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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3801-3900
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3801-3900
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LUNA MORTIS - The Absence ★★ (2010-03-04 20:01:00)

2009年発表の1st。
やや複雑で、凝ったギターワークのメロデスに、歌い上げとデスヴォイスを操る
女性ヴォーカル、そのヴォーカリストのキャラが立つようなゴシックメタル寄りの歌メロを
組み合わせた結果、プログレッシブなメタルコアに近付いた…という感じの作風ですね。
デスヴォイス+サビでクリーンパートを挿入とか、デス声の女性Voとか結構今風の要素を
取り入れてますが、プログレ的複雑さ、ゴシック的繊細さもあり、かなり上品に仕上がっている印象。
この作品、一方ではAT THE GATESの叙情とOPETHの楽曲構成能力を持ったバンドとして、
その筋の超一流バンドを引き合いに出してまで絶賛され、一方ではよく出来すぎている、
小さく纏まりすぎているという批判もあるようですが…確かに、どちらも正鵠を射た意見かと。
全曲良く出来てますが、圧倒的な名曲(または駄曲)がなくて、少し構成的に起伏に欠ける
感じも。まあ、聴き込むと大体そこら辺の不満ってなくなってくるものですけどね。


LUNA MORTIS - The Absence - Ash ★★★ (2010-03-04 20:02:39)

凝ったアンサンブルに女性らしさを失わない壮絶な咆哮、ゴシック的な頽廃性を表現出来ている歌メロ…安定して完成度の高いアルバムの中でも、最も完成度が高いと思われる1曲目。特に「歌メロから」情景が浮かぶ所が私好み。この手って似たような感じになりやすいし。


LUNA MORTIS - The Absence - Forever More ★★ (2010-03-04 20:04:32)

個人的に凄く惜しい1曲。
「♪From the depth~」からの歌メロは、あともう一捻りすれば大悶絶確定のクサメロになりそうなのに…何だかお上品に纏まってる感じがする。この作品に不満がある人って、多分こういうところに煮え切らなさを覚えるんだろうなぁ…。リフもキャッチーで、即効性のある良い曲だとは思いますが。


LUNA MORTIS - The Absence - Last Defiance ★★★ (2010-03-04 20:05:44)

取り敢えずアルバムで一番好きです。
「♪No one knows~」のバッハ風歌メロがとにかく素晴らしい。アメリカ産のバンドながら、MINSTRELIXとかと勝負出来るレベルの歌メロですよ、これ…。「Divided we stand, united we fall」という歌詞もかっこよくて皮肉が効いてて好きです。


LUNA MORTIS - The Absence - This Departure ★★ (2010-03-04 20:03:32)

イントロが(上海アリス幻樂団の)「夢消失」に似てるので、個人的に何だか気になる1曲。ほぼフィメールゴシックと化してますが、それにしては歌メロが弱いかな…。歌メロまで「夢消失」に似てたら、満点あげてましたが(笑)


LUNAR AURORA - Andacht ★★★ (2007-04-11 23:11:00)

2007年発表の8th。

私は彼らのアルバムは「ZYKLUS」を持っていて、その印象では「独特で良い音楽を演ってるけど、ちょっとカルトすぎるかな…?」という感じでした。とんでもないですね。彼らの力を見誤ってました。これはマジで素晴らしいアルバムです。

「ZYKLUS」と比べると流石にノイジーさは軽減されていますが、やはり空間演出の上手さは超一流ですね。中心に据わるブラック然とした、ややノイジーな真っ黒いバンドサウンドに神秘的なキーボードやトレモロリフ、祈祷のようなノーマル声やねっとりとしたベース等が絡みつき、彼ら独特の音像を作り出しています。SEやサンプリングの使い方も上手く、深遠な恐怖感を演出するのを助長していると思います。

…これだけでももう雰囲気はたっぷりですが、雰囲気だけではなく、曲展開がドラマティックで「魔性」を潜ませたようなメロディセンスも抜群に良いのが素晴らしい。
例え豪速でブラストが炸裂していても、安易に体感速度を上げるようなリフを乗せることなく、上記のような音によって作られる漆黒の靄のような音が上に乗り、それによって深淵の底へと真っ逆さまに落ちていくような感覚を味あわせるかの如き音作りも独特。

ヴォーカルもいかにもブラックらしいキレのあるがなり声からキチ系の絶叫、低音での本能的恐怖を喚起させるようなデス声、魔導書を詠みあげるような威厳に満ちた語り、悪魔への祈りのようなノーマル声など多彩なスタイルを使いこなしてますが、そのどれもが曲の展開に完璧にマッチしているのが凄い。

曲は長めのものが多いですが、これだけ雰囲気が良く、展開もドラマティックとなると、気がつけば音に引きずり込まれて、いつの間にか終わっているという事も少なくないです。
割とマイナーなバンドながら、この耽溺性はEMPERORやLIMBONIC ARTなどの有名なシンフォニックブラックのバンドとも比肩するか、もしくはそれ以上と言っても過言ではないのではないでしょうか。ほんと名盤です!!


LUNAR AURORA - Andacht - Das Ende ★★★ (2007-04-13 20:36:58)

この曲の前半のヴォーカル、まるで落盤とかで洞窟に閉じ込められた人の叫びのようで怖いですね…。ブラストパートも速いだけでなく、絶望感がどんどん加速していくような感覚もあってゾクゾクします。ラストを飾る名曲。


LUNAR AURORA - Andacht - Der Pakt ★★★ (2007-04-13 20:33:02)

このバンド、基本的にはシンフォニックブラックだと思いますが、感性的にはダークアンビエントとも共通する物があるのではないでしょうか。曲から受ける「闇」のイメージが似ている気がします。


LUNAR AURORA - Andacht - Dunkler Mann ★★★ (2007-04-11 23:20:50)

アルバムの中でも強く「恐怖」を感じる曲。
死刑執行人の如き冷厳な語りから、一気にブラスト地獄に雪崩れ込む展開はブラック好きの血が滾ると同時に、血も凍るような恐怖に似た感覚を覚えますね…。SEとヴォーカルの掛け合いが恐怖感を演出するパートも、全く光の差さない黒さで最高。


LUNAR AURORA - Andacht - Findling ★★★ (2007-04-13 20:29:52)

この曲はメロディにどこか「暖かみ」を感じますね。
でもLUNAR AURORAなので普通の暖かさじゃなくて、凍死寸前に人は暖かさを感じると言いますが多分そっち系でしょう(笑)。「Findling…findling!!」の悪意そのものを体現するような邪悪ヴォーカルとブラストが炸裂するパートには寒気を覚えます。


LUNAR AURORA - Andacht - Geisterschiff ★★★ (2007-04-13 20:26:48)

SEの使い方が非常に優れていると思う曲。
魔界の扉が軋みを上げて開くような音や、そこから流れ込む吹雪を思わせる音が曲中でも使われていますが、単に曲のバックで雰囲気を高める効果音が鳴っているとかじゃなくて、完全に曲の一部になっているのがほんとセンスの良さを感じさせます。


LUNAR AURORA - Andacht - Gluck ★★★ (2007-04-11 23:16:44)

まずうねりのあるベースラインが纏わりつく音像にうっとり。
ブラストと祈祷声の織り成す、真っ黒い音の中から聞こえてくるトレモロリフが深淵からの呼び声のようで引き込まれる…。10分超えてますが、引き込まれていると全然長さを感じません。超名曲。


LUNAR AURORA - Ars Moriendi ★★★ (2007-12-16 21:34:00)

2001年発表の4th。
アルバムタイトルは「The Art of Dying」の意。

1stではクオリティの高い、割とオーソドックスなシンフォニックブラックを聴かせてくれた彼等ですが、キーの使い方といいバンドサウンドといい特に音響面でレベルアップしてますね。
使われているキーボードの音色も単にスペイシーでメロディアスなものだけではなく、宇宙線を照射されるようなノイズっぽい音や、暗闇の中に金属音が響くような音なども使われており、どこか一般的なシンフォ系のバンドとは一線を画しているように思います。

スペイシーな音色の方も、パートによっては質量感を感じられるような音使いも見られ、空間的な演出の上手さが光ってます。また、ギターの音がちょっとフレーズは聴き取り辛いですが、ディストーションの音が実に雰囲気があって心地良く、それが前述のキーボードと合わさって邪悪な音世界を構築してます。
こうした音響面での巧みさ以外にも、豪速ブラストなどに見られる確かな演奏力も素晴らしい。曲構成もドラマティックだし、本当に良いバンドですよ…。

ちなみに、今年リマスター&ギターを一部追加録音したバージョンがSupernal Musicから再発されました。私は旧盤(Ars Metalli盤)を持ってるのに買ってしまったんですが…全体的に音に厚みが出ているのに加えて、ギターのちょっとしたトレモロなどが聴き取りやすくなってますね。それでいてギターの歪みの心地良さは失われていません。

買って良かったと思います。
シンフォニック・ブラック好きなら必聴のアルバムです。


LUNAR AURORA - Ars Moriendi - Black Aureole ★★★ (2007-12-29 00:43:01)

質量感すら感じるような、邪悪に纏わりつくキーボードの音色が素晴らしい曲。この曲、宇宙を感じさせる事は感じさせるんですが、それ以上に宇宙に存在する霊的存在と交信してしまったかのような妖しげなムードが強いです。


LUNAR AURORA - Ars Moriendi - Dämonentreiber ★★★ (2007-12-29 00:47:49)

SE明け1曲目からシンフォ好き悶絶確定な劇的名曲。
黒い影がよぎるような不吉極まりないキーボード、真っ暗闇の中に響くような金属音、謎の風を切る音と打撃音のSEからの荘厳爆走などを絡めた、構成力の高さを見せ付けるかのようなドラマティックさを誇る曲。特にシンフォ爆走パート、SEがきっかけとなって精神の箍が外れて宇宙空間に飛び出していくような錯覚を覚えます。


LUNAR AURORA - Hoagascht ★★★ (2012-04-26 20:31:20)

2012年発表の9th。

…なんかもう、こうして彼らの新作が手元にあるというだけで嬉し過ぎてちょっと泣きそうです(笑)。個人的に神格化するレベルだった前作「Andacht」リリース後、活動休止が伝えられ、新作はもう出してくれないのかと半ば諦めかけてましたが…FUNERAL MISTの時といい、希望は持ってみるものですね。5年近い空白を経はしましたが、遂に新アルバムを発表してくれました。

何気にこのバンド、空間演出に非常に長けたシンフォニックブラックという根幹は残しつつ、作品ごとにスタイルを変える傾向がありますが、今作も前作から引き継いだ部分と、変わった部分が分かれる感じですね。ブラックの中でも頭一つ抜けた神秘性を感じさせる魔性のトレモロ、情景どころか聴き手の魂までも黒く塗り潰さんとする重厚なリフ、アンビエント要素を交えた情景描写、威厳を感じさせるドイツ語での表現力に満ちたがなりなどは、前作と共通する部分ですね。

また、変わった点としては、前作では物理的な圧迫感すら感じたリフの重さは少し控えめになり(と言っても十分過ぎるくらい厚みはある)、代わりにドラムのそれぞれの音やヴォーカルの位置などにも気を配った、よりアンビエンス重視になった音像、時々サイケデリックな禍々しさを演出するギターやキーボードのフレーズ、スロー・ミドルパート多めになり、全体的に抑え目になったテンポ設定等が挙げられますね。

印象としては、より情景描写的になった感じですが、これが前作から引き継いだ要素としっかり合っていて、前作に匹敵するくらい素晴らしい仕上がり。ジャケットにはフクロウが描かれてますが、一般的なブラックメタルバンドが聴き手に夜の情景を想起させる…くらいだとすると、この作品は精神が闇夜を飛翔する猛禽のそれに変貌していく錯覚を覚えるくらいに、非常に描写力に優れたものになってると思う。この描写力の高さは、イラストレーター/グラフィックデザイナーも務める中心人物、Aran氏の感性に拠る所が大きいのかもしれません。

前作が余りにも素晴らしかったので、相当の期待を持って聴きましたが、それを裏切らない、本当に良いアルバムだと思う。前作の「Andacht」とこの作品は、シンフォニックブラックに於ける一つの到達点足りえるのではないか…そんなことすら思ってしまいました。ブラックメタルが好きであろうとなかろうと、これは是非聴いておいてほしい作品。カルトな支持を得るに留まるには余りにも勿体なさ過ぎるバンドです。


LUNAR AURORA - Seelenfeuer - Kerker aus Zeit ★★ (2007-12-29 00:40:12)

15分越えの大作ですが…ミディアムに行きそうで行かない、疾走しつづける展開が凄いです。途中キーによる荘厳パートもありますが、すぐに爆走。
このキーの煌びやかな音色と爆発力のあるバンドサウンドの絡みは良いですね。邪悪な精霊が妖しげな魔術を駆使して大地を蹂躙してるみたいな。バンドの音質が良すぎないおかげで、土埃が舞うような迫力があります。


LUNAR AURORA - Weltengänger ★★ (2007-11-17 17:08:00)

96年発表の1st。
2007年にリマスター・ボーナストラック追加でCold Dimensionより再発されました。

LUNAR AURORAってZYKLUSでは荒々しいRAWなプロダクションの中に空間的な広がりが感じられたり、ANDACHTではリスナーを押し潰さんばかりの真っ黒な音の中でトレモロやキーが神秘的に舞い踊る作風になっていたり、音響面でも邪悪さを増して聴かせるような工夫をする傾向のあるバンドだと思うんですが、この時点ではそういった音響的な特異さは希薄で、ごく真っ当でクオリティの高いシンフォニックブラックをやってます。

最近の作品と比べるとストレートですが、やはり後の作風にも繋がるような邪悪な黒さは感じられるし、初期LIMBONIC ARTにも肉薄する質の高さがあるように思います。
初期LIMBONIC ARTと比べると、こっちの方が出音がメタリックですね。最近元メンバーがTHORNGOTHというメロディック・ブラックを始めましたが、そっちは雰囲気がこの作品の延長線上にあると思うので、この作品が気に入った方にはそちらもお勧めです。


LUNAR AURORA - Zyklus ★★★ (2007-02-26 18:38:00)

2004年発表の6thアルバム。
4曲で46分の大作主義な作品で、曲のタイトルが「朝」「昼」「夕」「夜」となっていることから、なんらかのコンセプトのある作品なのかもしれません。

聴いてまず驚かされるのはその荒いプロダクション。
吹雪を思わせる…どころか、まるで土石流を浴びるかのような凄まじいノイジーさで、ディストーションの音色は砂利を袋に詰めて一気にひっくり返したかのよう。ノイズの嵐がリズムもメロディも飲み込んでしまうかのような音で、正直これを大音量でヘッドフォンやイヤフォンで聴くのはキツいと思わせるほど。私的にはスピーカーで聴くと丁度良い感じ。

ただ、音質は極悪なだけでなく広がりをも感じさせるのが真に凄い所なのかもしれません。メロディも暗い&寒々しいので、例えるならスローパートはXasthurを極端にした感じで、ファストパートは2ndの頃のDISSECTIONを超辛口にしたら近そうな感じがします。

そこに華を添えるのが、時にうっすらと、時に前に出てくるキーボードの存在。
メロディがかなり神秘的で、前に出てくる頻度はそう多くないものの、アルバムの雰囲気作りにおいて重要な役割を果たしてますね。ヴォーカルも基本的にがなり声ですが、時折見せる呟くような声が印象的で、これも雰囲気作りに貢献しているように思います。

かなりプロダクションが極悪なので、少し勧めにくいアルバムですが、その極悪さとキーボードの醸し出す神秘性の作り出すサウンドに興味がある方にはお勧めです。


LUNAR AURORA - Zyklus - Der Abend ★★ (2007-02-26 18:42:28)

日本では「夕方」は逢魔刻、つまり非日常との邂逅をしてしまいやすい時間だといわれていますが、ドイツでもそうなんでしょうか。キーのメロディがかなり不気味で鬱ムードです。溜めてからノイズを吐き出す攻撃性とも相まって、聴き手を精神的追い詰めるような一曲。


LUNAR AURORA - Zyklus - Der Morgen ★★★ (2007-04-09 19:07:17)

まずそのRawなプロダクションに驚き。
更に良く聴くと立体的な音になっている事に驚き。
そして後半、メロやキーが前に出てきたときに覚える感情は…感動。
…これは評価が高いのも頷けます。


LUNAR AURORA - Zyklus - Der Tag ★★★ (2007-02-26 18:45:15)

この曲はアルバム中でもキーの使い方が印象深くて好き。
ギターノイズの土石流に巻き込まれて窒息して死ぬ寸前、神秘的な体験をしているかのような楽曲。


LUNAR AURORA - Zyklus - Die Nacht ★★★ (2007-04-09 19:08:50)

やはりブラックメタラー的には「夜」が最も長いんですね。
神話的とも言えるサウンドながら、余りにも黒い音作りです。


LUPUS NOCTURNUS - Suicidal Thoughts Pt.Ⅰ ★★ (2012-10-15 22:15:32)

2008年発表の1st。
鬱ブラックの総本山Self Mutilation Serviceからのリリース。

メキシコの鬱ブラックという時点でなにやら期待してしまいますが…メタルに関して過激なものを好むお国柄が反映されているのか、分かり易過ぎるくらい分かり易く鬱ブラックしてる音ですね。スローテンポを基調にメロウなリフでひたすら責め苛むような作風は、ほぼ鬱ブラックのテンプレ通りとも言える音で、ジャンル自体が好きであればすぐにでも没入でき、そうでない人には無用の長物という、ある意味はっきりした音。

何気に鬱ブラックとしてはかなり優秀で、リフは陰鬱なだけでなく、どこかエモーショナルさも感じさせるもので、それが逆に生々しい絶望感を感じさせてくれたり、展開もミニマルさや酩酊感・没入感を壊さない程度に付けられていたり、マニアックになり過ぎない作りが良いと思う。正直これ以上メロウさや展開を排されると退屈に聴こえかねないんですが、このバンドはそこまで自己満足的にしないのが良いですね。

ただ、SILENCERの弱々しい部分を抜き出した感じというか、志村けんが拷問されているようなヴォーカルは、悲痛通り越してちょっと滑稽に聴こえてしまうんですよね…ぶっちゃけヴォーカルがBURZUMクラスに魅力的だったら、個人的にはもっと入り込めた作品だと思うんですけど。


LURKER OF CHALICE - Lurker of Chalice ★★★ (2008-05-18 20:15:00)

LEVIATHANのWrestによる別プロジェクトの2005年発表の1st。
2008年にSouthern Lordよりボーナストラック入りデジパック盤が再発。

LEVIATHANと比較すると、こちらの方はドローン/ドゥーム/ダークアンビエント/ノイズ色が強く、情景を描写するのにSEも多用するタイプといえますが、スタイル以上に異なるのは聴いていて受ける感触。

ギターやドラム等バンドの音が、怨霊の呻き声や異界の血や膿の臭いが漂うような生温い空気、闇の中に響く足音などバンドサウンド以外の「何か」に聴こえるような箇所が多く、LEVIATHANと比べると絶叫ヴォーカルやブラストビートなどエクストリームメタル的な魅力は控え目な代わりに、より情景描写に重きを置いてる感じです。

元々LEVIATHAN自体が単なる鬱だけではなく、心霊的、異界的、病的だったりと異形の感性が感じられるブラックをやっていたと思いますが、その異形性により焦点を絞った音と言えるように思います。不健康にも程がある!!と突っ込みたくなるような世界観(笑)。

NACHTMYSTIUMやXASTHURなど、この界隈のアメリカのブラックって抽象的な音像で世界観を構築する傾向が強いですが、その音像の中に蠢く「異形の何か」を感じさせる音作りにおいては、このWrestが頭一つ抜けているのではないでしょうか。

上記の2バンドは日本盤が発売され、XASTHURに至ってはEAT誌にインタビューが載るという快挙を成し遂げてますが、Wrest関連ももっと注目されて欲しいですね。XASTHURが受け入れられるならこの不気味で、健全からは程遠い音も行けると思うので…


LURKER OF CHALICE - Lurker of Chalice - Paramnesia ★★ (2008-05-24 20:44:58)

よくもまあアコギをこれだけ不気味に鳴らせるなぁ…と、変に感心したくなる曲(笑)。冥界の死体置き場にでも連れてこられたような気分。ラストのメロディアスな部分、気味悪すぎて癒されます。


LURKER OF CHALICE - Lurker of Chalice - Piercing Where They Might ★★★ (2008-05-24 20:42:50)

LEVIATHANでもかなり音響に気を使った音作りが成されていましたが、こっちでは更にリフの音色へのこだわりが伝わってきますね。ギターの音というよりも、昏い森の中に響く人面樹の叫び声に聞こえる。


LURKER OF CHALICE - Lurker of Chalice - Vortex Chalice ★★★ (2008-05-24 20:46:53)

この曲はベースの音色が特に良いですね。地獄の血の池が泡立っているかのような音。メロディはどこか清浄さも感じられる気がするんですが、それが逆にこの世の物ではないような感覚を際立たせてますね。


LUROR ★★ (2011-10-27 21:48:07)

ABSURDやWOLFSMONDのUnhold氏によるブラックメタル。


LUROR - Cease to Live ★★★ (2011-10-27 21:49:39)

2008年発表の2nd。

シャーシャーしたリフを伴って疾走する音像自体は紛れもなくプリミティブ・ブラックsのものですが、やはりABSURDの人が演っているだけあって、時折メロディにパンキッシュな爽やかメロウなものが交じるのが特徴ですね。基本は北欧のプリブラに通じる、寒々しいトレモロ中心ですが、それが程よいアクセントになってると思う。常にトレモロだったりソロだったり、何かしらメロディ要素のあるかなりメロディアスな路線。

…ではあるんですが、これだけメロディを曲に練り込みつつ、全く地下臭さが取れていないのはある意味凄いですよね…。ヒリヒリするような緊張感を伴うノイジーな音質は、曲の炸裂感すら感じさせるテンションの高さを際立ててるし、高音絶叫も中音域のがなりも全力で、かつ表現力高いヴォーカルからは半端ない殺気が漂ってます。特に中域がなり、真似したら腹筋攣りそうなくらい(笑)凄まじいです。

アンダーグラウンドの美味しい部分はしっかり押さえつつも、変にマニアックで聴きづらくなっていない音源なのでかなりお勧めです。


LUSTRE ★★ (2011-10-01 19:28:37)

スウェーデン産独りブラック。
HYPOTHERMIAに在籍していた事もあるNachtzeit氏のプロジェクト。


LUSTRE - Night Spirit (2011-10-01 19:29:26)

2009年発表の1st。
20分を超える曲を2曲収録した、大作主義の作品。

音像全体をギターリフのノイズ質と、アトモスフェリックなキーボードの交じり合った靄のような音が覆い尽くし、そこに叙情的なピアノメロを乗せ、スローかつミニマルに進行していく、アンビエント寄りのブラック。ピアノメロはBURZUMの「Filosofem」を狂気的でなく、優しくしたような感触があって良い感じですが、マイクに近づいて無理矢理呼気で声歪めたようなヴォーカルはちょっと微妙かも。

この人はアートワークの写真も自前で撮っているらしく、音の方にも「情景的であること」に対する並々ならぬ拘りが感じられますね。1曲目はピアノを神秘的で奥行きのあるキーボードに代えたり、バンドサウンドを一旦引かせてアンビエントになったり、2曲目ではピアノが少なめな代わりに中間部に神秘的なキーのフレーズが出てきたり、展開は一応あるものの、音像の雰囲気は約40分通して一貫している感じで、この手の中でもミニマルさがかなり強い方だと思う。

個人的には、ちょっとミニマリズムが強すぎるかな…と思ってしまうかも。似た系統なら、ELYSIAN BLAZEやI SHALT BECOMEくらい展開がある方が私的には好み。ミニマル系の情景的な音に興味がない人にはお勧めできない音。


LUSTRE - They Awoke to the Scent of Spring ★★★ (2013-06-16 22:23:12)

2012年発表の3rd。

以前聴いた1stは、余りにも「アトモスフェリックである事」に徹し過ぎている感があったんですが、割と有名なレーベル(De Tenebrarum Prinpicio)に移籍したこともあって、新譜を購入したんですが…なんか段違いに良くなってる印象。1stの頃は、深遠な世界観を描いてはいたものの、聴き手にアピールするような聴きやすさに欠けた感じでしたが、今作はよりリスナーフレンドリーになった感じ。と言っても、あくまで「アトモスフェリック・ブラックというジャンルにおいて」ですけど。

バンドサウンド入りの前半2曲、アンビエントに徹底したインスト2曲の計4曲で約40分という構成ですが、1stと比べると音像の変化のさせ方が大胆で、それがある意味での聴きやすさの一因になっている気がします。ギターメロディとノイズの交じり合った、神秘のヴェールに包まれた中で、緩やかに破滅に向かうかのような音作り、聴き手をメランコリックな幻想に惹き込んで行くキーボードのメロディなど、深遠な世界観は全く薄れずに聴きやすくなってるのが素晴らしい。

正直1stは気分じゃないときは絶対聴けないような音だし、敢えて人にもお勧めはしなかったんですが、こちらはアトモス系好きであればかなりお勧め。聴き手を引き込もうとする力は段違いだと思います。ホント、1st聴いて切らなくて良かったと思う。


LUTOMYSL - De Profundis ★★ (2014-06-11 11:14:21)

2008年発表の6th。

ウクライナというとアンダーグラウンドなペイガン・フォークブラックの名産地という印象が強いですが、このバンドはあからさまにフォーキーなメロディは使わないものの、リフに込められた身を切るような哀愁がペイガン系に通じるものがありますね。ヴォーカルが鬱ブラック風の、裏返り気味のスタイルである事もあって、アルバムを通じて常に悲壮な感じがします。

ノイジーに歪んだリフにシンプルな疾走というスタイルは、ストイックで無骨なイメージがありますが…良く聴くとリフのメロディにはかなり起伏や展開が設けられてますね。基本暗めながら時に儚げな雰囲気すら感じさせるメロディ使いは、音像の歪め方とも相俟ってシューゲイザー寄りのブラックを好む人にもアピールするかも。一見地味ながら、実は叙情に満ちた良質なアルバムだと思います。


LUX DIVINA - Possessed by Telluric Feelings ★★★ (2014-05-08 09:49:19)

2013年発表の2nd。

スペイン産のペイガンブラック…との事ですが、これはかなり良いですね。作品のクオリティが高いのは大前提としてある上で、メタリックさ、アトモスフェリックさ、土着性などペイガンブラックを構成する要素が、非常に均整の取れた状態で詰め込まれた良質な作品だと思います。
作風としては、民族楽器の使用は一部で、主にリフに土着的なメロディを練り込み、叙情的に聴かせるスタイルですが、このメロディがかなり秀逸。ペイガンブラック特有の、身を切るような哀感のたっぷり篭もったスタイルで、個人的には特に疾走パートにおいてはDRUDKHやAGALLOCH辺りの、アトモスフェリックに寄った作風のペイガンブラックに通じる叙情性も感じたり。

ただ、アトモスフェリックな質感もありますが、楽曲の展開自体はドラマ性を重視している感じで、メタルとしてのダイナミックさも強め。また、ヴォーカルは絶叫とクリーンを使い分けるタイプですが、特にクリーンの方がVintersorg氏似の陶酔しながらマイルドに歌い上げる歌唱でかなり素晴らしい。この手でクリーンが喉締め系のナヨ声とかだと一気に現実に引き戻されて萎えますが、このヴォーカルはバンドの演出するシャーマニックな世界観の語り部として十二分と言えるでしょう。絶叫パートの迫力も及第点は軽く超えてるかと。

マイナー臭さも薄く、ペイガン系の叙情メロが好きでエクストリームメタルの凶暴さに耐性・嗜好があるメタル好きであればお勧めできる一枚。変に癖のある音ではありませんが、ペイガン系の美味しいところはしっかり感じさせてくれる好盤だと思います。


LUX FERRE - Atrae Materiae Monumentum ★★★ (2011-11-01 23:29:50)

2009年発表の2nd。

視界全体にどす黒い雲が垂れ込めるかの如き分厚いギターリフの音色と、毒々しく陰鬱なメロディのトレモロリフを特徴としたブラックメタル。曲のかなりのパートをこの毒々しいトレモロリフで覆った作風なんですが、ポストブラックっぽさはほぼなく、常にメタリックな迫力のある音を聴かせてくれる辺り、感性の根っこにはファスト/ブルータルブラックがあると思う。

この作品、出音がメタリックな割にはメロディがかなり陰鬱なんですよね…それがスロー~ミドルのパートでは鬱系に通じる陰湿なムードを、ファストパートではある意味の甘美さを醸し出していて、曲を非常に魅力的にしていると思う。悪魔崇拝的な雰囲気は希薄ながら、病んだ湿り気のある空気感があって、聴いている内に体にメロディに含まれた毒が回っていきそうな音。

ヴォーカルも結構独特で、特に高音絶叫時のエッジの揃い具合がなんか気持ち悪い、ちょっと変わった感じの声。個人的にはこういう骨の太い音には凶悪ながなり声の方が合うかな…とも思うんですが、メロディの陰湿さにはマッチしているので悪くないと思います。ディプレッシブ系の病んだメロディは好きだけど、メタリックで直接的な攻撃性も重視したいという方にお勧め。


LUX OCCULTA - Dionysos ★★★ (2012-01-09 00:23:36)

97年発表の2nd。

このバンドは後にアヴァンギャルド志向を強めていったらしいですが、この時点ではキーボードを効果的に用いたシンフォニック/アトモスフェリックなブラックメタル。誰かの死を悼むかのごとく、物悲しいメロディでバンドサウンドを包むキーボードと、妖しげなメロディを含有するギターワークが絡む、個性的かつ濃厚なムードを持った作品。ブラックの邪悪さよりも、ゴシックの美しさや妖艶な感触の方が強い印象。

アトモスフェリックな路線の割には、ギターワークなどがかなりメタリックで、聴き応えのある音に仕上がってるのも特徴ですね。ミディアムテンポを中心に重厚に展開していく作風と実に合っていると思う。メロディの美しさもあって聴き入ってしまう音なんですが、バスドラの音がパタパタいってて軽いのはちょっと不満。曲自体はA級だし、音もそう悪くないのに、そこだけB級ブラックみたいに聴こえるのが残念。

…とはいえ個人的にこの雰囲気の濃さはかなり好きなので、☆は3つで。音質に多少の不満はあれど、人を強烈に引き込む世界観を持っているので、かなりお勧めの作品です。


LYKAUGES - SWAN SONG ★★ (2012-06-21 19:37:33)

2010年発表の2nd。

ギリシャ産の鬱ブラックということで先入観を持ってたり、灰色で美しいジャケに騙されてたりするとバンドサウンドの入りでビビりますよね(笑)。いきなり疾走、かつ凄まじい音圧でやたら迫力ある音。まあ作風自体は疾走パートも適度に交えつつも、陰湿なトレモロをメインに展開する音で鬱系のテンプレートに沿ってはいるんですが…一瞬ビビるくらいドスの聴いた音作りがされているのが特徴。特に中~低音域の、暗雲が立ち込めるような厚みのあるドス黒い感触が凄まじい。

また、ネガティブなメロディには定評のあるこのジャンルにおいても、やたらに分かりやすくネガティビティを放出するメロディもインパクト強いですね…。ギリシャのバンドですけど、フィンランド産のメロウさにフランス産の病的さ、日本産の劇的さを加味したような感じで、そのインパクトの強いメロディを執拗なまでに繰り返して展開していくのだから、この手の中でも中毒性の高い音と言えるでしょう。

特に鬱ブラックなのにキャッチネスすら感じるほどのメロディセンスなんかは、かなり素晴らしいと思うんですが残念ながらこの作品を以って解散してしまった模様。似た系統のバンドは多いですが、そこに埋没しないだけの音は出してると思うので勿体ないですね…。


LYRINX - Nihilistic Purity ★★★ (2011-08-31 22:32:15)

2007年発表のEP。
と言っても、再発盤は6曲で40分を超え、実質フルと同じくらいのボリューム。

直接的に死や自殺を想起させる、引金ジャケからも分かるとおりのディプレッシブ・ブラックですが、個人的にはこの系統の中でも好みの音ですね。やや軽めのドラム+淡くノイジーなギターによる、攻撃性よりも耽溺性に重きを置いた音作りが好み。その中で、神秘的で幽玄なメロディを奏でるトレモロが、緩やかに包み込むように鳴り響くと、ちょっとした神秘体験の趣がありますもん。

また、ヴォーカルこそBURZUMを思わせる、高音の自棄起こしたようないかれた絶叫ですが、疾走パートや刻みリフを用いたパートも効果的に混ぜた、ミニマルではないドラマ性に富んだ作風は、鬱・自殺系のブラックに耐性がない人にも割と受け入れやすい音だと思う。常に垂れ流しというレベルまではいきませんが、トレモロ含有率は結構高く、メロディアスなサウンドなのも聴きやすいと思う。

メロディアス、起伏のある展開、心地よい音質と聴きやすい要素が揃っている分、この系統のカルトなバンドにありがちな偏執的なムードが希薄なため、マニアには物足りなさが残るかもしれませんが、だからこそ鬱系初心者にもお勧めしたいですね。個人的にもかなりの良作だと思います。


Live ★★★ (2010-10-13 22:56:16)

アイドルマスターの曲って、時々アイドルならまず歌わないようなシリアスでダークな
かっこよさを持ったものが出てきますが、この曲はその筆頭だと思う。
ヴォーカルのエモーショナルさ、メロディの悲壮感とも相まって切望感・切迫感が曲全体に
漂ってる。途中のラップも、曲の雰囲気をピリッと締めてますね。この人の声は、あんまり
作りすぎてない(地声っぽい?)分こういう曲だと感情が凄く伝わります。


MACTÄTUS - Blot ★★ (2015-06-06 18:41:17)

97年発表の1st。
2000年、2013年にそれぞれ再発されてます。

出だしの絶叫を重ねた部分が、どうもわざとらしく聴こえてしまい…微妙なアルバムかと思いかけましたが中身はごくごくまともなノルウェー産ブラックという感じで、再発されるのも頷ける作品ですね。97年というと、ブラックメタルとしては黎明期が終わったくらいの頃でしょうか。初期ブラックの空気感を色濃く残した、如何にもといった感じのブラックです。

黎明期のノルウェー産のブラックと言えば、衝動性の中にサタニズムや土着性など、ダークな感性が感じられるのが特徴だったと思いますが、このバンドも正にそんな感じ。サタニックなトレモロを重視し、オールドスクールな展開を見せる作風は王道のブラックといえますし、神秘的なキーボードの導入、リバーブの掛かったヴォーカルなどによる雰囲気の演出も上手い。

ただ、名の知れたバンドと比較すると、どうしても地味に感じてしまうのがネックでしょうか…。よく言えば燻し銀とかストイックとか言えそうな気もしますが…。取りあえず良作ではあると思います。


MAD FRET ★★ (2009-11-10 23:38:00)

日本のコンピにも参加経験のある、韓国産女性メタルバンド。
…このバンドって凄い美形揃いですよね。メイク・撮影が上手いのかもしれないけど(笑)。
ヴォーカル・ドラムはゴス女王、弦楽隊3人は韓流ドラマのヒロインみたい。
音の方も、メンバーの見た目以上に整っているので、興味がある方は是非。


MAD FRET - SMASH THE LIE ★★ (2009-11-10 23:33:00)

2008年発表の1st。
…販促シール、ハングルで書いてあるので意味は分かりませんが、見たところMARYLIN
MANSONやRAMMSTEIN、ROB ZOMBIEから影響を受けた…みたいな事が書かれているのかな?
確かに、メインストリームのゴス/インダストリアルに影響を受けたような、ポップで
ダンサブルなリズムと、モダンへヴィネス由来のへヴィな演奏を組み合わせた音を出してますね。
ヴォーカルは中音域のノーマル声での歌い上げからデス声寸前のシャウト、リズミカルな
ラップまで幅広くこなすタイプで、特にラップパートは韓国語の独特の響き、前述の
ダンサブルなリズムとも相まって非常にカッコいい。普通に歌う部分も、リズムを意識した
メロになっている辺り、グルーヴへの拘りはかなりのものではないでしょうか。また、時折キーの
音色がオリエンタルな、異国情緒あるものになるのも、他バンドにはない魅力だと思います。
(ここで言うのもなんですが)最近のMANSONって、「The Beautiful People」
「Rock Is Dead」ほどポップな曲も、「The Reflecting God」「Burning Flag」ほど
破壊的な曲も書いてくれなくて、なんか物足りなかったんですが、この作品はその溜飲を
下げさせるだけのポップ性があるのが良いですね。M.MANSONやSOUND WITCH、ZILCHなどが
好きな方にお勧め。リフはモダンへヴィネス寄りで、ブラック要素はほぼ無いですが、
グルーヴ重視かつメタル要素>インダストリアル要素な音作りは、「Reign of Light」
「Solar Soul」期のSAMAEL好きにも勧められそう。


MAD FRET - SMASH THE LIE - D.O.I ★★★ (2009-11-10 23:38:26)

この、リズム面で曲作りに多大に貢献している歌メロ、本当に素晴らしいなぁ…メロディとパーカッションを同時に担当して、どっちも高いレベルでこなしている感じ。特にBメロ部分、歌・リフ・リズムが一体になっている感じでかっこよすぎる。


MAD FRET - SMASH THE LIE - IN THE MOONLIGHT ★★★ (2009-11-10 23:37:20)

ジャケ裏に「隠しトラック」と記載して曲名も書いたら、それは隠しでも何でもないのでは(笑)。でも、確かに他の曲とはどこか違う感じがありますよね。特にキーボードの音色、なんかキョンシーとか出て来そうで凄く好み。いや、韓国のバンドですけど。


MAD FRET - SMASH THE LIE - S.W.A.K (SEAL WITH A KISS) ★★★ (2009-11-10 23:36:23)

英語と韓国語を混ぜ合わせた歌詞の響きが、何とも言えないグルーヴ感を演出する曲。特に韓国語から「Feel!」で締めるラップパートは、カラオケに入ったら韓国語勉強してでも演ってみたくなります(笑)。まぁ、合いの手的なパートなので、メインで歌ってくれる人探さないといけないですが…。


MAD FRET - SMASH THE LIE - SMASH THE LIE ★★★ (2009-11-10 23:35:20)

オリエンタルなメロディとパーカッシブなリズムの織り成す、サイケデリックな陶酔感と、メジャー感ある音作りと取っ付きやすい歌メロのポップさによるキャッチネスを兼ね備えた1曲目。深淵さと愛想の良さ、両方のバランスが取れているのが素晴らしいです。


MADMANS ESPRIT - Nacht ★★ (2015-08-22 16:40:26)

2014年発表の1st。

韓国産独りアヴァンギャルド・シンフォニックブラック/ゴシックとのことですが、確かに凄く独特な作風ですね。通常のシンフォブラックのようなトレモロ+ブラストで押すようなパートは少なく、ロック調だったり4つ打ちなどを取り入れた変則的な展開と、若干Rawさを残したバンドサウンドとアトモスフェリックなキーにより非日常感を演出する、少し変則的な音。

但しこのバンドにおいて最も特徴的なのは、クリーンヴォーカルの多さ+そのスタイルの特異さだと思います。同郷のSAD LEGENDもかなりヴォーカル重視でしたが、こちらは更にヴォーカルオリエンテッドな感じ。高音もほぼ女声に近いものからエッジとビブラートを過剰に掛けた、ヘビメタ然とした鋭い頭声を使い分けてますし、低音で嘆くような声でゴシック的な悲哀を醸し出したり、やたらイキんだがなり声を使ってみせたり、とにかく芸達者。中音域の歌唱における力強いビブラートのせいもあって、浮かんできたジャンル名は「演歌調アトモスフェリック・ブラック」でした(笑)。

なんとなくですが、雪の降り頻る岬での男女の別れ的な、演歌風の情緒のある光景が時々浮かんでしまう作品なんですよね。独特であることは間違いないと思いますので、変り種ブラックが好きであれば聴いてみるのもいいかも。


MAELSTROM (UK) - Sunlight ★★ (2016-05-19 00:15:10)

2014年発表の2nd。
元はデジタルで自主制作のリリースでしたが、翌年にContagion RecordsというレーベルからCD化されています。

路線は一言で言うならメロディック、プログレッシブ、アヴァンギャルド、シンフォニック…など様々な要素を内包したごった煮で狂気的なブラック。ミディアム中心で、やや変則的なリズムと、それを強調するように刻まれるヘヴィなリフを軸に、ブラックらしいトレモロや神秘性を醸し出すキーボード、デス声のみならずどこか螺子が飛んでるようなミディアムのクリーンも使うヴォーカルが乗る音で、最近日本盤が出たWRATHAGE辺りと感触が似ている印象。

ただ、前衛的ながらシンフォニックブラックが基本にあったWRATHAGEに対し、こちらの基本にあるのはメロディックブラックで、ザカザカ刻まれるリフに、的確に挿入されるメロいトレモロはかなりの煽情力の高さ。どこか精神世界系の世界観を持っているバンドだとは思いますが、リフの攻撃性やグロウルも使う凶悪なヴォーカルなど、サイコな雰囲気だけでなくデスに通じるアグレッションも持ち合わせているのが特徴。ややブラックらしいRawさは残るものの、エクストリームメタルとしての質は高いと思います。

決して広く受け入れられるような世界観を持っているバンドとは言えませんが…もし波長が合えば、しっかりと応えてくれるクオリティはある作品だと思います。ニッチに高品質と言うか…。


MAGNA MATER ★★ (2010-05-01 21:27:00)

バンド名は「大いなる母」の意。大地母神を差す言葉でもあるとか。
美希嬢と泰鳳氏(APSALUSのTaihoo氏)によるメタル・ユニット。


MAGNA MATER - 御旗の下に - Igusirayonegore~召喚術式~ (2010-05-01 21:24:02)

ややプログレの影響の強い、導入曲ですが…曲は別に悪くないんですが、タイトルを逆からローマ字読みしてみてください。やる気あるんでしょうか。「滑る」というのは、こういうことを言うんだろうなあ…。


MAGNA MATER - 御旗の下に - 御旗の下に ★★ (2010-05-01 21:25:24)

陰陽座やFLUORITEの王道曲をシンセ重視にしたような、歌謡曲的キャッチーさのある曲。やはりこういう曲は良いですね。陰陽座と比べると演奏力もキャッチーさも、アレンジ力も一歩及んでない感じはしますが、サビへの入りのヴォーカルとか、かっこいいと思える部分もかなりあります。明らかにB級な男声ヴォーカルや、女性ヴォーカルの伸びの足りないハイトーンシャウトなど、改善点もありますが。


MAGNA MATER - 御旗の下に - 辿りつける光 (2010-05-01 21:26:27)

いかにもゲーム世代のコンポーザーが作った感じの、明るいメロが聴ける曲。色々困難もあったけど、それを乗り越えて絆深まった二人はこれからも進んでくのさ!的なエンディングのテキスト/ノベル系ゲームのエンディングに合いそう。さすが、1曲目でEROGENOYARISUGIとか意味不明・意図不明のカミングアウトをしてるだけはあります(笑)


MALADIE ★★ (2013-12-16 21:42:38)

ドイツ産プログレッシブ/アヴァンギャルドブラック。
バンド名はフランス語で「病気」を意味する単語だとか。


MALADIE - Plague Within ★★★ (2013-12-16 21:44:12)

2012年発表の1st。

本人達は、バンドのスタイルを「Plague Metal」と称しているようですが…確かに、クラシカルなピアノによる美麗なメロディをSE的に導入して見せたり、単に邪悪というよりも不条理さを感じさせたり、トラッドを捻ったような妙な叙情を感じさせたりするメロディをリフに込めたり、知性的な面も見せつつも、あくまで本質はブラック本来の苛烈さであったり、病的なムードであったり、ネガティブな感情の発露にある…という感じの作風ですね。

取り分け凶悪極まりないのがヴォーカル。余りにも感情を込める余り、息の強さが過剰気味なのか、ホイッスル音混じりまくりの凄まじく痛々しい叫びになってます…聴いてるこっちが喉痛めそうな感じ(笑)。しかも終始ハイテンション、かつ悲鳴系・高音系ながらしっかり歪みの掛かった声で素晴らしい。ただ、惜しむらくは時々重ねてあるクリーンがどうも蛇足に感じる事でしょうか…なんか半端で、せっかくの壮絶絶叫をスポイルしてるように思えてなりません。

そして楽曲の方は、実験性もそこそこにブラックメタルらしい擦り込むような音色のリフを伴い、ブラスト中心で展開するもので、ヴォーカルの壮絶さと相俟ってかなり苛烈な印象。病的な雰囲気は保ちつつも、シューゲイザー系にも通じるカタルシス感を覚えるような轟音トレモロ、近年のDEATHSPELL OMEGAから影響を受けたような、カオティックなリフ捌きも見られ、近代ブラックの良い所取りをしている感じ。というか、「Pes Equinovarus」の終わり際のリフ、どうも聴き覚えが…(笑)。まあ、この曲混沌としててかっこいい名曲なんで、良いですけどね(笑)。

ピアノによる美メロを用いた雰囲気作り、パーカッションを取り入れた少々民族っぽいパートなど、アヴァンギャルド/実験要素もあるといえばあるんですが、まず最初にヴォーカルを始めとした壮絶さに圧倒される作品。決して知性的なだけではない、しっかりと髄まで「病気」なアルバムですよ。


MALCUIDANT - Et les cieux s'assombrirent... ★★★ (2014-05-03 08:54:25)

2011年発表の2nd。

アルバム序盤からフレンチブラック特有の屈折した耽美さというか、病んだ叙情性を醸し出すトレモロリフが炸裂していたので、鬱系に近い音かと思いきや、意外にもオールドスクールな側面もあるブラックメタルで、フレンチブラックとノルウェー産ブラックのスタイルの良いとこ取りをしたような作風。

弾幕のようなツーバス連打、ノリの良いスラッシーな展開などを交えたリズム構成は、心地良い緊張感があって、何気に毒と叙情の篭もったメロディとは好相性。メロディの良さをより引き締めている感じ。そしてメロディの聴かせ方も巧いですよね。耽美系トレモロがハーモニーになって迸っている箇所なんて、メロディック・ブラックが好きであれば悶絶ものでしょう。

物凄く独特な事をやっている訳ではないんですが、やはりメロディが良いというのは大きな武器ですよね。全編で大盤振る舞いされる鬱屈した哀愁メロディはかなり中毒性があると思う。オールドスクール要素を交えた楽曲構成、メジャー臭はしないものの、低くは無いサウンドプロダクションの質もあり、変なマニアックさは感じられないですし、この手のメロブラが好きであれば大推薦の作品。


MALEVOLENT CREATION - Demo 1987 (2011-06-07 18:30:48)

バンド最初期の3曲を、現在のミックス技術でリミックスしたものと、当時のミックスのまま残したテイクの計6曲を合わせた作品集。2011年発表。ちなみに背の部分にはバンド名しか書かれてないので、ちょっと見つけづらいかも。当時のバージョンは音が悪い以前に篭ってて小さくて、聴きづらいですが、リミックス版は丁度良い生々しさで良い感じです。

しかし、20年以上経っても、やってることは変わりませんね…当時はまだヴォーカルが普通のダミ声に聞こえて弱そうだったり、リズムも激ファストという訳ではなく、ちょっと野暮ったい感じもしますが、基本的には血腥いリフを纏って疾走すること、それが魅力な作風ですもん。洗練されてない感じが、逆に新鮮だったりします。

現在の彼らが好きであれば、確実に楽しめるであろう作品。
こういう時期もあったんだ…でも意外と変わってないね、みたいな(笑)。


MALEVOLENT CREATION - In Cold Blood ★★★ (2011-02-13 23:13:18)

97年発表の5th。
私はMetal Mindのリマスター盤(08年発表)を購入。

ほんと、飾り気の無いデスメタルですね。
ビキビキ言うバスドラで地を鳴らしつつ突進するリズムに、甘さとは無縁の無慈悲なリフをひたすら絡める、オールドスクールかつストロングスタイルな作風で、ほぼリフとリズムの絡みで展開を作っていくスタイルは、デスメタルの快楽原則にただただ忠実と言えると思う。ヴォーカルもグロウルを少し高めにした感じの、中音域の地声交じりの咆哮で、それほど歪みは強くないですが、蚯蚓や磯目を吐きながら歌ってそうな汚さで味があってグッド。

ただ、余りに飾りっ気が無いスタイルは、これからデスメタルを聴く人にはややケレン味が足りないように思える(一本調子と言われるのも分かる)し、リマスター済みの音質も少しリズムがリフを食ってる感じがあるので、入門には向かないかも。前者は裏を返せば、それだけストイックということでもありますけどね。
時々無性に聞きたくなる作品なのは、「リフとリズム」という、このジャンルの「本質」の詰まった作品だからなのかもしれません。既にある程度エクストリーム系聴いてる人にはお勧めです。


MALEVOLENT CREATION - Invidious Dominion ★★★ (2011-04-12 21:02:11)

2010年発表の11th。

これは素晴らしいです。
以前「In Cold Blood」を聴いた時は、味があってそこが魅力的な音だと思いましたが、本作はデスメタルとして、エクストリームメタルとして普遍的な魅力があると思います。

路線自体は当然変わらず、リフとリズムのマシンガンのような波状攻撃で聴き手を攻め立てるブルータルデスですが、全てに於いて昔より洗練されている感じがします。リフにはオールドスクールなデス好きが好むような禍々しいうねりと、程よいメロディが同居しているし、緩急付けつつ攻撃の手を緩めないドラミングも実に心地よいです。

ヴォーカルは「In Cold Blood」の時とは違う、オリジナルメンバーのBret氏が担当してますが、彼の声は思いっきり歪んでいるのに、歯切れの良さも合って凄くかっこいいし、彼のヴォーカルがあってこそ、このグルーヴやキャッチネスも生まれてると思う。また、音質も「In Cold Blood」と比べると大幅に洗練されていて、攻撃性を気持ちよく伝えてくれる、エクストリームメタルとしてこうあるべきという感じの音に。

しかし、日本ではそんなに話題になっていないらしいのが残念ですね…。確かに、思いっきりストレートなブルデスなので、音楽性を一言で表すような特徴に欠けるのかもしれませんが…デスメタルというジャンルを象徴するような作風と質の高さだと思いますよ。DEICIDEやIMMOLATION同様、メロデスではない「ブルータルなデスメタル」の素晴らしさを伝えてくれる作品です。


MALEVOLENTIA ★★ (2013-05-15 20:32:19)

フランス産シンフォニックブラック。
OTARGOSのメンバーが在籍。


MALEVOLENTIA - EX OBLIVION ★★ (2013-05-15 20:33:11)

2011年発表の2nd。

一言で言えば、トレモロリフと派手なオーケストレーションによるメロディアスに聴かせつつ、ブラストを中心に爆走する、分かりやすいシンフォニック・ブラックではありますが…クトゥルフ神話などをモチーフにしているせいなのか、同系統のバンドと比べるとメロディが華美というよりも、戦慄がどこまでも加速していくような、どこか不気味な雰囲気も伴っているという特徴がありますね。

その傾向が、フランス産らしい耽美な感覚とも相俟って、邪悪さと美しさの同居する、カルトながら引き込まれるようなメロディ使いに仕上がっているように思います。女性ヴォーカリストであるSpleen氏の、男性顔負けの獰猛さと、時折声を裏返らせながら絶叫するヒステリックさを併せ持ったパフォーマンスも、楽曲の持つ禁忌に触れるようなおぞましさを助長している感じがします。

音質はメジャーなバンドと比べると少し平べったい感じがしてしまい、キーがかなり壮大なフレーズを弾いていても、例えばANOREXIA NERVOSAやSCARS OF CHAOSのような「ド派手」な音像にはならない感じなんですが、逆に禍々しさや陰惨さの演出という意味ではこの音でこそ、という気もします。個人的に、ドラムの音の洪水にキーボードやトレモロリフが呑み込まれるミックスは苦手なので、これくらい湿った音の方が良く思えたり。

シンフォニック・ブラックのファンならば鉄板のクオリティ。ただ、現時点ではジャンルの中で飛び抜けた何かがある…という訳ではないので、シンフォブラックにどっぷりな人以外はメジャーバンドを聴いてからでも遅くはないかも。


MALFEITOR - Unio Mystica Maxima ★★ (2008-01-25 15:59:00)

ABORYMのベース/キー担当のMalfeitor Fabbanらによる新バンドの1st。2007年発表。
このバンドはサイドプロジェクトではなく、全く新たなバンドだそうです。

基本的にはファスト/ブルータルブラックなんですが、多用されるブラック特有の平坦リフのメロディが余りにも暗く、そこにトレモロリフが入ってくると有機的な何かが蠢いているような不気味さを感じられますね…。
インダストリアル要素は無いですが、感触としてはどこかABORYM(のGenerator)に通じる退廃性や、MYSTICUMに通じる神秘性もあると思います。ASMODUESや1349のような極端な速さがある訳ではないものの、雰囲気が物凄く濃いです。

また、M.Fabbanはこちらではベース以外にヴォーカルも担当してますが…
これがかなり憎々しさが滲み出た歌い方で素晴らしいです。CxFxのNattefrostの声をさらに粘着質にした感じの高音がなりで、こっちもABORYMのGeneratorでのPrime Evilのパフォーマンスに通じる物があるかも。ただ、こっちはよりヴォーカルが前に出て、憎しみをもっとストレートに伝える感じですね。幾つかの曲では呪文の詠唱めいた低めの普通声も入ってますが、これも渋い声で実に私好み。この人の声、ホント良いなぁ…。

音質の良さも見逃せませんね。
バンドサウンドの禍々しさやブルータリティ、ヴォーカルの憎しみを余す所無く伝えるような鮮明さがあって割と聴きやすいのも勿論良いんですが、何より音が大きめなのが良い(笑)。流石にBEHERITのベストよりは少し小さいですが、メタルとして理想的な音量。

あと個人的にツボだったのがMYSTICUMの「Black Magic Mushrooms」をカヴァーしてる事。ぶっちゃけて言うと、この曲をカヴァーしてることからこのバンドに注目しました。ブルータリティ重視で、原曲よりも分かりやすい曲調になっててかっこいいですよ。

オリジナル曲の方もこの名曲に負けないくらい良かったし、買って正解だったと思います。禍々しい雰囲気を重視したファストブラックが好きな方にお勧め。ちなみに、ケース側面にはタイトルしか書いてない上、ジャケのバンドロゴは読みにくいので探す時は注意。


MALFEITOR - Unio Mystica Maxima - Black Magic Mushrooms ★★★ (2008-01-25 16:04:19)

MYSTICUMカヴァー。
ノイジーなプロダクションの中に神秘的な幻覚が見えるようだった原曲を、もっとメタリックでブルータルにアレンジ。それによって元々あったキャッチーなヴォーカルライン(絶叫だけど)が強調されてますね。「Come closer~」「Black Magic Mushrooms」の所とかカラオケで歌いたいくらい (笑)。


MALFEITOR - Unio Mystica Maxima - Jesus Christi to the Lions ★★★ (2008-01-25 16:03:23)

この曲の普通声がツボ過ぎて困るくらいにツボ(笑)。
低音でのちょっとヴァイキング入った歌声が渋カッコ良くてたまりません。ブラックの普通声ってこういうの多くて良いですよね。メロスピやメタルコアもこういうヴォーカルを取り入れてくれれば聴きやすいのになぁ…と思う私は少数派でしょうか。


MALFEITOR - Unio Mystica Maxima - Rex Bestia Fera ★★★ (2008-01-25 16:02:29)

オープニング明けの2曲目。
いきなりのメロウさを醸し出しつつ、禍々しく蠢くトレモロをフィーチャーした音像にブラック好きならガッツポーズ。後半の刻みから公序良俗に反するような(笑)邪悪メロディを編みこんでいくリフ捌きも素敵過ぎる。アルバムの頭から悶絶モノです。


MALFEITOR - Unio Mystica Maxima - Unio Mystica Maxima ★★★ (2008-01-25 16:01:23)

導入部からしてトレモロリフにブラスト全開で殺る気マンマンなタイトルトラック。曲の長さも4分とコンパクトですし、タイトル曲にこういうブラックの魅力を分かりやすく伝える部分があるというのは、ある意味メジャー志向といえるのかも?


MALHKEBRE - Revelation ★★★ (2015-05-31 12:33:22)

2014年発表の1st。
何気にMARE COGNITUMと同レーベルに所属なんですね。

…どこか不健康な作風の多いフレンチブラックの中でも、一歩抜きん出たグロテスクさを持つ作品。作風というか使われているパーツ自体は、ややノイジーなギターの音色、フレンチブラックらしい独特の美学が伝わるような、病的耽美トレモロ、ブラストを多用した攻撃的なリズム…など、ブラックメタルの枠を大幅にはみ出すようなものではないんですが…それなのに、独特の気持ち悪さや陰湿さが漂っているのが、ある意味で凄いです。

まず展開が気持ち悪い。普通に攻める事をまるで良しとしないような、奇妙なストップ&ゴーもしくはスロウダウン&スピードアップの連続が、妙に耳に引っかかるんですよね…。そして輪を掛けて異様なのがヴォーカル。「呪文を唱える」というには余りにも覇気の無いおっさんヴォイスのクリーンでだらだら歌ってみせたり、変にいきんだがなりを聴かせたり…展開との相乗効果もあって、凄まじく病的な雰囲気を醸し出してます。

ただ、フレンチブラックらしい暗黒耽美メロをたっぷり乗せたトレモロリフには、この手の音楽好きを惹き付けるに十分な魅力がありますし、決してグロテスクなだけの音楽でない事は確かです。まるで自身の顔に薬品を掛けて、爛れた姿に美を見出している心を病んだナルシストのような、いかれた作品。気に入る人は心底気に入ると思います。


MALICIOUS SECRETS ★★ (2006-03-23 21:35:00)

Mutiilationのメンバーも関わっているブラックメタルバンド。
曲的にはMutiilationやHell Militiaあたりをグチャグチャにして
狂い系のリードギターをフィーチャーした感じでとてもかっこいいです。
まだデモ以外はV.A.の「From the Entrails to the Dirt」ぐらいしか
まともに買える音源は無いみたいですが、早く1stを出して欲しいです。


MALICIOUS SECRETS - From the Entrails to the Dirt - Part I: Interior Crack Psycho Angel Bitch ★★★ (2006-03-23 21:36:49)

「ナインティーンナインティナァァァイン!!!」の叫び声から黒い音塊のバンドサウンドへと雪崩れ込む曲。ドスの効いたがなり声と猫がひき潰された感じの呻き声で掛け合いをやっているパートなんて、普通に気持ち悪くなりそうです。体調悪いときとかは聴かないほうがいいかも。


MALICIOUS SECRETS - From the Entrails to the Dirt - Part II: Rejection and Raising Perdition Blaze ★★★ (2006-03-23 21:37:51)

ヴォーカルの人は何か深刻な病気でも患ってるんでしょうか…「うぅぅ…うぅぅ…」が不気味すぎるんですが。後半はガスが吹き出るSEと咳き込みが入るパートもあるんですが、この咳良いですね。なんかセクシーさすら感じる声だと思います(笑)。


MALICIOUS SECRETS - From the Entrails to the Dirt - Part III: Send Me to Hell Day of Wine and Roses ★★★ (2006-03-23 21:38:55)

これだけ全編に渡って病んで壊れきったギターのリードフレーズが入った曲って他に無いのでは。なんかもうヤケクソで作曲してるようにも感じます。あと一歩で収拾つかなくなりそうな所をこうした名曲に纏め上げるのは凄いですね。笑い声部分は雪の女王というよりも雪の邪王といった感じ。


MALIGN - Divine Facing + Fireborn ★★ (2008-09-23 09:37:00)

2002年発表のデモ「Divine Facing」と98年のデモ「Fireborn」のカップリング盤。二枚分合わせても6曲入り30分とフルとしては少し短め。

所属レーベルが所属レーベルだけあって(Norma Evangelium Diaboli)、このバンドも宗教がかった厳かさを邪悪さに転化して聴かせるようなブラックメタルをやっていますが、音質がややダーティであったり、グルーヴィだったりスラッシーだったりする展開を織り込んだりしていて、オールドスクールな雰囲気もあるのが特徴ですね。
音の質感、曲調、ヴォーカルなど、メンバーも共通しているWATAINにかなり近い音楽性だと思います。オールドスクールなWATAINという感じ。

向こうよりも地味ですが、何気にDEATHSPELL OMEGAの「Carnal Malefactor」に先んじてブラックメタルパートの間に聖歌を挟むような事もやってる辺り、かなりセンスは良いと思います…が、(そういう演出とは思うけど)ヴォーカルがTRIUMPHATOR的な禍々しさを表現しようと頑張りすぎてて、むせる寸前みたいに聞こえたり、1曲目のコーラスとデスヴォイスの掛け合いが妙に間が抜けて聞こえたり、ちょっとB級っぽい印象を受ける所も。

WATAIN、ONDSKAPT辺りのトゥルーブラック好きにお勧めの作品。
路線は間違ってないし曲自体もいいので、もう少し垢抜けたらもっと凄いバンドになりそう。


MALIGN - Divine Facing + Fireborn - Ashes and Bloodstench ★★ (2008-09-23 09:41:25)

DSOの「Carnal Malefactor」に通じる、聖歌パートを挟んだ展開を持つ曲。
DSOと比べるとメロウさは少なく、より不気味な印象…なのはいいんですが、少しインパクトも薄いかも…どうせなら聖歌をブラックパートにも絡めてくれれば良いのに。


MALIGN - Divine Facing + Fireborn - Divine Facing ★★ (2008-09-23 09:40:34)

WATAINがGORGOROTHをカヴァーしたかのような混じりっ気なしのブラックメタル。


MALIGN - Divine Facing + Fireborn - Sinful Fleshspear ★★★ (2008-09-23 09:39:41)

これはラストの「Amen」のヴォーカルとコーラスの掛け合い、悪いんだけど笑っちゃいますね…。コーラスが余りにも音に溶け込んでなさすぎて、妙に滑稽に聞こえてしまう…。とはいえ曲自体のレベルはめっちゃ高いです。2分台後半の疾走パートとかありえないくらいかっこいい。


MALIGNANT ETERNAL - Alarm ★★ (2015-08-02 12:28:22)

1999年発表の3rd。

この後バンドはM-ETERNALと改名したようですが、その後特にリリースは無く活動停止してしまった模様。…このバンド、以前はシンフォニック/メロディックなブラックを演っていて、結構評価も高かったらしいですが…それがとても信じられないような、見事なまでにサイボーグ化したインダストリアルブラック。

サンプリングやトランシーなシンセ、無機質なリズムワークを駆使し、眼前に廃墟となった未来の都市を浮かび上がらせるような作風。THE KOVENANT辺りと比べても、よりインダストリアル要素にバンドサウンドが侵食されている感じ。楽曲を通じて漂う、濃厚な終末感は好きなのですが、個人的にはもうちょっと分かりやすい聴かせどころが欲しいな…と思ってしまいます。


MALLEUS MALEFICARUM - Nothing Left to Fight For ★★ (2012-04-10 07:16:05)

2006年発表の3rd。

フランスのインダストリアル・ブラック…という事ですが、ミディアムテンポを基調とした重厚なメロブラをベースに、インダストリアルノイズやサンプリングを用いて更にグルーミーな雰囲気を強調するスタイルですね。ドラムは基本的に生ですが、要所では打ち込みのリズムを取り入れ、無機質さを演出するパートも見られます。

この手のブラックとしては叙情的なアルペジオや沈み込むようなメロディのリフなどで聴かせるパートも多く、メロブラとしての特性もかなり残している作風。ただし、インダストリアルブラックに特有の、醒めたような虚無的な雰囲気も色濃く、それがチープさの無いプロダクションや重厚な展開と良く合っていると思う。

正直即効性の高さや愛想の良さはあまり高くは感じられず、硬派なインダストリアルブラックという感じですが、地に足の付いたクオリティの高さがあり、彼らの描く世界観にはどこか威風も漂ってると思う。グルーミーな世界観のブラックで絶望感に浸りたい方にお勧め。


MALMORT ★★ (2013-10-10 21:44:59)

フランス産ブラックメタルバンド。
ドラムを担当するOldar氏はNEHEMARやEVOHEにも在籍していた人物。


MALMORT - Vox in Excelso ★★ (2013-10-10 21:46:03)

2012年発表の1st。

フレンチブラックらしい病的な雰囲気と美しさの同居するトレモロを軸に、緩急付けて聴かせる、幾分メロディックなブラックメタルという感じですが…スラッシーというよりは、リフやリズムにどこかパンキッシュなグルーヴ感、炸裂感も感じられるのが特徴ですね。クリアな音作りながら、ドラムの音質が乾いた、かつ抜けのいい、心地良い音になっているのも、その炸裂感を助長していますね。

但し、パンク/ハードコアに見られるような、衝動を聴き手と共有するような感覚は全くといっていいほどなく、代わりに真性ブラック的な凄みというか、邪悪さで聴き手を圧倒せんとする意志に満ちている感じ。感性は完全にブラックメタル。冷徹で冷酷です。中音域でドスを効かせてがなるヴォーカルも、立派にサタンの言葉を預かるものとしての役目を果たしてます。

メロディアスでクリアな音作りから、割と聴きやすい作品ながら、フレンチブラックらしい悪のオーラが漏れてくるような作品。そこまでブルータルではないんですけど、意外とリフや楽曲の作りからMARDUKのファン辺りはグッと来るかも。


MALNATT - Carmina Pagana ★★★ (2013-08-20 00:29:11)

2005年発表の2nd。

このバンド、一般的にはフォーク・ブラックとして知られているようですが…基本的にはメロディックブラックをベースに、フォーキッシュな楽器及びメロディ、アトモスフェリックブラック的なムード重視の音像、ゴシック・ホラー的な恐怖を煽る音使い、ドゥーミーに引き摺るリフなどを楽曲ごとに使い分け、極めてシアトリカルな作風を聴かせるユニークなバンド…という感じですね。

アルバムを通じて多芸振りを見せ付けるような作風ですが、彼等の本領が発揮されるのは何と言ってもクサメロで押す楽曲に於いてでしょう。TURISASやNOKTURNAL MORTUMもビックリな壮大なメロディに始まり、理性が飛んでるとしか思えないキャッチーなスキャットを聴かせる1曲目からなんか箍が外れてる感じですし、続く2曲目も妖精ポルカメロディと一番メロかった頃のTAAKEが邪悪さを忘れてクサメタルに走ったようなメロ過ぎなリフが同居し、凄まじいまでのクサさを放ってます。

6曲目の、妖艶な女性ヴォーカルの歌うスキャットのメロディなんかもキャッチーすぎてなんかムカついてくるレベルですし(笑)、英訳すると「We are Celts」のタイトルを持つ8曲目は民族メロディが余りにも濃すぎて、お花畑をスキップしたくなりそう。これら以外のクサメロ特化型でない楽曲も、やっぱりどこかメロディが印象に残るんですよね。流石クサメタルの国、イタリアのバンドだけあります。

フォーキッシュなメロディとシアトリカルなセンスが融合し、凄まじいまでのクサさを手に入れてしまった作品。最早「ブラックにしては、メタルにしてはクサい」とかそういうレベルではなく、クサさの瞬間最大風速はサンホラやアリプロに匹敵するかもしれません。当然クサメロ好きは大推薦。聴き終わったら1曲目や6曲目のメロディを口ずさんでいること請け合いです(笑)。


MALSAIN ★★ (2012-04-29 21:22:11)

女性デス・KEY奏者を含むノルウェーのブラックメタルバンド。
GORGOROTHのライブメンバーやAETERNUSのメンバーでもあるPhobos氏も在籍。


MALSAIN - The Never Die ★★ (2012-04-29 21:23:44)

2005年発表の1st。

ショップではメロブラとして紹介されていましたが、トレモロ全開といった作風ではなく、聴き手に抑圧を与えるような、ややノイジーなブラック特有の平坦リフと、不吉な音色・メロディのキーボードで聴かせる、メロウさよりも頽廃的なムードを重視する路線の音。「Claustrophobic Metal(閉所恐怖症的メタル)」を標榜している彼らですが、少し篭もり気味のプロダクションもあって、キャッチコピー通りの閉塞感が強く感じられる音。

結構メロディアスではあるものの、メロディが澱んだ空気感を演出するような、徹底して厭世的で頽廃的なものであるため、変に甘くなったりしていないのが良い感じ。また、女性ならではの声の鋭さを活かしたヴォーカルもかなり良いですね。ドスを効かせつつ、クレッシェンド気味に声を荒げて絶叫するような部分では、獰猛な表現力を発揮していてかっこいいです。

鬱系のバンドの多くが個人のネガティブな感情を可聴化したような音を出しているのに対し、このバンドの描く世界観は、ムードそれ自体が抑鬱的…という感じ。徹底してダークな中に暗い美しさもある音で、多少カルトっぽさはあるものの波長が合えばかなり浸れるであろう作品。


MALVEILLANCE ★★ (2010-02-16 21:19:00)

カナダ産ブラック。
ブラックとハードコアとの繋がりを語る際、よく引き合いに出されるバンド。
フランス語のバンド名や曲名でピンと来ましたが、このバンドもケベックですか…。
もはや、ケベック出身以外のカナディアン・ブラックの方が珍しいのでは…(笑)


MALVEILLANCE - Just Fuck off ★★ (2010-02-16 21:18:00)

2006年発表の3rd。

「D-Beatに影響を受けたブラック」ということで、ジャンルを横断してブラックを聴く人には人気のバンドですが…音像は確かにプリブラ的ながら、リズムがハードコア由来のノリの良いものであったり、リフも寒々しい雰囲気や邪悪さではなく、そのリズムの強さを更に強調するものであったり、プリブラの中でもパンク/ハードコア要素の強い、独自の路線を貫いていますね。

…元々、ILDJARNの音楽性がパンク/ハードコアとの類似を指摘されているとおり、プリブラって意外と創生期からハードコアとの接点があるみたいですが、ノイズ音楽にまで近付いたILDJARNと比べると、このバンドの音は歪ませ方が典型的なプリブラっぽく、慣れた耳に痛くない(ILDJARNは慣れてもキツい)ため、割と聴きやすい音だと思う。
ヴォーカルもハードコアの野蛮さではなく、プリブラの狂気の方を重視した絶叫だし、プリブラ好きならばジャンルの横断とか関係無く、違和感無しに聴けるのではないかと思います。

しかし、ブックレットのコメントですが…
「"JUST FUCK OFF"は…当然の事だが心に留めておけ。この"ファック・オフ"は、このCDを持っている全ての人間嫌いの負け犬へ宛てた言葉だ」とありますが、ここまでツンデレ文化が認知された日本においては、後に「べ、別にCD買ってもくれてありがとうなんて思ってないんだからね!」という言葉が続いているようにしか取れません(笑)。音も、聴いていて気持ちの良い歪ませ方だし(笑)。


MAN'S GIN - Smiling Dogs (2015-05-30 21:12:31)

2010年発表の1st。

ブラックメタルにトライバルなリズムを導入し、ブラックが本来持つ暴力性や野蛮さに、サイケデリックな陶酔性を融合させた音楽性でカルトな支持を集めたCOBALTのメンバー、Erik Wunder氏によるフォークプロジェクトという事で購入。COBALTでもフォークを目一杯暗黒方向に解釈し、儀式的な雰囲気を醸し出すようなパートがあったので、そのムードをブーストしたような作品を期待し購入したのですが…。

ぶっちゃけ微妙ですね、この作品…。COBALTで見せたようなダークさは「あるっちゃある」程度で、アコギメインの牧歌的な演奏に、おっさんのダミ声によるまろやかなメロディを乗せた作風で、COBALTと比較しての「ダークじゃなさ」にびっくりです…。セッションを楽しんでいるような雰囲気のパートもありますし、COBALTの作風から暗黒系を期待すると大分肩透かしかも。

ただ、それは期待してた路線と違うというだけで、ちょっとダークなフォーク作品を求めるならもしかしたらかなり良い作品なのかもしれません。とは言っても個人的な好みとしては☆一個ですかね…。改めてCOBALTの作品を聴くと、やはりそっちは素晴らしいと思うんですが。


MANES ★★ (2007-07-12 17:25:00)

ノルウェーの元シンフォニックブラックメタルバンド。
ATROXやTHE 3RD AND THE MORTALのメンバーが在籍。
現在はブラックを脱却、エレクトロニカやジャズに影響を受けた実験的な音を出してます。


MANES - How the World Came to an End ★★★ (2007-07-12 17:19:00)

2007年発表の3rd。

5th以降のULVERが引き合いに出されていて興味を持ったんですが、確かにそっち系のエレクトロニカやトリップホップの要素が強い、近未来的情景を描写する架空のサントラという趣の作風ですね。
メンバーが共通している、THE 3RD AND THE MORTALの最近の作風ともかなり似ている音象。

ヴォーカルももちろんデスヴォイスなんて物は使わず、ソプラノや中~高音域のシアトリカルな男性ヴォーカルに加え、更にはラップなんかも入ってたりして…。
最早ブラックとはかけ離れまくってますが、厚めのギターの歪みやごく一部で聴けるトレモロ、何よりも空間を支配する不条理な空気感なんかはブラック的なのかもしれません。

聴いていると夜の風景が浮かんでくるのはULVERの5thとも共通してますが、摩天楼からワインを片手に煌びやかな夜景を見るようなお洒落さはこっちには希薄で、代わりに機械文明が行き着くところまで行き、タイトル通り終焉が刻々と近付いているような、無機質な恐怖感を感じさせる作風という感じでしょうか。

という訳なので最近のULVERやTHE 3RD AND THE MORTALなど、メタルに留まっていられなくなった感性を持つアーティストを追いかけるのが楽しい方には大推薦。そうでなくても、たまにはこういうメタル離れした音源を聴くのも面白いかもしれません。


MANES - How the World Came to an End - Come to Pass ★★★ (2007-07-12 17:20:32)

大々的にラップをフィーチャーした曲。
…でも、こういう抽象画のような情景を浮き上がらせる手法の一つとしてラップを選択しているという感じなので、メタラーでも意外に受け入れられるんじゃないかと思います。メタラーがラップ嫌いを克服するのにいいかも。ARCTURUSの「Master of Disguise」のリミックスと合わせてどうぞ。


MANES - How the World Came to an End - My Journal of the Plague Years (Fuckmensch Warmensch) ★★★ (2007-07-12 17:22:33)

浮遊感は前曲同様あるんですが、纏う空気が重くなってきた感じですね。
本格的に終焉が近付いてきたようなイメージの曲。
ラストのトレモロにブラックの出自を確認。


MANES - How the World Came to an End - Nobody Wants the Truth ★★ (2007-07-12 17:21:32)

ギターリフの浮遊感が豊かなイメージを喚起する曲。
…なんとなく、ブラックに行き着く前にNIN辺りを通ってる人が聴いても受け入れられそうな感じだと思います。聴いてて想像力を刺激されるし、それほど敷居の高さはないかと…。


MANES - How the World Came to an End - The Cure-All ★★ (2007-07-12 17:23:34)

女性の語りとすすり泣きのサンプリングといいキーボードの音色といい、アンニュイな雰囲気を発する曲。終焉を前に絶望する者とそれを宥める者、みたいな音でしょうか。聴いてると勝手にストーリーが捏造されてきます(笑)。しかしラップはあくまでクール。


MANES - How the World Came to an End - Transmigrant ★★★ (2007-07-12 17:24:30)

遂に終焉が訪れ、崩壊していく世界とそれをして移住(Transmigrant)していく者、そして彼らを導く主導者…といった感じでしょうか(注・勝手な妄想です)。アルバムの中でもダークで、かつ山場と言える曲ではないかと思います。


MANES - Solve et Coagula ★★★ (2009-08-08 09:21:00)

1994年に発表された音源をリミックスした「Ned i Stillheten」に、SHININGのKvarforthとXASTHURのMaleficという豪華ゲストを呼んで制作された新曲「Solve et Coagula」を加え、2009年にKyrck Productionsよりリリースされた音源集。

まず1曲目は、新曲の「Solve et Coagula」ですが…鬱系にも通じるスローテンポを中心とした作風ながら、ところどころシンフォ要素を上手く挟んだ展開で、他に似たバンドを挙げづらいオリジナリティある音楽性。上品なはずのシンフォ要素が、恐く聴こえる辺り、感性が根底からブラックなんだろうな~と思います。SEの使い方も、LIFELOVER辺りに通じる不条理な恐さを感じられますし。

2曲目からの94年の音源の方は…まずキーとSEを不気味に組み合わせた、聴いているだけで邪念に捕われそうなイントロに始まり、靄のかかった音質の中で打ちこみっぽいリズムが終末的なヴィジョンを演出する曲、作風こそ1曲目の新曲と似ていながら、低音質が攻撃性やアングライズムではなく、倦怠に向かっているような曲など、どの曲も独特かつ魅力的。

94年の音源において、SEや打ち込み、低音質を上手く利用し、倦怠の中で徐々に終末に向かっているような雰囲気を演出しているのを聴くと、彼らがその雰囲気を更に強めるためにジャズやエレクトロニカを取り入れたのは必然だったと思わざるを得ません。
そしてそれが実を結んだのが、ブラックの裏名盤「How the World Came to End」ではないでしょうか。

MAYHEMやBURZUM、EMPERORのどれとも全く違う音楽性がここにはあります。
ULVER、THORNS、VEDと並んで、初期ノルウェーのシーンを追っている人は聞き逃してはならないバンドだと思います。


MANES - Vilosophe (2007-10-14 11:03:00)

2003年発表の2nd。
もうこの時点で大分エレクトロ・ゴシック化してますね。

エレクトロニカ/ジャズに更に傾倒した3rdと比べると、こちらの方がギターがメタル寄りでその重量感とドラムンベースっぽいリズムまで取り込んだ打ち込みドラムやキーボードの醸し出す浮遊感が合わさって、かなり独特な空気感を成しているように思います。
3rdが破滅する都市の夜景なら、こちらは宇宙的な浮遊感を描写している感じでしょうか。

…ただ、音は好みなんですがヴォーカルが微妙なのが痛いですね…。
3rdでは酩酊感を助長する色気のある低音や仏語の響きを活かしたラップなどもあってそれなりに聴けたんですが、今作は男性ヴォーカルが猫なで声で歌っていて正直自分には何の魅力も感じられませんでした。
SAMAELやULVERのように色気があって聴き手を引き込めるヴォーカルがいれば…

そういう訳で、どうしてもヴォーカルのせいで似たような路線の音楽性だったらULVERの4th辺りに手が伸びてしまう作品。路線自体は良いと思うんですけどね…。


MANETHEREN ★★ (2013-03-01 18:39:33)

アメリカ産鬱ブラック。
DISK UNIONのガイド本でも作品を取り上げられた実力派。


MANETHEREN - Time ★★★ (2013-03-01 18:42:03)

2012年発表の4th。

ショップでも「ハイクオリティな鬱ブラック」と紹介されていましたが、これは予想していた以上に良い作品かもしれません。まず驚くのは、音のクリアさと厚さ。アトモスフェリックにバンドサウンドを包むキーボードを効果的に用い、鬱屈したムードの演出を行うタイプの作風ですが、頭のキーボードからして厚みのある音でびっくり。本編のバンドサウンドも、妙にノイジーになったりせず、叙情的なフレーズをしっかり聴かせるクリアさのある音で、アングラ度は低め。

6曲74分という大作主義、しかも鬱ブラックというジャンルとしては珍しく、ミニマルなフレーズの繰り返しではなく、ドラマティックな楽曲構成で聴かせる音ですが…ブラストビートを用いた疾走パートであっても、メタリックな高揚ではなく、鬱感情が加速していくような感覚を覚えさせる辺り、やはり鬱ブラックとしての感性がしっかり根付いていると言えるでしょう。

基本的にはほんのりと叙情味の感じられるメロディを練りこんだリフで聴かせる、ドラマ性を重視しつつもメランコリックで儚いムードを描き出す作風ですが、歪みの少ないトレモロリフを用いてシューゲイザー系ブラック的な清浄さを演出したり、クワイア風のコーラスで畏怖を感じさせる雰囲気を醸しだしたり、テンプレをなぞるだけではない展開があるのも良いですね。ヴォーカルも、ただ悲痛なだけでなく苦悩や懊悩に苛まれているかのような表現力があって良い感じ。

楽曲やプロダクション等、総じてレベルの高い音という感じで、鬱ブラックというジャンルにハマりたての聴き手にもお勧め出来そうな音。特にSHININGやFORGOTTEN TOMB辺りのドラマ性を重視する作風が好きな方にお勧め。ただ、ミニマルな音に乗せてマイナス感情をひたすらブチ撒けるような生々しいものが好みな方には向かない可能性も。良くも悪くもハイクオリティです。


MANIAC BUTCHER - Lucan - antikrist ★★ (2014-10-03 19:46:50)

96年発表の2nd。
私が持っているのは2009年に再発されたもの。
ちなみにチェコ産のバンドとしては90年代初頭から活動する古株で、一時期活動を停止していたものの、2009年から活動を再開しているようですね。

作風は、黎明期ブラック、特にDARKTHRONE辺りの影響をがっつり受けた、純粋過ぎるほど純粋なブラックメタル。閉塞的アンダーグラウンド臭が立ちこめていながら、それほど聴きづらくない音質、悪魔的なイメージを直接的に想起させつつ、楽曲をメロウに彩るトレモロ、オールドスクールな作風に特有の熱気など、如何にもプリブラといった感じの魅力に溢れてますね。

当時のDARKTHRONE辺りがやってたようなプリブラと比べると、ヴォーカルのがなりが地声混じりで、非人間的な恐ろしさよりも人間的な感情の昂ぶりを感じられるのが、若干異なるポイントでしょうか。…この作品、基本プリミティブ系ながら良く聴いてると最初期(アンビエント要素導入以前)のBURZUMやメロブラ期のDISSECTIONから影響を受けたと思われるフレーズがあったりして、聴いててちょっと微笑ましくなります(笑)。

ちなみに、2009年版には95年に行われたLiveのかなりRawな音源と、チェコの伝説MASTER’S HAMMERのカヴァーが入ってますが、本編終了後無音の後に2曲が再生されるという仕様なので、聴くのがちょっと面倒です(笑)。トラック分けしてくれてもいいのになぁ…。


MANIERISME ★★ (2007-09-12 13:21:00)

国産プリミティブブラック。
最近ではARKHA SVAやSSORCの高評価で日本のブラックシーンも何気に
盛り上がっているようですが、このバンドもかなりお勧めです。
でもせっかく良いバンドを見つけたのに、もう解散してるとは…惜しいです。


MANIERISME - Manierisme ★★★ (2007-09-12 13:14:00)

2006年発表の1stアルバム。666枚限定、シリアルナンバー入り。
このバンドは解散してしまったので、これが唯一のCDリリースみたいです。

パッと聴いた印象では、XASTHURやLEVIATHANなどのアメリカ勢にも通じる音質のノイジーさが醸し出す邪悪さや、MUTIILATIONや3rd以前のDEATHSPELL OMEGA等のフランス勢に通じるメロウだけど病んでいるメロディを取り入れた、良いとこ取りの良質なプリミティブブラック…という感じだったんですが、アルバムを聴き進めて行き、音にハマりこんでいくと、どこか日本の村社会的な粘着質な恐さも感じられる音ですね。

発狂したり儀式の詠唱みたいな声を出したりするヴォーカルもそういう感覚を強めてます。
戦前の日本、土着の神に生贄を捧げる風習がある寒村で、儀式の最中に祭主を務めていた当主が発狂、村人とたまたま村を訪れていた新聞記者を斬殺して自殺、そしてこれがその新聞記者の持っていたテープに収められていた映像である…みたいな光景が浮かんできます(笑)

猟奇的で血腥いけれど、どこか耽美さも感じさせるような独特の雰囲気。
サタニズムよりも猟奇性やオカルト性が強い感じ。結構前衛的な展開もあり、メロディもかなり良くて丁寧な作りの作品だと思います。ただ、中盤一瞬だけ音がでかくなる所があるのは少し不満。折角の酩酊感が途切れてる気がする。

これ、上記したバンドの作品群にも劣らない名盤だと思うんですが…
プレス数が限定されているのと、もう解散してしまっているのが本当に惜しい。プリブラ好きなら、見つけたら即買い推奨のアルバム。


MANIERISME - Manierisme - Anusy, Spent With You! ★★ (2007-09-12 13:17:46)

シンセをバンドサウンドに見立て、それをブラックのリズムで切り裂いていくかのようなアヴァンギャルドな曲。シンセは音色もメロディも不気味で雰囲気たっぷりなので、プリブラチューンの中に混ざっても違和感はありません。