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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 601-700

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 601-700
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ARCKANUM - Ppppppppppp ★★★ (2009-08-18 09:32:00)

2009年発表の5th。…本当はタイトルは「P」に似たルーン文字なんですけど…文字化けするのでこの表記で失礼。

ブラックからギターパートのみを抜き出した曲や、SEの中呪詛が木霊する曲など、多少イレギュラーな要素はありながら、基本的には2ビート疾走+トレモロリフパートを軸に、オールドスクールな要素も交え展開する、プリミティブブラックに近い音楽性ですね。曲調はプリブラ的ながら、リフの音色はどす黒さを感じさせつつ、厚みもしっかりあるもので、音質は良好。この歪ませ方の上手さは同郷のCRAFTを思わせます。

基本トレモロに覆われた作風ながら、メロディは薄味で硬派な雰囲気。ところどころでメロディを前に出すパートであっても、寒々しさや悪を祝福するような雰囲気が感じられ、甘い感じがしないのが素晴らしい。ヴォーカルはWATAIN系の中域がなりで、ブラックの邪悪さをストレートに演出するような声。WATAINよりもちょっと粘着質な感じがするのが特徴でしょうか。

CRAFT同様、非低音質ながら、プリミティブブラックの魅力がしっかり息づいた作品で、普通のメタラーがプリブラの曲の魅力を理解するには、DARKTHRONE3部作やMUTIILATIONよりも効果が期待できる作品と言えるかも。ただ、私の買った盤はデジパックの制作が上手くいっておらず、CDがケース内部に糊付けされていて、取り出すときにケース半壊+CDベッタベタになったので、次からはちゃんとしてほしいです。


ARCTIC PLATEAU - The Enemy Inside ★★★ (2012-03-13 21:21:32)

2012年発表の2nd。

メタル系の店ではシューゲイザー・ブラックの流れで紹介されていましたが…ブラックとシューゲイザーを繋ぐような、歪みの深いギターリフはあまり使わずに、クリーンなアルペジオと清浄に響くトレモロ、メロウなベースラインを重層的に、丁寧に織り上げて穏やかで美しい情景を演出する作風。ヴォーカルはほぼクリーンで、メランコリックかつ情緒的に歌い上げる声はOPETHのMikaelやALCESTのNeigeっぽくもあるかも。

アートワークや曲タイトル、歌詞などから察するに、このバンドは精神世界のグルーミーな部分を描こうとするコンセプトがあるようで、ごく一部で日常のSEにドローンを重ねて暗黒さを演出したり、ブラック系の絶叫が入ったり、ノイズ的なアプローチもあったりしますが…曲に込められた鬱感情に共感するより先に、ただただ音が美しくて心地良くて穏やかで、ひたすら聴き入ってしまうんですよね…。

例えて言うなら、幼少期になんらかのトラウマを負った人間が、セラピーによって少しずつ心を溶かされていくような、そんな穏やかなカタルシスを感じられる音…と言った感じでしょうか。聴いていると本当に、自分の中で何かが浄化されていくような、そんな感覚を覚える作品なんですよね。心が洗われる、というのは、正にこういうことを言うのではないでしょうか。

ぶっちゃけシューゲイザー系のブラックって最近そんなに熱心に追ってなかったりするんですが、そんな私でもこのアルバムは素晴らしいと思えました。このジャンルの中ではLES DISCRETS辺りとタメを張れる深い耽溺性のある作品。この手のブラック以外にも、OPETHやGREEN CARNATIONのアコースティック作品、KATATONIAの近作などを好む方にも大推薦。


ARCTURUS ★★ (2005-10-21 19:47:00)

ARCTURUSの新譜、まだ聴きこんではいませんが、とりあえず買ってきました。
Garmが抜けて、もしもいかにも「メタルです。」みたいなハイトーンヴォーカルが
入ったらどうしよう、とか危惧してましたが(笑)、Vortexの声良いですね。
Sverdも抜けてなくて安心…でも彼の写真はレイザーラモンHGに見える(笑)
個人的には…
1st…まだ人間が空を見上げる頃しか知らなかった頃の宇宙観
2nd…中世くらいに入って哲学が発達してきた頃の宇宙観
3rd…実際に宇宙開発がスタート
4th…恒星間飛行が可能になり今まさに宇宙を旅している所
なのかな、と思います。この調子でいけば、5thは時間を超えて4次元とか(笑)!?


ARCTURUS ★★ (2005-11-04 00:34:00)

>sisさん
なるほど~。3rdではドラムの音が大きすぎると感じる方もいるんですね。
私は3rdの音質は凄く好きなんですが、1stではsisさんと同じ様に思いました。
あのアルバムはキーを1、3倍、ドラムを0、7倍くらいにしたら丁度良さそうです。
しかし、MDにJ-POPと一緒に入れてるんですが、ARCTURUSの所だけ音量を
上げなくてはいけないのが悲しい…メタルなのに~。
しかし、確かに1曲だけ選ぶのが難しいアルバムですよね。
私なら「EVACUATION CODE DECIPHERED」かなぁ。一月後には変わってるかも。
それと、今回は曲名が覚えにくいかも(苦笑)
いまだに歌詞カード見ないと曲名が分からない…


ARCTURUS ★★ (2006-01-11 17:21:00)

この間、雑誌でARCTURUSのインタビューを読みましたが、
やっぱり「SIDESHOW SYMPHONIES」のミックスには満足していないみたいですね。
2曲目の終わりのうざいノイズも非意図的なものなのかもしれませんね。
本人達の手によるリマスター盤とか出たら普通に買ってしまいそう…


ARCTURUS ★★ (2007-02-19 22:39:00)

1stの緑のジャケ盤が中古で安価だったので買ってきましたが、結構違いますね。
再発盤のような音の硬質さはあまりなく、音が小さめですが、キーボードを
始めとしたメロディの要素が前に出ていて、より幽玄な仕上がりになってます。
普通のブラックメタラーには再発盤の方が好まれそうですが、LIMBONIC ART等の
バンドサウンドよりもシンフォ要素が強いものが好きな人ならば、もし売ってたら
再発盤を持ってたとしても買って損はないんじゃないかと思います。


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia ★★★ (2005-01-02 07:04:00)

ARCTURUSの1stアルバム。
オリジナルは1996年発表で、現在出回っているものはボーナスディスク付き二枚組みの作品となっています。以下音源の感想です。

DISC-1

「Aspera Hiems Symphonia」の音源です。
2ndではアバンギャルドで知的な音楽、3rdでは一度聴いただけで虜にするようなポップ性を持ちながらも練りこまれたメタルを聴かせてくれましたが、この作品では普通に(?)シンフォニックブラックしてます。とにかくSverdのキーが印象的な作品で、私は金属的な音色のそれからはオーロラを、
ピアノの音色からは星の瞬きをそれぞれイメージしました。ノルウェーの夜空ってこんな感じなのかな…って想像したくなるような煌びやかな音ですが、たまに宇宙人が出てきそうな(笑)ミステリアスな所もあります。

そして次に印象に残ったのはGarmのヴォーカル。普通声も充分美声でしかも上手いですが、デス声が本当に素晴らしい!!高音での硬質ながなり声ですが、Ulverの1stの時よりも格段にパワーアップし、物凄い邪気を放出しています。個人的に、MAYHEMのManiacやAttilaに次いで最も好きなヴォーカリストの内の一人です。ですが、ミディアムテンポ中心の為、ブラックは疾走してなんぼっていう人にはもしかしたら合わないかもしれません。私的には名盤です。

DISC-2

91年発表の「My Angel」から2曲、94年発表の「Constellation」からの4曲に「The Deep Is The Skies」「Cosmojam」を足した、計8曲からなるCD。「Constellation」の内容は「Aspera…」収録曲の別バージョンですが、あのSamothが在籍していた時の音源なので資料的価値も高いかもしれません。また、Garmの声が若いです。デス声はまだ迫力不足かもしれませんが、普通声はちょっと素朴な感じがしてこっちはこっちで違った魅力があると思います。音質は「Aspera…」と比べると少し悪いですが、全く聞き苦しくはなくブラックの中ではかなり綺麗な方だと思います。


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia - Cosmojam (2005-01-02 07:09:11)

タイトル通り宇宙的な感じのするインスト。
その音色に対して、何故か跳ねたリズムなのが面白いです。


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia - Du Nordavind ★★★ (2005-01-02 07:08:20)

この曲のイントロのキー、「宇宙人の音楽」って言ったら信じる人いるかもしれないですね(笑)。2回リメイクされていますが、私的には1度目のリメイクが一番バランスが取れていて良いと思います。(2回目はデス声にエフェクトかけないで欲しかった。)中盤のダークメルヘンの世界にいざなうようなキーも聴き所ですね。ただ、このパートのヴォーカルはオリジナル版が一番邪悪な感じがして好きです。


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia - Fall of Man ★★★ (2005-01-02 07:05:32)

ゆったりとしたテンポで壮麗なキーを聴かせる、とても煌びやかな曲。アルバムの中でも最もキーが活躍していると思います。
でもメロディに酔い痴れているとGarmのデスヴォイスが容赦なく襲い掛かってきます(笑)


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia - To Thou Who Dwellest in the Night ★★★ (2004-12-22 22:51:16)

「Aspera...」はミディアムテンポ中心のアルバムですが、1曲目を飾るこの曲はかなり疾走しています。
この曲で最も印象的なのはGarmのヴォーカル。憎しみの塊を吐き出すかのように鋭いデスヴォイスを発揮してます。感極まっているのか、息の吸い込み方さえも凄い迫力…
でも、歌詞が「Thy breeze maketh me shiver/Maimeth me with its frozen malice」と妙に被虐的な感じがするのがなんか気になります。


ARCTURUS - Aspera Hiems Symfonia - Wintry Grey ★★ (2005-01-02 07:07:15)

曲が始まってすぐのGarmの美麗な普通声や、厳かなリズムと共に鳴り響く威厳に満ちたキーなど聴き所の多い楽曲。歌詞の「Hither wirling,thither swirling」というフレーズの響きがかっこよく気に入ってます。


ARCTURUS - Constellation - Icebound Streams and Vapours Grey ★★ (2005-01-02 07:10:40)

「Wintry Grey」の別バージョン。
冒頭などで聴かれる普通声が妙に味があって良いです。


ARCTURUS - Disguised Master - Ad Astra (ensemble Version) ★★ (2005-03-30 21:52:18)

Ad astraをストリングスでアレンジしたヴァージョン。
原曲のメロディが良いので、こういうアレンジは映えますね。


ARCTURUS - Disguised Master - Deception Genesis (2005-03-30 21:51:24)

今作唯一の新曲(一曲目はイントロ的な曲)。
2nd収録曲の路線を押し進めていった感じの曲で、さらに抽象的な音像になっています。聴き所はやっぱりHellhammerの控えめなツーバスとメロディアスな歌メロをフィーチャーしたサビ部分でしょうか。


ARCTURUS - Disguised Master - Du Nordavind (1998 Re-recording) ★★ (2005-03-30 21:53:28)

1stアルバム収録曲のリメイク。
かなり特殊な雰囲気を持つこのアルバムに収録されていると、良くも悪くも浮いて聴こえますね(笑)より幻想的なアレンジで、やはり途中のピアノソロには聞き惚れてしまいます。


ARCTURUS - Disguised Master - Master of Disguise (phantom Fx W/gangstafications by S.c.n) ★★ (2005-03-30 21:54:50)

なんとあのMaster of disguiseがHIP-HOPに…!!
ボードレールの詞にインスパイアされたと思しきこの詞がラップ調で歌われるのにまず違和感。途中挿入されるギターの早弾きにまた違和感。でもその違和感が上手く重なって、一つの世界を構築してしまってるのが凄いです。普段私は聴かないような音楽ですが、こういうのもたまには良いですね。


ARCTURUS - Disguised Master - Painting My Horror (g.wolf Levitation Mix) (2005-03-30 21:55:46)

キーのフレーズが効果音と合わさり、更にホラーの世界に。
途中言葉が左耳から入って右耳から流れ出ていくような感じを覚える、不思議で面白いアレンジがなされている部分もあって、聴いて損は無い一曲です。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale ★★ (2004-11-11 19:38:00)

1997年に発売された2ndアルバムで、タイトルはフランス語で「地獄の仮面舞踏会」の意味。ちなみに、現在は廃盤になってしまったようですが、日本盤も出ています。

…このアルバムについてはちょっと辛口になってしまいます。
メタルから離れた音楽性はそれはそれで好きですし、難解なアレンジは裏を返せば深みがあり、聴けば聴くほど好きになる要因になるので問題は無いんですが、如何せんヴォーカルが煮えきりません。Ulverの1stや4th、このバンドの3rd等を聴いてGarm(この作品ではWolf Gと名乗っているようです)のヴォーカルに心酔していたんですが、この作品での彼のヴォーカルはくぐもった低音で地味なメロを追う物が多く、その魅力ある声質が全く活かせていないように感じます。「THE CHAOS PATH」での独特の節回しを付けたヴォーカルはとても良かったのですが…

多分、この路線の曲調でも、GarmのVoさえ良ければきっと賞賛していただろうし、そう思ってしまうだけのクオリティの高さはあるだけに、どうもこの作品を聴くたびに複雑な思いに囚われてしまいます…メロディの良さは言わずもがななのだからデス声か、もういっそのことインスト作品として出して欲しかったかも。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - Ad Astra ★★★ (2004-12-22 22:51:37)

フルートが、ヴァイオリンがそしてギターが美しいメロディによる饗宴を開いてるかのような楽曲。途中少しだけヴォーカルが入りますが、ほぼインストといってもいい曲で、7分半もありますがメロディのせいで全くダレを感じさせません。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - Alone ★★ (2005-06-13 18:11:02)

Edger Allan Poe meets Heavy Metal!?
ポーの韻を踏みまくりの詞がメタルサウンドに乗った曲で、このアルバムの中では最もメタルらしいメタル。Hellhammerのドラムも炸裂しています。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - Of Nails and Sinners ★★★ (2004-12-22 22:52:02)

やはり私には難解に感じられてしまう展開の曲なんですが、何回か聴くうちにARCTURUS有数の名曲だと思うように。Garmの声はアルバムの他の曲同様、気難しい感じがしますが、オルガン、エレピ、ギターなどどのメロディを取っても最高クラス。特にギターソロには心を動かされるものがあります。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - Painting My Horror ★★★ (2006-09-02 04:51:55)

最初こそ結構地味な出だしですが、途中のシンセによって一気に雰囲気が奇術の世界に転換していくパートが物凄くシアトリカルで素晴らしい。Simenのヴォーカルもファルセットが変態的で良いですね。何気にギターも聴かせ所を弁えたフレーズ作りでやっぱりクオリティの高いアレンジです。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - The Chaos Path ★★★ (2004-10-27 23:50:14)

私的命名「宇宙人の演歌」(笑)。
ここでリードヴォーカルを取っているのは4thから加入する事になるSimen氏ですが、演歌並みのコブシを効かせたり親父チックなヒステリックながなり声になったりある意味壮絶なパフォーマンスを聴かせてくれます。SIDESHOW SYMPHONIESでもこういう歌声が聴きたかったな。


ARCTURUS - La Masquerade Infernale - The Throne of Tragedy ★★ (2005-01-02 20:31:58)

アレンジ面では「ウィーウーウィーウー」というコーラスが入っていたり自分の理解を超えちゃってる感じがしますが、ギターとキーによって奏でられるメロディは「悲しみの王座」というタイトルに相応しい威厳と悲哀に満ちています。「Ad Astra」の泣きメロ、「The Chaos Path」のヴォーカルと並んでアルバムのハイライトの一つになっていると思います。


ARCTURUS - My Angel - My Angel (2005-01-02 20:31:28)

「I need you」「I love you」「My angel」
…等という甘い囁きのような歌詞とはうって変わって、サウンドはダーク。これってラブソングなんでしょうか。作詞者の真意を知りたいです。


ARCTURUS - Shipwrecked in Oslo ★★★ (2006-08-27 17:54:00)

2006年発表の、オスロでのライブを収録したDVD。初回盤は缶ケース入り。NTSC、リージョンコード0なので国内機やPS2でも見られます!

選曲は4thを中心に、1stから1曲、2ndから4曲、3rdから2曲。「Deception Genesis」も演ってるあたりなかなかにマニアックです(笑)この曲、原曲の妖しさはそのままにバンド感を強調した仕上がりでとてもかっこいい。原曲は幽玄だけどちょっと地味だと思ってましたが、ライブだと化けてます。

このバンドは演奏力も然ることながら、演出も良いですね。
シアトリカルな要素の強い曲では白黒のビキニを着たピエロ(太り気味?セルライトが気になる・笑)が妙な踊りを踊ったり、林檎を投げたり、血糊を吹いたりと大活躍。圧巻は「The Chaos Path」でステージ上に大勢の人物が入り乱れ、正にサーカス団大集合といった様相を呈してます。犬の着ぐるみが女王様に襲い掛かって振り払われたり、客席に突き落とされたりしてオイシイ(笑)。他にもスモークに真っ赤な照明で雰囲気を出したり、視覚的にも魅せるステージング。もちろんメンバーは4thのアーティスト写真のようにスペース・ファンタジー系のコスプレ。っていうかHellhammer、あなたまで…(笑)それらライブ映像に加え、場面に応じて星空の映像が挿入されたりと言った画面効果も。

しかし、Simenはやっぱり歌上手いですよね。「Ad Absurdum」のような奇術的な歌が要求される曲にはピッタリだし、本来なら二人で歌うはずの「The Chaos Path」の難解なメロも風船を客席に投げながら歌いこなしていて素晴らしい。デス声の方は少し声量が無いかも。まぁ普通声がそれを補って上手いのでマイナスではないですが。加入前の曲もしっかりこなしていて、彼がいればARCTURUSのヴォーカルパートは安泰だと思いました。頬に手を当てて嘲るように言葉を発していく独特の動きもなんか好き(笑)。

勿論演奏も上手く、なかなか楽しそうなライブをしてます。また、メンバー3人のソロパートもあり。ただ、こうして全てのアルバムの曲を同列で見ていくと、2ndや3rdの曲と比べると4thの曲はどうも遊びが少ないような感じがします。例えば取っ付きやすいと言われる3rdの曲でも長くスペイシーな間奏があったり、2ndの曲はトリッキーな展開で聴き手を楽しませてくれますが4thの曲はちょっと真面目に作りすぎている印象。とはいっても、どれも充分かっこいいんですけどね。

ビデオクリップも収録した「Deamon Painter」や本人達もお気に入りだという「Nocturnal Vision Revisited」はもとより、アルバム中では何故か音圧が低く迫力に欠けていた「Shipwrecked Frontier Pioneer」もこのDVDでは聴き応え充分なかっこよさ。ちなみに音質は、バスドラが少し潰れ気味の音ながらクリアで良好。ただ、マスターヴォリュームが小さいので上げて聞く必要あり。MAYHEMのDVDもそうだったけど、SOMのDVDは皆そうなのかな?

ただ、MCがノルウェー語で何を言っているか分からないのはちょっと…。まぁ日本のバンドが日本で英語でMCするわけないし、しょうがないですけどね。字幕が欲しいです。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies ★★ (2005-10-27 22:44:00)

2005年発表の5thアルバム。
Garmは抜けましたが、ARCTURUS健在を示した一枚ではないでしょうか。

まず新メンバーのSimenのヴォーカルですが、彼には「加入ありがとう!!」と言いたい(笑)。3rdでのGarmと歌い方と比べると心持ち高めな声質で、良い意味で芝居がかった感じで今のARCTURUSの音によくフィットしたスタイルの持ち主だと思います。もし彼でなく、妙に暑苦しい声の人が入ってたら…あぁ、考えたくない考えたくない(笑)。ちなみにデスヴォイスもこなしますが、こっちはまあまあといった感じ。

曲の方はsisさんの言う通り、2ndと3rdの中間的な路線ですね。
どっちかというと2ndの世界観に3rdの分かりやすさを加えた印象を受けました。相変わらず中心人物Sverdのキーは素晴らしいです。勿論エレピも良いんですが、時折使うチャーチオルガンのような音が荘厳でかなり雰囲気でてます。

ARCTURUSらしく、クオリティの高い作品を出してきたと思います…が、二つほど不満な点も。まず一つは音質が低下してしまった事。そういう作風かもですが、バスドラの硬質さが減りツーバスを連打してもあまり迫力が無くなり、全体の音圧もちょっと低下気味。もう一つは「変り種」の曲が無い事。変態ヴォーカルをフィーチャーした「The Chaos Path」シンフォブラの名曲「Radical Cut」、長いピアノソロを含む大作「For And Yet Again」等の過去のアルバムの曲と比べると、曲調が少し均一化されすぎではないかと思います。まぁそこらへんは次のアルバムへ期待、ですね。

あと、今回はアートワークがとても良いです。
Sverdはレ○ザーラモンHGに見えるし、Simenは妙にイイ笑顔だし、みんな宇宙飛行士みたいな格好ではしゃいでます(笑)なんか文化祭でコスプレしてはしゃぐ女子とダブるんですが(笑)。やっぱりこういう楽しみに国籍・年齢・職業・性別の違いは関係無いんですね~。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Deamon Painter ★★ (2005-11-04 00:23:52)

緩やかに展開していく曲調のせいか、この曲を聴くと上下左右の概念が消失した宇宙空間をあてもなく彷徨ってるみたいな感じになります。こういう音空間の中で聴くと、荘厳なはずのチャーチオルガンもまるで自分に照射される宇宙線のように思えてくるから面白いです。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Evacuation Code Deciphered ★★★ (2005-10-28 22:08:08)

「チャンネルを変えてくれ、俺はまた退屈している」と面白い出だしの歌詞ですが、それにより表現される歌メロはかなり流麗。チェンバロ風のキーボードも良いです…が、何故か途中みんなで笑うパートがあってなかなか面白い。特にSimenだと思いますが、「オーホホ、オーホッホ」とか高笑いしててめっちゃ受ける(笑)


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Hibernation Sickness Complete ★★ (2005-10-28 22:09:26)

Sverdのピアノソロからすぐに入ってくるSimenの深みのある歌声に、安心された方も多いのではないでしょうか。特に「closer」のところのファルセットへの流し方がすっごく綺麗。しかしARCTURUSの曲ってハモりがいいですよね。是非魅了されちゃってください。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Hufsa ★★★ (2005-11-04 22:06:51)

1st以来と思われる、久しぶりの母国語チューン。
Simenのヴォーカルも他の曲より心持ち低めで、威厳がある感じなので特にこの曲でのパフォーマンスは気に入っています。ラストのギターソロはアルバムの締めに相応しいかっこよさ。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Nocturnal Vision Revisited (2006-09-09 21:51:52)

確かインタビューでは本人達もお気に入りで、ライブで演奏するたびに寒気が走るほど…と言及されていた曲だったと思います。正直アルバムの音質だと折角のツーバス連打の音が潰れていていまいちですが、確かにライブDVDではかなりかっこよかったです。「To our death will fall」の所のSimenのヴォーカルが色気ありすぎでヤバい(笑)


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - Shipwrecked Frontier Pioneer (2005-11-04 00:28:10)

何かこの曲は他の曲と比べて一段と音圧が無い気が…しかもラストに遭難した宇宙船からの最後の通信が途絶えたみたいなノイズが入ってるし。意図的なのかなぁ…ぶっちゃけ無い方が良いかも。曲そのものはULVER1stの3曲目に匹敵するピアノソロが聴けて良い感じなので惜し過ぎる…。


ARCTURUS - Sideshow Symphonies - White Noise Monster ★★ (2005-11-04 22:07:08)

このイントロの一筋縄では行かないというか、いかにも何か出てきそうな感じの一癖ある雰囲気、良いですね~。途中ドラムのフィルからキャッチーになるかと思わせといてそうでもない展開もやっぱり癖があって好き。
でも、みんなで「フォー!!」とか言ってるんですけど…今回のARCTURUSは何だか楽しそう。


ARCTURUS - The Sham Mirrors ★★★ (2004-10-15 10:40:00)

UlverのTrickster G(Garm)とMayhemのHellhammer等のブラックメタル界の超大御所が参加したバンドの3rdアルバム。なんとEmperorのIhsahnまでゲスト参加!!このメンツを見ただけでも「買い」と思ってしまう人は大勢いる事でしょう(笑)

音の方ですが、こちらの期待を裏切らない、というより期待を遥かに上回る勢いで良かったです。まずヴォーカルですが、Ulverの1stを聴いた時からGarmの普通声は若いながらかなりの上手さだと思っていましたが、ここにきて更に表現力を増しています。Ihsahnを想起させるオペラティックな歌声のほかにも、奇術師をイメージさせるトリッキーなヴォーカルも披露してます…が、デス声は全く聴かれなくなってしまったのがかなり残念です(唯一デス声入りの「RADICAL CUT」もIhsahnがVoを担当)。

ドラムは、今まで私が聴いたHellhammerが関わったCDの中では、MayhemのGDOWと並んで最も音質の良い部類に入ります。海外のレビューを見ると、このドラムの音質を「Crystal clear」と評してたりしますが正にそんな感じですね。そして、このCDの宇宙的な世界観を端的に顕しているSverdの電子ピアノ、この硬質な音色は生ピアノのそれよりも良いと思わされました。

全体的に見るとブラック的な要素はそこまで強いわけではないですが、歌メロやピアノメロが美しくキャッチーなために取っ付きやすいにも関わらずアレンジは複雑で聴き応えがあり、文句無しに超名盤といえると思います。もし私が2002年のベストアルバム投票に参加していたら、迷わずこのアルバムをベスト・アルバム・オブ・ザ・イヤーとかに選んでいたと思います。っていうかこんな超名盤のレビューがまだ3つしか無いなんておかしいです。

という訳で、みなさん是非買って下さい(笑)


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Ad Absurdum ★★ (2004-10-19 21:35:36)

タイトルは「不条理に」「極端に」って意味だったかな?
Garmのヴォーカルがまるで幽霊や奇術師を連想させるようないかがわしさを演出する曲。正に変幻自在のトリックスター・Gですね(笑)歌詞のタッチも異色。しかし前半のシアトリカルさとは裏腹に、後半のインストパートはかなり綺麗。


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Collapse Generation ★★★ (2004-10-19 21:35:56)

ツーバス踏みまくりでめちゃめちゃ疾走感がある中にSverdの電子ピアノが彩りを加える前後半と、スピードダウンしてGarmのオペラティックなヴォーカルとミステリアスなキーを中心に聴かせてくれる中盤から構成される曲。特に前半2分位殆ど(全く?)休みも無くツーバスを踏みまくるドラムは凄すぎ!流石Hellhammer…


ARCTURUS - The Sham Mirrors - For to End Yet Again ★★★ (2004-10-19 21:35:17)

アルバムのラストを飾るのは、10分半にも及ぶ大作。
特に不思議の国に誘い込まれるようなイントロのキーと胸を締め付けるエレキピアノのソロは超必聴!!でも中盤で静謐なインストパートから突然メタル特有の重い音になるので最初聴いてた時は体がビクっとなってしまった(笑)


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Kinetic ★★★ (2004-10-19 21:34:37)

この曲、歌メロはJ-POP並に聴きやすいのに演奏はかなり複雑で、途中に2バス連打などを入れるなどアレンジ面は凝っていて良いです。
宇宙的な空間を演出するようなアレンジからは宇宙飛行士が地球の青を宇宙船の窓から眺め、郷愁に浸っているような情景が浮かんできてしまいました。一曲目から凄い曲を入れてきますね。


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Nightmare Heaven ★★ (2004-12-22 22:52:20)

この曲のタイトルって、なんかRPGのラスボスが使ってくる技の名前みたいですよね(笑)前半の綺麗な歌い上げとラストのトリッキーなファルセットの対比はGarmの歌の上手さをまざまざと見せ付けてくれます。
ちょっとマニアックな意見かもしれませんが、「from oblivion by oblivion」のところのメロディ、そして発音のしかた(笑)に至るまで全てがツボです。よくこの部分は口ずさんでしまいます。


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Radical Cut ★★★ (2004-10-19 21:34:56)

シンフォニック・ブラックの超名曲。
VoにゲストとしてIhsahn様を迎えてます。正直Garmのデス声も聴きたかったけれど、Ihsahn様ならもう文句はありません。シンフォニック・ブラックが好きなら、いや「シンフォブラも聴く」くらいのメタラーでもこの曲は絶っっっ対に聴いて下さい!!


ARCTURUS - The Sham Mirrors - Star-Crossed ★★★ (2004-12-22 22:52:41)

「For to end yet again」のソロと並んで、アルバム中Sverdのエレキピアノが最も堪能出来る曲。特にイントロのソロを聴くと私の脳裡には夜空に煌めく天の川が浮かんできます。曲本編も「exploded」の後にSEで爆発音を入れたり、細かい所まで練られた楽曲だと思います。


AREA51 - Goddess ★★ (2010-03-24 23:42:00)

2010年発表の3rd。
ブックレット、もはやヴォーカリストのファッションショーですね(笑)
見てると、つくづくKate嬢って演出に拘り、かつ楽しんで演ってそうな感じがします。
ジャケットやアートワークからは、クリエイターの自意識が音に結び付いたタイプの、
世界観重視のフィメールゴシックっぽい音を想像してましたが…歌メロは歌謡的だし、展開も
明瞭なサビを持つポップな構成ながら、意外にも正統派よりで陰陽座辺りに近い音。陰陽座が、
妖怪路線とバッサリ訣別して、様式美的な要素やゴシック的感性を取り入れたらこんな感じに
なるのかもしれません。ヴォーカルもメタルにしては割とポップに歌い回してますが、
声を張るべきところではしっかり張ってくれるし、悪くないと思います。
ただ、最近の陰陽座と同じで、「必殺の1曲」が無いのがネックですね…。
陰陽座の2曲目、3曲目候補が多く詰まっているような構成で、シングル曲やタイトル曲が
無い感じ。イントロ明けの「Nightmare」なんかは掴みに相応しいキャッチネスがありますが…
全体的に、もう少し歌メロが華やかだと個人的には聴きやすいです。過度に歌謡的にならず、
「メタルである事」を重視するために、こういう音にしたのかもしれませんが…。
質が高いのは分かるけど、もう少し目の覚めるようなキャッチーさが欲しい所です。
新人バンドでいうと、LIGHTBRINGERやSKYWINGSクラスに歌メロが華やかだと、個人的には嬉しい。
ヴォーカルのファッションとも合うと思うし。


AREA51 - Goddess - Marionette ★★ (2010-03-24 23:46:36)

歌メロとバンドのアンサンブルが、しっかり噛み合っているサビが凄くかっこいいですね。ただ、歌謡メタルファンとしては、歌メロそれ自体はちょっと弱めだと思う。ギターソロなんかでは、結構良いメロディが聴けるんですが…。


AREA51 - Goddess - Miss You ★★ (2010-03-24 23:47:42)

語尾をクールに吐き捨てたり、エモーショナルに声を張ったり、ヴォーカルの表現力が光るバラード。アートワークなどを見ていても思いますが、Kate嬢は世界観を演出、もしくは創作していくのが得意なタイプのアーティストだと思う。


AREA51 - Goddess - Nightmare ★★ (2010-03-24 23:44:48)

様式美メタルにも通じる、ギターとキーボードの華やかな絡みで、掴みはバッチリ。…なんですが、これ以降の本編で余りこういう展開が聴けないのが残念。せっかくこういう華やかな音を出せるんだし、もっと前に出して強気で行っても良いと思うんですけど…。


AREA51 - Goddess - Regret Et Larme ★★ (2010-03-24 23:45:45)

歌い方の問題なのか、凄く陰陽座っぽく聴こえます(笑)。
初期の陰陽座から、妖怪っぽさを抜きさった感じでしょうか。


AREA51 - Goddess - U・ta・ka・ta ★★ (2010-03-24 23:49:25)

こういうダークめで、かつ正統な曲で締めてくれる構成はかなり好み。
ラストのサビからエンディングへの流れが、えらくテンション高くかっこいいです。


AREA51 - Goddess - Vanitas ★★★ (2010-03-24 23:48:33)

アトモスフェリックなキーボード、ヘヴィでドゥーミーなギターリフ、シリアスで切羽詰まったような歌メロが、一体となって悲壮感漂う世界観を演出する曲。これを聴く限り、情景描写能力もかなり高いと思う。なにか一つ強烈な個性が身に付けば、大化けしそうな感じがします。


ARFSYND - Arfsynd ★★ (2013-10-30 22:27:51)

2010年発表の1st。

リリースレーベルがDaemon Worshipの時点で予想は付きますが、衒いのないブラックメタルど真ん中な音ですね。メロウなトレモロを伴う疾走パートもある程度挟みつつも、それ以上に陰鬱なミドルテンポにも重きを置いた作風で、分かりやすいメロディアスさや暴虐さではなく、緩急ついた展開の中で邪悪さがじわりと滲み出てくるような、割と渋めな音という感じ。

何気にこの作品、音作りがかなり良いと思う。リフの歪みを引き摺るような、爛れたような音は特にミドルパートにおいて、厭な感じの湿り気を演出しているし、変にヘヴィではなく生々しさを残したドラムの音も耳に心地良い。一応独りブラックらしいですが、バンド感がしっかりある音で、RAWさとクリアさのバランスも上手い事取れてると思う。ヴォーカルはオーソドックスな中音域~やや高めのがなりですが、時折どこか絶望的な響きを帯びるのが良いですね。

どのサブジャンルに阿ることもない、堅実に良質に真性なブラックメタル。派手さはないですけど、この陰鬱で邪悪なムードはブラック好きに良く馴染むのでは。個人的にはかなり浸れます。


ARKHA SVA ★★ (2007-07-17 12:44:00)

謎の国産ブラックメタルバンド。
最近1stを出し、そのクオリティの高さから各所で話題を呼んでるバンドです。
1st出たのは今年ですが、96年結成でもう10年以上も活動してるバンドらしいです。


ARKHA SVA - Donusdogama: En Accrochant Le Mendiant Qui Tomba Du Trône De Dieu ★★ (2014-11-29 10:57:01)

2014年発表の4曲入りEP。
そのうち2曲は1分ちょっとのインストなので、ブラックメタル曲は実質2曲。トータルの演奏時間は約17分でEPとしてのボリュームはそれなりですね。

ARKHA SVAと言えば1stアルバム「Gloria Satanae」がフレンチブラックに通じるような不健康で耽美なメロディ、ソプラノのような超高音とリバーブの掛かった異様ながなり声を使い分ける、カリスマ性の高いヴォーカル、プリミティブブラックの魅力を完全に理解してると思われる、閉塞感のある、ノイジーながらメロディの良さを殺さない音作り…と、熱狂的な支持を得るに相応しい作品だっただけに、様々な音源集やライブアルバムを経ての新作EPとなると、かなり期待値も上がってしまう訳ですが…。

まずブラックメタルとしての完成度は相変わらず凄まじいです。人間の居住地が焦土へと変わっていく様だとか、疫病が蔓延して人が死に絶えていく様だとか、そういう破滅的な情景が浮かぶメロディセンスはやはり素晴らしいし、プロダクションがRawさを残しつつも厚みを増していて、そのメロディの苛烈さがより強調されている感じがします。ヴォーカルも超高音なのに滑稽さを微塵も感じさせない金切り声から、リバーブの掛かった悪魔としか思えない低音グロウルを使いこなし、表現力の高さは相変わらず。

なのだけど、聴き手に「何か凄いものを聴いている」と感じさせ、いてもたってもいられなくなる衝動を呼び起こすようなカリスマ性は、若干だけど薄らいでしまっているような感じもあるんですよね…単に私が1stの世界観に慣れすぎたのかもしれませんが。特に中音域でのクリーンヴォーカルの普通っぽさにはがっかり。最初聴いたときどこのB級歌い手かと…。このクリーンにも、例えばIhsahnやGarmのようなカリスマがあれば、おそらく更に信仰心を高めていたことでしょう。

国産ブラックやフレンチブラックが好きであれば買ってまず損はしないのは確かですが…正直これじゃない感を覚えた部分があるのも事実。神聖視されることが多いバンドだけにこんなレビューを書くと怒られるかもしれませんが…このバンドにはもっと圧倒的な存在でいて欲しいです。人間の側に降りてこないでいて欲しいというか。


ARKHA SVA - Gloria Satanae ★★★ (2007-07-17 12:43:00)

2007年発表の1st。
かなり話題になっていたので、流行に乗るつもりで(笑)手を出してみましたが、確かにこれは噂に違わぬ、ブラックとしてクオリティの高いアルバムだと思います。

音質はジャケット通りのザラザラした質感の強い、オブスキュアな感じでドラムの音も雰囲気を壊さない程度の大きさで、邪悪な瘴気をたっぷりと含んだもので、ヴォーカルもちょっとFUNERAL MISTを思わせる邪悪エフェクト付き低音がなりや、歪みまくったエグい中音がなり、悲痛系の高音絶叫まで幅広く使いこなしてレベル高いです。時折入るソプラノは、メンバーが裏声でやっているかどうかで議論を呼んだようですが…どうなんでしょう?叫び声からそのままソプラノに移行する所はそう思えなくもないですが…そういう音の処理を施しているのかもしれませんし、難しい所ですね…。

しかし、上で挙げた要素も素晴らしいですが、一番の売りはメロディだと思います。よくDEATHSPELL OMEGAが引き合いに出されているようですが、確かに神秘的でかつ宗教的なイメージを喚起し、更に寒々しさも感じさせるメロディセンスは共通してますね。そのブラック的極上のメロディが雰囲気たっぷりの音質の中、トレモロで掻き鳴らされてます。DSOが2ndのプリミティブスタイルのまま、3rdでのメロディセンスを身に付けた感じと言うと、少し近いかもしれません。とても日本のバンドとは思えないです。

ともかく、超が付くほど邪悪で、かつメロディセンスも抜群なのでブラックが好きならば買って損はしないと思いますよ。人間性の排除された、宗教的邪悪さを求める方は是非。


ARKHA SVA - Gloria Satanae - 49 Evil Spirits ★★★ (2007-07-19 20:45:57)

あの記号みたいなの、どう読めば49なのか…
どうしてもソプラノなのかメンバーの裏声なのか分からない高音の普通声に耳を奪われてしまいますが、リフのメロディも凄くいいです。ブラック然とした荒涼感がありながらも独特で、かなりセンスあります。


ARKHA SVA - Gloria Satanae - Down in Blaze and Pain ★★★ (2007-07-19 20:48:55)

イントロのリフからして殺る気マンマンですね(笑)
このバンド独特の荒涼感や神聖なまでの邪悪さはもちろんあるんですが、意外なくらいキャッチー。例え初心者でも、ブラックのこういう音に少しでも理解があるなら、一発で虜にされてしまうのではないでしょうか。


ARKHA SVA - Gloria Satanae - Gloria Satanae ★★★ (2007-07-19 20:42:34)

タイトルトラックは、12分の大作。
後半一層メロディアスになりますが、最早邪悪通り越して神聖ですらあります。聖書って意外と神や天使が人に対して血みどろの虐殺を行うシーンが結構ありますが、そういうイメージの神聖な狂気。神聖かつ邪悪すぎて人が近寄れない雰囲気はある意味ミサンスロピックと言えるかもしれません。とにかく素晴らしい!


ARKHA SVA - Gloria Satanae - The Malicious Eye ★★★ (2007-07-19 20:51:42)

相変わらず多彩なヴォーカルが聴けますが、この曲の中音域デスのエグさは特に素晴らしい。Wolf's Lair Abyssの頃のManiacを思わせる、恐ろしいまでのヒズみ声。これだけ多彩なデス声を使いこなしながら、どれもレベル高いって言うのは凄いですね…。


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn ★★★ (2007-12-06 14:18:00)

2007年発表の4th。
雑誌やネットにて、「KENOSE以降のDEATHSPELL OMEGAにも通じる作風」だとか「Norma Evangelium Diaboli系のバンドに近づいた音楽性」などの風評を目にしていて気になっていた作品。…そんな事言われたら、買わないわけにはいかないじゃないですか(笑)

確かに、寒々しさよりも混沌を重視した雰囲気作り、疾走パートにおける「ブラストにリフが乗る」というよりも「リフの作り出す混沌をブラストで切り裂く」もしくは「混沌にブラストで突っ込んでいく」ような他バンドとは一線を画するカオスの表現、低音もしっかり効いている迫力あるプロダクション、低音がなりのヴォーカルなどかなり共通点は多いと思います。ヴォーカルはこっちは下水道並の低音も使っていてめっちゃエグいです。

個人的に特筆したいのは前述した低音の効いた、凄みのある音質。
このドスの効いたプロダクションが、カオティックな曲の雰囲気を更に濃い物にしていて、特にスローパートにおいて血と膿が呪詛の力でスライム化し、その中で融かされるようなグロテスクな禍々しさを発散しているように感じました。このバンドはSM的な事も題材にしてたようですが、今回はそういう卑猥さよりも混沌と、その中にある宗教的な神秘性が強いように思います。っていうか、この勢いでSM行為なんかしたら死人が出ます(笑)

ブラックの宗教性、神秘性以外にもデスにも通じる猟奇性やブルータリティも感じられるサウンドなので、エクストリームメタル好き全般にお勧め。特にBEHEMOTH辺りが好きな方はハマるかと思います。クオリティでも向こうに全く引けを取りませんよ。

ちなみに、私は限定盤の縦長デジパックの方を買ったんですが、想像力を刺激するような宗教的なアートワークが鏤められ、なかなかに豪華。こういうアートワークへの拘りもNED的なのかもしれませんね。ただ、紙質的にかなり汚れやすそうなのがネックですが…。


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn - Behind the Husk of Faith ★★★ (2007-12-06 14:21:26)

ブルータルブラックの定義通りの圧倒的ブルータリティ、ドゥーム並のヘヴィさに加えて展開のダイナミックさ、雰囲気の猟奇性、神秘性まで完備しているというのだから始末に終えません。後半の荒廃しきったメロディセンスも実に素晴らしいです。


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn - La Particule De Dieu ★★★ (2007-12-06 14:22:39)

まるで人間の力ではどうにも出来ないような、大きな不幸が迫ってくるような不吉さが空気を支配している、スロー~ミドルで展開していく曲。雰囲気的には、DSOの「Fas~」の静のパートに近いかもしれません。


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn - Magnificat Satanas ★★★ (2007-12-06 14:20:36)

ここまで本気な雰囲気が濃いと、「Satan」の叫びが全くギミックに聴こえないというか、リアリティを持って迫ってきますよね…。むしろこの人たち、悪魔そのものです(笑)。不吉なメロディの中断続的にブルータリティが炸裂する展開がアヴァンギャルドで実にかっこいいです。


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn - Narcofili Sancti ★★★ (2007-12-06 14:23:32)

前曲で溜めた毒素を、ブラストに乗せて一気に放出するかのような曲。
ブラスト全開ですが、猟奇性や混沌が強すぎて爽快感が殆どないのが凄い…ブラストで聴き手の耳をこじ開けて疫病を流し込むような感じ。それにしても、ファストパート凄すぎですね…某訴訟大国だったら、「この曲を聴いたら暴れたくなって目覚ましを壊してしまいました。弁償してください」とかいうふざけた訴えが成立してしまいそう(笑)


ARKHON INFAUSTUS - Orthodoxyn - Trigrammaton ★★★ (2007-12-06 14:19:42)

1曲目から全エクストリーム・メタル好き必聴といっても過言でない程の完成度ですね…重さといいブルータリティといい完璧です。一瞬息が出来なくなる程の迫力ある音。下水道並の低音デスヴォイスも、ドロドロした音の雰囲気に良くマッチしてます。


ARMAGEDDA - OND SPIRITISM ★★ (2007-12-20 00:22:00)

2004年発表の3rd。
Necromorbusのスタジオで録音されたらしいです。

なんとなく、バンド名の印象から勝手に激烈系だと思ってたんですが(笑)、どっちかと言うと雰囲気を追い求める様な作風のプリミティブ・ブラックですね。時にロック寄りにも感じられるミディアム中心で進行するリズム、ブラック特有の摩擦リフ、妖しさを演出するメロディ、ブラック好きにとっては耳に心地良い音質が醸し出す催眠的な空気感や陶酔感を、ここぞという所で入る疾走やトレモロが更に強いものにしてます。

どうやらDARKTHRONE辺りと比較される事が多いようですが…確かに、こっちはミディアム中心ながらアングラな陶酔感では共通するかもしれませんね。イントロ部分を始め、時折挿入されるアルペジオや鐘の音も、アートワークなどから想起されるような頽廃性を更に強めていて、本当に雰囲気のある作品です。ヴォーカルはダミ声で悪意を持って恫喝するような感じで、咳き込んだり病んだりする曲もありますが…正直、N. Culto等と比べると物足りないかも。母国語の巻き舌は好きですが。

とは言っても、ブラックに求められるような魔な雰囲気はこれでもかという程ありますし、プリミティブ特有の陶酔感も強いので、ブラック好きなら買って損は無いでしょう。


AROUND THE NATION - AtheNa1 Regeneration ★★★ (2015-11-10 23:48:20)

2014年発表の1st。

メンバーがLIGHTBRINGER絡みという事で、その系統の音を期待して購入しましたが…そういう動機で購入した人であれば満足するのではないでしょうか。キャッチーなメロディを個性ある魅力を持つヴォーカルが歌い上げ、楽器陣がテクニカルな演奏でサポート…という路線は似ていますが、こちらの方がよりヴォーカル・オリエンテッドな作風だと思います。

…驚いたのは、何と言っても楽曲が凄く良いんですよね。どの曲も歌メロが、アイドル系のポップスと比較しても何ら劣らないくらいにキャッチー。むしろそのキャッチネスが、メタル者特有の大仰な感性でブーストされている分、より魅力は高いかもしれません。初めてこのアルバムを聴いた時はまず歌メロの良さに目を瞠ったものです。「Rising!」「ExBrave」のキャッチネス、「scar」「君に恋した春桜」の叙情性、「I am You」の演奏との鬩ぎ合い…どれも魅力的なのは前提として、「キャラが立ってる」感じ。

そしてそれを歌い上げる、IBUKI氏のヴォーカルも本当に素晴らしい。LIGHTBRINGERのFuki氏とはまた別の方向でパワーのあるヴォーカリスト。王子様系の女性という感じの、凛々しさとコケティッシュさを併せ持った感じでしょうか。エモーショナルにしゃくり上げたり、挑発的に歌い上げたり、声質の魅力を引き出すような歌い回しに引き込まれる。そして絵が滅茶苦茶上手い(笑)。

随分と買うタイミングは遅れてしまったので今更お勧めするのも…と思わなくもないですが、歌謡曲文化とメタル文化の折衷音楽として物凄くお勧めできる逸品。LIGHTBRINGERやCROSS VEINが好きであれば是非。


ARS DIAVOLI - Pro Nihilo Esse ★★ (2011-09-18 21:41:05)

2008年発表の1st。

スローテンポ基調のリズム構成に陰鬱なトレモロリフ、発狂ヴォーカルと鬱ブラックのテンプレートを満たしている作風ですが…いきなり第一音から、圧倒されるような感じがありますね。ノイジーなリフが瞬く間に視界全体に広がり、圧迫感すら覚えさせる導入だけで普通のリスナーなら絶望の淵に叩き落されます。

このNARGAROTHの3rdやRaslukaシリーズを思わせるような、物理的な圧迫を覚えるほどのノイジーなリフがこの作品の最大の特徴といえますが…決定的に違う点は、NARGAROTHがトレモロ自体がノイジーなのに対し、このバンドはノイズ質の中に、うっすらとトレモロが差し込むような感じになってる事ですね。メロディの性質の違いもあって、NARGAROTHは叙情的、こちらは絶望的に聴こえます。

また、このノイジーなリフを使っての音作りにもかなり拘りがあるみたいですね。例えば、1曲目の2:45~などが分かりやすい例ですが、ノイズ質とドラムの音が溶け合って、1つの波形を描くような音になっている音像、これはかなり珍しい音の作り方なのでは。トレモロを波動のように響かせるのは良く聴きますが、ドラムで似た音を作るのはレアだと思う。

他にも、低音をノイジーさの中で強調し、クワイア風のキーを重ねる事で神秘的な雰囲気を醸し出し、神々しいまでの絶望感を演出して見せたり、ドカドカと疾走するパートでは崩落しつつある世界の中で逃げ惑うかのような焦燥感を感じさせたり、何気にこの音質を活用しての表現の幅が広いんですよね。

とは言っても、このノイジーな音質自体が結構好みが分かれるものなので、この手が好きな人以外は手を出さない方が無難かも。まあULVERの3rdや、NARGAROTH辺りがいける人なら余裕で気に入ると思いますが。


ARS GOETIA - Anachoreta ★★ (2013-11-09 16:13:39)

2007年発表の1st。

バンド名通り、オカルト風味の強い作風のブラックメタルですが…如何にもなおどろおどろしいメロディやキーボードなどには頼らず、ブルータル方向にもプリミティブ方向にも傾き過ぎない、あくまで「ブラックであること」を貫きつつもオカルト風味を漂わせる、ストロングスタイルな作風。メロディアスとは言えない音ですが、時折入るトレモロには確かな神秘性や禍々しさが息づいてますね。

個人的にこのアルバム、イタリアのバンドの作品ながらどこかノルウェーの黎明期バンドのような雰囲気が漂っているように思うんですよね。例えば地下臭く陰湿ながらプリブラほどミニマルではない作風は、1stの頃のMAYHEMを思わせますし、「The Last Winter」は「Isa」期のENSLAVEDにも通じる、神秘性とダイナミズムを同時に感じさせる良曲だと思う。

正直「このバンドならでは」という強烈なウリには欠けるため、初心者向けとは言いがたいですが、渋い邪悪さを醸し出していて悪くない作品だと思います。


ARS MACABRA - III ★★★ (2014-07-12 11:04:34)

2013年発表の3rd。

これ、相当良い作品だと思いますよ。
暴虐なブラストや、邪悪なトレモロ、狂性に満ちた絶叫ヴォーカルなどブラックの王道部分もガッツリと押さえつつ、緩急付けたドラマ性に富んだ展開、時にゴリゴリと厚みを演出し、時にメロウさを強調するように絡むベースなどを武器に聴かせる、高品質なブラックメタル。クオリティの確かさはありつつも、ややRawで湿り気を残したプロダクションなど、メジャーバンドとは一線を画したムードがあるのも良いですね。

英語の「macabre」(「気味が悪い」の意)という単語には、「死を思わせるような不気味さ」のニュアンスが篭もっているらしいですが、正にそれを体現するような、トレモロのオカルトめいたメロディが実に素晴らしい。この作品、前述したようにベースが結構目立ってるんですが、それがメロディの陰影を濃くするように働いていて、より不気味さが強調されているんですよね。どういう音楽を嗜好するリスナーが聴いたとしても、邪悪さや不気味さ、陰湿さが感じられるであろう、ピントのしっかり合った音を出しているように思います。

高品質ながらメジャー志向な音とは敢えて相容れない雰囲気を醸し出しているブラックと言うことで、個人的にはACRIMONIOUSやOFERMODなどのバンドや、レーベルで言えばDAEMON WORSHIP関連のバンドに近いものを感じるんですよね。この手の邪悪さに徹したブラックが好きであれば買って損は無いでしょう。特にブラック特有の禍々しいメロディが好きな方にお勧めです。


ARS MANIFESTIA - The Red Behind ★★ (2012-02-23 21:08:30)

2009年発表の2nd。

Harmful氏による独りブラックという事ですが、独りブラックのスタイルだと個人の感性がダイレクトに反映されるからなのか、独特なヴィジョンを持ったバンドが多いですよね。ARS MANIFESTIAも、そんな独自の感性を持ったバンドの一つだと思います。

一応使っているパーツ自体は、装飾程度にノイズ要素を取り入れているとはいえ、典型的なブラックメタルなんですが…色々なところに妙な歪みを感じる音なんですよね。特にメロディにはそれが顕著で、ブラックの宗教性や鬱感情とも違う、掴みどころの無いものが多く聴いてて洗脳されそうになる。時々邪悪さやかっこよさをストレートに伝えるようなフレーズもありますが、基本メロディは奇妙。安易にアヴァン系の不協的なメロとも言い切れない辺りホント独特。

音作りの奇妙さも、それに輪をかけて作風を個性的な物にしていますね。独りブラックとしてはかなりクリアな音で、フレーズもしっかり聴かせる聴きやすい感じではあるんですが、ドラムの音色がちょっと変わってます。まるで缶を叩くような感じで、ブラスト時にアタック音より、カンカン響く音が強く聴こえる箇所もあって面白い。皺枯れた老婆の呻き声を思わせるヴォーカルも聴き手の生理的嫌悪感を刺激してくるし、やはり奇怪な音。ラストで何故かシューゲイザー系に通じる儚いメロディが出てくるのも、まるで聴き手が彼の作る音世界に取り込まれた事を祝福しているかのよう。

個人的には使っているパーツはブラックメタルそのものなのに、独自の世界観を描いているということでFURZEと共通するものを感じたり。あそこまでイッてる感じはないですが、かなり個性的なバンドだと思う。


ARTHEMESIA ★★ (2011-06-09 21:01:32)

去年惜しくも解散してしまった、フィンランド産メロディックブラック。
ENSIFERUMやMOONSORROW、ALGHAZANTHなどのメンバーが絡んでます。


ARTHEMESIA - a.O.a. ★★★ (2011-06-09 21:00:58)

2009年発表の2nd。

ショップのコメントでは、「泣きメロというよりも更に深淵な世界観を聴かせる」メロディックブラック、として推薦されてましたが、まさしくその言葉通りの音ですね。メロディには神秘的な美しさがあるんですが、それだけではなく、キーボードやアルペジオなどを巧みに使い、重層的にメロディを練り込む事で深淵な世界観を作り上げてます。ハーモニーなど、物凄く時間を掛けて編み上げられている印象を受けます。

聴いていると、一角獣の棲む森の湖の畔だとか、日常とは全く離れた光景がリアルに体験できそうなくらい、情景描写に富んだ音で、タイトル曲等で聴ける勇壮なメロディと相俟ってアトモスフェリック路線のフォーク・ブラックとも共通する質感がありますね。世界観や情景としては、ペイガン(異教信仰)系よりもネイチャー(自然崇拝)系に近い感じでしょうか。

ただし、ハーモニーやリフとメロディの絡み等が細かい部分まで練られている分、細部まで音が聞き取れないような状況で聴くには不向きな音だと思います。個人的には、部屋で情景を想像しつつ、ゆったりと聴きたいアルバム。去年解散してしまいましたが、このバンドも他のバンドで代替出来ない作風を持っていただけに非常に惜しいですよね…。


ARVET ★★ (2013-09-21 10:35:46)

フィンランド産ブラック。
元SATURNIAN MISTのNoxifer氏を始め、SATURNIAN MIST絡みの人脈が関るバンド。ちなみにバンド名はフィンランド語で「傷痕」らしいです。


ARVET - Aijna ★★★ (2013-09-21 10:36:26)

2011年発表の1st。

関連バンドのSATURNIAN MISTがなかなか良かったので手を出してみたんですが、こちらも別ベクトルで素晴らしい作品ですね。作風としては、北欧産らしい寒々しいトレモロを使いつつも、初期~中期DEATHSPELL OMEGAを思わせる不穏で妖しいメロディ、地縛霊のような呻きコーラスなども取り入れ、密教的で閉塞的なムードを色濃く漂わせる、プリミティブな質感の強いブラックメタル。

基本はプリミティブな閉塞感を重視した作風なんですが、疾走パートにおける乾いたドラムによる炸裂感、妖しげなミディアムを基調としながらも疾走も交えてくる、ドラマ性もある構成など、プリミティブ性を壊さない範囲で上手く「聴かせる」音に仕上げているのが素晴らしいですね。楽曲の質の高さ、かっこよさとアングラ性を上手く両立させている感じ。母国語でがなるヴォーカルの必死さ加減も地下臭い雰囲気を更に助長しているように思います。

プリミティブな感触のブラックが好きであれば自信を持ってお勧めできる一枚。決して衝動的なだけではない、高いセンスに裏打ちされた雰囲気を持った作品です。


AS LIGHT DIES - TLA vol.1 ★★★ (2015-06-02 22:22:14)

2014年発表の3rd。

日本盤が出てたので、何となく購入しましたが、これが非常に面白いブラック。
一言で言うならば、キーボードによるシンフォニックなアレンジや、引っかかりのあるリズムやマイルドでナルシスティックなクリーンヴォーカルを導入した知的で前衛的な構成から、シンフォニック/プログレッシブ・ブラック…という感じになるんでしょうが、楽曲に様々な要素・アイデアが取り入れられており、最初聴いた時は「ブラックメタルを聴いた」という気がしなかったほど(Encyclodaedia Metallumの分類でもデス/ブラック/ゴシック/ドゥームとなっていますね)。

時折聴ける、儚さを軌跡として残していくようなトレモロは明らかにメロディック・ブラック的なんですが、パンキッシュで刺々しいリフが出てきたり、一筋縄ではいかないプログレ的リズム構成を取り入れたり、一つのジャンルに拘泥するのを拒絶するかのような展開を見せます。シューゲイザーブラック勢にも通じる儚さを演出したり、重くのしかかるようなヘヴィさを醸し出してみせたり、リフを聴かせるための音響の弄り方も面白いです。

…ただ、これだけ様々なアイデアを取り入れながら、アルバム全体がなにか一つの美学のようなものに貫かれているように感じられるのが面白いところ。台詞なども入った、SE的なパートを挟みつつ進行していくアルバムの流れもあって、どこか頽廃的な演劇を見ているような雰囲気がありますね。ただ、音量大きめなのに若干軽い音色のリズムパートなど、少しだけですがチープさを感じられてしまう部分も…。

とは言っても、ユニークで面白いブラックである事は間違いないかと。出来ればじっくりと付き合って楽しみたい作品。これで初聴でもがっつり聴き手を取り込むようなフックも備えたら、更に素晴らしく化けそうです。


ASA-NOIR - Fall of the Idols ★★★ (2014-10-29 11:55:48)

2014年発表の1st。
フルアルバムとしては初ながら、日本盤もリリースされた作品。と言っても直輸入盤仕様で、輸入盤に長帯とその裏にバンドメンバーへのインタビュー記事を載せてあるという装丁。ちなみに発売日は今日です。私は入荷日である昨日買ってきて聴いてますが、これがシンフォニック・ブラックとしてなかなかの力作で良い感じです。

帯にはシンフォニック&メロディックブラックである事は明記されてますが、実はギターワークはブラックメタルからの影響はそれ程強いものではない気がします。リフはトレモロ中心ではなく、時折変則的なフレーズも織り交ぜつつ刻みリフが多めだし、リードギターがメロウなメロディを奏でる場面も多い。ブラック然としたがなりだけでなく、ナルシスティックな低音クリーンやダミ声を使い分けるヴォーカルも、ブラックの狂気や衝動性ではなく、あくまで世界観の語り部であることを重視している印象ですし。

ただ、トレモロリフフェチな私でも物足りなく感じないのは、ひとえにフレーズのセンス、ひいてはそれによって表現される世界観が素晴らしいからでしょう。特に、キーボードやギターが奏でる、ちょっとした装飾的なフレーズがツボに入る箇所がかなり多いんですよね。世界観のベースには北欧神話だけでなく、エドガー・アラン・ポーやH.P.ラブクラフトの作品等もあるようですが、そういった怪奇文学めいた雰囲気が演出されてると思う。メンバー曰く「Sakeでも呑みながら楽しんでくれ!」との事ですが、Sakeよりもワインやウィスキーの方が合いそうです(笑)。

どうしても日本盤が出るような作品って、ちょっと特別視してしまいますが…そうした期待を裏切らない良質なシンフォニック・ブラック。CLAYMOREもそうでしたが、こうした良質なバンドを発掘してくれると聴き手側としては凄く助かります。


ASARU ★★ (2013-03-27 21:40:17)

漁る?あ猿?
ドイツ産ブラックメタルバンド。
ex-AGATHODAIMONのFrank Nordmann氏が在籍。
活動停止時期があったものの、95年より存在するバンドらしいです。


ASARU - From the Chasm of Oblivion ★★★ (2013-03-27 21:46:08)

2012年発表の2nd。
何気のこのアルバム、個人的には名盤かもしれません…。

タイプとしては、トレモロリフを多用し、邪悪メロウなメロディを武器に緩急付けてドラマティックに聴かせるメロディックブラック。耳を傷めるようなノイジーさではなく、かといってモダンに洗練されすぎている訳でもない、適度にアナログ感や湿り気を残した音作りが絶妙。フレーズをしっかり聴かせつつ、音が塊になって聞こえるような迫力もある音で、このプロダクションがトレモロに澱むような深みを与えているように思えます。

このバンド、出身国はドイツなんですが、楽曲が纏う空気は老舗の北欧ブラックっぽいんですよね…。例えば1曲目の1分くらいのパートを始め、アルバム内でも散見される土着的な叙情性と邪悪さをメロディを塗したスラッシーなパートは、TAAKEやCARPATHIAN FORESTなどのスラッシュを通過した「True Norwegian Black Metal」のバンドと通じるものがあるし、テンポを落としたメロウなパートの、邪悪な中に甘美さ・優美さがある雰囲気は近年のWATAINに通じるものがあると思う。

それらのバンドと比べるともう少しオーソドックスなスタイルのメロブラで、それらバンドにはない陰湿な湿り気を含んだメロウさも感じられる辺り、大御所のスタイルを踏襲したに留まらないクリエイティブさがあるように思います。個人的には、楽曲の良さはそれら有名バンドに肉薄するものがあるように感じます。なにより、音作りやメロディのセンスがツボに嵌まるのか、聴いてて本当に心地良い音なんですよね…。

とは言っても、TAAKEやWATAINのような雑誌の表紙を飾ったり来日したりするバンドのようなメジャー感があるかといえば微妙で、正直まだマイナー臭が抜けきらないといえば抜けきらない音なんですが…私としてはそこも含めて好きな音だったりします。ちょっと渋めのメロブラ好きは是非。


ASCEND - Ample Fire Within ★★ (2008-09-15 17:41:00)

Greg Anderson(SUNN O))))とGentry Densleyによるユニットの1st。
何気にタイトル曲ではAttilaが参加してたりします。
ヘヴィな音響的ドゥームリフを軸に聴かせるスタイルはSUNN O)))と似てますが、こっちの方が
多くの曲にヴォーカルやドラムを入れている分、ロック色が強くなっている感じがしますね。
曲によってキーボードやブラス、リードギターなども用いて描写される情景は、抽象的な
イメージの強いSUNN O)))の音楽と比べると、より具体性がある印象。
前評判も「ロック色の強いSUNN O)))」みたいな感じだったので、「この音楽性でロック然と
した歌い上げヴォーカルだったら興を殺ぐなぁ…」とか思って買うのを躊躇ってたんですが、
ちゃんと曲にあった恐い歌い方なので良かったです(笑)。
ある雑誌のレビューに、この作品について「神聖さと邪悪さが同時に感じられる」という趣旨のものが
ありましたが、「神聖さ」と「邪悪さ」に共通する特性って、「近寄り難さ」だと思うんですよね。
その通り、コンポやスピーカーの周りに障壁を張るような音響で聴かせてくれる作品です。
SUNN O)))の作品で言うとborisとのコラボ作品の「Altar」辺りがツボな方にお勧め。
ロック色が強めなので、SUNN O)))よりも取っ付きやすいかもしれません。
…このジャンルを聴かない人からすれば五十歩百歩な気もしますが(笑)。


ASCEND - Ample Fire Within - V.o.g. ★★★ (2008-09-16 17:56:24)

バグパイプやリズム→「何か」を呼び出すための儀式、重低音ドローンリフ→その儀式によって現世に喚び出された「何か」のように聴こえてしまいます(笑)。ドローンリフが喚び出されたことによって、儀式の方も更に盛り上がっていく感じ。ヴォーカルもほぼ詠唱に近くて雰囲気出てます。


ASCENSION - Consolamentum ★★★ (2011-12-23 20:30:46)

2010年発表の1st。

某所で嘘みたいに安い値段で売っていて、ジャケの宗教色溢れるムードもあってつい買ってしまったんですが…明らかに名盤クラスのブラックメタル作品で自分の選球眼がちょっと怖くなりました(笑)。しかし、売値がアレなら買取値はいくらだったのか…それでこの作品を売るとか信じられない(笑)。私がおいしく頂きました。

路線としては、DEATHSPELL OMEGAの「Kenose」アルバムを思わせる、カオティックで不協的なメロディを多用した、濃密な宗教的ムードを醸し出すブラックメタルですが、DSOと比べるとこちらはアヴァンギャルドな感触は強くなく、オーソドックスなブラックに近い感じ。トレモロで疾走するパートはメロブラっぽさも。到底新人とは思えないほど、質の高さもムード作りの上手さも非常に優れた作品。

特に北欧的なメロウさとは少し違う、背筋が寒くなるような不協的なメロディの使い方が非常に巧みで、特に特別な事をやっていないパートでもどこか儀式めいた恐ろしさがありますね。WATAINのErik似のドスの効いたがなりに加え、悲鳴ホイッスルもアクセントで使うヴォーカルの表現力もベテランバンドのそれを軽く凌ぐレベルに達してると思います。…というか単純にこの手のヴォーカル好みなんですよね(笑)。

あと個人的に特筆したいのは音作りですね。ブラックメタルとしてはクリアで、割と聴きやすい音質でフレーズのセンスの良さが際立っているのも素晴らしいんですが、重すぎず軽すぎずなドラムの音が私的にかなり好み。イヤフォンで聴くとある意味での軽快さも感じたりするんですが、しっかりと迫力も伴っているのがグッド。

結成自体が2007年なので、新人バンドの初のアルバムということになりますが…いきなり「脅威の新人」として話題になってもおかしくないレベルの鬼クオリティ。取り合えずこのジャンルで何か良いバンド探している方はチェックしてみてはどうでしょうか。


ASGAROTH - Red Shift ★★ (2011-04-24 20:54:07)

2002年発表の3rd。
現在は解散していて、これが最終作らしいです。

スペイン産のバンドながら、ARCTURUSやTHE KOVENANTなど、宇宙的な世界観を持つシンフォニック・ブラックにあからさまな影響を受けた音。しかし単なる模倣ではなく、02年にしてARCTURUSの「Sideshow Symphony」を先取りしたような、ゴシックめいた耽美さとシアトリカルさのある内容。ただしSideshow~と比べ、メンバーがスペースシップの乗員になりきってはしゃいだりするようなコミカルさは皆無で、ひたすらに厳かで美しい雰囲気。

ただ、基本的に空間系のキーボードにピアノなどメロディ系のキーボードが乗るという作風で、ギターリフは余りメロディックでない辺りは好みが分かれる可能性も。重い刻みにはゴシック的な重厚さが宿っていると思うし、その音によって宇宙が物理法則に基づいて粛々とその営みを続けているような、厳粛なムードが保たれているような感じはありますが。


ASGRAUW - Krater ★★ (2016-06-26 12:50:29)

2016年発表の2nd。

これ、Hidden Marlyから日本盤が出ている上に、ショップでLUNAR AURORAが引き合いに出されていて、物凄く興味を惹かれたんですが…正直そこまでLUNAR AURORA的な魔性のある音だとは思わないんですが、アトモスフェリックさとメタリックさのバランスのいい、優れたメロブラで、Hidden Marlyが目を付けるだけのことはある作品だと思います。

薄くざらつくようなノイジーさのプロダクションの中で、高音域の清浄な音も含むメロウなトレモロを、時にスラッシーだったりオールドスクールな側面も見せるバンドサウンドに絡めていく、繊細さと攻撃性の入り混じるメロディック・ブラック。音像は派手とは言いがたく、ものすごくインパクトのある音という訳ではありませんが、良く聴くとメロディの絡ませ方がかなり魅力的だったりします。集中して聴けば聴くほど魅力が伝わるような音で、若干通向けかな?という印象。

どっちかというと、LUNAR AURORAよりはその関連バンドの高品質メロブラ、THORNGOTH辺りが好みな方にお勧め出来る作品ですね。神秘性とドラマ性を上手い事両立させた好盤です。


ASGUARD - Dreamslave ★★★ (2011-09-27 21:43:35)

2005年発表の3rd。

これまた大仰な作品ですね…
刻みを多用した、メロデス的なヘヴィなリフを主軸としつつ、メロディックなトレモロリフを取り入れたバンドサウンドに、息が詰まるような大仰さのキーボードによるオーケストレーションを被せた、シンフォニックな作風。インスト明け1曲目のトレモロと、そこに被さるストリングスからして大袈裟過ぎるくらい大袈裟。ヴォーカルの威厳のあるデス声も、大袈裟な音に負けない迫力がありますね。

音質は…ちょっと作り物っぽさがあるものの、しっかりヘヴィさを出せていて、曲の大仰さとマッチした音作りなのが良いですね。ただ、派手にキーボードが舞っていたり、ギターがメロディックなフレーズを弾いているときはいいんですが、時々それらを一旦引かせ、ヘヴィなリフで押すパートは、音作りでのある意味での無機質な感触が仇となり、ちょっと味気なく感じることも。

とは言っても、シンフォ化してからのSEPTICFLESHやHOLLENTHON辺りに劣らない、派手なオーケストレーションが炸裂する作品なので、シンフォデスも行けるクサメロ好きには大推薦。


ASH BORER - Cold of Ages ★★★ (2013-08-28 19:11:20)

2012年発表の2nd。

ファンジンでも大々的に取り上げられていた、ブラックの新興勢力であるカスカディアン・ブラック。その代表的なバンドの新譜という事で、各レビューサイトやブログでも評価され、ショップでも結構推されてるみたいですね。そこまでお膳立てが整ったら、ミーハーメタラーとしては買わざるを得ません(笑)。しかもレーベルは信頼と実績のProfound Loreですし。

大作主義な曲展開かつ、一つ一つの展開のスパンを長めに取り、奥深さや壮大さを演出する作風や、アンビエンス重視の静パート、ブラック特有のノイジーリフがオブスキュアな音像を作り出しつつ疾走する動パートを分けた構成など、この系統のバンドが持つ特徴は備えてますが…SKAGOSやPANOPTICON辺りと比べると、自然崇拝・フォーク的なムードがかなり薄めなのが違いですね。

静パートに於ける、スラッジにも通じる質量感のある引き摺りリフや、暗黒サイケな雰囲気を醸し出すアンビエントといい、動パートに於ける真性寄りのメロディック・ブラック的(若干鬱系テイストも)な邪悪神秘主義的トレモロリフといい、この手のバンドの中では際立って暗黒趣味の強い音という印象。言葉にならない絶叫を繰り返すようなヴォーカルも、生々しく凶悪な感情が篭もっている感じ。

その暗黒性・神秘性の高い曲作りが、カスカディアン勢特有の音像と出会った事で、プリミティブ勢や真性ブラック勢などとはまた異なる質感の邪悪さを手に入れたような音。ダイレクトな嗜虐性を強める方向ではなく、闇で包み込むようなスケールの大きさを演出する方向に進化した感じですね。ポストブラック/アトモスフェリックブラック的な音楽的ラジカルさはありつつ、ブラック本来の邪悪さもしっかり深化させている印象の作品。

個人的には、この手の中ではトップクラスに好みの音かもしれません。一般的なブラックとは異なる方向の感性を持って進化するバンドも嫌いじゃないですけど、やっぱり邪悪で得体の知れないムードが好きで、ブラックメタルに惹かれているので。


ASHADA ★★ (2006-08-06 22:17:00)

最近1stを出したばかりのプログレユニット。
もうネットでもかなり話題になっているようですね。
ZABADAKやKIRCHEに近い音楽性と思いますが、1stであの完成度は凄い…
ちなみにメンバーがブログでCDレビューをやっていますが、OPETHやCRADLEを
始めとしてAKERCOCKEやSOLEFALDまであったのでビックリしました(笑)
メタラーからの注目度もかなり高いのではないでしょうか。


ASHADA - CIRCULATION ★★ (2006-08-07 23:42:00)

2006年発表の1st。
このアルバムは、信頼しているレビューサイトが二つも(一つは志方あきこを紹介してくれた
サイトで、もう一つはSOLEFALDやATROXを紹介してくれたサイト。全然路線が違う…)
絶賛していたので、これは絶対外れないなと思ったら案の定の素晴らしい作品でした。
このユニットのコンセプトは「どこにもない世界」らしいですが、本当に聴いていると
イマジネーションの中に埋没しそうな綺麗なアルバムです。凛とした空気感を醸し出す
ピアノにヴァイオリンやマンドリン、アコーディオンなどが絡み合い、ノスタルジックな
雰囲気に。淡々と歌ってるように聴こえながら実は繊細に抑揚をつけているヴォーカルも
良い感じですね。個人的には、石畳の街で灰色の空から雪が舞い降り、街灯を見上げながら
追憶に浸っているような悲しげだけどロマンチックなイメージがあります。
結構変わったリズムも取り入れているみたいですが、それがあからさまではなく、あくまで
世界観の構成や音の機微を表現する為なところがいいですね。「プログレ?ああ、なんか
演奏とか小難しい音楽でしょ?」とかのたまう人には是非聞かせてやりましょう。
きっとその人の世界は塗り替えられてしまうでしょう(笑)。
まぁ、一般的なJ-POPと比べるとサビでいきなり盛り上がるとかがなく、静かに曲が
展開していくので多少は取っ付きにくいのかもしれませんが…。
それでもこの静謐な雰囲気は結構求めている人が多いんじゃないかと思います。


ASHADA - CIRCULATION - SNOWFLAKE ★★★ (2006-08-11 16:31:52)

こういう曲に異国情緒を感じるのは、個人的にですがアコーディオンの音色が石畳の街を思わせるからかも。そしてそこに降り積もる粉雪の様に繊細なピアノ…。暑い夏、避暑地に旅行に行くお金が無くとも部屋でクーラーをかけてこの曲を聴けばオールオッケー(笑)


ASHADA - CIRCULATION - ある少女の願い(A GIRL'S WISH) ★★★ (2006-08-06 22:13:58)

もう始めの時点でピアノが物悲しく、悲痛な追憶に浸りながら佇んでいるような雰囲気ですが、そこに雪が降り始めるような視覚効果を伴う(←あくまで私のイメージです)マンドリンが…!
『悲しい出来事は/夢の中だと信じてもいい?』…なんて切ない曲なんでしょう。メタルのギターソロぐらいで泣く人が聴いたらドライアイになってしまいますよ(笑)。


ASHADA - CIRCULATION - 扉(DEPARTURE) ★★ (2006-08-11 16:40:12)

タイトルこそ旅立ちを思わせるのに、この沈痛な曲調は一体…。
聴いていると視界からどんどん色が抜け落ちていくような錯覚に陥ります。でも、卑近な例えでは、私は進学でも新しい人間関係が出来る喜びより今の仲間と別れる悲しみの方が1000万倍深い人間なので(笑)、この悲しい旅立ちの世界観にはかなり共鳴します。


ASHADA - CIRCULATION - 螺子(NEJI) ★★★ (2006-08-11 16:35:52)

前曲の「ある少女の願い」も悲しみに彩られたトーンを持つ曲でしたが、この曲は更に重々しい雰囲気ですね。まるでピアノの低音が聴き手の胸を抉るかのようです。歌メロ自体はアルバムの中でも取っ付きやすいと思うのに、この深みのある世界観は素晴らしいです。


ASHDAUTAS VRASUBATLAT ★★ (2008-06-11 18:50:00)

そっちは聴いた事ないですが…CDは出してないですよね。
まあMikko社長もCRAENFACEでバレリーナフェチの曲とか作ってますからね(笑)
しかし、そんなものまでフェチの対象になるんですか…。
ニーソックスフェチとバレリーナフェチ、どっちが変態としてレベル高いんでしょうか(笑)


ASHDAUTAS VRASUBATLAT ★★ (2009-06-27 19:43:00)

上の「へびーめたるにーそっくす」、追加してみました。
良かったらどんどん書き込んでください。
それはそうと、3rdデモ買いましたがなかなか良いですね。
2nd買い逃したのをかなり後悔…66枚限定ってかなり酷ですよね…。
フルアルバムは出さないんでしょうか。


ASHDAUTAS VRASUBATLAT - Ashdautas Vrasubatlat ★★ (2008-03-27 21:32:00)

2008年発表の3曲入りデモCD-R。66枚限定だそうです。ジャケには黒字にバンド名しか書いてないけど、セルフタイトルでいいんでしょうか。

ネット上では日本のSORTSINDとかSILENCER似とか紹介されてる上に、店頭での紹介文にもその手のバンドの名前が載ってた事もあって、私も一口乗るつもりで(笑)購入してみましたが、確かにこれはそんな感じですね。というか、発狂ヴォーカルといい鬱メロといい、SILENCERのフォロワーというよりもパスティーシュしか思えないくらい似てるんですが…特に1曲目、静寂と病みを感じさせるインストでたっぷり気を持たせた後、悲鳴がそれを突き破って始まるオープニングからして余りにもそっくり。…心なしかドラムの音響すらも似てる気がします。ただ、こっちの方がギターの音色がプリミティブ寄りのガビガビした歪み方なのは大きな違いですね。

この手の音源のウリとも言える発狂ヴォーカルですが、やっぱ凄いですね。音が割れまくりの絶叫に嗚咽を交えた悲鳴タイプで、聴いていると、いつの間にか子供を殺された母親の霊が、人間だった頃の記憶を失って怨念だけが残った…みたいな物語が勝手に頭の中で生成されてました(笑)。曲の途中で何かがドンドン鳴ってる音が聴こえますが、ヴォーカルが叫びながらスタジオの壁を殴ったり、頭ぶつけたりしてる音だったりして…。また、ヴォーカル以外にも秒針の音がパラノイアックに響く静寂パートや、そのパートが崩壊していく様子、呪詛を唱えるように呟く声、3曲目の暗いドローン/アンビエントのインストなど、恐怖感や鬱、病的な雰囲気の演出がかなり巧みです。

勿論SILENCERを知らなくても病気音楽が好きならば楽しめると思いますが、SILENCERを知ってるとより楽しめるかと思います。絶対SILENCERを元ネタにして曲を作ってると思うんですが…。ただ、限定66枚はちょっと少なすぎるかも。


ASHES - HYMNS TO A GREY SKY (2012-09-09 00:14:08)

2005年発表の1st。

MAYHEMとTHE MEADS OF ASPHODELのスプリットやLUNAR AURORAの過去作、FLEURETY、HATE FORESTなど、有名なブラック関連のリリースも多いSupernal Musicから、UK産RAWアンビエントブラックのファーストアルバムがリリースという事で、セールで安価だった事もあって試しに購入してみたんですが…これは辛いですね(苦笑)。一昔前に「素人にはお勧め出来ない」というネットスラングが流行りましたが、正にそんな感じ。

内容はRAWアンビエントブラックという紹介の通り、デモっぽい粗い音質のオールドスクールなブラックを浮遊感あるキーが包むというものですが…まず構成が酷い。CDケースの背面には曲のタイトルが幾つか書かれているのに、何故かそれが1トラックに纏めて入ってる。しかも長々とSE的な音を挿入するパートもあって、飛ばせないのが辛い。殆どヴォーカルの聞こえないミックスながら、歌が入ると音割れするのでヴォーカルが歌ってるかどうか判別できる音質も大概だと思う。

ただ、駄目なところがどうしても目立ってしまうんですが、良い所も少なからずあるんですよね。例えばキーボードの音色は、暗闇の中で光る燐光を思わせる妖艶さがあって、それがRAWで粗いバンドサウンドと合わさって意外なかっこよさを生んでいるところもあるし、時折挿入されるアコースティックギターを用いたパートはなかなか叙情的で、結構頑張ってると思う。…とは言っても、罷り間違っても初心者にお勧めできるような間口の広さはないですけど…。

そういう訳で、かなりマニア向けの一枚。ブラック聴いてると、このレーベルの作品って結構棚に溜まってくるんですが、その中でも群を抜いてマニアック。1000枚限定らしいですが、正直それでも多いくらいマニア度高いです(笑)。


ASMODEUS ★★ (2007-12-23 17:22:00)

オーストリア産ブラック。
よく凄まじいドラムが聴けるバンドとして名が挙がるバンドです。
噂に恥じない、凄まじいドラミングは必聴!


ASMODEUS - Imperium Damnatum ★★★ (2007-12-23 17:20:00)

2006年発表の2nd。

このバンドは以前から凄まじいドラミングで話題になっていて、私もそれにつられて聴いてみたんですが…確かに、風評通りのおっそろしく速いドラムが堪能出来る作品ですね。

ブラストやツーバスがグラインドのレベルに達して速いのは勿論の事、テンポの変化やスラッシュビートを上手く交えて、単なる音の羅列的な速さにならず、体感速度においてもしっかり速さが感じられるのが凄い。ほんとバルカン砲の一斉射撃を喰らっているかのような音の壁で、一曲毎に街を一つ壊滅させてそうな勢いです(笑)。音質もクリアながらドラムがやや大きく、かと言って曲のバランスを崩すほどでもなくブルータルブラックとして理想的かも。

また、ドラミングの凄さだけでなく曲もしっかりレベル高いです。邪悪さやメロウさをトレモロに乗せて発散していくブラック特有のリフ捌きといい、TRIUMPAHTORを思わせる呪いの込められた低音がなりといい、ドラム以外のパートも魅力的で、DARK FUNERALや1349と同等の評価を得てもおかしくない質の高さがあります。

エンディングを除けばほぼ鬼ドラム+呪詛系Vo+ブラックリフで聞かせる作風で、1349辺りと比べると曲のバリエーションに欠けるきらいはあり、流石にこれで一時間越えるアルバムだったらダレる気もしますが、この作品は40分強で最後まで飽きずに気持ち良く聴けます。グラインドなどを聴いているとドラムの音が耳を揺らす感触が気持ち良く思えてくるあの感覚、それがブラック的な邪悪さやメロウさと同時に味わえる名盤だと思います。

ファストブラック好きなら必聴。
イヤフォンで聞くと余りにも激しいリズムが振動療法的な効果になり、体調も良くなるかも(笑)


ASMODEUS - Imperium Damnatum - Enthronement of the Sovereign ★★★ (2007-12-26 01:03:35)

重々しい邪気を放出するイントロに続いて、音が連なって聴こえる寸前の超豪速ブラストが来た時点でブルータルブラック好きはガッツポーズでしょう(笑)。そして暫くしてのトレモロのメロディセンスに名盤決定。つかみはばっちりです。


ASMODEUS - Imperium Damnatum - Inciting the Rebellion ★★ (2007-12-26 01:11:59)

中間部のパートが幽玄で、陰鬱な雰囲気があっていいなぁ…超豪速のドラミングという必殺の武器を持ちながら、こういうセンスも高いのが凄い。…もっと知名度があって然るべきバンドだと思います。


ASMODEUS - Imperium Damnatum - Servitus in Aeternitatem ★★★ (2007-12-26 01:07:27)

イントロこそアルペジオを使用し、雰囲気たっぷりに始まりますが、やっぱり本編は案の定ブラスト炸裂。この曲は特にメロディの即効性が高くて良いですね。