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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5901-6000
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5901-6000
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TAAKE - ...Doedskvad - HORDALANDS DOEDSKVAD PART Ⅰ ★★★ (2005-10-03 16:48:31)

アルバムの幕開けは、このヴァイキング的な威風漂うリフとヴォーカルのアジテーションがかっこいいテンション高めな楽曲。
途中煽ってるのはNattefrostかな?この人も熱い叫びも邪悪ながなりもこなせてて凄いです。スタイル的にHoestと気が合いそう。


TAAKE - ...Doedskvad - HORDALANDS DOEDSKVAD PART Ⅲ ★★★ (2005-10-03 16:48:56)

凄く「泣き」要素の強いリフをフィーチャーした曲。
このアルバムは全編良いんですが、強いて挙げるならこの曲が一番かな…。とにかくリフが良くて、もしこのリフを簡単なリズムと共に10分以上繰り返すミニマルな曲があったとしたら、それでも最後まで飽きずに聴けちゃいそう。


TAAKE - ...Doedskvad - HORDALANDS DOEDSKVAD PART Ⅳ ★★ (2005-10-03 16:49:10)

これも3曲目に続いてリフがやばい!!
この編まで聴き進むとだんだんこのアルバムが如何に名盤かが身をもって感じられるんじゃないかと思います。Hoestはリフに感情を込める事に関しては職人の域ですね…。


TAAKE - ...Doedskvad - HORDALANDS DOEDSKVAD PART Ⅶ ★★★ (2005-10-03 16:49:24)

リフに正統派好きにも受け入れられそうなかっこよさが封じ込められた曲。もちろんブラック要素は依然として強いので、正統派が苦手な私にもそのかっこよさがストレートに伝わってきます。しかしキレのあるリフを書くなぁ…


TAAKE - Nekro ★★★ (2007-05-27 20:22:00)

2007年発表の3曲入りEP。
2005~2006年に発表された2曲とVONのカヴァーという内容。
シンプルながらバンドロゴの映えるジャケットが美しく、購買意欲を煽りますね。

アルバムを2部に分け、そのそれぞれに「Side Piss off」「Side Fuck off」というサブタイトルを冠したり、ANTI-HUMAN,ANTI-LIFEのTNBMロゴを裏ジャケに載せたり、何故か最近HoestやCoraxが警察に捕まったり(笑)、反骨精神剥き出しながらもメロウな、質の高いメロディを聴かせてくれるのはやはりTAAKEといった所でしょうか。

メロデス好きもこっちの世界に引き込めそうな、クオリティの高い名作と言えた前作(3rd)に比べると、音質はやや軽めになりギターのザラザラした感触が強くなったため、少しプリミティブに近付いた感があったり、3曲目にミニマル要素の強い展開を設けたりしてよりブラックメタラーの好みに合わせた作風になったと思います。

そうは言っても、メロディセンスは前作同様素晴らしいため特にブラック好きでなくても、トレモロリフで哀メロを弾くパートでは、ノイジーさもそう気にならなくなってしまうはず。また、Hoestのマジギレヴォーカルも更に切れ味を増しているように思います。ミックス面でも両側から襲い掛かるような物にしていたり、迫力を増す工夫があるのも嬉しい。

音自体は決して敷居の高いものではありませんが、3曲入りにしては値段が結構高めなのが一番の高い壁かも(笑)。値段に見合った価値はもちろんあると思いますが、もしTAAKEをまだ聴いた事が無いのであれば、先にアルバムを聴いても良いかもしれません。


TAAKE - Nekro - Hennes Kalde Skamlepper ★★ (2007-05-27 20:34:19)

11分を超える大作曲。
前半はメロディアスなリフで押していく、TAAKEらしいと言える展開で、後半はザラザラしたギターを軸に据えてメロウなベースや幽霊のような女性Voも聴ける曲。正直、11分もあるならTAAKE独特のメロウリフとHoestの絶叫で長時間嬲り続けるような曲が聴きたかったと思わなくもないですが、これも悪くないです。


TAAKE - Nekro - Lamb ★★★ (2007-05-27 20:28:38)

VONのカヴァー。
かなり短かめの曲ですが、後半のメロディアスながらも禍々しさも感じさせるリフといい、最初の呪文から絶叫するようなヴォーカルといい、ドラマティックと言っても過言ではないかっこよさ。


TAAKE - Nekro - Voldtekt ★★★ (2007-05-27 20:26:21)

メロウなTrue Norwegian Black Metalのお手本のような、スタンダードとも言える魅力に溢れた名曲。TNBMのロゴに惹かれた人にはもちろんのこと、そうでないノンケな人にもその魅力を伝えきってしまうような素晴らしいメロディセンス。やっぱりこのEP、3曲入りだけど買う価値大有りですね。


TAAKE - Taake ★★★ (2008-12-10 23:27:00)

2008年発表の4th。

ブラック特有の寒々しさや幽玄さ、オールドスクールでダーティな雰囲気、メロデスに通じるメロウな泣きなど、ブラックのリフ捌きによって表現できる感情や情景をいずれも高いレベルで表現しているブラックメタルを演っているのは相変わらずですね。ブラックのリフ捌きの理想系の一つと言っても良いくらいの音楽性で、3rd同様、ブラック好き以外にもメロデスなどリフのかっこよさを最重視するタイプのメタルを愛好するリスナーにも大いにアピール出来る作風ではないかと思います。

ただ、今回は画面の真ん中にザラザラしたノイズが入っているような少し辛口な音質のため、ブラックをある程度聴いている人でないと受け入れがたい部分もあるかもしれません。でもこの音質が、寒々しいパートでは吹雪のようなイメージ、幽玄なパートでは霧が掛かったようなイメージを加味したり、オールドスクールなパートではダーティさを更に際立てていたりしていて、個人的にはプラスになっているように思います。

しかし、何と言っても壮絶なのはHoestのヴォーカルでしょう…。
以前から素晴らしいヴォーカルを披露してましたが、今回の絶叫はちょっと異常。声帯が焼き切れるんじゃないかと思うくらいのテンションで高音絶叫してるんですが…レコーディング中に摩擦熱で火を吐いたとか言っても嘘に聴こえない位壮絶だと思います(笑)。今まで聴いたデス/ブラックの中でもトップクラスに鬼気迫る、そして喉が心配になる声。

3部作後のセルフタイトルアルバムという事でかなり期待してましたが、その期待を裏切らない彼ららしい高品質なアルバムだと思います。3rdが温く感じた方も試してみて欲しいですね。


TAARMA ★★ (2011-05-03 21:18:41)

アフガニスタンの独りブラック。
トリビュート盤をリリースするほどのXASTHURフリーク。


TAARMA - Remnants of a Tormenting Black Shadow ★★★ (2011-05-03 21:24:34)

2007年発表の1st。

トリビュート盤をリリースしたり、このアルバムにもXASTHURのカバーを収録したり、XASTHURから多大な影響を受けているだろうことは予想してましたが…素晴らしい事に、「葬式ドゥーム並のスローテンポ+陰鬱なトレモロ」「アンビエント要素の導入」という、スタイルの面だけでなく、XASTHURの持つ実験精神まで受け継いでいるんですよね、このバンド。

例えば、キーボードとノイジーなギターリフを融和させたような音質で、質量感や奥行きのある、普通のバンドが成しえないような暗黒を表現したり、ノイジーなリフの中で加工されたトレモロリフ(キーボード?)が密教の儀式の中に響く民族楽器を思わせる音で鳴っていたり、音質・音像を意図的に、実験的に操って陰鬱さを表現する手法は、中期以降のXASTHURに通じると思う。

更に、魔界の森に取り込まれ、人面樹と化した人間達の嘆きを思わせる、エフェクトの掛かった絶叫もXASTHUR的。トレモロを聴かせるパートでも、そのメロディは非常に陰鬱。フォロワーといえども、暗黒性の濃さでは決して見劣りしない音だと思います。その音に触れただけで取り込まれるような、鬱ブラックでも生え抜きの暗さ。BGMにしようとすると部屋が魔界化します。

ただ、XASTHURと決定的に異なるのは、リズムに打ち込み然とした音を敢えて用いている事でしょうか。これが奥行きのあるリフ/キーボードで形成される空間の中に鳴り響くと、更に密教っぽいムードが増すんですよね…。ごく一部の疾走パートでも、この音だからこそ、焦燥感のみが増していく感覚が出せているのではと思う。

実験精神を持ち、尚且つそれを鬱ブラックの暗黒性を表現する事だけに向けたかのような、徹底した作風のアルバム。本家に肉薄する…どころか、部分的には超えてるとすら思える出来なので、フォロワーっぽいイメージで敬遠すると損しますよ。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma ★★ (2009-01-31 05:54:00)

THE 3RD AND THE MORTALのAnne-MaryとATROXのMonikaが共演したプロジェクトの1st。
…と言っても、この一枚で解散してしまったようですが…。
THE 3RD~で魔性の表現力でリスナーを幻想の世界へ誘ったAnne-Mary、ATROXで他に
例のない圧倒的な変態ヴォーカルでカルトな支持を得たMonikaの姉妹の共演という事で、
リスナーとしてはやっぱり二人のヴォーカルによるめくるめく怪奇ゴシックな世界観を
期待してしまう所ですが…全くその期待の通りの作風ですね(笑)。
今作では声楽的な歌い方が多用され、ATROXのようにずっと壊れているわけではないですが…
それだけに、「そういう歌い方」が来た時の恐さは格別。Anne-Maryの魔女のような威風すら
感じる歌唱と、メルヘン童話の無垢なヒロインから精神異常者、祟り神まで何でも憑依させる
巫女のようなMonikaの歌唱の織り成す、妖術的な幻想世界。…本当、とんでもない姉妹ですよ(笑)。
路線自体はTHE 3RD~の「Memoirs」のそれを踏襲したダブ・トリップホップ的なリズムを
取り入れたディープな音像で聴き手を引き込んでいく作風ですね。
作曲はATROXのRune氏という腕の確かな人物の手によるもので、姉妹のヴォーカルが
なかったとしても十分聴き手を幻想世界に引き込めるクオリティがあると思う。
「Memoirs」の方が脳に与える快楽や、中毒性に重きを置いていると思えるのに対し、
こっちは姉妹のヴォーカルを引き立てて怪奇な世界を描く事に重きを置いている感じ。
姉妹のヴォーカルが好きならば買いだと思います。
後期THE 3RD~の取った路線自体には共鳴するものの、カリスマ性のあるヴォーカルが抜けて、
剰え男性ヴォーカルまで取り入れてしまったことに不満を覚えている方にもお勧めです。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Blackberry Jam ★★★ (2009-01-31 05:59:36)

黒魔術に傾倒した舞台女優のような声で歌う「Black beetle~」が強烈な印象を残す曲。悪意を篭めた笑い声も恐い。笑い声がよりよく聞こえ、後半のパフォーマンスが赤ちゃんのむずがる声のSEを取り入れたのかと一瞬錯覚するような熱演のプロモ版の方が個人的には好き。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Chimeras ★★ (2009-01-31 05:56:05)

この、メタルとはまた違う重低音の効いた音像を妖気や不吉さに変換できている、曲作りのセンスもまた素晴らしい。姉妹のヴォーカルに耳が行きがちですが、実は曲自体もかなり良いと思う。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Come Eclipse ★★★ (2009-01-31 05:58:46)

姉妹のハモリが、調和ではなく「分裂」を感じさせるのが面白い曲。
しかも「精神異常者」と「魔女」に分裂してしまった感じ。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Through Your Eyes (2009-01-31 05:57:43)

やっぱりRune氏は姉妹のヴォーカルを活かす事に心血を注いでいると思う。
こういう路線なのにリズムがギロのみというのが意外。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Whiz ★★★ (2009-01-31 05:57:00)

ほとんど歯医者のドリルとしか思えないような高音に驚きました。
低音のグルーヴが、魔術による陶酔感に変わっていくような心地良さも好み。


TAL'SET - LA VIA DEL GUERRIERO ★★★ (2012-08-17 10:07:50)

2012年発表の1st。

イタリアのアヴァンブラックの、有力レーベルATMFよりリリースのデビュー作という事ですが、これはなかなか面白いアルバムですね。
基本的にはスラッシーなリフを上手く活かし、疾走パートでは激しく、ミッドテンポのパートではヘヴィに聴かせる、骨太なブラックメタル。クリアかつ厚みもしっかりある、質の高い音作りやスラッシュ/ハードコアの影響の強い、野太い怒号ヴォーカルも相俟って肉体的な攻撃性も強く感じられる音。そのメタリックに芯の通った音を軸として、様々な要素をブチ込んでくる作風ですね。

雄大なメロディを聴かせるシンフォニックなパートや、アコギやパーカッション、笛系のキーも用いたペイガン要素の強いパートなど、展開のバリエーションは多岐に渡りますが、ULVERの2ndを思わせるフォーキッシュなメロディの合唱まで飛び出した時はかなり驚きましたね…。展開はアヴァンギャルドなんですが、あくまでマッチョというかガチムチな実体的なパワフルな音が下敷きとしてあり、アヴァンブラックとしては取っ付きやすい音なのも特徴。メロディもファンタジックで印象に残りやすく、聴きやすさと展開の面白さを上手く両立させている感じ。

デビュー作ですが、妙にマイナー臭い音作りだったり独りよがりな展開だったりすることはなく、しっかりしたクオリティの高さがある作品。邪悪な感触こそ薄いものの、様々な要素を消化しつつストレートなかっこよさを聴かせる、良いアルバムに仕上がっていると思います。


TAMERLAN EMPIRE - Isfahan's Fall ★★ (2017-07-31 11:30:18)

2015年にデジタルで発表されたデモのCD版。
2016年に100枚限定でリリース。

特にシンフォ系やメロディック系にはクサメロ好きに刺さる音を出してるバンドが少なくないですが、このバンドもそんなシンフォニックブラックの一つですね。苛烈なリズムや凶悪なヴォーカルなど、エクストリームメタルとしての攻撃性は備えつつ、トレモロリフやピアノによって奏でられる、ちょっと中近東風味のメロディは味わい深く、かなり印象に残ります。

ただし、ノイジーなリフによって音圧を稼ぐ音像は、若干メジャーバンドと比べるとチープな印象も拭えないかも…。ただ、ドローンめいた音やパーカッションを用いて儀式的な雰囲気を醸し出している部分なんかは、独特のカルトさがあって悪くないです。中近東系のメロディともマッチしてますしね。

ちなみにデモ扱いながら演奏時間は36分と、やや短めのフルアルバム並にボリュームあり。私はCD版を買って、メタルアーカイブで情報を得たんですが、ジャケには「Tamerlan」としか書いていないので、もし店頭などで探す際は注意が必要かも。


TANGERINE DREAM - Force Majeure ★★ (2007-02-06 21:41:00)

何枚目かは分かりませんが、クレジットによると79年の作品。
BURZUMの「TOMHET」やNEPTUNE TOWERSの音源のレビューなどで、よくKLAUS SHULZEと
このTANGERINE DREAMに言及されているのを目にして、どんなものなのか興味を持って
聴いてみたんですが、こういうジャンルには門外漢の私でも気に入るくらい良い作品です。
KLAUS SHULZEの「IRRLICHT」を先に聴いて、こっちもそういう恐ろしさを感じさせるような
シンセ音楽かと思ったんですが、良い意味で裏切られました。もちろん神秘的だったり
浮遊感があったりというのはありますが、時々飛翔感をも感じさせる爽やか(?)なメロディが
出てくるのに驚きました。っていうか、全体的にかなりメロディアスな作りで、普段
歌モノばかり聴いている人でも納得してしまうくらいのレベルかもしれません。
ライナーを読むと、実験的な作風に行く前はビートルズに影響されたロックをやっていたと
書いてありましたが、それも頷けます。時折ドラムが入るのも取っ付きやすさを増していて良いですね。
私はTANGERINE DREAMはこれしか持ってないんですが、これだけ長い(18分、7分、14分の三曲)
のに取っ付きやすく、しかもダレないのは凄いと思います。これが79年の作品だとは…。
やはり今も大切だけど昔の作品を軽視すべきではないですね。ちなみに私の持っているCDは
恐らく95年にリマスター再発されたもので、最近のアーティストの作品と比べても音の綺麗さや
ダイナミックさではひけを取りません。昔の作品だからといって敬遠する必要はないかと。
しかし…メタラーってやっぱりこういうのが好きなんでしょうか。


TANGORODRIM ★★ (2014-02-07 11:59:09)

イスラエル産ブラックメタルバンド。
中東産でSouthern Lord所属というちょっと変わった経歴。


TANGORODRIM - Justus Ex Fide Vivit ★★ (2014-02-07 11:59:52)

2007年発表の4th。
経歴的に面白そうなのでなんとなく購入してしまいましたが、これがなかなかにかっこいいオールドスクールブラック。

RAWで響きのいいドラミングに、ジャリジャリした質感のブラックメタルらしい生々しさを残した音作りなんですが、この音作りがオールドスクールなノリの良さと見事に合ってるんですよね。疾走パートは邪悪さを撒き散らしつつのドライブ感がなんとも気持ちいいし、テンポを落とすようなパートではどす黒さが際立っていて威圧感がある。ヴォーカルは地声成分がかなり混じった野太いがなり声。こういうスタイルを下手なシンガーがやると目も当てられない事になりますが、このヴォーカルはしっかりドスを効かせられているのが素晴らしいですね。邪悪さ、存在感も申し分なし。

単純に聴いていて気持ちのいいアルバムでありながら、邪悪さ、どす黒さもしっかり感じさせてくれる良い作品だと思います。「Sardonic Wrath」期のDARKTHRONEが好きな方にお勧め。


TARTAROS ★★ (2008-09-16 18:23:00)

EMPERORのライブメンバー、Charmand Grimlochによる独りブラック。
やはりEMPEROR関連は才人が多い…。
彼、今何してるんでしょうね。
EP聴く限りかなり良いミュージシャンだと思うんですが…。


TARTAROS - The Grand Psychotic Castle ★★★ (2008-09-16 18:20:00)

97年発表の5曲入りミニアルバム。
ボーナストラック2曲を収録した再発盤も出ている模様。

Charmand GrimlochはEMPERORでも(ライブ)キーボードを担当してた事からも分かるように、スタイルはシンフォニック・ブラックなんですが、シンフォ要素の作りこみが半端ではないですね。ゴシック・ホラー風味の耽美で妖しく、恐怖感を煽りつつ、どこかロマンティックな音色を多用したキーボードはそれだけを抜き出してもホラー映画のサントラに使えてしまいそう。
…尤も、実際使おうとしたら、メロディが派出すぎてBGMにならないという理由で却下されてしまいそうですが(笑)。

バンドサウンドもギターの歪みのきつめなRAWで勢いのある音で、ところどころトレモロリフを入れたり上手く援護してますが、やはり主眼はキーボードの方に置かれているという印象。このキーがバンドを飲み込んでるような音像は初期LIMBONIC ARTやSIRIUS辺りのバンドを彷彿とさせますが、メロディの方向性がかなり異なるので、全く聴き心地が違うのが面白いですね。
ヴォーカルはちょっとEMPEROR1stを意識してる?ような高音絶叫で、たまに力みすぎでひっくり返ったりしてるのが微妙ですが、普通声の妖しい表現力などもあってなかなか。

某メタル専門店でもらったパンフレットには、彼の音楽を「LIMBONIC ARTやEMPERORにも肉薄する」と評しているものがありましたが、噂に違わぬ世界観の確立された作風に満足。こういうサイコ/ゴシックホラー的な世界観を打ち出した華美なシンフォブラックは珍しいのでは。それだけに、フルレンスは一枚しか出さずに活動を停止してしまったのが悔やまれます…。


TARTAROS - The Grand Psychotic Castle - The Grand Psychotic Castle ★★★ (2008-09-16 18:22:36)

イントロから人体に有害な波長の音が含まれてそうなキーに乗せて、キモかっこいい笑い声でインパクトは充分。悪の魔術師か何かになりきってるような感じ(笑)。なりきったまま普通声で歌い上げてますが、この普通声がIhsahnにも通じる朗唱で絶品。その後のデスヴォイスも悪魔的な雰囲気でかなりかっこいい。…こういう歌い方が出来るなら、他の曲でももっとやって欲しかったな。


TARTHARIA - Bleeding for the Devil ★★ (2015-07-27 22:53:11)

2014年発表の4th。

ゴシック性を感じさせるメロブラは沢山ありますが、このバンドはその取り入れ方というか、配分が独特で面白いですよね。神秘性を感じさせるキーボード、メロウさを感じさせるリフ、一部で導入されたシアトリカルな雰囲気を醸し出す女性ヴォーカル…などは確かにゴシックに通じる感性を感じ取れるのですが、全体的にマッシブでやたらオラオラな攻撃性が感じられるのが特徴です。

特に鉈で叩き斬るようなヘヴィネスや、スラッシュメタルに通じる生々しい攻撃性を封じ込めたリフワーク、ハードコア的な獰猛さや野蛮さを感じさせるヴォーカルなどが、作風をやたらイカツイものにしているんですよね。音量は作風の割に小さい気がしなくもないですが、上げるとやたらマッチョな音になりますし。この配分の仕方ってなかなか無いものだと思います。

キーや女性ヴォーカルを取り入れた作風から、ゴシック的な陰鬱で繊細な耽美さとかを期待すると叩きのめされそうな一枚。どちらかと言うとメロブラ好きでもデスメタルの重さも好きな人にお勧め。


TEARS OF TRAGEDY - ELUSIVE MOMENT ★★★ (2011-11-25 23:00:17)

2011年発表の1st。

これは2曲目がたまたま店内で流れてて、こらえきれずに購入しました。
路線としてはピアノやチャーチオルガン等、華美なキーボードを配したメロスピに、可憐な女性ヴォーカルによる歌謡曲のキャッチネスと起伏、メロスピの飛翔感を併せ持つ歌メロを乗せた感じの作風で、あそこまで歌メロ超重視主義ではないものの、個人的には「女声ゴシック版のX JAPAN」という印象。

…というか、このバンドのメインコンポーザー、絶対X JAPAN大好きだと思う。ちょっとしたリフであるとか、間奏のギターソロやキーボードの入れ方など、随所に直接的な影響が現れている感じ。しっかりドラマティックさを受け継いでます。ただ惜しいのが、ギターが二人体制ではないことですね…。2曲目とか、ソロパートの後半でハモったら悶絶度が一気に3割は増すのに…。あとドラミングもメロスピなんだし、もっとフレーズが派手でもいいかな…という感じも。

全体的に歌メロはこの手でも高水準だと思いますが、それを歌うヴォーカルの声もまた素晴らしい。いかにも「ずっとメタルに憧れてました」って感じではなく、ましてやアニソン系の歌いまわしでもなく、ちょっと声楽入りつつ、そっちにも傾き過ぎない非常に情感のある声。特に高音の搾り出す感じが心に来る。3曲目のサビ終わり、一瞬溜めてから高音に行くところとか、それだけで聴き手を歌詞の世界観の当事者になったような気にさせるほど、感情移入させる力があると思う。

アルバム全体としても「手堅い」という以上のクオリティがある、かなりの好盤だと思う。多少優等生的で、X JAPAN程の破天荒さはありませんが(むしろそこまで破天荒なバンドは滅多にない)、広くお勧めできる作品だと思う。ところで、バンドの略称が「TOT」になるのは、顔文字の号泣をイメージしてるのでしょうか…。


TEITANBLOOD - Black Putrescence of Evil ★★ (2011-10-20 22:49:40)

2004年発表のデモ、05-06年のスプリット音源を集めた編集盤。
09年リリース。外側からはアルバムタイトルが見えない面倒な仕様(笑)。

オールドスクールなデスメタルの、ドロドロした質感の強いリフ捌きで攻める、やたらテンションの高いウォーブラック…が隣の部屋から聞こえてくるような音源(笑)。流して聴くと、どこでSEと曲が切り替わったのか一瞬分からないほどの篭りっぷり。ヴォーカルも喋り声の延長のようなガナリ、ウィスパーの延長のようなブラック絶叫で更にカルトなムードを煽ってます。

しかし、こんな出音なのに、かっこいいリフを弾いているのは十分伝わるし、時折入るギターソロにやたら邪悪なものがあったり、カルトファンにしか楽しめない訳ではない魅力があるのが面白い。ヴォーカルも曲の割に攻撃性が低い感じはしますが、生霊の声をマイクが拾ってしまった…みたいな雰囲気があって、悪くはないと思います。

正直一般のメタラーには全くお勧め出来ない音源ですが、初期BEHERITやINQUISITION辺りに魅力を感じる方は、聴いてみてもいいかと思います。


TEITANBLOOD - Seven Chalices ★★★ (2012-05-23 21:43:04)

2009年発表の1st。

ダーティで不道徳で、デスメタルにも通じるドロドロ感の強いウォーブラックである事自体は「Black Putrescence of Evil」の頃と変わっていませんが、 全てに於いてパワーアップしてますね。隣の部屋から聴こえてくるようだった音質は、今作では圧迫感も増し、地下臭さを感じさせるのに丁度良い篭もり度になっているし、SE的なパートを挟み、更に不敬さを演出する構成もチープとは言えない凝りよう。

特に進歩したと思うのがヴォーカルで、単にがなるというよりも、まるで内腑に蓄えたれた毒素をえずき出すかのような、爛れた表現力を身に付けていると思う。この声がオールドスクールでノイジーなリフと相性ばっちりで、更に作品の野蛮さだったり、宗教やモラルに唾を吐きかけるような不敵さだったりを際立てているんですよね。音源集の時よりもその野蛮さ・不敵さを確信に満ちて演っている感じです。

最初期BEHERIT辺りを始めとした、高音域のシャリシャリ感ではなく、低音域のボロボロな感じを強調し、汚らわしい雰囲気を演出するウォー/プリミティブブラックとしては、決定盤と言っても良いくらいの作品だと思う。流石にNEDが目を付けるだけあって、この手でも冒涜的なムードの濃さでは群を抜いているように思います。


TEITANBLOOD - Woven Black Arteries ★★★ (2013-01-19 06:46:45)

2012年発表の2曲入りコンピレーションCD。
新曲と前年に発表されたアナログに収録された曲からなる構成。

WARブラック大注目株の彼等ですが、今作もまた素晴らしい内容ですね。…2曲で27分という大作主義の作風、クワイヤや演説などの宗教じみたSEを用いたカルトなムードの演出、音響ドゥームに通じるダークなプロダクション…と、ここまでフラグが立ちまくってるのに全然高尚さだとか芸術性だとかに向かっていかず、不敬な野蛮さばかりが際立つこの雰囲気はある意味凄いと思う。

シャーシャーと耳を聾し、現実感を失わせるようなギターリフが音像を支配し、ボテボテと針山を転がり回るように叩かれるドラム、内臓を吐き散らしながらのたうつ様なヴォーカル、時折挿入される狂ったギターソロ…正に悪鬼羅刹の音という感じ。衝動に任せて演奏している立ち姿よりも、獄卒どもが地上に溢れ出して無辜の人間を責め苛んでるような、邪悪で理不尽で非現実的な音像。

作風的に音響系、エクスペリメンタル系のブラックが好きな方にもアピールできそうですが…そういうバンドの多くが持っている難解さや高尚さはここにはなく、ひたすらに凶悪で凶暴なので注意が必要。2曲入りという構成から避けている方もいるかもしれませんが、これはフルに近い値段払っても買う価値のある作品ですよ。かなりお勧め。


TEMPLE OF BAAL - Lightslaying Rituals ★★★ (2013-07-06 23:12:41)

2009年発表の3rd。

これは凄まじいですね。簡単に言えば、デスメタル的なヘヴィで実体的な暴虐性・好戦性とフレンチブラックの妖しい邪悪メロウなムードを融合した…という感じなんですが、これが単純な加算より遥かに高い効果を生んでいる感じですね。全編通じて邪悪が脈動するような力強さを感じられる作風ですが、特にフレンチ産らしい悪の美学の詰まったメロディを伴いつつ疾走するパートが鬼かっこいい。

ベースのゴリゴリいう音色が心地良い、ヘヴィで低音の効いたブルータルな音像といい、デスメタル的な低音咆哮を中心にした威厳と迫力を感じるヴォーカルワークといい、音自体は非常に野蛮極まりない、ダイレクトな攻撃性のある音なんですが、ブラックメタル特有の宗教的な邪悪さもまた強く、デス要素を取り入れていてもムード面でしっかり「ブラックしている」のが素晴らしいです。押し潰されるようなインテンスさを感じる作品。

雰囲気的にブルデスなどとは一線を画した感触もあるので、BEHEMOTHやHATE辺りよりもWATAINやSVART CROWN辺りを好む方が共感できそうな音だと思います。


TEMPLE OF GNOSIS - De Secretis Naturae Alchymica ★★ (2016-12-24 15:22:37)

2016年発表の1st。

如何にもスピリチュアルな世界観を描いていそうなバンド名、ラテン語のアルバムタイトル、そして有名レーベルATFMからの発売という事で気になっていた作品。実際に聴いてみると、確かにこれは期待や予想を裏切らない音ですね。スローテンポの中、スラッジ・ドゥーム的なノイジーに引き摺るリフの上、宗教的なキーボードや魔的なトレモロなどが重なり、どす黒い世界観を描いていくスタイル。

黒く精神に染み込んでいくような出音はこの手の音としてもかなりディープな雰囲気で、目を閉じて聴くと世界観に引き込まれそうになりますね。ただ、どうも展開にSE的なものを感じる部分が多くて…ブラックらしいトレモロが鳴っているときの魔性な空気感などはたまらないものがありますが、個人的にはもう少し展開があると良かったですね…。正直展開に関しては物足りなさあるかも。

狙ってる世界観自体はもうツボもツボなので、次作はもっと重層的なアレンジ・展開に磨きを掛けて欲しいですね…。


TEMPLE OF NOT ★★ (2011-07-31 19:26:43)

アメリカ産ブラック/ダークアンビエント。
NIGHTBRINGERのメンバー2名によるプロジェクト。


TEMPLE OF NOT - Μέλαινα Τάξις τοῦ Θανάτου ★★ (2011-07-31 19:28:34)

2010年発表の1st。おそらく150枚限定。
ジャケ買いしたら、NIGHTBRINGERのメンバーのプロジェクトだったとは…
なんか嬉しくなってしまいますね(笑)。

肝心の内容は、インダストリアルノイズやドローンを用いた、まるで地底にいる時に聴こえてくる音をそのまま表したかのようなダークアンビエントで、かなりカルトな内容。この手が好きならば地底にある密教の寺院で瞑想をしているような、宗教的ムードに浸れる事請け合いな一枚。確実にNIGHTBRINGERに通じるような、暗黒性がありますよね。

メロディやドラマ性など、通常メタルに求められる普遍的な価値観とは全く異なる視点から作られてる音ですので、購入の際は覚悟を決めてお求めを。…と言っても、このアーティストページ見てるような人ならまあ損はしないでしょう(笑)。


TENEBRAE IN PERPETUUM ★★ (2011-06-29 21:09:44)

HORNAやKROHMともスプリットを出してるイタリアのブラック。
AISLINGのメンバーが関わっているのが意外といえば意外かも。


TENEBRAE IN PERPETUUM - Onori funebri rituali ★★ (2011-06-29 21:11:14)

2003年発表の1st。

もう販促コメントの「For Fans of BURZUM and Old DARKTHRONE」の一言だけで、中身の想像がつきますよね。ご想像の通り、その手の黎明期ブラックの影響大なプリブラです…以上レビュー終了。…と行きたいところですが、それじゃ余りに味気ないのでもうちょっと書きます(笑)。

黎明期ブラックの「リアルに音質が劣悪」なバンドと比べると、このバンドの音質は「プロデュースされたRAWさ」という感じで、どこか乾いた印象を受ける、金属質なリフの音色と、RAWというかラフなドラムの響きが特徴。メロディは邪悪さ、寒々しさよりも病的な印象が強く、特に10曲目の聴いているだけで脳が溶け出しそうなメロディなんかは耳に残りますね。

ただ、その病気じみたメロディセンスや、一部でDEATHSPELL OMEGAの3rdのPrayer系の宗教的クワイアを先んじて取り入れていたり、ラフなドラムがボロボロと崩れゆく腐肉を思わせたり、パートによってはかなり良い線行ってるし、やけくそとしか思えないヴォーカルの絶叫も素晴らしいですが、まだ同路線の古参バンドや代表バンドと比べると個性は薄いかも。この手をある程度聴きこんでいる方にはお勧めです。


TERDOR - AXIS PANZERZUG ANNO NOVEMBER 1942 (2012-10-28 22:18:50)

2008年発表の1st。

メロウなだけでなく、暗さや悲哀といった感情を含んだメロディと、焼け付くようなノイジーなリフが、ブラックメタルらしい好戦的で荒々しい演奏に乗り、戦場の殺伐とした空気感だったり、荒廃した焦土の荒涼感を感じさせるブラックメタル。楽曲やメロディ自体のセンスは悪くなく、特に理性の箍が外れリミッター解除モードで絶叫を繰り返すヴォーカルなんか実にかっこいいと思えます。しかし…

この音作りはなんとも惜しいですね…まずイントロの、SEが終わり際にぶつ切りになる、トラック分けをミスったようなオープニングで早くもテンションが急速冷却。本編もプリブラのような聴きづらい音ではないにしても、音割れのようなノイズが入ったり今にも消え入りそうな弱々しさになったり、後半の楽曲だけ音量大きめだったり、ある意味プリブラより性質悪い音。この辺りまともにしてくれれば、普通に良作なんですけどね…。

という訳で、個人的な評価はまあ並くらいですね。雰囲気のあるジャケも、よく見ると裏も表も同じアートワークを使っているし、低予算で作られたアルバムなのかも。


TERRA TENEBROSA ★★ (2013-10-25 22:28:58)

スウェーデン産アヴァンギャルドブラック。
バンド名はおそらく「暗黒の大地」の意。
メンバーやジャケのヴィジュアルが変なバンドとしても知られてます(笑)。


TERRA TENEBROSA - The Tunnels ★★ (2013-10-25 22:29:50)

2011年発表の1st。

被り物をした変態的なジャケットに惹かれ、ジャンルがポストブラックということ以外の予備知識なしに買ってしまいましたが…これはかなり聴き手を選びそう。不穏なアルペジオであるとか、深く歪んだギターの音色であるとか、使われているパーツはブラックなんですけど、メタルとしての整合性から背を向けて、ひたすらに不穏さを煽る事に終始しているような音で、半ばノイズ/アヴァンギャルドに足を突っ込んだような音になってますね。

儀式的な感触を醸し出す不気味なアルペジオ、どす黒い靄を吐き出すような気色の悪いリフ、エフェクトによって攻撃性を殺がれ、得体の知れなさを感じさせるヴォーカル等が混じって出来る音像は、宇宙に棲む怪物が思念派を送って人間の脳裏に見せる映像といった趣のグロテスクさ。もしくは謎の思念体に取り付かれた人が作った音楽という感じ(笑)。

正直かなりマニアックな音だとは思うんですが、聴き手の脳裏に不気味な映像を見せる力という点ではブラックでも優れている方だと思う。DEATHSPELL OMEGAの「Si~」アルバムのPrayerシリーズ、「Fas~」アルバムの静パートがエクストリームなパートよりも好みだという方ならば、波長が合うのではないでしょうか。個人的には分かりやすい不穏メロが聴ける6曲目がお気に入りです。


THANTIFAXATH - Sacred White Noise ★★★ (2014-07-03 21:20:23)

2014年発表の1st。
これ、今年聴いたブラックの中でもベスト候補かもしれません。

まず特記しておきたいのは、このバンドが優れた「トレモロリフ師」であるという事ですね。例えばドップラー効果の如き音程変化を取り入れ、より悪意的で非日常的な音色を実現してみせたり、粗いノイズと高音のトレモロを組み合わせることで宗教的恍惚感や浮遊感を演出したり、メロディの起伏に合わせトレモロのオン/オフを巧みに切り替えることで、傷口に蛆虫が蠢くかのようなおぞましさを醸し出したり…トレモロの使い方一つでもかなりのアイデアが用いられており、しかもそのどれもがベクトルが「邪悪さ」の方向を向いてるんですよね。

トレモロリフのフレーズ自体のセンスも群を抜いていて、例えば「Panic Becomes Despair」で聴ける、作中ではストレートに寒々しさを表現するメロディは、「Transylvanian Hunger」期のDARKTHRONEや初期SATANIC WARMASTER、初期SARGEIST辺りの、プリブラの代表格と言える作品群のそれと比較しても、劣るものではないように思います。また、神経をダイレクトに攻撃するようなメロディの使い方など、トレモロ以外のギターワークも相当に前衛的かつ邪悪。

こうトレモロの使い方の巧さを強調すると、所謂ポストブラック的な音を想像するかもしれませんが、このバンドの作風はあくまでRawでカルトなブラックメタルの悪意性に基づいているのが素晴らしいんですよね。アンビエントやドゥームのエグみを味付けとして取り入れるなど、暗黒性の追求に余念がない一方、ブラストで攻め立てる展開も多く、ブラック本来の攻撃性も十分ですし、鬱系に通じる感情の込め方をしながら、ドスの効いたがなりを聴かせるヴォーカルもかなりの邪気を発してます。湿り気のあるノイジーさで閉塞感を感じさせつつ、トレモロの音色をスポイルしない音作りも上手い。

前衛的な側面が、全てにおいてブラックメタル特有の悪意的な神秘性に反映されているような、邪悪極まりないアヴァンブラック。DEATHSPELL OMEGAやLUNAR AURORAなど、神秘性を重視してるブラックって、聴いてるだけで時に何らかの神秘体験でもしたような気持ちにさせてくれるものがありますが、これもそんな中の一枚。音としては、頭抜けた邪悪さを持つトレモロ繋がりで、NIGHTBRINGERやINCURSUS辺りが好みな方はツボなんじゃないかと思います。かなりオススメ。


THAW ★★ (2013-12-26 21:28:26)

ポーランド産ドローン/アンビエントブラック。
FURIAと人脈的に関わりがある模様。


THAW - Thaw ★★★ (2013-12-26 21:29:41)

2013年発表の1st。

まず、オープニングのどす黒い粘液質の液体を、呪いを込めてかき回すような暗黒ドローンから、ジクジクと湧き出る膿のようなブラックメタルの音が立ちあがってくる1~2曲目の構成からして、既にグッときてしまいますね(笑)。ドローン/アンビエント寄りの音ですが、その重くドロつく音像を纏いつつ猛然と疾走する蹂躙パートもあり、沸々と煮え滾った憎しみをぶつけてくるかのようで良い按配。

また、疾走パートでも狂気や瞑想的な感触も感じさせる「Divine Light」「Hunted Prey」、サイケデリックなメロディと共に這いずり回りつつ、即興的なドラムが聴き手を威嚇する「Kiara」、どす黒さだけでなく、乾いたメロウさもある「On the World’s Grave」、耳に岩石を突っ込むかの如き害悪ノイズリフで責め苛む「Under the Slag Heap」など、アンビエント志向の強いブラックながら楽曲に幅を持たせているのもいいですね。ネガティビティ全開とは言え、意外にメロディにも意識が向いてる作りなのも好みです。

ドローン/アンビエント志向の強いバンドながら、ひたすら聴き手の想像に委ねるような情景を描くタイプではなく、音像とフレーズをバランスよく聴かせるタイプなので、ブラックを始め暗黒メタルの音に慣れてる人なら、完全なドローンやアンビエントが駄目な人でも受け入れられそう。マニアック過ぎない所が大手レーベル(Avangarde)発らしいのかも。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room ★★ (2006-12-28 21:43:00)

何故かこのアルバムだけ買うのが遅れてしまいましたが…。
THE 3RD AND THE MORTALの作品では今まで「MEMOIR」が一番好きだったんですが、
この作品も負けず劣らずのアルバムだと思います。何故今まで聴かなかったんだろう…。
前作同様、ゴシック/ドゥームメタルというよりはプログレッシブロックとして扱った方が
しっくり来そうな内容。音作りが非常に上手く、浮世離れした雰囲気やその空気感に
リスナーを耽溺させる術は前作と比べてもかなり進歩しているのではないでしょうか。
確かに、女性Voのゴシックメタルとして聴こうとしたり、音を分析しながら聴いたりすると
難解に感じてしまうのかもしれません。しかし音に酔いながら聴くと、難解どころか
曲の中に取り込まれてしまうかのような感覚が味わえるはず。ヴォーカルも歌を歌として
聞かせるというよりは、曲に込められた感情を声で表現しているという感じ。そういう所が
フィメールゴシック好きには受けが悪いのかもしれませんが、心象風景を表現した幻想的な
音楽としては間違いなく一級品と言えるかと思います。
要所に良い感じの歌モノも入ってますし、騙されたと思って何度か聴いてみて欲しいですね。
段々と波長が合って、病み付きになってしまうかもしれませんよ?
しかしBURRN!のレビュー、これを聴いて70点くらいって…一体このアルバムの何を聞いたんでしょう(怒)
典型的なゴシックメタルの音じゃないから点数下げてるんだとしたらかなりムカつくかも。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - A Touch Of・・・ ★★★ (2006-12-28 21:22:21)

ほんと、そんな感じの曲ですね。
ここまで来ると、もう陶酔感のある音楽というよりは陶酔している精神状態を音で表現しているような感じ。リズムが入ってからの控え目な盛り上がりもその陶酔感を静かに盛り上げてくれます。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Harvest ★★★ (2006-12-27 21:54:37)

ピアノが儚いメロディで、哀メロ好きにはたまらない1曲。
でも哀愁と同じか、それ以上にミステリアスな雰囲気があるのがまた良いんですよね。神秘的な曲想で、アルバム中でもヴォーカル重視の曲でなかなかに聴きやすいです。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Hollow ★★★ (2006-12-28 21:27:15)

結構機械的な音が入ってるのに、超自然的な儀式に立ち会ってるような印象の曲。幽谷の、前が見えないほど霧の立ち込めた神社の社で、暗闇の中で霊を降ろす為に瞑想してるような感じ。遠くから巫女の声が響いてくる…。
…と書きましたが、こういう曲って絶対聴き手によって見えてくる景色に違いがあると思います。多分私みたいな印象を受ける人は他にいないんじゃないかと。でも名曲という事には変わりありません。必聴です。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Monody ★★★ (2006-12-27 22:01:39)

宇宙に向けて電波でメッセージを送っているような曲。
…と思ったら、電波で送った内容を曲解されて宇宙人が襲来、機械が打ち壊されてしまったみたい?しかし壊れて尚、機械は電波を出し続けるのでした…みたいな。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - So Pure ★★★ (2006-12-27 22:04:08)

ジャジーで、お洒落な雰囲気の曲なんですが…どうにもアレンジのせいで無重力感のような、不思議な感覚がありますね…。将来宇宙旅行が一般的になったら、宇宙ステーションの中のバーではこんな曲が流れてるといいな。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Sophisticated Vampires ★★ (2006-12-28 21:16:40)

この曲の嬌声や悲鳴にも似た狂的なヴォーカル、やはりタイトルの吸血鬼的なものを表現しているのでしょうか…。ギターのメロディもヴォーカルに負けず劣らずの狂気が感じられます。知性と狂性が同居した曲。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Sort of Invisible ★★★ (2006-12-28 21:19:45)

この幽玄でダークなシンセの音色が入ってきた瞬間、脳が蕩けそうになりますね(笑)。その蕩けた脳に、ギターやヴォーカルによるメロディが流れ込んでくると何とも言えない快感。でも歌詞は…これは何を表現しているのだろう…。


THE 3RD AND THE MORTAL - In This Room - Stream ★★★ (2006-12-27 21:59:28)

メタルから離れても、しっかりフィメールゴシック好きの心を鷲掴みする曲を作ってくれるのはやっぱり嬉しい所。ヴォーカルは中音域での歌唱で、曲も幻想的といえばそうなんですが、何となく現実の悲しみや苦しみが原因で幻想が作り出されたという雰囲気があるように思います。アコギとパーカッションの音色の組み合わせが特に好きです。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs ★★★ (2005-11-17 19:47:00)

多数のセッションメンバーと共に制作した、2002年発表の4th。

「PROJECT BLUEBOOK」を先に聴いていたので、特に意外だとは思いませんでしたが、もうこの時点でほぼメタルから脱却し、心地良いリズムの繰り返し&キーボード等の幽玄な音色というスタイルに変わっています。どっちかというとMASSIVE ATTACKとか4th、5thの頃のULVER辺りに近いかもしれません。スクラッチの音なども入っていて今までとはかなり違う感じがしますが、やっぱり根底に流れるメランコリックさは今までの作品とどこか共通していて、ダークな物が好きであれば聴いていて癒されます。

ちなみにAnne-Maryは前作で脱退してしまったようです。
The 3rd And The Mortalというとゴシックメタルに女性ヴォーカルを導入した事で先駆者としての扱いを受けているバンドと聴きましたが、今回はナレーションが主とは言えなんと男性ヴォーカルも取り入れています。でも、この男声の語りがまた不可解な雰囲気をより強めていて、リスナーを世界に引き込む一因ともなっているようにも思います。女性のほうはおそらく「PROJECT BLUEBOOK」でも活躍したKirsti Hukeが担当してます。前任の二人と比べると、音に合わせたようなちょっとそっけない歌い方。でも、時々引き伸ばすようなくどめのビブラートをかける箇所などもあって上手いです。「PROJECT BLUEBOOK」でMCも聴けますが、彼女の喋りを聴くと声質が良い事が良く分かります。

メタルとは離れてしまったんですが、私個人としてはこの作品が一番心地良く聴けました。(まだ3rdは未聴ですが…)時間の流れを忘れてぼーっと聴き浸っていると癒されるので、ダークな物が大丈夫な方は憂鬱の処方箋として手元に置いておく事をお勧めします。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs - Fools Like Us ★★★ (2005-11-17 19:51:14)

殆どインストと言っても良い曲で、ジャジーなリズムにこういう妖しげな音が乗ると、癒されすぎて死にそう(笑)。冒頭部分に拍手っぽい音も入ってるし、アングラな劇場っぽい、暗いんだけどどこか上品な雰囲気。ジャズ・エイジのもぐり酒場でまどろんでるみたい。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs - Good Evening Mr. Q ★★ (2006-02-05 09:20:57)

この曲のイントロの音作り、面白いですね。
なんか頭の中で虫が蠢いているみたいでこそばゆいです。触覚をも刺激するかのようなこの曲、ヘッドフォンもしくはイヤフォンを使うともっと楽しめるかと思います。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs - Reflection ★★ (2006-02-05 09:19:04)

THE 3RD AND THE MORTALなのに男性ヴォーカルだなんて…
そのヴォーカルのぐにぐにな歌い回しはまあまあといったところですが、2分45秒あたりのところのスクラッチがめっちゃかっこいいので、必聴です。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs - Those of My Kind ★★ (2006-03-10 17:46:43)

二つの男性ヴォーカルがハモってますが、下のメロ歌ってるほうがオペラ座の怪人的な不気味さでいいですね。全体的にこのアルバムって低音が効いてるんですが、その低音と凄くマッチして怪しげな雰囲気が良く出ていると思います。


THE 3RD AND THE MORTAL - Memoirs - Zeppoliner ★★ (2006-02-05 09:22:06)

伸びのある声での「HELLO」がとにかく耳に残る曲。
私はレビューサイトなどで変化を知っていたのでごく自然に受け入れられましたが、以前からファンだった人は戸惑ったのかな。もう1stの頃の面影はないです。でもこっちの方が好き。


THE 3RD AND THE MORTAL - Nightswan - Neurosis ★★★ (2007-03-10 20:36:46)

前半は1stの音楽性にもかなり通じる物がある女声ゴシック・ドゥームですが、後半からプログレサイドに突入、タイトル通りの神経症の人の内面にトリップしているかのような前衛的な曲調に。出たタイミングから言っても、このバンドが脱メタルした象徴といえる曲なのかも。
前任者に劣らない美声と、神経を逆撫でする狂気の高音を使いこなすヴォーカルも凄い。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass ★★ (2005-10-15 16:18:00)

96年発表の2ndアルバム。
前作と比較すると、音像は結構変わってます。
キーボードやノイズ、サンプリング、また曲によってはメロトロンやトロンボーンなどを
使うようになり、音色が増えた事で華やかな感じに…なるはずもなく(笑)、むしろそれらの
使い方のせいで前作以上に鬱々とした雰囲気を醸し出しています。
まるで海外の路地裏のホテルの「眠ったら二度と目覚めないベッド」の上で、
色の無い夢を見ているような頽廃的な空気感があります。
とはいっても今のところの最新作「Project Bluebook」を聴く限り、現在はほとんど
トリップホップやインプロに傾いているようですが、このアルバムはちゃんと泣きのリフも
出てくるし、ドラムも生を使ってるようなのでメタラーでも結構受け入れやすいんじゃないでしょうか。
そして音楽性の変化のせいか、ヴォーカルも交代しました。
今作でVoを担当するAnn-Mariは、高音での優しげな歌唱においては流石にKariの方が
上だと思いますが、その分声の種類が多いです。威圧的な声も民族音楽にありそうな
妙な音程の揺らがせ方もこなしちゃいます。流石ATROXの変態ヴォーカリスト、
Monikaの姉だけの事はありますね(笑)。ただMonikaよりはまだ聴きやすいというか、
リスナーフレンドリーな気はします。私的にはKariと同じくらい良いヴォーカリストだと思います。
このアーティストの名盤は一般的に1stとされているようですが、個人的にはこの作品も
名盤に推したい所。アルバムを通じての頽廃的な雰囲気が凄く良いです。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass - Commemoration ★★★ (2005-09-03 11:52:08)

メロトロンやトロンボーンの響きが、聴き手に死を前にしているにもかかわらず心地良いまどろみから抜け出せなくなってしまうかのような感覚を呼び起こす曲。
このモノクロームな音像、恐ろしくも魅力的ですね。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass - Crystal Orchids ★★★ (2005-10-15 16:21:16)

まるでAnn-Mariの歌がレトロなフォルムの蓄音機から流れてくるような、モノクロームな世界観を持った曲。声の調子もMagma等とは違って儚く優しげ。前作とは違った意味で癒されます(癒される、っていうのはちょっと語弊があるかも)。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass - Dreamscapes ★★★ (2005-10-15 16:23:17)

曲の前後をインストで挟み、雰囲気作りもばっちり。
こういう曲を聴くと、やっぱりゴシックだなぁ…って思いますね。泣きのリフも健在です。ラストのチャーチオルガンが荘厳さを見せつつも怖い。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass - Magma ★★ (2005-10-15 16:19:38)

いきなり前作のファンから賛否ありそうな曲。
頽廃を呼ぶようなトロンボーンは鳴ってるし、歌も優しさよりもむしろ威圧感すら感じるような低音だし。最初は結構戸惑いました(特にヴォーカルに)が、私的にはこっちのほうが好きかも。


THE 3RD AND THE MORTAL - Painting on Glass - Persistent and Fleeting ★★ (2005-10-15 16:22:14)

ATROXの曲にも通じる、妖しいヴォーカルラインが特徴の曲。
Edvardsen姉妹恐るべしって感じです(笑)。Ann-Mariの声は、どこかアフリカ辺りの民族音楽のイメージに近いです。


THE 3RD AND THE MORTAL - Project Bluebook ★★ (2005-09-03 11:50:00)

2005年発表の作品。
新曲2曲、ライブ5曲の変則的なCDです。
このCDでは1stの頃と違い、殆ど(全く?)と言っていい程メタル要素はありません。
新曲は2曲とも繰り返される打ち込みのリズムに、男女ヴォーカルを交えた幽玄な音色が乗る
というものになっていますが…こういうのって確かトリップホップというのでは?
ライブもインプロヴィゼーションの曲が2曲も入ってるし、おそらくメタラーの間では
問題作となりそうな感じですね。個人的には③や④なんかかなり良い雰囲気だと思うんですが
新作なのに某所で投売りに近い値段で売られていたり、やっぱり好みが分かれるのかな…
因みに、④~⑦はMDに直接レコーディングしたので、ブートレグとして扱って欲しい
みたいな事が書かれていますが、音質はかなりクリアで普通に楽しめます。


THE 3RD AND THE MORTAL - Project Bluebook - Drone ★★ (2007-09-22 18:07:32)

「MEMOIRS」の路線をもっとドライにしたような印象の新曲。
男女ヴォーカルの掛け合いも雰囲気たっぷりですし、Bメロ部分(?)辺りまではかなり好きですが、サビの粘着的な伸びやかさのヴォーカルのインパクトが少しムードを壊し気味な気も。


THE 3RD AND THE MORTAL - Project Bluebook - Sort of Invisible ★★★ (2007-09-29 11:41:54)

ギターのザラついた質感が強く、スタジオ版とはまた違った陶酔感を演出するライブバージョン。スタジオ版ではAnne-Mary嬢が陶酔の中に現れる夢魔のようなヴォーカルで妖しさを醸し出してましたが、彼女が脱退した為こちらは男女ツインヴォーカル。男ヴォーカルが太くて怪しくて意外にも良い味。
MANESも男ヴォーカルでエレクトロゴシックやるならこういうヴォーカル取り入れて欲しいな…。


THE 3RD AND THE MORTAL - Project Bluebook - Stalker ★★★ (2005-09-03 11:50:58)

バグパイプやクラリネットの音がお洒落なインプロヴィゼーション。
最初は淡々とした曲だと思いましたが、段々とこの海岸線のホテルのバルコニーから夕日を眺めてるみたいな雰囲気に引き込まれていきました。…でも、なんか微妙に四次元入ってるような(笑)


THE 3RD AND THE MORTAL - Project Bluebook - The City ★★★ (2005-09-03 11:54:35)

ここで聴けるのはライブ版ですが…
なんかこの曲のピアノの音色、妙に「和」を感じるんですが…私だけ?かなり日本人好みのメロディだと思います。このメロディ、琴とかでやっても合いそう。


THE 3RD AND THE MORTAL - Tears Laid in Earth ★★ (2005-09-03 11:50:00)

94年発表の1stアルバム。
ゴシック好きの間では名盤と言われているだけあって、良い作品です。
このアルバムの音楽性は「エクスペリメンタル・ドゥーム・メタル」とも定義される通り、
非常にゆったりとしたテンポに切ないメロディを乗せるものとなっています。
ヴォーカルを担当するKari Rueslattenの声も、透き通っていながらもどこか聴き手に
畏怖を感じさせる雰囲気があって、66分聴き通したら必ず鬱になれます(笑)
個人的には5、6曲聴いただけで、もう寂しくなってしまいます。


THE 3RD AND THE MORTAL - Tears Laid in Earth - Oceana ★★ (2007-03-10 20:39:03)

約19分弱の大作。
正直言って、美しい女声ヴォーカルによるメロディを楽しむタイプのゴシックメタルだと思って聴くとちょっと冗長。でもドゥームを楽しむ感覚で、情景を楽しみながら聴くとなかなか良い感じ。


THE 3RD AND THE MORTAL - Tears Laid in Earth - Why So Lonely ★★★ (2005-09-03 11:51:37)

やっぱり1曲目からこの曲への繋ぎに悶絶する人は多いようですね。
高音が良く映える、聴いていて切なくなるリフのメロディも絶品。


THE 3RD ATTEMPT - Born in Thorns ★★★ (2017-03-07 11:56:02)

2015年発表の1st。
表記によってTHEがあったりなかったり…ジャケのロゴにはTHEがありますが、CDケース側面の方には表記されてないのでショップで探す際は注意。

元EMPERORでGREEN CARNATIONを立ち上げ、CARPATHIAN FORESTなどにも参加していたTchort氏を始め、北欧産ブラックのそれなりに有名所が集まったバンドの初フルアルバムという鳴り物入りの作品。作風自体は、スラッシュの要素の強いブラックで、CARPATHIAN FORESTやAURA NOIRを想起させる感じですね。ブラックの方が主体になってる感じ、前者により近いように思えます。

出だしがかなりパンキッシュなのでイメージを引っ張られますが、北欧産らしい土着的な禍々しさを伴う疾走があったり、キーボードも用いた儀式的な曲があったり、楽曲のバリエーションは意外に豊富。ヴォーカルもブラック特有の噛み千切るような絶叫を中心に、スラッシュ風の怒号、低音のグロウル、濁声でメロディを追ったりなどなかなか表現力高いです。特にタイトル曲での濁声ヴォーカルと一緒に用いられる、悪意に満ちた絶叫がかなり苛烈で素晴らしい。

流石に有名所がやってるだけあって、クオリティも保証済みですが、そういうバンドにありがちな無難さもほとんど感じられない非常に良質な作品。CARPATHIAN FOREST辺り好きな方は是非。


THE AGONIST - Lullabies for the Dormant Mind ★★ (2009-05-06 20:18:00)

2009年発表の2nd。
メロデス/メタルコアバンドでフロントマンが女性、しかもファッションがゴス寄りなので、
これはゴシック的耽美さや儚さの強いメロデスが聴けるのでは…と興味を持って購入。
…本当は、タワレコで輸入盤が期間限定で1500円という安価で、しかもポイントが1000円分
あったので丁度良いと思って買ってしまったんですけど(笑)。
で、実際に聴いた感触としても大分期待通りの音ですね。
リフ捌きはメロデス由来の、聴いててテンションの上がるような、扇情的でメロディックな
ものなんですが、全体的なムードだったりクリーンヴォーカルのメロディだったり、ゴシック
メタルにも通じる暗い熱情が感じられる部分も多い音。また、テクニカルなリフとリズムの
絡みは「激しい」というより、「めまぐるしい」感じがするのも特徴で、訳も分からないうちに
ナマスにされているような緊張感が出ているように思います。
肝心のヴォーカルは…まるで探偵ドラマの犯人が毒を飲んで自決して胸を掻き毟っているかの
ような、なかなか壮絶なスクリームを聴かせてくれますね。この必死に喚くようなデス声も、
前述の切り刻まれるような音像の実現にもかなり貢献してると思います。ノーマル声のほうも
少し声楽っぽさのある歌い方ですが、上手いゆえのそっけなさはなく、感情の篭もった歌い方で
聴いていて心地良い。フロントマンとして申し分のない華と実力のあるヴォーカルだと思います。
色々な機が重なって買った作品ですが、かなり良いアルバムでした。
でも、某所の日本盤の特典、ヴォーカリストの生写真とか正直どうよ?とか思わなくもないです(笑)。


THE AGONIST - Lullabies for the Dormant Mind - Swan Lake (a cappella) ★★ (2009-05-06 20:22:25)

聴けば誰でも分かるような超有名曲のカヴァー。
このメロディって、どこかゴシックに通じるような暗い叙情があると思うんですが…こういうカヴァーをアルバム中に入れる感性が素晴らしいと思う。


THE AGONIST - Lullabies for the Dormant Mind - The Sentient ★★★ (2009-05-06 20:21:36)

目まぐるしくテクニカルなパートと幽玄で繊細な情景を描くパートが混在する曲で、プログレメタラーにもアピールしそう。歌い上げをブラストで切り裂いていく部分はハッとするほどかっこいいですが…出来れば歌メロが一段落付くまでブラストは続けて欲しかったなぁ。


THE AGONIST - Lullabies for the Dormant Mind - The Tempest (The Siren's Song; The Banshee's Cry) ★★★ (2009-05-06 20:20:42)

何だか分からないうちに、全身を切り刻まれているような目まぐるしさが特に強く感じられる1曲目。普通声のパートのメロディが少し中近東っぽい雰囲気があって、良いフックになっていると思う。嵐のようなアンサンブルにセイレーンの歌声のようなノーマル声、バンシーの叫びのようなデス声…と、タイトルを読んだだけでどういう曲か想像付くあたり親切な曲なのかも(笑)。


THE ARRIVAL OF SATAN - Vexing Verses ★★★ (2012-09-16 00:18:43)

2009年発表の2nd。
今にも自傷に走りそうなモノトーンジャケもヤバいですが、中身はジャケ以上に激ヤバな代物ですよ、これ…。

まず1曲目を聴いた時点で圧倒されるのが、殺意すら感じる音圧。ノイジーなギターリフも轟音といって差し支えないんですが、ドラムの演奏終わったらドラムセット一台オシャカになってるんじゃないかと思うようなカチコミブチ切れシバキ倒しっぷりが半端じゃないです。このドラミングが主軸となったやたらやかましい爆音は、プリブラのシャーシャー系ともウォーブラックのボロボロ系とも違ったRAWさがあって、辛口ながらも非常にかっこいい。

…と、まずはその殺気溢れる出音に圧倒されるんですが、よく聴くとリフの質感も独特。意識の底の底まで冷えるような、黒い光を放つうねりが込められているような感触で、一般的なプリブラのトレモロリフやオールドスクールなリフとは明らかに違う感じ。むしろ波動を感じるような音色のリフということで、テイストとしては音響ドゥームに近いのかも。ファストパートのインパクトが凄まじいですが、実はミッドテンポのパートにもそれなりに時間が割かれてますが、そのパートもリフの独特さや音作りでかなり魅力的に聞こえる。

また、ヴォーカルもブラックメタルのジャンルでも常軌を逸したキチっぷりで素晴らしい。タイトル曲の捲くし立てとか絶叫なんて、バイオハザードとかでウイルスに冒されてゾンビ化する人間が壊れていく理性に怯えながら叫んでいるかのような切羽詰った狂気を感じるし、7曲目のラストの息を切らしながらの叫びは聴いているこっちの息が詰まるほど。正直このヴォーカルのパフォーマンスだけで★3つ付けてもいいくらい。

「何かに圧倒されたい」という動機で、ブラックメタルを聴くことに手を出したような方にはまさにうってつけな作品。同郷のバンドではANTAEUSやAOSOTHなどが好みの方にもお勧め。こっちの方がもっとマニア向けですけど。


THE ASCENDANT - The Spiritual Death EP ★★★ (2013-12-28 00:47:58)

2012年発表の2曲入りEP。

基本的な輸入盤アルバムの相場が2000円前後だとすると、2曲で約1000円なのはちょっと高いな…と思って、今まで買い控えしてたんですが…自分の判断力の鈍さを呪います…。なんなんでしょうか、この質の高さは…。Mortuus加入以降のMARDUKやTRIUMPHATORを思わせる、暗黒趣味強めなファストブラックという感じですが、最早ベテランのこれらバンドに、既に肉薄する音を出しているんですが…。

例えば獰猛にがなるヴォーカルや、激ファストなブラストを軸に据えた展開などから感じる暴虐性、その暴虐を余すことなく伝えるクリアな音質など、ファストブラックとしての基本的な質も当然のように高いですが、その上で楽曲も極上なのが素晴らしい!気が滅入ってくるようなアルペジオ、体温だけでなく明度も同時に下げる暗黒極寒トレモロ、音圧を与え闇を更に深くする刻みリフ…上質のパーツを、巧みに組み合わせて醸成される楽曲はどこかカリスマ的ですらあります。いや、本当に買って良かったと思う…。

バンドとしての初音源となるEPがこうまで素晴らしいと、1stアルバムの出来が非常に楽しみですが…残念ながら、2013年には発売されませんでしたね…。良い物を作るために、時間を掛けているのかもしれませんね。ともあれ、2014年は1stアルバムの発売に期待です。


THE AUSTRASIAN GOAT ★★ (2012-02-23 21:10:51)

フランスのフューネラルドゥーム寄り鬱ブラック。
THE AUSTRALIAN GOATではないので注意。


THE AUSTRASIAN GOAT - The Austrasian Goat ★★ (2012-02-23 21:11:25)

2007年発表の1st。

メロディアスなフレーズよりも、ノイジーな引き摺り系を多用するリフと、ネガティブなオーラをそのまま可聴化したようなキーボードがメランコリックを通り越して抑鬱的なムードを描き出し、そこに血を吐くような叫びが乗る、葬式ドゥームと鬱ブラックを掛け合わせたような作風で、NORTTやELYSIAN BLAZE辺りに近い路線ですね…というか、ぶっちゃけこの2バンドの間くらいの作風というのが、初めて聴いたときの印象でした(笑)。

ただ、やはりNORTTなどとは微妙に雰囲気が異なりますね。NORTTが底知れぬ闇を湛えた洞穴に引きずり込まれていく感じだとすると、こっちはノイジーなギターが入った瞬間、周りの空気自体が瘴気に変わってしまう感じでしょうか。NORTTが奥行きのある闇だとすれば、こっちは広がりのある闇。またELYSIAN BLAZEと比べると、メロディの哀愁成分で劣るかわり、どこかサイコで異常性のある雰囲気が強いように思います。

普段から鬱系を聴いている人にとっては特に目新しいような音ではないですが、雰囲気の演出やメロディの絶望感のクオリティは非常に高く、良質な作品だと思う。基本バンド聴いて、この手のジャンルをもっと突き詰めたいと思った方は是非。


THE AXIS OF PERDITION - Tenements (Of the Anointed Flesh) ★★ (2011-08-23 22:38:54)

2011年発表の4th。

これ、個人的に凄く楽しみだったんですよ。
ショップの宣伝や、レビューサイト/ブログでもDEATHSPELL OMEGAの影響を受けたと言われてて、今までアンビエントやインダストリアル、それもかなり個性的な路線のものを演ってたバンドがそっち方面に行ったらどんな音になるのか…と、かなりわくわくして聴きました。

確かに、単にダークなだけでない、不協的かつ有機的に蠢くようなメロディは、明らかにプログレ/アヴァンギャルド/テクニカルな方面に行ってからのDSOの影響下にありそうですね。しかしそれが乗るリズムが、手数は多いものの音量の小さい、音に融けるようなドラミングのため、更に有機的な気持ち悪さが強調されている感じ。テクニカルな面の追及をしない代わり、不気味さに特化したDSOという雰囲気で、常軌を逸したムードはBLUT AUS NORDっぽくもあるかも。

今まで作り上げてきた世界観が崩れ落ちるような8曲目、オーケストラルなキー、メロいトレモロとメロディックな要素が何故か気持ち悪い9曲目、アンビエントからノイズで締める後味の悪いエンディングの10曲目と、生理的嫌悪感を催すような世界観を圧倒的に構築しておいて、終盤でそれを覆すも嫌悪感はしっかり保ち続けるようなアルバム構成も、なにか偏執的なものを感じます。

と言っても完全にDSOやBLUT AUS NORD的というわけでもなく…怒りに任せたがなり、泣きながら何かを懇願するような呻き、邪悪な意志を説くようなクリーンなど、感情の流れに従って狂気的なパフォーマンスをするようなヴォーカルが、数億匹の蚯蚓が壁面になったような、赤黒く蠢くバンドサウンドの前に出てパフォーマンスをする音像は、個人的には前作の感性を引き継いでるように思うんですよね。前作はアンビエント+語りというスタイルでしたが、何かをヴォーカルが訴えかけてくるスタイルが似てる。

作品の路線やクオリティとしては、余裕で星を3つ付けても良いところなんですが…音が小さい、ラストが今までと同じ音量で聴くと爆音過ぎて耳が痛い、と私の大嫌いな要素が2つも入っているので、星は2つで。特に音の小ささは…これ聴いた後に、音量戻すの忘れて最近のJ-POPとか聴くとイラッと来て柱蹴りたくなるレベル。ここだけは本当になんとかして欲しかった。1stはまともな音量だったのに…。


THE AXIS OF PERDITION - The Ichneumon Method (And Less Welcome Techniques) ★★ (2008-10-29 22:35:00)

2003年発表の1st。

このバンドは日本産ホラーゲーム「Silent Hill」にインスピレーションを得ていると聞き、興味を持ったんですが…ブックレットのインスピレーション元欄を見てみると、確かにラブクラフトやデビッド・リンチなど他のアーティストも良く影響元に挙げているものの中に、Silent Hillが!!ぶっちゃけSilent Hillは未プレイなんですが、イギリスのブラックメタルバンドが日本のホラーゲームからインスピレーションを得てるという事実は、やっぱりいちゲーマーとしては見過ごせませんよね(笑)。

強酸を思わせる爛れたメロディ、エフェクトを最大限に活用し異形化したヴォーカル、それらのグロテスクさを更に際立たせるサンプリングやノイズなどから受けるイメージは、確かにホラー的な気持ち悪さがありますね。こういうホラーな雰囲気を演出するバンドって、アンビエント方向に行く事が多いと思うんですが、このバンドの場合インダストリアルな打ち込みドラムがドカドカと鳴り響いてる上に音量もデカく、かなりブルータル。それでいてバンドサウンドそのものより、それを使って演出する世界観を聴かせる音になってるのは面白いです。生ドラムを使うと、生きた音がホラーな世界を壊してしまうから敢えて打ち込みドラムを用いてるのかもしれませんね。

しかし、AKERCOCKEといいTHE MEADS OF ASPHODELといい、イギリスのブラックって変り種率が高い気がするんですが…。イギリスって食文化などから頑固なイメージを持たれがちですが、このジャンルに関しては柔軟で変態なバンドが多いような印象があります。


THE BIRTHDAY MASSACRE - Walking With Strangers ★★ (2007-09-22 18:12:00)

2007年発表の3rd。
それにしても、バンドロゴやアートワークのポップでゴシックなセンスが素晴らしいですね。
半分はジャケ買いです(ジャケ見る→ネットで試聴→購入のパターン)。
クレジットを見るとアートワークにもメンバーが関わっている模様。
肝心の音楽性の方ですが、EVANESSENECEのファンの掲示板で話題になったというだけあり、
その手のファンにもアピールするような、かなり聴きやすい部類に入るゴシックメタル。
ヴォーカルの声質(個人的には天野月子さんに似てる気も)といい、キーボードをふんだんに
使ったファンシーで明るめな曲調といい、EVANESSENCEよりも更に聴きやすいと思います。
メタラーよりも一般洋楽ファン、BURRN!の読者よりもINROCKとかの読者に受けそう。
ただ、折角魅力的なヴォーカルがいるのに、歌メロがやや淡白に感じるのは惜しいかも。
曲によってはトランス的リズムやヘヴィなリフを取り入れていたり、曲調には幅を
持たせてますが、アルバム一枚通して聴くと少しダレを感じるかも。
決して地味なサウンドではないですが、もう少しフックがあると更に良かったと思います。
とはいっても、アートワークを含め、欧米のカトゥーンにも通じる、キッチュ&キュートで
ちょっとダークな世界観はなかなかに魅力的。
しかし、メンバーのChibiやO-enというバンドネームが日本語由来なのか気になる…(笑)


THE BIRTHDAY MASSACRE - Walking With Strangers - Falling Down ★★ (2007-09-28 21:58:25)

シンセの音色といい、トランシーなリズムといい、小可愛らしい印象の曲。その中にほんの一滴だけ毒が入っている感じでしょうか。ミッ○ーの中の人をドラーグクイーンがやってるディ○ニーランドに連れてこられたみたいなキッチュ感(?)。


THE BIRTHDAY MASSACRE - Walking With Strangers - Goodnight ★★ (2007-09-28 21:55:50)

アルバム中、この曲のメロディが一番好きかも。
「♪You're just a lover~」辺りがぐっと来ます。


THE BIRTHDAY MASSACRE - Walking With Strangers - Movie ★★★ (2007-09-28 22:02:48)

このタイトルの付け方上手いですね。本当に映画が終わって皆が席を立っていくような一抹の寂しさが感じられます。


THE BIRTHDAY MASSACRE - Walking With Strangers - Red Stars ★★ (2007-09-28 22:00:15)

かなりヘヴィなギターをフィーチャーしたパートを含む曲。
ですが歌が始まるとやはりポップでメロウな雰囲気も。このヘヴィ方向に行き過ぎない感じがいいですね。


THE BLACK ★★ (2010-04-14 21:44:00)

スウェーデン産ブラック。
今は亡きDISSECTIONのJonがかつて在籍していたバンド。現在も活動中です。


THE BLACK - Alongside Death ★★ (2010-04-14 21:41:00)

2008年発表の2nd。

ぶっちゃけDISSECTIONのJonがかつて在籍していたバンドが、今どういう音を出しているのか…という興味から購入したんですが、これはなかなか良いですね。Jonの徹底したサタニズム信仰が奇しくもメジャー志向のメタルとして身を結んだDISSECTIONの3rdとは対照的に、アングラさをかなり残した、RAWなブラックメタルを演ってます。

ジギジギと耳を蝕むギターノイズに支配された音質、メロブラの荘厳さや寒々しさではなく、黎明期の真性ブラック的な不吉なメロディなど、大分カルト性の高い作風。緩急のメリハリも付けられていて、疾走パートは1349ばりのブチキレ具合で聴かせてくれるし、スローミドルのパートでは前述の不吉なメロディセンスが底知れない邪悪さを演出してると思う。ヴォーカルも、中音域のがなりで、特に独特なスタイルではないものの、地獄から這い上がってくる亡者のような、粘性の高い叫び声で、曲の邪悪さを底上げしてます。

ちなみに、CD版はPulverized Recordsから2009年に発売され、初回の2000枚は帯・ステッカー付きのブラックケース仕様だとか。…私は何も知らずに買いましたが限定盤を手に入れられたようです。ラッキーかも(笑)。


THE BLACK - Alongside Death - Alongside Death ★★★ (2010-04-14 21:42:21)

アルバムのラストを飾るタイトル曲にして、作品全体を総括するような曲であると思う。体感速度ギリギリの暴走振りを見せつける疾走パートと、不吉なメロディを聴かせるミドルパート、そのどちらをも聴かせてくれる曲。


THE BLACK - Alongside Death - On the Descent to Hell ★★★ (2010-04-14 21:43:46)

この1曲目を聴いた時、絶対このバンドファストブラックオンリーだと思ってました…アルバム全体では、実際はミドルも結構重視してるんですが、それくらい筋金入りの音。「爆走」とか「爆裂」とか、なにか「爆」の字を使って表現したくなるような迫力があります(笑)。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead ★★★ (2010-04-25 16:02:00)

2010年発表の2nd。

ショップの紹介文では、メタルコアやデスコアなど、「コア系」のバンドが引き合いに出されていたので、少し手を出すのに躊躇ってしまった(個人的に、「~コア」と「耽美」というフレーズが、今一つ結びつかないので…)んですが、コア要素は所々で聴けるモッシュ誘発系のリフやリズムの構成、女性ノーマルヴォーカルの歌い上げくらいで、基本的にはABGAIL WILLIAMSやSOTHISなどと同系統の、最近アメリカに多発しつつある絢爛なシンフォニック・ブラック。

前者のバンドがブラック由来のトレモロリフを多用する傾向にあるのに対し、こっちはメロデスやメタルコア的な、厚みとグルーヴを重視したリフが多いのが特徴。また、前者バンドがシンフォニック・ブラック本来の絢爛さを今風の感性でブーストしているのに対し、こっちはキーボードにフューチャリスティックな音を入れたり、エレクトロゴシック的な音色やシンフォゴシック的女性ヴォーカルを起用したり、手法そのものがもっと今風だと思う。

曲構成の巧みさ、音の暴虐性、デス的な咆哮とブラックの絶叫を使い分けるヴォーカルの迫力など、どの要素を取ってみても一流で、隙のない完成度を誇ってますが…真に素晴らしいのはキーボードの奏でるメロディ。他のシンフォ系バンドと比べても、明らかに本格的なクラシック志向の上品さがあって、各曲ごとのフレーズが凄く印象に残る。質が高くとも、金太郎飴になりがちなこのジャンルにおいて、このキーボードの存在はかなり大きいのではないでしょうか。

そういう訳で、またしてもアメリカからシンフォブラック好き必聴の作品が出てきましたね。メタルコアがメロデスを愛聴しているリスナーが、最初に手を出してみるシンフォブラックとしては、DIMMU BORGIR等の大御所やABIGAIL WILLIAMSなどの新星よりも良い作品かも。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Hordes ★★★ (2010-04-25 16:10:50)

曲の粒が揃ったこのアルバムの中でも、個人的に一番の名曲だと思う。
…いよいよもって、本格的にクラシックを習った人でないと書けないのでは?と思わせるほど、クラシック志向の強いメロディになって来てます。これだけメロディが素晴らしいのに、攻撃性にも何ら妥協は無いですからね…特にラストのブラストは恐ろしくかっこいいです。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Leveler ★★★ (2010-04-25 16:06:22)

これを聴いて、明らかに一流のシンフォブラックと言える音を出しているバンドが増えている今にあって、頭一つ抜けているセンスがあるバンドである事を確信しました。ブラスト地獄の中に入る流麗なピアノメロが実に素晴らしい。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Metamorphosis ★★★ (2010-04-25 16:09:56)

この曲は、キーボードを取っ払ったら割とメロデスに近いサウンドになりそうですね。リフ使いにグルーヴやうねりが感じられると言うか。この辺りのセンスが、ABIGAIL WILLIAMSやSOTHIS等のバンドとは一線を画している所だと思います。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Odyssey (Un) Dead ★★★ (2010-04-25 16:09:05)

サウンドこそブラック由来の暴虐性の高さですが、女性ヴォーカルやキーボードのメロディの醸し出す耽美性は、最早シンフォブラックの域を超えて超一流のシンフォゴシックに匹敵すると思う。 ギターも一曲を通じて泣きのフレーズを奏で続けていてなかなかです。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Pantheon Unraveling ★★★ (2010-04-25 16:08:09)

フューチャリスティックなキーボードだけではなく、エレクトロゴシックから影響を受けたようなリズムを「さらっと」盛り込んでしまう辺りが流石ですね…。こういう曲展開を、何ら特別な事として捉えていないかのような自然さ。


THE BREATHING PROCESS - Odyssey (Un) Dead - Vultures ★★★ (2010-04-25 16:07:15)

これは後半からエンディングにかけての展開が素晴らしいなぁ…特にアルペジオに女性ヴォーカルやキーボードが乗るパートでは、決して一流シンフォ系のテンプレートをなぞっただけでは作りえない、確固たるフレーズ作りの才能を感じられます。


THE CNK - Ultraviolence Über Alles ★★ (2010-03-09 00:02:00)

2002年発表の1st。

09年に他アーティストによる全曲のリミックスを加えて再発されました。私が持ってるのは再発盤ですが…この二人のイケメンが濃厚に口づけするジャケは、ある意味Aアノレクの3rd以上に背徳性を感じるんですが…もっと人に見られたくない感じ(笑)

路線としては、ダンサブルなインダストリアル・ビートに、リズミックさを更に強調するような刻みリフを絡め、そこにブラックメタルバンドらしい不穏なキーボードや、凶悪にアジるヴォーカル等を乗せたインダストリアルブラックで、「Reign of Light」「Solar Soul」期のSAMAELに近い音。キーボードのフレーズに不穏さだけでなく、クラシカルな美意識も感じられるのは、やはり元アノレクのメンバーの感性に因るものが大きいのでしょうか。
SAMAELがクールさとポジティブな暗黒エナジーを強く感じる作風なのに対し、こっちはもっと厭人的かつ好戦的で、より凶悪な雰囲気を纏っていると思う。歌詞もストレートに凶悪だし。

再発に当たって追加されたリミックスですが…なんなんですかこの濃ゆい内容は(笑)。展開を破壊し、より純粋にインダストリアルに傾倒したアレンジ、ブラックメタル的な凶悪さをより強めたアレンジから、インダストリアルからもメタルからも離れ、普通のロックになったようなアレンジまで、かなり幅広い上に面白い。「Political Police」とか歌詞以外に原曲と共通する要素あるんでしょうか(笑)。例えるなら、ARCTURUSの2nd(La Masquerade Infernal)とリミックスアルバム(Disguised Master)が同梱されているような濃さ。欲を言えば、多少値段は上がってもいいので、リミックスは別ディスクにして欲しかったかも…これだけ濃いものを本編の後に持ってくる構成は結構キッツいです(笑)。

SAMAELなどの、特にリズム面でインダストリアル化しているブラックメタルが好きな方ならおそらく気に入るであろう作品。アノレクが好きだった人も、初めは戸惑うかもしれませんが、慣れれば退廃性・好戦性が心地良く感じるのでは。もし買うなら是非リミックス入り再発盤を。…と言っても、多分普通に買えるのは再発盤だけだと思いますが…。