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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6601-6700
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6601-6700
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VELES - Night on the Bare Mountain - Majesty of War ★★★ (2007-09-16 18:07:26)

これは個人的には★4つ付けたいくらいの曲。
ペイガン系叙情メロも良いんですが、何と言ってもキーボードが最高。宇宙を感じさせる音色…ペイガン戦士に、宇宙パワーが降臨してパワーアップしたんでしょうか(笑)


VELES - Night on the Bare Mountain - My Bloodthirst (The Horrorstorm) ★★★ (2007-09-16 18:06:11)

「我が血の乾き(恐怖の嵐)」…なんともおどろおどろしいタイトルが付けられてますが、アルバム中でも際立った涙腺を刺激するメロディがリフに込められてます。鳴り響く太鼓に乗せて、戦士の嘆きと呪詛が聴こえてくる…。


VELES - Night on the Bare Mountain - The Winter Morning ★★★ (2007-09-16 18:04:42)

氷の礫が吹き付けてくるかのようなトレモロリフに、曲全体を靄の様に包み込む雰囲気たっぷりのキーボード…実質的な1曲目から、ペイガン系を求めて聴いた人の期待にしっかり応える名曲が聴けます。


VELES - Night on the Bare Mountain / Black Hateful Metal ★★★ (2007-09-11 23:16:00)

今までに出した2枚のフルアルバムを一枚に纏め、CD化した作品。
No Colours Recordsより2004年にリリース。2枚分のボリュームなので、約80分に渡り劣悪なサウンドが詰まったある意味恐ろしい作品(笑)。好き者限定です(笑)。

「Night on the Bare Mountain」

95年発表の1stアルバム。タイトルはムソルグスキーから?
ここで聴けるサウンドは、同郷のGRAVELANDやFULLMOONに通ずるペイガンブラック。ギターが小さい上に、恐らくベースが無いと思われるネクロなバンドサウンドに、GRAVELANDのRob Darken氏が演奏するキーボードが乗り、聴いていると中世の戦争の空気感が伝わってくるかのような音。

音質は当然劣悪ですが、キーボードが音全体を包み込んでギターの小ささをカバーしているし、ヴォーカルも前に出ているので然程聴き辛さは無いです。キーボード、ヘッドフォンで聴くと妙に空間的な広がりを感じられて良い感じ。

しかし、トレモロリフにしろキーボードのメロディにしろ、出てくるメロディがどれも素晴らしいんですが…叙情性たっぷりで、時には涙腺を刺激するようなメロディさえあるにも関わらず、劣悪なバンドサウンドとも相まって呪術的な雰囲気が伝わってきます。メロディへの才能を、こんなネクロな音に使ってしまうなんて…最高じゃないですか(笑)。
GRAVELANDやFULLMOONなどのペイガンや、メロウなプリブラが好きなら必聴かも。

「Black Hateful Metal」

97年発表の2ndアルバム。
こっちは単品でデモ音源「The Triumph of Pagan Beliefs」を収録した盤も出てるみたいです。

1stと比べると、結構サウンドが変わってますね。
まずキーボードの使用頻度が減り、バンドサウンドにそれ程絡んでこなくなったのと、ギターがNARGAROTH辺りを連想させる金属的なノイジーさになり、以前より前に出るようになってヴォーカルも絶叫(これもちょっとNARGAROTHに似てるかも)になってます。

これによって、ペイガン的な戦場の空気感の描写よりも、プリブラ的な衝動性を重視したフィーリングが強くなった様に思います。特にキーボードが少なくなった事で音質の悪さが剥き出しになり、その音質でのリフの反復を聴いていると洗脳されそうになりますね。

曲自体も1stよりぶっ壊れてる感じで、気に入る人はとことん気に入りそうな音。曲によってはヴォーカル前出過ぎで他の音がかき消されそうな所もあったりして極悪(笑)。他にも妖しげなインストが続いた後に一瞬だけブラックして終了とか、変なフェイドアウトを設けたり謎のオーケストラヒットがあったり、一段上のローファイさの表現が光ってます。
でもぶっ壊れた中にも、リフの叙情性だったりアコギやRob Darkenのキーボードによるアトモスフェリックなパートなどしっかり聴き所を設けるセンスは流石です。

…参考にしているサイトやブログでも褒められてましたが、噂通りのカルト性で満足。2枚分を一枚の値段で楽しめるアルバムですが、これなら例え一枚ずつバラで買ったとしてもこの手が好きなら損はしない位の作品だと思います。ただ、録音レベルはCD発足当初の作品と比較しても相当小さいので、そこはちょっと覚悟が必要かもしれません。このアルバムの曲とBEHERITのベストの曲を同じMDやCD-Rに録ってプレゼントしたら、いい嫌がらせになるかも(笑)


VELVET CACOON ★★ (2007-10-12 17:04:00)

2002年結成、アメリカ産ブラック。
…最近のアメリカ産ブラックって病んでますね(笑)
海外の投稿レビューサイトでも多くのレビューが投稿されてるし、結構話題なのかな?


VELVET CACOON - Genevieve ★★★ (2007-10-12 17:03:00)

2004年発表の2nd。
中古で格安(約500円)だったし評価も高いみたいなので購入しましたが、これは掘り出し物かも。

路線的には、同郷のXASTHURやKRIEGなどに通じる、ブラックのノイジーな音質を逆手に取った音像・音響で聴かせるタイプのブラックですね。前述のバンドの音楽はあくまでバンドサウンドでのノイジーさなのに対して、このアルバムはバンドの音に由来しないであろうノイズを重ねたパートがあったり、17分に及ぶアンビエントが収録されていたりして、より音像・音響を追求したような音楽性と言えると思います。

ほとんどのパートではメロディが不鮮明だし、展開も必要最小限という感じですが、まるで魔界の電波を受信して勝手に音を出すラジオを聞いているような不穏な雰囲気があって、ムードの濃さで言ったらブラックの中でも最高級と言えるかもしれません。囁くようなヴォーカルも、ラジオが亡霊の声を拾ってしまったように思え雰囲気を更に助長。ラストのアンビエントなんて心霊スポットで瞑想してるみたいな感じだし(笑)

割とマニアックな音楽性だとは思いますが、XASTHURが売れている事を考えるとブラック好き限定ですが意外と広く受け入れられるのかもしれません。XASTHURの音像重視の作風が気に入った方はこちらも聴いてみる事をお勧めします。しかしこんな良いアルバムがこんな安く手に入るとは…これだから中古漁りはやめられません(笑)


VELVET CACOON - Genevieve - Avalon Polo ★★★ (2007-11-22 15:20:44)

このノイズが前に出て、その後からメロディがユルユルと聴こえてくる作風はSTRIBORGにも通じる物があると思います。こっちの方がノイズの心地良さや音響処理の巧みさが上で、陶酔感が強くて好きですね。


VELVET CACOON - Genevieve - Bete Noir ★★ (2007-11-22 15:26:51)

アルバムのラストを飾る長大なアンビエント。
長くて変化に乏しい曲なんですが、このバンドが表現しようとしている闇に手が届きそうになる程に、空間演出が巧み。そのせいでついボーっと聴いてしまったりします。


VELVET CACOON - Genevieve - Fauna & Flora ★★★ (2007-11-22 15:24:35)

途中に少しだけアコギのパートがありますが、その部分を除いてはメロディも展開も本当に最低限。ですが疲れているときなんかは逆にこういう音が最高だったりします。


VELVET CACOON - Genevieve - Laudanum ★★★ (2007-11-22 15:22:47)

なにか不幸の到来を告げるようなメロディが鳴り響く曲。
ギターノイズの裏で、別の小さなノイズが鳴っている辺りこのバンドは音作りが本当に上手い。


VENEFICIUM - De Occulta Philosophia - A Missae Tenebrae ★★ (2008-09-22 22:30:00)

私も周りの評価が高いので買いました。基本ミーハーなので(笑)
…ミーハーで良かったです。これはシンフォブラックの新たな名盤ではないでしょうか。
路線としては宗教的なキーボードをバンドサウンドを食う勢いで敷き詰めたシンフォニック
ブラックという感じなんですが、聴いていてまず思ったのは、かなり音響に気を使っていて、
しかもそれが功を奏している…ということですね。
ギターの音圧もそれほど高いわけでもないし、ドラムは軽めで一聴してチープな印象を
受けるかもしれませんが、この音がそれらを飲み込んでしまうような大仰なキーボードと
合わさると、何かドス黒いものからオーラが立ち上っている様な雰囲気があるように思います。
時折キーが少し引いた時など、ここぞという所でトレモロリフが切り込んできますが、これが
オーラに包まれた「邪」が垣間見えるかのような感じでゾッとするんですよね。
1stにして、邪悪さの表現が確信に満ちている感じ。感性で(=天然で)やってるのかも
しれませんが、この雰囲気の演出の上手さは尋常じゃないです。取り憑かれたように絶叫する
ヴォーカルや、超がつくほど荘厳かつ大仰ながら、甘くなりすぎる事のないメロディなど、
シンフォニックブラックとしての基本部分のレベルも当然の様に高い。
シンフォ要素をメジャー感や聴きやすさではなく、その神秘的な音色を主に邪悪さを醸し出す
方向で用いてるという意味では、EMPERORの1stやLUNAR AURORAの一連の作品とも共通している
と思いますが、それらに負けないだけの質の高さがあると思います。また、それらのバンドと
比べると、「頽廃性」が高いのも特徴ですね。キリスト教文化による世界が脆く崩れる中、
悪魔がパイプオルガンを弾きながら自らの時代の到来を祝福しているかのような感じの音。
…これは音質もギターの刺をキーが包み込んでいて聴きやすいし、キーにしろトレモロリフに
しろアルバムを通してメロディアスでない部分がないくらいメロディアスなので、ブラックを
聴きはじめの方にも充分お勧め出来ると思います。むしろ妖星乱舞(FFⅥのラスボス曲)って
かっこいい…と思ってる人に聞かせたら、ブラックメタラー一名様ご案内…ってことに
なってしまいそう(笑)。冗談じゃなく、それくらい力のある名盤だと思います。


VENEROR - Percussimus Foedus cum Morte ★★★ (2014-08-07 22:22:44)

2013年発表の1st。

これは不思議な雰囲気のある作品ですね。
使っているパーツ自体は、メロディアスに楽曲を彩るトレモロリフ、ブラストビートを多用した苛烈極まりないリズム構成、歪み切ったがなりヴォーカルと、どこを切り取ってもブラックメタルでしかない…という感じで、トレモロのメロディが前面に出ており、ブラックとしてはメロウで聴きやすい路線の作風ですが…。

個人的にはこのアルバム、邪悪さよりも神秘性というか、語弊を恐れずに言えば「神聖さ」のようなものを感じるんですよね。メロディに他のブラックで聴かれるようなおどろおどろしさが希薄で、アトモスフェリックな感覚が強いからかもしれません。しかしアンビエント志向を持たず、時折DISSECTIONリスペクトと思しきパートすらある、バンド感の強い音というのがまた興味深いです。

おどろおどろしくはないけど、オカルティックな深遠さは感じられるという、ちょっと変わった雰囲気を持つ作品。クオリティも高いと思いますし、何より個性的なのが良いですね。


VERDUN - Sov Du Lilla Samvete ★★ (2014-07-27 09:51:53)

2011年発表の1st。
元はテープだったものをSelf Mutilation ServicesがCD化し再発。

タイプとしては、ディプレッシブ・ブラックの典型と言ってもいい作風だと思います。ノイジーに作られた音が「ズン…」と沈み込むような質感を演出し、そこに生きる気力を奪い去るかのような、鬱力高いメロディを挿入していく音。メロディには陰鬱さだけでなく、物悲しさも多分に含まれている感じで、かなり「聴かせる」音だと思います。

そしてSILENCER辺りとは別のベクトルでインパクトのあるヴォーカルも必聴。ただ叫ぶだけでなく、涙目で悔しさを噛み締めているかのように呻いてみせたり、人生を諦めたかのようにブツブツ呟いたり、ある意味表現力はかなり高いヴォーカルだと思う。感情を込め過ぎたせいで、裏返ったりヨレたりする辺りが生々しくて良い感じです。

ディプレッシブさの裏にメロウさも滲ませる楽曲も悪くないですし、ヴォーカルはこの手の鬱系のブラックの中でもインパクトありますね。BURZUMやXASTHUR、SHININGなどの基本バンド、TRISTやHAPPY DAYS辺りの一歩踏み込んだバンドを聴いて、まだ飽き足りない人は聴いてみてはいかがでしょう。


VERDUNKELN ★★ (2012-07-27 20:45:31)

ドイツ産アトモスフェリック・ブラック。
GRAUPEL、NAGELFARのメンバーが関与。


VERDUNKELN - Einblick in den Qualenfall ★★★ (2012-07-27 20:46:15)

2007年発表の1st。

これはアトモスフェリックブラックの中でも、かなり陰鬱な雰囲気の強い作品ですね。聴いているだけで気が滅入ってくるような暗いメロディのアルペジオと、荒涼感を醸し出すギターノイズ、妙に粘着質な重っ苦しさを演出するベースが絡むと、まるで光の差さない荒廃し切った不毛の大地を、ただあてもなく歩き続けているような、全く救いのない情景が浮かんできますね…。時折入る儀式的なクリーンヴォーカルも、薄暗く湿ったムードを更に助長。

最も長い曲で17分を超える大作主義で、ミニマルな展開も多い作風ながら、メロディアスなリードギターが入るパートやメタリックな刻みリフを用いた、実体的なパートもあり、それが基本的に雰囲気重視の作風の中にあって上手くドラマティックさを演出出来ているように思います。1曲目の後半なんてメロディック・ブラックにカテゴライズしてもいいくらい、メロディの主張が強く聴きやすい。ただ、メロいパートでも重く影を引きずるような根暗さは変わらないのでご安心を。

関連バンドのGRAUPELやNAGELFARと比較しても、かなりダークなムードの強い作品だと思う。宗教的な邪悪さや感情的な悲痛さが暗さに繋がっているというより、もっと直接的に黒い情景そのものを描き出すような作風。CDショップのブラックの棚眺めてるとVINTERRIKETの近くに置いてある事も多いと思うんですが(笑)、ああいう情景的な暗さを好む方にはこのバンドもお勧め。


VERMETH - Suicide Or Be Killed! ★★ (2012-09-16 00:12:26)

2008年発表の2nd。

MUTIILATIONやVLAD TEPESを輩出した事で知られる、フランスのブラックメタルサークルLes Legions Noires(The Black Legions)に属するバンドとして有名なVERMETHですが…他の関連バンドとは少し違う路線の作風ですね。特にMUTIILATIONを始め、LLN絡みのバンドって病的でRAWな作風が多い印象ですが、この作品から感じられるのは病的さよりもストレートな怒り。流石ブックレットに激しい言葉でポーザー連中やブートレグ等に対して激しい言葉で非難してるだけはあります(笑)。

作風的にはRAWで荒々しい、オールドスクールなブラックなんですが…RAWさが篭もった感触ではなく、ノイジーな轟音となって表われているのが特徴ですね。ベースが何気に音量大きめで、リフの荒々しさと相俟ってうねるように怒りを叩きつけるような音に。最早怒気を通り越した殺気、悪意を通り越した殺意を直に叩きつけるかのような凄まじさで、ヴォーカルの余りの怒りにベルセルクと化したかのような、野太い怒号も非常にかっこいい。

これ、近年の作品ながらLLN関連のリリースでも衝動に満ちた作品だと思う。確かにノイジーな轟音は聴きやすいとは言えませんが、激しい感情や衝動の篭もった音楽が好きであれば何かしら感じるところはあると思う。ただカルトなだけの作品ではないと思います。


VESANIA - Distractive Killusions ★★★ (2009-01-05 20:36:00)

2007年発表の3rd。

デジパックに貼ってあったシールによると、「BEHEMOTHのOrionとVADERのDareyをフィーチャーしたシンフォニック・ブラック」。劇場の幕をあしらったジャケなどのアートワークなどから受ける知的な印象は、所々に挿入される、知性が狂気に至ったようなシアトリカルな展開を交えた音にも反映されている感じがします。

でもこのバンド、関連メンバーの在籍してるバンドがデス系だからか、デス志向の強い音ですよね。前述したようなシアトリカルで知的な雰囲気を醸し出すだけでなく、デスの凶暴性と交じり合い更に派出さを増すオーケストレーション、刻みを多用したヘヴィなリフワークなど、王道のシンフォニックブラック好きよりもSEPTIC FLESHの最新作やHOLLENTHONなどのシンフォデスが好きな人のほうが好みそうな作風。重厚なミディアムパートの素晴らしさも然る事ながら、BEHEMOTHやVADERに通じるファストパートでの肉体勝負な爆発力も凄まじいです。

BEHEMOTH並みの突進で幕を開け、美しいピアノソロで幕を閉じる劇的な曲があったり展開の振り幅も広く、曲自体の質も非常に高いんですが、Orionの咆哮デスヴォイスもまた素晴らしいですね。「ZOS KIA CULTUS」の頃のNergal似のドスの効いた咆哮で、この手の歌い方でもかなり迫力がある方だと思う。BEHEMOTHのライブ盤ではNergal以外のメンバーの咆哮もド迫力でビビったんですが、これ聴いて納得。聴こえやすいミックスのため、最近のBEHEMOTHのスタジオ盤よりも迫力はあるかもしれません。

知性的な面と肉体勝負な面を同居させた、かなりの力作。
私はBEHEMOTHのネームヴァリューで買いましたが、これは大当たりだと思います。BEHEMMOTHブランドに偽りなし。しかし、この作品でOrionの音楽的センスの片鱗に触れましたが…BEHEMOTHってつくづく恐ろしいメンバーの集まりだな…と、これ聴いて実感しました(笑)。


VESANIA - Distractive Killusions - Hell is for Children ★★★ (2009-01-05 20:41:32)

バンドサウンドとキーボードによる音壁が、どう足掻いても超えられない城壁が眼前にそそり立っているかのような絶望感を味あわせる曲。他の曲より音圧が高い気がしたんですが、曲の持つ凄みのせいかもしれません。ブラック的な粘着性を伴うヴォーカルのパフォーマンスもアルバム中ベストだと思います。


VESANIA - Distractive Killusions - Narrenschyff ★★★ (2009-01-05 20:38:12)

いきなりリフとオーケストレーションの作り出すうねりに飲み込まれ、地獄から這い上がってきたようなヴォーカルに食い殺されるみたいな音によってお出迎え。ジャケからはちょっとゴシックがかったものを想像していたので驚きました。邪悪を称えるファンファーレのような派出なキーやヴォーカルの哄笑もかっこいいし、1曲目からかなりの衝撃。


VESANIA - Distractive Killusions - Rage of Reason ★★★ (2009-01-05 20:40:43)

この曲はシングルでしょうか。
確かに他の曲よりわずかに愛想が良い感じがします。中盤の、殺人ピエロでも出てきそうなプログレッシブなキーボードなんてデスメタルとはなかなか混ざり合わなそうな感じがしますが、この人たちは力ずくで混ぜ合わせてしまっている感じですね(笑)。流石です。


VESANIA - Distractive Killusions - The Dawnfall (Hamartia and Hybris) ★★★ (2009-01-05 20:39:09)

コーラスパートの、デス由来の轟音を背景にクラシックのオルガン曲にありそうな荘厳で知的なメロが響く箇所が印象的。難解で哲学的な思想を、諄々と説くのではなく、無理矢理力で叩き込むような雰囲気の曲。


VESPERIAN SORROW ★★ (2012-05-02 00:16:21)

ABIGAIL WILLIAMSが結成されるずっと前から活動を続ける、アメリカ産シンフォニックブラックの実力者。実は今年6年ぶりの新譜もリリースされる模様です。


VESPERIAN SORROW - Regenesis Creation ★★ (2012-05-02 00:16:58)

2006年発表の3rd。

アトモスフェリックに曲の雰囲気を彩ってみせたり、華やかでクラシカルなフレーズで聴き手の耳を惹いたり、一部では多少アヴァンギャルドな側面も見せたりするキーボードが大風呂敷を広げつつ、そこにメロブラ/メロデス調のメロディアスなギターが重なり、非常にドラマティックに展開していくシンフォニック・ブラック。邪悪さ重視のリスナーよりもクサ音楽好きへ勧めたいくらいに、大仰な作風。

…こういう作風のバンドって、キーボードやオーケストレーションの比重が高く、ギターを敢えて引っ込み気味にするバンドも少なくないですが、このバンドはギターだけでも十分クサ系好きにアピールし得るくらいに派手。流麗さを感じさせるトレモロもかっこいいし、曲のクライマックスでギターソロに長めの尺を割いたりする展開も、メロディ派には堪らないものがありますね。

ただ、音質は悪くないですが、凄く良い訳ではないのが多少不満かも。ムード重視系の作品ならまだしも、こういうギターが強い実体的な作風なら、硬質で多少オーバープロダクション気味なくらいの音質の方が映えると思う。現状刻みリフで少し音がダマになる感じが気に掛かるので…。とは言え、シンフォブラック好きの心を動かすには十分な荘厳さ・大仰さを備えた作品ではありますので、気になった方は是非。


VIÐR (VITHR) ★★ (2013-05-10 21:23:47)

ノルウェー産ブラックメタルバンド
CDの側面等ではVIðRと表記されている事もあるので、探す際は注意。


VIÐR (VITHR) - HEDENSK SKIKK OG TRO ★★★ (2013-05-10 21:25:43)

2012年発表の1st。

ザラザラした質感の、擦り込むようなリフを中心に、緩急付けた展開で聴かせる、割とストレートなブラックメタル。トレモロ含有率はそれほど高くないものの、所々で聴ける土着性を感じさせるフレーズなんかは如何にもノルウェー産のバンドという感じがしますね。…個人的にこの作品で特筆だと思うのは、音作りの上手さですね。ザラついたリフの醸し出すくすんだような音像が、どこか儀式めいた雰囲気を醸し出しつつも、ドラムの音はあくまで抜けよく、ダイナミズムを殺していないのが良い感じ。

…作風的に、メロディアスなリードギターによる土着フレーズで聴かせる部分があったり、ヴァイキング的朗唱を取り入れたり、近年のSATYRICON的な威風を感じさせるミディアム、女性ヴォーカルを入れた妖艶なパートなど、楽曲の展開にはかなり幅を持たせているんですが、それら展開の妙を損なうほどRAWではなく、あくまで「くすんだ感じ」の音作りなのが素晴らしいんですよね。メロウなリードギターが音像に溶け込んでいたり、威風のあるパートではグルーミーな質感も同時に感じさせたり、この音作りは作風に対して完璧にプラスに働いている印象。

2008年結成、1枚目のアルバムを出したばかりという、このジャンルでは新進気鋭のバンドですが、しっかり筋の通ったノルウェジアン・ブラックを演っていてかなり好印象。その手のマニアならば押さえておいて損はないバンドかと。


VICARIVS FILII DEI - Non Cogitant Sed Tamen Sunt ★★★ (2014-10-01 20:08:39)

2014年発表の2nd。
バンド名は「神の子を代理する」という意味だとか。

この作品、Rawなブラックメタルの中においても、一際目立つような苛烈な音作りですね…。それこそULVERの「Nattens Madrigal」やNARGAROTHの「Regens~」辺りに匹敵する、耳を劈くようなノイジーさ。ただこのバンドが稀有なのは、ノイジーな中に響くトレモロリフのセンスが、これらの作品と比較しても劣らないほど素晴らしいことですね。メロウさや悲壮感に満ちていながら、ブラックらしい神秘性に満ちたメロディはブラック好きならば一聴で虜にされてしまうでしょう。

ただ、前述したバンドが極端に粗い音質とミニマリズムを融合させていたのに対し、このバンドの楽曲の展開は印象深いメロディを伴う疾走を軸に据えた、かなりドラマティックなもの。確かに、先人達の音の方がエポックメイキングだったとは言えるんですが、聴き手の好みによってはこちらの方をより気に入る可能性も大いにあると思います。割とマイナーなバンドながら、前述したような、ブラックメタルというジャンルのランドマーク的な作品にも肉薄出来る魅力のあるアルバムを作り上げたのではないでしょうか。

余りにも苛烈でRawな音は明らかに聴き手を選びますが、こういう辛口な音質でも行ける人は是非。メロディセンスは素晴らしいですし、鼓膜にダイレクトアタックな音ながら結構メロディを前面に出してくれるので、最初の印象よりは聴きやすく感じるかも。


VIDHARR - Cryo ★★★ (2014-07-13 17:57:10)

2013年発表の2nd。
日本のレーベル、Zero Dimensional Recordsからの発売。

鬱ブラックにはSHININGやFORGOTTEN TOMBなどを始めとして、豪速や激遅などの極端なリズムに頼り切らない、ロック的なリズムを取り入れたバンドも少なくないですが、大雑把に言えばこのバンドもそんな中の一つですね。ロックのダイナミズムを取り入れたリズム構成、ハードロック的な意匠の取り入れられたアレンジが、妙に血の通った絶望感を演出する音。部分的に取り入れられた女性ヴォーカルによるクリーンも、楽曲に漂う不条理なムードを強調。

何気にこのアルバム、音質がかなりヘヴィなんですよね。特にブラックの生々しさを残しつつ、低音の効いたギターの音色がインパクトあります。鬱ブラらしい感情を込めつつも、ドスを効かせるべき箇所ではブルデスのヴォーカル並に野蛮な響きを帯びるデス声とも相俟って、威圧的な雰囲気。このヘヴィさと、ロック要素を取り入れたバンド特有の、揺らすようなリズムが合わさると、酩酊感すら覚えるんですよね。どす黒い音の、その真ん中にいるような臨場感を味合わせるような音。

ロックのリズムを取り入れたが故の、メリハリのある楽曲構成、ヘヴィさも軽視しない音作り、女性ヴォーカルの導入など、ある意味「聴きやすさ」を覚える音かもしれませんが、鬱ブラックとしての陰鬱さをしっかり残しているのもまた良いんですよね。特に腐食を広げるような、鬱感情で塗り潰すようなトレモロのメロディは、鬱ブラックを好んで聴いているようなリスナーならば問答無用で心を動かされるはず。これがあるからこそ、作品全体がピリッとした緊張感を保っているんじゃないでしょうか。

宗教的な邪悪さというよりは、感情の生々しさを描写する事に重きを置いたような作品だと思いますので、その手が好きであればお勧め。ちなみにCDトレイを外したところのアートワークが結構キテるので注意です(笑)。


VIDSYN - On Frostbitten Path Beneath ★★ (2011-11-27 22:03:44)

2004年発表の4曲入りEP。
HellhammerとNocturno Cultoがゲスト参加した事でも有名。
特にHellhammerは全編で叩いてるので、彼のファンなら押さえるべきかも。

路線はヴァイキング風味のメロディの入った、刻みリフを中心に展開していくメロディアスなブラックメタルで、やはりHellhammer氏のドラムが素晴らしいですね。全体的に少し音が小さいのがネックですが、ドラムがやけに締まりの良い音を出していて、それがブラックとしてはメタリックなリフと相性良く絡み、実に心地良く聴けます。

ただ、ドラミングを聴いてるだけでも心地良い好盤ではあるんですが、プリブラなどと比べると展開も音作りも「まとも」なだけに、逆に中途半端になってしまってる気も。アコギパート等を設けたりもしてるし、メロディはそれなりに良いんですが、ドラミング以外のところで何かガツンと来るものが欲しかったところ。ちょっと手堅過ぎると思う。

とは言っても質は決して低くないですし、ほんのりヴァイキング風味のメロディック・ブラックが好きなら手を出してみてもいいかも。ちなみにCDの背ではバンド名が誤植で「VINDSYN」になってるので、CD探すときは注意。


VIETAH - Tajemstvy Noczy ★★ (2015-04-08 23:07:53)

2014年発表の3rd。

ベラルーシの独りブラックということですが…辺境ブラック的なアトモスフェリックな叙情性と、何気にメタルとしてクオリティの高い音を組み合わせた、なかなか面白い作風のアルバムですね。ミディアム中心でトレモロリフの奏でる叙情的・民族的なメロディで押していくスタイルで、ポストブラックにも通じる作風ですが、プロダクションはこの手にありがちな柔和なものではなく、メタリックな硬質さを感じさせるもの。

個人的には柔和系よりこういった音の方が、トレモロリフをよりくっきり聴こえさせるという点でも好ましく思えますね。デス声の芯の通った響き、メロウなギターソロを交える構成など、メタルとしての質もかなり高いだけに、こういうプロダクションが映えますね。個人的には、ミディアム中心でよりアトモスフェリックさを重視したDER WEG EINAR FREIHEITという印象も受けます。DER~は最新作をSeason of Mistからリリースするという出世振りでしたが、このバンドも何かきっかけがあればもっと知名度を上げられそう。

トレモロ重視のアトモス系は好きだけど、あまりメタルから離れるのは…という人にはかなりお勧めできる作品。なかなかのクオリティです。


VINTAGE FLESH (INVERTICRUX) - Hour of the Night Gaunts (2015-12-05 17:50:06)

2011年発表の2nd。
2014年に日本のレーベルであるHidden Marlyにより再発。ちなみにバンドはリリース後に改名していて、現在はINVERTICRUXというバンド名になっているとか。

…まず言いたいのは、この作品がディプレッシブ/メロディックブラックとしては非常に良質な作品で、再発を決めたHidden Marlyには惜しみないGOOD JOBの賛辞を送りたいほど…という事ですね。アメリカ産のブラックですが、フレンチ勢にも通じる病的な美しさと、ディプレッシブらしい鬱感の入り混じったトレモロが素晴らしく、使用頻度も高いのでこの手が好きならメロメロになれそう。

ただ、それを差し引いて酷いのがヴォーカル…。最早どこかの素人にやけくそになって鶏の鳴き真似をさせたような、素っ頓狂で喉の絞まった裏声絶叫が多く、聴いていてなんだか情けない気分になってしまう…(笑)。似非オペラのように、キモ裏声に過剰なビブラートを掛けたクリーンヴォーカルが出てくるのも、不快を通り越して滑稽。…ぶっちゃけヴォーカルがまともなら☆は3つですけどね…。

人によってはこのヴォーカルに不条理さの演出だとか、諧謔味とかを感じられるんでしょうが、私には生理的に無理でした…。こういうスタイルのヴォーカルが嫌でなければ、デプレ系・メロブラなど好きであれば気に入りそう。


VINTERBRIS - Solace ★★ (2015-07-22 04:14:52)

2014年発表の2nd。

アルペジオなどを用いたフォーキーなパートを配したり、トレモロリフに土着的な叙情を込めて聴かせたりなど、一言で言えばネイチャー/アトモスフェリックな感覚の強いメロブラ。…なんですが、ヘヴィさも残る音作りの中で刻みリフを聴かせるマッシブさ、疾走だけでなく力強いミディアムにも重きを置いた曲作りなどから、この手としては意外なほどにメタリックな音になっているように思います。

個人的には、このアトモスフェリックさとメタリックさの配分が、メロディの叙情性と相俟って良い感じに情景を描写出来ているように感じるんですよね。例えば、DISSECTIONが吹雪だとするなら、こちらは樹氷の並び立つ森を駆け抜けていく感じでしょうか。他のメロブラとは若干見える景色が異なる印象。また、時折断末魔のような叫び声を上げるヴォーカルも、真に迫ったものがあって良いですね。

現時点でもメロディの良さ、緩急の付け方などなかなかにレベルの高いメロブラ。もう少し垢抜ければ話題になりそうな気はしますが、逆にこの手のバンドは垢抜けきらない方がいいのかもしれませんね。


VINTERRIKET ★★ (2007-12-25 01:36:00)

ドイツのブラックメタル/ダークアンビエント。
メンバーはギリシャのNOCTERNITYにも在籍しています。
バンド名はスウェーデン語で「冬の王国」らしいですが、ドイツの人なのにわざわざ
スウェーデン語のバンド名を付ける辺り、寒々しい世界観を志向してる表れなのかも。
そういう物を求める人には確実に答えてくれる音を出してると思います。
しかし、リリース数多いですね…しかもほとんど限定だし。
全部集めると、特典として死んだ後にコキュートス(氷結地獄)に行けるかも(笑)。


VINTERRIKET - Berglandschaften 2001-2004 ★★★ (2008-02-11 22:59:00)

2007年発表の音源集。
タイトルの通り、01年から04年までの曲を集めたもので、「Wege~」がバンドサウンド入りの曲を集めた音源集だったのに対し、こちらはダーク・アンビエント作品を集めたアルバム。「Wege~」とはレーベルが違うみたいですが、対になっているアルバムなのかも。

空間的な広がりを持つ持続音(ドローン)と幻想的なメロディによりバンド名通りの「冬の王国」を描いていくようなインスト作品で、路線的には一緒にスプリットを出した事もあるPAYSAGE D'HIVERのアンビエント曲と似ている作風だと思います。こっちの方がメロディが前に出ているため、聴きやすい作風と言えるかもしれません。

空間演出の上手さもやはりかなりのもので、1曲目のメロディが一旦フェイドアウトし、ドローンだけが残るパートなんて本当に雪の降り積もる夜の中、世界が死に絶えてしまったかのような錯覚に陥ります。雪が降っている様を下から眺めてると、吸い込まれていきそうな感覚を覚える事がありますが、ああいう感覚を音で味あわせてくれる優れた作品であると思います。

疲れたときってメタルの轟音がうざくなってしまう時もあるんですが(メタラー失格?笑)、そういう時でさえ、この作品を聴くと情景に深く浸れてしまうんですよね…ある意味癒し系です(笑)。


VINTERRIKET - Wege in Die Vergangenheit ★★★ (2007-12-25 01:34:00)

2007年発表の音源集。
2002年から2004年にかけてのスプリットなどの音源を集めたアルバム。1000枚限定。録音年が古いので今年のベストアルバム投票には入れませんが、2007年もあと残り僅かというところで、本当に素晴らしいアルバムと出会うことが出来ました…。

このバンド(独りだけど)もPAYSAGE D'HIVER等と同じく、ダークアンビエントとブラックを両方演るタイプのようですが、ここで聴けるのはバンドサウンドが入ったスタイルで、実質的にシンフォニック・ブラックとカテゴライズしても良いんじゃないかと思います。

EMPERORの「In the Nightside Eclipse」や、LUNAR AURORAの「Ars Moriendi」辺りの邪悪なシンフォブラックの雰囲気を押し進めていった結果、キーボードパートの重要性が増し、バンドサウンドが減退した事で、結果としてダークアンビエントの中にブラックが飲み込まれる形で融合したかのような音になった感じ…でしょうか。

キーボードの真っ暗な夜の中、雪が降り積もるかのような視覚的な効果を伴う音色も当然素晴らしいですが、ギターのディストーションの音色もその情景を彩るかのような、繊細な歪ませ方でアンビエント的な曲の世界観を上手く演出しているように思います。途中LUNAR AURORAばりのシンフォニックな豪速ブラストパートがあったり、何故か4つ打ちのリズムが出てきたり、結構展開もあって面白いです。また、寒々しいだけではなく、フォーク的な叙情メロもあり、ある程度聴き易いのも良いですね。

ヴォーカルは遠くから絶叫が聞こえてくるようなミックスですが、メタル的な魅力よりもダークアンビエント的な情景描写を重視したような作風にはあっていると思います。一般的なメタルからの逸脱具合ではLUNAR AURORA、NOCTERNITY以上、DARKSPACE以下…ぐらいでしょうか。この手が好きならば必聴。

しかし、こんな素晴らしいアルバムなのに1000枚限定ですか…そんな殺生な。こういう音、好きな人結構いるんじゃないかと思うんですけどね…。もっと聴かれて欲しい。2000円強で彼の「冬の王国」に73分も滞在できるんだから、これは買いですよ。


VINTERSORG ★★ (2007-06-15 15:56:00)

現BORKNAGARのヴォーカル、Vintersorgを中心としたプロジェクト。
曲の完成度からして、明らかに大物級のアーティストだと思いますが…
Garm、Simen、そしてこのVintersorg。
これだけのメンバーが参加しているBORKNAGARってかなり凄いバンドなのでは…。


VINTERSORG - Solens rötter ★★★ (2007-06-15 15:53:00)

2007年発表の6th。
バンドロゴの太陽、なんか可愛いなぁ…(笑)

音楽性は一言で言うとプログレ要素の強いヴァイキングメタルでしょうか。
以前プログレ関連の専門店でも取り扱われているのを見た事がありますが、確かに凝った変則的な部分の多いリズム、デスヴォイスも入るへヴィさとマイルドな普通声や民族メロによる叙情性が複雑に絡みあって出来るドラマティックさ、ハモンドやフルート等を取り入れた音像等、そっち方面からの評価が高いのも分かるような要素が多いですね。

もしかすると変拍子も普通に入るリズムに取っ付きづらさを感じてしまう人もいるかもしれませんが、個人的には民族メロと合わさると土着の舞踏曲のような雰囲気が出てお気に入り。展開はプログレ的でも、メロディの叙情性でかなりメタラーにも聴きやすい音だと思います。プログレよりのデスやブラックということでOPETHが気に入った人にもお勧めできそうです。

彼らと比べるとこっちの方が速めで、普通声も高め、メロディはヴァイキング系だったりとVINTERSORGの個性と言えるものも発揮されてますが、クオリティでは劣らないと思います。曲自体も非常に高品質ですが、ヴォーカルの良さもかなりセールスポイントだと思います。GarmやIhsahn同様、デス声と普通声を両方使えるタイプですが、特に普通声が素晴らしい。

音域が主に高音方向に広く、ハイトーンを出しても暑苦しくならず、吟遊詩人の優雅さだったり苦悩する王族の高貴さだったりを感じさせる、哀愁のこもった実に気品のあるタイプ。私はクサメロ好きなのにハイトーンが苦手でクサメタルに行かないタイプのリスナーですが、彼はSimenやIhsahn、Garmらと並んで、例外的にハイトーン出しても好きなヴォーカリスト。デスヴォイスも×チガイ的ではないですが、普通声が上手い人特有の上品さがあって良い感じ。
このヴォーカルが一番の個性と言えるかもしれません。

ただ、歌詞は母国語ですが、ENSLAVDの「ELD」みたいに、英訳は欲しかったなぁ…歌詞を目で追うとマリー・キュリーとかパラケルスス、ニュートンのような名前も並んでいて、明らかにブラック的な悪魔崇拝どころか、単なるヴァイキング文化讃美でもなさそう。プログレッシブで知的なサウンドに乗せて、どんな事が歌われているのか知りたかった。実際ネット上のインタビューを読んでみると、かなり興味深い事歌ってそうなんですが…

最近ではOPETHを始めプログレ的なエクストリーム・メタルが注目されているようですが、このバンドもその流れでプッシュしてはどうでしょうか、レコード会社さん(笑)。何故日本盤出ないのか分からないくらいクオリティ高いです。母国語がネックなのかな…?


VINTERSORG - Solens rötter - Dopt I En Jokelsjo ★★ (2007-07-01 20:23:38)

アコギのイントロから歌いだされる、「♪Isvind frostvind~」の歌いだしからして腰に来ますね。何て色気のある声だ(笑)!!奥行きのある幻想的なキーボードや、ウィンドシェルの音色が綺麗。


VINTERSORG - Solens rötter - IDETEMPLET ★★★ (2007-07-01 20:27:55)

Vintersorg本人もMetal Maniacs誌のインタビューにて、「KOSMOSAIK」と一緒にお気に入りに挙げていた曲。どちらも時間が経ってからお気に入りになったんだとか。この曲に関しては、「明らかなヒットソングとはいえない、変わった曲」とコメントしてましたね。
途中のヴァイキング風コーラスパートがキャッチーで、私的にもお気に入り。そこの声がまた良いんですよね。


VINTERSORG - Solens rötter - STRALAR ★★★ (2007-07-01 20:21:14)

マリー・キュリーに捧げられた頌歌的な曲。
その為か、歌詞には彼女の名やラジウムなど名詞が散見されますね(母国語ですけど…)。アルバムの大まかなコンセプトは自然と人間の関わりらしいですが、自然科学の視点からの曲でしょうか。
曲もテーマからも分かる通り、デス声の無いバラード的なもので、アコースティックな質感がとても繊細。


VINTERSORG - Solens rötter - Spirar och gror ★★★ (2007-07-13 22:42:03)

この曲のサビメロ、なんかどっかで聞いた事がありそうな感じの上に、かなりグッとくるメロディですね。やっぱり北欧にしろ日本にしろ、本能に還るようなメロディってあると思いますが、この曲のサビはそんな感じですね。デスヴォイスの入れ方も好き。


VIRUS(NORWAY) ★★ (2006-09-29 19:00:00)

日本にもVIRUSってバンドがいるんですね…知らなかった。
なのでこの表記でお願いします。
CADAVER INCやAURA NOIR、VED BUENS ENDEなど様々なバンドに関わっている
CzralことCarl-Michaelの在籍するバンド。メンバーの写真が犬にコラージュ
されているところからして、アヴァンギャルドな音楽性は想像が付くかと(笑)。
ブラックメタルというとEuronymousやCountに評価が集まりがちですが、この
Carl-MichaelやKOKのObsidian CやARCTURUSやDIMMUのSimenなんかは
もっと評価されても良いミュージシャンだと思います。


VIRUS(NORWAY) - CARHEART ★★★ (2006-09-29 18:46:00)

2003年発表の1st。

メンバーが3人ともVED BUENS ENDEに関連している上、CzralことCarl-Michael自身もVBEとの音楽的関連を認めている通り、グニャグニャした音像の向こうに人影が見えるようなダークなアンサンブルで聴かせるところはVBEとも共通した音楽性ですね。VBEと比べるとブラック色は薄めで、代わりにロック色が強くもっとメリハリの効いた展開や音色を取り入れた音楽になっていると思います。

ただそのメリハリの付け方がことごとく変態的なため、ブラック色が薄くなったにも関わらず全体的に更に奇形度を増している印象。明らかに変態音楽の類だと思いますが、時折凄くかっこよくトリッキーなリフが飛び出したりするので、普段からブラックメタルのようなリフ主体の音楽を聴いている人や、アンサンブルの気持ち悪さを楽しめる人にはお勧めです。

Carl-Michaelのヴォーカルも相変わらず妖しい普通声で良い感じ。やっぱり彼はスラッシュ声よりもこっちの方が合ってると思います。それにしても、「CARHEART」のラストや「GUM MEET MOTHER」のサビ(?)の間のリフなんてそれだけ取って見ても充分かっこいいと思うんですが…。DODHEIMSGARDの3rdなんかもそうですが、こういう基本的なセンスの高さが無いとアヴァンギャルドな音楽は出来ないのかもしれませんね。


VIRUS(NORWAY) - CARHEART - CARHEART ★★★ (2006-09-29 18:49:09)

不穏な空気感を醸し出すギターの裏で鳴るベースが、メロディアスながらかなり不気味で好き者ならばうっとりする事請け合いな曲です。ラストギターが主導権を握るパートもかっこいいですが、音色のアクセントの付け方がやっぱり変。


VIRUS(NORWAY) - CARHEART - GUM MEET MOTHER ★★★ (2006-09-29 18:52:29)

「ガァァム、ミィィィ、マァザァー!!(語尾上がる)」の何とも熱のこもった、明らかに裏返った叫び声が印象に残る曲。まるで何かのエンジンの駆動音みたい。でもそれよりも素晴らしいのはその間のパートのリフ。Carl-Michaelはドラムだけでなく、ギターのセンスも凄いんですね…。このパート曲中でもう一回くらい聴きたかった。


VIRUS(NORWAY) - CARHEART - ROAD ★★ (2006-09-29 18:55:15)

ギターもベースも陰気なメロディを奏でていて、全然「Road」って雰囲気じゃないですね(笑)。むしろ滅亡した世界で高速道路の残骸の上を歩いているような破滅的な雰囲気の曲。


VIRUS(NORWAY) - THE AGENT THAT SHAPES THE DESERT ★★★ (2011-07-06 23:23:32)

2011年発表の3rd。
ラストの曲ではGarmがゲスト参加。

前作でアンサンブル志向をより強めた彼らですが、今作も前作同様の路線ですね。ムラサキ色の煙が物理法則に反して妙な対流を起こすようなバンドの絡みに脳みそを捏ね繰り回されながら、普通の人とは見てる世界がズレてる狂気の哲学者の独白めいたヴォーカルの演説に説き伏せられる、悪趣味が一周回って高尚に聴こえたり聴こえなかったりする(笑)、代替の効かない世界観を持ったアヴァンギャルドメタル。もう初っ端から「よくここまで気持ち悪くギターを掻き鳴らせるなぁ…」と変に感心(笑)。

ただ、随所で聴かれる、前述の気持ち悪い掻き鳴らしといい、調子っぱずれなアンサンブルが狂気の潮の満ち引きを表現するような展開だったり、幽霊に背中を撫でられる様なギターのフレーズを、背筋を這い上がる悪寒のようなベースが引き継いだり、耳に引っかかるポイントがより増えた印象。目印となるポイントが多い分、前作よりオリエンテーリングしやすいアルバム…ではあるんですが、掴み所が増えたのに決して本質は掴ませないような底意地の悪さは相変わらず。むしろミスディレクション的な意味で前作より性質が悪くなってる気も(笑)。聴いてると間違った方向に啓発されそう。

そういう訳で、期待通りの作風に満足できるアルバムでした。単純に、気持ち悪さがフックとなって耳に残るアンサンブルは、私にとっては聴いてるだけで楽しいんですよね。漫画「HUNTER×HUNTER」で、ポックルがネフェルピトーに脳みそを弄られてる場面がありましたが、あれを見て「気持ち良さそう…」と嫉妬したほどのド変態は、是非この作品を聴きましょう(笑)。


VIRUS(NORWAY) - THE BLACK FLUX ★★★ (2008-12-02 17:20:00)

2008年発表の2nd。
四階から転落し、数ヶ月にわたる昏睡状態が続いたというニュースで多くのブラック好きを心配させたCzralですが…これを聴く限りでは完全に復活したみたいですね。AURA NOIRでも新作を出したみたいだし、本当に良かったです…。

1stのスタイルを踏襲しつつ、ジャズ的アンサンブル志向を高めた音楽性は、VIRUSの新作でありながらVED BUENS ENDEの続編的と言えるかもしれません。VBEの抽象的かつ泥沼な雰囲気と、(VIRUSの)1stでの悪意に満ちたキッチュさを両立させた作風になっていると思います。淡いノイズを纏ったギターメロは立ち上る瘴気が、物理法則に反して昇るごとに濃くなるような気持ち悪さがあるし、ベースも妖しく蠢くだけでなく、時に場違いに明るめのメロを入れてきたりして素敵に気持ち悪いです(笑)。

このアルバムって、ヴォーカルは抑揚のないノーマル声が主体だし、ギターはトレモロリフはおろか刻みリフもごく僅かだし、ドラムがブラストするなんてもってのほかで、殆ど典型的なブラックのパーツが使われてないんですよね。音質もプリミティブとは言えないですし。それでもブラック的な薄気味悪いムードを醸し出しているのが、このアルバムの肝ではないでしょうか。
Czralのひねくれた感性が詰まった作品だと思います。

アンサンブル志向が強まったため、前作よりもフックは抑え目で取っ付きづらく感じる向きもあるかもしれませんが、その分瘴気・妖気の類は濃くなっているかと。不吉なムード作りではBLUT AUS NORDの傑作「MoRT」に肉薄する物があると思います。


VIRVEL AV MORKERHATET - Metamorphopsia ★★★ (2016-05-29 16:09:19)

2016年発表の2nd。

これはクオリティとカルト性を高いレベルで両立させた良盤なのではないでしょうか。路線としては、RAGNAROKやTSJUDER辺りを思わせる、ブラストによる疾走を軸にした苛烈なリズムと、トレモロを交えたメロウなリフで聴かせる、北欧メロディック/ファストブラックに近い音。パートによってはVED BUENS ENDEやPARIAなどに近い変則アンサンブルや、効果音・ナレーションなどのSEを挿入し、不条理さを加味するような場面も見られますね。

ただ、前述したバンドと決定的に違うのは、主に疾走時に於けるリフの質感でしょうか。前述のバンドは切れ味の鋭さやメロディのメロウさで聴かせる感じなのに対し、こちらは融解してドロドロになった粘液質の毒性のある液体を、緩やかに流し込むかのような不気味なトレモロがメインなのが特徴。これにより、音や楽曲のクオリティは非常に高いにも関わらず、どこかマニアックさを感じさせる雰囲気があり、これが個人的なツボには大ヒット。敢えて粗探しをするなら、SEが挿入されるパートにおいて、バンドサウンドに食い気味の音で入っていることくらいでしょうか。興醒めする程ではないですが、多少気になります。

個人的にはかなりお勧めの作品。特に、PARIAやポーランドのFURIAなど、ブラックメタルを真芯で捉えつつも、逸脱した魅力の加味されているバンドが好みな方には大推薦。


VISTHIA - IN AETERNUM DELETI ★★★ (2012-01-20 22:57:16)

2011年発表の2nd。

ブラックメタルにインダストリアルを取り入れた路線ですが、このバンドはインダストリアル要素を曲の根幹にがっつり食い込ませながらも、ブラックメタルとしての攻撃性や禍々しさもしっかり残してある、取り入れ方のバランスの非常に良い作品ですね。

暴虐なブラストの中に機械音を交ぜてより無慈悲な感覚を助長したり、ノイズとサンプリング、トレモロが自然に一体化するような音作りで世界観を演出したり、マシンビートを前に出しつつ毒のあるトレモロで荒廃感を醸しだしたり、ブラックとインダストリアルの組み合わせ方がアイデア豊富、かつその比率も自由自在な感じ。それがブラックとしてはかなり整った音質とも相俟って、ダイナミックな展開に聞こえます。

何気にブラックらしいトレモロリフの含有率も高く、それに込められた宗教的なムードや毒々しさもまた素晴らしい。インダストリアル要素が荒廃した世界を演出し、そこに酸の雨が降り注いでいるような、破滅的なイメージが思い浮かびます。ただ作風がアヴァンギャルド方向に傾いているせいか、時折展開に勿体付けた部分というか、効果音的な音で引っ張る部分があるのが個人的にはあまり好きではないかも。それを差し引いても高品質で、面白い作品だとは思いますが。

RAW方向にしろアヴァンギャルド方向にしろ、ブラックってやりすぎててそのジャンルを好んで聴く人以外には分かりづらかったりするバンドも結構いたりしますが、この作品はエクストリームメタルとしての根っこがしっかりしてて、その上で個性を出している所が凄いと思う。ANAAL NATHRAKHやRED HARVEST辺りが好きな方には特にお勧め。


VITSAUS ★★ (2011-11-06 20:26:42)

SARGEIST、HORNAのVainajaが在籍するブラックメタルバンド。
バンド名はフィンランド語で「ペスト」を意味する単語だとか。


VITSAUS - Sielunmessu ★★ (2011-11-06 20:28:35)

2010年発表の1st。
曲数は5曲と少なめですが、ボリュームは35分でそこそこ。

シャー系の音が際立つ平坦気味のリフと、メロウなトレモロリフを従えて疾走する、典型的なプリミティブブラックという感じの音ですね。割とトレモロのメロディを重視するタイプですが、この手の中でもメロディの泣き具合に「格調の高さ」みたいなものが感じられるのが特徴。

ヴォーカルもそこまで絶叫したら音割れるんじゃ…と思うくらい激しく叫んでくれてるし、特に変った要素はないものの非常に良質なプリミティブブラックだと思う。ただ、せっかくメロディのセンスがいいのに、少しだけ引っ込んだプロダクションなのは惜しいですね。際立って聞こえづらい訳ではないけど、ノイズ分とメロディ分の配分が等分な感じ。メロがいいので、個人的にはそれを押し出すとより良かったかな…と。

SATANIC WARMASTERの初期作等の、北欧のメロウなプリミティブブラックが好みであれば気に入るであろう音源。ただ、SATANIC WARMASTERやSARGEIST、CLANDESTINE BLAZE辺りを聴いて、これ以上このジャンルは掘り下げなくていいかも…と思った人には無用の作品かも。この手を日常的に愛聴してる人向けです。


VLAD TEPES - March to the Black Holocaust ★★★ (2013-04-18 17:58:27)

95年のBELKETREとのスプリット音源。
私は「War Funeral March」とのカップリング盤(ブート?)で聴きましたが…。

以前購入した「La Morte Luna」が、フレーズが聞き取れないようなあまりにも酷い音質で、「確かにアングラでカルトな雰囲気はあるけど、私には無理かも…」とこのバンドを見限りかけてたんですが、とんでもない思い違いでした。VLAD TEPESって偉大なバンドだったんですね…これはマジで素晴らしい。
まずフレーズの反復を楽しむ事すら困難な「La Luna Morte」と比べると段違いに音質が良いです。確かに粗い音質ではあるんですが、DARKTHRONEの3部作やSATANIC WARMASTERの初期作などプリブラの代表的な作品が聴ければ全然行けるレベルで、フレーズや楽曲の展開がしっかり楽しめます。ディスコグラフィを見ると、こっちの方が古い音源なのに…。

そうして楽曲の輪郭が露わになると、如何にこのバンドがブラックメタルとして優れたセンスを持っていたのかが良く分かりますね…。まるで初期EMPERORのような、凍てつく邪悪さを発散するリフを持った曲、アンダーグラウンドの熱気をダイレクトに伝えるオールドスクールな曲、12分を持ち前のリフセンスで聴かせるエピックな大作、フレンチブラックらしい毒々しいメロディの曲…何気にプリブラとしてはバラエティ豊かな作風ですが、どの曲も素晴らしいです。

確かに、本気度満点のヴォーカルが醸し出す危険な雰囲気、低音質、低演奏力を逆手に取った衝動性なども、カルトな支持を得る一因にはなっていると思います。しかし、それらはこの作品の魅力のほんの一部であって、楽曲自体がブラックメタルとして本当に素晴らしい事が、真にこの作品の魅力だと思うんですよね…。EMPERORの1stやMAYHEMの1st、BURZUMの3rdに通じるような、ある意味奇跡的な雰囲気を纏っていると言っても過言ではないとすら思います。ジャンルの本質を衝いているような素晴らしさだと思う。

正直、見限りかけた身としては横っ面を張り飛ばされたような衝撃を受けました。これが、Les legions Noiresの真髄か…骨の髄まで思い知らされてしまった気分。初心者厳禁、なんて野暮な事は言いません。今年Drakkarが再発盤をリリースしてますし、手に入れやすくなったと思うのでブラックが好きならば是非!例え初心者であろうと、波長が合う人なら問答無用で引き込むようなパワーは間違いなく持っているかと。


VOCIFEROUS - Vociferous ★★ (2016-02-07 23:54:03)

2009年発表の1st。

一般的にブラックメタルはスラッシュから分化したジャンルとされていますが、このバンドはスラッシュメタルを体感速度やリフのキレではなく、ひたすらに「汚さ」「冒涜的な雰囲気」を突き詰めていったら生まれそうな、生々しくドロついたオールドスクールなブラックメタルを演ってますね。

澱やよどみの只中にいるような音像の中で、一応楽曲が進めばブラックメタルらしいメロディアスなトレモロも出て来ますが…メロディ自体がドロドロしているというか、全く甘くならない感じが流石です。ヴォーカルもまるで嘔吐するかのような「グエエエエ」系の呻き声がなかなかの迫力&汚さで悪くないですね。

VADERやBEHEMOTHがダイレクトな攻撃性を押し出している通り、ポーランドのバンドの表現が直接的なのはお国柄なのでしょうか。冒涜的なムードを生々しく伝えるような作品です。BEHERITの初期作とか好きな人に。


VOICES ★★ (2013-08-01 21:00:03)

去年結成されたばかりの、イギリス産デス/ブラックメタルバンド。
元AKERCOCKEのメンバーが絡んでます。
…それにしても、検索に引っかかりづらいバンド名ですね…。


VOICES - From the Human Forest Create a Fugue of Imaginary Rain ★★★ (2013-08-01 21:01:04)

2013年発表の1st。

メンバーの多くがAKERCOCKE絡みのバンドという事ですが、確かにAKERCOCKEを思わせるような、不条理なアヴァンギャルド性とデスメタル由来の暴虐性を兼ね備えたブラックという感じですね。AKERCOCKEはサイケな前衛パートと暴虐パートを割と分けて展開させている印象でしたが、こちらは暴虐パートそのものにサイケなフレーズが練り込まれている展開が多いのが、大きな違いでしょうか。

女性ヴォーカルやAKERCOCKEでも使用していたようなクリーン、キーボード等を導入し、叙情的・神秘的な側面からプログレッシブなアプローチを見せるパートもありますが、基本的には暴虐パートがメインな音。ギターワークやリズムに込められた不可思議な感触は、知的というよりは聴き手の神経を直接攻撃するかのような禍々しさに満ち溢れている感じがします。

基本的には暴虐性と前衛性の強い音ではあるんですが、その中で時折見せるブラックメタルとしてのストレートなフレーズがやたらかっこよかったりするんですよね。例えば「This Too Shall Pass」で聴けるトレモロリフなんかは、メロブラ期のSATYRICONを思わせるような邪悪メロウなメロディが込められていて、メロディック派も軽く悶絶させられるレベルだと思う。

アヴァンギャルドながらフィジカルな暴虐性も強い、エクストリームメタルとして非常に高品質なアルバム。AKERCOCKE人脈やCandlelightからのリリースと、既にハクが付きまくってますが、期待を裏切る事のない良盤です。


VOID ★★ (2007-06-29 08:35:00)

イギリス産サイバーブラック。
サモスのレーベル「Nocturnal Art Productions」に所属。
ZYKLONやABORYM、RED HARVESTのリミックスを手がけた事もあるOCDを始め、
VED BUENS ENDEやVIRUSなど幾つものバンドに関わっている重鎮Czralや、
<CODE>、DODHEIMSGARDに在籍するKvohstなど、関わっている面子がかなり豪華。
…後ろ二人は残念ながら脱退済みのようですが…。


VOID - Posthuman ★★ (2007-06-29 08:35:00)

2003年発表の1st。

何故かDisk HellでもDisk Unionでもこのアルバムが新品で半額以下で投げ売られていたのでもしかしたら微妙なのかと思いましたが…全然そんな事は無く、クオリティの高い作品ですね。何故投げ売りされてたのか疑問なんですが…正価で買っても損はしないアルバムですよ。

作風は、かなりインダストリアル要素が強めながらも、ダーティーに咆えるヴォーカルや捻くれていながらもメロディアスで、聴き応えのあるリフなどブラックとしての矜持はしっかりと保ったサイバーブラックで、THORNS辺りが最も近い音だと思います。
Hellhammerの超絶技巧ドラムも聴けたTHORNSと比べると、ドラムは打ち込みで、かつトランシーだったりドラムンベースっぽい箇所もあるのでよりサイバーな作風と言えるかも。

音質もTHORNSのように高音ノイズがキツイという事もなく綺麗なものですし、ヴォーカルも然程癖の無いかっこいいデス声なので割と聴きやすい作品と言えるかもしれません。ただ、個人的には曲が終わる毎に毎回入るSEは微妙かな…とも思います。それ自体は別に悪くはないんですけど、ちょっとダレる気がしなくもないです。

しかし、CzralもKvohstももう脱退しちゃったんですか…。惜しいですね…。活動してるみたいだけど、ヴォーカルは誰がやるんだろう。


VOID - Void ★★★ (2011-08-20 03:27:15)

2011年発表の2nd。

前作は禁欲的かつクオリティの高いインダストリアルブラックで、そのストイックさが地味に感じる音でもありましたが…なんか随分変わりましたね。今作はインダストリアルブラックとして…いやエクストリームメタルとして、もっと言えば「ギターリフが曲の主軸を担う音楽として」素晴らしいアルバムだと思います。

前作では打ち込みだったドラムが今作では生になり、ブラスト中心の激速リズムにテクニカルなトレモロ混じりのリフが乗るスタイルで、殆ど前作とは別物になってますね。特にTHORNSを思わせる、インダストリアルの無機質さを感じさせつつ、ブラック特有の妖艶さも強く放ちながら、邪悪な流麗さをもって弾かれるリフ捌きが実にかっこいい。あと一割疾走パートが多かったらファストブラックになりそうなくらい疾走パートが多いですし、キャッチーと言っても過言ではない作風かと。

ただ、完全に脱インダストリアルした訳ではなくて…前作とは別の形でインダストリアルしているのが興味深いですね。通常ならマシンドラムで行うようなリズムを敢えて人間に叩かせていたり、リフにインダストリアル的無機質さが感じられたり、アンサンブルでインダストリアルな世界観を表現しているのが面白い。特に5曲目のリズムは、初期VIRUSのようなアヴァンギャルドな悪意的テクニカルさがあって実に聴き応えあり。ダレない程度にサンプリングやピアノソロなどを挿入してムードを醸しだす演出も良い感じ。

個人的には、NADER SADEKの新譜と並んで、今年のベストアルバムの最有力候補の1つになるほど気に入った作品なんですが…このアルバムでハードコア的激情絶叫から、幽鬼的クリーンまでこなしているヴォーカリストのBen Lowe氏は、作品完成後に自殺で亡くなったらしいですね…。この素晴らしい作品でバンドの実力を証明しただけに、惜しいですよね…。ご冥福をお祈りします。


VOID PARADIGM - Earth's Disease ★★★ (2015-08-18 21:40:09)

2015年発表の2nd。

これは物凄く好みのアヴァンブラックです!
神経に障るどころか掻き毟るような、パラノイアックかつ不穏で不協的なギターワークと、聴く者に不安を与えるような構成のリズム、そこに絡みつくメロディアスながら粘着質なベース…このジャズを気持ち悪く解釈して取り入れたような不気味なアンサンブル、間違いなくVED BUENS ENDEの系譜ですね。ブラストで畳み掛けていても衝動性より精神世界的なグロテスクさの方が強い気がします。

ただしこちらはVBEやVIRUSなどと比較すると、もっとフィジカルの強い音という印象。パキッとした抜けの良い音で、奇妙なアンサンブルもきびきびと聴こえさせるようなドラムや、地声要素強めながら殺気と怒気に満ちた、Appolyon氏のスタイルを思わせるエグいヴォーカルなど、禍々しく不条理な雰囲気を醸し出しつつも、攻撃性も高めたような感じ。VBEなどと共通する、奇妙なムードを壊さずに攻撃性も取り入れてるバランスの良さがほんと素晴らしい。

こういう非日常の光景をひたすら描くようなブラックって、気分でないと聴けないことが多いですが、これはそういう時に聴いても引き込まれるパワーがありますね。


VOLUNTARIA - Solitary Songs ★★ (2014-08-23 22:58:30)

2010年に発表されたデモ「Solitary Songs to Leave This World Behind」を、改題してCD化再発したもの。リリースは鬱ブラックの名産レーベルSelf Mutilation Servicesから。このCD版も500枚限定。

鬱ブラックって、感情を込めて絶叫するヴォーカル、トレモロや平坦系、アルペジオなどによる鬱屈したメロディ、陰鬱さを強調する遅いテンポ…と、ほぼ形式が固定化されてるジャンルだと思うんですよね。その中で個性を出そうとすると、それらの要素を深く追求するか、もしくはそれらを踏まえつつ異なる音楽的要素を加えるかに分かれる印象ですが、このバンドは前者のパターンですね。

特にヴォーカルは、途中嗚咽しているように聞こえるほど感情を込めた叫びでありながらも、変に声が細くないのが良いですね。少なくとも、滑稽に聞こえないレベルで真に迫っていると思う。メロディも誰が聴いても陰鬱さを感じるような暗さに満ちており、鬱ブラックとしては及第点かと。作風自体は王道に忠実で、テンポを上げてオールドスクールに聴かせるパート、一部でのSEやキーボードの導入などもテンプレの範囲内と言った感じですね。

ただまあ、良質ではあるものの、テンプレを大きく超えるほど突出した魅力があるかというと微妙ですね…。鬱ブラックというジャンル自体が好きであれば、間違いなく共感を覚える音ではあるんですが…。個人的には、この手ならNARGAROTHの「Regens~」アルバムくらい、メロディが派手に鬱ってくれればもっと好みなんですけど。


VON ★★ (2010-07-22 23:31:00)

88-92年に掛けて活動していた、アメリカ産ブラックメタルバンド。
フルレンスを出しておらず、日本での知名度こそそう高くないものの、
あのWATAINがこのバンドの曲からバンド名を取っていたり、INFERNALや
URGEHALなどがこのバンドの曲をカヴァーしたり、ブラックメタルに携わる
ミュージシャンの間では、かなり人気の高いバンドです。


VON - Satanic Blood ★★★ (2010-07-22 23:26:00)

92年発表の8曲入りデモ。
現在流通しているのは、DARK FUNERALのデモ「In the Sign」とカップリングで再発され、「DEVIL PIG」のタイトルを付けられたブート盤。私が持ってるのもそっちです。

作風的には、ごくシンプルだけど、本質を掴んだようなプリブラ。
オールドスクールなノリの曲、ドゥーミーで密教的な曲などもありつつ、基本はシンプルでミニマル(と言っても演奏時間自体短め)な疾走に、禍々しく邪悪なメロディのトレモロが乗る作風。北欧的な寒々しさを感じられるDARKTHRONEよりも、よりカルトでサタニックな雰囲気だと思う。

音質ははっきり言って悪く、ドラムなんか疾走パートが打ち込みの4つ打ちみたいに聞こえるし、全体的にテープ起こしっぽいよれ気味な音で、音量を幾ら上げても薄っぺらい感じ。パートによっては、もうギターリフなんかベースとのユニゾンによる脳内補完でようやく分かる位なんですが、それでもサタニックなムードは十分伝わるほど曲そのものが良いです。

しかし、92年といえばまだDARKTHRONEの3部作も全部出てないし、MAYHEMの1stも発表されてないんですが…そんな時期に、DARKTHRONE以上にカルト嗜好なプリブラがアメリカから出ていたというのは、衝撃的ですよね…。ブラック系ミュージシャンが挙って指示するのも分かる位、ブラックの真髄を聴かせる作品。

ブラック、特にプリミティブ系が好きな方なら、資料的な意味でも買う価値はあると思います。


VON - Satanic Blood - Devil Pig ★★★ (2010-07-22 23:30:40)

プリブラの本質のみを抜き出して作ったかのような曲。
だって基本、「♪デー、デデデー」っていうギターリフ一本ですよ。ブラックの本質がリフにあることをシンプルな手法で抉り出した名曲だと思う。そのリフに絡むリードメロも、実にサタニックで素晴らしいです。


VON - Satanic Blood - Veadtuck ★★★ (2010-07-22 23:29:58)

最近で言えばNED勢にも通じるような、サタニックなメロディをドゥーミーに聴かせる曲。この密教のBGM的な雰囲気も、「Devil Pig」などの典型的なプリブラとはまた違う意味でブラックの真髄だと思いますが…92年の時点でここまでエッセンシャルな音を出しているバンドがアメリカにいたというのが凄い。


VON - Satanic Blood - Watain ★★★ (2010-07-22 23:28:17)

あのWATAINに、バンド名を決定せしめたほどの名曲。
淡々とリズミカルに吐き出していくヴォーカルに、呪術めいた雰囲気があって良いですね。しかもこのヴォーカル、敢えて「呪術めいた雰囲気を出そう」と思ってなさそうな所が、また凄いと思う。


VON GOAT - SEPTIC ILLUMINATION ★★★ (2013-01-02 17:43:58)

2010年発表の1st。

アメリカ産カルトブラックの始祖、VONの作風を受け継ぐプロジェクトという事で、期待して購入しましたが…これは素晴らしいですね。「Satanic Blood」でのテープ起こしっぽい音質が改善された(とはいっても、適度に篭もったRAW音質ではある)り、儀式的な要素があったりしつつも、基本的にはシンプルでサタニックなオールドスクール・ブラックメタル。えずくようなヴォーカルの汚さもカルトさを強調しててグッド。

VONの頃からそうでしたが、やはりリフのセンスが素晴らしいですよね。オールドスクールなダーティさはしっかり演出しつつ、地下臭く邪悪なムードも満点、それでいてシンプルという。音質や展開など飾りに過ぎません的な作風も、リフの魅力に拍車を掛けてます。更にリードギターが生気を奪うようなメロディを弾いてたりするのも、より楽曲の邪悪さや洗脳度を上げる結果になってますね。ちなみにこの作品ではLEVIATHANのWrest氏がドラムを叩いてますが、LEVIATHANやLURKER OF CHALICEなどのアンビエンス重視のグロさは余り感じられず、あくまでオールドスクールさを貫く音。

…数あるオールドスクール・ブラックメタルの中でもトップクラスにかっこいい音を出してるんじゃないでしょうか。やはりリフに物を言わせられるバンドは強いです。


VOND - Selvmord ★★ (2010-05-01 21:31:00)

1994年発表の1st。タイトルは「自殺」の意。
裸で女性の首に刃物を突きつける、体を張ったジャケットが目印です(笑)。

今はエレクトロゴシック路線に活路を見出しているようですが、当時はシンセ・アンビエントに傾倒していたようで、MORTIISの初期作品と同様のアンビエントを演ってます。正直、名義を分ける必要があるのか疑問に思うくらい(笑)、酷似した路線の作風。
敢えて違いを挙げれば、持続音を抑鬱を感じるほど質量感のある音にし、圧迫感を出してダークなメロディを響かせる、犀の河原を彷徨うような悲愴なメロディを聴かせる、シンセを鬼火のような幽玄さのある音色にする…など、ややダークな表現が多めな事でしょうか。

ちなみに、この作品にも裏話的なライナーがありますが…このアルバムのタイトルを「自殺」とした理由について、当時の死と闇への奇妙なまでの妄執を挙げてますが…その原因は当時の、ロックスターになりたがりの兄(弟?)と、鬱で台所で寝起きする母親を持つ彼女と同居しているという生活環境のせいだとしていますが、妹がこんな怪しいブラックメタラー連れて来たら私だったら追い出します(笑)。何されるか分かったもんじゃないもん(笑)。もしかして、ジャケットの女性は彼女で、場所はそのアパートだったりして…。もしそうだったら、凄い寛容だと思うんですが(笑)。


VORDVEN - History ★★ (2011-11-16 23:01:51)

2003年発表のコンピレーション盤。
97年のデモ「When the Wind Blew for the First Time」と99年のフル「Towards the Frozen Shadows」、01年EP「Woodland Passage」の3つの音源を収録した、約78分の長大なボリュームの音源集。ちなみに音源集のタイトルは書かれていないんですが、調べたら「History」というタイトルだそうです。

路線は神秘的なキーボードがRAWなバンドサウンドを包み込む、VINTERRIKETやLUSTREなどのアトモスフェリックなシンフォニック・ブラックを先取りしてやっている感じで、VINTERRIKETのような寒々しい世界観よりも、むしろ精神世界的な神秘性を感じる音。基本キーがメイン楽器的な音像ですが、どの音源においてもバンドサウンドに打ち込みを用いていないので、特にドラムの音が立体的に聴こえるのが良い感じです。

また、時系列順に曲が並んでいるため、バンドの音楽性の変遷を辿れるのも面白いですよね。ほとんどギターが奥でノイズが鳴ってるだけに聞こえる「When~」と比べると、ある程度音に厚みが出て女性ヴォーカルやペイガン的なメロディを導入し、更に神秘性を増した「Towards~」はかなり成長してる印象。「Woodland Passage」では、同路線を引き継ぎつつより展開や音にメリハリが付き、メタルとしての魅力が上がったと同時に、ミステリアスな部分は僅かに減退してる感じですね。

個人的には「Towards~」がバランスが良く、この手に特有の、ある程度メタリックさを犠牲にしてこそ得られる神秘性みたいなものが最もよく表われていると思うのでお勧め。昔のバンドですが、VINTERRIKETが好きで、COLDWORLDやAURVANDIL、LUSTREなどの類似した音楽性のバンドの音源を買い漁ってる方には大推薦です。


VORKREIST ★★ (2012-08-31 19:22:06)

フランス産デス/ブラックメタル。
SECRETS OF THE MOONを始め、様々なバンドに参加した経験を持つ女性ベーシストのLSK氏や、MERRIMACKのA.K.氏らが関わるバンド。


VORKREIST - Sabbatical Flesh Possession ★★ (2012-08-31 19:24:29)

2003年発表の1st。

人脈や関連バンドは真っ黒ですけど、作風の方は刻みやハーモニクスを多用したリフ、アングラ臭を効かせつつ低音を効かせ、血腥い暴力性を漂わせる音作り、ブラック系の喚きだけでなく地の底から響くような低音グロウルも使うヴォーカルと、かなりデスメタルの色も強い路線ですね。フランス産に多い病気っぽさはあまりなく、もっと直接的に禍々しく暴力的な雰囲気を伝えるような音。

個人的には、ドラムの音がちょっと篭もり気味なのがかなりツボなんですよね…。却って音が重々しく聴こえて、低音の効いたプロダクションとも相俟って絨毯爆撃でも受けているような感じ。心地良い蹂躙感です。また、アングラで暴力的な雰囲気とは裏腹に、メロいパートは何気にかなりメロディアス。特に9曲目なんて、最初期のARCH ENEMYが泣きメロとギターソロを捨ててアングライズムに特化したような雰囲気があって、かなりかっこいい。

デスメタルにかなり近い音ではありますが、メロディの爛れた禍々しさなど、根底に流れているのはやはりブラックの血だと思う。一聴では人脈から想像しづらい音ですが、聴いている内に段々馴染んでくる感じですね。


VRAIN - RENDEZ BLUE ★★ (2008-05-01 23:18:00)

2007年発表の1st。
まずメンバーの宇宙船の乗組員と陰陽師を混ぜたような奇抜な格好に目が行きますが…
確かに、メタルをベースにサイバーなトランス風シンセや日本人らしいポップな歌メロを
混ぜたスタイルは、この奇抜極まりない格好に通じる物があるのかもしれませんね…。
自分達のスタイルをしっかりと持っていながら、リフやアンサンブルなどメタルとしての
根本的な魅力にも全く妥協は無く、クオリティの高い非常にかっこいいサウンドだと思います。
そのスタイルの中でも疾走するキャッチーな曲だけでなく、バラードを始めジャズっぽい
雰囲気の曲やクラシック曲のど迫力のカヴァーなんかもあったりして、アルバム一枚を通して
リスナーの興味を反らさせないバラエティに富んだ作品に仕上がってるのも良いですね。
ヴォーカルはアニソンっぽいと言われてるようですが…媚びた雰囲気は無く、しっかり
メタルのヴォーカリストしてると思います。低音で歌ってるときの黒猫さんに近い声質かも。
歌い方というより、一部の曲の歌メロがアニソンっぽいと言えるかもしれません。
私的にはアニソン的でも何でも歌メロをクサくするのは大歓迎。むしろもっとクサくして欲しい位です。
ただ、持ち上げて落とすわけじゃないですが、幾つか気になる点も…。
音質はダイナミックなのはいいんですが、普通に音割れしてるっぽいところがあったり、
ヴォーカルが膜が掛かったようでダイレクトに伝わってこなかったりするのが少しマイナス。
もっと良いマイクを使って欲しいです。あと歌詞は正直イマイチ…熱いのに何を訴えたいのか
伝わってこず、熱さが空回りしてしまってる印象。個人的にはかなり苦手なタイプの歌詞かも…。
とは言え、全体のクオリティは高いと思います。
X同様、キャッチーさが高いのでメタルファン以外にも受け入れられるのではないでしょうか。
…っていうか、聴いてて、X大好きでしょ?って思うところが結構あったりします(笑)


VRAIN - RENDEZ BLUE - MOONLIGHT RENDEZVOUS ★★★ (2008-05-01 23:21:36)

何気にアルバム中一番好きな曲だったりします。
ちょっとジャズっぽいお洒落な雰囲気が感じられる曲ですが、キーボードと絡むギターの音色が凄くいい。フレーズやアンサンブルだけでなく、音色にまでしっかりと配慮が行き届いてるアレンジ能力の高さが窺えますね。


VRAIN - RENDEZ BLUE - RISE ★★★ (2008-05-01 23:20:01)

オープニングからいきなりの離陸→飛翔でめっちゃ痺れる。
一旦飛び出したらラストまでテンションが落ちず飛翔しっ放し。ラストテンポ落とす所まで聴くと、曲を聴いただけなのに何かをやり遂げたような充実感(笑)。ただ、欲を言えばコーラスはもっと力強いほうが良かったなぁ。


VRAIN - RENDEZ BLUE - SOARING REFRAIN ★★★ (2008-05-01 23:20:49)

このバンドって本当にメタルが好きなんでしょうね…。
キーボードが目立つフレーズを弾いている時や歌メロが前に出てる時でさえ、ギターが単調な刻みリフで援護に回ったりという事が無く、しっかりと存在感のあるフレーズを入れるバトル上等なアンサンブル。やっぱりメタルのアンサンブルはこうでないと!


VRAIN - RENDEZ BLUE - 熊ん蜂の飛行~FLIGHT OF THE BUMBLEBEE~ ★★★ (2008-05-01 23:22:34)

有名なクラシック曲のカヴァー。
あの忙しないフレーズをど迫力のバンドサウンドで再現してかっこよくならない訳が無い!!脳味噌引っ掻き回される…どころかブッ掻き回されます(意味不明)。


VREDEHAMMER ★★ (2011-10-25 22:04:06)

ノルウェー産ブラック。
ex-ELITEのPer Valla氏が中心となって活動しているバンド。


VREDEHAMMER - Pans Skygge ★★★ (2011-10-25 22:06:14)

2011年発表の5曲入りEP。
ちなみにまだフルアルバムはリリースしていない模様。

ショップやネットの評価でも、最近のメジャー路線のKEEP OF KALESSINの良質なフォロワーが現れたと評判になってて、「これはチェックせねば」とCD買いに走りましたが…確かに「Reclaim」EP以降の、スラッシーに刻み込む、攻撃的かつ繊細でメロいリフワークを主体で攻めるスタイルのブラックで、インスト明けの2曲目からいきなり機銃掃射のようなリフが胸を熱くさせますね。

ヴォーカルの狂気に任せず、一語一語をダーティに、確信を持って吐き出すようなパフォーマンスも、(KOKの)Thebonのスタイルに似たものがあります。ただゴシック的な暗さを演出するインストで始まったり、所々に暗鬱としたメロディを挟んだり、近年のKOKよりも全体的に暗めな印象。また、ヴァイキング的な朗唱や掛け声なども導入しているのが特徴で、ラストの曲はほぼ完全にヴァイキングメタル。

ただ、作曲のクオリティは非常に高いんですが、予算とメンバー構成の違いのせいかプロダクション面ではKOKには今の所水を開けられてる感じですね…特にドラム、打ち込みっぽい違和感こそ少ないものの、KOKの達人が呼吸を合わせる感じがなくて物足りない。ギターがノイジーなのは、時々大味に聞こえてしまう時もあるけど、近年のKOKにはないカルトな迫力も出てるので、一概にマイナスとは言えないと思う。

ちょっと迷ったんですが、スタイル自体がかなり好みなので、☆は3つ付けちゃいます。このバンドもVyl氏のような、超絶ドラマーが加入したらもっと素晴らしいものが作れそうなんですけどね…。


VREID - I krig ★★★ (2008-06-30 21:54:00)

2007年発表の3rd。

このバンドはヴァイキングメタルとして評価の高いバンドであるWINDIRのメンバーの多くが関わっているようですが…私はWINDIRは未聴なんですが、このアルバムは良いですね。

このバンドもヴァイキングメタルを演ってるんですが、漢コーラスや海賊チックな朗唱、民族的なメロディの導入やピアノ・ストリングス等の楽器による情景描写などいかにもヴァイキングメタルという感じのものだけでなく、ロック乗りのリズムにメタルの強靭なリフを組み合わせたダイナミズムでヴァイキングらしさを演出する近年のENSLAVED的な手法、ブラックの平坦なリフをリズム楽器のように使って民族の士気を高めるノリを演出する手法なども見られ、かなり多角的な面からヴァイキングらしさを追求しているというのが伝わってきます。

もちろん、民族メロも多分に含むトレモロの煽情度、ヴォーカルのエグイ歪みの掛かったデスヴォイスやヴァイキング的朗唱、タイトかつクリアで音量も適切な音質など、メタル音楽として基本的な部分での質も高いです。メロデスもびっくりなメロディアスさの2曲目や、ヴァイオリンやチェロを使用したドラマティックな情景描写の光るタイトル曲なんかはかなりメジャーな雰囲気。ヴァイキングメタルファンのみならず、ブラックやメロデス好きならば聴いておいて損はないと思います。


VREID - I krig - Folkefiendar ★★ (2008-06-30 21:56:26)

ヴォーカルのラストの叫びに惚れた…


VREID - I krig - I krig ★★★ (2008-06-30 21:55:44)

ストリングスパートを挟んだ、ドラマティックな情景描写が堪能出来るタイトルトラック。ストリングスのパートは、映画でヴァイキングの船が港に入っていくシーンを見ているかのように鮮やかに場面が浮かびます。メンバーは軍服着てたりして強面調ですが、メロディセンスは実に繊細ですね。


VREID - I krig - Under isen ★★★ (2008-06-30 21:57:12)

民族掛かったメロディを惜しげも無くリフに練り込み、華麗に疾走するキラーチューン。この非常にメロディックでいて甘くならない曲想は、名盤「Under the Sign of Hell」でのGORGOROTHに近しいものがあるかもしれません。


VROLOK ★★ (2010-05-03 14:57:00)

アメリカ産アンビエント・ブラック。
関連メンバーがMORTIFERA(フランス)、NOX INFERI(オーストラリア)と何気に
ワールドワイド。ブックレットによると、アイスランドでレコーディングとかも
してるらしいし…鬱系に近い音でありながら、実は世界を股にかけて活動してる模様です。


VROLOK - Void (The Divine Abortion) ★★ (2010-05-03 14:56:00)

2007年発表の…ブックレットによると2ndらしいです。

音的には…ノイジーに引き摺るリフといい、葬式めいたメロディといい、ドゥーム的な要素もかなり強いアンビエント寄りのブラック。特に4曲目、空気を震わせながら引き摺るリフの音色なんて、ほぼスラッジに近いといえると思う。この手にしては珍しく、キーボードを使用しないタイプで、代わりにハーモニカや、聖歌や効果音、映画からの引用などのサンプリングを用いて、雰囲気を演出するのも特徴ですね。

また、クレジットによるとドラムトリガーも使用していないそうですが…それがかなり効果を上げている感じがします。普通、音楽に「方向」なんて概念は無いですが…この作品の、特に疾走パートにおいて、下に落ちていくような錯覚を覚えるのは、独特のリズムをこの音色で演っているからだと思う。それと引き摺り系の、葬式メロディのリフが絡むと、まるで視界が黒く染まり、腐り爛れて落ちていくかのような感覚があります。

特に前半、出足の遅い曲が多いため、パッと聴いた分には少し取っ付き辛さを感じるかもしれませんが、それを補ってあまりある個性と暗黒性を感じさせてくれる作品です。鬱系に近い世界観でありながら、異なる方法でそれを描いている辺りに、個性があるように思います。


VULTURE INDUSTRIES ★★ (2009-03-01 07:23:00)

ENSLAVEDのライブメンバーが在籍するプログレブラック。
ARCTURUSやIhsahnのソロが好きな方にお勧め。
有名バンドのライブメンバー在籍のバンドって、何気に質が高いのが多い気がする。


VULTURE INDUSTRIES - The Dystopia Journals ★★ (2009-03-01 07:17:00)

2007年発表の1st。

「ARCTURUSっぽい」と前から評判の彼らですが…そう前置きされても、実際に聴いてみるとかなりの驚きがあるくらい、ARCTURUSソックリのプログレブラックですね(笑)。しかも特定のアルバムじゃなく、SFっぽい情景が垣間見えるキャッチーなリフやキーボードの音色は「The Sham Mirrors」に、気難しい賢者のような低音ノーマル声や全体に漂うリスナーを幻惑するようなムードは「La Masquerade Infernale」に通じるものがあるなど、ARCTURUSが今までにリリースしてきた作品全体から影響を受けたような仕上がりの音なのが面白いです。

…でも、ヴォーカルはGarm風に低音で歌い上げられる時点で歌唱力あると思う上、ブラック声もバリエーション豊かでかなりの実力者だし、曲自体もARCTURUSが3rdリリース後にメンバーを替えず出したアルバム…という嘘が罷り通りそうな程クオリティも高いと思うし、実はかなり凄まじい作品なのかもしれません。ARCTURUSで言う「The Chaos Path」や「Radical Cut」のようなスペシャルな曲に欠けるきらいはあるんですが、単なるフォロワーで片付けられない力作に仕上がっていると思います。

当然、ARCTURUSを知らなくてもプログレメタル好きなら楽しめる質の高さはありますが、やはりARCTURUSの主要な作品を押さえた上で聴くのがお勧め。特にARCTURUSファンにとっては衝撃作だと思います。


VULTURE INDUSTRIES - The Dystopia Journals - Blood Don't Flow Streamlined ★★★ (2009-03-01 07:20:20)

Garm風の低音ヴォーカルで早口で歌い上げたり、ヴォーカルはなかなか器用。
これを聴くと、「La Masquerade Infernale」でのGarmの歌い方で少しがなり入れると、Attilaの声にちょっと近くなるんだなぁ…と思えてきます。


VULTURE INDUSTRIES - The Dystopia Journals - Grim Apparitions ★★★ (2009-03-01 07:22:07)

ベースの深い音色が、聴いていて気持ちの良い曲。
声質が変わって聴こえるほどにメロディに抑揚を付けて歌うヴォーカルも面白いです。


VULTURE INDUSTRIES - The Dystopia Journals - Pills of Conformity ★★ (2009-03-01 07:19:27)

SF的宇宙観のケレン味と、曼荼羅的宇宙観の神秘性の両方を持ってる曲。
しかし、ヴォーカルの第一声にはびっくり。あまりにもGarmにそっくりで…ARCTURUSを知っているなら少なからず驚くと思います。


VULTURE INDUSTRIES - The Dystopia Journals - The Benevolent Pawn ★★ (2009-03-01 07:21:18)

宇宙的浮遊感の丁寧な描写はARCTURUSの4thに通じるものも。
やっぱり色々な作品が混じってる気がする。


VUOHIVASARA - Perdition Reigns Supreme ★★★ (2014-03-05 20:08:03)

2012年発表の2nd。

プレイボタンを押して早速流れる音が、ヘヴィさではなく生々しさを強調したような、ややノイジーなプロダクション、悲壮感を伴うトレモロリフ、プリミティブな衝動性をぶち撒ける絶叫ヴォーカルと、アンダーグラウンドな雰囲気を色濃く残す、如何にもなブラックだと思いきや…聴き進めて行くと意外にもメロディアスな作りになっていて、ちょっと驚きました。

殆どの曲で聴けるトレモロリフのメロディは、語弊を恐れずに言えば「クサい」と表現しても憚らないくらいのドラマティックさだと思う。クサさだけでなく、悲壮感や土着性から来る邪悪さも両立させていて、ホント素晴らしいメロディセンス。音作りやムードはカルトな雰囲気を漂わせてますが、このドラマ性に富んだトレモロと刻みリフを駆使した起伏のある曲作りは、メタルとしての正統なかっこよさもかなり強いように思います。

個人的には、土着性や衝動性を感じさせる、アンダーグラウンドな音楽として本気な音ながら、正統派的なかっこよさもあるブラックと言うことで、初期GORGOROTHに通じる雰囲気も感じる作品。ああいうRAWでメロウな音が好きであればお勧め。分かりやすい魅力のある素晴らしいアルバムだと思います。


Von Branden - Flammenreich ★★ (2013-06-01 17:28:02)

2012年発表の2nd。

ブラック特有の、禍々しいエナジーを放出するようなどす黒いディストーションを音像の真ん中に据えつつ、トレモロリフやリードギターが儚く神秘的で、時に幽玄さを感じさせるメロディを紡ぎながら進行する、シューゲイザー寄りの感性を持ったブラックメタル。ドリーミーというよりはナイトメアな音像、汚くエモーショナルな濁声ガナリヴォーカルなど、この手のブラックの中では直接的な攻撃性も強めの音。

このバンドの音楽性は、クラシックやジャズ等からも影響を受けているという事なんですが…そういった要素はあくまで副次的で、基本はシューゲイザー系ブラックな感じなのがちょっと物足りないかも。そういう素養があるなら、個人的にはもっとあからさまにやってくれた方が面白くなったような気もします。ただ、黒い音像の中に神秘的なメロディが仄めく様は、ちょっと最近のLUNAR AURORAを思わせる所もあるので、その点はかなり好みなんですが。

という訳で、シューゲイザー寄りのブラックは好きだけど、ブラックメタル本来の邪悪さや攻撃性はある程度保っていないと駄目…という人はかなりハマる作品なのではないでしょうか。私としてはもっと雑多な面を押し出して欲しかった感はありますが。


WALLACHIA ★★ (2013-01-06 23:26:38)

先日Debemur Mortiより新作を発表した、ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド。何気に結成は95年とかなり活動期間の長いバンドらしいです。


WALLACHIA - Shunya ★★★ (2013-01-06 23:27:10)

2012年発表の3rd。
日本人名っぽいアルバムタイトル(笑)。「俊也」ってところでしょうか。

路線としては、トレモロや刻みをバランス良く織り込んだギターリフに、シンセによる荘厳な装飾を纏って疾走する、メロデス要素もあるシンフォニック・ブラック。生のストリングスを使用するパートもあったり、シンセが弦や鍵盤系だけでなくサイバー系やSE系の音色も交えていたり、ドラマ性に富んだクオリティの高い音。何気にギターリフが耳を惹く箇所も多く、バンドサウンドと装飾のバランス感覚も良い感じ。

ただクオリティの高いシンフォニックブラックというだけでなく、個人的にはBORKNAGAR辺りに通じる、バイキング風味の勇壮さにプログレッシブな感性が加わったような、独特の感覚も覚えるんですよね。特にブラストで攻めるパート、暴虐さよりも勇壮さと神秘性が同時に伝わってくるような雰囲気が似ている気がします。この辺り、シンフォ系のテンプレ通りでない魅力が感じられてグッド。

様式をなぞっただけの音とは一線を画してますし、聴きやすさ、クオリティの高さ共に申し分のない音だと思います。シンフォブラック系の基本バンドを一通り押さえて、更なる深みに嵌まっていく足がかりとしても非常にお勧めな音源。


WALTARI - Blood Sample - All Roads Will Lead to Rome ★★ (2006-11-29 19:59:56)

まさかメタルバンドのアルバムでこんな曲が聴けるとは…(笑)
DJと思しき声やターンテーブルまで入ってかなり本格的なラップが聴けます。しかもサビは友人に「この曲最近流行りの洋楽で、車のCMにも使われてるんだよ」とか言って聴かせたら普通に信じそうなくらいキャッチーで、ほんとかっこいいです。かなりの名曲だと思いますがラストのヴォーカルが猫なで声みたいであまり好きじゃないので、★2つ。


WALTARI - Blood Sample - Exterminator Warheads ★★★ (2006-11-29 19:57:16)

カミソリの様に鋭いリフ捌き、絶叫するヴォーカル、ブラストビート全開の非常にブルータルな楽曲…だと思ってたら、いきなり何かを哀願するような声でラップを始めやがった…面白すぎるんですが(笑)。★は幾つ付けても付けたりないくらいです。
しかしこれ、他には結構ポップな曲もあるのに、リフなんてエクストリーム路線のみを追い求めている、それも一流のバンドにも全く引けを取りませんね。凄い。


WALTARI - Blood Sample - Helsinki ★★★ (2006-11-29 19:58:15)

私的WALTARI初体験。
このバンドはインダストリアルやテクノを始め、様々な要素を取り入れるのが上手いと各所で絶賛されてましたが、評判以上ですね。弾けるようなサンプリング音が心地良いです。他にも絶叫→ラップとかの展開も面白いですし、歌メロ自体もなかなかに良い。1曲目からセンスの良さが滲み出てます。


WALTARI - Blood Sample - New York ★★★ (2006-11-29 20:01:13)

スラッシーでかっこいい曲だと思ってたら、間奏辺りからリフが禍々しさを帯び始め、絶叫も伴ったデスパートに。こうしたパートだけを集めてアルバム作っても名盤が出来そうなくらい、各要素のクオリティが高いです。特にリフに痺れる。


WALTARI - Yeah! Yeah! Die! Die! Death Metal Symphony in Deep C ★★ (2009-06-25 22:02:00)

96年発表の5th。
私は「Space Avenue」二枚組のボーナスディスクで入手しましたが、オリジナル盤は
トラック分けがされておらず、全てが1トラックに入っているものもあるそうです。
聴いてみての第一印象は…前評判通りのド派手な音像に悶絶したのももちろんなんですが、
それ以上に「アイデア勝負な作品」というものでした。例えばメロブラ調のトレモロ疾走と
ディズニー的?な華やかなオーケストレーションを交互に繰り出したり、忍び寄る弦の
妖しいメロの上で脅かすようにバンドサウンドを断続的に入れたりなど、彼ららしい
変則的なアレンジがそこかしこで聴かれ、全く予定調和にならない作品に仕上がってますね。
シリアスなだけでなく、少し滑稽味のようなものが混じっているように感じられる辺り、
逆にただならぬ凄みを感じられるように思います。
10分以上に及びバンドサウンドを排した、本物の交響曲のようなパートを挿入したり、急に
四つ打ちメタルになったりする展開は、普通のシンフォデス/ブラックではまず聴かれない
ものではないでしょうか。この辺りが、この作品より派手な音を出すバンドが増えた昨今でも、
マニアの間で神格化されている要因なのかもしれませんね。ただし、トラック分けなしの
バージョンの方では、前者は結構辛いものがあるという気もしますが。
ただ、ラップ入れてチェキとか言っちゃうのは良いんですけど、それが今一つキレが無いように
感じられるのはちょっと不満。メタルにラップ入れるのは構わないけど、韻律の心地良さとか
早口のかっこよさとかがもっとあって欲しい。この辺りはMANESの3rdの方が良かったかも。
あと普通声パートになよ声で歌ってる部分があるのも少し受け入れがたいものが…。
まあそれを差し引いても、シンフォ好きならマストである出来には変わりませんが。
でも、この作品最近店舗とかで見かけない気がするんですが、もしかして廃盤なんでしょうか…
普通にHR/HM名盤ガイドとかに載る出来だと思うんですけど、もし廃盤ならさっさと再発して
欲しいです。もちろんその時はトラック分けをちゃんとやっているバージョンで。


WAR INSIDE - S.U.T.U.R.E ★★★ (2017-04-07 23:02:11)

2016年発表の2nd。

フランス産のいわゆるブラッケンド・デスとの事ですが…これはハイクオリティかつ、デス・ブラックの配分が結構ユニークで、魅力的な作品ですね。この手のバンドって、デス要素がブルデスの禍々しさ・強靭さを重視することが多い印象がありますが、このバンドはそれだけでなく、OBITUARY(の疾走部分)やMALEVOLENT CREATIONなど、スラッシーなオールドスクールデスに通じる切れ味も重視している感じがします。

そこにブラックメタルらしいメロウかつ毒のあるトレモロや、どす黒いメロディ使いなどが合わさり、より展開にメリハリが付けられており、聴いていて引き込まれる仕上がりに。ヴォーカルもオールドスクールデスを思わせる吐き捨てながら、どこかブラック的な狂気も感じさせる声で音にピッタリ。ちなみに、音作りも当然のようにメジャー級。クリアかつ暴虐性をしっかり伝えるヘヴィさを兼ね備えた、このジャンルとしての「良い音」出してます。

ジャケやアートワークからして何かスペシャルなものを聴かせてくれそうな雰囲気がありましたが、見事に期待に応えてくれた作品。デス・ブラックどちらも行ける方は是非。


WARDRUNA - Runaljod – Gap Var Ginnunga ★★ (2009-10-31 06:59:00)

GORGOROTHのEinar、Gaahl等によるフォーク/アンビエントプロジェクト第一弾。
2009年発表。ライナーを読むと、三部作のうちの一枚目となっているようですね。

靄が掛かったような、妖しげな雰囲気を醸し出すドローンとトライバルなリズムをバックに、男性ヴォーカルの詠唱や女性ヴォーカルの祈祷的歌唱、フィドル等による民族的メロディなどが乗り、本格的に中世のシャーマニックな世界観を描く、神秘的なサウンド。民族的なクサメロやディフォルメされて分かりやすくなったヴァイキング像などの、エンターテイメント性はほぼ皆無で、GRAVELANDやLUCIFUGUMと比べてももっとストイックな音を出してると思う。

そのせいか、遠くの村で儀式の煙が上がっているのを見ている感じだったり、陶酔の中で儀式の幻覚を見ているようだったり、どこか俯瞰視点で情景を見ているような雰囲気があるんですよね。それが逆にサイケな感じを際立てていると思う。…でも、ヴァイキングについて知識があるとは言い難いうちらが聴くと、中世のヴァイキングやルーンといった景色じゃなくて、未開の森の首刈り族みたいなものを想像してしまうんですけど(笑)。

余りにも本格的に世界観を追求しているため、かなり人を選ぶ作品だと思います。
フォークメタルでは物足りなくなったペイガン好きには大推薦。