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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2901-3000

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2901-3000
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HINSIDIG - Bak og forbi... ★★★ (2014-06-16 23:47:05)

2009年発表の5曲入りデモ。
Pest Productionsから1000枚限定でリリース。演奏時間は32分程度。

Pest Productionsが目を付けることからも察せられると思いますが、幽玄なアルペジオやアトモスフェリックにバンドサウンドを包むキーボード、メロウに掻き鳴らされるトレモロなど、エモーショナルな情景を描き出す「ポスト」要素の強めなブラックメタル。この手のバンドって、最早ブラックよりシューゲイザーに近い音を出してたりしますが、このバンドはこの時点ではブラックに両足突っ込んだままという感じの出音。

楽曲自体は深山幽谷を感じさせるような、湿り気のあるアトモスフィアの強い感じなんですが、実はバンドサウンドは若干Raw。時にテープ起こしっぽい歪み方をしている辺りリアル。ただこの音が、情景に深みを与えているような気もするんですよね。また、トレモロに込められたメロディは、儚さやメロウさだけでなく北欧産らしい土着性も感じられたり、ヴォーカルが引き千切るような歪み切った絶叫を聴かせてくれたり、やはり「ポストブラック」と言い切るには、北欧ブラックの感性がかなり強く出ている印象。

デモという位置づけですが、それなりにボリュームはありますし、何よりしっかり狙ったであろう世界観を提示出来ているのが好印象です。レーベル買いしても損はないかと。


HIRILORN ★★ (2012-03-09 22:24:34)

覆面バンドの筈なのに、何故かDEATHSPELL OMEGAのメンバーだと広く知られているHasjarlがかつて在籍していたバンド。現在は既に解散してしまっています。


HIRILORN - A HYMN TO THE ANCIENT SOULS ★★★ (2012-03-09 22:25:15)

97年発表の5曲入りデモ。
NASAVの「Umr At Tawil」とスプリット形式のCD-Rもリリースされていて、私が持っているのもそっち。

しかしこの作品、DEATHSPELL OMEGAの中心人物が関わっていた…という予備知識があると、かなり衝撃を受けますよね。オープニング明けの2曲目から、ペイガン風の男泣きの入った、クサいと言っても過言ではないリードギターが登場、しかもそれが作品全編に渡って聴ける…という。3曲目ではアコギと語りを交えたパートも導入されるなど、エピックな展開も見られます。

勿論邪悪に、プリミティブに疾走するパートもあるんですが…メインはペイガン風の非常に美しいメロディの入ったパート。正直初期DSOの延長線上のカルトな路線を期待するとギャップに面食らいますが、このメロディセンスはほんと素晴らしい。ただ、スプリットとして聴くと持ち時間少ないのにオープニング及びエンディングが長めなこと、リードギター以外が消え入りそうな音の小ささはちょっと不満かも。

DSOのメンバーが演っていたバンドの初の音源という、資料的な価値も高い作品ですが、それ以上にこのメロディの素晴らしさに惹かれます。DSOでも音楽性を変えつつ名盤をリリースし続けるし、Hasjarlって何をやっても良い物を作る才能がありますよね。


HJARNIDAUDI - Niklas Kvarforth Presents... ★★ (2010-02-01 19:41:00)

Vidar氏による独りドローン/フューネラルドゥームの1st「Pain Noise March」(2006年発表)に、SHININGのKvarforthがヴォーカルを加えたリイシュー盤。2008年発表。

低音のうねりがそのまま抑鬱感に繋がるような低音に、乾いたギターメロが乗る、サイケデリック/ナルコティックな作風で、Kvarforthが参加したバンドであるSKITLIVに近い音。ただ、2曲目や3曲目のラストなどでブラックメタル的なトレモロリフが、偏執的に挿入されるとはいえ、こちらの方がHR/HM色はより薄く、しかもKvarforth氏のヴォーカルが絶叫ではなく、持ち前の表現力で静かに恐怖を煽るタイプなので、より非人間的な印象。
…1曲目の後半、不意に神秘性を増す箇所なんて、意図せずして祟り神のような、超常的な「何か」と交信の回路が繋がってしまったかのようでかなり恐い。

例えば、WORSHIPほど哀しいメロがあれば、そこにシンクロする事で癒される事もあるかもしれないし、STALAGGH程のインパクトがあれば、刺激を求めて、意外と聴けてしまうかもしれません。しかし、これは精神的に少しずつ追い詰めていくような感じで、リスナーにそうした逃げ場を与えてくれません。お酒と向精神薬を同時に飲んで、更にこれを聴いたら本当にトリップするかも…決して実行しないで下さい。

…と言いつつ、もし人生にぶっ詰まったら実践してみてもいいかなーとか思う今日この頃(笑)。


HOLLENTHON - Opus Magnum ★★ (2008-11-13 21:09:00)

2008年発表の3rd。
ミディアムテンポの重厚なデスメタルを主体に、混声クワイアやど派手な
オーケストレーションを大胆に導入した、超が付くほど大仰なシンフォニック・デス。
デス由来のエグいへヴィなリフだけでなく、メロデス的なメロディックなリフも聴け
ある程度は聴きやすい音になってはいますが、そのメロディにもどこか禍々しい狂熱が
感じられ、宗教的というか、神話レベルに踏み込んだ壮大さがあるのが特徴ですね。
威厳に満ちたディープなデスヴォイス、超大仰なシンフォ要素にも飲まれる事の無い
デス由来のバンドサウンドのヘヴィネス、静と動を上手く用いた劇的な展開など、
全ての要素が壮大な世界観の構築に向けられている感じで、全編を通じて、人の歴史が終わり
神話の時代が到来する時、世界を包む浄化の炎の中で演奏してるようなイメージの浮かぶ、
テンションの高い作品になっていると思います。
ゲームで言うなら総プレイ時間の99%がラスボス戦に費やされるRPG、漫画で言うなら
「ベルセルク」や「Bastard!」の一番派手シーンな所だけ抜き出した物の様な大仰さで(笑)、
普段からメタルを聴いている人を引かせてしまうほどブルータルという訳でもないし、
デス要素が大丈夫であればRHAPSODYやTURISASなど、ドラマティックなメタルが好きな人
全般に勧めてみたい作品。スポーンと千手観音を混ぜ合わせたようなジャケや、テケテケ風の
メンバー写真など独自の美意識の感じられるアートワークも面白いですよ(笑)。
しかし、これ程のバンドが日本で話題にならないとは…
やっぱり、日本だとバンド名が「ほうれん草」に見えて敬遠されるのかな…?


HOLLENTHON - Opus Magnum - Dying Embers ★★★ (2008-11-13 21:14:34)

静と動の組み合わせの巧みさならアルバム1だと思います。
メロウに攻めると思いきや、突然街一つ全焼レベルのど派手なアンサンブルが大炎上!!聴いてると世界を滅ぼす力を持った怪物にでもなった気分になりますね(笑)。そんな気分になる曲ばっかりですけど(笑)。


HOPE DRONE - Cloak of Ash ★★★ (2015-12-31 12:30:11)

2015年発表の1st。

ブラックメタル特有のトレモロリフとノイジーな音質、スケールの大きな展開で聴かせる、いわゆるアトモスフェリック・ブラックやポストブラック路線の音ですが、クリーンヴォーカルは排されていたりなど、過剰なメロウさは抑えられている傾向で、ブラックの持つ本質的なダークさが前面に押し出されている辺り、「White Tomb」「Mammal」期のALTAR OF PLAGUESなどにも通じる音ですね。サタニックというよりはエスカティック(終末的)というか、どこか荒廃した情景が浮かんでくるような音。

個人的にはこの手のバンドでも凄く好みの音です。情景的・音響的であることと、楽曲的・劇的であることのバランスが凄く良いんですよね。リフのノイジーさの中にドラムやらヴォーカルやらメロディやらが上手く溶け込んでいる感じで、うっとりと聴き入ってしまうような音。最初のドローンめいた音で始まるオープニングからして、なにか衝動だけではない本気さを感じさせる音響へのこだわりぶりが垣間見えますし。

昨今ではこの手のアトモスフェリックブラックは珍しくないですが、根本的なクオリティや、ダークさを貫いてくれる感性など、頭一つ抜けて良質な音を出しているバンドだと思います。ポストブラック好きだけでなく、Cold Dimensions勢やLes Acteurs de L’Ombre勢、最近リリースがあったバンドならTOMORROWWILLBEWORSE、MARE COGNITUMなどに惹かれた方にもお勧め。


HORDE OF HEL ★★ (2011-06-29 21:23:13)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
IN BATTLEやVALKYRIAのメンバーが絡んでます。


HORDE OF HEL - BLODSKAM Ⅱ ★★ (2011-06-29 21:25:03)

2009年発表の1st。

このアルバム、紹介されてるサイトによってタイトルが「BLODSKAM」だったり「BLODSKAM Ⅱ」だったりするんですが、どっちが正しいんでしょう?取り合えず私が持ってるCDの背面には「BLODSKAM Ⅱ」と書かれていますが…。

それはともかく、関連メンバーがIN BATTLEやVALKYRIAと割とまともにエクストリームメタルしてるバンドの構成員で、かつDevoがマスタリング、Mortuusがアートワークを担当…と、MARDUKのメンバーによるバックアップも受けてるので、おそらくカルト性よりメタルとしての完成度が高いタイプだろうと踏んでましたが…なんじゃこりゃ!グロテスクな異形を聴き手に見せ付けるような音楽性のブラックですね…。

まずSE明けの、エクストリームメタルとしては弱々しいと形容しても間違いではない、しかし赤黒い靄のかかったような音質のバンドサウンドからカルト臭が漂ってきますが…そこにキーやギターによるクラシカルなフレーズ、ヴァイキングじみた朗唱、インダストリアル的なサンプリング等を脈絡無く叩き込んできて、凄まじくカオスな事になってるんですが…クラシカル部分が妙に上品なメロディなのも気持ち悪い(笑)。

しかも、クラシカルなキーだとかインダストリアルなサンプリングとか、SE的に使うのでもなく、普通に曲の展開の一部として、そこにRAWで弱々しいバンドサウンドを絡めて来てますからね…。まるで様々な動物が未消化の状態で融合したキメラが、ゲル化した体を引き摺り、血の跡を残しながらのた打ち回ってるようなグロテスクな仕上がり。ほんとキモいなぁ、この音楽性(笑)。

ただ、バンドサウンドが弱々しい(というか音が小さい)のは個人的にはやっぱりマイナスですね…確かに雰囲気は出てるし、音楽性そのものは十分面白いと思うんですが。その辺りもう少しバランスが良ければ、☆は3つだったかもしれません。


HORDE OF HEL - LIKDAGG ★★★ (2012-09-28 20:16:53)

2011年発表の2nd。

…一体何なんだこの変わりようは(笑)。
まず前作で不満だった音の小ささ、弱々しさは完全に解消…どころか、これ音圧で言ったらブルータルブラックと変わりないんじゃ…というくらい爆音に。音の圧力が増し、KRIEGやBLOOD OF KINGU辺りにも通じる殺気を感じる音作りに。まるで人の何倍もある、邪悪なガーゴイルの像が鎮座ましましているかのような圧迫感。

音作りの変化と共に作風もかなり変わり、アンビエントパートもありつつも、それはあくまで補助的な使われ方で、基本はバンドサウンドの凶悪さを直接ぶつけてくるような、ある程度ストレートなものになってはいますが…やはりどこか狂気染みたグロテスクさを感じるのは相変わらず。トレモロリフが邪悪なメロディを奏でる箇所なんて、ガーゴイル像から吸っただけで内腑を腐食させる、有害の波動が放出されているような、破壊的なまでの不気味さを感じますし。

…個人的にはこっちの路線の方が好みではあるんですが、ここまで変わってしまうとMoribundからRegainに移籍して、レコード会社の意向が入ったんじゃないかと邪な勘繰りをしてしまったり(笑)。まあ、こんなマニアックな音楽性を持っているバンドが外的要因にそうそう音楽性を左右されたりしなそうですけどね。


HORDES OF THE LUNAR ECLIPSE - Dancing Demons in the Grey-Lit Glade ★★ (2012-09-13 23:28:04)

2003年発表の1st。

バンド名は日本語に訳すると「月蝕の徒」みたいな感じでしょうか。どことなくシンフォニックだったり、オカルティックだったりするものを想像する名前ですが…実際は弾幕系とでも称したくなるような、衝動性溢れる荒々しいブラック。音量やや小さめ、しかし手数が多くRAWなドラミングが粗いギターリフと一体になって出来る、砲撃が次々に着弾するかのような音はWARブラックにも通じるダーティな聴き心地がありますね。

しかしそのRAWな音から漏れ聞こえてくるメロディは、バンド名から想起されるような、青い燐光が仄かに煌くようなオカルト性・ロマン性のあるものでなかなか素晴らしい。特にメロディアスさが強調された6曲目などは、彼らのメロディセンスが堪能できる好例と言えるでしょう。曲によっては弦楽器も導入し、エピックな展開を見せるなど、衝動性だけではない構築性もある楽曲展開も見所ですね。

知名度的にも割とマイナー物件だし、作風自体確かに全くメジャーっぽさはないんですけど、この粗い音が聴き心地がいいのは確か。メロディの聴かせ方も悪くないですし、マニアな方にはお勧めです。


HORNA - Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne ★★ (2008-04-19 07:15:00)

2005年発表の4th。
SATANIC WARMASTERやSARGEISTのメンバーが絡んでいたり、ジャケや使われているフォントの雰囲気からも想像される通りのメロウでストイックなプリミティブブラック。

CDのプレイボタンを押すといきなり口ずさめるくらいのメロディアスなリフが飛び出してくるし、メロウさの瞬間最大風速でいったらSATANIC WARMASTER以上と言えるかもしれません。音質も荒さを保ちつつ、ノイズが耳にそれほど痛くない歪ませ方で、作風のストイックさとも相まってプリミティブ特有の陶酔感を強く感じさせます。

また、SATANIC WARMASTERと異なる点としては、ペイガン系にも通じる勇壮なメロディが結構フィーチャーされているというのが挙げられます。曲によっては明るめとも言える気も。ヴォーカルは声がひっくり返る寸前みたいな狂犬じみたがなり声で喚きまくり。
ペイガン系の勇壮なメロディの下でも喚きまくりですが…この人、戦闘時には指揮官の命令なんか無視して敵陣に突っ込んでいきそう。それって兵士としてはどうなのよ、って感じです(笑)。

ブラックメタル好きなら棚に陳列されている状態で、ケース横のアルバム名とバンド名とそのフォントを見ただけで、ジャケを直接見なくとも想像が付くような音楽性。この手が好きな方には無論おすすめ。それほど癖の無い音質だと思うので、SxWxの3rdはノイジー過ぎると思う方も気に入るかも。


HORNA - Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne - Kuoleva lupaus ★★★ (2008-04-19 07:18:18)

この曲、音像やヴォーカルはやっぱりプリミティブブラックらしい邪悪さに満ち溢れてるんですが…メロディがどこか前向きな感じのメロウさがあるような気がします。聴いていると浄化されていきそうな感じ。


HORNA - Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne - Vihan tie ★★★ (2008-04-19 07:17:29)

一番プリブラとしての魅力を伝えやすい曲を頭に持ってきてますね。
CD掛けて最初の2秒でこんなリフが聴けてしまうのは反則でしょう。しかもサビ(?)では視界が開けるようなメロディ作りもあって更に叙情的に。北欧のメロウさを詰め込んだプリブラの名曲。


HORNA - Sanojesi Aarelle ★★ (2009-01-19 18:16:00)

2008年発表の7th。
ゲーマーには懐かしく思える(笑)黒ディスク仕様での二枚組みとなるアルバム。

「Disk1」

この作品も思いっきり「プリミティブブラックメタル」直球な音ではあるんですが、ファストパートでは豪速ブラストを炸裂させ、ミディアムパートではノリのいいリズムも聴かせる緩急の付いた展開、トレモロ一辺倒ではない、割と変化のあるリフ捌きなど「プリブラ=演奏が微妙」というイメージを覆すようなかっこよさのあるプリブラ。

メロディは他のフィンランド産プリブラと比較すると、哀愁より不穏さが強いように思います。何故か粗くも硬質だった「Evaatanags~」と比べると、音質は薄くてノイジーになり、より「プリブラらしい音」に近付いてはいるんですが…個人的にはこういうかっこいい作風ならもっと良い音で聴きたかったですね…。演奏のかっこよさとプリミティブ特有の陶酔感の二兎を追って微妙になってる気がするので…「Evaatanags~」くらいならベストなんですが…。

ただ、更に狂気を増した感のあるヴォーカルの凄まじさは本気でヤバいです。生まれたての悪魔が世界を呪う産声を上げている様な、ねちっこさある高音絶叫で叫びまくり。これ、MUTIILATIONの1st以上かもしれません。ただ狂気的なだけじゃなく、危なさ、凄み、そしてかっこよさまでどれを取っても申し分の無い、素晴らしいパフォーマンスです。

「Disk2」

一枚目はいつもの彼らという感じでしたが、こっちは4曲40分弱の大作主義。何故か音質も一枚目と異なり、やや硬質で重さがある音で、音量も少し大きめ。作風はやっぱり地下臭漂うプリブラなんですが…こっちはメロディにJANVSやLANTLOS、KRALLICE辺りのシューゲイズ寄りブラックの持つ美しさが、ほんの一滴だけ混じっている様な感じがします。
それが音質の粗さ、大作主義な作風と相まって、一枚目より陶酔感の強い音に。敢えて比べるなら、狙いの絞れていると思えるこっちの方が好みですね。

二枚とも作風が違い、HORNAの異なる表情が楽しめるアルバム。…まあ、似たような作風でプリブラ二枚組みだとそれはそれで拷問な気もしますが(笑)。


HORNED ALMIGHTY - Necro Spirituals ★★ (2011-12-23 20:24:03)

2010年発表の4th。

このバンドもオールドスクール路線のブラックメタルを演ってますが…ハードコア経由の炸裂感重視の方向や、ダーティな音質での冒涜的路線には行かず、デスメタルのヘヴィさを取り入れて肉体的な攻撃性を強化してきた感じですね。メロディアスでない、硬派なリフは重い音質で説得力を増し、ゴリゴリ言うベースも脈動する邪悪さを表現しているかのよう。ファストブラック程速さ重視ではないものの、非常にブルータルに感じる音。

また、ブラックメタルのがなりにデスメタルのグロウルのドスの効かせ方をプラスしたような、ド迫力のヴォーカルも個人的には特筆したいところ。単に声が野太いだけでなく、喚きやタメの効かせなど、表現力も(邪悪方向に)豊か。この声が音の持っているフィジカルな邪悪さを、スピリチュアルな方向にも押し上げているように思うんですよね。聴いていて惚れ惚れするような声。

出音の迫力はエクストリームメタルとしてもかなりのもので、名門Candlelight産らしいクオリティの高い作品に仕上がっていると思う。流石にメロディック好きには勧められませんが、ぶった斬られる様な一撃が欲しい方は是非。


HORNWOOD FELL - Yheri ★★ (2016-08-08 08:56:51)

2015年発表の2nd。

MAYHEMを始め、ENTHRONEDやWATAINなどに通じる、メロウさ・邪悪さ・攻撃性のバランスの取れたブラックメタル。乾いた質感がありながらもクリアな音作り、トレモロ疾走のみに固執しない起伏ある展開、殺気の篭もったヴォーカルのがなり声、土着性の感じられる不気味なメロディ…と、各要素ソツなくレベルの高い音ですね。結成は2013年の半ばとかなり新しいバンドのようですが、クオリティは既に第一線級。

ブラックメタルの王道の様式をほぼ踏襲しているような音で、特別に尖った作風という訳ではないですが、自然(土着性)と超自然(オカルト)の要素が交じり合ったような、独特な雰囲気があるのが特徴でしょうか。不気味で生気のないクリーンヴォーカルを取り入れたり、所々メタルを若干逸脱して、アンビエンス重視の志向性の禍々しさを醸し出したり、ムード作りの為の創意が随所に感じられるような音ですね。

流石にAvantgardeからのリリースだけあって、根本的なクオリティが高くジャンル好きには聴き入れやすい一枚。深く悪意渦巻く森に一歩一歩踏み込んでいくような雰囲気も悪くないですし、なかなかの好盤だと思います。


HORRIFIED ★★ (2011-09-25 08:51:25)

ギリシャ産メロディックデス/シンフォニックブラック。
2002年の3rd発表を最後にディスコグラフィーの更新が止まってますが、何気に結成されたのは89年でかなり活動歴が長いバンドだったりします。


HORRIFIED - Deus Diabolus Inversus ★★ (2011-09-25 08:53:33)

2002年発表の3rd。
OPETHのMikaelがゲスト参加。

付属のバイオグラフィーによると、「Genre : Melodic Death Metal」となってますが…確かに、リフにもしっかりメロディを練りこんでくるスタイルはメロデス的ですが、演奏の邪悪なマッシブさはデスメタル的でもあり、ブラス、キーボードを用いたシンフォアレンジやトレモロリフなど、シンフォブラック的なアレンジも見られ、各ジャンルの良いとこ取りと言える音になってますね。どこかゴシック的な頽廃性もありますし。

何気にFredric Nordstromがプロデュースを担当してるんですが、彼の洗練された、メタリックな重さをがっつり聴かせる音質が、このバンドの持つ作風にぴったり合ってますね。メロディの暗さもあり、かなり重厚な世界観が描かれてる。ヴォーカルはダーティな地声交じりのがなりですが、妙に野太い声質には呪いの石像が歌っているようなダークな響きがあり、やはり作風にあってると思う。

ただ、時折メロディなどの練りが甘い感じがあるのが惜しいかも。
特に1曲目、イントロのブラスが「パー、プー」という感じの、2音を組み合わせただけのメロディをしつこく聴かせ、剰えそれが曲全体の主題となって展開する作りには流石に辟易。リフのメロなどは作りこんであるし、他の曲はそうでもないですが…1曲目にしたせいで悪目立ちしてる印象。せめて1曲目じゃなければ…。

あと一歩、なにか売りがあれば大化けしそうなんですが、この時点でも重厚で高品質なダーク・メタルを演っていることは明白ですので、妖しい雰囲気のメタルが好きな方にはお勧め。


HORSEBACK - The Gorgon Tongue ★★ (2012-03-13 21:16:52)

2011年発表のコンピレーション盤。
07年のCD「Impale Golden Horn」、10年のカセット「Forbidden Planet」を収録の二枚組。

「Impale Golden Horn」
こちらの音源は、メタル色は希薄…というかほぼ皆無な、ドローン/ポストロック路線ですね。ギターの残響音や電子音が絡み合い、心地良くサイケデリックな浮遊感を感じさせてくれる音。一部で登場するヴォーカルも全てクリーンで、マイルドな声質で歌い上げてます。ニューエイジ思想で言うところのアセンション…人間の魂が次の段階にステップアップする次元上昇を体感しているかのような、非常に神秘的で日常から切り離された、しかし心地良い感覚を体験させてくれる作品。

「Forbidden Planet」
こちらは浮遊感は残しつつも、ノイジーさを増した音像、絶叫やトレモロなどを取り入れ、ぐっとブラックメタル色を増した作風。浮遊感は残しつつも音の作りがダークになり、地に足が着かないまま抑圧されているような、寄る辺ない感覚に襲われる音。アセンションに失敗して神の怒りに触れたかのような雰囲気。ただしギターのフレーズはトレモロを弾いていても、リフの役割を半ば放棄して音像の演出に徹底している感じだったり、絶叫もノイズ塗れで生々しさを感じさせないものであったり、やはり感性はポストロック的な部分を色濃く残している作品だと思う。

店ではALCESTなどとは逆に、ドローン/シューゲイザー/ポストロック方面からブラックメタルにアプローチした作品と紹介されてましたが、正にそんな感じ。普通のシューゲイザー寄りブラックよりも、もっと抽象的で形而上学的というか、実体感の希薄な音なんですよね。抽象的な音の世界に、ゆったりと漂う事に心地良さを覚える方にお勧め。


HORTUS ANIMAE - Waltzing Mephisto ★★ (2011-12-29 22:55:07)

2003年発表の2nd。

アルバム始まって間もなくの、アトモスフェリックなキーボードを鋭利なトレモロ疾走で切り裂いていくパートや、メロデス風のメタリックな刻みリフを聴いて、「このバンドはこんな感じか。なかなか良さそう」とか思ってましたが…良くも悪くもその時の予想は外されましたね。パートによってシンフォ要素の取り入れ方がガラッと変わる、ややアヴァンギャルド寄りのシンフォブラック。

前述のアトモスフェリック系以外にも、クラシカルな音色でクッサいメロディをバラ巻いて見せたり、シアトリカルで前衛的なムードを醸し出して見せたり、キーの使い方のパターンが多く、曲の展開は非常にドラマティック。…曲によってはキーボードを完全に脇に追いやって、メロデス/デスラッシュ寄りの曲まで演ってたりしますし、千変万化という言葉が似合う作風だと思う。

中でも驚いたのは、MAYHEMの「Freezing Moon」のカヴァー。IL BALLETTO DI BRONZOの「Lerzo Incontro」とMIKE OLDFIELDの「Tubular Bells」を含むという形式にも驚きますが、まさかMAYHEMのリフにピアノの合いの手が入る、シンフォなカヴァーを聴かせるとは…。「シンフォはブラックと認めない」みたいな人が聴いたら怒りそうですが、これはこれで非常に面白いので個人的には全然アリ。

ただ、曲自体やシンフォ要素の取り入れ方のセンスは高いと思うんですが、色々拡散し過ぎてて徹底してない感があるのが個人的にはネックかも。不条理系な音にしてはメタリック過ぎるし、宗教的というにはメロディが綺麗すぎる、という感じで。ただユニークな音を出している事は確かですので、個性派好きは是非。


HOUSE VS HURRICANE ★★ (2011-02-15 01:13:38)

オーストラリア、メルボルンのエクストリームメタルバンド。
まずバンド名が面白いですよね。どういう音か聴いてみたくなる。
ちなみに、結成は2006年とかなり若いバンドのようです。


HOUSE VS HURRICANE - Perspectives ★★ (2011-02-15 01:13:06)

2010年発表の1st。

一概に、メロデスともメタルコアとも言えない、独特な音楽性ですね。
グルーヴ重視のリフにメロいリードを絡め、基本ブラック寄りの絶叫ながらコーラスパートではクリーンも使うヴォーカルを乗せたスタイルは、メロデスやメタルコアに近いものですが…このバンドは、そこにサイバーなトランス風のキーボードを大々的にフィーチャーしているのが最大の特徴。

その音色が、ただ現代的なだけではなくて、幽玄さ、非現実性、スペイシーな感覚なども生んでいるのが、素晴らしいと思う。その感覚は同じく抽象的ムードを醸し出すリードギターのメロディと交じり合う事で、更に強くなってます。決して取っ付きにくくはないのに、プログレッシブな、もしくはポストメタル的な感触のある音。

ただ、クリーンが普通のハードロック風で、ブラックのような畏怖を感じさせるものでない事と、全体的に小粒に纏まってる気がするのは不満かも。特に後者、何故か日本盤ボートラで、一番古い曲のはずの「Forfeiture」が一番出来がいいのは少々マズいのではと思う。この曲はカオティックなリフとトランスのリズム、美しいピアノを取り入れたインパクト抜群な名曲なのに、進化と洗練の結果本編の(この曲と比べて)小粒な作風になったとしたら、ちょっと進化の方向が良くない方に行ってる気も。

とは言っても、取っ付きやすさ、独自性、クオリティの観点からいっても文句の無いアルバムである事は確か。ぶっちゃけ某所で投げ売られてたのをサルベージしてきただけなんですが、かなり楽しめてしまいました。


HRIZG - Anthems to Decrepitude ★★★ (2012-05-26 11:31:34)

2011年発表の2nd。

以前はセッションドラマーを起用していたようですが、この作品はHrizg氏が全てのパートを手掛けているようですね。アートワークも一部は彼の手によるもので、CDトレイ下のバフォメットのイラストは彼が描いたのだとか。

内容の方は、「情熱の国スペイン」のイメージを吹き飛ばすような(笑)、陰湿極まりないプリミティブブラック。ジクジクと腐食部分が広がるかのような毒の効いたトレモロ、後期MUTIILATIONに通じるダウナーなジャンキー風の低音がなり、泣き叫ぶように搾り出す絶叫など、この手のプリブラの中でも陰湿なムード作りに特化したような音ですね。

曲はいかにもプリミティブ系な疾走を中心としたもので、時折ドゥーミーなパートも挿入するタイプですが…高音のノイジーさを強調するタイプではなく、低音も効かせて荒々しいながらアナログ感や、コシのある音を演出するような音作りが、そのドゥーミーなパートにおいては特に説得力を持たせているように思います。曲作りと音質がしっかりリンクした、ある意味丁寧な作りの作風には好感が持てますね。

プリブラ好きなら何の問題もなく受け入れられるクオリティのある作品。ミニマルなだけではない、ある程度展開も重視した作風ですが、音作りが上手いのでミニマル系のバンド以上に聴いてて浸れる音になってると思います。


HURUSOMA ★★ (2008-04-23 22:42:00)

大阪のプリミティブブラック。
HURUSOMAは漢字で書くと「古杣」で、妖怪の名前だそうです。


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm ★★ (2008-04-23 22:37:00)

2006年発表の音源集。
98年の1st「Welcome to Hurusoma World」に6曲を加えた14曲を収録。

妖怪の名前を冠するだけあって、メロディにはどこかMYSTICUMにも通じるオカルティックな神秘性や、日本特有の陰湿さ・陰惨さの篭もった叙情が感じられるプリミティブブラック。
音質も各パートが聴き取れる範囲の適度な荒さだし、ヴォーカルは割れ割れの絶叫だしいかにもな感じですが、お経めいた歌やいかにも幽霊が出てきそうな効果音といったSEを挿入したり、恐山でライブレコーディングされたらしい曲まで入ってたり、ジャケ(首なし地蔵)やバンド名から想起される恐怖感を煽るような雰囲気を醸し出す工夫もかなりなされていて、結構個性的だと思います。

また、所々狂ったようなギターソロが挿入されたり、Sabbatのカヴァー曲ではやけくそな疾走感が感じられたり、意外にもメタリックな魅力を放つパートが多いのも特徴ですね。ただ、こういった要素が音質のアングラさを「得体の知れない、陰湿な恐怖感」ではなく「ダーティなかっこよさ」に繋がってしまってるようにも感じられるので、そこは好みが分かれるところかもしれません。

ジャケからはひたすらに陰湿な作風を想像してたので、良くも悪くも驚きました。何となく、鬱系ブラックよりもメタル全般が好きな人が作ったという印象を個人的には受けた作品。


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm - Grudge -from the Black Forest- ★★★ (2008-04-23 22:40:31)

この曲のイントロのドラムと笛…いかにもって感じですね。
これを聴いて、三角頭巾を被って白装束を着てうらめしやなアレ以外を想像する人っているんでしょうか(笑)


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm - Shade of Soul ★★ (2008-04-23 22:38:50)

このドラムの金物の音が凄く雰囲気があると思う。
妖怪たちが何かを打ち鳴らしながら百鬼夜行を敢行してる感じ。


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm - Storm(live) ★★★ (2008-04-23 22:41:58)

「Recorded at Osorezan」だそうですが…わざわざ恐山まで行ってライブレコーディングしたんでしょうか…徹底してますね…。この曲はギターの音色がかっこいいです。台風が来た時こんな感じだった気がするし、本当に嵐って感じの音。土地の霊的なパワーがギターに宿った!?


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm - The Call of Wood ★★ (2008-04-23 22:39:29)

終わり際のお経のようなSEが効果的で印象的な曲。
欲を言えば、こういう音をもっとバンドサウンドと絡み合わせて欲しかったかも。


HURUSOMA - Sombre Iconoclasm - The Shadow ★★★ (2008-04-23 22:41:14)

これは名曲だと思います。
アングライズム放出しまくりのプリミティブ・ブラックから、落語か何かが始まってしまいそうな小粋なアコギパートが挿入され、またプリミティブブラックに変貌と言う展開に驚愕。プリブラパートも独特な雰囲気を纏ってるし、ほんと個性的で素晴らしいです。


HYDE - 666 - SHINING OVER YOU ★★★ (2007-12-21 01:17:55)

もう歌声が何があったのか訝りたくなるくらい大袈裟の極みみたいなんですが(笑)、この曲の世界観はこの大仰なヴォーカル無しには成立しないでしょう。最愛の人がいたとして、その人を遺して自分が死ぬ時の心情を曲にしたらこんな感じかもしれません。悲劇的な名曲。


HYDE - ROENTGEN - THE CAPE OF STORMS ★★★ (2007-12-21 01:14:16)

hydeさんの作る曲の素晴らしい所って、聴いていると映像が浮かぶような雰囲気のある音だと思うんですが、この曲にはそういった部分が理想的な形で現れているのではないでしょうか。オケもメロも歌唱も一つの情景を描いている感じ。


HYPERBOREAN - THE SPIRIT OF WARFARE ★★ (2012-03-24 23:09:04)

2011年発表の1st。

勢い良く刻む込むスラッシーなリフと、細かく織り込まれたタペストリーを連想させるトレモロリフによる、なかなかに鮮烈な展開が持ち味の、かなりメロディックなブラックメタル。所々で挿入されるキーボードを用いたアレンジも、派手目なギターワークにより演出されるドラマ性に拍車を掛けてますね。トレモロリフの美しさを全力でシカトするように(笑)、地声を混じらせてやたら憎々しげに絶叫するヴォーカルも良い味出してます。低音のグロウルも使うタイプですが、そちらも汚らしくてグッド。

ただ、展開にしろ音作りにしろ、第一級の品質というにはもう一歩といった感じなんですよね…。ギターワークは鮮烈ながら、ちょっと前衛的な感じのミディアムパートはどうもインテンスさをキープし切れてない感じが。音質も分離が良く、刻みリフの壮絶さ、トレモロリフの叙情性をしっかり伝え、ドラマティックな作風にはピッタリ合ってるんですが…バスドラの音がやけに金属質で耳に痛く、聴いていて疲れるのがネック。

リフの作りとかはかなりかっこいいと思うだけに、その一歩が非常に勿体なく感じる一枚。そこをクリアできたら、メロブラ・メロデス好きに広くお勧め出来そうな作品が出来そうですが…。


HYPERION (SWEDEN) - Seraphical Euphony ★★★ (2017-01-06 23:38:36)

2016年発表の1st。

各所でも話題・高評価を得ているメロディックブラックの新星。私は運良く現物(CD-R)でゲット出来ました。一言でいえば全編にメロウなメロディを配したメロディックブラックなんですが、このメロディへの指向性の高さはとてもそんなものでは…。最早比較対象が最初期のIN FLAMESとか、メロデスの一流どころと比べてもメロディの良質さ・含有量ともに劣らないと思います。

そこにサタニックで邪悪なトレモロや、破れかぶれな畳みかけなどブラックらしさも垣間見せてくるセンスが素晴らしい。WATAINやDMDS期のMAYHEMなど、比較的メロディアスな「真性」ブラックの「美と邪悪さ」の対比が3:7くらいだとしたら、このバンドはその比率が逆転している感じ。つまり、中世的なメロディで美しさに主眼を置きつつも、しっかり邪悪さへの指向もある…という感じです。

若干プロダクションが金属的なジャリジャリした音だったり、ケチを付けられる部分が全くないわけではないですが、これは「逸材」と評されるのもよく分かります。メロブラが好きであれば是非。


HYPOTHERMIA ★★ (2011-04-30 20:47:52)

LIFELOVER、LIFE IS PAINのKim氏とTHROUGH THE PAINのRichard氏によるブラック。当然ながら鬱系です。何気にARKHA SVAともスプリットを出している模様。


HYPOTHERMIA - Rakbladsvalsen ★★ (2011-04-30 20:48:50)

2007年発表の3rd。
34分を超える大作を含む4曲からなる作品。

LIFELOVERでは鬱ブラックを主体としながらも、ロックなリズムやアーバンな雰囲気、不条理な空気感などを演出する、ポスト鬱系みたいな音を創っていた( )ことKim氏ですが、こちらのバンドでは混じりっ気なしの、いわば「ピュア・ディプレッシブ・ブラック」みたいな音を出してますね…正直、鬱ブラックは決して嫌いじゃない私ですら、日によっては聴いていてマジで辛くなるレベルです。

2曲目以降は、悲痛なメロディであったり、哀愁・寂寞な空気感だったりといった、分かりやすく浸れる、ある意味「逃げ道」があるので(比較的)聴きやすくはありますが、問題は目玉である1曲目の34分半の大作。曲の殆どを地味かつ、精神を暗い部屋に閉じ込めるような鬱屈したリフと、気だるいミッドテンポのコンボが占めていて、聴いていてリアルに落ちそうになります。

ただ、Kim氏の、ヴォーカリストやシンガーを超え、パフォーマーやアクターの域に入ったかのようなヴォーカルは、エクストリームメタル好きなら感じ入るものがあるかも。ただ感情を込めて泣き叫んでいるだけでなく、ホイッスル音を綺麗に出せていたり、何気に「巧さ」をも感じさせるんですよね。

そういう訳で、鬱ブラック初心者にはお勧めできないアルバム。陰鬱なメロディが好きだから鬱系を好むという、メロブラ的な聴き方で鬱ブラックを聴いている方には辛い作品となるでしょう。逆に、これを聴いて「大好き!」と心から思ったら、マジに鬱ブラックが好きなブラッカーだと思います。


HÆRESIARCHS OF DIS ★★ (2011-07-09 11:26:59)

アメリカ産独りブラック。
有機的なグロさはMoriband Cultのレーベルカラーでしょうか。


HÆRESIARCHS OF DIS - Denuntiatus Cinis ★★★ (2011-07-09 11:29:42)

2010年発表の2nd。

意外なEMPERORへの憧憬を見せた3rdとは異なり、この作品は基本的にはプリミティブ・ブラックの系統に属する音ですね。フレンチブラック風の黒いだけでなく、毒も含んだ強烈なメロディを、最もメロディアスな時のANAAL NATHRAKHくらい派手に炸裂させる作風はカルトなのに入りやすいし、白目剥きながら叫んでるような高音絶叫といいRAWなドラムをブチ鳴らして突っ走る疾走パートといい、プリブラでもかっこいい音だと思う。スピーカーで聴いていると、何か邪悪なものが生まれる前触れを感じるような、低音部にうねりのある音質も独特。

また、この作品はプリミティブ・ブラックとしては様々な音楽的要素を取り込み、消化しているのも特徴ですね。LEVIATHANを思わせる、有機的なグロテスクさを感じさせるリフが出てきたり、不吉な音色のキーボードを入れたり、前述の音質とも相俟って「実験的」と呼んでも差し支えないような音だと思う。Ihsahn風の朗唱が出てくるのもプリブラには珍しいかも。ただ、アンビエント風のパートやフォーク風のパートはどうも必要かどうか疑問に感じてしまいますが…それ自体悪くはないけど、プリブラパートの方が圧倒的に魅力的なので、ついつい飛ばしちゃいます。

個人的には、3rdも面白いけど好みなのはこっちですね。有機的な気持ち悪さを表現したアメリカン・ブラックとしては、LEVIATHANに続ける可能性がある有望株なのではないでしょうか。


HÆRESIARCHS OF DIS - In Obsecration of Seven Darks ★★ (2011-07-09 11:28:59)

2011年発表の3rd。
EMPERORの「Ensorcelled by Khaos」のカヴァー入り。

前作を聴いた限り、このバンドがここまでEMPERORを意識した作風のアルバムを出すって何か意外な感じ。基本RAWで邪悪なブラックなんですが、まずドラムをそれ程前に出さず、ギターの歪みに音を覆わせ、そこから禍々しいトレモロが零れ落ちるようなプロダクションが「In the Nightside Eclipse」期のEMPERORを彷彿とさせますし、呪術的なミドルパートやスラッシーな疾走パートなんかは意識してないと言ったら白々しいほど似てる。ヴォーカルのロングトーンを多用した大絶叫もそっくり。

ただし本家と違い、キーボードよりもRAWなギターを重視して音像を作っていたり、SE的な曲を挟んだりしたりしていて、より地下臭い雰囲気。また前作同様、低音部にグロテスクな雰囲気の「うねり」のようなものが感じられ、それがEMPERORにはない生理的嫌悪感を刺激してきます。EMPERORの皮を被ったLEVIATHANという感じ。ただ、SE的な曲やパートを入れるのはいいけど、2曲目でやるのは少し流れが悪くなってる気がするので、そこだけ少し不満。

という訳で、端的に言えば「EMPERORをカルトに捻じ曲げて解釈した作品」だと思います。カヴァーも独りブラックとしてはかなり様になってる(意外にクリーンが本家並みにかっこいい)し、気になる方は是非チェックしてみては。


HÖSTKÄNSLOR ★★ (2013-09-10 21:42:44)

ペルー産ディプレッシブ/シューゲイザーブラック。
バンド名は「秋の感情」という意味だとか。


HÖSTKÄNSLOR - Fear Reality (2013-09-10 21:43:50)

2010年発表の1st。

ノイジーなギターリフや儚げなアルペジオ、その残響音が抑圧された心情を代弁するかのように鳴り響き、鬱々と進行していくディプレッシブなブラックメタル。メタルとしてのカタルシスには敢えて背を向け、情景的である事を追求したかのような音像主義の音作り。CDをかけるだけで、部屋全体に「澱み」のようなものが広がった気になるような音を出してます。

そしてヴォーカルも水に怯える狂犬病の犬の如く、現実を恐怖し引きこもる男の心情を表すかのように、情けなく裏返った声で絶叫。最早かっこよさとか邪悪さとかは関係なくて、ひたすらにやるせない時間が流れます。個人的にはありがちなブラックメタル色の強いノイジーな曲よりも、3曲目や6曲目のようなポストロック志向が強い曲の方が、儚げなムード満点かつメロディも結構印象的で好きだったりしますけど。

鬱系・シューゲイザー系でも割とマニアックな方かな、と思います。この手を普段から聴いている方以外には気軽に勧めづらい一品。


I - Between Two Worlds ★★ (2010-02-17 06:39:00)

2006年発表の1st。

IMMORTALやGORGOROTH、ENSLAVEDなど有名ブラックメタルバンドのメンバーが集結したスーパープロジェクトということで、日本盤も出たアルバムですが…面子に反して、作風が正統派なHMであったこともあり、雑誌の評価は決して芳しい物ではなかったように記憶してるんですが(私も当時スルーしてしまった)…やっぱり自分の耳で聴かないと駄目ですね。

これ、かなりかっこいいアルバムに仕上がってると思いますよ。
路線的には、前述の通り正統派に近いメタルなんですが…あくまでリフ重視の作りであり、派手なリードプレイや疾走、ハイトーンは使用しない作風であること、威厳とどす黒さの滲み出るようなミッドテンポ中心であること、ヴォーカルがある程度メロディを追いつつもドスの効いた濁声であることなど、随所に「ブラックメタルらしさ」の感じられる作品。

個人的には、生粋のブラックメタラーが正統なメタルを演っているという意味では、DISSECTIONの3rdに近いものがあると思うんですが、自らの思想を表現するために必然的にそうなったDISSECTIONのシリアスさに対し、こっちは「偶にはヘヴィ・メタル演るのも悪くねえな」的な、メンバーが楽しんで演ってそうな感じがするのが特徴でしょうか。
…やっぱり、北欧のブラックの時代を築いたアーティストの中で、先祖返りの傾向って確実にあると思う。

路線こそブラックからは離れているかもしれませんが、ブラックのどす黒さや畏怖を感じさせる空気感などはしっかり継承している所が素晴らしいですね。実際中古屋で値崩れしてることも多いし(私は800円でゲット)、意外にスルーしてしまってる人も多いのでは。このベテランならではのふてぶてしい黒さ、なかなか良いですよ。


I SHALT BECOME - Poison ★★★ (2010-07-02 23:25:00)

2010年発表の5th。
このバンドって、元々キーボードによるメロディを非常に大事にした鬱ブラックを演っていましたが、まさかここまでキーのオーケストレーションに比重を置いた作風になるとは…

以前よりアトモスフェリックなキーがバンドサウンドを包む音像を提供してはいましたが、今作では更にクラシックのワンフレーズのような華美(かつ非常に陰鬱)なメロディ、ブラスやティンパニ等の音色を取り入れたスケールの大きい音使いなどを取り入れ、よりダークアンビエントやフィルムスコアに近付いた感じがします。

暗黒美の表現、曲から感じる何かに追われるような焦燥感・圧迫感から、決して丸くなったとは言えない作風ですが…淡くノイジーなギターリフが音量小さめで、キーボードに溶け込み、耳に痛くない音像になっているあたり、聴きやすくはなってると思う。

曲から伝わる負の感情を増幅する、歯軋りした歯の隙間から憎しみが漏れるようなVo、とぼとぼと絶望しながら歩くようなスローを基調としつつ、キーの盛り上がりに合わせフレーズを展開するドラム、淡いノイズや混沌としたリードフレーズで、曲作りを秩序だったものにし過ぎないギターなど、どの要素もキーを上手く引き立ててますね。

もう単純なBURZUMフォロワー、XASTHURやSTRIBORGに順ずる音とも言えなくなった作品。ブラックの記念碑的なアルバムで言えば、BURZUMやMORTIISのキーボードアンビエント、WONGRAVEN、Ihsahnソロ化してからのTHOU SHALT SUFFERなどが好きな方にお勧めです。


I SHALT BECOME - Requiem ★★★ (2008-10-26 21:45:00)

2008年発表の3rd。

不吉極まりないメロディで音全体を包み込むキーボードとノイジーなギターを薄く被せそれに溶け込ませた音と、その奥から聞こえてくる絶叫が、霧の中から亡霊の呼び声が聞こえ、足元には白骨死体が転がっている森に一歩一歩踏み込んでいくような感覚を味あわせる、鬱系のど真ん中とも言えるブラックを展開してます。BURZUM3rdの1曲目を不吉方向・情景描写方向に特化したという感じ。

98年のデビュー当時からこの路線で高く評価されていたというから筋金入りですね。
似た路線のXASTHURやSTRIBORGと比べると、キーボードの音に占める割合が高く、音像よりもメロディを重視しているという印象で、その分聴きやすく、かつ浮かんでくる風景が具体的な感じがします。曲も「森の中の死体」みたいな直なタイトルが付けられたものがありますし(笑)。

鬱ブラックとして正統派、かつ最高レベルの作品だと思います。
ギターノイズがキーボード溶け合った音は聴きやすいと思うし、メロディの方向性も鬱や不吉まっしぐらで分かりやすいし、鬱系初心者にも是非とも聴いてもらいたいアルバム。カルトっぽく言われがちですが、むしろこの作品からこの系統に入っても良いくらいだと思います。


IBLIS ★★ (2013-02-04 22:51:03)

ポーランド産アヴァンギャルド・ブラック。
VIRUSやEPHEL DUATHなど不条理系好きな方にお勧めの音。


IBLIS - MENTHELL ★★★ (2013-02-04 22:51:42)

2012年発表の1st。

VIRUSやEPHEL DUATH好きな人にお勧めという紹介で興味を持ち、試聴したら一発で気に入ってしまい購入を決意した一枚。本人は自分たちの音楽性を「ニュークリア・ロックンロール」と称しているようですが、前述のバンドの奇怪さにロックのグルーヴを加えたようなグロテスクなアンサンブルで聴き手の脳を揺さぶりつつ、ここぞという所でブラストを爆裂させる、かなりラジカルな作風。

基本的にはプログレメタルやアヴァンギャルドメタルの要素が強いですが、時折入れるトレモロ+ブラスト等、ブラックメタル的な部分もしっかり残してくれているのが嬉しい所。何気にベースがゴリッとした質感の、重みのある音だったりするんですが、それが非常に隠微で妖しい雰囲気を出してるんですよね。変態が地下室でえもいわれぬ行為を行っているのを覗いているような、背徳感というか気持ち悪さというか。

ヴォーカルは演説調やがなり声、妖しげなクリーンなどを使う、この手にありがちな歌い方と思いきや…時々グロキモく発狂するのが素晴らしい(笑)。心霊系の番組で悪霊に取り憑かれた人がこんな感じの声を出してた気がする。もしくは催眠術で赤ちゃん帰りしたとか、宇宙を飛び交う毒電波に脳をやられたとか、そんな感じ。なのにホイッスル系の絶叫はガチでかっこよかったりするので始末が悪いです。

アヴァンギャルドメタルって、一般的な音楽の裏をかこうとしすぎたり、知性的になりすぎたりでスノビズムに陥ってしまうこともありますが…これは逆に聴いていると頭がどんどん悪くなりそうで素敵(笑)。脳みそ溶けていきそうだもん、これ(笑)。前衛性と知性があるのに、ここまで高尚さを欠いてるのは逆に凄い。アヴァンギャルド系でも、DIABLO SWING ORCHESTRAやUNEXPECT辺りは普遍的なかっこよさがありすぎる、もっと気色悪い音楽が聴きたいという方にお勧めです。


ICARUS' CRY ★★ (2010-04-21 21:09:00)

UNLUCKY MORPHEUSのyukiさんが新たに結成したプロジェクト。
個人的にUNLUCKY MORPHEUSは、「これこそ理想のメロスピだ!!」と言う位
感銘を受けたので、こちらも大いに期待してます。


ICARUS' CRY - 不滅桜花 ★★ (2010-05-09 17:52:00)

2010年発表の1st。
「東方妖々夢」のメタル・ヴォーカルアレンジ。
個人的に理想の女性ヴォーカルメロスピを体現していると思うバンドである
UNLUCKY MORPHEUSのyuki(平野幸村)氏の新バンドと言う事で、期待しながら購入しましたが…
ピロピロ弾きまくりのギター&煌びやかなキーボードを軸に疾走するスタイルで、
男性ヴォーカル版のUNLUCKY MORPHEUSという感じの作風で、期待を裏切らないクオリティ。
男性ヴォーカルも、中性的でやや癖の強い声質ながら、この手にありがちな変な暑苦しさや
妙な脱力感はなく、なかなか良い声だと思います。個人的には、子音にやたら力を込める
発音に味があって好き(笑)。
UNLUCKY MORPEUSがほぼ原曲通りのメロディを採用しているのに対し、こっちはメロディ
それ自体にも大きく手を加える傾向があるのが違いですね。2曲目なんかは正直原曲の
メロディの方が良いと思いますが、7曲目は良い按配に「歌謡メタル的な」メロディに
なっていてなかなかです。また、UNLUCKY~が基本シリアスな歌詞なのに対し、こっちは
コミカルなものも多いという特徴もありますが…正直、このバンドのギャグセンスは私には
合わないなぁ…。2・7曲目なんて「こんな藍や橙は嫌だ」っていう感じの歌詞だし。
シリアスものも、UNLUCKY~の方が表現が巧いと思う。
まあ、UNLUCKY MORPHEUSが好きで男性Voも行けるなら買って損はないかと。
ちなみに、UNLUCKY~が略して「あんきも」なのに対し、こっちは「いくら」だそうです(笑)


ICARUS' CRY - 不滅桜花 - 我輩はぬこである ★★★ (2010-05-10 21:42:11)

素晴らしいです。アルバムでも最高の出来だと思います。
KEYメロやGソロなどではあの和風な原曲からこんなクラシカルなメロを、と感心させ、サビでは原曲のメロディに大幅にアレンジを加えつつ、歌謡メタルとして申し分の無い叙情性を聴かせ感動させる…遠野~のメタルアレンジでは疑いなく最高クラスだと思う。
ただ、歯に衣を着せずに申し上げれば、(めっちゃ個人的ですが)「猫」を「ぬこ」と表記するのは生理的になんかイヤ。猫そのものより、ネットスラングを日常レベルで使いこなすネット中毒のおたくが浮かんでしまう…。まあ、どうでもいいですけど。


ICARUS' CRY - 不滅桜花 - 桜 ★★★ (2010-05-10 21:50:29)

ヴォーカルの声質は、コミカルさと哀愁を兼ね備えた、なかなか独特なものだと思いますが…その声質の「哀愁」の部分を最大限に引き出しているのがこの曲。裏返り気味のところとか普通に涙腺に来る。敢えて(唱歌の)「♪さくら、さくら~」風のメロを使わないサビのアレンジも素晴らしい。このメロディは、バラードよりも、これくらいのテンポの方が実は哀愁が引き立つと思う。


ICARUS' CRY - 不滅桜花 - 式神教育委員会 ★★★ (2010-05-10 21:36:41)

サビメロのアレンジは、正直原曲の方がいいと思いますが…イントロのクラシカルな速弾きを交えたメロの弄り方はかなり上手いと思う。ヴォーカリストの声、平成教育委員会のマスコットキャラクターと微妙に似ているような…(笑)癖があるけど、慣れると良い声。
ただ、原作をぶち壊しにしつつ、ネタとしてもそこまで面白くない歌詞はちょっとなぁ…。


ICARUS' CRY - 不滅桜花 - 忠誠と寵愛 ★★★ (2010-05-10 21:46:14)

先行シングルのタイトル曲ともなった曲。
…バンドの一番最初に世に出る音源、表題曲としての役割を十分に果たすクオリティのある曲。特にサビ、原曲のメロをほぼ変えずに使ってますが、「妖々跋扈」という曲のポテンシャルを全て引き出していると言っても良いくらいのクサさ。インストを挟んで、7,8,9の流れは最高です。


ICS VORTEX ★★ (2011-08-25 04:09:29)

DIMMU BORGIRやARCTURUSの活動で知られるアーティストのソロ。
今年「Storm Seeker」でソロとしての活動を始めた模様です。
また彼の美声が聴けるのかと思うと、楽しみ。


ICS VORTEX ★★ (2011-09-02 22:21:38)

アルバムの紹介シールのところ、ARCTURUSとBORKNAGARに「ex-」が付いてなかったんですが、ARCTURUS活動再開とBORKNAGARにSimen加入したんですね。これから彼の声を聴く機会も増えそうで嬉しい限りです。…ぶっちゃけソロでの作風そこまで好きじゃないし…。


ICS VORTEX - Storm Seeker (2011-09-02 22:22:54)

2011年発表の1st。

ICS VortexことSimenと言えば、DIMMU BORGIRやARCTURUS、BORKNAGARなどの有名ブラックメタルバンドでその美声を振るってきた人という印象が強いですが、この作品はブラックメタル的なリフ・リズムの導入は僅かな味付け程度で、全体的にはプログレッシブなムードの強いハードロックという感じですね。ハモンド等を取り入れたり、昔のプログレ好きなミュージシャンが作ったアルバムという感じで、同じBORKNAGAR仲間のVintersorgのプロジェクト、WATERCRIMEに近い雰囲気のアルバム。

個人的には、昔のプログレやその流れを汲むハードロックって、明るいサイケデリックさがあって苦手で…それはこのアルバムにも含まれているため、曲自体の評価は正直微妙なんですが…やはりSimenの美声を堪能できるのは単純に嬉しい。相当な高音域でも無理なく、そして妖しく発声でき、広い音域を滑らかに歌い上げるヴォーカルは聴いてて心地よく、やっぱり素晴らしい。「Windward」でヒット曲のシンガーみたいな、爽やかイケメンボイスが出て来たときはちょっと面食らいましたが(笑)。

ただ…彼の声が心行くまで堪能できる良盤であることは前提として、DIMMU BORGIRでの嵐のような激音の中に、天啓のように彼の声が響く様子だったり、ARCTURUSで滑稽味と狂気の同居する、奇妙な宇宙観の語り部を任された時だったりのような、彼の声とバンドの音楽性が見事なまでに合致した、「ミラクル」は起きてないかな…という印象があるんですよね。出来ればハードロックよりもブラックメタルか、ブラックメタルの感性の強いプログレメタルで歌ってほしい…そんなことを思ってしまいました。


IFING - Against This Weald ★★ (2015-06-05 10:46:02)

2014年発表の1st。

フォーク・民族音楽の要素を取り入れ、叙情的なメロディを聴かせるメロディック・ブラック。パートによっては笛なども導入されているものの、お祭り的な雰囲気は一切感じさせず、薄暗い森の中を疾走するような、ひたすらにシリアスでアトモスフェリックな路線。うっすらと掛かった神秘的なキーボード、大作主義な楽曲構成が北欧の光の差さない森を描写するかのようです…アメリカのバンドですが(笑)。

音楽性の根っこが「フォーキーなメロブラ」であるせいか、アトモスフェリックで情景的な要素の強いブラックとしては、音が抽象的すぎず聴きやすい按配なのが特徴。特にリフがメロディを主導するパートも多く、明瞭である意味クサめのメロディをリフが担う部分もあるので、ポストブラックに苦手意識のある人でも割りと受け入れやすい音なんじゃないかと思います。

薄暗い森の中を駆けるような、情景的で叙情的なフォーク/メロディックブラック。暗めの叙情性を好む方にお勧めです。


IGNIS GEHENNA ★★ (2011-07-25 23:14:00)

オーストラリアのブラックメタル。
DROWING THE LIGHTにも関与したNihiliferの独りバンド。


IGNIS GEHENNA - Revelations of Sinister Rebirth ★★ (2011-07-25 23:15:43)

2010年発表の5曲入りEP。

ぶっちゃけジャケ買いです(笑)。
このアートワークといいバンドロゴといい、曲名といい、如何にも精神世界や神学レベルで悪魔主義にハマりこんでる感じじゃないですか(笑)。まずイントロからして、クワイアでかなり禍々しいムードが漂ってますが…そろそろSEで引っ張りすぎと思い始めた頃に入ってきたバンドサウンドに驚きました。思ってた以上に、凄まじくブルータルな作風ですね…。

音に叩き潰されるような感覚は、MARDUK等のファスト系にも近いですが…こっちは音がダマになった轟音で、フレーズの聴き取りやすさをある程度犠牲にしている代わりに、異様な迫力が出せていると思う。Mikko Aspaの声をデカくしたようなヴォーカルもあり、特に1曲目のミドルパートなんて、リフの一回一回がコロッサスの踏みつけのように重々しくて暴虐。

肉体的に暴虐なだけでなく、轟音にまぎれて、幽かに聞こえてくるメロディは悪魔の秩序を受け入れ、醜く生まれ変わる世界を祝福しているようであったり、どこか宗教じみた雰囲気もあり、スピリチュアルな面での演出力もかなり高いものがあると思う。SE的なパートを挿入しているのも、雰囲気の演出に一役買ってますね。

EPであることが惜しまれる、優れたセンスの垣間見える一枚。
フルがリリースされたらブラック好きの間で話題になるかもしれませんね。


IGNIS URANIUM - AZIMUTH NUCTEMERON FREQUENCY ★★ (2012-01-05 23:08:03)

2009年発表の1st。

ショップの紹介だと「ドイツ産のアヴァンギャルドブラック」とありましたが…スタイル自体はそこまで変態系じゃない、ストレートなブラックメタルですが、そこかしこからアヴァンギャルドな感性が滲み出てくるような作品ですね。まず耳に残るのがドラムの音。バスドラの抜けが妙に良いパーカッシブな音色で、切り返すようなフレーズを多用したドラミングはどこか軽快な感じも。プリブラのミニマルな2ビート疾走の酩酊感ともオールドスクール系のドカドカした音ともまた違う、変な心地良さのある音。

そこに乗るリフもまた、普通のブラックメタルとは少しずれた感性を持ってる感じですね。プリブラっぽい平坦系のリフを弾いていても、毒の粒子を撒き散らしているような感触があるし、トレモロに乗るメロディも邪悪さや寒々しさではなく、得体の知れない薄気味悪さという感じ。全体的に気持ち悪いメロディ多めですが、ラストの曲なんかはその気持ち悪さがフックに聴こえるほど。また、声帯を痛めつけるようなヴォーカルのがなりはかっこいいし、曲のムードとも合ってるんですが…小さいおっさんが泣きながら歌ってるようなクリーンは微妙ですね…まあ気味悪さを出すのに貢献はしてますけど…。

非ブラック的な価値観におもねったり、他ジャンルの音を安易に取り入れたりすることなく、あくまでブラックメタルのスタイルの中で個性を出した作品。ちょっと変わったブラックが好きだけどブラックから外れすぎると嫌…という人にもお勧めです。


IGNOMINIOUS - Death Walks Amongst Mortals ★★ (2012-11-06 23:12:54)

2011年発表の1st。

ジャケットからはフィンランド辺りのオールドスクールなウォー・ブラックみたいな雰囲気が漂ってますが、ハンガリーのプリミティブブラックで意外にもかなりメロウなメロディを押し出した作風。少々野暮ったく感じるほどに左右のチャンネルからトレモロリフ中心でメロディアスなギターを絡ませて進行する作風で、メロディも邪悪さや汚さよりも悲哀の情感がかなり強い感じ。

「メロウなプリブラ」カテゴリの中でも、相当メロディアスな部類に入る音。但し聴きやすいかというとそうは言い切れず、高音域のシャーシャー感を強調した音作りはある程度のプリミティブ/RAWブラック耐性を必要とするかも。聴き手を選ぶ音作りながら、邪悪さやカルト性よりもメロディの哀愁を重視するという、ある意味音楽として正統な攻め方をしているせいで却ってニッチ感が強くなっている印象も。ヴォーカルの絶叫もかっこいいけど、時々妙に苦しげな叫びを聴かせるし。

個人的にはもう少し狂気の部分を強調しても良かったかな…とも思いますが、悪くない作品だと思う。ノイジーな音とメロディアスなリフの応酬に陶酔感を感じる方なら楽しめるかと。


IHSAHN ★★ (2006-04-06 19:46:00)

この手でIhsahn様を追加できるとは…光栄の極みにございます(笑)
もうアルバム出てたんですね。店頭で見て初めて知りました。
PECCATUMの解散がついこの間だったから、もっとかかると思ってましたが…
「The Moribund People」からリリースが無いと思ってたらソロを作ってたんですね。
しかしIhsahnのことだから、古英語とかラテン語とかの凝ったプロジェクト名を
付けると思ってたら、普通に「Ihsahn」名義で活動するんですね。
それが一番意外だったかも(笑)


IHSAHN ★★ (2006-04-07 01:57:00)

さ、三重苦と言われてしまった…(苦笑)
でも、Encyclopaedia Metallumでソロの画像見ましたが、やっぱかっこいいですよ。
再結成EMPERORはどこかのインタビューで新アルバムの制作の可能性を
匂わすような発言をしてたと聞いた事がありますが、信憑性はどうなんだろう…?


IHSAHN ★★ (2006-04-08 10:26:00)

しゅんぺ~さんも買われましたか。
でも本当に素晴らしいアルバムですよね。
レビュー書いたんですが、全曲★3つ付けてしまった…(笑)
まだ買ってから日が浅いですが、早くも今まで聴いたアルバムの中で
トップ10に入るくらい好きになりつつあります。


IHSAHN - After ★★★ (2010-04-02 21:26:00)

2010年発表の3rd。
3部作の最終章となる作品という事ですが…3部作構成なんて最初からあったっけ(笑)?

雑誌のインタビューでは、「前2作とは異なる作風のアルバム」という趣旨の発言をしていましたが…確かに、前2作が「プログレッシブなエクストリームメタル」だとしたら、今作は「エクストリームなプログレメタル」と言えるかもしれません。ブラストやヘヴィなリフ自体は当然残しているんですが、「攻撃的な音楽」からは明らかに距離を置いてる感じ。

サックスの導入、静パートの増加など表に出ている部分だけでなく、ブラストパートでも決して直截的な攻撃性だけに留まらず、より深く精神に作用する音になっている気がします。前2作と比べると、アルペジオやサックスで引っ張るパートが増えているんですが…それらのパートにこそ、個人的には凄みを感じるんですよね。

各フレーズが、水の流れのように自然で、聴いていると何か本能に訴えかけるような情景が思い浮かびます。パートによってはサックスが主導部を握ったりもしているんですが、その自然さや、ブラックメタル由来の暗黒美を損なうどころか、更に深いものにしているのが凄い。…私としては、またもやIhsahn卿の才能に平伏す結果となりました(笑)。
リフなどのフレーズをどう生み出しているかという質問に対して、「体の奥から自然に湧き出してくる」だそう。…そりゃ、スランプとかなさそうですよね…(笑)。

Ihsahnは、インナーサークルに所属している時、自分の中の邪悪な部分を探してみたが、全く見つからなかった…と言っていますが、少なくとも本能的な「畏れ」を呼び起こす音楽を作る才能は持っていると思う。EMPERORの無敵な感じは、インナーサークル所属バンドの持つ「恐怖」と、彼の与える「畏れ」が合わさって成り立っていたのかもしれませんね。

3部作の最終作にして、プログレブラックとして行き着くところまで行った作品だと思う。それだけに、今後の動向が気になりますね…まぁ、機材に全財産を注ぎ込みそうになっているのを奥さんに止められてるくらいだから、近いうちにまた何かやってくれそうですが。

ちなみに、歌詞は公開していないらしく、輸入盤にも国内盤にも歌詞は付いていないらしいです。…DVD付き輸入盤買った人が一番勝ち組みかも…。


IHSAHN - After - A Grave Inversed ★★★ (2010-04-02 20:58:56)

Ihsahnが作品出すごとに、「あぁ、やっぱり彼って天才だなぁ…」って思わされるんですが、この曲聴いてまたもや驚愕させられました。エクストリーム・メタルにこんなに上手くサックスを取り入れた曲は無いのでは…ラストのフリーキーなフレーズといい、サックスの音色から魔性を引き出せるだけ引き出しているような感じ。


IHSAHN - After - Heaven's Black Sea ★★★ (2010-04-02 20:56:21)

聴き手の神経を圧迫するようなリフと、本能的な近寄り難さを感じる神秘性に溢れたメロディが絡む曲。曲の芸術性は増しても、根底に潜む「魔性」は、衰えるどころか以前よりも妖しさを増しているように思います。


IHSAHN - After - On the Shores ★★★ (2010-04-02 20:51:19)

Ihsahnの弁によると、EMPEROR時代の「With Strength I Burn」を思い起こさせる曲だそうですが…本当に、表現の形態は全然違ってますね…。ただ、With~が嵐の中を幽霊船が行く様子、この曲では彼岸と此岸を繋ぐ海岸が浮かんだり、想起する情景自体はどこか共通する物があるように思います。


IHSAHN - After - The Barren Lands ★★★ (2010-04-02 20:54:00)

最初のリフからして、今までの作品とは何か違うという感じがしますね。ベクトルが明らかに「攻撃性」の方向を向いていない感じ。1stアルバムで使用していた歌詞のフレーズが、僅かに聴き取れましたが…やっぱりコンセプトが繋がってるんでしょうか。歌詞は掲載して欲しかったなぁ…。


IHSAHN - Arktis. ★★★ (2016-04-19 12:08:56)

2016年発表の6th。

前作「Das Seelenbrechen」が(特に後半部において)即興性・前衛性の非常に高い、キャリアでも異質な作品だったので、次はどうなるかと思いましたが…新たな要素を取り入れて進化しつつも、「Eremita」以前の高密度、高貴、高品質の3Kが揃った構築性の強い、プログレッシブなブラックメタルに戻った感じですね。知的ながら突き放したような所はなく、曲によってはメタルコア並にキャッチーなクリーンでの歌メロのサビがあるものも。ただしメタルコアのような軽快さではなく、それによってむしろ重厚さが演出されている印象。Ihsahnのこういう感性本当に好き。

「Eremita」以前の音源と比べると、電子音の使用がより大胆になっていることが大きな変化として挙げられますね。特に「South Winds」のイントロは予想の範疇になかった音なので、一瞬戸惑いました。が、このデジタルな音がバンドサウンドの空間を埋めていて、むしろより情景をくっきりと浮かび上がらせている感じ。脳裏に浮かぶ、水を湛えた神殿のような、神秘的な光景はPECCATUMにも通じるものがあります。

個人的には、電子音の使い方の上手さが最も感じられるのは「Frail」ですね。ピアノの偏執的な低音のリフレインやヴォーカルの捲くし立てと合わさり、パラノイアックで追い詰められた雰囲気が醸し出されている様に思います。間違いなく今作でのハイライトの一つかと。また、もう一つ大きな変化としては昔ながらのメタルを思わせる、ロックのダイナミズムをダイレクトに感じられるようなシンプルなリフが多用されている事でしょうか。これにより細やかに構築された音が、より取っ付き易く、より振り幅広くなっている気がします。

正直Ihsahnの音源に関しては、ファンなので冷静にレビュー出来てるとは思えませんが(笑)…今作は今まででも屈指の名作なのではないでしょうか。取り合えず今までの作品を気に入っていれば間違いなく買い。しかしこれを聴くと、Ihsahnのメタル以外の音楽性も発現する場所としてPECCATUM復活しないかな…とか思ってしまいます。今の所ライブ限定とは言え、EMPERORも活動してることですし…。


IHSAHN - Das Seelenbrechen ★★★ (2013-10-18 00:52:07)

2013年発表の5th。
アナウンスでは10月21日に発売になってましたが、何故か店頭に並んでいたので速攻で購入しました。アルバムタイトルの意味は「魂の破壊」もしくは「精神の崩壊」などになるのでしょうか。何れにしても、タイトル通りの作品だと思います。

…これは、今までのIhsahnが演ってきた音楽、それを総括する作品と言えるのではないでしょうか…。EMPERORの4thに始まり、4枚のソロアルバムで演ってきたプログレッシブでインテリジェントなエクストリームメタル路線と、PECCATUMが活動停止間際に辿り着いた美しく深遠でダークなアヴァンギャルド・ゴシック・ロック路線を合わせ、高めたかのような作風。

アルバム前半は、後期PECCATUMに通じる深遠で情景的なフレーズを垣間見せたり、より前衛的な色を増してはいるものの、概ね前作までの延長線上にあるエクストリームメタル路線ですが…不安を煽り立てるようなドラムにドローンめいた音、Ihsahnの哲学者が苦悩の余り発狂したような絶叫が絡み、光の差さないどころか光を吸収するような闇を演出する「tacit 2」から、急激にアンビエント・アヴァンギャルドな色を濃くしていくという構成になってますね。

アルバム前半に対する感想は「素晴らしい」なんですが、後半は良くも悪くも「凄まじい」という感じですね。今までのIhsahnからすると信じられないほどメロディ志向が薄く、代わりに音像・情景・実験性が濃い音で、時にはメタルの様式すら放棄しているくらいなんですが、その分神秘性は異様なまでに高く、暗黒空間の空虚さを実体的なものとして体験出来てしまうかのよう。…人に畏怖を与える音、という意味では、EMPERORの初期作品以上かもしれません。メタルとしてのポピュラリティは正直高くないと思いますが、そうまでして暗黒な音を追求しているIhsahnは本当に尊敬しますね…。

ちなみにデジパック盤ボーナストラック「entropie」「hel」は後半の流れを汲むアンビエント作品なんですが、これら曲のタイトルと音像は本当に秀逸だと思う。如何にも恐ろしげな音ではなくて、人の体温の感じられないような、幾何的な音とも言える感じですが…アルバムタイトルとも合わせて、壊れた魂の、人間としての知覚や意識を完全に失い、数学的法則の一部になった末路…みたいな印象があって、心が冷えるような怖さを感じてしまいます。Ihsahnらしい意味深さだと思う。

メタル作品としては、アンビエンス重視な部分にくどさを全く感じないと言えば嘘になりますが、それによって感情を揺さぶられたのもまた事実。Ihsahnって、エゼキエルやスウェーデンボルグ、ブレイクらと同じくらい「見える人」なんじゃないでしょうか…。この作品を聴いて、そんな事を思いました(笑)。


IHSAHN - Das Seelenbrechen - Hiber ★★★ (2013-10-18 00:46:10)

今までのIhsahnのソロ作品の延長線上にあるエクストリームメタル路線ながら、キーボードのパラノイアックなフレーズが神経を直接に作用するかのよう。既に「魂の破壊」は始まっている…そんな感じです。中盤~後半に掛けてのストリングスパートのメロディが、PECCATUMの名曲「Desolate ever after」を思わせる、荒廃した情景が見えるような感じがして好きですね。


IHSAHN - Das Seelenbrechen - NaCl ★★ (2013-10-18 00:51:22)

意味深なタイトル…どういう意図を込めてこのタイトルにしたのか気になりますね…。ギターとドラムのプログレッシブな絡みは、アンビエント色の強くなる後半が嘘のようなバンドサウンドらしいフレーズ。ただ、絡みフレーズが個人的には少しくどく感じるかも。Ihsahnらしい美意識が至る所に感じられる、良質な楽曲ではありますけど。


IHSAHN - Das Seelenbrechen - Pulse ★★★ (2013-10-18 00:50:51)

PECCATUMの世界観をもう少しメタルの価値観に近付けたら、こんな曲になるのではないでしょうか。「regen」同様、根源に触れるような神秘性を感じますが、同時にこの曲では安らぎも感じるんですよね。母親の子宮の中にいた時は、こんな情景を見ていたのかも…みたいな。静謐で、Ihsahnのメロディセンスを堪能できる名曲です。


IHSAHN - Das Seelenbrechen - Regen ★★★ (2013-10-18 00:49:41)

前半のピアノとクリーンヴォーカルで聴かせるパートが、水を漂うような根源的な神秘性を感じさせて思わず恍惚となります。そしてこのパートでのIhsahn様のヴォーカルが官能的…を通り越してエロい、エロ過ぎる(笑)。特に「touch」の言い方で身悶えしそうになりました(笑)。後半のオペラティックな盛り上がりも、メタルとしてのカタルシスに満ちてていいですね。


IHSAHN - Das Seelenbrechen - Tacit Ⅱ ★★ (2013-10-18 00:50:20)

何故か「Ⅱ」の方が先に来るという不思議な構成。荒れるパーカッシブなドラム、ドローン的な音像、Ihsahnの苦悩に満ちた絶叫が重なる音は、まるで光を吸引する重力を持ったどす黒い塊のよう。メタルのフレーズとしての面白さ、かっこよさなどが薄く聴き手を選ぶ感じはしますが、アルバムにおいても重要な曲なのではないかと思います。


IHSAHN - The Adversary ★★★ (2006-04-06 19:43:00)

遂に発表された、Ihsahnの1stソロアルバム!!
2006年発表。

PECCATUMの「Lost In Reverie」「The Moribund People」ではブラックの要素を残しつつも、ジャズやインダストリアル、アンビエント等の要素を取り入れた前衛的な音楽を作っていたため、もうIhsahnはそっちの暗黒芸術路線で行くのかと思っていたら、この作品は意外にもメタル要素がかなり強いアルバムになってました。

路線としてはEMPERORの4thの暴虐さを少し押さえて(それでも一般的なメタルよりは全然激しい)、「The Eruption」「Empty」「The Tongues Of Fire」等で顕著だった高貴な感じのメロディを更にパワーアップさせ、シンフォニックさを増した作風と言う感じでしょうか。
PECCATUMの3rdで見せたような音の響きそのものを追求しているようなサウンドは今回は控えめですが、それでもギターやキーボードのアレンジの細やかさはさすがIhsahnと言った感じで、過激さを求めて衝動発散の為に聴けるだけでなく、じっくり鑑賞しても楽しめる素晴らしいメタルアルバムになっていると思います。

一回聴いただけで、やっぱりIhsahnは凄いなぁ…と、改めて彼の才能に平伏してしまいました。また、このアルバムではIhsahnの朗唱がかなりの頻度で聴けるのも嬉しい所です。PECCATUMの3rdは良かったけど、雰囲気に溶け込むような声が多かったので…もちろんヒステリックで擦れきったような高音デスヴォイスも冴えまくってます。

今回は結構ハイトーンも使ってますね。私は正直メタルハイトーンって苦手な要素ですが盲目かもしれませんが、何故かIhsahnのそれは凄く好きなんですよね。何か高貴さや上品さを感じるというか…。中音域での朗唱や、サウンドそのものと合わさると、まるで高潔さ故に苦悩する騎士が歌っているかのような感じすら覚えます。
…やっぱりIhsahnって、デス声と普通声を両方とも使えるヴォーカリストの中ではULVERのGarmと並んで最も好きですね。因みにそのGarmも4曲目で素晴らしい歌声を披露してます。

…まだ4月だけど、早くも今年のベストアルバム第一候補です。EMPERORの4thの緻密でシンフォニックなアレンジに惹かれた方は是非!!私的には、全曲が超名曲レベルの神盤です。


IHSAHN - The Adversary - And He Shall Walk in Empty Places ★★★ (2006-04-07 01:45:44)

これはやばい。
イントロの高貴さすら漂わせるブラックリフ&疾走の時点で既に虜。このパートは後半また登場しますが、そっちはIhsahnの絶叫と同時に入るのでまるで暴風に連れ去られるかのような迫力です。ラストの「Godless」の部分の、物凄い憎しみの篭もった歌い方も凄まじいですね。


IHSAHN - The Adversary - Astera ton Proinon ★★★ (2006-04-07 15:32:31)

メロディを言葉で表すのって難しいですが…あえて言葉にするなら、苦悩と哀しみに満たされつつも高潔さを保った、孤高性を感じるメロディ…といった感じでしょうか。聴いていると泣きそうになります。
前曲HOMECOMINGとのつながりも良いですね。この2曲はアルバムでも叙情性が特に強いパートになっていると思います。


IHSAHN - The Adversary - Called by the Fire ★★★ (2006-04-07 15:42:44)

そこに絡んでくるメロディはやはり高貴ですが、イントロなどのリフはちょっとレーシングゲームのBGMに使えそうな感じだと思いました(笑)。サビも普通声で分かりやすく、総じてキャッチーな印象の曲。
でもアーティスティックな狂気を漂わせる間奏パートには圧倒されますね…必聴です。


IHSAHN - The Adversary - Citizen ★★★ (2006-04-07 15:45:57)

一曲目や二曲目同様、これもシンフォニック・エクストリームメタルという感じで進行していきますが、途中でピアノソロが入り、そこからの叙情的な展開がたまりません。名曲です…っていうか、このアルバム自体全曲が名曲なんですが…(笑)


IHSAHN - The Adversary - Homecoming ★★★ (2006-04-07 01:49:39)

PECCATUMの3rdに入っていてもおかしくないようなメロディアスで知的な印象の曲ですが、イントロやギターソロのハモり&ブレイクの所などはバンドならではのかっこよさがありますね。
この曲ではULVERの奇術師GarmことKristoffer G Ryggがヴォーカルを務めてますが、特に低音パートが素晴らしいです。もう彼の「声質」という「才能」の前にはひれ伏す以外ありません。


IHSAHN - The Adversary - Invocation ★★★ (2006-04-07 15:39:30)

個人的な印象としては、この狂熱に浮かされて見る幻覚のような神秘性はEMPERORの「Empty」とも通じる物があるように感じます。暴虐さは流石にEMPERORと比べると低いですが、その分夢想性はこっちの方が上ですね。一曲目からいきなり引き込まれました。


IHSAHN - The Adversary - Panem et Circenses ★★★ (2006-04-07 15:28:46)

この曲のブラック特有の痙攣リフで疾走するパート、もはやあまりにかっこよすぎて言葉にならないんですが…。全体的にメロディが華美ですが、ピアノの使い方の上手さはWINDSのAndy Winterと比肩するくらいです。またピアノから入る叙情パートを支えるギターの儚げな音色や、カウンターテナーっぽいヴォーカルとデス声をハモらせて熱に浮かされたような感覚を表現する手法も超好み。


IHSAHN - The Adversary - The Pain Is Still Mine ★★★ (2006-04-07 01:53:17)

ラストを飾るのは、10分を超える大作のこの曲。
この曲はIhsahnの表現力が特に素晴らしく、もう高貴と言うか貴族的ですらあります。っていうかこの声V系好きなら絶対来るものがあるはず。DUNEの頃のhydeのナルシスティックさと、オペラティックな歌唱力の高さが融合されてる印象を受けました。


IHSAHN - The Adversary - Will You Love Me Now? ★★★ (2006-04-07 15:35:16)

左右のギターやキーボードの音の絡み合いにうっとりしていたら、いつの間にか曲が終わってしまっていた…というくらいに完成度の高い名曲。
タイトルだけ見るとラブソングみたいですが、どっちかというと真実と欺瞞について歌った曲なのではないかと思います。


IHSAHN - angL ★★★ (2008-06-03 19:10:00)

2008年発表の2nd。
「Unhealer」にはなんとOPETHのMikaelがリードヴォーカルで参加してます!

路線的には前作同様、Ihsahnらしい品格に満ちたメロディをたっぷりと鏤めた、シンフォ&プログレッシブなブラックメタルですね。ソロ1stやPECCTATUMの3rdなど、EMPEROR4th以降のIhsahn主導の作品って、フレーズを複雑に組み合わせて世界観を構築する傾向が強いように思いますが、今回の作品はその傾向が今までよりも更に強まったように思います。

ただ漫然とトレモロや刻みリフを弾いてみました、アルペジオを入れてみましたみたいな箇所が一枚を通じても殆ど見られず、どの音にも必然性があって、印象的なフレーズが組み合わさって一つの芸術的な音世界を構築する様は正に圧巻。この人、やっぱり天才・異才の類ですよ…。

個人的にはPECCATUMの3rd等でも感じられた、圧倒的な芸術作品を前にしたときの我を忘れて取り込まれるような感覚がこの作品でも味わえました。バンドサウンドでこういう感動を味合わせてくれる作品ってほんと希少だと思います。また、リフもメロディアスなものが多いですし、ギターソロも多めなのでプログレメタルやブラックメタル好き以外にも、メロデス好きにもお勧め。

メロデスではグルーヴ重視の作風に走るバンドが多いですが、Ihsahnはあくまで構築美を重視してくれるのが良いですね。…非難するつもりはないですが、グルーヴってメタル以外の音楽でも味わえると思うんですよ…その点、こうした構築美とエクストリームな音像の両立はメタル以外には無い魅力ではないでしょうか。

そうした意味で、PECCATUMではアヴァンギャルド/アンビエント、HARDINGROCKではフォーク方面に接近してましたが、Ihsahnってやっぱりメタラーが本質なのかもしれませんね。
ただ、楽器の絡みを聴いているだけで恍惚となれるし、前作よりもクオリティを上げた素晴らしいアルバムだとは思うんですが、「Homecoming」のようなプログレッシブなメタルバラードや大作「The Pain Is Still Mine」を上手く配置し、ドラマティックな構成で聞かせてくれた1stの方が作品全体の流れは良いかもしれません。

とはいっても、十分名盤といえるアルバムだと思いますが。しかし、同時期に発売されたのにもかかわらず、国内ではメディアの盛り上がりはOPETHの方が断然上なのがちょっと悔しいかも(笑)。少なくともメロディセンスや構築美では全く引けを取らないと思いますが…昔のプログレを分かりやすく取り入れてないからでしょうか。
ギターのフレーズも凝りに凝ってるし、バンド雑誌とかにも載ってもいいくらいだと思うんですけど。


IHSAHN - angL - Elevator ★★★ (2008-06-17 21:50:20)

この熱に浮かされて悪魔の手招きに引き寄せられていくかのような感覚を覚えるメロディ、本当に素晴らしいなぁ…聴いてて平衡感覚おかしくなりそうですもん。しかし悪魔的でありながら、一方でラファエロやミケランジェロの作品みたいな、ルネッサンス期の絵画のような上品さもあるんですよね…ほんと、天才としか言えません。


IHSAHN - angL - Emancipation ★★★ (2008-06-17 21:41:14)

この曲、ギターパート充実しすぎでしょう…ギターパートを聴いてるだけも飽きない、全編サビ聴いてるみたいな充実感。聞き流しを許さず、全力で聴く事を強制してくるような雰囲気があって聴いていてちょっと疲れますが、その分満足感も大きいです。


IHSAHN - angL - Malediction ★★★ (2008-06-17 21:44:00)

ブラストパートも多く、アルバム中最も激しい曲と言えるにも関わらず、何故か「野蛮さ」みたいなものを殆ど感じないんですよね…むしろ高貴さを感じるというか。メタルを聴いているというよりも、硬質で高揚感の非常に強いクラシック曲を聴いているような感覚。


IHSAHN - angL - Misanthrope ★★★ (2008-06-17 21:36:37)

グルーヴだけでなく、禍々しさまで感じさせる刻みリフでつかみはばっちり。歌詞の「long ago / I grew deaf~」の部分、初期EMPERORの邪悪で寒々しい作風や、その部分のみを評価するファンへの訣別とも取れるんですがどうでしょう。
でも個人的にIhsahnって余り「Misanthrope(厭人)」っていうイメージが無いんですけど…奥さんいるし、ギターを教えてたこともあるらしいし。


IHSAHN - angL - Threnody ★★★ (2008-06-17 22:03:22)

激しめのパートもありますが、普通声で歌うパートも多く今作の中ではバラード的な位置付けの曲と言えるかも(タイトルも「挽歌」だし)。リードギターが前面に出たパートでも、ギターを重ねて重層的なメロディを聴かせてくれるアレンジセンスがいいですね。速く弾く事しか知らないギタリストは、こういうセンスをこそ見習って欲しいと思う。


IHSAHN - angL - Unhealer ★★★ (2008-06-03 19:19:12)

OPETHのMikaelがリードヴォーカルを取る曲。
クリーンヴォーカルパートでは彼の官能的な歌唱のお陰で、高貴なOPETHっていう感じに聞こえます(笑)。デスヴォイスでの掛け合いパートも、発声の仕方が全く違う二人なので実に映えてますね。かっこいいです。


IKUINEN KAAMOS - Fall of Icons ★★★ (2011-01-27 22:47:03)

2010年発表の2nd。

OPETHやIhsahnのソロ作などが頻りに引き合いに出され、語られていた本作。私も気になっていたんですが…試聴して、最初の30秒を聴いて「これは買いだ!」と思ってしまいました(笑)。
私の知る限り、最もOPETHに近しい音を出しているバンドだと思います。

暗く陰鬱ながら美しいギターワークと、低音咆哮/高音絶叫/クリーンを使い分けるヴォーカルが、ジャズ的なリズムに乗る作風は、さながら本格的にプログレ化する前のOPETH、特に「Still Life」期の彼らを思わせますね。
常にギターが陰鬱な泣きメロを奏で、アコギもただ挿入されるだけでなく、印象的なフレーズで曲を彩る辺りかなり似てる。

ただ、こっちの方がアンサンブルが流動的な感じはありますね。特にドラム、聴いてて凄く心地よい音になってると思う。この音が繊細なギターワークと調和し、意識が闇に引っ張られていきそうな音に。その世界観の語り部たるヴォーカルも、OPETH以上の声の振り幅で聴かせる、かなりの実力者。

OPETHやIhsahnのソロも、作を重ねるごとにプログレ性が増してきていますが、逆に彼らのメロデス/メロブラ的な部分が薄れてきたことに物足りなくなっている人にもお勧め。
過度にプログレ化することなく、あくまでギターワークを中心に、丁寧にドラマを描いていく作風は、そういった人たちの溜飲をきっと下げる事と思います。


ILDJARN ★★ (2006-01-14 22:25:00)

ILDJARNの思想って悪魔崇拝と言うより、自然崇拝らしいですね。
後期はヒーリングミュージックで自然の美しさを描写する作風の作品も
リリースしているらしいですが、あのプリミティブな音楽性からは想像できない(笑)


ILDJARN ★★ (2006-07-16 21:11:00)

そうなんですか…
羊の頭を50個並べたライブを行ったらしいGORGOROTHの事はどう思ってるんだろ。


ILDJARN ★★ (2007-02-19 22:47:00)

このバンドと比べると、ノイジーなプリブラでもSORTSIND辺りの方が
メロウだし、リフも作りこまれてるしで聴きやすいと思うのに、どうして
ILDJARNがこんなメジャー(?)なのか疑問があったんですが、この間「DET~」を
聴き返して、それはリズムに秘密があるんじゃないかと気が付きました。
4つ打ちかそれに近いようなトランシーなリズムが多くて、聴いていると
他のプリブラとは少し違う陶酔感があるんですよね。
リズムに意識を集中していると、その上を絶叫やノイズ、単純なリフが
飛び交ってて良い感じに気持ち良くなれます。
夜中寝れない時とかに聴いてると70分強を聴き通してたりしますし。
こういう感覚を狙ってやってるんだとしたら、実は天才なのかもしれません。


ILDJARN - Det Frysende Nordariket ★★ (2005-08-07 18:28:00)

おそらく95年発表の、音源集的なCD。
内容は、93年に発表されたEP「NORSE」、同年に発表された2ndデモの「ILDJARN」、94年発表の3rdデモ「MINNESJORD」を一つにまとめてコンパイルしたもの。

音の方は、もう曲と言うより「リフ・ノイズ・絶叫・リズムのコレクション」といった感じ(笑)。ドラムのリズムに単純でノイジーなギター&ベースのリフを乗せ、そこに絶叫を被せたものが25曲も入っています。当然、音質は劣悪なんですが、音質が一定ではないのが面白いです。

ギターリフがノイズまみれながらも、ユニゾンするベースリフがその輪郭を浮き彫りにしていたり、案外ギターの音質がクリアでメロディがそのまま楽しめたり、どんよりと押し潰すようなノイズで聴き手の脳を攻撃するような物もあったり…ドラムは割とクリアに録られていて、疾走感を殺さないようになっていることや、録音が一番新しい筈の「MINNESJORD」のパートが一番音が酷かったりする事からも、このノイズは意図的な物であるように思えます。

個人的に最も気に入った点は以下の二つ。
まず一つ目は「NORSE」のドラムの音質。何かスチスチいってて妙に心地良いです。
もう一つはIHSAHNの絶叫。「NORSE」はNIDHOGG、「ILDJARN」はIHSAHN、「MINNESJORD」はILDJARN本人がヴォーカルを取っていて、三人とも絶叫スタイルで良い声していますが私的には彼の声が一番好きです。EMPERORの1st以前の音源同様高音でテンションに任せた感じで絶叫していますが、ところどころ彼の声の方が他の全ての音圧を上回っていると思わせるくらいの素晴らしい発狂絶叫振りで、聴いててスッキリします(笑)

私はILDJARNを聴くのはこれが初めてなんですが、意外にもノイズが心地良く、しかも曲そのものもかっこいいのでびっくりしました。まぁ人によっては「こんな曲に2千円も出せるか!!」とか思いそうなので流石に万人に勧めるのは憚られますが、ちょっとでも気になっている人は是非を言わず買った方がいいです。後悔はしない…と思います(笑)


ILDJARN - Det Frysende Nordariket - Ild ★★ (2005-08-07 18:29:50)

「ILDJARN」のパートに属する音源。
リフは単純ですが、このメロディは多くのブラックメタラーを病み付きにさせていることでしょう(笑)。IHSAHNの叫びももはや吐きそうになってます…ほんとにPECCATUMで前衛的ながら美しい曲を多数作っている人とは思えません。天才と狂人は紙一重といいますが、IHSAHNって両方の要素がある気がする。


ILDJARN - Det Frysende Nordariket - Kronet ★★★ (2005-08-07 18:30:58)

「ILDJARN」のパートに属する音源。
ベースリフとドラムのリズムのみと言う音数の少ない状態がしばらく続いた後、IHSAHNの素晴らしい絶叫と共に不穏なリフが入ってきます。ある意味劇的(笑)