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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5201-5300

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5201-5300
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SARKOM - Aggravation of Mind ★★★ (2009-12-29 23:36:00)

2006年発表の1st。

路線としては、飛ばすところは飛ばし、抑えるべきところは抑えた、高品質なメロブラ。キーボード不使用を掲げてはいるものの、高音のトレモロをキーボードに見立てたようなアレンジも一部では見られ、全体的にかなりメロディアス。
…なんですが、そのメロディが怨念が篭もったように邪悪極まりないのが大きな特徴。「人類を滅ぼす疫病が現れる事を願って、このメロディをしたためました」みたいな雰囲気がありますね(笑)。遠くに向かい苦しみを吐き出すようなヴォーカルも、どこか病気じみてます。4曲目、「我は選ばれし者」ってそんなに厭そうに叫ばなくても…(笑)。

…よく、NAGLFARやDISSECTIONを聴いて、「メロデスとメロブラの違いが分からない」という人がいますが、これはもうメロディだけで「ブラックメタル」であることが分かると思う。個人的には、泣きメロは泣きメロでも、いかにも「男泣き」的なアッパーなものより、こういう怨霊の啜り泣きが聴こえてくるような、ダウナーで湿ったものの方が好きですね。このバンドの書くメロディ、かなりツボです。

音質はノイズ成分多めなものの、迫力があり悪くないし、ファストパートでの飛ばし具合も素晴らしく、メロディもパートによっては濃すぎるくらいで、質は非常に高いと思う。暗黒系に理解のあるメロデスファンが聴いても楽しめるかと。このバンドは1349やURGEHALのメンバーが絡んでいる事もあり、ブラック好きの間ではそこそこ知名度があるみたいですが…こういう中堅どころのバンドの方が、「いかにもブラック」な音出してるケースが多い気がする。


SARKRISTA - The Acheronian Worship ★★★ (2014-05-17 10:16:26)

2013年発表の1st。

ドイツのバンドですが、出している音はまるっきり北欧、それもフィンランド辺りのプリミティブ・ブラックですね。初期SATANIC WARMASTERやプリミティブだった頃のSARGEISTなどと同路線の、Rawな音作りによる衝動性と、北欧バンドならではのメロウさを合わせたプリブラという感じですが、特筆すべきはプリブラとしての質の高さが前述のバンドと比べても全く見劣りしない…という事でしょう。

特に粗くカルトな雰囲気の中でもリフのメロウさや、楽曲の起伏の付け方をしっかり意識した作風なんかはモロにSATANIC WARMASTERを思わせますし、イントロのSE~メロウなリフを伴うプリブラとしての王道曲、続けて若干オールドスクールな曲…という構成はこの手としては思いっきりベタながら、そのベタさを凄まじく高いクオリティで演っているのが素晴らしい。「メロウなプリブラ」カテゴリの音源を買い漁ってるリスナーならば、イントロ明け2曲目のメインリフを聴いた時点で良い買い物をしたと思うことでしょう。

比較的新しい作品なのに、中古で投げ売られていた&レーベルがそれなりに有名だった事もあってサルベージしましたが、予想を遥かに超える良質な音源で非常に満足。ほんとメロウなプリブラ好きなら必聴ですよ。


SAROS - Acrid Plains ★★ (2009-07-24 19:29:00)

2009年発表の1st。

DISK UNIONにて掘り出し物として紹介されてて、興味を持って調べてみたら、サンフランシスコ出身のプログレデスメタルバンドで、WEAKLINGのメンバーが在籍し、更に所属レーベルがKRALLICEやCOBALTを輩出したProfound Loreという事が判明。そりゃ財布の紐も緩みますよね(笑)。

一口にプログレデスと言っても、構築美こそ共通しているものの、OPETHのような昔のプログレを思わせる音使いは少なく、代わりにアコギやアルペジオ、女性ヴォーカル等による抽象的・叙情的なメロディで聴かせるスタイルの作風になってますね。近年のENSLAVEを髣髴とさせる、それを舵に見立てて海を往くようなリフ捌きも時折見せますが…ENSLAVED並にかっこいいと思うパートもあれば、大味でダレを感じる部分も多少あるかも。

最初聴いた時は、幽玄さを醸し出す女性ヴォーカルはゲストが演っているか、もしくは専任のヴォーカリストがいるんだと思ってましたが…実はあの噛み付いて引き千切るようなデスヴォイスと同じ人が演ってたんですね。普通に男性のブラック声に聴こえる、獰猛極まりない声。
ヴァイキングでいうと、呪術を司る巫女でありながら、同時に戦場を駆け巡る戦士でもある、みたいな感じでしょうか。ギターも担当してるし、この人が中心人物なのかな?

黒い雲の低く垂れ込める空の下、海を往くヴァイキングといった情景が浮かぶプログレ・デス。まだ展開面・フレーズ面などで練って欲しい箇所はありますが、1stにしてオリジナルなヴィジョンが見えていると思わせる作品。OPETHやENSLAVEDが好きな方、PFLリリースに興味を持っている方にお勧め。


SATAN'S ALMIGHTY PENIS - Into the Cunt of Chaos ★★ (2014-06-11 11:20:15)

2004年発表の1st。

バンド名に男性器、アルバムタイトルに女性器の入った命名センスからして、如何にもプリミティブで暴力的で、猥雑なブラックを演っていそうな感じがしたんですが、良い意味で裏切られました。ベースが衝動性に満ちたブラックメタルであることは間違いないんですが、そこにアヴァンギャルドな要素も持ち込み、独特の世界観を形成している構築性もまた高い音。

基本的には寒々しいリフに、スラッシュを過激化させたようなリズムとオールドスクールなブラックが根幹にあるんですが、時折フリーキーなアンサンブルが出てきたり、妙な音色を足してみたりなど、テンプレートに無い展開をかなり取り入れてる感じ。特に7曲目、リフを消失させつつ引っ張る展開なんかは、なにか足場を踏み外してしまったような不安感を覚えさせます。

独特のひねくれ感のある作品ですが、そのひねくれ感が独り善がりでない、共感出来る者になっているのが良いですね。まあ、「なんでこの音楽性でこのバンド名なんだろう…」とは思いますが(笑)。そこが一番ひねくれてるのかも。


SATAN'S HOST - POWER~PURITY~PERFECTION 999 ★★★ (2012-01-11 22:32:00)

2009年発表の6th。

1977年にパワーメタルバンドとして結成し、86年に1stアルバムを発表、一度解散して2000年にブラックメタルバンドとして再結成…というバイオグラフィーを聞いた時は、古くから活動してるバンドなだけに若いリスナーを置き去りにするような路線だったらどうしよう…とちょっとだけ危惧してましたが、全くの杞憂でした。クオリティがキャリアに裏打ちされた、しっかり今の音としてかっこいいブラックメタルを演ってます。

邪悪なトレモロリフ一辺倒でなく、甘美さもありながらサタニックな雰囲気を更に強めるリードギターのメロディ、オールドスクールなデスメタルのテイストを感じさせるドロドロした瘴気漂うリフも取り入れたスタイル。DISSCETIONは3枚目のアルバムでメロデス要素を強めリスナーを驚かせましたが、彼らがメロデスだけでなくオールドスクールデスの要素も同時に取り入れたら、こんな感じの作風になったのでは…と思わせる音。メタリックな重厚さを感じさせる音作り、メリハリのある曲調、サタニックな空気感の演出など、共通する所は多いと思う。こちらにも「Anti-Cosmic Creation」というフレーズが出てきますし。

地獄の鬼を思わせるようなヴォーカルの咆哮、リフやリードのフレーズの素晴らしさを際立てつつ、デス的なドロドロ感も残した良質なプロダクション、金太郎飴にならない展開の巧さなど、美点の多い…というか美点しか挙げられないようなアルバムなんですが、やはり際立ってるのはリフの素晴らしさですね。特にデス的な瘴気を撒きつつうねるようなリフ使いが素晴らしい。正直MORBID ANGELの新作よりも魔闘気の総量は上だと思いますもん。リフを聴いているだけでも非常に心地良いですが、それがメリハリの効いた展開の中で上手く用いられるのだからたまらないですね。

まだSATAN’S HOSTはこの作品しか聴いていないんですが、ブラックの名盤○選とかで良く選ばれるような作品と比べてもなんら遜色のない、素晴らしいアルバムだと思う。古参バンド故の懐古趣味や、ブラックメタル故のカルト主義なども特に感じさせず、魅力をストレートに伝える作品ですので、初心者の方も是非。


SATANIC WARMASTER ★★ (2006-03-05 08:15:00)

フィンランド産ブラックメタルバンド。
アンダーグラウンドな音楽性ながら、大手メタル雑誌Metal Maniac誌に
インタビューが掲載されたり、最近は結構評価されているみたいですね。
しかしリーダーのSatanic Tyrant Werwolf氏、調べてみたら関わったバンドの数が
半端ではなく多いですね…。MutiilationのMey'nachも関わっていたという
Gestapo 666を始めとして、Blasphemous Evil、Blutrache、Horna Incarnated、
Kyprian's Circle、Mental Terror、Pest、Shatargat、
Skullkrusher、The True Werwolf、Vomitfago、Warloghe…に在籍した模様。
Encyclopedia Metallumで調べました。もちろんこの殆どがブラックメタルバンドです。
もう世界一多くのブラックメタルバンドに在籍した人とかでギネス申請したらいいんじゃ(笑)
でもブラック界ってもっと多くのプロジェクトをやってる人いそうかも。


SATANIC WARMASTER - Black Metal Massacre (2008-02-05 21:42:00)

2007年発表のライブ盤。
XASTHURやALCESTの日本盤にも驚きましたが、まさかSATANIC WARMASTERまで来るとは…。日本盤といってもブックレットはぺラ紙一枚だし、歌詞や対訳もないですけど。でもインナーで素顔のSatanic Tyrant Werewolf氏が拝めるのは嬉しいですね。

まず気になるのは音質ですが、まあプリブラバンドの、しかもライブ盤に音質の良さを期待する方が間違ってますね(笑)。以前高校の文化祭の出し物でバンド演奏を録音してもらった事がありますが、正にそんな感じのRAWな音。と言っても、音が大きく歪んだり音量が激しくブレたり、音が小さかったりはしないので原曲を知っていて、ある程度想像力で補完できればライブの熱気を楽しむのには全く差し障りは無いと思います。

ただ、MCなども録音されているのは嬉しいですが、客の緊張感の無い喋り声が曲の間でも聴こえるのはちょっと…箇所によってはヴォーカルと同じ位の音量で拾っちゃってるし。「My Kingdom of Darkness」なんてSatanic Tyrant Werewolf氏が必死に絶叫している合間に暢気な感じの喋り声が入って、変な掛け合いに聴こえて爆笑してしまいました(笑)。

しかし、彼等の曲ってプリブラにしてはメタリックさが結構高めなせいか、ライブ映えしますよね。特に「Carelian Satanist Madness」、原曲のような高音がなりではなく、怒号のような声で歌ってますが、それがライブの熱気と相まって実にかっこいい。スローミドルのパートでさえ観客が「オイオイオイオイ!!」とか叫んでるし…。原曲はメロウなリフで胸を締め付けてくれましたが、こっちは聴いていて熱くなります。

流石にこれをSxWx初体験にするにはお勧めしかねますが、彼等のアルバムを持っていて、しかもそれを気に入った方であれば購入する事をお勧めします。


SATANIC WARMASTER - Black Metal Massacre - Carelian Satanist Madness ★★★ (2008-02-07 00:08:28)

原曲はギターの歪みが人工的で、ヴォーカルもちょっと細さを感じてましたが、こっちはRAW極まりない音に怒号のような声が乗ってて違ったかっこよさ。原曲は原曲でメロウさが際立っててかなり好きでしたが、このライブ版は更に良いかもしれません。


SATANIC WARMASTER - Black Metal Massacre - Satanic Winter ★★ (2008-02-07 00:00:51)

以前在籍していたバンドの曲らしいですが…リフはSATANIC WARMASTERらしいメロウさはありつつ、客を煽り立てるかのようにキャッチー。でも5分を過ぎた辺り(終わる直前)、まるでサンプリングされたかのように客の声が入ってしまってるのはちょっと笑えます。


SATANIC WARMASTER - Black Metal Massacre - Take Me to the Top (2008-02-07 00:04:21)

MOTLEY CLUEカヴァー。
あのSATANIC WARMASTERが普通にハードロックやってる時点で驚き。ヴォーカルが酒が入ったメタル好きのおっちゃんのような熱いハイトーンで更に驚き。ああ、彼のイメージが崩れていく…(笑)でも好き。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness ★★★ (2006-03-05 07:49:00)

2005年発表の3rd。
このサイトでメロウなプリミティブ・ブラックとして紹介してもらって、試聴してかっこよかったから買ってみたんですが、これは良いですね。

プリミティブって(それはそれで良いんだけど)結構似た曲を並べたものが多いですが、これは結構曲にヴァリエーションがあります。ヴォーカルはほとんど高音がなりオンリーですが、メロウなメロディをトレモロリフで掻き鳴らして疾走するタイプは当然の事として、民謡メロディや初期ブラックのようなリフを取り入れた物などもあり。極めつけは一番最後の曲で、なんとオルガンの演奏のみをブラックメタルに見立てたかのようにがなり散らしてます。

個人的にプリミティブ系は自分がそういうのを聴きたいモードにいないと浸れない事が多いんですが、これはこの多様性のお蔭でそういう状態じゃなくても飽きずに聴けてしまう感じです。音質はDARKTHRONE等と比べると結構クセが強く、高音のノイジーさを強調した作りで、特に右チャンネルのギターの音がなかなかに極悪。このプロダクション、最初は「うわー…」と思ったんですが、一曲目が終わる頃には早くも「あれ、これ良いじゃん」に変わってました(笑)。

むしろクセがあるからこその名盤といえるかも。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - 666 ★★ (2006-03-05 07:57:11)

タイトルは○になにかを足したような変な記号ですが、良く見ると6が3つ重なってるんですね。平坦なのにも関わらず、魔界の荒涼さを醸し出すリフ捌きが良い感じな曲。これだけ95年からある曲らしいです。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - Blessed Be, the Grim Arts! (2006-03-05 08:04:27)

オルガンの演奏をバックに、ブラック声でがなり散らす曲。
メインのメロディをリフ、伴奏をリズムと見立てればこういう曲が出来るもの自然な事なのかも…う~ん、やっぱり不自然(笑)。最初SEだと思って、本編いつ始まるのかと思ったらそのまま終わっていった…


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - Carelian Satanist Madness ★★★ (2007-04-01 19:25:30)

途中のメロディ、個人的にはなんか懐かしい感じがするんですが…
「郷愁」に近い感情を揺さぶられるようなメロです。そのせいで、耳に優しくない音質で結構長めの曲ながらうっとり聴けてしまう感じ。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - Eaten by Rats ★★★ (2007-04-01 19:28:40)

プリミティブの魅力を凝縮したかのような名曲。
これぐらい曲が良ければ、音質に癖があるということだけ覚悟しておけば、プリミティブ系を聴いた事のない人でもその魅力に取り付かれてしまうかもしれません。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - The Vampiric Tyrant ★★★ (2006-03-05 07:54:15)

ツーバス連打にに民族音楽っぽいキーボードのフレーズが絡む箇所、めっちゃかっこいいですね。プリミティブでは最高のドラマ性がある曲だと思います。Satanic Tyrant Werwolfは悪魔崇拝だけでなくフォークロアにも興味があるらしいから、こういう曲も作れるのかも。


SATANIC WARMASTER - Carelian Satanist Madness - True Blackness ★★ (2006-03-05 08:01:17)

イントロなどで使われているリフがMAYHEMの「Deathcrash」「Carnage」などの黎明期ブラックを思わせる曲。サビに当たる部分はトレモロリフで暴れまわっていて、その使い分け方が凄く良いです。


SATANIC WARMASTER - Fimbulwinter ★★★ (2015-06-06 18:49:09)

2014年発表の5th。
発表の翌年、Zero Dimensionalから日本盤も出てますね。

巷でも言われている通り、前作と比べると音質が大分良くなり、この手の初心者でもしっかり魅力を感じられるレベルにまで聴きやすくなりました…が、あくまでもRawブラックの中においての「聴きやすい」なので注意です(笑)。当然、衝動性を損なうような整え方はしていませんし、ザリザリと削るようなトレモロの音色はやはりSATANIC WARMASTERだなぁ…と、聴いていて再認識してしまいます。

音が(それなりに)聴きやすくなったのに合わせて、楽曲の方も若干メジャーっぽさが出てきた…ような…?一曲目から密かにオーケストラヒット使ってますし、二曲目ではかつてのDISSECTIONを思わせるような、あからさまにメロウでメロいフレーズも登場。ただ、SATANIC WARMASTERの楽曲って、もともとブラックメタルのサタニックな雰囲気や衝動性と、メタル本来の熱さやドラマ性が上手く同居しているので、音質の向上で元から持っていたドラマ性が浮き彫りになった…と言った方がいいのかもしれません。

今作は「Strength & Honor」の如何にもプリミティブ然とした荒っぽさとか、「Carelian Satanist Madness」の耳を害するようなノイジーさが駄目だった人にも受け入れられる作品だと思います。それでいてSATANIC WARMASTERらしさも損なわれておらず、期待通りの良質な作品と言えると思います。


SATANIC WARMASTER - Nachzehrer ★★★ (2011-01-25 22:37:53)

2010年発表の4th。

基本的な路線は、前作同様オールドスクールなリフとメロウなトレモロリフをドラマティックに組み合わせて進行するプリブラなんですが…何故か前作よりも音質が落ちてるんですが(笑)。

前作は意図的にギターの音色を尖らせ、耳を劈く感じの音にしていましたが、今回は…何も知らない人が聴いたら、曲のセンスはあるけど録音予算のない新人バンドのデモテープと思いそうな感じの、純粋にRAWな音。個人的にはこっちの方が未加工かつ耳に馴染みやすい感じで好きだったり。

SxWxの特徴といえば、プリブラで最大限体現できる楽曲のドラマ性だと思いますが…その点は、3rdよりもよりパワーアップしている印象。イントロは正直蛇足感がありますが、続く2曲目がオールドスクールなリフのかっこいいコーラスパートのある前半、激メロウなメロディをチープなストリングス系キーが弾き、リフが更にメロウさを加速させ、キーのメロをリフが引き取る劇的な展開の後半と、ドラマティックな構成を持つ超名曲。

他にも、北欧産らしい凍てついたリフで始まり、ラストにはドラゴンガーディアン並の泣きメロ、それもミニマルな繰り返しと思わせておきながら、予想を裏切りもうひと展開あるドラマ性溢れるメロで聴かせる4曲目、全体でWerewolf氏らしい、繊細なメロディのリフが聴ける5曲目、トラッド風味のメロが印象的な7曲目と、今までのアルバムと比較しても、どの曲もキャラ立ちしてると思う。

はっきり言って、下手な正統派やメロデス、モダンへヴィネスよりもドラマティックな曲・アルバム構成で、音質が一般的なメタル同様だったら、最早プリミティブブラックではなくなってしまうレベルだと思う。まあ、ミニマリズムをプリブラの定義に勘定するなら、現時点でも相当妖しいですけど(笑)。しかし、この音質だからこそ、「多くを語り過ぎない」感じがして、更に劇的に聴こえるんだとも思います。

彼らの作品は名盤とされる1stと3rdを聴きましたが、個人的にはその2作を超えるくらいのアルバムだと思う。1st→3rd→4thと聴き比べると確実にドラマ性重視の傾向は高まっていると思うし、1stよりも3rdの方が好みな方には是非聴いてほしいところ。


SATANIC WARMASTER - Satanic Warmaster - Clandestine Blaze(split) ★★ (2006-03-20 21:56:00)

Metal Maniac誌のインタビューでClandestine Blazeとコラボレーションしたとあって気になってたんですが、こんな豪華なスプリットが出てたんですね…ただのスプリットではなく、なんとお互いの曲を2バンドのメンバーが共演し、演奏するという趣向まであって、いてもたってもいられず買ってしまいました(笑)。

内容のほうは1~4とアウトロが共演曲で、Satanic Tyrant Werwolfはギターとベース、Mikko Aはドラムを担当。ヴォーカルは自分の曲は自分で歌ってます(1と3がSatanic Warmaster、2と4がClandestine Blaze)。5はClandestine Blaze、6はSatanic Warmasterの曲。

感想は…SWの「CARELIAN SATANIST MADNESS」やCBの「DELIVERERS OF FAITH」はプリブラを聴いた事が無い人でも闇に引き込みかねないぐらい、そのジャンルとしての完成度が高いアルバムだと思ったんですが、それと比べると少しマニア向けな感じ。特に音質は4トラックレコーダーで録音されたと書いてある通りかなり悪く、ノイジーだったり癖が強かったりじゃなく純粋にしょぼい感じ(笑)。特にギターの音が篭もっていてベースの音より小さいかも…

ただ、やはり才能のある二人の共演だけあって曲の方は素晴らしく、特に3や6のメロウさはこのバンドが好きならぐっと来ると思います。何かブラックのエリートが好き勝手やったらこうなったという感じの音源という印象。最初聴いた時は封印しようかと思いましたが、音質の悪さに慣れてくるにつれ曲の良さが伝わってきました。ただ、これを最初に聴くのはさすがにお勧めをしません。

まずは2バンドのオリジナルアルバムから聴くことをお勧めします。気に入ったらこちらも是非。


SATANIC WARMASTER - Satanic Warmaster - Clandestine Blaze(split) - Conspiring Winds of the Abyss ★★★ (2006-03-20 22:03:04)

CLANDESTINE BLAZEとの共演曲。
「バシュゥゥ…」という感じのノイズを含むバンドサウンドに、かなりメロウだけど弱々しい音質のリフが乗る曲。この二つを含んで疾走するだけで、既に一つの世界観を作り上げてしまっている感じです。


SATANIC WARMASTER - Satanic Warmaster - Clandestine Blaze(split) - Intro / My Torments ★★ (2006-03-20 21:59:44)

CLANDESTINE BLAZEとの共演曲。
音質が悪くメロウさがいまいち伝わりづらいのはネックですが、それを補って余りあるほどの邪悪なヴォーカルが素晴らしいです。グジュグジュ感があって気合入りまくり。イントロは…まぁ雰囲気ものかなぁ…


SATANIC WARMASTER - Satanic Warmaster - Clandestine Blaze(split) - To the Legions ★★★ (2006-03-20 22:05:36)

これは素晴らしい…ブラックの中でも「黒さ」と「寒さ」の二つが際立つリフを持っているため、約12分の長さでもしっかり聴かせきってしまいます。リフのせいで繰り返しが多いにもかかわらずドラマティックに感じてしまうほどです。


SATANS PENGUINS ★★ (2011-08-23 19:05:00)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
ブラックメタル史上、最もインパクトのあるバンド名だと思います(笑)。
SATANSの「S」が完全に字余りなバンドロゴも素敵過ぎる(笑)。


SATANS PENGUINS - Birds of Darkness ★★★ (2011-08-23 19:06:09)

2001年発表の1st。
ジャケやバンド名に釣られて買った人も多いのではないでしょうか(笑)。
私もその中の一人です。

しかし、中身は「釣られて良かった」と思える内容。
やや丸い感じの音質が、メタルの攻撃性よりも大らかな情景を感じさせてくれるアトモスフェリックなブラックメタルで、アコギやサックス、可憐な女性ヴォーカル等もフィーチャーし、メロディックに聴かせるスタイル。多くのパートで鳴っている、ペイガンに少し鬱系を混ぜたような、土着的でダークな叙情メロのトレモロが、アトモスフェリックなバンドサウンドに実に映えてます。

ペイガン系やアトモスフェリック系が好きならば確実に心地よく聴けるであろう音作りは成されてますが…歌詞を読んだり、ジャケを見たりしなければ全くペンギンが浮かんでこない音は正直どうかと(笑)。奇を衒った部分は、強いてあげれば子供のような声での粘着質な絶叫があったり、ハンドクラップを挿入したりくらいなもの。一部ではトラッドやクラシックを引用したりもしていて、ネタよりも真摯にメロウさを追求しているのが伺えます。

ただ、歌詞はやはりぶっ飛んでますが…適当に挙げると、「俺たちは嵐と共に飛び/稲妻と共に襲い掛かる/人類を絶滅させる為に/奴らが他のもの全てを絶滅させる前に」…この歌詞がペンギンの事を歌っているというのが衝撃ですよね(笑)。ペンギンが地獄の放射能で、鉄の嘴とチェーンソーの翼を持つクリーチャーに変貌する「Mutant Ninja Penguins(from hell)」辺りも凄い。っていうか曲のタイトルからして凄い。

音的には、正直ネタを求めて、インパクトを期待して買ったらがっかりする内容だと思う。しかし、ゆったりとした情景に浸れる、メロディアスでアトモスフェリックなペイガンブラックが好みの方なら、普通に名盤と評価してもおかしくはないと思う。女性Voも入ってますし、ノルウェーのSTORM辺りが好きな方は聴いてみては。


SATARIEL - Phobos and Deimos ★★ (2011-11-22 00:17:56)

02年発表の2nd。

…メロデスっぽいブラックとは聴いてましたが、もうこれ殆どメロデスですよね。高揚感を伴う、メロウなメロディを仕込んだ刻みリフとそれを活用したテンションの高い疾走、明確なサビやギターソロを聴かせるパートを含む曲構成など、雰囲気こそブラックに近いものの、曲を形作るパーツがことごとくメロデス的な感じ。

サビでクリーンで歌い上げる曲も多く、メタルコア好きがちょっと邪悪なものに手を出してみようとするのにもいいかもしれません。ただ、曲のクオリティは非常に高く、マニア以外も楽しめる好盤ではあるんですが…微妙にプロダクションがチープなのが勿体無い。厚みやクリアさはあるんですが、ドラムの音のバランスが少し悪く、B級っぽさが多少残ってる気がします。

また、メリハリの付いた曲展開にあわせ、詠唱っぽいマイルドなクリーンやデス的なグロウル、メロデス風のスクリームなどを使い分けるヴォーカルの表現力もなかなかですが、使える声が多過ぎてたまに個人的なツボから外れるのがちょっと…「Stranger World」のサビとか個人的には苦手。時折入るクリーンは太くて、マイルドで良い声だと思うんですが。

ブラックの中ではかなり聴きやすい路線の作風。
ARCH ENEMYとか普段聴いてる人で、多少地下臭いものも行ける方は是非。


SATEN - Index of Funeral ★★ (2010-04-09 19:12:00)

沖縄産ブラックンド・ドゥームメタルバンドの1stデモCD-R。2010年発表。

呪いの釘を打ち込むようなリズムと、それに呼応して悪霊が湧き出てくるようなドローンめいたギターの作り出す暗闇に、ピアノによる物悲しげなメロディが乗るスタイル。一般の葬式系ドゥームメタルバンドと比べると、ギターからほぼメロディが排されている事と、ヴォーカルが音と一体化したミックスによって、更にどす黒い情景を描いている感じですね。

葬式系ってモノクロの葬列シーンなどが思い浮かんだりするんですが、この音が想起するのはひたすら真っ黒な景色で、葬式というよりは陵遅刑に処せられている雰囲気。特に音割れも厭わないような悪霊ギターリフの圧力が凄まじいです。


SATURNIAN ★★ (2013-02-18 12:42:51)

イギリス産シンフォニック・ブラック。
先日Indie Recordingから1stアルバム「Dimensions」を発表。


SATURNIAN - DIMENSIONS ★★★ (2013-02-18 12:43:39)

2012年発表の1st。

良質なバンドの登場が相次ぐシンフォニック・ブラックメタル界に、ENSLAVEDやKEEP OF KALESSINを始め良質なブラック作品のリリースで知られる、Indie Recordingsより新たな刺客が現れましたね…。これがまた素晴らしい出来で、日々マンネリズムと格闘しながら、後進のバンドからは突き上げを食らうベテランバンドが正直ちょっと気の毒になってしまうほど(笑)。

ブラックメタルの、それも新進気鋭のバンドとしては驚くほどクサメタル界隈で取り沙汰されることの多いアルバムなんですが、それも頷けるようなド派手かつクッサクサな、ハイクオリティなシンフォニックブラック。息が詰まるほどに派手なキーボードを従えつつ、ブラックのアグレッションで疾走する様は正に圧巻。メタリックなヘヴィさを演出しつつ、要所で聴き手をクサトレモロ責めにするリフ捌きも良い仕事してます。リフだけでなく、リードフレーズも泣きとクサさがあって何気に素晴らしかったり。

しかし、このバンドはシンフォ要素の取り入れ方のセンスが素晴らしいんですよね…。よくCRADLE OF FILTHとも比較されている通り、メロディそれ自体にはゴシック的な美意識が感じられるんですが…そのメロディのぶち撒け方にゴシック的な隠微さは余り感じられず、むしろサウンドトラックの派手さやキャッチネスが強いような印象。可憐なソプラノの導入なども良いフックになっており、聴き手を一聴で虜にする力のある、非常に求心力の高い仕上がり。

DIMMU BORGIRの「Sympozium」辺りを聴いて、アルバム全体があんな派手だったらな~と思った方は多いと思うんですが、これはそれに近いものがある…と言ったら褒め過ぎでしょうか。取り合えずシンフォニック・ブラックマニアの方は避けて通れないクオリティですし、ジャンル初心者にも優しい聴きやすい音だと思います。少なくとも良盤以上、個人的には名盤評価でもいいかな、と思います。貫禄の点でベテラン勢には譲りますが、クサさはそれ以上かと。


SATURNIAN MIST - Chaos Magick ★★★ (2016-04-21 04:38:47)

2015年発表の2nd。
買おうかどうか悩んでいたところ、某ショップで割引の対象になっていたので購入。これは良いですね。フルプライスでも買って損に思うことはなかった作品だと思います。

デモ「Repelling」がかなりRawな路線、1st「Gnositicoi Ha-Shaitan」がデスメタル的な重さを感じさせる、エクストリームメタルとして高品質な音になっていたので、例えばBEHEMOTH辺りに通じる進化をするのかな…と思っていましたが、まさかこんな路線に行くとは…。前作よりも確実にマニアックになり、そして独特の魅力を増した作品だと思います。

バンドサウンドは前作同様の分離の良さは残しつつ、より刺々しくRawな音に回帰。そこにサイケデリックさとサタニックさが入り混じったような、耳に残る奇妙なメロディをトレモロリフにより迸らせるような作風に。前作よりもヘヴィネスは減退してる感じですが、メロディもプロダクションもより精神へダイレクトに「来る」ものになっている印象です。ヴォーカルの狂気染みた絶叫も精神世界へのトリップをより助長。

曲名もユニークで、「Voodoo Satan」「Yoga, Hate, Fuck」辺りのタイトルから作風は察していただけるかと。そういういかがわしくて精神世界的なムードが好きであれば大推薦なアルバム。ある意味分かりやすさ、伝わりやすさのある作品なので、間口はそれほど狭くないかも…?


SATURNIAN MIST - Gnostikoi Ha-Shaitan ★★★ (2013-09-21 10:32:06)

2011年発表の1st。

この2年ほど前に出たEP「Repellings」では刺々しいRAWブラックを演っていましたが、大分出音が変わった感じですね。デスメタル的なヘヴィさ、ブルータリティを取り入れ、よりエクストリームメタルとして直接的なビルドアップが図られた印象。結構メロウなギターソロも多かったりします。ただしBEHEMOTHを始め、HATEやRAVEN WOODSなど多くのバンドがブルデスに通じる音を出してるのに対し、このバンドの音はオールドスクールデスの禍々しさ、邪悪さが強調された音になっているように思います。

音質がクリアながら作り物っぽさを感じさせない、どす黒い靄に包まれるようなものであったり、楽曲によっては妖しげな女性ヴォーカル、神秘的なキーボードも用いられたりなど、ムード作りにはかなり拘っている感じ。ブックレットの凝り具合からも、オカルトなムードへの傾倒が伺えますが、それを十二分に音に込められているように思います。メロディも時折メロウさも見せつつ、密教的な妖しさを志向していて素晴らしい。デス由来のダイレクトな攻撃性、メタリックなヘヴィさがそのムードを全く壊していない、むしろ強調している辺りセンス良いですよね。

Repellingsも悪くなかったですが、大分路線を変えたこの作品は予想以上に素晴らしかったです。正直デスとブラックのハイブリッド的な路線を行くバンドの中でも、個人的にはかなりツボを突いた音を出しているバンドなんですよね。お勧めです。


SATURNUS - Martyre ★★ (2011-06-15 18:00:42)

2000年発表の2nd。

タイプとしてはゴシック・ドゥームでしょうか。
陰鬱…というよりは、ブルーズの泣きにも通じる、焼け付くようなメランコリックなメロディを奏でつつ、厳粛に進行するアトモスフェリックな作品ですが、ハモンドとギターリフのかっこいいユニゾンをロックなリズムに乗せるパートが一部にあったり、基本的には暗いながらも意外にハードロックのかっこよさが残っているのが特徴ですね。グロウル中心のヴォーカルも、それだけではなく、悲嘆に暮れるような呟きと、苦悶に満ちたがなりなどで曲の感傷的な雰囲気を更に濃密にしてます。

ただ、音質が繊細さ重視なためか、少しダイナミズムに欠ける感じがあるのが残念ですね…BARREN EARTHやSWALLOW THE SUN辺りのメロデスの哀愁とドゥームの重厚さを兼ね備えたバンドが好きならばほぼ確実に気に入るであろう、深遠な世界観を描いてますが、出来れば音質もこれらのバンドと同じくらいメタリックで、ダイナミックだと、個人的には更に良かったんですが。


SATYRICON ★★ (2005-08-29 20:58:00)

このバンドの1stが出た時、Satyrはまだ18歳だったらしいです。
1stが出たのが93年だから、あの「NEMESIS DIVINA」を作ったのは20歳
そこそこの時って事に…若くしてあんな名盤を作り、レーベルのオーナーも
こなすSatyrってやっぱり凄いですよね…
IhsahnやGarm、Fenrizといいノルウェーって早熟な天才の宝庫!?
まぁ、あそこは教育水準がかなり高いらしいですからね…


SATYRICON ★★ (2006-05-11 23:16:00)

SAYYRICONの新作、ロードランナーから出ている上に日本盤になってるからか、
普通にツタヤに売ってました…ああいう音楽がツタヤで買えるとは…
良い時代ですね(笑)


SATYRICON ★★ (2006-05-13 21:23:00)

うちの近くでは、何故かツタヤにあったのにHMVには無かった…
まあそのツタヤはNILEとかも以前置いてあったし、エクストリーム系が
好きな店員がいるのかもしれませんね。
しかし、思いがけない所でブラック系のCDを見かけると結構びっくりします。
流石にBURZUMはないですがブックオフでDIMMU BORGIRやNILEのCDを見かけた時は
驚きました。NILEはゲットしたけど、DIMMUは他の人が買ってしまった…
ちょっと惜しいことをしてしまったかもしれません。


SATYRICON ★★ (2006-07-27 21:35:00)

ちょっと前確かKerrang!にSatyrのお気に入りの曲リストが載ってましたが、
意外なことにDARKTHRONE等に混じってMASSIVE ATTACKがありました。
でもThe 3rd and the Mortalなんかもそっち系の方向に進んでるし、
北欧のエクストリーム系のミュージシャンがそういうのを愛好するのは珍しくないのかもしれませんね。
Satyrはサイドプロジェクトで打ち込み系で感覚に訴えてくる音楽とかやらないのかな。


SATYRICON ★★ (2008-11-07 22:24:00)

新作の二枚組みのコレクターズエディション、EP「My Skin Is Cold」が
全部丸ごと収録されてますね。EP買った私としてはちょっと悔しいですが(笑)、
「Mother North」のライブ版などがあんな限定品のみに収録だけで終わるのは
惜しすぎるので嬉しい限り。でもそういうものが出ると、日本盤の価値が…(笑)。


SATYRICON - Dark Medieval Times ★★★ (2008-07-12 22:51:00)

93年発表の1stで、Satyrが18歳の時の作品らしいです。

作風的には、アコギやトラッドメロを導入した、プリミティブよりのブラックメタルと言えそうですが…展開が唐突で捻くれていて、アヴァンギャルドに聞こえるのも大きな特徴。後の4thや5thで見せる変な展開は計算してやってるのが分かるんですが、この時点では天然なのか計算なのか判断できない音ですね…。

ノイジーな音質で暗黒世界を演出しつつ、邪悪な影が横切るようにキーボードが入る部分なんてLUNAR AURORAの4th辺りにも似てると思う(特に1曲目後半、ドラムがSE的に鳴るパートなど)んですが、この年齢で、ジャンルが未発達なこの段階で、こんな音を出してるなんて天然でやってるとしたら恐ろしいセンスの持ち主だし、計算でやってるなら天才だと思います。

凄みでいうなら、ある意味EMPERORの1st以上と言えるかもしれません。EMPEROR、MAYHEM、BURZUMがノルウェーの3大ブラックとされているようですが、SATYRICONもその3バンドに比肩するか、それ以上に才能に恵まれたバンドだと思います。


SATYRICON - My Skin is Cold - Existential Fear-questions ★★ (2008-07-10 17:26:21)

元はLP盤「VOLCANO」のボーナス曲らしいです。
あのアルバム自体奇怪なメロディが結構多かった印象がありますが、この曲はどこか大陸的なイメージが浮かぶメロディまで…雲よりも高い、仙人が住む山とかが浮かんでくるような妙なメロ。サビ前のキーボードの音色など、随所にセンスの良さが溢れてます…が、あの情けない感じのコーラスは一体…あれはSatyrの声なんでしょうか(笑)


SATYRICON - My Skin is Cold - Live Through Me ★★ (2008-07-10 17:30:38)

これも「VOLCANO」LP盤のボーナス曲。
「VOLCANO」の制作時、メンバーは日本や中国の文化にでもはまっていたんでしょうか…「Repined Bastard Nation」以上に、和を感じる妖怪メロディが前面に押し出された作風の曲。ただ、途中1分半辺りからのサイケなパートのリフが結構ダルイのがちょっと…その後の展開はめっちゃかっこいいんですが。


SATYRICON - My Skin is Cold - Mother North ★★★ (2008-07-10 17:41:26)

このEP、レコードと抱き合わせなのでちょっと高かったんですが、この曲が聴けただけでも買って良かったと思えました…。
オーケストラとの共演ライブテイクで、イントロにオーケストラと客の大合唱をフィーチャーしたアレンジ。オーケストラが入った事でミッドテンポ部分に地獄の劫火が燃え盛っているかのような視覚効果が付与され、ブリザードリフを伴う疾走パートとの対比によって圧倒的なスケールの大きさが実現されてます。原曲よりもドラミングが聴き取りやすくなってるのも○。シンフォ系のバンドでもここまでスケール大きい曲が作れてるバンドっていないと思う…ブラック史上に燦然と輝く超名曲である事を、改めて見せつけられてしまいました…。


SATYRICON - My Skin is Cold - My Skin is Cold ★★ (2008-07-10 17:21:47)

2007年の10月、東京を訪れた際に見た夢からインスピレーションを得て作った曲らしいですね。翳りのあるメロディにロック的リズムを組み合わせた作風は「Now, Diabolical」の路線を踏襲してますが、溶岩が流れるような粘性・流動性の高いトレモロをフィーチャーしており、印象としては「Now, Diabolical」と「Volcano」の相田の作風という感じ。
曲自体は良いんですが、このEP「Now, Diabolical」よりも1~2メモリくらい音が小さいんですよね…。ちょっと迫力に欠けるので★は二つ。


SATYRICON - My Skin is Cold - Repined Bastard Nation ★★★ (2008-07-10 17:33:56)

「Mother North」は妥当な選曲だと思いますが、ライブテイクのもう一曲にこれを選んでくれた事自体が凄く嬉しい。この曲大好きなんですよ…。Satyrのヴォーカルはいつもより潰れ気味だし、何故か位置が右寄り(「Mother Northのライブ版では直ってる)ですが、生々しさが伝わるのでオッケー(笑)。ブラスを入れた事で、毒々しさがより強く出た仕上がりになったと思います。


SATYRICON - Nemesis Divina ★★★ (2004-09-15 21:37:00)

EMPEROR2ndの日本盤の解説にて「ブラックメタルの名盤であるEMPERORの1stアルバムを超えるものを提示する所さえ感じられた」のように書かれていたのが本作。…ってそんな事言われたら聴きたくなっちゃいますよね(笑)因みに1997年発表の作品。

DISSECTIONを更にアグレッシブにしたような印象のあるメロディックなブラックメタルで、音質はまあまあといった所でしょうか。ドラムの音がやや軽く、凄まじいまでのプレイをしているのにちょっと勿体無いなと思うところがあったり、ギターのディストーション・ノイズが「シャー」という感じの音でメロディと打ち消しあってしまっている印象のところがあったりしたんですが、基本的には良好です。

しかし、このアルバムの収録曲はブラックメタル特有の冷厳で非常に美しいメロディがあちこちに散りばめられていて、そこはギターのディストーションノイズを考慮しても感動すら覚えます。特に③はその冷たいメロディとドラムの疾走が上手い具合にマッチしていて、ブラックメタルの中でも不朽の名曲となっていると思います。②や④ではラストがメロディアスになるんですが、そのメロディを奏でている楽器の音が強調され、ある意味では聴きやすい音作りになっています。

またヴォーカルも独特の声で、呻きとがなりを混ぜたような潰れた声で良い意味で気味の悪い声で、偶にサディスティックな笑い声も発揮します。MARDUKのLEGIONと似た声だと思いますが、声量では向こう、不気味さではこちらに軍配が上がるといったところでしょうか。なかなか良い声ですよ。

…それにしてもこのバンド、ブラックの中でもメイクが凄いバンドだと思います(笑)


SATYRICON - Nemesis Divina - Du som hater Gud ★★★ (2004-09-15 21:38:30)

この曲、ラストにピアノが入るパートがあるんですが、何とも形容し難い程の美しさです。この曲のメロディはクラシックの名曲群に比肩する、もしくはそれ以上の素晴らしい物だと思います。
ブラックはブルータリティに加えこういう要素があるから止められないです。


SATYRICON - Nemesis Divina - Forhekset ★★★ (2004-10-15 10:39:45)

ラストで荘厳になるという点で「Du som~」と似ていますが、そこまでの展開ではこっちの方が好きです(反対にエンディングは向こうのほうが好き)。とりあえず、リフが勇壮な雰囲気を帯びてきたらその後にめちゃめちゃ良いメロディが来る合図ですので、心して聴いて下さい(笑)


SATYRICON - Nemesis Divina - Mother North ★★★ (2004-09-15 21:37:48)

イントロから奏でられる冷厳なメロディ、そこにブラストビートが絡んで正に永久凍土に吹き荒れる吹雪のような迫力。
更にそこに宗教的なコーラスまで入ってきて…この展開にはもうたまらない物がありますね。このパートは破滅的な宗教絵画を見てるような荘厳さです。一回聴いた時からこの曲は自分的には超名曲決定でした。
いつもより心持ちテンション高めで「カモン!!」とまで叫んでるヴォーカルも好印象。


SATYRICON - Nemesis Divina - Nemesis Divina ★★ (2004-10-15 10:39:21)

この曲の笑い声は本当に怖いですね…(笑)
個人的には中盤、戯曲的なメロディから一気にブラストで加速するパートがドラマティックで気に入っています。それとこの後のエンディングのインストは、悪くないけれどこの曲がこんなにも大仰に終わる(フェイドアウトと思わせておきながらインストがせり上がるように入り、そのインストもフェイドアウト…という凝ったエンディング)のだから別に必要無いと思ってしまいました。


SATYRICON - Nemesis Divina - The Dawn of a New Age ★★★ (2004-10-27 23:49:24)

ブラックの一曲目って個人的には名曲が多い印象があるんですが、その中でもこの曲は目立った名曲と言えるでしょう。その荘厳なメロディや剣を抜くエフェクトなど、中世の雰囲気が漂っている所がとても気に入っています。
ちなみに歌詞はクレジットにもあるように、聖書のヨハネ黙示禄をSatyrが歌詞に合うよう少し書き換えたもの。本当に聖書にこんな恐ろしい情景描写があるのかって感じですが、ちゃんとあります(笑)


SATYRICON - Now, Diabolical ★★★ (2006-05-11 23:08:00)

2006年発表の6th。

このバンドは3rdの「MOTHER NORTH」あたりで寒かったり荘厳だったりするメロディを極めてしまったのか、4thからはそういう感覚よりも厭世観を醸し出す作風になってきていますが、まさにこの作品はその延長線上にあるアルバムだと思います。

4thと比べると、寒さや荘厳さだけでなくブルータリティやスピードに割かれていたエネルギーを大幅に世を疎む力に変換したような作風で、基本的にミディアムテンポで、暗すぎるメロディのリフでじわじわと脳髄を浸食していくような印象を受けます。Satyrの書くリフはブラックメタラー全般に受けるような邪悪トレモロリフよりも平坦で鬱屈したものが中心だし、Frostのドラムも1349の時の様にブラストで全てをなぎ払うものではなく、あくまでタイトに曲を盛り立てていく感じで、ある意味ではマニアックとも言える作風だと思います。

もちろん音質は最高レベルで、特にギターがディストーションの音色の重さに頼り過ぎない繊細さがあって気に入りました。ドラムがかっちりしているのも曲と良くあってますね。Satyrのヴォーカルは機械的な印象すら覚える程に研ぎ澄まされたがなり声で、4thの時よりも更にかっこよくなっている感じ。吐き捨てるときに結構ドスも利いてて迫力あります。ぶっちゃけブラックでは普遍的名盤扱いされている3rdと比べるとかなり好みが分かれそうな感じですが、私的には今まで聴いたアルバムの中では最も気に入りました。

しかし、1349やKEEP OF KALESSINなど、このバンドに関わったバンドが次々に名盤を放出しているので、肝心のSATYRICON自身はどういうアルバムで来るのかと思ったら…。このバンドにMAYHEMやEMPERORなど、パイオニアとして地位を築いたバンドほど、更に音楽性を発展・変化させていく傾向が強い気がします。

もしかしたら前述の1349やKOKなど良質なバンドが頑張っているからこそ、彼らはこういう挑戦的なものが作れるのかもしれませんね。ちなみにこのアルバム、DFの「Attera~」同様、買うなら絶対日本盤をお勧め。「STORM(OF THE DESTORYER)」は今のSATYRICONがストレートな曲をやったらどうなるかという感じで、ブラックメタラーなら一撃で悶絶するクラスのかっこよさです。
日本に生まれて良かったかも(笑)


SATYRICON - Now, Diabolical - A New Enemy ★★ (2006-05-13 21:15:26)

この曲もカッチリしたドラムと鬱リフな曲ですが、Satyrの普通声や語りも入ってます。Satyrの声は呟くようですが低く威厳があり、預言者を思わせる恐ろしさがあります。
曲のメロディ自体もまるで既に破滅した町に危険を告げるサイレンが鳴り響いているようで、相変わらずダーク&ディプレッシブです。


SATYRICON - Now, Diabolical - K.I.N.G ★★ (2006-05-11 23:11:32)

このタイトル…「き・ん・ぐ(はぁと)」ってノリなんでしょうか…冗談です(笑)
曲的にはドラムのリズムやフィルなどを聴いているとちょっとノリの良い部分もある印象も受けるんですが、リフのメロディはやはり鬱屈した暗さがあります。その二つが合わさると掴み所があるようなないような不思議で不気味な曲調に。


SATYRICON - Now, Diabolical - Now, Diabolical ★★★ (2006-05-11 23:10:21)

この一曲を受け入れる事が出来るかどうかで、このアルバムが気に入るかどうかが決まってしまうくらいアルバムの作風を象徴するような曲だと思います。淡々としながらも、鬱系のメロディでじわじわ来る曲調、個人的にはたまらないものがあります。サビの毒々しくタイトルを吐き出す声もめっちゃ好み。


SATYRICON - Now, Diabolical - Storm (of the Destroyer) ★★★ (2006-05-11 23:14:05)

日本盤ボーナストラック。
約3分間疾走しつづける曲で、音がクリアなのでFrostのドラムの凄さがダイレクトに伝わります。リフもやはり荘厳さや寒さよりも陰鬱さを感じるメロディですが、ブラック好き垂涎モノのトレモロリフも出てきて単純にかっこいい。これ、ボーナスには勿体無いほどの超名曲だと思いますが…やっぱり本編にあると浮くからここにいれて正解なのかもしれませんね。


SATYRICON - Now, Diabolical - The Pentagram Burns ★★★ (2006-05-13 21:11:43)

どこか邪悪な世界に繋がる門の軋みのようなメロディから、さりげなくブラスを仕込んだサビへと繋がる展開が素晴らしい曲。このブラス、さりげなくも邪悪さや陰鬱さを更に増大させていて良い感じです。
間奏のソロもかなり暗いメロディで、タイトルの悪魔的イメージに恥じない名曲。


SATYRICON - Now, Diabolical - The Rite of Our Cross ★★★ (2006-05-11 23:12:47)

疾走パートはあっても、その部分ではリフがもったりと引きずるような感じになったり、あえて正統派に属さないようなヒネくれた展開は相変わらず。ですが暗黒アルペジオや破滅をもたらすような管楽器の音色によって表現されるダークな世界観は明らかにブラック特有のもの。こういう曲凄い好き。


SATYRICON - Now, Diabolical - To the Mountains ★★★ (2006-05-13 21:19:14)

最近のSATYRICONはラストに叙事詩的大曲を持ってくる傾向が強いと言われていますが、この曲も例に漏れずアルバム中最も演奏時間が長い曲です(とはいっても、8分30秒なので4thと比べるとそうでもないかも)。
しかし、呟きからいきなり邪気を吐き捨てるがなりになるヴォーカルはかっこいいですね。でも、タイトルのようなノルウェーの山々の風景は全く浮かんでこない暗さです(笑)。むしろ地獄の針山に向かって進軍しているかのようなイメージの曲。


SATYRICON - Rebel Extravaganza ★★ (2005-09-29 20:37:00)

日本盤も発売された、99年発表の4thアルバム。
前作と比べると、曲調も音質も結構変わってますね。

リズムの音がクリアーになり、Frostのドラミングの凄まじさが際立つようになった事と、ギターの音質が少しシャリシャリした感じのものになり、どことなく近未来的な印象を与えるような雰囲気になったように思います。リフの方は、前作ほどメロディアスではなく、実は最初気に入らなかったんですが、聴きこむ内に音質と相まってエクストリームメタルが好きな人にとっては耳に気持ちの良い物になっている事に気付き、好きになりました。「The Scorn Torrent」のイントロなんてメロディ自体も最高に良いですし。

でも…曲が長くなった事もあって、ミディアムスローパートで、リフがメロディアスでなく、しかも結構引っ張るような部分はちょっと今でもあんまり好きじゃないです…疾走パートはFrostのドラミングが物凄く、言う事無しですが。個人的には前作よりも好みの分かれるアルバムになったと思います。メロディアスなものよりブルータルで厭世的なものを好む方にお勧めします。


SATYRICON - Rebel Extravaganza - Filthgrinder ★★ (2005-09-29 20:40:09)

「汚物粉砕機」って…なんだか凄いタイトル…(笑)
特にドラムなんかそのタイトル通りの激しさで、しかも一本調子じゃなくてかっこいいです。個人的には「for 777 years」の部分のSatyrの、がなりからいきなり呟きになる所が好き。預言者のような、妖しげな雰囲気がよく出ています。


SATYRICON - Rebel Extravaganza - Supersonic Journey ★★★ (2005-09-29 20:41:00)

アルバムの中で最も近未来的な印象を受ける曲。
「axis」「galactic」といった単語の選び方や、ドラムにピキュピキュいうエフェクトをかけていたりする事からそう思うのかも。Moonfogのコンピレーションに「Mother North」と共に提供した所からも、本人達もお気に入りの曲だと思われます。


SATYRICON - Rebel Extravaganza - The Scorn Torrent ★★★ (2005-09-29 20:39:11)

この曲のイントロのリフ、アルバム一の聴き所と言ってもいいくらい良いですね。悪魔を召喚するような邪悪リフです。歌が始まってからのリフも優美でなかなか。
中盤は引っ張りすぎのきらいがありますが、終わりのいつまでも続く無呼吸(?)ブラストもアルバムの締めに相応しい激しさ。この時にFrostに話し掛けたら殺されても仕方ないと思わされるくらいのハイテンションです。「俺たちの正義が慈悲により/劣等者への慈悲へと代えられてしまう世界で」と言う部分には、このバンドの思想的な部分が現れているように思います。


SATYRICON - Rebel Extravaganza - Tied in Bronze Chains ★★★ (2006-05-04 20:36:49)

一曲目から10分超え…これじゃあ前作と比べてマニアックなアルバムと言われるのも仕方ないかも。しかし、Frostのドラムは凄いですね。早く正確なだけじゃなく、バスドラの低音を上手く使って幽霊が出てきそうな雰囲気を醸し出したりして面白いです。


SATYRICON - Satyricon ★★★ (2013-09-05 19:08:02)

なんと日本先行発売だとか。これは嬉しいですね。

前々作の「Now, Diabolical」以降、ブラックメタルの滲み出る邪悪さをロックのダイナミズムを通じて実体化させたようなブラックを演っている彼らですが、ロックのキャッチネスという点では「Now, Diabolical」で一度ピークを迎え、前作の「The Age of Nero」では鬱々とした雰囲気や冷徹な感触など、よりムードの濃さが強まった印象だったんですが、今作もその方向で進化している感じですね。

ブラックメタルの威風とネガティビティを感じさせつつも、分かりやすいメロディをフィーチャーしたリフに、ロック由来のダイナミックさ、力強さを感じさせるドラムが合わさると、まるでどす黒い空をバックに聳える万魔殿を目の前にしたような迫力。よくある箔を押したようなヘヴィさのオーバープロダクションではなく、楽器の音色をしっかり重視した音作りですが、「The Infinity of Time and Space」辺りの楽曲が持つ纏わり付くような…というか、有機的な暗黒性はこの音作りでこそ出しえるもの、という感じがします。

また、今回は自らの代表曲と言っても差し支えないくらいの自信作らしい「The Infinity of Time and Space」を始め、土着的なメロディを前面に出した「Natt」、彼等にしては渋いメロディ使いの「Our World, It Rumbles Tonight」などを始め、今までにも増して楽曲の個性が強い感じ。ただ、ゲストヴォーカルのクリーンを前面に出した「Phoenix」はちょっと…声質が合ってる分、WATAINの「They Rode on」やBEHEMOTHの「Inner Sanctum」よりは大分マシですけど…これだけは正直好みじゃないかも。

前作、前々作を気に入った方なら待った甲斐がある一品と言えるでしょう。当然お勧めですが、なんか前作同様2枚組の豪華使用盤とかが後から発売されそうな気がしてしまうんですよね…。まあすぐ聴きたいんで、入荷日には早速CDショップに行ってゲットしましたけど。前作の後発2枚組に収録の「Repined Bastard Nation」「Mother North」の超名曲ライブテイクとか卑怯過ぎですもん。ああいうのは勘弁して欲しいです(笑)。


SATYRICON - The Age of Nero ★★★ (2008-11-20 18:52:00)

2008年発表の7th。

路線的には、厭世的な鬱メロのリフにロック乗りのダイナミックな、ダンサブルなリズムを組み合わせたスタイルのブラックメタルで、前作の作風を踏襲している感じですね。こういうリズムだと外向きの音楽に感じられるんですが、彼らの凄い所は、外に合わせてやりたいこと、表現したい物を抑える事を全くせず、むしろリフ一つで外の景色を黒く塗りつぶしてしまうような凄みがある事だと思います。ブラックにロックのリズムを持ち込んでスピリチュアルな領域に達したバンドの中では、SAMAELが陽なら彼らは陰というイメージ。

ただ、前作と比べると、キャッチーなコーラスパートを配した曲は多いものの、前作の1、2曲目ほどのキャッチーさを誇る曲はないかな、という印象。その代わり、先行シングルにもなった「My Skin Is Cold」の魔が外界に溢れ出してくるようなトレモロ、「Last Man Standing」の闇が忍び寄ってくるようなメロディなど、音から見える情景は更に濃くなっている感じ。SATYRICON史上最もダークなアルバムというのも強ち誇張ではないと思います。

唯一の不満はライナー以外なーんのうまみもない日本盤。
EP「My Skin Is Cold」丸ごとやリミックスを収録したコレクターズ・エディションを買えば良いんですけど、専門店じゃないと入荷しないと思うし、専門店でもいつ再入荷されるのか分からないしで待ちきれず日本盤買っちゃったんですが、ボーナストラック一曲も入ってないし…。せめて生ブラス入れた「Mother North」のライブバージョンくらい入れてくれてもなぁ…。


SATYRICON - The Age of Nero - Commando ★★ (2008-12-20 22:31:24)

この曲、アートワークと音が凄くマッチしてますよね。
アートワークの軍用ヘリの編隊が空襲に来たかのような冷徹で殺気を孕んだ「戦闘開始!」なオープニングにテンション上がります。ただ、「Push hard」の普通声の歌い方が微妙にダサめなのが少し残念。


SATYRICON - The Age of Nero - Den siste ★★★ (2008-12-20 22:28:35)

母国語で歌ってることも大きいのかもしれませんが、この不吉で湿り気のあるムードは表現方法こそ全く違うものの、1stや2ndにも通じる物があると思います。鬱や絶望など、極端な感情の表現に優れたバンドは数あれど、「不吉さ」みたいな淡い雰囲気をここまで堂々と、威風を持って表現できるのは彼等くらいではないでしょうか。


SATYRICON - The Age of Nero - Last Man Standing ★★★ (2008-12-20 22:39:23)

やっぱりSATYRICONって、メロディ要素が以前ほど前に出て来なくなっただけで、メロディのセンスそのものは類稀なものがあると思います。麻薬中毒者が見る幻覚で、血管の中を蛆や蛇が這い回るというものがあるらしいですが、それを音で表現したかのような、気持ち悪い流れのメロディ。


SATYRICON - The Age of Nero - The Wolfpack ★★★ (2008-12-20 22:35:41)

前作並みか、それ以上にキャッチーなヴォーカルラインが特徴な曲。
デスヴォイスの曲なのに口ずさめるし、やろうとおもえば輪唱だって出来そうだし(笑)。取っ付きやすさ、聴きやすさを備えていながら、内に秘めたスピリチュアルかつダークなエナジーはどんなブルータルなメタルにも負けていないと思います。


SATYRICON - The Shadowthrone ★★★ (2008-12-02 17:23:00)

94年発表の2nd。

メロディックブラック/トラッド寄りブラックとしての支持の厚いこのアルバムですが、私はBURZUMとは違う方法論で、ブラックをアンビエントに接近させた作品なんじゃないかと思ってます。特にギターの、時にノイズ質で音像に靄をかけ、催眠的な雰囲気を強めたり、時に中世的メロディで直接情景を描いたりなど、バンド音楽としてのグルーヴは二の次で情景を描く事に専念している音色にそれが顕著。

早い話、Satyrのソロで中世的な世界観を描き出すシンセアンビエントのWONGRAVENを、描く情景はそのままにブラックの音像で表現した感じ。最近VELVET CACOONやALCESTなど、ブラックのノイズ質を利用してアンビエントやシューゲイザーに接近するバンドが認知されはじめてますが…私はBURZUMがこのムーブメントの源流にいると思ってたんですが、初期SATYRICONもこのシーンに強い影響を与えてるのかもしれませんね。

しかし、このアルバムが真に魅力的なのは音楽性が独創的なだけでなく、きちんとメロディックブラックとしての質の高さも両立させていることでしょう。WONGRAVENでも大いに聴かれた中世的なメロディはやはり素晴らしいし、要所でのFrostのブラストも迫力がある。

以前DIMMU BORGIRが初期のアルバムをメタリックな音で再録してましたが…私的にはSATYRICONにこのアルバムでそういう試みを演って欲しかったです。「Dominions of Satyricon」辺りは最近のライブでも演るみたいですが、せめてライブ盤を出して欲しいなぁ…シングルのカップリングじゃ物足りないです。

ブラック関連のアーティストのインタビューなどを読むと、ブラックは最近のものよりも昔のものを好んで聴く人が多いみたいですが…今のブラックのシーンも好きだけど、確かにこの頃のブラックメタルの作品って不思議な魔力みたいなものが宿ってるものが多いと思う。感性なのか計算なのか分からないのは前作同様なんですが、Satyrが天才である事を裏付ける作品だと思います。


SATYRICON - Volcano ★★★ (2008-07-10 22:46:00)

2002年発表の5th。

…私はこのアルバム、以前までは「Rebel Extravaganza」と「Now, Diabolical」の橋渡しをする、言わば過渡期の作品だと思ってたんですが、聞き込むうちに考えが変わってきました。

確かに全体を通じて感じられる厭人・厭世的で色の薄いメロディは4thと通じるし、ロックのリズムのダイナミズムをブラックに取り入れている所は6thっぽいんですが、キャッチーと見せかけて間奏を延々と引っ張ったり脈絡なく女性ヴォーカルが登場したり、ラスト唐突にブラスト入れて曲を終わらせたりといった破天荒な展開がアヴァンギャルドに聞こえる作風はどこか1stにも通じているように思います。1stでは天然でやってるのか、計算してやってるのか分からない感じでしたが、この作品では作曲力が上がった分確信に満ちている感じ。

また、「Repined Bastard Nation」「Mental Mercury」で見せる美しいメロディや、「Black Lava」のエピック性などは、1st~3rdの彼等の個性が形を変えて表れたものにも思えます。SATYRICONって劇的に変化してるように見えて、実は全作品繋がってる気がします。このアルバムからロック的な部分や陰鬱なメロの部分に重きを置いて派生させた進化系が「Now, Diabolical」だと思うんですが、どうでしょうか。

私はこのアルバム、SATYRICONの今まで辿って来た音楽性が騙し絵の様に織り込まれた、集大成的な作品だと思います。もしかしたら彼等の真の名盤と言える作品かもしれません。


SATYRICON - Volcano - Black Lava ★★★ (2006-10-05 18:10:54)

脳を絶望が浸食していく…とは、言い得て妙ですね。
この14分の大作を聴いていると、ほんとに寿命が縮みそうな錯覚を覚えます。ライブでも結構演奏頻度が高いらしいですが、邪気に中てられすぎて戻す人とかいそうだし(笑)。SATYRICONはブラックの中でも売れているらしいですが、このコマーシャルとは対極にある曲調…素晴らしいです。


SATYRICON - Volcano - Fuel for Hatred ★★ (2006-10-05 18:17:58)

SATYRICONの曲の中では普通のメタル好きにもアピールしそうな曲。
鬱要素も少なく聴きやすいと思います…といっても、こういう曲でもやっぱり微妙に暗さがあるのがポイント。これはプロモも作られてますが、メンバー的にはこの曲をプッシュしているんでしょうか。この曲で一般メタラーを惹きつけてアルバムを買わせ、BLACK LAVA辺りで絶望を味あわせるのかも(笑)


SATYRICON - Volcano - Mental Mercury ★★★ (2006-10-07 12:18:22)

トレモロリフやブラストビートというブラック的なアイテムこそ使われているものの、全体的な印象はやはり一般的なブラックメタルバンドの曲とは違う感じ。でも後半のメロディなんて鬱や絶望系でありながら、哀愁要素がそれ以上に強いため、3rd辺りのメロブラ路線にハマった人にもお勧めです。


SATYRICON - Volcano - Repined Bastard Nation ★★★ (2006-10-05 18:14:05)

なんかイントロ等のリフ…和を感じるんですが私だけでしょうか。
卒塔婆とか妖怪とかが思い浮かびます。トレモロリフも飛び出しますが、NEMESIS DIVINAの頃のような荘厳なものではなく、あくまで鬱メロ。分かりやすさとマニアックさが高い次元で同居している曲だと思います。何気にSATYRICONでは1、2を争うほど好き。


SATYRICON - Volcano - With Ravenous Hunger ★★ (2006-10-07 12:21:10)

彼らの作品の中では、「VOLCANO」と「NOW, DIABOLICAL」が良く比較されますが、後者のタイトル曲とこの曲が両作品の作風の違いを如実に反映していると思います。ノイジーなイントロや長い間奏など、こっちの方がややマニアックな感じ。


SAWDUST IN ME - Mortification Made Me ★★ (2008-07-06 20:06:00)

2007年発表の6曲入り1st。
私はゴス系はフェミニンな方が惹かれるので、ピンクを基調としたバックにお菓子や
ケーキ、愛らしい動物達を載せた可愛らしいジャケに、帯の「ゴシック/ダークエレクトロ」の
フレーズの組み合わせにはかなり目を引かれましたね…(笑)
曲的には、「ゴシック/ダークエレクトロ」というフレーズから想像する通りの
インダストリアル寄りの音を、普通声をはじめ高圧的・演劇的な高音スクリームや
おどろおどろしい低音デスヴォイス、リズミカルなラップ風など様々なヴォーカルで
派出に味付けした感じですね。過激なサウンドながら、意外にも低音はかっこよく、
高音は可憐かつ甘美に響く普通声がかなり魅力的。低音デスヴォイスもTYMAHのDimを
思わせるような真に迫った響きがあって良い感じ。
ただ、過激ヴォーカル入れすぎの攻め攻めの姿勢はどこか元気さを感じさせてしまい、
世界観に取り込まれそうな恐さと相殺してしまってるように感じがするのは残念。
また、低音デスや普通声は良いんですが、スクリームの狂気の表現力やラップのキレ、
英語の発音など少し弱いと箇所も。正直、巷で叩かれがちなASHDAUTAS VRASUBATLATの方が
演技力は全然上だと思う…。ただ、高音スクリームの方は完全な狂気声じゃなく、
少し甘さを残しているからこそフェティッシュな雰囲気を保っているのかもしれませんが。
と、結構辛く書きましたが世界観自体はかなり良いものを持っていると思います。
6曲目なんかは凄く雰囲気があると思うし、将来凄い事になるかも…と思わせるに十分の作品。


SAWDUST IN ME - Mortification Made Me - Heaven ★★ (2008-07-06 20:08:08)

最後のこの曲で漸く期待した以上の恐さを感じられました…何かが軋むような音を用いたリズムトラックの使い方が実に効果的。時間の流れが歪んでしまった世界に取り込まれてしまったような感覚を味わえます。ただ、演奏時間が短いのは物足りない。これで10分以上とかあったら間違い無く★3つ超名曲の評価なんですが…。


SCALD - Vermiculatus ★★ (2007-01-25 19:30:00)

2006年発表の2nd。
47分の大作インストを一曲のみ収録。
このバンドは某Disk Hellのレビューにて、borisを始めとしてANAAL NATHRAKHやOPETHが
引き合いに出されていて、一体どんなバンドなんだろうと気になりEncyclopaedia Metallumで
概要を見ると、ジャンルが「エクストリーム・アヴァンギャルド・プログレッシブ・スラッジ・
ドゥーム・グラインド」との表記が…いても立ってもいられず衝動買いしてしまいました(笑)
音は前半はアコギやキーボードを取り入れたりして雰囲気を出したり、低音を効かせた上に
奇妙なリードフレーズを入れたりプログレッシブな感性が発揮されつつもバンドサウンドで
聞かせ、それ程「メタル」の範疇から離れていない感じの音を出してますが、途中の何匹もの
蟲が耳に集って離れなくなるようなノイズが現れた辺りから一転、音響の世界に足を
踏み入れます。その後半もノイズの中からキーボードが現れたり、叙情性は微かにありつつも
ヘヴィな前半以上に耳に優しくない音。ラストは鬱な余韻を残しつつ締め…どっと疲れが(笑)
そんな感じの合成魔獣的な音楽ですが、個人的にはこの作風なら前後半で分けても良かったかも。
どっちのパートも良いんですけど、出来れば別々に聴きたい感じ。前半のバンドサウンドを
聴いてる内に後半のスラッジ/ドゥームパートを聴きたい欲求が萎えてしまう事もしばしば。
とはいえ、その流れで聴く事を強制する辺りにこの作品のカルト性があるのかもしれませんが。
でも折角グラインドがルーツにあるんだから、それこそ速すぎて音が記号的な意味しか
持たなくなるようなファストパートもあったらもっと面白かったのになぁ。
かなりユニークな音源ですが、実験好き以外にはあえて勧めません(笑)


SCARCROSS - Freidenker ★★★ (2011-05-10 21:18:17)

2011年発表の1st。
これはIKUINEN KAAMOSに続くプログレブラック/デスの逸材かも…。

路線としては、OPETHやIhsahnのソロ作品(特に1stと2nd)を思わせる、場面変化に富んだ、ドラマティックでプログレッシブなエクストリームメタルですが…プロダクションに多少(耳に痛くない程度に)ブラックの土石流系の、ノイジーな音色が含まれているのが特徴。ブルータル(獣性を伴う野蛮さ)よりも、フュリアス(激しい怒りのような荒々しさ)と表現したくなるような暴虐性。この音作りで、ドラマ性がより勢いを増している感じですね。

ただ、OPETHもIhsahnもプログレの要素を少なからず取り入れているのに対し、このバンドはあくまで展開やアンサンブルが「プログレッシブ」という程度で、キーボードの使用もごく僅か。また、全編通して聴けるリードフレーズの泣き具合が絶品。変に速弾いたり不自然に音を揺らしたりせず、丁寧にダークで甘美なメロディを弾いてくれていて思わず引き込まれる。この辺り、メロデス好きにもかなり取っ付きやすそう。

あと、個人的にはヴォーカルは特に褒めたいですね。
妥協を許さないテンションの高音がなりもかなり良いですが、クリーンが凄くツボ。ただマイルドで、絶叫とのギャップがあるだけでなくて、Ihsahnのような上品さがあるのが素晴らしい。ちゃんと曲の中でクリーンパートを設ける意義がある曲作りのセンスも相俟って、クリーンの素晴らしさは際立ってると思う。

という訳で、OPETH辺りから入って、後期EMPEROR、Ihsahnソロ、PERSEFONE辺りのプログレメタル漁ってる人なら必聴。泣きのメロディも強いので、BARREN EARTHやBEFORE THE DAWN辺りの、ゴシック要素強めなドラマティックな音出してるバンドが好きな方もハマれると思います。


SCARS OF CHAOS - Humanitarian War Machine ★★★ (2008-06-26 19:22:00)

2007年発表の2nd。
ANOREXIA NERVOSAのMr.Xortがプロデュースを担当していたり、使ってるスタジオが一緒だったりする事からも分かる通り、ANOREXIA NERVOSAに酷似したシンフォニックブラック。

ANOREXIA NERVOSAの作品(特に2ndや3rd)がシンフォニック・ブラックの名盤として高い評価を受けているのって、単にオーケストレーションがド派出でメロがいいからだけでなく、ギターがオーケストラのサポートに堕することなくしっかりと主張している事、正統派等の聞きやすい方向におもねることなくブラックメタルとしてのブルータリティを貫いている事などから来る、シンフォブラックとしてのバランス感覚が優れている事が理由だと思うんですが、このSCARS OF CHAOSもそうした特質を備えた、優れたシンフォブラックを演ってますね。

ただ、特にドラムの圧迫感に顕著ですが、激しさではANOREXIA NERVOSAの方が上。
…なんですが、シンフォニックな世界観を味合うには、気分によってはANOREXIA NERVOSAのサウンドは激しすぎると感じる事も多々あるので、これ位が適切かもしれません。と言ってもシンフォブラ基準で十分激しい音ですが。咆哮デスヴォイスとブラック的絶叫を使って巧みに曲の感情を描写するヴォーカルや嵐に巻き込まれるような壮絶なオーケストレーション、それに負けないバンドサウンドなどの、シンフォブラック根幹の魅力では負けてないと思います。

シンフォニック・ブラック好きなら四の五の言わずに聴くべき名盤。
ANOREXIA~が激しすぎて駄目、でもシンフォな音の渦に飲まれる快感は味わいたいという人にもお勧めのアルバム。


SCHAMMASCH - Contradiction ★★ (2014-07-29 21:58:42)

2014年発表の2nd。
TRYPTICONやSECRETS OF THE MOONのメンバーがゲスト参加している、新進気鋭のバンドとしては何気に豪華な作品。

神秘的な雰囲気を発しているジャケットと、前衛的な要素も含むブラックという触れ込みから、単純な邪悪さだけではない、スピリチュアルで形而上学的な領域に踏み込んだどす黒さの音を聴かせてくれる事を期待していたんですが、概ね期待通りですね。厚みのあるプロダクション、ドゥーミーで凄みの聴いたスローパートに重きを置いた展開、不協的で精神をダイレクトに汚染するような、どす黒く有機的なリフ、厳かに呪言を紡ぐようなヴォーカルが、蠢き侵食するような暗黒性を演出する、深遠な雰囲気のあるブラックメタル。

楽曲に取り入れられた前衛要素が悉く邪悪さに直結しているのも特徴で、スラッジに通じる音響処理が施されたリフであったり、宗教的なトーンを帯びた霊的なクリーンヴォーカルなんかはその典型ですね。1曲目のみですが、この手としては珍しくスパニッシュなアコースティックギターが用いられていますが、そんなアレンジでさえ何か禁忌の扉が開かれる前兆のように聞こえ、全編を通じて「黒い」ムードに覆われているのが感じられます。

ただ、こういうスピリチュアルで形而上学的なレベルの邪悪さを感じさせるバンドとして、真っ先に上がるのがDEATHSPELL OMEGAですが…DSOと比べると若干勿体を付け過ぎな風にも思えるんですよね。DSOで例えると「Kenose」のイントロ部分とか、「Fas」の静的な部分がやたら長い感じ。そもそもCDを二枚組にした上で、取り出しにくい紙ジャケットに放り込んだ時点で勿体付けすぎで鼻に付くし。ラストの曲をもう少し展開短くして、一枚に収めた上で取り出しやすい普通のケースに入れてくれたら、星3つ付けてたんですが。

とは言っても、神秘性や精神性を感じられるまでに邪悪さが濃いパートに関しては、DEATHSPELL OMEGAに肉薄する魅力があるように思うんですよね。DSOを始め、INFANDOUSやFYRNASK、NOVAE MILITIAEなど、精神を侵すようなどす黒さを演出しているバンドが好みであればお勧めです。せめて装丁が普通であれば…ホントこういうCDに傷が付く系の仕様嫌いだわ。


SCHMERZ - Chronika ★★ (2014-01-07 21:25:58)

2008年発表の1st。
SOUND HORIZONファンには「ん?」っていうアルバムタイトルですが、中身は普通に鬱ブラックです(笑)。そして鬱ブラックの中でも直球ド真ん中な音ではないでしょうか。

ジリジリと精神を追い詰める、うっすらノイジーなギターリフが気が滅入るようなメロディを奏でつつ、地の底からの呻きような、絶望的な絶叫ヴォーカル、全く覇気の無いゆったりしたリズム…全てが如何にもな鬱ブラックという感じ。個人的な印象としては「最早自国文化崇拝や音楽的実験をする気力もなく、人生を諦めたBURZUM」(笑)。

正直この手としても特徴に欠ける音ではあるんですけど、鬱系はどれだけ音と聴き手の精神状態がシンクロ出来るかなので、それはあまり問題にならないかと。鬱系好きであればすぐにでも入りこめる音。逆にちょっとでもこの手に食傷を感じてる人にはオススメ出来ません。


SCHONBERG - Splendid Rosa Birth ~華麗なるロサ、誕生~ ★★★ (2011-11-25 23:04:00)

2011年発表の1st。

以前リリースした二枚のシングル「ロサ・ギガンティア」「ロサ・クライシス」を聴いて、アルバム発表を楽しみにしてましたが…あの2枚を聴いてる人が聴いたら驚くんじゃないでしょうか。何もかもレベル上がり過ぎで…特にシングルで痩せたリフの音が前に出てたプロダクションは大幅に改善され、ネオクラ風のフレーズや絢爛なキーが前に出て、かつギターの音色の厚みも増した音像はシングルとは比べ物にならない説得力があると思う。

作風は…特に「クライシス」の方で顕著だったクラシカルでキャッチー、かつ耽美主義的なムードを、更に拡大させた感じでしょうか。歌謡的なメロスピをベースに、ネオクラやプログレの影響を受けた演奏に、オペラティックかつ陶酔的に歌い上げる女性ヴォーカルが乗って醸造される音は、シアトリカルで聴き手をバンドの持つ世界観に引き込むパワーに満ちている感じ。シングルよりも世界観が更に濃厚になってる。

ヴォーカルも押し引きを覚え、情熱を込めた歌い上げから妖艶な薄笑いを浮かべてそうな妖しい歌唱まで、表現の幅が格段に広がり、明らかにレベルアップしてると思う。何より素晴らしいのは、楽曲が非常に充実してるんですよね…。1曲目だけ名曲で、あとは地味…みたいなアルバムとは真逆の、どの曲をシングルにしてもいい全編キャッチーなメロディに満ちた作品。バンドも相当自信を持ってるんじゃないでしょうか。

世間ではクラシカル版の陰陽座、と言われてますが、確かに演出するものは違っても、どの曲もキャッチーな歌メロがあること、世界観の醸成に妥協がないことなど、共通するものはかなりあると思う。その手の女性ヴォーカルのジャパメタ、ゴシックなどが好きな方は是非。耽美系のV系バンド好きな方にもお勧め。


SCHRAT - Schattenwahn ★★★ (2012-10-10 20:50:08)

2011年発表の2nd。
韓国のMisanthropic Artより発売。

作風は、メロブラの中でもジャーマン系と北欧系の両方の特性が感じられるような音ですね。氷の礫が吹き付けてくるような、ザラついたリフの音色、常に薄くメロウな雰囲気を醸し出しつつも、ここぞという所で印象的な泣きメロが炸裂するスタイルは、NEGATORやGRAUPEL辺りのジャーマンブラックに近い感じですが、時折現れる、スラッシーなリズムに哀愁の篭もった、キャッチーなメロが乗るパートはTAAKEやGORGOROTH辺りの、正統派メタルが根底にあるであろうタイプの北欧古参ブラックの影響も感じられたり。

その辺りの名の知れたブラックを比較対象に挙げたくなるほどメロディのセンスは良く、特に3曲目では、FUNERAL MISTの楽曲に出てきそうな宗教色の強いメロディも出てくるなど、単にメロウなだけではない邪悪さも感じさせてくれます。ヴォーカルも肺胞の一つ一つに溜まった邪悪の気を一気に吐き散らすかのような、憎々しげな高音絶叫スタイルですが、何気に呪詛系の呻き声も使っていたり、実は表現力がある声だと思う。

このバンドも大量のフォロワーを生んだりするような個性を持っているわけではないんですが、メロブラとして堅実に良い作品を作ってると思います。古参バンドを一通り聴いて、このジャンルにどっぷり嵌まる覚悟が決まった人ならば確実に楽しめる作品かと。もちろん、変にマニアックな所もなく純粋に高品質なメロブラなので、初心者が古参バンドすっ飛ばして聴いたとしてもしっかり魅力が伝わると思います。


SCREAMING SAVIOR (惊叫基督) - Infinity (宙海) ★★★ (2013-07-24 20:41:06)

2012年発表の2nd。

どうも中国って鬱ブラックには強いけど、シンフォブラックではCHTHONICやANTHELIONのいる台湾、SAD LEGENDのいる韓国と比べると少し弱いような印象があったんですが、その勝手な思い込みを覆すような、ハイクオリティなシンフォニック・ブラックですね。刻みやメロディックなリフ、叙情的なギターソロも多用する、メロデス的な取っ付きやすさも備えるギターワークに、ストリングス・ブラス系の派手なキーボードだけでなく、二胡やピアノ、フルート(らしき音色)なども取り入れた、絢爛ながらメリハリの付いた作風。

二胡がまるでゲーム音楽の如きキャッチネスに満ちたメロディを振りまき、ギターソロも叙情的な「Ode to Expedition」の名曲振りを考えると、もっと二胡はメインでフィーチャーして欲しかったと思わなくもないですが…そういったあからさまにオリエンタルな要素を取り入れていないパートにおいても、どこか大陸的な大河に揺蕩うような優雅さがあるのが良いですね。「Sanguinary Salvation」のギターソロとピアノの絡みなんかはその好例でしょう。

メジャーバンドしか聴かないような人が聴いたとしても、きっと満足して頂けるに違いない、ハイクオリティで派手なシンフォニック・ブラックで、しっかりアジア産らしい叙情を感じさせてくれる良作なんですが…ちゃんと(?)灰汁の強さもありますね(笑)。通常のデス声の他に、笑って唸ってがなって歌う、演技派ヴォーカルがフィーチャーされてるのが正にそれ。前半での存在感が半端ないです。正直大袈裟過ぎて笑ってしまいます(笑)。

ブックレットを読むと、「俺たちの音楽を中国の外の人に聴いてもらう事が夢だった」と、ブラックメタラーとは思えない(笑)殊勝な言葉でレーベルへの感謝を述べていますが…このクオリティなら遅かれ早かれ世界中の好事家連中が目を付けたのは間違いないんじゃないでしょうか。CHTHONICやANTHELION、SAD LEGEND辺りのメロディックでオリエンタルなシンフォニックブラックが好みであればまず買って損はないでしょう。


SCUM - Gospels for the Sick (2011-01-13 19:17:11)

2005年発表の1st。

近年のDARKTHRONEや、MARDUKのMorganのDEVIL’S WHOREHOUSEなど、ブラックメタルとハードコアを掛け合わせた音楽性のバンドって、ブラック(及び地下メタル全般)由来のギターワークと、ハードコアのノリのよさ、野蛮さがいい感じで混ざり合ってる事が多いですが、このバンドにもそういう邪悪なかっこよさを期待して購入。

ギターワークは、ハードコアっぽいノリはかなり含みつつも、時折ブラックらしい黒いかっこよさも顔を出すもので、この折衷振りは期待通り。酔いどれかつダーティな感触のDARKTHRONEや、オカルト/ホラー風味なDEVIL’S~と比べると、このバンドの音楽性は攻撃性がロックとしてストレートな感じ。ヴォーカルはややメロディ追い気味の濁声で、個人的にはちょっと苦手なタイプかも。時折出る絶叫はかっこいいですけど。

私的にはそこまでどツボというタイプではないですが、たまにはこういうのも良いですね。


SDN48 - Next Encore ★★★ (2012-05-18 21:15:29)

2012年発表のベスト盤。

1stシングル「GAGAGA」から4thシングル「口説かれて麻布十番」までの表題曲及びカップリング曲、新曲「1ガロンの汗」を収録した全17曲。この内容でCDのみのバージョンなら2000円と、かなりお買い得な内容。私みたいな後追いに対しては凄く優しいアルバムです(笑)。このグループって、セミの羽を付けた衣装を着てたり、みのもんた氏とコラボしてたり、どうも奇抜な印象だったんですが…実際聴いてみると意外にも素晴らしい内容でびっくり。

正統派のアイドルポップスを目指したAKBと比べると、こちらは歌謡曲的な、少し暗めのメロディでムーディな曲が中心で、その哀愁がアイドル曲らしいキャッチネスと融合すると、ある意味クサいと言ってもいいような即効性の高さが生まれてます。アレンジはK-POP風からスパニッシュ、ピアノバラードからトランス風まで様々ですが、メロディの哀愁感は一貫していて統一感のある仕上がり。シングル表題曲のみならず、カップリング曲も含めて印象に残るメロディの宝庫。

また、多くの曲でウィスパー気味の歌唱を多用するのも特徴ですが…これがユニゾン多めの歌割とも相俟って、茫漠としたような妖しげな、抽象的なムードを掻き立てているんですよね。正統派な曲ではしっかりアイドルらしい溌溂とした、可愛らしい歌声も聴かせてくれたり、ソロバラードでは確かな歌唱力で聴かせるメンバーがいたり、ヴォーカルの面では個人的にはAKBよりも断然好きですね。何よりユニゾン多い曲でも没個性な感じがしないのが良いと思う。

しかし、残念ながら今年の3月末、実質的に解散(=全員卒業)してしまったらしいですね…。48系列のグループをいくつか試聴してみたんですが、このグループが一番音的に個性的だし、コンセプトもしっかりしてると思うのに、勿体なさすぎでしょう…。秋元氏のプロデュース方針は良く分からない…。まあともかく、AKB系列を嫌ってる人にもカウンターを喰らわせられる曲の良さがありますので、興味ある方は是非。特に歌謡系クサメタラーには大推薦です。


SDN48 - Next Encore - 1ガロンの汗 ★★ (2012-05-18 07:28:03)

アルバムの中でも普遍的なポップスで、アルバムのエンディングテーマとしてもぴったりな楽曲。コンセプトのしっかりしたグループで、結構癖の強い曲が多い印象ですが、こういう曲ではアイドルらしい溌溂感とか可愛らしさも出せているのが良いですね。振り幅の広さと、それに対応できる力のある、良いグループだと思うんだけどなぁ…


SDN48 - Next Encore - Everyday, カチューシャ (sdn48 Ver.) ★★★ (2012-05-18 07:32:47)

まだ本家をちゃんと聴いてないんですけど、これはかなり良いと思う。
くすんだ感じのストリングスの音色から、一気に弾けるように盛り上がるイントロからしてアイドルポップスのリスナーが期待しているであろう溌溂感が全開。サビメロの爽やかなんだけど、少し甘酸っぱい感じのする雰囲気も素晴らしい。AKBやその周辺を馬鹿にしてる人は多いですけど、じゃあこれ以上に溌溂として甘酸っぱくてキャッチーで可愛らしい曲を紹介してみろ、って話です。


SDN48 - Next Encore - Gagaga ★★★ (2012-05-18 07:44:12)

アイドルポップス/J-POP的な溌溂とした感じより、洗練されたアダルトな方向に向かうアレンジといい、ハングルでの合いの手といい、K-POPを意識して作られた曲らしいですね。しかし洋楽にはない、歌謡的で起伏に満ちたキャッチーな歌メロはやはりJ-POP的。私としてはK-POPや洋楽ポップスよりも断然好きですね、メロディの下世話なまでの親しみやすさとかほんと素晴らしい。


SDN48 - Next Encore - Min・min・min ★★★ (2012-05-18 07:34:45)

テレビで歌ってるのを聴いた時は、「奇抜な衣装だなぁ…」という印象しかなかったんですけど、ちゃんと聴いたら神曲でした(笑)。前半でセミの鳴き声の擬音を使った、特徴的なフレーズでキャッチーに決めつつ、後半で東欧の舞曲を思わせる華麗でメロウな絶品メロディを聴かせる、二段構えのサビがゴージャスで素晴らしい。日本的な「もののあわれ」を感じるCメロも良いですし、これはお勧め。


SDN48 - Next Encore - おねだりシャンパン ★★★ (2012-05-18 07:34:08)

最初はこのキャバクラのコールみたいなノリの掛け声が駄目だったんですけど、聴いてるうちになんか楽しくなっちゃいました(笑)。ああいうのってリアルでは「ノレない奴が悪い」的な暴力性を感じて嫌なんですが、この曲はミラーボールが回ってそうなバブリーな曲調とも相俟って、上手い具合にカリカチュアライズしてくれてるので楽しさだけが残る感じ。リズムに合わせた数々の合いの手や、「ピンクよろしく!」と意味不明ながらやたら耳に残る言い回しも好きです(笑)。


SDN48 - Next Encore - やりたがり屋さん ★★★ (2012-05-18 07:31:21)

キック強めのリズムに、「アイヤイヤイヤ」と特徴的なフレーズによる哀愁メロが絡む、如何にも彼女達らしいクールさのある楽曲。こういうインパクト強いフレーズを歌うと良く分かりますが、ユニゾンでもAKBより芯が強い感じで、私的には好み。初出は麻布十番のカップリングですが、みのさんに持ってかれた感のある表題曲に不満な人もこれで溜飲を下げたのでは。


SDN48 - Next Encore - アバズレ (2012-05-18 07:33:31)

はすっぱな感じのする歌メロがそれっぽい感じだし、こういう曲調が得意なグループだとも思うんですけど…なんか他の同系統の曲と比べて押しが弱いような。悪くはないけど中庸な感じ。


SDN48 - Next Encore - エロスのトリガー ★★ (2012-05-18 07:42:48)

硬質な打ち込みリズムに、ストリングスとピアノが絡み、艶かしい雰囲気を演出する曲。こんな抽象的なムードの濃い曲もしっかりこなすあたり侮れません。歌メロはキャッチネスはやや控えめですが、十分過ぎるほど哀愁はたっぷり。後は間奏をもう少し凝ってくれれば…という感もありますが、良曲であることは間違いありません。


SDN48 - Next Encore - カシャーサで自白する ★★★ (2012-05-18 07:29:19)

昭和っぽい歌謡クサメロと、ラテンのテイストを取り入れたアレンジが噛み合い、暗い情熱を演出する曲。何気にこのグループ、カップリングが超高水準な気がする…。アダルトな雰囲気は演出しつつも、歌メロはあくまでベタで、しっかり下世話なまでの取っ付きやすさを残してくれているのが素晴らしい。このバランス感覚が私のツボにはクリーンヒットなんです。


SDN48 - Next Encore - カムジャタン慕情 ★★★ (2012-05-18 07:30:47)

まずアコーディオンやストリングス、レトロなパーカッション等が時代錯誤な雰囲気を醸し出すオケからしてクサクサで最高ですね(笑)。歌メロも思いっきりベタベタな歌謡曲調でモロに私好みのクサさ。歌メロのベタさなんかは正直演歌スレスレだと思うんですが、演歌としてはビート強めのポップな仕上がりなのが良いです。


SDN48 - Next Encore - 愛、チュセヨ ★★★ (2012-05-18 07:41:23)

韓国人の作曲家を招いていたり、タイトルに韓国語を使用していたり、この曲も「GAGAGA」同様、K-POPを意識した作りになっている感じですが、歌メロはかなり高音域のファルセットまで使用するもので、サビの特徴的なフレーズとも相俟って歌の重要性は更に上がっている印象。十分名曲だと思いますが、サビのベースとキックがもう少し大きい方が、個人的には気持ちよく聴けたかな…とも。サビ入りのベースが結構インパクトあるので、そこからもっと強調して欲しかったかも。


SDN48 - Next Encore - 愛よ 動かないで ★★ (2012-05-18 07:35:24)

西国原さんのソロ(レイチェル名義)のバラード。
アイドル系のグループのバラードって、どうも無難で好みに合わないものが多いんですが、これは結構好きですね。歌唱力は高いのはもちろん、感情をぶつけてくるような抑揚のある歌い方に引き込まれます。


SDN48 - Next Encore - 孤独なランナー ★★ (2012-05-18 07:43:25)

リミックス然として聞こえるくらいビートの強いアレンジと、哀愁漂うJ-POP特有の歌メロという組み合わせは、モーニング娘でいうところの「女に 幸あれ」にも通じる音という感じですが…個人的にはこっちのほうが好きかも。メロディとビートの距離がより自然な印象。特にサビの「激しく脈打つ」「ランナーよ」の締めのフレーズがかっこいいです。