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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6501-6600
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6501-6600
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UNDEAD CORPORATION - 幻想郷から超鋼鉄重低爆音 - スターヴォヤージュ2008 ★★★ (2010-08-29 22:43:33)

海外の有名メロデスバンドに太刀打ちできるリフ捌きに思わず嬉しくなってしまう、インスト明けの2曲目で掴みはバッチリ。キーボードの音色も、エクストリームメタル特有のダークな荘厳さを表現していて非常にセンスがいいです。


UNDEAD CORPORATION - 幻想郷から超鋼鉄重低爆音 - スプートニク幻夜 ★★ (2010-08-29 22:46:11)

ギターだけでなく、リズムパートも非常に良く練りこまれ、重きを置かれている事が良く分かる曲。このテンションの高さは素晴らしい。ただ、サビはもっとガンガンに盛り上げて欲しかったかも。


UNDEAD CORPORATION - 幻想郷から超鋼鉄重低爆音 - 妖精燦々として ★★ (2010-08-29 22:45:12)

複雑なリズムチェンジといい、高音のヒステリックな絶叫といい、他の曲よりもカオティックな印象を残す曲。こういうアレンジが、さらっと中盤に入ってくる辺り本当に質の高いアルバムだと思う。


UNDER FOREST - 月影ニ鳴ク虚像ノ恋詩 ★★ (2011-11-25 22:56:03)

2011年発表の1st。
まずBeingプレゼンツのシアトリカル・ゴシックというのが衝撃ですよね…。

路線としては、初期JANNE DA ARCやラルク、MALICE MIZER等に通じる、キャッチーな歌モノをベースに、シンフォ・ゴシック的なキーボードとメタリックなリフ・リズムでアレンジした感じで、曲によってはエレクトロ・ゴス的なアプローチも。Being発、しかもエンターテイメント的なコンセプトを持ったプロジェクトという事で、色眼鏡で見てる人はまずこのリフの音色とフレーズがしっかりメタルしてることに驚くと思う。

しかしやはりBeingが関わっているだけあって、どの曲も明確な方向性と分かりやすい歌メロがあり、聴き手を意識した音になっているんですよね。プロデュース能力ははっきりいって殆どのセルフでやってるジャパメタよりも上だと思う。クラシカルなキーボード、泣きメロを弾くギターソロ、プログレッシブなリズム変化など、メタラーの耳に引っかかる箇所を多数設けてるのも好印象。ただ、2曲目のメロディ、思いっきりJANNEの「ICE」なんですけど…これはいいんでしょうか(笑)。

またライナーノーツではアニメの声優に準えられているヴォーカルですが…確かにメタルよりはポップス向きの歌い方ですが、媚び系の声質ではなく、情念や妖艶さ、サディスティックさが必要な場面ではしっかりとそれが表現できていて悪くないかと。曲によっては老婆のような声や、人形をイメージしたような無気力な声で歌ったりしてて表現力豊か。この表現の引き出しの多さは、確かにある意味でアニメの声優っぽいのかも。

ただ個人的に惜しいと思ったのは、エレクトロ・ゴシック路線の曲を演るのはいいんだけど、そういう曲だと一気にメタル度が減少すること。ああいうリズムにヘヴィなリフを絡めたら、聴いていて凄く気持ち良いものが出来そうなんですが…。あとメロスピ系の曲では、もっとドラムの音を生々しいものにして欲しいですね。この辺りが改善されれば、更にメタラーにも聴き応えのあるものが出来そう。

大手レコード会社の、プロフェッショナルなプロデュース能力で演出されたゴシック。メタラーの中には、作り手と演じ手が同一でないと受け付けない人もいるかもしれませんが、その辺り気にならない人は聴いてみては如何でしょう。エンターテイメントとして非常に完成度が高い作品ですよ。


UNDER THAT SPELL - Black・Sun・Zenith ★★ (2014-06-29 00:11:19)

2011年発表の2nd。
残念ながらこのアルバムのリリース後バンドは解散している模様。

Metal Archivesで調べたんですが、このバンドはメンバーがドイツのペイガン/メロディックブラックとしては割りと知名度の高い、HELRUNAR絡みなんですね。そのせいか、主にトレモロリフによって奏でられるメロディには、神秘性や叙情性が強く押し出されているという印象。これがノイジーなトレモロを伴う、寒々しい音像と合わさると更に神秘性を増すんですよね。

メロディは幽玄さやメロウさの感じられるものですが、暴虐性もガチ。体感速度をぶっちぎるブラストをメインに据えたリズム構成は完全にファストブラックのそれですし、音像の中を木霊するように絶叫するヴォーカルの声もかなりエグい。若干、ミドルパートが淡白な傾向があるようにも感じますが、ツーバスのフレーズを上手く仕込んだり緩急の付け方は巧み。

メロディアスさと暴虐性という、ブラックの分かりやすい魅力を詰め込みつつ、神秘的なイメージも感じさせる作品。サウンドのクオリティも高いですし、これであともう一つ抜きん出た何かがあれば…という感じです。まあ、残念ながらバンドは既に活動をしていないようですが…。


UNDERDARK ★★ (2012-04-02 23:47:22)

ウクライナ産ブラックメタル。
DRUDKHやASTROFAESにも参加していたAmorth氏によるプロジェクト。


UNDERDARK - I Am Above All ★★ (2012-04-02 23:48:11)

2006年発表の1st。

DRUDKHに在籍していたメンバーによる独りブラックという事ですが、こちらはフォーク色は殆どなく、地下臭く湿った雰囲気のプリミティブブラックという感じですね。音作りは典型的なプリブラのシャーシャー系ではなく、低音も効いた汚く冒涜的な篭もり気味の音質で、ダーティに吐き捨てるヴォーカルとも相俟って、WAR系ブラックにも通じる雰囲気があるように思います。1~2曲目でトラック分けをミスったりしてるのもなんかリアルでいいです(笑)。

DRUDKHと比べてもかなりカルト風味強めなんですが、そのカルト性の按配が絶妙なんですよね。汚らしいRAW音質でありながら、耳に痛い寸前で留めてあるバンドサウンドもそうだし、全体的には決してメロディアスとは言えないものの、要所で沼の底から聞こえるように響くトレモロが、秘匿された宗教のような神秘性を放っている曲作りもなかなか魅力的だと思う。初期BEHERITが大丈夫なくらいプリミティブに慣れ親しんでいる方なら、味わいの深さを感じられる作品だと思います。


UNEXPECT - In a Flesh Aquarium ★★★ (2008-02-08 00:18:00)

2006年の2nd。
これの前に出たEP「We, Invaders」との二枚組も出てるみたいですね。

ブラックをベースに、ジャズ的なアンサンブルやアヴァンギャルドかつ目まぐるしい展開、インダストリアル要素等を取り入れた変態的メタルという事で、EPHEL DUATHの「Pain Nessecary to Know」辺りと通じる音楽性を持っていると思いますが、こっちは可憐な女性Voやマイルドな男性Voなどのゴシック的要素、ピアノやストリングスが重要なパートを担うクラシック要素がかなり強いところが大きな違いでしょうか。そのせいか、EPHEL DUATHよりも大分聴きやすい音楽性といえると思います。

1曲目「Chromatic Chimera」が前EPではピアノインストのアレンジ収録されている事が象徴的ですが、これだけ前衛的で複雑な展開をしながら、そういうアレンジにしても破綻をきたさない程にメロディに一貫性があるためか、聴いていてそれほど難解さゆえの聴きづらさみたいなものを感じません。曲によっては、女性Voの押韻でキャッチーにさえ聴こえるパートすらあります。…これだけ質が高ければ、変態系好きじゃない人でも行けるかも。

メタルの魅力って色々ありますが、中でも「ミュージシャンシップの高さ」や「異形性」というのは大きな位置を占めると思うんですよ…そういった意味で、このアルバムはブラックメタルとしてでもエクストリームメタルとしてでもなく、「メタルとして大名盤」と言い切って差し支えないと思います。ああ、彼等がBURRN!の表紙を飾ればいいのになぁ(笑)


UNHOLY RITUAL ★★ (2010-06-04 21:57:00)

ギリシャ産シンフォニック・ブラックメタルバンド。
去年1stを発表した新進気鋭のバンドながら、各レビューサイトでも
高い評価を得るなど、既にかなり注目を浴びている模様。


UNHOLY RITUAL - REX MUNDI ★★★ (2010-06-04 21:53:00)

2009年発表の1st。タイトルは「世界の王」の意。
シンフォブラック期待の新人として注目を浴びてるバンドですが…
これはかなりの好盤ですね。

確かに、キーボードは生オーケストラ使ってるバンドと比べると少し安めの音だし、ドラムの音が少し浮いててゴチャゴチャして聴こえたり、メジャーバンドと比べると音作りの面で一歩譲る感は否めませんが…それをすべて帳消しにするくらい、メロディの主張が強い作品だと思います。COFの「鬼女~」やEMPERORの「Anthems~」は、メタルの音に慣れていない人が聴くと、メロディアスに感じられないこともあると思うんですが、この作品は誰が聴いてもメロディアスな作品に感じると思う。

また、キーボードがオーケストラルな音色だけでなく、シンセ然とした音色も取り入れて一本調子な音像になる事を防いでいたり、アンサンブルがキーボードに依存しすぎず、ギターリフでもしっかり主張している、バランスのよさも良いですね。ヴォーカルはEMPEROR後期のIhsahnを汚めにした感じ…と思っていたら、アルバムが進むごとにテンションが上がり、ラス曲では初期COFとタメを張れるほどの凄まじい絶叫に。

しかし、最近は初心者にも入りやすいシンフォニック・ブラックがほんと増えてきてますよね…BREATHING PROCESS、GOTHMOG、CRYING BLOODなどの近作といい、このアルバムといい…逆に何処から入って良いか迷うんじゃないかとも思います。でも、その迷ってる間が、また楽しい時だったりするんですよね(笑)。


UNHOLY RITUAL - REX MUNDI - CHILDISH FEARS ★★★ (2010-06-04 21:55:48)

分かりやすく恐怖感を煽ってくるような、キーボードの音色やメロディがタイトルの雰囲気の通りという感じですね。子供の頃、眠っている間に誰かに刺されるんじゃないかとか、起きたら全く別の世界に連れてかれてるんじゃないかとか、無意味に妄想して恐怖してた、あの感じが甦ってきそうです(笑)。


UNHOLY RITUAL - REX MUNDI - KILLER INSTINCT ★★★ (2010-06-04 21:56:43)

シンフォニック・ブラックを聴いている人でも、「おおっ」となること必至な1曲目。寧ろ、普段からこのジャンルを聴いている人ほど感心するかも。メロディが華美な音像や雰囲気作りに呑まれることなく、それ単品で勝負出来る美しさがあるところが素晴らしい。


UNHOLY RITUAL - REX MUNDI - UNHOLY RITUAL ★★★ (2010-06-04 21:54:41)

バンド名をタイトルに冠した気合の入り具合は伊達じゃなかった…。
鬼女~期のCOFの曲展開を、少しシンプルにした感じの曲調ですが、メロディの華麗さやテンションの高さでは全く劣りません。COF最大のウリであるヴォーカルにも対抗出来そうなほど、凄絶なパフォーマンスを聴かせるVoも素晴らしいです。前曲はヒキとしては少し長すぎですが、これだけの曲が控えているなら仕方ないかも。


UNHOLY TRINITY ★★ (2012-01-01 16:31:13)

NACHTMYSTIUM絡みの人脈によるブラックメタルバンド。
中心人物のAamonael氏がAVICHIに専念しているため、現在は休止中。


UNHOLY TRINITY - OMNIMALEVOLENCE ★★ (2012-01-01 16:31:54)

2005年発表の5曲入りEP。

時期的には関連バンドのNACHTMYSTIUMが独自路線を取り始めた頃ですが、こちらではほぼオーソドックスなプリミティブブラックを展開していますね。この手にしてはリフの音色が厚めで、ノイジーながら音が割と整理されている感じでプリブラとしては聴きやすい方。悪魔が身悶えしながら叫ぶような非人間的ヴォーカル、神秘性や荒涼感を伝えるトレモロ等、曲の質の方も悪くないですね。

1曲目を聴いて驚いたんですが、このバンドはトレモロによるメロディの伝え方に独特の手法を持ってますよね…アトモスフェリック系のキーボードと聴き紛うような、浮遊感のある音色で、メロディとも相俟ってなにか神聖な雰囲気…というか、神聖さを敢えて出す事で逆説的に冒涜性を演出している感じ。1曲目で聴けるこのトレモロの音色、ほんと独特で好きです。

ただ、惜しむらくはこの音色が1曲目以外ではあまり聴かれない事でしょうか…それでもオーソドックスなプリブラとしてレベル高い事は確かなんですが、せっかく他のバンドと差異を付けられるワザを持っているのにそれを前面に出していかないのは勿体無い。全曲の要所でこういう音使いしてたら、個人的には☆3つ献上確定なんですが…。


UNHUMAN DISEASE - INTO SATAN'S KINGDOM ★★ (2012-05-20 20:15:45)

2009年発表の4th。

アメリカ産の独りプリミティブブラックという触れ込みながら、ジャケットやフォント等、装丁はまるでSATANIC WARMASTERやSARGEIST辺りのフィンランド産のブラックを強烈に意識した感じですが…中身の方もノイジーかつメロウなトレモロと、シンプルでイーブルな展開、荒々しい音質で聴かせるプリブラで、フィンランドのこの手のバンドの様式を踏襲している感じですね。

ただ、単にRAWというよりは、ノイズ質をやや強調した、音圧の高い音作りがなされていたり、ヴォーカルの絶叫の音量がデカく、割れ気味なミックスになっていたり、よりストレートに攻撃性を発散するようなスタイルに仕上がっているように思います。あと細かい点を挙げれば、音圧が引いた時のプチプチ言うノイズが、儀式で使った燃えさしが燻っているようで、雰囲気があって好きだったり。

一般的なプリミティブブラックのスタイルだった頃のSATANIC WARMASTERやSARGEISTが好みな方にお勧め。ジャケを見てピンと来た方、ジャケット通りの音を出してるアルバムですよ(笑)。


UNLEASHED - As Yggdrasil Trembles ★★★ (2011-04-20 19:20:28)

2010年発表の10th。

歌詞にもあるとおり、「ヴァイキング・デスメタル」を標榜している彼らですが…確かに歌詞やアートワークなどの面では、ルーン文字を使用したり北欧神話のアイコンが登場したり、ヴァイキングっぽい世界観ですが、実際の音はヴァイキングというより、メロブラとデスの中間くらいの音ですね。

ブラック特有の畏怖を感じさせるようなメロディのセンスと、デスメタルのマッシブな演奏が非常に上手く交じり合った、エクストリームメタルとして物凄く上質な音。リードギターに大きな見せ場を作る、リフにグルーヴィな(しかもメロい)刻みを入れるなど、メロデス好きにもアピール出来る作風でありながら、メロディは一般的なメロデスよりも数段ダークで、本当に素晴らしい。

ただ、1つ文句をつけるなら、曲順にはちょっと不満。
1曲目の「Courage Today~」は、このバンドの曲にしてはメロデス的で、健全なかっこよさがある。この曲も聴き込めば悪くないんですが、やはりリスナーに最初に届く音としては、邪悪かつ耳に残るメロディがトレモロリフと共に、波動のように繰り出される「So It Begins」「As Yggdrasil Trembles」辺りのほうがインパクトがあったかな、という気も。

ヴァイキングメタルのリスナーよりも、DISSECTIONやNECROPHOBICなどのメロブラ、GOD DETHRONEDやIMMOLATION辺りのデス好きにお勧めしたいところ。ブルータルさ、邪悪さを損なわずにメロデス要素を上手く取り入れているところなどは、最近のKATAKLYSMに通じるセンスの良さを感じられます。


UNLIGHT - Sulphurblooded ★★★ (2013-08-18 18:03:27)

2010年発表の5th。

個人的にはこのバンド、NAGLFARやOLD MAN’S CHILD辺りの日本盤が出てるメロブラと比較しても何ら見劣りしないほど、かっこよくクオリティも非常に高いメロディック・ブラックを演っていると思います。ブラストビートを用いて暴虐に攻めつつも、スラッシーな刻みリフや叙情的なメロディを挿入し、ドラマティックかつインテンスに仕上げた、エクストリームメタルとして第一級の質を持つブラックメタル。

ブラックメタルって一般的にギターソロは少なめですが、このバンドはスラッシュのような緊張感のあるものであったり、流麗でクラシカルなものであったり、要所要所で印象に残るギターのリードフレーズを入れてくるのも特徴ですね。メロブラらしい寒々しいトレモロとも相俟って、楽曲を暴虐なだけではない、メロディアスでダークな叙情味のあるものにしています。

特に妙な個性があるとかではないんですが、安定して高いクオリティを持ったブラックを演っていて、単純に聴いててかっこいいんですよね。WARとかプリミティブとかカルト系好きな方以外であれば、エクストリームメタルが好きな人全般にお勧めできる作品かと。NAGLFARやDISSECTION、THULCANDRA辺りが気に入った人は是非。


UNLUCKY MORPHEUS - Girl Revolution (forestpireo) - 八咫烏の憂鬱 ★★ (2009-11-26 23:42:29)

原曲に混沌としたメロディのパートがあるので、それを生かしたメタリックな曲かと思いきや、意外にもメロの美味しい部分を使った、ジャジーなアレンジ。いつもの勢いのある歌い方と違い、官能的に歌い上げるヴォーカルも良いですね。
このコンピは、同じくジャジーな「keeps sleeping」、メタルインストの「RED.sis」「RED.ter」、サビが非常にクサい「仮面」、ラストに相応しい世界観を見せつける「ホシノタビビト」など、他アーティストの曲も粒揃いなので、メタラーがこの曲目当てで買っても、他にお気に入りが見つかるかも。ただ、「ハルトマンの妖怪少女」アレンジは正直苦手な路線でかなりがっかり…


UNLUCKY MORPHEUS - Hypothetical Box ★★ (2009-03-16 18:23:00)

2008年発表の5曲入りデビューミニ。
個人的に天地がひっくり返らんばかりの衝撃を受けた1st「REBIRTH」同様、メタルの
テクニカルでかっこいい演奏と、歌謡曲/ポップスでもトップレベルのクサメロをどちらの魅力も
全くスポイルさせることなく見事に融合させた、ハイパー歌謡メロスピスタイルでの
上海アリスカヴァー。…なんですけど、この作品はまだ音質がイマイチで、音が小さく
ピロピロした速弾きも泣きのリードも聴き取りづらい上に、ヴォーカルも少し演奏から
浮き気味に聴こえる。ヴォーカルの歌い方は1stよりも少し攻撃的で、陰陽座の
「煌神羅刹」の頃の黒猫さんに近い感じ…ですが、1stよりも少し歌唱が固めかも。
…と、煮え切らない評価になってしまうのは、これらの欠点が全て改善された神盤である
「REBIRTH」を先に聴いていたからで、ニュートラルな状態で聴いたならおそらくアレンジ、
演奏、ヴォーカル、メロディの活かし方の上手さの全てに感銘を受けていたと思います。
1stを聴いた上で、気に入ったらこちらもお勧め…と言いたい所ですが、この手の
アルバムって入手困難になりやすいんですよね…なので少しでも興味があれば、神盤1stと
一緒に買ってしまうのがお勧め。曲自体はかなり良いし、値段も安いので損はしないと思います。


UNLUCKY MORPHEUS - Hypothetical Box - Dragon Force ★★★ (2009-03-16 18:25:52)

原曲は、オリエンタルなフレーバー漂うクッサクサなメロディで知られる「上海紅茶館」ですが…その大陸的メロディをカンフーまで拡大解釈したような歌詞が面白い曲。「いざ咲き誇れ拳の華」…パワフルなヴォーカルもそんな歌詞を歌うのにピッタリな声だと思います。


UNLUCKY MORPHEUS - Jealousy - Jealousy of Silence ★★ (2009-10-12 08:56:35)

曲展開から歌詞、作詞者名に至るまで徹底したパロディ(笑)
…なんですが、折角「緑眼のジェラシー」の上品なメロディを使っているのに、オマージュ元よりも美しさが減退してしまっている感があるのが残念。悪くはないんですが、「あの名曲をUNLUCKY MORPHEUSが東方メロを使ってオマージュする」と聴いた時の期待感からすると、少々物足りないかも…。


UNLUCKY MORPHEUS - Jealousy - Le Cirque De Sept Couleurs ★★★ (2009-10-12 22:05:20)

タイトルは「七色のサーカス」の意。
このバンドの美点として、劇的なメロディをメリハリの効いたヴォーカルの歌唱で更に劇的に聴かせる、というのがあると思うんですが、正にその見本のような曲。サビメロの高音部を跳ね気味に強調する歌い方がかっこいいです。


UNLUCKY MORPHEUS - Jealousy - Perverseness ★★ (2009-10-12 22:01:32)

これはけっこう微妙…
「少女さとり」の灰汁の強いゴスなメロディと、Fukiさんの直情的なヴォーカルが上手く噛み合ってない感が…かといって前作のインスト版もなにか物足りなさが残る出来。★二つですが、そのうちの一つは元のメロの良さに、かなぁ…。


UNLUCKY MORPHEUS - Jealousy - 百鬼飛行 ★★★ (2009-10-12 08:50:23)

個人的には「Jealousy」は、(質は相変わらず高いけど)「REBIRTH」よりも地味めな印象を受けたんですが、この曲は別。インスト版の時から良いメロだとは思っていましたが、そこに九十九神思想と妖怪、終末的光景を掛け合わせたような歌詞が載った事で、劇的に景色が広がったような感じがします。Fukiさんの張った声がシリアスな雰囲気を更に強めていることも、曲の景色を更に鮮明にしていると思います。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth ★★ (2009-03-10 20:55:00)

2009年発表の1st。みんな大好き上海アリス幻樂団カヴァー。
…店で流れていたのをたまたま聴いて、即レジに持っていってしまいました。
それこそ「稲妻に打たれたような衝撃」。「私の求めていたメロスピは、これだったんだ…」と。
作風は、ツーバスドコドコや様式美的なクッサクサなリードなど、お約束な要素をたっぷり
詰め込み、女性ヴォーカルによる歌謡的なメロディをフィーチャーしたパワーメタル…
という感じでしょうか。アレンジ、ギターを担当するyuki氏は、YOUNG GUITAR誌のお墨付きを
もらっているというだけあって、クラシカルな速弾きからトレモロリフまで、全編に渡って
聴き応えのあるかっこいいギターが聴けます。隙あらばクラシカルなリードやかっこいい
オブリを入れてくる感じで、思うままに弾いているような様は聴いていて爽快感すら覚えます。
それにもまして存在感があるのが、余りにもキャッチーでクサい歌メロ。
全曲にDRAGON GUARDIANの「我らが嘆きのカルミア」、MINSTRELIXの「Spiritus Mundi」
クラスの歌メロがある、と言えば良いでしょうか。カヴァーだしメロが良いのは当然、という
向きもあると思いますが、私はこれメロの活かし方も相当上手いと思う。
メロスピって、スピードに引きずられる形で歌メロが間延びしてしまう事が少なくない
(あのDRAGON GUARDIANでさえ、2ndではその傾向が見られた)と思うんですが、
このバンドはそこに陥らないし、陥る気配を見せる事すらありません。歌謡曲の中の、
トップレベルのクサメロをそのままメタルに乗せ、メタルとして成立させてしまってる感じです。
また、ここまでクサく聴こえるのは、ヴォーカリストの貢献も相当大きいと思う。
メタルに必要なパワーや上手さがあるのはもちろん、繊細さや歌謡的な親しみやすさまで
備えた素晴らしいヴォーカル。上手いヴォーカルって技巧的になるあまり妙にこじんまりした、
特徴のない歌い方になってる人が少なくないんですが、この人の歌い方はダイナミックで、
起伏のあるメロディをよりメリハリのあるものにしていると思う。
最近、ヴォーカルに「親しみやすさ」があるとメロのクサさが際立つことに気付いたんですが、
この人にはそれすらも備わってる。親しみやすくするあまり、「媚び」や「ヘタウマ」に
陥る事もありません。ああ、ほんと良いヴォーカルだわ…。
正直、上海アリス/東方系ってちょっと食傷気味で、もうYELLOW ZEBRAとか好きな
アーティストだけ追ってればいいかな…とか思いはじめてましたが、ここで開拓を止めなくて
本当に良かったと思う。こんな強烈なカウンターパンチを食らうことになるとは…。
最近ジャパメタも少しずつ聴きはじめてるんですが、ここまでレベルの高いアルバムは
なかなかないですよ。鼓太蝋「Live in the Nightmare」と並ぶ歌謡メタルの神盤。
クサメタラーならマジで聴いた方が良いです。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - Faith ★★★ (2009-03-12 20:51:11)

一分間に詰め込められる、最大限のドラマティックさが込められた曲。アルバムの流れでは「木葉天狗」のイントロダクション的な感じですが、とてもそんなもので済ませられる代物じゃないです…。演奏時間が1/3になると爆発します(笑)。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - Heaped Heart ★★★ (2009-03-09 18:11:39)

泣くような曲じゃないんですが、最初泣きそうになりました…余りに理想的すぎて。
日本人らしい、繊細に、かつヒロイックに紡がれるメロディと、高揚感を煽りまくるメタルサウンド、ダイナミズムと巧さを備えたヴォーカルの「神聖なる三位一体」…クソっ、美しい…。人はあまりに理想的なものに出会うと、涙腺が緩くなるんですね…一つ勉強になりました(笑)。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - Missing Girl ★★ (2009-03-12 20:48:30)

この曲は…サビメロが短い繰り返しで、あまり歌メロに向かなそうですが、ヴォーカルが上手くアクセントを付けた歌い方で劇的なものにしてると思います。メロの流れ自体は美しいし、全体的なクサさはかなりのもの。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - No Grudge Any More ★★★ (2009-03-12 20:58:54)

小学校の卒業式で、五年生が六年生に贈るために歌う歌みたいなメロディが、こんなドコドコなメタルサウンドに乗ってしまうという時点で、かなりの衝撃がありますね。聴いてて、体育館の匂いがしたような気がしてしまいました(笑)。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - 奇子~unknown Child ★★★ (2009-03-09 18:10:27)

チェンバロやクワイアを従えた、ダークでゴシックなムードに満ちた曲。
キャッチーという言葉すら生温いサビや間奏と、それ以外の不吉な雰囲気のパートを違和感なく繋げる編曲能力も凄い。クワイアが微妙な音質なんですが、濁り気味の音は地の底からの喚び声にも聴こえ、むしろプラスに作用しているという印象。勢いやダイナミックさを保ったまま、秘めた狂気を表現するヴォーカルも上手い。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - 神々が恋した幻想郷 ★★★ (2009-03-12 21:02:49)

この、ポップネスと郷愁の中に、少し寂しさを含んだようなメロディの曲をラストに持ってきたのはかなりセンス良いと思います。アルバムが終わる事に対する一抹の寂しさが表現されているようで、作品のエンディングテーマのように聞こえてくる。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - 断罪は遍く人間の元に ★★★ (2009-03-09 18:09:27)

インスト明け1曲目。遂に理想のメロスピを見つけた…。
クサいリードギターにヴォーカルの突き抜けたシャウトが乗るオープニングの時点でいわゆる「ガッツポーズ」(笑)。A→Bと高揚感を次第に増しながら、サビで絶頂に達する歌メロの流れが素晴らしい。しかも、どのメロも流れを無視して単品で聴いても、普通のメロスピバンドじゃ敵わないクサさ。…海外にこの曲の足元にでも及ぶ歌メロが書けるメロスピバンドがいるなら是非知りたい、そういうレベルのメロディです。


UNLUCKY MORPHEUS - Rebirth - 木葉天狗 ★★★ (2009-03-12 20:54:47)

原曲(フォールオブフォール~秋めく滝)の、水面に広がる波紋を思わせる美メロは他のアーティストのカヴァーで聴いた時から素晴らしいと思ってましたが、間奏のクラシカルなソロ、アウトロの泣きメロもかなり良いと思う。原曲のメロが良いだけじゃなくて、もともとセンスのあるアーティストである事を裏付けるような曲ではないでしょうか。


UNLUCKY MORPHEUS - Shooting Summer (forestpireo) - 魍魎の密室 ★★★ (2009-11-26 23:34:18)

あからさまに「和」を意識したヴォーカルメロディといい、若さに任せてがむしゃら(それでいて完成度は激高)に自分の思うメタルのかっこよさを追求したような曲調といい、殆ど初期陰陽座のメロスピ曲まんまな作風の曲ですね。
…でも、何故このコンピに曲を提供しようと思ったのかが謎。目茶目茶浮いてます(笑)。他はなんか萌え系みたいな曲が多くて、正直かなりがっかり…ジャケの絵は綺麗でいい感じなのに。逆に言えば、メタラー視点では彼らの一人勝ち、なのかも。普通にサムライメタルとかRED HOT BURNING HELLとかに提供しても良かったのでは。


UNLUCKY MORPHEUS - Spring★(forestpireo) - 懐恋リグレット ★★ (2010-03-19 21:59:52)

ここまで陰陽座っぽいと、自分たちの音楽だけでなく、陰陽座を同人音楽ファンに勧めるためにコンピレーションに参加してるのでは…とか思ってしまいます(笑)。しかもこの曲、分かりやすいシングル曲の路線ではなく、最近のアルバム(「魔王戴天」~「金剛九尾」辺り)の2、3曲目に入ってるような、どキャッチーではないけど味わいのある、正統なメタル…という感じなんですよね。本当に陰陽座好きなんですね…。


UNLUCKY MORPHEUS - Spring★(forestpireo) - 慟哭 ★★ (2010-03-19 22:04:57)

「懐恋リグレット」が陰陽座なら、こっちは犬神サーカス団っぽい感じがしますね。ワウギターの使い方とかハードロックっぽいノリとか。歌い回しもいつもと違う、タメを効かせた感じですし。この曲も、犬神特有のおどろおどろしさを出した、分かりやすいキラーチューンではなく、アルバムに時々入ってる衒いのないHR/HM曲の趣きがありますね。


UNLUCKY MORPHEUS - Unbeatable Accomplice (unlucky Morpheus×aquaelie) - Unfeigned Actress ★★★ (2009-11-26 23:25:35)

曲調としては、いつものUnlucky Morpheusのスタイルである、2バスドコドコ×ピロピロギター×激クサ歌メロの「理想のメロスピ」で、当然素晴らしい出来なんですが、歌詞も同じく素晴らしい。悠久の命を持つが故の葛藤は、ファンタジーでは割と良くあるテーマですが、それをここまで真に迫って聴かせるのは凄い。特に「君に澄む蓬莱のしるしを いっそ喰らってしまえたなら」とか「宿命よ どうか今だけは この改ざんを赦してくれ」とか、ちょっとした言い回しに凄くセンスを感じられます。張り詰めた高音と、押し殺した低音を無理なくかつ劇的に使い分けて、歌詞の世界を演出する歌声も素晴らしい。このアルバムには殆どアレンジの変わらないインスト版も収録されてますが、はっきり言って緊張感は段違い。表現者としてのFuki嬢の実力を見せつける超名曲です。


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 怨霊師 ★★★ (2010-08-21 10:53:30)

一番原曲のメロディと、陰陽座風のアレンジのシンクロ度が高いのはこの曲だと思う。Bメロからサビ部分へ至る時の高揚感は「陰陽師」そのまんま。語り部分は、やりすぎててちょっと恥ずかしく感じてしまうかも(笑)。


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 河童囃子 (2010-08-21 10:56:36)

この頭韻なんて、如何にも瞬火さんが書きそうですよね。
アレンジしすぎて原曲が何だったか忘れそうですが(笑)。


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 月姫遺言帖 ★★★ (2010-08-21 10:39:53)

徹底した陰陽座パロディと言える本作の中でも、最も陰陽座度が高いのはこの曲だと思う。アレンジ自体の方向性も「甲賀忍法帖」辺りのシングル路線で、もう本家と区別が付かないレベルですが、何より凄いのは歌メロを(フレーズの引用とかではなく)本家風にアレンジしていること。それによって多少クサさが薄れているのは否めませんが、如何にも瞬火さんが書きそうなメロディになっているのが素晴らしい。よっっぽど陰陽座が好きなんだろうなぁ…。


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 式と為る者 ★★ (2010-08-21 10:44:53)

タイトルの時点で「式を駆る者」風のアレンジであることは想像が付きますが、それにしてはおどろおどろしさが低いような…と思っていると、Fukiさんのヴォーカルが入ってハッとなりました。完璧にインディーズ時代の黒猫さんですよ、これ…。この曲は陰陽座以外にも、Xの「X」へのオマージュも感じられますね。ただ、合いの手のテンションの低さはもう少しどうにかして欲しかった。腹から声を出せ!!


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 星熊童子 ★★★ (2010-08-21 10:50:33)

この曲は如何にも陰陽座が書きそうなCメロ部分を始め、アレンジも素晴らしいですが、特に歌詞が素晴らしいと思う。(東方の)元ネタの故事や文化まで遡って調べるほどのファンが、陰陽座と感性をシンクロさせつつ書いたという感じ。特にサビ部分が「星熊勇儀」というキャラをそのまま表しているよう。東方アレンジって、心底どーーでもいいネタ歌詞もあれば、こういうレベル高いのもあって本当に玉石混交のジャンルだと思う。


UNLUCKY MORPHEUS - 猫吟鬼嘯 - 恋ふる楔 (2010-08-21 10:59:09)

これも陰陽座のアルバムに一曲は入ってるタイプのバラードですが…本家と比べると、ちょっと弱いかも。歌唱も、メロディも。もっとメロディにインパクトのある曲を選んで、原曲メロを極力崩さずやった方が良かったのでは。


URFAUST - Drei Rituale Jenseits Des Kosmos ★★★ (2010-03-17 18:44:00)

2008年発表の3曲入りEP。
以前より、変わったヴォーカルスタイルが話題になってるバンドですが…

確かに、鬱ブラック系の悲痛絶叫(それでも、奈落に落とされている人のような、妙な味はある・笑)や、邪悪な祈祷風の声も使ってはいるんですが…まるで石焼芋売りのおっさんが、商品が売れずに生活苦から発狂したような、怒ってるんだか無気力なんだか分からない太いノーマルヴォイスはかなりのインパクトがありますね(笑)。

ただし、曲それ自体にも、ヴォーカル以上のインパクトがあります。
ゆっ…くりと渦を巻くような泥沼を思わせるドローンに、淡々とミディアムで叩かれるドラムを絡め、そこに鬱系/シューゲイザー系ブラックの儚いトレモロや、音響ブラック的な神経を冒すようなギターノイズ、何か不吉なものがうねるようなキーボードを乗せていく作風は、鬱ブラックや葬式ドゥームにも通じますが、更にそれらよりも現実離れした情景を描いている印象。

聴いていると暗黒に引きずられていく感覚を覚えるこの音は、「サイケデリック」と言うには余りにも黒すぎる感じで、ブラックの中でも際立ったカルト性を放っていると思います。個人的には、死者の魂が、現世への執着を断ち切れぬまま、恨みの声を上げながら冥界へと消えていく…そんな情景を想像してしまいました。

バンド発足当初はアンビエントを志向していたらしく、だからこそこういうカルトな情景を描けるんでしょうね。私は変なヴォーカルが聴きたかったので手を出してみましたが、曲自体に他のバンドから一つ抜けた個性があり大満足。鬱ブラックや、音響系ブラックの中でもグロテスクなものが好きな方にお勧めです。


URGEHAL - Ikonoklast ★★★ (2009-12-20 01:26:00)

2009年発表の6th。

イカレたリードギター(Lead Guitar Fuck!!)やオールドスクールなリフ捌きを多用した作風は、ややスラッシュ寄りのブラックとも言えそうですが、この手ではずば抜けて迫力があるのが特徴。ファストパートでブルータルブラック並のカチコミっぷりを見せるのもその一因だとは思うんですが、それ以前に音そのものにドスが効いている感じがします。

まず音質からしてベテランらしい太い、風格があるものだし、ヴォーカルもスラッシュの吐き捨てをそのまま太くしてデス声化させたような、こちらも太さのある悪意に満ちた声だしで、曲自体の持つ邪悪なエナジーとも相まって、まるで地響きでも起きそうなド迫力の音に仕上がってますね。ああ、蹂躙されるというのは何と気持ちの良いことだろうか…(笑)。

オールドスクールな作風ながら、メロディからはドランクなルーズさは排され、ただただサタニックな毒々しさがありますね。たまに叙情性の強いメロディが出てきても、この黒い迫力の中だとサタンの軍勢の士気を上げるための軍歌にしか思えません。これだけ質量・熱量の高い音を常に緊張感を持って聴かせる曲構成の巧さ、ラストのピアノ等にほの見える美意識の高さなど、単に力ずくでは終わらない深みもあるのが素晴らしい。

音圧と曲の持つ迫力で聴き手の眼球を圧迫し、「黒さ」を演出するような凄まじい作品。このバンドもTAAKEやCARPATHIAN FORESTと同様、「TRUE NORWEGIAN BLACK METAL」ロゴを掲げてますが、これらの有名ブラックと比較しても、全く見劣りのしない魅力のあるアルバムだと思います。


URIZEN - AUTOCRATOPOLIS ★★ (2013-02-18 12:36:32)

2005年発表の1st。
まだ8-bitサウンドに目覚める前の音源ですね。

と言っても、この時点からかなり独特なサウンドを構成。
流れるように炸裂する流線型トレモロリフ疾走を聴かせつつ、ARCTURUSやBORKNAGARをヤケクソにしたような奇怪ながらキャッチーなコーラスパート、雨垂れを思わせるようなお洒落なピアノ、果てはCRADLE OF FILTHリスペクトっぽいゴシック系キーボードの導入などもあり、聴き手を欺くように展開するアヴァンギャルドな路線。

脱メタルしている部分もかなり多く、3曲目がいきなりメタル要素皆無な、オールクリーンヴォーカルの曲だったりします。お洒落なピアノが良いアクセントになっていて、アヴァンギャルドながら散漫な感じがしないのは良いですね。全体的にARCTURUSから強い影響を受けていそうな音。特に「La Masquerade Infernale」のエキセントリックさや全体の雰囲気、「The Sham Mirrors」のケレン味が受け継がれている気がします。

で、ここまで書くと、非常な良盤に思えるんですが…ブラックの価値観を意図的に逸脱した作風としても、音が妙に軽い気がするし、ほとんど歪まない、喋り声以上、デスボイス未満のヴォーカルは正直苦手。この辺りで画竜点睛を欠いてしまっている印象があるんですよね…独特なのは良いんですけど、個人的にはもう一歩というか、多少不満の残る出来。


URIZEN - UNIVERSE ★★ (2008-10-28 21:37:00)

2007年発表の5曲入りEP。
販促シールによるとテキサスのメロディック/アヴァンギャルドブラックとの事。

「Urizen」はイギリス・ロマン派の詩人ウイリアム・ブレイクの詩に出てくる固有名詞で、「Your Reason」、つまり理性を象徴する存在であり、研究者によってはブレイクは旧約の神のイメージを「Urizen」に重ねていたと見ている人もいるようです。個人的にブレイクはULVERが彼の作品「天国と地獄の結婚」のテキストに丸々曲を付けたり、授業で彼の詩を取り扱ったことがあったりして縁があったのと、そういう神秘的なシンボルをアヴァンなブラックメタルで表現したら面白くなりそうだな…と思ったので購入。その結果は…。

「なんじゃこりゃ!!?」って感じです。
まーーーったく、イメージと違うんですけど…(笑)。
まずプレイボタンを押してすぐに驚愕、というかプレス工場で間違ったCDが混入したのかと思いました。なにせいきなりファミコン風キーボードによる、初期RPG風のメロディによる洗礼ですからね…。そしてドラクエで敵にエンカウントしたときのSE風の音と共にブラックパートに突入(爆笑)。

ブラックパートでもファミコン風キーボードが活躍し、それに合わせてリフの方もメロディを強調するような妙な捻れ具合で実に面白いです。ヴォーカルはほぼ普通声で、Simen(Vortex)風の妖しい歌い方。この人の歌い方はSimenのそれよりも滑稽味があるように思います。

最早ブレイクの詩や版画絵のイメージとは光年の開きがあるような音で、ブレイクの詩が好きな人にはとても勧められませんが、へんてこブラックが好きな人にはお勧めかもしれません。個人的には楽しめはしたんですが、1曲目の半分と3曲目がファミコンキーボードソロで、5曲目がブラックメタル要素のない曲で、ブラックメタルパートが全体の半分くらいしかないのは凄く不満。路線自体はかなり好みなんですけどね…。いくらEPでも物足りないです。


URIZEN - UNIVERSE - A BUDDING CONSCIOUSNESS AND THE DIFFICULTIES OF LIFE ★★★ (2008-10-28 21:42:27)

このキーボードの音色とそれに合わせたリフの捻くれ具合が良いなぁ…。シンフォニックブラックの突然変異体とも言える音なのかも。個人的には、こういう曲がもう少し多ければよかったと思う。せっかくネタは面白いのに、この少なさだとネタを見せただけで終わってしまった印象がある。
しかし、「人生の困難」…そんなシリアスな曲なんですか、これ(笑)


URIZEN - UNIVERSE - A NEW REVELATION AND THE BLISS THAT RETURNED ★★★ (2008-10-28 21:43:41)

最初の10秒だけやたらシリアス(笑)。
それからは…他の曲同様ファミコンキーボードが入るわ、ピコピコ音と語りを絡ませて遊び出すわ他の曲以上にやりたい放題です。


URIZEN - UNIVERSE - A NOISELESS FLASH AND THE JOY THAT FOLLOWED ★★★ (2008-10-28 21:40:20)

もう、これ衝撃以外の何物でもないですよ…マリオか何かのカヴァーだと思ったし。最初に聴いた時は呆気に取られるばかりでしたが、今では聴くたびにブラックパートへの移行部分で吹きそうになります(笑)。よくこんな所まで再現したなぁ…。


URIZEN - UNIVERSE - EPILOGUE : NOTHING IS EPIC...AND SO IT IS (2008-10-28 21:45:15)

ブラック要素のない曲ですが、後半は結構好きですね。
ULVERの「METAMORPHOSIS」に入ってても違和感の無さそうな曲。
っていうか、かなりその頃のULVERを意識してると思う。


URNA ★★ (2013-03-23 20:58:16)

イタリア産フューネラルドゥーム/ディプレッシブブラック。
ABSENTIA LUNAEやLOCUS MORTIS等でも活躍するMZ氏が在籍。


URNA - Sepulcrum ★★★ (2013-03-23 21:02:36)

2006年発表の2nd。

割と有名なレーベルから出てるのと、セールで安かったのもあって実態を良く知らないまま購入してしまいましたが、これがかなりの絶望音楽で個人的には当たり盤でした。タイプとしては、NORTTやXASTHURなど、葬式ドゥームに通じる破滅的な暗さを感じさせる、スローな鬱ブラックに、LURKER OF CHALICE辺りの腐食したアンビエント要素をプラスした感じでしょうか。

リスナーに閉塞感・圧迫感を与えるためだけに存在するようなディストーション、血の河がゆるゆると流れるかのようなトレモロなど、ギターのフレーズは最早バンドサウンドとしての特性をほぼ失い、情景の一部と化しているような感じで、それが偏執的な音使いのサンプリングやキーボードと混じりあい、より深い絶望感を醸し出している様な音。地の底から響くようなエフェクトの掛かったヴォーカルも、亡者の呻き声のようで雰囲気にぴったり。

ただし、NORTTやXASTHUR、或いは他のフューネラルドゥーム系のバンドはメロディそのものが破滅的というケースが多いですが、この作品はバンド自体によるメロディ成分は薄めで、その代わり爛れたアトモスフェアが濃くなっている作風なので、聴き手に好みによってはかなりマニアックに感じるかもしれません。ともあれ絶望的な気分に浸りたいという欲求を満たしてくれる事は間違いないかと。

ちなみにラストはBEHERITのカヴァーですが、原曲にあったある意味でのキャッチーさが綺麗さっぱり消えうせている代わりに、やたら深度のある暗闇を感じさせる音になってるので、暗黒音楽好きは是非聴いて欲しい所。


UTARM ★★ (2013-03-23 21:26:54)

ノルウェー産アヴァンギャルドブラック。
ノイズ要素のかなり強い音を出してるバンド。


UTARM - Mutilation Epoch ★★ (2013-03-23 21:28:34)

2007年発表の1st。

私はこれ、なんの予備知識もなく店頭で見かけたときは絶対プリミティブブラックだと思い、セールで安かった事もあってレジに持っていったんですが…意外なことにノイズ要素のかなり強いブラックで、ブラック界隈よりもむしろアンビエント方面での評価の方が高いくらいのバンドらしいですね。いや、あの横ジャケのフォントはどう見てもプリミティブ系のそれでしょう…。

という訳で、ある意味当てが外れた形ではあったんですが、ノイズブラックとしては割と好みな音なんですよね。一部破壊的な部分もあり(正直4曲目とかちょっと辛い)はしますが、基本的には耳を聾するような音ではなく、アンビエント要素を上手く絡めてじわじわと精神を蝕んでいくような、陰湿なムードの非常に濃い作風。時折入るピアノが美しく、どこか破滅を感じさせるような使われ方でかなりセンス良いと思う。

確かにノイズ系ブラックに全く耐性がないと辛い音ではあるんですが、この湿り気のある雰囲気の演出は確実に鬱ブラックやプリミティブブラックに通じるものがあると思う。調べてみるとUtarm氏はDRAGGED INTO SUNLIGHTやDODSENGELなどのブラックメタルバンドの作品にアートワークで参加した経験もあるらしく、感性的に共通するもののある作風もなんとなく納得。


V : 28 - SoulSaviour ★★★ (2008-08-02 22:52:00)

2005年発表の2nd。
裏ジャケを見る限り、どうやら三部作の真ん中という位置付けの作品みたいですね。

このバンド、あまりブラックメタル好きの間で大きな話題を集めたという話は聞かないんですが、参加・関連メンバーがこの手を聴くリスナーから見たらかなり豪華。ENSLAVEDのGrutle(前作の一部ヴォーカル)やRED HARVESTのLRZ(プロデュース、ミックスなど)を初めとして、RAISON D'ETREのPeter Andersseon(一部作曲)やWHENのLars Pedersen(一部パーカッション)まで参加してます。次のアルバムではMZ.412までプログラミングで参加してるとか…後半の方は、もう北欧の恐い音楽アーティスト大集合って感じじゃないですか(笑)

肝心の音楽の方も、参加・関与メンバーの豪華さに負けないだけのものがあると思います。ブラック特有のトレモロリフだけでなく、メタリックなリフも効果的に使い、ミディアム中心でどっしりと聴かせる手法や音の質感などは近年のENSLAVEDにも通じる物がありますが、アトモスフェリックなキー、打ち込みのリズムやサンプリング、ダークアンビエント的なパートなども取り入れていて、音を通じて見えてくる風景はむしろRED HARVESTやVOID、MANES、初期ZYKLONのようなサイバーな感じ。ありそうでない個性的な音楽性だと思います。

もちろん、個性的なだけでなく、トレモロと刻みを上手く使ったリフ捌き、インダストリアル要素の導入のしかた、ヴォーカルのエグさなど根幹の曲自体の質も高いと思います。特にヴォーカル、ENSLAVEDのGrutleを少し低めにしたようながなりデス声ですが、真に迫った迫力はGrutle以上と言っても過言ではないかもしれません。

新品が安かったから買ってみたんですが、想像以上に良かったです。しかしRAISON D'ETREやWHENの名前をここで見る事になろうとは…。やばい連中は皆繋がってるんですね(笑)


V : 28 - VioLution ★★ (2008-09-07 22:21:00)

2007年発表の3rd。三部作の完結編となる作品みたいです。
前回もかなりゲストが豪華ですが、今回もMZ.412やGarm等そのスジの有名人が参加。
それにしても、こんなジャケのアルバムを輸入しても良いんでしょうか…。

ミディアムなインダストリアルビートを軸に据えたブラックメタルをアトモスフェリックなキーボードが包むと言う作風に変化はありませんが、今回はクリーンヴォイスの導入やBLUT AUS NORDを思わせる奇妙な音響のリフ、執拗なストップ・アンド・ゴーの繰り返しなど、部分部分に実験精神が垣間見られますね。

特にブラック界どころかメタル界の中でも指折りだと思うヴォーカリスト、Garmの歌う妖艶なクリーンパートは素晴らしいの一言。ただ、それらの要素は一部で、全体的に構成が平坦な印象を受けてしまうのも確か。レベル自体は高く、特にヴォーカルは最近のIhsahnを更にえげつなくしたような歌い方も見せてかっこいいんですけど、もう少しアルバムの構成にメリハリが欲しかった所。

このバンドは、自らの音楽性を「Dodsindustiriel Metal」と称しているようですね。無理矢理訳すなら、「死せる魂のインダストリアル・メタル」という感じになるのでしょうか。確かに、他のインダストリアル要素のあるメタルと比べると、スピリチュアルかつオーガニックな雰囲気が強いように思います。まあ、靄の中に機械が隠れているような妙な雰囲気もなきにしもあらずですが。

他に無いタイプの音楽性を持ったバンドですし、Garmのヴォーカルのファンならば3曲目の為に買っても損はないと思うアルバムです。っていうかGarm様、この路線で一枚作ってくれないかな…。


V : 28 - VioLution - Shut It Down ★★ (2008-09-07 22:24:30)

SE明けの疾走が実にかっこいいですね…このアルバムがスローテンポの雰囲気重視のパートを中心に構成されている事をちょっと残念に思うくらいに(笑)。最初に持ってくるくらいだから、疾走パートにも相当な自信を持ってるんだと思うけど…こういうパートを中心にしてくれたら凄い名盤が出来そうな気がする。


V : 28 - VioLution - The Absolute ★★★ (2008-09-07 22:23:16)

Garmがヴォーカルでゲスト参加した曲。
HEAD CONTROL SYSTEMでやっていたような妖艶なクリーンヴォーカルですが、HCSよりも大分分かりやすくて愛想のあるメロディを歌ってます。後半はハモりも入ってそれだけで悶絶出来る…。個人的にはこれだけでも買った甲斐があったと思う。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Crowzfest ★★ (2007-09-04 09:42:00)

主にアマチュアで活動するメタルアーティストの音源を集めたコンピ盤。2007年作品。
曲毎の関連性は特にないと思われるので、一曲ずつ感想を…。ちなみに全曲インストです。
「Hot Rod / 埼玉最終兵器・GODSPEED」
埼玉最終兵器は以前聴いたフルアルバム(RED LUCIFER RISING)が思いの外微妙な出来で、
特にリフがイマイチだと思ってたんですが、この曲でのそれはなかなかにかっこいいです。
ロックオルガンなどともしっかり絡んでいるのが良いですね。オリジナルのがいいかも。
「PHOENIX SWORD / 平松俊紀」
フェニックスアロー+サイコソード?KOFを思わせるタイトルの曲(笑)
何気にバッキングにチェンバロを仕込んでるアレンジがいい感じです。
タイトル通り、勇壮な曲調。
「Drive Ignition / BETTER HALF」
う~ん…悪くないけど、前曲と曲の全体的なイメージがちょっと被ってるかも。
中間部のアトモスフェリックなキーを配したパートとか結構好きですが。もう一声欲しい所。
「Ayahuacsa / JESUS IS DEAD」
最初はリフがツボにはまらず、好きじゃなかったんですが、よく聴くとベースがメロウで
なかなか。ギターのザリザリした音質も好み。でも個人的にリフは微妙かなぁ…。
「Black Label / MYONMYON」
妙な響きのフレーズがあったり、ギターが左右のチャンネルを往復するようなフレーズも
あったりしてちゃんと音響にも気を使っているのが嬉しい。オリジナルアルバムでは
メロデス風のインストメタルをやりながら、ここではドゥームを提供という幅の広さも流石です。
「Kick Your Ass / CROW'S CLAW」
主催者であるCROW'SCLAW」の曲だけあって、出音からして他のバンドに
負けまいという気概が伝わってきますね。確信と自信に満ちた曲調だと思います。
ギターの重厚で金属的な音は、最早メジャーとの垣根を感じさせません。
「Adrenaline Shooting / DEMETORI」
DEMETORIは好事家の間でも既に評判になっているらしいですが、噂に違わぬ質の高さ。
聴いていると異次元に引き込まれるかのようなアンサンブル。SEを除くと、3分強の
曲だというのに、ここまで充実しているのも凄い。アルバム1、2を争う出来かも。
「mirror / SERENADE」
ヘヴィなメタルサウンドと、メランコリックで畏怖を覚えるような耽美さも備えたメロディ
…良い意味で、RPGの戦闘シーンにも使えそうな曲。もっとも、この曲調だとラスボス
限定という感じですが(笑)。ロマサガとかで使われてもおかしくないドラマティックな曲。
「EYES OF DEVILELIET / YAMAGEN'S DEVILELIET」
MYONMYON、SERENADE、そしてこのアーティストと、このコンピ盤は全体的に
若手が健闘しているという印象。適正の1,5倍くらいのテンポで疾走するかのような、
生き急ぎまくりな曲調が実にかっこいいです。パートによってはサイケさを感じたりも。
捨て曲も無く、約1000円とは思えないようなクオリティで、アマチュアメタル界の充実振りが
窺える一枚。ただ、ライナーの「様々なジャンルの美味しい所をカヴァー」はちょっと疑問かも。
ほとんどのアーティストがリードギターや展開、メロディをリフやリズム、音響、音像よりも
重視した作風な上、エクストリーム系のメタルが一曲も無いというのは少し寂しい。
それに同人界隈では民族系が流行のようですが、一曲くらいはリードギターの代わりに
フィドルとか(打ち込みでも)入れたりする変り種メタルがあっても良かったんじゃないかと。
…尤も、それは私がブラックメタルや変り種のメタルが好きだからそう思うのかもしれません。
普通のメタルファンならもっと楽しめるし、特にメタルが好きじゃない人が聴いたとしても
十分かっこいいと思えるクオリティを有した、優れたコンピレーションだと思います。
全曲インストなので、メタルはヴォーカルが濃くて苦手な方にもお勧め。
でも、折角アマチュアで制約が少ないんだし、もっとトンだ作風も聴きたかったのが本音。
次回があるならXASTHURやNORTTに影響を受けた激鬱バンド登場!!…とかならないかな(半分冗談・笑)


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Crushing the Holy Trinity ★★ (2006-02-25 10:39:00)

現Deathspell OmegaのヴォーカリストMikko Aの運営するレーベル「Northern Heritage」に
所属するバンドの音源を集めた、3枚組のコンピレーションCD。2005年発売作品。
「FATHER」
収録バンドはDeathspell OmegaとStabat Mater。
Deathspell Omegaは一曲のみ収録で20分を越える大作主義、アコースティックパートも
含むプログレッシブな曲構成、カオティックなギターリフとミニアルバム「KENOSE」と
同じ路線なんですが、更にこの曲では3rdにも表れた鬱メロディがかなり取り入れられており、
より不気味な雰囲気に仕上がってます。もはやブラックメタルの首領的な堂々たる音世界で
これだけでも元は取れたとも思えるほどに素晴らしいです。
Stabat MaterはMikko Aのバンドですが、ブラックではなくフューネラルドゥーム。
バンド名の意味は確か「聖母」だったかな?そういうだけあって、女性ヴォーカルも
入れた不気味で邪悪な音を出してます。私はドゥームって詳しくないんですが、
こういうのばかり聴いていたら体調悪くなりそう…。
「SON」
収録バンドはMusta SurmaとClandestine Blaze。
Musta Surmaはテンション高めなプリミティブブラックで、特にドラムの音が良いです。
バンド紹介の担当楽器の欄に「Members and weapons」とあるのが印象深い…(笑)
この「SON」のパートは他よりも一層アングラ色が濃いような気がします。
Clandestine Blazeは3rdを先に聴いてましたが、相変わらずのアングラブラックですね。
他のプリブラバンドとは違う、Mikko Aのドスの利いたヴォーカルがはまりまくりです。
収録曲の制作時期は2002年ってあるから、大体3rdと同時期の曲なのかな?
3rdで不満だった音の小ささが解消されたのは嬉しいですが、更にノイジーになってます(笑)。
「HOLY SPIRIT」
収録バンドはMglaとExordium。
このコンピレーション、全体的に良かったんですがMglaは中でも大当たりでした。
曲自体はDARKTHRONE系の紙ヤスリ音質のプリミティブブラックなんですが、リフのメロウさが
やばいです。特に4曲目なんて名作「Transylvanian Hunger」に匹敵するかも…。
ヴォーカルもMutiilationみたいな不気味な擦れ方で非常にかっこいいです。
Exordiumはイントロでシンフォニック系かと思わせておいて、本編は高音域のノイズを
たっぷりと含んだプリミティブブラック…って、プリミティブ多すぎですね(笑)
所々メロウなパートも含む曲はかっこいいけど、この音質でスローな曲は少しきついかも。
このアルバム、約5000円もするので購入を躊躇ってましたが、こんなに素晴らしいなら
もっと早く買えば良かったです。Northern HeritageはMikkoが社長だけあって、
バンドの選択眼は確かですね…。知らないバンドが多かったのも購入を躊躇わせる原因でしたが
どのバンドもプリミティブ系がいければかなり楽しめるかと思います。特にMglaは掘り出し物でした。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - From the Entrails to the Dirt ★★ (2006-03-13 20:05:00)

Mutiilationを始めとしたフレンチブラックメタルバンドの曲を集めたコンピレーションCD。
参加バンドはMalicious Secrets/Antaeus/Mutiilation/Deathspell Omega。
Mutiilationはフランク・シナトラのカヴァーと1stアルバムのリメイクの2曲、
Deathspell Omegaは20分近くもの大曲一曲を収録です。
しかしそれらの有名(?)バンドの音源の良さも光ってますが、MutiilationのMeyhna'chも
参加している「Malicious Secrets」というバンドの音源がかなり良かったです。
まずヴォーカルはMutiilationの人なので問題ないでしょう。今回はうめき声に加え、
不治の病に冒された人がうんうん唸っているような気持ちの悪い声まで使っていて、
いつも以上に素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれます。2曲目のその2種類を
掛け合わせた箇所なんて本当に聴いていて気分悪くなりそう…素晴らしいですね(笑)
そしてヴォーカル以上に曲の方もかっこいいです。MutiilationやHell Militia同様の
RAWブラックという感じですが、リードギターが曲を数段メロディックにしてます。
しかし闇の奥で蠢くような音質のため、邪悪さは損なわれていないのが気に入りました。
2曲目なんて毒ガスが吹き出すようなSEの後に咳き込んだりするパートまであるし、
聴いていると不吉な想像、妄想が頭を駆け巡ります。…早くアルバムを出して欲しい。
Antaeusは…ノイジーかつブルータルで悪くないけど、このメンツだと少し毛色が違う気も。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Moonfog 2000 a Different Perspective ★★ (2005-08-30 15:44:00)

Satyrの運営するレーベル、MOONFOGのコンピレーションCD。
二枚組で、一枚目が書き下ろし新曲、二枚目が既発音源集という組合せ。
このアルバムで特に凄いのは二枚目の方ですね。
SATYRICON、DARKTHRONEといった有名ブラックメタルバンドや、GEHHENAやTHORNSなど
ブラック好きなら名前を知っているだろうバンドたちが、それぞれのアルバムから
選りすぐりの楽曲をセレクトしてきています。特にDODHEIMSGARDはサイバーブラックの
神曲とも言えるクオリティの高い曲を2曲も提供していてびっくりしました。
一枚目の方もSatyrがPhil AnselmoやKilljoy等と組んだプロジェクト「EIBON」の
曲が収められていて、とても豪華なコンピレーションアルバムです。


VALHOM - Despair ★★★ (2012-09-13 23:32:03)

2007年発表の3rd。

このバンドって確かアメリカのブラックでしたよね?パッと聴いた感じ、北欧もしくはドイツ産っぽい雰囲気のある作風ですね。トレモロリフと疾走を組み合わせた展開で寒々しさを演出する音はちょっと昔のノルウェー産ブラックっぽいし、氷の礫を連想させる粗いリフにうっすらメロウなメロディを滲ませ、時折明瞭なメロディのフレーズが出てくるところなんかはジャーマンっぽいと思う。その良いとこ取りをしてドラマティックに仕上げた感じで、あまりアメリカっぽい印象はないですね。

メロウさ、妖艶さを強調するアトモスフェリックなキーボードの導入、メタリックになりすぎない=アトモスフェリックさを壊さない程度に用いられる刻みリフなど、各要素の取り入れ方がセンスいい感じで、北欧やドイツのブラックが好きならば安心して聴いていられる音。敢えて欠点を探すとするなら、ドラムの音が無味乾燥(打ち込み説あり)で、触りだけ聴くとB級ブラックっぽく聞こえるかもしれない点でしょうか。と言っても、曲は悪くなく十分良盤だと思いますが。

あまり話題に上らないですけど、堅実に良いアルバムだと思います。ただ、結成以降メンバーの増減はありつつ、コンスタントに作品を発表していたけど現在は解散しているみたいなのが勿体ないですね…。この堅実さが安心して聴けるのに…。


VALKYRIE ★★ (2012-03-14 23:14:48)

FUNERAL MOTHの藤島さんも参加する国産ブラック/ドゥーム。
先日2曲入りのデモをリリースしました。


VALKYRIE - DESPAIR... ★★ (2012-03-14 23:16:52)

2012年発表の2曲入りデモCD-R。

1曲目は、暗雲が立ち込めるかのごとく重ッ苦しく引き摺るギターリフに、悲壮なトレモロリフや幽玄で邪悪な神秘性を感じるアルペジオが映えるフューネラルなパートが、アルペジオとヴォーカルのみになる静のパートを挟み展開する曲、2曲目は鬱ブラック的な陰鬱なリフに、どこまでも落ちていくような暗いメロディのリードを絡めた曲で、作風としてはこの2曲を聴く限りでは鬱ブラックや葬式ドゥームに近い感じでしょうか。RAWで立体的に聴こえるドラムに圧迫感あるリフ、しっかり気分を凹ませてくれるメロディのセンス…と流石のクオリティで暗黒音楽好きなら安心して楽しめます。

…が、ヴォーカルはもう完全に逝ってしまってますね(笑)。おそらく女性ヴォーカルですが、喉を閉じた状態から、呼気の力で無理矢理こじ開けてホイッスル気味に絶叫したような、常軌を逸したヒステリックさを感じる声。普通にグロウルを聴かせたり、苦しみに喘ぐようなパフォーマンスをしていたと思ったら、突然声を荒げて絶叫するのが怖過ぎるんですが…。まるでレコーディング中に、急に過去のトラウマが蘇って錯乱したような、リアルな狂気を感じる声。SILENCER同様、曲も素晴らしいけどヴォーカルだけでも十分話題の種になるであろう作品。

…取り合えず2曲だけなのでまだなんとも…という感じですが、フルアルバムで全曲このクオリティだったら間違いなく☆は3つ付けますね。お値段も手頃ですし、バンドを取りあえず知るという意味でも、買ってみてもいいのでは。


VALKYRJA ★★ (2010-03-27 10:46:00)

ONDSKAPTのメンバーが在籍するブラックメタルバンド。
何気にMetal Blade所属だったりします。


VALKYRJA - Contamination ★★★ (2010-03-27 10:41:00)

2010年発表の2nd。

メロディックなリフを多用しながらも、哀愁よりも邪悪さの強い雰囲気、緩急をしっかり付けたドラマ性のある曲展開、表現方法こそストレートな中音域のがなりなものの、Arioch(FUNERAL MIST、MARDUK)ばりの邪悪さを撒きちらすヴォーカルと、「真性」なカルト性たっぷりな雰囲気ながら、普通の(エクストリームメタルがある程度行ける)メタラーにもアピール出来るクオリティも備えたブラックで、関連バンドのONDSKAPTや、WATAIN、OFERMOD辺りに通じる音楽性。

ただ、上記のバンドがデスメタル的な重さもある程度取り入れているのに対し、この作品はギターリフの音色がブラック特有の高音のシャリシャリした音色で、「重さ」はそれ程重視していないような音質ですね。ドラムに至っては豪速ブラストを多用しているのに、「軽快」で、躍動感もある印象だし、ベースのメロウなフレーズも良く聴こえます。この音が、作品全体にある程度の聴きやすさを与え、曲をよりかっこよく聴かせているような印象がありますね。

所属レーベルからも分かる通り、ONDSKAPTよりも多少聴きやすい音。
ストレートに衒い無く、ブラックの邪悪さをかっこよく表現した作品だと思います。


VALKYRJA - Contamination - Ambience of the Dead ★★★ (2010-03-27 10:43:23)

アルバムの中でも、頽廃的な美しさが際立っている曲。
骨の傘を差した骸骨たちが、夜の墓場を跋扈しているような雰囲気があると思う。ラストのメロディは、不死者たちが人間を喰らい尽くして挙げる、凱歌のようにも聞こえます。


VALKYRJA - Contamination - Oceans to Dust ★★★ (2010-03-27 10:44:15)

毒々しいメロディのリフでテンションを上げつつ、トレモロによる美しいメロディを聴かせる曲。似たような曲が並びがちなジャンルなだけに、こういう風にリフで曲の個性を付けられるというのは大きな強みですよね。


VALKYRJA - Contamination - The Womb of Disease ★★ (2010-03-27 10:45:15)

何気にドラムが素晴らしいですね。疾走パートでもアクセントの付け方が上手く、ヴォーカルの邪悪さとも相まって非常にかっこいいです。重さに頼り過ぎない音質も、却って演奏の壮絶さを浮き彫りにしてると思う。


VALKYRJA - Contamination - Welcoming Worms ★★ (2010-03-27 10:46:03)

豪速ブラストパートは最早洪水に押し流されるような迫力。その中で呪詛を込めながらもがくようなヴォーカルも恐い。一応緩急はつけてますが…ブラストパートのインパクトがとにかく強い。


VALLENDUSK ★★ (2014-04-25 21:40:42)

去年Pest Productionから初のフルアルバムをリリースした、ポスト/シューゲイザーブラック期待のバンド。なんとインドネシア出身のバンドだとか。


VALLENDUSK - Black Clouds Gathering ★★★ (2014-04-25 21:41:39)

2013年発表の1st。
これは試聴して「よし、今度買いに行こう」と即決でした(笑)。
…今更試聴するというのも遅過ぎですけど(笑)。

路線としては、ブラックメタル特有の深く歪んだギターと、儚げなメロディによるトレモロにより、身を切るようなエモーショナルさを演出する、所謂ポスト/シューゲイザーブラックですが…このバンド、トレモロリフの使い方が犯罪級に上手いと思う。この手の中でも、メロディの良さやトレモロの聴かせ方の上手さではトップクラスなのではないでしょうか。こんなバンドを見つけるなんて、流石Pest Productionと感心するしかありません。

まずトレモロリフですが…結構この手のバンドって、音像に拘るあまりトレモロそれ自体の音色が弱めというケースがあるんですが、このバンドはトレモロの「音程が細かく上下する音色」を、かなり前面に押し出した音作りになっているのが素晴らしいです。正直このトレモロ愛溢れる音作りだけでも個人的には「買い」確定なのですが…輪をかけてメロディそれ自体も素晴らしいのだからたまりません。

ポスト/シューゲイザー系特有の温かみのある、儚くエモーショナルな雰囲気も最高レベルで備えていながら、そこに分かりやすいまでの「泣き」「哀愁」が感じられるメロディ。例えばALCESTのようなバンドよりも、もっと露骨に泣かせに来てるような感じ。これがトレモロを前面に押し出した音像と合わさると最早あざとさすら感じるほど(笑)。ヴォーカルはブラックらしいがなりですが、楽曲の持つ自然崇拝的ムードにはかなりマッチしてますね。本能と感情に身を委ねてる感じで。

音源には最早何の不満も無いですね。この手のブラックとしては個人的には満点をあげたいです(笑)。唯一の不満は装丁でしょうか…デジパックだと思ったら、デジスリーブ形式(紙のジャケに直接CDを入れる。当然CD出し入れの度に摺れるリスクあり)だったのが腹が立つ。ほんとこの形式やめて欲しいわ…。


VALUATIR - I ★★ (2010-01-30 09:58:00)

このバンドも遂に登録されましたね…ブラック好きとしては嬉しい限りです。
日本のレーベルから発売されているので、手に取った方も多いのでは。
バグパイプによる民族的メロディをデス/ブラックに融合させた、所謂「フォークメタル」と
言われる音楽を演ってますが…この手のメジャーなバンド、例えばELUVEITIE辺りがメロデスを
基本としているのに対し、このバンドの基礎にあるのはプリミティブ寄りのメロブラ。
特にギターリフの荒涼としたメロディや、劣悪とは言えないまでも、荒めでかつアナログ感の
ある音質などは、確実にプリミティブブラックに通じるものがありますよね。
また、アコーディオンやヴァイオリンなどではなく、民族的メロディのパートを
バグパイプで演っているのも大きな特徴。バグパイプって、前述の楽器よりも日本人の
耳に馴染みにくい代わりに、より深みのある響きを持っていると思うんですよね。
この楽器を主軸にした事で、呑んだくれメタルの刹那的な雰囲気とはまた違う、文化への
敬意に満ちた、ある意味では危険な雰囲気が醸し出されているように思います。
バグパイプと合わせるリフも、プリブラ風荒涼リフからスラッシーなもの、メロディと
ユニゾンするものなど起伏があり、曲は長めながら飽きることなく聴けるかと。
1000枚限定ですので、興味のある方は早めの購入をお勧めします。


VAMPIRE PLEDGE - Vampire Library ★★ (2011-06-22 23:51:13)

2010年発表の1st。

歌メロこそアニメソング的なキャッチーなものながら、それを支えるのが高揚感のあるメロディを刻みに練り込んだメロデス的なリフ、ハードロックのワイルドさを感じさせる骨の太いリフであったり、ギターワークを主軸にした演奏であるという、いかにも最近の感性を持った女性ヴォーカル入りメタルという感じですね。

この手の、正統派な演奏+女性Voによるキャッチーなメロ、という作風はやはり陰陽座を思わせますが、曲を盛り上げるオブリやリードギターの切り込み、ツインリードによる泣きメロやピロピロ速弾きなど、クサメタルとしてのギターワークの魅力を「あからさまに」「分かりやすく」取り入れているのが特徴。歌メロの親しみやすさもありかなりキャッチーな作風。

また、フロントマンのさゆ嬢(なんとなく、トークスキルの高そうなバンドネームだ…)はショップでは「萌えボイス」と紹介されてましたが、実際にはちょっと低血圧気味?なダウナーさも感じさせつつも、可憐な感じで媚びた風は全くなく、聴きやすい歌声。何故かライブ動画の方が声に張りがありましたが…。

ただ、残念なのはメロディセンスにムラがあること。
「Vampire」「Mobius」の2曲は、そのままアニメタイアップのオファーが来てもおかしくないくらいにフック・ムード共に素晴らしいサビメロがあると思うんですが、その2曲以外は正直まだトータルで見て陰陽座の影すら踏めていないような状態だと思う…。「Mobius」にしても、サビのリフが面白くないのがマイナスだし。

…残念ながらオフィシャルの言葉のように「VAMPIRE PLEDGE無しでは生きて行けない躯(カラダ)となる…」とまでは行きませんでしたが、やろうとしている音楽自体には物凄くシンパシーを感じた次第。次は是非、メロディセンスや音質、曲展開などのクオリティを更に磨いて、VxPx無しでは生きて行けない躯にして欲しいですね(笑)。


VARATHRON ★★ (2011-08-25 04:01:01)

ギリシャ産ブラックメタルバンド。
ギリシャのシーンでは結構名の知られたバンドらしいです。


VARATHRON - Crowsreign ★★★ (2011-08-25 04:02:58)

2004年発表の3rd。

このバンドはギリシャ産ということくらいしか予備知識が無かったんですが、ジャケが爬虫類の爪に目玉が埋め込まれた、なんとも不気味なものだし、裏ジャケのメンバーもスキンヘッドのマッチョが雄叫び挙げながら万歳してるしで、これは絶対アングラで不気味な路線か、ダーティもしくはブルータル路線の音かな…と予想をしてたんですが、これは意表を突かれました。

まずメロウなインスト+語りの1曲目から想像してたのと大分違う音だし、インスト明けの2曲目の冒頭からいきなり正統派的と言っても良いような、メロウでかっこいいツインリードが炸裂していたので驚きました。その後メロブラ的なトレモロリフと共に疾走するパートがあるも、やはり感じるのはメロウさや、ごく真っ当なメタルとしてのかっこよさ。

基本はメロディックなブラックメタルなんですが、メロいギターのフレーズで引っ張るパートはメロデスっぽい…というかそのものですし、時折ゴシックメタルのような暗い耽美さを感じさせたり、キーボードが曲をシンフォニックに彩ったり、様々な要素が取り入れられてますね。諸要素を破綻無く組み合わせてドラマティックに曲を構成してます。

質の高い、丁寧でメロディックな曲作りが成されている反面、聴いてて気持ち悪さを感じるパートや、演奏が凄まじ過ぎて付いていけなくなるようなパートは無く、敢えて言えば優等生的でもあるため、ブラックのショッキングな部分や辺境メタルの異境的な面を求めるには向かない音だと思う。そういうものを求めないのであれば、十二分に推薦できるアルバムだと思います。ジャケと音楽性がいまいち一致しない点を除けばかなりの良盤かと。


VARGR - Storm of Northern Evil ★★ (2009-02-22 22:11:00)

2008年発表の3rd。

「VARGR」という言葉には、本来の意味の「狼」以外に、「無法者」というニュアンスもあると「Lords of Chaos(邦題:ブラックメタルの血塗られた歴史)」には書かれていましたが、名は体を表すというか、なんというか…。まあレーベルからしてSORTSINDとか出してるところですからね…。

ノイズの洪水が、聴覚だけでなく痛覚をも通じて、脳髄に流れ込んでくるかのような超暴力的ノイズ・ブラック。ダークアンビエント/ドローン的なパートや打ち込みのリズムを導入するなど、実験色も少しありますが、ILDJARNやSORTSIND以上に耳に厳しい音。2曲目の後半なんて「どれだけ電ノコに近い音をギターで出せるか」という実験にも思えるくらいだし、こういうのを聴いて喜んでる自分が段々ドMに思えてきます(笑)。

しかし、エフェクトが逆により生々しさを際立たせる凶悪なヴォーカル、不安を煽る不協的なリフ、ILDJARN以上に大胆な音質操作など、全ての要素が「負」のツボを的確に突いてくる感じで、カルト音源としてしっかり筋は通していると思う。ちょっと聴きには極めてRAWに聴こえるんですが、実はかなり作りこまれている感じ。まあ、その作りこみが(耐性のない人には)全部キッツイ方向に向けられてるんですが…(笑)

初心者厳禁…というより、カルト志向の人とドMな人にお勧め(笑)。
カルト音源としてのクオリティは相当高いんじゃないかと思います。


VARGR - Storm of Northern Evil - Behold the Most Unclean ★★★ (2009-02-22 22:14:09)

…よくもまあ、こんな不穏なメロディ書けるなぁ…と嘆息したくなる曲。
神経を一本一本引き摺り出されて、棒とかで適当にクルクル巻き上げられたらこんな感じかも。


VARGR - Storm of Northern Evil - Storm of Northern Evil ★★ (2009-02-22 22:13:21)

この後半のギターの音色が超凶悪。RAWってレベルじゃないです。
…(ノイズ/アヴァンギャルドの)PITAの作品にも脳をガリガリやられるようなノイズがあったんですが、こっちはより攻撃性の高い、直接的な音。脳髄を電ノコで切り刻まれてる気分になってきます。


VASSAFOR - Elegy of the Archeonaut ★★ (2014-10-27 22:36:32)

2012年発表の音源集。
未発表曲やリハーサル、BATHORY、BETHLEHEM、BEHERITのカヴァーなど、10曲入りで約75分とボリュームたっぷりの内容。

CDを再生し始めてまず、音作りのカルトさに圧倒されますね。明らかに意図的にやってる感じですが、包み込むような感触を持ったノイジーなギター、ヴォーカルやドラムにリバーブを掛け、得体の知れなさを増強し、低音を強調することでドスの効いた感触を醸し出すプロダクションが合わさると、疾走パートではウォーブラックさながらの衝動性、ミッド~スローパートではドゥーミーな質感を感じられ、芯のある邪悪さが表現されている感じ。

何気に大作主義なバンドで、10分前後の曲も結構多いんですが、大作曲を作るバンドにありがちなプログレッシブさやアヴァンギャルドさはほぼなく、ひたすらに暴力的で陰惨で密教めいた音が展開されている感じ。ただ、徹底して冒涜的な音像が貫かれている反面、メロディや叙情性などは敢えてオミットしているという印象で、その辺りは多少好みが分かれるかもしれません。ウォーブラック的な衝動性や、ドゥーミーな密教性こそブラックの醍醐味だと思う人は、充実した1時間15分が得られるのではないでしょうか。


VATTNET VISKAR - Vattnet Viskar ★★★ (2014-04-23 20:58:25)

2012年の3曲入りEP。

このバンド、「ブラックメタルが好きな人が聴くポストブラックメタル」として、かなり良い線行っているのではないでしょうか。ポスト/シューゲイザー系はアコースティックやノイジーな音像に拘って、肝心のトレモロがそれ程重視されない事も珍しくはないですが、この作品はポスト系特有の儚さや繊細さを演出しつつも、がっつりと「ブラックとしてのトレモロ」を聴かせてくれるのが素晴らしい。

また、楽曲や音の構成もポスト方向に行き過ぎて、「ブラックメタル」「ヘヴィメタル」を逸脱したりしないのが良いですね。偏執的なまでに繰り出されるトレモロリフに込められたメロディは、エモーショナルさとダークさを両立させているし、ポスト系にありがちなナヨナヨした喉締めクリーンを用いず、全編ドスの効いたがなりで押し通すヴォーカルワークも素晴らしい。また、トレモロ偏重なスタイルながら、情景描写だけでなく、ヘヴィメタルとしてのダイナミズムも重視した展開もグッド。3曲目の溜めてから邪悪なエネルギーの奔流を叩き込むような展開には痺れました。

率直に言って、かなりの良作だと思います。現時点でもメロディセンスは優れているように思いますが、あと少しだけメロディそのものの印象度も上げてくれれば、もう完璧かと。個人的に「ブラックメタル」である事と「ポストロック」である事のバランスが理想に近い作風なので、今後このバランスが変に崩れない事を願います。


VED BUENS ENDE ★★ (2005-10-06 19:50:00)

バンド名の意味は「虹の果てにて」。
ULVER、ARCTURUS、DODHEIMSGARD、CAVADERなどのメンバーによるバンド。
ブラックの発展形ともいえるこのジャンルでは、パイオニア的存在らしいです。


VED BUENS ENDE ★★ (2006-03-19 22:17:00)

既に解散してるみたいですが、SkollとCarl-Michaelのリズム隊は
ブラックの中でも最高峰に位置すると個人的に信じてます。
しかしCarlは本当に多才ですね…ちゃんと豪速ブラストも叩けるし、細やかで
ドラマ性溢れるドラミングやAURA NOIRでのスラッシュ系のドラミングも
出来るし、ヴォーカル面でも妖しく歌ったり、がなりもできるし…
もっとブラックリスナーの間で評価されても良い人だと思います。


VED BUENS ENDE ★★ (2006-04-29 21:30:00)

>mokusatuさん
再結成、本当みたいですね…かなり驚きました。
Carlのドラムがまたプログレっぽい曲で聴けると思うと楽しみです。
CAVADER INCの方も聴いて、彼は最高のドラマーだと確信しました。
4階から転落して入院したって聞いていたので心配でしたが、
そのニュースを聞いて安心しました。


VED BUENS ENDE ★★ (2006-05-02 21:15:00)

>mokusatuさん
CADAVERかなりやばいですよ!!
ドラムがHellhammer並にファスト&テクニカルで圧倒されます。
プログレだけでなく、スラッシュやブラックも叩けるなんて本当に凄いです…
でも確かにWIWはレビューに困る音源かも(笑)
ブラックメタルのノイジーなGリフとユニゾンせず動きまくるベースと
細やかなフレーズで魅了するドラムのオケに妖しげなヴォーカル…
と、要素を説明できてもそれが組み合わさってどういう音像になるのかというと、
もう「聴いて下さい」としか言えません(笑)オリジナリティがあって好きですけど…
それにしても、2ndは一体どんな音楽性になるんだろう…
Carlの守備範囲の広さからして、全く違うものになっても不思議ではない気がします。
もちろん同路線のアルバムも大歓迎ですけどね。


VED BUENS ENDE - Those Who Caress the Pale ★★★ (2008-09-23 19:47:00)

94年発表のデモにボーナストラックとして「Insect(Part 1)」と、VictonikがVBE以前に演っていたバンドMANESの93年発表の作品「Pro-Gnosis-Diabolis」を加えた編集盤。勿論、MANESはシンフォブラックからエレクトロニカに変化したあのMANESとは別バンドです。

このアルバム、VBEの1stを聴いた人ならアタマの出音にかなり驚くんじゃないでしょうか。いきなりマトモにスラッシーなブラックメタルを展開してます。尤も、それは1曲目の冒頭だけで、すぐにベースとドラムが互いに濃厚に舐り合いながら、リスナーを深い酩酊へと誘っていくかのような、いつものVBEサウンドになりますが。…このバンドでのCarl-Michaelのヴォーカルスタイルは、ARCTURUSにも影響を与えたんじゃないのかなあ…。ARCTURUSの2ndのGarmの歌い方とかVBEを意識してそうだと思う。

音質は…デモですが、リマスターされているのか意外に良いですね。
確かに1stの方がアンサンブルのバランスは良いし、靄が掛かったようなギターの歪ませ方は味があるんですが、こっちの方が音圧や迫力では勝っているように思います。ちゃんとアンサンブルを楽しめる音なので、デモだからといって躊躇する必要はないかと。

でもボーナスの「Insect」は…97年の音源だから、成長しより濃厚な暗黒アンサンブルを聴かせるVBEを期待してたら、虫の羽音や悲鳴を組み合わせて作った寸劇的サンプリング音楽だったので、正直がっかりかも…。面白いことは面白いんだけど…。

MANESの音源は…トレモロリフのバックで妙に圧迫感のある、遠雷のような音のベースが鳴り響く曲、よく分からないギターインスト(+少しだけVoあり)、曲自体はまともながらデモ音質が耳に痛いブラックメタル…と、かなりマニアックな内容。…VBEが好きな人が楽しめるかは謎ですが、Victonikという今も昔も我が道を行くブラックメタラーの出自を理解できるという意味で、興味深い音源になっていると思います。


VED BUENS ENDE - Written in Waters ★★★ (2005-10-06 19:47:00)

95年発表の1st。解散しちゃったみたいだから、最初で最後のアルバムになるみたいです。
2003年、ジャケ違いで再発されました。

音楽性は…ポストブラックもしくはアヴァンギャルドブラックになるのかな?ギターのザラザラした音質や時折入るリフの音色はブラックと共通する物ですが、ヴォーカルは基本的に普通声だし、ミディアムテンポ主体だし、どこかARCTURUSの2ndに通じるアヴァンギャルドで妖しく知的な雰囲気が感じられます。とはいっても、ARCTURUSの2ndと違い、ファストパートは声もデスヴォイスに変わり、まさしくブラックと言った感じになりますが。

このアルバムでの一番の聴き所は、やはりULVERにも在籍するSkollのベースですね。
彼のおかげで曲のうねうねした感じが5割くらい増してると思います。音も大きくミックスされていて、フレーズが聴き取りやすいのもポイント。個人的に一番以外だったのは、AURA NOIRではAggressorと名乗るCarlのヴォーカル。AURA NOIRではいかにもスラッシュ好きなんだろうなぁ…というヴォーカルだったのに、この作品ではめっちゃ妖しげで、何処か物憂げな感じの中音域での歌唱をメインに使ってます。AURA NOIRの時とは、まるで別人ですね…

とりあえずULVERやARCTURUS、DODHEIMSGARDなど、ブラックを基調に実験的な方向に行った人たちの音楽性に共感する人には、かなりお勧めの作品です。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - Autumn Leaves ★★ (2006-03-19 22:15:47)

セッションの女性ヴォーカルとCarlのツインヴォーカルの歌うメロディとアルペジオが冬の始まりのような肌寒い空気感を演出する曲。変態度の高い曲が多いこのアルバムの中では、叙情サイドに位置する曲ではないでしょうか。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - Carrier of Wounds ★★★ (2005-10-14 23:38:55)

しわがれブラック声パート、ミディアムながらハイハット(だと思う)のフレーズが風雲急を告げるというか、何かが起こりそうな感じでかっこいいです。実際に程なくしてファストパートに移行しますし、ドラマティックな曲だと思います。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - Coiled in Wings ★★★ (2006-03-19 22:12:55)

この曲はうねりのあるリフや後半のトレモロリフ&疾走など聴き所が多い曲ですが、中でもCarlの「♪あーああああああー」が最高。感情も生気も無い声で淡々と、しかし朗々と歌い上げております。聴いていると悪夢の中にいるみたい…。個人的に彼はAura Noirでのスラッシュ声よりこっちのスタイルの方が魅力的だと思います。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - Den saakaldte ★★★ (2005-10-14 23:39:55)

4曲目にしてようやくブラック声の登場!!しわがれてます…
しかし、Carlはドラム上手いですね。一朝一夕じゃ覚えられなそうな複雑なリズムでもちゃんと聴かせるフレーズだし、ファストパートでも金物でのアクセントの付け方がかっこいいし。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - I Sang for the Swans ★★ (2005-10-14 23:38:02)

イントロがかなり長いですが、このバンドの曲はインストだけでもかなり聴けそうなので別に良いです。そこに結構分かりやすくも、妖しい歌メロが乗ってますます妙な雰囲気に。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - Remembrance of Things Past ★★★ (2006-04-08 21:49:19)

導入部はまるで悪魔の森のような静けさですが、しっかりブラックリフで疾走するパートもあり。このブラックパート、メロディがまるで悪魔に急きたてられているかのようで非常にかっこいいです。


VED BUENS ENDE - Written in Waters - To Swarm Deserted Away ★★ (2006-04-08 21:51:41)

一体何処からがこの曲なんでしょう…一応歌詞をおっていくと8曲目の途中からの様ですが…あのイカレたSEはこの曲に入るのかな?ともかく妖しげな叙情を醸し出すアコギリフが素晴らしいです。


VELDRAVETH - TEMPLE OF BLACK FLAME ★★ (2012-07-05 13:08:17)

2009年発表の2nd。

南米・ベネズエラ産のブラックということ以外よく分からないままジャケ買いしてしまったんですが…これが意外なほどにかっこいいです。オールドスクールでダーティなリフに、時折北欧産にも通じる寒々しさと、辺境っぽい泥臭さが上手く交じり合ったトレモロを組み合わせたスタイルで、心地良いRAWさのプロダクションも相俟ってブラック好きならすぐにでも受け入れられるであろう音。変にマニアックな感じもせず、この手では聴きやすい方かと。

時々ヴォーカルラインが余りにも単調だったり、歌詞がサタニズムのおどろおどろしく攻撃的な面ばかりを強調するものであったりするんですが、個人的には全くマイナスではないですね。むしろシンプルな攻撃性を率直に伝えていて好感触。
3曲目のメインリフのような、北欧のブリザードリフを南米の呪術で強化したような、邪悪で生々しいメロディのフレーズ、この高いセンスをコンスタントに発揮出来るようになれば南米産ブラックの代表作足りえる作品も作れてしまいそう。現時点でもRAWブラック好きなら買って損はない質はあると思います。


VELES - Black Hateful Metal - Black Hateful Metal ★★★ (2007-09-16 18:01:58)

これ、ある意味NARGAROTHの長尺曲よりもミニマルかも…。
中間部に展開を設けているものの、リフが単純な分シンプルな響き。
タイトル通りの感情を執拗に反復。なかなかここまで徹底するのは難しいのでは…。


VELES - Black Hateful Metal - Millennium of Disgrace ★★★ (2007-09-16 18:03:18)

音は普通のメタラーでは耐えられないんじゃと思うくらい軽いですが、メロディや雰囲気は素晴らしいものがあります。メロウなんだけど、呪わしさをも感じさせるメロディのリフが聴ける曲。