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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100
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★★ (2013-03-01 18:49:53)

フランス産RAWブラック。
現時点ではメンバーの全員がANTAEUS、AOSOTH関連。


ⅩⅣ DARK CENTURIES - ...den Ahnen zum Grusse... ★★ (2011-10-24 23:37:02)

2003年発表の1st。
フルアルバムとしては一枚目ながら、良くプロデュースされた音の、割とメジャー志向なペイガン/フォークメタルですね。

メロデスとメロブラの要素を備えたメタリックな音を基本に、民族調のメロディを乗せる路線。この手のペイガンメタルではメロデス要素の強いバンドが多い印象で、このバンドも刻みを多用したリフ捌きや、硬く整った音質などはメロデスっぽいですが、ヴォーカルの絶叫やDISSECTIONを思わせるアコギなどはかなりメロブラの要素強め。全体的には、メタルの熱さより情景の冷たさが強く伝わる辺り、メロブラの色がやや強めかな…と思います。

ただこのバンド、メロディは確かになかなかクサめなんですが、お祭り系の明るいメロ+笛などの民族楽器スタイルではなく、あくまで冷厳な音色のシンセによってメロウなトラッドメロを奏で、身を切るような物悲しさを演出する路線なので、SVARTSOT辺りのバンドと比べると即効性は高くはないかも。ただ全編渡ってシリアスなムードで、戦場の冷ややかな空気が伝わるような感触があるのはいいですね。時折入る威厳のあるヴァイキング歌唱も戦場に響く凱歌のようで雰囲気たっぷり。

知名度は高いとはいえないバンドですが、ペイガン/フォークが好きならば押さえておいて損はないかと。このキャッチーなんだけど冷厳さもあるメロディ、なかなか聴き応えあります。


Ⅵ - DE PRAESTIGIIS DAEMONUM ★★ (2013-03-01 18:51:38)

2008年発表の4曲入りEP。

…まず最初のハレーション気味のノイズから、刃物で耳の中を掻き回されるかのような凶悪な音色のリフに驚きますね…。音自体も殺気立ってますが、生々しい殺意の感じられるヴォーカルもかなり極悪。知らずにDebemur Mortiからの再発盤をジャケ買いしたんですが、メンバーがANTAEUS、AOSOTHという事で大いに納得。予めそれらバンドを聴いてる方ならすぐにでも受け入れられる音かと。

ただ、ANTAEUSやAOSOTH(特にANTAEUS)って、ささくれ立った精神状態をそのまま音楽に具現化したような、人を寄せ付けない攻撃性が強い印象があったんですが、こちらは宗教的ムードも含んでいる音という気がします。RAWなリフの音色とも相俟って、地獄のヴィジョンが見えてきそうなリフのメロディや、一部の不気味なクワイア風キーボードなんか正にそんな感じ。

まあ、そもそも関連メンバーからして絶対にRAWブラックとして半端なものは作らないだろうって感じですが、期待は裏切らない仕上がりかと。ただ、良い作品であはあるけど、衝撃度ではANTAEUSの方が上かな、という気も。


啟示錄 - 神州賦 ★★ (2014-10-01 20:05:34)

2002年発表の1st。
同郷のCHTHONICが1stアルバムを発表した頃から存在したバンドで、1枚目のアルバムを残した後解散してしまったようですが、これはその唯一のフルアルバムとなる作品。

台湾のシンフォニックブラックと言うとどうしてもCHTHONICやANTHELIONと比較したくなりますが、このバンドは大分路線が異なりますね。前述のバンドがエクストリームメタルとしての暴虐性や緊張感に満ちたハイクオリティな作風を提示していましたが、このバンドは正直言ってB級な魅力があると思います。前述のバンドなど、メジャー志向なバンドにはない緩い魅力があるというか。

作風としては、暴虐性こそ高くないものの、リードギターによるメロウなフレーズ、はっきり聴こえるベースラインなどメロディアスなバンドサウンドに、ピアノやヴァイオリン、アトモスフェリックなキーボード、女性ヴォーカルなどを絡めて行く、オリエンタルな雰囲気漂うシンフォブラック。ぶっちゃけバンドの音はメタルとしてはパンチに欠けるんですが、逆にこのプロダクションのお陰でメロディの良さやオリエンタルな雰囲気が際立ってるかと。女性ヴォーカルが一瞬SOUND HORIZONかと思うようなメロディを歌う箇所もあったり、メロディセンスはなかなか。

ややマニア向けなのは否めませんが、アジアのバンドが好きであればチェックする価値大有りです。前述のバンドよりも「辺境」な音を出しているのが良いですよね。


!T.O.O.H.! ★★ (2007-09-25 22:23:00)

チェコ産、ビザール・テクニカル・デス/グラインド。
バンド名は「The Obliteration Of Humanity(人間性の抹消)」の略だとか。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) ★★★ (2007-09-25 22:17:00)

2005年発表の4thアルバム。
Encyclopaedia Metallumでも90点以上のレビュー連発と、世間での評価も非常に高い作品。

音の方は、その評価の高さに恥じない、高品質かつ独特なテクニカルデス/グラインド。
プログレッシブな展開で、複雑かつブルータルな曲にも関わらず、リフ捌き一つ取っても魅力的で、むしろどこかキャッチーな印象。ギター・ベース・ドラムの音のせめぎあいが非常にかっこよく、間違い無く第一級のバンドと言っていいクオリティがあると思います。

各パートがこれだけ主張しているのにも関わらず、やりすぎて曲としてつまらなくなる事もなければ、こんなに個性的な音なのに似たような曲が並んだり捨て曲があったりする事もない作曲能力・編曲能力は本当に凄い。音質もクリアで特にベースが良く聴こえ、音量も適正で迫力のある物で素晴らしいアンサンブルをより際立たせています。
また、AKERCOCKEにも通じる、独特の変態性を感じられるのも特徴でしょうか。

それだけでも十分魅力的、かつ個性的なデスメタルですが、彼等の音楽を更に個性的たらしめているのが、母国語の妙な響きを最大限に活かしたヴォーカルでしょう。哀願するような妙に裏返った声で早口に捲し立てたり、呪術的なムードを醸し出したり、野蛮に吠え立てたりしてかなり耳を惹きます。ぶっちゃけ、最初は「キモい…」とか思ってましたが(笑)、聴くうちに彼等の音楽性になくてはならないと思うように。

彼等の音楽を語るのに「ビザール」とか「ファニー」とかの形容詞が使われる事が多いのは曲の独特さ以上に、この変態的なヴォーカルによるものも大きいのかもしれませんね。
解説を読むとホームレス殺しや水の精に殺された少女、娘を誘拐した男からの脅迫など割とグロテスクなテーマを扱っているようですが…このヴォーカルからは想像できないかも(笑)。

もし私がこの作品に点数をつけるなら、前述のレビューサイトのレビュアーの方同様、90点台は付けますね。デスメタルが好きなら一家に一枚持っていて損は無い作品かと。しかしバンドはこの作品を最後に、残念ながら解散してしまった模様…凄く良いバンドなのに。
ちなみに、後のトラックリスト、歌ってる歌詞からして2曲目と3曲目が逆っぽいです。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Al - Amin (aneb Jak Vycakat Jelito) ★★★ (2007-09-25 22:25:55)

短いSEの後に繰り出される、期待通り…いや期待をはるかに超えるテクニカル・デスメタルサウンドに悶絶。…したのも束の間、真面目なサラリーマンが自分をニワトリだと思い込むクスリを打たれてヒステリー起こしたかのようなヴォーカルが全て持っていってしまいました(笑)。
しかしベースのメロディのかっこよさが際立ってますね。ヒロイックと言ってもいいくらいかも。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Analyza Zahnedy ★★★ (2007-09-25 22:27:14)

♪Homeleso~と歌っているので、おそらくこっちが3曲目かと…
ギターのカッティングのメロディがスパニッシュ入ってて、それを実に上手くデスサウンドと融合させててセンスの良さが光ってます。冒頭の♪Homeleso~のおっさんチックな低音デス声、良い味出してますね。こんな声出しながら公園の砂場でラジオ体操してたら、多分警察に通報されるでしょう(笑)


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Hanicka - Pribeh Nebozacky ★★★ (2007-09-29 11:31:05)

イントロのリフから一気に惹きつけられます。
解説によると、この曲のテーマは水の精に殺された女の子の話らしいですが…ヴォーカルがハッスルしてるせいで猟奇性とか悲劇性がいまいち伝わりません(笑)。むしろブラックジョーク的なイメージかも。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Kali ★★★ (2007-09-25 22:28:30)

アルバムのラストを飾る名曲。
非常に聴き応えのある、複雑でテクニカルなアンサンブルで魅了してくれるのはいつもの事ですが、曲中盤から終わりにかけて聴けるギター&ベースのソロは変態性だとか暴虐性だとか以前に叙情的メロディとしてとても魅力的。このバンド、根本からしてセンスがあるんだろうなぁ…。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Konec Kontinentalniho Kontejneru ★★★ (2007-09-29 11:27:48)

こっちが2曲目でいいのかな…?
普通声もフィーチャーした、呪術的な展開が印象に残る曲。
他の曲で聴けるファニーさとは別の意味で母国語の響きを活かしてますね。


!T.O.O.H.! - Order and Punishment (rad a Trest) - Rad a Trest ★★★ (2007-09-29 11:29:30)

後半のジャジーな雰囲気が謎のタイトルトラック。
…HR/HMっていうジャンルって、ギターリフのかっこよさでは他ジャンルの追随を許さないといわれてますが…そのジャンル内にあっても彼等のこの作品でのそれは最高級ではないでしょうか。この曲に限った事ではないですが。


(V.E.G.A.) - Alienforest - A Sick Mind's Hologram ★★ (2009-02-07 08:46:00)

2008年発表のおそらく2nd。
前作「Cocaine」では、ラストにテクノビートを取り入れた曲を挿入していましたが、まさかあれが次のアルバムへの大きな布石になっていたとは…。

前作では主にラストで見られたテクノ要素が今作ではアルバム全体を通して端々で聴かれ、特にアルバムの掴み部分、プレイボタンを押してから10分近くバンドサウンドが入らないという、ある意味かなり極端な作風に。

テクノ要素がアルバム全体に波及した事に加えて、ドラムが前作より前に出ず、しかもよりマシンめいた音色になったことで「中毒性・サイケデリア>攻撃性・ブルータリティ」の図式は更に鮮明になった印象。このバンドのインダストリアル志向を思えば、順当と言える変化なのかもしれませんが…前作をインダストリアル/ノイズブラックではなく、個性的なRAWブラックとして聴いていた人からしたら受け入れがたい変化かもしれません。

個人的には十分良い作品だけど、正直前作のほうが衝撃的だったしお勧め…かも。ちなみに、今作はDVDケースにぺラ紙一枚でした…凝ってるんだか凝ってないんだか…。


(V.E.G.A.) - Cocaine ★★★ (2009-02-06 21:29:00)

2002年発表の…おそらく1st…かな…?

ハーシュノイズやインダストリアルとブラックメタルの異種交配はよく行われていますが、自分が今までに聴いた中では、これは最高級にレベルの高い逸品といえると思います。

↑でたまねぎさんが「麻薬リフ」と表現されてますが、正にそんな感じでまずリフが独特で、かつ中毒性が非常に高い事が特徴ですね。そのリフが、ハーシュノイズと混交した音質の助けを借りてサイケデリックに花開き、スパークしながら散っていく様はなにか神々しいものすら感じます。

音の抜けの良い高速のマシンドラムのリズムも、ブルータリティよりもサイケデリアや酩酊感を加速することに貢献している感じ。クスリによって精神が壊れ、壊れたが故に神秘を体感できる人間の精神の中を旅したら、こんな感じなのかもしれませんね。

また、1曲目の掴み部分に悲鳴や合唱のSEを挿入して想像力を刺激したり、ヴォーカルに正体を隠すようなエフェクトが掛けられていたり、ブックレットにはメンバーのはっきりした写真を決して載せなかったり、アートワークも含めたミステリアスな雰囲気の演出も巧みで、それが作品から受ける神秘的な感覚を更に底知れないものにしてるんですよね…。プリブラ的酩酊感を、知性的(かつ狂的)なアレンジ・演出により麻薬性にまで高めた感じ、でしょうか。

↑のレビュー見て買ってしまいましたが、確かにこれは素晴らしいです。まだ知名度はそれほどでもない(Metal Maniacs誌にインタビュー載ったけど…)みたいですがスピリチュアルな次元に到達した、数少ないバンドのうちの一つなのではないかと思います。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) ★★ (2008-10-19 10:06:00)

フィンランド産シンフォニック/インダストリアル・ブラック。
結成十年目、音楽性の変化に合わせてバンド名を「...and Oceans」から
「HAVOC UNIT」に替えた模様。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) - A.m.g.o.d. (2008-10-19 10:01:00)

2001年発表の3rd。

このバンド、以前はシンフォニックブラックを演っていたようですが、
今作はメロデス・メロブラ寄りのバンドサウンドにピコピコ
キーボードやテクノビートを絡めて未来的な音像に仕上げた、
サイバーでシンフォニックなインダストリアル・ブラックになっていますね。
DODHEIMSGARDが前衛的な方向に行かず、真っ当にシンフォ方向を
目指してたらこうなったんじゃないか…という感じ。

美しいピアノとフューチャリスティックな音色のキーで展開に
メリハリを付けたり、テクノビートからブラストに雪崩れ込む
ダイナミックな展開を設けたり、テクノ/インダストリアル要素の
導入はかなり巧み。キャッチーなコーラスパートを設けた曲も多く、
取っ付きやすい路線ながら、がなりデスヴォイスはキレが良いし、
ブラストのパートはかなりブルータルだったり、聴きやすくし過ぎて
温くなっていないのは良いですね。

ただ、ブラックメタルらしいギターのジャリジャリした音質は、
あまりこの路線には合ってない気が…。普通に整った音でも
良かったんじゃないかと思います。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) - A.m.g.o.d. - Intelligence is Sexy ★★★ (2008-10-19 10:03:45)

まずタイトルからしてインパクトがあって、聴いてみたくなりますね(笑)。
タイトル通り、未来的なキーボードをバンドサウンドに知的に絡めたスタイルですが、ブルータルな腕力勝負っぽいパートがあったりするのはご愛嬌。メリハリのある展開の中でのトレモロリフパートがかっこいいです。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) - A.m.g.o.d. - Tba in Silver Box ★★ (2008-10-19 10:05:30)

神秘的な音像からは、どこかバンド名の通り海が思い浮かびますね…海に太陽が沈んでいくシーン、みたいな。どんなに文明が進んでも、日は沈むし、また昇るんだな…みたいなことを考えてしまうような音。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) - A.m.g.o.d. - Tears Have No Name ★★ (2008-10-19 10:04:32)

未来、ワームホールで時間移動が出来るようになった時の景色を想像して、それをバンドサウンドで表現したかのような曲。


...AND OCEANS (HAVOC UNIT) - H.iv+ ★★★ (2009-09-23 10:00:00)

バンド名を「HAVOC UNIT」に改めてから初のフルレンス。2008年発表。

2008年発表のアヴァンギャルドメタルとしては、ENSLAVEDやVIRUSの
アルバムと並んで非常に評価が高い作品らしいですが…確かにこれ、
インダストリアルメタルとしても強烈な個性を放つ作品に仕上がってると思います。

サンプリングやキーボードで雰囲気を演出しつつ、ノイズ/ドローンに
通じる酩酊感を感じさせる、インダストリアルな歪みのリフの上で
トランシーな打ち込みビートを暴れさせる作風で、ANAAL NATHRAKH
ともRED HARVESTとも全く違うアプローチ。

打ち込みのリズムが、ただ取り入れているというだけじゃなくて、
リフのフレーズと上手く絡むことで更なる酩酊感を醸し出して
いるのが素晴らしいですね。…リズムの心地良さを楽しむ音楽と
言うと、トラッドやジャズ辺りをネタにしたものが多いですが、
これはそういう楽しみが出来るエクストリーム音楽と言えると思います。

普通のメタルはここまでリズムに徹しないし、またトランスもここまで
歪みの強く激しい、大胆な音像にする事は稀だと思う。しかしこれは
それらを両立させ、相乗効果を生んでいるのが凄い。
ただ、アトモスフェリックなキーボードこそ取り入れられているものの、
リフは打ち込みリズムとの絡みを前提にしたような、全くメロディックで
ないものなのでブラック好きの間でも好みが分かれるかもしれません。

個人的には...and Oceansの頃よりも断然極端な作風になってるし、
支持したい所。「Kyrie Eleison」のバンドサウンドというよりも、
軍用ヘリの機銃掃射をそのまま録音したんじゃないかっていう
無茶っぷりとか素晴らしいですよ(笑)。


11 AS IN ADVERSARIES - The Full Intrepid Experience of Light (2011-05-18 17:52:47)

2010年発表の1st。

GLORIOR BELLIのメンバー二人によるプロジェクトと言う事で、作風的にはGxBxが「Meet~」アルバムで行った、「ブラックメタルとサザンメタル・デザートロックの融合」という路線を、更に推し進めた作風ということも出来そうですが…。もう、これ聴いてるとマジで苦悶の声を上げたくなるんですけど(笑)。それくらい、私にとって好きになれるポイントと、嫌いなポイントが乖離してしまってる作品。

まず、オケに関しては個人的に完璧です。ブルージーなロックンロールと毒性を帯びたブラックのトレモロを両立させたアンサンブルは、VED BUENS ENDEやVIRUSを引き合いに出したくなるような奇怪さに満ちていて、本当に素晴らしいと思う。
なのに、なのにヴォーカルが…。こんなグロいオケなのに、普通のロックみたいな声で歌ってやがる…。しかも微妙にヘナいし。リアルに「その歌い方止めてもらっていいですかね?」と詰め寄りたくなる感じ。ガナりを重ねてるパートはまだ良いですけど…。

いくら変な音楽好きとはいっても、大好きなものと大の苦手のものを一緒にぶち込まれると、流石に辛いですよ…。デス声一本に絞ってもらえれば、余裕で名盤なんですが。まあ、私が偏屈なリスナーで、この手のヴォーカルが嫌いだからこういう評価になりますが、普通にロックもブラックも聴ける人ならもっと評価が高くなるかと。


1349 - Beyond the Apocalypse ★★ (2006-04-11 21:03:00)

メタル雑誌にも普通に巻頭の方に載ってたり、ブラックリスナーの間で大人気の1349。
ようやく聴く事が出来ました。
音楽的にはブルータル・ブラックに属すると思いますが、MARDUKやDARK FUNERAL辺りと
比べると、整合性よりも未加工の禍々しさ、邪悪さを重視している感じですね。
特にギターのノイジーな音色にそれを強く感じます。
かといって音質は悪いわけではなく、かなりクリアで強いて問題点を挙げるとすれば
ドラムの金物が響きすぎで少しうるさく感じる所があるのと、ヴォーカルの音が小さい事
くらいですね。でもそんな事はこのかっこよさの前ではほんの些細な事だと思います。
このバンド、ドラムだけでなくギターもかなりいいですね。
トレモロリフや平坦リフ一辺倒じゃなくて、禍々しいリードフレーズや多彩なリフを
使い分けて、それらがFrostのテクニカル、ブルータルなドラミングと合わさって
決して一辺倒ではない曲展開になってます。ヴォーカルも音が小さいというハンデを
背負いながらも邪悪さを撒き散らす喚き声でかなり凄いです。
…これは2004年の人気投票で高い順位だったのも頷ける、優れたブラックだと思います。


1349 - Beyond the Apocalypse - Aiwass-Aeon ★★★ (2006-04-11 21:05:15)

この曲のイントロとアウトロのトレモロリフ、ありえないぐらいにかっこいいですね…それがFrostの豪速ブラストと合わさると、まるでガトリングガンで撃ち殺され、死んでゆく時に脳裡に流れるような音楽になってます(笑)


1349 - Beyond the Apocalypse - Chasing Dragons ★★ (2006-04-11 21:10:04)

暴虐なだけではなく、メロディの入れ方が非常にかっこいい曲。
引き攣るようなメロディをギターが奏でるたびに、一匹ずつ亡霊が生まれていくかのよう。この一曲目で1349の虜になってしまう人も多いでしょう。


1349 - Beyond the Apocalypse - Singer of Strange Songs ★★★ (2006-04-11 21:07:43)

タイトル通りの超妖しい雰囲気を醸し出すリードフレーズから、トレモロリフで疾走するパートに雪崩れ込んで行く展開は正に鳥肌ものです。
でも…このミックスはちょっとヴォーカルが可哀想過ぎ。Only deathのところ、あれだけ鋭く叫んでるのに全然生かされてないよ…。


1349 - Demonoir ★★★ (2010-05-13 19:39:00)

2010年発表の5th。

前作で見せた、ファストブラックからアンビエント寄りのブラックへの
変化は、ブラック好きの間でも賛否あった(というか、見る限り
否定的な意見も多かった)ようですが、今作はFrostの豪速ドラムを
軸に、それに絡む、時に音の壁を構築するようなヘヴィさや、
時に流麗さすら感じるテクニカルさを感じさせつつ、悪霊じみた
メロディのトレモロを挟むギターワークという、3rdまでの
アンサンブルが大分戻って来た感じがありますね。

速いだけでなく、体感速度の速さやテンションの高さを感じさせる、
Frostのドラミングはやはり最高。ブラックのドラマーの中でも、
「ロックしてる」人だと思います。

ただ、曲間にダーク・アンビエント的な小曲を挟む構成、
トレモロリフが(3rd以前より)少し減り、オールドスクールさの
強くなった曲調、バンドサウンドに僅かに絡められた
サンプリングなどにより、前作で追求した粘液質な邪悪さを、
ファストさを揺り戻しながら今作でもまた追及しているという印象。
語りを交え、もがき苦しむようにがなったり、喉が擦れるような
絶叫をしたりと、表現力の上がったRavnのヴォーカルも、
邪悪さの追求にかなり貢献してますね。相変わらず鋭い声で素晴らしいです。

個人的には、KEEP OF KALESSINやINFERNAL WARなど同様、
非ブラッカーのメタラーにも聴いて欲しい作品。
特にこのアルバムは、豪速で絡み合うギターリフと
ドラミングにはメタルの本質ともいえるアンサンブルの
かっこよさが息づいてると思うし、それに加えてブラック特有の
カルト性も強く感じられる。多少音質に癖はありますが、
ある程度メタルを聴いた人がブラックに入るにもうってつけの
作品なんじゃないかと思います。


1349 - Massive Cauldron of Chaos ★★★ (2014-10-17 11:35:48)

2014年発表の6th。

まず言いたいのは、激烈なリフとリズムの応酬を楽しむエクストリーム・メタルとしてはこの作品は満点の内容、という事ですね。1349って、ファストブラックとしては、オールドスクールな感触を強く残した作風のバンドだと思いますが、ひたすら暴虐に蹂躙を尽くすブラスト畳み掛けパートも、強烈なエネルギーを感じるスラッシーなパートも、このジャンルでも第一級の中の第一級といった説得力があり、素晴らしいの一言。

特にエクストリームメタル好きなら誰もが耳を奪われるであろう、Frostのドラミングは今作でも冴え渡ってますね。ファストさは極まってるしテクニカルなんですが、それを聴き手と共有するグルーヴ感がある気がします。極端なリズム構成でも、聴き手を問答無用で引き込むノリが出せるのは凄いと思う。カラッとしたクリアな音作りになり、陰湿さが減退したのは賛否ありそうですが、激烈なアンサンブルはよりよく楽しめるようになったと思います。

ただ、唯一個人的に気に入らなかったのは、メロディセンスの変質。例えば「Beyond the Apocalypse」の「Chasing Dragons」「Aiwass-Aeon」等で聴けた、霊障が起きそうというレベルを通り越して霊魂の呻きをそのままメロディにしたかのような、邪悪極まりないトレモロは今作では希薄。挙句にギターソロはヘヴィメタル的な熱さも強いですし…。良く聴けばこの邪悪な流れを汲むトレモロも無くはないんですが、「Beyond~」期と比較すると薄まったのは事実だと思う。

それを差し引いても、エクストリームメタルとして非常に優れた作品ではあるので、☆は3つですが…このプロダクションで当時のようなメロディで演ってくれたら、個人的にはもう完璧なんですけどね…。エクストリームメタルとしては満点でも、ブラックとしては90点台前半くらいかも。


1349 - Revelations of the Black Flame (2009-06-07 08:26:00)

2009年発表の4th。
初回盤は6曲入りライブ盤「Works of fire, Forces of Hell」が付いてます。

このサイトを始め、色々な所で問題作とされているようですが、確かに
それも頷けるほどの方向転換がなされてますね…。今までの1349の
特徴である「Frostの爆走ドラム」や、「悪霊じみたトレモロリフ」などは、
あるといえばある、という程度で、今回はスローでドゥーミーな展開や
ダークアンビエント的な音、オールドスクールな疾走などを取り入れ、
剰えプログレバンドのカヴァーまで演るなど、音作りは1349そのもの
ながら、曲だけ聴いたらほぼ別のバンドのアルバムに聞こえるんじゃないか…
という仕上がりになってます。

個人的にはその事自体はなんの問題もないんですが…今までの1349の
作品って、ファストブラックというカテゴリーの中では「そのジャンルの
顔足り得るくらい無敵な感じ」があったと思うんですが、この作品には
ドゥーミー、ダークアンビエント寄り、オールドスクールなブラックと
いうカテゴリの中で、それほどのクオリティがあるとは思えず、相対的に
魅力が下がったように感じられてしまうのが一番の問題。
結果、いつもの作風から離れた曲を集めたアウトテイク集的
ミニアルバムのように感じられてしまうんですよね…。

早い話、ファストブラックで最高のものを聞かせてくれるバンドが、
他の路線でまあまあなものを作ってることが腑に落ちないから、問題作と
されてるんだと思います。
CELTIC FROSTのメンバーが関わっていることもあってこういう疫病的な
作風になったのかもしれませんが、それだったらCxFxの「Monotheist」のが
もっとビョーキじみてると思うし。

ちなみにライブ盤「Works~」は最高。
ファストブラック最強バンド最有力候補としての1349の魅力のたっぷり
詰まったライブ盤に仕上がってます。音質もほぼスタジオ盤準拠で、
ヴォーカルもしっかり前に出ててめっちゃ迫力あります。
今までの路線に惚れてた人はこれ目当てで買っても損はないかと。
本編は、1349の生々しさと音のよさのバランスが絶妙な音作りが好きで、
ファスト路線以外も聴いてみたいと思っている人や、1349自体が大好きな方にはお勧めです。


1349 - Revelations of the Black Flame - Invocation (2009-06-07 08:32:45)

最初の「ア゛あーーーー!!」が非常にわざとらしくてちょっと萎えます(笑)。正直、これにアルバムの印象が結構左右されてるのでは…と思います。1349らしいトレモロリフが来た時はかなりホッとしました。


1349 - Revelations of the Black Flame - SERPENTINE SIBILANCE ★★★ (2009-06-07 08:35:32)

疾走するパートはいつもの1349らしいとも言えますが…ドラムのフレーズが低音のドコドコした響きを利用してより黒いムードを演出しようとしている感じがするあたり、やっぱりファストパートにおいても微妙に変化があるな…と思います。


5150 - シンフォニック東方Ⅱ(龍5150) ★★ (2010-02-04 21:47:00)

龍5150名義による東方アレンジ第2弾。2009年発表。
…この人の作品は、そのオリジナリティから担当者に目を付けられ、同人とは全く関係の無い
DISK HEAVENなどのメタル専門店にも置かれたようですね。確かにそれだけのものがあるかと。
メロスピを中心に、シンフォニックブラック、バラードまでの幅広い楽曲を本人の声楽的
歌唱による多重コーラスで包む、極めて独創的な音楽性は、その高いクオリティとも
相まって、ちょっと聴いただけでもCROW'SCLAWだとか、IRON ATTACK!だとかこのジャンルの
トップクラスのサークルと同じか、それ以上のインパクトを与えるように思います。
個人的にこの人の一番素晴らしいと思うところは、メタルの表現方法に対して、凄く真摯かつ
勉強熱心な印象を受けること。例えばヴォーカルですが…普通声は低音にはシンフォブラで
多用される声楽的威厳のある歌唱、高音にはLeo Figaro氏風の「味」を取り入れようと
しているのが垣間見えたり、デス声はDani Filth的な超音波絶叫と低音グロウルの使い分け
だけでなく、鬱ブラック風の半狂乱声まで使おうとしてたりで、聴いてて飽きないです。
…決して「独り大合唱」という個性だけに寄りかからない、自分のメタル観を追求している
アーティストだと思います。まあ、ヴォーカルに関して言えば、音節の切り方が変だったり、
鬱ブラ風デス声に照れが残ってたり、根本の歌唱力がもう一つだったりしますが…。
でも、これでデス声の威厳をSATYRICONやWATAIN辺りに、重ね方やエフェクトの掛け方を
FUNERAL MIST辺りに学んだらもっと凄くなるんじゃないでしょうか(注:単なる個人的希望)。
もう一つ希望を言うなら、一度でいいのでリードヴォーカル無しの本当の意味での
「合唱メタル」が聴いてみたいんですが…それはメタラーの血が許さないんでしょうか(笑)。


5150 - シンフォニック東方Ⅱ(龍5150) - THE FLOWERING NIGHT ★★★ (2010-01-02 21:54:45)

これはイントロで爆笑しました(笑)。
メロディだけでなく、ストリングスの震えさせ方までがCRADLE OF FILTHの「Beneath the Howling Star」。そこに無理くりフラワリングナイトのメロが入るのが面白すぎます。もしカラオケに入ったら作曲者クレジットに「ZUN/Dani Filth」と表記しなければいけないレベルですよ、これ(笑)。
東方メタルアレンジって、オマージュ多いらしいですが、私は正統派やメロパワってあまり聴かないのでいつも置いてけぼり喰らうんですよね…。その中でこういうアレンジを聴けたのは嬉しい。「ああ。これがオマージュですね!…楽しいかもしれない」って気分です(笑)。今度はEMPERORとかも演って欲しいなぁ…。


5150 - シンフォニック東方 (龍5150) - CANNIBALISM ★★ (2009-08-04 21:44:51)

この曲もシンフォニックブラックメタル風。
3曲目と比べると、更にヴォーカルがDani Filth化してますね。特に「Cruelty and the Beast」期のDaniと声のひしゃげさせ方が大分似てると思う。でもサビメロはABIGAIL WILLIAMSやSIRIUS並みの派手さで聴かせて欲しかったなぁ。元々派手なメロですし。


5150 - シンフォニック東方 (龍5150) - FIRE AT THE ALIVE ★★★ (2009-08-04 21:40:53)

これ、歌詞カードのタイトルが変だった(Fire st the Alive)のでHPで確認したら、stじゃなくてatなんですね。キーが隣だから打ち間違えたんでしょう(笑)。早口のハイトーンでクサメロを歌い上げるヴォーカルは、どこかLeo Figaro氏を思い起こさせます。


5150 - シンフォニック東方 (龍5150) - HOMICIDE MAID, FROM PAVILION ★★ (2009-08-04 21:41:48)

遂に出た、「ブラックメタル」を自ら標榜するゲーム音楽アレンジ!!
「Midian」期のCRADLEを思わせるピアノの使い方が素敵ですね。ヴォーカルは鬱系とDani Filthを混ぜた感じですが…ASHDAUTAS VRASUBATLATやFENRISULF辺りと比べるとなんか照れが残ってるというか、捨てきれてない感じがあります(笑)。


5150 - シンフォニック東方 (龍5150) - SKY COMET ★★★ (2009-08-04 21:43:54)

なんかこの曲のヴォーカル、可愛い気がするんですけど(笑)。
特にサビ部分の、声がひっくり返るのも恐れないハイトーンがいい感じ。
ラストの盛り上がり具合も素晴らしいですね。二時間半の映画のクライマックスみたいなテンションです。


5150 - 四季楽典 ★★ (2010-05-16 10:32:00)

「シンフォニック東方」シリーズで同人メタル界に衝撃を与えた、5150氏の送る
オリジナルアルバム第一弾。2010年発表。
作風的には、「シンフォニック東方」シリーズを踏襲した、多重録音による合唱的な
ハーモニーと歌謡メタル風の歌メロ、大仰なキーボードとクサいリードギターによる
絢爛豪華なメロディック・スピードメタル。1曲のみですが、昔のCOF風のシンフォニック
ブラックもあり。「壮大で大仰…それこそ正義」帯叩きそのまんまの音楽性です(笑)。
個人的に驚いたのは、歌謡メタルの命綱である歌メロが、非常に優れている事。
特にLeo Figaro氏とZUN氏が共作したような「Remember Calm」、SOUND HORIZONの
疾走曲を思わせる「Little Garden」、メロスピ特有の萌え上がる緑を思わせるような、
多少気恥ずかしいメロの聴ける「Dive to my Heart」など、龍5150氏本人が歌う曲は
それこそ東方やSOUND HORIZONと勝負出来る、超一流のクサさ。
また、数曲で如何にもメタルシンガーらしい強靭さと荒々しさを兼ね備えたヴォーカリスト、
つかさ氏が参加していますが、彼の歌う曲には、彼の声の力強さが映えるような、
パワーメタル然としたメロを当てているのがまた素晴らしい。人の声を活かす事に関しても
かなりの才能があるのではないでしょうか。ただ、肝心の5150氏自身のヴォーカルは、
パワーメタル的暑苦しさ、V系的ナルシーさを排除した結果なのか、見事なナヨ声に
なってて、正直魅力的とは言い難いかも…この人、声質自体はほんと良いんだけどなぁ…。
あと個人的に不満だったのは、イントロダクションから2曲目の繋ぎが最悪なこと。
イントロ終了→一瞬だけ無音→イントロの終わり部分が一瞬だけ再生されて2曲目開始…
この流れ、何か意味があるんでしょうか。ぶっちゃけこのアレンジ大っ嫌い。
トラック分けに妥協したみたいで、テンション下がる。本編は凄く良いのに。
しかしこれ聴くと、この人には東方よりオリジナルを演って欲しいと思いますね。
東方系のアレンジは氾濫しすぎてるせいで、即効性が高く他と比較して楽しめるという
利点があるかわり、目新しさが少なくて飽きも早いんですよね。まあ、「永遠の巫女」とか
「キュアリアス上海古牌」とか、知名度低めのクサ曲アレンジなら聴いてみたいですけど。
それよりも、これだけレベル高いなら唯一無二のオリジナル曲のが聴きたい、と言うのが本音です。


5150 - 四季楽典 - LITTLE GARDEN ★★★ (2010-05-16 10:04:16)

まるでSOUND HORIZONの疾走曲を聴いているかのような、高揚感のあるサビメロが特徴の曲。ぶっちゃけヴォーカルも(Roman期の)Revo氏くらい微妙なんですが…それを差し引いてもこのメロディセンスは素晴らしい。この路線のオリジナルをもっと積極的にやって欲しいですね。


5150 - 四季楽典 - REMEMBER CALM ★★★ (2010-05-16 10:08:07)

Leo Figaro氏を思わせる最初のコーラス部分からそのメロディセンスに感心しますが、東方ヴォーカルアレンジと比較しても何ら劣らないサビのメロディで更に感銘を受けました。サビのシリアスに盛り上げていく展開は「懐かしき東方の血」を思わせますね。東方アレンジを通過した事で、メロディ面でも影響を受けているのかも。それにしても良いメロディです。


5150 - 四季楽典 - SOUL OF BRAVE -1000 YEARS AGO- ★★★ (2010-05-16 10:01:38)

今作はシンフォブラックが一曲しかないのが少し寂しい…
これを聴く限り、龍5150氏はCRADLEの作品では近作より「鬼女」「Dusk」の頃派っぽいですね。ホラー風味の強いキーボードの使い方や、スラッシュ然としたギターワークがそれっぽい。途中クリーンヴォーカルを挟む構成も、メタルコアというよりはEMPERORの「the Prophet」や「the Eruption」などの名曲を意識してそうな感じ。歌詞的には、連呼される「Tree of darkness」といい、カバラ辺りからの影響が強そう。


6FT. DOWN - INVITATION TO ANESTHESIA ★★★ (2010-12-30 00:57:54)

2010年発表の2nd。

このバンドと直接関係はないのですが…私はV系バンドの良い所って、デスメタルの歌い方やスラッシュのリズム/リフを取り入れたハードな曲をやったかと思えば、次は感動的なバラードが来て、その次は衒いの無い歌謡ロックが来る…みたいな、バラエティに富んだ作風だと思うんですよね。この作品は、へヴィネスやダークでエモーショナルなムード作りこそ海外のゴシックを聴いてるようですが、そういう意味で「V系的な」バラエティの豊かさがあるアルバムだと思います。

「Proclamation of War」のサビパートや「Liberation」の「♪be the end」のメロディ使いなんかは、わらべ歌などにも通じる日本の土着的な怖さのようなものが感じられますし、「Drown in a Whirl」はアメリカのゴス少女が好みそうなキッチュさと、メタリックなへヴィネスが同居した名曲。また「Forgive me」「The Voice」では歌謡曲顔負けの感動的な歌メロが聴けるし、軽快さすら感じる「Black Sky」も出色の出来。はっきりいって、この「1曲1曲の濃度」は、海外の一流のゴシックメタルバンドでも及ばないと思う。

ただ、流石にピアノメインのバラードが2曲続くのは、ヴォーカルの感情とシンクロ出来ないとダレるし、時々海外勢と比べてメロへの詞の乗せ方が間延びして感じる部分もあるなど、多少アラもあるんですが…正直この辺りは作を重ねればどうにでもなりそう。
おそらくどのバンドも苦しんでいるであろう「中庸な作風に落ち着かず、1曲1曲に強烈な個性を持たせる」ことが現時点で出来ているので、将来性はかなり高いのではないでしょうか。


80☆PAN! - 8 CARAT PRINCESS - キラキラ ★★★ (2011-04-07 22:16:36)

♪飛~び~だしゃ~いい~

…って、歌いたくなりますよね(笑)
ガムラン風キーボードによる裏メロといい、ヘヴィなギターの切り込み方といい、フェイドアウトの仕方といい、B'zの「さまよえる蒼い弾丸」を意識していないわけが無いかと。聴けば聴くほど笑えてきてしまいます(笑)。


A FOREST OF STARS - The Corpse of Rebirth ★★ (2010-03-07 05:28:00)

2008年発表の1st。

個人的に、このアルバムのアートワークはブラックでもトップクラスに好き。
基本的にはBURZUM3rdの流れを汲む鬱/アンビエントブラックに、
MY DYING BRIDEのメンバーによるヴァイオリンが美しく頽廃的に絡む、
「美し版BURZUM」とも言える内容ですが…
音響要素やクラシックからの引用フレーズ、トライバルなリズムなど
様々な要素も取り入れているにも関わらず、それらが「不気味かつ不条理」
という雰囲気で、纏め上げられてしまっているある意味凄い作風。
ヴォーカルも「神/女性/男性/大地と物質/大宇宙」という深遠な
テーマを、哀れを誘うような、ヒステリックに裏返った叫びで歌うもので、
LIFELOVERにも通じる気味悪さを感じます。…この雰囲気の中、可憐な
女性ヴォーカルが出てきても全然癒されません(笑)。

芸術家は、一般人と比べると自殺率が極めて高いという統計データがあるそうですが…
そういう意味でも「芸術性」を感じられる作品だと思う。様々な要素を
内包するので、鬱ブラック、抽象ブラック好きからゴシック、プログレのファンまで
幅広くお勧めは出来ると思います…が、大作主義で、結構長めのスパンで
展開していく(導入部からしてかなり長い)作風なので、気分でない時に聴くと
ぶっちゃけかなりダレます。ただ、ブラック好きからしても衝撃的なパートは
いくつもあるし、上手く作品とシンクロした時の破壊力は凄まじい物がありますが。

超現実主義の絵画とかに、マジに大ハマりしてるような人だったら
音楽ファンでなくてもハマる…かも。


A FOREST OF STARS - The Corpse of Rebirth - Earth and Matter ★★ (2010-03-07 05:31:18)

中間部のパーカッションを取り入れたパートが非常に印象的で、個人的にも気に入りました。やっぱりこの音色、「大地の営み」的な物を象徴しているのでしょうか。


A FOREST OF STARS - The Corpse of Rebirth - Male ★★★ (2010-03-07 05:30:22)

可憐な女性ヴォーカルが、聴き手を神秘体験レベルの音響パートに案内していく曲。これほどまでに神秘的で幽玄なギターリフとキーボードの絡みは、ブラックでも滅多に聴けないと思う。ここのパートなんかはジャーマンプログレマニアが聴いても唸るのでは。「Afell, asun, arose athunder」と繰り返す部分の悪魔的な雰囲気も凄い。このアルバムを象徴するような楽曲で、正直これ1曲でもお腹一杯になれます。


A HILL TO DIE UPON - Holy Despair ★★★ (2014-08-12 18:46:27)

2014年発表の3rd。

何となくバンド名がかっこよかったので興味を惹かれたんですが、これがかなりハイクオリティな作品で驚きました。簡潔に言えば、WATAINの骨太さや邪悪さ、KEEP OF KALESSINのメタリックさに加えて、中期BEHEMOTHの攻撃性を上手くミックスさせたようなメロディック・ブラック。例に挙げたバンドからも分かる通り、アングラ度はそこまで高くはないものの、ヘヴィメタルとしてもがっつり聴かせる質の高さのある音。

音作りそのものがそんな感じなのと、押韻をしっかり行い、印象的に聴かせるヴォーカルライン、ヴォーカル自体のドスの聴いたキレの良いデス声のせいもあって、ブラックとしては1曲1曲のキャラが立っていて、尚且つキャッチーに聞こえます。ブラック特有の甘美さ・邪悪さを伴うトレモロ、うっとりさせる美メロのリードなど、メロディセンスが良いのみならず、その楽曲への切り込ませ方も巧みで、曲自体のレベルもかなり高いと思う。

ただ、それぞれの曲に文学作品からの引用を付けたり、単なる宗教性だけでない文学性を演出しようとしているように思うんですが、それが音楽面では必ずしも良い方向に反映されているとは言いがたいのがネックかも。ミッドテンポ中心かつ女性ヴォーカルを取り入れたりなど実験要素の強い後半部は、高尚さを狙って却ってダレを生んでるような部分も。一枚通じて後半のような感じだったら多分☆は2個にしてたかと。

…とは言っても、それを差し引いても☆3つ付けたくなるような良い作品ではありますけどね。後半部も印象的なヴォーカルラインと、メロディアスな部分でのメロディはやはりかなり魅力的ですし。ともあれ、ハイクオリティなメロブラを探している人なら是非。


A.E.P. (AYMREV ERKROZ PREVRE) - LES MONTAGNES HALLUCINEES ★★ (2009-04-19 21:11:00)

2006年発表のおそらく1st。111枚限定CD-R。
タイトル(「狂気の山脈にて」の意)はラブクラフトの著作名らしいです。

VINTERRIKETともスプリットをリリースしている事からも分かる通り、
描いている情景にブラックメタルのダークさにも通じるものが
感じられるインダストリアル/アンビエントを演ってますが…
これはかなり徹底しているんじゃないでしょうか。
1曲60分、しかも微妙に音に起伏はあるものの、ほぼ洞窟の暗闇から
聴こえてくるような持続音がひたすら続くという、音楽に
エンターテイメント性を第一に求める人が点数付けたら、
間違いなく0点つけて二度と聴かないであろう作風(笑)。

人間は5感を遮断されると、数時間ほどで光の明滅などの幻覚を
経験するといいますが…そういう「感覚遮断実験」を音楽で
やったらこんな感じだと思います。持続音に意図的に音飛びや
ノイズを混ぜてるんですが、これが凄く雰囲気出てるんですよね。
霊の存在によって録音に影響が出てるみたいな音像になってます。
底の知れない暗闇や、その中で蠢く「何か」の存在が確かに
感じられるような音で、情景描写音楽としてはレベル高いと
思いますが…VINTERRIKETやVELVET CACOON辺りは聴いてて当然、
もっと深い所を見てみたい!!という真性アンビエント・ブラック好きに
しか敢えてお勧めはしません(笑)。
BURZUMの「Dungeons of Darkness」を聴いて、「この暗闇に
時間の感覚が消えるくらい永く浸っていたい…」とか思う方はどツボでしょう。


A.M.S.G. - Anti-Cosmic Tyranny ★★ (2014-12-08 22:12:11)

2013年発表の1st。
GLORIA DIABOLIのメンバーによるバンドだそうです。バンド名は「Ad Majorem Satanae Gloriam(悪魔の更なる栄光のために)」の頭文字を取ったもので、GORGOROTHのアルバムタイトルにも同じフレーズが使われてましたね。

カナダのバンドながら、ショップの評では北欧の黎明期ブラックに強い影響を受けたバンドとのことでしたが、正にそんな感じのブラックメタルを展開してますね。ノイズによるオープニングが終わって、一発目のリフから既にDe Mysteriis~期のMAYHEMの香りが色濃く漂ってきてます。あからさま過ぎて思わず苦笑が漏れるくらいリスペクトしてる感じ。ギャーギャー喚く系ヴォーカルもWolf’s~期のMAYHEMっぽい気がしますし。

また、途中でやや唐突に不可思議なフレーズのサックスが挿入されたりなど、不気味さや不条理さを醸し出す展開がそこかしこに見えるのも、衝動に満ちた若いミュージシャンがそれぞれに邪悪さを演出するアイデアを持ち寄ってた黎明期ブラックの雰囲気に通じるものがある気がします。レーベルカラー(Profound Loreより発売)なのか、若干アンサンブルに前衛っぽい所があるのも、楽曲に緊張感をもたらしているように思います。

若干ノイズ部分が耳に痛い(自信があるのか、楽曲と不可分になってる)というのはありますが、北欧の空気感をそのまま再現したような、かなり良質なブラックメタル。オーソドックスだけどオーソドックス過ぎない匙加減が上手いです。


AASGARD - Nekriki Mistagogia ★★ (2012-07-11 20:41:04)

1stと2ndの間にリリースされた6曲入りEP。2011年発表。

ギリシャの二人組プリミティブブラックということですが、路線的にはかつてのDARKTHRONEのようなミニマルで薄っぺらくノイジーな典型的プリブラをベースに、メロディをやや抑え目にする代わり、ミニマルな魅力をスポイルしない程度にメタリックなダイナミズムをリフに少し取り入れている感じでしょうか。しっかり荒涼感も出せてるし、ノイズに言葉が乗っているようにしか聞こえないヴォーカルも気合入ってるし、水準以上のクオリティはあると思う。

このジャンル、ドラムの金物の音がやたら響いてうるさいことは多いんですが、この音源はむしろ逆で、普通のこの手のバンドの音よりもちょっと低めで、それが妙に枯れた感触を演出しているんですよね。良く聴くとバスドラムの音色の抜けも独特で、リズムの音作りは割と特徴的。うっすらノイジーなギターとの相性も良く、ミニマルな展開の陶酔感を強めてると思うし、個人的にはこの音嫌いじゃないです。

メロディは少し控えめだし、この手に特有のミニマルさもあるし、この手が好きな方向けの音源ではありますが…5曲目のエピックなメロディ等、時折耳を引くセンスもあって悪くないと思います。ただ演奏時間短い割に、オープニングとエンディングにがっつり力を入れる構成はどうなんでしょう(笑)。


ABBATH - Abbath ★★★ (2016-02-09 23:44:20)

2016年発表の1st。

ブラックメタルを牽引して来たバンドの一つであるIMMORTALのAbbath氏の新プロジェクトで、来日公演やサイン会を行うなど、メジャーな活躍で話題になっているバンドのフルアルバム。名義はABBATHですが、元GORGOROTHのKing ov HellことKing氏も在籍。

IMMORTALの今の所最新作「All shall Fall」もそうでしたが、寒々しいトレモロリフや攻撃的なブラストビートなど、ブラックの美味しい部分を伝えつつ、メジャー志向でヘヴィメタルとしてクオリティの物凄く高いブラックを演ってますね。メジャー感ということでいえば、「All Shall Fall」よりも更に上がっているかもしれません。

…基本的にブラックメタルって、「リフとリズムの音楽」だと思うんですが、このバンドの音楽性も当然そのスタイルを踏襲しつつ、ダイナミズムや取っ付きやすさの点で一般的なロック(イントロ~ABメロ~コーラスの構成を持つような)に引けを取らないのが凄いんですよね。SATYRICONの「Now, Diabolical」なんかもその性質を持っていましたが、SATYRICONがブラックからやや逸脱していたのに対し、こちらはブラックのままそれを成し遂げているのが面白いです。

メロデスに接近し過ぎている訳でもないですし、こういう音楽性を持つバンドは意外といないですよね。単純にロック・メタルとしてクオリティが高くてかっこいいですし、その上でブラックに身を捧げてきた人間の矜持も垣間見えるような良質な作品です。


ABGOTT ★★ (2011-02-13 22:35:01)

イタリアにて結成、現在はイギリスに籍を置くブラックメタルバンド。
過去メンバーはCOFやANCIENT、BELPHEGOR等とつながりがある模様。


ABGOTT - Godfather in Black ★★ (2011-02-13 22:35:31)

2009年発表の4th。

このバンド、店の紹介ではファスト/メロディックで、クオリティの高い作風との事でしたが、実際に聴いてみると意外にも変態性強めのブラックですね。曲やアンサンブルから、英国産らしい気難しさやこだわりが現れてる感じ。

まず耳を引くのが、シアトリカルで奇矯なメロディを常に耳に注ぎ込むようなメロディアスなツインギターですが、それに合わせてリズムもファストに攻めたり、グルーヴィになったり、すっ転びそうな変拍子になったり、変化しつつキメを多用して展開するので、メロディの引っかかりが更に強くなってますね。焼けた鉄板の上で踊らされているような、足の置き場の無い落ち着けない感覚の強いアンサンブルでかなりのインパクト。

ヴォーカルも粘着質なのに滑舌は悪くない、地声交じりの奇妙な声でアンサンブルの性質とも良くフィットしてると思う。ただ、時々出てくる流麗なリードフレーズ、荒涼としたリフとブラストを合わせた展開、デスラッシュやメロデスよろしくメロく刻むパートなどには、ごく真っ当なメロブラとしての質の高さ、かっこよさがあるのが面白い。決してインパクトだけでは終わりません。

ちなみに、日本盤でもないのに何故かタイトルに日本語訳が付いてますが、これもバンドの不思議さ具合を更に加速させてますね(笑)。一体何者なのか…。


ABHOR - AB LUNA LUCENTI, AB NOCTUA PROTECT ★★★ (2012-07-27 20:40:38)

2011年発表の5th。

ある程度疾走パートも交えつつ、沈み込むようなアルペジオを取り入れた展開、ブラックらしいささくれ立った音のギターリフによる陰鬱なメロディのリフが、抑鬱的で閉塞感のある雰囲気を醸し出すブラックメタル。ムード的には鬱ブラックに近い湿り気がありますが、このバンドはキーボードを多用し、シンフォゴシック風味の味付けをすることで更に暗い空気感を演出しているのが特徴ですね。

ゴシック的な、耽美でアンティークな上品さを演出するピアノと、儀式に立ち会っているような、邪悪さも感じさせるオルガンの音色がメインに使われ、作りこそメロディアスなもののカルトで不気味な空気も強く感じさせる音。特にピアノを用いたパートは暗い情景が緩やかに流れていくような、非常に情緒のあるもので、COFよりも更に直接的にヴァンパイア的なものを想起させる音。同じホラー色強い音でもメタルのカタルシスの強いCOFと比べると、こちらの方がアトモスフェリックな感じですね。

流石に95年から活動しているベテランだけあって、一枚を通じて醸し出す空気感に全くブレが見られない作品。キーを多用したシンフォブラックでも、湿度の高い陰鬱なものを好む方にお勧めします。


ABIGAIL WILLIAMS - Becoming ★★ (2012-01-19 23:44:59)

2012年発表の3rd。

店のコメントで「シューゲイザー・ブラックからの影響も…」みたいな紹介がされてて、まさかとは思いましたがここまで変化してるとは…。ギターリフはメタルのグルーヴよりもノイジーさを活かした音響・情景描写重視になり、儚いメロディも取り入れ、ミニマルな展開も多い大作主義路線に舵を切ったことで本格的にそっちの系統に近い音に。ヴォーカルも絶叫にしろグロウルにしろ、壮絶な声を聴かせつつも、音に溶け込み易い歌い方になっている感じがします。

今作ではメンバーにチェリストが加わり、要所でチェロによる格調の高い、クラシカルなメロディが聴けるのも特徴ですね。また、宗教的ムードを醸し出すような儀式的なパートがあったり、トレモロリフは儚いものだけでなく、ブラック本来の邪悪さが根付いたメロディを含んだものを弾いていたり、今まで演ってきたシンフォニック・ブラックやメロディック・ブラックの要素が噛み砕かれて、所々で顔を出すのが非常に興味深いです。かなり精神世界系の世界観に傾いてますが、ポストブラックと言い切るには、まだ実体的な禍々しさを残した音だと思う。

ぶっちゃけ前作は酷評に近い論調で批判してしまったし、今作も物凄くツボに嵌る作品という訳ではないんですが、彼らはこの作品を以って非常に面白い存在になったのでは…と思います。アルバム毎に音楽性を変えつつ、それまでの音楽性の影響も根強く残っている…という。前作聴いたときは半ば見限りそうになりましたが、この作品で一気にこれからの動向が気になるバンドになりましたね…。


ABIGAIL WILLIAMS - In the Absence of Light (2010-09-15 23:06:00)

2010年発表の2nd。
はぁ…仕方ないですよね、前作からSorceron以外のメンバーが全員代わっちゃったら…。

ひたすらに一貫して派手でシンフォニックなブラックメタルを提供していた前作に比べると、今作は大分落ち着いた感じですね。まずキーがかなり引っ込み、ギターリフ中心の音作りになった事、トレモロリフ以外に刻みリフや泣きのリードフレーズも多用しだしたこと、ミディアム中心の展開になったことで、前作よりも「メタリック」になった印象があります。

人によっては、この落ち着き振りを「成長」と捉えられるのかもしれませんが…。
私も、変化の結果前作よりもスリリングな作品になっていれば、諸手を上げて褒めていたと思いますが…。このバンド、前作は派手さで気になりませんでしたが、「引き」のパートが上手くないんですよね…それ自体も、その使い方も。そのせいで、なんだか全体がダラダラしてしまっている感じ。ヘヴィで上質な音作りも「耳が疲れる」、展開重視の作風も、「いや、別にここでミッドテンポのパートとか入れなくて良いし」とか思ってしまう…。

2曲目の悪魔の大群が勝鬨を挙げるような邪悪なトレモロや、6曲目のブラック好きを熱くさせる疾走なんかを聴くと、センスが無いわけではないと思うんですが…。なんか、成長を通り越して、金太郎飴的に作品を作り続けるベテランバンドの一番地味なアルバムみたいな、妙な煮え切らなさがある作品。1stが派手だっただけに余計そう感じる。

「このCDを買え」なのに、批判意見ばっかりでごめんなさい。でも我慢できませんでした。サンクスリストにANSURを2回書いてる位だし、Sorceronも相当テンパってたんでしょう(苦笑)。次作では、1st以上に聞き手に衝撃を与えるような、強烈なテコ入れが必要かも…。


ABIGAIL WILLIAMS - In the Shadow of a Thousand Suns ★★★ (2008-11-19 23:29:00)

2008年発表の1st。

ex-EMPERORのTrymが5曲でドラムを担当、Metal Hammer誌に
インタビューが掲載、某所のタワレコでプッシュされるなど
各地でも結構話題になってる作品ですが…。
これ、ほんと凄いですね。話題になるのも良く分かるわ…。

タイプとしてはDIMMU BORGIRやSOTHIS同様の大仰な
シンフォニック・ブラックで、どっちかと言えばギターの
メロディックさはSOTHISに近い音像かな…と思うんですが、
これらのバンドと比べても最も音が派出だと思います。
展開の9割以上を派手なパートが占めているような作風で、
テンポ落として「引き」のパートっぽく聴こえても、キーが
メロウなフレーズを弾いてたりギターソロによる泣きメロが
入ってたりで、どの部分にも何かしら派出な要素が入ってる感じ。

サビ的な部分を引き立たせるために、敢えて繋ぎ的な地味な
パートを設けるようなまどろっこしいことをせず、ひたすら
聴かせどころを連発していく展開は、大仰なものを求めて
買ったのに、凄すぎて思わず失笑が漏れそうになってしまうほど(笑)。

ヴォーカルののどち○こが引きちぎれそうな絶叫も「派出」だし、
硬質でクリアでメタリック、かつキーの音量が大きめな音質も
曲の派手さを際立てているし、世界観の演出は一貫していて
ブレがありません。
ちなみにインタビューの載ったMetal Hammer誌の表紙は
CRADLE OF FILTHでしたが、リスナーに与えるインパクトの
大きさではCOFの新譜よりも全然上だと思います。

…これはシンフォニック・ブラックの代表盤の一枚がまた
産まれたと言っても良いのではないでしょうか。
特にクサメタラーが大仰な荘厳さを求めてこっちに入ろうとする場合、
COFとかDIMMUとかの基本をすっ飛ばしてこれ聴いた方がいいとすら思う。
ちなみに私はタワレコの試聴で良かったからレジに持っていったんですが、
日本盤も出てない、しかもフルとしては初のこの作品に目を付けた
店員はほんと慧眼だと思います。


ABIGOR - Time Is the Sulphur in the Veins of the Saint... ★★★ (2010-02-21 08:32:00)

2010年発表の8th。

前作「Fractal Possession」は、普遍的なメロブラからかなり距離を置いた作風で、賛否両論あった作品でしたが…個人的にはあの作品の作風を踏まえた上で、2曲38分の大作アルバムを彼らが作ると聴いたとき、物凄く期待してしまったんですよね…。

結果、その期待を裏切らない、素晴らしいアルバムが出来上がったのではないかと思います。スタイル自体は、打ち込みやノイズ/ドローンを使用したインダストリアル・ブラックと言える路線ですが…なによりも「インダストリアル」していると思うのは、ブラックの要素を残しつつ、定型から大きく外れた、メカニカルなギターフレーズや人が演っているようには思えないドラミングを中心としたバンドのアンサンブル。…機械的であるのに、濃密なサタニズムが背後に感じられる所に、凄みが漂ってる気がします。

例えば、THORNSの「Thorns」やDEATHSPELL OMEGAの「Kenose」「Chaining the Katechon」などの「前衛的で、しかも邪悪」かつ、それを説得力を持って聴かせられる力のある作品って、聴いていると、何か人知の及ばない神秘の深淵に触れているような感覚を味わえるんですよね。この作品も、前作の前衛的な作風を踏まえた上で、更に邪悪さが濃密になったこと、大作を聴き手の集中力を常に惹きつけた状態で聴かせられる作曲能力が備わった事で、上記の作品に通じる、深淵さに触れる感覚を味あわせる力を持ったものに仕上がったのではと思います。

38分を作品と向き合って聴くとかなり疲れますが、凄く満足感があるし、単純にギターの奇怪なフレーズを聞き流してるだけでも楽しい。DEATHSPELL OMEGAが好きな方、インダストリアル/アヴァンギャルドブラックが行けるならば必聴のアルバムですよ。過去のメロブラの名盤の事は一旦忘れて、是非試しに聴いてみてください。素晴らしいです。


ABORIORTH - THE AUSTERE PERPETUITY OF NOTHINGNESS ★★ (2012-05-26 20:25:31)

2011年発表の2nd。

結構ブラックを聴きこんでる人でも、このノイジーで音圧の高い音作りには圧倒されそうですよね。ギターのノイズがまるで土砂が山の斜面を滑り落ちるかのようで、寒々しいリフも用いた作風ながら凍死するまえに圧死しそう。吹雪通り越して雪崩系のメロブラ。ギターノイズが視界を埋め尽くす中、しっかり音像の真ん中で主張するドラム、「グアアアア!!」系の怒声を木霊させるヴォーカルと、圧迫感すら感じるリフの音色を活用した音作りが出来ているのが素晴らしいですね。

また、曲の方は寒々しいだけでなく、どこか儚さや美しさを感じさせるトレモロ疾走を軸に、緩急つけて展開していく感じですが…ただでさえ高い音圧と鬼気迫るヴォーカルによって体力も気力も削られていくような音なのに、こういうメロディで追い討ちされると涅槃が見えてきそうです(笑)。冒涜性や邪悪さといった雰囲気はあまり感じられませんが、切羽詰った感情が伝わってくるような、非常にエモーショナルな作品。

ただ、メロディのセンス自体は優れているものの、それを殊更に強調しない作風で、しかもプロダクションに割と癖が強いので、メロディ派には少し辛いものがあるかも。ノイジーな轟音を心地良く感じられる方にはかなりお勧めです。


ABORYM ★★ (2004-10-24 21:38:00)

イタリアのエイリアン・エクストリーム・ブラック・インダストリアル・メタル・バンド(キャッチコピー長っ…)。
2 ndからあのMAYHEMの「DE MTSTERIIS DOM SATHANAS」に呪詛を吹き込んだ恐怖のハンガリー人ヴォーカリストAttilaが正式メンバーとして入ってます。見た目はちょっとアレかもしれない(失礼かも・笑)けど、インダストリアルを取り入れた独特の音楽性は進歩的なブラックが聴いてみたい人にとてもお勧めです!!


ABORYM ★★ (2006-04-15 20:44:00)

みたいですね。
新譜まだ未聴ですが、ゲスト参加のみに留まってるみたいです。
KEEP OF KALESSINも脱退してしまったし、おそらくそうだと思います。
MAYHEMの新譜はいつになるんだろう…?
MAYHEMって寡作なイメージがあるんですけど、早く新編成での音源が聴きたいですね。


ABORYM ★★ (2006-04-16 11:16:00)

>カズチンさん
MAYHEMの作品のペースが遅いのは、Maniacの自殺未遂事件やバンドがほとんど
機能していなかった時期が続いたからだと聞きました(本当かは分かりませんが)。
だから今度はそんなに遅くならないことを期待してますが…
でも本当に2008年とかだったらもう待っていられないんですが(苦笑)
新譜はプログレッシブな展開も評判になってるみたいですね。
Faustのドラムや新Voも気になるし、欲しいですが…なかなか手が出ない。


ABORYM ★★ (2006-11-07 20:22:00)

新譜手に入れましたが、めっちゃ良いです!!
今まで躊躇ってたのが馬鹿馬鹿しく思えるくらい…。
レビューでも書いたけど、発売された時に買っておけば良かった。


ABORYM ★★ (2006-11-08 04:47:00)

mokusatuさんも聴かれましたか…。
KOKやIHSAHNの新作といい、今年のブラック戦線のクオリティは異常ですね。
私は最近ブラックの新譜が色々と発売されて、買い漁っていたので財布の中身が
マズイ状況なのに、何故だか天啓の様に「GENERATOR」が買いたくなったんですよね(笑)
そしたらあのレベルの高さ。霊感でもあるんじゃないかと思いました(冗談です・笑)
それとレビュー褒めていただきありがとうございます。
ほんと励みになります!!


ABORYM - Fire Walk With Us ★★ (2004-10-24 21:29:00)

イタリアのインダストリアル・ブラックメタルバンドの2001年発表の2nd。

前作ではAttilaはゲストとしての参加だったらしいですが、今回からは正式メンバーとして加入したみたいです。

音的にはMAYHEMの問題作「GRAND DECRALATION OF WAR」以上に実験的な音ですが、インダストリアル的な音で打ち込みを多用しながらも邪悪さが感じられる所がこのアルバムの良い所ですね。最も耳を惹かれた点はギターシンセを使っている所で、その妖しげな音色が荘厳なのか不気味なのか分からない独特のメロディと相まって、暗黒の世界を構築しています。正直に告白すると、自分はAttilaのネームヴァリューで買ってしまったんですが、もしAttilaがいなかったとしても興味深い音楽であることには変わらないです。

肝心のAttilaのヴォーカルですが、MAYHEM1stと比べると遥かに上手くなってます。ドスの効き具合が強くなり安定感が増しただけでなく、MAYHEM1stではやや線の細かった感のある(←でもそこが逆に不気味と言えなくもない・笑)高音の喚きの凄みも増してきて、ヴォーカリストとして更にスキルを上げたように思いました。個人的にはManiacと並んで最も好きなヴォーカリストの内の一人です。

余談ですが、このバンド、メイクやキャッチコピーがとてもB級っぽい(笑)。舌割れてる人がいるし実はこの星の生命体じゃないとか言ってるし…小倉優子がコリン星から来たなら、このバンドはボリム星から来た、といった所でしょうか(笑)。特にTHANKS TO OURSELF ONLYはちょっと笑ってしまった。それにしてもAttilaまであんなメイクになって…ヒールのプロレスラーみたいです(笑)


ABORYM - Fire Walk With Us - Det som en gang var ★★ (2004-10-24 21:37:07)

BURZUMのカヴァー。
シンセのイントロは省略されている為、原曲よりやや短くなっています。このバンドらしくインダストリアル的なアレンジでちょっとリミックス的な印象を受けましたが、これはこれで良い感じです。クレジットによるとこれを歌っているのはAttilaではないようですが、一部でAttilaっぽい声が聞こえてくるのは何故でしょう?


ABORYM - Fire Walk With Us - Fire Walk With Us! ★★ (2004-10-24 21:30:50)

Attilaの呪詛ヴォーカルと機械を通したような声の掛け合いが面白いタイトルトラック。
後半のまるで暗黒の世界に流れる聖歌のようなメロディのギターシンセとAttilaの妙に音程感があるのが却って不気味なヴォーカルが組み合わさって出来る世界観は暗黒音楽好きには堪らないものがありますね。


ABORYM - Fire Walk With Us - Love the Death as the Life ★★★ (2004-10-24 21:34:46)

一曲目のアウトロのSEから続けてそのまま入っていきます。
打ち込みで疾走感があるのは一曲目と共通ですが、教会音楽を超邪悪にしたようなイメージのイントロの荘厳ギターシンセや、妖しげなギターソロにも注目。


ABORYM - Fire Walk With Us - Our Sentence ★★★ (2004-10-24 21:32:15)

一曲目からAttilaの歌唱力がMAYHEMの1st録音時とは比較にならない程上がっているのが分かります。悪魔を通り越して魔王の域に達していると思わせる哄笑や、声が安定した事で深みの出た高音喚きがかっこいい。


ABORYM - Fire Walk With Us - Sol Sigillum (2004-10-24 21:35:55)

BURZUMの6thに入っていそうな感じの、幻想的なインスト。本編を締めると同時に、BURZUMカヴァーである次曲への繋ぎとしての役割も果たしている曲だと思います。


ABORYM - Fire Walk With Us - Theta Paranoia (2004-10-24 21:38:11)

これがブックレットの説明で「聴き手を鬱や瞑想状態etc…に引き込む」みたいに書かれていたθ派なんでしょうか。普通のノイズにしか聴こえませんが(笑)これは評価不能かも。


ABORYM - Fire Walk With Us - Total Black (2004-10-24 21:33:17)

タイトルトラックにも劣らない暗黒のメロディ…ですが、肝心のAttilaのヴォーカルがあまり前に出てこない為、少し物足りない感があります。でもやっぱりこの雰囲気はいいなぁ…


ABORYM - Generator ★★★ (2006-11-07 20:12:00)

2006年作の4th。

Attila脱退、Faust加入というブラックメタルの伝説的メンバーの人事も含んだ編成の変更があっただけあって、音楽の中身もかなり変わってますね。まずインダストリアル風味は大幅に減り、ほんの味付け程度に。代わりにテンポがよく変わる複雑な展開とオーケストラ風のシンセや時折入るラテン語の荘厳なコーラスなどが前に出た、シンフォニックさが以前よりも強調されたアルバムになっていると思います。音質もドラムの音がデカく迫力がある上に音量も丁度良い大きさで、曲もメンバーの写真がまともになったことからも想像される通り、B級っぽさは全く無く第一級のシンフォ系のバンドと比較しても全く引けを取らないクオリティの高さです。

メジャーなシンフォ系のバンドと比較すると暗黒度は高めなのも嬉しいですね。機械文明の支配する未来、遂にヨハネの預言が成就し審判の日がきたかのような雰囲気です。肝心のFaustのドラムですが、確か彼って結構最近まで刑務所にいたんですよね?明らかにEMPERORの時より凄くなってるんですが…ノルウェーの刑務所はドラムが持ち込めて練習出来たとしか思えません(笑)。いや、ほんとに電子ドラムぐらいは持ち込めるのでは…。これだけテンポがころころと変わる作風なのに、まるでドラムという楽器を媒介にして歌っているような叩き方。正直ドラムだけに集中して聴いていても飽きないくらいです。かと思えば、「Man Bite God」などでは物凄い重量感のブラストも…いや、ドラムを叩く楽しさを満喫してますね、Faustさん(笑)。ギターリフも今までより印象に残るメロディが多く前述の様にキーも前に出てるので、そのアンサンブルを味わう楽しみも増しています。

ヴォーカルはMYSTICUMの人に代わってますが、前作のAttilaのゲロゲロした高音のがなりとそれほど変わる歌い方ではないので、違和感無く曲にあってます。っていうかドラム、キー、ギター等に比べるとあまり前に出てきませんが…。メカ度が減ったので、個性という面では減退したかもしれないし、複雑なテンポチェンジはもしかしたら取っ付き辛いのかもしれません。でもこれだけ高品質ならばこの変化は大歓迎。ほんとに、これ程凄い作品ならもっと早く買っておけば良かったです。


ABORYM - Generator - A Dog-Eat-Dog World ★★★ (2006-11-09 16:51:09)

しかしこれだけレベル高いとどんな楽しみ方も許されますね。
もちろん全体の雰囲気で聴くもよし、Faustのミディアムでもしっかり聴かせるドラミングを味わうもよし、リフやキーの紡ぐ暗黒世界に浸るもよし。もうお気に召すままどうぞ。個人的にはVoはもっと大きいミックスが良かったけど、それだとこのバランスの良さはなくなってしまうかな?


ABORYM - Generator - Between the Devil and the Deep Blue Sea ★★★ (2006-11-08 07:21:55)

トランスっぽいパートを挟んだり、サンプリングを導入したり、このアルバムでのメカニックな部分を担っている曲。とは言っても、やはり主眼はバンドサウンドに置かれているみたいですが。
トランスパートの直後のFaustのドラムが好き。機械的なのに人間的って言う矛盾を矛盾にせずこなしている感じ。


ABORYM - Generator - Disgust and Rage (Sic transit gloria mundi) ★★★ (2006-11-08 07:18:09)

サブタイトルは「かくして世界の栄光は横切る」でいいのかな?
…曲全体でなく、一部のパートだけ聴く聞き方は時に邪道だとされたりしますけど、この曲の後半のミディアムパートのドラムはそうせざるを得なくなる程素晴らしい。ここまで印象に残るフレーズを叩けるのは凄いですね…ほんと叩いてて楽しそう。もちろん全体で見ても十分凄い曲なんですが。


ABORYM - Generator - Generator ★★★ (2006-11-08 07:08:31)

ブラスの音色も入り、アルバムの中でもシンフォ度の高い曲。
しかしこれ程までに邪悪さ、クオリティ、シンフォ度の全てを共存させた曲ってないんじゃないでしょうか。EMPERORの1stの収録曲に勝るとも劣らない、邪悪シンフォニックブラックのお手本になりそうな曲。っていうかEMPERORが1st路線のまま深化していったらこういう曲を作りそうです。


ABORYM - Generator - I Reject! ★★ (2006-11-07 20:20:31)

前曲のブラストで廃墟になった未来都市に放射能の雨が降り注いでいるような雰囲気の曲。僅かに生き残った人々も、悪魔の声に精神を冒され、シンセの光に身を焼かれて死んでいく…みたいな。
それにしても、「私は拒絶する!」って(漫画の)BLEACHか何かのキメ台詞であったような(笑)


ABORYM - Generator - Man Bites God ★★★ (2006-11-07 20:17:16)

2分くらいのメカニカルなイントロから一転、物凄い圧搾ブラストが!!
心なしかこの曲だけドラムの音が大きいような…物凄い迫力。このスピード、この重さで更に体感速度をアップさせるオカズも入れてきて圧倒的。完全にFaustが世界を牛耳ってますね…。Attilaがゲスト参加で、呪詛ヴォーカル多めなのが嬉しいですが、Faustのドラムのインパクトのせいでちょっと霞んでる気も。


ABORYM - Generator - Ruinrama Kolossal S.P.Q.R. (Satanic Pollution - Qliphotic Rage) ★★★ (2006-11-08 07:13:11)

まず入りのラテン語コーラスのもたらす宗教的恍惚にやられます。
でもこれだけ展開を設けているというのに、その恍惚感は霧散することなく一曲中ずっと続いているというのは、ひとえに彼らの曲作りのセンスの良さでしょうね。ギターソロと共にブラストで加速するパートもかっこいいです。


ABORYM - Generator - Suffer Catalyst ★★★ (2006-11-09 16:55:36)

確かに、ABORYMは新しいシンフォニックブラックの形を作り上げてしまったとすら言えるかも…。確かに展開は複雑なんですが、どのパートを聴いても求心力があるので、聴き手がブラック初心者だとしても世界観の中に引き込んでしまう魅力すらあると思います。
という訳で初心者にも是非聴いて欲しい。一度地獄を味わってみるのもいいかも。戻れなくなったり、戻りたくなくなっても当方責任は一切取りませんが(笑)


ABORYM - Live in Groningen ★★ (2014-10-02 22:30:14)

2013年発表のライブ盤。
何故か2004年(Attila在籍時)の音源を今頃になって発表。
如何にも指紋が付きやすそうなメタリックなデジパックが目印(笑)。

これ程の知名度を誇るバンドとしては、正直プロダクションは微妙ですね。音がやや小さい上に、ギターの音作りがグシャッとしている感じ。ただ、クリアな音作りよりも楽曲の持つカオティックな雰囲気を浮き彫りにしていると思うので、却ってこうした音質の方が良かったのかも。ライブでもドラムが生になったりはせず、同期を流して演奏している模様。

しかし、こうして聴くとやっぱりこのバンド、楽曲が良いですよね。サイバーな要素を取り入れてるだけでなく、しっかりブラックメタルらしい不穏さが息づいているというか。時折入るトレモロのメロディがいちいちダークで素晴らしい。また、Attila Csiharのパフォーマンスも耳を惹きますね。いつものドスの効いた呪詛声はライブで更に悪魔的な響きを増してますし、彼独特の喉を鳴らすような喚き声も実にかっこいい。

私の好みからすれば、音質はWATAINやEMPERORが近年発表したライブ盤くらいがベストだったんですが、流石にそこまで望むのは贅沢でしょうか。マスターの音源が2004年ですし。とは言っても、当時の彼らの作品が持っていた不穏な空気感を、よりダイレクトに浴びれる作品なので、ABORYMが好きであれば購入する価値は大有りですよ。


ABORYM - With No Human Intervention ★★ (2006-04-21 00:25:00)

確か発売は2003年だったかな?

路線としては前作同様、サイバーながらまるで恐怖の大王が降りて来る直前の、真っ黒な雲に包まれた空を思わせるアトモスフェリックなキーボードが雰囲気を出しているブラックなんですが、前作よりも曲展開とブルータリティがアップしてますね。特に「Digital Goat Masque」の中盤、いきなりクラシカルなフレーズが登場する破天荒な展開にはやられました。相変わらずやることが違いますね…(笑)

ただ、演奏が複雑になった分訳の分からない邪悪さは少し下がってしまった気も。Attilaのヴォーカルも、呪詛系の歌い方はあるにはあるんですが、前作よりも頻度が下がりその代わりにピッチを上方向に修正するエフェクトを掛けたような喚き声がメインになってしまったのは少し残念。この後に出たKOKの「RECLAIM」では、更に声に深みが出てきただけに…

まぁ、なんだかんだいっても音が面白いし、お勧め盤である事は間違いないです。


ABORYM - With No Human Intervention - Digital Goat Masque ★★★ (2006-04-07 01:30:17)

これはかなりびっくりしました(笑)
このバンド特有の疾走サイバーブラックだと思っていると、いきなりクラシカルでメロディアスな曲調に変貌!!そこに機械音も絡んでなんとも言えない雰囲気に…この唐突さがたまりません。


ABORYM - With No Human Intervention - The Triumph ★★★ (2006-04-07 01:36:45)

これが一部で話題を呼んだ女性の喘ぎ声が挿入された曲。
何気に約10分の大作だったり。でも正直言うと、喘ぎ声はわざとらしいし大袈裟だしぶっちゃけウザいかも…。曲の方はもちろんかっこいいですけど。特にギターソロ前のAttilaの苦痛ヴォーカル…Attilaはこの曲のレコーディング中に悪魔の子供を出産したんじゃないでしょうか(笑)


ABORYM - With No Human Intervention - U.V. Impaler ★★ (2006-04-07 01:27:43)

この曲のAttilaの呪詛系普通声、やっぱり最高です。
何語かも分からないんですけど…。しかしAttilaのこういう声、もっと聴きたかったかも。「Black fashion cult in the U.V. light」…Attilaの書く歌詞は意味が分からない(笑)


ABORYM - With No Human Intervention - With No Human Intervention ★★★ (2006-04-07 01:33:17)

よくブラックメタルではブラストビートから豪速スラッシュビートに繋げる導入部を持った曲がありますが、それをABORYMがやるとこうなるんですね…。マシンブラストから超高速トランスに。その部分のリフはアルバム内でも聴き所にあたるかっこよさですし、これが実質的な一曲目っていうのはかなり引き込まれます。


ABRUPTUM ★★ (2009-01-09 18:27:00)

確かLords of Choasにも載っていたし、結構有名なバンドみたいですけど、
今まで登録されていなかった所をみるとやっぱり音楽性のせいでしょうね(笑)。
「Evil Genius」は暗黒音楽としては結構まともだったけど、後期はかなり
マニアックらしいですね…私も流石にまだ手を付けてないです。
確か今はITが抜けて、MARDUKのMorganのソロプロジェクトになってるはずですが…
マニアックな志向性の持ち主はMorganの方でしょうか。


ABRUPTUM - Evil Genius ★★ (2009-01-06 19:02:00)

95年発表の音源集。90年のデモ2本と91年のEPを収録したもの。2007年にボーナストラックを1曲追加し、Southern Lordより再発。

このバンドは数あるエクストリームメタルの中でも、最もマニアック(=普通のリスナーは付いていけない)な音楽性を持っていると専らの評判で、SILENCERやSTALLAGGH同様にネット上のレビューを検索して読んでるだけでも結構楽しめてしまったりする位なんですが…この時点ではまだまともに邪悪さや暗黒を表現している感じですね。

ドゥーム/ドローンに通じる引き摺り系ギターリフによってどす黒い音像を演出しつつ洞窟の中から響く獣の声ようなデスヴォイスによってそれを引き立てていく作風で、確かにSouthern Lordが着目したのも大いに頷ける音楽性。展開も一応付けてますが、その付け方がオルガンをギャーっと鳴り響かせたり、突然偏執的にドラムを乱打したりなどいちいち精神に来るようなものが多く、やっぱりカルトな音楽性であることには間違いありません。

葬式ドゥームのような物悲しいメロディもなく、ひたすらに病み切り、どす黒く澱んだ空気感で勝負している感じ。ただ、邪悪さや病的な雰囲気を求めるリスナーまで拒絶するようなマニアックさではなく、しっかり黒さの伝わりやすい音になってはいるので、そういうものを求める人なら聴いておいて損はないかも。

このバンドの創始者のIT氏は、人間の名前をもてないほど邪悪な存在だから「IT」を名乗ってるらしいですが…いかにもそういう感性の持ち主が作った感じの音。でも90年の時点でこういう作風って、IT氏もかなりの才能の持ち主では…彼はDISSECTIONのJonに脅迫されて音楽シーンを去ったという噂もあるみたいですが、今だったらWORSHIPやSUNN O)))辺りのドゥーム/ドローンのブームに乗って高く評価されてもおかしくないんじゃないかと思います。


ABSCESS - Dawn of Inhumanity ★★★ (2011-04-09 16:25:34)

2010年発表の6th。

ブラストによる爆走だけでなく、オールドスクールでスラッシー(というよりパンキッシュ)な疾走と、ドロドロと引きずる、ドゥーミーなパートも大事にしたスタイルのデスメタル。流石にスローパートの使い方は非常に上手いですよね。
粘液のように纏わり付く邪悪さが、そのパートだけでなく、速いパートにまで波及して更なるグロテスクな情景になっている感じ。スローパートにリードギターが入った時なんか、暗闇に蝋燭の明かりが灯って幽かに物の怪の姿が見えるかのようで、更に不気味。

ヴォーカルは、やや地声交じりのスタイルで、普通だったら「もっと歪んでいる方が好み」と言いたい所ですが、このバンドの音楽性には合ってると思う。普通のグロウルやスクリームよりも数段ヒステリックで、それが血腥い世界観にピッタリ。
また、近年のDARKTHRONEを思わせる、ハードコアっぽい雰囲気も微妙に感じられますが…これも飲んだくれているダーティさではなく、墓場で演奏しているような怖さに繋がっているのが面白いです。

スローパート多めというと身構える人も多そうですが、このバンドは無駄にスローパートを入れず、確固とした魅力を分かりやすく出せているので、そんなに取っ付きづらくはないかと。まあ、欲を言えば音量はもう一目盛り上だと良かったですね。ソリッドになりすぎず、しっかり気味悪さを残した音作り自体はかなり良いんですが。


ABSENTIA - OUR BLEEDING SUN ★★★ (2012-08-23 21:05:57)

2011年発表の2nd。
スペイン産のシンフォニック・ブラックとの事ですが…これは聴きやすくていいですね。シンフォブラックの中でというより、エクストリームメタルでもかなり聴きやすい音だと思う。

メロデスにも通じる刻みリフを多用し、ブルータル過ぎないミディアム中心のバンドサウンドに、ピアノやブラス、混声合唱を交えた壮麗なオーケストレーションによる耽美でゴシック的なロマンティックな美メロを乗せたシンフォニック・ブラックで、「Midian」期のCRADLEを大人しめかつメロディ重視にしたような、もしくはANOREXIA NERVOSAから暴虐性を引いて超聴きやすくしたような路線。

ヘヴィになりすぎない、しかしクリアである程度攻撃性もしっかり残した音作りとも相俟って、語弊を恐れずに言えば、リラックスしてメロディの良さに身を委ねながら、聴き入れるような作品。と言ってももちろんナマクラな音ではなく、ブラックメタルらしい寒々しいトレモロと高貴な邪悪さを感じさせるキーの絡みがあったり、空間的なキーが神秘性を演出するような部分もあり、全編を通してピリッとした緊張感が漂っているのが良いですね。

シンフォゴシック的な美しさ、メロデス的なメタリックなかっこよさがありつつ、シンフォニックブラックの華美さも備えた良い作品だと思います。メロディをしっかり聴かせてくれる良質なアルバムなので、ジャンル初心者にも割と取っ付きやすいかもしれません。


ABSENTIA LUNAE ★★ (2009-02-15 10:09:00)

イタリアン・ブラック期待の新星。…と言っても結成自体は02年らしいですが。
今年新しいアルバムを出すみたいですよ。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria ★★ (2009-02-15 10:04:00)

2006年発表の1st。

…ブラック特有の「催眠的な感覚」を演出するのに、無機質なインダストリアルビートを導入したり、ミニマルなリズムを取り入れたり、敢えてリズムをロック乗りにしたりなど、リズム面で色々な工夫をするバンドがいますが、このバンドはそれを「細かくテクニカルなドラミング」で演っているのが特徴ですね。

ブラック的な重々しい頽廃が垂れ込める音像にテクニカルなドラミングが絡む作風はSJODOGGとも通じる物がありますが、こっちの方がプログレッシブな感じだと思う。このドラミングによって、催眠的な感覚が醸し出されているだけでなく、身の置き場の無いような不安感も演出できているように思います。

この独特のリズムが、光を吸収する暗黒を思わせる深い黒さのある音像、荒廃した風景の(ある意味での)美しさを描くような頽廃的なメロディと上手く調和し、個性ある、底の知れないダークさになっている感じ。セピアやモノクロを利用したアートワーク、曲タイトルのラテン語の使用やラテン語風の表記など、音以外の面でもそうした雰囲気の追求がなされてますね。ヴォーカルが少し演説入った感じのがなりで、個人的にはこういう音楽性ならもっと不気味で狂気的な方が良かった…とは思いますが、1stにして明確なヴィジョンが見えていて、かつそれを表現する手段が確立されてるような完成度だと思う。

ブラックの新興勢力の中でもかなりお勧めのバンドです。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Died Story Manifesto ★★★ (2009-02-15 10:07:01)

ブラックの中でも深遠なダークさを描いている音だと思うんですが、どこか洒落っ気や優美さみたいなものも感じられたりするんですよね…それが底が知れないようなムードに繋がっている感じ。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Memneso On ★★★ (2009-02-15 10:08:42)

男性の語りとアルペジオ、鐘の音のSEなどに例の細かいドラミングが絡むエンディング曲で、これ単品では普通なんですが、アルバムの締めとしては完璧だと思う。通して聴いた後にこれを聴くと、アルバムが終わると同時に、一つの世界観が終焉を迎えるような感覚を覚えます。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Mid Svmmer Spiritval Holocavst ★★★ (2009-02-15 10:06:06)

音の小さいオープニングから轟音に繋げる展開は、FUNERAL MISTの1stを思わせますが…この作品は1曲目にイントロを設けたり手が込んでて、騙されて音を上げてしまったので…以下略(笑)。この深い音塊だけでもかなりのインパクトですが、メロディセンスもまた素晴らしい。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Modern Cathedral ★★★ (2009-02-15 10:07:50)

リフの音色に変化があっていいですね。個人的に「音色」ってメタルでは演奏力やフレーズ以上に大切だと思うし、そこに拘ってくれているのは嬉しい。その音色自体も幽玄な雰囲気で好きです。


ABSOLUTE OF MALIGNITY - ABSOLUTE OF MALIGNITY ★★★ (2008-06-11 18:46:00)

2008年発表の1st。
バンド名もアルバム名も表記がありませんが、セルフタイトルらしいです。

このバンドもARKHA SVAやASHDAUTAS~などと同様、「正体不明の国産ブラック」として話題になってますが、最近の日本のブラックは正体を隠すのがトレンドなんでしょうか。ブラックって結構イメージ重視な所もあるし、こうした方が箔が付くのかな…?

路線的には、ストレートにブラックメタル特有の寒々しさを体現するリフが素晴らしい、プリミティブスタイル…と表現できそうなんですが、音やヴォーカルから伝わってくる「悪意」はそこらのバンドの比ではありません。その悪意からくる凄みが伝わってくる感覚は、最近のGORGOROTHに近いものがあるように思います。特に憎しみの塊を吐き出すようなヴォーカルはGaahlの凶悪さに通じる物がありますね。1stにしてベテランと同様の貫禄が感じられ、しかも衝動性もしっかりと感じられるのだから凄い。これは支持を受けるのもよく分かります。

寒々しいリフ捌きといい、ザラザラした音質といい、禍々しい風格すら漂うヴォーカルといい、アルバムを構成する要素の全てがブラック好きの耳に心地良く響く作品。ある意味私的にはかけていると癒される音です(笑)。こうしたバランスの取れていながら凄みもしっかり伝える音作りは、硬派を気取る余りブラック好きにすら聴きづらい音にしてしまうよりもずっと素晴らしいと思う。ブラックの禍々しい雰囲気が好きならば買って損なしの作品。

最近の国産ブラックの質の高さを象徴してますね。


ABSONUS NOCTIS ★★ (2012-02-11 20:54:16)

アメリカ産ブラック。
1stがかなり素晴らしかったんですが、今は活動してるんでしょうか…


ABSONUS NOCTIS - Penumbral Inorgantia ★★★ (2012-02-11 20:55:20)

2005年発表の1st。

特価品コーナーからサルベージしてきたんですが、なんじゃこりゃ!?
プリミティブ系の中でも頭一つ抜けて素晴らしい作品なんですけど…。この系統のバンドに求められるのって、演出力を含む曲作りのセンスと音作りの上手さだと思いますが、このバンドはどちらも素晴らしい。

まず曲の方ですが、プリミティブブラックの様式を踏襲しつつも、トレモロリフにMAYHEMの1stのメロい部分(「Buried by Time and Dust」「De Mysteriis Dom Sathanas」辺り)に通じる、気温ではなく聴き手の体温を直接下げるような邪悪さが宿ってるんですよね。3曲目のアルペジオとSEが交じるインストでは、核戦争で残された廃墟に黒い雨が降り注いでいるような、破滅的な光景が相当な臨場感を持って浮かんでくる。相当なマニアが聴いても、他のバンドと十把一絡げに出来ない音だと思う。

そしてその曲を、音作りの上手さが更に助長してる。基本RAWなバンドサウンドで聴かせるスタイルなんですが、所々キーボードを重ねてあるのか、ドローンめいた圧迫感もあって、音そのものが悪意を持って迫るかのような迫力、聴き手を引き込むような求心力がある音なんですよね。そこに前述した、邪悪なトレモロが迸ると、LUNAR AURORAの「Andacht」アルバムを想起させるような、魔性なムードが濃厚に立ち込めてきます。リバーブの掛かった、大絶叫を多用するヴォーカルもカルトな雰囲気を更に濃くしてる。

ただ惜しいのは、3曲目がインスト、ラストの大作曲がドゥームめいた曲のため、純粋なブラックメタルのパートはちょっと短いんですよね。個人的にはそれを差し引いても、このジャンルにおける名盤だと思いますが。検索してもあまり情報が出てこないし、レビューもそんなに見かけないんですが、マイナーなバンドなんでしょうか。ほんと良い作品なので、見かけたら即ゲット推奨です。


ABSU ★★ (2009-02-08 22:36:00)

もうすぐ新譜出るみたいですね。
プレスにも露出してますが、Metal Maniac誌ではなんと表紙を飾ってます!!
おめでとう…彼らが表紙になるような雑誌が普通に読める英語圏の人が羨ましい…。