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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3001-3100

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3001-3100
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ILDJARN - Det Frysende Nordariket - Nattens Ledestjerne ★★★ (2005-08-07 18:31:46)

「NORSE」のパートに属する音源。
妙に躍動感に溢れているスチスチドラムがなんだか心地良くて良いですね。しかもこのドラムがツーバス連打とかするシーンもあって、プリブラながら燃えるものがあります。


ILDJARN - Nocturnal Visions - Strength and Anger Ⅶ (hammer Torture Version) ★★★ (2007-11-26 21:56:09)

原曲は未聴の状態で聞いたんですが、凄いですね、これ…。
例えるなら、ひねると水ではなく血や膿、脳漿などが出てくる蛇口があったとして、それをプールに水を張る勢いで全開にしたかのようなノイズ地獄。この耳に全く優しくない音像が快感…。


ILL OMEN - Spear of Salvation ★★ (2011-06-01 01:41:39)

2010年発表デモのCD化。

本編の5曲目までがトラック1に入っていて、トラック2にCDボーナス曲の「Adorned in Garments of Pestilence」が入っているという謎の仕様。そんな余計な部分にこだわらなくていいです(笑)。

路線としては、ギターリフのザー音が空間を支配する、プリミティブ音質の鬱ブラックで、やはり源流にはBURZUMがありそうな感じ。ただ、こっちはBURZUMがスピリチュアルな感覚や、叙事詩的な雰囲気に向けている労力を全部不吉さだとか陰湿さに向けている感じで、よりカルトな感じはしますが。ほぼノイズと化してる絶叫もBURZUMを思わせますね。

叙情性ではなく、ひたすらに焦燥感だけが加速していくような疾走パートもなかなかですが、個人的にはスローパートが素晴らしいと思います。トレモロリフなのに、「ズルズル」という擬音で表現したくなるような引きずり感があって、聴いてると大量の霊魂が生まれ変わりの光を目指して虫ケラのように這い進んでいるような、陰惨で本能的に忌避したくなるような絵が浮かびます。こういう宗教的なイメージは、途中で挿入されるクワイアのせいもあるかもしれませんね。

曲の終わりなどにアンビエントパートも挿入されますが、これもざらついた洞窟めいた雰囲気のもので、プリブラ曲でのムードをしっかり引き継いだものになっているように思います。ボーナス合わせても26分で、多少物足りなさは残るかもしれませんが、精神にクる鬱系が好きな方なら手を出して損はないかと思います。


ILLNESS - Planet Paranoia ★★ (2014-10-10 22:37:15)

2010年発表の3rd。

ジャケットの雰囲気からは全くそんな素振りは見せていませんが、意外なことにサイバー/インダストリアルなブラックメタルを演ってますね。CD再生してピコピコ音が流れたときはジャケとのギャップに結構驚きました。無機質ながら暴虐なマシンブラストに、ブラックメタル流儀の不穏なトレモロを乗せ展開していく作風で、「With no Human Intervention」期のABORYMに近い音でしょうか。

ヴォーカルはゲロゲロ感の強い、高めのがなり声でこちらも同じくABORYMのPrim Evil氏の「Generator」アルバムでのパフォーマンスに近いスタイル。彼の声に勝るとも劣らない殺気。…全体的に、かなりABORYMからの影響が強い感じですが、ABORYMが比較的前衛的な展開を見せていたのに対し、こちらはマシンブラストとトレモロにより焦点が当てられており、若干シンプルな構成。トレモロの終末感を感じさせるメロディのセンスが良く、それを映えさせる作風と言えると思います。

個人的には、ABORYMの「Generator」がツボった人にお勧めしたいアルバムですね。インダストリアルを取り入れながら、近未来的というよりは終末的なヴィジョンが見えてくるのが、如何にもブラックメタルらしい感性で良いんですよね。


IMAGINARY FLYING MACHINES (2011-07-11 00:01:18)

アルバムレビューの方で、私のアルバムの感想について意見があったようなのでレスします。アルバムの評価をすべき箇所に書き込むのは本意でないので、こちらに書き込みますね(何か問題があれば消します)。以下引用(このサイトでは後に修正が可能ですが、取り合えず書き込まれた時点のものを引用します)。

>なんだかNileでのコメントに類似しますが、フォークロアとかゴシックとか
>の導入というのは(近年のサブジャンルの色々としては重要でも)'80s由来の
>メタルの硬質感とかダイナミズムを大きく殺ぐものでもあるので、あんまり
>何にでも要求するのもどうかと……。

なんか、私が何にでもフォークロアやゴシックの導入を求めてるみたいに言われてますが…(苦笑)。
私はジブリのカヴァーならもっと情景を感じさせて欲しいと言っただけで、フォーク要素・ゴシック要素のある作風を演れとは言ってないんですけどね。このバンドはメタルのダイナミックな質感に重きを置いていると思ったからこそ、それらの要素を取り入れずに情景を描写しているバンドとして、DISSECTIONを例示した訳なんですが。

人のレビューや感想に意見するな、批判するなとは言いませんが…
批判するならするでせめて的を射た事を言って欲しいですね。その上で、私に改善できる所があれば善処しますので。的が外れた事を、言い含めるように言われるのは正直あまり快いものではありませんね。


IMAGINARY FLYING MACHINES - Princess Ghibli ★★ (2011-04-13 20:20:46)

2011年発表のジブリカヴァーアルバム。

なんか、凄い事が起こってますね…
DISHARMONIA MUNDIを始め、BLOOD STAINED CHILDやDESTRAGEなど、メタルフィールド全体でも高い評価を得ているバンドのメンバーが集結し、女性ヴォーカルをフィーチャーしたジブリのテーマ曲のメロデスカヴァーを演る…これだけで私的には「事件」ってレベルなんですけど(笑)。

実際に聴いてみても、取り合えずこれだけの面子が揃っているのだから、演奏面では文句のつけようのあるはずもありません。リフもリードもテクニカルで非常にかっこいいし、爆音で疾走する音は単純に聴いていて気分がいいです。そして日本語の歌詞をグロウルやスクリームで絶叫するのがなんか新鮮(笑)。そこに清楚な感じの女性Voが乗るのも面白いですね。バックの狂いっぷりとの対比で、夢中夢を聴いているような非日常感すらあると思う。

ただ、ちょっと惜しいのが、「別にジブリじゃなくても…」と思ってしまう所があること。例えばDISSECTIONは、リフで極寒の吹雪を表現してましたが、このプロジェクトも「もののけ姫」なら自然界への畏れ、「となりのトトロ」なら未知の潜む森など、同じようにメタルサウンドから情景を感じ取れるサウンドになっていれば尚良かったのに…と思います。「ポニョ」に至っては、普通にメタルでも出来そうな歌メロに改悪されてしまってるし…。

とは言っても、高品質なメロデスとジブリの極上のメロディの夢のコラボであることは間違いありません。「メタルは激しくてテクニカルな音楽」くらいの認識で、かつこれからメタルを聴こうという人には、ジブリの親しみやすさも加わって、正統派やメロパワの大御所の名盤群よりも取っ付きやすい作品かもしれません。


IMAGINARY FLYING MACHINES - Princess Ghibli - Nausicaa Requiem ★★★ (2011-04-13 20:24:13)

NECROARGENTOというバンドのアレンジですが、これは素晴らしいですね。原曲のちょっと怖い雰囲気のメロディを生かして、幻想的な風景が浮かぶようなアレンジにしてます。


IMAGO MORTIS ★★ (2010-07-19 12:31:00)

イタリア産ブラック。
Noktu社長が運営してるDrakkar Productionsに所属。


IMAGO MORTIS - Ars obscura ★★ (2010-07-19 12:27:00)

2009年発表の2nd。

所属レーベルやアートワーク、バンド名からは、邪悪さ重視型ブラックの匂いが感じられますが…意外にもトレモロリフの叙情的なメロディの強調された、メロディックなブラックで、陶酔感の感じられる疾走パートなんかはメロウなプリブラ好きにはどツボじゃないかと思う。

ただ、ドカドカと突っ走るドラム、トレモロリフの乗りも良いノイジーな平坦リフが、抜けの良い音で録音されているお蔭で、「迫力」はあっても「うるささ」はそれ程感じないクリアな音に仕上がっていたり、テンポを落としてヘヴィな刻みリフや叙情的なメロで聴かせるドラマ性のある展開があったり、プリブラそのものではなく、その要素を上手く取り入れたメロディック・ブラックと言えそう。

また、全編通してかなり前に出されている、メロディそのものも特徴的ですね。WATAINやNED勢に通じるような邪悪さ、毒々しさが感じられつつも、時々日本の土着的なメロディに通じるような、妖しく湿った怖さを感じさせるメロディが出てきて耳を惹きます。
イタリアのバンドなのに、桜の下に死体的な感じのメロディが聴けるという(笑)。

ヴォーカルも典型的なブラックのがなりながら、イタリア語の響きがどこか呪術的な雰囲気を醸し出していて悪くないです。ただ、最初の語りは別トラックだとより良かったかも。ぶっちゃけ最初「早く始まれよ」とか思ってしまったし(笑)。

メロディックさ、ドラマ性、邪悪さ、プリブラ的感性を上手く両立させたブラック。メロウさ・陶酔感重視型の、プリブラ的感性を持ったメロブラが好きな方にお勧め。多少のノイジーさはありますが、WATAINやPROFUNDIが聴ければ十分行けるレベルです。


IMAGO MORTIS - Ars obscura - Nox perpetua ★★★ (2010-07-19 12:31:30)

最初のイタリア語語りは微妙だなぁ…ちょっと長すぎて、アルバムの頭から少しダレを生んでるような。ただ、曲の方はメロウさ・迫力・邪悪さの揃ったブラックで素晴らしいですが。特にラスト近く、イタリアのバンドなのに日本の土着的なメロディに通じる、湿った暗さのあるメロディのリフが素晴らしい。


IMAGO MORTIS - Ars obscura - Pestilentia ★★★ (2010-07-19 12:29:44)

他にも、いくつか日本っぽさに通じるメロディのリフは聴けますが…この曲のメロディはどこか軍歌を思わせる、勇壮さと哀愁がありますね。やっぱりメロディにフックがある曲は良いです。


IMMOLATION - Majesty and Decay ★★★ (2011-02-15 21:25:53)

2010年発表の8th。
デスメタラーの間ではかなり有名なバンドですが、私はこの作品が初聴き。なんですが、ヤバイですね、このバンド。かっこよすぎるんですけど。

タイプ的には、重々しいミディアムも交えつつ突進する暴虐なリズムに、デスメタル、特にブルデスに多い、禍々しいうねりを伴うリフを乗せ、地の底から響くようなグロウルで吼える、正にデスの醍醐味をそのまま音にしたような作風。
ド迫力のドスの効いた、でも決して愛想の悪くない展開はブルデス化後のBEHEMOTHに近いかも。向こうよりもリフ/リズムに特化した感じで、ヴォーカルや演奏の迫力、プロダクションなども向こうに負けてません。

基本、時折リードを交えつつも、リフとリズムの絡みで展開を作っていく曲構成なんですが、たまに演奏が「バンドの音を超えた何か」に聴こえるときがあるんですよね…。
例えばビープ音のようなリフとハーモニクスが混じり、本能への警告のように聴こえたり、重厚なミディアムが巨大な青銅魔人の像の威容を思わせる迫力で迫ったり、リフとリズムの苛烈な絡みが宗教的熱狂の高まりを思わせたり…まあ私が勝手に想像してるんですが、なんか単なる「バンドの音」で割り切れない、有機性がある気がするんですよね。それを基本リフ/リズムで感じさせるのだから凄い。

この系統ではベテランらしいですが、BEHEMOTHやデスコアなどを追っている、若いメタラーも是非聴いて欲しい作品。轟音愛好家ならイントロダクション明けの1曲目から、身を委ねたくなるはず。


IMPERIAL CIRCUS DEAD DECADENCE - 惨劇の血に赫く染まった愛と絶望の黒い死が紡ぐ最期の物語 ★★★ (2010-01-17 17:52:00)

2009年発表の1st。
有名メタルレビューサイト「悶絶メタルのページ」でも頻りに言及され、更にそこの管理人さんがライナーノーツを執筆という事で、凄く気になっていた作品。最近遂にボートラ入りで再発されたので、速攻で確保しました(笑)。

帯によると、「ヴィジュアルロックと同人音楽をデス/ブラック上で昇華させる」とありますが…なんなんでしょう、この私の最近の音楽的嗜好をそのままなぞるかのような音楽性は(笑)。そのコピーの通り、ブラック張りのトレモロリフやブラストビートの上を、SOUND HORIZON風の歌メロや語り、MOIS DIX MOI風の絢爛なキーやV系的歌唱が乱れ飛ぶ…という作風ですが、どの要素も徹底されているお蔭で、借り物ではない世界観を演出できているのが特徴。

同人メタルって(最近デスラッシュやグラインドもあるにはあるけど)エクストリームメタルを標榜していても、せいぜいメタルコアやメロデスなど、メジャーっぽさのある、聴きやすいメタルが多かったんですが、この作品は激しいパートは「鬼女と野獣」の頃のCRADLE並に激しいと思う。更に強烈なリズムとグチャドロのデスヴォイスの上を華麗なメロディが容赦なく舞いまくるので、はっきり言って下手なメロデスやメロブラよりも全然混沌としてます。

メロディも、歌メロには(SOUND HORIZONの)Revo氏、バッキングのメロにはZUN氏(上海アリス幻樂団)やMana氏(MOIS DIX MOI)辺りの影響が見え隠れし、実にクサメタラー好み。上記コンポーザーの影は見え隠れするんですが、パクリやオマージュ的なフレーズの拝借ではなく、Revo氏なら、ZUN氏ならここでこういうメロを書きそうだな…という影響の受け方なのが良いですね。

ただし、ブラックの要素が強めで、それなりに激しいのでSOUND HORIZONが行ける方でもCRADLE OF FILTHやDir en greyが激しすぎて駄目な方には向かないと思う。また、語りや灰汁の強いV系歌唱も昔気質なメタラーには向かないかも。そう考えると、意外にもニッチな音楽性なのかも…でもそのニッチな音楽性に、ここまで情熱を注ぎ込んで作りこむアーティストがいるというのは嬉しいですよね。

悶絶メタルさんの更新を毎日楽しみにしている方は、取りあえず買っときましょう(笑)。


IMPERIAL VENGEANCE ★★★ (2010-12-26 17:43:09)

元CRADLE OF FILTHのメンバーが在籍するシンフォニック・ブラック。
去年Candlelightよりデビューアルバムをリリースしています。


IMPERIAL VENGEANCE - At the Going Down of the Sun ★★★ (2010-12-26 17:42:29)

2009年発表の1st。
ぶっちゃけ、COFのメンバー在籍と名門レーベルからのリリースという情報だけで、何となく購入してしまったのですが…これがシンフォブラックとしては大当たりな作品でした。

ブルータリティや絢爛な音像に頼り切らず、メロディの美しさとドラマティックな展開で攻めるタイプのシンフォニック・ブラックで、特にメロディの素晴らしさはこのジャンルの中においても第一級のレベルでしょう。
インスト明けの一曲目からはっとするようなリフとキーのメロがあり、生のチェロを使った6曲目のインストでは子供時代に見た悪夢を体現するかのようなゴシックな雰囲気を演出、7曲目ではDARK FUNERALばりのかっこいい邪悪メロブラリフを展開…と、印象深いパートが幾つもある。

メロブラ的な悪魔的トレモロリフとメロデス的メロウな刻みリフを組み合わせたギターリフ、ピアノやストリングス、空間系など場面に応じて適切な音色を使い分け、世界観を演出するキー、ファストパートだけでなく、ミディアムで聴かせるパートも重視した展開と、曲作りは非常に丁寧。
たまに力押しっぽい部分も見受けられるCOFより、「聴き所と聴き所の繋ぎ」に関しては上かもしれません。Ihsahn風絶叫と、(KOKの)Thebonが時々やるような濁声を使い分けるヴォーカルもまあまあ。

個人的には最近の本家に匹敵するか、それ以上に気に入ってしまった作品。GOTHMOGなど、シンフォ系でもメロディ重視のスタイルがお好みな方は是非。


IMPERIUM DEKADENZ - Procella vadens ★★★ (2010-12-03 18:57:51)

2010年発表の3rd。

タイプとしては鬱系に分類される音を出してますが、この手のバンドにしては珍しく、BURRN!誌で好意的な評価を得ていたり、某タワレコで微妙にプッシュされていたりと、割と注目度は高い模様。

アート系鬱ブラック特有の絶望感の中に美しさが光るメロディと、シューゲイザー系ブラックの儚い中に僅かに光が見えるようなメロディの描く、淡い灰色のコントラストというはっきりした(分かりやすい)美点があることや、低音質や尖った音質ではなく、しっかりした重さもある音質と、トレモロだけでなく時折メタリックさも垣間見せるリフなど、一般メタラーにも受け入れやすい要素が強い事などから、注目を浴びたのかもしれませんね。

特に前者のメロディは素晴らしく、1曲目の子供が見る悪夢の世界に誘われるようなピアノ、5曲目の儚く美しいアコギ中心のインスト、8曲目のシャーマニックな音に乗る女性Voなどは非常に印象に残る。2曲目や6曲目も、この手として最大限のドラマ性を描いた名曲であり、個人的には大推薦。
悪く言えば、ジャンルの良いところを分かりやすく聴かせてくれる、優等生的なアルバムなのかもしれませんが…この手を普段から聴いてる人、これから聴こうとする人の両方に、申し分のアピールが出来る良作なのではないでしょうか。


IMPETUOUS RITUAL - Unholy Congregation of Hypocritical Ambivalence ★★★ (2015-10-22 11:37:00)

2014年発表の2nd。

あのPORTALの関連メンバーによる暗黒デス/ブラックということですが、PORTALに通じるところもありつつ、差別化もされているような作風ですね。向こうほどノイズ/アンビエント色の強い音ではありませんが、ギターのどす黒い靄に視界を全て奪われるかのような独特の邪気を孕んだノイジーさは、確実にPORTALに通じるものがあるように思います。

但し、攻撃的でキビキビした印象のドラムがそれなりに前に出されていたり、メタリックなイカレ系のギターソロがフィーチャーされていたり、若干音が普通のデスメタルに近い部分もある気もします。ただ、何かの悲鳴のような音をギターが奏でていたり、リフのノイズから漏れ聴こえてくるメロディがやたら黒かったり、感性的には邪悪そのもの。

PORTALを始め、ÆVANGELISTなどどす黒い空間の演出が巧みなデス/ブラック系好きな方にお勧め。


IMPIETY - Terroreign ★★ (2009-08-16 22:44:00)

2009年発表の6th。

ブラック/スラッシュメタルバンドではかなり有名な存在という事で、取りあえず最新作を購入してみましたが…確かに、イカレたギターソロや刻みの多いリフ、リズムの組み立て方なんかはスラッシュの影響を強く感じさせますが、それらがタフさやダーティさ、体感速度ではなく、とにかく冒涜的で暴力的であろうとする方向に向かっている辺り、価値観はブラックやブルデスに近いかもしれません。
ヴォーカルも吐き捨て気味な所はスラッシュの影響がありそうですが、エグいまでに歪んだ太いデス声で、むしろWATAIN辺りに近いと思う。

ブラストの最高速度もリフの暴虐さも、ブルデス以上に凄まじく、少しでも触れようものならギタギタにぶち殺されるような壮絶な音で、例えテンポを落とすパートでもリフの壁やエグいヴォーカルで攻撃の手を緩める事はない、特攻あるのみな作風。
BEHEMOTHがブルータリティの追求のため、スラッシュの要素を強めたらこんな感じなのでは…というくらい、暴虐さを体現できている作品だと思います。

同じブラック/スラッシュでも、北欧のAURA NOIRやAUDIOPAIN辺りとは全くベクトルの異なる音。ダーティさを志向する向こうに対し、こっちはよりブルータルさを追求した作風ですね。エクストリームメタル好きならこの暴虐性は是非体験して欲しいところ。特にBEHEMOTHやAXIS OF ADVANCEなどが好きな方にお勧め。


IMPIETY - Terroreign - The Black Fuck ★★★ (2009-08-16 22:47:36)

ヴォーカルの文字に表せないような叫びが好きです。
演奏も怒気が篭もってるのが伝わる凄まじさ。


IMPIETY - Terroreign - Vientos De Holocausto ★★★ (2009-08-16 22:46:18)

一瞬演奏が止まり、SEの中にヴォーカルの咆哮が木霊する様が恐ろしくかっこいい。演奏力があって暴虐な音を作れるだけじゃなくて、こういう演出が上手いのが良いですね。


IN AETERNUM - Past and Present Sins ★★★ (2011-12-02 19:44:50)

2001年発表の音源集。
95-01年の音源、VENOMやKING DIAMONDのカバー、ライブ音源を収録。

路線としては、リズム面ではブラストで畳み掛けるパートもありつつ、小気味良いノリのリズムで聴かせるパートも多く交えるという特徴がありつつも、割と典型的なメロディックブラックを演ってるんですが…何気にメロディのセンスが一級品。初期~中期SATYRICONを思わせる、トラッドのメロウさとブラックの残忍さを掛け合わせたような、印象的なメロディ。

曲はずっとメロウなメロディを弾き倒している訳ではないんですが、要所でこの印象的なメロディが出てくることで凄く曲が引き締まってると思う。基本キーボードは使用しないタイプの、硬派なブラックですが、メロディが良いお陰でかなりドラマティック。録音年代で多少音質は変わってきますが、メロディのセンスはどの年代でも共通して素晴らしいです。

ただ、惜しいのはその音質ですね…極端にプリミティブな訳でも、メジャー志向な高音質でもなく、パッと音像だけを聴いた感じどこにでもありそうな凡庸なブラックに聴こえてしまうのが本当に惜しい。曲をしっかり聴けば魅力的な作品である事は間違いないんですが、ちょっと掴みが弱いかな…とも思う。ライブテイクも歪みの音が妙に大きく、熱気は伝わるものの彼らのセンスの良いメロが埋もれ気味で勿体無い。

と言っても曲はかなり良いですし、メロディックブラックが好きならばチェックしておいて損はない作品。名盤群を聴き漁って次に何を聴いたら…って感じの人は特に嵌まるのでは。


IN BATTLE - Kingdom of Fear ★★ (2008-10-05 18:02:00)

2007年発表の4th。

このバンドはヴァイキングメタル/ファストブラックとして有名らしいですが…少なくともこのアルバムではヴォーカリストのSandinの手掛ける歌詞に「ユグドラシル」「アスガルド」「スレイプニル」などの北欧神話由来のフレーズが登場するくらいで、民族楽器やヴァイキングハーモニーなどは無い、ブルデス寄りのファストブラックを演ってますね。

メロディもヴァイキング的勇壮さやブラックのサタニックな雰囲気よりもデスメタル的な禍々しさを強く感じさせる物で、ENSLAVEDやTAAKEよりも寧ろHATE ETERNALの方がずっと近い音の様に思います。ヴォーカルはダーティで野蛮ながなり声で、ヴァイキングらしさがある…ような気がしないでもないです。

…このアルバムは結構賛否が分かれているみたいですが、確かにヴァイキングメタルを期待すると肩透かしかもしれません。ですが、最初からそういうもの(ブルデス寄りファストブラック)だと思って聴くとかなり良いアルバムですよ。豪速の中でテクニカルにせめぎ合うリフとリズムの応酬が実にかっこいい好盤です。

ただ、質は相当高いにも関わらず、結構曲が似通ってる気もするので、テクニカルな演奏を活用してKOKと同じくらい1曲1曲の個性を付けてくれればもっと良かったかも。


IN BATTLE - Kingdom of Fear - I kamp ★★ (2008-10-05 18:05:44)

母国語詞で北欧神話由来のキーワードも垣間見えますが、やっぱりヴァイキング要素はほぼ無く、デスメタル寄りのメロディ。でも母国語の巻き舌が更にダーティな感じを際立てていてかっこいいです。


IN BATTLE - Kingdom of Fear - The Curse ★★★ (2008-10-05 18:04:49)

ファストブラック化したMORBID ANGELという印象の曲。
DARK FUNERALやSETHERIALのメロディが悪魔が押し寄せてくる感じなら、こっちは地獄で閻魔とか出てきそうな感じ。


IN FLAMES - Come Clarity ★★ (2008-06-09 21:44:00)

このサイトでの2006年の人気投票、これが一位なんですね。皆さん分かってらっしゃる(笑)
私は別のバンドに入れたんですが、個人の好みを別にすれば順当だと思いますし。
メタルの魅力って、異形性とか暴虐性とか色々ありますが、その中でも「ギターのかっこよさ」
っていうのは最も重要なファクターの一つだと思うんですよね。その点では、このアルバムは
今まで聴いたメタルの中でもトップクラスに位置する作品だと思います。
確かに指摘されているようにモダンな作風で、リフもグルーヴィなんですけど、このバンドは
煽情性やメロディも全く損なわずにグルーヴを出してるのが凄い。こんな扇情的な泣きメロと
グルーヴが一体になったリフなかなか無いですよ…しかも、それが一部のキラーチューンだけ
ではなく、全編通じて出てくるのが素晴らしい。Jesperって天才かもしれないわ…。
また、ヴォーカルもデスヴォイスは鋭く、クリーンヴォイスはエモーショナルでレベルが
高いのも良いですね。ただ、クリーンヴォイスはライブとかで盛り上がるにはいいと思うん
ですけど、インドアで聴くタイプのリスナーの私にとっては余り歓迎しづらいかも。
どうしてもヴォーカルがメロディ取ると、少なからずそっちに意識が行ってしまうんですよね…
リフがそれすら勿体無い、全力で聴きたいと思えるくらいかっこいいので…。
個人的にはARCH ENEMYの3rdやDISSECTIONの2nd、DARK TRANQUILTYの2nd辺りと合わせて、
ギターキッズに聴かせてみたいアルバム。一生メタルの虜になってしまうかもしれませんよ(笑)
全くギターを弾けない私ですら余りのギターのかっこよさに悶絶してしまいましたもん。
私はブラック好きなんですが、これ聴いてやっぱりメロデスって今のメタルの中核を成す
サブジャンルの一つなのかもしれないな…とか思いました。


IN FLAMES - Soundtrack to Your Escape - The Quiet Place ★★ (2007-05-06 20:27:49)

これだけ歪んだギターが入っているのに、どこかタイトル通り「静寂」な雰囲気が感じられますね。泣く寸前のようなヴォーカルも、以前より表現力を増している印象。


IN IT - None of That Matters ★★ (2015-02-26 22:39:27)

2011年発表の1st。
私はPest Productionsより再発されたものを購入。

ヴァイオリン入り、インストのシューゲイザー・ブラックという触れ込み、再発されたレーベルなどから儚く美しい世界観を期待してしまうわけですが…正にそんな期待通りの音ですね。シューゲイザーブラックに特有の、浮遊感のある雰囲気の中でヴァイオリンや笛による美しいメロディが、心の琴線に触れる作品。ヴォーカルが入ってないのも、情景に徹している感じがして個人的にはプラスですね。

ただ、メロディそれ自体やそれを奏でるヴァイオリン、笛などの音色、儚さや浮遊感を感じるフレーズのセンス、情景を描きつつ展開する楽曲構成力などは良いんですが、音響面でちょっと…と思うところも。例えば1曲目、音量が増減する持続音めいた音が効果音的に挿入されてますが、はっきり言って耳障りに聞こえてしまう。楽曲自体よりそっちの方が気になってしまうくらい。現時点では楽曲への没入の妨げになってるように感じますが、これが逆により深く没入させるような使い方になれば、曲の良さもあってジャンルの中でもかなり良いバンドになるのではないかと。

そういう訳で、若干惜しい部分もある作品でした。雰囲気はかなり好きなので、その部分(効果音による音響面)もう一押しあればって感じです。


IN LINGUA MORTUA - Bellowing Sea - Racked by Tempest ★★ (2009-08-06 22:05:00)

2007年発表の1st。
メロトロン入りシンフォブラックとして好事家の話題を攫った一枚。国内盤未発売ながら、EURO ROCK PRESSで取り上げられるなど知名度は低くない模様。

…メロトロン入りシンフォブラックと言っても、メロトロンをこれでもか、と敷き詰めたような音ではなく、派手なオーケストレーションの中の音色の一部としてメロトロンを上手く配置した作風で、LIMBONIC ARTやSIRIUS、最近ではSOTHISやABIGAIL WILLIAMSに近い音楽性。

上記のバンドが宇宙の神秘とか神話の戦争とか、ひたすらに壮大な世界観を描いているのに対し、こっちはもう少し繊細でアンティークな雰囲気。鬼火のようなイメージを想起させるメロトロンの音を始め、ストリングスのちょっとした震えさせ方、生のフルートやヴァイオリン、サックスの導入など、オーケストレーションの「音色」にかなり気を使っているように思えるんですが、だからこそ派手なだけでなく、ロマンティックなムードが出せるんでしょうね。

ギターも裏方に徹すべき所では徹し、主張すべき所ではしっかり印象的なフレーズを入れてくるし、総じて非常に質が高い印象。ただ、メロディ楽器の音色にはかなりの拘りを見せている割に、ドラムの音色がイマイチなこと、ヴォーカルが然程特徴的でないことが弱点といえば弱点なのかもしれません。

派手さと繊細さ、絢爛さと上品さを兼ね備えたシンフォブラックで初心者にもお勧め。…ブラックの中でも、シンフォ系って最も取っ付きやすいジャンルだと思うので、こういう良質なバンドがどんどん出てきているというのは頼もしい限りですね。


IN LINGUA MORTUA - Salon des Refusés ★★★ (2010-10-27 21:30:15)

2010年発表の2nd。

大半の曲のVoをSHININGのKvarforthが担当してます。
前作の「メロトロンを使用したシンフォニック・ブラック」というスタイルからして、プログレ的な要素が強い作風だったんですが、まさかここまで大胆に舵を切ってくるとは…この作風なら、EURO ROCK PRESS辺りが大喜びでレビュー書きそうです(笑)。


まず一番変わったと思うのは、アンサンブルの質ですね。
いわゆる「ウネリ」のある音なんですが、ブルデス等のように、リズムがファストでリフで「ウネリ」を表現するわけではなく、まずリズムそのものに「ウネリ」があって、それに呼応するかのようにギターリフや、メロトロン、サックスなどがフリーキーに絡むアンサンブルで、ブラック的というよりも、本格的にエクストリームなプログレメタルを演っている感じ。

他にも、インスト曲の一部にDEVIL DOLLや初期WHENを思わせる、クラシックやサウンドトラックのシアトリカルでおどろおどろしく湿った部分を抜き出したようなパートもあり、感性的には殆どプログレといって差し支えないと思う。複雑な中に時折暴逆性も覗かせるドラム、ブラックらしいトレモロ、Kvarforthによる絶望と怒りが綯い交ぜになったヴォーカルなど、エクストリームメタル好きの心を掴む要素もしっかりあるのが嬉しい所。
これだけ凝った作風なのに、初聴で絶大なインパクトがあるし、1曲1曲がコンパクトに纏まってるしで、全く頭でっかちにならないのも凄い。

まだ誰もレビュー書いてないんですが、世のプログレメタラーに知れ渡って然るべき音。クオリティも高いし、上品で格調高いのに俗悪な退廃性もあって素晴らしい。
ここまで変化すると、DIMMU系を期待して聴いてる人は見限ってしまうかもしれませんが、個人的にはこの変化は大歓迎。OPETHやCYNICだけでなく、ANSURやSOLEFALDまで好んで聴いてるような方なら問答無用で「買うべき」と断言できます。


IN MEMORIUM - From Misery... Comes Darkness ★★★ (2014-08-13 22:39:30)

2003年発表の1sr。

これ、凄まじいです。ちょっと検索して、あまりレビューがないことに驚きましたもん。…路線としては、刻みリフとトレモロリフを組み合わせてブリザードの如き寒々しさを演出する、DISSECTIONやNAGLFARの手法を踏まえつつ、キーボードを利用した中世的な雰囲気作り、スラッシュに先祖返りしたような凶悪で狂気的な疾走パートなどを盛り込んだ、ドラマティック極まりないメロディック・ブラック。

パートによってはそれこそDISSECTIONやNAGLFARよりもメロデスに近かったりしますが、メロディに込められたサタニックさ、音の分離はしっかりしつつ、若干ノイジーな生々しさを残したプロダクション、闘争本能剥き出しでがなるような凶悪なヴォーカルなど、メロデスのメタリックさとブラックの美学をバランスよく共存させている感じなんですよね。メロブラって、「これならDISSECTIONの1stとか、ジャンルのクラシックとされる名盤を聴いていた方が良いわ」と思ってしまうものも少なくないですけど、これはそう思わせないだけのクオリティが、間違いなく備わっている素晴らしいアルバムだと思います。

私としては中古で安かったので何気なく購入し、聴いて結構な衝撃を受けたんですけど、素性を調べてみたら既に解散してしまっているようですね…。それが心底惜しまれるような、良いアルバムだと思います。メロディックでドラマティックなブラックを求める方は是非。


IN MY SHIVER ★★ (2011-08-26 22:07:29)

イタリア産ディプレッシブ・ブラック。
1st「Black Seasons」のジャケが素敵過ぎて惚れました。


IN MY SHIVER - BLACK SEASONS ★★★ (2011-08-26 22:08:34)

2010年発表の1st。
ブラックメタルなのに都会の夜の情景を切り取った、お洒落なジャケが凄く目に付いてしまって…逡巡の末に購入しましたが、これが非常に良い作品でした。

ジャケからはポスト/シューゲイザーブラックっぽさが漂ってるし、確かにロック的なリズムの導入やメロディの儚さにはそうした要素もありますが、基本的にはミディアム中心のテンポにトレモロや掻き鳴らしによる陰鬱なメロディなど、使ってるパーツは鬱ブラックそのもの。

ラストにピアノが出てきますが、本編はSEやノイズなどはおろか、キーボードさえ出てこず、ヴォーカルも全パート喉を潰したようながなりで、クリーンを使わない辺りかなり硬派な路線。疾走も絡めた、ドラマ性のある展開も、安易なミニマリズムに頼らない作曲能力を感じさせてくれ、やはり硬派だと思う。音も適度な生々しさ(低音質ではない)で、特にぼた雪のような刻みリフの音色が好み。

ただ、硬派であっても、ジャケのようなアーバンでサイケな情景描写も当然ないわけではなく、例えば2曲目冒頭のお洒落(?)なギターとベースの絡み、4曲目の何かの警告音のようなギターメロ、5曲目の気力どころか筋力まで萎えしぼんでいきそうな鬱アルペジオなど、アンサンブルやフレーズでしっかりそれを感じさせてくれるところが素晴らしい。

メロディは他の鬱ブラックに比べると、陰鬱さはあるんですが、それが自傷的だったり殺人念慮的だったり、邪悪な方に向かわず、「洗脳的」「倦怠的」な、浮遊感に向かっていっている感じがします。で、時々それが凄まじく効果的に鬱感覚を演出しているんですよね。不安感の中で宙吊りにされたままでの疾走とか、ほんとに怖さを覚えますもん。

何気にこういう、バンドサウンドのみの硬派な音でポストブラック的な浮遊感やアーバニズムを演出しつつ、リフとリズム、メロディの変化のみでドラマティックに聞かせる路線って珍しいんじゃないでしょうか。個人的にはTHRANENKINDやLIAMよりもお勧め。
ちなみにケース内にカプセルが入ってましたが…開けたら何も入ってませんでした。ハッタリでチョークの粉でも入れとけばいいのに(笑)。


IN SILENTIO NOCTIS - Disenchant the Hypocrite ★★★ (2014-05-20 23:37:51)

2013年発表のEP。

ショップにて「ブラックメタルの演奏+女性ヴォーカル」と聞いて興味を持った一枚ですが…作風的にはむしろ、ブラック・(メロ)デス・ゴシックの良い所取りをしたエクストリーム・メタルという感じですね。ツーバスを敷き詰めたり、豪速ブラストで攻め立てるデス由来の攻撃性、刻みを多用しつつ、メロディアスなフレーズを聴かせるメロデス由来のリフ捌き、シンフォゴシックらしい可憐な声楽的女性ヴォーカルと大仰なオーケストレーション、そして要所で挿入されるブラック的トレモロ…と、様々な要素を取り入れたハイブリッドな作風。

…と、ぶっちゃけブラックメタル要素はかなり薄く、これをブラックと言い切るには相当の無理がある路線…ではあるんですが、ジャンル関係なくクサくて派手で大仰で華美なメタル音楽を求める場合、これ程適したものは無いのではないでしょうか。特にトレモロリフの「メロディのクサさを引き立てる力」の強さを、まざまざと再認識させられた次第(笑)。ブラックメタルというよりは「超攻撃型シンフォニック・ゴシック」とでも呼んだ方がしっくり来る路線ではあるんですが、これはこれで素晴らしいです。むしろクサメタラーに対して大推薦。


IN THA UMBRA ★★ (2012-02-20 23:37:47)

ポルトガルのブラックメタルバンド。
IN THE UMBRAではないので注意。


IN THA UMBRA - Descend Supreme Sunset ★★ (2012-02-20 23:38:37)

98年発表の1st。

一体何なんだ、この惜しいアルバムは…
ペイガン要素も感じる叙情的なメロディを、トレモロリフに練りこんで疾走するメロディックなブラックメタルですが…ちょっと音質が酷いと思う。単に粗いならまだしも、微妙に(=ノイズ系・RAW系として楽しむには半端に)ノイジーな中で、トレモロが微かに聞こえるような、妙に煮え切らない音作り。ドラムはドラムでまるで「鬼女」期のCRADLE OF FILTHのような軽さ。

…と、音の方は正直褒められるレベルじゃないんですが、曲の方はかなり良い線行ってると思うんですよね。トレモロにがっつり仕込まれたペイガン系叙情メロはそれだけでメロブラ好きを虜にできそうだし、長いギターソロで盛り上げたり、メタルならではの熱気のある展開も実にかっこいい。ピンポイントで挿入されるキーやアコギも非常に効果的に使われてると思うし、ブラックのがなりに交じってフクロウめいたグロウルを聴かせるヴォーカルは、カルトっぽい味わいがあっていいと思う。

なのにプロダクションのせいで熱い、演奏が繰り広げられている・印象的な泣きメロが飛び交っている・ドラマティックに展開している「と思われる」という風に聴こえてしまうのが痛いですね…。一番駄目なのは、チープな音質とメタリック・ドラマティックな演奏のギャップが全く魅力に繋がっていない、むしろお互いスポイルしあっていることだと思う。曲自体は「Nemesis Divina」期のSATYRICONをもっとメロく甘口に、メタリックに、ペイガン寄りにしたような魅力的なものだけに、本当に惜しい。DIMMU BORIGIRクラスとまでは行かなくても、せめて最近のSARGEISTくらいの音質で聴きたいものです。


IN THE FROST ★★ (2013-05-04 11:50:13)

ポーランド産コールド・ブラック。
昨年Pest Productionsより1枚目のアルバムをリリース。


IN THE FROST - IN THE FROST ★★★ (2013-05-04 11:50:43)

2012年発表の1st。

ブラックメタル、それもアトモスフェリック系を愛聴する人であれば、もうバンド名を聴いただけで作風の想像が付いてしまいそうですよね。ブラックメタル特有の歪みの強い音質と、陰影の濃い、寒々しいトレモロリフ、幽玄なキーボードやアルペジオなどが絡み、冷涼な雰囲気を演出するブラック。聴くだけで体温が奪われていくような音作りが実に心地良い。…というか、このバンド名で寒々しさが感じられない音楽やってたら詐欺だと思う(笑)。

ただ、このバンドは泣きの入った哀愁系のリードギターを含むパートが多かったり、ドラムの音作りが意外にもタイトな感じであったりするせいか、他のアトモスフェリック系のバンドと比べると、どこかメタルとしてのダイナミズムも重視されているような印象を受けるんですよね。それでも寒々しいムードはしっかり醸し出せているのが素晴らしい。楽曲に神秘性を加味するような、キーボードの音色選びのセンスもかなり良いと思います。

ぶっちゃけ、バンド名でピンと来たなら買い、って感じで良いと思います。VINTERRIKETやCOLDWORLDほどメタル離れした音でないので、逆に聴きやすく感じる人も多いかも。


IN TORMENTATA QUIETE - Teatroelementale ★★ (2010-01-17 22:30:00)

2009年発表の2nd。
…イタリアからまさかのSOLEFALDフォロワー登場…といっても、もう2枚目ですが(笑)。

暴虐性もそこそこある、シンフォニック・ブラックがベースながら、男女ノーマルヴォイスによるヴァイキング的な朗唱、イタリアン・マフィアのボスがワイン片手に夜景を楽しんでいるような、アダルトなサックスやピアノなどを取り入れた、プログレッシブな作風で、「Red for Fire/Black for Death」期のSOLEFALDにかなり近い路線。実質的なラスト曲の14曲目の冒頭なんて、悟りを開いたかのようにプログレ化してます(笑)。

また、このアルバムは全編イタリア語で歌われてますが、特にノーマルヴォイスのパートにおいてこれがかなり高い効果を上げてると思う。イタリア語って、割と母音をはっきり発音する言語だと思うんですが、それによって全体的にムードが上品になり、かつまくしたてる早口の迫力も増してる感じ。しかも男性ヴォーカルはGarm(ULVER)やLazare(SOLEFALD)そっくりの、セクシーな魅力のあるマイルドヴォイス。デスヴォイスの方も必死な感じで、それなりにかっこいいです。

ただ、曲間に「モノローグ」としてインストをバックに語りが入るんですが、これが微妙…いや、語るだけならまだしも、半泣きで訴えたりするのは生理的にきつい(苦笑)。SOLEFALDも「Red for Fire」で泣き歌いはやってましたが、そこまで真似しなくていいです(笑)。9曲目とか、何気にインスト部分に雰囲気があるし、シームレスに繋がるものが多いので飛ばしにくいんですよね。

この手の宿命か、複雑な展開や前衛的な音作り前提のため、NED系とか真性ブラックの連中に比べるとリフ自体は少し弱め。ですが、プログレ的な練られた展開や、アーティスティックな雰囲気にはそれを補って余りある魅力があると思う。実験性がありつつも、「実験のための実験」に陥ることなく、必要があって取り入れているような感じ。
SOLEFALDやUNEXPECT、AKERCOCKEなどのプログレブラックを、CD棚の一番手に取りやすい所に配置している方にお勧め。


INCANTATION - Decimate Christendom ★★ (2009-03-07 19:36:00)

2004年発表の6th。
デスメタルを愛聴する者の多くが、このバンドを挙って激賞しているので、
ミーハー根性丸出しで(笑)聴いてみましたが…評判通りの素晴らしい作品でした。
私がデスを好きな、最も大きな理由としては「リフにメロデスの哀愁や普遍的なかっこよさ
とは違う、禍々しい魔性のメロディや、うねりのあるダイナミズムが込められている」と
いうのがあるんですが、この作品にはそれが物凄く高純度で込められていると思います。
このバンドは鬼のようなファストパートとドゥーミーなミドルパートを組み合わせて
展開していく作風を取ってるんですが、このリフ捌きが前者に血が飛び散るような血腥さを、
後者に瘴気が粘液質となって纏わりつくような粘性を与えていて、更に凶悪にしているんですよね。
デスですが、ブラックメタルも真っ青な黒さです。ヴォーカルは作風の禍々しさの割には
普通っぽい気もしますが、低音咆哮と絶叫を使い分けるスタイルで水準は軽く越えてると思う。
まだこの一枚しか聴いてないんですけど、これ聴く限りではMORBID ANGELやSLAYER辺りの
大御所と同列に語られるべきバンドだと思う。エクストリームメタルやデスメタル好きで
まだ聴いていない人がいたら是非彼らの音に触れて欲しいです。サタニックな雰囲気が
立ち込めているのでブラックメタルのファンにも大推薦。


INCRIMINATED ★★ (2011-04-07 22:20:02)

フィンランドのブラックメタルバンド。
SATANIC WARMASTERのWerewolf氏がドラムを担当。
現在は解散してしまったそうです。


INCRIMINATED - King of Misery ★★ (2011-04-07 22:19:28)

2004年発表の3rd。

「これがオールドスクールなプリミティブ・ブラックだ!」っていうくらい、分かりやすい魅力のある音ですよね。ブラックにつきもののトレモロ&ブラストではなく、スラッシュ寄りの刻みリフとノリのいいリズムで進行しつつ、スラッシュの熱さではなく、プリブラのミニマリズムや酩酊感、ダーティさを演出していく作風。

音質もノイジー過ぎずオーバープロダクションに陥らず、アングラさ・アナクロさのある味わい深いもので、曲調とも合ってますね。ヴォーカルは喉をゴロゴロ鳴らすような、ダウナーなパフォーマンスで悪くないです。ラストはちょっと毛色の異なる、ドゥーム色の強い大作ですが、この路線の曲も音質・ヴォーカル共に合っていて、違和感なく浸れると思う。

個人的にはオールドスクールよりブラックのジャンル確立後の方が好きなので、もう一つなにか欲しいな…と思ってしまいますが、この手が好きなら推薦です。


INCURSED - Fimbulwinter ★★ (2014-06-02 20:38:41)

2012年発表の2nd。

キーボードや笛、ストリングスなどによる民族的クサメロと、メロブラよりはメロデスに近いギターワークなど、EQUILIBRIUMやELUVEITIE、FINNTROLL辺りの流れを汲むフォーク/ペイガンメタル。ヴォーカルもデス声メインで、エクストリームメタルらしい激しさこそあるものの、邪悪さや思想的な過激さは殆ど感じられず、代わりにクサメタラーを悶絶せしめるドラマティックさが重視されている感じ。スペインのバンドなのに「Finnish Polkka」なんて曲もあります(笑)。

1曲目のインストから映画音楽さながらのスケール感で迫ってくるなど、この手としてもドラマ性を感じさせる「広がり」を重視しているような印象があります。EQULIBRIUM辺りよりもダイレクトなクサさは抑え目ですが、代わりにこのスケール感のある広がりで勝負に行っている感じ。ただし上記の「Finnish Polkka」など、一部で上記のバンドに勝るとも劣らないクサさを発揮している場面も見受けられるのが良いですね。

ややマイナー臭があるのは否めないですけど、メロディの良さは十分に及第点かと思います。


INCURSUS ★★ (2013-12-26 21:22:33)

アメリカ産ブラック。
NIGHTBRINGERのVJS氏が中心となっているバンド。


INCURSUS - Eternal Funeral Trance ★★ (2013-12-26 21:23:31)

2009年発表の1st。

音源の感想以前に、このCDは今まで私が買った中でも、梱包状態が最悪の部類に入る一枚、という事を言いたいですね。紙ジャケにCDが無造作に放り込まれてる事は珍しくないですが、この作品はあろう事かCDの読み取り面の無音部とジャケットに直接糊付けがしてあるという、クソという言葉が生温い最悪なパッケージング。録音部には影響はないため、一応聴けはしますが…CDプレイヤーの回転音が明らかに重そうで、負担が掛かっていそうで心配。ふざけやがって…。

これで中身がダメだったらCD叩き割りたくなるレベルですが、そうでなく関連バンドのNIGHTBRINGERに匹敵するほどの暗黒趣味な良質なブラックなので困ります(笑)。ザラついたギターノイズが質量感のある暗闇を生み出し、その中で聴き手を凍死せしめんとするような荒涼としたリフを壮絶に聴かせる、極寒で光の届かない空間を感じさせる非常にムードの濃いブラック。

ノイジーさが得体の知れない雰囲気を醸し出す音像と、どす黒く寒々しいリフの組み合わせ方が非常に上手く、なにか音を中心として邪悪なエネルギーを湛えた力場が形成され、そこに全ての光が吸い込まれていくかのよう。アンビエント、アトモスフェリック系のブラックに近い印象もあるんですが、これはもっと邪悪ななにか…という感じですね。

また、ブラックらしいハイピッチな絶叫スタイルながら、異様なまでの鋭さを感じさせるヴォーカルも素晴らしい。このヴォーカルの特異性のお陰で、このバンドの持っている邪悪・暗黒志向は更なる説得力を持っているように思います。カリスマ性を感じる、素晴らしいヴォーカルですが、どうやら今年自殺してしまったようで…。非常に残念ですが、ご冥福をお祈りします。

普通だったらこの作品には☆3つ余裕で付けますが、余りにもパッケージングが気に入らなかったので今回は2つ。私のだけ梱包ミスでこんな事態になってるのでしょうか、それともこういう仕様なんでしょうか。もし仕様なら、こんな仕様にOK出したバンド側もバンド側だと思う…。


INFANDOUS ★★ (2013-09-05 19:10:12)

先日Those Opposedより1stフルを発表したブラックメタルバンド。
正体不明の触れ込み通り、調べても余り情報は出てきませんね…。


INFANDOUS - Blood, the Sun, and the Cosmos ★★★ (2013-09-05 19:13:39)

2013年発表の1st。

スローテンポを基調とした重々しい曲調に、ブラックメタルらしいネガティビティを撒き散らすトレモロを始めとしたどす黒いギターワークが絡みつき、漆黒の空間を演出する禍々しいブラックメタル。威厳を感じさせつつもガルガルと獰猛に喉を鳴らすようながなりを基本にしつつ、詠唱系クリーンや×チガった裏返り絶叫もこなすヴォーカルといい、フレーズ自体が印象的ゆえに長尺で、かつミニマルな部分があってもドラマ性を感じさせる作風といい、かなり高水準のクオリティな音。

スロー~ミドル中心に暗黒趣味なトレモロという組み合わせは、鬱ブラックとの共通点も垣間見せますが、例えばNORTTやLICHT ERLISCHT辺りの葬式ドゥームに近いバンドと比べると、大分方向性が異なる感じですね。葬式に喩えられるバンドのような悲哀や憂鬱といったエモーショナルさは殆ど感じず、代わりにひたすらに不穏で、不気味で、不条理な感じ。それらバンドが葬式なら、このバンドの鬱性は「墓場」にでも喩えられそう。

また、前衛的な雰囲気を醸し出すようなSEや、アンビエント的な音響操作術を感じられるパートを導入していたり、一部で近年のENSLAVEDに通じるような、夢幻・幽玄なムードを醸し出す箇所もあったり、大分ブラックとしては定型から外れた音を出している印象。外れつつも、ブラックマニアを力ずくで納得させられるほど「黒さ」が濃いのがまた素晴らしい。しばしばDEATHSPELL OMEGAが引き合いに出されますが、不穏さやアヴァンギャルドさが生み出す深遠で得体の知れない雰囲気は確かに共通するかもしれませんね。

ブラック愛好家であれば身を委ねざるを得ない、神秘性の強い暗黒を描き出している作品で、予想以上に素晴らしかったです。これは音源自体は自信を持って推薦。ただ、パッケージはちょっと…。紙ジャケにCDが剥き出しだし、ジャケの塗料がCDの無音部に貼り付いてるし…。こだわりがあるのは分かるけど、普通のケースに入れてくれると嬉しいです…。


INFAUST - BLUTBAD & MELANCHOLIE ★★★ (2011-10-30 22:20:33)

2008年発表の2nd。

ドイツ産五人組メロブラ…と紹介されてたので、割とメタリックな音を想像してたので、頭の出音のRAWさでまず驚きましたね(笑)。パッと聴いた感じでは、バンドの各楽器担当が自分の出音がこれで納得したのか疑問に思うほどの粗さだし、ヴォーカルはやたら潰れた、無理矢理声を絞ってる感じだしで、マニアックな独りブラックみたいな音…というのが第一印象。

しかし1曲目を聴き終わる頃には、その印象が全く変わってました。
低音にメロウなメロディが要るようなパートではベースがしっかり前に出て主張するし、ジャリジャリしたノイズ質で寒々しさを演出しつつ、そこにメロディアスなトレモロを入れるギターワークはメロブラ然としてかっこいいし、何よりアナログ感のあるドラムの音が素晴らしい。…あれ、意外と各メンバーの音のバランス良いじゃん、って感じの音。6曲目のピアノインストもメロディセンスの高さを感じさせますし。

…そもそも、ジャリジャリした音質だからパッと聴きRAWに感じるんですが、意外にも各パートごとの分離は悪くないんですよね。曲展開やメロディもメロブラとして高品質なものがあるし、個人的には☆を3つ付けたい作風。ドイツのブラックとしてはGRAUPELやNEGATORより一歩踏み込んだマニアックさがありますが、メジャーなバンドにはない味もあって良い作品ですよ。


INFERI ★★ (2010-06-09 18:53:00)

フィンランド産ディプレッシブ・ブラック。
Mikko AspaのレーベルNorthern Heritageに所属してます。


INFERI - Shores of Sorrow ★★ (2010-06-09 18:52:00)

2006年発表の1st。

これは鬱ブラックの中でも、割と上級者向けなんじゃないかと思います。よく比較対象としてBURZUMの3rdや7thが挙げられますが、BURZUMと比較しても静的で、風景画めいた作風だと思う。
「burned」のリフ/リズムや「what once shined」の後半の疾走、一部で聴ける叙情的なリードギターなど、動的なパートもあれど、基本的にはスローテンポのリズムにアルペジオや平坦なブラックリフが描く海のような情景に、漣のようにトレモロリフが被さる、動きの少ない作品。

聴いていると、海岸で沈む夕日をいつまでも眺めながら、「ああ、私の人生もあの陽のように沈んでいくんだな…」と思っているような、侘しい気持ちになってきます。
感情表現が行き過ぎてて、逆に滑稽に聴こえてしまう事も多いこのジャンルですが、ヴォーカルはBURZUMのCountの悲痛さとMAYHEMのManiacの歪み感を足したようなかっこいい絶叫で、自己満足に終わっていない表現力があるのが素晴らしい。音質にも変な聴き辛さは無いですし、

ジャンル内でも静的であることを除けば、癖の少ない鬱ブラックだと思う。
入門には適さないかと思いますが、鬱ブラック以外にも葬式ドゥームやプリブラ、ミニマルなジャーマンプログレ等、反復性の強い音楽に普段から慣れ親しんでいる人であれば、敷居はかなり低めかと。
鬱ブラックって、抑鬱された感情をぶちまけるタイプと、静かに風景を描いていくタイプに分かれると思うんですが、この作品は後者ですね。過激さやインパクトを求める分には不向きですが、「ミニマルで、ピクチャレスクである音楽」に魅力を感じているのであれば是非。聴いて凹みましょう(笑)。


INFERIUS TORMENT ★★ (2013-04-08 21:06:45)

ロシア産ブラックメタルバンド。
2011年に元BELPHEGORのライブメンバーで、BETHLEHEMにも在籍するTorturer氏が加入し、ロシア産ながら欧州バンドとも人脈的な繋がりがあるバンド。


INFERIUS TORMENT - Ceremony of Godslaying ★★ (2013-04-08 21:08:20)

2012年発表の2nd。
これはかなり良質なブルータルブラック。

元BELPHEGORのライブメンバーという経歴を持つTorturer氏が辣腕を振るう、ブラストを中心に緩急付けて聴かせる暴虐なリズム展開に、邪悪で宗教的なだけではない、どこかロマンティックさやメロウさも感じさせるメロディを練り込んだリフを乗せたブラックで、個人的にはLegion在籍時のMARDUKを思いおこす音。特にメロウなメロディと暴虐なリズムの対比は、MARDUKの「Heaven Shall Burn」「Nightwing」アルバムを思わせますね。

メロディの良質さもかなり耳を惹きますが、ヴォーカルの獰猛ながらタメの効いたがなりは(現MARDUKの)Mortuus氏を思わせる邪悪さがあり、これもなかなか印象に残りますね。所々で宗教的SEやクワイアなどを使い、サタニックな雰囲気を演出したりする部分もありますが、基本的には要点をしっかり押さえた分かりやすいファストブラックで、この手が好きならすぐに入れる音。

ただ、好みの問題ですが私的にはドラムの金物が少し耳障りな時があるのは気になるかも…この手は暴虐性を快いと感じられるかどうかがキモになってくるので。その辺りを考慮しても、十二分にクオリティは高い音を出してるのは間違いないです。ロシア産のバンドですが、スウェディッシュブラックのメロウさやファストさが好みの方にお勧め。


INFERNAL ★★ (2010-07-14 21:22:00)

ex-DARK FUNERALのBlackmoon氏率いるスウェディッシュ・ブラック。
DARK FUNERALに近いファスト/ブルータルなスタイルです。
最近、活動を再開したらしいですね。


INFERNAL (COLOMBIA) - THE DEEPEST EMPTINESS ★★★ (2012-03-08 23:40:50)

2009年発表の4th。

ショップにこのCDが並んでた時は、DARK FUNERAL絡みの方のINFERNALの新譜が出たと思っていて…紹介で「コロンビア産」と書いてあったときも、「まあ現代はデータで音源のやりとりが出来る時代だし」と思って、そのままレジに持っていきましたが…いざ帰って聴いてみると、思ってたのと全然違う音で驚きました。大幅な路線変更かと思って調べたら、全く別のバンドだったという(笑)。

…そんな勘違いがありつつも、こっちはこっちでかなり魅力的なブラックメタルを演っているので、まあ結果オーライといったところですね。こちらはファストブラックなスウェーデンの方とは異なり、ミッドテンポもかなり重要視した展開と、メロいギターで聴かせるメロブラ路線。ゆったりとメロディアスなフレーズを紡いでみせたり、刻みを入れメタリックさを演出したり、ギターパートは非常にメロディアス、かつよく練られている印象。

路線自体、特にギターはかなりメロデスに近いんですが、アトモスフェリックさもあるプロダクションや、ヴォーカルの鬼気迫る、喉を痛める寸前みたいな絶叫等、ブラックらしいミステリアスさ、凶悪さもしっかりあるのが良いですね。特に音質、角のない、しかし分離は良いバンドサウンドをキーボードがうっすら包み込む音作りは、メジャーバンドの硬質な音作りよりもある意味耳に優しく、より純粋にメロディの良さを楽しめるんですよね。

勘違いして買ってしまいましたが、これはこれでかなり良いアルバムだと思います。アトモスフェリック系を雰囲気は残しつつ、ギターパートを強化してより実体的にしたような非常に叙情的な作品。メロブラ好きは是非。


INFERNAL - SUMMON FORTH THE BEAST ★★ (2010-07-14 21:20:00)

2002年発表の5曲入りEP。
オリジナル2曲と、MORBID ANGEL、VON、BATHORYのカヴァーを収録。

元DARK FUNERALのBlackmoon氏が創設者、またDARK FUNERALとスプリットをリリースしていますが、やはりDFと同系統のファストでブルータルなブラックメタルを演っていますね。絶叫に絶叫を重ねるようなヴォーカルラインや、リフの叙情性に練り込まれた悪魔的な感覚なども近く、ファストな暴虐性と寒々しいリフを軸にするという、手法のみではない相似性があるように思います。

ただ、こっちの方がリフのメロディが引っ込み気味な代わりに、ドラムの炸裂感の強い音作りになっていたり、スラッシュメタル由来のイカレたギターソロが入っていたり、全体的により荒々しい作風。演奏時間も短く、ドラマ性・叙情性ならDF、RAWさや攻撃性ならこっちに軍配が上がりそう。

DARK FUNERALの音を気に入った人で、より過激な音も行けそうという方なら、聴いて損は無いでしょう。


INFERNAL - SUMMON FORTH THE BEAST - DEVIL PIG ★★★ (2010-07-14 21:22:02)

VONカヴァー。
原曲は未聴ですが、VONってブラック関連のミュージシャンにかなり支持されてるらしいんですよね。(カヴァーですが)これを聴いて、理由が少し分かった気がします。それを繰り返すだけで、1曲が成り立つような、ごくシンプルなリフが素晴らしい。このセンスはプリブラ路線全盛期のDARKTHRONEに匹敵すると思う。やはり、リフで語れるバンドは強い。


INFERNAL CURSE - Apocalipsis ★★★ (2017-03-15 14:39:14)

2016年発表の2nd。

アルゼンチンのバンドながら日本のレーベル(Obliteration Records)から発売され、ショップでもそれなりにプッシュされていたり、ウォー・ベスチャルブラックのガイド本が発売されこのバンドも取り上げられた事などから、普段ウォーブラックを聴かない人でも手に取った方は多いんじゃないでしょうか。そんな方にもお勧め出来るくらい、分かりやすく、かつ強力にジャンルの魅力を伝えてくれる作品だと思います。

まず音作りが素晴らしいですよね。ノイジーに耳を劈く音は発火寸前の緊張感を漂わせながら、オールドスクールデスに通じる、腹にズンズン響く低音も効いたプロダクションはダーティな冒涜性と、サベージな衝動性をがっつりと伝えてくれます。リバーブが効き、若干言葉が伝わりづらいヴォーカルも異様さをより増していてかっこいい。マニアからしたらちょっと整い過ぎている音なのかもしれませんが、私的にはこれくらいの音が一番楽しめるバランスですね。

なんとなく流行に乗るような感じで購入しましたが、私のようなミーハーでもかなり楽しめる良質なアルバムです。この手の入り口としてもいいかも。


INFERNAL WAR - CONFLAGRATOR ★★★ (2010-01-11 11:43:00)

2009年発表の5曲入りEP。

私はこのバンドの作品を聴くのはこれが初めてですが、聴いた瞬間笑いそうになりました。…余りにも的確に、バンド名が音楽性を表していると思います(笑)。マジで地獄の戦争の中に、問答無用で叩き込まれるような、スラッシュ寄りのウォー・ブラック。スラッシュの飲んだくれたアングラ感はほぼ皆無で、ウォーブラックのストレートな狂気・攻撃性に特化したような音。ブラックの中でも凶悪な方に位置する音楽性でしょう。

何よりも素晴らしいと思うのは、キレのあるギターリフを初めとして、全曲全パート全力投球な楽曲構成ですね。リフは全パートで印象に残るものを弾いてやろう、くらいの意気込みが感じられるほど充実してるし、ドラムの無茶な速さからリフと連動するフレーズまで表現する演奏力も凄い。プリブラ等のミニマリズムとは180度逆にある音だと思います。主要メンバーの名前が「ZYKLON」なんですが、はっきり言って(バンドの方の)ZYKLONと比較しても、楽曲の充実振りでは全く劣らないと思いますもん。

ZYKLONなどのデス要素の強いブラック、最近のIMPIETYのような邪悪さ特化型のスラッシュブラックが好きな人ならマストです。これらのバンドに負けない、エクストリームメタルとしてメジャークラスの完成度を持ったミニアルバムですよ。


INFERNO (CZECH) - Black Devotion ★★★ (2014-09-11 19:39:52)

2009年発表の5th。

「チェコのINFERNOが素晴らしい」とは聴いてましたが、確かにこれはかなり良いですね。ブラックメタルとしての衝動性や宗教的な甘美さと、メタルとしてのクオリティを両立させた、どす黒く堂々とした音は「Sworn to the Dark」「Lawless Darkness」期のWATAINを思わせますが…こちらの方が甘美な邪悪さにおいて若干譲る代わり、よりオールドスクールで辛口に仕上がっている印象。直接衝動を叩き込んでくるような攻撃性の高さ。

こういうどす黒く真性な雰囲気を出すバンドは最近少なくないですけど、この作品はその中でも「楽曲の良さ」がかなり際立っているように思います。特にギターがメロウなメロディを奏でるインストの「Loyalty of Honor」から、EMPERORの「Ensorcelled by Khaos」へのリスペクトとも取れる、ブラックメタルの宗教的神秘性を流出させるようなリフを伴いつつのリフで幕を開け、ドラマティックに展開していく「Altar of Perversity」への流れは、この手のバンドはかなり聴いてるはずなのに、思わず深く感銘を受けてしまったほどかっこいい。

…もう、「この手」が好きならば買え、としか言い様がないです(笑)。邪悪で攻撃的な音楽、それを愛する人ならば買って後悔する事はないと思いますので。


INFERNUM - ...taur-nu-fuin... ★★★ (2011-01-16 10:14:37)

94年発表の1st。

民族調の、壮大なオープニングが終わると、当然の様にプリブラに変貌。
しかしこの作品、プリブラへのキーボードの入れ方は、他のバンドへの手本と
なって然るべきくらい、センスがいいと思います。輪郭のぼやけた、幽玄で
アトモスフェリックなキーがローファイなバンドサウンドを包み込んで得られる音像は、
さながら燐光を放つ鬼火のようで、禍々しい美しさがあると思う。

このキーのセンスは初期EMPERORやLIMBONIC ARTに比肩すると思うし、
ペイガンルーツならではのメロディセンス、ヴォーカルの粘着質な邪悪さの表現など、
「プリブラとして求められるもの」のレベルは、おしなべて高い作品だと思う。
GRAVELANDよりもブラックとして直球な作品なので、ある意味取っ付きやすいかもしれません。


INFESTUS - E x | I s t ★★★ (2012-07-26 21:17:23)

2011年発表の3rd。

これはかっこいいですね。
プロダクションはブラックとしてはクリアながら、常にどす黒い靄が掛かっているような陰鬱なムードの漂うものですが、メタリックな刻みリフも使い緩急付けて展開する、オーソドックスでドラマティックなメロディック・ブラック。陰影の濃いダークなメロディが、厚みのある音作り、知性を感じさせる展開によって肉付けされ、邪悪さや暗黒性の高さはしっかり維持しつつも、どこか上品で神秘的な仕上がりの音。

メロディック・ブラックのキモであるメロディも非常に上質で、作品を通じて常に重っ苦しい雰囲気が付きまとっている感じなんですが、その中で灼け付くような哀愁を感じるリードメロだったり、カタルシスを感じるような、鮮烈で毒々しいトレモロリフを仕込んできたり、かなり耳を惹くパートが多い印象。時折挿入されるアルペジオの使い方も、作品の持つ陰鬱な世界観に更に深みを与えているようで、同系統のバンドと比べてもかなり上手いと思う。

スタイル自体はオーソドックスなメロディック・ブラックながら、個人的にはLUNAR AURORAや初期SATYRICONを思わせるような、単なる邪悪さ・ダークさだけでない神秘性を感じる作品。現時点でもかなりハイレベルな作品だと思いますが、まだほんの少しまどろっこしい部分もあるのでそれを削って、分かりやすさや求心力が加われば、その辺りのバンドに比肩しうる音になるかもしれません。メロブラ好きには大推薦です。


INFINITAS - Ardeur ★★★ (2016-04-19 12:08:20)

2012年発表のEP。
元NARGAROTHのライブメンバーであるThorn氏の独りプロジェクトによる初のCD音源で、Self Mutilation Servicesより発売。

…これには意表を突かれました。
バンド名の響きや所属レーベル、某所でのブラック/シューゲイズとの音楽性の紹介、実際に聴くとイントロ部が残響音の中での男女の物憂げな会話…と、如何にも儚げで鬱々とした鬱/シューゲイザーブラックを予想してしまいますが…バンドサウンドに差し掛かると、Rawでオールドスクールさを感じるプリミティブな音。

生々しいドラムの音や刺々しいリフの音色など、鬱系というよりもむしろ初期SATANIC WARMASTERとか、フィンランド産のプリブラ勢に近い出音な感じですが、メロディは確かにSMS産らしい儚さが感じられたり、非バンドサウンドパートでの雰囲気作りといい、まあブラック/シューゲイズにカテゴライズ出来なくはないかな…という感じも。ヴォーカルの悲痛な絶叫もどこか現世の苦難からの逃避を希うような響きがありますし。

実はもう殆どポストロックになってしまっているような柔和なシューゲイザーブラックよりも、その要素がありつつこういうプリミティブさ、オールドスクールさがある音の方が私的には好みですね。HERETOIR辺りが好きな人にお勧め。


INFINITY - Back to the Source (Summon the Black Flame) ★★★ (2014-09-29 14:31:07)

2012年発表の企画盤。
1stと2nd収録曲の再録6曲と、IMMORTAL、BATHORYのカバーを収録。
限定666枚。250枚限定で手書きナンバー入りデジパック盤もあり。

2ndを聴いた時は、黎明期~発展期の北欧産ブラックメタルバンド、例えばMAYHEMやSATYRICON、DISSECTION、IMMORTALなどのバンドが90年代半ばから後期にかけて発表していた、ジャンルの顔たる名盤群…それらに近いような雰囲気のある楽曲を演っているものの、癖のある辛口な音質で若干人を選ぶ仕上がりになっているような印象でしたが、その音質問題が改善された今作はブラックとして本当に非の打ち所がない作品になってますね。

上記のバンドを挙げられるほど、ストレートに北欧ブラックの路線を引き継いでいるのも素晴らしいですが、何より楽曲が良いです。例えば2曲目の「Autumn Storm」。オールドスクールで熱気を感じさせるリフ・リズムでテンションを上げつつ、甘美でメロウなリードギターを伴いつつブラストで離陸、一度テンポを落として「引き」を作りつつ、MAYHEMにも通じる邪気に満ちたトレモロ疾走に以降…という一連の流れは、完璧にブラックメタルの魅力を理解してる人の曲作りだと思う。どの楽曲もブラックメタルらしい寒々しさと邪悪さ、アンダーグラウンドな熱気、メロディックでドラマティックな構成と、このジャンルの魅力に溢れていて、本当に素晴らしい。

2ndを聴いた時、「これ音質が良ければ凄い事になるのにな…」と思ったんですが、こっちではその「凄い事」になってしまってます(笑)。これは文句なしにお勧め。素晴らしいです。枚数限定なのが非常に惜しい。


INFINITY - The Birth of Death ★★ (2014-09-24 22:12:24)

2004年発表の2nd。

本編に期待しつつ、オープニングのメロウなアルペジオを聴いていると…突然雷の至近弾を喰らったかの如き、痛烈なドラムの一撃が!!…びっくりした、というか耳が痛いんですが(笑)。その後プリミティブブラック的なノイジーさを伴うギターリフが入ってくると、大分音のバランスはマシになりますが…やっぱり金物が地味に耳に痛い。この時点で、聴き手を選別している気すらします(苦笑)。

そんな訳で音作りは結構辛口なんですが、楽曲自体はブラックメタルとしてかなり良質なんですよね。例えば1曲目で言うと2分半くらいのリフなんかがそうですが、印象的なフレーズをトレモロリフに乗せるセンスに於いては、北欧の黎明期のバンド達にも劣らないとすら思いますもん。5曲目のリフとか、一部MAYHEMっぽい不穏さでかなり良いですし。民族調のアコギパートがあったり、土着的な暗黒性が色濃く感じられるのも高ポイント。やってる事は(やや粗いながら)ブラックの王道ですが、「ジェネリック」との批判を躱せるだけの質の高さがあるように思います。

オランダのバンドながら、初期のMAYHEMやGORGOROTHだったり、黎明期の北欧ブラックの空気感を上手く受け継いでいるように思います。Rawな音に耐性がない人には若干キツい音作りですけど、楽曲そのものがなかなかに良く、お勧めです。


INFLABITAN ★★ (2011-04-08 20:25:20)

STRID、DHGのメンバーによるプロジェクト。
音源によってはVED BUENS ENDE等でお馴染みAggressorも参加。
早くに活動を停止してますが、去年Kyrckから音源が再発されたので、聴かれた方も多いかと。


INFLABITAN - WANDERER OF GRIEF 1993-1995 ★★ (2011-04-08 20:25:55)

タイトル通りの年の音源を集めたコンピレーション盤。2010発売。

作風は、アヴァンギャルドかつメロディックな、キーボード入りのプリミティブ・ブラックという感じですが…プリブラらしい繰り返しは多いものの、キーボードの音色を使い分け、神秘性やファンタジー性を演出してみたり、メロウなベースラインをリフに絡めてきたり、リフのノイズ質を操作したりなど、ローファイで低予算な音質の中でもドラマ性を描こうとしている所が素晴らしい。

北欧らしい凍てついた幻想的なメロディや、リフの音色をコントロールし、空間が捻じ曲がるような気味悪さを演出するパートなどを聴いていると、初期ノルウェー産ブラックの想像力を象徴するようなリリースを続ける、Kyrck Productionというレーベルが、この音源に目をつけたのも頷けるような気がします。特にキーボードの入った前半4曲は、メジャーバンド以上にその「想像力」を教えてくれること請け合い。

ただし、キーボードがない上に、ジャリジャリした高音のノイズが耳を劈く後半6曲は、今までのKyrckのリリースを追ってきたような、ブラックが好きな人限定という感じはしますね。まあ、それでもかなり印象に残るメロディは多いし、特に妙にメタリックな8曲目はロックスターの登場BGMを「プリミティブブラックで」表現したような、ヘンな味があって面白いと思う。


INHUMAN HATE - Twilight of a Lost Soul ★★ (2010-12-26 17:30:49)

2010年発表の3rd。

バンド名が「非人間的憎悪」なんて、いかにも鬱ブラックめいたバンド名で、実際その通りの音を出しているのですが…1曲目のイントロから、泣きのリードギターが出てくるし、主にトレモロリフによって奏でられるメロディには湿り気があるし、一部ヴァイオリンやピアノを用いたパートもあるしで、ミサンスロピック(厭人的)ではあっても、意外にインヒューマン(非人間)な作風ではないような気がします。ヴォーカルの声帯が傷ついたようながなり(弱い声というわけではない)も、十分に感情的ですし。

個人的には、普通のメタラーが聞いたら火傷するかもしれませんが、最初から「鬱な音」を求めて聴くようなタイプなら、ここからディプレッシブ系に入ってもいいくらい、質の高い音だと思う。この手にしては整った、重さのある音作りですし、アルペジオや重苦しいリフが作り出す空間に響くトレモロは、このジャンルを聴く醍醐味をしっかり伝えてくれますし。ただ、音響っぽい音作りに泣きの芝居(名演技!)が重なる3曲目は好みが分かれるだろうし、私個人としては4曲目のクリーンボイスは蛇足に感じる。

2曲目では疾走パートもありますが、何気にこの手の鬱系の疾走パートって良いですよね。余計に刻みを入れたりせず、トレモロリフの叙情性や引き摺りリフの黒さに徹してくれるからかも。


INKISITOR - Inkisitor ★★ (2011-07-22 21:49:58)

2009年発表の音源集。
同年のEP「Inkisitor」に07年のS.V.E.S.Tとのスプリットの2曲を加え、DARKTHRONEの「Under the Funeral Moon」のカヴァーを加えてOsmoseよりリリース。

DARKTHRONEのカヴァーを演っていることからも分かるとおり、篭ったノイジーな音質はプリミティブブラックそのものという感じなんですが…このジャンルの王道の音とは多少毛色が異なる感じがしますね。ギターの張ったノイズ弾幕の向こう側で、ドラムが暴れ回り、ヴォーカルがドスを効かせて威圧する、攻撃性の高い音。

プリミティブブラックの酩酊感やサタニックなムードというよりは、ノイジーな音質がやけっぱちな攻撃性や粗暴さを増幅させている感じで、REVENGEやANTAEUS辺りが好きな方に受けそう。ただし、時折出てくるトレモロリフには、フランス産らしい毒気が感じられて、その辺がしっかり個性になっているのもいいですね。


INQUISITION ★★ (2011-04-06 22:05:04)

コロンビアのブラックメタルバンド。
元はスラッシュを演っていたらしいですが、そうは思えないくらい独特のブラック。


INQUISITION - Magnificent Glorification of Lucifer ★★ (2011-04-06 22:04:34)

2004年発表の3rd。

これまた独特の路線を行くバンドですね…。
曲自体は、ミディアム~(爆走までいかない)疾走が中心の、ミニマルでダーティなプリミティブブラックで、オールドスクールなタイプと言えそうですが…ヴォーカルのスタイルが超独特、かつ好みが分かれるのが特徴。殺気も覇気もやる気も元気も何もない、それこそお経のような声で歌っている…というか、歌詞を唱えているだけです。

蛙を潰したような声で、一般的にこの手の音楽に期待されるような攻撃性もほとんどありませんが、なにか幻覚を見ている人のうわ言の様な気味悪さがある。これがミニマルな展開や、メロディの薄い音像と合わさると、妙にトリップ感のある音になるんですよね…。

一般的なエクストリームメタルファンよりも、トリップメタルが好きで、かつそのトリップ性をプリミティブ・ブラックに見出している人ならかなり気に入るのではないでしょうか。メロディこそ薄いものの、「Drawing down the Moon」期のBEHERITに、クスリの幻覚の中で神や魔と対峙するようなヤバさを覚える方にお勧めです。


INSANITY OF SLAUGHTER - Be at a Loss ★★★ (2017-03-15 14:41:27)

2016年発表のコンピレーション盤。
2001年のEP「Be at a Loss」に、2002年のライブ音源を追加したもの。

これ、数あるジャパニーズブラックでも傑作の部類じゃないでしょうか。
まず楽曲がとても素晴らしい。プリブラ的な2ビートやスラッシュビートを多用し、オールドスクールな熱気を湛えつつ、邪悪極まりないトレモロリフが全編を通じて横行するスタイル。時折入るリードギターのフレーズも、後期DISSECTIONに通じるような邪悪さを甘美に聴かせるような感じで、メロウになるあまり禍々しさをスポイルすることがないのが良いですね。

ヴォーカルも歌詞を見ずに何を言っているのか聴き取るのが困難なほど歪んだ声で絶叫するタイプで、いざ歌詞を読んでみると「AAAAAAHHHHHH!!!!!!!!!!」とか、やたら「!!!」を多用しているのが目につきます(笑)。サタニズムの教義とか面倒な事は一切考えず、衝動性をひたすらにぶつけてくるような感じはヴォーカルの「ギエエエエエ」系の絶叫にも色濃く反映されてますね。凶暴さも粘着質さもあって素晴らしいパフォーマンスです。

…そして音作り、これもまた素晴らしい…。
トレモロリフのメロディを殺すことなくRawに仕上げた音で、個人的にはFUNERAL MISTの1stや、CHAOS OMENのEPなど、Necromorbus Stadio関連の音源に通じるものを感じたり…。音源の制作はかなり前ですけど、ブラックメタルの魅力を心底から分かってる人が作った感じのする音ですね。ちなみにライブ音源は、若干ヴォーカルの音量が小さいものの、より生々しい音でEPの曲を楽しめます。トレモロがより深い暗闇から響いて来るように聴こえる…。

国産ブラックが好きであればスルー厳禁な音源。最近復活したこともあるのかもしれませんが、この音源を世に出してくれたZero Dimensional Recordsにも感謝です。


INSPIRE - Alive ★★ (2009-07-14 23:46:00)

2009年発表の1st。
最近日本の女性ヴォーカル入りメタルが個人的にブームで(笑)、結構プッシュされていた事も
あって買ってしまったんですが、有名所の面子が揃ってるだけあって質は高いですね。
個性的な女性ヴォーカルによる微キャッチーなメロを軸に、様式美メロスピや正統派HM、
ミディアムのHR、メロウなバラードなど色々な路線で聴かせてくれます。突き抜けたところに
欠けるきらいもあり、正直「ジェネリック」という単語が頭をちらつくんですけど(笑)、
全ての楽器がやる事をしっかりこなしてる感じで堅実に良質なメタルを演っているように思います。
ただ、前述したようにヴォーカルがかなり個性的で、そこが心底ハマれるか否かの分かれ道に
なると思います。エモーショナルな歌声はTORNやDAZZLE VISION、GUARDIAN HACKER辺りに
近いですが、ハスキーさを演出するためにしゃくり上げをやたら多用するのが結構耳につく
感じで、そこが好みの分かれる所ですね。個人的には、英語を意識したような、曖昧母音の多い
日本語発音とも相まって、地が江戸っ子の成り上がりセレブおばさんがキレたようなイメージが
浮かんでしまい、いまひとつ好きになれないかも…。(好みを別にした)声の種類や歌唱力は問題ないかと。
日本の女性ヴォーカル入りメタルでは、陰陽座は昔より今の方が断然好き、LIGHT BRINGERや
MINSTRELIXよりもDAZZLE VISIONやGUARDIAN HACKERが好みな方にお勧めです。


INSPIRE - Alive - Desperate ★★ (2009-07-14 23:56:18)

ミディアムテンポで、アルバム中では割と渋めな曲なんですけど、何故か好きなんですよね。こういうミディアムなハードロックって、「キレる少年」的なささくれだった感じを表現するのに向いてるのかも。


INSPIRE - Alive - Injured Feathers ★★★ (2009-07-14 23:48:07)

1曲目を飾るに相応しい、キャッチーに疾走する曲。
一発で引き込む求心力があるだけじゃなくて、テンションもかなり高くなかなかの名曲。特にサビに向けて高揚感を煽るBメロと、印象に残るキーボードメロが良い感じ。こういう曲があるなら、オープニングインスト入れなかったのは大正解だと思います。


INSPIRE - Alive - Outsider (2009-07-14 23:57:17)

なんか昔のXのような体育会系イズムを感じるんですけど(笑)。
声を割って歌うヴォーカルが印象的。何気に声色の多いシンガーですよね。
これでもう少ししゃくりを弱めてくれたら良いんですけどね…。


INSPIRE - Alive - Under the Fire ★★★ (2009-07-14 23:58:24)

アルバムのテーマは、「破壊から再生へ」らしいですけど、ラストを安易にメジャーキーのハッピーな曲にせず、少しダークめなメロスピにしてくれたのは嬉しい。Bメロの挑発的な歌唱は、アルバム内でのベストパフォーマンスかも。歌詞も凝ってて良いし、アルバム中随一の曲かもしれません。


INSPIRE - Alive - Unfair (2009-07-14 23:49:00)

「Unfair」の歌い方、やりすぎだなぁ…。「アンフェっきゅ」って聞こえる(笑)。なんか悪意を込めて物真似したくなるような歌い方なんですけど(笑)、ここまでやられると逆にその部分を楽しみに聴いてしまったり…。


INTHYFLESH - Claustrophobia ★★ (2012-06-23 11:54:14)

2011年発表の3rd。

靄が掛かったようなギターノイズの中で、時折高音域でキリキリした、エモーショナルなフレーズを挟み込むトレモロが、暗く陰りのあるメロディや浄化されるような儚げなメロディを奏でつつ疾走するブラックメタルで、鬱ブラックの湿り気にシューゲイザー系ブラックのカタルシスや疾走感、感情的なムードを加えたような作品…と言った感じでしょうか。

ヴォーカルは基本的に昔のBURZUMを思わせるような、悲痛さ漂う高音絶叫なんですが…時折なにかのスイッチが入ってしまったように、剥き出しのヤバさ漂う感情的な叫びも聴かせるのが特徴的。声を整える事も忘れて、オカマの叫びみたいな変な裏返りをしてる所もあったりするんですが、それもリアルで怖い。こっちは音を聴いてるだけなのに、知らない内に何か地雷でも踏んでたのかとビビってしまうような、マジなヤバさ。

…この手の鬱系の音を出してるバンドって、メロディが物悲しい方向に行き過ぎてて、それが強いインパクトを「残してしまう」傾向がありますが…この作品は音自体は非常にエモーショナルかつメロディアスながら、メロディそれ自体の主張はやや控えめで、それ故に感情の奔流をそのままパッケージしたような、濃いムードを演出することに成功している印象ですね。

取っ付きやすさでいったらXASTHURやWOLVES IN THE THRONEROOMなど、ジャンルの大家と比べてしまうとちょっと譲る印象なんですが、その分恐ろしく感情に訴えかけてくる部分もあるので、ある程度ジャンルを聴き込んでいる人にはお勧めです。


IPSISSIMUS - THE WAY OF DESCENT ★★ (2012-03-07 21:04:20)

2011年発表の1st。
何気にあのMetal Bladeから出てるんですね…。

音的にはギターがややノイジーなものの、抜けの良いドラムが心地良い音質に、緩急・押し引きをしっかり付けたドラマ性のある展開で聴かせる、ハイクオリティなブラックメタルで、やはりMetal Bladeが目を付けるだけはある、メタルとして一級品なかっこよさ。一概にメロウや邪悪とは言い切れない、不思議なメロディ使いは一癖ありますが、ファストパートの泥を巻き上げながら迫り来るような迫力は凄まじいものがありますね。

そして個人的にはこのヴォーカルが大好きです(笑)。スタイル的にはハイピッチの絶叫でブラックに典型的なスタイルではあるんですが…何がそんなに憎たらしいのか疑問なほど、一語一語に憎悪を込めて叫ぶブチキレっぷり。ロングトーンの大絶叫も非常に憎々しげで、これとファストパートが噛み合うともう「殺される…」って気分になってきます。低音のグロウルとかは時々微妙ですが、ブチ切れた高音絶叫の素晴らしさには大満足。

決してカルトで、ジャンルのファンに聴き手を限定するような門戸の狭さはないものの、かといってメジャーにもなりきれない…みたいな音楽性は、非常に味があっていいですよね(笑)。何とも言えないメロディとか、ヤケクソみたいなファストパートとか素晴らしいですもん。必聴とは言えないまでも、興味があれば是非。


IRDORATH - DEKONSTRUKTEUR DES FLEISCHES ★★★ (2013-05-10 21:21:09)

2010年発表の2nd。

ショップの紹介でもデス寄りの音として紹介されていましたが、1曲目を聴く限りスラッシュメタルを更に重くしたような、ヘヴィな音作りに、正統派やメロデスに通じるメロウなメロディを取り込んだ、メタリックでダイナミックな音で、確かにヴォーカルを除いてブラック色少ないかな…と思いましたが、シンフォでオカルティックなイントロまで取り入れた2曲目でブラック流儀のトレモロが解禁、そこからはデスメタルの重さやかっこよさと、ブラックの邪悪メロウが心地良く入り混じった作風に。

この作品、前述の1曲目を始め、曲によっては殆どブラックメタルらしさを感じられなかったりするんですけど、それにも増してギターワークがかっこいいんですよね。ブラックらしいトレモロも勿論良いんですけど、それ以上に耳を惹くのが正統派やメロデスのような、メタリックにギラ付きつつもメロウ鎖を加味するフレーズ。これがスピードだけに頼らず破壊力を生み出す、ヘヴィな音像と融合すると、思わず圧倒されそうになってしまうほど。メリハリの効いた、ドラマティックな仕上がりの作品。何気にドイツ語での押韻を多用した、キレの良いヴォーカルも良い仕事してると思います。

根っからのブラック好きは、アンチクオリティ・アンチメジャー志向でない事に逆に物足りなさを覚える可能性もありますが、真性やプリブラだけでなく、メロデスやメロブラを平行して聴いている人にはかなりお勧め。むしろブラック愛好家以外にもアピールできそうな質の高さがあると思います。


IRKALLIAN ORACLE - Grave Ekstasis ★★ (2015-04-05 12:04:45)

2013年発表の1st。

活動拠点をスウェーデンに置きながらも、NIGHTBRINGERのメンバーや現VASSAFOR、元ULCERATEのメンバーも関与しているバンドらしいですが…その前情報から想像した通りの、陰湿で禍々しさ満点のデス/ブラック。

フィジカルな攻撃性よりも、メンタルを抉るような邪悪な雰囲気を醸し出す「ズモモモ…」系の低音を効かせた音作りはVASSAFORに通じるものがありますし、そこに被さる叙情性ではなく、禍々しく蠢く異形な雰囲気と悪意を演出するようなトレモロリフはNIGHTBRINGER譲りとも言えるでしょう。一曲目のオープニングを引っ張り過ぎだったり、展開面で少し微妙な面はあるものの、邪悪なムードの濃さは一級品ですね。

若干こちらの方がマイナーっぽさはありますが、ÆVANGELISTやPORTALなど、ブラック好きにも好まれるタイプの暗黒デスメタルが好きならば気に入りそうな音源です。


IRON ATTACK! ★★ (2009-05-05 23:14:00)

新作、主旋律リードギターに続き、男性メタルヴォーカルまで解禁してくれましたね…
ライナーを読むと色々葛藤や試行錯誤があるみたいですが、私的には両方とも
明らかにプラスの方向に作用してると思います。
この調子で色々な枷を外していってほしいです。
…次はデスヴォイスやブラストビート辺りを解禁したりして。
もしデスヴォイスやるならMAYHEM風やBEHEMOTH風、BURZUM風とかやって欲しいです。
正統派寄りだからデス声はないかもしれませんが、もしやるなら徹底して欲しいですね。


IRON ATTACK! - Blade Of Ancient Temple - CRYING PHANTOM ★★★ (2008-10-19 23:22:25)

SEAVENTH-HEAVEN MAXIONやYELLOW ZEBRAの手によるカヴァーを聴いた時は、随分ポップな曲だと思ったんですが、この人がアレンジすると胸を熱くさせる音になってしまいますね。間奏はダークだったりシンフォだったりするんですが、なんかスポ根な感じがある(笑)。汗と涙、みたいな。ジョギングの時とかに聴くといいかも。


IRON ATTACK! - Blade Of Ancient Temple - DEAMON ERASER ★★★ (2008-10-19 23:19:23)

ここまで来ると、もう別にカヴァーじゃなくてもいいのでは?って気すらしますね…(笑)。原曲のメロを使ってると思しきパートよりも、インプロを多分に含んでいると思われるソロパートの方が盛り上がったりするし。リードギターが主旋律担当してるパートが骨太で良いですね。


IRON ATTACK! - Blade Of Ancient Temple - SPINNING WHEEL OF MEMORIES ★★★ (2008-10-19 23:24:26)

この曲だけでも、このアーティストがわざわざ「ゲーム音楽のカヴァー」という分野に足を踏み入れた価値はあると思う…。このメロディと、このギターが出会ったことにひたすら感謝。


IRON ATTACK! - CRYING DESTINY ★★ (2009-10-12 21:39:00)

2009年発表の東方アレンジ作品。
今作は以前にも共演した、まいなすいょん氏を迎えてのヴォーカルアルバム。
作品の性格上なのか、ここ数作のアルバムとは明らかに路線の異なる作風になってますね。
速弾きや泣きのツインリードも要所で入るものの、最近のインスト作と比べると
随分控え目だし、メロスピだけでなくドゥーミーなミディアム、果てはピアノバラードなども
演ったり、曲のタイプもより多彩に。ヴォーカルを目立たせるためか、音質も刺が少なくて
聴きやすい感じ。「Devil's Daughter」の世界観を東方メロディで演った感じと言うと
近いと思います。
ただ、まいなすいょんさんのヴォーカルに関しては、かなり進歩している印象があります。
語尾をかなり強めにベンドさせる唱法、高音がやや鼻にかかり気味な声質などは多少の灰汁の
強さがありますが、媚びっぽさが減って、メタラーにも大分聴きやすくなった印象。
特に「~AETERNITAS LUDOLOGY~」「CRYING DESTINY」では、低音に凛とした響きが
感じられてなかなかかっこいいと思います。
今回は柔らかめの声質の女性ヴォーカルを起用ということで、「Sparking」の路線を
期待すると肩透かしかもしれませんが、アニソン要素のあるメタルが好きならば必聴かと。
「~AETERNITAS LUDOLOGY~」のような、悶絶歌謡メロスピもしっかり完備してますし。


IRON ATTACK! - CRYING DESTINY - MOON PHASE ★★ (2009-10-12 21:41:20)

スピードを抑えた、ドゥーミーなアレンジは「月」というより、「地」のイメージに近いですが…地面から月を見上げてる設定ならピッタリなのかも。「空に浮かんだ/狂気を誘う道標」というフレーズが上手い。


IRON ATTACK! - CRYING DESTINY - SPEADMASTER DRIVE! (2009-10-12 21:42:13)

「スピードマスター」にしては体感速度はそれ程速くない…と思ったら、Spe「a」dmasterなんですね(笑)。メロスピというよりは、ロックの魅力が発揮された曲。でも間奏はメロスピ好きの感性が出てると思います。


IRON ATTACK! - CRYING DESTINY - ~AETERNITAS LUDOLOGY~ ★★★ (2009-10-12 21:44:13)

ツインリードと煌びやかなキーを完備した歌謡メロスピ。
やっぱりこういう曲に弱いので、当然アルバムでも一番好き(笑)。
「エクステンドアッシュ」のスリリングなメロディでテンションを上げつつ、サビに「月まで届け、不死の煙」のお伽噺系和風叙情メロを持ってくる構成も上手いですが、後者を敢えて低めのキーにしているところが素晴らしいと思う。まいなすいょんさんの声の美味しい部分が上手く発揮されて、シリアスな雰囲気が出てると思う。歌謡メタル好きならば是非。


IRON ATTACK! - Devil's Daughter (feat. Absolute Area) ★★ (2008-10-18 21:56:00)

2008年発表のアニメソング・カヴァーアルバム。
この界隈でも評価の高いバンドだけに、やっぱり演奏はかっこいいですね。
ただメタリックなリフやリズムを付けてみましたというレベルじゃなくて、演奏だけ
聴いたとしても十二分に楽しめそうな、ガチな正統派寄りのメタルを聴かせてくれます。
全曲ギターソロ完備で、アニメ「ソング」のカヴァーアルバムだというのに、多くの曲で
聴いてて最も燃える箇所が間奏パートだという、ある意味異常事態に(笑)。
また、ツーバス連打によって揚力を与えることでサビメロの飛翔感を強めていたり、
ただでさえ扇情度の高いメロディを慟哭のギターソロで聴かせてくれたり、ジャンル同士の
美点を更に高めるようなアレンジが多いのも良いですね。メタルの暑苦しさをアニメソングの
ポップ性が上手く覆い隠す事で、一般的なメタルよりも大分聴きやすさが生まれていて、
却って演奏のかっこよさが浮き彫りになっているようにも思います。
ただ、ヴォーカルは…ごめんなさい、これ、キッツいです…(苦笑)。
DMCの根岸君ばりにクネクネくねくねクネクネしながら歌ってそうな媚び声を多用し、時折使う
ハイトーンも苦しそうで爽快感に欠ける…。同人である事を考慮しても厳しい物があると思う。
5曲目のGソロ回しとか、そこだけ聴けば凄いかっこいいんですが、そこに行くまでの過程で
気持ちが折れてしまう…。4曲目などはかっこよく歌おうとしてて、まあまあですけど…。
こういう評価になるのも、私がアニメソングに求める物(=主にクサメロやファンタジー性)と、
ヴォーカリストが表現したい物(=アイドル的可愛らしさ?)が噛み合わなかったからだと思います。
そこが噛み合う人には名盤になるんじゃないかと。演奏、特にギターは本当かっこいいですし。
正直、私的には1000円ちょっとだったから良かったけど、これを2500円とかで買ってたら
流石に凹んだかも…。甘い声や可愛い声って別に嫌いじゃないんですけど、この人の場合
やりすぎてて甘美を通り越して甘ったるい声、可愛いを通り越して可愛こぶってる声に
聞こえるんですよね…そこをもう少しマイルドにしてくれたらもっと良かったと思います。


IRON ATTACK! - Devil's Daughter - Eternal Blaze ★★★ (2008-10-21 19:16:02)

アルバム中で一番クサいと思った曲。
特にサビメロは印象的で、表彰台に立って称賛を受けているような高揚感があります。そのメロを取り入れたギターソロ部分は、このアルバムでも最大の聴き所かもしれません。あとヴォーカルのサビ直前のファルセットが可憐で綺麗。この人、声質自体は結構良いのかも…。


IRON ATTACK! - Devil's Daughter - くじびきアンバランス ★★★ (2008-10-21 19:10:27)

これ、おそらく最近のアニソンのカヴァーだと思うんですが、メロディが凄く懐かしい感じ。「5時を回りました。良い子はうちに帰りましょう」の町内放送のバックで流れていてもおかしくない黄昏メロディが、メタルの持つ哀愁をブーストし、暑苦しさを緩和していてかなり良い按配。
これでヴォーカルがアイドル系ぶりっ子風じゃなくて、ZARD系正統派ポップス風だったら個人的には歌謡メタルとして完璧でした。でもヴォーカルが好みを外れてるのを差っ引いても星は3つ。


IRON ATTACK! - Devil's Daughter - 凛花 ★★ (2008-10-21 19:13:11)

和風な音色のキーボードが、メロディの持つクサみを更に際立てる曲…なんですが、それまでの展開から期待するほどには、サビメロがクサくないのが残念。歌詞カードはついてないですけど、聞こえてくる歌詞はファンタジー系のメタルとそんなに差がない気がする。


IRON ATTACK! - EVIL MOUNTAIN ★★ (2008-07-22 00:21:00)

上海アリス幻樂団のインストメタルカヴァー第二段。2007年末発表。
このアーティスト、CAVEのアレンジも演ってるんですね…弾幕系好きなんでしょうか。
私はSTGはジョジョの格ゲーのミニゲーム以来やってないなあ…(笑)。
PS2で出来るもので面白いSTGがあれば教えて頂きたいです…ってどうでもいいですね(笑)。
この作品は主に主旋律をシンセに担当させてますが、その音色の選び方がかなり良いです。
浮遊感のある音色で幻想的・幽玄な雰囲気を醸し出したり、エレピでメロディの清浄感を
引き出したり、笛っぽい音でクサいメロディを更にクサく聴かせたり…。
あまり似たような音色で引っ張りすぎる事もなくて好感触。
また、IRON ATTACK!や関連バンドのLIGHTNINGは海外からも注目されているほど有名な
メタルバンドらしいですが、それだけにリフの組み立て方やリード—ギターなど、
HR/HMとしての根っこがしっかりしてる印象があります。特に6、7曲目で聴ける速弾き&
ツインリードは、そこだけ聴いてもカタルシスが得られるくらいに素晴らしい。出来ることなら
4曲目のアコギや7曲目のツインリードは、フェイドアウトせずもっと聴いていたかったなぁ…。
ただ、何故か音質はちょっと篭もり気味で今一つ。なんか昔のメタルを聴いてるような感じで
微妙ですね…。あと、リフそれ自体は確かに高い評価を受けてるメタルバンドの矜持を
伝えるかのようなかっこよさなんですが、主旋律との絡みは正直いまいちかも。
特にメロディの最も盛り上がる部分で、主旋律とリフが濃厚に「絡み合う」というより、
リフに主旋律が「乗って」しまっているような箇所が多いように感じてしまいました。
せっかく海外のメタル雑誌からも注目されるような高いアレンジ能力があるんだし、
単にゲーム音楽のメロディをメタルサウンドに乗せてかっこよく聴かせるだけでなく、
その上で主旋律の持っている情感や、そこから浮かぶ情景を更に濃密にするような
リフ捌きをもっと聴きたいところ。
…しかし、本職で高い評価を受けてるのに、わざわざアマチュアでカヴァーを演るとは…。
このジャンルって使うメロディが同じなだけに、アレンジ力の差が如実に表れてしまうと
思うんですが…そういうシーンの中でこそ、自分のアレンジ力を試してみたいという
ハングリー精神も、創作動機の一つなのかもしれませんね。


IRON ATTACK! - SAVAGE FLAMES - Unconscious Philosophy ★★ (2009-10-12 21:55:13)

まずタイトルがかっこいいですね…「無意識の哲学」…あぁ、原曲が「ハルトマンの妖怪少女」だからか。でも黒夜葬と比べると、メロの割に余りにも正統すぎる印象も。この曲はYELLOW ZEBRAのアレンジも微妙だと思ったし、アレンジが難しい曲なのかも。


IRON ATTACK! - SPARKING - Never die, to the moon ★★★ (2009-05-05 23:07:58)

アコギパートやダークなパートを設けたり、構成はドラマティックなんですが…基本的に「速弾き主体で弾き倒すクッサいギターソロ」と「原曲由来と思しき超が付くほどのクッサいメロ」"だけ"によって展開していく豪華な曲。ああ、この「お行儀良いメタルなんてつまらないよね」と言わんばかりの、派手派手なゴージャス展開がたまらない!!強いて言えば、曲名はもっとこだわってほしかったかも。


IRON ATTACK! - SPARKING - Sparking ★★★ (2009-05-05 23:01:57)

泣きリードギターに続き、今度はメタリックで力強い男性ヴォーカルまで解禁してますが…なんじゃこりゃ、めっちゃかっこいいんですけど…。
同性が寄ってきそうなフェロモンを撒き散らすような、筋肉礼賛なパワーに満ちたヴォーカル…私は暑苦しい男ヴォーカルが苦手なはずなのに、物凄くかっこよく聞こえる。特にサビラストの「Master Spark」の言い方なんて、「どうよ?俺ってかっこいいだろ?」と言わんばかりの切れの良さ。演奏もIRON ATTACK!らしく、辛口で有名な盟友勇者アーサー氏(DRAGON GUARDIAN)も聖剣エクスカリバーを収めて聴き入ってしまいそうなほどの充実振り。
…本当に優れた物って、人の好みを変えてしまうほどのパワーを持つものですが、私もこれを聴いてメタルのマッチョ的なヴォーカルへの苦手意識が多少緩和されたかも…。


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT ★★ (2009-01-14 20:46:00)

08年末発表の上海アリス幻樂団(=東方)のインスト・メタルカヴァーアルバム。
前作(「Dead Heat Refrain」)は未聴なんですが、レベルアップしまくってて
「Evil Mountain」の頃とは根本から違うバンドの音みたいになってるんですが…(笑)
KISSING THE MIRRORとのスプの頃からその傾向はありましたが、今作では主旋律に泣きの
ギターを用いる手法を全面的に解禁。それに伴ってか、リフもオブリも以前よりも
弾きまくり。もうめくるめくようなギタープレイを堪能出来るアルバムに仕上がってます。
更に、チェンバロ風の音でメロディの扇情度を上げたり、イントロや間奏にソロパートを
設けて曲の展開を劇的にしたり、単にメロディをなぞるだけではないセンスの光る、
キーボードの使い方もレベルが底上げされているように思います。音質面でも煮え切らなさを
感じてしまった「Evil Mountain」とは異なり、今回は非常にダイナミックで音量も適正。
少々荒っぽさも感じますが、メタルのかっこよさを伝えるにはこれ位が丁度いいかと。
3曲目ではベースが重低音で暗黒世界を演出し、そこに慟哭ギターをフィーチャーした
面白いアレンジなども聴け、様式美一枚岩ではないアレンジセンスも素晴らしいです。
…ネットでIRON ATTACK!の評判を見ていたら、「彼らは売名でこのジャンルを演ってる」
みたいな意見があって意外に思ってた…っていうか「けっ」って思ってたんですが(笑)、
これ聴いてちょっと納得してしまいました。ウリの泣きのギターを前面に押し出したら
こんなに素晴らしい作品が作れるというのに、わざわざシンセでそれを代用してたら
手を抜いたと思われてもしかたないのかも。私的にはあれはあれでまあ良かったですけど。
でも、ドイツの雑誌に載るならこの音を作り上げてからの方が良かったのでは…。
「このジャンルを聴くならまずはこのアルバムを聴け」みたいな特集を、ゲーム音楽のメタル
アレンジというジャンルでやるなら、まずはこのアルバムを入れたい…それ程クオリティの
高い作品。まあ、経緯を伏せて聴かせたらゲーム音楽のアレンジとは気が付かないくらい
ガチガチのメタルになってしまってますが(笑)。ちなみに、このアルバムは有名なメタル
バンドへのオマージュがかなり入ってるらしいですが…ごめんなさい、一つも分からない(笑)。
メタラー失格?(笑)


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT - Ruins in Hell ★★★ (2009-10-12 21:48:07)

あの寂寥感あるメロディが、こんなにもメタル然としたかっこよさの泣きメロに…メロディって本当にアレンジ次第でどうにでも化けるんだな…ということが実感できる曲。


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT - The Creature Sealed Off ★★★ (2009-10-12 21:51:46)

ゲーム音楽らしさがないことが賛否分かれる彼らの東方カヴァーですが、この曲はギリギリで「ゲーム音楽っぽさ」が残ってると思う。メロディの展開・高揚感がそれっぽいです。譜割りの細かいメロディも難なく弾きこなしている辺り上手いですよね…あそこで少しでもお茶を濁すとグダグダになる曲だし。


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT - UNKNOWN DIE UNKNOWN ★★★ (2009-01-14 20:51:55)

ありそうでなかった、この絶品メロディを泣きのギターでなぞるアレンジ。一番の聴かせ所となるメロディが出てくるパートで盛り上がり、その他は敢えて控え目にしたアレンジも起伏があってかっこいい。ただ、この曲だけ音が少し小さいのはかなりのマイナス。次の曲に行った時、音がでかすぎてイラっと来るんですよね…。