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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4301-4400

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4301-4400
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MORTE INCANDESCENTE - ...RELEMBRANDO UM TUMULO ESQUECIDO ★★★ (2012-01-10 23:52:07)

2010年発表の3rd。
関連バンドのSTORM LEGIONがなかなか良かったので、こっちも購入しましたが、このバンドも面白い音出してますね。

ザリザリしたノイズ分多めながら太い響きなリフと、ロックやハードコアのテイストを含む、ドカドカとハイテンションなリズムを上手い事合わせ、辺りのものを蹴散らすようなオールドスクールで攻撃的なブラックメタルを展開してます。ヴォーカルも何もないところに向かって最高にハイな状態で演説するかのような、狂気の篭ったパフォーマンスで作風と非常に良くあってますね。ただこのヴォーカル、かっこよくはあるけど癖が強いので一枚通して聴くとちょっとクドさがあるかも(笑)。

路線自体は攻撃的、かつ熱さや炸裂感を感じさせるものではあるんですが、反面メロディはかなり陰湿なのが独特なんですよね。聴き手の神経に障るような、焦燥感を煽るトレモロを仕込んできたり、闇から魔が溢れ出してくるような、ドロドロしたメロディを弾いてみせたり、テンションの高さとメロディにギャップがある感じで、それが死神が踊るような奇怪さを生み出していると思うんですよね。時々音圧を引かせてムード重視のパートを入れたりもしてますが、その使い方もかなり不気味ですし。

個性的だし雰囲気もあるし、個人的にはかなり気に入った作品。
この独特のテンションの高い気持ち悪さが聴いていて気持ち良いです(笑)。


MORTIFERA - Maledictiih ★★★ (2011-06-07 18:39:45)

2010年発表の2nd。

Neigeは抜けてしまいましたが、相変わらず素晴らしい作品を作ってますね。MORTIFERAの美点というと、まずエグいヴォーカルと、メロディセンスの素晴らしさが挙げられますが、その両方を保ったまま、かなり聴きやすくなった作品だと思います。

まずヴォーカルですが…Neigeが脱退したため、あの笛を音階が潰れるほど思いっきり吹いた時の音のような超高音は聴けませんが、Noktuの仮声帯だけで発声してるみたいな、ハイパー喉声なデスヴォイスは今作でも健在。全盛期のManiac並みのねちっこさで、聴いてる方の喉が潰れそうな勢いでがなりまくり。単純に好きなんですよね、こういうスタイルの絶叫。

そしてメロディも、センスの良さに全く陰りがないですね…
基本的にトレモロリフ(時々アルペジオ)にメロを乗せてますが、美醜と悲哀を自在に表現しきっているように思えるくらい、「メロディで」曲の展開や表情を付けている作風。メロディックな音楽好きなら確実に世界観を共有できると思う。また、トレモロを含むメロウなベースや、歯に何かが挟まるかの如く妙な引っかかりを持つ刻みリフ等と絡み、曲にフックを設けてるのも素晴らしい。

ただ、MORTIFERAって割とカルトっぽい印象があるんですが、今作は音質・音量ともにごくごくまともで、しかも大抵の曲が3~5分台のコンパクトなものなので、総じて凄く聴きやすくなった印象も受けるんですよね。メタル聴く人なら普通に聴けるレベル。メロディの良さもありますし、ブラック入門したての方にもお勧めです。少なくともジャケのイメージよりは大分聴きやすいかと(笑)。


MORTIFERA - Vastiia Tenebrd Mortifera ★★ (2009-08-24 21:10:00)

2004年発表の1st。

フレンチブラックきっての才人、NeigeとNoktuによるバンドと言う事ですが、まず二人のヴォーカルからして凄まじいですね。Neigeのヴォーカルは、今にも声帯が引き千切れそうな絶叫で、ある意味SILENCERやSORTSINDよりも壮絶だと思う。超高音のヴォーカルを「ホイッスルヴォイス」といいますが、ホイッスル通り越して鳶の鳴き声みたいになってるんですけど…(笑)。

Noktuの方は、WLA期のManiac(MAYHEM)を少し低めにしたような、悪魔じみたねちっこさのあるがなりで、こっちもブラックメタルでもトップクラスの魅力のある声。二人のヴォーカルはそれぞれのバンドの作品でも聴けますが、やっぱり揃うと更に強烈な印象を残していきます。

また、ヴォーカル以外にも他のバンドにない、様々な特徴がある音ですね。
デビューEPでは「アンニュイさ」が強く感じられた、フランス産特有の耽美な鬱メロは、今作では「安楽死」レベルに引き上げられてると思うし、吹雪というよりは「ぼた雪」を思わせる、妙な重みのあるリフの歪ませ方もなかなかに独特。ややRAWな音作りの割に、ベースが一部パーカッシブに感じられるくらい、よく聴こえるのも特徴の一つと言えるかも。

総じて、他のアングラなブラックとはかなり差別化された音と言えるのではないかと思います。フレンチブラック好きなら外せない作品。それだけに、流通がもう少し良いといいんですけどね…。


MORTIFERA - Vastiia Tenebrd Mortifera - Fbrahgments ★★★ (2009-08-24 21:13:41)

イントロ部分の、時間の流れが遅く感じられそうな、ギターの奇妙な歪ませ方が独特で、アルバムの最初からかなりインパクトを与えてくれます。この音色は、アルバム全編でもっと多用して欲しかったなぁ…。


MORTIIS ★★ (2007-09-15 21:31:00)

ex-EMPERORのベーシストのソロ。
VONDやFATA MORGANAなどの別プロジェクトもいくつか手がけているアーティスト。
最近の音源は未聴ですが、ゴシック/インダストリアルに転向したらしいですね。
それにしても、IldjarnといいTchortといい、EMPERORのベースは濃い人が多い…(笑)


MORTIIS - Crypt of the Wizard ★★ (2007-09-15 21:28:00)

1996年発表の4thアルバム。
実際にはDark Dungeonからリリースされた五枚のシングル「Felden Og Kallet」「En Sirkel As Kosmisk」「Vandreren's Sang」「Stjernefodt」「I Morkret Drommende」を一枚に纏めたものみたいです。2006年、リマスター、スリップケース仕様、ライナーノーツ付きで再発されました。

ライナーでもTANGERINE DREAMなどから影響を受けている事を認めている通り、音楽性はシンセによるアンビエント。Fenrizが「NEPTUNE TOWERS」でやったようなジャーマンプログレそのものの音というよりは、後期BURZUMやSatyrのWONGRAVEN等にも通じる、メロディで情景を描く志向が強い音。映画のサントラ的とも言えるかも。中世北欧を題材にしたドキュメンタリーのBGMにしたら凄く合いそう。

やはり北欧の人だけあって、メロディがかなり良いですね。
5曲目なんかバックで妖しげな持続音が鳴ってるとは言え、日本の秋を思わせるような叙情的なメロディが聴けるし、9曲目に至っては一瞬ですが演歌を連想してしまったくらいだし…(笑)。日本人の好みにも結構合うメロディなんじゃないかと思います。
まあ、所々シンセの音色にチープさを感じる部分もありますが、レコーディングの状況を考えると仕方ないのかも。

ちなみに、ライナーは本人のインタビューをもとに構成されており、別プロジェクトのVONDについてやライブの状況などにもコメントしているので、興味のある方は必読です。彼はポーランドでのライブ中、演出の炎が髪に燃え移った事があるらしい…(笑)。


MORTIIS - The Grudge ★★ (2008-06-22 22:08:00)

2004年発表の7thアルバム。
以前に4thは聴いてたんですが、また凄い変わりようですね…。

ULVERやTHE 3RD AND THE MORTAL、MANESなど、ノルウェーにはインダストリアル/エレクトロニカ方面に活路を見出すバンドが少なくないですが、前述のバンド達がそうした要素を情景描写に使う傾向が強いのに対し、MORTIISはラップやNINE INCH NAILSそっくりの歌メロを導入した、歌モノ要素の強いある意味売れ線と言えなくもない路線。

とてもじゃないけどEMPERORのメンバーだったり、COLD MEAT INDUSTRYに所属していた経験のある人の作品とは思えません。アメリカのインダストリアルバンド…とか紹介されたら普通に信じてしまいそうな音に仕上がってます。
この音楽性、何気にZILCH辺りのファンにもお勧め出来そうな気がするんですが…

音楽性が似ているのみならず、シャウトしても攻撃的になりきれない、線の細く味のあるヴォーカルや、ヴィジュアル面で自分をプロデュースする手法(特殊メイクが凄い…)など、かなり類似点は多いと思います。ただ、ZILCHと比べるとマニアックというか、自己満足っぽさを感じるというか、キャッチネスに徹しきれていない印象があるのも確かですが。

V系からZILCH(hide)辺りを経由して、インダストリアルからメタルに入った人って案外多いんじゃないでしょうか。そういう経路でメタルに入った人なら聴く価値ありかも。


MORTUALIA ★★ (2010-04-29 11:53:00)

フィンランド産鬱ブラック。
SARGEISTを初め、多くのバンドに籍を置く重鎮Shatraugが独りで演ってます。


MORTUALIA - Blood of the Hermit ★★★ (2010-04-29 11:52:00)

2010年発表の2nd。
裏ジャケが何だか可愛らしいですね。森のくまさん的な(笑)。

タイプ的には鬱ブラックですが、割と個性的なスタイルの作品ですね。
鬱ブラックに頻繁に使用されるトレモロリフを排し、ノイジーに引き摺る、ガリガリに歪んだリフの上に、歪みの少ないギターが爪弾くように、物悲しげな中にもどこか壊れた感じのするメロディを重ねていくタイプ。鬱系には珍しく、リードギターがギターソロのように使われるパートも多いですが、使い方のセンスが良いせいか、違和感無いどころか曲の寂寥感を更に上げてます。

ヴォーカルは鬱ブラックに典型的な、SILENCERタイプの裏返り気味な、歪みの少ない高音ですが…もう悲痛さの表現が行き過ぎてて、逆に笑えてくる一歩手前みたいな凄まじさ。「哀れを誘う声」というのは、こういう声のことを言うのではないでしょうか(笑)。SARGEISTとはまた別の視点からブラック観を追求した作品。Shatraugもまた、ブラックメタルに魅入られて戻れなくなった一人だなぁ…という事が良く分かるアルバムです(笑)。


MORTUARY DRAPE - Secret Sudaria ★★ (2014-07-13 17:51:28)

97年発表の2nd。
2011年にDark Descent Recordsよりリイシュー盤が出てます。

…で、私はそのリイシュー盤を購入したんですが…これ、本当に2011年の再発なんですよね?そうとは思えない程録音レベルが小さく、他の同年代のブラックを聴いた後そのまま再生するとこそばゆいような音量で再生されるんですが…音の小さい作品が嫌いな私としては、大分この時点で心証が悪くなりましたね…(苦笑)。ただ、肝心の音楽性の方は悪くないです。再発されて然るべきかっこよさを持つブラックだと思います。

路線としては、スラッシュや初期デスメタルからの影響の色濃い、オールドスクールなブラックメタル。この手のバンドらしい、衝動を感じさせるスラッシーな疾走パートを主軸に展開していく作風ですが、緩急付けた曲作り、ベースも絡めつつのオカルティックなメロディ使いなど、どこか「鮮やかさ」も感じられるんですよね。決して一本調子にならないかっこよさがあると思う。ヴォーカルも、スラッシュの吐き捨てヴォーカルの影響の強いリズミックなスタイルですが、歪ませ方・ドスの効かせ方がかなりエグく、プリブラや鬱ブラックのヴォーカルに負けない邪悪さ。

衝動的で活き活きとした中にも、オカルトな邪悪さが確かに根付いた作品だけに、音の小ささだけが悔やまれますね…。この手の音は多少音が割れてもいいから、大音量で聴かせる事に拘ってほしいところ。BEHERITのベスト並に音圧高かったら☆3つだったかも。


MORTUORIAL ECLIPSE ★★ (2013-10-29 23:43:32)

アルゼンチン産シンフォニックデス/ブラックメタル。
去年1stを出したばかりの新しいバンドで、しかも南米産という事でマニアックな音を想像されるかもしれませんが、現時点でBEHEMOTHやDIMMU BORGIRと渡り合えそうな凄まじいクオリティの音を出してます。シンフォニックなエクストリームメタルが好きならば要チェックなバンドです。


MORTUORIAL ECLIPSE - The Aethy's Call ★★★ (2013-10-29 23:47:03)

2012年発表の1stですが、これは凄まじい!!

音楽性は一言で言うなら、「Demigod」アルバム以降のBEHEMOTHにも通じる、音圧を込めて暴虐に磨り潰すような、デスメタル由来のヘヴィに畳み掛けるバンドサウンドに、派手なオーケストレーションが乗るという、手法としてはごく分かりやすい音ではあるんですが…音のクオリティといい迫力といい、その辺のB級バンドが束になってかかっても全く敵わないものがあるように思います。

絶望感すら感じるドスの効いた、ヘヴィなバンドサウンドに、Nergal氏を髣髴とさせる、古代の神々の怒りのような咆哮が轟くだけでも、聴き手を圧倒するパワーに満ちている感じですが、そこに乗るオーケストレーションがかなり派手で素晴らしい。邪悪な存在を称える凱歌のような管楽器の音色で既に大仰極まりないですが、更に震えるストリングスが張り詰めた緊張感を演出。

…それがバンドサウンドに乗る事で、まるで一体の体長が数kmに及ぶ天使と悪魔の大戦争にでも巻き込まれたかのような、最早人間ではどうする事も出来ないような破壊的な情景が浮かんでくるんですよね。オーケストレーションの使い方だけでなく、リフ捌きもヘヴィさに飽かせて攻めるだけでなく、ブラックらしい叙情トレモロを上手く絡めてくるもので何気に素晴らしい。

演奏時間が30分弱と短かったので、物足りなく感じるかと思いましたが…余りにも張り詰めた空気に聴き終わる頃にはぐったり疲れてました(笑)。それだけ充実したものを聴かせてもらった感じです。BEHEMOTHやDIMMU BORGIR、SEPTIC FLESH、FLESHGOD APOCALYPSE辺りのバンドが好みであれば必聴です。


MORTUUS ★★ (2011-08-12 00:20:00)

スウェーデン産二人組ブラックメタル。
ONDSKAPT、OFERMODのメンバーが絡んでます。
ちなみにMARDUKのMortuusとは別人・別バンドです。


MORTUUS - De Contemplanda Morte - De Reverencie Laboribus Ac Adorationis ★★★ (2011-08-12 00:22:51)

2007年発表の1st。
Disc Unionのガイド本でも取り上げられていた作品ですが…
これは名盤ではないでしょうか。少なくとも雰囲気は最高クラス。

出音としては、メンバーが関わっているONDSKAPTやOFERMODとかなり共通する所がありますね。中音域の、疫病を撒き散らすかのようながなり、プリブラの薄さではなく、メタリックな重量感は残しつつ、ブラックらしいノイジーさも加味したリフの音色など、スタイル的には共通していると思う。また、これらバンドの持つ毒々しさ、鬱な感覚に加えて、宗教的恍惚感をプラスしたようなメロディはDEATHSPELL OMEGA(特に3rd)にも通じるものがありますね。

ただ、このバンドは上記のバンドと比べると、ダークアンビエント的なパートの挿入やSE的な音色の導入、ドゥームに通じる引き摺り感の強いリフを弾くなど、より音を粘着質な方向に持っていこうとしているのが特徴。ファストパートを効果的に用いつつ、タメを作るようなパートも多く導入しているのはOFERMODの1stとも共通しますが、そうしたパートの求心力や心地よさは、こちらの方が断然上だと思う。(反面、OFERMODと比較してメタルのダイナミズムはやや希薄か)

個人的には、粘性と暗黒度の高い引き摺りリフで良い感じに快い気分になっているところに、人生を投げ捨てて悪魔主義に入信したくなるレベルの宗教的毒を含んだメロディのトレモロが来ると、「くぅ~っ」と込み上げてくる物があります(笑)。もう音が余りにもツボ過ぎてしまって…。

今まで、スウェディッシュというとファスト系やメロディック系のブラックが強い印象でしたが、WATAINやFUNERAL MIST、そしてこのバンドやONDSKAPT、OFERMODなど、サタニックな雰囲気濃厚なブラックが一種のスタンダードとなりつつありますよね。個人的にはこの傾向、大歓迎だったりします。


MORTUUS INFRADAEMONI - Imis Avernis ★★ (2009-07-25 21:11:00)

2009年発表の2nd。
…LUNAR AURORAやCold Dimensions絡みのバンドって、「景色」を見せてくれるものが多いですが、やはりこのバンドも間違いなくその「眷属」ですよね。

タイプ的には、タメや切り返し、テンポチェンジなどの展開は入れつつも、曲の8~9割を疾走に割いたファスト系のブラックメタル。ですが、ギターのザラついた、奥行きのある音の、放射線でも浴びせられてるような毒々しさとミニマル気味な展開も相まって、ブルータリティよりもアトモスフェリックさの方が遥かに重視されているという印象。

メロディにはDISSECTION的な寒々しさや、LUNAR AURORA的な神秘性、魔性も感じられますが、どっちかというと抽象的な雰囲気に重きが置かれている感じで、リフのフックは前述のバンドと比べると希薄。この辺り、アトモスフェリックメタルに理解がないと多少辛いかもしれません。

音によって「ドラマ」ではなく、「不吉な情景」とそれに対して「加速していく戦慄」を描いているという感じ。ヴォーカルの獣じみた「グアァァー!」という叫びも、戦慄が加速し、追い詰められていく感じを出すのに一役買ってますね。

LUNAR AURORAやTHORNGOTHが好きな方にお勧め。
最も、LUNAR AURORA絡みでCold Dimensionから出てるだけで私的には「買い」ですが(笑)。


MORTUUS INFRADAEMONI - Imis Avernis - Mortuus et prodeunt infradaemoni ★★★ (2009-07-25 21:12:35)

全体的に抽象性が大事にされた作風のアルバムですが、この曲は割と具体的に情景を描いているような印象を受けます。ヴォーカルの詠唱から威風のあるリズムに刻みリフに落とすパートなんて、ジャケの地獄が現世に顕現してるような感じだし。疾走部分のメロディも他の曲よりくっきりしてます。個人的には、抽象性と曲のフックのバランスはこれくらいの方が好み。


MOURNFUL CONGREGATION - The June Frost ★★ (2009-01-22 22:02:00)

2009年発表の3rd。
前作とは対照的な、真っ白なジャケがなんか意外な感じ…。
「フューネラル/モーンフルドゥーム屈指の名盤」として讃えられている前作ですが、
個人的には曲自体は素晴らしいと思ったものの、引きずる重低音ギターの音の小ささや
それと比べてアコギが大きすぎな音のバランスなどがいまいち好きになれなかったんですが…
今作はその欠点を見事にクリアした、実に重厚な音像になってますね。
「The Slow March to the Burial」のズンズン刻むパートなどはこの音あってのものだと
思うし、全体的に世界観に引き込んでいくパワーも上がっていると思うしで嬉しい限り。
曲数こそ前作の倍なものの、「ドゥームは心臓の鼓動が遅い者達の為の物だ」という
ステイトメント通りのスローなリズムの中、悲哀に満ちたメロディを丁寧に紡いでドラマ性を
演出する基本的な路線は変わらず。
このバンドは他の葬式ドゥームと比べると、メロディの傾向が鬱、絶望よりも「哀しみ」の
度合いが強いように思います。帯には「フューネラル」ではなく、「モーンフル」ドゥームと
ありますが、確かに葬式のような儀式的な感じよりは、自然の情景が浮かぶ感じですね。
嘆きの集団(=Mournful Congregation)が、夕暮れの海にゆっくり帰っていくような…。
「Suicide Choir」のクワイアが入るパートなんて、自分の個が消えてなにか大きな存在へ
回帰していくような雰囲気だし。ああ、これで楽に…な…れ……る………。
曲展開は遅いもののドラマティックだし、全編にメロウなギターソロをフィーチャーした
「The June Frost」みたいな曲もあるし、葬式系の中ではドゥーム好き以外のメタラーにも
アピールできそうな音だと思います。値段も1500円と良心的ですし、まだこの手の音楽を
聴いた事のないメタラーも試してみてはどうでしょう。


MOURNFUL CONGREGATION - The Monad of Creation ★★ (2006-06-16 22:22:00)

同じフューネラル・ドゥームでも、WORSHIPやNORTTが聖書の黙示録でラッパを持った
天使たちが次々に舞い降り災いを起こしていくシーンの様に、世界が真っ暗になり
破滅していく場面を描いているとしたら、この作品は人生に絶望した人間が、涙を流しながら
海へと入水自殺するような、そういうイメージがあります。
悲壮感や破滅的な雰囲気も勿論出ていますが、それと同時に「母なる海」的な神秘性も感じます。
表現は違いますが、この悲壮感は1stのTHE 3RD AND THE MORTALとも共通する感覚かも。
このサウンドだとヴォーカルの低音咆哮タイプのデス声すら悲しく聴こえる…。
私も最初はヘヴィな音が耳に心地良い…的なサウンドではなかったので戸惑いましたが、
何回か聴くうちに良さが分かってきた感じです。
私もわっせろーいさん同様、繰り返して聴くべき作品だと思いました。


MOURNFUL CONGREGATION - The Monad of Creation - The Monad of Creation ★★ (2006-11-08 21:10:43)

この曲調だと、ギターの歪みが水の飛沫の様な印象に聞こえる…。
人はこうして海へと回帰していくのだろうか…みたいな。


MOURNING FOREST - De la Vermine ★★★ (2014-06-12 23:12:22)

2010年発表の2nd。

前作が「哀しみの影と…」のタイトルで日本盤リリースされた事もあって、フレンチブラック勢でも知名度の高いバンドですが…聴いてみると注目の理由も頷けますね。若干金属質なRawさを残しつつ不快でない歪ませ方のリフ、そのトレモロリフが奏でるメロウ極まりないメロディ、ガラガラに歪んだヴォーカル…と、正しく「メロウなプリブラ」してて、かつメロディや(プリブラとしての)音質・展開がしっかりしている作風。

マニアも満足させつつ、初心者にもジャンルの魅力を分かりやすく伝える質があると思いますが、更に魅力的なのはメロディの傾向。北欧バンドの醸し出す土着的な邪悪さや寒々しさとは異なり、このバンドのメロディは耽美さや儚さ、哀愁、毒々しさなどが入り混じったドラマティックなもの。こういった特性を持つメロディを多用するブラックメタルバンドはフランスに多い印象ですが、中でも分かりやすくそれを感じさせてくれる作品ですね。

ジャンルとしての魅力、出身地域ならではの魅力をどちらも高いレベルで伝えてくれる作品。Les Legions Noires作品などを通じてフレンチプリブラの魅力の虜になった方だけでなく、このジャンルに挑戦してみようと思う方にもお勧めです。


MOURNING MIST - Mourning Mist ★★ (2016-03-02 13:30:15)

2015年発表の1st。

ABHORやPROFEZIAなど、ゴシックな雰囲気やアンビエンスを重視した作風で知られるバンドのメンバーであるKvasir氏の在籍するバンド…との事ですが、ここでも彼の感性がかなり強く出た音になっているような気がします。こちらはオールドスクールだったり不協的・前衛的だったりしつつ、鬱ブラックやドゥームに通じるミッドテンポ中心で聴かせる、若干ローファイなバンドサウンドに、存在感のあるヴァイオリンを絡めていくスタイル。

このヴァイオリンが単に美しさやメロウさを加味したり、メロディを弾いたりだけでなく、かなり独特な使われ方をしているのが最大の特徴。ギターソロの速弾きのようなフレーズを聴かせたり、時に包み込むようなアトモスフェリックさ、時に撓み捻れるようなグロテスクさでバンドサウンドを包み込んだり…。このヴァイオリンが、音の根幹を成しているといっても過言ではないように思います。

結構フレーズなどに突飛な部分があり、聴き手を選ぶ感じはしますが、終始一貫して陰々鬱々としたムードは保たれているので、ダークでマニアックな音楽好きならば聴いてみるのもいいかと。


MR.CHILDREN - Atomic Heart - innocent world ★★ (2005-12-26 19:10:15)

「♪変わり続ける~」の入り方が好きです。


MR.CHILDREN - BOLERO - ALIVE ★★★ (2005-12-26 19:08:37)

もう上の方も仰ってるんですが、この暗い中に光が差し込んでくるような曲調、大好きです。ミスチルの曲では一番好き。なのでシングルでもないのにベストに収録されているのはとても嬉しいです。


MR.CHILDREN - シフクノオト - タガタメ ★★★ (2005-12-26 19:05:35)

今まで桜井さんのヴォーカルに対して結構懐疑的だったんですが、この曲で実力を見せ付けられてしまった感じです。ミスチルらしい社会的でシリアスな歌詞はとても素晴らしいですが、友人がカラオケで歌うときに「タダタダ ダキアッテ」のようなカタカナの羅列をず~っと見てると、次第にゲシュタルト崩壊が起こってくる(笑)


MUNRUTHEL ★★ (2013-07-07 21:45:28)

ウクライナ産シンフォニック/ペイガンブラック。
NOKTURNAL MORTUMの創設メンバー(現在は脱退)であるMunruthel氏によるプロジェクト。初期はインスト作品だったとか。


MUNRUTHEL - CREEDamage ★★★ (2013-07-07 21:46:08)

2012年発表の4th。

ちょっと調べてみたら、プロジェクトの中心人物であるMunruthel氏は元NOKTURNAL MORTUMのドラマーで、90年代にはウクライナで最も優れたドラマーの1人と謳われた事もあった人物で、トランス系プロジェクトにも所属しているという、多芸極まりない経歴が出てきましたが…このプロジェクトでも、彼の多彩振りは如何なく発揮されてますね…。

ペイガン/シンフォ系のブラックでもかなりオーケストレーションに比重を置いたスケールの大きい、神話的な情景が浮かぶサウンドで、まるでLORD WIND(GRAVELANDのRob氏のアンビエント)をバンドサウンド化したかのような深遠さ。クラシカルなだけでなく、ケルトやヴァイキングっぽいメロディ使いもあり、アルバムの雰囲気の一貫性と展開のバリエーションの豊かさを両立させている辺りが素晴らしい。

元はインストだと思えないくらいにヴォーカルラインには力を入れており、自前の絶叫とグロウルを使い分けるデス声だけでなく、ヴァイキング的な朗々としたテノールや、非日常的な光景を醸し出す妖しい女性ヴォーカル等、ゲストやセッションミュージシャンも数多く起用していますね。ただ、普通のロックっぽい男性ヴォーカルは、個人的には非日常的な雰囲気を壊してるように思えて、正直歓迎したくないですけど…。BATHORYカヴァーのテノールの人は聴き惚れるくらい良い声なんですけどね…。

また、オーケストラやヴォーカルワークによる壮大さだけでなく、バンドサウンドの部分もある程度しっかりしているのが良いですね。何気にギターソロなんかもあったりしますし、プロダクションはしっかり重さもあり、かつクリア。CandlelightとかSeason of Mist辺りのメジャー所から出ていてもおかしくないクオリティだと思う。敢えて言えば、意外にドラムの音色がイマイチに感じる箇所があったくらいでしょうか。

ぶっちゃけNOKTURNAL MORTUMよりも万人に受けそうな音だと思います。作りこまれた壮大さで古代の神話世界にトリップしたい方にお勧め。


MURDRYCK - Antologi MMXV ★★★ (2016-12-24 15:25:51)

2016年発表の2nd。

このバンド、元はダークアンビエントを演っていたらしいですが、近年になってバンドサウンドのブラックメタルに移行したんだとか。その経緯からも想像される通り、アトモスフェリックブラックとメロディックブラックを折衷させたようなスタイルになってますね。

楽曲の展開やムードの演出などはアトモス系の様式をある程度踏襲している感がありますが、メロディの質だったりバンドのアンサンブルだったりはメロブラのそれ。北欧の土着的なメロディを練り込んだトレモロもフェチ的に楽しめつつ、時にベースが主導権を握るなどバンドらしい音作りで、攻撃性も十分なため、ポスト・アトモスフェリックブラックにありがちな「ブラックメタルを聴いてる感の薄さ」が少ないバランスが個人的にはかなりツボですね。

そういう訳で、ポスト・アトモスフェリック系の風景の演出と、メロブラらしい土着性や攻撃性を一緒に楽しめる優れた一枚。こういう音好きなんですよね。


MURG - Varg & Björn ★★★ (2015-10-22 11:38:48)

2015年発表の1st。
正直、このペーパースリーブという形式、CDの保存性に難があって個人的には大嫌いなんですが…それを差し引いてでも素晴らしい作品です。

路線としては、ブラスト一辺倒ではなく、スラッシュビートやミディアム等も交えた劇的な展開と、単に邪悪なだけではない、サタニックな神秘性も孕んだトレモロで聴かせる、ストレートなブラックメタル。若干音質がRawな感じはありますが、衒いのないスタイルかつ楽曲が非常に魅力的なんですよね。

特に荒々しくノイジーな音の中で、破滅の光が降り注ぐかのごときトレモロと、ガラガラに歪んだヴォーカルが何かを訴えかけるかのように叫び、宗教的な恍惚感すら喚起するようなあの感じは、かのFUNERAL MISTを聴いたときの感動に迫るものがあります。バンドメンバーの構成も明かされていないし、これが初のアルバムらしいですが、既に何年も演っているような堂に入った世界観の構築振り。

ただ、PCとの相性が悪いのか、もしくはPCがおかしいのか…何故か私の環境だとPCで再生できない(音跳び、ノイズが頻繁に発生)ので、ウォークマンに入れて外で聴けないのが残念…。これが私だけなのか、皆そうなのか気になります。それを除けば、ブラックとしてほぼ完璧に近いです。


MURMUR - MAINLINING THE LUGUBRIOUS ★★ (2012-06-18 21:55:51)

2010年発表の1st。

怪しげなクスリを静脈注射するジャケ、トレイ下の注射器と「Never Stop the Madness」ロゴからも予想が付く通り、サイケデリックな感覚の強いブラックメタルで、NACHTMYSTIUMが「Instinct : decay」から鬱系のメロディを強めつつ、更にアングラで危険な方向に進んだような音。黒い靄に包まれるような、質量感のあるノイジーなギターの歪み、時折挿入されるドローンめいた音が音像にヴェールを掛け、正体を隠しているようで、どこか底知れないような不気味さがありますね…。

また、曲に聴き手の恐怖感だったり嫌悪感だったり、生理的な部分に訴えかけてくるような表現が多用されているのも特徴ですね。例えばイントロ明けの2曲目では、ただでさえ不安になるような鬱アルペジオから、唐突にメロディを消して疾走し、まるで暗闇に放り出されたような心許なさを感じさせるし、その後のドローン的なパートでは悲鳴のようなギターの音が本気で不気味。音自体の得体の知れなさとも相俟って、聴いていると闇が広がっていくような感覚を味わう作品。

鬱系とサイケデリックな感性を掛け合わせたら、恐ろしく不気味で病気めいたムードに仕上がったような感じの作風。病的な表現の多いアメリカのブラックでもかなりダークな方ですので、XASTHURやLEVIATHAN辺りのアメリカの病巣に注目している方は是非。


MUSSORGSKI (BLACK METAL) ★★ (2013-07-13 19:51:33)

ARKONA絡みのメンバーによる、ポーランド産鬱ブラック。
95年に一度活動停止し、2009年に活動を再開したという経緯があるらしいです。


MUSSORGSKI (BLACK METAL) - Chaos and Paranormal Divinity ★★ (2013-07-13 19:52:21)

2011年発表の2nd。

陰鬱極まりないメロディや、アトモスフェリックなキーボードを取り入れつつ、緩やかに進行していく音像自体は、ディプレッシブ・ブラックのそれなんですが…多くの鬱系のバンドと違い、鬱や絶望といった人間的な感情は余り伝わってこず、代わりに暗黒や魔術であるとか、そういった邪悪で儀式的なものへの憧憬がひしひしと伝わってくるような音になってますね。

地の底から響くようなエフェクトの掛かったヴォーカル、霊的世界へ誘うように纏わりつくキーボードの音色選びのセンス、悪しきものを祝福するかのようなメロディ…それらによって醸造される世界観は、非日常的な邪悪さで満たされているかのよう。闇の儀式によって開いた異形の世界への扉、そこから漏れ聞こえて来る音…そんな感じの作風。今にも腐蝕した風が頬を撫でていきそう。

このどす黒く纏わり付いてくるような、粘着質な暗黒の表現、個人的にはなかなかにツボだったりします。アトモスフェリックでダークな音楽が好きであればチェックしてみてもいいのでは。


MUSTAN KUUN LAPSET - Prologi ★★★ (2013-07-19 22:08:30)

98年発表の5曲入りEP。
再発盤はボーナストラックを一曲収録。

このバンドはこの後メロディック・デス色を強めていったらしいですが、今作は超が付くほど良質なメロブラ。確かに、タイトル通りデビューして間もない作品らしく、今ひとつ薄いリフの音色や、全体的な音圧の物足りなさ、妙にRAWなドラムの音など、音作り方面を中心に荒削りさが残る作品ではありますが、それを補って余りある魅力がありますね。

この作品のウリは、なんといってもメロディでしょう。時にメロデスや正統派に通じるエピックでメタリックなフレーズも挟むものの、主にブラックらしいトレモロリフによって奏でられるメロディには、中世的なムードと哀愁がたっぷり詰まっていて絶品。最近のバンドで言うとフランスのAORLHACのロマンティックなメロっぷりに殺られた人なんかはツボでしょう。所々アトモス系のキーを入れてるのも良いですね。雰囲気ある音色でセンスいいです。

これ、音作りがもう少し良かったら、メロブラ入門向けにも勧められるくらいいい作品だと思います。もちろん、既にメロブラ好きな人は必聴。調べたら既に解散しているようですが、ほんとそれが惜しまれるバンドですよ…。


MUTIILATION ★★ (2005-07-22 10:27:00)

確かに…(笑)
私も登録されていたのを知った時、ちょっと驚きました。
でも4thを聴く限り、DARKTHRONEが行ける人なら、結構聴けてしまうのでは…
まぁDARKTHRONE自体が一般受けを拒否したような音楽性ですが(笑)


MUTIILATION ★★ (2006-03-13 20:13:00)

こないだ彼等の参加しているオムニバス「FROM THE ENTRAIL TO THE DIRT」を
買ったんですが、これかなり良いですよ!!
まずMY WAYの×チガイカヴァーだけでも聴く価値アリです(笑)
更にMutiilationをメロディアスにしたような音楽性のMalicious Secretsは
Meyhna'chがヴォーカルなので、Mutiilation好きな人は要チェックです。


MUTIILATION ★★ (2006-07-02 22:55:00)

Les Legions Noires(The Black Legions)について調べてみましたが…
これはMutiilation、Vlad Tepes、Belketre、Torgeist等のフランスの
バンドが集まって結成したグループで、Mutiilationは96年にMeyhna'chが
麻薬でジャンキー状態だったので辞めてしまったようですね。
96年からMutiilationのリリースが暫くないのもそういう理由なのかも…
今は色々掛け持ちしてるし、普通に立ち直ってるのかな?
>vinterさん
それもちょっと調べてみたんですが、デモとスプリットだけみたいです。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) ★★★ (2007-01-30 20:27:00)

2001年発表の、多分3rd。
私のは「Grimly Reborn」としか書いてないんですがおそらくブート。正式名称はこのタイトルで、3000枚限定らしいです。

MUTIILATIONはこの作品とそれ以前で作風がかなり異なる感じがします。
4thと同じく、ドラムが明らかに打ちこみっぽい音になりギターの音質も独特になってますね。ギターは、DARKTHRONE等のようなザラザラした質感ではなく、ULVERの3rdを思わせるような耳を劈くような鋭いノイジーさで(あそこまで極端ではない)、曲によってノイジーさの度合いが違うので1曲目で「無理かも…」と思っても、他の曲も聴いてから判断して欲しいですね。

中でもラスト3曲のやりすぎなまでのメロウさは必聴。最初は、音質面や例え刻みリフでもメロウさが滲み出る所もULVERの3rdと似ているけど、メロディセンスでは流石に向こうのが上かな…と思ったんですが、ラスト3曲を聴いて思い直しました。かなりの名作ですね。特にメロウさと病みを同時に成立させる曲作りのセンスが素晴らしいです。

ちなみに私の持ってるCD(多分ブート)はボーナストラックが5曲ほど付いてるんですが、この音質がかなり酷い(笑)。ラフな演奏を表現する際に、隣の部屋のスタジオから聞こえてくるような…という事がありますが、例えとかじゃなくて本当にそんな感じ。最初に聴いた時はいつ曲が始まるんだろう…とか思ってました。
正直聴いていられないレベルですが、本当に酷い音質がどんなものか聴いてみたい人はいいかも(笑)。本編は(プリブラ基準で)まともです。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - Black Millenium ★★★ (2007-01-30 19:49:20)

これはMUTILATIONの中でも疾走感のある曲ではないでしょうか。
中ほどに少しテンポを落とす部分もありますが、曲の殆どはメロウなトレモロリフを引き連れて疾走してます。個人的には、この曲からの3曲がアルバムのハイライトだと思います。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - Black as Lead and Death ★★★ (2007-01-30 19:57:59)

前2曲のメロウさ大放出っぷりにも関わらず、またもや素晴らしいリフが…こうコンスタントに良いリフを書けるとなると、最早Meyhna'chの才能を疑う事は出来ませんね。前2曲と比べると中間部のメロはちょっとそっけないですが、それでも充分すぎるくらい出来の良い曲。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - Curse My Funeral ★★ (2007-01-30 20:08:37)

後半疾走しますが、前半のスローパートの病みっぷりが凄い。
メロディの不気味さも然ることながら、ギターの音質が耳に優しくないのがキツい(笑)。耐性無い人が聴いたら気分悪くなる事必至な一曲。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - No Mercy for Humans ★★★ (2007-01-30 19:52:50)

頭のリフ、なんてかっこよくてメロウなんでしょうか…
MUTIILATIONの一番の強味は、カルトなイメージやヴォーカルの病みっぷりではなく、このメロディセンスの良さなのかもしれません。スローパートは民族系にも通じる哀愁が…そしてまた頭のかっこいいリフと共に疾走に雪崩れ込む…。展開もメロも文句なし。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - The Eggs of Melancholy ★★ (2007-01-30 20:06:00)

イントロこそ哀愁たっぷりに始まりますが、1曲目にしてギターの音質のキツさはアルバムでも1、2を争うかも。私は好きだけど、ここで敷居の高さを感じてしまう人もいるかもしれません。


MUTIILATION - Black Millenium (Grimly Reborn) - The Hanged Priest ★★★ (2007-01-30 20:01:06)

これは刻みリフの使い方がいいですね。
こういうリフなのに、病んでてメロウでメロディアス。
流石のセンスの良さ。


MUTIILATION - Evil - the Gestalt of Abomination ★★ (2006-12-29 22:28:00)

MUTIILATIONはどれが何枚目なのか分からない…。
93年発表のアルバムに96年と99年発表の音源を足した物でいいのかな?確かバンド非公認の音源だったと思いますが、他に聴けるものがないので…。

5曲目までの93年の音源は、基本的な音楽性は1st同様でまだドラムが生。
ヴォーカルは1st同様の精神のタガが外れまくりながなり声を使ってますが、時折入れてくる逝ききったような金切り声での絶叫が凄い。その頭がイカレてしまったような悲鳴から歪んだ声に移行させたりする部分などはかなり狂気的でかっこいいです。

音質も1st同様にドラムが大きめですが、今回はノイジーとは言えギターの音量も負けておらずリフの輪郭が少し聴き取りやすくなってます。MUTIILATIONって何気にメロディのセンスのあるバンドだと思うので、これは嬉しいですね。

それ以降の音源は、ドラムが思いっきり打ち込みの音で、ヴォーカルスタイルも憑かれたまま呟いてる感じの、ダウナーな狂気を感じる歌唱。リフもクリアに聞き取れるようになっていて、6~8なんかはブラックのメロウなメロディが好きならば悶絶間違いなしかと思います。9はドラムの音がマシになってますが、ちょっと音が篭もり気味。それと7曲目のSEがバンドの音より大きくて耳障りなのはちょっとマイナス。

とは言え、プリミティブ好きには推薦できる作品です。


MUTIILATION - Evil - the Gestalt of Abomination - Suffer the Gestalt ★★★ (2006-12-29 22:36:45)

これはヤバイ…CDのプレイボタンを押すと聴こえてくる、Meyhna'chの呪詛のような呻き声で、一気に暗黒世界と現実の境界が取り払われてしまう感じ。そしてその闇の中行われる儀式…そんな曲です。ギターのぶっ壊れ具合もいいですね。


MUTIILATION - Evil - the Gestalt of Abomination - The Fear That Freeze ★★★ (2006-12-29 22:33:53)

5曲目が終わり、この曲に移った時吹き出しそうになりました(笑)
ドラムの音が余りにも打ち込み丸出しの上に、何故か4つ打ちなのでトランスっぽく聴こえるんですが…しかもこの人、ブラックとトランスの融合とかじゃなくてなんか天然でやってそうな気がするし…私的には大好きですが、ドラムの音に萎える人もいるかもしれません。
でもタイトル…文法間違ってる気がするんですが。


MUTIILATION - From the Entrails to the Dirt - My Way ★★★ (2006-03-12 15:48:49)

フランク・シナトラのカヴァー。
よりによって、何でこの曲をカヴァーしようと思ったんでしょうか…勿論MUTIILATIONが普通にポップな曲を作るはずもなく、サウンドはプリミティブで歌メロは完全に死んでます(笑)。


MUTIILATION - From the Entrails to the Dirt - Tears of a Melancholic Vampire ★★ (2006-03-13 20:11:09)

1stアルバムに収録されていた曲の再録。
ギターのメロディが聴き取りやすくなった代わりに、ドラムの迫力は少し減っているような気がします。個人的にプリミティブはメロディを重視するので、こっちの方が好きかな。Mutiilationの鬱メロが好きなので。


MUTIILATION - Majestas Leprosus ★★★ (2005-07-16 20:51:00)

2003年発表の4th。

私が持ってるのは04年に発売された2ndプレスで、1stプレスとはアートワーク等が異なるようです。このバンド、「カルトブラック」などと呼ばれていたため、恐る恐る購入したんですが、結構聴けてしまいますね(自分が麻痺してるだけかもしれませんが)。

曲自体は疾走と愁いを含む暗黒トレモロリフという、ブラックの良い所を詰め込んだパートの占める割合が高いプリミティブ・ブラックといった感じです。メロディは全体的にメロウで、しかも起伏があるため意外にもドラマティックな印象も。

音質は曲がぷちっと終わったり、プリブラ的なチープな物ではありますが各パートの分離はそこそこで、ベースの音も聴こえます。ただ右チャンネルの方で巨大な羽虫の羽音のようなえぐいノイズが鳴ってますが…まぁULVERの3rdやBURZUMの4thの音質を楽しんでしまうような人には、むしろ心地良く響くのではないかと思います。ヴォーカルもMAYHEMの故Dead氏に似た苦しげながなり声でかなり邪悪です。時折押し潰すように絶叫するのも迫力があって好き。


MUTIILATION - Majestas Leprosus - Beyond the Decay of Time and Flies ★★★ (2005-07-18 20:58:32)

イントロの2回の絶叫から聴き手を虜にしてしまう曲。
「…I'd like」からヴォーカルの音を小さくしておいて油断させ、「Sometimes…」で超強烈ながなり声を聴かせる展開には痺れました。何回か聴くうちに、ヴォーカルの音が小さくなるとわくわくしてしまうようになってしまいます。


MUTIILATION - Majestas Leprosus - Destroy Your Life for Satan ★★ (2005-07-18 20:56:24)

まぁ、タイトルからして中身は大体想像がつくでしょう(笑)
呪われそうなリフで重々しく聞かせる前半から、メロディの禍々しさはそのままに疾走していく曲ですが、最もかっこいいのはラスト。ドラムでアクセントを付けながらエフェクトヴォイスと呻き声でタイトルを連呼してます。しかもいつの間にかアクセントは消えてるは好き勝手に呻いてるっぽくなってくるし最高(笑)


MUTIILATION - Majestas Leprosus - If Those Walls Could Speak ★★ (2005-07-18 20:59:39)

この曲のヴォーカル、Attila系の呻き声で特に「the aura so dark」の部分がかなり苦しげで良いです。ラストの人の声かシンセか良く分からない音色も不気味さを助長。


MUTIILATION - Majestas Leprosus - Majestas Leprosus ★★ (2005-07-18 20:57:26)

最初は不気味なベースが厭な印象を残しながらもスローに展開しますが、ほどなくして疾走。曲の展開が変わるさい、音圧が低くなる箇所がありますが、その部分の「はいはい、リズムとればいいんでしょ?」って感じの投げ遣りなハイハットが何故か良い味になってます。


MUTIILATION - Majestas Leprosus - Tormenting My Nights ★★ (2005-07-18 20:55:22)

「ヘェェェェル!!!」の押し潰し絶叫と、切ないメロディのリフが交錯するサビ部分がかっこいい曲。サビ前にバスドラをトトトトト…と鳴らすところなど、リスナーに展開を印象付ける工夫もなされていて良い感じです。


MUTIILATION - Rattenkönig ★★ (2007-01-31 19:15:00)

2005年発表の5th。
初回限定盤1000枚は特殊パッケージみたいです。私の持ってるのは通常盤ですが…。3rd、4thと比べると結構変化してますね。

まず音質が前作のような耳を突き刺すような独特のノイジーさではなく、ザラザラした質感のこの手が好きな人には心地良く感じるであろうノイジーさになってます。ヴォーカルのスタイルも変化し、呻き声・呪詛的な表現力が更に上がっています。流石Meyhna'chは一度ジャンキーを経験しているだけあって、シャレにならない気持ち悪さがあるような歌い方ですね。たまにヘッドフォンの中を蠢くようなミックスになっていてかなり不気味。

その2点は良かったんですが、上でも語られている通り印象に残るメロディが減ってしまった事はかなり痛い…5曲目やタイトル曲などは相変わらず素晴らしいメロディセンスなんですが、個人的に前作や前々作は気分の乗らないときに聴いても引き込まれてしまうんですが、今作はそういう気分で聴くと途中で飽きてしまう事も。

進歩している所はしっかり進歩しているし、これで3rdや4th程に鮮烈なメロディが多ければ間違いなく名盤だと思っていただろうし、惜しい作品。硬派になったともいえるのかもしれませんが…。


MUTIILATION - Rattenkönig - Rattenkönig ★★★ (2007-01-31 19:03:02)

凄いですね、これ。
ただダークで病的なだけじゃなくて、気味の悪いサイケデリックな雰囲気のある曲だと思います。聴いているとこっちまでジャンキーにされてしまいそうな危うさのある曲。


MUTIILATION - Rattenkönig - The Pact (The Eye of the Jackal) ★★★ (2007-01-31 19:00:39)

個人的にこのアルバムのリフ大賞。
メランコリックさ、凍えるような寒々しさ、病んだ雰囲気の全てを共起させるMUTIILATION節が炸裂してます。こういう分かりやすい禍々しさのリフって大好き。


MUTIILATION - Vampires of Black Imperial Blood ★★ (2005-09-04 18:29:00)

これ、私は未だに最後まで一度に聴きとおせたことないんですが…(笑)
鬱だし邪悪だし、曲も結構長めだし。私もGODさんと同じく、ドラムはもう少し小さい方が良いと思いました。まぁ、それでなくてもリフの音色はかなりノイジーなんですけどね。

しかし、このヴォーカル、みなさんも仰ってますが、ブラック好きには堪らない邪悪さです。EMPEROR1st以前のIhsahnにも匹敵する、生きながらにして霊障を起こしかねない叫びです。こんなうめき気味の発声なのにがなり散らして、喉を痛めないんだろうか…

ただ、個人的にはもう少し一曲一曲に個性があればよかったです。
それさえクリアすれば名盤なんだけど、このアルバムはちょっと素っ気無い感じがします。まぁ、それを本気度と解釈するのもありかもしれませんが。


MUTIILATION - Vampires of Black Imperial Blood - Magical Shadows of a Tragic Past ★★ (2005-09-04 18:31:43)

途中のなりふり構わない叫びっぷりに一票。
しかし曲調の割に長い…嫌いな人には拷問でしょうね、これ(笑)


MUTIILATION - Vampires of Black Imperial Blood - The Rite of Darkness ★★★ (2005-10-27 17:40:47)

この曲のヴォーカル、どうも年老いて声帯が紙のようになってしまった魔女が普通に喋っているようにしか聞こえないんですけど(笑)。Attilaとは違うアプローチでの呪文系って感じです。こういう表現もあるのかと驚きました。


MUTIILATION - Vampires of Black Imperial Blood - Transylvania ★★★ (2005-10-27 17:41:02)

最初はメロディを奏でるギターの音色が蜂の羽音にしか聴こえず、あまり好きではなかったんですが、しばらく聴いて音質に慣れるとメロディが凄く良い事に気付きました。浸れます。


MY MATERIAL SEASON - Eyes of Enemy ★★ (2009-10-27 19:34:00)

2008年発表の6曲入りミニ。
ピアノ、キー入りのメロデスなんですけど…曲の端々からXの影響が感じられるのが特徴(笑)。
特に1曲目、どう聴いても「Silent Jealousy」のオマージュなんですけど、パクリっぽさが
殆どなく、しっかりオマージュとしての「X風メロデス」になっているのが素晴らしい。
2曲目もどこか「Sadistic Desire」の雰囲気が…ちょっと厳しいでしょうか。
音質、曲構成、フレーズなども悪くなく、レベルは決して低くないと思います。
ヴォーカルは…メロデスというより、一生地下音楽作ってるプリブラバンドみたいなデス声。
確かに肺活量や伸びはもっと欲しいですが、憎々しげな喚きや啜り泣きからの絶叫など、
感情表現は上手いと思う。国産メロデスの中ではかなり好みな方ですね。
ただ、普通声ははっきり言って落第点かも…。1曲目のラストとか、失笑ならまだしも正直
テンション下がりますもん。V系風にしても、もう少し何とかして欲しいです。
…改善点もありますが、個性もあるメロデスで十分お勧め出来る作品。
普通声のしょぼさと、ドラムが少しうるさいのを改善してくれれば言うこと無しです。


MYONMYON ★★ (2007-06-11 16:59:00)

コミカルな名前(ミョンミョン?)ですが、がっつりしたメタルを聴かせるアーティスト。
まだ一枚しか出していないみたいですが、今後も期待できそうなクオリティの高さ。


MYONMYON ★★ (2008-11-20 18:48:00)

感想書いちゃったんですけど…
コラボであることはアルバムタイトルで明記してありますし、大丈夫ですよね。


MYONMYON - Chaoscillation Game (pizuya's Cell × Myonmyon) ★★ (2008-12-30 22:44:00)

メタルアーティスト「ぴずや」と「MYONMYON」のコラボアルバム第二弾。2008年末発表。
今回はお互いのデビューアルバムから曲を持ち寄り、男性Voを入れて再録した作品。
この2アーティストが良質なメタルを演っているのは、彼らの作品を聴いた人ならば
周知の事実かと思いますが、肝心のヴォーカルの方はというと…V系に影響を受けた人が
メタルコアのクリーンVoパートを意識して歌ったかのような歌いまわしで、ビブラートが
震え声に聴こえたり少し安定感に欠ける感じがあったり、アラはあるものの、声に艶や味が
あって悪くないと思います。ただ、英詩が八割を占めるにも関わらず、中高生の添削用の
教材にピッタリなメタクソさだったり、数曲で聴けるシャウトが泥酔○チガイオヤジの
怒鳴り声以下の迫力しかない半端さだったりは、流石にどうにかして欲しかったですが…。
…と書くと結構不満たらたらの様に思えてしまいそうですが(笑)、個人的には大体の曲は
元のバージョンよりも良くなってると思います。2アーティストとも、1stアルバムの
欠点としてシンセの音色がつまらないというものがあったんですが、今回はヴォーカルに
主旋律を振った事で、取っ付きやすさや聴きやすさが増しただけでなく、シンセのだるい
音色によって曇らされていた部分が晴れて、フィジカルな魅力もより増したような印象。
あのシンセも何かポリシーがあって演ってるみたいですが、個人的には差し替えて大正解かと。
ヴォーカルも入りキャッチーになってますし、V系寄りで、多少大味な歌唱にも反感を
抱かないのであればかなりお勧め。でも折角ヴォーカル入れるなら、もっと歌が映える
曲をカヴァーして欲しかったかも。流石にラストの曲なんかは鉄壁ですけどね。


MYONMYON - Chaoscillation Game - Steel Of Scarlet ★★★ (2008-12-30 22:51:13)

元のバージョンでも十二分にかっこよかったのに、更にメロディの最も美味しい部分をヴォーカルに振るアレンジを足して悪くなるわけがないです。もちろん超名曲…なんですが、メタクソ英語を早口でそれっぽくまくし立てていったり、「いや、そこはハイトーンっしょ」ってところでオク下になったりヴォーカルがちょっとB級っぽい(笑)。でもこのB級感、なぜか癖になるんですよね…(笑)


MYONMYON - Nuclear Blast (pizuya's Cell × Myonmyon) ★★ (2009-08-20 21:58:00)

2009年発表のコラボアルバム。
デス/ノーマル両刀使いのシンガー、Yamagen氏をヴォーカルに迎えてのメタルコア。
…もう、ぴずやは単独よりMYONMYONとのコラボ作の方が多くなってしまってますね(笑)。
MYONMYONの「Steel of Scarlet」やぴずやの「Symmetry Burzum」を聴いた時も
クオリティの高さに驚いたんですが、まさかここまでの作品を作り上げるとは…。
以前IN FLAMESの名盤「Come Clarity」をレビューした際、「あれだけメタリックな
グルーヴと高揚感、メロディアスさを全て備えたリフを書けるのは凄い」と絶賛したんですが、
このアルバムもそれに肉薄する、リフのかっこよさがあると思います。
音質も流石にFredrik Nordstromプロデュース作品とかと比べると少し作り物っぽさが
あるのは否めないですが、ジャンル一流レベルの重さ・クリアさ・聴き心地のよさは
あると思うし、ちょっと後期EMPEROR~ソロ化してからのIhsahnを意識したようなデス声と、
IN FLAMESやSOILWORK系のメタルコアにぴったりな普通声を使い分けるヴォーカルの力量も
かなりのものだし、総合したクオリティでも海外の一流バンドに比肩する物があると思う。
…更にそれにプラスして、上海アリス幻樂団の繊細なメロディも取り入れてるもんだから、
もう手が付けられません。4曲目の耽美(かつ超超超超キャッチー)なコーラスパートや
5曲目の繊細極まりないピアノなんかは、海外のメタルコアではまず聴けないのでは
ないでしょうか。また、ヴォーカルハーモニーをかなり入れてるのも特徴ですが…
個人的にはこれならデスヴォイスだけでなく、普通声もIhsahn風だったら良かったなぁ。
あの悪の威厳に満ちた、声楽的美声までコピってくれたら超名盤になったと思う。
しかし、録音技術の進歩や、同人という販売経路の存在にはほんと感謝しなくてはなりませんね。
若い感性を持った人が、年功序列に潰されたりプレスやレコード会社に圧力掛けられたりせずに
才能を発揮できる場があるというのは素晴らしいと思います。若手の無名バンドが古参の
伝説のバンドより、アマチュアがプロよりかっこいい音出してるなんてザラにありますし、
その恩恵を受けられる今のリスナーは、実はかなり幸せな立場にいるのかもしれません。


MYONMYON - Steel of Scarlet ★★ (2007-06-11 16:54:00)

2007年発表の6曲入りミニ。
ゲーム音楽(上海アリス幻樂団)のインストメタルのスタイルによるカヴァーアルバム。
メタル系のレビューサイトでも「メロデス並の慟哭リフ」が聞けると評判だったので、
ゲーム音楽特有のクサメロとメタルサウンドの融合を期待して、原曲・原作知らない癖に手を
出してしまったんですが、これはいいですね。ゲーム音楽のメタル風にしてはでも、ましてや
自主制作音源にしてはでもなく、「メタルとして」充分にかっこいい音楽だと思います。
クオリティの高さの秘密は、やっぱりリフでしょう。
モダン化したメロデスバンドを思わせる充分な重さとメロウさを兼ね備えたリフや、
雄大でうねりのあるリフ、迫力のある刻みリフやトレモロリフに至るまで、実に多彩。
ゲーム音楽のメタルアレンジで、メジャーからも出てる有名バンドのアルバムを買ったら
リフが刻みばっかりでがっかりした事があったんですが、こっちはかなり素晴らしい。
とても自主制作とは思えないへヴィさや、ブラストまで使用した劇的な展開もあり聴き応え充分。
曲によっては、インダストリアル寄りのアプローチも見せ、愚直にメタルするだけではない
懐の深さが感じられるのも良い。いや、ほんと良いアーティストですね。
…ただ、良い作品なんですが不満も無いわけじゃないです。
主旋律をほとんどシンセに担当させるのは良いんですけど、そのシンセの音色がちょっと
魅力に欠けるのがイマイチですね…いかにも「シンセです」って感じの音が多くて微妙。
せっかく多種多様な表現ができる楽器なんだから、もっと色々な音色を取り入れればいいのに。
個人的にはメロトロン風とかムーグ風とか風情のある音色希望。
ちなみに、自主制作だから流通こそ悪いものの、非常に安価。
入手も現時点では通販やネットを利用して委託店舗を調べたりすれば容易。
なので私の様にゲーム音楽の取っ付きやすいメロとメタルの融合に興味がある人は是非。
しかし、この人ドゥームにも興味があるらしいですが…
ゲーム音楽のKHANATE風やWORSHIP風アレンジとかやってくれないかな(笑)
それ以上にオリジナルも聴いてみたいですが(できればインスト希望)。


MYONMYON - Steel of Scarlet - Heavy Metal Spark! ★★★ (2007-06-11 16:59:08)

この曲もリフ捌きが良いなぁ…
メタル特有の重さも当然の様に備えながら、雄大さやメロウさもあって聴いていてうっとりするような音。メタルのリフっていうのは、やっぱりこうじゃないとね。しかし価格の安さと曲の良さが明らかに釣り合ってませんが、良いんでしょうか。


MYONMYON - Steel of Scarlet - RAW Power ★★ (2007-06-11 16:56:49)

ややインダストリアルよりのアレンジが施された曲。
打ち込みの無機質なビートと、ギターリフの獣低音、幽玄なシンセサイザーによる三位一体サウンド。


MYONMYON - Steel of Scarlet - Steel of Scarlet ★★★ (2007-06-11 16:55:53)

本作中、最速のキラーチューン。
試聴して、脊髄反射の速さでレジに持っていきました…
原作は、どうやら弾幕系のシューティングのBGMらしいです。だからなのか、何台もの戦車から放たれる砲弾の雨が巻き起こす砂嵐を思わせるギターとキーボードの重いサウンドを、高速スラッシュビートやブラストで切り裂いていくかのような、実に迫力ある音つくりになってますね。トレモロリフが出てくるのも好印象。これはかっこいい!!


MYONMYON - The Grimoire of Alice (pizuya's Cell × Myonmyon) ★★ (2008-11-20 18:46:00)

同ジャンルのアーティスト「ぴずや」とのコラボ盤。2008年発表。
もちろん上海アリス幻樂団のインストメタルスタイルでのカヴァー作品です。
アレンジは両者が協力して行っているようですが、ミキシングやマスタリングはぴずやが
担当しているせいか、音の質感はぴずやの最新作「Symmetry Burzum」に近い感じですね。
一流のメタルバンドと比較して何の遜色もないへヴィネスといい、ブラストも飛び出す
スピードといい、この界隈では最もエクストリームメタルに近い作風と言えるでしょう。
ヘヴィさやスピード、原曲メロの美しさも然ることながら、それらに頼りきりにならず、リフで
高揚感を煽ったり妖しさを演出したりするアンサンブルの良さこそが、「なんちゃってメタル」
からは程遠い、しっかりとしたメタルとして魅力のある音楽になっている所以だと思います。
帯のジャンルにも「エモーショナル・メタルコア」とある通り、「Symmetry Burzum」と
比べてもリフに泣きメロを練り込むセンスが、心なしか上がってるような気もします。
ただ、主旋律にトランス系の音を初めとしたサイバーな音色のシンセを多用しているんですが、
4曲目の水の波紋を思わせる幽玄なメロや、5曲目の教会系荘厳メロまでいかにもシンセな音に
しているのは少し疑問かも。インスト明け2曲目から異次元っぽい風景を背にRPGの主人公が
怪物と戦ってるシーンが浮かぶような、ゲームのラスボス戦のような雰囲気があるし、
ゲーム音楽的なムードを出すために敢えてやってるのかもしれませんが。
まあ、シンセの音色が一本調子過ぎて飽きる程ではないし、ゲーム音楽好きなら買っておいて
損は無いのではないでしょうか。ただ、ここからは偏屈なメタラーの独り言として聞き流して
欲しいですが…メロデスやメタルコアって、エクストリームメタルと呼ばれるサブジャンルの
中でも正統派に近い価値観を持ってると思うんですよね…折角エクストリーム志向のメタラーが
がっぷり組んだんだから、もっとエクストリームメタルとしての矜持を見せて欲しかったです。
例えば、デスヴォイスやノイジーな音質、圧倒的なブルータリティなど濃いメタラー以外を
引かせてしまうような要素は取り入れずに、デスのリフの「うねり」やブラックのリフの
「荘厳さ」などは、聴き辛くならない程度にもっと取り入れてもいいんじゃないかと。
この界隈って正統派的な価値観を持ったバンドが多いし、エクストリームメタルの要素が
リズムとメロデス/メタルコア風のリフだけでは少し物足りないです。十分期待に応えては
いるんですが、この2者が組むからにはもう少し違うヴィジョンも見せて欲しかった。


MYPOLLUX - Contraires ★★ (2007-09-27 23:18:00)

2006年発表の2ndアルバム。
DISK UNIONによると本国(フランス)ではEVANESCENCEを超える人気だとか。
引き合いに出されている通り、ジャンルはヘヴィロック要素の強い女声ゴシックでしょうか。
こっちの方が変拍子の多用などプログレの要素を含んだ演奏、アルバム全体を通じて感じられる
不穏で頽廃的、不条理な雰囲気、ヴォーカルの歌い方のシアトリカルさなど、よりメタラーに
受けるサウンドになっていると思います。一曲ですがゲストによるデス声もあり。
Voの歌唱は見た目に似合わず(見た目通り?)意外と過激。
確かに普通に歌う分には可憐な声なのかもしれませんが…2曲目のサビの雄々しさすら
感じる力強い歌声や、10曲目の囁きや裏声、嘲笑、デス声寸前の絶叫を駆使してリスナーを
恫喝するような歌唱など、かなり多彩な表現力で曲に緊張感を与えてます。
この人、ファッションはどこか日本のゴスロリを思わせる綺麗なドレスに身を包んでますが…
そうした文化の、華美さだけでなくその裏にある猟奇性もしっかり表現できてると思います。
また、母国語で歌っているのも大きなポイント。フランス語独特の舌の奥で破裂音を
出すような発音が独特の情感を醸し出していて、曲の表情がより鮮やかになってますね。
ヴォーカルの表現力やプログレ的な演奏もあって、13曲聴いてもダレないアルバム。
本国での人気も頷ける出来だと思います。
しかし、解説にもありますが、このバンドのメンバーは美形ですよね。
ゴス少女のカリスマになれそうなLussi嬢を始め、演奏陣もイケメン揃いで実に華やか。
でもYann氏のうずまきモミアゲメイクが謎過ぎるんですが(笑)。甘いマスクなのに(笑)


MYPOLLUX - Contraires - Chrysalide ★★★ (2007-09-29 11:19:25)

サビ部分の力強い歌声に驚きました。一瞬ですが、NIGHTWISHのように一部を男ヴォーカルに歌わせてるのかと思ったくらい(笑)。後半のデスヴォイスの一歩手前の鬼女声もかっこいいですね。


MYPOLLUX - Contraires - Contrego ★★ (2007-09-29 11:17:11)

ピアノやチェロをバックに、呪術的な歌声が響く曲。
フランスの古城の廃墟から聞こえてくる亡霊の声のような雰囲気。
次の曲との繋がりも良い感じです。


MYPOLLUX - Contraires - Jeu ★★★ (2007-09-29 11:22:02)

オルゴールと歌によるイントロ部分が印象的な、メランコリックな曲。オルゴールの捻子を巻く演出が入っているのも心憎いですね。歌もメロウに歌い上げてますが、曲が進むに従って感情が入っていき、ラスト付近ではどこから声を出してるんだ、って感じのシャウトまで(笑)


MYPOLLUX - Contraires - PAR DEFAUT ★★★ (2007-09-29 11:15:33)

アルバム中、最もヴォーカルが表現力を発揮している曲。
歌という以上に、演奏陣の好サポートを得たLussi嬢の邪悪な一人芝居という感じ。名演であり怪演です。ジャケの雰囲気やメンバーのファッションからなにか可愛らしいものを期待した人は間違い無く引くでしょう(笑)。でもその媚びてなさが実にかっこいいです。


MYPOLLUX - Contraires - Ubiquité ★★★ (2007-09-29 11:25:27)

イントロからプログレちっくな妖しさ全開で、聴いているといつの間にかこのバンドの描き出す不条理で不穏な空気感の虜になってしまいます。ゴシック好きにはたまらない雰囲気。やっぱりゴシックって根本的にダークな音楽だと、改めて実感。


MYPOLLUX - Dedales ★★ (2009-03-06 21:54:00)

2008年発表の3rd。
…前作までを聴いてた人は、頭を聴いて開いた口が塞がらなくなるんじゃないでしょうか(笑)。
いきなりロックンロールっぽい、キャッチーでノリの良い音に驚かされます。勿論、その後
聴きすすめると以前から持っていた頽廃性や狂気、倦怠感なども少し減退してるものの、
しっかり根付いてる事が分かるんですが、以前にはあまり見られなかったステージ栄えしそうな
キャッチーなパートが増え、歌メロも取っ付きやすくなった感じがあって今までよりも
格段にメジャー志向な音になったと思います。解説によると前作発表以降、かなりの本数の
ライブをこなしていたみたいなので、その勢いが音にも現れているのかもしれませんね。
…もはやゴシックメタルファンだけでなく、INROCK辺りを購読してる、普通の洋楽ファンにも
受けそうなポップな作風になったのは賛否ありそうですが、私的にはこれはこれでアリですね。
元々アングラ志向のバンドではないと思うし、ポップでノリが良くなってはいるものの、
あっけらかんとした感じではなく、仏産ゴスらしい屈折した感性は息づいていると思うし、
悪くない方向に舵を切ったんじゃないかと。ただ、ヴォーカルがデスヴォイス手前の声など
あからさまな狂気表現をしてくれなくなってしまったのは結構不満かも。
タイトルトラックの歌声を聴くと、歌唱力が向上してるのは分かるんですけどね…。


MYPOLLUX - Dedales - Allegories ★★★ (2009-03-06 21:36:41)

ゴシック的な頽廃をキャッチーさに代えて疾走するサビがかっこいい曲。間奏もダークなエネルギーが音に惹かれて集まってくるようなかなりへヴィなもので、聴き応えと取っ付きやすさを両立した、なかなかの曲だと思います。


MYPOLLUX - Dedales - Aux Ames ★★ (2009-03-06 21:39:33)

今作のメロディ志向を象徴するかのような曲。
もう歌謡メタルに足を突っ込みかけてます。キャッチーなノリノリな曲→ダークな疾走曲→この歌メロ重視な曲、という頭からの流れは、一見のリスナーでも一気に引き込める愛想の良さがあると思います。


MYPOLLUX - Dedales - Mrs Jekyll ★★★ (2009-03-06 21:41:44)

今作の歌メロ重視志向と、バンドが元々持っていた頽廃性や狂気が見事に結実した曲。サビのキャッチーながら倦んだ雰囲気のあるスキャットに巻かれて、螺旋を落ちていくような感覚を味わえます。


MYPOLLUX - Dedales - Reveille ★★ (2009-03-06 21:33:51)

アルバムの幕開けは、リフ、リズム、メロディ、歌詞の乗せ方に至るまでノリノリなキャッチーな曲。ステージを駆け回りながら、オーディエンスを煽りまくるLussi嬢の姿が目に浮かぶようです。


MYRD - Forbandet Fra Foedsel (2014-09-06 17:05:57)

2011年発表の2nd。

これ、CDショップから帰ってきて、戦果を確認がてらスピーカーで流し聴きしていた時は駄目だと思いました…なにぶん音が小さすぎて…。小さい音の作品アレルギーな私にはキツい作品なんですが、聴き返してみると存外に味が出てくるアルバムであるように思います。

ヴォーカルがMAKE A CHANGE…KILL YOURSELFやNOCTURNAL DEPRESSIONに関わっていた事からも予想される通り、鬱っ気の強い、Rawでミッドテンポ中心の、オールドスクールなブラック。ヴォーカルのやたら潰れた声質、小さな篭もった音のバンドサウンドといいやたら閉塞感の強い音。カビでも生えてきそうな薄暗さ。良く聴くと、アンビエント要素を強める前のBURZUMに影響を受けてると見受けられる箇所がある辺り、味があって良いんですよね。

…とは言っても、やっぱり音が小さいのは私としてはマイナスですね…。それを覆すほど派手なウリがあるという訳でもなく、基本的に地味めな音ですし。現時点ではマニア向けかもしれません。


MYRKUR - M ★★★ (2015-09-22 10:29:03)

2015年発表の1st。

Terrorizer誌の表紙を飾ったりだとか、ライブメンバーをMAYHEMの新ギタリストであるTelochを始め、NIDINGIRやGOD SEED、DHGなど知名度の高いノルウェー産ブラックのメンバーで固めてたりだとか、ARCH ENEMYのChristopher Amottがゲスト参加してたりだとか、とにかく話題の尽きない女性ブラックメタラーの初のフルアルバム。しかもULVERのGarmがプロデュースに関与とか…こんなのスルー出来る訳ないじゃないですか(笑)。

音楽性としては、かなりポストブラック的な要素の強い音ですね。可憐で儚げな女性ヴォーカルやピアノなどによる神秘的な雰囲気、ペイガン要素を取り入れたことで醸し出されるエピックで神話的なムードなどと、荒々しいブラックメタルパートが1枚の中で混交する作品。Myrkur氏のヴォーカルは、太さには確かに欠けるものの、女性らしいヒステリックな獰猛さがあって悪くないです。

ブラックメタルパートは音的には確かに荒々しさが感じられるものの、原初ブラックの野蛮な衝動性であるとか、サタニズムであるとかには意図的に距離を置こうとしている気がします。ただ、美と醜の対比や、それによって演出される非日常性は、確かにブラックの感性が反映されてるように思います。個人的には、Myrkur氏のクリーンが可憐な響きなのが本当に良い。…ぶっちゃけポストブラックでマイルドに歌うならともかく、カリスマ性の欠片もない喉絞め男性クリーンとか入ってきたら超萎えますもん(笑)。

という訳で殆ど話題性に惹かれる形で買いましたが、悪くない作品だと思います。新世代ブラックの感性が嫌いでなければ是非。逆に衝動性や邪悪さなどブラックのプリミティブな部分にのみ惹かれてる人には合わないかもしれません。しかし、こういうアーティストが雑誌の表紙を飾れる海外が羨ましくてなりません。


MYRKVIDS DRAUMAR - My Land's Blood (2012-06-25 04:44:44)

2010年発表の2nd。

ウクライナというとどうしてもペイガン系の強いイメージがありますが、このバンドもあからさまに民族メロを取り入れたりはしていないものの、メロディや世界観にどこか民族要素が感じられるスタイルですね。ミディアム中心で、トラッド風味でメロく勇壮なリードギターと刻みリフを伴いつつ進行していく展開は、メロブラというよりメロデスっぽくも思えたり。

ただこのバンド、アンサンブルだったりヴォーカルラインの乗せ方だったりに、妙な「間」のようなものが感じられるんですよね…。なんかいなたい雰囲気が出てるというか、掛けていると農作業が捗りそうな感じがするというか(笑)。ともかく今までに聴いた事のないような独自のムードはあると思う。そんないなたい雰囲気とは裏腹に、ヴォーカルがやたら鋭いデス声なのもミスマッチで変な味が出てます。

音質も悪くはないし、クオリティも低くはないと思うんですが…如何せん作風がニッチ過ぎて(笑)。正直どこに向けてお勧めすればいいのか分からないんですけど、ちょっと変わったブラックが聴きたい人は聴いてみてもいい…かも。


MYSTHERIUM - Memoriał ★★ (2014-10-03 19:38:36)

2012年発表の3rd。

同郷のGRAVELANDはRaw路線を脱却し、アトモスフェリックで冷ややかな戦場の空気感を描くような独特のペイガンメタルの音を作り上げましたが、このバンドも近年のGRAVELANDを思わせるスケールの大きい、アトモスフェリックなブラックを演ってますね。ただ、こちらはメロディの傾向がゴシック・クラシカル寄りで華美なのと、バンドサウンドの主張が強めなのが大きな違いでしょうか。

バンドサウンドにオーケストラルなキーボードが大仰でクラシカルなメロディを乗せていく様は、個人的には少しだけFLESHGOD APOCALYPSEに通じる雰囲気も感じたり。ただ、バンドサウンドはブルータルではなく、悲壮感に満ちたトレモロリフを主張させつつ、ノイジーながら広がりを持って聴かせるもので、やはりアトモスフェリック・ブラックのそれという感じがします。あと女性ヴォーカル入りのオープニング曲が、何かやたらと怖いんですが(笑)。

アトモスフェリックな音作りながら、メロディの主張は結構強めかつゴシック・クラシカル傾向という、ちょっと珍しいバランス感覚で作られた作品。メロディがなかなか美しくて良いので、耽美派ブラック好きにお勧め。


MYSTIC CIRCLE - Drachenblut ★★ (2012-03-27 00:43:01)

98年発表の2nd。
現在は廃盤ですが、「幻魔大戦」というタイトルで日本盤も出ています。

ジャケや裏ジャケを見ると、コープスペイントを施したイカツイ野郎共が5人も並んでいて、いかにも邪悪で過激な音楽を想像してしまいますが…実際はかなりクサ方向に傾いたシンフォニックなブラックメタルで、この手でもかなり聴きやすい音。バンドサウンドを抑え気味にし、キーを前に出した音像はアトモスフェリックな感触も強いですが、この作品はアンビエンスよりも、仄暗く美しいメロディの強さを武器としたドラマティックな展開が持ち味になっている感じですね。

この作品は、ドイツの文学作品「ニーベルンゲンの歌」を下敷きとしたものらしいですが、ブラックメタルとしての反キリスト的立場からこの題材を選んだというよりは、純粋に作品のドラマ性を表現したかったんじゃないでしょうか。邪悪さよりも劇伴音楽のような大仰さの方が大分強いんですよね。個人的には、初期CRADLE OF FILTHの物語を下敷きにしたドラマ性と、初期DIMMU BORGIRの攻撃性よりもムードに重点を置いた音作りを合わせたような作品という印象を受けました。

ぶっちゃけジャケのような邪悪さはあまり感じられませんが、キーボード主体のドラマティックなメタルが好きであればかなり楽しめる作品かと。暗く、美しく、フックのあるキーボードメロはなかなか良い感じですよ。


MYSTICAL FULLMOON ★★ (2013-07-22 20:49:40)

90年代半ばより活動しているらしい、イタリア産のアヴァンブラック。
まだ知られた存在ではないらしく、検索しても日本語のレビューがあまり出てこなかったりするんですが、やってる音楽はかなり素晴らしいのでブラック好きは要注目ですよ。


MYSTICAL FULLMOON - Scoring a Liminal Phase - Ten Strategies for Postmodern Mysticism ★★★ (2013-07-22 20:52:15)

2009年発表の1st。

活動期間は長いものの、フルとしては初の作品みたいですね。
自主制作盤らしいですが、メジャーレーベルからリリースされてるような作品と比較しても全く劣らない、素晴らしいアルバムだと思います。アウトレット品で安価だったのと、アルバムタイトルがなんかお洒落でかっこよかったのでなんとなくレジに持って行ったんですが、本当に大正解でした。

路線は簡単に言うなら、サイバー/インダストリアル要素を含む、知的なアヴァンギャルド・ブラックで、オーケストラルなパートやノイズ/アンビエント、ジャズなどの要素も一部垣間見せる、練り込まれた音…という所ですが、出している雰囲気というか風格が半端ないです。まるで「Antithesis」以降のSECRETS OF THE MOONの威風ある邪悪さと、「Generator」期のABORYMの不穏で頽廃的なムードを足し、後期EMPERORに通じる知性を加えた感じ…というと近いでしょうか。

前述したように楽曲に様々な要素をぶち込んで来るタイプの作風なんですが、根幹のブラックメタルとしての部分がまず素晴らしい。頽廃的なネガティブさがどす黒く、美しく練り込まれたトレモロリフはそれだけで凄みを感じさせるし、音質もしっかり質量感が感じられる、整ったものになっていることもあって、ただ邪悪なだけではない、精神を蝕むかのような存在感のある音になってるんですよね。

展開も打ち込みのリズムを邪悪なリフと合わせたり、サックスも用いたジャジーなパートやエキゾチックなキーボードを挿入したり、唐突に思える部分もありますが、全体を通じて頽廃的な空気感が支配していて、雰囲気が破綻する事はまずありません。むしろブラック特有のどす黒いムードに打ち込みリズムを合わせている所なんかは、まるで破滅し終焉を迎えつつある機械文明を思わせ、雰囲気や頽廃性としてはむしろ濃厚になっていると思う。…この完成度と凝り具合、相当時間を掛けてアルバムを制作したんじゃないでしょうか…。

という訳で、一刻も早くジャンル内で有力なレーベルと契約して、ブラック好きの間にその名を轟かせて欲しいと切に思ってしまう、そんな素晴らしい作品でした。SECRETS OF THE MOONやPORTA NIGRA辺りの知的で頽廃的なブラックが好きであればまず買い。そうでなくても、まずは試してみてほしいところですね。ほんと良いアルバムなので。


MYSTICUM - Lost Masters of the Universe ★★ (2007-02-11 20:45:00)

2004年発表の音源集。
93~03年までの主にデモなどを集めて一枚に纏めた作品。

このバンドはブラックメタルバンドの中では、最も早くモダン・インダストリアルな要素を取り入れたバンドらしいですね。時々SE等を挟むのもそれを感じさせますが、最もそれを感じるのは独特過ぎるリズムトラック。明らかに打ち込み、それも打ち込みであることを隠そうともせず、逆に利用して無機質さなどを醸し出すような音色も独特ですが、リズムそれ自体が超独特。

高速テクノっぽいというかディスコっぽいというか、ブラックなのにダンサブルで、箇所によってはサーフロックみたいな音色が乗っても違和感無さそうなパートまであったり。メロディも他のバンドとは一線を画している雰囲気があって、寒さや邪悪さよりも神秘性や魔的な空気感を重視するようなメロ使いだと思います。
アートワークがキノコや宇宙、科学室だったり不思議な感じですが、それにぴったりな音といえるでしょう。

ヴォーカルはかなり潰れた、非人間的な高音絶叫系デス声ですが、時折無理に出してるような苦しさを感じる箇所も。とはいえ最新曲「BLACK MAGIC MASHROOMS」辺りになってくると声の切れ味は素晴らしいものになってきてますが。
音質は曲によって違いますが、デモが多いだけに悪めで、時折音飛びもあったり。何故か低音は割と効いていて、デモテープから起こしたと思われるモコモコした音質と相まって更に独特な雰囲気になっていると思います。

ライナーによるとあのEURONYMOUSや、MAYHEMのメンバーもこのバンドの曲をかなり気に入っていたらしいですが、それも頷ける個性的な音楽性だと思います。


MYSTICUM - Lost Masters of the Universe - Black Magic Mushrooms ★★★ (2007-01-17 09:36:07)

この曲だけ制作年がやや離れてますね(2003年の曲)。
アルバム中の他のデモの曲とかと比べると、インダストリアル要素を取り入れたブラックという点は変わってませんが、音質はクリアにはなっているけど高音のノイズがキツくある意味聴きづらくなっているかもしれません。確実に録音環境は良くなっているはずなのにこういう音にすると言う事は、やっぱりカルトな音楽性のバンドの証でしょうか。でもパーカッシブなヴォーカルが曲にフックを与えているため、そういう意味では聴きやすく進化していると言えるかも。


MYSTICUM - Lost Masters of the Universe - Mourning ★★ (2007-02-11 20:30:29)

4曲目と12曲目に同名の曲が入ってますが、個人的には4曲目のほうをお勧め。途中に金属音のSE(妙に音がデカくてびっくりする)を挟んで展開する箇所がありますが、そこのメロがかなり独特で好き。12曲目の方はイマイチメロが分かりにくい感じ。


MYSTICUM - Lost Masters of the Universe - The Rest ★★ (2007-02-11 20:27:54)

そういうジャンルに全く詳しくない私が言うのもなんですけど…妙にノリノリの打ち込みのリズムをバックに、ギターが「シャラ~ン」と鳴る箇所がサーフロックっぽく聞こえます(笑)。ブラック要素とこういう音を同時に一曲にブチ込みますか…。


MYSTICUM - Lost Masters of the Universe - Where the Raven Flies ★★★ (2007-02-11 20:25:28)

デモ関連の曲では最も出来が良いのではないかと思います。
全体的に疾走感があって、後半魔的なキーも入りこのアルバムの曲にしては普通にかっこいい。音質的にも最も聴きやすい感じですね。


MYSTICUM - Planet Satan ★★★ (2014-10-16 23:31:31)

2014年発表の2nd。

前作「In the Stream of Inferno」から、フルアルバムとしてはおよそ18年振りとなる新作。ブラックメタルにマシンビートを導入し、インダストリアルブラックの礎を築いた事、独特のサイケデリックでカルトなムードを感じられる楽曲などから、大いにマニア受けしていたバンドだっただけに、新作の報を聞いて狂喜した人も多かったのではないでしょうか。私もショップの入荷情報見て速攻で買いに行きましたよ…無事手に入って良かったです(笑)。

肝心の音楽性の方は…「In the Stream of Inferno」期の路線を、大本は変えずシンプルかつクオリティを上げてきたような感じですね。まるで三・三・七拍子を魔改造したような奇妙かつ耳に残るリズムの「The Ether」を始め、独特のノリを醸し出すマシンドラムと、ノイズ質の粒子が精神世界へ誘うようなリフが絡み、強烈なサイケデリアを演出するインダストリアルブラック。

但し今作は前作やスプリット音源などで見られたような、アトモスフェリックなキーボードの導入がない代わりに、ギターリフの厚みが増していたり、マシンドラムの炸裂感がより強調されていたりなど、より本質的な部分が剥き出しになったような音作りがなされているように思います。音が太くなりクオリティ自体は上がった感じですが、相変わらず楽曲からはカルト臭がぷんぷん匂うのが素晴らしい。

…個人的な印象なので異論はあるかと思いますが、私は今作も含めたこのバンドの音源を聴いてるとプリミティブブラック期のILDJARNを思い起こすんですよね。こちらは妙なノリを感じさせるマシンドラム、ILDJARNはパンキッシュでシンプルなリズム構成とパーツ自体は異なりますが、どちらも聴き手をトランス状態に導く作用があるという点では共通してるかも。そういう意味で、ブラックの非日常性をマシンドラムに求めたこのバンドの視点は、まさしく慧眼と言えるのかもしれません。カルトな支持を得るのも必然と言えるでしょう。

かつてはかのEuronymousをも虜にしたという、彼らのユニークな音楽性。ブラックメタル黎明期より長らく間は開きましたが、その続きがここにあります。


MZ.412 ★★ (2009-02-20 18:07:00)

ノイズとブラックの混交は最近頓に行われてますが、その中でも古参のバンド。
暗黒メタラーからの注目も厚いCold Meat Industryに所属。
このレーベルのバンドでもメタラーの知名度は高いほうだと思います。
ちなみに、ノイズ界隈でも評価が高く、MERZBOWともコラボの経験があるとか。


MZ.412 - Infernal Affairs ★★ (2009-02-20 18:04:00)

2006年発表の5th。

このバンド(?)、以前はトレモロリフや絶叫などのブラック要素も僅かにあったようですが、今作はそうした要素はほとんどなく、ノイズ/ドローン/インダストリアル/ダークアンビエント辺りにカテゴライズされるであろう音になってますね。

ノイズも音響的な過激さよりも、精神的な不安を煽るような音色だと思うし、頽廃的なメロディや機械音、ちょっとしたSEやリズムなど、全ての音がいちいち恐怖のツボを突いていて、CDに込められた音を総動員してリスナーを底知れぬ闇に叩き落すような作品。しかし、鬱ブラックとか聴いて安らぎを覚える人間が聴いたなら、きっと心地良い波動に聴こえることでしょう(笑)。

SUNN O)))が体で聴く音なら、こっちは精神で聴く音という感じ。
もしノイズやアンビエントに興味があるメタラーがいるなら、ガイドブックとか見てジャンルの代表のアーティスト探すよりも、このアルバム聴いた方が良いと思う。
不安や恐怖でリスナーの精神を蝕む事を第一に考えているような音は、ノイズ/アンビエントの価値観よりも、ブラックメタルの価値観に近いと思うんですよね。そういうところが、メタラーにも入りやすいかと。

ノイズが聴覚を通じて痛覚に届くほどうるさい訳ではない(むしろ静かに心地良く浸食していく感じ)し、誰がどう聴いても「暗黒」が感じられる間口の広さ(?)もあるし、メタラー限定でこういうジャンルへの入口としても最適だと思います。タイトルトラックなんかはメロディアスと言える音だと思うし、暗黒音楽を求めている人には結構取っ付きやすい作品だと思います。


Moi dix Mois - Dix infernal - Gloire dans le silence ★★ (2004-07-22 21:51:31)

デス声も入って、まんまシンフォニックブラックって感じの曲。
サビは普通声ですが、Jukaさんの声を2声で掛け合い(?)風にしていて荘厳な雰囲気が良く出ています。


Moi dix Mois - Dix infernal - La dix croix ★★★ (2004-07-22 21:51:51)

口笛で吹けそうなくらいにキャッチー、それでいてクラシカルで荘厳なギターのメロディが何とも言えずかっこいい曲。歌メロも「La dix croix」がキーワードとなって覚えやすいため口ずさみやすく、一回聴いただけで「良い」と思えるような楽曲だと思います。
タイトルはフランス語で「十の十字架」ですが…「la」は女性単数名詞につく定冠詞で複数に対しては本来「les」を使うはずです。ふふふ、ぬかったなManaさんよ!!!(笑)


Moi dix Mois - Nocturnal Opera ★★ (2004-07-24 07:21:00)

ex.MALICE MIZERのギタリスト、ManaさんのプロジェクトMoi dix moisの2ndアルバム。
このバンドの作品は普通のメタルと違い、ギターよりもストリングスやキーボードなどの
音色に比重が置かれている音像で、そこが新しく感じられたため凄く気に入っています。
日本のインディーズ界もこんなアルバムを輩出するアーティストがいるなら、
まだまだ捨てたもんじゃないですね。
色々な意味で1stよりも進化・深化した作品だと思います。
前作はクラシカルなフレーズのキーボードとともに疾走する曲が殆どで、一曲単位で聴けば
素晴らしいものの通して聴くとやや食傷気味だったんですが、今回はバラード調の
「Mephisto waltz」や管楽器を前面に押し出した「the Prophet」など前作では
無かったような曲も収録され、飽きる事無く一気に全曲聴き通す事が出来ます。
初めて聴いた時、40分があっというまでした。
全体的にはキャッチーさが薄れ、ドラマ性が濃厚になった印象です。
歌詞面でもやや稚拙に感じられたフランス語を排したためか、より世界観が深くなった感じがします。
歌詞はコンセプトに沿って描かれているものの、全ての曲に個人的な思いを込めたらしく、
単に耽美なだけでは終わらない深みが出てきたのではないでしょうか。まぁ、英古語の文法が
おかしかったり突っ込み所も無いわけじゃないですが、前作よりも進歩していて好感が持てます。
個人的な好みを言えば、Jukaさんのヴォーカル、声質はとても良いんですがオペラティックと
言うにはやや声量に欠ける感じがします。Manaさんのプロジェクトだからって遠慮しないで、
もっと個性を出して歌っていった方が更に良くなると思いました。
…最後に、約3500は高すぎ!!財布が血を流してます(笑)
まぁサウンドも豪奢だし衣装やアートワークにもお金かかってそうだから仕方ないのかも。