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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4401-4500

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4401-4500
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Moi dix Mois - Nocturnal Opera - Monophobia ★★★ (2004-07-25 22:10:27)

「孤独恐怖症」を意味するタイトルを冠された曲。
サビでメジャーキーになり明るくなるのは意外な感じですが、違和感無く繋げる作曲能力が凄いですね。この展開は孤独からの脱却を表しているのかな?私だけかもしれませんが、この曲のサビはクリスマスの街に流れていたらお洒落だと思います。


Moi dix Mois - Nocturnal Opera - Nocturnal Romance ★★★ (2004-07-25 22:10:52)

仰々しいクラシカルなオープニング曲から繋がって始まる曲。
Moi dix moisらしい荘厳メロディ&アレンジで疾走する曲ですが、とにかくアレンジが素晴らしいです。雰囲気たっぷりの女性ヴォーカルは作品をより壮麗に昇華しているし、ギターもメロディアスに主張していて良い感じです。日本のインディーズ界にここまでのアレンジ能力を持ったアーティストはManaさんを除いてはあまりいないのでは!?


Moi dix Mois - Nocturnal Opera - Shadows Temple-X ★★★ (2004-07-22 21:51:06)

曲の後半の「♪夜の果てまで」のあと、「Follow instinct」のデス声が疾走を強引に断ち切るように入り、そしてサビへと移行する展開は何回聴いても痺れます。
また、イントロのチェンバロの荘厳メロディを聴かせながらの疾走、サビでの「慟哭」レベルに達している切ないメロディのストリングスなど、聴かせ所が多く自分的には文句無しに「超名曲」です!!
シングル収録のオケのみの物を聴いても素晴らしいと思えるし、これはもっとみんなに聴かせたいですね。


Moi dix Mois - Nocturnal Opera - The Prophet ★★★ (2004-07-22 21:50:45)

大仰な曲の多いMoi dix moisですが、その中でも最高レベルに大仰な曲。Manaさんの曲にしては珍しく管楽器系の音が使われていますが、イントロではそれがティンパ二の音色と見事に調和して威厳すら感じます。


Moi dix Mois - Nocturnal Opera - Vizard (2005-11-01 23:34:38)

「Wail on desolate gale」って…まんまDISSECTIONの「SOULREAPER」と同じ歌詞じゃないですか(笑)一応、ohがonに代わってますが…全然曲調は違うのですけど、なんかルーツが垣間見れて微笑ましいです。あとはデス声がもっと悲痛さを出せれば良かったな。


My Song (rem@ster-a) (2010-10-13 23:01:25)

このゲームのリアレンジは当たり外れが大きいですが、これはちょっと…
「GO MY WAY!!」「キラメキラリ」「帰り道」などを作曲した神前暁さんのペンによる
メロディは素晴らしいし、癖の少ない/灰汁の強いヴォーカルを敢えてデュエットさせる
試みも良いと思いますが…テクノと歌謡曲の美点を打ち消しあうようなアレンジで台無し。
ベスト「MASTER OF MASTER」収録のオリジナルを聴いた方がいいかも…。アレンジでも
昼ドラ主題歌風「蒼い鳥」やパンク風「太陽のジェラシー」とかは良かったんですが。


MÄAX - Six Pack Witchcraft ★★ (2016-06-27 00:01:17)

2010年発表の5曲入りEP。

このタイトル…中古で安かったこともあったんですが、ついレジに持って行ってしまった私の気持ちも分かるでしょう(笑)。シックスパック(腹筋が発達し6つに割れている状態を指す)の魔術って…どんなやねん!と…(笑)。しかもジャケット裏のメンバー写真がめっちゃイカツイし。

…ただし内容は、意外にも(?)真っ当なパンキッシュ&オールドスクールなRawブラック。ひたすら脳筋(むしろ腹筋?)な音かと思いきや、若干メロウなリフやハードロック調のリフも使用し、結構展開には起伏がある感じ。何気にヴォーカルの怒声が凄まじくかっこいいんですよね。特に2曲目エコーが掛かって掛け合いのようになっているパートとか凄く良いです。

なによりくぐもったローファイで粗い音が気持ち良いですし、半ばネタのつもりで購入しましたが結構楽しめてしまいました。Raw系、オールドスクール系が好きであれば普通にお勧め。


N.I.L. ★★ (2007-04-27 18:59:00)

Nihilism Is Liberation(虚無主義は解放)
KRIEGの中心人物、N.Imperialの新プロジェクト。
KRIEGの続編的なプロジェクトではないらしいです。


N.I.L. - N.I.L. ★★ (2007-04-27 18:57:00)

2007年発表の1st。

KRIEGのImperialが中心人物のプロジェクトですが、このアルバムの作風はKRIEGの延長線上ではなく、どちらかというと鬱ブラックと呼ぶのが相応しいブラックメタル。
基本的に重っ苦しいスローテンポに、暗いメロディで進行していく曲を中心に、アコギやマンドリンによる小品を挟むという構成。ヴォーカルも「Patrick Bateman」辺りに代表される野蛮な雰囲気よりも、もっと病んだ雰囲気を前面に出した呻くような声が中心。

元KRIEGのメンバーのプロジェクトという事で音質が心配になるかもしれませんが、ベースが無かったりギターが何をやっているか分からなかったりと言う事はなく(笑)、ブラックとしては標準的か、標準よりやや重めくらいで割と聴きやすいです。ただ、余計な展開を排除し、怨念や精神の病巣の具現化に創作意欲の殆どを費やしたかのような繰り返しの多い作風は好みが分かれるかもしれません。
音的にはブラック好き以外にもドゥーム好きにもアピールしそうな感じです。

…しかし、カヴァー曲らしいですがそんな鬱系の曲の中にいきなりキャッチーなリズムとメロディアスなギターが入った曲が入ってるのが謎。明らかに浮きまくってるんですが…。KRIEGの「The Black House」のVenus In Fursといい、Imperialの考えてる事は良く分からない(笑)
全体的になかなか良かったんですが、34分でフルアルバム分の値段なので高く感じるかもしれません。


N.I.L. - N.I.L. - Bad Houses (Big Black cover) (2007-04-27 19:04:11)

原曲知らないですが、BIG BLACKのカヴァーらしいです。
…浮いてる。凄く浮いてる。特にこのリズムがいきなり入ってきたときは何事かと思いました。これのおかげでアルバムの構成が締まっている気がしなくもないけど…正直どうなんでしょう。


N.I.L. - N.I.L. - Leaving the Self Behind ★★ (2007-04-27 19:06:57)

前曲の重々しさ・鬱な雰囲気をそのまま引き継いだラスト曲。
途中疾走を設けたりしてますが、鬱な雰囲気が纏わりついたままなのが良いですね。ラストのSEが「ご臨終」っぽい(笑)。


N.I.L. - N.I.L. - Negative Frequency Entity ★★★ (2007-04-27 19:02:09)

演奏時間はそれほど長いというわけではないですが、暗く重いフレーズの繰り返し&N.Imperialの苦悶のヴォーカルは底なし沼の様にリスナーを引き込んでいきます。これならもっと偏執的に長くても良かった気もしないでもない。


N.K.V.D. - ВЛАСТЬ (VLAST) ★★★ (2012-04-09 19:24:59)

2011年発表の2nd。
アルバムタイトルの意味はロシア語で「力」だそうです。

サンプリングやキーボードを用いたり、ドラムが打ち込みではあるものの、一応ギター、ベース、ドラムの入ったバンドサウンド(風)の体のインダストリアル・ブラックではありますが…音作りのせいで最早バンドサウンドには聴こえない音塊になってますよね。もっと禍々しい何か…という感じです。

ザーザーとした歪みも伴いつつ、視界を全て黒く塗り潰されるような厚みのあるリフと、曲のリズムを担うというよりは、鋲を打ち込んで破壊するような打ち込みドラムだけで、重苦しく威圧的なムードを醸し出してますが…そこに空気を澱ませる、禍々しく厚みのあるキーボードが入ると、破滅的を通り越して破滅済みという感じの、非常に抑鬱的なムードが漂って来てますね。

そのグルーミーな音作りに加えて、時々演説のようなパートも挿入され、より殺伐とした雰囲気が演出されてますが…そのどす黒いムードに呑まれて忘れがちですが、何気にヴォーカルのパフォーマンスも実は極悪で素晴らしい。声を弄ってないときのArioch(FUNERAL MIST)に近い、怨嗟を感じさせる、かなり太く邪悪ながなり声。

インダストリアルブラックの中でも、生え抜きの極悪ムードを持った作品。唯一不満があるとすればケースでしょうか…紙スリーブにCDが入ってるだけ、という。この仕様、気がついたら盤面がズタズタになってることが多くて、ホント嫌なんですよね。一応CDを布スリーブに包んでケースに入れてますが、布スリーブ用意するのが超めんどくせぇぇコノヤロー!!(笑)


NACHTBLUT - Antik ★★★ (2012-02-26 23:27:01)

2009年発表の2nd。
2011年のデジパック再発盤にはボーナスで4曲を追加。

すみません、これ、最初聴いたとき笑っちゃいました(笑)。
だって一曲目から、卒業式の証書授与で流れているような、やたら甘酸っぱいメロディが…(笑)。しかもオープニングだけかと思いきや、一曲通してそんな感じのメロディですからね…しかも拍を強調するように汚くガナるヴォーカルにザカザカ刻むリフに、そんなメロディのまま演奏のヴォルテージが上がっていく展開がまた面白過ぎる。正直この1曲だけで掴みはバッチリでしょう。

スタイルとしては、ミッドテンポ中心のロック的な力強いリズムにヘヴィな刻みリフが同期し、そこにいかめしくダーティな吐き捨てヴォーカルとゴシック的な耽美さを持ったキーが重なる、個性派なシンフォブラック…という感じですが…如何せんメロディのキャラが立ち過ぎててなんとも(笑)。

例の1曲目だけでなく、初っ端から妖精の王国に誘われるような3曲目、卒業式的な甘酸っぱさとダークファンタジーの大仰さが交錯する5曲目、インダストリアル要素も強くいかめしい雰囲気で展開すると思いきや、ファンタジーの主人公の旅立ちシーンのような派手なメロディが登場する6曲目など、印象深いメロディのある箇所を上げていったら全曲レビューをせざるを得なくなるほど、メロディが「濃い」のが特徴。

ただ、ギターワークやリズム面でのブラックメタルらしさはかなり希薄なので、シンフォニックブラックの熱心なファンは逆に違和感を感じるかも。個人的には同郷の個性派バンド、EISREGENがシンフォブラックを始めたような独特な音で、かなり気に入ってしまいましたが。ブラストにトレモロに大仰クラシカルなキー…みたいなものが好きな方には勧められませんが、派手なメロディやキャッチーな展開が好きな方、意外にクサメタラーにもお勧め出来るかもしれません。


NACHTGEBLÜT ★★ (2013-09-10 02:56:40)

アルゼンチン産独りブラック。
CAMPO DE MAYOのEviigne氏が全てのパートを担当。


NACHTGEBLÜT - Strange Ways to Ancient Times (2013-09-10 02:57:30)

2005年発表の2nd。

CAMPO DE MAYOの中心人物による独りブラックとの事ですが、カルト性はCDMの頃より更にアップしている気が…。まずブラックメタルパートが始まった時、余りの轟音に耳が潰れるかと思いましたもん(笑)。音量を下げて普通に聴ける様に調節すると、そこにはULVER3rdを思わせる極悪金属質ノイズ含有型プリミティブブラックの姿が。音質こそ人を選びますが、悪魔の霊柩車に乗せられ疾走するような、青褪めたメロディ使いがなかなか悪くないです。

但し、ブラックメタルを演っているのは頭の4曲だけで、残りの18曲はクラシック趣味の強いインスト曲。ハープシコードを始め、オルガン、ピアノ、ストリングスなどの音色を使用した作品で、多少退屈な部分もあるにしろ、動きの多いメロディが聴けるパートでは結構クサめなメロディも聴けて悪くないかと。…さっきの極悪ブラックは一体どこへ…という感じですが(笑)。

前半だけでもかなりカルト志向な作品ですが、その極悪さとギャップのある後半部分が更にカルト性を引き立ててますね…。どっちにしてもやりきっているというか。個人的にはここまで振り切ってると少々辛いものがありますが、このやり切った作風に共感を覚える人は覚える…かも。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ ★★★ (2008-06-19 18:58:00)

2008年発表の4th。遂にNACHTMYSTIUMまで日本盤が出るとは…
とりあえずこのサイトでの最初のレビュアーの座は頂いておきます(笑)。

前作でもサイケデリックな音色のギターや曲間に音響的なパートを設けたりしていましたが、今作ではアルバムのサブタイトルがPINK FLOYDの「Meddle」をもじっていたり、ライナーでBlake(Azentrius)がNACHTMYSTIUMの音楽性を(冗談めかして)「サイケデリックブラック」と呼んでいるエピソードが紹介されている事からも分かる通り、前作のそうした要素を更に強めた作風になってますね。
メンバーにムーグ/サウンドエフェクト担当がいたり、ゲストにサックス奏者を起用するなど、前作以上に思い切った方向に舵を切ってます。

また、サイケデリック・ロックの要素が強まっただけでなく、大幅にメジャー化もしてますね。まず音質がブラックらしいギターの歪みの強さは残しつつも分離の良い整理されたものになってるし、ドラムはNILEやANGELCORPSEにも参加したTonyを起用したせいか、今までには無かったテクニカル/ブルータルな部分も見られますね。
やはり音作りは上手く、ドラムが相当ブルータルな箇所でもサイケデリックな陶酔感を邪魔しない心地良さがあるのは凄い。

ヴォーカルも以前の人を寄せ付けないような禍々しさや、得体の知れない恐怖感は薄くなってる感じですね。相変わらずガビガビに割れた声ではあるんですが、鬨を上げるようなコーラスパートを歌ったり、剰え濁声でメロディを歌うパートまであります。
とはいえ、ちゃんとエクストリームメタルのヴォーカルとしてはかっこいいので問題無し。私はPINK FLOYDって「Meddle」を聴く限りでは、サイケな感覚は好みなんですけどどうもあのナヨナヨしたVoが癇に障って苦手なんですよね…影響がヴォーカル面にまで及ばなくて良かったかも(笑)

個人的には、「One of these Nights」や「Seasick」辺りはサイケデリックロック要素の取り入れ方があからさま過ぎる(だから駄目という訳ではないけど)ように思うんですが、禍々しいサイケデリアをブラックメタルらしくリフによって演出する「Omnivore」辺りは彼らの個性が現れた、掛け値無しの名曲だと思います。

ただ、音質面で見ると前作の方がミステリアスな雰囲気があって、サイケなギターの音が良く映える音だったと思うんですよね…一方、ムーグやサックスを入れたり、効果音の多用といった手法は今作の音質だからこそ効果的に機能しているという印象。なので前作と今作ではそれぞれ一長一短な感じですね…もっと聞き込むと印象も変わるかもしれませんが。

しかし、NACHTMYSTIUMの作風はここが終着駅ではないような気がします。これからももっと進化していきそう…そんなポテンシャルを感じられる作品。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Assassins ★★★ (2008-06-20 18:52:55)

アングラから脱却した感のある音ながらもトレモロリフの悲壮感や絶叫ヴォーカルなど、ブラックの魅力をしっかり伝えるセンスの良さは流石USプリブラで慣らしただけありますね。後半のサイケ趣味もバンドの音中心に繰り広げられるので聴きやすく、ラストは2分に渡る音響パートで締め。
このアルバムでの彼らの音楽性を象徴するような曲で、意外性のあるオープニングの1曲目に続く、優れた導入部と言えると思います。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Away from the Light (2008-06-21 12:58:12)

ピアノとサウンドエフェクトによるインスト。
こういう曲を聴くと、本作においていかにSEが重要な役割を果たしているか分かりますね…。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Code Negative ★★★ (2008-06-21 13:04:53)

KRIEGのN.Imperialが歌詞を提供。歌詞載ってないけど…。
ギターソロやキーボード、ドローン的サウンドエフェクトを用いて丁寧に荒涼感を描写していく曲で、一音一音がツボに嵌まる感じ。特にドラムの音、五寸釘の雨が降ってくるような雰囲気の音で好みです。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Ghosts of Grace ★★★ (2008-06-20 19:00:33)

昨今のメタルコアにも通じるグルーヴ感のある曲。
「Understood, left nothing~」のパートなんてライブでも滅茶苦茶盛り上がりそう…。THE MEADS OF ASPHODELにもこの手のノリの良い曲がありましたが、サイケとキャッチーさって相性が良いんでしょうか。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Omnivore ★★★ (2008-06-20 18:57:13)

前作「Instinct : Decay」の段階でこのバンドには一目置いてましたが、この曲を作った事で私の中では一段と株が上がりました。サイケ趣味を「リフで」表現する疾走パートの何と素晴らしいことか…。ブラックの様式とBlakeのサイケデリックロック趣味が見事に合わさり、実を結んだ超名曲と言えるでしょう。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - One of These Nights ★★ (2008-06-21 12:56:47)

これもタイトルはPINK FLOYDの「One of These Days」から取ってるんでしょうね。いきなりの前作の面影すら無いサウンドに面食らいました。リスナーにショックを与える目的なら、こういうオープニングを入れたのは大正解だと思います。最初からして賛否の火種になりそうな曲だし(笑)。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Seasick(part1 : Drowned at Dusk) ★★ (2008-06-21 17:23:02)

この組曲って、明らかにブラックメタルやヘヴィメタルの音じゃないですよね…。でも、MANESやULVER辺りの音楽性の変遷を思えば、ブラックメタルバンドがこういう情景描写に特化したサウンドを演るのは珍しくないのかも。ただ、バンドサウンドでやってるのは結構レアかもしれません。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Seasick(part2 : Oceanborne) ★★ (2008-06-21 17:26:00)

サックスをフィーチャーしたサウンドなら他のバンド(SOLEFALD、EPHEL DUATH、CARPATHIAN FOREST等)もやってますが、ここまであからさまにプログレになってしまってるのは他に無いのでは。何の情報もなしに1stの曲と聴き比べて同じバンドって分かったら凄いと思う。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Seasick(part3 : Silent Sunrise) ★★ (2008-06-21 17:29:05)

第3部にして漸くヴォーカルが登場。普通声だけでなく、ガビガビに歪んだ絶叫を同期させている辺り、ちょっとメタルを回復している感じですね。普通声のほうは、ちょっとNINのTrent Reznorに似てる気も。


NACHTMYSTIUM - Assassins : Black Meddle Part Ⅰ - Your True Enemy ★★★ (2008-06-21 13:01:29)

本作中最もブルータルな曲。
一気に音圧が上がって突進するので、心臓麻痺でも起こしそうな感じです(笑)。前作の曲と比べると攻撃性が外に向かっている感があるのが大きな違いでしょうか。ギターソロも妙にかっこいいし、余りミサンスロピックな雰囲気がしない感じ。


NACHTMYSTIUM - Demise ★★ (2008-05-07 18:54:00)

2004年発表の2nd。
2008年に3rdと共にCandlelightより再発されました。
このバンド、私は1stと3rdを先に聴いていたんですが、オーソドックスなプリブラスタイルを貫いていた1stとも、サイケデリックで独特の路線にシフトした3rdとも異なる音ですね。

BURZUMの4thやNARGAROTHを思わせる、金属質なギターの歪みを強調したサウンド。…物理的には今までの三枚の中で一番聴きづらい(高音ノイズが耳にキツい)音なんですが、NARGAROTH等と同様、聴いているうちに気持ち良くなってくるんですよね…(笑)

ミディアムを中心に、リフの凄みで押していく作風もNARGAROTHに通じる物があると思います。ヴォーカルは、正体の見えなさが恐怖を誘う3rdとは異なり、生々しい悲痛さが伝わる絶叫。3rdのミックスも好きだけど、こんな声が出せるのにもったいないような気も…。ラストの曲はドローンにも通じるサウンドで、音響を重視した音は以降への伏線と言えるかも。

私は彼らの3rdに最近ハマっていて、あの作品は大名盤だと思うようになったんですが、これを聴いてさらに彼らの音楽が好きになりましたね。1stも2ndも、その路線で評判を集められる質があるにもかかわらず、同じところに留まらず、しかも結果を出しているのが凄いです。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay ★★★ (2007-08-10 16:03:00)

2006年発表の3rd。
ブラックメタラーの間でも非常に評価の高いアルバムで、大手投稿型レビューサイトであるEncyclopaedia Metallumでは、今の所レビュアー8人中の平均点が93点という高得点振り。

曲的には、いかにもアメリカ産らしい、XASTHURやLEVIATHAN辺りにも通じる、靄が掛かったようなRAWなプロダクションと、遠めから聴こえてくる人間性を失ったようなヴォーカルがカルトな空気感を発散しているブラックメタルで、メンバーが4人いるとは思えないくらい鬱屈した雰囲気。
良く聴けば意外にバンドサウンドが魅力的だったりする箇所もありますが、人を寄せ付けない雰囲気は上記の独りブラックにも通じる物がありますね。

ただ、曲の方は上記のバンドよりも聴きやすく、かつバラエティ豊か。
音像こそいかにもアンダーグラウンドな感じですが、トラッド色も感じられる叙情的なメロあり、メタルとして充分にかっこいいようなバンドサウンドあり、Transylvanian Hungerタイプのトレモロリフをフィーチャーしたプリブラの必殺曲あり、サイケデリックかつメロウな音色のギターをフィーチャーした曲ありで聴いてて飽きる事はないでしょう。

そこそこの聴きやすさはあるのに、雰囲気の濃さは半端ではない名盤。
ある意味での芸術性とアメリカ産ブラック特有のカルト性が噛みあった作品だと思います。今度日本盤も出るらしいXASTHUR辺りの瘴気が体に馴染む人にはかなりお勧め。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - A Seed for Suffering ★★★ (2007-08-14 10:11:55)

1曲目に王道を持ってこない辺りは流石ですね…
と言っても楽曲自体は聴き辛い物ではなく、ミディアムが基本のテンポにトラッド的なメロディが乗る叙情的な曲で、プリミティブ路線が好きな人は逆に気に入らないかも…?このアルバムを語るのにULVERの1stが引き合いに出されているのを見たことがありますが、確かにあのアルバムの1曲目辺りの雰囲気をアメリカ産ブラックの瘴気で再構築したらこんな感じになるのかもしれません。あくまでパートによっては、ですが。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - Abstract Nihilism ★★★ (2007-08-14 10:10:04)

「抽象的虚無主義」タイトルからして魅力的ですね。
曲的には、Eternal Ground同様にメロウに疾走する、プリブラの王道とも言える曲ですが、向こうは結構展開があったのに比べ、こっちは一曲を通じて走りっぱなし。…何だかんだいっても、やっぱりこういう曲は魅力的。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - Chosen by No One ★★★ (2007-08-14 10:13:55)

音像こそいかにもアメリカの(カルトな)ブラックらしい濁ったものですが、寒々しい刻みリフといい展開のドラマティックさといい、メタルの視点で見ても十分にクオリティが高く、かっこいい曲だと思います。
…尤も、最初は音質と曲が噛み合ってない気がしてあまり好きではなかったんですが、何度か聴くうちにこの音質でこの曲と言うことに意味があるように思えて、好きな曲に。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - Eternal Ground ★★★ (2007-08-14 10:09:01)

メロウなリフと不鮮明な音像による疾走という、プリブラ好きのツボを突いた曲。
ミディアムテンポのパートはメロディに僅かにトラッドっぽい雰囲気が感じられたり、ラストの盛り上がりはある意味華々しいといえるサイケさだったり、単に王道なだけではない魅力があるように思います。


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - Here's to Hoping ★★★ (2007-08-14 10:14:56)

このアルバムは要所でサイケな音色のギターが顔を出し、それが個性になっていると思いますが、この曲は最もそれが活きているのではないでしょうか。濁った音像にその音色でメロディアスなフレーズを入れ、独特な魔性を表現してます。
…途中、音が少なくてヴォーカルが良く聴こえる所がありますが…なんというか、もう死にそうですね、この人(笑)


NACHTMYSTIUM - Instinct: Decay - The Antichrist Messiah ★★ (2007-08-14 10:12:53)

メロディも殆ど無く、ほぼ人間性を失ったようなヴォーカルと音像の醸し出すカルト性による混沌で押していくような曲。…何故かギターソロがある辺り謎ですが…。この曲のヴォーカル、後に何かが憑いているようなエフェクトでかなり恐い。


NACHTMYSTIUM - Reign of the Malicious ★★ (2007-12-26 16:09:00)

2002年発表の1st。
BURZUMのカヴァーとライブテイク一曲を含む作品。

最新作「Instinct : Decay」ではプリミティブブラックを独自に解釈したような、サイケで独特のブラックメタルを展開していましたが、この時点ではオーソドックスなプリブラ。
クレジットを見ると、セッションドラマーやライブメンバーがいるものの、実質的にはAzentriusによる独りブラックのような感じなので、音楽性が異なるのかもしれませんね。

北欧のバンドのようなトレモロリフ、トレモロのメロディやベースのフレーズは聴き取り易いにも関わらずデモテープ並に篭もった音質、衝動丸出しの絶叫…と、プリミティブ系の名作の要件はしっかり兼ね備えてますね。個人的にはオリジナリティのある最新作の方が好きですが、プリミティブが好きならばこっちの方がより気に入るかもしれません。
ヴォーカルは最新作よりもこっちの方が好きですね。前に出てて生々しさがあってかっこいい。

しかし、裏ジャケではわざわざノン・ポリティクスを謳ってますが…やっぱり「NACHT~」なんてバンド名をつけるとナチス絡みだと思われやすいんでしょうか。


NACHTMYSTIUM - Reign of the Malicious - Call of the Ancient ★★ (2007-12-26 15:56:23)

この曲、他の曲にもまして音が篭もっているような…でもその篭もり具合が、深淵から喚びかけてくるような雰囲気を醸し出してますね。


NACHTMYSTIUM - Reign of the Malicious - Lost Wisdom ★★ (2007-12-26 16:00:12)

BURZUMカヴァー。
原曲よりも音質を下げ、アンダーグラウンド性を強く押し出したアレンジ。ただ、雰囲気は良いんですが、ヴォーカルは真似じゃないほうが良かったなぁ。NARGAROTHもそうだけど、自曲での歌い方のほうが無理に真似するより魅力的だと思う。


NACHTMYSTIUM - Reign of the Malicious - Reign of the Malicious ★★★ (2007-12-26 15:54:32)

いきなり頭のカウントからして音が割れてるし、バンドサウンドが入ると同時に「ギェェエエ!!」と絶叫するし、トレモロリフによる哀愁メロは北欧勢に勝るとも劣らないし…インスト明けの2曲目から、プリブラ好きの心を掴むような曲で攻めてきます。


NACHTMYSTIUM - Reign of the Malicious - Ritual Sacrifice ★★ (2007-12-26 15:58:13)

この曲も「Call~」同様かなり篭もってます。
篭もり方が違うのが芸が細かいですね(笑)。こっちは深海から聴こえてくるような音で、ブラック系アンビエントを聴く感覚でも楽しめるかも。


NACHTVORST ★★ (2013-10-30 22:29:57)

オランダ産ブラック。
ゴシック的美しさ、葬式ドゥーム的陰鬱さを取り込んだスタイル。


NACHTVORST - Silence ★★★ (2013-10-30 22:33:42)

2012年発表の2nd。

眼前に高い壁が聳えるような絶望感を伴う、フューネラルドゥームにも通じる引き摺り系のリフによる音圧と、ゴシック的美意識を感じさせる悲壮なメロディをフィーチャーした、ディプレッシブなブラックメタルで、各サブジャンルのいいとこどりをしたようなサウンドですが…これがなかなかツボに嵌まる。

リズムはNORTT辺りの、フューネラル系のバンドと比べると多少速めで、リフも刻みを入れてリズムを強調したりしてますが、これがリフの黒い音圧と合わさるとかなりの圧迫感があって良いんですよね。フューネラルドゥームが一打一打の緊張感がウリだとするなら、こっちはもっとダイレクトなヘヴィさを感じさせる音だと思う。

あと何気に特筆したいのは、メロディの美しさですね。フューネラル系の悲壮感・絶望感とゴシック系の彩り、美しさが絶妙に混じったような印象で、特にインスト曲なんてなにか大作映画(但しバッドエンドに限る)のエンディングのような美しさ。また、フューネラルドゥームにありがちなグロウルだけでなく、ブラック的な引き千切るような高音絶叫も使うヴォーカルも私的にはかなりツボ。

WORSHIPやMOURNFUL CONGREGATION辺りの葬式ドゥームと比べるとテンポは大分速めで、メロディも鮮やかな事からその手のファンには徹底していないように聴こえるのかもしれませんが、個人的にはこれはこれで丁度良い按配だと思うんですよね。AHABやSWALLOWS THE SUN辺り行ける人は試してみてはどうでしょうか。お勧めです。


NADER SADEK ★★ (2011-07-01 19:59:04)

ライブでの視覚効果のディレクターとしてMAYHEMに関わっていた事もあるらしい、NADER SADEK氏の指揮するプロジェクト。先日Season of Mistよりリリースされた1stの参加メンバーが恐ろしく豪華で驚きました。

Steve Tucker (ex-MORBID ANGEL) – Vocals
Blasphemer (ex-MAYHEM) – Guitars
Flo Mounier (CRYPTOPSY) – Drums

…買うに決まってんじゃん(笑)。
特にBlasphemerが参加してると聞いて、もう速攻でレジに行きましたね。


NADER SADEK - In the Flesh ★★★ (2011-07-01 20:00:24)

2011年発表の1st。
Attila Csihar (MAYHEM)、Nicholas McMaster (KRALLICE)、Travis Ryan (CATTLE DECAPITATION)がゲスト参加。…もうこれ年間ベストでいいかもしれない。

Steve Tuckerがヴォーカル、Blasphemerがギター、Flo Mounierがドラムというエクストリームメタル界の超重要人物が一同に会した…という触れ込みの、まさしく期待通りのテクニカルなデスメタル。Steveのズ太い咆哮に威圧されながらBlasphemerとFlo Mounierの達人同士の立ち合いを、特等席で見られる(聴ける)ような素晴らしい作品です。

私はCRYPTOPSYはまだ試聴くらいしかしてないんですが、やはりFlo氏のドラミングは凄まじいですね。ジャズを通過しているのか、ただ速いだけでなくて、柔軟で、かつグルーヴ感がある感じ。もちろんツーバスもブラストもトップスピードはエクストリームメタル界でも随一ですが、それ以上に聴いてて単純に「かっこいい」とか「気持ち良い」とか言いたくなるドラミングなんですよね。

そしてそれに連動するBlasphemer氏のギターワークも素晴らしい。
狂ったソロやリードフレーズを挿入したり、デス寄りのアプローチでMAYHEMの時とはやや異なる芸風ながら、MAYHEMの近作で聴けたような、スラッシュの禍々しさをテクニカルさで増幅し、刻みから血煙が上がってそうなリフ捌きは近作でも健在。MAYHEMを抜けて、もうこういうエクストリームな彼のスタイルは聴けないと思ってただけに本当に嬉しい。

そしてSteve Tuckerの咆哮は…彼ほど太くデス声を出せる人って、なかなかいないと思います。なんかスライムでも吐き出しながら歌ってるんじゃないかと思わせるような粘液的な感じもあって、マジで人間辞めてそうな感じの声。彼のヴォーカルが入ったことで、禍々しくテクニカルなアンサンブルが醸しだす暗黒性にも、より説得力が生まれてるような感じがしますね。

個々のスキルの高さは既に各バンドで証明済みですが、それをしっかりかっこよく聴かせる事に成功しているNader Sadek氏の手腕もまた素晴らしいと思う。音質も変にヘヴィにならず聴きやすく、アンサンブルを楽しみ易いですし。取り合えずエクストリームメタルのスキルを暴虐方向に注ぎ込むようなアンサンブルが好きな方なら、楽器隊の絡みを聴いているだけで幸せになれます。ああ、30分が短い…。


NADIWRATH ★★ (2011-12-17 22:21:35)

ギリシャ産ブラックメタル。
DODSFERDやRAVENCULTのメンバーが関与してます。


NADIWRATH - Nihilistic Stench (2011-12-17 22:22:32)

2011年発表の1st。

…近年のDARKTHRONEやMONGO NINJAなど、パンク/ハードコアとブラックメタルを融合させているバンドは数多くありますが…このバンドの場合、最早ブラック部分がハードコア部分に乗っ取られてしまいつつあるくらい、ハードコア要素が強い作風ですね。やたらグルーヴィでノリッノリなリフとリズムの絡みは、部屋で聴いてても体を動かさないのが困難なほど(笑)。特にリフは前述のバンドよりも遥かにブラック離れしたノリがある感じ。

最早「ハードコアにプリミティブブラックの地下臭い音像と、厭人的なヴォーカルを加えて凶悪化させた感じ」みたいな音楽性ですが、時折鬱ブラックに通じるような、非常に陰鬱なパートを入れてくるのも特徴。しかもその時のヴォーカルが、誇張でなく「ウワアアアアアアアアアアン」みたいな泣き声で、ちょっと気持ち悪いくらい感情篭ってます(笑)。流石DODFERDのメンバーだけあって、憎も哀も表現の仕方が振り切れてますね…。

パンキッシュなパートも、鬱なパートも異様なほどの濃さで聴かせてくれる作品ですが…4曲目や8曲目など、メロディアスなパートを含む曲では意外なほどメロウなメロディも聴かせてくれるのが、また「濃い」んですよね…。特に4曲目なんか初期EMPERORを思わせるメロディでかなり不意を突かれた感じ。

正直聴き手を選びまくるアルバムだと思う。DODSFERDのパンキッシュな部分を拡大した作風とも言えますので、その辺りのブラックが好きな方にはお勧めです。個人的にはちょっとやりすぎって感じも(苦笑)。


NADJA - Thaumogenesis + Thaumoradiance ★★ (2008-12-09 18:08:00)

NADJA初となる日本盤。
2006年発表の「Thaumogenesis」と2008年発表の「Thaumoradiance」をカップリング、
更にKHANATEのメンバーによるリミックス作品を付けた二枚組。NADJAはその手のマニアの
間ではかなり評判になっているようですが、ディスコグラフィー見てみても作品数が
膨大過ぎてどのアルバムが取っ掛かりとして最適なのか分からなかったので、
こういう日本盤がリリースされるのは嬉しいです。
「Thaumogenesis」
こちらは一時間を越える大作を1曲収録。SUNN O)))やKTL等と同様、ドローン/パワー
アンビエントなどと形容される音ですが、NADJAの描く世界観は情景描写志向がより強く、
もっと壮大で、どこか美しさを感じさせるものがあると思います。原初、無から混沌が生まれ、
混沌から世界が生まれる…そういう情景を一時間かけて丁寧に描いていったらこんな音に
なるんじゃないでしょうか。
中盤のノイズや低音のドローンが少し収まってキーが前に出てくるパートは構築された世界に
初めての夜明けが訪れたようなイメージが、終盤のクライマックス近くの幽かに蠢くノイズは
遺伝子が絡まりあって今まさに生命が誕生しようとしているようなイメージが思い浮かぶ。
ドラムは打ち込みだろうし、ノイズにしろ持続音にしろアンプを通したりコンピューターで
作ったりしてるはずなのに、それを忘れてしまうくらいに有機的で、根源的な音。
MINSKを聴いた時も思ったんですが、何か根源に触れる物があるからこそ、神秘性や美しさを
感じたり、畏れに近い感情を抱いたりするんでしょうね。それが彼らの音楽がカルト的な
支持を得る所以ではないかと思います。音の作り方も当然ながら上手く、鼓膜から脊髄を
通して手まで震えそうな低音が効いていながら、変な聴きづらさはなく心地良く聴けます。
音の気持ち良さにかまけてボリューム上げすぎたらいつの間にか耳痛くなってそうですが(笑)。
「Thaumoradiance」
こちらはライブをリミックスした作品らしい「Radiance of Shadows」「Thaumogenesis」に、
日本盤独自にKHANATEによるThaumogenesisのリミックス「Thaumoremix」を加えたディスク。
ヴォーカル入りで、静と動ならぬ静と轟の対比が面白い1曲目や、原曲の半分以下の長さと
なった2曲目も聴き応えは十分すぎるほど十分ですが、個人的には3曲目のリミックスが
目玉ですね。「Thaumogenesis」が創世に立ち会っているような感じだとしたら、こっちは
その様子をもっとマクロ的な視点で見ているような風景が思い浮かぶ。
…まあこういう音って聴き手によって受けるイメージは全然違うんでしょうけど、
リミックス元の情景を別の視点で見たような情景が見えたのが面白かったです。
余談ですが、この盤の解説を書いてる山崎さんの文章は、洋楽アルバムに付いてる解説としては
最高級じゃないかと思います。アンドレ・ブルトンの「ナジャ」を引用して音源のイメージを
更に豊かな物にしてくれてるし、「極彩色のノイズ」「轟音の胎内へ回帰」といった表現も
彼らの音楽を表すのにこれ以上ないくらい適切だと思う。
何より氏の文章からは、このジャンルへの愛情が伝わってきて読んでて楽しいんですよね。
彼みたいな人材がBURRN!にもいればいいのになぁ…。


NAE'BLIS - Beyond the Light ★★ (2014-06-19 22:45:13)

2004年発表の1st。

刺々しく、人を寄せ付けないムードのノイジーなプロダクションに、儚げなアルペジオやメロウなベースライン、泣きの篭もったリードメロやアトモスフェリックにバンドを包み込むキーボードなどを交え展開する、鬱要素の強いミッドテンポ中心のブラック。絶叫するヴォーカルをやや引っ込み気味にし、音が割れたようなノイジーなリフを前に出したプロダクションが結構独特で、メロウながら厭世的なムードが色濃く出ていますね。

ただ、基本的に刺々しい音作りながら、キーが入るパートや妙な味のあるドラムと共に疾走するパートなど、音数が増えるような箇所では相対的にノイジーさが軽減されて良い感じに。また、アルペジオのフレーズは鬱ブラックの中でもかなり秀逸な方で、聴き手を徐々に俗世から切り離していくような魅力がありますね。中でも前半部をヴォーカルとキー、アルペジオのみで聴かせ、儚さを強調した「…and I shall exist no more」は異色で出色の出来。他の曲では世を疎んじて苦悩していた感じですが、これは既に召されかけてます(笑)。

2004年というとまだポスト/シューゲイザー志向のブラックって一般的では無かったように思いますが、これは鬱感情メインながら若干そういったテイストも入っている気がします。何気に疾走パートの使い方も面白い好盤だと思います。


NAER MATARON - Praetorians ★★★ (2009-01-24 11:18:00)

2008年発表の5th。

このバンド、関連・参加ミュージシャンが凄いですよね。
籍をギリシャに置くバンドで、一時SEPTIC FLESHやNOCTERNITYのメンバーが関わっていた上に、CODEやDHG、VED BUENS ENDE、MANESと個性的なバンドを渡り歩くノルウェーブラック界の個性派Victonikがヴォーカルを努め、更にMZ.412やVARGR、ソロ名義等でノイズ/ダークアンビエント/ハーシュブラックなど前衛的な音楽を制作するNordvargr氏もメンバー。
でも音楽性はこの面子からは想像出来ないくらいメタルとして真っ当で、クオリティも高いブラック。

路線は、邪悪さや寒々しさよりも、不穏さを感じさせるリフが特徴のウォーブラックで、ガンベルトで武装したメンバーの様相から想像できそうな音。オープニングに続く二曲目がGEHENNAの「WW」を思わせる、モノクロな戦場の暗さを感じさせるものだったのでこのバンドもその系統かと思いましたが…聴き進むうちに北欧メロブラ風のメロウなトレモロリフもかなりの頻度で登場し、普通のメロブラよりもよっぽどメロディックな作風に。
後半の一部では軍歌っぽいようなメロ使いも。音質は非常にクリアで、ドラムが少し軽めですが、この音が戦場を飛び交う銃弾のようで雰囲気出てると思います。

そしてその中でも存在感を放つのがVictonikのヴォーカル。AttilaともAriochとも違うタイプの呻き声で、今にも咳き込みそうな発声の仕方なのに安定しててかなり独特かつ奇妙。グロウルも妙な生々しさがあっていい感じに気持ち悪いです(笑)。
Kaiadasのバッキングヴォーカルも、Victonikの影となって咆えたり、一緒にアジったりで彼のパフォーマンスを好サポート。

しっかり聴かせる展開もあるし、テクニカルな面もあるしでエクストリームメタルとして十分な完成度なんですが、このバンドは疾走部分にプリミティブに通じるミニマルな陶酔感を狙っていると思われるパートもあるし、ヴォーカルは不気味な呻き声だしでブラック特有の価値観も同時に追求しているのが良いですね。ブラックを聴かない人からすると、KOKの近作やMAYHEMの3rdと比べて少しニッチさを感じるかもしれませんが、私はそこが好きです。

個人的にはかなりの掘り出し物。メンバー見て買ってしまったけど大正解でした。


NAER MATARON - Praetorians - Anti-Celestial Campaign ★★ (2009-01-24 11:24:30)

オープニングのインストですが…何気にリスナーをアルバムの世界観に没入させるには重要な役割を果たしていると思う。全体に漂うミリタリー的な空気感は、この曲によるものが大きいのでは。Nordvargr氏のセンスの光る曲。


NAER MATARON - Praetorians - Incarcerating Gallantry ★★★ (2009-01-24 11:22:04)

インスト以外ではアルバム中唯一のNordvargrのペンによる曲ですが…VARGRのノイズ×チガイ振りと比べるとごくまともにメタルしてます。しかしアルバム随一の不穏さがある辺りセンスもしっかり発揮しきってますね。ツインヴォーカルの凄みも、ヤバイ雰囲気を醸し出してます。特に「Treachery~」からは誰もがビビるはず。


NAER MATARON - Praetorians - Ostara ★★ (2009-01-24 11:20:17)

インスト明けの1曲目にして、ラストの展開を除けばアルバム中最もメロディ感が薄く、ミリタリーな雰囲気が強い曲。…このバンドの描く軍隊って、戦車じゃなくて銃兵なんですよね。銃を持った屍の兵士達が、大挙して押し寄せてくるような感じ。


NAER MATARON - Praetorians - Sun Wheel ★★★ (2009-01-24 11:21:07)

前半はテクニカルな演奏やグルーヴィなリフなども聴けエクストリームメタルとして質が高く、陶酔感をもたらすような後半はブラックメタルとして素晴らしい。これだけの曲を作れるんだから、もっと知名度があっても良いと思う。


NAER MATARON - ΖΗΤΩ Ο ΘΑΝΑΤΟΣ ★★★ (2012-10-15 22:18:02)

2012年発表の6th。
前作から大幅なメンバーチェンジがあり、Vicotnik氏やNordvargr氏も抜けてしまった訳ですが…その影響なのか、音楽性も前作とはかなり異なる路線になってますね。

端的に言ってしまうと…まさかのデスメタル化。
ドラムやギターも低音が効いた、ドスの効いたプロダクションに変化、ファストパートは音圧に任せて畳み掛けるような、ミドルパートは重苦しさを感じさせるような、直接的な攻撃性を強く感じさせるような音で前作のメロブラな作風が嘘のよう。ヴォーカルも低音のグロウルに徹してますし、ちょっとしたキメの付け方も完全にデス化してしまってます。

但し、トレモロを前に出したメロディアスなパートもある程度残しており、そういうパートでは前作に通じる陰気ながら印象に残るメロディをしっかり聴かせてくれるのは嬉しい所ですね。そもそも、前作にもリフの圧力で押すパートは確かにあったし、低音グロウルもメインヴォーカルの陰で仕事してたりしたので、その辺りを拡大解釈したら今作の作風に辿り着くことは考えられるんですよね。ただ、耳当たりがかなり異なる音なので、一聴して戸惑いを覚えたのは事実ですが…。

と言ってもエクストリームメタルとしての質はむしろ上がった感じで、BEHEMOTHやHATE辺りのブルータリティにこのバンド特有の陰湿メロウさが合わさった作風は、これはこれで非常に魅力的。AZARATH、BLACK FLAME、HELL-BORN、MOON、RAVEN WOODSなどの、デス寄りブラックが好みであれば聴いておいて損はないかと。個人的にはこの手の音では陰湿さがある今作はかなり好み。逆に今作を攻撃性が直接的過ぎてムードが薄いと感じる方は是非前作を。


NAGELFAR - Srontgorrth ★★★ (2011-05-14 07:40:18)

1999年発表の2nd。
5曲70分という大作主義のアルバム。

よく「NAGLFARと間違えてマイナーなバンド買ってしまった…」と、笑い話としてネタにされる事の多いバンドですが…もし間違えて買っても全然損はありませんよ。NAGLFARがメロディック・ブラックの代表格足りえるのと同じくらい、「アトモスフェリック・ブラックとして」完成度の高い一枚。ただ、NAGLFARと異なり、正統派メタルの価値観には根ざしてない音作りのため、多少敷居は高いかもしれません。

少々強めなギターノイズ、時にメロウに曲を彩るベースライン、うっすら被さるようなキーボードが一体となり、靄のようにバンドサウンドを包み込み、その中から聳え立つ古城を思わせるような、気高いメロディが漏れ聞こえてくるような、アトモスフェリック・ブラックの中でも情景描写に富んだ音だと思う。この作風だと、長尺な曲でもうっとりと聞き入ってしまいますね。

ただ、途中でインダストリアル要素を挟んでくるのが結構気になりますね…4曲目なんか全編インダストリアルだし。そういったパートにおいても、メロディを前面に押し出してくれるため、聴きやすいといえば聴きやすいですが…風景画のような情景の中に、こういうパートが挿入されると良くも悪くも驚きます。

NAGLFARが正統派メタル的に直接アピール出来る音楽だとすると、こっちはサウンドトラック的に聴き手の想像力を刺激するバンドだと思う。非ブラッカーのメタラーには多少敷居が高いのかもしれませんが、プログレやノイズみたいな聴き手のイマジネーションに依存するタイプの音楽も愛好する方には、むしろNAGLFARより入りやすいのかもしれません。


NAHAR ★★ (2011-10-26 23:17:18)

NEHEMAHのメンバーも在籍する、フランス産プリミティブブラック。
Avangarde Musicより1stをリリースしてます。


NAHAR - La Fascination Du Pire ★★ (2011-10-26 23:19:18)

2009年発表の1st。

プリミティブブラックとしては厚めの、ノイジーなギターリフが、どこか洞窟に閉じ込められたような鬱屈したムードを感じさせるブラックメタル。幽霊コーラスや葬送曲的ギターソロが聴ける5曲目、機器が故障したかと思う奇妙なリフが聴ける6曲目など、プリブラとしてはかなり曲ごとのフックが強い印象。また太いがなり・うめきスタイルのヴォーカルも、曲の閉塞感を更に高めてますね。

トレモロリフやアルペジオによる、フレンチブラックらしい毒の効いたメロディも入ってきますが、迷い人を更に深淵に導く鬼火だったり、鉱毒を誘発する汚水がゆるゆる流れる様子だったり、やはりメロディから受けるのも洞窟的なイメージ。ただメロディから情景が浮かぶほどメロディアスではあるし、プリブラ聴いてる人はこういう「毒」は好物であるはずなので、然程聴きづらい音ではないと思う。


NAHAR - The Strange Inconvenience ★★★ (2014-09-01 03:30:19)

2013年発表の2nd。

前作では基本的にプリミティブブラックの形式を取りつつも、サイケデリックなアプローチを見せていましたが、今作ではスラッジ/ドゥーム方面に大きく接近、更にサイケで暗黒な路線へと舵を切ってきましたね…。暗黒なエナジーで塗り潰すような引き摺り系のリフと、やたら真に迫ったがなりヴォーカルが、純度の高い闇を生み出していくようなサウンドで、作風を変えつつも更に暗黒度を高めてきたという印象。

スローテンポが中心で、最早スラッジ要素がブラック要素より色濃いくらいの音ですが、ギターリフには元フレンチプリブラらしい色気のようなものがあるのが良いですね。神経が引き攣るようなフレーズ、どす黒い靄で包み込むようなフレーズなど、ノイジーな引き摺り系リフをベースにしつつしっかり変化を付けられている感じ。所々で聴ける、強烈なサイケデリックさを発散する、幻惑的なアルペジオも聴き所。

正直この作品はNAHEMAHメンバー関連バンドというイメージからプリブラを期待すると肩透かしもいいところですが、純粋に暗黒メタルとしてはかなり良い出来だと思います。所属レーベルのAvantgarde MusicはNORTT、ASOFY、THAWなど、ドゥーミーで暗黒な優れたブラックメタル作品を多数リリースしてますが、そのカタログにまたレーベルのネームバリューを高めるような、良質な一枚が加わったと言えるでしょう。


NAHASH - Nocticula Hecate ★★★ (2012-06-11 22:12:24)

97年発表の1st。2007年に再発されました。

今でこそリトアニアってPERGALEやSVARTTHRON辺りなど、ブラック好きの間ではそれなりの知名度のあるバンドがいますが、ブラック黎明期の94年に活動してたバンドとなると相当レアなのでは…。しかもそんな辺境のリリースが、07年になって再発されているという時点で期待してしまいますよね。どんなカルトな音出してるんだろう…と。

で、実際期待を裏切らないカルトっぷりですね、これは(笑)。
まず音の作り方がかなり独特。音像の真ん中(時々右寄り?)に太くてドスの効いたノイズ質が常に居座っている感じで、まるで邪神像があって、そこから発せられる禍々しいオーラで情景が全て黒く塗り潰されていくかのような音。反響するようなヴォーカルの絶叫も、その邪神像のパワーでより邪悪化しているようで、やはりカルトな雰囲気を醸し出してます。

ただし、音作りのカオスさとは裏腹に、曲はかなりメロディアス。全体的にリードギターによるメロディが曲を主導する場面が多く、剰えパートによってはツインリードによる絡みまで聴けたり。と言っても、音像に似つかわしくない宇宙的な音色のキーボードが入ってきたり、曲の展開が大分セオリーを無視した感じだったり、やはり混沌とした音である事には違いありませんが。色々壊れたメロブラって感じです。

最初は音像が独特で戸惑うものの、一度そのカオティックでカルトな世界観に絡め取られたら後は為すがまま、って感じです(笑)。PERGALEもSVARTTHRONも相当独特な音出してましたが、やっぱりこの国のブラックって変り種が多いですね…。しかも94年からこの音っていうのはある意味凄い。


NAHEMAH ★★ (2011-01-05 22:22:22)

スペイン産シンフォブラック/プログレデス。
3rdのみ聴きましたが、昔シンフォブラックだったとは思えない音ですね。


NAHEMAH - A New Constellation ★★ (2011-01-05 22:23:27)

2008年発表の3rd。

OPETH好きにお勧めとのコメントを見て購入しましたが、確かにOPETHと共通するところの多い作風ですね。旋回するような叙情リフをベースに、プログレッシブなアンサンブルを聴かせるという根幹からして似ているし、アコギを使った静寂パート、クリーン/デスを使い分けるヴォーカルも似てる。
特にヴォーカル、デス声はブラックのがなり風味ですが、クリーンの方は意識していないといったら嘘になるくらい、似てると思う。

ただ、OPETHのアンサンブルや音作りって、プログレメタル的ではあっても、メタル的なマッシブさが強いのに対して、こっちは浮遊感を感じる、より抽象的な音になっている感じがします。OPETHの音が具体的に、ストーリーや情景を描く「幻想的」なものだとしたら、こっちは捉えどころのないイメージが沸いて来るような、「空想的」な音。

また、OPETHはプログレのヴィンテージな感覚とメタルのモダンさを両立させているのに対し、こっちはキーの音使いがアンビエント・ブラックを思わせるものであったり、繊細なメロディが、波動が押し寄せるような音色のギターリフに練りこまれている音作りは、シューゲイザー・ブラック愛好家にも受けそうであったり、より(アンダーグラウンドでの)流行を意識した作風になっているという印象。

OPETHほどメジャー感はありませんが、幽玄で繊細な音が楽しめる好盤。OPETHやCYNICが好きな方なら手を出して損はないでしょう。


NARGAROTH - Amarok - As the Stars Took Me With'em (2007-11-18 18:54:44)

アンビエント色の強い曲なんですが、これはちょっと頂けない部分も。
こういうミニマルな大作ってどれだけ聴き手の意識とシンクロ出来るかが鍵だと思うんですが、そのシンクロを疎外するようなノイズが入ってるのがちょっと…彼なりのカルト性の表現なのかもしれませんが、聴いていて辛い部分も。


NARGAROTH - Geliebte des Regens ★★★ (2007-05-12 11:06:00)

2003年発表の3rd。
タイトルの意味は「雨の恋人」で合ってるかな?
ジャケからしてこのタイトルは「雷」を暗示しているのかもしれません。

作風的にはこの前に出たEP「Rasluka PartⅡ」の流れを汲む路線を進めた感じですね。かなり演奏時間の長い曲を、ひたすらブラック特有のジリジリした音質のリフで引っ張っていく、メロウなブラックメタル。基本的にどの曲も10分を超えていて、6曲で73分というランニングタイム、しかも17分の同じ曲がバージョン違いで2種類も入っているという凄い構成なんですが、まるでKanwulfの感情が伝わってくるかのようなミサンスロピックながらエモーショナルとも言えるメロディのせいか、意外にダレません。

特に前述の17分の曲などは、そのままリフで引っ張るだけならば流石にダレてしまいそうですが、絶妙のタイミングでリフが胸を締め付けられるような高音にシフトし、曲に「流れ」を与えてより味わい深いものにしているのがほんとセンスあります。更に5曲目のバージョンでは高音リフの所でもう一本メロディアスなギターが入ってきて、胸が締め付けられるどころか締め付けられすぎて心臓が止まりそうになるくらい切ない雰囲気になります。

また、音質もRasluka PartⅡ同様ノイジーながらメロを殺したり聴いていてしんどくなるタイプのノイズではなく、あくまで(ブラック好きには)気持ちのいいノイジーさなので、長時間の鑑賞にも耐えうるのではないかと思います。ヴォーカルも邪悪極まりないがなりですが必要最小限しか出てこないし、疾走も3曲目の頭くらいしかありません。

こうした要素や工夫が、リスナーの耳を自然と素晴らしいリフへと傾けさせてしまいます。同じミニマリズムの陶酔を利用したメタル音楽でも、例えば最近人気のSUNN O)))やEARTHのヘヴィ・ドローンが「体で感じる音楽」ならば、この作品はリフに込められた痛切とも言える感情を「精神で感じる音楽」と言えるかもしれません。4曲目なんかでは音響処理の巧みさも感じますし、死暗さんの言う通り飽きません。

というか、これを買ってからというもの、何故か単調な繰り返しなのにも関わらず、耳がこの音を求めてしまう事が多いです。ブラック好きで、ミニマル要素が大丈夫な人…いや、それ以外の方にもお勧め。これ程素晴らしい作品なら、無理矢理「開眼」させられてしまうかもしれません。

また、作風的にドゥーム好きにも是非聴いてもらいたいですね。
…ただ、こんな良い作品なのに日本では今のところ流通がイマイチ良くないのがネック。私はDISK UNIONで買ったんですが、メタル専門店を3件回ってやっと見つけたくらいだし…。見つけたら是非手にとって、Kanwulfの天才的とも言えるセンスを感じてみてください!!


NARGAROTH - Geliebte des Regens - Manchmal wenn sie schläft ★★★ (2007-05-08 17:30:28)

普通、一曲17分の曲をアルバム中にバージョン違いで2回、計34分も、しかも基本的にミドルテンポでリフで引っ張っていく展開に乏しい曲を聴かされる…と聞いたら、絶対ダレそうだと思うんですが…それどころか、34分も聴いていられる事を逆に嬉しいと思わせるくらいに素晴らしいリフ…Kanwulfは天才ですか!?特にリフが高音になり、哀感を増してきたときはほんと何度聴いても胸が痛くなります。
Alternative Versionの方は高音リフのところでギターが足され、更にメロウな雰囲気が濃くなりますが…これは琴線に触れる、どころの話ではありません。琴線に触れ、そのまま掴んで引きちぎられるくらいツボにハマりました。…なんて曲だ。


NARGAROTH - Geliebte des Regens - Von Scherbengestalten und Regenspaziergang (Vision eines realen Todes) ★★★ (2007-05-12 11:11:32)

この曲はリフの輪郭がやや分かりづらく、ドラムの音も少し大きめかな?この曲では音作りの上手さが特に際立ってますね。ギターのノイズとドラムの金物の音が絶妙にマッチし、ノイズ系アーティストの作品を聴いているような気持ちよさ。


NARGAROTH - Geliebte des Regens - Wenn Regen liebt (Zwiegespräch mit mir) ★★★ (2007-05-12 11:20:50)

出だしに疾走があり、アルバムの構成にも嫌味にならない程度の変化をもたらしてますね。ヴォーカルも邪悪の極みみたいながなり声なんですが、不思議と感情が伝わってくるような声。


NARGAROTH - Rasluka Part Ii ★★★ (2007-04-12 03:07:00)

2002年発表の4曲入りEP。

PART Ⅰもあるようですが、何故かこれより後にリリースされている模様。NARGAROTHって最近のブラックに対して否定的っぽいところから、今まで敬遠してたんですが余りの評判の良さに購入。…何て勿体無いことをしていたんだろう。…プリミティブブラックの魅力を濃縮・凝縮したような素晴らしい作品です。

まず音質は音圧・音量ともに申し分無しで、テレビのディストーションの音色はテレビの砂嵐を思わせるザラザラしたノイジーさですが、メロディがきっちり分離されている為、実に聴きやすい。ノイズの陶酔感とメロディの悲壮感が見事に融合してます。

そしてそのメロディもヤバい。
SATANIC WARMASTERが「メロウなプリブラ」ならば、この作品は超が付くくらいメロウです。メロディは輪郭がはっきりしていて聴き取りやすく、しかもブラックなのにそこら辺の歌謡曲じゃ相手にならないくらい哀愁たっぷり。

ヴォーカルも喚き気味のかなり潰れたがなりでめっちゃ邪悪。しかも音量がでかいので迫力満点。それでいてメロディを邪魔しないミックスの良さも特筆もの。…これだけメロディが良いのなら、アングラ好き以外にも十分アピール出来ると思います。私は一回聴いてもう虜でした。まだこれしか持ってませんが、他の作品も聴いてみたいです。


NARGAROTH - Rasluka Part Ii - ...und Ich Sah Sonn' Nimmer Heben ★★★ (2007-04-12 03:10:26)

10分以上ある曲ですが、こういう陶酔感のある曲って曲の長さが全くマイナスにならないですよね。とにかくメロディが良いので、もっと聴いていてもいいくらい。しかし超邪悪なヴォーカルが入ってきたときは痺れた…。


NARGAROTH - Semper Fidelis ★★ (2007-09-02 20:37:00)

2007年発表の5thアルバム。

タイトルは英語にすると「Always Faithful」という意味だとか。この場合「Faithful」というのはKanwulfのブラックへの信仰心なのかもしれません。収録時間79分58秒、CDの収録時間限界までNARGAROTHが詰まってます(笑)ドイツ語曲には英訳も付いており、過激だったり内省的だったりするイメージとは裏腹に親切です。

出音的には、名盤である「Rasluka PartⅡ」や「Geliebte des Regens」とそこまで変わりませんね。インダストリアル・ノイズのようなジリジリとしたノイジーな音質やエモーショナルで繊細なメロウさが練り込まれたリフを繰り返していく作風、Kanwulfのマイクに噛み付かんばかりの声量のある歪み切ったヴォーカル…と、前述の作品で聴けたNARGAROTHらしさは不変なので、ファンならば安心して購入できる出来だと思います。

ただ、今回は前述の作品のようにメロウなリフを繰り返していく作風の曲だけではなく、メロウさや情感よりも攻撃性に主眼の置かれた、聴いているだけで憎しみが伝わってくるような曲やオールドスクールなリフを取り入れた曲なども取り入れて、ある程度バラエティに富んだ作風なので全体的な印象としては「Black Metal Ist Krieg」に近いかもしれません。「Black~」の路線を「Rasluka~」の音質でやった感じ、と言うと近いと思います。

ただ「Rasluka~」「Geliebte~」と比べると、全体的にメロウさは少し減退してるかも。そういえば、今作のアートワークにはBURZUMのポスターがNARGAROTHのポスターの隣に貼られているものもありますが、彼はBURZUMに凄く強い影響を受けているのかもしれませんね。ノイジーなギターの音質なんか「Filosofem」のそれに近い気もしますし。

なのでNARGAROTHを未聴でも、「Filosofem」の頭4曲が好きな人ならハマれるかと思います。


NARGAROTH - Semper Fidelis - Artefucked ★★ (2007-09-03 16:22:12)

タイトルは「アーティファクト」との掛け言葉でしょうか。
NARGAROTHらしいメロウさこそ希薄なものの、聴き手の脳を切り刻まんばかりのノイジーで攻撃的なリフを聴いていると段々気持ち良くなってきます。体調悪いときは聴いてはいけない曲(笑)


NARGAROTH - Semper Fidelis - Der Satan ist's ★★★ (2007-09-03 16:23:03)

曲自体は94年に書かれたものらしく、前半はオールドスクールな雰囲気で空間を埋め尽くすような恐ろしいがなりヴォーカルで押していきますが、後半はかなりメロウに。特に高音のフレーズが入ってきた辺りは最早メロウさを極めちゃってます。


NARGAROTH - Semper Fidelis - Hate Song ★★ (2007-09-03 16:20:35)

この曲も「Artefucked」同様、メロウさよりも攻撃性が感じられる曲で、バンドサウンドと言うより戦場に行ってフィールドレコーディングでもしたんじゃないかと思わせるような迫力。正にKanwulfの憎しみの感情を体現するような曲ではないでしょうか。クレジットのヴォーカルも「done」じゃなく「puked」になってますし。


NARGAROTH - Semper Fidelis - I Got My Dead Man Sleep ★★★ (2007-09-03 16:24:39)

NARGAROTHらしい、ミニマル&メロウで10分を超える大作ですが、トレモロリフよりもアルペジオで引っ張っていくのが特徴ですね。この曲の後半のメロディ、どこかALCEST辺りにも通じる清浄なエモーショナルさが感じられる気がします。もっとも、NARGAROTHなのでプロダクションは極悪ですが。


NARGAROTH - Semper Fidelis - Vereinsamt ★★★ (2007-09-03 16:23:58)

メロウ極まりないトレモロリフが曲を通じて聴ける曲で、「Geliebte~」の路線が好みならば悶絶確定な名曲。この余りにも切ないメロディと、ノイジーなプロダクションを聴いていると、強制的に魂が浄化されていきそう…。個人的にはモロにツボを突かれました。


NASAV ★★ (2012-03-09 22:28:26)

あのHIRILORNともスプリットをリリースしたメキシコのブラック。
残念ながら2本のデモを残しただけで解散してしまったみたいです。


NASAV - UMR AT TAWIL ★★★ (2012-03-09 22:29:31)

98年発表の4曲入りデモ。
HIRILORNとのスプリットにも収録されているので、そちらで聴いた方も多いのでは。

HIRILORNも大概でしたが、こっちもこっちで音が小さい…まあスプリットで極端に音量に差をつけられても、聴きづらい事この上ないのでいいっちゃいいんですが。ただ、こちらの方が蟲の羽音系のノイジーさのギターといい、RAWな響きのドラムといい、割とクリアに聴こえるリードギターが曲の中心にあったHIRILORNと比べると、よりプリミティブブラック然とした音作りになってると思う。

そして作風もHIRILORNとは大分異なり、よりストレートにプリブラを演ってますが…こっちも相当にメロディアスな作り。うっすらとバンドサウンドを包み込み、時に叙情的なトレモロリフとユニゾンするキーボードが幽玄かつ邪悪。死者の魂を冥界に送るような、ダークながら情緒的なメロディが非常に魅力的。ヴォーカルはハイピッチかつヒステリックな絶叫で、ちょっと女性的な印象も。生々しい憎しみが篭もっているようで悪くないと思う。

…個人的には、このスプリットは音が小さくなければ、特にメロディアスでプリミティブなものが好きなブラック好きに取っては相当の名盤だったと思う。音を粗くするメリットはあると思うけど、録音を小さくする必要性を感じないんですよね。需要もあるだろうし、リマスターして再発したら好意的に受け入れられるのでは。


NASTROND - Toteslaut ★★★ (2012-01-07 21:24:32)

95年発表の1st。私が持ってるのは2010年に再発されたもの。

やはり初期ブラックだけあって、録音状態は良いとは言えるものではなく、ギターノイズがガリガリ言うRAWで癖の強いものですね。ただそのノイズが脈動するような音色のギターリフの間を縫って、ユルユルと幽鬼的なものを感じさせるトレモロが幽玄なメロディを奏でる音像は、カルトかつ神秘的、宗教的なムードがあって魅力的。巻き舌を多用した野卑ながなり声と、ミステリアスな語りを使うヴォーカルもカルトな雰囲気をより強いものにしてますね。

この音源で一番独特なのは、キーボードの使い方だと思う。
どこかの密教が解脱のための儀式を行う際に、後ろで流す音楽のようなSE的なものが中心ですが、メロディを弾かせるにしても「普通その音は選ばないだろ」みたいな妖しげな音を選んでいて、かなり耳に残る。8曲目は彼らのそんなオカルトな感性が発揮された、本格的な儀式アンビエント。

この密教の儀式を通じて宇宙の霊的存在だかなんだかと交信してそうな、妖しげな雰囲気はANGST SKVADRON辺りを髣髴とさせたりもしますが、あちらほどアヴァンギャルドな作風ではなく、あくまでRAWブラックを貫いているのがポイント。だからこそ、ジャンルの混交が激しくなり、アヴァンブラックも珍しくなくなった今聴いても「このバンドサウンドにこの音色のキーを乗せるか!」っていう衝撃があるんですよね。

アヴァンブラックやポストブラックって、ブラックとしての様式や感性を半ば放棄して独自の道を行くバンドが多いですが、このバンドはがっつりブラックの様式を守りつつ、前衛的な個性を出している所が面白いと思う。初期ブラックですが、ポストブラックが一定の評価を受けている今聴いた方が、実は楽しめる作品なんじゃないかと思います。


NATAN ★★ (2009-06-28 18:55:00)

ベルギーのブラックメタルバンド。
上から読んでも下から読んでも「NATAN」です(笑)。
可愛らしい響きのバンド名なんですけど、どういう意味なんでしょう…。


NATAN - Het Zicht Van De Dood ★★★ (2009-06-28 18:48:00)

2008年発表の1st。

これまた素晴らしいバンドがメロブラ界に現れましたね…1stにして、このジャンルのクラシックな名盤と比べても遜色無い魅力のあるアルバムだと思います。私は一聴きで惹き込まれてしまいました。

…基本的にはDISSECTIONやNAGLFARの影響下にありそうな北欧的な寒々しいトレモロリフを軸にドラマ性たっぷりに展開していくメロブラですが、時折アコギやヴァイオリンなどによるペイガン的なメロディを挟むのが特徴。元々質の高いメロブラなんですが、これによって更に展開にメリハリが付き、曲の魅力を増しているように思います。

例えるなら、初期SATYRICONに通じる世界観を、メロデス並みのポピュラリティを持ってやっている感じでしょうか。メロデス・メロブラ的な聴きやすさがありながら、ブラストや2ビート疾走とトレモロを組み合わせ、ブラックらしい禍々しい陶酔感を演出するパートが多いのも素晴らしい。音質も辺境っぽさやチープさはなく、普通にメジャークラスの音で音量も丁度良いし、文句を付けるとしたらエンディング部分(かなり長い無音を挿入してる)の野暮ったさくらいでしょうか。

ブラック、メロデス、ペイガン、哀メロ好きなどかなり幅広い好みに対応できそうな、非常に質の高いアルバム。こうした縛りの多いジャンルにありがちな、音自体の質は高いけど曲が金太郎飴ということにもなってないですし、名盤指定してもいいのでは。私はDISK UNIONでコメントに惹かれて購入しましたが、こういう良質なバンドを発掘した店員の方はかなりの慧眼だと思います。まだそこまで話題になってるというわけでもないのに…やっぱプロは違うぜ(笑)。

発売から結構経ってしまいましたが、皆さんもツバ付けとくなら今のうちかもしれませんよ(笑)。


NATAN - Het Zicht Van De Dood - Doodsfeest ★★★ (2009-06-28 18:54:50)

全体的にめっちゃ質の高いアルバムでしたが、ラストまで楽しませてくれますね。世界の終幕を描くような極寒な音からDISSECTIONの影響が変な方向で表れたようなパートに繋ぎ、涙腺に来るトレモロで聴かせる展開がドラマティック。このまま終わってたら、凄く印象のいいアルバムになってたんですが…。余計な事しなくていいのに。


NATAN - Het Zicht Van De Dood - Grauwbaard's Lied ★★★ (2009-06-28 18:51:23)

1曲目から「ガツン」と来ますね…。
キーボードを使用したパートでは、それほど絢爛な音を出しているわけではないのに、凡百のシンフォ系のバンドよりもよっぽど壮大な風景を演出していると思う。この辺りもセンスの成せる業でしょうか。


NATAN - Het Zicht Van De Dood - Velden Van Bloed ★★★ (2009-06-28 18:53:01)

特にペイガン/シンフォ/ゴシック要素のあるブラックメタルにおいて、女性ヴォーカルの導入というのは特に珍しくはありませんが…ここまでポップな歌いまわしのヴォーカリストを起用するのは流石に意外かも。でもその村娘的な歌声が魅力・フックになっているのは確かだと思います。またイントロのヴァイオリンなんかはSOUND HORIZONクラスのクサさだし本編トレモロ満載だし、クサメタラーの方にもお勧め。


NATAN - Het Zicht Van De Dood - Volkskracht ★★★ (2009-06-28 18:52:09)

名曲揃いのこのアルバムの中でも、トップクラスの出来だと思う曲。
一旦攻撃の手を休めて、繊細なヴァイオリンのフレーズから展開していくパートの素晴らしいことといったら…フィヨルドのある海岸から、日の出を眺めているような感動がありますね。ベルギーのバンドの曲ですけど。


NATTSOL ★★ (2011-07-14 21:06:22)

ノルウェー産フォーク/メロディックブラック。
SHININGのメンバーも関与してるみたいです。


NATTSOL - Stemning ★★ (2011-07-14 21:09:45)

2009年発表の1st。

よくレビューではULVERの1stが引き合いに出されていたり、発売元がNEGURA BUNGETやA FOREST OF STARSの作品をリリースしている事でも知られるLupus Loungeだったこともあって興味を持った一枚。フォーク要素の強いブラックですが、女性ヴォーカルや笛などはラストの1曲のみで、基本的にリフやアコギのフレーズに民族っぽさを出すタイプですが…

確かに1曲目の、靄が掛かったような音の、フォーキーなメロディを含蓄したリフによる、暗く茂る森へと誘われるような感覚は、ULVERの1stを想起させたりしますね。ただし、かなりエクストリームメタルの枠を逸脱していたULVERに対し、こっちは良くも悪くも音作り、曲調共にエクストリームメタル然としている感じ。メタル耳にはより馴染みやすい音ではあっても、ULVER1stのようなエポックになる作品ではないと思う。

ただ、フォークメタルとしては個人的にはかなり良い線行ってると思います。最初こそULVERっぽい聴き心地を感じたものの、途中から悪霊が出てきそうな邪悪なメロディが顔を出すわ、それらに追い回されるようなフルブラストのパートもあるわ、対照的に穏やかで美しいアコギのフレーズはあるわで作りがドラマティック。特に中~後半に掛けて頻出するメロブラ的なメロいトレモロが素敵。

ULVERの1stを始めとして、NEGURA BUNGETやAGALLOCH、NATANなど、メロディックで幽玄なフォーク要素のあるブラックが好きな方にお勧め。


NAV - The Wolf Sun (2011-11-25 00:46:45)

08年発表の2nd。

このバンドも、かなり独特の視点からペイガンを演ってますね…。
やけにグルーヴィでノリの良いリズムに、ツインギターによる刻み中心にメロディ成分もたっぷり仕込んだリフが絡む作風で、クサメタル並に泣きメロや速弾きを披露するギターソロまであり、最早ロックンロールというかグルーヴメタルというか…ペイガンよりそっちの方が近いんじゃ…的な音。ヴォーカルも邪悪系でなく、ダーティ系の地声混じりのがなりですし。

ただ、やはりブラックメタルがベースになっているだけあって、曲展開の主導権は常にリフが握っている感じ。ツインギターの絡みはなかなか聴き応えがあり、最後まで聴かせきるようなパワーは持ってると思う。ただ、音質もクリアだし、メタルとしての質は悪くないんですが、邪悪さや神秘性よりもメンバーが酒呑んで楽しく演奏する様子が浮かんできてしまうのはペイガニズムを表現する音楽としてはちょっとどうか…という感じも。むしろペイガンとかヒーゼンとか、その辺りの思想や神秘性には拘らないほうが楽しめそうなアルバムだと思います。


NAZGHOR - Life Impaled (2015-02-17 10:33:58)

2013年発表の1st。

まず、楽曲自体はプリミティブ・ブラックとしてかなり秀逸です。シンプルながらブラック特有の寒々しさやメロウさを過不足なく表現するトレモロリフ、オールドスクールさを感じさせつつ起伏もある展開はこの手としては十二分に及第点ですし、ヴォーカルも太く迫力のあるがなりでなかなか。シャーシャーと荒々しいプロダクションも、この音楽性にとっては何のマイナスでもないですね。

ただ、如何ともしがたい欠点が、音の小ささ。私は音の小さいCD自体嫌いなんですが、楽曲中のSEや楽曲切り替わり時のノイズ音に比べて、バンドサウンドの音が極端に小さいという構成もまた癇に障るんですよね。気持ち良く聴ける音量で聴いていると、突然耳元で「ブヂッ」っと特大音量のノイズを鳴らされるのがひたすら不愉快。こういう過激さの表現は聴いていて気持ちの良いものではないです。

そういう訳で、楽曲だけなら星2,5くらいなんですが、そういう音構成が余りにも私の「逆ツボ」に入ったので、星は1つで。いくらプリブラでもこういうのは止めて欲しいです。


NAZXUL - Iconoclast ★★★ (2010-04-19 00:08:00)

2009年発表の2nd。
1stが95年発表だから…フルとしては14年もの間があったことになりますね。

メンバーがDROWING THE LIGHT、AUSTERE、NOX INFERI、WOODS OF DESOLATIONなど、豪州産ディプレッシブ/アトモスフェリック・ブラックの名手として知られるバンドにも在籍、ISOLATIONともレーベルメイトという事で、そのアンビエンス(雰囲気・空気感)醸成能力をシンフォニックな方面に向けても、きっと良いものが出来るだろうな…と思い購入しましたが…予想/期待通り応えてくれる作品でした。

キーボード主導の、アトモスフェリックな作風は、LIMBONIC ARTの1stに近い音ですね。こちらの方がギターがある程度前に出てはいますが、刻むにしろトレモロを弾くにしろ、それが不吉で不気味な波形を描いている感じで、キーの音色と溶け合い、更に邪悪な雰囲気を醸し出してます。この辺りは、リフの執拗な繰り返しで雰囲気を演出しなければならない、鬱ブラックの名手ならではのセンスかもしれません。キーボードも音色こそクラシカルな品性のある音ですが、メロディそのものはかなり邪悪。こんな邪悪な音に包まれながらブラストされても、全然疾走しているという感じがしないです。

ただひたすら、堕ちて行っているような雰囲気。そのブラストにしろ、枯れた味わいのあるヴォーカルにしろ、決してキーの醸し出す邪性を阻害するような一線を踏み越えない、やはり音に融けるようなミックスにしているのが上手いですよね。個人的な印象では、メジャー志向に染まらない、アングラな黎明期シンフォブラックに、鬱系やアンビエント系の感性を加えたような作風だと思う。曲の繋ぎのインストからしてシンフォ系よりも鬱系のバンドが使いそうな音色だし。

LIMBONIC ARTは煌びやかな2nd、メタルとしての質の高い5thよりも、邪悪さ最重視の1stこそ至高という方にお勧め。勿論、DROWING THE LIGHTを始めとした鬱系のバンドが好きで、シンフォ系も行けるという方にも推薦です。


NEAR - Our Sun ★★ (2017-01-18 23:21:36)

2016年発表の2nd。

ショップではGORGOROTHなどのノルウェー謹製のブラックメタルが引き合いに出されていましたが、その通り邪悪なトレモロリフと苛烈なブラストビート、ヘヴィネスよりもRawさを重視するプロダクション、ほぼノイズと化した裏返り気味の絶叫…と、衒いのないブラックメタルのスタイルですね。この手を普段から聴いている方ならすぐにでもアルバムの音に没頭できる感じ。

このバンド、何気に神秘性や邪悪さなどの演出が巧みなんですよね。主張しすぎない程度にキーボードも用いてますが、これが幽玄でアトモスフェリックな音色で雰囲気が出ててグッド。薄めのバンドサウンドのプロダクションとも相俟って、ちょっとだけBURZUMなんかも思い起こさせたり…。トレモロも時折神経を掻き毟る系の不協メロディを入れてきて、邪悪さの演出にかなり貢献している印象。

個人的な印象としては、北欧ブラック+若干アトモス系の感性を加えた音…という感じですね。常に仄暗い空気が付きまとうようなムードはなかなかに良い感じ。


NECHIST (НЕЧИСТЬ) - NACHALO DOROGI (НАЧАЛО ДОРОГИ) ★★★ (2012-04-28 22:17:18)

2010年発表の2nd。

シンフォニック・ブラックって、ジャンルの性格上クオリティの高いバンドは多くても、似通った音になってしまいがちな印象がありますが…この作品は質の高さと、ロシア産バンドならではの独特のムードを両立させている所が良いですね。クラシカルで美しいだけでない、土着的でどこか神話的な雰囲気を醸し出すキーボードメロがかなり素晴らしい。要所でピアノやフルート等も取り入れられ、音色が変化に富んでいるのもグッド。

また、メロディや音の華やかさも然る事ながら、DISSECTIONを思わせる寒々しいリフや、メロデスにも通じる刻みリフを取り入れた、動きのあるギターワークがかっこよく、メロブラとしてもかなり高品質なのも特徴。ヴォーカルも典型的なブラックのがなりスタイルながら、どこか威風を感じさせる声で、総じてどの要素を取ってみてもレベルが高い音、という感じ。特にメロディの主張の強さはかなり魅力。

ロシア産のブラックって割とマニアックで辺境っぽさが残ってるバンドがイメージが強いんですが、この作品は辺境的な神秘性も醸し出しつつ、エクストリームメタルとしても純粋に質の高い音を出しているように思います。シンフォニックブラックを好んで聴く方なら押さえておいて損はないですよ。


NECROBLASPHEME ★★ (2011-06-23 07:38:22)

フランス産デスメタルバンド。
ANTAEUSの名盤「Blood Libels」でドラムを叩いたZvn氏もメンバー。


NECROBLASPHEME - Destination : Nulle Part ★★ (2011-06-23 07:39:11)

2008年発表の2nd。

年季の入ったブラック好きにも衝撃を与えるほど暴力的だった、ANTAEUSの「Blood Libels」でもドラムを叩いていたZvnが中心という事で、やはりブルータル極まりない仕上がりになってますね。

ファストパート中心にド迫力で畳み掛ける展開、DEICIDEやIMMOLATIONに通じるゴリゴリを通り越してゴツゴツしたリフに血腥いメロディを絡めるギターワーク等、出音はほとんどブルデス。数曲でANTAEUSのMkM氏がヴォーカルで参加していますが、彼の怒りを込めて吐き捨てるスタイルは、この作風にもよくマッチしてます。

メンバーがアンダーグラウンド出身の割には、音が良くプロデュースされているのも特徴で、日本盤が出ているバンドと比較してもなんら遜色のないほど重さ・分離の良さに優れた音だと思う。メロディの良さ(血腥さ・気味悪さの演出的な意味で)や演奏の切れもあって、あとなにか個性があればDEICIDEやIMMOLATIONとも勝負できる音になりそう。

ちなみに、何故かジャケは青空(に黒い影)。おそらく、日常っぽい風景を歪める事で不条理な気味悪さを表現したかったのかと思いますが…普通にミスマッチですよね(笑)。そういう気持ち悪さよりも、もっと肉体的ブルータリティの強い音ですし。ブルデス・サタニックデス好きにお勧め。


NECRONOCLAST - Ashes ★★ (2012-07-16 22:18:50)

2011年発表の4th。

イギリスの独りブラックということですが、割とブラックとしては王道っぽい路線の作風ですね。初期MAYHEMの邪悪さや陰鬱さを重視しつつもある程度展開を設けた作風と、初期DARKTHRONEの靄が掛かったようなムードを掛け合わせたかのような感じで、ややプリミティブ志向に寄った音。アトモスフェリックなキーや甘美なリードギターを取り入れた部分もあり、ドラマ性もある作品。

また特徴としては、メロディの使い方に「Si Monumentum~」期のDEATHSPELL OMEGAを思わせる不穏さが強いことが挙げられますね。このメロ使いのせいで、スローパートは鬱系に通じる抑鬱的な雰囲気が、メロディを前に出すパートではどこか妖艶さを感じるような雰囲気が、上手く演出できているように思います。総じて安定したクオリティを持つ作品だと思う。

際立った個性は正直そこまで感じられませんが、逆に言えば変な癖もなくジャンルのファンであれば入りやすい作品だと思います。流石に入門には向きませんが、中級者以上の方にお勧め。


NECRONOMICON - The Return of the Witch ★★ (2011-04-29 00:05:41)

2010年発表の3rd。

店のコメントでは、BEHEMOTHやBELPHEGORなど、デスメタル要素の強いブラックメタル好きにお勧めされていて、私も一口乗ってみたんですが…確かに、パッと聴いた感じは明らかにデス寄りのブラック。ただし、多くのデス系ブラックがブルデスのフレーバーが強いのに対し、このバンドはどこかオールドスクールなデスメタルの感触があるのが特徴ですね。特にギターの泥臭い音質がそんな感じ。

また、1曲目を聴いた時からは想像できなかったんですが、4曲目や5曲目など、荘厳で邪悪な耽美さを感じさせるキーボードやピアノを使い、ゴシックデス、もしくはゴシックドゥームの香りを漂わせたり、タイトル曲でNECROPHOBIC辺りにも肉薄するかと思わせるようなメロディック・ブラックのスタイルを演っていたり、意外にも曲のバリエーションが豊富。2曲目の、中近東的妖しさに刑事ドラマの犯人追跡場面のスリリングさを足したような、妙なメロディとか面白いです。

ただ、根幹となるスタイル自体がちょっと地味なんですよね…上記の要素が突き詰められているか、もしくはBEHEMOTH並みに畳み掛けが気持ち良かったりすれば尚良かったんですが。ポテンシャルは凄く高いバンドなのかもしれませんが、このアルバム自体は「最高!」という訳にはいかないですね…。


NECROPHOBIC - Death to All ★★★ (2011-04-01 00:45:15)

2009年発表の6th。
まだ誰もレビューしてないですが、相当良いアルバムですよ、これ。

メロブラって、特にトレモロリフにメロディを練り込んでメロディアスに仕上げるパターンが多いですが、このバンドはかなりリードギターも重視した、正統派やメロデス好きも気に入ってくれそうな路線ですね。リードギターの見せ場としてのソロだけでなく、曲を特徴付けるような構築性の高いフレーズも多く弾いていて、それがメロいリフで押すパートと上手く組み合わさる事で、非常にドラマティックな展開になってます。

劇的でメロウ、かつ聴きやすい作風ですが、邪悪さもしっかり内包されているのがこのバンドの素晴らしい所。特に、トレモロリフはDISSECTIONやDARK FUNERALと比較しても、暗度・寒度ともに劣らないレベル。ヴォーカルの中音域のガナリもストレートな邪悪さを放出。メロデス好きにもアピール出来る、しかしそちらにおもねり過ぎずしっかり邪悪という、まるでメロブラのお手本といっても良いくらいの音。

個人的には、DISSECTIONやNAGLFAR、OLD MAN’S CHILD辺りと並んで「メロブラの代表格」扱いしても差し支えないバンドだと思います。最近KEEP OF KALESSINやISTAPPなど、良質なメロブラの日本盤がリリースされてますが、このバンドも日本盤を出して、日本のメタル好きにもその実力を知らしめて欲しいです。


NECROPHOBIC - Womb of Lilithu ★★★ (2013-12-04 01:02:12)

2013年発表の7th。

優れたスウェディッシュ・メロブラって、例えばDISSECTIONやWATAIN等がそうなんですけど、ただメロウだったり禍々しかったり、寒々しかったりだけじゃなくて、「Satanic Majesty」とでも呼びたくなるような、邪悪な品格のあるメロディセンスを備えているように思うんですが、このバンドもそうしたセンスを持つ、希少なバンドの内の一つだと思います。

NECROPHOBICは特にこれらのバンドの中でも、ギターソロを積極的に導入したり、サビに当たるパートを持つ構成の楽曲が多かったり、スラッシーでノリの良いオールドスクールなパートを導入するなど、メタルとしての普遍性の高い音楽性を持っている印象があるんですが、そうしたセンスがあるお陰で、ポピュラリティなど糞喰らえなカルトバンドと比較しても、邪悪さにおいて何ら劣らないのが素晴らしいですよね。

…とまあ、これまでと比べて劇的といえるような変化は無いんですが、進化・変化してる部分はありますね。特に成長を感じるのがヴォーカル。サタニックな歌詞を歯切れ良く、切れ味の鋭いがなりをメインに使いながらも、時折グロウル的な低音を語尾に交えドスを効かせるなどの表現力を見せ、非常にかっこいい。一般的なメロブラより、楽曲におけるヴォーカルの重要性が高いような印象。「Splendour Nigri Solis」の「nox nox」「xon xon」とか、一緒に口ずさみたくなりますもん(笑)。

また、前作までと比べるとあからさまにメロウなトレモロを強調するようなパートは減退気味で、それがメロ好きとしては多少不満な部分でもあるんですが(笑)、代わりにドロついた音圧を伴った禍々しさが上がっている印象で、より邪悪さにハクが付いたように感じました。とは言っても、印象に残るギターソロも多く、他と比べたら全然メロディアスな音ですけどね。

WATAINもめでたく日本盤が出たことですし、NECROPHOBICも是非日本盤をお願いしたいところですね。こういうブラックメタル特有の、邪悪だけど優美なトレモロを、高いレベルで伝えてくれるバンドはほんともっと知られて欲しいと思う。エクストリームメタルとしても普遍的なものを持ってると思いますし、是非お願いしたいです。


NECROPLASMA - Sit Gloria Domini in Sæculum ★★★ (2014-01-07 21:30:46)

2006年発表の2nd。
タイトルの意味は「時代の中に主の栄光があらんことを」となるのでしょうか。
自信ないですけど…。

私がブラックメタルに嵌まった大きな理由の一つに、トレモロリフの魅力がありますが、この作品はそれを嫌というほど堪能させてくれる一枚ですね。6曲35分程度とフルアルバムとしては少々短めながら、演奏時間の殆どがひたすらに腐食系の禍々しいトレモロを垂れ流す事に割かれた、ある意味ではかなりフェティッシュな作風。曲タイトルが数字のみなのも頷けます、だってジクジクの垂れ流しサウンドですもん(笑)。

プロダクションも結構独特で、篭もった中にメロウなベースがぶよぶよと有機的に響く感触が、トレモロに込められた腐れ度を更にアップさせてます。音量が小さめなのが玉に瑕ですが、作風がツボなのでまあ許せます。暴虐というよりも、楽曲のオーガニックさを際立てるようなドラミングも何気に良い仕事をしていますね。地下臭いムードが更に助長されていると思う。

フェチ向けの作風ながら、個人的なツボにクリーンヒットしたんですが、どうやらバンド自体は2008年に主要メンバーの一人が亡くなり、現在は活動していないらしいのが残念ですね…。雰囲気は邪悪さに特化されていて、ポストブラック的な要素は皆無ですが、KRALLICEとか好きな人に勧めてみても面白そうかも。トレモロフェチは是非。


NECROSLUT ★★ (2011-10-06 21:01:09)

様々なスタイルのブラックメタルを追及するフィンランドの才人、Shatraugによる独りブラック。このプロジェクトではウォー系にも通じるダーティさを感じさせる、オールドスクールでプリミティブな路線のブラックを演ってます。


NECROSLUT - BLACK DECEIVER ★★ (2011-10-06 21:01:47)

2010年発表の1st。

…ブラックメタルでこういうジャケ(悪魔集団が裸の女性のワタを引きずりだしてる、ちょっとお馬鹿な感じのイラスト)だと、出音はスラッシュと未分化だった頃のオールドスクールなテイストを受け継いだ、ノリのいいダーティで背徳的な路線と相場は決まってるものですが…想像していた音そのまんま過ぎて吹きました(笑)。低音を効かせた、粗いと言うより「汚い」音でドカドカ蹴散らすような音は単純にかっこいい。

ダーティなノリだけでなく、時折ヤケクソ気味に疾走したり、邪悪メロディをリフに乗せたり、イカレたギターソロを入れたり、意外と曲が一本調子ではないのも良いですね。ただ、「こういう音が好き」「こういう音が出したい」というのは嫌というほど伝わるんですが、それ以上に踏み込んでいないのが惜しいですね…。既存の路線をなぞってる感があるというか。…と言っても、かなり確信的に演ってるんでしょうけど。

プリミティブでもディプレッシブでも(そのジャンルとして)ツボを付いた音源を作っているShatraugだけあって、ダーティ路線でもしっかりした仕事をしてくれますね。彼の音源を追ってる人や、オールドスクールで汚い路線のブラックが好きな人にはお勧め。


NEFANDUS ★★ (2013-01-12 16:08:33)

スウェーデンで活動する古株のブラックメタルバンド。
OFERMOD等のMichayah氏が在籍。