんでした。
つくづく自分の情報収集能力の無さに嫌になります…。


HEAD CONTROL SYSTEM ★★ (2006-10-22 17:57:00)

メタル関係とWHENくらいしか買ってないですが、確かに最近JesterのCD多いですね…
WHENはベストまで買ってしまいましたし(笑)
そういえばJesterはPOP BIZと契約してるせいか、タワレコとかでも買えるんですね。
こないだVIRUSのCarheartがタワレコでセール価格で500円でした。
正価で買っちゃったんですけど…。
私はHCSは名前だけ知ってて、「Jester所属でメタルだから、きっと妖しい系だろうなぁ…
機会があったら聴いてみよう」とは思ってたんでしたが、CD購入の優先順位は
低い状態でした。それから暫く後にサンプラーCDで聴いて、ヴォーカルの上手さや
曲の良さに驚いてチェックしたらGarmのプロジェクトという事が判明。不覚です…。


HEAD CONTROL SYSTEM - Murder Nature ★★ (2006-10-21 19:09:00)

2006年発表の1stアルバム。
ULVERの新作「BLOOD INSIDE」が余りにもメタルからかけ離れた音楽性だったため、
Garmはもうメタルをやらないのかと思ってましたが、こんな素敵なプロジェクトを始動させてたとは…。
音楽性的にはブラックではなく、どっちかというとゴシックでしょうか。
やはりGarmが関わっているだけあって、(特にヴォーカルアレンジ)一筋縄では行かない部分も
ありますが、彼がその朗々たる普通声で歌いまくっているせいもあって、かなりキャッチーな
作風になっていると思います。これぐらいキャッチーだと、案外EVANESSENCE辺りのファンでも
受け入れられてしまうかもしれません。MAYHEMのWolf's Lair AbyssやARCTURUSの
The Sham Mirrorなど、Garmが関わったアルバム、特に最近の音源って音質が良い事が多い
気がするんですが、このアルバムも多分に漏れず高音質です。各パートの音がクリアに
聴こえるのはもちろん、ギターは重低音がしっかりと効いていて、聴いてて耳に凄く心地良いサウンドです。
しかし、やっぱり注目すべきはGarmのヴォーカル。
今作は3曲目なんかでは軽いシャウトっぽい歌い方をしたりしていますが、基本的には
デスヴォイスはなくオール普通声。彼は低音域のダークなウィスパーから高音域のトリッキーな
情感を含むファルセットまでこなしていて音域が広いんですが、低域でも高域でも滑らかな
声質で発声出来るんですよね…。この歌の上手さ、表現力の高さには思わず聴き入らなければ
ならないものがあります。ブラック界ではやっぱりIhsahnやSimen辺りが普通声でも優れた
ヴォーカリストだと思いますが、好みは別としても彼らと比べても頭一つ抜けてる印象。
とにかく、個人的にはこのGarmのヴォーカルがメタルサウンドに乗るところを再び聴けただけでも至福。
もちろん楽曲の方も良いですし、大満足の作品です。


HEAD CONTROL SYSTEM - Murder Nature - Baby Blue ★★★ (2006-11-08 21:02:58)

イントロからはもっと難解な曲が始まりそうな感じを受けましたが、本編に入ると意外にもキャッチーで取っ付きやすい作風。旋回するようなへヴィでグルーヴィなリフにメロディアスな歌メロやテクニカルなドラミングが乗ってとてもかっこいい曲。


HEAD CONTROL SYSTEM - Murder Nature - Masterpiece (Of Art) ★★★ (2006-11-08 21:06:15)

アーオ! アーオ! アーオ! アーオ! ウー!
…Garmがこんな歌い方をするなんて…ある意味ちょっとした衝撃でした(笑)。しかし流石Garm様、何をやってもかっこいいですね…ラストはそのアーオ!とツーバスが絡んできて痺れます。


HEAD CONTROL SYSTEM - Murder Nature - Skin Flick ★★★ (2007-04-01 19:38:47)

「into the skin, under the skin...Ah」の「Ah」の言い方がすっごいツボにはまりました(笑)。というかこの曲は歌い回しの全てがかっこいいです。歌詞が歌詞カードに完全に載ってないのが悔やまれる…サビが「プリン・シティ knows her」としか聴こえないし…でもその「プリン・シティ(と聞こえる)」連発する箇所は圧巻。


HEAD PHONES PRESIDENT ★★ (2007-08-09 22:53:00)

日本のヘヴィロックバンド。
BURRN!などにも結構載ってますね。


HEAD PHONES PRESIDENT - vacancy ★★ (2007-08-09 22:48:00)

2005年発表のミニアルバム。
比較対象として良くKORNが挙げられている通り、女性ヴォーカルをフィーチャーした
モダンへヴィネスと定義できそうなサウンド。ですがオープニング曲といい5曲目といい、
ところどころ独特の病んだ感性が感じられる所もあり、個性的な音だと思います。
5曲目辺りを聴くと民族音楽的な要素も感じられるし、メンバーの音楽への造詣はかなり深そう。
そういえばMarty Friedmanが何かのインタビューで「日本の音楽はどれも根底には歌謡曲の
要素が感じられる」と言ってましたが、このバンドも例に漏れず良い歌メロを持っていると思います。
それでいてダサさは全く感じないですし、ヘヴィネスも海外のバンドに負けてません。
大体レビューなどを見るとヴォーカルも評価が高いようですが、確かに良いですね。
シャウトを多用した、力強くエモーショナルなものでありながら、力みすぎて女子プロ
レスラーやスケバンのような滑稽さに陥ってしまうという事も無く、女性らしいしなやかさを
しっかりと感じさせる歌唱で、音楽を更に魅力的なものにしていると思います。
…声質的には、ちょっと浜崎あゆみ似(歌い方はともかく)?
最近HIGH AND MIGHTY COLORや大鴉など、女性ヴォーカルをフロントに据えた
HR/HM、もしくはその要素の強いバンドが注目されてますが、このバンドもお勧めです。
日本も探せば、ちゃんとこういう良いバンドがいますよ。


HEAD PHONES PRESIDENT - vacancy - Groan and Smile ★★★ (2007-08-09 22:52:29)

前曲の不穏な空気感は受け継ぎつつも、そこにヴォーカルの祈りを振り絞るような歌唱や泣きメロを奏でるヴァイオリンが織り成す切迫した美しさ、バンドサウンドによるヘヴィネスを加えた曲。日本のバンドだと軽視して今まで聴かなかった人は、この一曲の前に平伏すでしょう。それくらいの名曲だと思います。


HEAD PHONES PRESIDENT - vacancy - PALAM Ya-Da ★★ (2007-08-09 22:51:37)

パーカッシブなリズムの上に乗る、シャーマニックな取り憑かれたようなヴォーカル。病んでる度合いではTHE 3RD AND THE MORTALの2ndとかATROXのような病みゴシックとタメ張れます。これを聴いただけで、ただものではない事が分かる曲。


HEAD PHONES PRESIDENT - vacancy - inside ★★★ (2007-08-09 22:49:37)

脳内で勝手に響く声を黙らせているかのような病んだオープニング曲を経て、叩きつけるようなバンドサウンドが入ってくる展開に痺れます。ほんと海外のバンド顔負けのかっこよさ。


HEAD PHONES PRESIDENT - vacancy - snares ★★ (2007-08-09 22:50:38)

時折挿入される、重い疾走パートが印象的な曲。
これで頭を振らずにいられるか、いやいれまい(笑)。
振りすぎてCDを音飛びさせないように(笑)。


HEARSE ★★ (2003-11-05 14:24:00)

HEARSEというかヨハン・リーバについて語ります!!
私は最近になって「メタル」という言葉を知ったくらいのメタル初心者なんですが、取り合えずデス声や絶叫をフューチャーした音楽はArch Enemyを筆頭にCHILDREN OF BODOM、CRADLE OF FILTH、DARK FUNERAL、EMREROR、IN FLAMES、MARILYN MANSON、SLIPKNOT(一聴しただけのバンドもありますが)を聴いてみました。この中では凄まじく音域の広いCRADLE OF FILTH、絶叫とメロディという二律背反の要素を取り入れたMARILYN MANSON、叫びに激怒を感じるSLIPKNOTなどは流石に凄い人たちだと思いましたが、他のボーカリスト達にヨハン・リーバが劣っているとはどうしても思えません(好みの問題もあるでしょうけど)。嘘だと思うなら、とりあえず「Pilgrim」のサビ部分の堂々たる絶唱、「The immortal」の絶望感溢れるデス声を聴いて欲しいです。
さて、どうしてヨハンが酷評されるか、自分なりに考えてみましたが、それはArch Enemyの音楽性はボーカルがメインではなく、美しいツインリードを主とした物だったからではないでしょうか。タメの効いた堂々としたボーカルはイヤでも目立ってしまい、ツインリードのメロディを堪能したい人が不服に思ってしまうのも分かる気がします。多分これが主たる理由ではないでしょうか。ボーカルだけ抜き出してみた場合、かなり実力のあるボーカリストだと思うので…
その点を考慮してか、次にヨハンが参加したアルバムの「DEUS DECEPTOR(NONEXIST)」では、ヨハンのボーカルはかなり音量が絞られてしまい、ちょっと寂しい感じがしました。
さて、HEARSEですが、「DOMINION REPTILIAN」を聴いた限りではボーカルの音量は申し分ないですね。ただ低音メインの歌唱になっていて、「Angelclaw」で見せたような惨い高音をあまり聴けないのがちょっと残念ですね。2ndではそのへんも期待したいところです。


HEARSE ★★ (2003-12-04 15:13:00)

>>ぱあだよ~さん
国内盤は残念ながら未発売のようです…。現在出ているのは9曲入りの通常盤と11曲入り(「THE UNKNOWN」「AVALON」を追加収録)限定デジバック盤の2種類みたいです。
国内盤、出るといいですね。


HEARSE - Dominion Reptilian ★★ (2004-05-20 16:41:00)

変わったリズム(これは正直慣れるまでちょっと時間がかかった)やメロディアスなギターも勿論良いですが、このアルバムでの主役はやっぱりJohanだと思います。
ARCH ENEMYの3rdでも歌い方に変化をつけてかなり好評を得ていたようですが、ここに来て更に自分の歌唱に幅を広げようとしている印象です。
特にGIHALAさんも挙げている「高音スクリーム」や、「COSMIC DAUGHTER」での呻き声は今までには無かった感じで新しかったです。ただ、ARCH ENEMY時代の「DEAD INSIDE」で見せたような畳み掛けるような喚き声がもう少し欲しかった所。
個人的には「TORCH」「COSMIC DAUGHTER」などのキャッチーな曲が並ぶ前半部分がお気に入りです。


HEARSE - In These Veins ★★★ (2010-06-12 03:28:00)

2006年発表の4th。

私はARCH ENEMYからメタルに入り、HEARSEの1stも聴いていたんですが、そのままブラックに流れてしまったので、実は彼らの音源を聴くのは1st以来だったりします。

1stの音楽性から大きな変化はなく、ロックンロール的な野蛮さ・獰猛さのあるリズムに泣きのギターメロが絡む、甘くなりすぎないメロデス。「ロック」という言葉には本来「揺する」という意味がありますが、このバンドのミディアムパートは聴いてると体を自然と揺らしてしまうようなグルーヴがありますよね。
ファストパートの、ハードコア由来の炸裂感から来るかっこよさも言わずもがな。

1stから敢えて変わった事を挙げるならば、ギターのコズミックな、キラキラしたメロディが少なくなった代わりに、時折ブルデスにありそうな禍々しいうねりを持ったリフが出て来る事でしょうか。
音質自体はよりヘヴィに、より洗練されているにも関わらず、独特のリズムとも相まって、以前よりも泥臭くなっている印象がありますね。
この辺り、モダン方向、洗練方向に向かうARCH ENEMYとは好対照だと思う。

そしてJohanのヴォーカルですが…Johan、声、太っ!!
声、ぶっっっっっと!!(笑)
丸呑みした大蛇を、一気に吐き戻すかのようなドスの利きまくった咆哮で、ARCH ENEMYに籍を置いてた時代から考えても迫力が段違い。この人、腹式呼吸ってレベルではなく、臓腑総てを動員して、発声しているのではないでしょうか…。声だけ聴くと、絶対イカツイ奴が歌ってると思いますよね(笑)。
あんな知的で細面な人のどこからこんな声が…。

もうこれブルデスのヴォーカルと比べてもレベル高いと思うんですが…。
彼のパフォーマンスを思い返してみれば、ARCH ENEMYが慟哭の感情を表す事、NONEXISTがプログレッシブな展開に合わせる事、HEARSE1stがハードコア的野蛮さを表現する事に、それぞれチャンネルを合わせていたと思うんですが、今作は「思うがままにぶっ殺せ」モードに入っちゃってます(笑)
久し振りにHEARSEの音源を買ったんですが、やっぱりJohan様の声最高だわ…。

失礼な言い方かもしれないけど、彼はARCH ENEMYを辞め(させられ)て、結果的には良かったと思う。今のARCH ENEMYの音に彼の声は余り合うとは思わない。HEARSEの、泥臭くて野蛮さや獰猛さの残るスタイルでこそ、彼の声は輝いてると思います。


HEARSE - In These Veins - Among The Forlorn ★★★ (2010-06-12 23:07:55)

はい、私も「カモーン!!!」で悶え死にました(笑)。
いつものデスヴォイスとはまた違う、すっげぇ荒々しくて野太い怒号です。コーラスパートのギターメロは、エモーショナルというよりヒステリックな感じがして印象に残ります。


HEARSE - In These Veins - Atrocious Recoil ★★★ (2010-06-12 23:09:01)

こっちはメロディックデスロール色が強いですが、ブルータルな轟音の中に光明が差すように、ギターのキャッチーなメロディが出てくるという曲調は、Johan在籍時のARCH ENEMYに通じるものがあると思う。メロデス好きには一番気に入ってもらえそう。


HEARSE - In These Veins - Corroding Armour ★★★ (2010-06-12 23:02:35)

これ、最初はギターがかっこいいリフを弾いてるのに耳が行かないくらい、Johanの声のインパクトが強すぎました。凄まじくドスの効いた低音咆哮ですが、これくらいの下水道まで行かない、歌詞をはっきり発声するタイプの方が、よりブルータルに感じるんですよね。サビではステレオで耳孔を蹂躙してくれます。


HEARSE - In These Veins - Crusade (gonna Start a Fire) ★★ (2010-06-12 23:03:47)

カヴァー曲のデスヴォイスの味付けの上手さでは定評のあるJohan氏。
特に「I'm gonna start a fire」の絶叫振りが素晴らしい。


HEARSE - In These Veins - House of Love ★★★ (2010-06-12 22:47:19)

イントロからデスロールっぽいリズムに泣きのギターメロが入って、やっぱりHEARSEだなぁ…と思いますが、この曲は寒々しいトレモロリフを入れたり、サビにクワイアを重ねて荘厳にしてたり、ブラックに通じる邪悪なムードがありますね。EMPERORの「闇の晩餐」を持ってる人は、このクワイアに合わせて「♪Emperium~」と歌いたくなるはず。何気に皇帝リスペクトなんでしょうか…ならめっちゃ嬉しいですけど(笑)。


HEARSE - In These Veins - In These Veins ★★★ (2010-06-12 23:11:06)

昔はエクストリームメタルにおける「ロックンロールの皆で体を動かせそうなノリが、健全に聴こえて嫌」と思ってたし、今でもそういう要素を半端に取り入れる音楽にはそう思いますが…そういう自分の音楽的嗜好を後悔したくなるくらいの、波涛に飲み込まれるようなド迫力。ロックンロールに苦手意識のある私が、HEARSEの音楽が大好きなのは、Johanの声があることと、曲のエネルギーが濃すぎてドス黒く聞こえるからかもしれません。


HEARSE - Single Ticket to Paradise ★★★ (2010-06-15 18:40:00)

2009年発表の5th。
限定盤はライブ5曲(+α)、PV1曲、フォトギャラリーを収めたDVD(PAL方式)付き。

【CD】

メロデス的な煌びやかさと、ブルージーな泣きを込めて弾きまくるリードギター、基本グルーヴィながら時折デス本来の(或いはブラック的な)禍々しさを強く垣間見せるリフ、泥臭いデス&ロール的なグルーヴで、自然と体を動かしたくなるリズム…と、安心していつものHEARSEブランドが楽しめます。
2曲目のラッパ風コーラスや、7曲目の中間のインスト部など、メロデスを代表するようなバンドでは演らないであろう、味のある展開が聴けるのも、個人的にはポイント高いです。

そして我等がJohan Liivaは今作でも頑張ってます。
いつものドスの聴きまくった咆哮からハードコア的な地声交じりのがなり、ARCH ENEMYの3rdで見せたような激情を込めたデスヴォイス、地声が全く分からなくなる程の歪み声…果てはノーマルヴォイスによりメロディを歌ったり、ゴシックなムードの中で語りを入れたりなど、今までの活動の集大成とでも言うべき力の入れよう。
一枚を通じて、表現力の高さを見せ付けてくれます。ただ、色々な表現方法を試すヴォーカルも相まって、全体的に前作よりも暗黒風味が減衰してる感があるのが、気になると言えば気になりますが…。

しかし、ARCH ENEMYのレビューではJohanを支持する声も根強いというのに、発売から結構経った今まで、この作品のレビューが投稿されていないというのは一体…。他の作品のレビューも、まだ多いとは言えないですし。ARCH ENEMYのブランドにこだわらないのであれば、メロデス好きなら試してみてもいいと思うんですが…。
表現方法は違えど、こちらも質は素晴らしく高いですよ。

【DVD】

漸くPAL方式が見れる環境が整ったので視聴。
まず驚いたのは、Johanがかなり長身である事。以前のアー写と比べると大分逞しくなってる印象もあるし、メタルのフロントマンとしてかなり存在感があると思う。ちょっとした見栄の切り方とか、体が大きい故に凄く様になってる。パフォーマンスもスタジオ盤以上で、特に冒頭のデス声での高笑いとか、「コンテンプレイション!!…りゃりゃりゃりゃりゃ」のタイトルコールとかが、個人的には痺れるポイントでした(笑)。
「Dominion Reptilian」なんかは、オリジナルでのサビ部分のヴォーカルエフェクトが無くなり、生々しくなってる分ライブ版の方がかっこいいと思う。

でもJohanのステージング、メタルヘッドとして貫禄のあるパフォーマンスの中に、時々アングラ劇の演者みたいな、妙な動きが入ってる気がする(笑)。格好も黒尽くめ(しかも漆黒じゃなく濃い灰色っぽい)の長袖で部屋着みたいだし、ライブ終わったらホテルの部屋でその格好のまま寝れそう(笑)。
ライブハウスであの格好は暑いと思うんですが、髪で顔半分隠してる事も多いし、肌を見せるのが嫌いなんでしょうか。正直、Johanに好意的でない人が見たら「怖い」と思うのは無理ないかな…とも思う。
私は動いてる彼が見れるだけで嬉しいですけど。

Johanとは対照的に、半袖、半ズボンで昇天寸前の恍惚とした表情でギターを弾きまくるMattias、笑顔でグルーヴを刻むイケメンMaxなど、他のメンバーのパフォーマンスも見所。
しかし、このライブ見てると、エクストリームメタルバンドとは思えないくらい、優しそうな面子が揃ったバンドですよね(笑)。打ち上げとかで酒呑んで暴れたりとかしなそう。

他にもセピアの風景とバンドの演奏を組み合わせた「Sundown」のPV、およそデスメタラーには見えないレコーディング時のJohanや、無駄にセクシーな(笑)イケメンMaxの寝姿、ライブ風景などを収めたフォトギャラリーもあり、ボーナスというには盛り沢山過ぎる内容。V系ならこれで4500円とか取りそう(笑)。
ただ、「Sundown」のPVは冒頭でJohanが口を閉じてるのにシャウトが聴こえたり、微妙にチープ。ファッションはライブ時より普通にかっこいいんですが。


HEARSE - Single Ticket to Paradise - Degeneration X ★★ (2010-06-15 18:46:21)

デス的な非人間性よりも、ハードコアの怒りを強く感じるヴォーカルが、インターネットに棲むモラルの欠如した人間を痛烈に批判する曲。デスメタルなのに社会派…やっぱり、ミュージシャンなんてやってると色々溜まるんだろうなぁ…ぶっちゃけ、説教オヤジという単語が浮かんできてしまいましたが(笑)。


HEARSE - Single Ticket to Paradise - Misanthropic Charades ★★★ (2010-06-15 18:47:48)

イントロの「ぶぅあ!!」といい、歌いだしのエフェクトといい、Johanの魅力を出すためのお膳立てがしっかり成されているのが素晴らしい。途中の感情過多なパフォーマンスもARCH ENEMYの3rdの頃を思い出します。曲的には、ノリの良い中にもブラックメタル風の禍々しいリフを挟んできたり、超一流のかっこよさなんですが…途中の「♪ぱっぱらー」は一体なに!?「天国への片道切符」をもたらす天使のラッパをモチーフにしてるとしても、表現方法がB級過ぎて面白いんですが(笑)。


HEARSE - Single Ticket to Paradise - Sundown ★★ (2010-06-15 18:48:52)

PVも作られていることから、シングル的な位置付けなのかも。
この初見で身を委ねたくなるグルーヴ感、分かりやすくHEARSEしていると思いますが…個人的にはこれ1曲にJohanの味が全て出ているとは思わないです。「Misanthropic Charades」や「The Moth」のがより味が出てる気がする。まあ、かなり取っ付きやすい曲である事は確かですが。


HEARSE - Single Ticket to Paradise - The Ferocious Embrace ★★★ (2010-06-15 18:43:52)

珍しくJohanのノーマルヴォイスが聴ける曲。特に歌い上げたりではなく、低音での静かな歌声を、デスヴォイスとのセルフ掛け合いにしてます。ノーマル声だけになったら嫌ですが、普通の声もなかなかに魅力的だし、たまには良いですね。そして途中の演歌に使われるような「ジャーン」というSEから入る、ノリノリのアコギパートが衝撃的。Mattiasの懐の深さを見ました…。


HEARSE - Single Ticket to Paradise - Your Purgatory ★★★ (2010-06-15 18:45:02)

キーボードが退廃的で、物悲しげなムードを演出するラス曲。
Johanの語りが良い声すぎて困ります(笑)。ゴシック風味の世界観に良くあっている声。…しかし、こうして聴くとHEARSEってエクストリームメタルにありがちな、金太郎飴状の似た曲が並ぶアルバム作らないですよね。どの曲も、何か語りたくなる魅力があるというか。


HELDENTUM ★★ (2012-07-06 20:41:20)

ドイツ産ペイガンブラック。
ABSURDのWolf氏、WOLFSMONDのManagarm氏らが在籍。


HELDENTUM - Waffenweihe (2012-07-06 20:43:16)

2003年発表の1st。

民族楽器の導入など派手な要素こそないものの、ヴァイキング的な朗唱やほんのりと民族っぽさの漂うメロディなど、基本ミディアムパートを重視したRAWなブラックながら、そこはかとなく漂うペイガンな感触に味わいのある作風ですね。門外漢にお勧めできるような分かりやすいウリには正直欠けるものの、ドラムのガチャガチャした感じなんか地味に味があって良かったり(笑)。

個人的にこの音源、メロディに繊細な部分はあるものの、「豪快」なイメージなんですよね…。まずヴォーカルの第一声の笑い声からしてやたらいかついし、人肉食って血塗れの口で叫んでそうな、やたら野蛮な叫び声もなかなかのインパクト。この迫力はヴォーカルが前に出たミックスのせいだけでなく、声そのものがデカいせいもあると思う(笑)。また、メロディを明確に聴かせる場面ではリードなりリフなりのフレーズを強調する音作りも何だか豪気な感じ。

正直もう一声なにかこのバンドならではと言ったものが欲しいんですが、まあ悪くはないかと。ABSURDやドイツのペイガン系の人脈追ってるなら持っておいて損はないかも。


HELEL - A Sigil Burnt Deep into Flesh ★★★ (2014-10-20 22:03:35)

2009年発表の1st。
と言っても4曲入りで30分ないので、長さとしてはEPくらいですね。

一言で言うなら、「With no Human Intervention」期のABORYMの、ブラックメタルパートをかなり暴虐方向に解釈し、かつフランス産バンドらしいひねくれ感をプラスしたような、サイバー/インダストリアルブラック。打ち込みを採用し、時折暴虐方向に暴走するリズムセクションに、アヴァンギャルドなフレーズを交えたギターワークが乗り進行する、独特の雰囲気を持った作風。

特に所々で出てくる、前衛的なギターフレーズはかなり印象深いんですよね。機械が狂って、まるで泣いたり、パニックを起こしてるような音を出している…そんな風にも聴こえるフレーズがあって、かなり神経に来る。インダストリアルブラックらしく、シンセやサンプリング等を巧みに使い、アポカリプティックな雰囲気を演出するパートも多いんですが、このフレーズセンスと上手く噛み合い、この手としてもかなり濃密な雰囲気が醸し出されているように思います。

個人的には、ギターフレーズが独特なので、それが聴いていてかなり楽しかったですね。サイバー/インダストリアル/アヴァンギャルドに食指が働く人であれば買って損はないかも。流石Debemur Mortiからのリリースだけあって、カルトな魅力は折り紙つきです。


HELFAHRT ★★ (2011-07-30 21:24:59)

ドイツ産ペイガン・ブラック。
最初はMaximilianのソロプロジェクトとしてスタートしたとか。
現在はTHULCANDRAのメンバー2名が在籍してます。


HELFAHRT - Drifa ★★ (2011-07-30 21:26:51)

2010年発表の3rd。

このバンドも、ペイガニズムや神秘主義を思想に持っているようですが、民俗楽器を積極的に導入してお祭り的なムードを出すタイプではなく、トレモロリフを中心に疾走し、アコギパート等を絡め叙情性を演出する、メロディックブラックの基本を押さえつつ、その中に時折民族的な響きを持つメロディを入れてくるタイプですね。

最初の3~4分を聴いた時点では、いまいちメロディに起伏が無く「…もしかして地味?」と思ったんですが、その後はしっかり激情のメロディを垂れ流しつつ疾走してくれて一安心。何気にベースの響きが太くて、リフの丁度良い歪みとも相俟って聴いていて心地よい音になってます。

ただ、激情メロディが炸裂するパート、神秘的なキーが覆い被さるパートは心底素晴らしいと思うものの、ちょっと「引き」に当るパートが弱くて、どうも緊張感が持続しないのが勿体無い。DISSECTIONくらい「引き」のパートにおいても、印象に残るフレーズを入れてくれれば、相当な名盤が出来そうな勢いですが…。

良く言えば硬派な部分と劇的なメロディが同居する一枚、悪く言えば叙情的ながら、部分的には地味な箇所もある作品。音のクオリティは決して低くないんですが、多少マイナー臭がするのは否めないかもしれません。お祭りフォークメタルよりも王道メロディックブラックが好きな人向けかと。


HELGEDOM ★★ (2011-09-23 20:01:51)

スウェーデン産ブラック。
SVARTRITのメンバーによる別バンド。


HELGEDOM - SVARTKONST ★★ (2011-09-23 20:04:27)

2010年発表の8曲入りデモ。
Mystery of Death Productionsより500枚限定でリリース。

デモと言うこともあってか、関連バンド(SVARTRIT、KAOS SACRAMENTUM、GRIFTESKYMFNING)と比べても音は相当に粗めで、普通に録音の乱れも入っているような、未加工な感触の非常に強いサウンド。
路線も関連バンドとは割と差別化がなされていて、こちらはスロー~ミドルの展開を中心に、トレモロリフやアルペジオが不気味に響き渡る作風で、プリミティブとディプレッシブを掛け合わせたような作風。ただ、ベースがギターノイズの合間を這い回り、聴いていると脳が蕩けそうになる音作りは、絶望感よりも幻惑的なムードが強い印象。

総じて関連バンドよりもカルトな路線だと思います。
演奏時間は21分強と短めですが、妖しい儀式的ムードが楽しめる一枚。限定枚数も少なめなので、SVARTRIT関連追ってる方はお早めに。


HELHEIM - Kaoskult ★★ (2009-08-28 21:54:00)

2008年発表の6th。
HELHEIMは90年代初頭から活動し、コンスタントに作品をリリースし続けているベテランらしいですが…確かに、それだけの貫禄ある音を出してますね。

プログレッシブで幽玄なキーボード、ロック的なダイナミックなリズム、ブラック由来の呪術的なリフなどを取り入れた、フォーク方向でなく、プログレ方向に進んだヴァイキングメタルと言える作風は、かなりENSLAVEDと共通する物があると思う。
ENSLAVEDの最新作(Vertabrae)と比べるとまだプログレ色よりもブラック/ヴァイキング色が強く、向こうが幻想の海を行くヴァイキングなら、こっちはドス黒い曇天の下を行く…という感じ。

1曲目の曇天から光が差し込むようなキーボード、4曲目の抉りこむような感触のトレモロリフなど、曲のパーツがジャンル内の類型的なものではなく、しかも狙った風景をしっかり演出できている事からも、確かな実力を持ったバンドである事を伺わせますね。

演奏、音質、メロディセンスなど各要素も隙がなく高品質。まだこの作品しか聴いてないですが、ノルウェーではENSLAVEDに並ぶ実力者なのではないでしょうか。フォーク的なメロディこそほぼないものの、ヴァイキングメタルの描く暗黒神話的な情景が好きならば、是非聴いておいて欲しい作品です。


HELHEIM - Kaoskult - Det norrøne alter ★★★ (2009-08-28 21:57:25)

キーボードの使い方が凄く良いですね。
真っ黒い雲から一筋の光が差し込むような感じ、なんですが、その光が空のドス黒さを更に感じさせる…みたいな。神話のワンシーンのような、幻想的な光景が浮かぶ曲。


HELHEIM - Kaoskult - Svart seid ★★★ (2009-08-28 21:55:51)

この、OPETHを暗黒エナジーでモザイク状に切り刻みました、みたいな凄みの効いたリフ捌きからして尋常じゃないですよね…その後の展開も暗闇に徐々に吸い込まれていくような救われなさがあるし。ヴォーカルの普通声が断末魔にも聴こえる…。


HELHEIM - Kaoskult - Symboler, bakover og fremover ★★★ (2009-08-28 21:56:40)

DISSECTIONの描いた情景を淡く淡く幽玄にしていって、ENSLAVED的なリズムと組み合わせたら全く違う風景が浮き上がって見えた、みたいな曲。この一曲だけでも、一味違うバンドだと分かりますね。


HELHEIM - Kaoskult - Åndevind ★★★ (2009-08-28 21:58:12)

こっちの方が出音がメタリックだし、全然路線も違うんですが、初期EMPERORに通じるような「禁忌に触れてしまった感覚」を呼び起こす曲。取りあえず地縛霊的というか、封印された悪魔の呼び声っぽいというか…なコーラスが恐いです。


HELL MILITIA ★★ (2006-01-07 04:40:00)

Mutiilationを始めとして、フランスのブラックメタラー達が結集し、結成したバンド。
でもMutiilationよりは聴きやすいかと思います。
ブラックを聴かない人からしたら50歩100歩だろうけど…(笑)


HELL MILITIA - Canonisation of the Foul Spirit ★★★ (2006-01-07 04:37:00)

おそらく2005年発表の1st。

メンバーにMutiilationの中心人物であるMeyhena'chが関わっている上にフランスのアングラブラックの猛者たちが終結したバンドだと聞いたので、Mutiilationよりも更にマニアックな音楽性なのかと思ってたら、案外まともにかっこいいブラックやってます。

音質もちょっとノイジーではありますが、癖がないので結構浸りやすいです。曲の方も最後の曲を除いてはまともですが、他のブラックの様に叙情的、破滅的な荘厳メロディを高音トレモロリフで掻き鳴らしたりといったりということはほとんどなく、ひたすら中~低音域をメインに黒い塊のようなリフを叩きつけるような作風なのでメロディック派には少しきついかもしれません。

あからさまにメロディアスではないリフで聴かせるブラックと言う事で、個人的にはどこかMAYHEMやここ最近のDARKTHRONEなどと共通する感覚があると思います。ヴォーカルは期待してたよりも更に良かったですね。Mutiilationでやってたがなり、絶叫とは異なり、今回はうめきをメインで使ってますが、このスタイルをMeyhena'chの奇妙に擦れた声でやられると物凄く不気味です。
なんか妙な威厳まであるし、死霊や怨念を体に纏わりつかせつつ地獄から這い上がってくるゾンビを思わせます。私のような好き者は、正直言ってこの声を聴いているだけでなんともいえない気分になってしまいます(笑)。

ちなみにCDをプレイヤーに入れると9曲目までしか表示されませんが、ちゃんと9曲目の後に10曲目が入っているのでご安心を。それと、一応2000枚限定っぽいので、欲しい人は急いだ方がいいかも。


HELL MILITIA - Canonisation of the Foul Spirit - Black Fucking Cancer ★★★ (2006-01-07 04:31:52)

MAYHEMの名曲FUNERAL FOGを思わせるリフと病気ヴォーカルの奏でるアンサンブル、非常にかっこいいです。


HELL MILITIA - Canonisation of the Foul Spirit - Burning Human Pigs ★★ (2006-01-07 04:33:52)

一瞬音が消えてヴォーカルだけになる入りかた、良いですね。声だけで一気に音にひきつけてしまうパワーがあるように思います。もちろん曲そのものも非常にダークで良いですけど。


HELL MILITIA - Canonisation of the Foul Spirit - Ritual / Years Ago ★★★ (2006-01-07 04:35:03)

メロディを歌おうとしているのに擦れすぎてるヴォーカル、明らかに吹けていない口笛が狂ってるんだかメロウなんだか良く分からないリフに乗るぶっ壊れた曲。このアルバムでもっとも病的なパートでしょう。これは気持ち悪い…(笑)。正直言うと、ムードにないときはあんまり聴きたくない曲、かも。


HELL-BORN ★★ (2009-08-18 21:33:00)

ポーランドのデスメタルバンド。BEHEMOTHのメンバーも在籍。
…そのネームヴァリューで最新作買ったんですが、このバンドは「当たり」ですね。
本当にポーランドのデスメタルは質が高い…。


HELL-BORN - Darkness ★★★ (2009-08-18 21:25:00)

2008年発表の5th。
BEHEMOTH人脈という事で、やっぱり重量級でドスの効いたデスメタルサウンドを期待してしまいますが…正に、その期待に見事に応えてくれるアルバムですね。

今のBEHEMOTHがファストパートを多用した、圧倒的なエネルギーで磨り潰すような作風だとすると、こっちは重心の低さや基本的な路線は継承しつつも、ミディアムテンポも多く取り入れ、よりリフを聞かせる事に重きを置いたような音楽性。
そのリフも、スラッシュ由来の刻みやデス由来のうねりがありつつ、BEHEMOTHに通じるようなブラック由来の禍々しい宗教性が息づいていて素敵です。

ヴォーカルもNergal似の、怒れる神を思わせる威厳のある咆哮型デスヴォイスで、本家に肉薄する迫力。…BEHEMOTHが最近人気・知名度を日本でも着実に上げているのに対し、こっちは然程話題になっていなかったので、「無難なデスメタルなのかな…」と危惧していましたが、「無難」どころでは済まされないクオリティの高さに大満足。

曲・音ともに質では向こうに負けてません。カッチリしたバンドロゴの割にデス特有の湿り気もしっかり備えてますし、BEHEMOTHの新譜(Evangelion)が気に入った方は、こちらにも手を出してみてはどうでしょう。BEHEMOTH同様、「他の凡百のバンドとは一味違う」という、確信めいた力のある音出してます。


HELL-BORN - Darkness - Curse Me and I Win ★★★ (2009-08-18 21:27:12)

この曲のコーラスパート、バンドがステージで演奏してるというより、邪教の法皇が演台から何万人の信者を見下ろし、聖杯を掲げて説教をしているような雰囲気がありますね。この平伏したくなる威風は、BEHEMOTH以上かもしれません。「圧倒的なミディアムテンポ」とは、こういうことを言うのではないでしょうか。


HELL-BORN - Darkness - Hellfire ★★★ (2009-08-18 21:30:58)

「The Black of Me」とは逆に、コーラスパート以外をトレモロリフで覆い尽くした曲。タイトルからして、多分にブラックメタルを意識しているのかもしれません。もちろんこういう曲(デスの重さ+ブラックのトレモロ)は大好きだし、当然星3つの評価です。


HELL-BORN - Darkness - In Satan We Trust ★★★ (2009-08-18 21:28:06)

ブラック的な禍々しいトレモロリフが、デス的なへヴィネスで更に黒光りして聞こえる曲。ここまでかっこよくトレモロリフを聴かされたら、気分が昂ぶらない訳はないでしょう。途中のベースと囁きだけになる展開を執拗に挟むパート、聴いてたらなんか恐くなってきました…。


HELL-BORN - Darkness - Refuse to Serve ★★★ (2009-08-18 21:26:25)

BEHEMOTHが知名度を上げた事で、彼らに興味を持った方も多いと思われますが(私もその一人です)、そんな人たちを有無を言わせず納得させるであろう1曲目。禍々しいだけでなく、広がりも感じさせるリフが素晴らしい。宗教目的で作られた、壮大な彫刻を目の前にしているかのような圧倒的な感じがある。


HELL-BORN - Darkness - Submission ★★★ (2009-08-18 21:29:00)

リフやリズムには躍動感があって、オールドスクールな感触のある曲…なんですが、出音もヴォーカルもドスが効きすぎてるので、やっぱり真っ黒に聴こえますね(笑)。でもこれだけ重い音を躍動感を持って聴かせられる辺り、瞬発力があると言えるのかも。そういう曲調だけに、後半啜り泣きが酸化したようなトレモロに重なる、不気味なパートが出てきたときはかなりビビりました。


HELL-BORN - Darkness - The Black of Me ★★★ (2009-08-18 21:29:56)

この曲もオールドスクールさが感じられる…と思ったら、コーラスパートはトレモロ全開なんですね。しかも高音を強調して、キーボードの様に聴かせることまでやってるし…。オールドスクールな感触のパートもコーラスパートも、どこか活き活きして演奏してる感じがするんですよね。本当にこのジャンルを好きな人が作った曲という感じ。


HELL-BORN - Darkness - The Dead Don't Preach ★★ (2009-08-18 21:31:47)

ヴォーカルパートはこの曲がベストかもしれません。
まるで自分が獅子であるという催眠術にかかっているかのような凶悪さ。Nergalより声色こそ少ないものの、威厳では決して負けていないのではないかと思います。…でも、無音部分ははっきり言って不要。大して効果上げてない気がする。


HELLEWACHT ★★ (2012-01-05 23:13:10)

ベルギー産ブラックメタルバンド。
THRONUM VRONDORのVrondor氏が在籍。


HELLEWACHT - EUVELE DAEDEN (2012-01-05 23:13:57)

2009年発表の1st。

THRONUM VRONDORでもなかなかにユニークなプリミティブブラック観を提示していたVrondor氏がベースを担当するバンド…との事ですが、こちらのバンドでも結構個性のある音を出してますね。音的にはオールドスクールで、メロディ薄めなリフを軸に展開する、粗い音質のプリミティブブラック。ギターの音色が粗く篭った音質、ガーガー絶叫するちょっと鳥っぽい感じのヴォーカル等、正直B級っぽい音ではあると思う。

ただ、音像は割と個性的で、それが魅力になってると思う。
粗めのリフの音色と低音にユルユルとメロディを垂れ流すベースの音色が合わさると、チープながら妙な引力が発生しているような、何故か惹き付けられる音になってるんですよね…。時折ぼた雪を思わせる、「軽い重量感」のある刻みを入れて来ますが、そうなるとそれが更に強調される感じ。この変な引力に引き寄せられる感じは、イヤフォンよりもスピーカで聴くとより強くなる印象。

正直マニア向けの音源だとは思いますが…個性派の多いベルギーのシーンを追ってる方ならこのバンドもチェックして損はないんじゃないでしょうか。


HELLVETO ★★ (2009-02-27 21:53:00)

ポーランドの独りペイガン/シンフォブラック。
GRAVELAND、EQUILIBRIUM、ELUVEITIE、PERUNWITなど、ペイガン系の
バンドは幾つか聴きましたが、一番衝撃を受けたのはこのバンドですね。
ペイガン好きなら、マジでこれは聴いておいた方がいいですよ。


HELLVETO - Neoheresy ★★★ (2009-02-27 21:49:00)

2008年発表の11th。
某雑誌で、SAMAEL、MELECHESH、SATYRICONなど私的に鼻血もののラインナップが引き合いに出され、かなり好意的にレビューされていたので興味を持ち、購入に至ったんですが…すっごいですよ、これ…。

他のペイガン系のバンドを引き合いに出すなら、パーカッシブなリズムを上手く用いて異教的な情景を描く近年のGRAVELANDのスタイルに、幽遠なシンセや雄々しいクワイアを用いて風景を描くLORD WINDの手法を足した感じ、でしょうか。

これらのバンドが風景の描写や異境思想の伝達など、一般的なメタルの価値観とは別の所に独自の価値観を成立させている(そもそもLORD WINDはシンセ音楽だし)ように思えるのに対し、このバンドはリフは重いし、ブラストもするし、よりメタリックな感じ。
パーカッシブなリズムを刻みリフの重さが更に引き立てていたり、ブラストが野蛮な雰囲気をより強いものにしていたり、ペイガン的な価値観をメタリックな音によってより強固なものにすることに成功しているという印象。

メロディ、シンセの音色、アコギの鳴らし方などフレーズの一つ一つにいちいち異教の文化のロマンや力強さが息づいていて、聴いていて取り込まれそうになってしまいますね…。個人的には、アンチキリスト的な過激さだとか、異教的な禍々しさだとかよりも、美しい景色を見た時のような胸を打つ感覚、そうしたものを聴いていて感じられるアルバム。
何か根源に訴えかけるものがある作品だと思います。ヴォーカルが野蛮な唸り声で少し好みから外れているのを差し引いても、衝撃作であり名盤。ペイガンに少しでも興味があれば必聴。

しかし、このアルバム、明らかに凄く作りこまれてると思うんですが…こんな作品を独りで、何作も作り続けているL.O.N.氏はちょっと異常だと思う(良い意味で)。


HELRUNAR - Frostnacht ★★★ (2011-11-04 23:13:17)

2005年発表の1st。
…ドイツ語全く分からない私でも意味が分かるアルバムタイトル(笑)。

Lupus Lounge発の、ジャーマンペイガンブラックという触れ込みでしたが、民族っぽさは多少メロディに感じられるくらいで、実質的にはリフやアコギパートに込められた叙情メロで押す、メロディックブラックに分類できそうな音。しかしその民族っぽさが、かなり良い味になってるんですよね。メロブラの身を切る寒々しさだけでなく、民族的なメロウさも兼ね備えたリフのメロディは、他のメロブラよりも神秘的で、一段奥深いような印象を残します。

また、音質も悪くないし、カルト方向に行かない、メタリックさもかなり強い作風ではあるんですが…ヴォーカルの憎々しげに潰れた絶叫であるとか、クリアながらガリガリと金属質で尖った質感のリフの音色であるとか、メジャーでオーバープロデュースされたバンドよりも生々しさを残してくれているんですよね。この生々しさが、この作品の神秘的なムードを更に強いものにしているように思います。

しかしNEGURA BUNGETにFARSOTにSOTMに…Lupus Loungeってほんと良いバンドとばかり契約を交わしてますよね…。このレーベルの色が好きな方にも大推薦の一枚。


HELRUNAR - Niederkunfft (2016-03-23 21:06:29)

2015年発表の4th。
タイトルは出産に備えている状態を指すドイツ語らしいです。

…このバンドは10年前に出た「Frostnacht」を聴いていて、不吉さと土着的な叙情性が入り混じったメロディをリフに練り込んだ、良質なペイガン/メロブラだったので、今どうなっているのか期待して聴いてみましたが…。結論から言ってしまえば、正直微妙なアルバムですね…。

以前よりもメロディをあからさまに押し出すパート自体が少なくなったことと、プロダクションがチープさの無い、重々しさを前面に出すようになったことで、特徴的だった湿り気のある土着的メロウさが減退。代わりに重っ苦しいムードが演出されるようになりましたが…正直これは求めていなかった変化かも…。なんか妙に硬派になってしまった気が…。

とは言っても、土着的メロディがなくなった訳ではなく、単にバランスが変化した…という感じですので、人によってはこれくらいの方が丁度良く感じるのかも。私的には正直地味に感じます。


HERESI ★★ (2012-03-09 22:32:02)

ex-ONDSKAPTのSkamferによる独りブラック。
一枚目のEPの時点ではセッションドラマーを起用していたらしいです。


HERESI - Psalm II - Infusco Ignis ★★★ (2012-03-09 22:33:46)

2006年発表の1st。
LEVIATHANのWrestによるアートワークが実に禍々しい…。
一応フル扱いですが、演奏時間は28分とやや短め。

路線としては、多少プリミティブ寄りの感性を感じるものの、説明の必要がないくらい王道のブラックメタル。正にジャンルのど真ん中の、邪悪さを貫いた音を出してます。しっかり低音も効き、迫力がある中に若干ノイジーなリフとドコドコ響くドラムが鳴る音作りは、非日常的な饐えた黴臭さを感じさせてくれるもので、ブラックメタル好きにとってはひたすらに心地良い音。流石Necromorbus Studioでのレコーディングって感じです。

スタイルに関しては説明不要な感じですが、楽曲の素晴らしさ、これは言及せざるを得ません。トレモロリフには北欧産らしいメロウさと、流しているだけで部屋が魔界化していきそうな妖気の匂い立つ、妖しい邪悪さが込められており非常に魅力的。単にトレモロを弾いてるだけでなく、フレーズがしっかり練られているのが良い感じ。ノリのいい、オールドスクールな部分もあり、それがまた音像の毒々しさを強調してるんですよね。瘴気が形を成したかのようなドスの効いた、エグいがなりヴォーカルも素晴らしい。

曲が良すぎて、28分という演奏時間の短さが恨めしくなること請け合いな作品。ONDSKAPTやFUNERAL MISTのような、ブラックの王道の音を出しつつも、宗教的だったり病的だったりといった、非日常の光景にどっぷり浸らせてくれるバンドが好きならば必聴かと。


HERESIARCH SEMINARY - Dark Ages of Witchery ★★★ (2014-08-09 22:17:13)

2010年発表の1st。

SATANIC WARMASTERの名作「Carelian Satanist Madness」の頭2曲をカヴァーするという、偏愛っぷりに興味を持って購入しましたが、これがなかなか良質なプリミティブブラック。当然のようにSATANIC WARMASTERから強い影響を受けたようなメロウなプリブラで、SxWxの作品で例えるなら1stのプリブラとして分かりやすい衝動性と、3rdのドラマティック・メロディックさを上手く折衷させたような感じでしょうか。流石にインテンスさでは一歩譲るように思いますが、単なるフォロワーで片付けられない質の良さがあると思います。

ヴォーカルも(SxWxの)Werwolf氏を意識したような喚き声ですが、このヴォーカルは更に悲痛さ・壮絶さを感じさせるホイッスル気味の絶叫と、地の底から響くような低音でのタメなどを使い、単なる模倣でないスタイルを構築してるのが良いですね。個人的にはこっちのヴォーカルの方が好きかもしれません。ちなみに、SxWxのカヴァーは、「Vampiric Tyrant」ではキーボードを使用していないため、原曲よりドラマ性では一歩譲る感じがあるものの、音質の癖がオリジナルより少なめなこと、ヴォーカルのキレが良いこともあり、なかなか良い出来だと思います。ただ、この2曲がラストにある事で、「やっぱりSATANIC WARMASTERって良い曲作ってるよなぁ…」と思わされてしまうのは、正直どうなんでしょう(笑)。どうしても「フック」の面でまだ差があるように思ってしまうというか。

とは言っても、プリミティブブラックとしては超が付くほど良質。ちなみに音だけ聴くと如何にも国で言うとフィンランドとか、レーベルで言うとNorthern Heritage辺りを連想してしまいそうな感じですが、実はロシア産かつSelf Mutilation Services発という意外さ。ちょっとイメージと違いますけど、良質なブラックであることは間違いないので、北欧プリブラ好きであればお勧め。


HERETOIR - .Existenz. ★★★ (2014-05-13 22:10:57)

2009年発表の5曲入りEP。
隠しトラックでやたら音量の大きいピアノ曲が入ってます。

ALCESTやAMESOEURSなど、シューゲイザー的な感性を持ったバンドが台頭し始めてきた頃にかなり話題になったバンドで、今更ながら聴きましたが…確かにこれは素晴らしい!最近余りにもポスト方向に行き過ぎてて、「これ別にブラックじゃなくて良いよね」ってバンドも少なくないですが、これはシューゲイザー/ポストブラック的な儚さも醸し出しつつ、ブラックメタルのスタイルを取る事に必然性のある作風なのが良いですね。

まずメロディなんですが、ALCESTやAMESOEURSに影響を受けたという「儚さ」「エモーショナルさ」はしっかり感じさせつつも、パートによってはブラック特有のささくれ立った、厭人的で近寄りがたい感覚もあるのが素晴らしいんですよね。2曲目なんかは、ポスト/シューゲイザーブラック特有の感情に満ちたメロディを聴かせつつも、一部のパートではWLA期のMAYHEMに通じるような冷徹さすら感じるような気がします。

また、プロダクション、楽曲の両面でRawブラックの感性が強いのも特徴。生々しさを残した、乾いたドラムの音が実に耳に心地良い。オールドスクールに疾走するパートや、ツーバスで弾幕を張るようなパートとかホント気持ちいい。繊細なメロディを聴かせるパートとの対比もあって、上手くメリハリの付いた展開になっているように思います。

そしてヴォーカルの素晴らしき絶叫っぷりも特筆したいところ。この手で裏声ベースだと、どうしてもふなっしー的な滑稽さが漂ってしまいがちですが、このヴォーカルはホイッスルをベースに、思いっきり歪ませたような悲痛絶叫。マジで頭を抱えながら、血の涙を流して叫んでいそうな絶叫ですよ…。ALCESTのNeige並みの悲痛さと言っても過言ではないと思う。

流石に聴く時期としては遅きに失した感じですけど(笑)、やはりこれは話題になるだけあって良い作品ですね。ポストブラックの儚さだけでなく、本来的なブラックメタルとしての旨みも感じられる点が特に素晴らしい。


HIDE - hide BEST ~PSYCHOMMUNITY~ ★★ (2004-05-18 20:10:00)

HIDEの音源を一番初めに買うには、まさにうってつけのベスト盤だと思います。
「DICE」「MISERY」「ever free」といったシングルヒットだけではなく、「限界破裂」「FLAME」といったHIDEを語る上で絶対に外せないであろう音源をきちんと網羅している所が素晴らしいです。
しかもHIDEの活動や音源についての読み応えのあるブックレットもついていて、買って損は無い一枚だと思います。


HIEMS ★★ (2011-08-06 10:43:31)

FORGOTTEN TOMBのAlgolによるブラックメタル。
バンド名はラテン語で「冬」の意。


HIEMS - Worship Or Die ★★ (2011-08-06 10:45:32)

2009年発表の2nd。

火炎瓶を持った軍人と、バンドロゴが厚みのある塗料で描かれている、何気に凝ったジャケや、Moribundからのリリースということからも想像がつく通り、FORGOTTEN TOMB本隊よりも大分オーソドックスに攻撃性を発揮するブラックを演ってますね。独りブラックですが内省的な暗さよりも、エクストリームメタルとしての攻撃性が高い音。

ただ、基本はオーソドックスで凶悪なブラックメタルなんですが、後半ではグルーヴィなリフ・リズムを取り入れたり、ハモンドを挿入した長尺曲があったり、ハードロックやプログレへの傾倒を押し出したり、毛色の異なる展開も見せてますね。剰え、昔のブリティッシュロック(GUNのRace with the Devil)のカヴァーまで演ってますが…個人的にはこういう音楽に何の思い入れも無い(むしろ苦手)ので微妙ですね…サイケ趣味とブラックの凶悪さが上手い事合わさった長尺曲「Hiems」~「290979」は好みなんですが。

そういう訳で、最後はちょっと好みから外れてましたが、悪くない作品かと。しかし、どのバンドもルーツ追及しすぎですよ…私的には懐古より新しいものを生み出す方向に創造力を向けてほしいですけど。ポストブラック聴けって言われそうですが。


HILLS OF SEFIROTH - The Neglected Ancestry (2011-10-19 21:02:01)

2005年発表の2nd。

6曲48分の大作主義な作風ながら、基本的にはジリジリとしたギターリフで責めたてる、プリミティブブラックの鋳型に忠実な音ですね。ただし出音は結構独特で、ギターの歪みやメロディ成分が一体となって、ドリルを捩じ込むように耳に刺さるような感触があるのが特徴。ドラムのRAWさを逆手に取った疾走もかっこいいです。時々ズレてる感じがあるのも味があって良いです(笑)。

個人的には、ミックスまで含めたヴォーカルのエグすぎるパフォーマンスも聴き所ですね。明らかに喉を潰して出しているような、ヤケクソ感と無理矢理感たっぷりな絶叫スタイルで、マイクが近いのか音量がかなり大きくて凄まじい迫力。この耳元で叫ばれてる感じがたまらないです(笑)。その声の陰湿さを際立てるような、根暗な感じのメロディも悪くないです。

ただ、「セフィロトの丘」なんて仰々しいバンド名の割には、曲が普通すぎるのが惜しいかも…。確かにヴォーカルは凄絶だし、邪悪が湧き出すようなトレモロリフのパートなんかは聴き応えありますが、もう少しこのバンドならではの何かが欲しかったところ。この時点ではこの系統のブラックが好きな人にのみお勧めという感じです。


HINSIDES - Universe Aspire in Mysticism (2014-08-13 22:32:36)

2010年発表の2nd。

…一言で言ってしまえば、プリミティブ(Raw)ブラックとアトモスフェリックブラックの良い所取りの作品ですね。プリミティブ系に通じる2ビートでのツタツタした疾走を中心に、緩急付けたドラマ性を持たせて展開する、如何にもなブラック。ヒリヒリした、刺々しいノイジーさを演出する音質が、リフの寒々しさをより強調しつつ、バンドの音にオブスキュアな感触を加味する作風。

ほんとに「如何にも」って感じの音なので、普段からブラックメタルをメインで聴いているリスナーに取っては、家に帰ってきたような落ち着きを感じるのではないでしょうか。ただ、ブラック好きには耳馴染みの良い音ながら、何か他のバンドと比べて突出したものがあるかどうかというと少し疑問も。刺々しい音は勢いも感じさせ、「やってやんよ」的な攻撃性の高さが感じられるのは良いんですけど。

という訳で、悪くはないけど個人的には後一歩という感じでしょうか。渋い作品も嫌いではないですが、やはり何か際立ったり尖ったりしている部分が欲しい所。