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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3701-3800

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3701-3800
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LIMBONIC ART - 1995-1996 (2010-06-24 19:16:00)

95年・96年のリハーサル音源(テープ)を、マスタリングを施して09年にCD化したもの。初期ノルウェー産ブラックのカルト音源を次々再発しているKyrck Prodctionsより。

一言でいうなら、「プリミティブ音質のLIMBONIC ART」。
音質は意図的に当時のラフでプリミティブな雰囲気を醸し出すためか、リマスターを施しているとは思えないほど劣悪。彼らの初期の音源って、RAWなバンドサウンドをキーボードが包み込んでいて、それが神秘性と同時にある意味での聴きやすさをも演出していましたが、この音源はキーボードの膜も薄く、バンドサウンドは更に粗いせいで刃物のようなノイズが包みきれずに吹き出してくるような音質。

正直、「Epitome of Illusions」「Moon in the Scorpio」辺りの音源を未聴の方には到底お勧めできない、マニア向けの音源だと思う。それらの音源に嵌まっていて、「In Mourning Mystique」「Black Hearts Nirvana」などの名曲を、プリブラ準拠なRAW極まりない音で聴きたいという方にのみ推薦。


LIMBONIC ART - Ad Noctum: Dynasty of Death ★★ (2006-04-10 22:42:00)

99年発表の3rdアルバム。
LIMBONIC ARTはこれが初体験ですが、凄いですね…

例えて言うなら、「耳で聴く暗黒プラネタリウム」って感じでしょうか。
とにかく、巷でも高い評価を得ている通り、高速の打ち込みドラムとギターリフが作り出す轟音を包み込む、宇宙的なキーボードが素晴らしいです。小学校の頃など社会科見学とかでプラネタリウムで満天の星空を見て感動したんですが、それと似た感動が味わえます。

聴いていると単に星々の映像が脳裡に浮かぶだけでなく、その星を見て古代の人たちが想像したであろう神話的情景までが浮かんでくるようなスケールの大きさがあるように思います。同じシンフォニックブラックでも、CRADLEやEMPERORとはまた違った良さがあって、個性的でかっこいい音楽になってますね。

また単なる暗黒趣味だけでなく、哲学的な香りのする詞と、感情を込めて叫んでいるのにどこか無機質な響きを持ったヴォーカルも音楽と良くあってますね。私は宇宙の映像を見ると、どうしてもこの広く暗い中でいつか死にゆく自分の存在を悲観して怖くなってしまうんですが、この声がそういう恐怖感を増しているように思います。
正直言うとDaemonのヴォーカル、ZYKLONで聴いた時はあまり好きではなかったんですが…こっちではかなり気に入りました。

しかし、余談ですがそのDaemonかなり顔が怖いんですけど…目に嗜虐的な光が宿ってます(笑)。


LIMBONIC ART - Ad Noctum: Dynasty of Death - As the Bell of Immolation Calls ★★★ (2006-04-10 22:49:21)

中盤から後半にかけてのキーボードリフ、素晴らしすぎなんですが…
宇宙的なのにどこか懐かしさすら感じるメロディです。更にそのリフのメロディをモチーフとしたギターソロも入ってきてドラマティック。名曲です。


LIMBONIC ART - Ad Noctum: Dynasty of Death - In Embers of Infernal Greed ★★★ (2006-04-11 21:12:55)

この曲は仰々しいキーボードだけでなく、ヴォーカルも特に凄いですね…2声になって喚きまくる所など圧倒的です。ラストの低音デスヴォイスもかなり邪悪です。


LIMBONIC ART - Ad Noctum: Dynasty of Death - Pits of the Cold Beyond ★★★ (2006-04-10 22:46:03)

キーボードの音量が大きいせいか、物凄い仰々しさを感じますね。EMPERORの1stが永久凍土だとしたら、こっちは酷寒の宇宙といった感じ。
コーラスの入るラテン語パートや「PITS!! OF!! THE!! COLD BEYOND!!」のタイトルをがなるパートなど意外にキャッチーな部分もありかっこいい曲です。


LIMBONIC ART - Epitome of Illusions ★★★ (2006-06-09 21:29:00)

3rd持ってるのにボックス買ってしまったんですが(笑)、これが一番好きかもしれません。
デモの再レコーディングということで、デモの雰囲気を出すためにわざとスタジオにこもる時間を短くしラフな録音をしたらしいですがそれが上手く作用しているように思います。

バンドの音や打ち込みドラムの音が大きすぎない為、その分キーボードが良く聴こえます。本当にバンドサウンドよりキーボードメインの音楽…普通のメタルファンが聴いたらどういう反応するんだろう?ともかく美しい音世界なので、意外にはまってしまうかも。

メロや音色自体の華やかさは2ndの方が上だと思いますが、聴いてて気持ちいいのはこっち。特に大作「BLACK HEART'S NIRVANA」は素晴らしい名曲です。


LIMBONIC ART - Epitome of Illusions - Arctic Odyssey ★★★ (2006-06-09 21:44:09)

ラストを飾るインスト曲。
(このバンドにしては)短いし、インストなのにそのメロディの芳醇さからか、聴き終わるとなにか一つの壮大な物語を体験したかのような気分になります。こんな凄いインスト、なかなか聴けないと思います。


LIMBONIC ART - Epitome of Illusions - Phantasmagorial Dream ★★★ (2006-06-09 21:33:38)

ボックス盤ボーナストラック。
ボーナストラックには勿体無さすぎなメロディが素晴らしい。途中に出てくるDISSECTIONの「Thorns of crimson death」の間奏パートを思わせるようなキャッチーなメロディが特に良いです。ぶっちゃけこのCDでは「BLACK HEART'S NIRVANA」に次いで好きなんですが…なんでお蔵入りしたんだろう…?


LIMBONIC ART - Epitome of Illusions - The Black Hearts Nirvana ★★★ (2006-06-07 23:24:09)

これは…もうバンドの演奏がほとんどキーボードの伴奏と化してしまっているような(笑)。しかもそのキーボードのリフも大仰で、彼らの曲の中でも分かりやすく、繰り返しが多いので一度聴いただけでこのメロディの良さに酔える事と思います。ヴォーカルも叫ぶよりもうめきでリフのメロディを追っていて、不気味ながら聴きやすい。これは名曲です。


LIMBONIC ART - In Abhorrence Dementia ★★★ (2007-02-28 01:41:00)

97年発表の2ndアルバム。

LIMBONIC ARTの作品で名盤はどれかというと、一般的にはブラックメタルに欠かせない呪術的雰囲気の濃い1stか、いかにもエクストリームメタル然とした暴虐で音圧のある3rdが挙がる事が多い様ですが、個人的にはデモ再録の「EPITOME~」とこの作品を推したいです。

この作品は、LIMBONIC ARTのアルバムの中でも最もキーの活躍するアルバムだと思います。
ギターリフはやや潰れ気味の音色であまりメロディが感じられませんが、その代わりに時に空間的な音色、時にフルートなどの華やかな音色を用いたキーボードがリフの役割を果たしているという感じ。

そのキーボードはほぼ途切れる事無くサウンド全体を覆い尽くしているし、音色もメロディも華やかで、時にはクサメロ好きにもアピール出来るほどの豪奢なメロディも登場するので、キーの印象としては家中の蛇口を全開にして放置した感じ(笑)。

それくらい、キーのメロディが洪水となって襲い掛かってくるような音作りで、もはやこれは「シンフォニック・ブラックメタル」というか「ブラックメタル・シンフォニー」って感じです。
つまり、シンフォ要素がブラック要素を飲み込んでしまってます。これを聴いているとキーボードがどれだけ素晴らしい楽器か良く分かりますね(笑)

個人的に、バンドサウンドとシンフォ要素の兼ね合いではANOREXIA NERVOSAの「NEW OBSCURANTIS ORDER」辺りが理想的なバランスなんじゃないかと思ってるんですが、このアルバムはシンフォ要素を強めるあまり別の理想郷に辿り着いてしまったという感じ。しかも97年の時点で。

LIMBONIC ARTが出てきたことでシンフォニックブラックは一つの完成を見たという意見をどこかで聞いた覚えがありますが、これを聴くと頷けます。ほんと、これを作ったメンバーは天才と言っても過言ではないでしょう。

しかし、発売されてから結構経つのにまだ書き込みがないと言う事は、このアルバムを買っている人は案外少ないんでしょうか。かなり勿体無いです。名盤ですよ。


LIMBONIC ART - In Abhorrence Dementia - Descend to Oblivion ★★★ (2006-06-09 21:38:36)

ボックス盤ボーナストラック。
…このバンドは出来の良い曲をお蔵入りさせる習慣でもあるんでしょうか?イントロからキーボードが華やかと言っても良いくらい煌びやかで、曲の間中そのテンションが持続する名曲です。2ndの収録曲の中でも明らかに平均以上の出来の曲だと思うんですが…。


LIMBONIC ART - In Abhorrence Dementia - Oceania ★★ (2006-06-08 21:56:02)

イントロの雰囲気、ギターが大きくヘヴィな雰囲気だったので、この曲は他の曲とは趣が違うのかな~と思ってたら…やはりいつものシンフォニックブラックでした。この曲はとくにエレピの音が綺麗。星空を思わせる情景描写を行うには、グランドピアノよりもむしろこっちの方が合っているのではないかと思います。


LIMBONIC ART - In Abhorrence Dementia - When Mind and Flesh Depart ★★★ (2006-06-08 21:52:49)

LIMBONIC ARTが単に宇宙そのものだけではなく、人間の中にある「内的宇宙」までも描こうとしているであろう事が良く分かる曲。タイトルもそうだし、途中のリズムが無くなるところのキーボードのメロディなんてどこか臨死体験を思わせます。


LIMBONIC ART - Moon in the Scorpio - Beneath the Burial Surface ★★★ (2006-06-10 02:20:02)

確かにこの音は星空を思わせます。
それも満天の星空で、どこからが空でどこまでが陸か分からないような、日本では絶対見れなさそうなプラネタリウム的情景。北欧の空はこんな情景なのかな?特に中盤から後半にかけてのリリカルなパートが好き。


LIMBONIC ART - Moon in the Scorpio - In Mourning Mystique ★★★ (2006-06-04 22:09:30)

私もイントロ演歌だと思いました(笑)。
なんか今にも着物を着た歌手がステージに上がり、男女の心中を歌い上げても可笑しくないようなメロディです。しかもその後流麗なピアノに導かれて、シェイクスピアの劇の最中に絶叫×チガイが乱入してきたような雰囲気になるし…この導入はインパクトばっちり。本編もシンフォニックながらかなりの泣きメロ。ただちょっと長いかも。


LIMBONIC ART - Moon in the Scorpio - Moon in the Scorpio ★★ (2006-06-10 02:23:10)

この曲も星空が見えそうなシンフォニックブラックというのは一曲目とも共通してますが、呪文的ヴォーカルも入っているせいかその星空のもと、密教の儀式が行われているような雰囲気を持った曲。笑い声も入ってますが、こちらを嘲笑っているとかでなく本当に意味も無く笑っているかのようで、怖いです。


LIMBONIC ART - Moon in the Scorpio - Through Gleams of Death ★★ (2006-06-10 20:41:30)

中世の詩人などが良い詞を書くため、作品の冒頭に詩神の霊威を借りる為の詩を書くことを「インヴォケイション」というらしいですが、この曲の冒頭や中盤の降霊術を思わせるパートは正にその「インヴォケイション」に当たるのかもしれませんね。
しかしその降霊術っぽい部分のDaemonの声、いいなぁ…。


LIMBONIC ART - Phantasmagoria ★★★ (2010-11-18 20:45:51)

2010年発表の6th。

4thは未聴なんですが、5th「Legacy of Evil」と3rd「Ad Noctum」を比較すると、ドラムパートの過剰な音量が調整され、スピード感がより感じられるようになったり、キーだけでなく、よりリフを曲の根幹に据えた曲作りになっていたり、メタルとして完成度の高い方向を目指して進化してる印象がありましたが、今作もその延長線上にある作風ですね。

ただ、意外だったのは音質で、特にギターの音が前作よりも明らかにノイジーな質感になってます。このギターの音質が、キーの神秘的な音色と上手く噛み合い、何か超常的で、人知を超えたものが降臨するような、オカルトでカルトなムードが色濃く出ているように思います。
特に「Dark Winds」のようなスローな曲は、最近のLUNAR AURORAや、「Drawing down the Moon」期のBEHERITに匹敵する神秘性・魔性が感じられます。

また、個人的に評価したいのは、Daemonのヴォーカルの進歩。彼のヴォーカルは、太くはあるけどそこまで印象深くはなかったんですが、今作では腹の底から叫ぶような、喉を引き裂くような気合の入った絶叫で素晴らしい。粗めの音質とも相俟って、プリミティブ系以上の邪悪さを醸し出していると思う。

前作を聴いたとき、良い作品だとは思ったけど、このままの路線で進歩したら、SIRIUS辺りと似た世界観になってしまいそうだと危惧していたんですが、今作はそのままではなく、カルト方向にも進歩しているのが嬉しい。DARKSPACEなどの情景系と異なり、がっつり展開のあるタイプで、70分超えは少し食傷気味になると言えなくもないんですが、独りブラックになっても質を落とす事のない力作だと思います。


LITROSIS - I Am Death ★★ (2012-09-28 00:22:21)

2012年発表の1st。

UNHOLY RITUALのメンバーの関わる、ギリシャ産ブラックメタルバンドのデビュー作…とのことでしたが、これはメロデス的を通り越して正統派メタル的な魅力すら感じる、シンフォブラックでもメタリックな作風の作品ですね。時折リフに込められたメロディがイギリスの正統派メタルっぽい湿り気を帯びていたり、シンフォブラックとしてはかなりギターソロに力を入れていたり、ブラックの邪悪さこそ薄いものの、美点・力点はそこではなく、正統なメタルの魅力に置かれている感じ。

しかし、ブラックメタルとしての苛烈さ・シンフォメタルとしての大仰さはしっかり備えていて、ファストブラックを普段聴いていても目を瞠るようなブラスト、ブラックらしい冷気を感じるトレモロ、ヴァイキングメタルに通じる、壮大な物語の始まりを感じさせるようなエピックなメロディが、正統派メタル的なドラマ性と上手く絡み、更に劇的なものとなって完成している感じ。個人的には、ヴォーカルの声がIhsahnとちょっと似てるのもポイント高いです。

まあ、メディアがCD-Rだからなのかちょっと音質が平べったい感じだったり、一曲ハードロック的な熱の篭もったクリーンで歌い上げる曲まであるのはちょっとやりすぎに感じたりなどはしますが、基本的には楽曲のクオリティ自体は非常に高いと思う。関連バンドのUNHOLY RITUALもそうでしたが、メロディのセンスが良く、それを引き立てる術を知っているような作風が素晴らしい。


LITURGY (BLACK) - Aesthethica (2011-05-14 17:05:48)

2011年発表の2nd。

「KRALLICEを超えるトレモロの嵐」と聴き、速攻で買いに行った一枚。
確かにその看板に偽りは無く、アルバムの大半を高音域のトレモロをキリキリ言わせながら疾走するパートに割いた作風で、トレモロリフの動きに合わせてリズムにキメを設けたり、展開自体もトレモロリフが主導権を握っている感じ。それをバックに、鬱ブラックをカリカチュアライズしたような、軋んだ歪みの少ない悲鳴Voが乗るスタイル。

ただ、個人的にはこの作品、トレモロリフに確かに覆われてはいるんですが、全然「ブラックのリフ」を聴いてる気になれないんですよね。まずメロディが邪悪じゃないし、そのせいかブラックメタルのトレモロリフというよりも、大陸の民族楽器に電気的な処理を施したような音に聴こえてしまいます。途中サンプリングや多重コーラスによるSEも入りますが、正直興を削ぐ感じがある…。

個人的には、ポストブラックの「ポスト」要素が行き過ぎた作品。
本人達にそのつもりはないのかもしれませんが、「トレモロリフを活用してオリジナリティある音楽を作る」ことのみに執心で、肝心の曲作りが今ひとつという感じ。悪いですけど、私の中ではKRALLICE超えは正直無かったですね…。


LIV MOON ★★ (2009-11-12 02:10:00)

元宝塚の歌姫を擁する、国産ゴシックメタルバンド。
来月には1stアルバムの発売も予定しているようです。


LIV MOON - Covers~scream As a Woman~ ★★ (2010-12-28 22:43:34)

2010年発表の洋楽カヴァーアルバム。
ぶっちゃけ原曲は殆ど知りませんが…。

…失礼ながら私はこれを聴いて、「やれば出来るじゃん!」と思いました。
かなりメタルから離れたアレンジなれど、ヴォーカルの歌唱力の高さは十二分に
伝わる「Wuthering Heights」、演奏の緊張感が素晴らしい「Call Me」、
ブラストを交え、シンフォニックに爆走するパートを絡めた「Child In Time」、
嵐に立ち向かうかのような勇壮さの「The Show Must Go On」など、1stの
中庸さが嘘のように、鮮やかな曲が揃ってると思う。とりわけCRADLE OF FILTH並に
かっこよくエクストリームなパートを持つ「Child In Time」が素晴らしい。

しかし、やはりヴォーカルは上手いですよね。喉だけじゃなく、耳も良さそう。
だって「r」の音を、英語、イタリア語、フランス語で全部使い分けてるんだもん。
海外進出を狙ってか、稚拙な発音のまま英詩書いちゃうバンドもいますが、
彼女のこういうところは是非見習って欲しいですね。歌唱力は言わずもがな。
ただ、何故か「Gimme Gimme Gimme」では足を付け過ぎて、ゲジになった蛇レベルで
蛇足な男性ヴォーカルが…何故シンガーの美声が売りのバンドに、余計な事を…。

思うに、このバンドは「やればできる」のに、やらないのが欠点だと思う。
エクストリームメタル顔負けのシンフォ疾走が出来るのに前作ではやらなかったし、
コンポーザーの自己満にしか思えない、余計な男性ヴォーカルを入れたがるし…。
そういう所を改善して、もっと引っかかりのある音を目指して行けば、更に上に行けるのでは。


LIV MOON - Covers~scream As a Woman~ - Child in Time ★★★ (2010-12-28 22:48:57)

DEEP PURPLEカヴァー。
途中のシンフォニックに爆走するパートに痺れる。
こういうアレンジできるのに、何故1stで出し惜しみしてたんだか…。
1stで聴き手にインパクトを与えることが、後の飛躍に繋がるかもしれないのに。


LIV MOON - Covers~scream As a Woman~ - The Show Must Go on ★★★ (2010-12-28 22:50:41)

困難に立ち向かうような、勇壮さのある曲で、聴いてると奮い立ってきますね。
ただ、サビ部分のブラスがシンセの安っぽい音なのが非常に残念。
シンフォ系バンドのアレンジなんだし、生オケとか使った方が良かったのでは。


LIV MOON - Covers~scream As a Woman~ - Wuthering Heights ★★★ (2010-12-28 22:47:06)

KATE BUSHカヴァー。
…これってKATE BUSHの曲で、しかも嵐が丘だったんだ!
そう言えば「ヒースクリフ」って言ってますもんね…。
聴けば誰でもピンと来るであろう曲。「恋のから騒ぎ」のアレです(笑)


LIV MOON - DOUBLE MOON ★★ (2010-03-21 10:26:00)

2009年発表の1st。
「元宝塚の、4オクターブの声域を持つヴォーカル」を擁する国産ゴシックメタルとして、
プレスでも結構取り上げられていたバンドですが…前評判通り、ヴォーカルは素晴らしい。
ただ声楽的で心地良い歌唱で、音域が広い、歌が上手いというだけではなく、曲の繊細な
情感を引き出していたり、時にはゴシックメタル特有の妖気を醸し出したり、曲の場面に
合わせた表現力が高い感じ。海外の、一流のゴシックメタルバンドの「歌姫」と比べても、
確実に「押し」と「引き」を心得た、存在感のある歌唱であると思います。
ただ、曲の方は…一曲目のサビの、メタルリフに伸びのあるビブラートを乗せる事だけを
考えたような味気なさといい、ごく普通のバラードにヘヴィなギターを乗せただけに聞こえる
曲が多い事といい、メタルの音とAkane Liv嬢の歌声の融合が余り上手く行ってない感じ。
アルバム構成も、中盤の勝負所でバラードを連発するダレる流れ、ラスト3曲がギター無しの
バラードというクドさ、1曲目の掴みとしての弱さなど、決して優れてるとは言えません。
音質も、メジャーから出てる割には別に良くはないし…。
でも、「月架」「Wild Creatures」のような、ゴシックメタルの様式に則った曲の出来は
素晴らしい物があるし、タイトル曲の歌メロ+歌唱はそれだけでお金を出す価値があると思う。
日本人って、歌謡曲文化から来る歌メロの豊穣さからか、ヘヴィな曲を続けても金太郎飴に
なりにくい特性があると思うので、何もそんなにバラードにこだわる事は無いと思う。
素材はいいのに、調理法が今一つ…そういう印象を受けるアルバムでした。


LIV MOON - DOUBLE MOON - DOUBLE MOON ★★★ (2010-03-21 10:06:12)

おお…「至高の泣きメロ」とでも表現したくなるような、余りにも芳醇なメロディが胸に刺さる曲ですね…。この歌メロ&歌唱の押しの強さは海外のゴシックには無い個性だと思うので、もっと前に出していけばいいのに…と思います。


LIV MOON - DOUBLE MOON - GOOD NIGHT (2010-03-21 09:57:41)

ゴシックメタルというよりは…ALI PROJECTのアルバムの最後に入ってるタイプのバラードという感じの曲。でもアリプロよりもメロディが弱い上に、この曲に至るまでの流れも今一つなのであまり感動が無いです。よって★は1つで。


LIV MOON - DOUBLE MOON - WILD CREATURES ★★★ (2010-03-21 09:55:27)

「Hidin' Hidin'」の所なんかは、まるで魔性が手招きしているようで、ヴォーカルの表現力を活かしたメロディで素晴らしい。ここの高音ハモりがまた良いんですよね。…こういう風に、しっかり「ゴシックメタル」の様式に則れば、良いものを作れる作曲力があるのに、それをしなかったのが、アルバム「DOUBLE MOON」が全体として地味に聞こえる要因だと思う…。


LIV MOON - DOUBLE MOON - 月架 ★★★ (2010-03-21 10:02:54)

角張ったヘヴィなリフや、フックのある泣きメロが後期(ID ATTACK以降)のPIERROTを思わせますが…ヴォーカルがキリト氏のような灰汁の強いものではなく、誰が聴いても歌唱力を認めざるを得ない声楽的なもので、よりポピュラリティの高い仕上がり。…ほんと、こういう曲をこのレベルの高さで作れるのなら、バラードばっかじゃなく、もっと入れて欲しかったのに。


LIV MOON - DOUBLE MOON - 鮮やかに… ★★ (2010-03-21 09:51:09)

メロディだけ聴くと、ごく正統なJ-POPバラードに聞こえるんですが…そこに要所でヘヴィな演奏を足した感じですね。ただ、バラード攻勢が続くその締めとなる曲なので、ここに行き着くまでにはダレてる事が多いですけど…単品ではなかなかのバラード。


LIV MOON - Echo~蒼空の余響~ - Echo~蒼空の余響~ ★★ (2009-11-12 01:58:06)

元宝塚の歌姫によるヴォーカルを活かせるくらいには、歌が中心にあるアレンジなんですが、演奏の方も遠慮が無くてかっこいいです。Aメロとか歌メロがズタズタになる寸前だけど、その緊張感と激しさが心地良い。ただ、サビよりもイントロや間奏の方が盛り上がるのが惜しい…折角スター性のあるヴォーカルを起用してるんだから、もっとサビを盛り上げなさい(笑)


LIV MOON - Echo~蒼空の余響~ - The Phantom of the Opera ★★ (2009-11-12 02:01:24)

歌声的に、ちょっと腹黒なクリスティーヌと、チャラ男のファントムが思い浮かぶんですが…(笑)。女性ヴォーカルは歌唱力も高いし良いんですが、チャラい大学生がいきがってるような、弱い男性ヴォーカルは大いに改善の余地があると思う…。


LIVSNEKAD - Den sociala vanförheten ★★★ (2009-11-29 20:49:00)

2009年発表の1st。

Kvarforthを含む、メンバーの半数以上がSHINING絡みと言う事で、やはりSHININGのような絶望的な鬱ブラックを期待してしまいますが、思いっきり期待通りの音を出してますね。

ただしメタリックな感触も色濃く残していたSHININGと比べると、こっちは疾走をほぼ廃し、ヴァイオリンやピアノによるメランコリックなメロディを導入し、より「物哀しさ」に焦点を絞ったような作風になっていると思います。

あくまで個人的な主観ですが…他の鬱ブラックと比べてこのバンドの音が「違う」と思うのは、暗さや陰鬱さだけではなく、「寒さ」が強く感じられる点。それも吹雪を思わせるDISSECTIONやTHE LEGIONのような「寒さ」ではなく、暖炉も何もない山小屋でじわじわと体温を奪われ、凍えて死にゆくような、もっと陰湿な「寒さ」なんですよね。

5曲目のラストなんて、人生のエンディングみたいな感じしますもん(笑)。
あぁ、冥府の川の流れる音が聴こえてくる…(笑)。
その「寒さ」の演出の根幹を成すトレモロリフのメロディセンスも秀逸だし、ピアノのイントロから一気に奈落に落とすような、どす黒いバンドサウンドの迫力も十分。

Kvarforthの、苦悶に胸を掻き毟るようなヴォーカルも相変わらず素晴らしい表現力だし、流石SHININGという一流バンドが絡むだけのことはある質の高さがありますね。
陰鬱な寒さを求める人はSHINING以上に気に入るかも。打ち棄てられて凍えて死ぬ感覚が味わいたい人は是非。


LOCUS MORTIS ★★ (2012-04-17 23:11:40)

注目のレーベル、ATMF発のイタリアンブラック。
ARCANA COELESTIA、ABSENTIA LUNAEなどのメンバーが関与。


LOCUS MORTIS - Inter uterum et loculum ★★ (2012-04-17 23:12:11)

2005年発表の1st。
2011年にはこの作品の再レコーディングアルバムも出ている模様。

分離が良い…というよりは、ノイズ質とメロディ質が乖離しかかってるようなギターリフの音色といい、かなりファストなパートでも暴虐というよりはどこか軽快さを感じる軽めの音のドラムといい、音の体裁を整えるよりも、生々しさを重視したプリミティブなブラックメタル。基本左右チャンネルで絡むトレモロ疾走がメインですが、荒れ狂うように刻むパートやドゥーミーに引き摺るパートもあり、この手のプリブラでは結構ドラマ性もある音。

こういう路線の音楽って、リフに込められたメロディのセンスが何よりも重要だったりしますが、このバンドは「持ってる」感じがします。基本ブラックらしい荒涼感や妖しさを感じるメロディがメインですが、時々何故か「和」な印象もあるんですよね…。忍者ゲームの妖術師の潜む夜の森ステージとかで流れてそうな、怪奇な感じ。日本の「あやかし」的な世界観にも通じるような、薄暗い妖しさ。ヴォーカルもがなり系ですが、黒い影を引き摺りながら叫んでそうな、やはり妖しさが感じられる声で良い感じ。

音作りなどは大分マニア向けの印象ですが、ATMFリリースを追ってるくらいのブラックメタル好きで、かつプリミティブ嗜好をお持ちの方ならば、問題なく楽しめるかと。


LORD AGHEROS - As a Sin ★★★ (2012-05-04 21:41:23)

2008年発表の2nd。
メンバーの写真が如何にもイタリアの伊達男って感じで、かなりのイケメンですけど(笑)、そんな見た目とは裏腹に、鬱ブラックや葬式ドゥーム以上の悲壮感が感じられる、アトモスフェリックなブラックメタルが展開されてますね。

ノイジーながら控えめなバンドサウンドと、呼気とエッジ音で無理に搾り出すような喉の痛そうなヴォーカルを、空間系のシンセやピアノが包み込む作風で、一枚を通じて聴ける、誰かを悼んでいるかのような沈痛で儚げなピアノのメロディが非常に印象的。セピアの追憶の情景が緩やかに流れていくようなメロディで、鬱系が葬式ムードならこちらは告別式といった感じ。クワイアが入るパートなんかは、むしろ式とか通り越して霊界だか冥界だかに魂引っ張られそうになりますが。

また、SE的なサンプリングを曲に取り込んでいたり、メディテーション音楽的なシンセの音色が取り入れられていたり、パーカッシブなリズムも顔を出したりなど、所々でアヴァンギャルド/プログレッシブなアレンジが顔を出すのも特徴ですね。個人的には、6曲目後半の、日本の伝統芸能をイタリア人がアレンジしたような妙なムードのパートや、タイトル曲の今までに聴いた事がないような、奇天烈なアコギなフレーズなんかは非常に印象に残りました。一部に限って言えば、変態的と言っても過言ではないと思う。

実験的要素が奇抜過ぎて、全体に漂うセピアなムードに対してインパクトがありすぎるきらいはあるんですが、濃厚な雰囲気で浸らせてくれるし、ユニークで面白い作品に仕上がってると思う。悲壮感のある作品、個性派ブラック好きならば是非。


LORD AGHEROS - Demiurgo ★★★ (2013-10-13 11:58:46)

2012年発表の4th。

ゴシック的な美しさ、沈痛さ、悲痛さに満ちたメロディが印象的なアトモスフェリック・ブラックを聴かせてくれるバンドですが、今作も作風に変化はなく、上質な美メロ・悲哀メロを聴かせてくれる作品ですね。音作りは結構独特で、アトモスフェリックなキーボードがジリジリしたリフを包み込むような感じなんですが、このギターの音色が命の灯が燃え尽きそうになっているような儚さを生んでいるように思います。

以前の作品では、美しくメロディアスなだけでなく、実験的な部分もある作風も持ち味でしたが、今作は後半部分がアンビエントというコンセプト性を前面に打ち出してますね。アンビエント部分はドローンめいた音を使ったダークアンビエントなものから、バンドサウンド部分でも聴けるようなクラシカルな美メロに満ちたものまで種類に富んでますが、共通してゴシック的な悲痛さが感じられ、深遠な雰囲気がありますね。

ブラック的な攻撃性・暴虐性などからは距離を置き、芸術性や構築性を重視した美しいアトモスフェリック・ブラック。ブラックの暗黒でメロディアスな部分が好みの方なら聴いておいて損はないかも。


LORD BELIAL - Revelation - the 7th Seal ★★ (2010-06-05 00:26:00)

2007年発表の7th。
何気にプロデュースにAndy LaRoqueが関わっているんですね。

LORD BELIALの作品を聴くのはこれが初めてなんですが、開始10秒で唖然となりました(笑)。1曲目のインスト、思いっきりDISSECTIONなんですけど…それも、本気で「間違えてDISSECTIONのライブ盤か何かを買ってしまったのでは」と訝りたくなるほどソックリ。

叙情的なトレモロリフを軸に疾走していく、メロブラの王道とも言える展開、ブラックとしてはギターソロのハーモニーにかなり拘った作風など、イントロ部分だけでなく本編もかなりDISSECTIONの影響を感じられますね。

ただ、DISSECTIONが刻みを多く取り入れ、メロデスとの境界が曖昧だったのに対し、こっちはよりトレモロ多めで、更にメロブラ然とした音。曲が割とコンパクトに纏まっている点、メロディが中世的な感じがする点などは、DISSECTIONと異なるところでしょうか。

DISSECTIONは3rdでトレモロ志向をやめ、よりメロデスに接近しましたが、もしそれとは全く逆の変化…よりトレモロ重視になっていたらこうなっていたのでは、と思えるほど、メロブラとしてクオリティの高い作品。ヴォーカルの凶悪ながなり声も、Jonの歌い方を更に野蛮にした感じでやっぱりDISSECTIONぽい。

メロブラやメロデスなど、メロディ志向のエクストリームメタルが好きな人全般にお勧めですが、特にDISSECTIONの2nd→3rdの変化に賛同できなかった人が聴いたら、「これだ!!」と膝を打つのではないでしょうか。


LORD MANTIS - Pervertor ★★ (2013-06-02 11:07:30)

2012年発表の2nd。

スラッジの引き摺るような重さとブラックメタルの邪悪さを融合させた音楽性、同郷でかつNACHTMYSTIUM絡みの人脈という事で、このちょっと前に出たWOLVHAMMERを思わせる部分も多い作品ですが、作風の趣向自体は大分異なる感じですね。炸裂感がストレートなかっこよさにも繋がっていたWOLVHAMMERと比べると、こちらはより暗黒ムードを重視した粘性の高い音で、その分疾走パートも少なめ。

ギターのフレーズもブラックの寒々しさや叙情性よりは、カオティックで殺伐としたものを中心に弾いている感じで、それがスラッジ由来の灼け付くようなノイジーな音色とも相俟って、実体を持ったかのようなリアルなどす黒さを感じさせてくれますね。ヴォーカルはエフェクトが掛かってるせいでどうも狂性を殺いでしまっている感じなのが惜しいですが、「at the Mouth」での脳みそを弄くられているような喘ぎ絶叫を始め、パフォーマンス自体は殺気があって悪くないです。

全体的にWOLVHAMMERよりも暗黒マニア向けの音…と言いたい所ですが、50歩100歩というか、こんなバンドをチェックするような人はほぼ確実に暗黒マニアだと思うので(笑)、あまりマニアック度に差はないかも。名門Candlelightらしくしっかり作りこまれた音ですので、その手の音楽を好む方は安心して手を出せる音源です。


LORD WIND - Atlantean Monument ★★ (2008-02-01 23:44:00)

2006年発表の4th。
後期BURZUMにも通じるキーボードによるアンビエント作品。
…正直言って、個人的にはBURZUMのアンビエントよりも断然好きです。
近年のGRAVELANDって、プリミティブ的な衝動性ではなく、中世の戦争の情景を
バンドサウンドとキーボードやクワイアを使って壮大に演出する作風になってきてますが、
こっちはバンドサウンドが無い分、情景描写に特化したプロジェクトになってると思います。
キーやクワイアによる荘厳、壮大な雰囲気を引き継いでいるのはもちろん、GRAVELANDでは
やや希薄だった明瞭なメロディが多用された事により、更にスケールの大きさを増してますね。
メロディは明瞭になっても、靄が掛かったような情景を連想させる幽玄さはしっかり保ってます。
博物館や美術館、または遺跡とかに行った時、その文化における人々の営みに思いを馳せて
目頭が熱くなってしまう事ってあると思うんですが、このアルバムを聴いていて喚起されるのは
まさにそういう感情。音を出しているうちのコンポがなにか神の像のような、神秘的なものに
思えてきて、思わず地に頭を付けて平伏したくなってしまうくらい(笑)。
ナチス政権は人々の心情に訴え、人心を掴む為に音楽も用いたことで有名ですが、この作品を
そうした意図で用いたらマジで危険だと思えるくらいのアルバム(例えが悪すぎですが)。
私なんて日本人なのにペイガンライフを追体験したような気分になってしまったし(笑)。
Rob Darkenは殊に思想を音で表現することにかけては、天才的な資質を持ったミュージシャン
なのではないでしょうか…。実際にポーランドに行くにはお金が掛かるし、ましてや中世に
タイムスリップするなんて不可能。しかし、このアルバムを買えば、たった約2000円で
その空気を味わえてしまいます。興味がある方は是非聴いて、中世のペイガン戦士の生活を体験しましょう。


LOST INSIDE - Mourning Wept Beside Me ★★ (2013-11-11 18:47:09)

2011年発表の3rd。

音としては、スローテンポに陰鬱なメロディの乗る、典型的な鬱ブラックという感じですが、SILENCERやNORTT辺りの、圧倒的なマイナス感情を伝えるようなバンドとは異なり、「澱み」「濁り」といった単語が思い浮かぶような、どんよりとした空気感を描写していくような作風。ただし楽曲は落ち着いた印象で、歪みもそれほど強くない音作りですが、ヴォーカルに関してはノイズ一歩手前の絶叫スタイル。

某レビューで「鬱ブラックであり、それ以上の何者でもない」という主旨で揶揄されてもいた通り、鬱系好き以外には退屈に思われるかもしれませんが、波長が合う人には実に心地良い空間を提供してくれる作品ですね。個人的には、特に1曲目の、キーボードの演出する澱が溜まりヴェール状になったような音の中を、ゆるゆると薄暗いメロディが流れる感じがかなり好きです。癒されます(笑)。

流石に入門編というにはマニアック過ぎますが、鬱系としてはSTRIBORG辺りに比べると大分聴きやすい音を出してると思います。ムード重視の鬱ブラッカーにお勧めです。


LOTUS CIRCLE ★★ (2014-06-09 20:41:42)

ギリシャ産ドローン/ドゥーム/ブラック。
1stをNykta、2ndをDusktoneからリリースし、現在はSelf Mutilation Servicesと契約しているらしいです。レーベル的にはかなりのエリートですよね。


LOTUS CIRCLE - -Caves- (2014-06-09 20:43:12)

2012年発表の2nd。

ブラックメタルに由来するジリジリと歪んだノイズと、ドゥームメタルから来るうねりのある低音の持続音を組み合わせ、ただただどす黒く狂気的な音像を提供する作風で、徹底して音像を追及するような展開のせいか最早音がメタルの形を失っており、純粋なノイズ/ドローン/アンビエントにかなり近づいた感じですね。

曲の展開を追うというよりも、耳孔をこじ開けて侵入するかの如きノイズと、精神異常を誘発するような黒い低音ドローンの描き出す波形を感じさせるような作風で、電波な音というのを通り越して毒電波そのものって感じです。一応、ブラック的な絶叫や呻き声が一部に入ってますが、メタルのヴォーカルというよりはこの電波に精神を侵されて苦悶する人間の声のよう。

ノイズ要素を取り入れたバンドって、それが実は耳に快い音だったりしますが、このバンドのそれは刺々しく、身の置き所のないような不安感ばかりが増していく感じですね。ダークな音は好きですけど、ここまで徹底されると若干辛いかも…。


LOVE LIES BLEEDING ★★ (2010-09-07 01:07:00)

フランス産シンフォニック・ブラック。
バンド名はワーズワースからの引用。
フレンチブラックの有名どころのバンドメンバーが多数参加しているバンドです。


LOVE LIES BLEEDING - Ellipse ★★ (2010-09-07 01:06:00)

2004年発表の4th。

タイプとしては、近年のSEPTIC FLESHやHOLLENTHONに近い、キーによる異教的・神秘的でスケールの大きい暗黒美を体現するようなメロディを世界観の枢軸とするシンフォニック・ブラック。
フルオーケストラと共演したSEPTIC FLESHの「Communion」辺りと比較すると、多少音作りはチープ(特にドラムの音が微妙)ですが、メロディの質自体は負けていないと言えるし、生オーケストラへのこだわりが無い分よりアレンジのフットワークは軽いと思う。

ストリングスやクワイアによる、狂熱に浮かされたような非日常的なメロディを中心にしつつ、エレクトロゴシック的な電子的な音やアトモスフェリック・ブラック風の空間的なキーも使用し、また違ったベクトルからも異世界的な雰囲気を演出するアレンジ能力はかなり高いと思う。
スローミドルに重厚なリフと、チャーチオルガンを絡めた展開はSKEPTICISMなどのドゥームメタルを想起させたりも。…これで、質のいいB級バンドみたいな音質さえ何とかなれば…。

余談ですが…私は何故かこのバンド、ギリシャ出身だと思ってたんですよね…SEPTIC FLESHやROTTING CHRISTを引き合いに出して、「やっぱギリシャのバンドは異教的な雰囲気の演出が上手い」という論調でレビュー書こうとして、いざ素性を調べたらフランス産でした(笑)。…という訳なので、フレンチブラック以外にもギリシャ産のブラックに注目している方も気に入るかもしれません(笑)。


LOVE SOLFEGE ★★ (2007-03-19 19:19:00)

日本のゴシック、シンフォな曲をメインに演っているアーティスト。
ジャズやクラシックも音楽のベースの一つとしてあるとか。
アニメやゲームに関連したメディアとも、主に音源の流通において深い関わりが
あるため、それっぽいポップスもありますが(でもどこか病んでる感じだけど…)、
それを差し引いても、曲中にはゴシック、シンフォ、クサメロ、変拍子など
メタラーが好む要素が大量に鏤められており、一聴の価値ありです。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite ★★ (2007-08-18 22:22:00)

2007年発表の、メジャー移籍後初となるインディーズでのアルバム(笑)
っていうか、まだ前作から一ヶ月半しか経ってないんだけど…。
まあ同時制作だったんだろうけど、それでも前々作が年末に出たことを考えると…
なんてワーカホリックな人たちなんだ(笑)。それでこのクオリティ…恐れ入りました。
作風は、前作同様病んだ雰囲気の曲やふざけた感じの曲、捉えどころの無いポップスなどは
排除され、代わりにR&Bテイストの曲などを取り入れたメジャー志向と言えるものですが、
自主制作でのリリースだからか10分の大作を設けたり、ロシア語やイタリア語の曲を
入れたり、ピアノソロの曲を入れたりと前作よりもやりたい放題やっている感じ。
確かにポップな雰囲気は減退していますが、ゴシック性も増し、水を得た魚の様に
生き生きした曲作りがなされているように思います。クラシカルなヴォーカルや大仰な
シンフォ要素を取り入れた曲が多いのも個人的には嬉しい所で、私がこのアーティストに
求めているものがギュッと詰まった名盤。特に1~6の流れは神懸かってます。
しかし、これからは自主制作とメジャーの両方で活動していくようですが…
この作品を自主制作にしたのは、やっぱり自分達のやりたい音楽を極める為でしょうか。
…このクオリティなら、この作風でも十二分にメジャーでやっていけると思うんですが…。
敢えて流通を限定(と言っても、現時点では買おうと思えば簡単に買える)して、聴きたい人に
だけ聴いてもらう事が狙いとか…?いや、もっと多くの人に聴かれるべき素晴らしい音楽ですよ。
ちなみに、ラスト2トラックはボーナス扱いで、メンバーやスタッフと思しき人の会話入り。
ヴォーカリストの一人である、鮎さんの喋りも聴けますが…彼女はその華麗で妖しさを
秘めた歌い方から、もっとミステリアスな感じだと思ってましたが、気さくそうでびっくり。
…もしかして、これをやりたいが為に自主制作でリリースしたんだったりして(笑)
これ程の作品を作ってしまう紛い無き天才、その考えは凡人には計り知れないものがあるのかも(笑)


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Amity ★★★ (2007-08-19 22:21:13)

クラシックの優美さ+ポップスの取っ付きやすさ。
BAL-SAGOTHが「ディズニーメタル」と呼ばれるなら、この曲は「ディズニーポップ」。そんな風に勝手に呼称を付けたくなるほど、甘やかで美しいメロディ。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Due Destini ★★★ (2007-08-18 21:48:45)

打ち込みのリズムの上を、クラシカルなピアノとイタリア語詞の美しいソプラノが交錯する、格調の高さを感じさせる超名曲。もう聴いてて貴族にでもなった気分になりますね…いや、こんな素晴らしい曲を聴ける私たちは、ある意味中世の貴族なんかより全然恵まれていると言えるかもしれません。特にヴォーカルが重なる所なんて、鼻血吹きそうなくらいの多幸感です。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Forget-me-not(r-style) ★★★ (2007-08-19 22:24:22)

R=ロシア語?ほぼロシア語&一部英語詞の曲。
この曲で作詞・ヴォーカルを担当してるJenyaさんっていう方も凄いですね…語学に堪能なだけでなく、歌も伸びがあって実に上手い。もちろん曲の方も相変わらず質が高く、普通のポップスでは味わえない幽玄さを感じさせるパートも。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - La Fatalite ★★★ (2007-08-18 21:53:28)

路線的には前々作の「Le Blanc et Noir」、前作の「Hands of Doom」等と同じく、耽美ゴシック&シンフォなキラーチューン。ですが10分と言う大作だったり、ギターもかなりフィーチャーされていたりより野心的な作風。メタラーもかなり気に入ると思います。
…しかし、10分もクサメタラーを悶絶させつづけるような曲を作ってしまうとは…そういう属性をお持ちの方は、心臓が止まらないようにお気をつけ下さい(笑)


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Noblesse Oblige ★★ (2007-08-19 22:29:48)

なんとなく、「雪解け」とか「春告げ」とか、そういう単語が浮かんでくるような雰囲気の曲。個人的なイメージでは、雪が積もったアスファルトからふきのとうが芽を出すような、そんな感じ。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Stratospheric Melody ★★★ (2007-08-19 22:27:24)

コンポーザーがクラシックの素養を持った人だからか、こんな本格的なピアノソロ曲まで聴けちゃいます。特に中~後半にかけてのゴシック的な耽美さを感じる、キャッチーなメロディが素敵。ピアノのみのインストだけど★は3つ。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - Sweet Liar ★★★ (2007-08-18 21:57:36)

前作の「Echoes」と同じく、R&Bのテイストが感じられる曲ですが、ヴォーカルのフェイクといいブレスといいかなり本格的。この作品で初めてLOVE SOLFEGEを聴いた人は、クレジット見て「Due Destini」と同じ人が歌っている事を知り、驚愕するでしょう。
ヴォーカルも凄いですが、ゴシックテイストのキラーチューンだけでなくこんな曲まで作ってしまうオーギュスト棒さんは、もう天才通り越して変態的ですね…。


LOVE SOLFEGE - La Fatalite - おかえりビーグル ★★ (2007-08-19 07:41:36)

これ、タイトル見たときはへんてこポップスかな…と思ってたんですが、いざ聴いてみると普通に良い感じのバラード。でも妙に気になるタイトルですよね…ビーグルってビーグル犬?


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir ★★ (2007-03-20 17:47:00)

販売終了作品に収録された曲に、新曲やカヴァー曲を加えたベスト盤。2006年発表。
私はメタルレビューサイトで彼らの存在を知り、初めて聴いたんですがこれは良いですね。
系統としてはALI PROJECTやASRIELなどに通じるゴシック要素を含んだ、優美なメロが
堪能出来るクラシカル・シンフォニックなポップスが中心で、時折綺麗なバラードや
童謡っぽいメロディをフィーチャーした曲、半分舐めてるようなキッチュな曲など多彩な作風。
特にシンフォ系ポップス路線の曲は素晴らしい出来で、メタル音楽のクラシカルな要素や
クサメロなどの部分が好きならば悶絶確定。ど派手なオーケストレーションや、叙情的
極まりないピアノの音色が素敵過ぎです。ほんとに買って良かった…。
ただ、ALI PROJECTやASRIELと比較すると、「MISS RAIN」等を除いて病んだ感性が根底に
流れているという印象も。「この曲を聴け」の方でも書きましたが、「人生リセット」のような
ふざけたポップスでさえもそれが感じられ、上記アーティストよりももっとカルトで人に
勧めにくいイメージ。その分ハマってしまった時の殺傷力は高いと言えるかもしれません。
かなり満足ですが、不満も無いわけではなく、1曲目の必殺のシンフォポップに続く2曲目が
個人的にはイマイチで、その部分の流れがあまり良くない気がします。まあ些細な不満ですが。
ヴォーカルも曲のクオリティに負けず良い感じです。
今回は総勢五人参加しているらしいですが、メインのヴォーカルを務める鮎さんの歌声は
ALI PROJECTの宝野アリカさんを思わせる、ポップな中にも妖艶さを醸し出して聴き手を
翻弄するようなものでかなりツボ。1曲目の歌いまわしなんかモロに影響受けてそう。
早口パートでのリズム感の良さも共通してますね。「くじらへび」では子供の真似をしている
ようなふざけた歌い方をしてますが、そんな歌い方している時でさえ声に伸びがある事からも
上手いヴォーカリストである事が良く分かります。その他のヴォーカルでは、9曲目の
「ZAPHYRANTHUS」で歌っているりんなさんの伸びる高音が素晴らしい。ハイトーン好き必聴。
一応ポップスですが、メタラーに受ける要素がそこかしこに仕込まれている為、ポップスを
馬鹿にしている人にも是非聴いてもらいたいですね。やっぱりポップスは日本が最高!!


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Chaos of Zero ★★★ (2007-03-19 18:46:59)

一言で言うなら、サイバー化したALI PROJECT。
基本的に伸びがあり上手いながら、人をクった歌い方も出来るヴォーカル、メロディのセンスの良さ、シンフォ要素など共通する要素はかなり多いのではないでしょうか。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Le Blanc Et Noir ★★★ (2007-03-19 18:42:53)

まずDIMMU BORGIRが本気を出したときに匹敵する程の大仰なオーケストレーションが耳を惹きますが、それ以上にピアノが素晴らしい。ポピュラー音楽にクラシカルなピアノを導入するセンスの良さでは、あのYOSHIKIに匹敵するのではないでしょうか。特に間奏とか凄すぎる…


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Material of Your Eyes ★★★ (2007-03-19 18:54:56)

曲が始まるとすぐに、これから皇帝でも現れるんじゃないかと思うようなオーケストレーションが…この時点で心を掴まれまくり。その後の展開は割とポップですが、スキャット部分のメロの扇情度が凄い…メタルに「クサい」メロディを求めている人で、この曲を聴かずに死ぬ人がいるならそれは大いなる不幸である…と思う程に。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Miss Rain ★★ (2007-03-19 18:57:12)

LOVE SOLFEGEにしては普通に綺麗なバラード。
日曜の朝、モーニングコーヒーを飲んでいるときにラジオから流れてきてもおかしくないような感じ。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Molecule ★★★ (2007-03-19 19:02:02)

この曲は特にリズムが凝ってますね。プログレ的と言えるかも。
しかし、よくこんな難しそうなメロディの上を歯切れ良く、しかも伸びもある声で歌えるなぁ…ヴォーカルの上手さが際立ってる。無理だろうけどカラオケで歌いたいかも。このリズムに合わせて歌うの難しそうだけど楽しそう。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Shwarzwald ★★★ (2007-03-19 18:50:37)

コメントによると、LOVE SOLFEGEで最初の曲らしいです。
歌のメロディは凄まじく鮮烈で、アレンジも超がつくほど大仰でありながら、展開はどこか醒めたような淡々とした雰囲気があって不思議な感じ。ともかくシンフォ好きなら血管が沸騰するようなメロ&アレンジ。ラストはチェンバロで締め。明らかにやりすぎです。充溢は美。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - Zephyranthus ★★★ (2007-03-19 19:05:59)

この曲も「らしい」シンフォな曲なんですが、ヴォーカルのオペラティックな高音が素晴らしいですね。「♪Darkness~」の部分なんて聴いていて惚れ惚れします。しかし、この歌詞はどこまでマジなのか…英詩部分の微妙に過ぎる押韻とか聞いてるとわざとB級っぽさを出している印象も。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - くじらへび ★★★ (2007-03-19 19:09:55)

シンフォニック童謡!?こんなの聴いた事ないわ…
幼児向け番組とかで流れてそうなキャッチーなメロディと、チャイルディッシュな歌い方のヴォーカル…ここまでは分かりますが、それを彼らの流儀で超シンフォにしてます。最初聞いた時は笑っちゃいました…ほんと面白い曲ですね。


LOVE SOLFEGE - Le Blanc Et Noir - 人生リセット (2007-03-19 19:13:08)

歌詞、歌唱、サンプリングのどれを取っても「おふざけ」的な曲。
でも、その「おふざけ」のベールに隠された下はどこか病んでるような気がするんですよね…もちろん意図して「おふざけの中の病んだ雰囲気」を演出している部分もあるんだろうけど、その下の根幹もやっぱり病んでる感じがする。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ ★★ (2007-07-11 13:06:00)

2007年発表の、メジャーでは初となるフルレンス。
まさかこの人達がメジャーに行くとは…いや、実力的には当然過ぎるくらいなんですが、
前作を聞く限りどこか病んだ雰囲気があったので、今回のメジャー移行には驚きましたね。
打ち出しているジャンル名は「クラシカル・アート・ポップス」らしいですね。
その名の通り、コンポーザーの松本さんの音楽理論に精通した完成度の高く劇的なアレンジと
クラシック寄りのメロディをフィーチャーした曲を、華やかさの中にどこか残酷さや妖艶さを
感じさせる鮎さん、クラシック的歌唱とポップス的歌唱を使い分ける観月さん、ガールズ
ポップっぽいそれ程癖の無い声質の真理絵さんと、三者三様のヴォーカルが歌うという感じ。
メタラーには観月さん、ポップス好きには真理絵さんのヴォーカルが受けそうですが、私的には
鮎さんの歌声が凄く好きですね。巧いのは勿論、技術では図れない華のある声質の持ち主。
…ここまで書くと、完成度は凄く高そうに思える、というかめっちゃ高いんですが…。
メジャーに行った弊害なのか、前作「Le Blanc et Noir」での「kvlt」で病んだ雰囲気が
綺麗さっぱり無くなっている上に、前作のタイトル曲のような一撃必倒のキラーチューンの
数も大幅に減ってる…全体的にかなり普遍的なポップスに近付いてしまった感じがします。
例えて言うなら、メジャーのシーンに戦車で雑魚共を轢き潰しながら殴り込みをかけることが
出来る実力を持ったアーティストが、新入社員の面接の如く礼儀正しくシーンに入ってきた、
言葉は悪いし失礼だと思うけど、そういう印象を受けるアルバム。とはいえ、「hands of
doom」なんかは前作を基準にしても充分キラーと言えるし、孤高の名曲だとは思いますが。
まあSOUND HORIZON「ELYSION(組曲)」、志方あきこ「RAKA」、霜月はるか「ティンダーリアの
種」、片霧烈火「空の軋みと歪める世界の無き、声」など、アマチュアから実力でメジャーに
のし上がってきたアーティストって2ndで本領発揮するケースが多いから、次にも期待してます。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Echoes~鏡のオルゴール ★★ (2007-08-08 01:02:32)

宇多田ヒカルや倉木麻衣辺りの、少し前に流行ったR&B歌謡をちょっと髣髴とさせるような、クールな哀愁を感じる曲…ですが、バッキングに当り前の様にチェンバロとか使う辺り「らしい」ですよね。
しかしヴォーカルの観月さん、巧すぎ。他の曲でクラシカルなソプラノやポップな歌いまわしを聴かせるだけでは飽き足らず、こんな歌い方まで出来るとは…。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Hands of Doom ★★★ (2007-07-11 13:15:15)

やっぱり彼らの曲はこういうタイプが一番良いなぁ…。
妖しく可憐なヴォーカルと、クラシカルなピアノが絡むサビ部分が劇的過ぎる。メロディ、アレンジ、ヴォーカルどれをとっても全く隙の無い超名曲。にしてもヴォーカルが巧い。可愛らしいといえなくもないけど棘のある感じ。妖精帝國って本当はこんな感じに歌いたいんじゃないのかな…?


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Memories Are Here ★★ (2007-08-09 03:33:00)

これも「林檎~」同様、初聴きでの印象はごく普通のバラード。
ですがサビメロ素晴らしい。いきなり「LOVE SOLFEGEはリスナーを祝福しているのでは…」と思うくらい、暖かな泣きメロで迫ります。こういう暖かさは前作には無かった要素かも。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Miss Rain ★★ (2007-08-06 16:26:30)

過去のバラードの再録。
原曲は英語でしたが、こちらは日本語。やっぱり普通に良いバラードだなぁとは思いますが、アルバム全体を通じてポップな雰囲気なので、更にそこにポップなこの曲を入れるのは個人的には少し不満も。とはいえ単品では良い曲ですよ。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Paradise Lost ★★ (2007-07-26 13:42:37)

今までのLOVE SOLFEGEらしい「毒」には欠けるものの、天国のオリコンチャートにおけるヒットソングって雰囲気の爽やかでクラシカルな曲。同じミルトンの著作のタイトルに準えるなら、「楽園喪失(失楽園)」より「楽園回復(復楽園)」のが近いような雰囲気。特にサビのコーラスが良い感じです。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - Step by Step (2007-08-08 00:56:00)

歌詞の「♪ひらり回ってみる~」のメロディやピアノのフレーズから受ける、ポップで爽やかな高揚感はかなり好きなんですが、いかんせんサビがポップ過ぎるような…。あまり良い意味ではなく、アニメっぽいと思ってしまったり…。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - White Lolita ★★ (2007-08-09 03:34:07)

このアルバム、前作のように一発でグッと来るような曲には欠けるものの、長いスパンで聴いていくうちに気に入ってくる曲が多いような気がします。しかしこのタイトルは示唆的ですね。同じゴスロリ的美意識を取り入れているアーティストでも、黒色すみれが黒、ALI PROJECTが極彩色ならLOVE SOLFEGEは(少なくともこのアルバムでは)白って感じ。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - たえなる光とともに ★★★ (2007-08-06 16:22:50)

メタルのクラシカルな要素やゴスの頽廃的な雰囲気を辿ってこのアーティストに行き着いたリスナーにとっては、「hands of doom」と並ぶアルバムのキー曲。
宗教的とすらいえる荘厳な雰囲気と、ポップスと言うよりクラシックのメロにヴォーカルを乗せたような歌メロ、その複雑で早口なパートもしっかりこなし、伸びのある高音を聴かせるヴォーカル…曲を構成するパートが悉くツボを突きまくりの超名曲。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - フタリノワタシ ★★★ (2007-07-12 19:36:23)

クラシカルなイタリア語ヴォーカルが格調高い叙情を顕現するオープニングから、鳥篭に閉じ込められていた鳥が窓から飛び立ち、雄大な景色を見下ろしているかのような爽やかな開放感を感じさせる本編へと繋がる1曲目。
キーボードの音の距離感とか、計算されたアレンジが見事で爽やかなだけではない歌詞の世界観も良いです。アルバム全体としてはともかく(と言うと失礼かな?)、このメジャーに対しての一撃目はクリティカルヒットと言えるのではないでしょうか。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - 燦然と輝く悲しき明日と… ★★ (2007-08-08 00:52:33)

今まで幻想・ゴシック的な世界観だったり、心の闇を歌ったり内向きの歌を歌っていたアーティストが、外に目を向けたポップな曲に挑戦すると、今までの魅力を失って凡庸になってしまう事が多いですが、この人たちはそんなことはないのが凄いと思います。
…でも、凡庸ではないにしろ、やっぱり現時点では「Hands of doom」や「たえなる光とともに」のようなゴシック色強い曲の方が魅力的かも。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - 不完全なスペクトラム (2007-08-09 03:31:52)

この細かく刻むリズム、やっぱりジャズの影響でしょうか。
リズムは面白いけど、正直歌メロは旨みに欠ける気も…。
煌びやかなピアノはかなり良い仕事してますが。


LOVE SOLFEGE - フタリノワタシ - 林檎、ヒトクチ。 ★★ (2007-08-06 16:16:14)

初聴きでの印象では、割と地味目のバラードかな…と思ってたんですが、とんでもない。サビメロが「泣き」のツボを心得すぎていて、聴いていて夢心地になれる名曲です。ヴォーカルの甘やかな声質も見事にマッチしてますね。


LOVE SOLFEGE - マリアスノニウムの謝肉祭 - えんとつ掃除の少年 ★★ (2008-01-26 08:12:39)

舌足らずな歌い方のヴォーカルが印象的ですが…昔のイギリスの煙突掃除の少年の境遇の悲惨さを描いた詩に、彼等の「Sweep, Sweep, Sweep(煙突掃除しますよー)」という呼び込みの声が舌足らずゆえに「Weep, Weep, Weep」に聴こえ、まるですすり泣いているかのよう…みたいな内容の物がありましたが、それを意識しての事でしょうか…
曲的には、メロディが内容を端的に表してますね。辛い境遇でも純粋さを失わず夢を見る少年の心がそのまま旋律になったような感じ。


LOVE SOLFEGE - マリアスノニウムの謝肉祭 - ネコ ★★★ (2008-01-26 08:16:31)

シンプルなタイトルですが、内容はドラマティック。
これ聴くと彼等が如何に音で情景や感情を描くのに長けているか良く分かりますね…「♪僕らは~」のメロディなんて、主人公のネコの歩んで来た旅の道程を追体験できるかのよう。個人的にはその風景の中に何故かアルプス山脈がありましたが…(笑)


LOVE SOLFEGE - マリアスノニウムの謝肉祭 - プロムナード ★★★ (2008-01-26 08:21:52)

謝肉祭の皆が集まり、楽しく踊っている風景を描いたかのような曲で、ヴォーカルもアルバムに参加した人たちが大集合して歌っていて、聴いていると心が温かくなる曲。クリスマス前の街の楽しげな様子を見てるような気持ちになりますね(謝肉祭だけど)。
ヴォーカルが全員女性だからか、少女漫画的な柔らかさも感じられます。


LOVE SOLFEGE - マリアスノニウムの謝肉祭 - 道化師 ★★ (2008-01-26 08:25:01)

鮎さんって表現力がある故に、こういう可愛らしい歌い方をするとちょっとトゥーマッチに感じてしまわなくもないですが…英語パートやそれに続くスキャットパートなどは実にかっこいい。
でも何よりいいのは歌詞。最後の一行を読んで温かいような切ないような、何とも言えない気分に…。


LUCIFUGUM - SECTANE SATANI ★★★ (2008-06-29 19:57:00)

2007年発表の10th。

このバンドはNOKTURNAL MORTUM等のメンバーも絡んでいる事もあり、初期の音源はシンフォニックブラック好きの間で高い評価を得ているようですが、途中で音楽性が変化したらしく、今作はキーボード無しのプリミティブスタイルになってますね。

…しかし、こんな「呪術的な」プリミティブブラック聴いた事ないです。
とにかくメロディのインパクトが強烈で、自民族の文化への愛が溢れる男が死後ゾンビになって、腐乱した喉で歌うグズグズの民謡を無理矢理採譜してギターで弾いたらこんなメロディになるんじゃないかな…という感じ。

しかもそのメロディーを歪みの弱めなリードギターが延々と奏でてるので、かなりぶっ壊れた雰囲気。ベースもメロウなので聴きやすいと言えなくもないですが、個人的には現音とかの無調の「いかにも」というメロディよりもこっちの方が何倍も恐さを感じますね…。

しかも音質も後ろにうっすらとテレビの砂嵐のような高音の歪みが掛かった音なので、聴いてるとスクリーンの砂嵐の中にうっすらと浮かぶ怨霊の顔が浮かんできてしまいます。ヴォーカルもブラックメタラーが絶叫してるというより、白塗りで五寸釘と藁人形持った婆さんがマジ切れしているような感じのブラック声だし…。

この手の音源って、音楽の質自体とは別に、「この人たちは本当に呪術や危険思想に傾倒しているんじゃないか」と思わせる事が出来るかどうか、という価値観がありますが、そうした価値観を評価基準とするなら満点あげても良いくらいの作品だと思います。

所々で聴ける今にも止まってしまいそうな、枯れ切った音色のトレモロも本当に良い味出してます。


LUDICRA - The Tenant ★★★ (2011-05-16 17:44:14)

2010年発表の4th。

Profound Loreから出てる事からも分かるとおり、敢えて本道を外れるタイプの、実験精神あるブラックメタルを展開する作品ですね。マッシブなミディアムテンポに儚げなメロディを絡めたり、パーカッシブなリズムにアルペジオを乗せたり、リフとリズムの岩が転がるような、荒々しい絡みが合ったり、曲によって色々な表情を見せてくれるアルバムですが、全体として邪悪さや陰鬱さより、幽玄さや儚さが強く、シューゲイザー系好きな人も気に入りそう。

この手の音楽性を持ってるバンドって、どこまで具体的に表現してどこまでリスナーの想像力に委ねるかの按配が結構重要だったりしますが、この作品はそのバランス感覚がかなり取れてると思う。全体的に抽象的なムードではあるんですが、メロディはメロデス的といっても良い位の泣きがあって、入っていきやすいと思う。

作風が作風だけに、メロブラなんかと比べるとトレモロの頻度こそ少ないですが、2曲目や6曲目で聴けるトレモロ疾走は、メロディセンスの素晴らしさと相俟ってメロブラ好きなら悶絶もの。また、ヴォーカルや女性らしいですが、バンシーを思わせる獰猛な絶叫、幽鬼系クリーンヴォイスなど、しっかり女性らしさを世界観に活かしていて良い感じです。

確かに実験的な要素の強いブラックではありますが、一見のリスナーに対しても決して頭でっかちや自己満足に聴こえさせない、良い意味での聴きやすさのある作品だと思います。


LUGUBRE ★★ (2011-06-03 01:09:23)

オランダ産ファストブラック。
去年出た新譜が素晴らしい出来なので、ファスト好きは是非!


LUGUBRE - Supreme Ritual Genocide ★★★ (2011-06-03 01:10:05)

2010年発表の2nd。

ファストブラックとは言っても、これだけエクストリームメタル界隈において豪速ブラストの使用が珍しくないものになってしまうと、もう「速さ」で衝撃を与えるのは無理なんじゃ…と思ってましたが、衝撃、受けちゃいましたよ…。特に2曲目のラストの加速、ファストブラックを相当聴きこんでる人でも衝撃を受けるんじゃないでしょうか。実速度だけでなく、切り返しの上手さで体感スピードを増すセンスも素晴らしい。

また、ファストブラックにしては音がブルデス並に重いのも特徴で、前述の振り切ったスピードとも相俟ってとんでもない暴虐な音になってますね。BEHEMOTHや、ARKHON INFAUSTUSなどメジャーなバンドと比べても、迫力の上で全く遜色ないです。ヴォーカルのわめきがドスの効いた、殺伐とした感触が強いものであることも、暴虐性に更に拍車を掛ける結果になってますね。

何気に、リフでの曲への表情の付け方もセンスいいです。
アルバムの序盤を聴いた限りでは、何気にフックのあるメロを弾きつつも、それを暴虐性に溶け込ませるような音作りだったので、故意にメロを抑えて殺伐感を出す路線かと思いましたが、6曲目はメロブラ以上にメロディを強調、ラストの曲では序盤聴いた時には想像出来なかったほどメロウなフレーズが…。時に暴虐性を強めたり、時に魔が集まるような恐ろしさを醸しだしたり、ドラムに負けないくらいリフも良い仕事してます。メロウなだけでなく、不気味さや荒涼感があるのが素晴らしい。

ブルータル・デスの暴虐性と、ブラックのリフのメロディアスさ、その両方が味わえるのがファストブラックの良い所なのかもしれませんね。暴虐性といい荒涼感といい、ファストブラックとしての名盤の条件は既に備えていると思うので、何かあればブレイクしてもおかしくないバンドなのではないでしょうか。アンチメジャーな不穏さは醸し出せど、音自体はもうメジャークラス。


LUGUBRUM ★★ (2007-05-27 20:41:00)

Metal Maniacsの今月号にインタビュー載ってますよ!!
正直目を疑いました…。そしたらあのジャケが(笑)


LUGUBRUM ★★ (2007-06-03 22:05:00)

ですよね。バンジョー入りと言う過去作も聞いてみたいです。
掲載位置はDARK TRANQUILLITYより前だったんですけど…人気はどうでしょう(笑)
少なくとも日本では人気が出なさそうな音楽性だと思います。
本人達も「俺たちの音楽をすぐに気に入ってくれる人がいるとすれば、完全に
オープンマインドな人か、さもなくば狂気の人か」みたいに言ってますし(笑)
インタビューによると、彼らは曲の大まかな構成を決めてから、インプロを交えて
曲つくりをするそうですね。しかし何故かインタビュー中にお酒の話になるし…
やっぱり彼らって飲べえなんでしょうか(笑)


LUGUBRUM - De Ware Hond (stavelot - Ghent) ★★★ (2007-05-03 20:58:00)

2007年発表の7th。
…結構ベテランなんですね、このバンド。

まずジャケからして不思議なオーラが発生してます。
エルフなのかおっさんなのか良く分からない奇天烈なクリーチャーが黒いYシャツを着て「えへへ」という感じの表情で頭を掻いている意味不明さ。この時点で変態系駄目な人は避けるだろうと思われるので、ある意味親切なジャケといえるかもしれません。

音的には、サックスやオルガンをフィーチャーした前衛変態系ブラックという事が出来ると思いますが…。前衛ブラックではVED BUENS ENDEやSOLEFALDが挙げられますが、VBEはジャズにも通じるテクニカルな演奏力、SOLEFALDにはドラマティックで取っ付きやすい曲作りなどある程度メタル好きには受け入れやすい要素があるのに対し、このバンドの曲が醸し出すのはひたすら不条理で、かつユルい空気感。

ヴォーカルも結構しゃがれた声ですが、邪悪というよりはむしろ酔っ払っているみたい…。そんな空気感を保ったまま、なかなかかっこいいリフを聴かせるブラックになったり、VBEを思わせる即興みたいなアンサンブルを聞かせたり、ドゥームの様に引きずるリフで引っ張ったり、サックスやオルガンに主導権を託してブラックから乖離し呪術的な雰囲気を醸し出したり、とにかくやりたい放題。

結成はブラック黎明期の92年らしいですが、こんなストライクゾーン狭そうなサウンドで15年も続いて、しかもそれをキープしているバンドがいるという事が驚きです。(これしか聴いてないので、初期はもっとまともだったのかもしれませんが…)

…とは言っても、15分の大作をしっかり聴かせきってしまう辺り、センスの高さはあると思うので変態系ブラック好きなら試してみて損はないかと思います。


LUGUBRUM - De Ware Hond (stavelot - Ghent) - Flinke Hond Von Hell Slaapwel ★★ (2007-05-03 20:42:34)

ラスト曲ですが、これ、最早ブラックとは呼べないのでは…。
少なくとも普通のブラックファンは最初から対象に入っていないかのような独自性がありますね。好き者なら悶絶確定、そうでなければ…どうなんでしょう(笑)


LUGUBRUM - De Ware Hond (stavelot - Ghent) - Neerwaartse Hond ★★★ (2007-05-03 20:39:47)

サックスが大々的にフィーチャーされ、呪術的な雰囲気を醸し出す曲。
それなりに疾走しているパートもあるんですが、やっぱりなんとなくユルい空気感がありますね…。普通、こんな空気感と呪術的な雰囲気なんて両立できません。ある意味天才かも…こういう曲を作ろうとする事自体が。


LUGUBRUM - De Ware Hond (stavelot - Ghent) - Opwaartse Hond ★★★ (2007-05-03 20:33:51)

最初こそブラックらしいサウンドで始まりますが、途中でVED BUENS ENDEをユル~くしたようなインプロヴィゼーションのようなアンサンブルのパートがあったり、ラストには音の軽めなドゥームになったりして意味不明の15分間。


LUGUBRUM - De Ware Hond (stavelot - Ghent) - The Dog in the Doorway ★★★ (2007-05-03 20:36:26)

BURZUMの「Burzum/Aske」とGORGOROTHの「Under the Sign of Hell」を聴いてブラックにハマった陽気なナイスガイが、同じような音楽を作ろうとしたら全く別の物に仕上がってしまったような変態的ブラック。暗くなりきれないメロディが素敵。


LUGUBRUM - Live in Amsterdam (trampled Brass / Midget Robes) ★★★ (2008-07-02 19:08:00)

2006年発表のライブ盤。
SUNN O)))のサポートアクトとして行ったライブの様子を収めた作品。

…こういうアンサンブル重視のアヴァンギャルドな作風のバンドって、絶対ライブとか凄い事になってるんだろうな…と期待して買ったんですが、予想通りこれは凄いです。
「De Ware Hond」を聴く限りでは、このバンドの音楽には奇天烈さだけでなく、どこかファニーな雰囲気もあったように感じたんですが、ライブ盤ではファニーさが消え、壮絶さに取って代わられている感じがします。

最早このアンサンブルから生じる音は人間を洗脳状態に陥れるための音波という雰囲気。ヴォーカルのイカレっぷりも凄まじく、デスヴォイスで歌っているというよりは…自分をアウストラロピテクスだと思い込む催眠術を掛けられた男をライブ会場にしばらく放置したような感じ(笑)。近寄りたくない度はスタジオ盤の比じゃないです。

ファニーさが薄い分、スタジオ盤よりも不気味さ・奇妙さ・幻惑的な雰囲気などがよりストレートに伝わってくるので、ブラック好きはここから入ってもいいかも。音質もそれほどスタジオ盤に劣ってるとも思わないし、お勧めです。


LUGUBRUM - albino de Congo ★★★ (2008-11-10 19:22:00)

2008年発表の8th。

相変わらず奇妙なメロディ、ねじくれたアンサンブル、奇天烈な展開、妙な味のある音質の変態前衛ブラックを演ってます(笑)。
インプロ的な演奏や超豪速のブラストも軽々こなす演奏力の高さも相変わらず。アルバムのコンセプトのせいか、原始的なリズムとワイルドなベースメロがゴリラの闊歩する草原を、アコギやSEがサバンナの日常の情景を想起させるようなパートなど、アフリカを感じさせる部分が所々に挿入されているのも大きな特徴ですね。

そのせいで更に「普通」や「中庸」などから離れた感性のアルバムになってしまってます(笑)。
このバンドは曲を作る際にまず大枠を決めてから、インプロを交えて作曲していくそうですが、今作は枠を決める段階をより重視したんじゃないでしょうか。前作よりも曲がコンパクトかつ、メリハリのあるものになってると思います。音響面でもベースを前に出し、ドラムを引っ込めて非現実感を演出したり、ドラムの音を弄ってパーカッシブな感覚を与えたりなどの小技も随所に効いてますし。

ただ、その代わり前作のレイドバックした、ユルくて妙な空気感は少し減退してるかもしれません。そうした要素もあって、変態的なのに妙にフックに満ちた作品になってますね。少なくとも、難解すぎて聴いた後何も印象に残ってない…みたいなことには絶対にならないと思います。

SEが続く箇所に少しダレを覚えるのがネックですが、ブラックメタルには珍しい情景を描いてるし、変態的な魅力を分かりやすく伝えてると思うし、初めて彼らの作品を聴くのにも適してるアルバムだと思います。


LULLABY ★★ (2013-09-07 19:27:49)

ブラジル産ブラック/ドゥームメタルバンド。
女性ヴォーカリストのLullaby氏が在籍していたことでも有名。


LULLABY - Enchantress ★★ (2013-09-07 19:28:57)

2000年発表の1st。
自主制作でこの作品を発表した後、活動状態が不明のままになっていたようですが、何故か2012年になってHammer of Damnationから再発されたようです。

路線としては、多くのサイトでブラックだけでなくドゥームのタグが付いていることからも分かるとおり、基本ミディアムテンポ中心で、哀愁を込めつつも神秘性のあるメロディを聴かせつつ、ドゥーミーかつドリーミーに進行する、オカルト的なムード漂うブラックメタル。音質こそ(チープとはいえ)クリアですが、個人的にはBEHERITの「Drawing down the Moon」アルバムを連想する作品なんですよね。

表現形態が違うとはいえ、どこかカルトかつオカルティックな凄みの漂うヴォーカル、そして瞑想的な雰囲気すら感じさせる、澱んだ神秘性に満ちたメロディの使い方なんかは、あのアルバムと共通するポイントではないでしょうか。ある程度メタリックさの強いドゥームが混じってる所はBARATHRUMっぽくもあるし、ブラジル産のバンドながらフィンランドのカルトな部分と共通する感性のある音を出してると思う。

そしてジャケなどでも大フィーチャーされている金髪美女ヴォーカルのLullaby氏のパフォーマンスですが…月並みだけど、見た目から想像できない声で第一声を聴いた時は吹きそうになりました(笑)。関取なみに野太いダミ声グロウル…。ブラック的な喚き、呪詛を呟く魔女のようなしわがれて潰れた呪文デスなども使い、表現力や存在感はかなりのもの。気が滅入るような音色のキーボードとも相俟って暗黒なムードを演出してます。

結構アクの強い音なので、ブラック好きの中でも好みが分かれそうな音源だと思います。ドゥーミーでも鬱系や葬式ドゥーム系とはまた異なる聴き心地、ハマる人はハマるかも。


LUNA AD NOCTUM - Sempiternal Consecration ★★ (2012-03-22 22:48:43)

2004年発表の2nd。

トレモロや刻みを駆使した、メロブラ的なギターワークにシンフォニックなキーボードを絡めつつ、派手に疾走していくメロディック/シンフォニックブラック。コンパクトに纏まりつつもドラマティックな曲展開、メタリックな硬質さを感じさせる、良質な音作りなどからはブラック特有のアングラ感、カルト性は殆ど感じられないものの、聴きやすくてストレートにかっこいいブラックに仕上がってますね。ヴォーカルが凶悪な絶叫ながら、歯切れ良く歌詞を吐き捨てていくタイプなのも、作風とピッタリ合ってる。

シンフォニックなキーボードはあくまで装飾程度で、曲の主導権を握る場面はあまり無いものの、ギターワークはかなりフックに富んだもので、かつブルータルに疾走する場面も多く、キーボード派手目のシンフォニック・ブラックと比べても聴き劣りしない派手さがあるのが良いですね。全編かなりメロディックで、メロデス的な熱いリードフレーズが入る場面もありますが、疾走の苛烈さもあって甘い音にはなっておらず、非常にバランスのいい仕上がり。

正直もう少し「このバンドならでは」という部分が欲しいとも思うんですが、シンフォニック/メロディックブラックの中ではかなり質の高いバンドだと思う。普段ブラックを聴かない人でもすんなり入れそうな音です。もっと聴き手と情景を共有できる描写力を磨いたら大化けしそう。


LUNA FIELD - Close to Prime ★★ (2011-10-19 21:07:51)

2003年発表の1st。

刻みを多用した、メタリックな感触の強いリフはメロデス的であったり、広がりのあるトレモロリフはメロブラっぽかったり、どこかドスの効いた、エグみのある感触はオールドスクールなデスに通じるものがあったり、エクストリームメタルのサブジャンルの良いとこ取りしたようなサウンドですね。

インスト明け2曲目の、デス的なヘヴィネスからブラックの叙情に繋がる「Odial」から、各ジャンルを横断したスタイルならではの、ダイナミックな魅力を見せてくれてます。ただ、デス好きからはブラックっぽい、ブラック好きからはデスっぽいと敬遠されそうな感じはあるかも。私も冒頭を聴いたら「あれ、デスじゃん」って思いかけましたし(笑)。

また、このバンドはヴォーカルがかなり独特。主にデス的な低音グロウルとブラック的高音絶叫を使い分けるスタイルですが、高音の方がローホイッスルボイスを改良してデス声にしたような、笛のような響きのある声で非常に個性的。聴いてて面白いです。時々ガテラルも使いますが、これは声の張りが今ひとつでちょっと微妙かも。

ただ、このバンドのスタイル自体は個人的には好きなんですが、曲によってクオリティにバラつきがある気がするんですよね…。「Odial」「Press the Pressure」「Witness of Delusion」辺りは緊張感があって、このレベルの曲が並んでいれば素晴らしい作品だったかも…と思わされますが、アルバムを通して聴くとダレる箇所も多いのが惜しい。もう少し曲を練り、取捨選択をしてくれれば名盤になったかもしれません。