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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 701-800
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 701-800
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ASMODEUS - Imperium Damnatum - Thorns ★★ (2007-12-26 01:14:49)

珍しくミディアムで進行していく曲。
でも、こういう曲はヴォーカルはもっと感情豊かに歌って欲しいかも。冷徹な雰囲気は確かに魅力ですが、この手の曲では少し単調に聞こえてしまうかも。


ASMODEUS - Imperium Damnatum - Withering Vengeance ★★★ (2007-12-26 01:09:54)

イントロのインスト部分が廃墟となった街に、黒い雨が注いでいるような情景を思い起こさせますが、それでも容赦なくブルータリティ炸裂!!いや、もう街の人間みんな死んでるから!!もう勘弁してあげて!!って感じです(笑)


ASOFY - Percezione ★★★ (2014-02-12 21:36:00)

2013年発表の2nd。
アルバムタイトルの意味はイタリア語で「知覚(perception)」。

ショップでの売り文句がアトモスフェリックな空間の中に絶望的なトレモロが響く…みたいな感じだったのと、アートワークやフォントの雰囲気が先日出たMANESの新作に似てた(発売レーベルも一緒)だったので、その流れを汲む鬱ブラックと思っていましたが…鬱ブラックをメインに据えつつも、スラッジやポストブラックの要素も多分に含む、意外にも実験的なサウンドを聴かせてくれます。

実際には鬱ブラック的なトレモロリフは一部のパートで印象的に使われるくらいで、どちらかというと、空間が撓む様な重々しい空間を演出しつつ黒いメロディを奏でるアルペジオや、聴き手の知覚に直接に絶望感を擦り付けるかのようなスラッジーに引き摺るリフをメインに展開していく作風。まるで光の差さない深海に意識だけ置き去りにされたかのような、陰鬱にも程がある音を聴かせてくれます。

何気に構成が(良い意味で)酷く、アルバム冒頭ではシューゲイザー系のブラックのような、カタルシスを感じるような清浄なトレモロや浮遊感のある音像を聴かせたりしてくれますが、一曲目の中盤を過ぎた辺りから鬱ムードに沈んで行き、黒い絶望感を引き摺りながら進行。カタルシスがあってアルバムを閉じるのではなく、絶望の中に沈んで終わりなのが徹底している感じで素晴らしいです(笑)。

正直ショップでの売り文句にあったような「絶望的トレモロ」は含有率は余り高くなく、そのコピーに惹かれた方に勧めるのは微妙な所ですが、実験性のある、しかもそれが絶望感として実を結んでいるような鬱ブラックが好きな方なら、かなりハマれるのではないでしょうか。


ASRA (日本) ★★ (2011-06-23 20:59:28)

仙台発エスニックHRバンド。
以前から雑誌のレビューに載ったりコンピレーションに曲を提供したりしていましたが、今日ついに1枚目のアルバムを発表しました。ちなみにアメリカに同名のデスメタルバンドがいます。


ASRA (日本) - Ahura Master-marga- ★★ (2011-06-23 21:01:15)

2011年…というか今日発売された1st。
まだ数回通しで聴いただけですが、かなり良いのでレビュー書きます。

帯のコピーを引用すると、このバンドは「民族的アプローチ」「キャッチーな楽曲」が売りのようですが…取り合えず前者に関してはほんと素晴らしいと思う。オープニング明けの2曲目のイントロでド派手に中近東メロディをかまされた時は、ベッドで聴いてたんですけど、もうほとんど飛び起きそうになりましたもん。それくらいインパクトがありましたね…。

RUDRAやMELECHESHを思わせるメロディを仕込んだギターワークといい、瞑想的な感覚を助長するパーカッションやサンプリングといい、何気にアレンジのセンスが良いと思う。ドリーミーなベースにパーカッションが絡み、メロディの夢見心地な美しさを引き立てるバラード「最果ての夢」なんて、若手とは思えないですもん。メロデスやパンク風のリフ捌きや、変拍子も取り入れたリズム等、常に全力な感じの演奏も若手らしくて実にかっこいい!ベテランミュージシャンの妙に落ち着いた演奏よりこういう音の方が私は断然好き。

ただ、「キャッチーな楽曲」、これに関しては手放しで褒められないかも。
キャッチネスの出所が、「中近東メロディの醸しだす異世界感」からくるフックではなくて、普通にロックバンドとしてのメロディの良さ、という感じなんですよね。確かにどの曲も(普通なら)グッと来る、耳に残る歌メロがあるんだけど…普通にインディーズのバンドや、V系、ジャパメタ辺りから出てきそうなメロで、歌メロに限っていえばいまいち中近東っぽさが足りない感じ。

特に中近東っぽさを売りにしているわけでもないJ-POP、例えばモーニング娘(最近お気に入り・笑)でも「踊れ!モーニングカレー」や「恋のダンスサイト」みたいな中近東風の歌メロを書いてるというのに、民族的アプローチを売りにしてるバンドがこれはどうなの?って感じです。まあ、その分普通のロックファンにも取っ付きやすくはなってますが。ヴォーカルも上手さもあって聴きやすいけど、ちょっとここだけは期待外れかも。

という訳で、「なんで1曲でも強烈に中近東風の歌メロを書かないの?」という疑問は残りつつも、それ以外はかなり満足できた一枚。なんだかんだいって歌メロも悪くないですし、中近東フレーバーの入ったアレンジは素直にかっこいいと思えます。しかし、やっぱり中近東歌メロでシリアスな世界観が難しいから演らないんでしょうか…上で挙げた曲もコミカルな曲ですし。


ASRIEL ★★ (2007-02-14 22:02:00)

これは凄い。
今まで知らなかったのが恥ずかしいぐらい。
日本の耽美ゴシックユニット。
自主制作で音源を作っているらしいですが、あんなハイクオリティな音楽なのに
インディーズで、しかも初期の2枚は廃盤の憂き目というのが信じられない。
ほんと、日本の音楽シーンって何か間違ってます。
しかし、こういうアーティストってどうやって見つけたらいいんでしょう。
私は凄く参考になるレビューサイトを見つけて(サイト名は伏せておきますが、
志方あきこやALI PROJECTに加えてアノレクやEMPERORまで取り扱ってて、しかも
レビューが詳細なサイト)そのレビュー主さんが褒めてたから買ったんですが…。
ああ、もっと早く知っていれば初期の二枚も買えたのに…!!


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 ★★ (2007-02-14 22:21:00)

2006年発表の3rd。
DVDケース仕様、6曲入り。
これ、マジで凄いですね。日本はインディーズの方がメジャーより充実しているのでは…。
音楽的には、独特の声のトーンを操るヴォーカルを軸にピアノやストリングスだけでなく、
フルートやアコーディオン、チェンバロなど耽美好きにはたまらない楽器をふんだんに使い
キャッチーに展開する、メタル要素も少し含んだゴシック・ポップという感じでしょうか。
もうやりすぎなくらい煌びやかです。過剰の道は知恵の宮殿に通じるとは言いますが、
それを地で行くような音楽性だと思います。
他のアーティストを引き合いに出すなら、女性化しポップになったMOI DIX MOISもしくは
リズムにメタル要素を取り入れ出したALI PROJECTにSOUND HORIZONのエンターテイメント性と
ZABADAKの幻想性をスパイスに加え、まとめてワイン漬けにした酩酊耽美サウンド!!(某Disc
Hell風レビュー)って感じですね。思いっきりメロが耽美な1曲目からサビがメロスピ的な
疾走感を醸し出す2曲目の時点で、メタラーにもかなりアピール出来るのではないでしょうか。
KOKOMIさんのヴォーカルも上手いし独特で良いですね。
高音を使って幻想性・非日常性を演出するスタイルはZABADAKや志方あきこさんにも通じる
ものがありますが、彼女はそれに加えて非常に細かいビブラートをかけてます。
まるで上野洋子さんが扇風機の前で歌っているかのような感じ(笑)。その独自の歌い方が、
更に非日常性に拍車をかけてますね。ジャケがちょっとアニメっぽかったので不安でしたが
そこから想像されうる媚びや素人っぽさは全く無く、上手いヴォーカルなので満足。
後半はちょっと歌メロに耽美さが足りないように思ったり、少し荒削りな部分も感じますが、
もう一歩進化したらいつブレイクしてもおかしくないクオリティの高さ、個性のある
アーティストだと思います。自主制作らしくレーベル情報とかも書いてなかったんですが、
まだどのレーベルとも契約を交わしてないなんて信じられません。本人達が自由な音楽活動を
する為に契約を断っているか、さもなければ日本のレコード会社に良い音楽を探す能力が
欠けているとしか思えません。耽美好きでポップスもいける人は買わないと後悔しますよ。


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - Al phobis ★★★ (2007-02-14 22:26:27)

1曲目にしてアルバム中最も耽美さを感じる曲。
耽美なだけでなく、少女の笑い声などのエンターテイメント的狂気表現が鏤められており、ここでリスナーをアルバムの世界観に取り込もうという意欲の高さが感じられます。ここは大人しく、この雰囲気に酔い痴れて聴くのが吉でしょう。


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - nocturne ★★ (2007-02-16 11:45:34)

このアルバムはどの曲もシングル曲並みのキャッチーなメロディを聴かせてくれますが、この曲の歌メロはちょっと陰陽座のシングルっぽい雰囲気がある気がする。作曲を陰陽座、編曲をMALICE MIZERがやったらこういう感じになりそう。


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - 月纏の蝶 ★★★ (2007-02-15 17:39:24)

音自体はメタルと違いギター中心のものではなく、キーボードを軸に華麗に展開していく曲ですが、サビの疾走するリズムは明らかにメタルの影響下にありそうですね。ゴシック、メロスピ好き垂涎モノのメロディと疾走の兼ね合いです。また多くのメタルが持ち得ない「可憐さ」もあって個性がちゃんと出てるのが凄い。ほんとにインディーズ?


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - 深紅の花園 ★★ (2007-02-16 11:51:58)

このアルバムって、作品を通じて僅かずつ狂気が希望に変わっていっている印象なんですが、その希望がこの曲で実を結んだという感じですね。…こういうエンターテイメント的な狂気ってCoccoとかの本物の狂気と比べると一段低く見られてしまいがちですが、創造性の高さにおいては勝るとも劣らないんじゃないかと思います。このアルバムを聴けばそれが良く分かる。


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - 瞳に映る最期の憧憬 ★★★ (2007-02-16 11:48:33)

この曲は他の曲と比べると、ややメロディがポップな感じがします。
なんとなくドラマやアニメのエンディングになりそうな感じ。絶対悲劇系のドラマですが…。メロは普遍的な魅力があると思いますが、アレンジはもちろん彼ら流儀のウルトラ・シンフォニックスタイルなのでご心配なく(笑)


ASRIEL - 月光蝶舞う深紅の花園 - 眠りの森が魅せた夢 ★★★ (2007-02-16 11:42:47)

この曲はメロディの流れが非常に美しいです。
多くの文学者達がテーマにした、「愛と死」を耳で聴く形に昇華したかのような、極上のロマンティシズムを感じるメロディ。サビ前などコケティッシュさを発揮し耽美さを濃くするヴォーカルも良い感じです。


ASRIEL - 夢の繭紡ぐ盲目の輪舞 - ゲルゲの舞踏 ★★★ (2007-05-03 15:58:33)

音の陰から妖精が悪意を込めた眼でこちらを見ていそうな、魔性の雰囲気が濃密な、蟲惑的極まりない楽曲。どんどん戦慄が加速していき、緊張感が頂点に達した所で繰り出される疾走パートは、あまりにもかっこよすぎ。
…しかし、ここが非HR/HMアーティスト(メタルと全く関連が無いものは×とはいえ)への発言もOKな、他ジャンルに寛容なサイトで本当に良かった。こんな素晴らしい曲に推薦コメント書けないんだったら、それこそ悔しさで死にそうです(笑)


ASRIEL - 夢の繭紡ぐ盲目の輪舞 - 雪月花 ★★★ (2007-05-03 16:05:08)

日本的な「儚さ」や「切なさ」といった「ワビ・サビ」と、ゴシック由来の煌びやかさが極めて高い次元で交錯する至高の名曲。元から持つゴシック要素に加えて、こういう和を取り入れても全く違和感無く、素晴らしいものを作り上げるセンスに脱帽です。


ASRIEL - 夢の繭紡ぐ盲目の輪舞 - 夢纏の繭 ★★★ (2007-05-03 16:01:41)

これはかなりメタラー受けするんじゃないでしょうか。
曲に挿入される、ギターのちょっとしたリフやフレーズが実にスリリングでかっこいい。…っていうか、ソロはモロにRAPHAELの「Sacrifice」なんですが。メロディそのものの類似性は元より、区切り方までそっくり。やっぱり黒瀬さんってメタラーなんでしょうか。少なくともメタル好きではありそう。


ASTARIUM ★★ (2012-02-11 07:43:27)

ロシア産シンフォニック・ブラック。
SiN氏が全てのパートを担当する、独りブラックのスタイル。
ちなみにGoogleでこのバンドを検索しようとすると、何故か「ASTERIUM」という単語を検索しようとするのがイラっときますね…(笑)。製作者は早く何とかして欲しいんですが。


ASTARIUM - Dethroned Of Imposter ★★★ (2012-02-11 07:45:01)

2010年発表の2nd。

スタイルとしては、粗いバンドサウンドをアトモスフェリックなキーが包む、初期EMPERORや初期LIMBONIC ARTに近い路線ですね。音色のパターンの少ないキーボード、厚みの無いバンドサウンド、打ち込み故の豪速さが暴虐さではなく、逆にちょこまかした印象を与えるリズム、エフェクトに頼り気味なヴォーカル…と、はっきり言って音作りはチープもいいところ。しかし、私はこれ名盤だと思う。

その理由は何と言ってもメロディのセンスですね。大仰、荘厳、高貴…そういったシンフォ系の特性をしっかり持っていながら、人を寄せ付けない邪悪さ、畏怖の感情を呼び起こすような神秘性も備えている感じ。個人的には、EMPERORの2ndを聴いた時と同じような畏れを呼び起こされるメロディなんですよね。キーの音色のパターンが少ないのも、華美になりすぎて残忍さを壊す事がなくて、プラスに働いているように思います。

また、曲に邪悪なうねりを与えるようなリフ、痩せた音ながら焼け付くような感覚を与えるリード、時折メロウなフレーズを弾き、曲を更にメロディックにするベースなど、キーの陰に隠れたバンドサウンドも何気に良い仕事をしていると思う。時折SEと交じり合ってカオスなことになってますが、その混沌とした感じが邪悪でミステリアスで、凄く魅力的に聴こえます。

演奏時間は40分と、シンフォニックブラックとしてはやや短めで、うっとりと聴き入ってしまうようなムードの濃さもあって、あっという間に終わってしまう感じ。アトモスフェリック系のシンフォブラックが行ける方には大推薦。素晴らしいです。でも個人的にはロシアっぽくない音だと思います。なんかカナダとかスペインっぽい印象を勝手に持ってるんですよね。


ASTARIUM - Wyrm of Melancholy (2014-05-01 18:22:51)

2012年発表の3rd。

前作「Dethroned of Impostor」がチープな音色も味に感じるような、センスの良いアトモスフェリック/シンフォニック・ブラックだった事もあって、相当な期待を持って聴いたのですが…最初聴いた時は頭を抱えてしまいました。なんか望まぬ方向に音楽性が変化してて、リアルで苦悶の呻きを発してしまいましたよ…(苦笑)。

ノイズ質を引き摺ることで情景にある種の彩りを与えたり、繊細なメロディをノイジーに紡ぎ上げたりするギターワークは、前作のトレモロ中心のそれとは最早別物。ミディアムテンポ中心の展開、SEも取り入れたアンビエントな楽曲の挿入などもあって、最早ポストブラック寄りのドゥームみたいな感じになってるんですが…。同名異バンドの作品を買ったのかと思ったほど。

まあ、邪悪さが殆ど無くなり、叙情方向に大きく舵を切ったとは言え、繊細なドラマ性を湛えたメロディはそれはそれで良いと思うし、全く駄目な作品だとは全然思わないんですが…正直前作を気に入っていた人間からすると、ちょっとこの変化は頂けないですね…。


ASTAROTH (AUSTRIA) - Organic Perpetual Hatework ★★ (2011-09-04 01:08:06)

2005年発表の4th。

タイプとしては、刻みを多用したメロデス的なリフワークと共に疾走し、そこにシンセサイザーやピアノによる装飾が乗るシンフォニックブラックで、ところどころアートワークから想起されるようなインダストリアル要素も取り入れているのが特徴ですね。ヴォーカルは、何気にキレの良さと狂気を両立させている中音域がなりタイプで、なかなかかっこいい声だと思う。

このバンド、何気に世界観の演出が上手いですよね。
アトモスフェリックなキーだけでなく、ピアノの煌びやかな音色も用いた音像はどこか宇宙的な情景を想起させるし、インダストリアル要素もイントロや、ビデオまで制作しているキラーチューン「Soulcloned」の展開部など、作品の肝となるようなパートに取り入れられていて、実際の頻度よりかなり印象に残る感じ。

ヘヴィメタル、特にブラックメタルって、どれだけ聴き手の想像力を刺激できるかが大きなウエイトを占める音楽だと思うんですが、このバンドのそうした演出力は彼らの音楽性に、かなり大きなハクを付けてると思う。TIDFALLやSIRIUS辺りの、宇宙観を持ったシンフォブラックが好きな方にお勧め。


ASTARTE ★★ (2011-09-19 23:27:23)

ギリシャの女性3人によるメロブラ/メロデス。
ブラックでもメンバーに女性がいることは少なくないですが、全員なのは珍しいのでは。


ASTARTE - Sirens ★★ (2011-09-19 23:28:54)

2004年発表の4th。

メロディック・ブラックの中にはほとんどメロデスと区別が付かなくなっている音楽性のバンドがいますが、これを聴く限り、このバンドはその中でもメロデス要素が強い作風ですね。ブラック特有の邪悪さやRAWさなどはほとんど感じない作風で、ギターによる泣きメロを中心に、丁寧に展開していく音には、正統派メタルにも通じるものを感じます。

かなり聴きやすい音ですが、女性特有の狡猾さ・しなやかさを感じさせるデスボイス、トレモロリフを交え苛烈なブラストを聴かせる、寒々しい疾走パート、ゴシック的耽美さを感じるピアノやキーの導入など、暗黒風味もしっかり残してくれているのが嬉しいところ。音質からマイナーバンド臭がするのが残念ですが、楽曲自体の作りは悪くないと思う。

アルバム全体を通じて、上品なメロディが聴ける、聴きやすいメロディックブラックなので、ジャンルに嵌まりかけの人が更に一歩踏み込むための作品としてもいいかも。入門にはちょっとインパクトが足りない…かな?


ASTRAL SILENCE ★★ (2012-10-04 00:15:04)

スイス産スペースアンビエントブラック。
BORGNEのライブメンバーであるQuaoar氏によるプロジェクト。


ASTRAL SILENCE - Astral Journey (2012-10-04 00:11:50)

2010年発表の1st。

ブックレットの特殊なインクを使って凹凸を出したアートワークや、CD盤面の無音部分に施された宇宙風の意匠など、アイテムとしてもこだわりが見える造りの作品ですね…。
作風は、アンビエントパートやミニマルなブラックメタルパートを交互に聴かせ、宇宙的な情景を描くような音で、端的に言ってDARKSPACE系の音なんですが…あちらよりももう少しマニア対象な感じ。

ノイジーなギターとアトモスフェリックなキーボードが混じり、質量のある宇宙を展開する音や、神の座から宇宙に語りかけるかのようにも聴こえるヴォーカルなど、ムードとして徹底してはいるんですが…ミニマルな要素が強く、一応ギターやキーのメロディがある程度はあるんですが、展開としては星や銀河の配列が少しずつ変わったりとか、その程度の変化があるくらいで、基本宇宙が広がってる情景自体は変わらない感じ。アンビエントパートも(DARKTHRONEの)Fenrizのソロを引き伸ばした感じのミニマルさだし。

DARKSPACEよりも良くも悪くもマニアックな音なんですよね。やりすぎてて普遍性を欠いてるというか。個人的には嫌いじゃないんですが、流石に気分じゃないときは聴けない音だと思ったり。


ASTROFAES - Idea. Form. Essence... ★★ (2010-01-15 22:04:00)

2007年発表の6th。

メンバーがHATE FORESTやLUCIFUGUM、DRUDKHなど名だたるペイガンブラックに関与し、以前はNOKTURNAL MORTUMのメンバーも在籍していたという時点で、もうペイガンブラックであるということは予想は付くと思いますが…この作品は、民族楽器やキーを使用せず、ブラックのアンチモダンなRAWさをペイガンの土着性に繋げたような、プリミティブブラックに近いスタイル。…と言っても、音の分離は悪くないし、リフにも適度に土着的なメロウさ・妖しさが込められているので、上記バンドを好きな方なら問題なく聴けると思います。

…それどころか、ドラムの音は1打1打の抜けの良さが分かるくらい生々しいクリアさ。また、「ツタツタツタツタドシャッシャー!!」と突っ走った挙句、思いっきり事故起こすような(笑)前のめり加減な勢いも素晴らしい。ちょっとした強弱の付け方やフレーズにもセンスを感じるし、実はかなり良いドラマーなのでは。前述の音質のよさも相まって、実に心地よく聴けるんですよね。個人的には、このリズムの心地良さがこのバンドのウリじゃないかと思います。

このジャンルってどれだけリスナーを自分達の世界観に没入させるかを競ってる所もあるし、このドラムは大きな武器なのではないかと思います。


ASTRONOID - Air ★★★ (2017-05-10 13:36:16)

2016年発表の1st。

ポストブラック界隈で好評を得たVATTNET VISKARのメンバーが絡んでいたり、あるサイトでは日本語訳されたインタビューやレビューが掲載されたり、日本でもかなり注目度の高いバンドのようですが…これは面白いですね。ノイズ質を真ん中に据えつつ、トレモロで音像を彩ったり、ごく明瞭なメロディをリフに込めつつ疾走したり、儚く清浄な雰囲気は湛えつつも、それを様々な手法で表現していくスタイルのポストブラック。

ノイジーなリフと叙情トレモロの組み合わせ方など、一部ではプリブラ辺りがヒントになっているのでは…と思わせる部分もありますが、基本的に他のポストブラックと比較してもメタル離れした感性を持っている印象で、特にソフトな響きの声を重ね、スペイシーな雰囲気を演出するヴォーカルパートにそれが顕著。また、前述したようにメロディの明瞭さも特徴で、時には「儚げ」「エモーショナル」という枠を超えて、多幸感すら覚えてしまうほど。

関連バンドのVATTNET VISKARと比較してもメタルの攻撃性や暗黒性が感じられない音なので、最初はちょっと好みから外れてると思いはしたんですが…聴いてるうちにやり切っている感じがしてこれはこれで良いな…と思うようになりましたね。新世代のメタル…って感じがします。


ASTURIAS ★★ (2007-06-17 22:21:00)

日本のプログレ。
88年デビューだから、来年で20周年…キャリア長いですね。
ACOUSTIC、ELECTRIC共にこちらでお願いします。


ASTURIAS - Bird Eyes View ★★ (2007-06-17 22:19:00)

前作からは活動休止を挟んで10年以上を経てリリースされた、2004年発表の5曲入りミニ。
以前の作品は未聴なんですが、このバンドは多重録音などを駆使した情景描写が高い評価を
得ていたらしいですね。今作はアコースティック編成のバンドとして蘇ってから、初の
ミニアルバムとして制作された作品らしいです。基本的にギターとヴァイオリン、ピアノ、
クラリネットの編成によるインストが基本で、曲によってはゲストヴォーカルによる
コーラスなどが入る、一聴するとクラシックの室内楽にも聴こえるような美しい音楽。
一般的なイメージで言うとプログレよりもヒーリング音楽に近そう。
練りこんだ構成を重視する傾向のクラシック音楽と比べると、情景描写を主とした音像で
あるのがプログレ的と言えるのかもしれません。よく深夜にテレビで番組が終わった後や
始まる前に、雄大な自然の映像をインテリアフィルムのように流している事がありますが、
これを聴くとああいう映像をリアルにしたような光景が浮かんできますね。
そうした自然の情景は、普段汚れた都会で暮らしている者からすると幻想的とも言えるかも。
という訳で、プログレだけでなくZABADAK、KIRCHE、MAPLE LEAF、志方あきこなどを
始めとした、幻想的な光景を音によって魅せてくれるポップスが好きな方にも強くおすすめ。
日常を解き放ってくれる情景はメタラーにも相性が良いかもしれません。癒しを求める方は是非。


ASTURIAS - Bird Eyes View - Adolescencia ★★★ (2007-07-20 21:46:01)

各楽器が、まるで輪唱するかのように主題を次々に演奏し、それに合わせてバッキングも変化する部分が鮮烈で、かつかっこいい曲。ヒーリングとかライト・クラシック寄りの美しい音なんですが、かっこいいです。


ATARAXIA ★★ (2008-08-18 15:47:00)

イタリア産ゴシック/フォーク/ダークウェイブ。
暗黒メタラー間でも評価の高いレーベル、Cold Meat Industryに所属してます。


ATARAXIA - Paris Spleen ★★ (2008-08-18 15:45:00)

詳細は分かりませんが、2006年発表の17thアルバムらしいです。
「フランス・パリのキャバレーを題材にしたコンセプトアルバム」「所属しているレーベルが
Cold Meat Industry」という2つのキーワードから、「これは頽廃的な雰囲気に浸りきらせて
くれる作品を期待できるのでは…」と思い買ってみたんですが、見事に期待に応えてくれるアルバムでした。
作風的には、アンサンブルにアコーディオンやピアノ、ストリングスやブラスなどを用いた
舞台音楽…という感じですが、ヴォーカリストのMadame Bistouriの妖しい表現力がかなり
光ってますね。元々曲自体の不条理性や頽廃性も強いですが、美しいソプラノから
おどろおどろしい語りまでをこなす彼女のヴォーカルがそれを何倍にも引き立てている感じ。
所属レーベルから期待されるようなダークさや妖しさはありつつも、意外にもメロディ自体は
華美で聴きやすい。この頽廃性と華やかさが同居する雰囲気、「享楽的」というと近いでしょうか。
アングラで前衛的な演劇を見ているかのような不条理な感覚を分かりやすく伝える音楽性は、
メタルで言うとUNEXPECTに通じる物があるかもしれません。
ともかく現実を忘れ、一時の享楽に浸るには最適のアルバム。
…それにしてもこのアルバム、かなり作りこまれてると思うんですが、もう17枚も作ってるんですね…。
世界観の演出は凄みを感じるほどに全くブレることがありませんが、こういう演出力もその賜物なのかもしれません。


ATHEIST - Jupiter ★★★ (2011-01-22 20:20:15)

2010年発表の4th。

オリジナルフルとしては17年ぶりの新作らしいです。私はデスメタルの歴史には不勉強で、このバンドもつい最近知ったくらいなんですが、雑誌のレビューを読んだりしてたら、なんかムラムラ来たので買っちゃいました(笑)。

レビューなどでは、「変態テクニカルデス」と言われてますが…これ聴くと、音楽の世界でも、大体において変態とは、「一般よりも欲望に忠実であること」というのが良く分かります。だって、「ブルータリティの追求」にしろ、ジャズ要素も含む「濃いアンサンブル」にしろ、メタルというジャンルの快楽原則に忠実過ぎるくらい忠実ですもん。ただ、メロスピのクサメロや、ギターヒーローの速弾きのように、追求の方法が受け入れられやすいものでないというだけで。

個人的には、インテリジェント&インテンスなのに、時折地獄めいたリフが飛び出す展開といい、聴く以上は気が抜けないアンサンブルといい、本当に心地よい音だったりします。まあ、一つ受け入れられなかった点は、おっさんが駄々をこねてるようなヴォーカル(怒られそうな表現かも…)ですかね…。これがBEHEMOTH並に太い声だったり、SATYRICON並のカリスマがあったりすれば、神盤だったんですが。


ATHERIA - Echo from Another Kingdom & Spectral Regression ★★ (2014-07-08 22:25:00)

2012年と2013年に発表されたEPを2枚カップリングした再発盤。
なんと国内盤仕様が発売されてます。

これ、最初聴いた時は驚きました。NEPTUNE TOWERSなどを思わせる、宇宙的アンビエントに、耳が痛くなるようなノイジーなブラックを足したような音で、一応ミステリアスだったりクラシカルだったりするメロディは耳を惹くし、音像も捉えようによっては神秘性や深遠さを感じられるものではありますが…国内盤がリリースされる作品としては、余りにもニッチというか、マニアックというか…(笑)。

ただ、後半の「Spectral Regression」を聴いて、「さもありなん」と思いましたね。ノイジーなギターと絶叫ヴォーカルが引っ込み、よりキーボードの音像と溶け合うようなミックスになってるんですが、この音でのプリミティブな疾走が非常にかっこいい。特に「Neverending Hypnos」はディープな音像とシンプルな疾走が上手く組み合わさった名曲だと思う。そしてこの後半部でバンドの世界観に慣れてくると、前半部もいつの間にか然程抵抗無く受け入れられるようになってるんですよね。楽曲のタイトル通り洗脳されているのかも…(笑)

確かにニッチではありますが、それだけでは終わらない味わいがある良盤だと思います。ただ、前半と後半で音量がかなり違うのだけはやめて欲しかったなぁ…。


ATMAN ★★ (2011-07-06 00:35:32)

スペイン産メロディックブラック。
92年から活動するバンドで、元ARGARのメンバーも在籍してます。
しかし詳細を知ろうと検索したらバットマンばかり引っかかる…(笑)。


ATMAN - L'ASSASSI DE VENUS ★★ (2011-07-06 00:37:01)

2009年発表の4th。

スペイン産らしい…かどうかは分かりませんが(笑)、トレモロリフによるなかなか上質なメロディを絡めた疾走や、アコースティックギターによる叙情パート等を配した、メロディックブラックとしては特に衒いなくドラマティックな作風…ではありますが、この作品は音作りがかなり独特ですよね。

妙に響きのいいドラムにヂリヂリのギターが絡む音像はRAWブラックのそれですが、ただ単にRAWなだけでなく、左右のチャンネルでギターとヴォーカルに奥行きを付けてるのが特徴。特にヴォーカルは裏返る寸前のハイテンションかつガラガラに歪みまくった声での絶叫をひたすら続けるスタイルで、この音作りによって狂気が更に増幅されていて素晴らしくかっこいい。

ただし、トレモロリフの上品なメロディであったり、RAWさが心地よい疾走であったり、部分的には素晴らしいものの、まだ全体的な求心力ではメジャーなメロブラには適わないと思う…というか、作風からしてメジャー性よりもカルト性を重視してる印象。なので「RAWなメロブラ」と聴いて、食指が働く人にのみ推薦です。


ATOMTRAKT ★★ (2012-03-14 23:22:04)

VINTERRIKETのメンバーによるアンビエントプロジェクト。
VINTERRIKETとは違い、戦争をコンセプトにしている模様。


ATOMTRAKT - Schutt & Asche ★★ (2012-03-14 23:24:44)

2006年発表の…多分1st。

VINTERRIKETのメンバーが演っている、戦争をコンセプトにしたアンビエント/インダストリアル…と紹介されてましたが…これ、思いっきりVINTERRIKETのアンビエント作品に近い音ですよね。幽玄で厚みのあるシンセが、聴き手の視界全体をモノクロームに染める音像も、冷えた神秘的なメロディももうモロです(笑)。一応、砲撃や語りのSEが入り、聴き手の意識を誘導しようとはしてますが…どうしても、「冬の王国」的な世界観が浮かんできてしまいます。

ただ、2003年のデモ音源「Zusatzliche Klanglandschaften」を再収録したらしい6曲目以降は、ちょっと毛色が異なってくる感じですね。奥行きのある、神秘的なシンセが世界観の演出を担う音像こそ共通してますが、こちらではインダストリアルのリズムを全体に導入し、より機械的なムードを描こうとしている感じ。こちらはVINTERRIKETの全てが雪に覆われた静寂ではなく、荒廃した、終末観溢れる静けさが感じられる辺り、本隊との差別かも出来ていて良い感じだと思う。

個人的には、作曲時期的には前になる後半部分の方が好みだったり。ともかくVINTERRIKETを追っている方なら、すんなり入れる世界観を持ってますので興味があれば是非。


ATRA ★★ (2011-05-26 00:40:49)

オーストラリア産プリミティブブラック。
以前DROWNING THE LIGHTにも関わったBlackheart氏による独りバンド。


ATRA - DEATH COVEN ★★ (2011-05-26 00:41:26)

2010年発表の1st。おそらく500枚限定。
バンドロゴの怪物が漫画「トリコ」に出てきそう(笑)。

路線は、2ビート疾走のみではない、ミディアムもそれなりに重視するタイプのプリミティブブラックで、やや遠くから聴こえるエグイ喚き系ヴォーカルといいいくら音量を上げても迫力の感じられない、軽くてノイジーな音質といい、いかにもって感じです。ただ、こんな軽い音なのに、何故か邪悪が真ん中に巣食っているような気配が感じられるのが面白い。生贄の血で染まったぼた雪のような、刻みリフの音色も結構個性的。

このバンド、寒々しい音を出してはいるんですが…他のプリミティブブラックと比べると、その表現の仕方が違う感じがしますよね。直接に寒々しさを表現するというよりは、不気味で湿ったメロディをリフに盛り込む事で、聴き手の体温を下げるような寒々しさだと思う。2曲目や9曲目などは、不気味さが行き過ぎて魔と邂逅するような神秘性すらあると思う。路線は違いますが、BEHERITの「Drawing~」と似た聴き心地がある。

…とレビューを書いては見たものの、多分「邪悪が真ん中に巣食ってるような気配」だとか「魔と邂逅するような神秘性」だとかは、プリミティブブラックそのものが好きでないと感じ取れない可能性大です(笑)。という訳で、ちょっとマニア向けかな、と思います。


ATRA MUSTUM ★★ (2013-08-27 00:06:44)

EMERALD NIGHTのメンバーが参加する、ロシアのシンフォブラック。
バンド名はラテン語で「黒い秋」という意味だとか。


ATRA MUSTUM - Хаос ★★ (2013-08-27 00:08:20)

2012年発表の2nd。

これはまた、クサメタル方向からシンフォブラックに入った人が悶絶出来そうなバンドが出てきましたね…。路線としては、メロいトレモロだけでなく、メタリックな刻みやメロウなリードギターによるハーモニーなどのメロデス要素も含むバンドサウンドに、音色の多い派手なキーボードを乗せて進行するスタイルで、流石にCOFやDIMMU BORGIRクラスのメジャー感は無いものの、プロダクションもクリアでジャンルのマニアならずとも聴けるであろう高品質な音。

幻想的なアンビエンスを感じさせる音色のキーが、派手なフレーズを弾き惹き込む2曲目、電子ピアノを伴う畳み掛けや華麗なワルツパートがいっそあざとい4曲目、初っ端から悶絶級のクサさを醸し出す6曲目などを始め、この手としては楽曲の差別化が上手く出来ている感じで、金太郎飴に決してならない曲作りがアルバムの構成をドラマティックにしているように思います。ただ、メロウなギターソロで終わると見せかけて、B級っぽいSEを交えて締めるエンディングはちょっと謎ですけど。

…シンフォニック系のバンドって、音色の多さやオーケストレーションの派手さで誤魔化していて、結局メロディそれ自体はいまひとつクサさが足りない…という事も少なくはないですが、このバンドはしっかりメロディがクサいのが良いですね。質は高いものの、メロディの構成といいバンドサウンドの勢いといい、メジャーなバンドには余り無いガムシャラ感がある気がするのも良いです。


ATRORUM - Structurae ★★★ (2015-12-09 23:34:06)

2015年発表の3rd。

これは一回試聴して「買おう」と決めました(笑)。ミディアム中心ながら一筋縄ではいかない、変則的なリズム構成に、キーボードやサンプリング等が知的に味付けをするプログレッシブ/アヴァンギャルドなブラックで、近年のARCTURUSやSOLEFALD辺りの構築性に、UNEXPECT等の持つ破天荒さを足した感じでしょうか。もう少しマイナーなバンドを挙げていいなら、レーベルメイトでもあるORAKLEの作風を、キーボードをより前面に出した音像にした感じ…というと近いかも。

この作品、アヴァンギャルドブラックではあるんですが、「分かりやすくアヴァンギャルドしてる」のが良いですよね。例えばキーボードの使い方ひとつ取っても、ピアノが何かが崩れていくようなダークさを醸し出したり、ARCTURUS的な煌びやかさを演出してみせたり、インダストリアル風の音色で緊張感を与えたり、そのパートで表現したいものがはっきりしている感じなので、複雑な展開をしてても自己満っぽい複雑さじゃないのが良いです。ギターやクリーンヴォーカルなんかも戯曲めいた印象的なフレーズが多く、楽曲が彩り豊かなものになっているように思います。

これは前述したようなバンドが好きであれば買いだと思います。この知性的だけど狂気的、だけどその中に更に諧謔味も含んでいるようなムード、かなり好きです。


ATROX ★★ (2006-01-11 17:21:00)

「ORGASM」発売時のMonikaのインタビューを読んだんですが、「前作までは
アドリブは殆ど無かったけれど、今作は多めにしてみた」のような事を言ってました。
…あれ、今までアドリブ殆ど無かったんだ…あの歌いっぷりからは想像できない(笑)


ATROX ★★ (2006-05-26 08:43:00)

>mokusatuさん
一応、もう一度インタビューを読んでみました。
参考にしたのはbeyondwebzine.comというページです。
これによると、前2作(「Contentum」「TERRESTRIAL」)ではヴォーカルパートは
細部まで拘って即興はほんの少しだけだったけれど、「ORGASM」ではいつもの
やり方では問題が起こってしまったため、代わりにスタジオで沢山の即興を
演った、とあるみたいです。
このインタビューによると、ギタリストのEivindも彼女にCDのセールスを
駄目にしない為にももう少しトーンダウンして歌って欲しい、と言っていたみたいですね…。
私も「ふざけんな」です(笑)
ATROXの魅力ってやっぱりMonikaのヴォーカルだと思うので、それをメンバーが
分かってやらなくてどうするんだ!って感じです。実際にこのバンドを高く
評価している人のレビューを見ると、大体ヴォーカル絶賛されてますしね。


ATROX ★★ (2006-05-27 11:34:00)

>mokusatuさん
そんなページがあったんですね。
早速トップをお気に入りに登録しておきました。紹介ありがとうございます。
直リンク…どうなんでしょう?もしもの時のために、一応上は修正しました。
サイトを読んでもリンク禁止とはかかれていないし、大丈夫とは思うんですけど…。
Monikaの感性で普通の曲を作ると、ああいう風になるって事でしょうか(笑)
確かに、自分のページでも変なぬいぐるみとかの写真が沢山載ってますし。
しかし、「ORGASM」は売っているのを見た事が無いんですが…


ATROX - Binocular ★★ (2008-08-03 07:11:00)

2008年発表の5th。
Monikaが脱退してどうなるかと思いましたが、新作出してくれてちょっと安心。
でもこの作品の第一印象は、「え…これがATROX…?」でした(笑)。
サンプリングやスポークンワード、SEなどを多用しながらフューチャリスティックで
捻くれてて、頽廃的な風景を演出する作風はバンドサウンドで聴かせるスタイルながら
MANESの3rd辺りと共通する世界観を持っているように思います。
…っていうか、「ATROXの新作」というより、「MANESが2nd以降の感性をキープしつつ、
再びバンドサウンドに戻ってリリースした作品」と言った方が信じられやすそうな音ですね。
今までの軟体生物が触手を蠢かせるみたいなアンサンブルが続くようなスタイルに比べると、
今作はアヴァンギャルドで頽廃的な要素は残しておきつつ、展開がかなり明確になり、
取っ付きやすくなった感じ。意外にもヴォーカルラインが結構キャッチーだったりします。
1曲目から「ペプシコーラ」に聞こえるフレーズを連呼してて嫌でも印象に残る(笑)。
その歌メロを歌うヴォーカルはRune Folgeroという男性が担当してますが、ゴシックに
良くありそうな中音域の歌唱で、前任者のようなバンドの音自体を唯一無二のものにしてしまう
ような個性こそないものの、曲の奇妙なテイストを壊すことなくキャッチーに仕立てていて
悪くはないと思います。
メインのソングライター自体は変わってない筈なのに、こんなに変わるとは思いませんでした。
ほぼ別物なので今までの音楽性を期待する方には勧められないかもしれませんが、近年の
MANESやTHE 3RD AND THE MORTALが好きで、ああいう世界観をバンドサウンドで味わって
みたい方にはかなりお勧めです。


ATROX - Binocular - Castle for Clowns ★★★ (2008-08-23 00:46:22)

以前、ある日本の有名ミュージシャンが「技巧的な曲はユーモアがなければ面白くならない」と言ってましたが、この曲は表面上はそうしたユーモアが感じられる気がします。でも近寄って見てみるとしっかり病んでてグロくて不条理という(笑)。やっぱりこのバンド、属性は「闇」ですよ。


ATROX - Binocular - Filtmonger ★★ (2008-08-23 00:36:09)

アートワークに歪んだレンズで覗いた家が描かれている通り、相変わらず間性のほうも歪んでいる感じなんですが、心なしかそのアウトプットが華々しくなってきているようにも感じますね…「Gotta get away」の連呼なんて普通にキャッチーだし。


ATROX - Binocular - Headrush Helmet ★★★ (2008-08-23 00:39:41)

触りからして妖気が立ち上るような雰囲気で、前作までのファンも納得するんじゃないでしょうか。そんな雰囲気なのに、ヴォーカルラインには妙にフックがありますね。アルバム聴き終わってから「♪The bomb bomb dropper」とか口ずさんじゃったし。…まさかATROXの曲で口ずさめるようなものが聴けるとはねえ…。


ATROX - Binocular - Retroglazed ★★★ (2008-08-23 00:49:23)

イントロを聴いた時はMANESがATROXに改名して新作出したんじゃないかと思いました。しかもキーボードはちょっとARTCURUSの3rdっぽいフレーズを弾いたりしてる。音楽性は変わっても、根底に流れるノルウェー人独特の捻くれた感性は変わっていないのかもしれません。


ATROX - Binocular - Transportal ★★★ (2008-08-23 00:42:20)

この妖しい雰囲気、「ゴスっぽい」と言ってもいいんじゃないでしょうか。ヴォーカルも吸血鬼的なナルシスティックな感じがありますし。でもこれ、ファッションでゴスな音楽聴いてる人が聴いたら普通に引きそうですね(笑)。やっぱりATROXはATROXなのかも。


ATROX - Orgasm ★★ (2007-01-05 00:22:00)

2003年発表の4th。
新メンバーを2人迎えて制作された作品らしいです。
まずこのバンドの最大の特徴であるヴォーカルは前作通りイっちゃってます。
こんな偏執的なまでに細かいメロを様々な声色を駆使して歌うMonikaのヴォーカルは、
やはり唯一無二の個性。狂気が攻撃性を通り越し、分裂症に発展したらどのようになるかの
見本と言った様相を呈しているように思います。今までは譜面にヴォーカルラインを
起こしていたらしいですが、今回はアドリブでの歌唱を多く取り入れたとか。
また今作は一部に男声ヴォーカルも取り入れられ、ハモったりハイトーン(一瞬だけだけど)を
使ったりして頑張ってますが、やはり彼女の影に隠れてしまっているという印象。
演奏は全体的にかなりパワーアップしたと思います。
正直言うと、前作はヴォーカルが無かったら少し冗長に聴こえてしまうかもしれませんが、
この作品は全くそんな事はありません。まず音が重くなったお陰で、刻みリフなんかは
かなり重量感を伴っており、その結果各パートのコントラストはより鮮やかになっている感じ。
更に変態的なパートでは音作りのセンスも飛躍的に向上しており、アンサンブルはVED BUENS
ENDE並にグネグネと聴き応えのあるものになっています。…これは文句無しに名盤!!
しかし、こんな傑作を残したのに、Monikaは脱退してしまったようですね…。
確かにここまで聴き応えのあるアンサンブルを聴かせられれば、彼女のヴォーカルが無くても
充分に魅力的なバンドなのかもしれませんが…。これを聴いてしまうと惜しくてなりません。


ATROX - Orgasm - Burning Bridges ★★★ (2007-01-05 00:26:45)

この曲の中間パート、アルバムでも最もお気に入りです。
変態的というか珍妙なアンサンブルに、嬌声っぽい声。…これを聴いてから、眉根を寄せている顔文字(三角カッコを逆に組んだやつ・何故かここでは表示されない)を見るとこの曲の「Lalalalalala」のMonikaの歌声が浮かぶようになってしまった…。最初と最後、男声ヴォーカルがハモってますが、流石についていくのが大変そう。


ATROX - Orgasm - Pre-Sense ★★★ (2007-01-05 00:27:41)

アルバムのラストは、楽器のせめぎあいがかっこいいこの曲。
ベースなんて箇所によっては、隙あらばヴォーカルより目立とうと自己主張してますし、ギターとベースの妙なメロディでのユニゾンも耳に残る。呻き声から全く間隙無くソプラノに移行するヴォーカルの技量にも酔えます。


ATROX - Orgasm - Tentacles ★★★ (2007-01-05 00:25:47)

タイトルの意味は「触手」。触手の幻肢痛って何やねん(笑)
タイトルの示す通り、バンド全体、特にヴォーカルが軟体動物を表現しているみたい。サウンドはかなり重くメタリックなパートを含みますが…軟体動物と重金属の融合したキメラ的な曲(?)。ギターソロの音色も変態チックで最高です。


ATROX - Terrestrials ★★ (2005-07-08 17:55:00)

2002年発表の3rdアルバム。
簡単に説明すると「プログレ的な要素も含んだ、美しいメロディをフィーチャーした
ゴシックメタル」と定義できそうな音楽性なんですが、ヴォーカルがほんと素晴らしいです。
The 3rd and the mortalのヴォーカリストの妹であるMonikaという人物がヴォーカルを
取っているんですが、一体どうやって歌ってるんだろう…と訝りたくなるほどに、
声の種類が多く、それを複雑怪奇に組み合わせて異様な世界観を演出しています。
前評判で「呪術的」「狂気に憑かれたケイト・ブッシュ」「無邪気さと邪悪さの両立」等、
凄く惹かれるような感想を目の当たりにしてきたんですが、ほんとに期待を裏切りません。
もちろん「狂気」といってもただ叫んだり闇雲に悲鳴を上げたりするのではなく、
演歌の「コブシ」だけを抜き出したように複雑にピッチを揺らしてみたり、猫が
警告音を発しているかのような囁き声を出したり、元の声は綺麗なのに素晴らしい
壊れっぷりです(笑)。これ、譜面とかあるんでしょうか…
曲はほぼ6分以上で、やや長めですがヴォーカルに酔い痴れているうちに終わってしまいます。
もちろん曲自体もまあまあ良いんですけど、ラスト2曲にノイズがサンプリングされているのは
はっきり言って結構うざったいです。曲を台無しにしてる気が…
それと、Monika本人の手によるアートワークも秀逸です。
鶴とタツノオトシゴが合体したような奇妙な生物やら、一つの眼窩に二つの眼球を持った
人間、メンバーの顔(のイラスト)に落書きするトカゲの王様など素晴らしい感性です(笑)
でも、絵なんだし自分の顔をもう少し美形に描いても…(笑)
ともかく、このヴォーカルは自分が今まで聴いた女性ヴォーカリストの中では5本、
いや3本の指に入るかって言うくらいに凄いです。
こんないいヴォーカリストに巡り会えるのなら2千円ちょっとの出費は惜しくないですね。
でも、どうやら去年Monikaは脱退してしまったらしいのでかなり残念…


ATROX - Terrestrials - Lay ★★ (2005-07-18 20:51:23)

いきなり変則的なリズムと音程揺らしまくりなヴォーカルのフレーズで、門前払いされるか世界にはまり込めるかが決まってしまいそうな曲。でも最初と最後以外はあまりエキセントリックでなく、「canned laughter」の部分なんてかなり綺麗なので、案外イケてしまうかも。


ATROX - Terrestrials - Look Further ★★ (2005-07-18 20:52:21)

子供が泣いているようなVoや表記不能な歌詞など、ヴォーカルのヤバさはアルバム内でもかなり際立ってます。ただ音飛びエフェクトは本気で邪魔。後半折角の哀愁リフとか台無しになってる気がするんですが…良い曲なのになぁ。


ATROX - Terrestrials - Mare's Nest ★★★ (2005-07-18 20:53:16)

「あなたの眼にタマネギを切ってやろうかしら。涙を溢れさせなさい。」


ATRUM EXTEMPLO - L'Ira dell'Arcano Manto ★★★ (2014-09-13 22:43:31)

2013年発表の1st。
日本のレーベル、Hidden Marlyからの発売。

作風は、最早どこからどう聴いてもプリミティブブラック以外の何物でもないっていうくらい、立派にプリブラの要件を満たしたブラック。氷の礫が吹き付けてくる様を連想させるような、刺々しくノイジーでありながらメロディを殺さないリフの音色、そんなリフの音色に負けないくらい歪んだ、エグいがなりを聴かせるヴォーカル…完全に厭人感・厭世感剥き出しの音ですね。

ジャケなどは如何にも黒魔術の儀式でもやってそうな雰囲気ですが、そんなサタニックな禍々しさも感じさせつつ、私は北欧プリブラ的な「寒々しさ」も強く感じるんですよね。ラストのアルペジオが入る箇所なんて正に凍死寸前、エンディングのインストで走馬灯が見えそう(笑)。また、ノイジーな音質とシンプルな構成によるプリブラ特有の陶酔感を演出しつつ、ドラムが結構良い仕事してて聴き応えもあるのが良いですね。

もうプリブラ好きじゃない人は端から相手にしていないような感じの音ですが、この系統としてはかなりクオリティは高いんじゃないでしょうか。この手が好きじゃなければ回れ右、好きなら要チェック。ある意味分かりやすい音源かと(笑)。


ATRUM TEMPESTAS - Néant ★★★ (2015-09-13 11:27:09)

2014年発表の1st。
バンド名は「黒い嵐」、アルバムタイトルは「虚無」の意味でしょうか。

ジャンルとしては、鬱系寄りのポスト/アトモスフェリックブラック…というカテゴリの音になりそうですが…「ポストブラック」という言葉の持つ柔和さ…ある意味での生やさしさを排除し、持ち前のアトモスフェリックさがブラックメタル本来の苛烈さを更に強調して体現する、肌を刺すような凍てつく空気感を感じさせるブラックという感じですね。CATAMENIAのメンバーが参加しているだけあって、北欧の寒々しく人を寄せ付けないムードを演出するリフは絶品。

一応、他のポストブラックのようにアルペジオで聴かせる「静」のパートは若干あるものの、ミッド~スロー部分でもリフの音色には摺り込む様な刺々しさが感じられたり、ヴォーカルもナレーション的な語りは挟みつつも、クリーンで歌い上げたりせず悪意を込めたがなり声に徹しているなど、とにかく寒々しく苛烈であることを念頭に置いたような音なんですよね。個人的には、余り「ポスト」な方向に行き過ぎて攻撃性を失ってしまうのは好きでないので、これくらいのバランスが丁度良いと思ったり。

ポストブラック特有の儚げで繊細なムードも感じさせつつ、あくまで厳かでミサンスロピックな空気感を大事にした作品。演奏時間こそやや短めですが、かなりお勧めです。


AU CHAMP DES MORTS - Dans la joie ★★★ (2017-05-08 12:26:11)

2017年発表の1st。
バンド名は「死者たちの場」、アルバム名は「喜びの中」の意(多分)。

ANOREXIA NERVOSAの前進バンド結成時からのメンバー、Stephane氏の新バンドの初フルアルバムという事で、鳴り物入り的な注目を集めている一枚ですが…そういった予備知識のみで聴くと、まず第一音から予想を裏切られますよね。空間の中に揺蕩うような浮遊感ある音から、ノイジーなバンドサウンドへの移行…アノレクとは似ても似つかない、ポスト/アトモスフェリックブラックが展開されています。

ただ、ABIGAIL WILLIAMSの近作もそうなのですが、以前エクストリームメタルをがっつり演っていただけあって、他のポストブラックよりもバンドサウンド寄り(音像がノイズに寄り過ぎてない・展開がミニマル過ぎない)な感じで、メタルとしての分かりやすい聴き所をしっかり残している感じなんですよね。ジャケットから想像できるような、中世的で仄暗いメロディのセンスも凄く良いですし、聴きごたえはかなりある作品ではないでしょうか。

という訳で、まさかのアトモスフェリック化でしたが…同様にアノレク関連バンドのTHE CNKがインダストリアルな音だったことを考えても、ド派手で攻撃性の高いシンフォニックブラックはアノレクでやり尽くしたという事なのかもしれませんね。頽廃・耽美という部分に関してはアノレクとも共通するものがあると思いますので、その辺りのワードに惹かれる方も是非。


AU-DESSUS - Au-Dessus ★★★ (2016-02-17 12:17:32)

2015年発表の5曲入りEP。
PERGALEのライブメンバーが参加、関連バンドのNRCSSSTが先日日本盤をリリースしたことから、注目度はそこそこ高めでしょうか。

音的にはアトモスフェリック/ポストブラックに分類される感じですね。単に攻撃的なだけではなく、引っ掛かりのあるリズムと、どす黒い靄が掛かるように歪んだギターリフで禍々しい情景を描き出していくタイプで、サタニックというよりもサイコ・スピリチュアルな雰囲気が強いのは今風という感じですね。ただ、邪悪さの強い音で、ルーツが明らかにポストロックよりブラックメタルにあることから、「アトモスフェリック」「ポスト」のどちらかであれば前者の呼び名の方がしっくり来そうです。

荒廃した精神状態を表現するように疾走したり、鬱々とドゥーミーになったりだけでなく、魂を黄泉に送るかのような儀式的な雰囲気を醸し出す展開があったり、メロディも不協的で狂的な雰囲気とメロウさがブレンドされていたり、楽曲はこの手のブラックとしても非常に出来が良い感じ。ただしヴォーカルの絶叫はやたらと力が入っていて…禍々しく潰れた様な表現力を発揮している所は良いんですが、箇所によっては正直若干うるさく感じるところも。

しかしこのバンドを聴くと、やっぱりリトアニアのブラックって病んでますよね。PERGALEやSVARTTHONもそうですけど、お国柄なのか、たまたまその手の音が注目されているのか…。


AUDIOPAIN - The Switch to Turn Off Mankind ★★ (2008-06-25 19:42:00)

2007年発表の2nd。

メンバーが明らかにノルウェジアン・ブラック人脈だったり、あのカルトバンドMYSTICUMとスプリットを出したりしてますが、音楽的にはアジり系のヴォーカルといい、刻み中心のギターリフといい、BPMや体感速度よりもダーティに聴こえる事を重視したテンポの選択といい、ブラックメタルというよりもサタニックなスラッシュメタルという感触ですね。ヴォーカルの声はCARPATHIAN FORESTのNattefrostがたまにやる高音で煽るような歌い方に似てるかも。

…今でこそブラックメタルのシーンも成熟してきて、例えばトレモロリフのメロウさや、ギターノイズを利用した音質・音響操作、ブラストを多用した圧倒的ブルータリティ、壮絶・壮麗なオーケストレーションなどサタニック・アンダーグラウンドな雰囲気を出すのに様々な手法が開発されてますが、黎明期のブラックってバンドサウンドのダーティさをそのままイーヴルな雰囲気に転換するバンドが多かったように思うんですよね。そうした意味で、この作品は2007年発表ながら黎明期ブラックに近い雰囲気があるかもしれません。タイプ的にAURA NOIRにも近い感じがしますが、こっちの方が音が整っててストレートにかっこよさ、禍々しさを伝えてると思います。逆にダーティさでは向こうに軍配が上がりそうですが。

殆どスラッシュメタルですが、刻みの中に織り込まれるメロディにはブラック的なサタニックな雰囲気があるので、ブラックメタラーにもお勧め出来るアルバムだと思います。26分間、かっこよく禍々しくダーティなスラッシュリフがダレることなく詰め込まれた好盤です。


AUDIOPAIN - The Switch to Turn Off Mankind - Cobra Dance ★★★ (2008-06-25 19:45:42)

リフに織り込まれたメロディが良いなぁ…。
タイトル通りのコブラが巻きつくような粘着性があるメロだと思います。


AUDIOPAIN - The Switch to Turn Off Mankind - Hellbound ★★★ (2008-06-25 19:44:37)

1曲目の頭から実に熱い!!
このテンポで、このリフで、このヴォーカルで熱くならなかったら嘘でしょう!


AUDIOPAIN - The Switch to Turn Off Mankind - Termination Fields ★★ (2008-06-25 19:46:25)

メタルの熱さやかっこよさは残しておきながら、ミディアムテンポでオカルティックなメロディで独特のムードを醸し出す作風は、「Now, Diabolical」期のSATYRICONとそれ程遠くない音なのかもしれません。表面的なかっこよさに騙されてるといつの間にか毒が回ってそうな感じ。


AUDREY HORNE ★★ (2010-06-20 20:02:00)

ENSLAVED等、ノルウェーブラック人脈によるゴシックメタル/オルタナティブロック。
1stを聴く限り、かなり聴きやすい路線で驚きました。
HEAD CONTROL SYSTEMといい、こういう路線も意外と珍しくないのかも…。


AUDREY HORNE - Audrey Horne ★★★ (2011-01-26 21:13:29)

2010年発表の3rd。

ENSLAVED本体を差し置いてまさかの日本盤発売。
1stを聴いた限りでは、少し消化不良気味(特にヴォーカルの使い方など)に思えてしまい、あまり思い入れは無かったんですが、日本盤の発売と評判の高さに今作を以ってこのバンドに再チャレンジ。

…完成されてる、って感じですね。
1stで感じた消化不良感はどこへやら、ハモンドやメロトロン、繊細なメロディの醸し出す格調高い、アンティークなメランコリックさの支配する、王道ハードロックに近い音に。中途半端に激しい歌い方でイマイチだったヴォーカルも、今作ではこのメロウな世界観の語り部としてしっかり歌い上げ、役割をこなしている感じで素晴らしい。

こういう(ブルースのルーツが見える)王道HRって、バンドがセッションを楽しんでるような、明るさがある(今作にも、ボーナスの「Nowhere to Run」はその傾向が見られる)のでどうも苦手だったんですが、この作品はそれがメロウさ、鬱なムードである程度打ち消されていて、結果HRのグルーヴやキャッチネスといった恩恵のみを享受しているのが、個人的な好みにもフィット。

あと、何気に歌メロも素晴らしいです。
グルーヴ感の強い曲にはそれに合わせたメロディを、ムードたっぷりな曲には歌い上げるメロディを配置していて、しっかりヴォーカルの良さを引き出すものになってると思う。また、時々リフなどのフレーズに近年のENSLAVEDに通じるセンスが、隠し味的に盛り込まれてる気がするのも好感。3曲目のイントロのダークさとか、そんな感じかも。

…色々述べてきましたが、この作品が日本盤出たり、BURRN!誌などのインタビューに載ったり、話題になっているのは、単純に「曲が良いから」だと思う。基本王道HR苦手な私でも食べれてしまう作品なのは、ブラック/プログレ/ゴシックのセンスが盛り込まれていると言う以上に、曲そのものの魅力だと思うし。

ちなみに、買うなら絶対日本盤かボーナスつき限定盤。
日本盤は限定盤のボーナスディスクのアコースティック・セッションの6曲がそのまま納められていますが、こちらも本編並みにアンティークで格調高いムードの曲が納められており、本編を気に入った方なら絶対こっちを選んで良かったと思う出来だと思う。


AUDREY HORNE - No Hay Banda (2010-06-20 19:56:00)

2005年発表の1st。
メンバーがノルウェーのブラック人脈で興味を持っていたところ、丁度500円くらいで投げ売られていたので、良い機会だと思いサルベージ決行。

…ゴシックとは聴いてましたが、意外にも聴きやすい音でビックリ。
普遍的な洋楽ロックに近いノリのいいゴシックメタル、またはオルタナティブ・ロックで、普通に「IN ROCK」誌とか「ROCKIN' ON」誌で紹介されてもおかしくなさそう。と言っても、アトモスフェリックなキーボードや耽美なピアノを用いた暗黒美の表現、ENSLAVEDにも通じるプログレッシブなリフ捌きなどには、しっかりと北欧暗黒メタラーの矜持が息づいていると思います。

ただ、ヴォーカルがいかにもなハスキー声の、普通の洋楽ロックっぽい歌い方なのがちょっと…普通すぎて、このVoを形容する言葉が浮かんで来ないですもん(強いて言うなら「Mediocre」)。正直、余りに好みから外れていて、聴いてて「うぅ…」と苦悶の声を漏らしてしまったほど(笑)。シャウトっぽくリズミカルに吐き捨てたりはしますが、決してデスヴォイスにはなりません。

ノルウェーのブラックの人脈でいうと、(Garmの)HEAD CONTROL SYSTEMに近い音で、質も決して低くないですが…どうしてもHCSの方が個人的な評価が高くなってしまうのは、ヴォーカルの好みの差でしょうか。このアルバムも、Vintersorg氏やSimen氏みたいなVoが歌ってくれれば、多分絶賛してたんだけどなぁ…。


AUDREY HORNE - No Hay Banda - Get a Rope (2010-06-20 19:58:10)

この曲のヴォーカルラインは結構好きです。
ドラムと一緒にリズミカルに言葉を吐き出す様は、まあまあかっこいい。


AURA NOIR ★★ (2005-07-20 16:40:00)

ノルウェーのブラック/スラッシュメタルバンド。
MAYHEMやDARKTHRONEのメンバーも関わっていて、結構豪華(?)
先日メンバーの一人のAggressorが負傷してしまい(確かどこかから
転落したらしいです)、一時は半身不随の可能性もありましたが、最近は
起きられるようになったとか…でも、まだデリケートな状態らしいです。
ほんと、無事を祈ってます…


AURA NOIR - Live Nightmare on Elm Street ★★★ (2008-08-31 21:45:00)

96年のライブの模様を収めた、2006年発表のライブ盤。
歌詞カードは当然(笑)ついてませんが、ライブフォトやバイオグラフィーが付いてます。ライブ盤でも相変わらず、ダーティ極まりないブラック/スラッシュを演っていますが…MAYHEMにDODHEIMSGARD、VED BUENS ENDEなどメンバーが所属してるバンドって、作曲面で結構知的な部分も多いですが、AURA NOIRは彼らのハジける場になっているのかもしれません。

メンバーフォトではAggressorがノリノリでアホっぽくて楽しそうだし、ライブフォトではBlasphemerが幸せそうな、満面の笑みを浮かべたものが…(笑)。とてもCADAVER INC.で鬼ドラムしばいてたり、MAYHEMで邪悪な曲作ったりしてる人たちとは思えません(笑)。音源の方も、プレイボタン押していきなり「カモン!!」とか言い出してるし、生き生きと演奏する様が伝わってきますね。

ただヴォーカルは、Apollyon独特の狂犬じみた絶叫でなく、スラッシュ寄りのデス未満な濁声なのが残念…と思ったら、半ばを過ぎた辺りからはいつもの狂犬ヴォーカルが!!…クレジットではApollyonがベースとヴォーカル、Aggressorがドラムと書いてありますが、途中でスイッチしてるのかもしれません。7、8曲目の間の繋ぎが不自然だし、ドラミングの感じも前後半でかなり変わってる気がする。個人的には後半の方が聴いてて燃えます。

音質は…96年の音源だし、ダーティな作風だしで余り期待してなかったんですが、意外と良いですね。確かに所々音飛びはありますが、曲を台無しにする程でもないし、音が悪くて何を演っているか分からないと言う事もないです。スタジオ盤と比べるとフェチ向けなのは否めないですが、むしろこれくらい汚い音質の方が、バンドの音楽性のダーティさが際だっていて良いと思います。

ちなみに所属レーベル(Tyrant Syndicate)と違うレーベルから出てるみたいですが、バンドの許可は取ってありブートではないそうです。なので安心してお買い求め下さい(笑)。


AURA NOIR - The Merciless ★★ (2005-07-22 10:27:00)

2004年発表の、おそらく3rd。04年はMAYHEMがChimeraを出した年ですね…Blasphemer、頑張るなぁ…。FenrizやNattefrostらも参加。

音楽性の方は、「BLACK THRASH SUPREME」を標榜しているだけあって、白塗りのブラックメタラーが演奏しているというよりも、楽器屋にたむろしてる刺青、長髪のちょっと危ない感じの兄ちゃん達がやっていそうなイメージがあるメタルです。「カモン!!」とか煽る所も結構あって、メタルの熱さが良く伝わってきます。

でも、それに加えてブラックゆかりの邪悪さは忘れていないので、スラッシュメタルに造詣の深くない私にも一発で良さが分かるような出来です。ギターの音がやや小さく、ヴォーカルとドラムの音が前に出ていながらドラムの音が軽いというプロダクションも、音楽性のアングラ感に拍車をかけている感じで好きですね。

個人的にはBlasphemerがこういう音楽をやっているというのが、ちょっと意外な感じでした。また、このバンドが変わっているのはその編成。Blasphemerがリードギターというのは固定ですが、曲によってApollyonがリズムギター、ヴォーカル、ベース、Aggressorがドラムを担当する物と、Aggressorがリズムギター、ヴォーカル、ベース、Apollyonがドラムを担当する物の二つに分かれます。

二人ともヴォーカルスタイルはがなり系ですが、特に素晴らしいのはApollyonの方。もう惚れ惚れするとしか言い様の無い擦れっぷりで、声を伸ばしている部分なんて絶望感すら感じるほどの枯れ方…ほんと、ソソるような良い声出します(笑)。

ちなみに、後から直されるかもしれませんが、歌詞カードに乱丁があるので注意。「BLACK METAL JAW」と「BLACK DELUGE NIGHT」の歌詞が入れ替わっています。


AURA NOIR - The Merciless - Condor ★★★ (2005-07-20 16:37:27)

擦れ切った声で「カモォォォォォン!!!」とか言われると、こっちとしては燃えない訳には参りません。ほんとに素晴らしい擦れ方してます。ブラック的な邪悪なリフも登場し、かっこいい曲だと思います。


AURA NOIR - The Merciless - Funeral Thrash ★★★ (2005-07-20 16:39:53)

THRASH/DEATH/HELL/HAIL!
上の歌詞の通りの曲です(笑)。妙な余韻を残すようなリフの音色が不気味でいいなぁ…Nattefrostがゲストヴォーカルで参加してますが、Apollyonにも負けない擦れ方の高めのブラック声で良い仕事してます。


AURA NOIR - The Merciless - Hell's Fire ★★★ (2005-07-20 16:38:39)

今の所(05年7月現在)、オフィシャルでも試聴可能な曲。
彼らの音楽性「ブラック・スラッシュ」を体現するようなザクザクしたリフが良いです。ラストの疾走&擦れ声の組み合わせ方も劇的で印象が深い曲。とりあえずダウンロードして、気に入ったらCDショップへ行くべし。


AURA NOIR - The Merciless - Upon the Dark Throne ★★ (2005-07-20 16:35:01)

こんなタイトルの曲にFenrizが参加するなんて、なんか面白いですね(笑)
そのFenrizがVoを担当する部分(So pure the race…)から、いかれたギターソロへと移行する展開と、イントロなどで聴かれるApollyonの2連続シャウトが特に好きです。


AURORA BOREALIS - Time, Unveiled ★★★ (2011-12-19 22:12:44)

2002年発表の3rd。

まず出音が、近年のエクストリームメタルにしては迫力の足りない、RAWブラックというには整い過ぎている、半端にチープな「2002年にこの音質はどうなの?」という感じの音像に、実声をあまり使っていないような、喉を痛めそうなデス声が乗るメロディック・ブラックで、それだけ聴くと微妙な感じがするんですが…そんな音像とは裏腹に、曲のクオリティが非常に高いのがアンバランスで面白いですね。

例えばブラックメタルにしても混沌としたメロディをトレモロに乗せたり、バンド名通りのコズミックなメロディをメロデス風のリフで聴かせてみせたり、カオスなメロディを伴いつつファストブラック並のテンションで疾走したり、各パートがいちいちかっこよく、印象に残るんですよね。展開は多少唐突だったりしますが、それも音像と曲のクオリティのアンバランスさ同様、ギャップが味になっていて良いと思う。

この作品、音像を整えれば本当に一流のエクストリームメタルになりそうな感じなんですが…敢えてチープめな音像にしてるのか、予算や機材の問題なのかが気になりますね…。ただ、近年のエクストリームメタルの音圧志向にうんざりしている人にも聴きやすい音質で、しっかりエクストリームメタルならではのかっこよさを伝えてくれるアルバムではあるので、これはこれで良い作品だと思います。


AURVANDIL ★★ (2011-09-17 19:31:30)

フランス産アトモスフェリック・ブラック。
VINTERRIKETやCOLDWORLD好きな方は必聴のバンドです。


AURVANDIL - YEARNING ★★★ (2011-09-17 19:32:12)

2011年発表の1st。

VINTERRIKETやCOLDWORLDの衝撃再び、のようなレビューを目にして、衝動的に買ってしまったんですが…確かにこれは素晴らしい。前述のバンドと比較しても遜色ないくらい、情景描写能力やメロディセンスに富んだアトモスフェリック・ブラックです。

路線としては、アトモスフェリックブラック特有の、ノイズ質を音像全体にうっすらとまぶすような、ざらついたギターリフと、凍えるようなメロディを奏でるキーボードやトレモロリフを従えて疾走し、凍死寸前の冷たい世界観を演出する作風で、明らかにVINTERRIKETの影響下にありそうな音ですね。アコースティックギターを絡めた叙情性の演出も上手い。

ただ、こちらは疾走だけでなく、ミディアムパートもそれなりに挟んできますが…そのパートはどこかBURZUMの3rdのような、妙に洗脳的な雰囲気があるように思うんですよね。この作品ではセッションドラマーを起用したらしいですが、その引っ込み気味ながら適度に生々しく、メリハリのついた音がそういったムードを高めているのかもしれません。

個人的にこのアルバムで独特だと思うのは、メロディやその音色に残響感というか共鳴感というか、音像が作り出す世界の中に反響するような感覚があることですね。それがただ寒々しいというだけでなく、他の同路線のバンドより直接的に死を思わせる雰囲気に繋がっていると思う。途中まさかの速弾きギターソロまで入ってますが、全くメタリックにならず、死の直前に瞼の裏に見る光の明滅を思わせるような、不吉な情景が浮かぶんですよね。

不満点を無理に挙げるとすれば、この手にはありがちな勿体の付け方が、この作品にも僅かに感じられることでしょうか。このバンドの最大の売りはその残響感あるメロディの聴かせ方だと思うんですが、それが初めて出てくるのがオープニング終わって、2曲目半ばまで行ってからですし。まあそこに行くまでに、アコギの叙情メロや洗脳的ミディアムパートがあるので、別にダレる訳ではないんですが。

という訳で、VINTERRIKET、COLDWORLD、PAYSAGE D’HIVERなどの寒々しい情景が浮かぶアトモスフェリック・ブラックを聴き漁ってる方には大推薦。Eisenwald Tonschmiedeというレーベルからリリースされてますが、Cold Dimensions関連バンドの作品にも通じるムードを醸し出しているアルバムだと思います。


AUSTERE - To Lay Like Old Ashes ★★ (2009-09-27 00:16:00)

2009年発表の2nd。

ミディアムテンポ中心、鬱系のメロディ、発狂系高音絶叫ヴォーカル、アトモスフェリックなキーボードと、BURZUMの流れを組むスタイルで、鬱ブラック好きならばものの数秒でその質の高さが理解できそうな音楽性。特に中盤以降、シューゲイザー寄りブラックに通じるような、エモーショナルなメロディも聴かれますが、断末魔に見る光や血の温かさ、救いへの渇望などを連想させ、全く普通の「明るさ」に向かう気配が無いのが素晴らしいです(笑)。

XASTHURやI SHALT BECOME、NORTT辺りが陰鬱な世界観を演出しているのに対し、このバンドの音楽からは「感情が壊れてゆく感じ」が伝わってきて、単に鬱ブラのテンプレートをなぞっただけでは到底出せないような個性が感じられますね。

あとこのヴォーカルなんですが…スタイル的にはCount(BURZUM)スタイルと言えますが、狂い振りは確実に彼以上のものがあると思う。肺の中の空気を全部吐き出しきっても、憎しみを吐き出しきれない様が伝わってくる凄絶すぎる声。街中でこんな声出してる人がいたら、その日は恐くて眠れなくなりそうですもん(笑)。「本当の恐怖に直面した時の悲鳴は、聞いた者にもその恐怖を伝える効果がある」と言いますが…この人の絶叫を聴いてると、こっちまで絶望的な気持ちになってきます。

鬱系行ける人なら鉄板な質の高さかと。オーストラリア産では個人的にSTRIBORGより好みの路線。ラストの20分に及ぶ、ドローンめいた大作は、主人公の精神が遂に崩壊し、昏睡に陥った事を暗示しているのでしょうか…。


AUSTERE - To Lay Like Old Ashes - This Dreadful Emptiness ★★★ (2009-09-27 00:18:07)

…これ、社会に対して鬱憤を持っている人に聴かせたら、最早ガス抜きや衝動洗濯では済まなくなる可能性があると思うんですけど…。歌詞読んでるだけでも痛い痛い痛い…。ドラマとか見て泣くような涙腺の緩い人が曲に込められた感情に同調しながら聴いたら、自然と涙が流れてそう。


AUSTERE - To Lay Like Old Ashes - To Lay Like Old Ashes ★★★ (2009-09-27 00:18:57)

重篤なタナトフォビアの患者の脳が、恐怖に耐えかねて遂に逆に「死」に救いを見出した…その過程を音楽で表現したらこんな感じになるのではないでしょうか。途中、一部に打ち込みを取り入れているのが意外といえば意外。


AUTARCIE - Horizons funestes ★★★ (2014-01-06 00:04:48)

2011年発表の2nd。

関連バンドのDYSTERもなかなか良質なブラックを演ってましたが、こちらも負けず劣らず良いですね。明度や暗度を下げつつも、「腐食」の属性を孕み聴き手の精神を冒していくような病的さと、フレンチブラックらしい捻くれた耽美さを同居させたトレモロリフは、良質の鬱ブラックといった趣ですが、単純にディプレッシブ系にカテゴライズ出来ないような奇妙な感覚もまた強い作風ですね。

リズム、及びドラミングが、間違いなくその「奇妙さ」を生む一因になっている感じがします。鬱系としては疾走パートやノリのいいパートが多めなんですが、テンポの速さそれ自体よりも叩き方、フレーズから伝わってくるヤケクソさが最大の特徴。暴虐というより「喧しい」感じで、苛立ちを込めてドラムをシバキ倒しているような、非常に味のあるリズム。これがメロディの持つ毒と変な化学反応を起こしていて、他のバンドでは見られない独特の雰囲気に。

イガラっぽさ全開ながらドスの効いた声でがなり続けるヴォーカルなんかも、そのヤケッぱちで毒々しい雰囲気を助長しているように思います。時に闇の帳が緩やかに降りてくるような、優雅で絶望的なムードを演出してみせたり、時にメロディの奇矯さを強調し、PESTE NOIREにも通じる前衛的な耽美芸術的雰囲気を醸し出したりする楽曲それ自体も、なかなかに魅力的。

メロディに込められたネガティビティから、鬱系好きにもお勧め出来そうですが、それ以上にPESTE NOIREやSALE FRUEX辺りの捻くれてビョーキな耽美系フレンチブラック好きにお勧め。個人的にはかなり好きなタイプの音です。


AUTUMN'S DAWN - Gone ★★ (2015-09-14 22:03:14)

2014年発表の1st。

AUSTEREやGERMなど、それなりに名の知られたブラックのメンバーで結成されたポストブラックの1枚目という事で購入。ぶっちゃけ値引きされてたからです(笑)。バンド名の「秋」を通り越して冬の凍てつく空気を感じさせるリフ、その空気が肌を刺す感触を思わせるノイジーさなど、ポスト/シューゲイザーブラックの感性は感じさせつつ、同系統のバンドと比べるとロック色が強いのが特徴でしょうか。

特に、明確なサビ部分を持つような、ポップス的な構成の曲が多く、剰えその部分がクリーンで歌われたりする事が多いのも、聴きやすさに拍車を掛けていますね。ただ、個人的にはそこが微妙だったんですが…。後半は鬱感情を乗せて歌えてる所もありますが、特に前半近所のロック兄ちゃんが歌ってるような、カリスマ性に欠けるクリーンが出てきてげんなりすることが多々あったので…。

試聴しないで、バンドの出自だけ聞いて購入したので、正直このクリーンが出て来たときは溜息つきそうになりました(笑)。楽曲自体はなかなか悪くないんですけどね。


AVA INFERI ★★ (2006-12-17 23:50:00)

バンドの籍自身はポルトガルにあるらしいゴシック/ドゥームメタルバンド。
なんとリーダーはRune Eriksen、あのMAYHEMのBlasphemerです!!
彼がこういう方向に興味を持っていたとは、なんだか意外な感じ…
MAYHEMのファンがどう思うか分かりませんが、THE 3RD AND THE MORTALや
MOURNFUL CONGREGATION等が好きな人にお勧め。クオリティは高いと思います。


AVA INFERI - Burdens ★★ (2006-12-17 23:53:00)

2006年発表の1st。
曲は全てBlasphemerのペンによるものですが、やっぱり彼は多才なミュージシャンですね。
初期のTHE 3RD AND THE MORTAL辺りを思わせる、女性ヴォーカルをフィーチャーした
スローテンポで陰鬱なゴシック/ドゥームで、メロディは主にギターが中心で時折ピアノなども
入ってます。Blasphemerの所属していたバンドって、MAYHEMもAURA NOIRもメロディで
聴かせるタイプではなかったので、彼がゴシックをやったらどんな感じの仕上がりになるのかと
思ってましたが…彼はメロディのセンスも良かったです。基本的に陰鬱なんですが、そこに
哀愁やガラス細工を思わせる繊細さが盛り込まれているメロディだと思います。
あそこまでヘヴィではないものの、MOURNFUL CONGREGATION辺りを好きな人が聴いても
ぐっと来るものがあるかもしれません。なんとなくアンティークな調度品に囲まれた部屋で、
電気消して真っ暗な中で落ち込んでる感じの雰囲気。MAYHEMの作風からして彼は結構ヤバい
人なのかと思ってましたが(失礼)、実は繊細なんでしょうか。
なんか不良が猫に餌あげてる所を見た感覚に似てるような…冗談です(笑)。
ヴォーカルは高音を普通に歌うと可憐といってもいいくらい綺麗ですが、魔女っぽい声で
語ったり泣いたり喘いだりでちょっとエキセントリックな部分も。
たまにAnne-Mary(3RD AND THE MORTAL)やMonika(ATROX)を思わせる妖しさもあって良い感じ。
ところでこのパッケージ裏の「High Resolution Sound」ってなんなんでしょう?
確かに各パート共に綺麗な音で録られていて、特にギターの音色がメロディに負けず
美しいんですが、音が小さめです。ARCTURUSの4thにも同様の表記があって、そっちも音が
小さかったんですよね…。「High Resolution」と言うからにはもうちょっと大きな音で
録って欲しいです。音量を上げればベースも気持ち良く効いてるいい音ですし、
全体的に見たらかなりお勧めですけど。


AVA INFERI - Burdens - A Glimpse of Sanity ★★ (2006-12-22 23:12:06)

どこかで聞いた事があると思ったら…ARCTURUSのDVD「SHIPWRECKED IN OSLO」の「Season of Mist」のレーベルロゴ表示時にこの曲のイントロが使われてますね。
曲自体はクリーントーンのギターの美しいメロディを伴って進行していくもので、ヘヴィではないですが…この泣き声、ヴォーカルの人でしょうか?しかも微妙に可愛い声のような(笑)。ちょっと面白いかも。


AVA INFERI - Burdens - Ava Inferi ★★★ (2006-12-22 23:05:59)

オープニングを飾るのは、自らのバンド名を冠したこの曲。
ヴォーカルは語りスタイルでほぼインストと言ってもいい感じの曲ですが、ピアノの醸し出すあまりにも耽美な空気感には中毒を起こしてしまいそう。MAYHEMのBlasphemerの名前で手を出した人は彼の多才さに驚くだろう曲。


AVA INFERI - Burdens - The Shrine ★★★ (2006-12-22 23:08:19)

この曲は特にヴォーカルの表現力が光ってますね。
最初は魔女風の声でかなり怪奇趣味が強い感じを受けますが、後半の鳥の囀りを思わせるような綺麗なソプラノヴォイスが極上。Blasphemerは良いヴォーカル見つけてきましたね…。


AVA INFERI - Burdens - The Wings of Emptiness ★★ (2006-12-22 23:14:01)

このヴォーカル…なんか新興宗教の女教祖って感じがします(笑)
たまに天使が降りてきて天上の歌声を響かせる…みたいな。


AVE MARIA - CHAPTER Ⅰ ★★★ (2011-12-23 20:34:27)

2011年発表の1st。
ブラックっぽくないバンド名ですが、かなり強烈な作品ですね。

まず小フーガをモチーフに、バンドサウンドが不条理で不気味な音を演出するオープニングから只者でない感が半端ないですが、本編は更に濃い。聴き手を洗脳するためだけに、ジャズを通過しました的な気色の悪いグルーヴのあるドラミングに、血に染まったぼた雪を思わせる刻みリフが絡みつく音像だけで、もう邪悪さは特濃。疫病を振りまくようなメロディセンスも、そのムードに拍車を掛けてます。

普通、こういうエクスペリメンタルなヴォーカルって奇矯だったり、不気味なパフォーマンスをすることが多いですが、このバンドは泣き気味に叫んだり咳き込んだりはするものの、基本的に真性ブラック譲りのがなり声なのが特徴で、ブラックメタルとしての攻撃性や邪悪さをしっかり貫いているのが素晴らしいんですよね。時折リードギターのメロディに最近のWATAINのような、甘美な邪悪さも感じられますし、1枚目のアルバムにして一級品の音を出せていると思う。

タイプとしては、LUGUBRUMやVED BUENS ENDE辺りのアヴァンギャルドブラックと、WATAINやCODE、CRAFT辺りの北欧ブラックメタルを掛け合わせた感じでしょうか。エクスペリメンタル系の持つ不条理で気色悪いムードと、ブラック本来の残忍さや宗教的な雰囲気を両立させてる作品ですので、ブラック好きは是非。バンド名でスルーするには余りに惜しい世界観を作り上げているバンドです。


AVERSE SEFIRA ★★ (2008-01-17 01:09:00)

アメリカ産ブラック。
今年初頭に新作が出るみたいですね。


AVERSE SEFIRA - Advent Parallax ★★★ (2008-04-08 23:06:00)

2008年発表の4th。
このジャケ、アーティスティックでかっこいいですね。買おうか迷いましたが、ジャケを見て購入を決定してしまいました。

寒々しさよりもカオティックさを強く感じるメロディ、豪速ブラストを軸に押していく曲調、クリアーで極端にノイジーな訳ではないプロダクションと、以前聴いた「Battle's Clarion」同様、私的な印象はやっぱり「ANTAEUSを聴きやすくした感じ」。ただ、今作の方がメロディや演奏にメリハリが出て、ランニングタイムも長くなってクオリティがアップしたと思います。

何度も聴いていて気付いたんですけど、このバンドってリズムとリフの組み方が結構独特ですよね。リフとリズムが一丸となって襲い掛かるようなパートも少なくないんですけど、一つのリフの中でリズムを変えたり、リフとリズムのどちらかだけを変えたり、二つが普通のブラックよりも複雑に連動しているようなアレンジが多用されてるように思います。それがメロディのカオティックさやブラストの早さなどと相まって、不安を掻き立てるような予測できない、混沌とした雰囲気を醸し出してますね。

ただ、そういうアレンジは曲ごとの印象が纏まりにくくなってしまう可能性もあるし、リフの叙情性やヴォーカルの圧倒的な狂気で押していくみたいな分かりやすい魅力に欠けるきらいもあるので、パッと聴く分には少し取っ付きにくさを感じてしまうかも。私的には、聴く毎に味わいを増す混沌が楽しめるスルメ盤でかなりお気に入り。トレモロピッキングによるメロディには、混沌としているだけでなく意外と大仰で荘厳なものもありますし。欲を言えば、ドラムがこれだけ活躍してるんだから、もっとソリッドな音作りにしてくれたらより良かったかも。

しかし、このバンドも結構DEATHSPELL OMEGAの影響を受けてるかもしれませんね。アートワークや歌詞のレイアウトはDSOの3rd、カオティックなメロディやテクニカルで予測不能な演奏は4thに通じるものがありますし、ヴォーカルは以前よりMikkoっぽくなってる印象を受けますし。でも影響受けてるにしろ、このバンドは凄く上手く消化してると思いますが。


AVERSE SEFIRA - Advent Parallax - Descension ★★★ (2008-04-13 23:16:45)

入りの豪速ブラストを軸に絶妙なタイミングでカオティックなメロディのトレモロリフが入ってくる展開、インパクトがあって引き込まれますね。途中のメロディもメロウなだけでなく、どこか威風や風格を感じさせるもので実にかっこいいです。


AVERSE SEFIRA - Advent Parallax - Refractions of an Exploded Singularity ★★★ (2008-04-13 23:23:01)

演奏時間9分でアルバム最長の曲。分け入っても分け入っても混沌って感じです(笑)。二種類のデスヴォイスを使い分けた掛け合いの後、一瞬視界が開けたと思いきやそのまま混沌の中に飲み込まれ、宙吊りにされるようなパートが痺れる。


AVERSE SEFIRA - Advent Parallax - Séance in a Warrior's Memory ★★ (2008-04-13 23:19:43)

ブラスト→溜めを作ったあとで切り返してまたブラストで爆走、のサイクルを何度も繰り返すドラミングが印象に残る曲。このバンドの混沌としたムードは、リフ以上にこのドラマーの貢献によるものが大きいのではないでしょうか。


AVERSE SEFIRA - Advent Parallax - Vomitorium Angelis ★★★ (2008-04-13 23:27:07)

冒頭のメロディ、ラストに相応しいメロウさで良い感じ…ですが、曲が進むとやっぱりトレモロリフ弾いててもグロテスクな雰囲気が強くなってきます。珍しくリードギターがメロディ弾いてますが、このメロディが邪悪なものを神聖なものとして崇めているような、いびつな美しさがあって素晴らしい。アルバム最後にして一番の名曲かも。


AVERSE SEFIRA - Battle's Clarion ★★ (2008-01-17 01:03:00)

2001年発表の2nd。
KRIEGのLord Imperial、ANTAEUSのMkMがゲスト参加。

このアルバムに対する印象を一言で言えば「聴きやすいANTAEUS」。キレの良い絶叫スタイルのヴォーカル、トレモロリフを多用しながらも北欧のブラックと比べてカオティックさ、不穏さの強いメロディなど共通する要素の多いサウンドだと思います。こっちの方がメロディの不吉さが強い感じがしますね。

また、プロダクションはANTAEUSのようなRAWな感じではなく、各楽器の音がしっかり聴き取れるクリアさがあり、それが聴きやすさに繋がってますが、バスドラの音が丸っこく潰れ気味なため、全体としてチープな印象を受けてしまいますね…低音が効いている所やスネアのしばき倒すような音色は好みですが。

ちなみに、2007年にCandlelightからリマスター盤が再発された模様です。そっちの方は音質はどうなってるんでしょう…。寒々しさよりも混沌性や不吉さを好む人にお勧めのブラックです。でももう一押し欲しい気も。