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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6701-6800
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6701-6800
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WARDRUNA - Runaljod – Gap Var Ginnunga - Thurs ★★ (2009-10-31 07:01:32)

TRELLDOMの悪夢再び、な声ドローンを含む曲。
Gaahl様のお顔を思い浮かべながら聴くとかなり恐いかも。


WARLOGHE - The First Possession ★★ (2009-02-12 18:51:00)

99年発表の1st。

ブックレットを開くと、歌詞ではなく「今のブラックメタルは弱っちいジョークや金儲けの手段以外の何物でもねぇ」と息巻いてるステイトメントが目に入りますが…まあそこから想像出来るようないかにもなプリミティブブラックです(笑)。

音質が音像の中心にギターノイズが居座っている、結構独特なもので少し聴きづらいですが、そこから漏れてくるメロディは美しいし、ヴォーカルも恐ろしく潰れた、ねちっこいがなり声で邪悪さ満点だし、「プリブラとしての質の高さ」の要件は十分に備えていると思います。刻みリフで溜めてからトレモロリフに雪崩れ込んだり、切り返して疾走したりプリブラのアングラ感を壊さない程度のメタリックなかっこよさもあって、ミニマリズムよりもドラマ性を重視するタイプの作風と言えそう。

少し初心者には音質的に厳しいかもしれませんが、プリブラの良盤だと思います。フィンランドがプリブラのメッカになりつつあることを示す好例だと思う。


WARLOGHE - The First Possession - Black Metal Hell ★★ (2009-02-12 18:54:39)

なんかB級めいたタイトルですが、中身はA級のプリブラです。
刻みリフでこちらの高揚感を煽るだけ煽っておきながら、トレモロリフで視界を広げていく展開が実にかっこいい。頭の2曲で、リスナーを引き込む力があると思う。


WARLOGHE - The First Possession - Once More Against the Light (for Satan) ★★★ (2009-02-12 18:55:29)

音質こそチープなものの、スケールの大きい破滅を描くようなメロディが絶品な曲。もう少しメロディが聞き取りやすければなぁ…と思わなくもないですが、想像力で補完できる余地があるからこそ、更に良く聞こえるのかも。


WARLOGHE - Womb of Pestilence ★★★ (2009-02-12 18:53:00)

2003年発表の2nd。

リフ捌きが邪悪さ>メロウさの傾向がいくらか強くなった(気がする)とか、ダウナーなヴォーカルがよくもまあこんな搾り出すような、潰れた声で歌えるなぁ…と感心してしまうレベルになってきたとか、細かく異なったり成長してると思う部分はあるんですが、まあこの手のバンドが容易に音楽性を変える筈もなく…今作も前作同様の、真っ黒なプリミティブブラックど真ん中な音を聴かせてくれます。

ただ、音質は前作とは結構違ってますね。
前作ではジリジリした音色のギターノイズが音の真ん中に居座ってる感じでしたが、今回はノイズが全体に広がり、くぐもった音になった感じがします。耳に痛い音ではなくなった分、聴きやすくなったともいえるんですが…私的にはこの音質によって、前作よりも地下臭さが顕著になったように思います。

1st、2ndどちらも良質なプリブラなので、あとはどっちの音が好みか…ですね。
ちなみに、1stと一緒に2008年にNorthern Heritageから再発されました。
一般的なメタルの価値観から言ったらチープであっても、アングラの価値観から見てクオリティの高いものをリリースしているというのは、いかにもこのレーベルらしいですよね。


WARLOGHE - Womb of Pestilence - A Monolith Clad in Fog ★★ (2009-02-12 18:56:32)

呪いの儀式を楽器で演ったような曲。
ヴォーカルも憎たらしい相手を具体的に思い浮かべてそうな、恨みがましさ全開のパフォーマンスで実に素晴らしいです。


WARLOGHE - Womb of Pestilence - Dark Spires Swirl in the Abyss ★★★ (2009-02-12 18:58:17)

やっぱりリフ捌きは前作よりも邪悪になってると思う。
魔が音に引き寄せられて集まってくるような感覚が出てきた感じ。でもこの曲のアルペジオのメロディ、なんかめっちゃ既聴感があるんですが…。


WARLOGHE - Womb of Pestilence - Illuminating Void ★★★ (2009-02-12 18:57:19)

今作中最もメロディが立ってると思う曲。
録音状態はかなりチープだし、メロディも結構シンプルなんですが、出ている音以上に深遠な感覚を覚えるんですよね…。こういう感覚が欲しくてプリブラみたいな魔境音楽を聴くのかも。


WARTHA - Paŭstań ★★ (2014-05-11 14:43:31)

2013年発表の1st。
IMMORTALのカヴァーを含む11曲入り。

ベラルーシ産のペイガンブラックという物珍しさと、ショップの紹介でもこの手のバンドの注目株と目されているという紹介に惹かれ購入。確かに、これは期待を裏切らないだけのものがありますね。オーケストラ以外にも笛の音色なども含む、シンフォニックなキーボードと、ソロにもパートを割いた、楽曲のメロディアスさを強調するメロデス風のギターワークが絡み、非常にドラマティックに展開していく、エピック極まりないペイガンブラック。

流石にショップで「脅威の新人」と言われるだけの事はあり、この手で最も重要になってくるメロディセンスはかなりのもの。ペイガン的なエスニックな神秘性と、クラシカルな華やかさを備えたメロディはクサメロ好きにはかなりグッと来る。これがドラマ性を重視したギターワークや展開と上手く噛み合ってるんですよね。ただ、声楽的な割に妙に線が細い女性ヴォーカルは、個人的にはちょっと微妙だと思ったり。確かに親しみやすくはあるけど、ここは神秘性を重視して欲しかった。

ペイガンってエスノセントリズムを追求する余り、危険思想に行き着くバンドも少なくないですが、そういうリアルなヤバさではなく、むしろ愛嬌があると言っても過言ではないくらい取っ付きやすい音だと思う。アングラさよりもむしろクサメロ求めてペイガン聴いてる人にお勧め。


WATAIN - Lawless Darkness ★★★ (2010-07-13 14:26:00)

2010年発表の4th。
Terrorizer誌で満点を獲得するなど、既にプレスからは非常に高い評価を得てますね。発売前のリスニングパーティでは、雑誌記者に杯に入った血を飲ませようとしたとか(笑)。

前作と比べると少し音質のシャリシャリ感が強くなってますが、作風に大きな変化はありませんね。相変わらず真性ブラックの邪悪さ、メロブラの甘美さ、ファストブラックの攻撃性を兼ね備えたような、エクストリームメタルとしての質の高さと、ブラックの真髄を聴かせる事を見事に両立させた作風。この手のブラックではONDSKAPTやOFERMOD、AZAGHALなども非常に良質な作品をリリースしてますが、これを聴いて、WATAINは一段上の高みにいるな…と思いました。

個人的に、凄みを感じる理由としてはアンサンブル、特にドラムが素晴らしいからだと思うんですよね…時にファストブラック以上のテンションで畳み掛け、時にプリブラ以上の陶酔感を生み出し…それらを、ヴォーカルラインやリフ捌きとしっかり連動させているのが凄い。空気を読みつつも場を支配している、みたいな感じ。このアンサンブルのお蔭で、ある意味躍動感のある音像に仕上がってるんですが…その躍動感が、「得体の知れない暗黒が脈動する感じ」にまで繋がっていると思います。

ヴォーカルのドスの効いたがなり声、長丁場もダレさせずに聴かせるインテンスなリフ捌き、毒々しさや邪悪さに甘美さも混じった漆黒のメロディなど、前作からの美点もしっかり引き継ぎつつ、DISSECTIONの「ReinkaΩs」にも通じるどす黒い躍動感を、メロデスに接近する事無く取り入れたような作風だと思う。

演奏時間は80分(ボートラのDEATH SSカヴァー含む)と長いですが…集中して聴くとあっという間。嘘だと思うなら、是非腰を据えて聴いてみてください。ここまで緊張感ある80分はなかなか無いですよ。もしかしたら、2000年以降のブラックメタルでは、FUNERAL MISTの「Salvation」と並ぶ、クラシックな名盤と言える作品になるかもしれません。前評判の高さは伊達じゃないですよ。


WATAIN - Lawless Darkness - Four Thrones ★★★ (2010-07-13 23:38:45)

キーボードは入っていないんですが…個人的に、初期EMPERORに通じるマジな邪悪さを感じる曲。特に「Equilirbium of TOTAL DEATH」の後の畳み掛けるパートにそれを強く感じます。EMPERORが、1stや2ndの頃の感性のまま、シンフォ要素を捨てて進化したらこういう曲を作ったのでは。


WATAIN - Lawless Darkness - Reaping Death ★★★ (2010-07-13 23:35:52)

「Lawless Darkness」は、現時点では同系統のブラックの中でもトップクラスのアルバムだと思いますが…中でもこの曲は頭抜けてる。最初の畳み掛けからハッとなりますもん。WATAINってこういうリズムを演らせたら右に出る者はいないバンドだと思う。そこに絡むヴォーカルラインも、Arioch氏に匹敵するくらいセンスいいと思う。
また、メロディ面でどこか後期DISSECTIONへのリスペクトも感じられますね。こういう音を出すバンドがいるなら、Jon氏も安心して冥界を統べていられるというものです。


WATAIN - Opus Diaboli (2cd+dvd) ★★★ (2012-05-20 20:18:23)

2012年発表のライブCD2枚+ドキュメントDVDの計3枚組。

「DVD」
海岸を歩く魔術師(?)や、這い回る蛇などを用いた、メンバーの感性による映像美を表現したようなイメージ映像パートと、Erikのインタビュー、そしてライブ映像が交互に出てくる構成。インタビューは要所で映像と共にエフェクトもかかり、ちょっとホラー映画を意識したような感じですね。内容は自分達のメタルバンドとしての立ち位置や、音楽への考えを述べてたりして興味深いですが、何分英語なので…(笑)。あのアートワークでよく見る三叉槍に逆さ十次を組み合わせたマークに、深い意味がある事には驚きました。

そしてライブは文句なくかっこいいですね。
凶悪なエピソードから想像するような、衝動だけに任せたような感じは全くなく、しっかりメタルバンドとして貫禄のある、威風漂うパフォーマンスをしてますね。フロントマンのErik氏の存在感も抜群で、時折悪魔の楽団を指揮するように両手を掲げたり、手を合わせて客席を睥睨したり、一つ一つの所作がいちいちかっこいい。パイロを使用した、凝ったセットとも相俟って、普通のメタルバンドではありえない儀式的な空間が形成されてると思う。勿論、エクストリームメタルとして優れたステージを見せてくれてるのは前提で、「その上で」です。

「CD」
こちらは純粋なライブ盤。
音質は流石にスタジオ盤よりは粗いですが、各楽器の音はしっかり聴き取れ、ブラックのライブ盤としてはかなり良い方だと思う。これを聴くと、如何に彼らがライブ映えする曲を作ってるかが分かりますね…。「Reaping Death」は聴いてるだけで体が動くし、「Stellarvore」は拳を上げたくなるし、「Waters of Ain」のギターメロはうっとりするくらい美しい。スタジオ盤よりストレートに怒りをぶつけるようなErikの声もかっこいい。プロフェッショナルなライブという感じなんですが、一方でステージに上がったら殺されそうな、ステージを自分達の聖域にしているような殺気めいた気迫も伝わってきます。

3枚組の作品という事で、多少値段は張りますがWATAINのアルバムを持っている方なら買って損はない作品。まあ正直言うと、DVDの構成はライブかインタビュー、どっちかに集中できないのでちょっと微妙だったりはするんですが…それでもお勧めです。


WATAIN - Sworn to the Dark ★★★ (2007-05-29 22:59:00)

2007年発表の3rdアルバム。

本人達は過去の作品について「核爆弾を作ったはいいが、それを落とす為の戦闘機がない」と流通の乏しさを嘆いていたようですが、このアルバムはこの界隈では大手のレーベルであるSeason of Mistから出ているので、その不満も解消されたのではないでしょうか。実際、私もこの作品で初めて彼らを知りました。

音楽性のほうですが、本人達はそれほど意識しているわけではないようですが、DISSECTIONが良く引き合いに出されているようですね。確かに、ヴォーカルの切れ味の鋭いがなり声、叙情味のあるメロディが絶妙のタイミングで炸裂する展開のドラマティックさなど音像が割と近いことに加え、メンバーの一人がDISSECTIONにライブメンバーとして在籍していた経歴があったり、引き合いに出されるのもよく分かります。

しかしそれ以上にDISSECTION的だと思うのは、個人的な意見ですがこの作品を聴いていると彼らの「The Somberlain」にも通じる、初期ブラック特有の禍々しさが強く継承されているように思えてならないからかもしれません。DISSECTIONと比較すると、雰囲気は寒々しいと言うよりもどちらかといえば毒々しさや禍々しさが強いように感じます。

また、音質もクリアながら低音が効いていて音圧があり、ベースもよく聞き取れますね。結構メロウなフレーズを弾いたり、ゴリゴリ言わせたりベースが重要な役割を担っているパートも多いのでこれは嬉しい。DISSECTION以外には、DEATHSPELL OMEGAやMARDUKも引き合いに出されていたのを見たことがありますが、そうした毒々しさや音の太さを考えれば、充分に頷けます。

纏めると、メロディ、展開、雰囲気など隙の無いクオリティの高いブラックだと思います。DISSECTIONやMARDUKが行ければ大丈夫だと思うので、是非初心者の方にも聴いて欲しいです。


WATAIN - Sworn to the Dark - Legions of the Black Light ★★★ (2007-05-29 23:07:15)

DISSECTIONのJonに捧げられた曲。
だからなのか、他の曲以上にDISSECTIONっぽさを感じますが、彼らの個性もしっかり出ていて、全く模倣っぽさは無いのが素晴らしい。でも、DISSECTIONを1st、2ndしか聴いていない人に、「Maha Kali」と同時に聞かせて、「どっちがDISSECTIONの新曲でしょう?」ってやったら普通にこっちと答える人が多そう(笑)


WATAIN - Sworn to the Dark - Legions of the Black Light ★★★ (2007-06-05 21:04:19)

DISSECTIONのJonに捧げられた曲。
その為か、このバンドの個性に加えて結構DISSECTIONっぽさも感じる箇所がありますね。後半のメロウなギターソロとか寂寥感ある刻みリフとかがそれっぽいです。DISSECTIONの1st、2ndが好きならば必聴の名曲。


WATAIN - Sworn to the Dark - Satan's Hunger ★★★ (2007-06-05 20:53:57)

淡々とした冷徹さで押すパート、どこか近年のSATYRICONにも通じる催眠的残虐さがありますね。それだけでなく、いかにもブラック然とした甘美で邪悪な泣きメロも完備しており、それを両立させるセンスの高さが素晴らしいです。


WATAIN - Sworn to the Dark - Stellarvore ★★★ (2007-06-05 21:01:25)

アルバムのラストを飾る曲。
ラストだけあって、不気味な普通声によるヴォーカルも取り入れ、更に禍々しい雰囲気が強調されているような気がします。途中ヴォーカルのデス声と槌を振り下ろすようなバンドサウンドの掛け合いがありますが、音質が良いため迫力があって良いですね。


WATAIN - Sworn to the Dark - Storm of the Antichrist ★★ (2007-06-05 20:56:10)

この暴虐さとメロウさが共起する作風、いかにもスウェーデンのブラックメタルバンドっぽいクオリティの高さがあって良いですね。特に疾走パートはMARDUKにも通じる暴虐ぶりで、実にかっこいいです。


WATAIN - Sworn to the Dark - Sworn to the Dark ★★★ (2007-06-05 20:58:36)

どこか威風を感じるブラックメタル。
特にタイトルを禍々しい声で連呼する箇所なんて、悪魔の軍勢が進軍してくるよう…


WATAIN - The Wild Hunt ★★★ (2013-08-22 23:25:46)

2013年発表の5th。
今度はCentury Mediaに移籍してのリリース。

邪悪な属性を帯びつつも、狂熱に浮かされたような高揚を感じさせるリードギターや、ブラックメタルならではの邪悪の美学を音で叩き込むようなトレモロ、ブラストだけでなく、オールドスクールな畳み掛けも多用し、重厚かつテンション高い曲作り…など、WATAINならではの魅力は前作同様で、彼等の音に魅せられている方なら当然の如く陶酔に導かれるような作品…ではありますが、前作とは大分変わったポイントもありますね。

まず音作りも曲作りも、より「工夫が凝らされた」音になっていると思います。プロダクションは前作以上にクリアで、メジャーな音という感じですが…そこに効果音やヴォーカルエフェクトなどがバンドサウンドの迫力を後押しするように使用された展開が多く、より雰囲気を感じる音像になったように思います。ただ、「RAWな音」からはまた一歩遠ざかった感じなので、この点は好みが分かれるかも。

曲の方も前作までと比べると、ミディアムテンポでムードを重視した展開や、リードやトレモロリフによるメロディを聴かせる展開が増え、より複雑化した印象。キーボードを使用した頽廃的な雰囲気の演出、アトモスフェリックブラックのような包み込むようなノイジーなリフを使ったパートまであるのはちょっと意外。私はこのバンドの持つ、邪悪美が込められたメロディセンスが好きなので、これくらいのバランスであればそれを強調するこれらの展開はむしろ歓迎。

ただ、どうしても許せないのが、聴いてていたたまれなくなるようなErik氏のクリーン。いつもの鬼気迫るがなり声が嘘のように凡庸で、彼に感じていたカリスマが減退してしまった気すらするんですが…。しかも大作曲「They Rode on」、タイトル曲「The Wild Hunt」と、アルバムのキイとなる楽曲で使われているのが辛すぎる。もしこの路線がこれからのWATAINを暗示しているのだとすれば、正直泣きたいです。ぶっちゃけこの2曲だけウォークマンに入れてないです。

ただ、前述したように楽曲の魅力自体は今までのWATAIN同様、凡百のバンドを寄せ付けないものがありますし、カオティックな「Outlaw」のような新機軸なかっこよさを打ち出した楽曲もありますし、良いアルバムである事は間違いないです。特に「Rabid Death’s Curse」「Casus Luciferi」よりも「Sworn to the Dark」「Lawless Darkness」の路線が好みの方はとにかく買うべき。


WATERCLIME - The Astral Factor ★★ (2007-12-09 22:40:00)

VINTERSORG、BORKNAGARなどヴァイキング/プログレブラックで名を馳せる、
Mr. VことVintersorg氏の別プロジェクトの、2006年発表の1st。
Vintersorgは幼少の頃に70年代のシンフォニックロックやジャズロックなどの洗礼を
受けたらしく、こっちではそういった影響を強く感じさせるハードロックをやってます。
邪悪さや暴虐性などは望むべくもないですが、メロトロンやムーグなどのキーボードを
敷き詰めた、アトモスフェリックでどこか温かな、幻想的なサウンドが楽しめます。
結構フルートなんかも入ってるのがVintersorgらしいですね。
ただ、こういう温かな雰囲気はもしかするとブラック好きには受けないかもしれません。
私も正直苦手な部分があったりします…が、1、3、8辺りは名曲だと思います。
また、VINTERSORG名義の作品と違いこっちは全て普通声で歌ってますが、やっぱり
彼のヴォーカルは素晴らしいです。まず上手いし、色気ありすぎだし(笑)
ライナーを読むと、このプロジェクトは実験や、抑圧や深い目的のない、リラグゼーションと
しての場所が欲しくて始めたと言う事ですが…謙遜としか思えないプロフェッショナルな完成度。
2007年はVINTERSORG名義でもWATERCLIMEでもフルアルバム出してますね…。
他にも色々なバンドに参加してるし、この人、本当に音楽を作るのが好きなんだろうなぁ…。


WATERCLIME - The Astral Factor - Mountains ★★★ (2007-12-09 22:43:24)

1曲目だけに、歌メロからして即効性抜群な曲。
もう歌詞の一行目の「♪lonely coast」の部分から、微妙なしゃくりあげを使ったVintersorg様の美声に酔い痴れちゃって下さい。ゲストのヴォーカルもヴォーカルスタイルが近いですが、やっぱりVintersorgの方が色気があって好きですね。


WATERCLIME - The Astral Factor - The Astral Factor ★★★ (2007-12-09 22:42:20)

アルバム中、個人的に最も鮮烈なイメージを感じた曲。
かなり作りこまれてる感じがしますが、歌も演奏も意外とメロディがキャッチー。こういうキャッチーさとプログレ的な深さを両立させる人って凄い。かなりの名曲です。


WATERCLIME - The Astral Factor - Timewind ★★★ (2007-12-09 22:44:13)

なんかタイトルからしてプログレっぽい(笑)
キーボードがふんだんに使用されたアルバムですが、この曲は特にその使い方が良いですね。異国情緒を感じさせるけど、どこの国か分からないというか…Vintersorgの心象世界といった感じでしょうか。イントロからその世界に引き込みます。


WAXEN - Agios Holokauston ★★ (2015-08-24 14:20:28)

2014年発表の2nd。

ONWARDという割と名の知れた正統派/パワーメタルバンドの元メンバーで、DARKANEのライブメンバーでもあるToby Knapp氏による独りブラックということですが、その出自を物語るかのように、猛烈な勢いで刻み込んだり、メロウなフレーズを練り込んだりするテクニカルでメタリックな魅力に満ちたギターリフが、他のプリミティブブラックとの大きな違いでしょうか。リードギターのメロディが強調されるパートはメロデス以上にメロディアス。

ただし、音作りは3部作期のDARKTHRONEが可愛く思えるレベルでキッツいです(笑)。普通の音量で聴くと確実に耳が痛くなること請け合いなノイジーなプロダクションで、ヴォーカルも人の声なのかノイズなのか分からないくらいのリバーブ掛かってるし、Raw過ぎるにも程がある音作り。ぶっちゃけ、耳が疲れます(笑)。それがギターリフのテクニカルさとアンバランスで、独特の作風になっているんですよね。

キレの良いギターリフとRawなプロダクションという事で、個人的にはKEEP OF KALESSINの「Agnen」アルバムを思い出しました。ただしこちらの方が(特に音作りの面に於いて)よりマニアックなので、購入時は覚悟しておいた方がいいかも。


WE BUTTER THE BREAD WITH BUTTER - Der Tag an dem die Welt unterging ★★★ (2011-03-28 22:17:18)

2010年発表の2nd。
特価だったので買いましたが、凄過ぎますね、これ。

音楽的には、ミッドテンポ、グルーヴ重視のキーボード入りデスコアという感じですが、まずキーのセンスが素晴らしい。サイバー系の音色でアーバンな雰囲気を醸し出したり、ストリングス系でクラシカルなメロディを奏でたりしてますが、その合わせ方が絶妙で、まるで破滅する街の中を彷徨っている悪夢を見ているような、シリアスだけどどこかキッチュな、凄く独特のムードを醸し出しています。

根幹となるリフも、時にメロブラ的な不穏さを醸したり、時にメロデス的な高揚感を生んだりしつつも、全体を通してヘヴィな音色で実に心地よいです。悪夢のような世界観も、このヘヴィネスがあるからこそ表現できているのかと。ただ、唯一惜しいのはドラムの音作りですね。モダンにしたいのは分かるけど、打ち込みのようなガチャガチャした音になってるように聴こえる。まあ、全体からすれば些細な事ですが。

そして何よりも感銘を受けたのが、あまりにも凄絶なヴォーカルワーク。
「Wolf’s Lair Abyss」期のMAYHEM風の粘着質な絶叫と、OCEANO並みにイカツイガテラルを両方使いこなしてます。それも他のバンドのお手本となるくらい高いレベルで。特にガテラルの方は聴いててこっちまで胃がせり上がってきそうなグロさ。まだ新人と言えるキャリアですが、ベテランのデスメタルバンドのヴォーカルを蹴落とさんばかりの凄まじさがある。

このバンドは2007年結成らしいですが、出音の方はクオリティ、ムード共に明らかに一流レベルです。モダンなエクストリームメタルが好きであれば、是も非も無く一聴すべきバンドであると思います。


WEAKLING - Dead as Dreams ★★★ (2009-01-27 16:38:00)

2000年に彼らが残した唯一のアルバム。5曲76分の大作主義な作品。
XASTHURやLEVIATHANの作品に匹敵するアメリカン・ブラックの名盤と(マニアの間では)名高いこの作品ですが、確かにこれは凄い!!久し振りに、一聴しただけで衝撃を受けました。

確かに泣き叫び系ヴォーカルや時折出てくるディプレッシブなメロディは鬱系に通じるものがありますが、リフに刻みを入れたり豪速のブラストが入ってたりメタリックな展開や、音響を上手く利用した情景描写を交えた劇的な曲構成、RAWさはしっかり保ったままメロディ・フレーズもちゃんと聴き取れ音圧もあるバランスのいい音質など、この手のカルトブラックとしては割と聴きやすい印象。

…なんですけど、底知れない混沌とした雰囲気や、血腥さも同時に漂ってるのが素晴らしいです。鬱ブラックには陽の光も差さない岩戸に閉じ込められたような雰囲気を演出するバンドもいますが、このバンドは更に刻みリフの圧力やブラストの暴虐で、土砂が崩れてくるような凄絶さも醸し出してると思います。…ヴォーカルが悲痛絶叫で咳き込みまで入れてくる発狂振りなんですが、それだけではここまでの混沌は出せないと思う。
やっぱり曲がそれだけ良いということでしょうね。

個人的な印象としては、アメリカ産鬱ブラックにKATHARSISの「VVorldVVithoutEnd」に通じる壊れっぷりを加えて、更に僅かにメタル寄りの音にした作品という感じ。もう解散してしまったみたいですが、これ一枚聞く限りではアメリカ産のバンドでもトップクラスだと思う。XASTHURやDRAUGARなど、TWILIGHTに参加したバンド辺りの音源を集めていてまだこれを持ってない人がいたら、絶対に聴いておいた方がいいです。素晴らしいです。


WEHRHAMMER - Wir Ziehen in Den Krieg (2014-07-23 21:08:12)

99年発表の1st。
2011年にNebelklangにより再発された盤を購入しました。

基本的には、紙を引き裂くような、バリバリしたノイズの乗せ方に、スラッジにも通じる響きを感じさせるリフと、かつての(DARKTHRONEの)Nokturno Culto氏のがなりを、より喉に負担を掛ける方向に突き詰めたようなエグエグしいがなりが、強烈な衝動性を感じさせる、オールドスクールな要素強めのブラックメタル。

このバンドは安易に寒々しいトレモロ疾走パートを挿入する事を避けているのか、展開に結構工夫が見られるんですが…その工夫が、逆にマニアック度を上げてしまっている感じですね…。音数を少なくして、隙間を感じさせる音作りにしてみたり、ノイジーさを殊更に強調してみたり…。普通にメロディアスなパートでは、ペイガン系に通じる叙情性があって悪くないんですが。特に5曲目「Brentt sie nieder」辺りは自己満足っぽさを感じてしまう。

…というレビューを書いたんですが、ブックレットを見てみたら、そのペイガンメロが多く、ノイジーさも抑え目になり聴きやすくなってる9曲目以降はボーナストラックで、主に2009年の音源が中心なんですね。ボーナスの方は、元々1stの時点で発揮されていた凶暴性や衝動性と、聴き手を意識した曲作りが上手く共存できている印象で、より魅力的になっていると思います。…と言っても、マニア以外にはまだお勧めは出来ない…かも。


WEIRD FATE - The Collapse of All That Has Been ★★★ (2012-08-23 21:10:03)

2012年発表の1st。
個人的にも大注目のレーベル、Cold Dimensionsからのリリースという事で試聴してみたらかなり良かったので購入。全編通して聴いていてもやはり期待を裏切らない良いアルバムですよ、これは。

路線としては、氷の礫が吹き付けてくるようなザラついた質感のギターリフと共に疾走するアトモスフェリックなブラックで、同じレーベルに所属するBATTLE DAGORATHやMORTUUS INFRADAEMONI辺りにも近い音。但し、こちらはメロディに肉体を離れた魂がアストラル界を覗き見ているかの如き神秘性が感じられ、物理的な肌寒さというよりはもっと霊的な、悪寒めいた寒々しさの感じられるコールドブラック…という感じ。

基本は霊性の高い、幽玄でアトモスフェリックな音なんですが、抽象的で深遠なムードをしっかり保った上で、攻撃的な刻みリフであるとか、KRALLICEやDER WEG EINAR FREIHEIT並にメロディアスな、浴びせるようなトレモロリフであるとか、実体的なドラマ性を感じさせるフレーズもかなり多用しているのが特徴。そのせいかこの手のブラックでも最高クラスに劇的な仕上がり。魂が引き千切られるかのようなヴォーカルの絶叫もまた凄絶。

個人的に感動すら覚えたのは6曲目、「Manifest of the Crestfallen」ですね。冒頭のメタリックな攻撃性を剥きだしにしたリフを伴う畳み掛けからしてかっこいいですし、異様なくらいメロディアスなトレモロも物凄く印象に残る。フォーキッシュなキーボードをフィーチャーした叙情的なメロディや寒々しいアルペジオを突き破る刻みリフなど、展開の一つ一つがいちいちかっこよく、このハイクオリティな作品の中でも随一の名曲だと思う。

纏めると、アトモスフェリックで霊的なムードがありながら、メロディックブラック好きにもアピールするドラマティックな展開や劇的なメロディのある、素晴らしい作品と言えるでしょう。Cold Dimensionsがメロディック・ブラックを輩出するとこうなる…って感じですね。取り合えずレーベルCold Dimensionsの存在を気に掛けているようなリスナーであれば購入しても間違いなく損はしないかと。


WELTBRAND - Control Division ★★ (2011-12-20 23:23:43)

2010年発表の3rd。
このバンドは初聴ですが、かなり強烈なファスト/ウォーブラックですね。

目の前にあるもの全てをぶち壊すような、苛烈なテンションのファストブラックをベースに、ハードコアのガチムチな肉体性をぶち込んでドーピングを施したような、凶暴極まりない音。ファストブラックの体感速度が麻痺する一歩手前の豪速も、ハードコアの炸裂感を感じられる速さも、共に過不足なく取り入れられ、相乗効果で更に凶悪な攻撃性を手にしている感じ。

リフも時折トレモロで毒の効いたメロディを挟んだりしてはきますが、基本オールドスクールな感触が強いものが多めで、聞き手を磨り潰さんとする迫力があるのが良いですね。また、ドラムの音質に結構癖があるのも特徴で、特に一打ごとに相手の骨をへし折るかのようなバスドラの音の響きがかっこいい。リフの圧迫感とも相俟って、聴いてると戦火の中に問答無用で叩き込まれるような感じを受けます。

ファストブラックの中でも、速さだけでなく野蛮さや好戦的な感覚を強く押し出している作品。なにかガツンとくる強烈な音を探している方にお勧めです。


WELTMACHT ★★ (2013-02-02 10:17:18)

KRIEG人脈によるアメリカ産ブラック。
2枚のアルバムを残し、現在は解散してしまっている模様。


WELTMACHT - The Call to Battle ★★ (2013-02-02 10:19:10)

2001年発表の1st。
12曲32分、最長曲でも4分半と1トラックはやや短めの構成。

KRIEGのネームバリューに惹かれて買ってみましたが、これは渋いですね(笑)。オールドスクールな作風ながら、ミッドテンポを基調としたいぶし銀な感触を醸し出す音で、初期GORGOROTHを更に渋くしたかのような路線。キーボードの導入やブラストで攻めるパートもありますが、基本的には心地良い渋かっこよさの支配する音ですね。

初期GORGOROTHと同様、このバンドもどこか土着的な感触がありますが、ヴァイキングというよりは密林にでも潜んでいそうな雰囲気。そしてImperial氏のヴォーカルは、相変わらず蛮族の酋長的というか、鈍器をフルスイングかつ全力で振りぬく野蛮さがありますが、今回はそこに裏返り気味の鬱テイストを加えてきた感じ。やはり彼のヴォーカルはヒリヒリする狂気が感じられて良いですね。

作風的に狂気をぶち捲けるような剥きだしの恐ろしさは希薄ですが、ブラックならではの生々しさとメタルとしての根幹がしっかりしている故の渋さのある、良質な作品だと思います。KRIEG関連追ってる人は買っても損はないのでは。


WEREWOLF ★★ (2011-12-18 17:38:42)

ポーランド産ペイガン/プリミティブブラック。
No Coloursより2枚のアルバムをリリースしています。


WEREWOLF - The Order of Vril ★★ (2011-12-18 17:39:27)

2009年発表の2nd。

CDを再生すると、まずRAWでオールドスクールな感じのリフ捌きと、ギエエ系のひしゃげたヴォーカルが出迎えてくれ、「なるほど、このバンドはこういう路線か…」とストレートなプリブラだと理解しかけたんですが…意外にもそこにクワイアやチャーチオルガン系の、荘厳なキーボードを重ねてきました。しかもアルバムを通じてこの2つの使用頻度はかなり高く、常に雰囲気を演出している感じ。

ただ、ちょっと異質だと思うのは、ここまで高い頻度でキーボードの装飾を用いておきながら、あまり(というか殆ど)これらがメロディらしいメロディを弾かない事ですね。ペイガン思想を持ったバンドらしく、民族っぽい叙情性を込めたメロディや、北欧プリブラ風の荒涼感のあるメロディも出てきますが、その殆どはギターの方に振ってる感じ。キーはあくまでムードの演出に用いている辺り、なんだか硬派な感じがします。

基本的にはプリミティブブラックのスタイルですが、クワイア風のキーは近年のGRAVELANDのような異教的スケール感をもたらしているし、チャーチオルガンも冒涜的に響いていて結構独特の雰囲気を持った作品だと思う。個人的にはアルバムを通じてもう少し変化が欲しかったところですが、まあ根がプリミティブブラックなので全然OKでしょう。


WHEN ★★ (2006-09-22 21:36:00)

SATYRICONの曲に使用されていたり、ULVERのGARMの運営するレーベルである
Jester Recordsに所属していたり、ブラックメタラーには縁のあるWHEN。
音楽的には非HR/HMだと思うんですけど…こっちで良かったのかな?


WHEN ★★ (2006-09-24 13:20:00)

確かにブラックメタルと共通する要素は皆無ですね(笑)
やっぱり音楽性的にはプログレファン向けでしょうか。
私はまだ「WHENEVER」しか聴いていないので、関連しているアーティストからして
HR/HMを昔やっていたりしたらどうしようかちょっと不安だったんですが…。
Encyclopaedia Metallumにも無いですし、こっちで良かったみたいですね。


WHEN ★★ (2006-10-21 01:34:00)

ベスト買いましたが、この人昔からこうだったんですね…
例えるなら、NINなんかが聴いてて「この人大丈夫かな?」なのに対して、
こっちは「この人、もう駄目かも…」って感じ(流石に冗談です・笑)。
しかし「ASYLUM」のアレは一体なんなんでしょう。
WHENを始める前のプロジェクトで作った曲らしいですが。
北欧の人にはあの訛りがダークに聴こえるんでしょうか…?


WHEN ★★ (2006-10-23 23:46:00)

ありがとうございます!
レビュアーとして尊敬してる方にそう言って頂けるなんて身に余る光栄ですよ。
でも、「ASYLUM」は日本人だったら誰もまともにレビューできないと思うんですが(笑)
こないだ電車の中で聴いてて、笑い顔になるのを堪えるのがかなり大変でした…。
でも、あの曲妙にキリの良い所でサンプリングが中断、終了するのがまた
良い味出してるんですよね。妙に「~ねぇ」という念押しが多い台詞ですけど、
個人的には闇金インタビュー風のエフェクト掛かってからの「ねぇ、ねぇ。」の
2連発が一番の笑いどころ。しかし、一枚目のトリを飾ったり、わざわざWHEN以前の
曲を持ち出してくる辺り、本人的には会心の出来なのかもしれませんね(笑)
…以前外人は日本の地名が漢字で全身にプリントされたシャツでも割と平気で
着る…という話を聞いて、流石にそれはないんじゃないかと思ってましたが、
あの曲を聴いて無下に否定できなくなってしまいました…。


WHEN - Prefab Wreckage ★★ (2007-03-29 21:53:00)

94年発表の5th。
時期的には「SVARTEDAUEN」の後に当たる作品なので、最近の路線のようなポップさは
希薄ですが、今回は弦楽トリオが入ったため、それが独特なものであるにしろ陰鬱なもので
あるにしろ、耳に残るメロディが増えた為僅かに聴きやすくなった気がします。
ヴォーカルも殆どの曲でメロディを歌ってますが、これ、かなり下手なのでは…(笑)。
また、表題曲やラストの大作ではノイズを巧みに使い、聴き手を酔わせてくれるパートも。
こういうのを聴くと、Lars Pedersenは本当に才能のあるミュージシャンだということが
分かりますね。もっとも、平素はその才能は主に変な方向に発揮されていますが…(笑)。
ただ、全6曲で4曲がベストに入っているというのは、かなり割高感を感じます。
と言ってもベスト未収録のラスト曲は名曲だし、一概に「ベストがあれば買う必要は無い」
とは言えないのが難しい所。この曲順で聴くとやっぱり作風に統一感があって良い感じだし…。


WHEN - Prefab Wreckage - Dark Abyss ★★ (2007-03-29 21:41:10)

ベストの表記だと「The Dark Abyss」だけど…どっちが合ってるんだろ?
弦などによるメロディは聴き終わった後に口笛で吹きたくなるくらいに華やか(?)で、キャッチー。でもその後ろでは何故か時限爆弾が仕掛けられているような音が…。後半呻き声まで入るし。奈落を往く悪魔達の行進曲といった所でしょうか。


WHEN - Prefab Wreckage - Hands of Orlac ★★ (2007-03-29 21:38:08)

架空の民族の土着の音楽って感じの曲。
しかもその民族は人間じゃなさそう。半魚人とか。


WHEN - Prefab Wreckage - Hieronymus(four Sins) ★★★ (2007-03-29 21:32:24)

アルバムを締める15分の大作。
ダークアンビエントに始まり、噴出するインダストリアルノイズ、暴れまわるグリッチノイズ、歌詞カード裏のアートワークを体現するような地獄メロを交えて展開する曲。…この曲、ダークでアヴァンギャルドな音響作品としてかなりまともな出来だと思うんですが…こういう前衛的な曲でもしっかり聴かせられる才能があるのに、それを変な方向へ向けるのがWHENのWHENたる所以なんでしょうね(笑)


WHEN - Psychedelic Wunderbaum ★★ (2007-03-27 19:48:00)

98年発表の、おそらく7th。
JESTER RECORDS移籍第一弾となるアルバム。
JESTERのサイトのプレスレビューにて、「聴く分には完全なる楽しみであるが、言葉で
説明するには完全なる悪夢だ」と評されていたり、あの鬼才GarmことTrickster Gが
HEAD CONTROL SYSTEMのサンクスリストにて「地上で最も素晴らしいワンマン・バンド」と
讃辞を送っていたりすることからも、変態好きにアピールするサウンドだと分かりますね。
「THE BLACK DEATH」やベスト盤を聴く限り、このバンドはサンプリングを駆使した、
不条理かつダークな音楽を演っていた(そのせいか、初期の楽曲はその陰鬱な雰囲気から
ノルウェーのインナーサークルを始めとする、ブラックメタラーの間で愛聴されていたとか)
という印象でしたが、今回は見違えるようにポップになっています。1曲目なんてメロディだけ
聴くと普通にヒットして、ラジオでかけまくられてもおかしくないような取っ付きやすさ。
ただ、以前からどこの誰とも知れぬオッサンの語りをサンプリングしたり、その変なセンスは
際立ってましたが、曲がポップになってもそれは変わりません。むしろもっとオカシクなってる気が…。
象の鳴き声だとか語りだとかは序の口で、曲によっては英語教材の日本人が外国へ旅行に来た
シーンで流れそうな音楽まで…。もはや病んでるのか健全なのか、音楽的に優れているのか
そうでないのか、ダークなのかポップなのかの判別すらつきません。
人によっては「THE BLACK DEATH」や「PREFAB WRECKAGE」より気持ち悪く感じるかも…。
もちろん万人にお勧め出来る音源ではありませんが、誰が聴いてもユニークだとは思うはず。
それを好きになるかは本人次第という感じですね。変態好きなら聴いてみてもいいかも。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - As Speak You Are (2007-02-20 10:28:41)

曲を遮って挿入される「So tired...listen what I have to say」や、電子的なエフェクトをかけているにも関わらずやる気の無さが伝わってくるヴォーカルが印象的な曲。怖がらせようとしているのかどうかすら分からない所がサイコ的。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Extremist Cow ★★ (2007-02-20 10:21:59)

徹底化!徹底化!徹底化!
徹底化!徹底化!徹底…
なんのつもりでしょうか(笑)


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Footsteps (2007-02-20 10:20:06)

夜道を歩いていると、いつの間にか足音が一つ余計についてきていた…どころか、たくさんの手拍子がついてきてしまい、逆に何だか楽しくなってきてしまった…みたいな曲。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Kali ★★★ (2007-02-20 10:39:58)

Kaliはシヴァ神とも関連の深い女神で、DISSECTIONもこの女神を題材に曲を作ってますね。そんな題材をアレイスター・クロウリーが取り上げた詞を引用しているのだから、さぞダークな曲が出来ると思いきや…なんなんでしょうかこのトロピカルでリラックスした雰囲気は(笑)。ヴォーカルなんてプールサイドでお金持ちがガウン着てワイン飲みながら歌ってる感じだし…。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Snowfish ★★ (2007-02-20 10:25:01)

サンプリングの内容が、おもちゃの車のクラクションのような音や変な電子音、象の鳴き声などから構成されている時点でもうまともな音楽であることを放棄している気がするんですが…。この音で盛り上げようとしてるのが笑えます(笑)。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Time Ago ★★★ (2007-01-22 21:43:16)

これはLars流のサプライズでしょうか!?
とにかくこれまでの音源のダークさとは全く縁の無さそうな、脳天気なベースのメロディに超びっくり。そして歌メロの余りのポップさに更に驚愕。これ、ビートルズファンとかに聴かせても普通に気に入るのでは…。勿論アレンジはポップなだけじゃなく、ちゃんと(?)ズレてるんですが、それでも一瞬「え??」ってなる事は確実な一曲。


WHEN - Psychedelic Wunderbaum - Young Feet Flush ★★ (2007-02-20 10:31:38)

ラスベガスとハワイの資料を眺めながら、そこへの旅行を妄想している男の頭の中を音楽で表現したらこんな感じになるんでしょうか。詞はこれもアレイスター・クロウリーの引用ですが…そこに「Let's take a trip」とかサンプリング入ってくるのが可笑しい。


WHEN - Svartedauen(the Black Death) ★★ (2006-12-26 21:56:00)

92年発表の4thアルバムで、38分の大作曲を一曲のみ収録。
この曲はベストにも収録されてますが、そちらでは約6分に短縮されています。
この大作主義と劇場的なサウンドはあるレビューでは北欧のDEVIL DOLLと紹介されていましたが
DEVIL DOLLがまず曲ありきなのに対し、このアルバムは陰鬱・狂的なサウンドスケイプを
偏執的なまでに執拗に表現しているという印象。現在ではWHENは(どこかが酷くズレてるけど)
結構ポップな面もある曲を作ってますが、この作品はひたすら暗黒世界が表現されています。
時々「ビヨヨーン」みたいなコミカルな音色のサンプリングも用いられていますが、笑えると
言うよりは魔界に拉致されて無理矢理へんてこりんなクリーチャーのダンスを見せられるような
笑うに笑えないような感じ。きっとTAAKEも(未聴ですが)こういう恐ろしさを表現したかったの
かもしれません。他にも奇形のダンスミュージックっぽい個所があったり、蛙の鳴き声から
奇妙なメロディで落とし込む個所があったり、Lars本人の演奏するチェロによるメロディアスな
パートもありと様々に展開していきますが、どの部分でも根底は非常に陰鬱。
後半のチェロパートなんてメロディは良い癖に、黒死病の到来を告げるようなジングルと
病気で苦しんでいるような呻き声がサンプリングされてますからね…。
ラスト付近も中世の北欧の、自分の住んでいるあばら家の中にまで、仲間を求めてやってきた
死者の行進の足音が聞こえてきているという感じでかなり怖い。
大作だし陰鬱だし、サンプリング中心の音楽なので勿論万人には勧められませんが、
鬱ブラックを喜んで聴くような人が聴いたらかなりの確立で気に入ると思います。
ただ、このアルバムはJESTERからじゃないのでもしかしたら見つけづらいかもしれません。


WHEN - Whenever ★★ (2007-03-27 21:50:00)

2004年発表の10th…で合ってるかな?
音楽的には、Psychedelic Wunderbaumからの流れを汲む不条理ポップ路線。
ただ、今回は初期のWHENの作風を思わせるダークな大作、民族音楽風のメロでミニマルに
展開していく曲、ホラー映画を思わせるメロディをフィーチャーした曲、歌が前に出た小品等
一曲ごとの個性が際立っていて、アルバムの構成によりメリハリが付いている印象。
加えて不条理な感覚が先行していた感のあるPsychedelic Wunderbaumと比べると、聴いていて
どこか心地良さ(陶酔感?)のようなものが感じられ、少し聴きやすくなっている感もあり。
やはり万人には勧められませんが、最近のULVER等が好きならば結構行けてしまうかも。


WHEN - Whenever - Clay Is Light & Light Is Matter ★★ (2006-09-22 21:29:53)

前半歌モノっぽいですが、後半はやっぱり不条理。
でもその後半はアコギのフレーズが何とも良い感じだし、ピアノなんかは結構綺麗でなかなか。不思議の国に迷い込んだアリスはこんな気持ちだったのではないでしょうか。


WHEN - Whenever - E=mc² ★★ (2006-09-22 21:19:47)

タイトルは確かアインシュタインの相対性理論の公式。
…しかし曲とは全然関係無いような。歌メロが結構取っ付きやすいにも関わらず、ハンドクラップまで取り入れた微妙にズレたコミカルさを持ったパートもあってやっぱり変な曲。


WHEN - Whenever - In Allmansland ★★★ (2006-09-22 21:33:42)

まるでホラー映画で怪物が登場したシーンのような恐怖を煽る音楽…なのかと思っていたら、いきなり雰囲気を弛緩させるようなアコギと歌メロが…。でもこういうノリ大好きです(笑)。


WHEN - Whenever - Modern Research Into Mummies ★★ (2006-09-22 21:26:23)

タイトルにもあるようにミイラ男を連想させるような妖しいメロディ、繰り返しによってトリップ感を出す手法…この曲はどこかアフリカ辺りの民族音楽みたい。WHENにしては分かりやすい曲だと思います。
私はこのアルバム何故かタワレコのワールドミュージックの棚で見つけたんですが、確かにこれだけ聴いたらそこに置きたくなるかも。


WHEN - Whenever - Some Apocalypses ★★★ (2006-11-27 21:16:23)

BURZUMやSTALAGGHなんかはそんなに抵抗無く受け入れられたんですけど、この曲は最初聴いた時は「無理…」と思いました…。それから暫くこのCDを棚に置きっぱなしにしてたぐらい(笑)今の評価は★の数の通りです。
曲的には不気味な男女コーラスパート、Lars氏の絶叫が聴けるロックパート、浮遊感のあるシンセパートなどからなりますが、相変わらずパートごとの脈絡が分からなく不吉な感じ。14分の大作ですが、各パートのコントラストが鮮やかになってる分、昔の大作よりも訳分からない度が増してるような気さえします。しかし「曲のタイプを選択しろ」と言われても困るんですが(苦笑)


WHEN - Whenever - Stripped of Its Coverings (2006-09-22 21:22:37)

前半は変な語り(呪文?)と、ゴッドファーザー愛のテーマに似たメロディを練習してるかのような変なギター。後半は呪術的な雰囲気。意味不明なようでいて、次の曲とちゃんと繋がってるのが良いですね。でも前半はやっぱ意味不明。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Asylum (2006-10-21 01:31:23)

「今まではねぇ、×××(聞き取れない)の侵略の対象である、向こうの話をしましたねぇ」から始まる、訛った日本語でのおじさんの語りをサンプリングした曲。おそらく廃仏毀釈についてだと思いますが、なんでこれをサンプリングしたのか意味不明(笑)
ラストはおじさんの声にエフェクト掛けて闇金業者のインタビュー風に。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Beardsoup in Tangier - Part Ⅰ ★★ (2006-10-21 03:16:56)

♪た~たん、た~たん、ららら、らっらら~。
…聴き手よりも先にヴォーカルの方が忘我状態になってしまっているトランスミュージック。ラストが近付くと更にヴォーカルの脱力感が増してきます。凄く印象に残るのは確かだけど、この歌は何を表しているのだろう…。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Beardsoup in Tangier - Part Ⅱ (2006-10-21 03:19:28)

前後の曲が常軌を逸しすぎているため、えらく普通に聞こえましたが十分「変な曲」の範疇に入るでしょうね。前曲で脱力したテンションをクールダウンさせてくれますが、この後に続く曲がアレなので…


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Black, White & Grey ★★★ (2006-10-21 03:32:36)

ここで聴けるのは抜粋バージョンですが…。
WHENはサンプリングと自前の音楽を組み合わせるのが上手いですね。サンプリングがメインのパートでもさりげなく雰囲気を煽る音楽を流していて、効果を跳ね上げているのが凄いです。展開が読めないどころか、聴いてもどういう脈絡で繋がってるのか分からない曲ですが、私的には8分以降からの展開が好き。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Fogface (2006-10-21 03:21:56)

ARCTURUSに「DISGUISED MASTER」のイントロとして提供した曲。
タイトルはこのアルバムの為に変えたとか。原曲と比べると、僅かに短くなって約30秒程度の曲になってます。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Frozen Atlantics ★★★ (2006-10-21 03:12:05)

シンセの音色自体はタイトル通り「凍てつくような」とでも表現したくなるようなキンキンした音色ですが、使い方がコミカルというかなんかズレてる感じなのでいまいち「凍てつく」感は薄いです。そしてそのズレ感はシンセのみになるパートで頂点に…。
でもこれ、普通にかっこいいと思うんですけど…私もWHENミュージックに大分洗脳されてきたかな(笑)


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Karius & Baktus ★★★ (2006-10-21 01:40:25)

この曲凄い好き。
不条理な歯痛を引き起こすバクテリアがテーマの、子供向けの話がベースとなっているらしいですが、チャイルディッシュな音色やメロディの中に潜む確かな悪意が素晴らしい。よくホラーで無邪気さをある種の残酷さと結びつけて少女のモチーフを使用するものを見かけますが、そんなものこの曲の前では児戯に等しいと言えるでしょう。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Morning Mood ★★ (2006-11-17 17:12:11)

個人的には「ASYLUM」の次に笑える曲。
サンプリングさえ無ければ普通にいい感じのインストですが、左から聞こえてくるのは…もしかしていびき!?「朝の雰囲気」ってそういうこと!?最初は何だか分からなくて普通に聴いてましたが、気付いた時は爆笑でした(笑)


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - Prefab Wreckage ★★★ (2006-10-21 03:25:21)

執拗に繰り返される、ストリングスによる主題は分かりやすいダークさがあって取っ付きやすいので、WHENの中では入っていきやすい曲といえるかも。とはいっても後半のノイズパートはどこに連れて行かれるのか分からないような不安感を伴いますが、慣れてくると逆に快感です。


WHEN - Writercakebox-the Unblessed World of When (1983-1998) - The Death of Ase ★★ (2006-10-21 03:27:43)

ゆったりと破滅的なストリングスに乗る、心電図と呼吸音。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピ——————————。
…ご臨終?


WHEN - You Are Silent ★★ (2008-07-03 22:27:00)

2008年発表の多分12th。
久し振りに恐いWHENが戻って来た感じですね。
WHENってダークで不条理なサンプリング音楽を志向しながらも、その中にどこか捻じ曲がった
ポップ性のある音楽を展開してきて(こう書くと散々に貶してるみたいだけど・笑)、
「Psychedelic Wunderbaum」辺りからダークさとポップさが反転し、明るめの作風になって
きたと思いますが、今作ではその比率が再反転し、元に戻った感じです。
…例えば、恐い音楽として知られるアーティストでも、STALAGGHならシリアスで精神異常的な
恐さ、CRADLE OF FILTHなら巧みなコンセプト性によるエンターテイメント的な恐さとか
狙いが分かるんですが、WHENの恐さはそのどちらなのか判別が不可能、そもそも恐い音楽を
志向して作られているのかどうかも分からない所が恐いんですよね…。
そこかしこに違和感というか致命的な歪みが常にある音をずっと出している感じ。
「恐い音楽」を求めて恐い思いをするのはある意味当り前なんですが、WHENの音楽には
その期待すらも裏切り、更に嫌な目に遭う可能性が常に潜んでいるという意味で、もう一段
上の恐さがあるように思います。STALAGGHとかで物足りなくなった人は必聴かも。


WHEN - You Are Silent - False Alarm ★★★ (2008-07-03 22:39:47)

こんな曲をマジで作ってる人がいること自体恐いよ…。
幾つかのパートに分かれた、20分超えの曲なんですが、第二部に当たるであろう、ドローンの上に打擲音と銃撃音、悲鳴が入るパートがキモ恐すぎるんですが…血腥い雰囲気をストレートに表現しているならまだ受け入れられる恐さなんですが、この曲の場合悲鳴がカトゥーンちっくでコミカルに聞こえなくもなく、理性で判断できない生理的違和感があるんですよね…それも生理的嫌悪感まで達すれば逆に安心できそうなもんですが、感覚の下ろし所がない音が延々と続くのはかなりキツイ。なのにドローン・アンビエントとしてはかなり聴けるという(笑)チャレンジャーな人や恐い思いがしたい人は是非。


WHEN MINE EYES BLACKEN - When Mine Eyes Blacken (2014-06-09 20:39:44)

2009年発表の1st。
残念ながらこのアルバムをリリース後、活動を停止した模様。

作風的には、如何にもSelf Mutilation Services所属バンドらしい、鬱ブラックの典型という感じですが…マニアックな作風のバンドの多いこのジャンルでも、ここまでストイックな作風も珍しいと思う。緩やかに命が削られていくかのような、ジリジリとしたノイジーなリフ、或いは生きる希望を奪い去っていくような陰鬱なアルペジオと、喉が張り裂けそうな裏返り気味の絶叫を従え、ひたすらに淡々と進行していく、愛想が無いにも程がある作風。例えて言うなら、チェコのTRIST辺りをもっとマニア向けにした感じでしょうか。

分かりやすく印象に残る叙情鬱メロ?劇的な展開?実験要素?何それ美味しいの、とでも言わんばかりに、鬱ブラックとして削ぎ落とされた音。芯があるというよりは、むしろ芯しか残っていないような…。正直私ももうちょっと引っかかりがある方が好みなんですが、ある意味物凄く分かりやすい音と言えるのかもしれません。メロディが分かりやすく鬱ではなく、淡々としている分リアリズムを感じる人も多いかも。


WHIRLING ★★ (2011-01-14 19:57:50)

ARMAGEDDAやBERGRAVENのメンバーが関わるアヴァンブラック。
上記バンドに負けず劣らずグロい音出してます。


WHIRLING - Faceless Phenomena ★★ (2011-01-14 19:59:02)

2010年発表の1st。

一言で言うなら、「音像重視型のVED BUENS ENDE」タイプ。
VBE本家は、ベースとドラムのねちっこい絡みによって、聴き手を病的な世界へ引きずり込むような作風でしたが、このバンドの音楽性はアンサンブルの粘度はある程度保ちつつ、音像によって沼めいた世界観を演出するタイプですね。特にギターリフの、ノイズの被膜を薄く張る事で、瘴気を外に逃がさないような音色にそれを強く感じます。リフのメロディそれ自体も、BERGRAVEN的な病み爛れた感じですし。

悪夢めいた光景は特にスロー~ミドルのパートで強く感じられますが、スロー~ミドルでの聴き手を舐り殺すようなムードのせいか、時にメロウなリフすら伴う疾走パートにまで薄気味悪さが波及しているのが、なんとも素晴らしい。精神異常者が悪夢の光景を淡々と語るような朗唱ヴォーカル、妙なねちっこさのあるがなりなど、VoのパフォーマンスもどこかVBEを意識したようなグロテスクさがありますね。

と言う訳で、VED BUENS ENDEやVIRUS好きに強くお勧め出来る作品。
個人的には、この病み具合が聴いてると落ち着きます(笑)。


WHITE EMPRESS - Rise of the Empress ★★ (2015-04-07 21:43:06)

2014年発表の1st。

CRADLE OF FILTHを長年支え続けたギタリスト、Paul Allender氏の新バンドという事で話題も厚く、日本盤もリリースされている注目の一枚。私も購入しましたが、期待に違わぬクオリティの高さのある作品ですね。

作風は、クラシカルなメロディとメタリックなギターワークで攻める、シンフォニックなエクストリームメタルで、COFともそう遠くない路線ですね。COFの特に「Damnation and a Day」「Thornography」アルバムで聴けた音に近い、熱量の高い感じのギターワークがやはりかっこいい。デスやブラックよりも、正統派、メロデス、スラッシュ辺りの影響が強いのも当時のCOF的ですが、こちらでは更にその傾向は強くなっている印象。

COFと最も趣を異にしているのが、現LUNAR MORTISのメンバーであるWhite EmpressことMary Zimmer氏のヴォーカルに、楽曲の重要な演出を委ねている所でしょうか。デス声も語り部的な淡々としたものから般若の形相が浮かぶ噛み千切る怒声と表現力があり、張りのある妖艶なクリーンと、劇中の台詞のようなトーキングなども使いこなし、バンド名を背負ってるのも伊達じゃないという感じ。彼女の存在が音楽性に「演劇性」を与えているようなイメージですね。

ただ、このアルバム、思ったよりシンフォ要素よりもギターワーク主導の場面が多かったりするんですが、その割にギターの音色が軽めで作り物っぽいのが気になるんですよね…。フレーズ自体はかっこいいのに、シンフォの後ろ盾が無い場面ではなんか痩せてて物足りない音に聴こえるというか…。Paul Allender氏は並々ならぬ決意でこのバンドを始めたらしく、それは楽曲からも伝わるんですが…それならプロダクションももう少し拘ってほしかったです。拘った結果この音に落ち着いたのかもしれませんが。


WHITE WARD - Futility Report ★★★ (2017-06-03 10:30:25)

2017年発表の1st。
所謂ポストブラックには悪魔崇拝や自然への回帰だけでなく、アーバン(都会的)な情景を描くバンドも出てきていましたが…ウクライナからその代表格といえる作品を作り上げたバンドが登場したようです。

路線としては、ノイジーな音像や苛烈な疾走、叙情性の高いトレモロリフといったブラックメタルの要素を巧みに使い、情景を描き出すポストブラックで、官能的な響きを帯びたサックスや、聴き手の情景への没我を誘うような打ち込みリズムなども取り入れて進行していくスタイルですが…音像に多大な影響を与えるサックスを、ポストロック的なパートだけでなく、ブラックメタル的なパートにも用いているのが特徴。ブラック要素とポスト要素を厳密に分けず、融合を図っているの(しかも、それが上手く行っている)は個人的に物凄く気に入った点ですね。

また、都会的情景の中に潜む病的さや空虚感、人間性の脆弱さなどを浮き彫りにするような音ではあるんですが、「軟弱さ」は殆ど感じられないのが良いんですよね。クオリティの高いプロダクション、ブラックメタルパートやヴォーカルの獰猛さなど、繊細な音作りをしていながら、芯のある音像になっているように思います。これも個人的な嗜好になってしまいますが、軽薄なクリーンヴォーカルや妙に間延びした展開など、「軟派さ」を感じるような部分は廃されているのも凄く好ましいです。

某ショップでは「ULVERのPerdition Cityアルバムのブラックメタル版」などという、すさまじい殺し文句が書かれていて…見事に絡め取られましたが、その言葉を信じて購入して大正解でした。ほんとこの手のアーバニズムをテーマとしたポストブラックとしては決定盤といってもいい作品だと思います。必聴!


WIGRID ★★ (2011-09-02 22:23:50)

ドイツ産鬱ブラック。
Ulfhednir氏による独り体制で活動している模様。


WIGRID - Die Asche eines Lebens ★★ (2011-09-02 22:24:55)

2005年発表の2nd。
No Coloursより1000枚限定のリリース。タイトルの意味は「命の灰」。

もう大作5曲のみを収録したアルバム構成からして、BURZUMの3rdの影響受けまくりですが、「これでラストが長大キーボード・アンビエントだったらウケるかも(笑)」と思ったら、本当にそうでビックリ。どんだけBURZUMラブなんですか…。音圧低めで淡いノイジーさのプロダクション、ほとんどノイズと化した、狂気に満ちた高音絶叫なんかも、思いっきりBURZUMの影響下にあると思う。

ただ、後続に多大な影響を与えたBURZUMのクラシックな名曲「Det Som Engang Var」が、フレーズもムードも圧倒的なものがあったのに対し、このバンドは淡いギターノイズを含むリフの波でリスナーの気分を凹ませ、そこに物悲しげなメロディをうっすらと流して更に追い討ちを掛けるスタイルで、やはりBURZUMとは「似て非なるもの」だと思う。

本来なら、ここで言うべきではないのかもしれませんが…こういうBURZUMチルドレンの作品を聴けば聴くほど、私の中でBURZUM、特に3rdおよびその1曲目と4曲目が、神格化されていくんですよね…。あれだけ圧倒的な鬱ブラックって未だに出てきてない気がする。このバンドも惜しいところまでは行ってるけど、まだカルトな信者を産むような、クラシック足りえる曲は作れてない感じ。


WILL OF THE ANCIENTS - To Our Glorious Dead ★★★ (2015-05-27 22:22:41)

2013年発表の2nd。
自主制作でしたが、翌年にPRC Musicより再発されました。

…オリジナル盤が出たのは2年前とはいえ、去年発売されたCDとしては信じられないくらいの値段で中古で投げ売られてたのでサルベージ。と、軽い気持ちで購入しましたが、これがフルプライス払ったとしても全く惜しくないくらいの、メロディックブラックの良盤。ブラックメタル本来のエクストリームさと、正統派メタルのメロディアスさやドラマティックな楽曲構成、そしてそこはかとなく漂うペイガン臭を組み合わせ、劇的でメリハリのある展開のメロディックブラックを聴かせます。

このバンド、楽曲が良いですよね。アルバム全体で聴ける、時に勇壮に、時に哀愁たっぷりに聴かせるギターメロディが非常に豊潤で素晴らしいんですが、ブラスト時の畳み掛けやヴォーカルのがなりの獰猛さなど、聴きやすい音ながらエクストリームメタルとして温くないのがまた良いんですよね。時折入るヴォーカルのクリーンなど、若干ヴァイキング的な雰囲気も感じられます。ラストのアルバムタイトルを冠した、18分の大作曲のクライマックス部分等は、ENSLAVEDの「Isa」アルバムを想起させるような壮大さ。正直、ここまで良いアルバムとは予想してませんでした…。

真性・プリミティブ系のような、一般的なメタル愛好家が眉を顰めるような邪悪さはありませんが、正統派メタルに通じるドラマ性と、ペイガン的な神秘性や哀愁が見事に合わさった良質なメロブラを展開。比較するとこちらはかなり分かりやすい音楽性ですが、ORPHAND LANDやIN VAINなどのドラマ性高い作風好きな人も気に入るかも。…どうでもいいですが、このバンドってバンドの頭文字を取ると「wota」なんですね(笑)。ヲタ…。


WILL'O'WISP - Inusto ★★★ (2016-04-22 00:09:01)

2015年発表の4th。

イタリア産のプログレデス、SADIST人脈ということで覚悟完了してた筈ですが…予想以上にぶっ壊れな音楽性で素晴らしいです(笑)。ベースはテクニカルな側面も見せるデスメタルですが、トライバルなパーカッションを惜しげもなくぶっ込んできたり、電子音の使用も躊躇わなかったり、時々デスメタルを聴いていることを忘れそうになるくらい逸脱度高めな音。

どの曲も怪奇なアレンジが施されているのは共通ですが、そのアプローチが楽曲ごとに異なるのが聴いていて楽しいんですよね。ごくナチュラルにパーカッションがドラム以上に目立ってる曲もあれば、アンサンブルの中でベースを暴れさせたり、果ては琴のような音色のキーボードまで出てきたり…。こういう音楽に耐性がなければ聴き疲れしてしまいそうですが、こんな風に振り回され続けるのも面白いものです。

いかれた音楽性とはいえ、ヴォーカルの剥き出しの凶暴さ、バンドサウンドの音圧の高さ等、全体を通じてエクストリームメタルであること自体は通した上での実験性なのが良いですね。一風変わったエクストリームメタルが好きであれば是非。


WILLOOS - Als Loze Willen Dwalen ★★ (2015-05-26 06:00:15)

2012年発表の2nd。
Self Mutilation Servicesより500枚限定でリリース。

もうイントロの、ノイジーなギターがアトモスフェリックなムードを醸し出し、そのままミッドテンポで悲壮感溢れる本編に雪崩れ込む展開からして、BURZUMへのリスペクトが感じられますよね。ただし、鬱ブラックであることは疑いないですが、BURZUMの深遠でダークな雰囲気というよりは、メロディにはポスト/シューゲイザー系のエモーショナルで儚げな、泣き要素が強い印象があります。

構成は割と大作主義ですが、ミニマルなだけでなく、リードギターによる琴線を掻き毟る事必至なメロディが大フィーチャーされていたり、なかなかにドラマティック。ただ、若干ミニマルな作りのせいか、パートによってはちょっと派手になりすぎないように意識してる感があるような…。個人的には、トレモロの海に溺れさせるような劇的なパートが凄く好きなので、全編そんな感じでも良かったのですが(笑)。

流石にSelf Mutilationから出てるだけあって、表現したいものがはっきりしている作品だと思います。こういう感情の篭もった作品が好きであれば共感できるかと。


WINDS ★★ (2006-04-19 15:25:00)

Hellhammer参加のゴシック。
アマゾンで検索すると、「w-inds」ばかり引っかかるんですが…(笑)


WINDS - The Imaginary Direction of Time ★★ (2006-04-19 15:35:00)

2004年発表の2nd。
Hellhammerが参加しているという事で、ブラックメタルの要素だったり
豪速ブラストが入っているというイメージがあるかもしれませんが、意外なことに
上質で耽美なゴシックメタルをやっております。
メロディは陰鬱さよりもむしろ悲劇性が強く、それを少しナルシスティックなヴォーカルが
歌い上げると正に悲劇のヒーローになったような感じで気持ち良く酔えます(笑)
また、弦楽カルテットが生音で入っていて、底の深い叙情性を演出しています。
しかし、それにも増して素晴らしいのはAndy Winterのピアノ。
クラシック・ピアノのソロアルバムも出しているこの人、ARCTURUSの
Sverd辺りと比肩するセンスの持ち主だと確信してます。
それだけだとあまりメタルっぽい感じはしませんが、ちゃんとクラシカルな泣きの
リードフレーズやヘヴィなリフが入っているのも嬉しい所ですね。
ただ、テンションが一定してる感じがあって決め曲に欠けるきらいがあるのと、
リードフレーズと比べるとリフがいまいちなのは少しマイナスかもしれません。
勿論、それを差し引いても質の高いアルバムである事は間違いないのですが…
やっぱり一曲くらいは抜けてキャッチーな曲が欲しかったかも。


WINDZOR - Never Die ★★ (2009-11-10 23:48:00)

2009年発表の2曲入りデモ。
ジャケなどにあしらわれたマスコットキャラがとっても可愛らしいですね(笑)。
…Noir誌のライブレポートでは、ヴォーカルのきのっぴぃ氏の明るいキャラクターに
スポットが当てられて紹介されていたため、なんとなくキャピキャピしたヴォーカルの
メロスピをイメージしてたんですが、全然違いますね(笑)。彼女のヴォーカルは、
メタルサウンドと良く合う伸びと太さを兼ね備えた、重厚なもので硬派なメタラーにも
受けが良さそう。それでいて愛想も悪くないのが良いです。
演奏の方も、リフがジェネリックでなく練られていて、動きがあってかっこいいし、
キーボードのプログレッシブな絡ませ方も上手いと思うし、かなりレベル高いと思います。
…まだフルアルバムも出してない、若いバンドがこれだけの曲を書けるのって、凄い事だと
思うんですけど、これも今国産女性Voメタルに流れが来てることの証拠なのかもしれませんね。
Noir誌も創刊されましたし。
…でも、英語詞に無理が感じられるのがもったいない。
「I worship love」を「♪うぉーしぽ、ら~い」と発音してたのは脱力…。
ライナーが何故か英語で書かれてますが、これも思わず添削してあげたくなるような悪文(笑)。
全体的に違和感バリバリ、とまでは行かないですが、日本語詞の曲も個人的には作って欲しいです。


WINDZOR - Never Die - I.... ★★ (2009-11-10 23:50:06)

このデモなら、私はこの2曲目の方が好みかな。
ギターとリフの絡み合いが1曲目にも増して派手でかっこいい。
キーボーディストが作った曲だからこういう仕上がりなのかも。


WINTERBLOOD - Le fredde ali dell'inverno (2011-09-17 19:49:16)

2008年発表の1st。

VINTERRIKETやPAYSAGE D’HIVERのアンビエント作品を直接的に想起させるような、ブラックメタル的な世界観を描くダークアンビエント。ただし、上記のバンドがまだメロディアスな部分や、曲らしさを残しているのに対し、このバンドはそれら作品を更に薄く引き延ばしたような、「風景として存在する事」に特化した、更に硬派な作品。

VINTERRIKETやPAYSAGE DIVERが雪原の風景を描いているとするなら、このバンドの音はその情景が死の寸前、閉じそうな瞼の隙間からぼんやり見える…みたいな感じだと思う。ただ、魂が持ってかれそうなムードは確かにあるものの、個人的には硬派すぎてちょっと退屈を覚えたり。雪原系リチュアル・アンビエントが心の底から大好きな人にのみ強く推薦。ちょっと好きくらいだとハードル高いかも…。


WINTERBLUT - Das Aas Aller Dinge ★★ (2008-04-11 23:03:00)

2007年発表の3rd。
ジャケやケースが真っ黒で一見誰のアルバムか分からないんですが…(笑)

端的に言うと、「VED BUENS ENDEの遺伝子がドイツで萌芽した感じ」。
VBE同様、ジャズ的なアンサンブルを取り入れたブラックで、VBEと比較するとブラストの頻度が高めだったり、ギターとベースのハモる箇所が多かったり、PESTE NOIRE辺りにも通じる夜中の墓場で骸骨が踊っているような頽廃的なメロディが多く聴かれたりといった特徴がありますね。

ブラストが炸裂するパートであっても、ベースがそれに同調するのを拒むかのようにマイペースに頽廃メロを弾いていたりして、凄く粘っこい雰囲気のある作品。ベースが意識しなくても聴き取れるような音質も、アンサンブル重視の音楽性にあってますね。またヴォーカルもデスヴォイス以外に生気の無い涎垂らしながら歌ってそうな普通声を使ったりして妖しさを演出。平日の昼間から、学校や仕事をサボってダラダラとこれを聴いていたら、どんどん駄目な方向へ落ちて行きそうな感じの音楽(笑)。

ブルータルブラックが一気にぶっ殺される感じだとしたら、こっちは窒息フェチのサディスト殺人者に首を締められて、生かさず殺さずの状態にされた中で見る悪夢…という感じでしょうか。VBEに衝撃を受けた人、頽廃的な空気感が好きな人にお勧め。
…あとブックレットの悪趣味なイラスト、LEVIATHANの作品で見れるものとそっくりだしWrestのデザインって書いてあるんですが…LEVIATHANのWrestが手がけたんでしょうか。LEVIATHANのジャケも自分でやってるのかな?Wrestのマルチな才能を発見。


WINTERBURST - The Mind Cave ★★★ (2013-12-21 11:29:32)

2012年発表の1st。

これは凄いですね。作風それ自体は、何か壮大なストーリーが繰り広げられる映画のサウンドトラックの如き、美麗でクッサクサなメロディを奏でるキーボードをフィーチャーしつつ、負けじとクサいメロディを奏でるトレモロリフを始め、しっかりバンドサウンドにも主張させる、均整の取れたシンフォニック・ブラックという感じで、特に奇抜さ、目新しさはありませんが…1stにして既にジャンルのお手本のようなクオリティの高さですね。

クサメロ好きならうっとりしっ放しになること間違いなしの華美さがありつつ、ブラックらしい暗黒性も仄かに感じるメロディセンスといい、そのメロディの良さを活かしたドラマ性たっぷりの展開といい、とにかく万事に於いて質が高いという印象。音質も、バンドサウンドをモダンにし過ぎて、喧しさがメロの華美さを打ち消す事もなく、さりとて薄っぺらいチープさがある訳でもなく、丁度良いクリアさ、ヘヴィさで非常に良い按配。なんというか、隙がない感じです(笑)。

「シンフォニック・ブラック」というジャンルのど真ん中を攻めるような音を、恐ろしくハイクオリティに出してますので、ジャンルに初めて触れる方にも推薦できそうなアルバムだと思う。終始メロディアスな作りで、メロデス好きにもお勧め。


WINTERFYLLETH - The Mercian Sphere ★★ (2011-05-11 22:20:19)

2010年発表の2nd。

このバンドも、ノイジーなリフの中にネイチャー/ペイガン系の悲壮なメロディを練りこみ、フォーク要素を各所に取り入れた音楽性で、過去のメンバーが在籍しているWODENTHRONEとも似た路線のスタイルですね。ただし、キーボードとバンドサウンドを溶け込ませていたWODENTHRONEと比べると、こちらの方がリフのメロディをより重視した感じ。

また、悲しみに暮れるようなメロディの多いWODENTHRONEと比較して、こちらはより陰鬱なメロディが多めの印象。テンポを落としたら鬱系のスタイルとも似そう。その陰りと、ペイガン的な要素って何気に凄くマッチするんですよね。沼の深みに嵌っていく感じだとか、自然の、人知の及ばない悪意だとか…このバンドも、バンドサウンド以上の「情景」で見せてくれる音を創ってると思います。

ペイガン系と言っても、派手なメロディがある訳ではなく、メジャーなスタイルではありませんが、お祭り系より畏怖・恐怖を感じさせてくれるようなバンドが好きな方には大推薦です。


WINTERHORDE - Underwatermoon ★★★ (2010-12-23 22:35:34)

2010年発表の2nd。

既に評判になってますが、またしてもシンフォブラックの傑作の登場ですね。
印象的なフレーズをそこかしこに鏤めつつ、過不足無く絡み合うギターワーク&シンセワーク、クリアかつ重厚な一級品のプロダクション、シンフォ系でもトップレベルのメロディセンス…と、出音だけを聴いても凄まじくクオリティの高い作品ですが…割と音の絢爛さ、フレーズのかっこよさで押す傾向のあるシンフォ系バンドの中で、このバンドは「展開美」「構築美」をかなり重視しているのが素晴らしいです。

メロディのパターンも多く、ヴァイキング的な勇壮なものもあれば、ゴシック的な沈痛な泣きメロあり、プログレ的な幽玄なものもありで、それらを歌詞のエピックな世界観と絡めて的確に展開させる、作曲能力/楽曲構築能力には鬼気迫るものがあると思う。世界観の語り部たるヴォーカルが、ハイピッチ~グロウルを使いこなし、感情を込めたクリーンも聴かせる実力者であるのも、説得力ある曲作りに多大な貢献をしてますね。

また、2曲目の静寂パート前のソロ回し部分や、3曲目の「AWAY, AWAY, AWAY!」パートに代表されるように、エクストリームメタルの強靭さと、プログレメタルのテクニカルさを備えた展開を設けているのも特徴で、これがいわゆる「行儀の良い音」に落ち着かず、更なる「凄み」を以って圧倒してくる作風に繋がっている気がします。ちなみに、イスラエル出身ですが、辺境的な要素はほとんどありません。めっちゃメジャー志向な音です。

「展開美」「構築美」で聴かせるシンフォブラックだと、まずCRADLE OF FILTHが思い浮かびますが、はっきり言ってCOFの新作よりもこっちの方が、聴き手の印象に焼きつく、インパクトとエネルギーを持った曲作りが出来ていると思う。私はこの作品で彼らを知りましたが、他のブログなどを見るに、耳聡い人は1stの時点で既にチェック入れてるみたいですね。私ももっと頑張らなければ…。


WINTERUS - IN CARBON MYSTICISM ★★ (2012-01-16 20:48:27)

2011年発表の1st。

レビューサイト/ブログ等で、優れたメロディセンスを持つ新人メロブラバンドが居ると聞いて購入しましたが、確かに噂に違わぬメロさですね…。イントロのメロウなインストから期待させますが、2曲目冒頭のDISSCETIONから殺気や邪気を抜きさって、牧歌的にかつクサくしたようなリードギターのメロディで早くも悶絶してしまいました(笑)。

しかもこのバンド、ポスト/シューゲイザー系のクライマックスシーンを思わせるような、儚くも激情迸るものであったり、ドイツ産ブラックのような打ち付ける氷の礫を思わせるトレモロだったり、メロディの方向性が曲によって違うんですよね。しかも曲がコンパクトに纏まっていて、メロディの美しさという美点のみを見せ付けて曲を終わらせる感じで、初聴でのインパクトを与える事にも成功していると思う。

ただ、色々なレビューで言われている通り、音質が悪い…というか曲に合ってない感じなのがネックかも。プリブラとかと比べると、特に聞き苦しい音という訳ではないんですが、各楽器が別個に鳴っているような、今一つ臨場感に欠ける音だと思う。ただライブテイクの焦点がぼけた感じの音は、幻惑するような雰囲気もあってこれはこれであり…なのかも。

良質のメロディセンスを持つブラックメタルに、ポスト/シューゲイザーブラックの感性を少し加えたかのような作風。個人的にはこのバンドは攻撃性とメロディアスさの按配が良い感じなので、あんまりポスト要素をこじらせて攻撃性を失う方向には進んで欲しくなかったり。


WISDOM (PARAGUAY) ★★ (2013-12-18 23:57:57)

同名バンドはメタルシーンにも幾つか存在するようですが、これはパラグアイのブラック/スラッシュメタルバンド。実は93年に結成し、現在も活動を続ける古株のバンドだったりします。


WISDOM (PARAGUAY) - Sacra Privata ★★★ (2013-12-18 23:59:46)

2009年発表の3rd。

店頭ではパラグアイ産のブラック/スラッシュとして紹介されてましたが、スラッシー度/オールドスクール度はWATAINやGORGOROTH以上、AURA NOIRやCARPATHIAN FOREST未満くらいでしょうか。あからさまに邪悪さを強調するトレモロ、クリアながらドスの効いたプロダクション、野太く威圧感のある中音域でのがなりヴォーカル、ブラスト頻度も高い暴虐な展開と、WATAIN辺りの持つどす黒い真性テイストも濃厚で、個人的にはRAVENCULTやNIFELHEIM等のバンドに近い作風に感じました。

南米産のバンドなんですが、トレモロに込められたサタニックさが北欧のバンド以上にあからさまなのがまた素晴らしいんですよね。例えばインスト明け2曲目の「Ave Kadath」やタイトル曲なんかは、初っ端から不運を呼ぶ風が吹き付ける如き禍々しいメロウなトレモロを聴かせ、一瞬で持ってかれてしまいます。メロディセンスは相当に良いと思う。オールドスクールな展開のもたらすストレートなかっこよさとも相俟って、楽曲はメリハリのある仕上がり。

ちなみに南米産のバンドを多く扱う有名レーベル、Hammer of Damnationからの再発盤には、ボーナスでBathoryのカヴァーに加え、95年から2000年までの音源から6曲が収録されており、軽くベスト盤の様相を呈していてかなりお得。95年の音源は如何にもデモって感じですが、メロウさをRAWさが際立てる97年音源、サタニックなムードの色濃い2000年音源など本編とは違う味わいで良い感じ。ただ、Satanic Propagandaから出てるオリジナル盤は、DISSECTIONの超名曲「The Somberlain」のカヴァーが付くらしいので、そっちを探すのもありかも。

メロディアスながら甘くならず、禍々しい雰囲気を伝えるトレモロや、オールドスクールな熱さがもたらすダーティなかっこよさ、太いバンドサウンドが醸し出す真性な凄みなど、ブラックメタルの魅力を分かりやすく伝え、尚且つ真っ当な質の高さもある好盤です。北欧やギリシャなどのバンドを好んで聴く方にもお勧め。


WISTARIA ★★ (2010-06-06 07:40:00)

日本の新進気鋭のヘヴィロック/メタルバンド。
「Sound in the Ocean that is Bluer than Indigo(藍より青い海の中の音)」を
コンセプトに掲げ活動しています。尚、バンド名は「WISTERIA」ではないので注意。
それで検索してもヒットしません(笑)。


WISTARIA - DEEP ★★ (2010-06-06 07:36:00)

2010年発表の1stシングル(インスト2曲を含む5曲入り)。
今の所、流通はDISK UNION限定のようです。
メンバー全員が89年生まれという、若いバンドですが…音の方も若いというか、凄く今風ですね。
7弦ツインギター&5弦ベースの編成が繰り出すゴリゴリとしたヘヴィな音に、ダウナー気味な
感情的なヴォーカルによる、少し歌謡的なメロを乗せたスタイルで、V系ロック、
モダンへヴィネス、ヘヴィメタルの三者を繋ぐような音楽性と言えそう(良いとこ取りとも言う)。
グロウルをさらっと盛り込む辺り、感性が今風だな…って思います。
個人的に気に入ったのは、歌謡テイストが嫌味にならない程度に、自然に盛り込まれている点。
タイトル曲なんかはかなり印象的な歌メロがあるんですが、メロ自体にどこか突き放したような
雰囲気もあって、それがヘヴィなバンドサウンドとも、絶望感溢れる歌詞の世界観とも凄く
良く合っていると思う。ただ惜しいのは、1曲目のインストで打ち込みのリズムで遊んで、
聴き手の興味を惹きながら、本編は殆ど生ドラムで演奏している点。せっかく打ち込みリズムを
センスよく聴かせる入口があるのに、それを本編で使わないのは勿体無い。民族楽器をSE的にしか
使わないエスニック・メタルバンドが好きになれない私としては、これは余り歓迎できないかも。
聴いていると、ヘヴィな音にも関わらず、どこか透明感だったり、淡いヴェールに包まれて
いるような感覚だったりを味わえる、不思議な雰囲気のある作品で、ただのヘヴィロックでは
ない音に仕上がっていると思う。この神秘的な感じが、コンセプトの「Sound in the Ocean
that is Bluer than Indigo」なのかもしれませんね。


WIZARDS' HYMN - Hymnal ★★ (2009-04-20 21:32:00)

2006年発表の1st。
この時点ではまだ分かりやすいメロパワを中心とした路線ですが…確かにこれは素晴らしい。
演奏自体のメロディもかなりクサめですが、特に歌メロが良いです。「歌謡的」までいかない、
あくまでメタリックさを壊さないメロディなんですが、メロパワでも曲によって飛翔感、
高揚感、清浄感、クラシカルなクサ味などの属性を与えていて、確実に曲毎の個性の強さに
つながっている感じ。幻想的な光景がパノラマの様に広がる「The Glory of the Desert」でも、
歌メロが優れているお陰であの幽遠な雰囲気が出てるんだと思います。
2ndの評価が芳しくないのは、路線変更したからではなく、歌メロでこれだけ曲に個性を
付けられる才能があるのにそれをしなかったから、ではないでしょうか。
実際、私はミディアムな「The Glory~」が一番好きですし。また、それを歌うヴォーカルの
声質もかなり良いですね。高音の張って歌っている所は少しお嬌な感じもあり、メタルの
シンガーとしては弱い気もするんですが、低音での凛とした歌いまわしが素晴らしい。
特に前述の「The Glory~」なんかは、もう一聴だけで聴き惚れましたね。
このヴォーカルが抜けたのも、実は路線変更以上に痛手なのかも…。
ちょっとメロディ楽器と比べるとドラムがデカく、音質はあまり良いとは言えないんですが、
それを考慮しても名盤だと思います。


WIZARDS' HYMN - Hymnal - Firestorm ★★★ (2009-05-06 23:12:37)

タイトル通り、演奏も歌メロも熱い曲。
特にBメロ部分、サビへ向けてギアを入れつつ、それ自体凄まじくクサいメロディが実に素晴らしい。ラストの「Firestorm!」連呼も熱かっこいいです。


WIZARDS' HYMN - Hymnal - The Glory of the Desert ★★★ (2009-05-06 23:10:08)

実はメロスピ曲を差し置いて一番好きです。
ミディアムテンポで、広大な砂漠のような、険しい情景を丁寧に描いていく楽曲。でも、聴いているとこの険しい情景が自分を優しく受け入れてくれるような印象もあるんですよね。ヴォーカルの歌い方も実に好みで、特にサビの「Flee away」の部分は凄くかっこいいと思う。


WIZARDS' HYMN - Hymnal - Wings of Time ★★★ (2009-05-06 23:07:07)

彼らのクサメタルバンドとしての名声でこのアルバムを買った人なら、まずイントロでガッツポーズ、そして海外バンドではなかなか聴かれないキャッチーな歌メロで悶絶でしょう!歌唱も歌メロ自体に負けないくらい起伏があってかっこいい。でも、高音部の歌声は微妙に可愛らしい声なような…(笑)。


WIZARDS' HYMN - Transience ★★ (2009-04-20 21:34:00)

2008年発表の2nd。
ネット上のレビューを読んでみても今一つな評価が多く、発売から一年も経ってないのに
某所で500円で投げ売りされていたことから、逆に興味を持って買ってしまった作品(笑)。
聴いてみての感想ですが…酷評されるようなアルバムではないものの、後に購入した1stと
比べると小粒な感も否めないな…と思いました。
前作で見せたメロパワ中心の路線とはうって変わって、スケールの大きいシンフォな音と、
良く練られた世界観の演出で引き込んでいく、映画のサントラ的な魅力を強く備えた
ゴシックメタルという感じの作風で、1曲目から「おおっ」と思わせる質の高さはあるんですが…
所々良いメロやかっこいいアンサンブルは出てくるし、アレンジは緻密だし音も良くなってるん
ですが、1stと比べるとフックに欠け、最後まで集中力を持って聴き通すのが難しくなってる感も。
交替したヴォーカルにしても、可憐で綺麗に声が出てるところと、上擦り気味だったり
弱めだったりするところが混在するなど表現力にムラがあって、帯に「歌姫」的なコピーを
派手に打って売り出してる割には、まだ少し物足りない。声質はまあ良いけど、好意的に見ても
まだ原石だと思う。個人的には現段階では凛とした声質の前任者の方が好きですね。
とはいっても、音の世界観は心地良いし、これで1曲1曲に強烈なフックがついて
ヴォーカルが歌唱力上げたら素晴らしいものができると思う。折角路線変えたんだし、
こっちの路線でもジャパメタの名盤と言えるようなアルバムを作って欲しいです。