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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4601-4700

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 4601-4700
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NOKTURNAL MORTUM - Lunar Poetry - Sorrows of the Moon (2005-01-02 20:32:32)

Celtic Frostカヴァー。
イントロの幽玄なメロディからどんな展開が待っているかわくわくしながら聴いていたんですが、いきなり泣きながら哀願するような声が(しかも語り)…原曲を知らないので何とも言えないですが、これはかなり面食らうと思います(笑)


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist ★★ (2004-09-29 20:58:00)

99年発表の3rdアルバム。

本当に才能のあるアーティストは同じようなアルバムは作らない、みたいなジンクス(?)がありますが、シンフォニック・ブラックの超名盤だった2ndと比べるとかなり異なる音になっていますね。個人的には良い所と悪い所がはっきり分かれたように思います。

まず良い所は民族音楽的なメロディや楽器が増え、バンドとしてのオリジナリティが上がった事。曲によっては神社の縁日みたいに聴こえたりしますが(笑)、未開の民族による呪術を連想させる所もあり、笛による泣きメロありと聴いてて面白い展開をする曲が多いです。またヴォーカルもヤケクソ感が増し、より感情表現が上手くなった気がします。民族音楽パートに入ると巻き舌や「せいや!!」「ヘイにゃんにゃん」などめっちゃ印象的な掛け声を使っていて、最初聴いた時は唖然となってしまいました。

悪い所は…今作はシンフォニックな要素がないパートもかなり取り入れられていますが、ギターの音質がガビガビしていてフレーズの魅力を損ないがちなため、そういったパートがパッと聴く分にはちょっと凡庸に聞こえてしまうことでしょうか。音質に慣れて、良く聴けば充分かっこよく、脳内補正できれば超がつくほどのドラマ性を堪能出来はしますが。

民族音楽とブラックの融合を期待している人には間違いなく勧める事が出来ますが…シンフォニックブラックの名盤を期待している人は、まず2ndを買ってから購入を検討する事を勧めます。ちなみに2004年に再発された盤では、数曲がウクライナ語による物と差し替えられ、タイトルもそれに合わせて変更されているので購入の際はご注意を。


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - Black Raven (2004-12-06 19:42:52)

曲のタイプ「ジャーマン」というより「シャーマン」!?
イントロの呪文は祈祷師が人を呪い殺す様が浮かんできそうでかなり怖くていいです。でも肝心のブラックパートはいまいち、かも。


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - Nechrist:the Dance of Swords ★★ (2004-09-29 20:59:11)

笛によるメロディが縁日を連想させるタイトルトラック(笑)
文化祭で金魚掬いなどをやる時に流してみたら面白そうかも。「祭り」という単語で血が騒ぐ人は必聴。


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - Night Before the Fight (2004-12-06 19:43:16)

この曲は歌い方がちょっとAttilaっぽいうめきですね。
ただちょっと無理してるのが感じられてしまう…かも(笑)


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - Perun's Celestial Silver ★★★ (2004-09-20 22:31:56)

2nd収録の名曲「Under the banners of horned knjaz」の主旋律と良く似たメロディの笛のフレーズから始まる曲。このフレーズとツーバスの絡みや中間の叙情的なキーボードなどが心に迫ってきます。
…ですが、曲中に挿入される「ヘイ、にゃんにゃんにゃん、ヘーイにゃんにゃん」のコーラスのインパクトが強すぎ(笑)


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - The Call of Aryan Spirit ★★ (2004-12-14 21:39:21)

ひよこ笛(勝手に命名) タンバリン、なんか可愛い(笑)


NOKTURNAL MORTUM - Nechrist - The Funeral Wind Born in Oriana ★★★ (2004-09-24 07:28:14)

某雑誌で「お●らの音にしか思えない」と言われていた(笑)不思議な音色の楽器の音で始まる、荘厳なシンフォニックブラック。
…と思わせておいて、途中の民族音楽風メロディが挿入されるパートでは巻き舌や「ヒャッホーーゥ」という掛け声などが入っていて、かなりトリッキーな感じの曲です。この掛け声を聴いてストリートファイターZEROシリーズの「火引弾」を思い出しました(笑)


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel ★★★ (2010-03-26 23:42:00)

2009年発表の5th。
「NeChrist」等同様、タイトルがウクライナ語なので、探す時に分かりづらいですが…大魔神が剣をハンマーで打ってる、仰々しいジャケットが目印です(笑)。

…これまでの彼らの作風を追っていくと、1st(及びLunar Poetryデモ)では敢えてギターを引っ込め、ツインキーボードによる華麗な民族メロを前に出し独自の作風を確立、2ndでは煌びやかさを保ちつつ暴虐性を上げる事でシンフォブラックの名盤を作り上げ、3rdでは民族音楽要素とRAWブラック要素の対比を極端にする事で更にカルトな作風になり、4thでは音質が改善され、聴きやすくなると共にミディアム中心の展開になり、より情景の描写に重きを置いた音楽性へ…と、「民族要素」は一貫しながらも、かなり激しく音楽性を変化させていましたが…。

今作は、今までの作風を統括すると共に、大分メジャー感を増したアルバムだと思います。前作の民族メロを多用しての情景描写、音質のまともさはそのままに、以前のような疾走を交えた展開も上手く取り入れることで、よりドラマティックに仕上がった感じ。初期作のようにキーボードに全てを任せず、印象に残るリフやギターソロなどもあり、ペイガンブラックとしての雰囲気はしっかり保ちつつ、より広いメタラー層にアピール出来るようになったと思います。

ただし、いくら「メタルとして」質が高くなろうとも、「ペイガン思想を伝える、音楽を通じて映像的に見せつける」力には、些かの衰えもありません。…この両立を、ごく自然体でやってるように感じられるから、このバンドは恐ろしいんですよね…。NOKTURNAL MORTUM自身はもとより、ペイガン系入門としてもお勧め。EQUILIBRIUMやTURISASを好んで聴いてる人も、試しに聴いてみてはどうでしょう。

でも、某雑誌で「屁のような音」と酷い評価を下されたイントロの民族楽器、3rdでも4thでも使ってましたが…これから恒例にするつもりなんでしょうか(笑)。ちなみに、曲名もウクライナ語ですが、英訳を見つけたので以下に記しておきます。

1.Intro
2.Voice of Steel
3.Valkyrie
4.Ukraine
5.My Dream Inside
6.By Path of the Sun
7.Sky of Saddened Nights
8.White Tower


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel - By Path of the Sun ★★★ (2010-03-26 23:49:07)

ノリのいいイントロから、シンフォニックなキーボード&ブラック特有のトレモロで疾走する、劇的な始まりは「垢抜けたなぁ…」と思わされますが…ヴォーカルが入ると意外とそうでもないかも(笑)。でも確実に、一般メタラーも入れる間口の広さを確保できてると思う。後半の、花祭り只今開催中的な華やかなメロも良い感じです。


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel - My Dream Inside ★★ (2010-03-26 23:47:43)

「Ukraine」ほどではないですけど、この曲も結構衝撃でした。
このバンドが、民族調の華麗なメロディ以外に、ブルージーな泣きメロまで取り入れるなんて…。しかもキーボードの音色も、プログレに通じる幽玄なもので、音楽性を深めるために試行錯誤してるのが良く分かります。でも結局は、「彼らの音」になっているのが、やっぱり凄いですよね。


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel - Sky of Saddened Nights ★★ (2010-03-26 23:50:06)

ハリウッド映画の戦闘シーンでもなく、神話的なドラマティックな光景でもなく、ある民族の日常…そんな素朴さを感じさせるメロディが胸を打つ曲。根底に「思想」があるからこそ、こういう生活感を想起させる曲も出来るのかも。


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel - Ukraine ★★ (2010-03-26 23:46:32)

これは今まで彼らを追ってきた人からすると、結構衝撃かもしれません。何なんでしょう、この青空が浮かぶようなクリーンヴォーカルの爽やかなメロディは…(笑)。しかもギターソロも長めだし。まぁ、NSはハードコアとも繋がりが深いので、そんなに不思議ではないかもしれませんが。


NOKTURNAL MORTUM - The Voice of Steel - Voice of Steel ★★★ (2010-03-26 23:45:33)

これ程までに、ペイガンメタルのカルト性とメタルとしての質の高さを両立し、かつそれを自然体で出来るバンドがいるんでしょうか…。長いキャリアのある、パイオニアじゃなければ出せない音だと思う。今までの彼らの音楽性を、総括するかのような名曲。


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire ★★★ (2004-09-19 05:35:00)

ウクライナ出身バンドの97年発表作品で、2ndフルアルバム。
…これは超名盤じゃあないでしょうか!?

邪悪さ、荘厳さ、ブルータリティとシンフォニックブラックに不可欠な物が全て揃っていて、更にそこに民族音楽調のメロディが入ってくるといった個性を発揮していて、何とも素晴らしい音楽性だと思います。特に⑤を聴いた時などは感動すら覚える程良いメロディが出てきて、本当にブラック聴いてて良かったなぁ…とか思ってしまいました。個人的にこのアルバムはEMPERORの1stにも匹敵するほど大好きです。

音質はややごちゃごちゃしていて荒めですが、音圧があってかなり迫力があります。このバンドはキーボード奏者が二人いるらしく、荒い音質をシンフォニックに包み込んでます。この雰囲気は本当に良いです。ヴォーカルは何をそんなに必死になっているんだ!?と思うほどに必死に絶叫していて、時々演説みたいな声や低音で吠える声も入れてきて凄く上手いです。最初聴こえにくい所もありましたが、曲が進むとちゃんと歌詞も聴き取れる位の聴こえ易さになってました。

ドラムはブラストもツーバスもかなり早く、民族音楽的なメロディが顔を出すパートではパーカッシブに盛り上げてくれます。ギターも結構叙情的なメロディを弾いている所もありますが、やはりメインはキーボードみたいです。メタルと言うとギター中心の音楽と言うイメージがあるので、こういう音質は結構新鮮で良かったです。

とにかくお勧めのアルバムなので、是非聴いてみて下さい!!
シンフォニックな音楽が好きなら絶対に損はしないと思います!!


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire - Bestial Summoning ★★★ (2004-09-29 20:59:35)

一曲目から超名曲レベルの曲を惜しげもなく繰り出してきます。
イントロの時点で荘厳で印象的なメロディが出てきて、いきなり心を掴まれてしまいました。何故か最初のほうはヴォーカルが聴き取り辛いですが、それを差し引いてもこの雰囲気には飲み込まれます。


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire - Cheremosh (2004-09-19 05:36:31)

小鳥の囀り、小川のせせらぎの音をSEとして使ったインスト。
雄大な自然を想起させるメロディで、自然讃美のドキュメンタリー番組のオープニングに使ったら凄くハマりそうな曲です。


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire - On the Moonlight Path ★★★ (2004-09-19 05:36:03)

途中2回ほど挿入されるグランドピアノ系の音色のキーボードのメロディが最高の楽曲。曲のタイトル通り、月灯りに照らし出された小道を思わせます。ドラムもこのパートに差し掛かるとリズミカルに盛り上げていて、華麗な雰囲気をより演出しています。


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire - The 13th Asbath Celebration ★★ (2004-10-29 20:18:20)

邪悪な音質のシンフォニック・ブラックの中に響き渡る…笛の音!?
微妙に牧歌的な音色とメロディを暗黒の音楽にマッチさせてしまうのがこのバンドの凄い所ですね。


NOKTURNAL MORTUM - To the Gates of Blasphemous Fire - Под Знаменами Рогатого Князя: Under the Banners of the Horned Knjaz ★★★ (2004-09-19 05:03:52)

この曲、一分を過ぎた辺りで出てくるキーボードによるメロディが最高に良く、聴いていると骨抜きにされてしまいそうです。
結構キャッチーで耳触りの良いメロディですが、浮いた感じが全く無く、邪悪な中に融け込んでいて本当に良い曲だと思いました。


NOKTURNAL MORTUM - Weltanschauung ★★ (2005-08-09 22:08:00)

2005年発表の4thアルバム。
前作の発表は99年だから…約6年振りってこと!?
去年このバンドが沢山の作品を再発したのはこの為の伏線だったんでしょうか。

音楽的には前作同様、時折挟まれるお祭り的な民族音楽パートが楽しく、それでいて切ないブラックメタルなんですが、前作の不満が解消され、丸くなったという意味ではなく聴きやすくなったように感じます。音質も良いとは言えませんが、低音の「ガーー」が無くなった為、曲を集中して楽しむ事が出来るようになったと思います。

それに加え、ギターも平坦リフは多いですが、ところどころはっとするような叙情メロディのリフも弾いていて、聴き手を飽きさせるといったことは全くありません。疾走感があるパートが大幅に減り、大らかさや貫禄を感じさせるパートが増えた事や、一曲ごとにインストを挟んで進行していくアルバム構成も前作と異なるポイントですね。

ただ、歌入りの曲は6曲で、しかもそのうち3曲が「The Taste Of Victory」と被るのがネックになっているかもしれません。それと、歌詞を読むと「ヴァルハラ」「ラグナロク」の概念が取り入れてあったり、リスナーへのメッセージ(?)のような所に「ヴァルハラで会おう」みたいな事が書いてありましたが、NSから北欧神話に傾倒したんでしょうか…?詳しい方解説をお願いします(笑)

ちなみに、初回限定1000枚はA5ケース付きで、正直言ってかさばります(笑)
でも通常盤、店頭で見た限りではタイトルや曲名がウクライナ語ぽかったので、英詩のものが欲しい方は急いだ方がいいかも。(でも通常盤、歌詞どうなってるんだろ?)


NOKTURNAL MORTUM - Weltanschauung - Hailed Be the Heroes ★★★ (2005-08-09 21:44:50)

ノイジーだけどメロディアスなギターリフが耳を劈いた後、それが平坦なものへ変わる瞬間に笛のメロディが入ってくるモチーフ、何回聴いてもかっこいいです。民族パートも多く、アルバムで一番のお気に入りです。


NOKTURNAL MORTUM - Weltanschauung - I FEEL THE BREATH OF RAGNAROK ★★ (2005-08-09 21:41:39)

ラグナロクって確か北欧の終末思想の事ですよね…詞にも「我等はラグナロクを待ちながら生きる」とありますが、こんなに楽しくしてていいんでしょうか(笑)。4分位からはお祭り的なノリですよ…戦争に向けてお祭りで士気を上げているのかも?


NOKTURNAL MORTUM - Weltanschauung - SORROW OF NATIVE LANDS ★★★ (2005-08-09 21:43:55)

笛によるメロディが凄く切ない、ワルツ的な小品。
…なんでウクライナ出身でもないのに、こんなに懐かしい気分になるんだろう…。インストですが凄く心に来るメロディの名曲です。


NOKTURNAL MORTUM - Weltanschauung - WELTANSCHAUUNG ★★★ (2005-08-09 21:43:08)

この曲は半分デス声になったような声で歌う部分が非常に味があって好きです。ドスも効いてるし、もちろん不気味ではあるんですが、それ以上におっさんっぽい(褒めてます)イガラっぽさが凄い良い味になってます。曲自体も最初から民族パートで攻めてきたり、タイトルトラックだけあって力入ってると思います。
ちなみにタイトルはドイツ語でworld view=世界観、の意味らしいです。


NON ESSENCE GENESIS - Genesis of the Fall ★★ (2014-09-17 22:20:01)

2013年発表の1st。
…ジャケ横にアルバムタイトルを書かない(ジャケ表にのみ記載)仕様はどうかと思います(笑)。一瞬セルフタイトルかと思って、それで登録しそうになりましたもん…。

黒をバックに、金色でバンド名とアルバムタイトルの書かれたジャケットのシックなデザインからは、なにやら気高そうな雰囲気が伝わって来ますが…実際はブラストビートを多用した、ややノイジーで凶暴なブラック。まああ激烈ブラックのAD HOMINEM絡みという事でお察しですが(笑)。この作品、ヘヴィメタルとブラックメタルとしてのバランスが、なかなか面白いことになっているように思います。

楽曲自体は、キメを多用したり、ブラストで畳み掛けるだけでなく、ミッドテンポのパートも魅力的に聴かせる緩急の付いた展開を見せたりして、ヘヴィメタルとしてのドラマティックさも申し分なし。しかしギターリフに極端に耳に痛い音ではないにしろ、摺り込む様なノイジーさがあったり、ヴォーカルが憎々しさを込めて噛み潰すような絶叫を聴かせたり、ブラック特有のカルト性も同時に醸し出している感じ。このバランスが、個人的にはかなり耳に心地良かったり。それなりにメロディアスではあるものの、メロディをあからさまに押し出さないのも、この作風には合ってると思う。

あと何気に3曲目、6曲目の打ち込みやキーボードを使ったインストの雰囲気が好きなんですよね。凶悪なバンドサウンドのパートと異なり、こっちはジャケのシックで暗黒なイメージに合ってると思う。ただ、6曲入りでうち2曲がインスト、トータル演奏時間が約25分という、フルアルバムとしてはやや少ないボリュームに若干物足りなさを覚えるかもしれません。それを考慮しても、良盤だとは思います。


NON OPUS DEI - Eternal Circle ★★★ (2011-04-01 22:23:24)

2010年発表の6th。

ブルータルデス並の暴虐性とテンションで突っ走るブラックという事で、デス方向に家事を切ってからのBEHEMOTHを思わせる音ですね。アコギや中近東メロディの演出を絡めるBEHEMOTHと比較すると、こっちはより暴虐パートに的を絞ったような内容。良質のプロダクションで、太い音ながらジリジリした音色のリフ、ハイピッチ・ハイテンションで喚きまくるヴォーカルなど、よりブラックらしい音で、ウォーブラックやファストブラック好きにもお勧めできそう。

ただ、一般的なウォーブラックやファストブラックよりも、メロディに毒が効いているのが特徴ですね。この哲学的思索に耽り過ぎて自家中毒起こしたような混沌としたメロディは、僅かにDEATHSPELL OMEGAの影がよぎった様にも感じられたり。ただでさえ混沌が渦巻いているような音塊なのに、それが不吉なメロディで撹拌され、更にカオスと化してしまってます。

しかし、この作品はケースが凝ってますね…ペーパースリーブはCDに傷が付きやすいので正直好きじゃないんですが、歌詞カードが紐で綴じられてたりケースに干し草が挟まってたり、なんか凄くお金が掛かっていそう(笑)。


NONEXISTENCE ★★ (2013-08-04 19:13:28)

オーストリア産独りブラック/ドゥーム/デス。
今年Candlelightより2作目のアルバムを発表。


NONEXISTENCE - Antarctica ★★ (2013-08-04 19:14:11)

2013年発表の2nd。

しっかりとしたヘヴィさを醸し出す、引き摺るような音色のギターリフが音の壁を作り出しつつ、そこにキーボードやリードギター等が悲哀に満ちたメロディを丁寧に紡ぎ上げる作風で、どちらかというと純正のブラックよりはSWALLOW THE SUN辺りのデス要素強いゴシック・ドゥームに近い音でしょうか。そこにアトモスフェリック/シンフォニック/メロディックの各種ブラックメタルのテイストを加味したような感じですね。

ブラストパートも一応ありますが、基本はミディアムテンポ中心で、メロディの流れに沿って楽曲が構築されているような展開を見せる作品。このメロディが何気にかなり良いんですよね。ゴシック的な悲哀に満ちた耽美さと、気品に満ちている感じで単にメロウなだけじゃないのが素晴らしい。この手の音ではヴォーカルのクリーンの頻度が低く、低音咆哮中心なのも楽曲のいかめしいような雰囲気を引き立てていて良いですね。

良くも悪くも、独りブラックにありがちなマニアックさはなく、上質というかどこか上品さを感じさせる音。アトモスフェリックブラックでも情景をひたすら描く抽象的な音ではなく、硬質で芯のある音を求める人にお勧め。


NONTINUUM ★★ (2013-06-20 22:24:54)

オーストラリア産ディプレッシブ/ポストブラック。
鬱ブラックを多く輩出した事で有名な韓国のレーベル、Misanthropic ArtよりEPをリリース後、自主制作で1枚目のアルバムを発表したものの現在は解散してしまった模様。


NONTINUUM - Dwelling in Oceans ★★ (2013-06-20 22:27:29)

2010年発表の4曲入りEP。
と言っても演奏時間は30分近くありボリュームもなかなか。

出ているレーベル、海をモチーフに使ったジャケットや楽曲名などから大体の予想が付く通り、鬱ブラックのスタイルとシューゲイザー的儚さを融合させたような、アンビエント要素の強いポストブラック。トレモロリフを多用し、儚げなメロディを繊細なノイズ質に乗せて美しい情景を描きつつ、ゆったりと展開していく作風。ヴォーカルが変に裏返ったような滑稽な叫びではなく、ガチの歪み切った絶叫なのも個人的には好感触。

似た系統のシューゲイザー・ブラックと比較しても、例えばブラストでの疾走を取り入れたりといったドラマ性もなく、ひたすら淡々と情景を描くことに徹している分、やや作風としてはマニアックと言えるかもしれません。ただ、この徹底振りが、意識が緩やかに海の中を揺蕩うような、意識下に働きかけてくるような雰囲気を醸し出しているんですよね。「生命の神秘」みたいな言葉を思い出しました(笑)。

名前が似ているKONTINUUM辺りと比べても、大分マニアックで人を選ぶ作風だと思います…が、聴きづらい音ではなく波長が合うかどうかなので、ジャケを見てピンと来たら試してみてもいいかも。


NORDJEVEL - Nordjevel ★★★ (2016-03-19 16:44:47)

2015年発表の1st。
MARDUKの現ドラマーを務めるFredrik氏らの参加するバンドのデビュー作という事で話題になってましたが、試聴してかなり良さそうだったので購入。ちなみにその他のメンバーも元RAGNAROKだったり、TVANGESTEにも参加していたり、思いっきりブラック人脈。

内容としては、ごくごくストレートなファスト/メロディックブラックという感じで、一般のメタラーが「ブラックメタル」と聴いて想像する音からそう離れたものではないと思います。Fredrikの暴虐なだけではない、タイトに楽曲を締めるドラミングと、ブラック特有の土着的な叙情性、ブリザードめいた寒々しさを練りこんだリフをメインに聴かせつつ、時にパンキッシュな炸裂感を感じさせたり、土着的メロディを押し出しエピックに展開したり、決して一本調子ではない作風。

ドラムやリフのフレーズをがっつり聴かせつつ、音圧もあるプロダクションといい、ガラガラした声色の、声量も申し分の無い声でがなり立てるヴォーカルといい、総じてクオリティは非常に高い印象で、面子に惹かれて買ったとしても損はしないでしょう。ただ、個人的にはプロダクションは少しギターの音圧高過ぎな気も。DARK FUNERALの「Diabolis Interium」は丁度良かったのに、次作の「Attera Totus Sanctus」で音が硬質になりすぎてうるさく感じてしまったときと似た感覚を覚えてしまったというか…。

とはいえ、この手のファストさとメロウさの噛み合ったブラック、MARDUKやDARK FUNERALなどが好きであれば、まず楽しめる作品ではあると思います。


NORDVARGR - The Betrayal of Light (nordvargr / Drakh) ★★ (2009-02-22 22:07:00)

Drakhとのコラボアルバム。2008年作品。
…と言っても、NordvargrもDrakhもMZ.412のメンバーですけどね。

面子から想像出来る通り、MZ.412と同路線のダークアンビエント。MZ.412の「Infernal Affairs」がメタル的な手法はほぼ無かったのに対し、こっちはアコギが使用されていたり、辛うじてドローン的な、歪んだリフらしきものがあったりしますね。それらを持続音やSEなどを絡め、丁寧に層を重ねて、音像を作り上げていく作風。音作りの上手さは言うまでもなく、周りの景色を呑み込む闇がそこにあるように、リアルに感じられます。

MZ.412がブラックメタルに通じる暗黒な雰囲気をひたすらに描いていたのに対し、こっちは浮遊感も感じられ、よりアートっぽい感じ。個人的にはどこか宇宙っぽい情景も浮かぶんですよね…。不毛の惑星に取り残された宇宙飛行士がいたとして、彼の精神が静かに閉じていく様子を音で描いたらこんな感じかもしれません。そんな狂気が、心地良く心に沁み込んでくる音。

同年に出たVARGR名義での新作が狂気が噴出しまくってた作品だったのに対し、こっちは静かに蝕むような狂気が感じられますね。根深さではVARGR以上かもしれません。暗黒音楽好きに安らぎを与える音としては極上だと思います。


NORTHDARK ★★ (2012-09-22 03:18:09)

ロシア産ブラックメタルバンド。
これまでに4枚のアルバムをリリースしていますが、中心人物のD氏が自殺で亡くなったため、バンドは解散してしまった模様。


NORTHDARK - Toward the Emptiness ★★ (2012-09-22 03:19:03)

2007年発表の1st。

この作品、様式自体はプリミティブブラックのそれを踏襲してる感じなんですが、メロディの使い方がカオスでカルトで非常にかっこいいです。メロ自体は正統派メタルのかっこよさ、もしくはペイガンの勇壮さを感じさせるものなんですが…疾走パートではそれを早回しして剃刀の嵐に叩き込まれるかのような、かなりイカれた感じになっていて非常に邪悪。スピーカーで聴くとコンポに悪霊が憑依したようにも聴こえる。

また、ヴォーカルも悲痛というか、怨念篭もってる感じで良いですね。割れまくりの、怨嗟と怒気を多分に孕んだ怒鳴り声。いわゆる怒号系ですが、野太いだけでなく、負の感情がたっぷり入っている感じが素晴らしい。プリミティブ系としては割と展開を重視した作風なんですが、イカれた部分と叙情的でかっこいい部分が適度にあって、カルトながらカルトすぎて自己満足にならない、マニア向け音楽としての質の高さがありますね。

怒りや恨みに満ちた精神状態を、そのまま音楽にパッケージして届けたような作品。剥き出しの邪悪さに、この手の音楽が好きであればきっと共感できるはず。


NORTHERN PLAGUE - Manifesto ★★★ (2015-02-05 12:21:10)

2014年発表の1st。

端的に言ってしまえば、デスメタルの獰猛な攻撃性と、ブラックメタルの邪悪な雰囲気を掛け合わせたエクストリームメタルで、特にポーランドではBEHEMOTHやHATEなどを始め、似た音楽性のバンドは少なくないのですが…個人的には、その中でも一際目を引くような作品だと思います。

この手のバンドって、どうしても曲が一本調子になってしまいがちなんですが、このバンドはギターワークやリズムワークに結構変化を付けていて、それによってアルバムを通じてインテンスな雰囲気を保てているように思います。メロデスにも通じる、高揚感を煽るリフ、トレモロを交えて弾きまくるリードギター、ミディアムでダイナミックなグルーヴを感じさせるリズムパターンなど、この手のデスが根底にあるブラックが、余り取り入れない要素も積極的に取り入れているのが良いんですよね。それでいて好戦的な暴虐さは全く引けを取らないのが素晴らしい。色々消化しつつ獰猛そのものの音。

個人的な印象としては、BEHEMOTHとKEEP OF KALESSIN辺りの中間くらいの作風という感じなんですよね。それらバンドを引き合いに出したいくらい、メジャー感だったり、他に埋没しない楽曲の良さがある作品だと思う。デス要素強いブラックが好きでしたら是非。


NORTT ★★ (2006-05-21 20:36:00)

デンマーク産ブラック/フューネラルドゥームメタルバンド。
ドゥームのCDって初めて買いましたが、これは凄いですね。
単調で長いのに、そこに込められた怨念に惹き付けられてしまう…


NORTT - Ligfaerd ★★★ (2006-05-21 20:32:00)

2005年発表の2nd。
私はドゥームって今までVAで聴いたくらいなので全く詳しくないんですが、これを聴いて、「こんな世界があったのか!!」と驚きました。

自身ではその音楽性を「ピュア・ディプレッシブ・ブラック・フューネラル・ドゥーム・メタル」と形容している通り、鬱を通り越して絶望の域に踏み込んでいるような、めっちゃ暗くて遅い、破滅的な音楽を演っています。まずリズムはドゥームなので当然遅く、しかも一打一打にエコーが掛かり闇に飲み込まれていくような雰囲気を醸し出しています。

リフはほぼメロディがなく、ノイズを引きずっているようなものを弾いていますが、ところどころキーボードやギターによるメロディもあり。ただそのメロディは流石自ら「ディプレッシブ」というだけあって非常に暗く、本当に黄泉の国だとかそういうイメージ。そこにヴォーカルのデスヴォイスが乗ると、正に破滅した世界で、殆どの人は死に絶え、生き残った人々も疫病に苦しんでいる…みたいな情景が浮かんできます。

そのヴォーカルの声もガラガラに枯れた獣のようながなり声で、ミックスのせいもあってまるで闇からの呼び声のよう。この声がオケの鬱・哀しみ・絶望といった雰囲気に加え、恐怖感をプラスしている感じですね。静寂からドラム&ノイジーなリフがガーンと入り、そこに「グアアアアアア!!」と絶叫が被さってくるともうなんだか嬉しくなってしまいます(笑)

ドゥームはVAで聴いてちょっと気になっていて、取りあえずブラック色が強いらしく評判も良いこのバンドの音源を買ってみましたが、大当たりでした。この雰囲気作りは本当に素晴らしい…鬱や絶望感を醸し出す音楽が好きな人は是非。これは浸れますよ。


NORTT - Ligfaerd - Tilforn Tid ★★★ (2006-06-10 20:36:21)

この雰囲気…まるで肉食獣が住む洞窟の奥深く迷い込んだみたい。
獣の咆哮が闇から轟き、ギターの物悲しい旋律がもはや死は避け得ないと暗に示しているのであった…みたいな曲。


NORTT - Ligfaerd - Vanhellig ★★★ (2006-06-10 20:33:20)

これ、普段から気持ちを抑える事が多く、鬱憤が溜まってる人が聴いたら犯罪をしでかしてしまうのでは…(笑)。まぁそこまでは流石にないかと思いますが、自らの心の闇と向き合う事を強要するかのようなダークさです。


NOSTALGIE ★★ (2014-06-19 22:56:07)

カナダのAbleben氏を中心に、アメリカのA. Morbid氏(HAPPY DAYS, PRETEEN DEATHFUK等)、フランスのLord Lokhraed氏(NOCTURNAL DEPRESSION等)らによって結成された、様々な国籍のミュージシャンが集まった鬱ブラック。現在ではメンバー構成がかなり変わり、BLACK HATEやLUPUS NOCTURNUSなどでの活動でも馴染み深い、メキシコのB. G Ikanunnaらが在籍している模様。


NOSTALGIE - As Life Disappears ★★ (2014-06-19 22:58:17)

2011年発表の4曲入りEP。
と言っても1曲が長めで、約30分とEPとしてはボリュームは割と多めですね。

関連バンドに名うての鬱ブラックバンドが名を連ねていることからも分かる通り、このバンドもその流れを汲む作風ですね。遅めのテンポとノイジーな音作りで精神を侵食しようとする構成、ガラガラに歪み切り、凄みを感じさせるがなり声を聴かせるヴォーカルと、鬱ブラックの様式を踏襲した音で、ノスタルジー通り越して絶望感すら漂っている感じ。

ただこの作品、絶望感だけでなく、ポストブラックのバンドが持つような神秘性や儚さも同時に感じさせるんですよね。例えば敢えて歪みの少ない音でトレモロを奏で、鈴の音のような非日常性を感じさせる音色を演出したり、若干ブルージーに感じるような渋めのメロディがあったり、メロウさを演出するのにかなり工夫している印象。このトレモロとアルペジオの組み合わせがなかなか神秘的で良い感じです。

鬱系ですけど、自己満足的なマニアックさはあまり無く、神秘的で非日常的な世界観を上手く演出出来ている作品。この手が好きであれば買っても損はないかと。


NOVAE MILITIAE - Affliction of the Divine ★★ (2014-08-03 00:12:35)

2011年発表の1st。

最早ブラックメタル界隈ではDEATHSPELL OMEGAはひとかどの存在になっているせいか、「DSOに通じる作風」とか「DSO好きにお勧め」とか書くと、それだけで宗教的な邪悪さがあり、カオティックさ、アーティスティックさ、前衛性、文化性など、単なる邪悪さ以上の何かも備えたブラック…というのが概ね伝わるので、音源を探したい側としては助かりますね(笑)。このバンドも、そんな感じの売り文句に釣られて買ってしまいました。現時点ではメンバーの写真や名前等の情報を公開していない辺り、バンド側も意識しているのかもしれませんね。

この作品はDSOで例えるなら、まだプリミティブ・ブラックとしての側面を残していた「Si~」アルバムと近い雰囲気を持っているように思います。ただキリスト教が根付いていない日本人には完全には理解できそうにない世界観、プリブラベースとしては最高峰のドラマ性を演出し、描写が丁寧だった「Si~」と比較すると、こちらはノイジーなリフの音色の凄みで力押しするような部分が多く、そこを衝動的で良いと好意的に捉えるか、大味と捉えるかで評価が変わってくるかもしれません。ジャケットのイラスト通りの、赤黒く血腥い音は、DSOよりも生々しい凶暴性に特化しているという印象。

ただ、折角ダイレクトに伝わるような血腥さを演出できているのに、ありがちなノイズ・アンビエントに尺を割いていて、若干ダレるのが勿体ないんですよね。ドス黒さに覆われた中、酸化した血液の饐えた匂いが漂ってくるようなカルトな雰囲気は好きなんですが。悪くはないですけど、若干マニア向けという気もします。


NOX INFERI - ADVERSE SPHERES ★★ (2010-04-18 09:50:00)

2008年発表の1st。

あからさまなノイジーさではなく、うっすらと覆い被さるようなギターの歪みと、厚みのある、空間系のキーボードが混ざり合い、ゆったりとしたテンポの中で立体的なアトモスフェアを醸成する、アンビエント/ディプレッシブブラック。ヴォーカルがこの手に良くあるタイプの泣き叫び系ではなく、妙な生々しさを感じさせる中~低音域のがなり声なのも特徴ですね。

この作品、数あるアトモスフェリックな鬱ブラックの中でも、ギターノイズとキーボードの一体感に優れた音像を提供していると思う。単に絶望的・ダークなだけではなく、どこかクラシカルな上品さも持ち合わせているメロディとも相まって、包容力のある作品に仕上がっている感じ。…映画の主人公が死ぬシーンを、海に沈む太陽で暗喩するとして、そういう場面のバックで流しても合いそうな音。「人生の斜陽」的な(笑)。

ダークなメランコリックさの中に、上品さや儚さも内包した音で、アンビエント/ディプレッシブ系が好きな方以外にも、シューゲイザー系好きな方にも推薦。最近、何気にこの手のバンドで良いの多いなぁ…。


NOX INFERI - ADVERSE SPHERES - Ⅳ ★★★ (2010-04-18 09:52:10)

全体的に世界観が統一された作風ですが、敢えて1曲選ぶとしたら4曲目。
木管楽器にも通じる上品な音色のキーボードと、薄いギターノイズのハーモニーが特に素晴らしい。ミニマルで繰り返しの多い音ですが、これなら何時までも聴いていたい気分になれます。


NRCSSST - Schizophrenic Art ★★★ (2016-09-11 11:07:51)

2015年発表の1st。

SVARTTHRONやPERGALEなど、精神的なヤバさを感じさせるリトアニア出身(現在はドイツに籍を置いている)というプロフィール、「精神分裂症のアート」というアルバムタイトルから、何やら病的で難解な作風を想像してしまいますが…実はシューゲイザー寄りのブラックとしては真っ当過ぎるくらいに真っ当な作品で逆に驚きました。このサブジャンルを初めて聴くにも適してると言えるくらいに分かりやすい音。

儚くて感情に訴えかけてくるトレモロリフとノイジーに歪んだ音像、鬱感情を加速させる絶叫の組み合わせはこの手の王道とも言える音ですが、描いている情景が抽象的な割に、メロディやフレーズなどをはっきり聴かせる作風なんですよね。清浄な中に、時折メランコリックで病的さも垣間見せるメロディ、ブラスト一辺倒でなく、ロック調のタイトなリズムも用いる展開など、語弊を恐れずにいえば聴きやすい音。ヴォーカルパートの殆どを占める絶叫が、やや線は細いもののちょっとIhsahn似の叫び声なのも良いですね。

MaaとZero Dimensionalという日本のレーベルからの共同リリース作品ですが、やはり目の付け所が良いですよね。今作もレーベルを信用して買って良かったな…と思える作品でした。


NUIT NOIRE ★★ (2007-11-17 17:13:00)

フランスのブラックメタル/フェアリカル(妖精的?)ブラスティングパンク。
このバンドも結構前から評判になってますが、噂以上にスゴい。
どう凄いかは是非自分の耳で確かめてみる事をお勧めします(笑)


NUIT NOIRE - Fantomatic Plenitude ★★ (2007-11-17 17:12:00)

おそらく2007年発表の3rd。
これは(ある意味)凄い(笑)!!
最初聴いた時笑いすぎで喉痛くなりましたもん。

曲の方は、プリブラ的な重さの無い音質やトレモロリフ、ブラストビートも絡めた疾走するリズムなんかはブラックメタルっぽいですが、メロディが明るめで軽い音質とも相まってパンキッシュな軽快さも感じられるサウンドで、これだけなら独特でかっこいいんですが…。あまりにもヘンなヴォーカルスタイルのせいで唯一無二の個性が確立されてしまってます(笑)

例えるなら…そこら辺の中学生にクレヨンしんちゃんの「野原しんのすけ」の物真似をさせつつ音程を無視して歌ってもらったら近いのではないでしょうか。もしくはカラオケで音痴な人をおだててたらその気になって、酒の力とも相まって本気で歌いだした…みたいな感じです(笑)。
普通下手なヴォーカルって耳障りなんですが、この人の場合突き抜けすぎてて「耳障り」に感じる領域を遥かに通り越してる感じ。ただ、時折悲痛でかっこいい絶叫を入れてくる辺り、わざとこういうヘンな歌い方をしてるんでしょう。

上ではネタっぽく書きましたが、冗談ではすまされないかっこよさや個性があるのも事実。聴き手を選びまくりますが、変わった物が聴きたい方にはお勧め。私は一発で気に入りました(笑)


NUIT NOIRE - Fantomatic Plenitude - I Am a Fairy ★★ (2007-11-22 15:33:35)

このタイトルからも分かるように、このバンドは妖精的な物をテーマにする事が多いみたいですが…妖精を見るのに、なにか信仰や神通力以外の別のブツの力を借りてるんじゃないでしょうか(笑)そんなラリラリな歌いっぷりです。


NUIT NOIRE - Fantomatic Plenitude - Les fées volent dans la nuit ★★★ (2007-11-20 00:04:54)

れっふぃーぼらどーんらにゅい♪
れっふぃーぼらどーんらにゅい♪
れっふぃーぼらどーんらにゅい♪
…えもねぺーえぶりあーーーーん!!!!
…最高(笑)とても電車の中では聴けません。
ツインヴォーカルが意味を成してないのも凄い。
にゅいーーーー!!!


NULLINGROOTS - Take Care ★★★ (2016-06-26 12:53:12)

2016年発表の3rd。
日本のMaa Productionsからのリリースという事で注目してる方も多いのでは。

ブラックメタルの攻撃性と、シューゲイザーの儚いメロディを混合した、いわゆる「ブラックゲイズ」と呼ばれるような音ですが…その両要素の配分がかなり好み。ノイジーさによりアブストラクトな光景を演出しつつも、バンドの音としての魅力もちゃんと感じさせるプロダクション、弱々しさを全く感じさせない絶叫、疾走パート多めながらメリハリの付いた展開など、メタルの魅力をしっかり演出した上で、儚く悲しげなメロディを全編に大胆に取り入れているのが素晴らしい。

ホントにこのバランスが、生と死の境界を彷徨っているような印象を与えるんですよね。ブラックメタル由来の攻撃性は生への執着だったり人生への悔恨から来る無念さ、儚いメロディや非日常的な音像が演出するのは幽世の光景がほの見えている…そんな感じの音。この手はアトモス系に理解がないと展開が退屈な作品も多いですが、ブラックのインテンスさと儚いメロディが交錯するバンドパートは言わずもがな、薄いトレモロを流したり低音のキーが絶望感を演出したりなど、「静」のパートでも工夫が凝らされており、この手の音にそんなに馴染みが無い人にもアピール出来るドラマ性があるように思います。メロディそれ自体の劇的さもありますし。

ぶっちゃけシューゲイザー要素のあるブラックってリリースされすぎだと思いますが…玉石混交の中にあって存在感を放つ逸品だと思います。流石はMaa Productions…。


NUMEN - Numen ★★★ (2012-04-11 22:15:09)

2007年発表の3rd。
フクロウをあしらったバンドロゴがなんだか可愛らしいですね(笑)。

ショップでは、アコギなども取り入れた、フォーキッシュさもあるスペイン産のメロディック・ブラック…という感じで紹介されていた事と、ジャケットの雰囲気からはアトモスフェリックで叙情的なサウンドを予想してしましたが…そういう心構えで聴くと、まず冒頭からしてあっけに取られますね(笑)。一体何なんでしょう、このファストブラック顔負けの、猛然としたテンションの爆走は…初っ端からもうヤケクソとしか思えない飛ばしっぷり。

トレモロリフに込められたメロディは、それだけを取ってみればフォーク/ペイガン系の土着的な叙情性・幽玄さを感じさせるものではありますね…ただ、聴かせる箇所ではがっつりメロディを前に出して聴かせる作風のせいで、却って攻撃的に聴こえます。ヴォーカルの絶叫もかなり強烈で、叙情性は高いながらかなり凶悪な音。ラストの曲ではシューゲイザー系ブラック好きにも受けそうな、高音域のトレモロを活用した儚く美しいパートを経て、アコギ・フルートを用いたアコースティックパートで締める展開があったり、攻撃的でありながらエピックな部分も両立させているのも素晴らしい。

例えば同じメロブラでも、NAGLFARやGRAVEWORMなどのメジャーなバンドの方が、音楽的な完成度が高いというか一般的な評価を得られるであろうサウンドだとは思うんですが、個人的にはこういう暴れん坊な感じの作風もかなり好きですね。ハイテンションで質も高いメロブラですので、気になった方は是非。


NUMENOR - Colossal Darkness ★★ (2014-09-05 00:45:59)

2013年発表の1st。

シンフォニックなキーボードによる、ヴァイキングメタルにも通じるスケールの大きい華美なクサメロが、大仰なドラマ性を演出するエピックでメロディックなブラック。バンド名は指輪物語の中の五芒星の形をした島の名前から取ったらしく、ヴァイキングメタルそのものと比較すると、メロディは土着性よりもファンタジックな傾向が強い感じがします。

特筆すべきはそのファンタジックなメロディで、インスト明けの2曲目イントロのシンフォ具合から既に悶絶。そしてサビでクリーンに歌い上げられる、これまた大袈裟なメロディにまた悶絶。そもそも、この曲の「ジ・エターナル・チャンピオン」という曲名からしてクサいです(笑)。攻撃性もある程度備えており、暴虐な疾走と持ち前のクッサクサなメロディが絡む「Chronomancer」はアルバム随一の名曲。

ギターワークはどちらかというとメロデスに近く、リードフレーズやギターソロもキーボードに負けじとクサいです。ただ、ブラックとしてみるとリフに色気が足りない気がするんですよね…。特にキーボードが大仰なメロディを奏でたり、泣きのギターソロが入ったりしていないパートは、「なんでここでクサトレモロ来ないんだろう…」って感じで、結構不満も。

まあ、そう感じるのは私がトレモロリフフェチだからで、基本的には音もクリアですし、聴きやすい音かと。ファンタジックでクサいメロディが好きで、メロデスも行けるシンフォニック・ブラックファンであれば是非。


NUMINOUS - Numinous ★★★ (2012-08-26 06:45:52)

2011年発表の1st。

数多くの良質なプリミティブ・ブラックの音源を世に送り出しているレーベル、Northern Heritageからのデビューアルバムとのことですが、またもや素晴らしいバンドを見出してきましたね…。
路線的には、ツタツタ2ビートで疾走するパートを中心に据えた展開といい、高音域のノイジーさを強調した、目の粗いプロダクションといい、典型的なプリミティブ・ブラックのスタイルを踏襲したものですが…リフやメロディ、音作りにしろ、このジャンルの中でも邪悪さや不穏なムードに特化したような作風が特徴。

不協的なリフにより、漫画等で主人公が猜疑心に囚われ、景色が歪んで溶け出していくシーンを連想するような、ドロドロした空気感を醸し出し、そこに闇が世界を覆い尽くしていくような、スケールの大きいどす黒さを感じさせるメロディをトレモロで挿入していくスタイル。ヴォーカルが低音がなりで、尚且つ埋もれがちなプロダクションになっているのも、深淵から呪詛が響き渡っているかのようで、邪悪なムード作りに一役買ってますね。プリブラの様式を踏襲しながら、緩急やメロディの濃淡でしっかりドラマ性を演出しているし、曲の質も非常に高いと思う。

一応フルアルバム扱いながら、1曲目のオープニングを除けば4曲で約30分という演奏時間の短さこそ残念ですが、これはNorthern Heritageのリリースの中でもトップクラスに素晴らしい作品だと思う。邪悪過ぎて逆にどこか厳かさすら漂っているような、ブラック特有のカルトな雰囲気に満ちた作品ですので、プリブラが行ける方には是非聴いて欲しい所。かなりお勧めです。


NUNFUCKRITUAL ★★ (2012-03-07 20:48:57)

NUCLEAR ASSAULTのDan Lilker氏やNIDINGIR、THE KONSORTIUMのメンバーであり、MAYHEMや1349のライブメンバーも務めるTeloch氏の参加するブラックメタルバンド。昨年Debemur Mortiより一枚目のアルバムをリリースしています。


NUNFUCKRITUAL - In Bondage to the Serpent ★★★ (2012-03-07 20:54:25)

2011年発表の1st。
MAYHEMのAttilaもゲスト参加。

重く纏わり付くようなベースと、ノイジーに引き摺るギターリフが聴き手の視界をどす黒く染め上げるような、スラッジ/ドゥーム色も強い激重なブラックメタル。この黒々しくて質量感を伴う音像、ただ単に物理的に重いというだけでなく、禍々しい儀式が厳かに進行していき、魔や邪が吸い寄せられていくような、非常に邪悪なムードも醸し出しているんですよね。

ブラックらしい神秘的なキーボード、邪悪なトレモロも時折入りますが…この重々しい音の中では実に良く映えてると思う。1曲目では敢えてそうした要素を抑え、スラッジ色を前面に出している構成も、儀式の昏い狂熱の高まりによって次第にトランスし、超自然的で邪悪な何かとの邂逅を果たした…みたいな感じがして良いと思う。…まあ全体像を知った今でこそそういう感想になりますが、初めて聴いたときは危うく一曲目でブラック色が弱い事に不満を覚えかけましたが(笑)。

エクストリームメタル界では有名なメンバーが参加してますが、そのネームヴァリュー以上に良いアルバムだと思う。単純にこの激重な音が気持ちよかったりもしますし、ブラック特有の邪悪さ、神秘性もばっちり兼ね備えてますので、かなりお勧めです。


NURSE WITH WOUND - Homotopy to Marie ★★ (2008-10-13 09:54:00)

82年発表の5thアルバム。
80年代の作品にしては音が凄く鮮明なので、リマスター盤かもしれません。
SUNN O)))の「00 Void」の日本盤ボーナスでのリミックスで名前を知り、
「傷を伴う看護」との矛盾した意味を持つアーティスト名に並々ならぬセンスを感じて、
音源の方も買ってみたという訳なんですが…
ノイズ、サンプリング、コラージュを駆使して情景を描き出してゆく前衛的な音楽という
感じですが、この不条理通り越して超現実的な世界に入り込んでるような音は、
初期WHENよりも「恐い音楽」として上かもしれません。同じシュールレアリスムでも
絵画などと違って、全体像を見るためには一時間以上を付き合わざるを得ず、必然的に
この世界を体験せざるを得ないというある意味恐ろしい作品(笑)。聴いてると何が
「良い音楽なのか」の価値観が揺らいでいきそうな感じ。
当然ながら音楽的にはメタルの要素はありませんが、1曲目の悲鳴や呻き声による奇怪な
ヴォイスアンサンブルはSTALAGGHの精神病患者の叫びのサンプリングに、2曲目の金物の
残響音を加工して聴かせる部分はSUNN O)))やEARTHのドローンリフに通じる物があるし、
感性の面ではかなりメタルに通じる物があると思います。
ただ、一部に他のパートと比べてノイズやサンプリングの音量が大きく、聴きづらい箇所が
あるのは好きになれないかも…。ノイズ系ブラックは好きだけど、それは「ノイズを浴びるのが
心地良いから」「ノイズの中に見える情景が好きだから」であって、「聴きづらさ=過激さ
だから」ではないので…。個人的には、耳への圧迫感みたいな現実的な要素が、非現実的/
超現実的な風景を楽しむのに邪魔に感じられてしまう所も。
とは言え、こんな恐い音で耳に痛い箇所も(少しだけど)あるのに、つい長丁場を
聴き入ってしまうので魅力のある作品であることは間違いないでしょう。調べてみたら、
ノイズ/アヴァンギャルド界では名盤と謳われてるようですが…世界は広いですね(笑)。
SUNN O)))やSTALAGGH、WHENが全部行けてCold Meat Industryとかにも手を出してる
恐い音楽好きメタラーなら気に入ると思います。


NURSE WITH WOUND - Homotopy to Marie - I Cannot Feel You as the Dogs Are Laughing and I Am Blind (For 13 Throats) ★★★ (2008-10-16 21:46:23)

最初の音からして衝撃的なんですが…
機械で出来た軟体生物が絡み合って、共食いしているような音。こういう音を狙って作れるのも凄いけど、こういう音を頭の中で鳴らせてる時点で只者じゃないと思う。


NURSE WITH WOUND - Homotopy to Marie - The Schmürz (Unsullied by Suckling) ★★★ (2008-10-16 21:40:18)

少し耳に痛い箇所がありますが、これは面白いですね。
ピンボールが弾けるように音が連鎖していく箇所とか、聴いてて音の面白さに嫌でも惹き付けられてしまう…。ラストだけこれまでとはうって変わってメロディアスになるのも裏がありそうというかキッチュというか。


NURSE WITH WOUND - Homotopy to Marie - The Tumultuous Upsurge (of Lasting Hatred) (2008-10-16 21:42:38)

小人が「このやろ!このやろ!このやろ!」って言ってるように聞こえる…可愛い(笑)


NYDVIND - Sworn to the Elders ★★★ (2013-06-22 23:19:59)

2010年発表の2nd。

男臭い哀愁ペイガンメロディをこれでもかと練り込んだギターワークを武器に、ブラスト爆走やスラッシーな疾走も交えミッドテンポ中心で壮大、かつドラマ性たっぷりに展開していく、かなりヴァイキングメタルに寄ったメロディックブラックメタル…簡潔に言えばそんな感じの作風ですが、このバンド、本当にフランス産なんでしょうか…(笑)。
メロディの濃さといい展開の大仰さといい、北欧のバンドよりヴァイキングらしいヴァイキングなんですけど(笑)。曲タイトルも「North」「Nordic」と言った単語が散見されますし。むしろフランス人のフィルターを一回通している分、「ヴァイキングらしさ」が更に煮詰まって、色濃く反映されているのかもしれませんね。

もちろん濃厚なだけでなく、音作りのクオリティも高く、ギターリフの厚みのある重厚でタイトなプロダクションは楽曲の壮大なムードを更に助長してますし、デス声と朗々としたクリーンを使い分けるヴォーカルは個人的にかなり好み。…と言うのも、EMPERORの「Anthems~」期のIhsahnの威厳のある歌声を時々彷彿とさせるんですよね、このクリーンヴォーカル。良い声過ぎて聴き惚れる…。

そして楽曲そのものも実に素晴らしい。特に3曲目「To Enter the Realm of the Ravenlord」は男臭いギターメロとクリーンの掛け合いが余りにも濃厚、かつTAAKE辺りを思わせる土着哀愁メロが聴けるかなりの名曲。哀愁だけでなく、儚さも秘めたメロディが聴ける「Upon the Throne of North」、エピックな展開の「Nordic Dawn」、珍しく笛クサメロも登場する「Icewinds Unleashed」など、どの曲にも聴かせ所があって金太郎飴になってないのが良いですよね。「ヴァイキング流儀の叙情トレモロの横行するメロブラ」という縛りの中でしっかり曲を個性付け出来てるのは本当センス良いと思う。

ヴァイキング系でも例えばSVARTSOTやEQUILIBRIUMのような民族楽器や笛全開のものよりも、KAMPFARやHELRUNAR、NATTSOL辺りの、リフのメロディ重視のメロブラに近い音楽性のバンドが好みの方にお勧め。


NYSEIUS - Militiae ★★★ (2011-12-26 22:48:21)

2010年発表の1st。
SVARTI LOGHIN等のリリースで注目を集めるイタリアのレーベル、ATMFよりリリース。

…レーベルのCDを買うと同封されているバンド紹介文によると、「フランスのオーソドックスなブラックメタルで、WATAINやDEATHSPELL OMEGA、ANTAEUSが好きな人向け」とありますが…ブラックメタル好きならそのコメントからもう殆ど予想が付くような音ですね。北欧譲りの荒涼としたリフを中心に展開する、真性の香りがプンプンするブラックメタルで、ヴォーカルも中~高音の喚きスタイルながらどこかドスも聴いていて申し分なしの迫力。

基本は硬派かつストレートなブラックメタルなんですが、時折メロディ要素をがっつり前に出してくるのも特徴ですね。しかもそれが非常に効果的に使われていると思う。2曲目の2本のギターがトレモロでメロウなメロディを弾き、それをキーボードが引き取る構成や、3曲目の「悪のクラシック音楽」を奏でているが如き甘美な邪悪リフなど、印象に残るメロディが巧く使われることで、出音だけでなく曲そのもののクオリティが非常に高くなっている感じ。

WATAINや中期DSOの邪悪さに中期SATYRICONのドラマ性を足した感じ…というと褒め過ぎでしょうか。ただ、6曲入りで1、6曲目がインストのため、実質的にブラックメタルのパートは4曲32分弱と短めなのが惜しいですね。このクオリティの曲ならもっと聴いていたいと思いますもん。


NÉVOA - Re Un ★★★ (2017-08-20 12:09:28)

2016年発表の2nd。

ポルトガル産のアトモスフェリックブラック、2014年結成の比較的新しめのバンド…というくらいの前情報しかなかったんですが、これは相当良い作品ですよ…。近年のDEATHSPELL OMEGAがスピードや暴虐性でなく、ドゥーミーなミディアムと実験性を重視した感じというか、VIRUSが印象深い前衛性そのままに、ブラックユーモア的な部分を排して暗黒方面により深く傾倒した感じというか…その辺りの一流のバンドを比較対象にしたいくらい、記憶に刻む力のある作品。流石名門Avangarde Musicから出てるだけの事はあります…。

ブラックメタルらしい不穏なリフでダークな情景を描いていくのが基本ではありますが、バンドサウンドやSE的な部分のアイデアの豊富さ、音作りの丁寧さが凄く特徴的。リフ捌きを軸としたバンドアンサンブルの前衛性なんかはDEATHSPELL OMEGA辺りと通じるものがあり、ブラックのテンプレ的な音から積極的に逸脱しようとする意気込みが感じられる(しかもその結果印象を深く刻むことに成功している)し、導入部からして弦の擦れる音が儀式的な雰囲気を感じさせるなど、音作りも執念を感じるほど拘ってると思う。アトモス系でも稀有な、「超常的な何かが宿っている音」ではないでしょうか。

…ただ、一つ文句を付けるとしたなら、ブックレットがギュウギュウに詰まっていて取り出しづらい事でしょうか…無理矢理出そうとしたらデジパック歪んだし…。デジタルメインのリリースっぽいから仕方ないんでしょうか。ともかく、DEATHSPELL OMEGAやVIRUS、後期ALTAR OF PLAGUES、脱プリブラ期のNACHTMYSTIUMなど、前衛性と暗黒な雰囲気を兼ね備えたブラックが好きであれば聴いて損はないと思います。素晴らしいです。


OAKHELM - Echtra ★★ (2012-05-03 09:04:06)

2011年発表の1st。

CDのプレイボタンを押すと、なんの前触れもなく始まる展開が非常に男らしくて良いですね(笑)。メロデス方向に行く前のDISSECTIONや、THULCANDRA、ISTAPP辺りを思わせる、吹き荒ぶような身を切るメロウさのあるリフを武器に、ドラマティックに展開していくメロディック・ブラックで、とてもアメリカ産とは思えない音。音を聴いて北欧のバンドだと思い込んでたので、結構驚きましたね…。

上記のバンドと比較すると、ヴォーカルがダミ声気味のデスだったり、朗々と低音で歌い上げるパートがあったり、ヴァイオリンやアコーディオンを取り入れた、フォーキッシュなメロが出てきたり、ペイガン色も強い感じ。ギターワークも、邪悪さよりも土着的な「泣き」を強く感じさせるもので上記のバンド以上にメロディアスでメロウ。音質はメジャーバンドと比べると少し粗さを残してある感じで、甘過ぎない、荒涼感の強い音に仕上がってるのも良いですね。

5曲38分と割と大作主義の作品ですが、泣きの効いたメロディアスなギターワークを中心としたドラマティックな展開で、しっかり聴かせ切ってくれるかなりの良盤。メロいブラックが好きなら確実に楽しめるであろうアルバムです。


OATHEAN ★★ (2011-08-20 03:30:40)

韓国産シンフォブラック/メロディックデス。
以前はSAD LEGENDやSEEDのメンバーも在籍していた模様。


OATHEAN - Oathean ★★ (2011-08-20 03:33:21)

2010年発表の4th。

まず最初の、某韓国ドラマで見たような宮殿が、闇の中に浮かび上がるような情景が浮かぶシンフォニックなインストから「来た!」と思いました…が、本編の方は意外にもキーボードよりもリフで押すタイプの、メロデスに近い音で驚きました。まるで剃刀混じりのメイルシュトロームに巻き込まれるかのような、刻み倒すリフで超ハイテンションに疾走するパートは、デスラッシュ的とも言えるかも。イントロを聴いた時点で予想された音楽性とは違いますが、これはこれで実にかっこいい。

曲を引っ張るのはあくまでリフなんですが、時折SAD LEGENDにも通じる大仰なメロディが出てきたり、アジアのバンド特有の霊的なパワーを感じさせる、こぶし入りまくりのクリーンヴォーカルや女性クワイアが出てきて、「アジアのシンフォブラックバンドらしさ」もしっかり演出してくれるのが嬉しいですね。リフとリズムの絡みは怒涛のテンションですが、それだけで押さず、展開美や旋律美にもこだわっているのが素晴らしい。

まあ、1つ注文を付けるなら、こぶしクリーンや女性クワイアはもっとあからさまに取り入れても良かったように思います。特に前者はアジアっぽさがあって、バンドの特徴たる要素にもなりうると思う。ブラック的な邪悪さは希薄(というか、それを志向していない印象)なものの、音のクオリティの高さ、メロディの美しさなど一級品ですので、シンフォなメロデスが好きな方は是非。


OBITUARY - Darkest Day ★★ (2010-05-27 21:56:00)

2009年発表の8th。
彼らは「遅いデスメタル」として有名らしく、デスでブルータリティ偏重でないなら、
絶対リフが良いから評価高いんだろうなぁ…と期待して、取り敢えず目下の所新作を購入。
…評判通り、早歩きくらいの疾走パートは交えつつも、基本ミディアムで攻める作風ですが、
期待通りリフが…というか、リフとリズムの絡み具合が素晴らしいです。
時にドラムに絡みつくように、時に隙間を埋めるように粘着質な刻みリフが展開し、
リズムと一体となってグルーヴを生み出すアンサンブルは、スラッシュからの影響も強そう。
このアンサンブルだけで既に地獄の墓場みたいな雰囲気が漂ってますが、時折リフが
瘴気が現世まで漂ってくるような、広がりのあるものを弾いているのもツボなんですよね。
ただ、リフとリズムの絡みの瘴気っぷりに対し、ギターソロが少し綺麗に過ぎるきらいが
あるのと、ヴォーカルがスクリームしかしないDir en greyみたいな一本調子さなのは
多少気にかかるかも。もっとカオティックでドロドロしたソロが聴きたいし、ヴォーカルも
バリエーションを増やすか、(BEHEMOTHの)Nergalクラスの迫力は欲しい所。
個人的には、デスやブラックにはブルータリティと同じか、それ以上にリフワークの
素晴らしさを求めているので、この作品はかなり好みに合いました。
リフワークによって生み出される異形性、是非味わって欲しいです。


OBSCURA ★★ (2010-09-17 01:03:00)

ドイツ産テクニカル/プログレッシブ・デスメタルバンド。
既にTRIPTYKONやNILEと来日も果たしている、最近人気のバンドです。


OBSCURA - Cosmogenesis ★★ (2010-09-17 00:58:00)

2009年発表の2nd。
TRIPTYKONやNILEと共に来日、デビュー作でBEHEMOTHのカヴァーを演った(未聴)という
情報があったこと、つい最近までOCEANO(極悪デスコア)と混同してた(苦笑)ことから、最近の
BEHEMOTH系のブルータルなデスメタルだと勝手に思っていたんですが…
意外にもインテリジェントかつテクニカルで、フレーズやアンサンブルの構成など
CYNIC辺りから強い影響を受けていそうな路線。時折入る、儚げなクリーンヴォイスなんかも
モロに影響を受けてるポイントだと思う。
ただ、脳髄を侵すような印象的な6弦ベースのフレーズ、複雑なリズムチェンジを使用した構成、
デスの禍々しさやブラックの邪悪さではなく、プログレの深遠さの感じられるリフのメロディなど、
プログレッシブな要素も強いんですが、ブラストを多用した暴虐な音像、帯でも日本人好みと
言われている流麗なソロワーク等、分かりやすい部分も多いのが特徴。個人的に、CYNICって
聴いてると音の世界観にうっとりするんですが、こっちは単純に聴いてて心地良い。
グロウルとスクリームをしっかり使い分けるヴォーカルもなかなかだと思うし、TRIPTYKONや
NILEと並んでも見劣りしないだけのクオリティのある作品だと思う。欲を言えば、フレーズの
一つ一つは恐ろしくかっこいいんですが、それらを最大限に活かし、曲そのものを強烈に
印象付けるような楽曲の構成力が欲しい所。関連バンドのTHULCANDRAでもそうですが、
ジャンル生え抜きのかっこよさの音を出していながら、クラシックと呼べる名曲は未だ
作れていない感じ。相当難しいと思いますが、そこをクリアできれば、向かう所敵無しなのではないかと。
勝手に想像していた音とは全然違いましたが、聴き応え抜群な音で大満足。
変態系テクニカルデスでもANATAやCYNIC、!T.O.O.H.!辺りよりも大分聴き易い、入り易い音かと。


OBSCURA - Cosmogenesis - Cosmogenesis ★★★ (2010-09-17 01:02:03)

タイトルを連呼するパートや、間奏のソロパートなんかは神懸かり的と言っても過言ではないほどかっこいい。そこ以外も全体的に聴き応えがある。あとは構成を工夫する、起伏をつけるなどして、メロデス以上に曲そのものを印象付けられるようになれば完璧。プログレ性を保ちながらだと難しそうですが、是非頑張って欲しい。上手く行けばとんでもないものが出来そうだし。


OBSCURA - Cosmogenesis - The Anticosmic Overload ★★★ (2010-09-17 01:02:58)

初っ端からリフもリズムもアンサンブルも強烈で掴みはオッケー。
…しかし、この対訳者、どういうセンスなんだろう…「a circling wonder working band」を「巡る脅威的な頑張るバンド」って…壮大なはずの世界観が、何故かかわいらしいものに(笑)。しかし、「Aniticosmic」という概念をテーマにすること自体、こっちのバンドでもDISSECTION好きが滲み出てますね。


OBSCURE ANACHRONISM - Metanoia ★★ (2013-03-24 12:41:18)

2011年発表の2nd。
これはなかなかの良盤ではないでしょうか。

タイプとしてはトレモロリフに練り込んだ叙情性の強いメロディを武器に聴かせる、メロディックなブラックメタルという感じですが、フレーズの反復による陶酔感の演出と、緩急付けたドラマティックな構成の折衷を見事にこなしている感じで、バンドの持つ哲学を伝えるような濃密なムードと、聴き手を引き込むドラマ性を兼ね備えた作風に仕上がってるように思います。

疾走パートの苛烈さや地声交じりの、感情の入ったヴォーカルが醸し出す狂気的な部分は勿論ですが、個人的にはテンポを落として聴かせる箇所にこそより魅力を感じたり。深遠な空気は保ちつつも、トレモロのメロディに分かりやすい物悲しさや鬱感情が含まれているので、入っていきやすいんですよね。スローパートだけで言えば鬱ブラック的とも言えそう。

DISSECTIONの初期作がメロディアスなブラックメタルのスタイルを確立したとして、それをマッシブなどす黒さを強めるとWATAINに、ミニマルで儀式的な要素を強めるとこのバンドの音楽性になりそうな気がします。こだわりは感じさせつつ、小難しさはそれ程感じない、カルトなバンドの中では割と取っ付きやすい音ではないかと。


OBSCURO - Where Obscurity Dwells ★★ (2011-12-11 21:45:34)

2008年発表の1st。

スウェーデン産RAWブラック、しかもNoktu社長のレーベル(Drakker Productions)からリリースという時点で完全にリーチ掛かってますが(笑)、期待通りのカルト音源で大満足。路線は当然プリミティブブラックですが、極端な疾走やトレモロリフによるメロウさは敢えて抑え、淡々とした2ビート疾走をメインにした渋い作風なのがまたいいですね。

音質はMUTIILATIONの4th辺りを大分マイルドに整えたような、蟲の羽音系ノイズを多分に含むリフにRAWなドラムが絡む感じで、この音が摺り込むようなギターリフとよく合ってるんですよね。時々ダンジョンの奥底から聞こえてくるような、薄暗く湿ったメロディも出てきますが、この独特のジリジリ感と合わさると壊れかけたスピーカーから音が出てるような、妙に深い味わいのある音になっている気がします。

メロウ系のプリブラや、ドラマ性重視の作風のバンドと比べるとこのバンドはより(洗脳的な)聴覚上の快感を重視してる感じですね。「正しくカルト」な音源だと思う。一緒に買ってきたTODESSTOSSが「カルトの道すら外れたカルト」だったので、こういう作品を聴くとなんか安心してしまいます(笑)。プリブラ好きなら安心して心地良く聴ける音かと。


OBSEQUIAE ★★ (2013-10-30 22:36:26)

アメリカ産メロディック/アトモスフェリックブラック。
97年より活動し、デモ作品を数枚リリースしていたAUTUMNAL WINDSというバンドが前身。ちなみに中心人物のBlondel de Nesle氏はAZRAEL (US)に在籍していた人物です。


OBSEQUIAE - Suspended in the Brume of Eos ★★ (2013-10-30 22:37:36)

2011年発表の1st。
神秘的なジャケに心を惹かれて購入しましたが、ジャケ同様中身の方も個性的で良いですね。

タイプとしては、優美でメロディアスなギターフレーズを全編に配し、たおやかに進行していくアトモスフェリックで神秘性を感じさせるブラック。音質も音圧で攻めるようなヘヴィな音ではなく、メロディの繊細さを際立たせるようなクリアな音。ブラックらしい畳み掛ける疾走パートでもどこか優雅さを感じさせますね。音の美しさに反し、ヴォーカルは歪み切った絶叫なのも個人的には+なポイント。ダークだけど癒される作品。

ジャケのイラストそのままのような、美しくて神秘的なギターメロディが特徴のアルバムですが、アメリカ人がミステリアスな雰囲気を表現しようとすると、ちょっと和風っぽく聴こえる部分が出てくるのが個人的には面白いんですよね。特に4曲目の後半のメロディとか、聴いてて「忍者が出てきそうなメロディ」だと思いましたもん(笑)。もしくは江戸時代の権謀術数に満ちた城内のテーマソング(笑)。何気に、日本人の感性にフィットするメロディの路線かもしれません。

ダークで穏やかなムードは、人によってはブラックメタルらしさすら感じられないかもしれません。しかしメロディはかなり良いので、雰囲気のあるメロブラが好きなら聴いておいて損はないと思います。


OBSIDIAN KINGDOM - Mantiis ★★ (2015-02-17 10:38:51)

2012年発表の1st。
2014年にSeason of Mistから再発されています。

もうこれは、この音源に目を付け、再発してくれたSeason of Mistには惜しみなくGJを送りたいですね(笑)。ジャズやエレクトロニカ、アンビエントなどの要素を盛り込み、アヴァンギャルドな展開を見せるブラックメタルですが、洒落ていてメロウな雰囲気ばかりでなく、ブラックやゴシックを志向するバンドがこれら要素を取り入れたとき独特の、頽廃的・破滅的なムードが漂っているのが素晴らしいです。マイルドなクリーンヴォーカル、幽玄なキーボード等音色選びのセンスも抜群。

印象としては、「Memoirs」以降の、本格的にエレクトロニカ路線に移行していったTHE 3RD AND THE MORTALの世界観を、ブラックの様式で演っているような感じなんですよね。ほんとこの頽廃的で美しい世界観たまらないです。ただ、ジャズやエレクトロ要素の強い、比較的穏やかなパートに比べると、エクストリームメタルの攻撃性で攻めるようなパートに若干の物足りなさを覚えるのが、惜しいところでしょうか。個人的には攻撃的なパートにも他ジャンルの要素がバリバリ入っている方が好きなので。

販促コメントにはOPETHやPORCUPINE TREE、ULVERファンに推薦とありますが、それ以外にもTHE 3RD AND THE MORTALやIN VAINなど、頽廃的で美しい世界観を持っているバンドが好きな方にもお勧め。


OCEANO - Depths ★★ (2010-09-09 23:24:00)

2009年発表の1st。
正直、未だにデスメタルとデスコアの違いって良く分からないんですが…デスと比較すると、
おどろおどろしさよりも圧迫感、圧殺感を重視した激ヘヴィなリフ、ブラストも使用しつつ
ブルデスよりもミディアム~スローパートにも重きを置いた、へヴィネス重視のリズムなど、
他のサブジャンルと比べると確かにどこか違う感じはしますね。全体を貫く、ヤクザで極悪な
極道グルーヴがハードコアの流れを汲んでいるのかも。
既にかなり評判は高いようですが、このヴォーカルは素晴らしいですね…普通に憧れる。
臼を挽くようなガテラルと、高音のスクリームを使い分けるスタイルですが、どちらも
声量が凄まじい。特に低音のガテラルは、ここまでゴツく出せる人はなかなかいないと思う。
もう喉が筋肉で出来てるんじゃないかと思うような強靭さ。
人間じゃなくて、ゴーレムが歌ってるみたいな声。この声聴いてるだけで幸せ。
メタルコアを幾つか聴いて、「~コア」よりは普通に真性デスやブルデスを聴いた方がいいかも…と
思ってましたが、これは素晴らしいですね。エクストリームメタルの中でも、ヘヴィネスは随一だと思う。


OCTOBER FALLS - The Womb of Primordial Nature ★★★ (2009-03-18 22:08:00)

2008年発表の2nd。

フォーク/トラッドから、笛や民族楽器による楽しげなメロディではなく、アコギやトレモロリフ、リードギターによる悲哀の篭もったメロディを抽出し、メタルと組み合わせたタイプのフォークメタル…という感じの音ですね。

アコースティックアルバムもリリースしているだけあって特にアコギメロは反則クラスで、聴いててリアルに胸が詰まったような感覚を覚える程素晴らしいです。メタリックな攻撃性よりも情景描写、温かみを重視したようなアナログ感のある音作り、ヴォーカルの擦れたがなり声、全編に漂うモノトーンの雰囲気など、ブラックメタル寄りのフォークメタルといえる作風だと思います。

個人的には、モノクロ映画で、主人公が馬車を雨の中、行き着く先に悲劇が待っているのを分かっていてもなお走らせてるシーンのような切迫した、悲壮感に満ちた情景が浮かんでくる音。インタビューによると、人間の内に潜む獣の部分がコンセプトの根底にあるようですが…感性の面でも、出音の面でもULVERの1stに共通するものが感じられるのは、そうしたコンセプトも関係しているのかもしれませんね。

最近流行のフォークメタルですが、ネットや雑誌でこのジャンルについて語られてるのを見ると、色々な派閥があるみたいですね。中には「フォークメタルは飲んだくれの快活なものではなく、もっとダークで、情緒に満ちたものであって欲しい」と考える人も多いようですが、そういう嗜好を持つ人には正にうってつけの音。他にも叙情性を演出するのに、8割の悲壮感に2割の希望を混ぜたような、儚く繊細なメロディはALCESTやKRALLICEなど、シューゲイザー的感性を持つブラックが好きな方にもお勧め出来ると思います。


ODAL - Einst Vereht Von Allen ★★★ (2012-03-24 09:49:10)

2003年発表の4曲入りEP。

まず最初のプリブラ然としたシケシケな音質でスラッシーなリフを鳴らすパートでは、ドラムもポコポコいってるし「大丈夫か?」って感じなんですが(笑)、疾走パートに入ると一気に緊張感が増しますね。うっすらとしたノイジーさに包まれながら、土着的で陰りのあるペイガン系のメロディをトレモロリフに乗せた疾走は、この手のプリブラ/ペイガン系のバンドを聴いてる人なら誰でも悶絶出来そうなかっこよさ。

ガルガル唸る、獣と化したようなヴォーカルも良い味を出してますし、疾走パートはこのジャンルとしてごく真っ当なかっこよさや叙情性がありますが、個人的には冒頭のシケシケな感じも決して嫌いじゃなかったり(笑)。あれはあれで味があって結構好みなので、もっとああいったパートを増やしても良かったかも…という気はします。

4曲入りで、演奏時間も20分程度とやや短めですが、どの曲もペイガン思想を持つバンドらしい叙情性を感じられるもので満足。実はブックレット内側のバンドやレーベルのインフォメーションが見切れてたりするんですが、こういうのもアナログ感があってなんか良いですよね(笑)。


ODEM - The Valley of Cut Tongues ★★ (2014-05-08 09:43:36)

2013年発表の4曲入りEP。

ドス黒くサタニック、かつクオリティの高いブラックメタルを提供する事にかけては定評のあるDAEMON WORSHIPからのリリースとしては珍しく、かなりデスメタル寄りのブラックメタル。ブラック的なダーティさと、デス由来のヘヴィさで武装したプロダクションを纏いつつ、BEHEMOTHばりの突進で根こそぎ蹂躙し尽くすような音で、ヴォーカルのスタイルもデス的な低音グロウル。

ただ、この手のデスメタルに寄ったブラックメタルとしては、「アンダーグラウンドなブラック」の匂いも強烈に漂っているのが特徴でしょうか。悪意に満ちたメロディを奏でるトレモロを、ウォーブラック並のハイテンションで撒き散らすような部分なんかはたまらないものがありますね。この辺りはやはりDAEMON WORSHIP所属のバンドらしいと言えるのかも。

レーベル買いしたら予想と大分異なる音だったんですが、これはこれで良いですね。凶暴かつ邪悪な音で叩き潰されたい人にお勧め。


ODEM ARCARUM - Outrageous Reverie Above the Erosion of Barren Earth ★★★ (2010-04-11 22:27:00)

2010年発表の2nd。

この作品で初めて彼らのことを知りましたが…調べてみると何とメンバーがSECRTETS OF THE MOONとLUNAR AURORA絡み、しかも所属レーベルがOsmoseで、95年結成のベテランという事が判明。…ここまで聞くともう、実際にアルバムを買ってどういう音か確かめるよりなくなりますよね(笑)。何と言う私ホイホイな経歴なんだ(笑)。

SECRETS OF THE MOONはロックのふてぶてしいリズムとブラックの暴虐性を対比し、よりどす黒い禍々しさを演出することで、LUNAR AURORAはキーボードの音色に拘り、バンドサウンドの音響を操作することで、邪悪さを「魔性」とまで言えるレベルまで高めていましたが…このバンドは、ある程度オーソドックスなブラックの手法を取りながら、幽玄さと不気味さが同居するメロディやプログレッシブな展開で、同様の「魔性」を表現している感じですね。

特にメロディから受ける印象は、他のブラックと比べるとかなり異質で、邪悪さや荘厳さよりも、何か深い澱みの中に引き込まれるような感覚を覚えるんですよね…。リフもトレモロを多用し、正統なブラックに近いですが、所々プログレ方面に転向してからのDEATHSPELL OMEGAのようなひねくれ感がある気がします。ヴォーカルも、あからさまに狂気的なわけではないですが、この得体の知れない世界観の語り部たる威厳があって良いと思う。

…レーベルの販促シールでは、EMPERORが引き合いに出されてますが…
確かに、プログレッシブに構築された世界観や、メタルとしての純粋な質の高さは通じるものがありますが…正直、一曲一曲の個性という点では明らかにEMPERORの方が上だと思う。こっちは、エクストリームメタルとして確固たる展開の上手さ、クオリティがあるにも関わらず、聴いている間中、実体を掴めない闇の中に囚われた感覚を強く覚える作品で、EMPERORよりも明らかにカルト志向の音源だと思います。

カルト志向のものは好きだけれど、実験的な方向には行かず、一般的なエクストリームメタルとしても質の高いものが聴きたい…そんな方にお勧めのアルバムです。


ODEM ARCARUM - Outrageous Reverie Above the Erosion of Barren Earth - Oceans ★★★ (2010-04-24 18:39:41)

プログレにも通じる、怪奇趣味をブラックのトレモロで表現したような、グロテスクで混沌としたリフ捌きからしてその辺のバンドとはレベルが違いすぎますが…途中のアルペジオパートの邪悪さも半端ではないですね。「OCEANS」なんてタイトルが付けられてますが、聴き手を迷妄の「沼」に深く引き込んでいくような音だと思う。


ODEM ARCARUM - Outrageous Reverie Above the Erosion of Barren Earth - Worlds of Barren Land ★★★ (2010-04-24 18:44:37)

「Ye Entrancemperium」や「I am the Black Wizards」辺りのEMPERORのクラシックな名曲に通じるものがある…ような気がしないでもない曲。でも個人的には、EMPEROR的な要素よりもプログレッシブで混沌としている部分の方が好きだったり。ほんと、奥深い邪悪さ・暗黒性を感じさせてくれるバンドですよね。


ODIOUS - Skin Age ★★★ (2016-08-26 10:49:22)

2015年発表の2nd。

一言で説明するならば、デスメタル的なヘヴィネスと、中近東風の妖しげなメロディを取り入れたシンフォニックブラック。日本盤が発売されている事からも分かる通り、モダンでヘヴィさを余すところなく伝えるプロダクションを始め、凄まじくクオリティの高い作品。モダンで整った音ですが、その「ヘヴィさをダイレクトに伝える」性質は、中近東系のエキゾチックなメロディと以外にも相性が良く、密教的な妖しげな世界観により一層の説得力を与えている感じがします。

また、楽曲も「中近東風」メロディが常に横行してはいますが、場面によって浮かんでくる情景が全く違うメリハリの付いた展開なのが良いですね。エジプトのピラミッドを遠景で映していたり、墓を荒らす物達へのファラオの怒りが荒れ狂う場面だったり、色々なシーンが浮かびます。基本いかめしいまでの重々しい音で爆撃する感じですが、隠微なミディアムパートがあったりパーカッションを取り入れた土着性の強いパートがあったり、展開の種類自体も豊富。

メタルとして基本的にハイクオリティな事に加え、やりたい事がはっきりしている筋の通りを感じられる作品。エクストリームメタルが好きであれば確実に聴く価値のある作品だと思います。


ODZ MANOUK - Odz Manouk ★★★ (2012-11-05 19:11:15)

2010年発表のデモ音源に、TUKAARIAとのスプリット音源を付け、リマスターを施し2012年にProfound Loreから再発された音源集。500枚限定、トールケース/デジパック仕様。

このバンドも、基本は2ビート疾走に紙ヤスリのようなザラついた音質のリフ、トレモロリフによる邪悪メロディを絡めたパートの多い、如何にもプリミティブブラックという感じの作風ですが…同時期にProfound Loreより音源をリリースし、スプリットの相手でもある同郷のTUKAARIA同様、ジャンルのテンプレを踏襲するだけでない、一歩踏み込んだ深さのある音を出してますね。

特にメロディ面においては、陰鬱さはTUKAARIA以上かもしれません。今正に蠱毒が作られんとしているような、毒々しいメロディであったり、不協的な気味悪さと神秘性を同時に感じさせるものだったり、オカルティックで本能的な嫌悪感・恐怖感を煽るようなトレモロリフ多め。時に宇宙的なSEを混ぜたりなどの工夫も相俟って、凡百のバンドには作りえないグロテスクな感触を与える音に。

ただし、ひたすら暗黒・オカルト趣味に彩られた作品ではあるんですが…一部ではギターソロにメロウなベースラインを絡ませたり、意外にメロディアスな側面もあるのも特徴ですね。ヴォーカルも曲によって喉痛めそうな絶叫だったり、腸を吐き出しそうなドスの効いた声を出したり、かなり感触が違いますが…レコーディング時期は2005年から2011年に及ぶらしく、そういった制作スパンの長さがパフォーマンス・フレーズ等のバリエーションに繋がっているのかも。

全編通じて日常ではまず体験できないような、濃密に満ちた邪気を感じさせてくれる作品。プリミティブブラックの粗い音質が受け入れられる暗黒音楽好きなら、まず買って損はないのではないでしょうか。


OFERMOD - Mysterion Tes Anomias ★★ (2008-11-18 19:46:00)

2005年発表の4曲入りEP。
98年の「Mysterion tes Anomias」と04年の「Netivah Ha-Chokmah」を纏めたリリース。

ブックレットによると、パート1(Mysterion~)はオーソドックスなブラック、パート2はデスと書かれていますが…確かにパート1はシャーシャー系の歪みに邪悪なトレモロを絡め、ファスト&プリミティブに疾走するタイプで典型的なブラックのスタイルですが、パート2も音が厚くなったり刻みを多用したりしてはいるものの、雰囲気は紛れも無くブラックそのもの。むしろ音が厚くなった分黒さも濃くなってる気がします。

WATAINやONDSKAPT、MALIGN辺りに通じる、宗教的なカルト性が感じられるのも大きな特徴ですね。ヘブライ語やラテン語も用い、リアルにサタニズムに深く傾倒してそうなムードがあるのもいいです。ヴォーカルのスタイルはTRIUMPHATORやCHAOS OMEN系の苦しげにうめくタイプのがなりですが、このVoかなり良いですね。MALIGNのNordと同一人物らしいですが、苦しげだったMALIGNの時より安定してて、地獄から這い上がってくる亡者のような恐さがあると思う。凄みの効いた声で、もう少し「押し」と「引き」を心得ればFUNERAL MISTに肉薄できる表現力があると思います。

しかし、この作品はNecromorbus Stadioで録音され、ドラムのShivaはNecromorbusその人らしいですが…AriochといいNecromorbus本人といい、Necromorbusに関わった人ってこういう潰れた声で邪悪さを表現するヴォーカル多いような。Necromorbus秘伝の歌い方だったりして(笑)。それか彼と付き合ってると呪いで声が邪悪になってしまうとか(笑)。


OFERMOD - Mysterion Tes Anomias - Mysterion Tes Anomias ★★★ (2008-11-18 19:47:54)

典型的なブラックと言えるスタイルですが…SEの使い方、メロディの邪悪さ、ヴォーカルの凄み、音質の雰囲気など全く隙がないです。これはカルトな支持を集めるのも十分分かる。


OFERMOD - Mysterion Tes Anomias - Rape the World ★★ (2008-11-18 19:48:49)

邪教の僧が壇上に立って唱えているような宗教的な普通声で邪悪さを表現しているのはNED的だと思いますが、それが乗るのがオールドスクールなサウンドというのが結構珍しいかも。Michayahが初期ブラックの雰囲気への捧げ物として作ったというコンセプトから、こういう音が出来上がったのかもしれませんね。


OFERMOD - Thaumiel ★★★ (2013-01-29 12:24:51)

2012年発表の2nd。

前作はメタルとしてのマッシブさが、ブラックメタルとしての邪悪さと融合し、威風漂うムードの演出された作品に仕上がっていましたが、今作は邪悪さや威風といった要素は変わらないものの、前作とは少し路線を変えてきましたね。前作よりもブラックメタル特有の、メロディの妖艶さを強調することでよりメロディアスかつ儀式的な作風になった感じがします。

妖艶なメロディで攻めるパートが多くなったこと、パーカッション等を積極的に導入していることなどで、部分的にはペイガンっぽく聴こえる箇所も。ただし異教的というよりは邪教的という感じで、やはりブラックのどす黒さが先に立っている感じ。ヴォーカルもがなり声の太さはそのままに、よりダウナーで粘着質な薄気味悪い表現力を身に付けており、楽曲の陰湿なムードを更に盛り立てます。

ただし、「オーソドックス・レリジャス・デスメタル」を名乗り、重厚感のあるプロダクションだった前作と比べると、今作は少しだけブラックメタル本来のRAWさに立ち返った印象も。作風が妖艶なメロディを軸に攻める方向にシフトしてきているので、メロディを強調するこの音質の変化は正解だと思う。

レーベルが変わり、ブックレットに赤フォント使ってたりといったアートワークの変化から、自分の望まない方向に音楽性を変えてたらどうしようかと思っていましたが、個人的には前作よりも好みですね。World Terror Committee辺りのレーベルがこのバンドの前作の路線に近い良質なバンドを多く輩出していますが、それらバンドと比べても一線を画する作風になったと思う。スウェーデンの真性ブラックの代表格のバンドに進化した、と言っても過言ではないかもしれません。


OFERMOD - Tiamtu ★★ (2010-12-14 18:37:35)

2008年発表の1st。

あのNEDからのリリースと言う事で、邪悪で高品質なブラックメタルを期待する方も多いと思われますが、その期待にしっかり応える作品ですね。エクストリームメタルの質量感をブラックのどす黒さに変換したような、WATAINやONDSKAPT辺りとも共通したスタイルで、前EPの後半の作風を引き継いだ感じですね。彼らは「オーソドックス・レリジャス・デスメタル」と自らの作風を呼んでいますが、リフに刻みを多用し、厚みのある音作りをしている所が「デス的」なのかもしれませんね。

ただ、「Lawless Darkness」で一般的なエクストリームメタルと、ブラックメタルの最もインテンスな落とし所を見つけたWATAINと比べると、この作品は聞き手の注意力を常に引きつけておくパワーに欠ける部分も多少見られるかも。特に1曲目とか、ミッドテンポで刻みが続くと、どうしても音以外の事に考えが行きがちになってしまう。部分的には、WATAIN以上の邪悪さも出せているんですが…ハッとするような部分と、そうでない部分の落差が激しい気がする。

個人的には、あと一歩で凄い事になりそうという意味で、惜しいアルバムですね。音作りのセンスは素晴らしいので、そこはキープしつつ更にどす黒い作品を期待してます。


OGEN - Black Metal Unbound ★★★ (2012-05-10 21:43:43)

2011年発表の5曲入りEP。

2010年に結成されたイタリアのブラックメタルバンドで、このEPが初めての音源となるようですが…これが新人離れした素晴らしい作品です。ミディアムテンポを中心に、近年のENSLAVEDを思わせるようなロック的ダイナミズムと、サイケデリックな幽玄さを両立させた演奏を聴かせる、プログレッシブでアトモスフェリックな路線。ヴォーカルはデスとクリーンを使い分けるタイプですが、このクリーンがマイルドで雰囲気あって良いんですよね。

近年のENSLAVEDと比べると、こちらはトレモロリフでストレートに叙情的なメロディを聴かせるパートが多く、より取っ付きやすい仕上がり。しかしそのトレモロリフも、DISSECTIONだったり初期EMPERORを思わせるような、近寄りがたい神秘性が感じられて、恐ろしいくらいセンスが高いんですよね…。良質な音質ながら、ムードを壊すほど実体的なヘヴィネスにおもねらないプロダクションも、曲の良さを上手く引き立てているように思います。

どこか高尚さや、芸術性の高さみたいなものが感じられ、近寄りがたい雰囲気がありつつもメロディックで即効性も高い、素晴らしい作品。正直、まだ一枚のフルアルバムすら出してない新人とは思えない完成度です。ブラックメタル好きであれば青田買い大推薦。


OHTAR - HUMAN FUEL OF DEATH ★★★ (2012-03-13 21:10:56)

2007年発表の3rd。

ポーランドのNS勢に特有の、厭世的な怨嗟と土着的な叙情性の両方を兼ね備えた、薄暗く悲壮感漂うトレモロリフを、まるで缶を叩くようなRAWで軽めのドラムに乗せて疾走する、プリミティブ系に近い音作りのブラックメタル。メロウなアルペジオやリードギターを導入したドラマティックな展開、スラッシュ要素も強いオールドスクールで、ストレートにかっこいいリフ捌きなども取り入れた起伏のある展開、RAWながら耳に痛くない、メロディもある程度立たせた音質で、カルトなブラックの中では割と聴きやすい音。

しかし、ポーランドのNSブラックのシーンって気合入ったヴォーカルが多いですけど、このバンドも大概ですよね…潰れたがなりスタイルなんですが、その潰れ方が尋常じゃない。マジで潰れたカエルを思わせるような、断続的なエッジ音がガリガリ鳴るような凄まじくひしゃげた声。常に歯軋りして額に青筋立てながら歌ってる感じ。これをリリースした時点ではかなりベテランのはずだし、シーンでも有名な存在になってるはずなのに、この衝動全開さは素晴らしい。

そういう訳で、このシーンのバンドを漁っている方なら一回聴いただけでピンと来るような音。個人的にも聴きやすさとカルト性のバランスが丁度良い按配の作品だと思いますし、悲壮なトレモロを従えたRAWな疾走はこのジャンルの魅力を分かりやすく伝えてくれるので、お勧めです。


OIZYS - Hymns to the Furies ★★ (2014-08-23 23:02:05)

2010年発表の1st。

オーストリアの女性ブラックメタラー、Witch氏による独りブラック。今でこそ女性のブラックメタラーも珍しくないですけど、流石にこういう独りブラックは珍しいですよね。ブックレットの裏の猫の写真は彼女の飼い猫でしょうか。かなり可愛いです(笑)。…その下にトレンドへの反感を露わにした声明文を載せても、逆効果な気がしてしまいますが(苦笑)。

ブックレットの猫は可愛いですけど、やってる音楽は可愛さの欠片もない邪悪なブラック。ギターの残響音が渦巻き不気味な霊場を形成しつつ、霊性が垂れ流されるようなメロディと老婆魔女の囁きのようなヴォーカルが不気味さを更に増幅させる、オカルトめいた雰囲気漂う音。一応バンドサウンドの体ではありますが、感覚としてはアンビエント系のブラックに近い印象で、このカルトな音像の中にあっては鳴りの悪い、打ち込みっぽいドラムの音もむしろ味と言えるでしょう。

…プリミティブブラックや鬱ブラックって、一般的なメタルの価値観からはかなり離れたところに魅力があるジャンルと言えますが、この作品は更に一般メタルから遠ざかった価値観で作られているという感じがします。ブルータリティやテクニックを求めるのは全くお門違いな音ですが、オカルトめいた雰囲気を味わうにはかなり良い作品ではないでしょうか。


OLD (GERMANY) ★★ (2011-06-17 22:32:40)

ドイツ産ブラック/スラッシュ。
DESTROYER 666のメンバーが絡んでます。


OLD (GERMANY) - DOWN WITH THE NAILS (2011-06-17 22:33:23)

2006年発表の1st。

DARKTHRONEのN.Culto氏が推薦コメントを寄せてますね。
「OLDはアンダーグラウンドが尚生きていて、これまで以上に重要となっていることを証明した」みたいな感じでしょうか。そのコメント通りの、まだスラッシュと未分化だったころの音を現代に蘇らせるようなダーティ極まりないブラックメタル。

ブラックメタルの宗教性やスラッシュのテクい部分を極力排除し、ダーティでロックンロールの衝動を追求したような作風で、邪悪さよりも聴いていて体が動きそうな「熱さ」に傾いている感じですね。最近のDARKTHRONEも彷彿とさせますが、こっちはヴォーカルに地声成分をそれほど混ぜない絶叫スタイルのため、より攻撃的に聞こえます。ただ、DARKTHRONEと比べると少し貫禄と曲ごとの個性が足りない気も。

そういう訳で、個人的な好みからすれば微妙だったんですが、確かにNocturno Culto氏が推薦コメント寄せるくらいツボだったんだろうな…というのが、聴いていて良く分かる作品。ブラック黎明期以前の、ルーツ系のバンドが好きな人向けかも。


OLD FUNERAL ★★ (2011-05-20 00:38:01)

ノルウェーの伝説的デス/ブラックメタルバンド。
BURZUMのVargやIMMORTALのAbbathが在籍してたことでも有名。


OLD FUNERAL - The Older Ones ★★ (2011-05-20 00:37:25)

90-92年の音源を集めたコンピ盤。99年発表。
Abbathは1-3曲目(90年)、Vargは4-7,11曲目(91年)に参加してます。

いくらブラック界の大御所が関わっていたって、EMPERORの「Wrath of the Tyrant」、LIMBONIC ARTの「1995-1996」のように、後に大成するバンドでも音質が純粋にショボい作品を出してたりするので、今作を購入するにあたっても身構えてしまったんですが…あれ?普通に聴けちゃうんですけど。むしろ、アングラなデスメタルでは全然良質な部類に入る音なのでは…。

スタイルは、まだブラックメタルに派生しきってない感じのデスメタルですね。
ところどころブラック的なトレモロも垣間見えるものの、寒々しさよりデスのドロドロ感が強い感じ。何気に緩急もしっかり付けられているし、ベースが高音域のトレモロで毒々しいフレーズを弾いたり、リフとリズムの絡みが酩酊感を演出したり、結構アイデア勝負な感じで聴き応えあり。

特に、90年の音源はAbbathの極悪な噛み千切り声も相俟って、CADAVER INCすら想起させるような炸裂感すらあると思う。そこまで速くないですけど、代わりにダーティで毒々しい感じが強いですね。ただ、91年の音源ではドラムがRAWかつギターがよりノイジー、92年の音源は篭もり気味と、何故か新しい音源の方が音が悪いのが謎です。まあ、聴けないほどじゃないですけど。

資料的な価値だけでなく、アンダーグラウンドなメタルが好きな方なら普通に楽しめてしまうであろう作品。個人的には90年の音源が一番好きだし、熱心なBURZUMやIMMORTALのファンの方以外も是非チェックしてみてはどうでしょうか。


OLD WAINDS - Scalding Coldness ★★ (2012-01-07 21:33:07)

2005年発表の2nd。

個人的にロシアって良質のメロブラが多い印象なんですが、このバンドも質の高いメロブラを演ってますね。トレモロ疾走一辺倒でなく、メタリックな刻みやドラマ性のある展開も見せるオーソドックスな路線。金属質なノイジーさのギター、多少バタついた印象のあるドラムなど、RAWさを残しながらも分離の悪くない音質は、個人的にはかなり好み。「声の引き摺り方」が堂に入ったヴォーカルのパフォーマンスも良い感じです。

このバンド、ロシア産でありながら「Unholy Nordic Metal」を標榜してたりするんですが…確かに古参ノルウェー産ブラックの影響がそこかしこに見えるんですよね。例えばメタリックな刻みが、ただかっこいいだけでなく、エピックなムードに繋がっていく所などはENSLAVEDを髣髴とさせるし、3曲目などで見せる華麗さを感じさせるトレモロ疾走はUnder~期のGORGOROTHと通じるものがあったり。4曲目の暗黒テクノみたいな音楽性も、ノルウェーの先人の実験精神を受け継いだものなのかもしれませんね。

物凄くインパクトのある音と言う訳ではないですが、ノルウェーのブラックメタルの空気感を引き継ぎ、堅実に質の高いメロディック・ブラックを演っている感じ。ある程度メロブラを聴きこんでいる方ならかなり楽しめる作品かと。


OMFALOS - Idiots Savants ★★ (2013-09-23 09:57:48)

2011年発表の1st。

ブラジル産のアヴァンギャルドブラックというプロフィール、オープニングの聴いてるだけで呪われそうなSEパートから、一体どんな音が飛び出すのかと思いましたが…時にクラシカル、時にメカニカルな感触を伝えるトレモロ、スラッシーに狂ったりメロウなメロディを弾いたりするギターソロなどを詰め込み、豪速マシンブラストに乗せてカオスに展開するインダストリアルブラックでかなり予想してたのと違う感じ。なんですけど、これはこれでかなり面白いです。

ブラス系のシンセを用いた壮大な雰囲気の演出、メロディアスなリードギターをフィーチャーしたドゥーミーなパート、アルペジオによるアトモスフェリックなパートなど、楽曲ごとに手を変え品を変え、様々な要素を9曲で26分という小品主義な構成のぶち込んでくる感じで、聴いてて「ちょっと落ち着け」とでも言いたくなります(笑)。ただ、音質のクリアさ、楽曲の聴かせどころの設け方など、多少変態的ではあるけど作品の質自体は高いと言えるのではないでしょうか。

アヴァンギャルドの看板に偽りの無い変わった作品ですが、人を寄せ付けないようなムードは希薄で、むしろカラッとしたかっこよさのあるアルバムだと思います。アヴァンギャルド性が邪悪さや暗黒性、気難しい複雑さへ繋がってるようなブラックが苦手な方でも、この作品なら行けてしまうのでは。


OMNIA MALIS EST - Víteliú ★★★ (2015-06-14 11:58:31)

2015年発表の1st。

…これ、メロブラの中でも少なく見積もっても良盤、もしかしたら名盤と言っても良いくらいの作品かもしれません。本当に、この作品の日本盤リリースに踏み切ったHidden Marlyには感謝しかありません。是非、今後ともご贔屓にさせていただきたいものです(笑)。

路線としては、クリアながらややブラックメタルらしいRawさを残したプロダクションの中で、中世的なメロディがトレモロリフ中心に非常にドラマティックに奏でられる、極上にメロディアスなブラック。音質といい、獰猛ながなり声を聴かせるヴォーカルやブラストを中心に攻め立てる苛烈極まりないリズムなど、ドラマ性の中にブラックメタルの衝動性も色濃く息づいているのが本当に素晴らしい。

非常にメロディアスな作風なんですが、メタリックになることで結果的にメロデスにも接近していたNAGLFARやDISSECTION、NECROPHONIC辺りとはまた異なるメロブラ観を見せてくれる作品。最近聴いたバンドだと、メロさ的にSUHNOPFER辺りを思い起こさせますが、耽美メロをひたすら浴びせかけるあちらに対し、こちらはヴァイキングにも通じる土着性・叙事性と、メロディの起伏によるドラマティックさを強く感じさせてくれます。

ドラマティックでエピックな、メロディに満ちた作品であるのに、聴き心地にブラックメタル特有の衝動性もしっかり感じさせてくれる、稀有な作品。個人的にはめちゃくちゃ癒されます(笑)。