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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4201-4300
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4201-4300
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MERIDIAN - The Seventh Sun ★★★ (2011-07-27 20:33:53)

2002年発表の1st。
これ一枚で解散したなんて信じられない位、良いアルバムですね…。

路線としては、スラッシュメタルのテクニカルさを十分に引き継いだ、刻み重視の変化に富んだギターリフを中心とした、クオリティの高いブラックメタルに、EBM的な打ち込みパートや、ノイズ・サンプリング、不穏なキーボード等のインダストリアル要素が絡むタイプ。時折ギターの歪みをインダストリアルノイズに近づけたり、(MORTIFERAの)Noktuに近い粘着質ながなり声もハーシュな響きがあったり、音像を上手くインダストリアル要素に溶け込ませる工夫も成されている印象。

このバンドが素晴らしいのは、そうしてインダストリアルを上手く導入しながらも、それを取り去ったとしてもバンドサウンドがマッシブで、十分に聴き応えがあることなんですよね。特に前述のテクニカルなリフや、妖艶なメロディを紡ぎ出すギターワークが素晴らしい。4曲目や8曲目など、バンドサウンドとインダストリアルのバランスが逆転しているものもありますが、基本的にはインダストリアル要素は、EBMっぽいリズムを引きに使ったり、ムードを引き立てたり、バンドサウンドありきで用いられている感じ。しかし決して「なくてもいいもの」ではない所が凄いと思う。

個人的な印象では、KEEP OF KALESSINやANTARES PREDETOR辺りのテクニカルなメロブラを7割、RED HARVESTやVOID辺りのインダストリアルブラックを3割くらいの割合で混ぜたような、意外と他で聴けない優れたバランス感覚のアルバムだと思う。ガチガチなインダストリアルやEBMよりも、エクストリームメタル好きにはこれ位の方が入っていきやすいかもしれません。


MERRIMACK - Of Entropy and Life Denial ★★ (2010-03-20 22:22:00)

2006年発表の2nd。

全体的な雰囲気は「いかにも真性です」という黒さを放ってますが…NAGLFARやDISSECTIONが持つような、エクストリームメタルとしての真っ当なかっこよさと、DEATHSPELL OMEGAの3rdが放つ、コマーシャリズムからある程度の距離を置いた、アングラ・カルトな雰囲気を両立しているバランス感覚の良い音は、WATAINやONDSKAPTを引き合いに出して語りたくなりますね。

ヴォーカルの中音域でストレートに邪悪さをぶつけてくるがなり方も、WATAINのスタイルに似てると思う。
メロディにDEATHSPELL OMEGAを初めとした、フレンチブラック特有の毒々しい美しさが感じられるのも特徴で、それが曲のどす黒さをより引き立てていますね。漫画「アカギ」で、鷲巣の背後から物の怪たちが這い出してくるシーンがありましたが…これを聴いてると、ああいうグロテスクなシーンが浮かぶんですよね(笑)。

邪悪さの表現力、演奏のかっこよさ、メロディの毒性、ヴォーカルの禍々しさ…どの要素も安定してレベルが高く、凄く品質の良いアルバムなんですが…クオリティの高さの割にはマイナーなんですよね…。ごく真っ当に質が高くて、あんまり突っ込み所がないからだったりして(笑)。
WATAIN等同様、真っ当なエクストリームメタルファンが真性ブラックの恐怖を味わうには、かなり適した音源だと思います。


METI BHUVAH ★★ (2013-04-30 10:26:13)

ロシア産ブラック。
SOLI DIABOLI GLORIAのメンバーが絡んでます。


METI BHUVAH - Ⅱ (2013-04-30 10:27:46)

2009年発表の2nd。

バンド名にサンスクリット語(「地軸」の意)を用いていたり、メンバーがレーベルを運営し、そこから自らの作品も出していたり、背景を聞いただけでなんか気合入ってる感じですが…音の方は関連バンドのSOLI DIABOLI GLORIAよりも、更に上級者向けな感じですね。

ノイジーでガビガビした音質が耳を聾する、RAW音質によるオールドスクールなプリブラという感じですが、オールドスクールなバンドにありがちな高揚感は殆どなく、どこか気が滅入ってくるような陰鬱さを感じる音。特にメロディアスという訳でもないのに、地下臭い音作りのせいかやたら陰気に聴こえます。ごく一部で聴けるメロウなトレモロでは意外にも良質なメロディを奏でていたりしますが、そもそもメロディは余り重視されていないような作風。

これは気分が合うときに聴けば心地良く陶酔出来そうですが、普段から聴くにはちょっと辛いかな…って感じですね。上級者向けというかややフェチ向けかも。殺気の篭もったヴォーカルとか悪くないですけど。


MEZZERSCHMITT ★★ (2009-11-14 23:01:00)

MAYHEMのBlasphemerとHellhammer、RED HARVESTのLarsによる変名バンド。
BlasphemerもMAYHEM抜けたみたいだし、活動再開&フルレンス制作して欲しいです。
出来ればManiacも呼んで。


MEZZERSCHMITT - Weltherrschaft ★★ (2009-11-14 23:00:00)

2002年発表の4曲入りデビューミニ。

MAYHEMのメンバーが二人在籍していることからも分かる通り、当時のMAYHEM(GRAND DECLARATION OF WAR)の路線である、ミリタリーな雰囲気のある、テクニカルなインダストリアルブラックを演ってますね。アンビエント的な要素も含む、やや前衛的な展開はTHORNSの1stからの影響も強そう。

Maniacがコンセプト制作の為に大学に通ったり、収録曲を元に学術論文を書いたドイツ人の学生も現れたという逸話の残るGdoWと比べると、コンセプトも音もちょっと淡白かも。雰囲気を重視したためか、爆走はほぼなく軍隊の行進的なミディアムが殆どだし、Maniacの特徴のあるデス声もないし(BlasphemerのVoスタイルは、語りと無感情気味なデス声)。

ただ、実力のあるメンバーが揃っているだけあって、演奏の方はガチで素晴らしい。特にBlasphemerのギターは最高で、2曲目や3曲目のリフなんかは、KEEP OF KALESSIN辺りのテクニカルなブラックを愛聴する人なら悶絶間違いなし。

とはいっても、やっぱり4曲は短いなぁ…。
Encyclopaedia Metallum見たら、活動中って書いてあったんですけど、フルとか出してくれないんでしょうか。MAYHEMのGDoWを聴いて、もっとこういう路線を聴きたいと思った方なら必聴の作品です。


MEZZERSCHMITT - Weltherrschaft - Die Nacht Hat Augen ★★★ (2009-11-14 23:01:35)

アンビエント的なパートから、テクニカルな演奏を爆発させるように叩きつける曲。…にしても、この曲のリフ捌きは素晴らしい。Blasphemer氏、ブラックやゴシックなどの、ある程度雰囲気が重視されるバンド以外にも、テクニカルデスとかメロデスとか、メタルの「演奏」のかっこよさを最重視するサブジャンルにも挑戦して欲しいと思うのは私だけ?


MGLA ★★ (2006-03-23 21:44:00)

ポーランド産ブラックメタルバンド。
バンド名の意味はポーランド語で「霧」。
もしかしたら凄いマイナーなバンドかもしれません…
検索しても体操教室みたいなものばかりひっかかるんですけど(笑)
出てるCDもまだ05年参加のV.A.と、今年の頭に出たEPだけみたいです。
ですが曲の方は素晴らしいとしか言い様がありません。
カテゴライズするなら「メロウなプリブラ」になるんでしょうけど、
メロウさはSatanic Warmasterなどと比べても負けてません。
この手が好きなら是非チェックしてみて下さい。特にV.A.の曲が良いです。


MGLA - Crushing the Holy Trinity(holy Spirit) - Power and Will Part Ⅳ ★★★ (2006-03-23 21:46:17)

もう曲が始まって5秒で名曲確定…と思っていたら、その次に出てきたリフも本当に素晴らしいもので驚きました。 なんでこんな素晴らしいリフをいくつも書けるんでしょうか…プリミティブブラックの魅力とは何か?という問いに答えられるぐらいの名曲だと思います。


MGLA - Groza ★★ (2008-09-15 03:18:00)

2008年発表の1st。
タイトルは「恐怖」という意味らしいです。

Northern Heritageのアーティストによるオムニバス「Crushing the Holy Trinity」やEP「Presence」を聴いて、彼らにはプリミティブブラックとして物凄いポテンシャルを感じていて、それだけにフルレンスの発売は心待ちにしていたのですが…。

まず音質はノイジーさが大幅に減退、リフの硬質な歪ませ方とドラムのアナログ感のある味のある音が印象的な、プリブラっぽくないクリアなものになっているし、展開もトレモロを中心に据えず(10分超えの大作の1曲目は全く出てこない)、ミディアムを基調にアコギを入れたりしてミニマルながら緩急を付けたものになっているし、総じて渋い作風になったという印象で、最早オムニバスの時とは別のバンドのような音になってしまいました。
初めて聴いた時は、余りの失望感に苦悶の声が漏れてしまったほど。

でも、頭をクリアにしてもう一度聴いてみると、これはこれで良いと思えるように。
後半多用されるトレモロは相変わらずメロウだし、音が太く(ふてぶてしく?)なった事で邪悪さはむしろアップしていると思うし、CRAFTにも通じるリフの歪め方に拘った音作りやWATAIN、SECRETS OF THE MOON辺りに通じる低音質に頼らないどす黒い禍々しさなど、今までに無かった魅力も備わってきているように思います。

第一印象は正直良くなかったんですが、ちゃんと聴いてみるとNorthern Heritage産らしく高いレベルで邪悪さを表現出来ているブラックで満足。1stにしてCRAFTやWATAINにも通じる風格のようなものが出てきたように思います。
ただ、オムニバス作品や「Presence」のような鬼メロウな路線で一枚フル出して欲しかったなぁ…と思うのもまた事実ですね…。


MGLA - Presence ★★★ (2006-03-23 21:48:00)

2006年発表の3曲入りEP。

このバンドはDeathspell Omegaも参加しているV.A.「Crushing the Holy Trinity」で癒されるほどにメロウで、ザラザラした質感のプリミティブブラックをやっていて注目していたんですが、ようやく単体での音源が発売されました。

やはりV.A.でも聞かせてくれた通り、メロディのセンスが飛びぬけて良いです。プリミティブを聴いた事が無い人に聴かせても充分魅力が伝わりそうなぐらい、メロディの質が高いと思います。またV.A.の時よりもヴォーカルがパワーアップしていて、太くて悪意のこもったがなり声なのがたまらないです。

ただ、個人的には音質がノイジーになってしまったのはちょっと頂けないかも。あのザラザラした薄っぺらい音質、癒されたのに…それでもやっぱり、「メロウなプリブラ」として優秀だと思います。


MGLA - Presence - Presence I ★★★ (2007-03-02 18:08:49)

普通のブラックメタル…に限らず、メタル音楽の音像って大体まずリズムありきでその上にリフやヴォーカルが乗るというイメージがあるんですが、この曲はまずリフありきでその上でリズムを展開させているという印象を受けます。本当にそういう曲作りをしているのかは分かりませんが、そう思うくらいリフが魅力的です。


MGLA - With Hearts Toward None ★★★ (2012-11-01 22:33:07)

2012年発表の2nd。

これはヤバい!!このバンドって、今までは「知る人ぞ知る」くらいの知名度のバンドだったという認識なんですが、この作品を以ってジャンルの代表格のバンドと肩を並べるくらい、魅力的なバンドに成り上がったのではないでしょうか…ほんと素晴らしいアルバムですよ、これ。

作風的には、今までの集大成という感じで、前作「Groza」で見せた、音質を太くすることでWATAINやCRAFT辺りに通じる、どす黒い邪悪さも保ちつつ、初期作品のメロウなトレモロも再び多く取り入れ、より聴き手の耳を惹く力をアップさせたような作風。ヴォーカルもドスの効いたがなりで、威厳すら漂わせる存在感を放っており、非常にかっこいい。

プリミティブブラック的な執拗な反復で聴き手をトランス状態に導きつつ、時にファストブラック以上の怒涛の狂った疾走を、時に激メロウかつ邪悪の哲学を脳髄に叩き込むようなトレモロを聴かせる展開も、カルト風味を醸し出しつつドラマティック。メロウなトレモロを用いていない部分でも、リフの歪め方が巧いせいで、辺りの情景が焦土に変わっていくような荒涼感を覚えるほど。

最早WATAINやOFERMODが目指した、ダイレクトな暗黒性を引き継ぎつつ、プリミティブブラックの手法による催眠性も同化させた、モンスター的な作品と言っても過言ではないのでは。リフの反復で聴き手をトランスさせ、理性の抵抗を奪ったところでサタニズムを説く、非常に危険なアルバム…マジでそんな風に思えてきます。しかしこれだけの作品を出したとなると…MGLAが皆に見つかってしまう(笑)。


MIDDLEISLAND - 曝獣 ★★ (2009-08-23 09:17:00)

2009年発表のミニアルバム。
以前からメタラー間でも話題に上ることが多いアーティストでしたが、実際買って聴いてみて、
そのクオリティの高さに驚くと同時に、一発で惹き込まれてしまいました。
「焼け爛れるような鍵盤」「叫び唸るような哀しい弦」が激情とも言える情念を表現する
劇的なアレンジ、RAPHAELにも通じるキャッチーさ、ロマンティシズムを感じさせながらも
もっと歌謡曲寄りの歌メロ、エモーショナルという言葉では片付けられない感情の篭もった
ヴォーカルが、一丸となって一つの世界観を構築するかのような作品。
この殺陣が繰り広げられているような緊迫した雰囲気、前のめりに暗い熱情を吐き出していく
テンションは間違いなくHR/HMに通じるものがありますね。
「後悔曝獣」などは様式もほぼHR/HMと言って差し支えないかも。
しかし、このヴォーカル、素晴らしすぎるんですが…メタルの観点から言っても、非常に
優れたシンガーだと思います。NOVA-ERA、INSPIREの杉乃さん、GUARDIAN HACKERの
Asamiさんを思わせる、しゃくりを多用するスタイルですが…そのしゃくりや、声が割れる
ような激しい歌い方、語尾を絶叫させたりなどの感情表現が、無理のない、自然な歌唱の流れの
中で行われていて、心地良く聴けると同時に、そこに込められた情念に否応なく引き込まれて
しまいます。こういう、ドスが効きつつも艶やかさのあるヴォーカルはレアなのではないでしょうか。
アレンジ、歌唱、世界観共にメタラー好みのする作品だと思う。
最近ASRIELや六弦アリスなど、ゴシックな世界観とメタル要素を持ったアーティストが
DISK UNIONに入荷されてますが、このMIDDLEISLANDも是非棚に並べて欲しいです。
一撃で虜にするキャッチネスと、ムードの濃さを高レベルで両立させた素晴らしい作品ですよ。
アルバムの感想とは直接関係ないですが…
もしかしてこのアーティスト名、コンポーザーの中島岬さんの苗字からでしょうか。


MIGHTIEST - SinisTerra ★★ (2016-07-09 11:41:55)

2016年発表の1st。

メンバーは他のバンドを演ってたりしたとはいえ、なんと結成から20年以上が経ちようやく発売された初のフルアルバムだとか。だからなのか、楽曲の展開はかなり力が入っている印象。ドラマティックな展開から伝わるメタリックな力強さ、エピックな土着性が演出するメロウさを丁寧に組み合わせ、トレモロとブラストのみに頼り過ぎない劇的なブラックメタルを演出してます。朗々としたクリーンで歌い上げるパートなんかは若干ペイガンに通じる部分も。

ただし、プロダクションは一般的な「良い音」ではなく、リフをノイジー&ファジーに聴かせたり、アトモスフェリックなキーボードで音像を包み込んだりなど、ブラックならではのやり方で神秘性を強調したもの。この音作りと曲展開のバランスが織り成す独特の神秘性から、ショップでLUNAR AURORA辺りが引き合いに出される所以なんでしょうね。個人的にはこういう展開ならもっとフレーズをくっきり聴かせた方が良いな…と思ってしまいますが。

聴き応えのある作品であるのは間違いないですが、ちょっと惜しい面もあるかな…という作品。ドラマ性と神秘性を両立させたブラックが好きな方に。


MIND ASYLUM ★★ (2011-07-03 22:00:40)

フランス産鬱ブラック。
1stにはDARK SANCTUARYのメンバーがヴァイオリンでゲスト参加。


MIND ASYLUM - L'ASILE DE L'ESPRIT ★★★ (2011-07-03 22:01:45)

2009年発表の1st。

何気に凄くいいアルバムですね、これ。
基本的にスローで沈み込むようなリフで展開する鬱ブラックですが、DARK SANCTUARYのメンバーによる、暗く耽美なメロディのヴァイオリンが入ったり、鬱系にしてはかなりキャッチー(?)なトレモロリフが出てきたり、ブラストで疾走してみたり、ゴシックやメロブラの要素もかなり強い、サブジャンルを横断する路線ですね。特に3曲目の一部のリフ、DISSECTIONの「Thorns of Crimson Death」を思わせる、お約束過ぎるメロディでなんか嬉しくなってしまいました(笑)。

曲展開も非常に丁寧で、上記の要素をどの曲にも組み込んでくれているため、構成が鬱ブラとしてはかなりダイナミック。ヴォーカルも誰が聴いても素っ頓狂には聴こえない程度に感情を込めて叫んでるし、自殺・自傷衝動に任せたようなカルト性はほぼ皆無ですが、丁寧さは音作りにも及んでいるため、鬱ブラとして物足りないという事はありません。リフの音色が「鈍い」ヘヴィさで、それが鬱ブラ特有の沼に沈むような感触を強めているように思います。

確かに、ダイナミックで丁寧な曲作り、サブジャンルを横断する作風等は、カルト志向の方には却って敬遠されるかもしれません。しかし、鬱ブラ初心者にも聴いてもらいたいような、美しい絶望感に満ちた作品でもあると思います。


MINSK - Out of a Center Which Is Neither Dead nor Alive ★★ (2008-11-28 06:49:00)

2005年発表の1st。
タワレコの200円セールにて発見、「確かMINSKってフォークメタルバンドだったような…。
フォークメタルは結構好きだし、200円ならまあ外しても痛くないし…」と軽い気持ちで購入。
…全然フォークじゃないじゃないですか(笑)。むしろフォークメタルより好みの路線、かつ一級品の
メタルだったので驚きました。(ちなみに、LUMSKと勘違いしてフォークメタルと思ってた模様)
ジャンル的には…これはスラッジ・ドゥームというんでしょうか。
ノイズ/ドローンにも通じる爆音のギターに、パーカッシブでプリミティブな雰囲気のリズム、
ハードコアっぽい野蛮な絶叫、土着的なメロディなどを絡めたスタイルで、原始時代の音楽が
持っていたであろう根源的なパワーをメタルのアンサンブルで表現したような作風。
ミニマルでありながら、ダイナミズムも同居した音作りがなされてる辺り、凄みが漂ってますね…。
アートワークなどから受ける神秘性は音にも篭められてると思いますが、なにか根源に触れる
物があるからこそ、神秘的に感じるのかもしれません。聴いているとその力に中てられて、
意識がどこかにトリップしてしまいそうになります。ユーロロックプレスのトリップメタルの
コーナー辺りで紹介されそうなアルバムですが…独自性、曲の良さ、音作りの上手さ、カルト性なども
文句の付け所がないし、トリップメタルとしてもかなりレベルが高いんじゃないでしょうか。
これなら普通にセール価格じゃない値段で買っても後悔しなかったと思う素晴らしい出来。
それにしても、勘違いでこんな名盤が、しかも超安価で手に入ってしまうとは…。
ここ数週間分の運は使い果たしたんじゃないか心配になります(笑)。


MINSTRELIX - Reflections ★★ (2009-03-10 20:50:00)

2009年発表の2ndアルバム。過去の再録曲などで構成されているようです。
クサメタラーの間では既に話題沸騰中の彼らですが…確かに、キーボードやクワイアを入れて
疾走する煌びやかな音像に、ややクサめの歌メロやクラシカルでクサいリードギターが
舞い踊る作風は評判に恥じないものがありますね。特にギターは、よっぽどクラシカルなメロを
弾き倒したいんだなぁ…と、聴いていて半ば呆れながら感心してしまうほど(笑)。
しかし、その弾き倒しが自己満足にはならず、曲全体が非常にドラマティックな響きを
持っている辺り、曲作りのセンスはかなり高いのではないでしょうか。
最初聴いた時は、ヴォーカルがプッシュされている割には、作風の特徴となる程の個性的な
ものではないことや、クサメタルシーンで話題になる割に歌メロが少し弱いような気が
したことに戸惑ってしまったんですが…聴いているうちに、これが「歌謡メタルにならない
ギリギリのクサさ」なんだろうな…と気付き、なんか納得してしまいました。
中でも「Spiritus Mundi」「Sky Flame」は、歌謡メタルにならず、しかも一流の歌謡曲と
勝負できるキャッチネスに満ちた歌メロがあるという二律背反を見事にクリアした、
稀有な曲だと思う。他の曲も淡白に聞こえるのは陰陽座のシングルやDRAGON GUARDIANの
1stと比べてであって、この手では十分クサいと言えるし、なによりバックのメロが
クサすぎなので問題なし。
パワーメタルなどのレビューを見てると、歌メロが歌謡的になることに対して否定的な意見を
持つ人が意外と多いみたいですが、そういう人でも楽しめるクサメタルだと思う。
私は歌謡メタル大好きなんですが、これも素晴らしいと思います。
NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATIONに求めて、得られなかった世界観がそこにはあった。


MINSTRELIX - Reflections - Spiritus Mundi ★★★ (2009-03-11 22:19:09)

この曲に関しては、ただ単に完成度が高いというよりは…音楽のスタイルとして一つの完成を見ているような出来だと思う。既聴感ありまくりなサビメロが特に最高です。


MIRKHALL - Heathen Hearted (2015-12-04 00:34:20)

2005年発表の音源集。
98年のデモ「Ring to Rune」、2000年のデモ「Winter of Tragedies Reign」をまとめ、リマスターを施したもの。

このバンド、BEHEXENやSARGEISTを始め、HORNAやMORTUALIA、FINNENTUMなど数多くのバンドに関与し、NIGHTBRINGERやDROWING THE LIGHTなど知名度の高いバンドにも関わっていた、フィニッシュ・ブラックの裏番長的存在ともいえるShatraug氏が正式メンバーのペイガンブラック…という触れ込みですが…そんなハクの付いた出自とは裏腹に、余りにも渋いというか…ぶっちゃけ地味な作風です(笑)。

リフにはペイガン由来の土着的叙情性が込められてはいるものの、ミッドテンポ中心かつ乾いたノイジーさのプロダクションのせいで、今ひとつそれがダイレクトに伝わってこない音なんですよね。BURZUMの名盤、「Filosofem」から緊張感とカリスマ性を取り除いた感じというか…。歌うように弾かれるベースだったり、時折入るおっさん臭い朗々としたクリーンは良い味出してて嫌いじゃないんですが。

…ぶっちゃけペイガンブラックとしてはかなり微妙な作品だと思います(苦笑)。Shatraug氏がこんな活動もしていたという資料的な作品としてなら良いかも…。


MIRRORTHRONE - Carriers of Dust ★★★ (2008-07-26 11:34:00)

2006年発表の2nd。

クレジットによると、作曲や演奏だけでなく、プロデュースやミックス、マスタリングに至るまでVladimirという人物が家で行ったと書いてありますが…信じられない。天才と呼ばれるアーティストが多いこの界隈、彼は天才の中の天才と言えるのでは…。

路線的には、チャーチオルガンやチェンバロ、フルートやストリングスなどが舞い踊る、LIMBONIC ART(の2nd)やANOREXIA NERVOSA辺りにも匹敵する、もしくはそれ以上のシンフォニック・ブラック。20分越えの曲を含む、大作主義でドラマティックな作風も大きな特徴と言えるでしょう。

また、これだけシンフォにしながらも、バンドサウンドの方もブラックらしいトレモロを随所に織り込んだフレーズ面、音の壁が立ちはだかるような音響面でもシンフォ要素に負けてないのが素晴らしい。
ただシンフォな音をメタルサウンドに乗せるだけでなく、その二つが絡み合い更なる高みに上り詰めていく様は圧巻。

展開も平均10を超える大作をスムースに聴かせるだけの巧みさがあるし、メロディもこれだけクサメロを乱舞させておきながら、変にダサくならず、常に厳かでどこか背徳的な香りを漂わせている辺り本当にセンスが良い。

ヴォーカルも低音デスヴォイスには下手な専任Voよりずっと迫力があるし、OPETH似の普通声もアカペラでセルフハモり入れるパートでも全くアラみたいなものを見せない歌唱力の高さがありますね。
音質もシンフォ要素とバンドの音の両方をクリアに聴かせる鮮明さで、音量も適正な大きさで全くもって問題無し。

…しかもブックレットの写真を見ると、Vladimir氏はなかなかのイケメン。
ほんと、憎たらしいくらい欠点が見つからないですね(笑)。敢えてアラを探すとすれば、ドラムの音はもう少し改善の余地アリかも。このクオリティならば、シンフォ系苦手な人でも何か凄いものに触れた事は分かるでしょう。こんな凄いものを独りで作り上げた人がいる事がまず驚きだし、この質で日本盤出ないのはもっと驚き。シンフォ・クサメロ好きなら必聴です。


MIRZADEH - Desired Mystic Pride ★★ (2015-11-08 11:27:49)

2014年発表の3rd。

アトモスフェリックなキーボードと、泣きメロを織り込んだギターワークを武器に、ミッドテンポ中心の展開で聴かせるシンフォニック・ブラックで、派手で攻撃的な路線が人気を集めやすいこの手の音としては、割と渋めの音を出しているバンドですね。ただ哀愁があって浸れるというだけでなく、時折ペイガンやゴシックに通じる妖気を感じさせ、楽曲にメリハリを付けているメロディセンスがなかなかに良い感じ。

ただし、歌謡曲を聴いて育った耳には、このバンドのクリーンは正直「ないわー…」という感じがしてしまいますね…。なんか喉を絞めているというか、おっちゃんっぽいというか…カリスマ性が今ひとつ感じられないのがネック。低音のグロウルやブラック的な絶叫の方は悪くないです。特に後者は切羽詰った感じがして、個人的には好きですね。まあクリーンもアルバム通じて物凄く多いわけではないですし、全然許容範囲内ですが。

本来盛り上がるべきパートであるクリーンの歌い上げが来るとげんなりする…というウィークポイントはありますが、金太郎飴にはならないバラエティ、全体的な雰囲気など、決してクオリティは低くない良作。メロディに浸りたい派のブラック好きに。


MISERICORDIA - Throne of Existence ★★★ (2015-04-02 12:30:40)

2014年発表の2nd。

スウェーデン産のブラックメタルバンドで、初めて音源を聴きましたが…これはなかなかの良盤ですね。クリアな音質と緩急の付いたドラマ性ある展開で聴かせる、ハイクオリティかつオーソドックスなブラックメタルで、トレモロやブラストのみに頼り切らず、メタリックなギターソロや若干メロデスに近いリフも時折用いる辺り、メロブラ寄りの作風と言えるでしょうか。

音作り自体にアングラな面は少なく、聴きやすい音といえますが、ブラックらしい殺気はしっかりと感じられるのが素晴らしいですね。特に不穏なアルペジオやリフのメロディに見られる、Blasphemer期のMAYHEMにも通じる殺伐とした雰囲気や、つんのめるような疾走とそれを煽るリフ捌きの演出する暴虐性が、ブラック好きには何とも心地良い。ヴォーカルは低音グロウルと高めの絶叫を使い分けるスタイルですが、絶叫時に噛み千切るようなヤケクソさが感じられつつも、キレの良い声なのがまた良いですよね。

物凄く特徴のある作風というわけではないですが、この手が好きならば安心して聴けるクオリティを備えた良質な作品。同郷のバンドなら、最近のNECROPHOBIC辺りが好きであれば是非。


MIST (ITALY) ★★ (2013-12-30 23:41:00)

イタリア産シューゲイザー/ポストブラック。
…と紹介されてましたが、シューゲイザー?ブラック?って感じです(笑)。摩訶不思議なサウンド。


MIST (ITALY) - Snowy Nocturnal Forest and Stellar Sky (2013-12-30 23:42:32)

2013年発表の1st。

某所にて、今年発表の新作だったにもかかわらず、かなりの安値で投げ売られていたので購入。このジャケにこのアルバムタイトル、そしてイタリアのシューゲイザー/ポストブラックという触れ込み…如何にもアトモスフェリックな空間を演出して、寒々しく神秘的で深遠な世界観を感じさせてくれそうじゃないですか…ところがどっこい(笑)、STALAGGHやBLUT AUS NORD以上に付いていけない、摩訶不思議なサウンドでした…。

神秘的なのか寒々しいのかダークなのか儚いのかハッキリしない曖昧模糊としたメロディを紡ぐアルペジオ、苦虫を噛み潰したような…という形容をしたくなる、潰れ切ったがなりヴォーカル、特にトリップ感がある訳でもない、淡々としたドラミング…と、パーツのひとつひとつがかなり微妙。それを寄せ集めて作った音像も、正直何を表したいのが掴みかねる様な感じ。

しかもそこに、トンデモ理論で業界から弾かれた自己完結系疑似科学サイエンティストが、妄想の果てに作り上げた「宇宙と交信する機械」(という名のただのラジオ)を弄ってるかのごとき、前衛的というにもおこがましいヘンテコなキーボードが絡むという衝撃的な展開。その妄想に延々と付きあわされているような、良く分からない時間が続きます(笑)。マニアック過ぎて付いていけない…。

例えばマニアックな音の代表格と言えるSTALAGGHにしても、「邪悪で病んだ音を作りたい」という意図は聴いてすぐに掴める分、後は聴き手がそれを受け入れるか否か…という問題なんですが、こちらは意図すら良く分からない分よりマニアックと言えるでしょう。この作品を最高と感じる人はマニア中のマニアを名乗っても良いんじゃ…そんな感じです。


MISTIELEGY ★★ (2009-02-05 18:01:00)

また素晴らしいバンドが現れましたね…
クサメタラーは是非↓で試聴して欲しいです。
ttp://www.myspace.com/mistielegy


MISTIELEGY - DYED WHITE ★★ (2009-02-02 23:19:00)

2008年発表の5曲入りデビューミニ。
…NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATION、RHAPSHODY、X JAPANなどが引き合いに出された
販促カードに惹きつけられ、「まあ1000円だし…」と軽い気持ちで手を伸ばしたその先には、
とんでもない代物が待ち構えてました(笑)。これ、クサメタルとしてはDRAGON GUARDIAN
(そのクサい曲展開で某メタルショップの売り上げ一位を独占し続けた国産RPGメロスピバンド)
と同じくらいの衝撃を受けたんですが…。
路線は、引き合いに出されているバンドの良い所を集めた感じですね。
基本はNIGHTWISHやWITHIN TEMPTATIONに通じる、シンフォな音にソプラノを乗せた
ゴシック寄りのメロスピですが、全体的なクサさやスケールの大きさはRHAPSODYに、
起伏のあるメロディの展開の仕方はX JAPANに通じる物があると思います。
一般的なフィメールゴシックよりもメロディにメリハリがあって、凄く取っ付きやすい音。
音像が大仰過ぎて、メロ自体の扇情度が疎かになってないのが良いですね。
何気に女性ヴォーカルも素晴らしいです。歌唱力の高いいわゆる「歌姫」を擁するバンドって、
その歌唱力で歌い上げるあまりメロディの繊細さが失われてると感じる事が少なくないんですが、
この人は少し細めの声質で、メロディの展開にあわせて上手く起伏を付けてて繊細さを更に
高めてると思う。個人的に、この繊細な歌い上げからは(THE 3RD AND THE MORTALの)Kali
Rueslattenを思い出しました。男性ヴォーカルやメタル、ポップス風の歌唱を入れず、
ソプラノで全編通しているのも好印象。
疾走を軸にした展開もドラマティックだし、メロデスっぽいメロウなリフも聴ける演奏も
かっこいいんですが、最大の不満は音質。普通にメタル聴く音量だと、ほんと蚊の鳴くような
音しか出力されないんですが…しかも4曲目(バラード)だけやけに音がでかい。
なのでこのアルバムを楽しむには、まず音量のメモリを10ほど上げて、4曲目になったら
5下げて、その曲が終わったらまた5上げて…という操作が必要…なんて面倒くさいんだ!!
漫画の台詞を借りるなら、「上等な料理にハチミツをブチ撒けるが如き音質」ですよ(笑)。
ちなみに音自体は別に悪くはないです。
…でもこれ、音質がまともで、もう少し早く知れてたら多分2008年度ベストアルバムに
推薦してたと思います。それくらいインパクトのあった作品。音質(というか音量)を見直して、
フルレンス発表したら話題になること間違いなしだと思うんですが…その時が楽しみです。


MISTIELEGY - DYED WHITE - AUGUSTA ★★★ (2009-02-02 23:21:56)

これも2曲目同様シンフォゴシックメロスピですが、こっちの方がもっとバンドサウンドの魅力が前面に出た感じですね。ちょっとしたリフ捌きなどもかっこよく、この時点で「とんでもないバンドを知ってしまったなぁ…」との感慨が込み上げてきました。WITHIN TEMPTATIONの崇高さとDRAGON GUARDIANのクサさを兼ね備えたようなおっそろしい曲。


MISTIELEGY - DYED WHITE - AUGUSTA ★★★ (2009-02-05 17:57:14)

これも2曲目同様シンフォゴシックメロスピですが、こっちの方がもっとバンドサウンドの魅力が前面に出た感じですね。ちょっとしたリフ捌きなどもかっこよく、この時点で「とんでもないバンドを知ってしまったなぁ…」との感慨が込み上げてきました。WITHIN TEMPTATIONの崇高さとDRAGON GUARDIANのクサさを組み合わせたようなおっそろしい曲。


MISTIELEGY - DYED WHITE - DYED WHITE ★★★ (2009-02-05 17:59:05)

いきなりクッサいリードギターが入るオープニングといい、ギターが引っ込んでピアノとヴォーカルを前に出した「引き」の展開を入れたりといい、衝撃のデビューミニのラストを飾るに相応しいドラマティックな曲。「The tide of time」「at my wit's end」はX JAPANリスペクトでしょうか。2曲目にも「青い涙」とかあったし。


MISTIELEGY - DYED WHITE - FALLEN STAR ★★★ (2009-02-05 17:56:30)

歌入りの曲では初めてリスナーに届くであろう曲という事で、バンドとしても重要な曲だと思いますが…そうした役割をしっかりと果たすであろうキャッチーさのある超名曲。イントロのリフからして名曲の予感がぷんぷんしますが、サビでもう確定。サビだけ日本語なのもメリハリがあって良いですね。


MISTIELEGY - DYED WHITE - RAIN EMBRACE (2009-02-05 17:58:08)

バラードで、曲自体は悪くないんですが…他の曲の音が小さいのに、これだけまともな音量なのはちょっと…。リマスターされたセカンドエディションとか出して欲しいです。


MISTIGO VARRGOTH DARKESTRA ★★ (2011-05-18 18:01:30)

NOKTURNAL MORTUMのKnjaz Varggothによる独りブラック。
アンビエント要素を含むスタイル。


MISTIGO VARRGOTH DARKESTRA - The Key to the Gate of the Apocalypses ★★ (2011-05-18 18:02:26)

99年発表の2nd。
このアルバム以外、CDショップで見かけたことないですけど…。

約72分もの長丁場を、アンビエントとブラックを交互に演って展開するスタイルですが、特にアンビエントのパートでは、NOKTURNAL~本隊では見られない、彼の音楽嗜好が垣間見られますね。Klaus Shulzeの「Irricht」を思わせる、オルガンをオカルティックに鳴り響かせるパートや、敢えて打ち込みのリズムを使い、瞑想的な雰囲気を演出するパートがあったり、表現方法は意外にも多彩。本隊でもあったオーケストラルなインスト部分もありますが、こちらの方がより呪術的な感触が強いですね。

ブラックパートは…土臭い刻みをメインに、キーを乗せるスタイル自体は本隊と共通してますが、キーの使い方がかなり異なってます。お祭りっぽい派手な感じは殆どなく、うっすら不気味に被せてあったり、シャーマンが宇宙と交信するような瞑想的なメロディを弾いていたり、民族的ではあっても、やはり呪術的な要素が強い感じ。ヴォーカルが地声交じりのがなりでなく、絶叫調なのもポイント。個人的にはこっちのスタイルのほうが好みです。

ただ、このアルバム、1トラックに72分入ってるのが辛いんですよね…バンドパートのみを聴いたりとか、地味なパートを飛ばしたり出来ないのが面倒くさい。しかも半分は瞑想的なアンビエントとか、普通途中で寝ますって(笑)。72分展開が一本になっている訳ではなく、いくつかのパートに分かれているので、DEVIL DOLLの「DIES IRAE」みたくトラック分けしてくれたら、☆3つでも良かったんですが…。


MOI DIX MOIS - Dix infernal - Gloire dans le silence ★★ (2004-07-22 21:51:31)

デス声も入って、まんまシンフォニックブラックって感じの曲。
サビは普通声ですが、Jukaさんの声を2声で掛け合い(?)風にしていて荘厳な雰囲気が良く出ています。


MOI DIX MOIS - Dix infernal - La dix croix ★★★ (2004-07-22 21:51:51)

口笛で吹けそうなくらいにキャッチー、それでいてクラシカルで荘厳なギターのメロディが何とも言えずかっこいい曲。歌メロも「La dix croix」がキーワードとなって覚えやすいため口ずさみやすく、一回聴いただけで「良い」と思えるような楽曲だと思います。
タイトルはフランス語で「十の十字架」ですが…「la」は女性単数名詞につく定冠詞で複数に対しては本来「les」を使うはずです。ふふふ、ぬかったなManaさんよ!!!(笑)


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera ★★ (2004-07-24 07:21:00)

ex.MALICE MIZERのギタリスト、ManaさんのプロジェクトMoi dix moisの2ndアルバム。
このバンドの作品は普通のメタルと違い、ギターよりもストリングスやキーボードなどの
音色に比重が置かれている音像で、そこが新しく感じられたため凄く気に入っています。
日本のインディーズ界もこんなアルバムを輩出するアーティストがいるなら、
まだまだ捨てたもんじゃないですね。
色々な意味で1stよりも進化・深化した作品だと思います。
前作はクラシカルなフレーズのキーボードとともに疾走する曲が殆どで、一曲単位で聴けば
素晴らしいものの通して聴くとやや食傷気味だったんですが、今回はバラード調の
「Mephisto waltz」や管楽器を前面に押し出した「the Prophet」など前作では
無かったような曲も収録され、飽きる事無く一気に全曲聴き通す事が出来ます。
初めて聴いた時、40分があっというまでした。
全体的にはキャッチーさが薄れ、ドラマ性が濃厚になった印象です。
歌詞面でもやや稚拙に感じられたフランス語を排したためか、より世界観が深くなった感じがします。
歌詞はコンセプトに沿って描かれているものの、全ての曲に個人的な思いを込めたらしく、
単に耽美なだけでは終わらない深みが出てきたのではないでしょうか。まぁ、英古語の文法が
おかしかったり突っ込み所も無いわけじゃないですが、前作よりも進歩していて好感が持てます。
個人的な好みを言えば、Jukaさんのヴォーカル、声質はとても良いんですがオペラティックと
言うにはやや声量に欠ける感じがします。Manaさんのプロジェクトだからって遠慮しないで、
もっと個性を出して歌っていった方が更に良くなると思いました。
…最後に、約3500は高すぎ!!財布が血を流してます(笑)
まぁサウンドも豪奢だし衣装やアートワークにもお金かかってそうだから仕方ないのかも。


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera - Monophobia ★★★ (2004-07-25 22:10:27)

「孤独恐怖症」を意味するタイトルを冠された曲。
サビでメジャーキーになり明るくなるのは意外な感じですが、違和感無く繋げる作曲能力が凄いですね。この展開は孤独からの脱却を表しているのかな?私だけかもしれませんが、この曲のサビはクリスマスの街に流れていたらお洒落だと思います。


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera - Nocturnal Romance ★★★ (2004-07-25 22:10:52)

仰々しいクラシカルなオープニング曲から繋がって始まる曲。
Moi dix moisらしい荘厳メロディ&アレンジで疾走する曲ですが、とにかくアレンジが素晴らしいです。雰囲気たっぷりの女性ヴォーカルは作品をより壮麗に昇華しているし、ギターもメロディアスに主張していて良い感じです。日本のインディーズ界にここまでのアレンジ能力を持ったアーティストはManaさんを除いてはあまりいないのでは!?


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera - Shadows Temple-X ★★★ (2004-07-22 21:51:06)

曲の後半の「♪夜の果てまで」のあと、「Follow instinct」のデス声が疾走を強引に断ち切るように入り、そしてサビへと移行する展開は何回聴いても痺れます。
また、イントロのチェンバロの荘厳メロディを聴かせながらの疾走、サビでの「慟哭」レベルに達している切ないメロディのストリングスなど、聴かせ所が多く自分的には文句無しに「超名曲」です!!
シングル収録のオケのみの物を聴いても素晴らしいと思えるし、これはもっとみんなに聴かせたいですね。


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera - The Prophet ★★★ (2004-07-22 21:50:45)

大仰な曲の多いMoi dix moisですが、その中でも最高レベルに大仰な曲。Manaさんの曲にしては珍しく管楽器系の音が使われていますが、イントロではそれがティンパ二の音色と見事に調和して威厳すら感じます。


MOI DIX MOIS - Nocturnal Opera - Vizard (2005-11-01 23:34:38)

「Wail on desolate gale」って…まんまDISSECTIONの「SOULREAPER」と同じ歌詞じゃないですか(笑)一応、ohがonに代わってますが…全然曲調は違うのですけど、なんかルーツが垣間見れて微笑ましいです。あとはデス声がもっと悲痛さを出せれば良かったな。


MOLOCH (UKRAINA) ★★ (2010-02-16 06:56:00)

ウクライナ産鬱ブラック/アンビエント。
…このバンドのヴォーカルも相当キてますが…最早鬱ブラックに狂った
感情剥き出しのヴォーカルという組み合わせは、ブラック好きの間では
デフォルトな認識のせいか、もうSILENCERの局所的なブームや、SORTSINDの
再発時のような盛り上がりにはなりませんね…。
いちブラックファンとしては、ちょっと寂しいかも。
でも、それ以上に店の人は売り文句書くのも一苦労だなぁ…とか思ってしまいます(笑)。


MOLOCH (UKRAINA) - DEPRESSION OF SURTR ★★ (2010-02-16 06:45:00)

2008年発表の企画盤。

07年発表のフル「A Journey to the Vyrdin」からの音源を中心に、スプリット提供曲や未発表曲を詰め込んだ、70分を超える大ボリュームの内容。店の歌い文句によると…このバンドはSILENCERやSORTSIND、辺りにも匹敵する、狂気じみた悲痛絶叫が聴ける鬱ブラックとして評価されている、とのことですが…

確かにこのヴォーカル、狂ってますねぇ。
ただ、SILENCERと比較すると、狂性だけでなく、「悔しさ」「無念さ」を噛み締めながら叫んでいるような、妙な人間臭さがあってそこが妙に生々しいんですよね…。

サウンドの方は、ヴォーカル以上に極悪非道。
一般に、鬱ブラックって悲しげなメロディで聴き手の気分を抑鬱する傾向にありますが、このバンドは金属が擦れ合うような不快感スレスレの強烈なノイズの掛かったリフで、乾いたメロディを弾くのが特徴。正直、これはかなり聴き手を選ぶと思うんですが、ヴォーカルの声とも相まって、ささくれだったような雰囲気だけは嫌というほど伝わってきます。

ただ、曲を色々な所から持ってきているので、ものによっては普通にメロいリフがあったり、ヴォーカルを耳に近くし、エフェクトを掛けて迫力を出した音像があったり、NORTTやI SHALT BECOMEクラスの湿った抑鬱的な空気感を醸し出したり、果ては女性による語りとVoの呻き、キーを絡めたリチュアル・アンビエント的なものもあったりして、表現方法への探究心は(主に負の方向に)旺盛。

…結成以来のリリース量も凄いし、やっぱりこういうバンドって「鬱なのに躁」な人たちが多いようです(笑)。しかし、これだけバラエティに富んだ音が、70分以上の長きに渡って収められてる作品とはいえ、健全な肉体に健全な精神が宿っている人にとっては拷問でしかないでしょう(笑)。
病んだ人や、病んだ文化に理解がある方にはお勧めです。


MOLOCH (UKRAINA) - DEPRESSION OF SURTR - DEPRESSION OF SURTR ★★ (2010-02-16 06:49:12)

アルバムをここまで聴いてきた限りでは、「あ、普通に鬱ブラック出来るんだ」とか思いました(笑)。だって前半カルト志向過ぎるんだもん。曲としては、意外にドラムの金物の音が特に良いです。何故だか聴き入ってしまう音。


MOLOCH (UKRAINA) - DEPRESSION OF SURTR - DIE ALTE ESSENZ EINER INZWISCHEN TOTEN WELT ★★ (2010-02-16 06:52:22)

低音の効いた抑圧されたような音像と、鬱ブラらしい暗いメロディがNORTTやI SHALT BECOMEにも通じる、湿った空気を演出する曲。アンビエントも演っているだけあって、この辺りのセンスに間違いはないですね。


MOLOCH LETALIS - Apoteoza Śmierci ★★★ (2013-07-25 22:24:39)

2009年発表の1st。

レビューサイトや情報サイトなどを見る限り、このバンドはデス/ブラック両方の要素を持つバンドとして認識されているようですが…邪悪なトレモロをメインとした、薄気味悪いメロディの応酬、ハイピッチの絶叫ヴォーカル、重さよりは抜けの良さを感じるドラムの音作りなど、どちらかというとブラックの要素が強めで儀式的な暗黒性も強い音ですね。音圧のあるプロダクションや暴虐性の高いブラストパートなど、デス要素も無理なく融合させている感じ。

何気にこのバンド、特にブラック寄りのトレモロを使用してるパートなどにおけるメロディのセンスがかなり良いんですよね。ダイレクトに悪魔主義を叩き込むようなメロディの使い方は、MAYHEMの1stに通じるものがあると思う。ヴォーカルもIhsahnとManiacを足して割ったような邪悪さに満ちた喚きだし、ブラックとして優れた音だと思う。…それだけに、デス的なヘヴィさで攻めるパートに多少物足りなさを感じたりもするんですが…両方の要素が上手く絡まってる部分は素晴らしいし、正直この辺りは聴き手の嗜好性だとも思いますけど。

それを考慮に入れても、星は3つ付けたいですね。こういう初聴時から圧倒してくれる暗黒性に満ちた音って、単純にツボなんですよね。かっこいいです。


MOMENTUM - The Freak is Alive ★★ (2016-02-09 23:43:18)

2015年発表の2nd。

元は別名義でブラックメタルバンドを演っていたのが、デスメタルを経由し、現在ではプログレメタル化した…という変遷の経歴を持つバンドらしいです。そんな経歴のためか、ブラックメタルファンの好みとの親和性もかなり高いように思える、暗黒度のかなり高い作風ですね。

ミッドテンポ中心で怪奇な印象を残すリズムに、そのリズムを強調するように刻むリフやイカれたフレーズを乗せ、ひたすらに不条理で気味の悪い世界観を描いていく音。ヴォーカルは迫力のあるデス声と、妖しげな儀式の祈祷の如き中音域のクリーンの両刀使い。デス声が弱かったり、クリーンにムードがなかったりするようなことはなく、しっかりこの妖しい世界観の語り部を務めてます。

この作品、リズムの音色はしっかりしてますし、それをリフで補強してたりするので、意外に音作りがマッシブというか、フレーズ>音響な感じの志向性なのに、楽曲がひたすら不気味な情景を描き続けている所が変わってますよね。ブラックでいうとVED BUENS ENDEやVIRUSの不気味な部分に特化してより逸脱させた感じ…というと近いでしょうか。

作風自体はかなり前衛的ですが、変に実験的な展開を設けて暗黒性を減少させるというようなことはせず、ダークであることは一貫しているのである意味聴きやすいと言えるのかも。合う人はうっとり出来ますが、合わない人は一曲目でギブアップでしょう(笑)。


MONARQUE - Ad Nauseam ★★ (2011-05-03 09:32:52)

2008年発表の2nd。
実質的には05年デモの新録に新曲を加えたもの。

イントロがクラシカルなインストだし、独りブラックだしで「きっとディプレッシブ系か、プリミティブだろう」と思っていたので、バンドの音が入ってきたときはかなりびっくりしました。確かにプリミティブ系の延長の、粗いプロダクションではありますが、土石流に押し流されるような、かなり迫力のある音。シャーシャーというよりズドシャァァァ、みたいな感じ。

しかし、その土石流のようなバンドサウンドから仄かに聴こえてくるメロディは、プリミティブらしい悲哀に満ちたものでかなり良いです。どことなくトラッド臭さも感じさせる、哀愁だけではない土着的な怖さのあるメロ。プロダクションと合わさると、まるでテレビの砂嵐(土石流な音像)の中に、人の顔(メロ)が浮かび上がっているかのよう…。

プリミティブのスタイルで、こういう轟音のスタイルって結構珍しい気がします。これはこれで気持ちよく聴けるし、普通のプリブラとはまた違った陶酔感のある作品です。


MONGO NINJA ★★ (2011-08-04 19:15:40)

Ex-EMPERORのFaustが参加するパンキッシュブラック。
BLOOD TSUNAMIやSCUMといい、オールドスクールな音が好きなんでしょうか。


MONGO NINJA - No Cunt for Old Men ★★★ (2011-08-04 19:20:16)

2010年発表の2nd。
セールで安かったから何となく買ってしまったら、凄く気に入った一枚。

…私はこういう、ロックンロールのノリがある、パンキッシュなブラックメタルを聴くと、どうしてもマジな邪悪さよりも健全なアングライズムを感じてしまって、合わないと思うことが多かったんですが、このアルバムはそんな小ざかしいことを考える前に、凄まじいテンションでこんな困った嗜好の私ですら、ノセてしまう作品でした。

何が良いって、ほんとノリが素晴らしいんですよ!
リフもロックンロールテイストの強いグルーヴィなものですが、このリフがどう…とか分析する以前に体が動いてしまうドライブ感があるものですし、ライブではシンガロング(というよりシャウトアロング?)を誘発させたり、コール&レスポンスが起きる様子が容易に想像できる、キャッチーなヴォーカルラインには物凄いフックがある。

おそらくこの曲作りであれば、大抵の客は初見で心底楽しめてしまうのではないでしょうか。特にラストを飾るタイトル曲の盛り上がりには軽く感動すら覚えるほどで、実にあっという間の30分15曲でした。もう1つ気に入った要因を挙げるなら、ヴォーカルがハードコア方面に行き過ぎず、ドスの効いたダーティながなり声なのもあるかもしれません。

パンクスローン路線のDARKTHRONE、同じくFaustの関与するプロジェクトのSCUM、最近日本盤もリリースされたCHROME DIVISION辺りが好きなら必聴かと。個人的には、今挙げたバンドのどれよりも好みの音でした。ほんと刹那的でかっこいい音出してますよ。


MONTE PENUMBRA - Heirloom of Sullen Fall ★★★ (2014-07-03 21:19:06)

2013年発表の1st。

邪悪なブラックを世に送り出し続ける優良レーベル、DEAMON WORSHIP発のアヴァンギャルドブラックという触れ込み、セールで安くなっていたこともあり購入。…一言で言うなら、VED BUENS ENDEの流れを汲むブラックメタルですね。暴虐性や寒々しさなど、他の多くのブラックが持つような特性はあまり重視しておらず、代わりに沼地に引き込まれていくかのようなドロりとしたバンド・アンサンブルで聴き手の精神をジクジクと汚染していくかのような音。

VED BUENS ENDEがどこかサイコっぽい雰囲気を漂わせていたのに対し、個人的にはこちらはオカルトめいたおどろおどろしさを感じるんですよね。絶叫するだけでなく、生気のない声で語りかけるようなヴォーカルも楽曲の不気味さを助長。レーベルがレーベルだけに、VED BUENS ENDEやVIRUSよりも、ストレートなブラックの色が濃く、これらのバンドが持つ不条理さだけでなく、ブラック本来の邪悪さも両立させている印象。

悪夢をそのまま音にしたかのような、不気味で湿り気の高いアヴァンギャルドブラック。ブラックメタルフリークであれば、これを聴きながらむしろ安眠できるかもしれません(笑)。


MOON ★★ (2011-09-21 21:35:04)

ポーランド産ブラックメタルバンド。
一時期VADERのDocが在籍していた事でも有名。
長く活動を休止していたものの、最近再開した模様。


MOON (AUSTRALIA) - Render of the Veils ★★★ (2017-05-21 11:12:34)

2015年発表の3rd。
同名のバンドがポーランドにもいますが、こちらはオーストラリア産。どちらもそれなりにジャンル内では名の通ったバンドだけにややこしいですよね…(笑)

ポーランド産のMOONは近年エクストリームメタル然とした実体的なヘヴィネスを身に付けてきましたが、こちらは正にカルトを絵に描いたような儀式的な音を出してますね。痛覚すら刺激するようなプリミティブなバンドサウンド、リバーブが掛かり人間性を失った絶叫、そしてそれらを包み込むアトモスフェリックなキーボードが溶け合い、密教的で密室的な音の世界が構築されてます。

この作品、凄く危ういけど面白いバランス感覚の上に成り立ってるように思うんですよね。モノクロのプリミティブさと、サイケデリックな感覚が入り混じっている独特のムードは色彩感覚すら破壊されそうだし、危険で刺々しい雰囲気と宗教的な恍惚感が上手く同居しているのも興味深い。同郷のSTRIBORG辺りに通じるサイケ感あると思いますが、個人的にはこちらの方が演出は上手く感じます。

バンドの音を聴いていることを一瞬忘れ、トランスの中に引き込まれそうになる感覚…意外とシンセを用いたプログレとか好きな人が聴いてもハマるかもしれません。そういう感覚がありつつ、邪悪さに主眼を置いてるバンドって貴重ですよね。


MOON - Lucifer's Horn ★★★ (2011-09-25 08:48:59)

2010年発表の3rd。

2ndでは、エキゾチックなキーボードとタイトなドラムが非常に特徴的なデス/ブラックを演っていましたが、約10年の時を経てもう別のバンドみたいな作風になってますね…。今作は、デスメタル的なドロドロした感触と、ブラックの毒性を上手く合わせたリフを、ブラストに乗せてブルータルにカチ込む、近年のBEHEMOTHやNON OPUS DEI辺りに通じるファスト路線。

路線が変わるにあたり、キーボードの使用頻度が激減してますが、エキゾチックなメロディはリフやアコギのフレーズなど、ところどころに残っていて、それが曲の毒々しさを助長すると同時に、フックを与えてますね。また、前作では粗さもあった音質が改善され、腹に響くヘヴィさを手に入れたことでブルータル度が大幅アップ。ヴォーカルもそれに合わせ見違えるように進化、粘着性のあるがなりでより非人間的なスタイルに。Voは正直前作より断然かっこいいと思う。

路線こそ変わりましたが、近年のBEHEMOTH等と比べても遜色のない、非常に質の高いブルータルブラックを演ってます。前作もかなり曲が良くて惹き付けられたんですが、初期BEHEMOTHがコールドブラックの名盤を作っていたり、やはり才能がある人物は音楽性を変えても素晴らしいものが作れるということでしょうか。


MOON - Satan's Wept ★★★ (2011-09-21 21:38:06)

99年発表の2nd。
国内盤も出ているだけあって、良い作品ですね…。

ブラックらしい、荒いリフとタイトなリズムの絡みに、ダーティなヴォーカルとシンフォなキーが乗る、ややデス寄りのシンフォニック・ブラックという感じですが…1曲目の、エキゾチックなメロディのキーボードが入ってきた瞬間、「もしかして名盤では…」と思ってしまいました。異国情緒溢れるキーボードのメロディといい、ギターワークのセンスの良さといい、このバンドは本当に曲が良いと思う。

国内盤ライナーでは、彼らのシンフォを表現するにあたってDIMMU BORGIRとEMPERORを引き合いに出してますが…確かに的確な例えだと思う。一瞬にして曲のムードを塗り替える印象的なメロディや、時に音像を包むアトモスフェリックさはDIMMU BORGIRに、曲の重要部分を担わせながら、アンサンブルや展開においてそれに頼り過ぎない部分は後期EMPERORに通じると思う。

ちなみに、ライナーだとDocがドラムを叩いている(ブックレットに名前がないのは一時脱退してたため)とありますが、ブックレットにあるのはMarkという人物名…。素人耳には、Docが叩いているように思えますが…この、タイトなリズムによる、ファストブラックでもなかなか出せないような緊張感はどうも彼っぽい気がする。そのドラミングも、この作品において大きな魅力になってますね。

せっかくかっこいいリフを弾いていても、フレーズが微妙に不鮮明に聴こえたり(反面、リードギターやキーボード、ドラムは良く聴こえる)、ヴォーカルがダーティ系で今一つ邪悪味に欠けるなど、ちょっとした欠点はあるものの、十分名盤と言えるクオリティがあるように思います。ブラック初心者がDocのネームバリューで聴いても十二分に楽しめる作品かと。

ちなみに、私は国内盤を買ってしまいましたが、2010年にリマスターの上、1stとカップリングで「Devil’s Return」というタイトルで再発されているので、これから聴こうという人はそっちを買った方が良いかも。


MOONBLOOD ★★ (2007-12-29 22:39:00)

ドイツのカルトブラック。
コマーシャル性を嫌い、公式なCDのリリースは全く無いそうです(ブートはある)。
でもあのDSOともスプリット出してたりするし、意外と知名度はあるのかも。


MOONBLOOD - Supreme Black Force of German Steel ★★ (2007-12-29 22:33:00)

2000年発表「Taste our German Steel」と99年発表「We are at War!」のカップリング盤。
当然オフィシャルなリリースではありません…(笑)

このバンドはブックレットの表記を見ると、93年にDARKTHRONEやBATHORYの影響下に結成された…みたいな事が書いてありますが、正に初期DARKTHRONE直系の音。篭もった音質にトレモロリフ、邪悪ながなり声に2ビート疾走を軸に据えたミニマルな展開に、プリミティブ・ブラックのど真ん中を地で行くような作風。

特筆なのはやはりエピック・ブラックと呼ばれるだけの事はあるメロウなメロディでしょうか。どの曲にも、主にトレモロリフによるメロウ極まりないメロディが練りこまれている上に、ギターノイズも歪みまくりながら耳に痛くないようなそれ程癖の無い歪ませ方なので、初期DARKTHRONEが受け入れられる方なら間違い無く楽しめるかと思います。
また、ドラムが幕を一枚通したような篭もった音なのも呪術的ムードがあって良い感じです。

FULLMOONとかもそうですが、こういう音って意図的にやってるんでしょうか…。
ちなみにラスト3曲、「We are at War!」の音源は音が更に劣悪(笑)。メロディが引っ込み気味だったりするのは良いとして、面白いのはヴォーカル。割れまくりでヴォーカルが入るたびに歯医者で歯を削られるような妙なノイズが入ってます。初めは何じゃこりゃって感じでしたが、暫く聴くうちにノイズ表現としてアリかも…と思うように。

プリミティブ系が好きで、ブラックにメロディを強く求めてる方にお勧めの作品。SATANIC WARMASTER、KATHARSIS、NACHTMYSTIUMは1stが好きという人ならツボかと。


MOONBLOOD - Supreme Black Force of German Steel - Apocalyptic Vision ★★★ (2007-12-29 22:37:58)

一瞬ブラックを聴いていることを失念しそうな、摩訶不思議なメロディのイントロからプリミティブな本編へ。バンド名通りの、月に憑かれたような妖しくメロウなメロディに魅了されます。


MOONBLOOD - Supreme Black Force of German Steel - Burning in Hell ★★ (2007-12-29 22:38:50)

ドライブ感のあるリフといい、何故か早弾きギターソロを設けた展開といい、他の曲よりもメタリックな感触の強い曲…ですが、ヴォーカルの独特な音割れのせいでアングラ感丸出しですね(笑)


MOONBLOOD - Supreme Black Force of German Steel - Embraced by Lycanthropy's Curse ★★★ (2007-12-29 22:35:08)

曲自体はほぼいかにもプリミティブブラックらしい疾走に占められていて、展開はミニマルなんですが…メロディの流れから見たらドラマティックと言っていいかもしれません。タイトルからしても、ULVERの3rd辺りに込められている感情が近いのかもしれませんね。


MOONBLOOD - Supreme Black Force of German Steel - Sarg Und Tod (pt Ⅱ) ★★★ (2007-12-29 22:36:57)

中間部のキーボードの超メロウな、民族がかった泣きのメロディが印象深い曲。エピックブラックという事で、当然にメロウなメロディを期待してたんですが…ここまでやってくれるとは。もちろんトレモロリフのメロディの方も良いです。


MOONREICH ★★ (2014-04-25 21:37:13)

フランス産ブラック。
CHADENNのライブメンバーでもあるWeddir氏らによるバンド。


MOONREICH - Terribilis Est Locus Iste ★★★ (2014-04-25 21:38:21)

2013年発表の2nd。

流石、ATMFやDe Tenebrarum Principioなどブラックの名門レーベルから作品をリリースしているだけあって、暴虐性・邪悪さ・かっこよさ共に高いレベルで安定した音を聴かせてくれますね。基本はしっかりと低音も効きつつ、ブラック特有のRAWさもある程度残したリフの音色が、瘴気の靄が立ちこめるような重々しさを感じさせつつも、薙ぎ倒すようなファストパートを挟みつつ展開する暴虐なブラック。ただ叫ぶだけではなく、音源からでも十二分に怒気が伝わってくるようなキレたヴォーカルも素晴らしいです。

カルト性も感じられる作風ですが、何気にストップ&ゴーを駆使した展開があったり、楽曲のドラマ性もかなり重視している印象。基本はBlasphemer期のMAYHEMを思わせる冷徹で無慈悲なムードのメロディ多めですが、フレンチブラックらしい毒々しいメロディを聴かせたり、時に過剰なまでにメロディアスになったり、禍々しさをキープしつつも様々な表情を見せてくれる展開が良いですね。そのどれもが非常にかっこいい。特に5曲目、「The Serpent Presaging Sinister」の、メイルシュトロームに巻き込むかの如きトレモロ暴虐疾走振りは好き者ならずとも悶絶確定。この曲かっこよすぎです(笑)。

全体のクオリティも高く、キラーチューンも完備したかなり良質な作品。初心者にお勧めできるほどの取っ付き易さは流石に感じられませんが、エクストリームメタルの取り扱いがある店をハシゴして休日が終わってしまうような愛好家にはお勧めです(笑)。


MOONTOWER - PRAISE THE APOCALYPSE (2012-03-07 00:42:57)

2004年発表の1st。

SELBSTMORDのメンバーが関与してる事からも何となく想像は付きますが、プリミティブ・ブラックの中でもかなり過激かつ上級者向けな音。路線こそトレモロ疾走を多用し、所々でオールドスクールさを醸し出すリフも出てくる、いかにもな感じですが…まるで剃刀で出来た洗車機が車を痛めつけるかのような、ジギジギした音質がかなりキツいです(笑)。ULVERの3rdに近い音ですが、あちらほどカリカチュアライズされた音ではなく純粋に耳に痛い。

ノイジーな中に、不気味ながらメロウなトレモロが入ってくるのもこのジャンルでは王道聴かせかたですが…このバンドは、それに加えてクラシック音楽に通じるような大仰さを醸し出そうとしてるように見受けられる気がするメロディが時々出てくるんですよね。あくまで「見受けられる」「気がする」程度ですが。2曲目では、微妙に(ホントに微妙に)ドヴォルザークの新世界思い出しました。音質のせいで分かりづらいですが、ペイガンっぽい世界観を描写しようとしてるのかもしれませんね。

もう聴いた瞬間に、受け入れられるか否かはっきり決まってしまうような音。個人的には、粗いプロダクション自体は嫌いじゃないんですが、こういう耳に痛い系のノイジー音質はいまひとつ好きになれないので星は1つで。ところで、このアルバムを聴いてると時々目覚まし時計のアラーム音みたいな音が聞こえるんですが、これは一体…一瞬部屋の目覚まし鳴ってるのかと思った(笑)。


MOR DAGOR ★★ (2011-10-17 21:53:28)

ドイツ産ファストブラック。
人脈的にはBELPHEGORと繋がりがある模様。


MOR DAGOR - Necropedophilia ★★★ (2011-10-17 21:54:06)

2004年発表の3rd。
これはなかなかの掘り出し物かもしれません。

路線的には、ギターのノイジーさ強めな、やや粗めのプロダクションでファストに疾走する、ブルータルでRAWなブラックメタル。ヴォーカルもギャアギャア喚く、典型的なブラックメタルのスタイルで個性的ではないものの、かなり好きなタイプ。何気にドラムの畳み掛けが凄まじく、個人的にはブルデスと化してからのBEHEMOTHと共通する攻撃性を感じたり。尤も、プロダクションも重量級の向こうと比べると、こちらはRAWで粗い音作りのため、大分感触は違いますが。

ドラムに加えて、特筆すべきはメロディの良さ。
全体的にメロディから受ける、仄暗い邪悪さが滲み出してくるような感覚は、MAYHEM辺りのいわゆる「トゥルー」系のブラックと似ているんですよね。しかし多くのその系統のブラックとは違い、このバンドはメロディック・ブラックにカテゴライズしてもしっくり来るくらい、メロディを強調してくるのが特徴。メロいギターソロまで入りますが、メロデス寄りメロブラとは一線を画す邪悪でオールドスクールなムードがあると思う。

…しかし、このバンドはMAYHEM好きすぎですよね。まさか曲中で「Necrolust」って叫ぶとは思わなかった。なんかDeadになりきって叫んでそうな感じ(笑)。


MORBID ★★ (2011-08-16 20:08:58)

MAYHEMのDeadが在籍した事でも知られるブラック/スラッシュメタルバンド。


MORBID - DECEMBER MOON ★★ (2011-08-16 20:11:10)

87年発表の4曲入りデモ。
私はMAYHEMとのスプリット(A Tribute to the Black Emperor)で聴きました。

年代が年代だけあって、曲の方はブラックっぽくはないですね。
音質こそプリミティブブラック並にRAWなものの、スタイルの方はほとんどスラッシュメタル。不気味なアルペジオを交えたムードの演出パート等はありますが、この段階では寒々しさや禍々しさを醸すトレモロや、酩酊感を演出するミニマリズムなどの導入はなく、代わりに狂ったギターソロや刻みを多用したリフなどが耳を引く音。それなりに耳に残るフレーズも多いです。

そしてDeadのヴォーカルですが…この時点でスラッシュの熱さとは全く違う道を行くヴォーカルという事が分かりますね…。叫び方もウィスパーっぽさが混じるような感じで、聴いているとなんだか自傷を唆されているような、厭な感じがします。特に「Disgusting Selma」の、声帯を軋ませるような声でのスキャットはリアルに狂った感じがして、近づきたくなさではManiacやKvarforth以上。こんな声出す人なら、ライブ中に割ったビール瓶で体を刻んで出血多量になるもの頷けるなぁ…って感じ。

という訳で、Deadの狂気的パフォーマンスが、エピソードによって誇張されているものではないということがよく分かる作品。MORBIDのメンバーが正規盤を再リリースしたり、最近リリースされた音源集「Year of the Goat」などにも入っていたりするので、音源自体の入手は難しくないかと。


MORBID ANGEL - Gateways to Annihilation ★★★ (2008-05-12 22:15:00)

疾走を軸とした展開ではなかったりインスト明けの2曲目が全然メロくない無愛想な曲だからなのか、中古で多く見かけたり(ぶっちゃけ、私は中古600円くらいで買いました)彼らのベスト作品に挙げる人が少なかったり、いまひとつ世間での評価が芳しくないように思われる作品…ですが、私的にはかなりの名盤。

スピードを敢えて押さえた作風は、威厳たっぷりの禍々しさを見せ付け、地獄で仏ならぬ地獄で閻魔とサタンに同時に遭遇したかのような感覚。Treyの感性が遺憾なく発揮されたリフ、Peteの激速ツーバス、敢えて曇ったようなギターのプロダクションなどが絡みあって出来る世界観は、単なる表面的な重さや速さだけではないおぞましさがあるように思います。「H」はその個性を更に発展させた形とも言えますが、インストやドラムチェックを挟んでた「H」と比べると、世界観の描写が一貫している分こっちの方が好きかもしれません。

…これを聴いて私が思い知らされたのは、「(真性)デスとメロデスの違いは単にメロディの多寡によって決まるものではない」という事。「Ageless, Still I Am」なんて全体的にかなりメロディアスですが、明らかにメロデスとは雰囲気が違いますよね。メロディがメロデスのような「泣き」「哀愁」に全く向かっていかず、只管に禍々しくて邪悪。リフが意志を持って蠢いた結果、それがメロディに聴こえるような感じ。こういう恐ろしさを感じさせるリフ捌きだけでも帝王と呼ばれる資格は十分にあると思いますが、それを際立たせる他パートの構成やプロダクションのセンスもあるんだから、もう向かう所敵無しでしょう。

どうでもいい事ですが…Treyってアニメとか割とオタクっぽい趣味にも理解がある事で有名ですが、昔のインタビューを読んだらそれらを好きな理由として「ハッピーな力があるから(大意)」みたいに言っていたのが意外でしたね…。これだけ邪悪な曲を書く人だし「(オタク系のアニメには)人を成長させない要素や社会と向き合わない事を良しとする要素が含まれていて、アノミーを生み出す可能性を高めるから」みたいな理由かと思った(笑)。
楽曲の邪悪さとは裏腹に、実生活では実はポジティブで良い人なんだったりして…(笑)。


MORBID ANGEL - Heretic ★★★ (2005-05-10 22:24:00)

流石に「帝王」と呼ばれるだけの事はあって、独特の世界を構築しています。

まずこの音を聴いて耳につくのが、その特異なギターの音色です。
他のヘヴィネスを売りにしているバンドの重さを「ハンマーで撲殺」だとすると、このアルバムのギターの音質は真綿で首を締められながら精神を汚染されていき最終的に死に至るような肉体的にだけではなく、精神的にも「クル」音になっています。私は(これを書いている時点では)過去の作品は「Domination」しか聴いた事がありませんが、世界観の構築振りはギターの音色一つを取っても、進歩していると思います。

「Domination」の日本盤の帯には「魔闘気全開」と表現されていましたが、その「魔闘気」の濃さは、あの時の比では無いように思います。そこにしつこいまでのドスの効いた咆哮、手数の多いドラムが絡んでくると、正に「唯一無二」な音になりますね。「帝王」の称号も伊達じゃないです。正直言うと、最初はギターの音色が独特なのと、ヴォーカルの咆哮がある意味でクドく感じられ(今ではかなり好き)たため、あまり気に入らず暫く聴かずに放っておいてしまいましたが、BEHEMOTHやNILEを聴き、デスに対する耐性(?)を付けてから改めて聴いてみたらかなり楽しめました。

もしこの音色が気に入らなくても、何回か聴いてみましょう。
きっと何かに開眼させられてしまうはずです(笑)


MORBID ANGEL - Heretic - Beneath the Hollow ★★★ (2006-08-01 22:55:26)

この黒い霧に包まれながら徐々に体力を奪われていくような禍々しい雰囲気、流石という他ないですね。よく聴くとリフもソロも結構メロディアスなのに、ありえないぐらい邪悪。ヴォーカルもたまに入れてくる高音絶叫がマジなイカレ声でかなり怖い。


MORBID ANGEL - Heretic - Enshrined by Grace ★★★ (2006-08-01 22:59:50)

この曲はやばい位手数の多いドラムが堪能出来るブルータルパートも素晴らしいですが、「Arise~」からの緩急のついた展開はそれに輪をかけて好き。
怒れる神のような威厳のある咆哮と喉がイカれそうな絶叫を組み合わせたヴォーカルとそれをサポートするドラムのアンサンブルに恍惚感を感じる名曲です。


MORBID ANGEL - Illud Divinum Insanus ★★ (2011-06-01 22:07:26)

2011年発表の8th。

帝王様の新作がリリースされたという事なので、取り合えず…と購入してみましたが、8年ぶりの新作にしていきなり問題作ですね…それも前作が比べ物にならないくらいの。

当然、従来のようなデスメタルも演ってるは演ってるんですが…モダンなヘヴィロックのようなリズムと展開を持つ曲、人力インダストリアルなメカニカルな曲、ロックのダンサブルなノリを取り入れた曲などもあってかなり驚きました。まあ、「Destructos~」辺りは、SAMAELやSATYRICONが既に踊れるエクストリームメタルのモデルケースを提示していたので、そのデスメタル版と思えば然程驚きはしませんでしたが、殆どMARYLIN MANSONな「Rudikult」はリアルに声出るくらい面食らいましたね…

また、今作はヴォーカルにDavidが復帰した事が大きな話題になっているようですが、彼の声はかなり地声に近い感じの自然な歪ませ方なのに、恐ろしくドスが効いていて迫力ありますよね。デス声のお手本になりそうなスタイルなのに、強烈さが個性になってる。歌詞も歯切れ良く吼えてくれるので、今作のキャッチーな楽曲にも何気にマッチしてます。個人的にはSteveの時々人間辞めてるみたいな声の方が好きですけど、今作の作風には彼の声が合ってる。

今作、実験的な楽曲に関してはまあ興味深く聴けるし、リフワークでかなり筋を通してくれてるのでそこまで否定的ではないんですが、肝心のデスメタル曲が前作や前々作より少し弱い気がするんですよね。ギターの弦から瘴気(ライナーで言う所の「魔闘気」?)が立ち上っているのが目視できそうな邪悪さが、少しだけ薄れてる感じ。瞬間最大濃度こそ全く薄れてないものの、実験的な部分に力を割いてるせいか、インテンシティをキープ仕切れてない印象。とは言っても、今までと比較してであって、十分邪悪と言える音ですけどね。

個人的には、ダンサブルなエクストリームメタルって決して嫌いじゃないし、DEICIDEやHATE ETERNAL辺りも頑張ってくれてるので、まあ帝王がこういう路線に行っても受け入れられるんですが、日めくりカレンダーを一日一日めくりながら発売日を待ち望んでたような熱心なファン、とりわけ「Domination」路線を期待した人には衝撃が大きいかもしれませんね…。取り合えず、この作品がこれからどういう評価を受けるのか、無責任に楽しみではあります(笑)。


MORBID SAVOURING ★★ (2010-03-02 19:25:00)

DEATHSPELL OMEGAやCLANDESTINE BLAZEでの活動で有名なMikko Aspa氏が
かつて在籍していたグラインド・コア。HORNA、BEHEXEN、SARGEISTのShatraugも
バンドの中心人物として在籍しているようです。


MORBID SAVOURING - Insensitivicious ★★ (2010-03-02 19:15:00)

03年発表の1st。
Mikkoは不参加のようですが、ShatraugはMalice Pooper名義で参加してますね。
基本的にはインタビューなどを抜粋したSEを挟みつつ、ダーティな音を聴かせるグラインドで、
Mikkoの別プロジェクトのCREAMFACEと比べるとスピードは抑え目で、オールドスクールな雰囲気。
リフやリズムなどもしっかりしてるし、音質も何を演ってるか分からない汚さではないんですが…
何故か暴走した機関車のようなポンコツ感があるんですよね(笑)。ドラムは古い汽車の駆動音、
リフの音色はそれが上げる黒煙…みたいに思えてくる。遠くで泣き叫ぶような高音絶叫と、
エフェクト掛けすぎで何だか良く分からない低音のヴォーカルが更に地下っぽい雰囲気を助長してます。
歌詞は…この手のバンドでは珍しくないですが、やっぱりヒッドい内容です(笑)。
「We should leglize child abuse / It's not crime to find amuse」…綺麗に韻まで
踏んで、歌ってる内容はペドフィリアとサディズムの合わせ技という(苦笑)。基本はそんな
感じでエログロですが、時々「ALL HAIL McDONALD'S」「JENNIFER LOPEZ」みたいな、
タイトルからしてファニーなものも。やっぱりこの手はユーモアが合った方が面白く聴けますね。
ちなみに、全29曲ですがほとんどの曲がSE含めて1~2分なので、かなり短く感じます。
まあ、この路線では全然マイナスにはならないですけどね。


MORBID SAVOURING - Insensitivicious - All Hail McDonald's (2010-03-02 19:16:57)

Fast-food fucking rules!


MORBID SAVOURING - Insensitivicious - Jennifer Lopez (2010-03-02 19:18:12)

もうタイトル紹介できただけで満足です…(笑)


MORBID SAVOURING - Insensitivicious - Retained Virginity (2010-03-02 19:19:43)

言ってる内容がCREAMFACEとめっちゃ被りますね。
やっぱりこの手は歌詞のユーモアを楽しみながら聴くといいかも。


MORD - NECROSODOMIC ABYSS ★★ (2009-10-26 21:15:00)

2008年発表の2nd。

ジャケの背徳的な雰囲気や、曲に固有の名前を付けず「Opus~」で統一したりしている所からは、なんとなくチープでミニマルな、如何にもアングラなプリブラを(勝手に)想像していたんですが、意外にもデスメタルの影響の強いスタイルでした。

ボーランドの有力デスメタルバンド、HELL-BORNのメンバーが演っている、デス由来のブルータリティが強く感じられるドラミング、ファストパートだけでなくミディアムも重視した展開、オールドスクールな雰囲気、厚みがありつつもやや荒めなギターの音質などからは、ブラックとしてはダーティで泥臭い印象を受けます。

メロディも寒々しさより地獄の釜が煮え立つような禍々しさがあって、やっぱりメジャーなスタイルとは少し距離を置いている感じがします。(GORGOROTH、TRELLDOMの)Gaahl似の、憎しみを噛みしめながら、堂々と叫ぶ絶叫スタイルのヴォーカルのキレも良いし、全体的にクオリティは高いにも関わらず、意外と中古で格安で売られてる事が多いのは、その辺りの泥臭さがブラック好きには野暮ったく感じられてしまうからかもしれません。
私的には、こういう質の高い作品を安く手に入れられて嬉しいですけど。

でも、AVERSE SEFIRAといいこのバンドといい、デス要素があるとやっぱり生粋のブラック好きからの評価は低くなってしまうんでしょうか…。私はこういうのも好きですけど。
それにしても、ジャケのキリスト、めっちゃ良い表情(笑)。(漫画の)聖★おにいさんのキャラみたい(笑)。後で「キャー♪どうしよう」って感じで口を押さえる鎧悪魔も良い味出してます。


MORD - NECROSODOMIC ABYSS - OPUS Ⅱ ★★★ (2009-10-26 21:16:55)

ミディアムパート、ヴォーカルが地獄の軍勢を統御する指揮官の声みたいで良いですね。そういう堂々とした雰囲気があると思う。その後のブラストも突撃命令かましたみたいで非常にかっこいい。


MORD - NECROSODOMIC ABYSS - OPUS Ⅳ ★★★ (2009-10-26 21:17:42)

トータルではこの曲かなあ…やっぱりブラスト+毒トレモロの王道コンビは強い。それにプラスしてこのバンド特有の泥臭い禍々しさもあるのが良いです。何気にこのバンド、デス寄りブラックの中でもドラムが素晴らしいと思う。


MORD'A'STIGMATA - ANTIMATTER ★★★ (2012-05-14 19:39:09)

2011年発表の1st。

これは凄まじい…。
基本的には、ポーランド産らしいデスメタルにも通じる、圧迫感すら感じるような畳み掛けや音の太さに負けない、獰猛なグロウルが非常に強烈なブラックメタルという感じで、程よい重さのあるプロダクションとも相俟って実に心地良く耳を蹂躙してくれる作品なんですが…ブルータリティのみに頼らない、テクニカルでアヴァンギャルドな展開も設けて進行する、知的な曲作りも大きな特徴。

例えばギターワークはDODECAHEDRONや近年のDEATHSPELL OMEGAを思わせるような、不協的で不穏、それでいて練り込まれたフレーズも登場するし、魔素の濃い、澱み切った空間を演出するようなアルペジオや、カルト宗教の導師の演説のようなクリーンヴォーカルを取り入れ、宗教的な雰囲気を演出したり、暴虐性以上に曲が作り込まれている感じ。

ただ、こう書くと敷居の高さを感じるかもしれませんが…実際に聴いてみると、ブルータルな音作りに気持ちよくぶっ飛ばされるし、不穏なムードは(勿論良い意味で)気持ち悪くトリップさせてくれるし、難解さを感じる以前に、感覚に強く訴えてくるんですよね。古代の遺跡の石像と目が合ったら、その魔力でスピリチュアルな世界に意識が飛んでしまった…そんな聴き心地のある作品。

歌詞が一部しか載っていないので確実な事は言えませんが、曲から受ける印象としては独特な哲学を持っているバンドだと思う。思わず畏怖を感じてしまうような世界観を、知性やテクニックでしっかり演出できている素晴らしい作品です。


MORDHELL - Suffer in Hell ★★★ (2013-11-09 16:22:19)

2011年発表の2nd。

中古でやたら安かったので、実はそれ程期待していなかったんですけど…これ、めっちゃかっこいいですね。路線としては、「Sardonic Wrath」期のDARKTHRONEや、CARPATHIAN FOREST、AURA NOIR辺りに近い、スラッシーでオールドスクールなブラックメタル。聴いてて体が動くような体感速度重視のリズム、ブラックの擦り込むような感触にドライブ感を加えたようなリフの応酬は、単純に聴いてて気持ち良く、ストレートにかっこいい。

この手のバンドって、スラッシーな熱気が邪悪さを打ち消しがちな印象があるんですけど、このバンドはしっかり「邪悪」なのが素晴らしいです。時々出てくるメロディアスなトレモロにはブラックらしい陰鬱さ、寒々しさが込められているし、ヴォーカルもこの手にありがちな歪みを押さえた吐き捨て声ではなく、ドスの効いた歪み切ったがなり声なのが、個人的には好みなんですよね。スラッシーな曲調に求められるキレの良さも申し分なく、良いヴォーカルだと思う。

しかし、中古価格からするとこのアルバムを二束三文で売り払った人がいる事になりますが、ちょっと信じられません。よっぽど合わなかったんでしょうか…(笑)。正直これならフルプライスで買っても満足してたであろう出来です。かなりお勧め。


MOREDHEL - Satanik Endsieg ★★ (2012-10-28 09:53:08)

2010年発表の1st。
NARGAROTHのKanwulfがレコーディング・ミックス等を担当。

もうジャケからして如何にもプリブラという感じですが、音の方もジャケの印象そのまんまですね。オールドスクールなリフを交えた、プリブラとしてはある程度展開を設けた作風ですが、RAWな音質で荒々しく聴かせるブラックである事に終始ブレのない音。殆ど音が割れているようにしか聴こえないヴォーカルの絶叫もかっこいい。プリブラ期のNARGAROTHともかなり近い音。

典型的なプリミティブブラックではありますが、トレモロやアルペジオに込められたメロディは、フレンチブラック並にネガティビティを撒き散らすようなものであるのが特徴ですね。フレンチブラックのような耽美さや病的さは薄く、ひたすらに聴き手の気力を奪っていくような陰鬱さ。リズム的にはノリの良い部分もあったりしますが、メロディの方は聴いてるだけで筋力が麻痺して衰えていきそう。

オールドスクールなノリと、ネガティブメロウなメロディセンスが両立された、プリミティブブラックとしてはなかなかの良盤。この手が好きであればまあ買って損はしないのでは。


MORGUL ★★ (2011-08-27 19:05:55)

ノルウェー産シンフォニックブラック。
中心人物のJack D. Ripper氏はアメリカに拠点を移してアルバムを製作中だとか。ただ直近のアルバムが2005年発表ですけど…


MORGUL - All Dead Here... (2011-08-27 19:08:39)

2005年発表の5th。

基本的にはゴシック的な耽美さ・怪奇さを含んだメロディが売りのシンフォニック・ブラックという感じですが…このバンドはキーボードだけでなく、SIRENIAやTRISTANIAにも在籍したMaestro Pete Johansen氏による生のヴァイオリンも入っていて、それがバンドが元々持っている耽美なメロディセンスを更に押し上げている感じですね。アンティークで上品な雰囲気、しかしどこか恐ろしさも感じさせるメロディは聴いていてうっとりできます。

他のシンフォ系のバンドと異なり、リフがトレモロ中心でなく、時にドゥーミーな重さも伴う刻み中心なんですが…ファストなパート、リフがシンフォ要素を支えるパート、ギターにメロディを振ってるパートは良いんですが、リフの重さで引っ張るパートは正直凡庸だと思う。また、クリーン入れてる割には大してインパクトのあるメロディを歌わない、そもそも歌があまり上手くないのも痛いですね…相乗効果で、5作出してるバンドとは思えない垢抜けなさが…。

シンフォ系で最も重要な「メロディセンス」は確固としたものがあるだけに、物凄く惜しい作品。Jack氏が以前在籍していた、MERIDIANくらいリフの練りこみを頑張ってくれれば、見違えると思うんですが…。


MORIBUND OBLIVION - Manevi ★★ (2014-02-18 22:33:55)

2013年発表の5th。

アーティスト写真のメンバーの出で立ちからして、如何にもメタルやってる兄ちゃんって感じですが…そのイメージ通り(?)、メタルとして衒いのないかっこよさの強い、メロディアスなブラックメタルを展開してますね。緩急の付いたメリハリのある楽曲構成、刻みとトレモロをバランス良く取り入れたリフ使い、全体的にかなりメロディアスな作風と、根っこに正統なメタルがある感じで、邪悪さは薄めですがメロデス好きにもアピール出来そうなかっこいい音。

ただ、ブラックらしさが無いかというとそうでもなく、例えばトレモロリフが紡ぎ上げる、物悲しいメロディであったり、時にアトモスフェリックな音色で楽曲を陰鬱に彩るキーボードだったり、ブラックらしい陰影がしっかり息づいている音だと思う。ヴォーカルが太めかつガラガラした声質の、威圧感のあるデス声なのも良いですね。変にキレ良く歌われるよりエクストリームメタルはこれくらい威圧感あった方がいいと思うし。

病気じみたブラックやマニアックなブラックが好きな方にはお勧めできませんが、そういう人はアーティスト写真の段階で避けそうな気がします(笑)。ブラック一本で聴いてる人より、メロブラ・メロデスを始めとしたエクストリームメタル全般が好きな方にお勧め。


MORK - PREPOSTEROUS ★★★ (2010-02-11 00:04:00)

2008年発表の1st(6曲入りEP?)。
ブラジルから新たなシンフォニック・ブラックの期待の星の登場です。

某CDショップ…っていうかDISK HELLの入荷情報掲示板で、まだアングライズム前回だった頃のCRADLEやDIMMU、Nocturnal Art Production所属バンドなどが引き合いに出され、90年代のブラックの妖しさを継承した、近年のメジャー志向のシンフォ系のバンドとは確実に一線を画す新人バンドの登場…と、大絶賛で紹介されていたのでご存知のマニアの方も多いと思われますが…私もその口車に見事に乗せられ、CDを購入したクチなんですが(笑)、これは良いですね。

キーボードの、「生音には無い独特の厚み」を利用し、独特の音像を構築する事でブラック特有の底知れない雰囲気を演出していくタイプのシンフォブラックで、確かに初期LIMBONIC ARTの系譜にある音だと思います。ただし、こちらの方がリフの輪郭がはっきりしていて、トレモロと厚いキーの絡みを聴かせたり、ピアノやギターによるソロも挿入した展開重視の部分もあったりしていて、最近のLIMBO程度にはメタリックな音。

自主制作でのデビュー作とは思えないほど質は高く、もしかしたらブラックのマニア以外には初期LIMBOより受けが良いかもしれません。…っていうか、今レビューを書くにあたって改めてバンドの情報を調べるまで、すっかりノルウェーから出た新人だと思ってました。
「さすが本場、出て来る新人もレベルが高い!!」みたいな語り口でレビュー書こうと思ってましたもん(笑)。それくらい、本格的に初期北欧ブラックの雰囲気を醸し出している作品です。青田買い大推薦のバンドです。


MORK GRYNING ★★ (2011-10-27 22:04:34)

90年代半ばより活動する、スウェーデンのブラックメタルバンド。
残念ながら05年にセルフタイトルアルバムを発表した後解散した模様。


MORK GRYNING - Return Fire ★★★ (2011-10-27 22:05:22)

1997年発表の2nd。

マイナー物件な上解散済みのバンドですが、これは素晴らしい。
工事現場の砂袋を一気に引っ繰り返したような、ジャリジャリした音色のリフが耳を引く音像の上に、トレモロリフを含むギターや神秘的なキーボードが印象的なメロディを乗せる、かなりメロディアスなブラックメタル。ヴォーカルの殺気だった、顎が逝きそうな絶叫も迫力あります。

この作品はメロディのセンスがほんと素晴らしいんですよね。
EMPERORの1stをほんの少しだけトラッド寄りにして、メロデス的な親しみやすさを加味したような、残忍さとキャッチネスを備えたメロ。ギターソロも入りますが、しっかり邪悪キャッチーなセンスは引き継いでおり、人間狩りでも煽動してそうな雰囲気がある。幽玄さを醸し出す、キーの音色選びのセンスも文句なし。

既に解散しているのが惜しいですが、90年代北欧ブラックメタルの残虐な雰囲気を余す所なく伝える、かなりの良盤ですので、ブラック好きな方はチェックしてみては。


MORODH - The World of Retribution ★★★ (2015-09-11 22:54:41)

2014年発表の1st。
ショップで地味に推されてたので買ってしまいました。

鬱ブラックって、大きく分けて葬式ドゥーム的な凌遅リズムでひたすら絶望的に聴かせるものと、ロック色の強いミッドテンポ中心でメランコリックに聴かせるものが多い気がしますが、このバンドは後者のスタイルですね。鬱ブラックというジャンル自体、聴き手を選ぶマニアックさがあると思いますが、このバンドはその中ではメジャー志向なバランス感覚と質の高さを持っているんじゃないでしょうか。

楽曲や聴かせ方に良い意味でそつがない印象なんですよね。鬱ブラックの生命線である、リフに練りこまれたメロディはしっかりメランコリックだし、リズムも極端に遅かったりせず、展開も過剰な反復は極力せず、ドラマ性を重視した感じ。ヴォーカルも裏返り系でなく、かっこいい歪み切ったがなりですし、クリーンの方もマイルドで変に喉を絞めたりせず聴きやすい声。ヴォーカルが逝ってるバンドや、ミニマルな展開で景色に徹しているバンドのようなカルト性は薄いですが、その分クオリティの高さはなかなか。

極端さが薄いという点でマニアな方にはもしかしたら物足りないのかもしれませんが、鬱な音楽が好きな方であれば安心して浸りきって聴ける良質な作品だと思います。ちなみにロシア産ですが辺境っぽさはあまりなく、むしろアーバンな感性の音。


MOROWE - Pieklo. Labirynty. Diably ★★★ (2011-09-30 22:40:32)

2010年発表の1st。
このバンドも、安易に「~系」とカテゴライズされる事を拒むような、独特の音を出してますね…。

不吉で毒性の強いメロディを軸に、ミディアムテンポを基調として舐るように展開する、妖しいムードたっぷりのアヴァンギャルドな音で、個人的にはVED BUENS ENDEやVIRUSをまともなメタルに更生させている途中、みたいな印象を受けました。メロディの妖しさはDEATHSPELL OMEGAやLEVIATHAN辺りにも通じるかも。ヴォーカルも第一声からいきなり未知のウイルスに脳を焼かれたような、気色悪い狂性を持った声で聴き手を迎えてくれるし、なかなかグロ度の高い音。

しかし、ここまでならそこまで個性的とは言えないんですが、このバンドが面白いと思うのは、どこかポーランド産デスに影響を受けたような、ヘヴィさも感じられること。全体的には毒素がアトモスフェリックに漂うような作風なんですが、刻みの重さやツーバス連打は、「そのパートの音作りに限って言えば」ブルータル系っぽい音なんですよね。ヴォーカルも迫力出して吼えるべきところはキッチリ吼えてくれますし、メロブラ的トレモロ疾走は普通にかっこよかったり。

妖しく毒々しいアヴァンギャルドなムードと、ヘヴィネス重視のブルータルさって水と油だと思いがちですが、このバンドはその二つを上手く融合させているところが、非常にユニークだと思う。メロディや展開が醸し出す毒素のたっぷり詰まった靄が、ヘヴィネスによって低く垂れ込めているように広がりを持っている感じだと思う。なんとなくジャケの雰囲気から面白そうな作品だとは思ってましたが、期待以上に良かったです。


MORTAL LOVE - I Have Lost... ★★ (2005-08-26 01:12:00)

2005年発表の2ndアルバム。
このバンドのキーとなるフレーズは「もし人を愛せないのなら、生きる理由は何なのか」
らしく、切ない空気に満ちたアルバムになっています。
特にヴォーカルですが、「可愛い」といってもいいくらいの澄んだ声で、特に透き通る高音と
歌唱上の良いアクセントになっている軽くしゃくりあげるかのような歌い方を聴いていると、
胸を締め付けられるかのような感覚に陥ります。この人の声は「一聴き惚れ」してしまいました。
また、曲自体も良くて、2、3回聴いただけでこのアルバムのメロディのどこかを無意識で
口ずさんでしまうほど印象深いメロディが散りばめられている上、そのメロディも
「メランコリック」ではあっても、「ディプレッシブ」まで行かない鬱度で聴きやすいです。
それでいてメタル者が好みそうな音圧はちゃんと備わっているのが心憎いですね。
メタル者以外、例えばJ-POPしか聴かない人でもバンドサウンドが好きで、女声ヴォーカルが
好きならば何の抵抗も無く受け入れられる音楽性なのではないかと思います。
何も知らない人に聴かせたら、その人の中で「ヘビメタ」のイメージが一変したりして。
それにしても、このアルバムのジャケは随分美人に映ってますね…(笑)


MORTAL LOVE - I Have Lost... - Adoration ★★ (2005-08-26 08:41:01)

先行シングルに抜擢された楽曲。
詞の主人公を優しく眠りに誘うかのようなマイルドな男性ヴォーカルを聴いていると、なんだかこっちまで悲しい気分に陥り、そして慰められているような感覚を覚えます。


MORTAL LOVE - I Have Lost... - Existence ★★ (2005-08-26 08:42:58)

音数が少ない中にヴォーカルの呟くような声が入ってくるオープニングが、アルバムの世界観へとリスナーをいざなっていく曲。
「I am dead」の高音を聴くと、まだ一曲目だというのにとても切ない気分に…。


MORTAL LOVE - I Have Lost... - Reality ★★★ (2005-08-26 08:39:30)

今回のアルバムでは、最長でありながら最も気に入った曲。
男声と掛け合いのAメロも、途切れ途切れに呟くようなBメロも、音程を揺らしながら伸びやかに歌うサビも、どの歌メロもそれぞれに素晴らしい。月並みなコメントですが、長さを感じさせない良質の楽曲であると思います。


MORTAL LOVE - I Have Lost... - Senses ★★★ (2005-08-26 08:43:55)

アルバム随一のキャッチーさを誇る疾走曲。
掛け合いのサビがとても分かりやすく、このバンドに全く興味が無い人がたまたまラジオから流れてきたのを聴いたとしても、耳に引っかかると思います。


MORTAL LOVE - I Have Lost... - Spine ★★ (2005-08-26 08:42:03)

この曲の「pain forever after」の部分、メロディだけ聴くと久遠の道を苦痛を背負いながら歩いていくような情景が思い浮かびますが、Voの声質のおかげでいくらかポップ(もちろん悪い意味ではなく)に聴こえます。