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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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GOREFEST - La Muerte ★★ (2016-04-22 00:09:40)

2005年発表の6th。
2015年にMetal Mindからゴールドディスク仕様で再発されてます。

バンド名がKOFの某キャラの技名に引用されたこともあって、デス系のバンドとしては格ゲーマーの中での知名度は高そうな気がしますが、私はこのアルバムが初聴。…昨今、レコーディング技術の発達もあってか、一見草食系に見える人がヘヴィな音を出してるのも珍しくないですが…この作品は聴いただけで「イカツイ男達がやってるんだろうな」と分かってしまうような、どこかタフな雰囲気のあるデスメタル。

メロディアスさを抑えたリフは骨太な音色で奏でられ、ヴォーカルも地声の太さを活かしたガナリで、非常に無骨な印象を与えますね。リフにしろリードギターにしろ時々メロディアスな部分はあるんですが、決してやりすぎることはなく、あくまで野蛮で無骨なムードは保たれている感じ。そのムードを引きずりつつ、約10分間の地獄を体現するようなラストのインスト曲も印象的。

ただ単にヘヴィなだけではなく、タフさや無骨さ、そして血腥さを感じさせる辺り、流石古参のデスメタルバンドという印象。昨今の整って派手なメロデスなどもそれはそれで好きですが、やはりこういう音も良いものですね。


WILL'O'WISP - Inusto ★★★ (2016-04-22 00:09:01)

2015年発表の4th。

イタリア産のプログレデス、SADIST人脈ということで覚悟完了してた筈ですが…予想以上にぶっ壊れな音楽性で素晴らしいです(笑)。ベースはテクニカルな側面も見せるデスメタルですが、トライバルなパーカッションを惜しげもなくぶっ込んできたり、電子音の使用も躊躇わなかったり、時々デスメタルを聴いていることを忘れそうになるくらい逸脱度高めな音。

どの曲も怪奇なアレンジが施されているのは共通ですが、そのアプローチが楽曲ごとに異なるのが聴いていて楽しいんですよね。ごくナチュラルにパーカッションがドラム以上に目立ってる曲もあれば、アンサンブルの中でベースを暴れさせたり、果ては琴のような音色のキーボードまで出てきたり…。こういう音楽に耐性がなければ聴き疲れしてしまいそうですが、こんな風に振り回され続けるのも面白いものです。

いかれた音楽性とはいえ、ヴォーカルの剥き出しの凶暴さ、バンドサウンドの音圧の高さ等、全体を通じてエクストリームメタルであること自体は通した上での実験性なのが良いですね。一風変わったエクストリームメタルが好きであれば是非。


FONTANELLE - Vitamin F ★★ (2016-04-21 04:43:49)

2012年発表のおそらく4th。

Daymareからのリリース、SUNN O)))やEARTHなどとも人脈的に繋がりがあるバンドという事で、面白そうだと思い購入しましたが…バンドサウンドにキーボード、サックスなどがフリーキーに絡み合うインプロヴィゼーションの色の濃い音楽性で、楽曲というよりも「音そのものを楽しむ」という点ではSUNN O)))ともそう遠くない楽しみ方の出来る作品だと思います。

ただし、SUNN O)))のように暗黒性・攻撃性を志向しているわけではなく、あくまでバンドのアンサンブルの絡みであるとか、ジャズにも通じる即興的な閃きを聴かせるような音なので、普段メタルを聴き慣れていると若干耳が適応するのに時間が掛かるかも。独特のテンポ感だったり、敢えて隙間のある音作りにしていたりする箇所もあるので。

「暗黒系ではない」という点が篩になりそうではありますが…この独特な空気感は癖になりそうです。むしろエクストリームメタルからSUNN O)))界隈の音楽を聴き始めた人よりも、プログレとかを聴き漁ってる人の方が嵌まるかもしれません。


SATURNIAN MIST - Chaos Magick ★★★ (2016-04-21 04:38:47)

2015年発表の2nd。
買おうかどうか悩んでいたところ、某ショップで割引の対象になっていたので購入。これは良いですね。フルプライスでも買って損に思うことはなかった作品だと思います。

デモ「Repelling」がかなりRawな路線、1st「Gnositicoi Ha-Shaitan」がデスメタル的な重さを感じさせる、エクストリームメタルとして高品質な音になっていたので、例えばBEHEMOTH辺りに通じる進化をするのかな…と思っていましたが、まさかこんな路線に行くとは…。前作よりも確実にマニアックになり、そして独特の魅力を増した作品だと思います。

バンドサウンドは前作同様の分離の良さは残しつつ、より刺々しくRawな音に回帰。そこにサイケデリックさとサタニックさが入り混じったような、耳に残る奇妙なメロディをトレモロリフにより迸らせるような作風に。前作よりもヘヴィネスは減退してる感じですが、メロディもプロダクションもより精神へダイレクトに「来る」ものになっている印象です。ヴォーカルの狂気染みた絶叫も精神世界へのトリップをより助長。

曲名もユニークで、「Voodoo Satan」「Yoga, Hate, Fuck」辺りのタイトルから作風は察していただけるかと。そういういかがわしくて精神世界的なムードが好きであれば大推薦なアルバム。ある意味分かりやすさ、伝わりやすさのある作品なので、間口はそれほど狭くないかも…?


IHSAHN - Arktis. ★★★ (2016-04-19 12:08:56)

2016年発表の6th。

前作「Das Seelenbrechen」が(特に後半部において)即興性・前衛性の非常に高い、キャリアでも異質な作品だったので、次はどうなるかと思いましたが…新たな要素を取り入れて進化しつつも、「Eremita」以前の高密度、高貴、高品質の3Kが揃った構築性の強い、プログレッシブなブラックメタルに戻った感じですね。知的ながら突き放したような所はなく、曲によってはメタルコア並にキャッチーなクリーンでの歌メロのサビがあるものも。ただしメタルコアのような軽快さではなく、それによってむしろ重厚さが演出されている印象。Ihsahnのこういう感性本当に好き。

「Eremita」以前の音源と比べると、電子音の使用がより大胆になっていることが大きな変化として挙げられますね。特に「South Winds」のイントロは予想の範疇になかった音なので、一瞬戸惑いました。が、このデジタルな音がバンドサウンドの空間を埋めていて、むしろより情景をくっきりと浮かび上がらせている感じ。脳裏に浮かぶ、水を湛えた神殿のような、神秘的な光景はPECCATUMにも通じるものがあります。

個人的には、電子音の使い方の上手さが最も感じられるのは「Frail」ですね。ピアノの偏執的な低音のリフレインやヴォーカルの捲くし立てと合わさり、パラノイアックで追い詰められた雰囲気が醸し出されている様に思います。間違いなく今作でのハイライトの一つかと。また、もう一つ大きな変化としては昔ながらのメタルを思わせる、ロックのダイナミズムをダイレクトに感じられるようなシンプルなリフが多用されている事でしょうか。これにより細やかに構築された音が、より取っ付き易く、より振り幅広くなっている気がします。

正直Ihsahnの音源に関しては、ファンなので冷静にレビュー出来てるとは思えませんが(笑)…今作は今まででも屈指の名作なのではないでしょうか。取り合えず今までの作品を気に入っていれば間違いなく買い。しかしこれを聴くと、Ihsahnのメタル以外の音楽性も発現する場所としてPECCATUM復活しないかな…とか思ってしまいます。今の所ライブ限定とは言え、EMPERORも活動してることですし…。


INFINITAS - Ardeur ★★★ (2016-04-19 12:08:20)

2012年発表のEP。
元NARGAROTHのライブメンバーであるThorn氏の独りプロジェクトによる初のCD音源で、Self Mutilation Servicesより発売。

…これには意表を突かれました。
バンド名の響きや所属レーベル、某所でのブラック/シューゲイズとの音楽性の紹介、実際に聴くとイントロ部が残響音の中での男女の物憂げな会話…と、如何にも儚げで鬱々とした鬱/シューゲイザーブラックを予想してしまいますが…バンドサウンドに差し掛かると、Rawでオールドスクールさを感じるプリミティブな音。

生々しいドラムの音や刺々しいリフの音色など、鬱系というよりもむしろ初期SATANIC WARMASTERとか、フィンランド産のプリブラ勢に近い出音な感じですが、メロディは確かにSMS産らしい儚さが感じられたり、非バンドサウンドパートでの雰囲気作りといい、まあブラック/シューゲイズにカテゴライズ出来なくはないかな…という感じも。ヴォーカルの悲痛な絶叫もどこか現世の苦難からの逃避を希うような響きがありますし。

実はもう殆どポストロックになってしまっているような柔和なシューゲイザーブラックよりも、その要素がありつつこういうプリミティブさ、オールドスクールさがある音の方が私的には好みですね。HERETOIR辺りが好きな人にお勧め。


HAAR - The Wayward Ceremony ★★★ (2016-04-19 00:23:33)

2015年発表の1st。

個人の勝手な印象ですが、ATMFって相当のマニア以外誰も付いて来れないほどマニアックという訳ではないけど独特なニッチさと、質の高さを両立させたバンドを多く抱えているレーベルというイメージがあるんですが…この作品もそんな中の一枚。タイプとしては、プログレデス的なテクニカルなアンサンブルや、知性に統御された展開で聴かせるプログレッシブなブラックメタルで、楽曲それ自体はかなり知的ですが…。

どす黒く濃い靄に包まれるような、アトモスフェリックブラック的な空気感を醸し出しつつ、デス的なヘヴィさも感じるプロダクション、こちらを害する意図満々の神経をえぐるようなメロディ使い、そして知性的な展開を見せるバンドとしてはちょっと珍しいくらいのヴォーカルの獣じみた咆哮…と、暗黒でカルトなエクストリームメタルであることもかなり追求されている印象。知性と血腥さが同居しているような音だと思います。

物凄く振り切っている作品…という訳ではないのですが、こういうバランスの作風って結構珍しいと思います。ATMF産だけあってクオリティはかなり高いですし、独特だけど芯が通ってるバンドが好きであればお勧め。


KJELD - Skym ★★★ (2016-04-19 00:20:54)

2015年発表の1st。

一言で言うなら、アトモスフェリックブラックの空気感と、ブルータルブラックの攻撃性を上手く折衷したようなブラック…という感じでしょうか。ノイジーで重くのしかかるようなリフの音色は、時に空間的なキーボードの助けを得つつ、どす黒くて救いのないムードを演出。この音作りはアトモス系にも通じますが、楽曲そのものはLUGUBREのメンバーが関与している事からも察せる通り、かなりブルータルなパートも含む劇的なもの。

醸し出されるムードが重々しく質量感のあるものだけに、展開によっては若干聴き疲れして間延びを感じさせる部分もなきにしもあらずですが…その分楽曲のクライマックスでの求心力は異常なほど。このどす黒さを保ちつつ、魔的なトレモロリフのメロディと共に畳み掛けるパートなんて、LUNAR AURORAの「Andacht」アルバムを思い出してしまったくらい。なにか超常的なまでのパワーを感じるというか…。

ぶっちゃけ間延びしたパートが全くないバンドなんて殆どいない訳ですし、そこは大きなマイナスではないかと。それよりもどす黒いムードと、曲自体のクオリティを両立させたポテンシャルの高さに注目したいところ。マイナーかもしれませんが、カルト音源としての質の高さがある作品だと思います。


CRUENTA LACRYMIS - Sweetness and Blasphemy ★★★ (2016-04-16 17:15:23)

2015年発表の1st。

ヴォーカル、ベース、キーボードと編成の半数以上を女性が占めるイタリア産のシンフォニック・ブラックというプロフィール、そしてCDを取り出すと読み取り面の外周にお洒落な装飾があり…と、前情報からは華やかで派手なシンフォブラックを期待してしまいますが…派手さは予想通りなものの、大方の推測を裏切る野蛮さを感じる音で驚きました。シンフォ系ながらむしろノリとしては南米やオセアニアのブラックに近いんじゃないか…っていう。

まずリフの残響音すら重々しく感じるプロダクションがかなりヘヴィなことに加えて、時々リフやリズムのフレーズがオールドスクールというか、ロックなノリを見せており、それがエクストリームメタルの攻撃性と合わさり非常に野蛮で攻撃的な音に。更に女性ヴォーカルが、女性特有の憎々しさやサベージさを感じさせつつ、男性以上のパワーを出すことに「成功してしまっている」という稀有なタイプなこともあり、より野卑な雰囲気が強調されてます。若干英語の発音が訛っているというか、フリーダムなのも素晴らしい(笑)。「Hades」という単語が「ア゙ア゙ア゙ア゙イ゙!!」としか聴こえない所とかあるし(笑)。

…こう書くとぶっ壊れただけの音源を想像してしまうかもしれませんが、シンフォニック・ブラックとしての構築性やクオリティ、メロディアスさなどはしっかり保持しているのでご安心を。ただ、この手の音としてここまで野蛮さを感じさせるのは結構独特ですね。シンフォブラックを聴き込んでいる人にも結構な衝撃になる作品なのでは…と思います。


ETHEREAL (UK) - Opus Aethereum ★★ (2016-04-16 17:13:06)

2015年発表の1st。

実は結成が2002年らしいシンフォニック・ブラックメタルバンドで、今回Candlelightより初のフルアルバムをリリース…という時点で、クオリティが高そうな匂いがプンプンしてますが…予想通り、エクストリームメタルとして超クオリティなシンフォニック・ブラック。近年のDIMMU BORGIRを始め、初期ABIGAIL WILLIAMSやSHADE EMPIRE、CARACH ANGRENなどにも近い音。

ただし、この手のバンドの模倣で終わっているかというとそうでもなく、ギターの音色が非常に重々しく、派手さよりも緊迫感や畏怖を感じさせるキーボードのメロディとの兼ね合いもあり、アポカリプティックな光景が浮かんでくるのが特徴でしょうか。プロダクションがヘヴィなこともあり、畳み掛けるパートはBEHEMOTHなどを思わせるほどのアグレッション。聴いてると愚民共に天罰を下す神にでもなったような万能感・高揚感を覚えられます(笑)。

ただ、前述したバンドや、WINTERHORDE、WINTERBURST、SATURNIAN、APOSTASY、ERIMHA、SOTHISなど、この手のバンドって強力なライバルが犇めき合っていて、数え上げれば枚挙にいとまがないほど。今挙げたような個性が、これらライバルを差し置いてこの作品を選ぶ強烈な魅力になっているかというと少し疑問も。元からこういう音が好きであれば満足すると思いますが…。


HELRUNAR - Niederkunfft (2016-03-23 21:06:29)

2015年発表の4th。
タイトルは出産に備えている状態を指すドイツ語らしいです。

…このバンドは10年前に出た「Frostnacht」を聴いていて、不吉さと土着的な叙情性が入り混じったメロディをリフに練り込んだ、良質なペイガン/メロブラだったので、今どうなっているのか期待して聴いてみましたが…。結論から言ってしまえば、正直微妙なアルバムですね…。

以前よりもメロディをあからさまに押し出すパート自体が少なくなったことと、プロダクションがチープさの無い、重々しさを前面に出すようになったことで、特徴的だった湿り気のある土着的メロウさが減退。代わりに重っ苦しいムードが演出されるようになりましたが…正直これは求めていなかった変化かも…。なんか妙に硬派になってしまった気が…。

とは言っても、土着的メロディがなくなった訳ではなく、単にバランスが変化した…という感じですので、人によってはこれくらいの方が丁度良く感じるのかも。私的には正直地味に感じます。


BY THE PATIENT - Gehenna ★★ (2016-03-23 21:05:46)

2015年発表の3rd。

たまたま新作なのに割と安い値段で売られていたこと、紹介でBEHEMOTHが引き合いに出されていた…それだけの縁で買ってしまった一枚。路線としては、デスメタル由来のフィジカルでダイレクトな攻撃性の高さ、ブラックメタル的な禍々しさを併せ持つエクストリームメタルで、BEHEMOTH辺りからも確かに遠からぬ音。ただ、こちらはキレのいい刻みリフの多用、ヴォーカルの吐き捨てなど、スラッシュメタルからの影響が色濃い感じですね。

楽曲のメリハリの付け方や、攻撃性をがっつりと伝えるクリアなプロダクションなど、エクストリームメタルとしては真っ当なクオリティの高さもありますね。ただ、印象に残るフレーズや楽曲作りという点では、BEHEMOTHクラスのバンドと比べると若干弱い気もしてしまいます。魂を持ってかれる感が薄いというか…。楽曲に「ここだ、ここを聴いてくれ!」みたいな主張の強さがあると尚良いんですけどね。

ただ、これだけ高品質な音を出していたものの、どうやら去年に解散してしまっていた模様…。だから妙に安かったんでしょうか。


NORDJEVEL - Nordjevel ★★★ (2016-03-19 16:44:47)

2015年発表の1st。
MARDUKの現ドラマーを務めるFredrik氏らの参加するバンドのデビュー作という事で話題になってましたが、試聴してかなり良さそうだったので購入。ちなみにその他のメンバーも元RAGNAROKだったり、TVANGESTEにも参加していたり、思いっきりブラック人脈。

内容としては、ごくごくストレートなファスト/メロディックブラックという感じで、一般のメタラーが「ブラックメタル」と聴いて想像する音からそう離れたものではないと思います。Fredrikの暴虐なだけではない、タイトに楽曲を締めるドラミングと、ブラック特有の土着的な叙情性、ブリザードめいた寒々しさを練りこんだリフをメインに聴かせつつ、時にパンキッシュな炸裂感を感じさせたり、土着的メロディを押し出しエピックに展開したり、決して一本調子ではない作風。

ドラムやリフのフレーズをがっつり聴かせつつ、音圧もあるプロダクションといい、ガラガラした声色の、声量も申し分の無い声でがなり立てるヴォーカルといい、総じてクオリティは非常に高い印象で、面子に惹かれて買ったとしても損はしないでしょう。ただ、個人的にはプロダクションは少しギターの音圧高過ぎな気も。DARK FUNERALの「Diabolis Interium」は丁度良かったのに、次作の「Attera Totus Sanctus」で音が硬質になりすぎてうるさく感じてしまったときと似た感覚を覚えてしまったというか…。

とはいえ、この手のファストさとメロウさの噛み合ったブラック、MARDUKやDARK FUNERALなどが好きであれば、まず楽しめる作品ではあると思います。


NEOLITH - Izi.Im.Kurnu-Ki ★★ (2016-03-19 16:39:52)

2015年発表の4th。
LUX OCCULTAのメンバーが在籍し、91年から活動するベテランの目下最新作。何気に活動はコンスタントなようで、5~6年という長いスパンですが継続してアルバムをリリースしているバンドのようです。

以前はドゥーム/デス寄りの作風だったこともあるようですが、今作で聴けるのはエクストリーム・メタルとしての強靭さや攻撃性をガッツリと聴かせつつ、ブラックめいた密教的な雰囲気も漂う、デスとブラックの要素を両立させたタフな音。この辺りは、近年のBEHEMOTHやCHRIST AGONYなどの同郷のデス/ブラックのバンドとも共通する感覚ですね。

ただ、BEHEMOTHと比較すると雰囲気重視というか、悪く言えば愛想の少ない音と言えるかもしれません。あそこまで曲やリフが煽動力に満ちているのではない代わり、精神を侵すような禍々しさを湛えている感じでしょうか。時折入ってくる中近東系のメロディはこの手のお約束とも言えそうですが、その使い方が上手く良い感じに邪悪なムードが演出されてます。

前述したバンドのように、ブラック系でもデスの強靭さを湛えた良質なバンドが多いポーランドですが、この作品もそんな位置づけになりそうですね。プリミティブな音もいいですが、これくらいのヘヴィな音もやはり心地良い…。


MAÏEUTISTE - Maïeutiste ★★★ (2016-03-06 22:44:03)

2015年発表の1st。

注目のレーベル、Les Acteurs De L’Ombreよりの発売という事で興味を持った一枚。最初の導入部を聴いた限りでは、陰鬱なフォーク要素やスラッジめいた引き摺りリフで暗黒な世界観を演出しつつ、レーベルメイトのPARAMNESIAやTHE GREAT OLD ONES、REGARDE LES HOMME TOMBRE辺りと共通する、邪悪なアトモスフェリック・ブラックを聴かせてくれるんだろうな…と、アルバムの展開に思いを馳せていましたが…半分は当たり、半分は外れという感じですね。

ともかくこのアルバム、ブラックらしい陰鬱さをしっかり感じさせる、良質なアトモス系のブラックであることは間違いないんですが、かなり色々な音楽的要素をぶち込んで来るのが特徴なんですよね。この手には珍しくオールドスクールなリフで押し、ヴォーカルもリズミックに熱く吐き捨てる箇所もあれば、トレモロリフの絡みでメロウに聴かせるメロブラ的パートもあったり。

低音のストリングスを暗黒ドローンのように用い、気が滅入るような雰囲気を演出した上で印象的なアコギフレーズを執拗に聴かせたり、ジャズを可能な限りネガティブに解釈して取り入れたパートがあったりなど、前衛的な要素も惜しみなく取り入れて聴かせます。アルバムの後半、OPETHの「Damnation」アルバムを想起するような、鬱プログレ的パートまで出てきたのは驚きましたが…。

アトモスフェリック・ブラック自体が若干マニアックですが、その中でも更に脇道に行くような作風。76分の長丁場ですが、波長が合えば付き合っていて非常に楽しいアルバムとなると思います。この手らしいダークさはアルバムを通じてキープされてますので、興味がある方は是非ご一聴を。


MOURNING MIST - Mourning Mist ★★ (2016-03-02 13:30:15)

2015年発表の1st。

ABHORやPROFEZIAなど、ゴシックな雰囲気やアンビエンスを重視した作風で知られるバンドのメンバーであるKvasir氏の在籍するバンド…との事ですが、ここでも彼の感性がかなり強く出た音になっているような気がします。こちらはオールドスクールだったり不協的・前衛的だったりしつつ、鬱ブラックやドゥームに通じるミッドテンポ中心で聴かせる、若干ローファイなバンドサウンドに、存在感のあるヴァイオリンを絡めていくスタイル。

このヴァイオリンが単に美しさやメロウさを加味したり、メロディを弾いたりだけでなく、かなり独特な使われ方をしているのが最大の特徴。ギターソロの速弾きのようなフレーズを聴かせたり、時に包み込むようなアトモスフェリックさ、時に撓み捻れるようなグロテスクさでバンドサウンドを包み込んだり…。このヴァイオリンが、音の根幹を成しているといっても過言ではないように思います。

結構フレーズなどに突飛な部分があり、聴き手を選ぶ感じはしますが、終始一貫して陰々鬱々としたムードは保たれているので、ダークでマニアックな音楽好きならば聴いてみるのもいいかと。


AHAMKARA - The Embers of the Stars ★★ (2016-03-02 13:25:35)

2014年発表の1st。

トレモロ重視型アトモスフェリック・ブラックということでかなり気になっていたんですが、セールで安くなってたこともありこのたび購入。叙情的なトレモロリフ含有度はかなり高めで、それを強調して聴かせるパートも少なくないものの、敢えてファジーな音色にしてメロウなベースや包み込むようなキーと絡ませたりなど、ある程度変化を付けつつ聴かせる音。

ヴォーカルも例によって自然に回帰した人間の遠吠えのような絶叫ですし、WOLVES IN THE THRONEROOMを始めとしたカスカディアン・自然崇拝系ブラック好きにもお勧めできそう。そもそもメンバーがWODENSTHRONE絡みですね。ただし時折音割れ風の音色のノイジーさのある音作りに若干の癖があるのと、キーボードインスト部分がやや長く、気分でないときは若干冗長に感じるかも。

感想を書くに当たってEncyclopaedia Metallumでバンドの情報を調べてみたら、現在活動状況不明との表記があったんですが、どうやら去年ヴォーカルのSteve Black氏が亡くなってしまったようですね…。ご冥福をお祈りします。


AGES - The Malefic Miasma ★★ (2016-02-28 20:47:22)

2015年発表の1st。

DISSECTION絡みのメンバーが参加したスウェディッシュ・ブラックとして推されていて、気になったので購入しましたが…同じメロブラでもDISSECTIONとは全く傾向の異なる音ですね。DISSECTIONがリフとリズムの兼ね合いで、疾走感を持ってメロディを聴かせる傾向にあったのに対し、こちらは中世的でゴシック風味な美メロをミッドテンポ中心で丁寧に聴かせる事に主軸が置かれている感じ。

時折入る攻めなパートでも、それほど疾走感は意識しておらず、むしろメロディを重厚に聴かせる事が念頭に置かれているような作風で、アルペジオやキーボード、ストリングスも多用し、かなりメロい音。トレモロリフによるハーモニーも、決して少なくない頻度で用いられており、ゴシックテイストのあるメロディック・ブラックが好きであればじっくり聴き入れそう。どことなく気高さも感じる音ですね。

音質もまずまず、展開もしっかりしていてクオリティは十分。ブラックに衝動性を求める方にはお勧めは出来ませんが、中世的なメロディを丁寧に紡ぎあげる作風はその手が好きであればかなり魅力的に映るように思います。


Angelo - FAITH - Doll ★★★ (2016-02-27 10:47:54)

目の前を遮られるようなイントロから、トレモロを交えたヘヴィなギターワークに繋げる出だしからして印象的な楽曲。リフ押しの強い曲ですが、衝動をそのまま形にしたような歌メロの乗せ方も見事。メロディや歌詞から、明らかに「Design」収録の「Noise」と関連している楽曲ですね。「Noise」では「終わり告げるノイズ」だったのが、こちらでは「終わりを告げる声」になってたり(ちなみにこの部分のメロディはほぼ一緒)、よりヴィジョンがクリアになりつつも、同時にシビアにもなっている感じ。


Angelo - METALLIC BUTTERFLY - 薔薇の花 ★★★ (2016-02-27 10:43:07)

Angelo初となる、KOHTA氏作曲の楽曲ですが…作曲面でもかなり兄に影響を受けている感じがしますね。音だけ聴いたら、アルバムでも1、2を争うほどの「キリトっぽいメロディ」だと思いますもん(笑)。そしてそのあざといメロディがまた絶品かつ、キリト氏の詞の乗せ方も「らしい」感じがして(特に四字熟語部分とか)ツボに嵌まる。アルバムでもトップクラスにお気に入りの曲です。


Angelo - THE FREAK SHOW - HE IS A MONKEY ★★★ (2016-02-27 10:39:28)

某イベントでV系に偏見を持つメディアや評論家、グルーピーなどを痛烈に批判したキリト氏ですが…そのイベントにPIERROTを招聘したマンソンに対しては、実は憧れてるようにしか思えないんですが気のせいでしょうか(笑)。だってこの曲調でこのPVですよ…。勿論叙情的なサビメロで日本人バンドらしく仕上げてはいますけど、元ネタが露骨というか…。PIERROTの「AGITATOR」が「Beautiful People」なら、こっちは「Disposable Teens」という感じです(笑)。


ANGELO - RESULT - BLACK FLAG ★★★ (2016-02-27 10:34:30)

実はAngelo屈指の名曲ではないかと思います。
世界情勢を反映した歌詞は、アルバム「FAITH」の世界観と通じるものがありつつも更に救いがなく、緊張感を増している感じ。それに呼応するかのように、メロディアスなフレーズを、歌い上げるのではなく、感情を振り絞るようにがなるヴォーカル、強い緊迫感を感じさせるバンドサウンドが絡み、音の方もかなりヘヴィに。詞の主人公の立ち位置に余りにも救いが無さ過ぎる気もしますが、だからこそリアルさが演出されていたり、次の「CALL」がより響いたりするんでしょうね。


ANGELO - FACTOR - FACTOR ★★★ (2016-02-27 10:29:30)

前アルバムのリードシングル「SCARE」を、バンドサウンドの緻密さや強固さはそのままに、もっとサビメロを目立たせてキャッチーにする方向で進化させたかのような楽曲。リフの展開やブレイクの入れ方など、バンドの絡みが美味しいポイントありまくりで聴いてて滅茶苦茶アガります。特に、イントロやサビ直後のリフへのドラムのフレーズが好き。洋ものヘヴィロックバンドが演りそうなダイナミックさが凄くかっこいい。


ANGELO - Design - Speak to deep colors ★★★ (2016-02-27 10:25:05)

サビの、余りにも叙情的にも程があるメロディが印象的な曲。このサビに関してはもうJAPANが付いてからのXとか、Toshiさんのソロのバラードかってくらい「聴かせる」メロディだと思う。メンバーチェンジ以後のロック色強いAngeloから遡って聴いていると何があったのかと思うくらいメロメロにメロウな曲。


ANGELO - Design - FATE ★★★ (2016-02-27 10:21:18)

アルバムカラー同様、(以後の作品と比べて)バンドサウンド抑え目、歌メロ重視な感じで今のAngeloとは色が違う印象なんですが…それを抜きにして凄く良い曲。Angeloが一般的なV系ロックを演ったらどんな感じか…というのを、高いクオリティで表現した曲という感じ。アニメタイアップも付きハクも十分に付いた、Angeloポップサイドの傑作。


TOME OF THE UNREPLENISHED - Innerstanding ★★★ (2016-02-26 23:53:43)

2015年発表の1st。

キプロス産のアトモスフェリックブラック…ということで、興味をそそられた一品ですが…これはかなり好みの路線です!! トレモロリフを敷き詰めて叙情性や神秘性を表現するスタイルは、今となってはそう珍しいものという訳ではありませんが…キーボードに溶け込ませて音像を演出するパートもありますが、トレモロリフ特有のあの細やかな音色をかなり目立たせてくれているのが素晴らしい。KRALLICEが若干方向転換したことに不満を持つ人も溜飲を下げそうです。

トレモロリフで表現される、メロディそれ自体もフォーキーな叙情と、ミステリアスな雰囲気がバランス良く合わさっている感じでとても魅力的。特に、ゆったりしたテンポとキーボードの浮遊感の中で、延々とそのセンスが凝縮されたメロディを堪能させられるラス曲は出色の出来かと。ホント溶けそうになります(笑)。ただ、イントロを含むキーボードインスト部分が淡白な割に、若干長めなのが珠に瑕でしょうか。それを差し引いても星3つは確定です。

同レーベルからアルバムを出したMARE COGNITUMも相当に魅力的だったんですが、こちらも引けを取らないですね。I, Voidhangerはかなり注目なレーベルかも…。


ANTAGONISTE - The Myth of Mankind ★★★ (2016-02-26 23:49:36)

2015年発表の1st。

スラッジ/ドゥーム的な暗黒性と、突飛なアヴァンギャルド性を含むブラック…という紹介で気になっていた作品で、ちょっと安くなってたので購入しましたが…これは良いですね。確かにリフの音色は暗黒エナジーが凝集するかのような、引き摺る系のノイジーさですが、ドローン的な効果の引き伸ばし系リフのみならず、刻みを入れたダイナミックなものも取り入れることで、よりドスの効いた「黒さ」が演出されている感じですね。

その黒さの中で、メロディや音色そのものが不協的・狂的・前衛的なフレーズが時折挿入される感じですが、あくまでどす黒い音像を壊すことはない程度に抑えられており、暗黒な音が好きであれば終始心地良く聴けますね。ラストなんて結構真っ当な哀愁要素も感じられたり。ヴォーカルは囁き声にエフェクト掛けたような微妙な歪み声ですが…人間味が無くて音楽性には合ってるかも。正直エクストリームメタルのヴォーカルとしては物足りなくはありますが…。

本当に、突飛で訳の分からなくなるような音楽が好きな方にはちょっと物足りないかもしれませんが、個人的には前衛性の取り入れ度はこのくらいだとうっとり聴き入れますね。疲れてるときはこんな音が癒しになるのです…(笑)。


BALMOG - Testimony of the Abominable ★★ (2016-02-17 13:09:31)

2012年発表の1st。

プログレッシブな方向に行く前のWATAINや、NED、DAEMON WORSHIP、WTC辺りのレーベル所属バンドを思わせるような、衒いのないブラックメタル。プリミティブ過ぎずメジャー過ぎず、心地良いRawさと派手すぎず渋すぎずの展開で聴かせてくれる、如何にも王道といった感じの音ですね。

WATAIN辺りと比べると、もう少しメロディが抑え目でオールドスクールな要素の強い感じですが…時折出て来る暗黒甘美なメロディが非常に魅力的。個人的には、もう少しこの手のメロディを配したトレモロリフの頻度が上がってくれれば、更に好みですが…。ガラガラしたダウナー系のがなりに、呪詛を呻くような声を混ぜてくるヴォーカルの表現力も悪くないですね。

無骨な中にも光るものを感じさせるブラックメタルで、少なくとも良盤以上ではあると思います。王道ブラックを買い求めても買い求めてもまだまだ飽き足りない方には大推薦です。


AU-DESSUS - Au-Dessus ★★★ (2016-02-17 12:17:32)

2015年発表の5曲入りEP。
PERGALEのライブメンバーが参加、関連バンドのNRCSSSTが先日日本盤をリリースしたことから、注目度はそこそこ高めでしょうか。

音的にはアトモスフェリック/ポストブラックに分類される感じですね。単に攻撃的なだけではなく、引っ掛かりのあるリズムと、どす黒い靄が掛かるように歪んだギターリフで禍々しい情景を描き出していくタイプで、サタニックというよりもサイコ・スピリチュアルな雰囲気が強いのは今風という感じですね。ただ、邪悪さの強い音で、ルーツが明らかにポストロックよりブラックメタルにあることから、「アトモスフェリック」「ポスト」のどちらかであれば前者の呼び名の方がしっくり来そうです。

荒廃した精神状態を表現するように疾走したり、鬱々とドゥーミーになったりだけでなく、魂を黄泉に送るかのような儀式的な雰囲気を醸し出す展開があったり、メロディも不協的で狂的な雰囲気とメロウさがブレンドされていたり、楽曲はこの手のブラックとしても非常に出来が良い感じ。ただしヴォーカルの絶叫はやたらと力が入っていて…禍々しく潰れた様な表現力を発揮している所は良いんですが、箇所によっては正直若干うるさく感じるところも。

しかしこのバンドを聴くと、やっぱりリトアニアのブラックって病んでますよね。PERGALEやSVARTTHONもそうですけど、お国柄なのか、たまたまその手の音が注目されているのか…。


ABBATH - Abbath ★★★ (2016-02-09 23:44:20)

2016年発表の1st。

ブラックメタルを牽引して来たバンドの一つであるIMMORTALのAbbath氏の新プロジェクトで、来日公演やサイン会を行うなど、メジャーな活躍で話題になっているバンドのフルアルバム。名義はABBATHですが、元GORGOROTHのKing ov HellことKing氏も在籍。

IMMORTALの今の所最新作「All shall Fall」もそうでしたが、寒々しいトレモロリフや攻撃的なブラストビートなど、ブラックの美味しい部分を伝えつつ、メジャー志向でヘヴィメタルとしてクオリティの物凄く高いブラックを演ってますね。メジャー感ということでいえば、「All Shall Fall」よりも更に上がっているかもしれません。

…基本的にブラックメタルって、「リフとリズムの音楽」だと思うんですが、このバンドの音楽性も当然そのスタイルを踏襲しつつ、ダイナミズムや取っ付きやすさの点で一般的なロック(イントロ~ABメロ~コーラスの構成を持つような)に引けを取らないのが凄いんですよね。SATYRICONの「Now, Diabolical」なんかもその性質を持っていましたが、SATYRICONがブラックからやや逸脱していたのに対し、こちらはブラックのままそれを成し遂げているのが面白いです。

メロデスに接近し過ぎている訳でもないですし、こういう音楽性を持つバンドは意外といないですよね。単純にロック・メタルとしてクオリティが高くてかっこいいですし、その上でブラックに身を捧げてきた人間の矜持も垣間見えるような良質な作品です。


MOMENTUM - The Freak is Alive ★★ (2016-02-09 23:43:18)

2015年発表の2nd。

元は別名義でブラックメタルバンドを演っていたのが、デスメタルを経由し、現在ではプログレメタル化した…という変遷の経歴を持つバンドらしいです。そんな経歴のためか、ブラックメタルファンの好みとの親和性もかなり高いように思える、暗黒度のかなり高い作風ですね。

ミッドテンポ中心で怪奇な印象を残すリズムに、そのリズムを強調するように刻むリフやイカれたフレーズを乗せ、ひたすらに不条理で気味の悪い世界観を描いていく音。ヴォーカルは迫力のあるデス声と、妖しげな儀式の祈祷の如き中音域のクリーンの両刀使い。デス声が弱かったり、クリーンにムードがなかったりするようなことはなく、しっかりこの妖しい世界観の語り部を務めてます。

この作品、リズムの音色はしっかりしてますし、それをリフで補強してたりするので、意外に音作りがマッシブというか、フレーズ>音響な感じの志向性なのに、楽曲がひたすら不気味な情景を描き続けている所が変わってますよね。ブラックでいうとVED BUENS ENDEやVIRUSの不気味な部分に特化してより逸脱させた感じ…というと近いでしょうか。

作風自体はかなり前衛的ですが、変に実験的な展開を設けて暗黒性を減少させるというようなことはせず、ダークであることは一貫しているのである意味聴きやすいと言えるのかも。合う人はうっとり出来ますが、合わない人は一曲目でギブアップでしょう(笑)。


PREVALENT RESISTANCE - Eternal Return ★★★ (2016-02-07 23:58:20)

2008年発表の3rd。

公式にはメンバーについて言及されていないものの、実はALGHAZANTH、CIRCLE OF OUROBOROUS、HORNAなど、フィンランドでも著名なブラックメタルバンドのメンバーが参加しているバンドなのだとか。音の方も、その面子のハクに負けない、「プリミティブブラックとしての」クオリティの高さを持つ作品ですね。

路線としてはCRAFT辺りを、プロダクションの生々しさ、リフを生かす歪め方は引き継いだ上で、もっとストレートにした感じの衒いのないプリミティブブラック。絶叫のみでもどこかカリスマ性を感じるヴォーカルといい、甘くなりすぎない程度にメロディアスなトレモロといい、この手が好きであればうっとりと聴き入れる音源。

ただ王道過ぎて…というか、プリミティブブラックとしてごく真っ当過ぎてなにかもう一つ特徴が欲しいと思ってしまう部分も。まあNyktaらしい超が付くほど良質なプリブラで、先日日本盤も出たGOTHOLOCAUSTやSVARTGREN辺りと比べても引けを取らない、良い作品だと思いますが。


VOCIFEROUS - Vociferous ★★ (2016-02-07 23:54:03)

2009年発表の1st。

一般的にブラックメタルはスラッシュから分化したジャンルとされていますが、このバンドはスラッシュメタルを体感速度やリフのキレではなく、ひたすらに「汚さ」「冒涜的な雰囲気」を突き詰めていったら生まれそうな、生々しくドロついたオールドスクールなブラックメタルを演ってますね。

澱やよどみの只中にいるような音像の中で、一応楽曲が進めばブラックメタルらしいメロディアスなトレモロも出て来ますが…メロディ自体がドロドロしているというか、全く甘くならない感じが流石です。ヴォーカルもまるで嘔吐するかのような「グエエエエ」系の呻き声がなかなかの迫力&汚さで悪くないですね。

VADERやBEHEMOTHがダイレクトな攻撃性を押し出している通り、ポーランドのバンドの表現が直接的なのはお国柄なのでしょうか。冒涜的なムードを生々しく伝えるような作品です。BEHERITの初期作とか好きな人に。


DINNER AUF URANOS - 50 Sommer - 50 Winter ★★ (2016-02-07 14:27:50)

2010年発表の1st。
Cold Dimensionsが関与していたので買ってみましたが、実はNOCTE OBDUCTAのメンバーによるプロジェクトと知ってちょっと驚きました。

路線としては、ブラックを経由してダークなポストロックに辿り着いた感じの音でしょうか。打ち込みも交えたミッドテンポに、陰鬱なフレーズを乗せてメランコリックな世界観を演出していく作風で、一部ブラック由来のノイジーなリフこそあるものの、メタル要素はかなり薄め。ただし、キーボードなど音色の幻惑的・非日常的な感触はやはりCold Dimensions勢といった感じですね。
ちなみにヴォーカルはクリーンですが…中音~低音をメインとしたマイルドでダンディ(?)な歌唱や、物憂げな呟きを多用するスタイルで、変に喉声の情けない声でカリスマブレイクしたりしないので聴きやすいです(笑)。

似たバンドを挙げるなら、NETRA辺りが近いでしょうか。およそブラック本来のサタニズムからはかけ離れた、アーバンでメランコリックな世界観ですが、何らかの情景を描く音楽である…というのは変わっていないのかもしれませんね。


BREIZH OCCULT - Anaon ★★ (2016-02-07 14:24:44)

2013年発表の1st。
本編の後にライブ盤「Pagan Inquisition」が収録されているという、かなりのボリュームのある作品。

一言で言えば、ブラックメタルの「野蛮さ」に特化したようなオールドスクールな音で、フレンチブラックながら南米産のブラック辺りにイメージが近い作風。人智を超えたスピードや病んだメロウさなどに傾倒することなく、あくまで野卑に蹂躙していくRawな音が心地良いです。ただヴォーカル…声がひしゃげきってる所は良い感じですが、裏声を混ぜた叫び声は微妙過ぎる…。なんか情けない感じがしてしまって、個人的にはこの音ならもっと野太い方が好みですね。

ちなみにライブ盤の方も、スタジオ音源でも感じられた野卑さを楽しめる程度のラフな音で悪くないです。曲間の繋ぎに一瞬空白が入るのがちょっと気になるくらいで、この手にありがちな何を演っているか分からないようなものではないのでご安心を。


HOPE DRONE - Cloak of Ash ★★★ (2015-12-31 12:30:11)

2015年発表の1st。

ブラックメタル特有のトレモロリフとノイジーな音質、スケールの大きな展開で聴かせる、いわゆるアトモスフェリック・ブラックやポストブラック路線の音ですが、クリーンヴォーカルは排されていたりなど、過剰なメロウさは抑えられている傾向で、ブラックの持つ本質的なダークさが前面に押し出されている辺り、「White Tomb」「Mammal」期のALTAR OF PLAGUESなどにも通じる音ですね。サタニックというよりはエスカティック(終末的)というか、どこか荒廃した情景が浮かんでくるような音。

個人的にはこの手のバンドでも凄く好みの音です。情景的・音響的であることと、楽曲的・劇的であることのバランスが凄く良いんですよね。リフのノイジーさの中にドラムやらヴォーカルやらメロディやらが上手く溶け込んでいる感じで、うっとりと聴き入ってしまうような音。最初のドローンめいた音で始まるオープニングからして、なにか衝動だけではない本気さを感じさせる音響へのこだわりぶりが垣間見えますし。

昨今ではこの手のアトモスフェリックブラックは珍しくないですが、根本的なクオリティや、ダークさを貫いてくれる感性など、頭一つ抜けて良質な音を出しているバンドだと思います。ポストブラック好きだけでなく、Cold Dimensions勢やLes Acteurs de L’Ombre勢、最近リリースがあったバンドならTOMORROWWILLBEWORSE、MARE COGNITUMなどに惹かれた方にもお勧め。


AMILIYAH - Slight the Light ★★ (2015-12-30 11:21:45)

2015年発表の2nd。

バンドコンセプトの面白さや、ダークメルヘン的な世界観に興味を引かれて購入しましたが、概ねイメージ通りの音ですね。存在感のある可憐な女性ヴォーカルを軸に、仄暗く繊細なメロディと、メタリックでタイトな演奏で聴かせる音。インダストリアル要素やキーボードも用いたアレンジも特徴で、リズミックなピアノでワルツ調になるパートなどは「如何にも」な感じで嬉しくなってしまいます(笑)。

シアトリカルな世界観を身上とするバンドですが、演奏は意外にもハード。ギターの音圧もまずまずですし、メタルコアなどに通じる高揚感を煽るリフ等も聴かせてくれ、しっかりメタルしてる音です。女性ヴォーカルには可憐さや妖艶さは感じますが、そこまで極端だったり自己満足的だったりな表現をする訳ではなくて聴きやすいタイプ。メロディも歌謡曲的になりすぎず、洋物のゴシックに通じる聴き心地がありますね。

ただ、個人的には国産バンドならCROSS VEINくらいベッタベタな歌謡メロが好きなので、完全にツボという訳ではないかも。とはいえ、全体を通じて仄暗くメロウな童話的世界観が貫かれているのは見事だし、惹かれるものがあります。


AMILIYAH ★★ (2015-12-30 11:11:39)

先日2ndアルバム「Slight the light」を発表した国産ゴシックメタルバンド。
囚われの姫と5体のモンスターで編成された…というコンセプトなど、シアトリカルな世界観を持ったバンドです。


Angelo - PSYCHE - A new story ★★★ (2015-12-30 10:43:12)

これからも力強く地面を踏みしめながら進んでいくような印象を与える、なにか吹っ切った感のあるエンディング曲。リリース前にPierrotでのライブも行ってるし、その影響もあるのかも。今のAngeloを支持している人はもちろん、Pierrotに固執しているファンのことですら肯定するような、揺るぎなさを感じられるんですよね。余韻を残す終わり方も好き。


ANGELO - PSYCHE - 報いの虹 ★★★ (2015-12-30 10:39:53)

前作のエンディング曲「Beginning」のメロディを一部使用した楽曲。アップテンポながら、力強く情景を描くような、前向きさや力強さを感じる曲。Angeloの楽曲って高校生バンドがカバーしそうにないですけど、この曲はそうでもない気が。憧れてバンドで演奏したくなるような、衝動を刺激するパワーがあるというか…。純粋に「良い曲」だと思います。


ANGELO - PSYCHE - Climax Show ★★ (2015-12-30 10:36:11)

これ、最初はどうにも馴染まない楽曲でした…。インダストリアルな意匠が施された、ハードな印象のアレンジの割にサビメロが場違いに明るい感じがしてしまって…。ただ、何度か聴いて楽曲のノリや展開が分かってくると段々良くなってきますね。


ANGELO - PSYCHE - SCARE ★★★ (2015-12-30 10:33:36)

イントロのメロウ→グルーヴィなリフ、Aメロではキメを多用し歌メロに絡みつき、Bメロでは高揚感を煽り、サビではがっつり盛り上げる…というギターワークの流れには美しさすら感じます。あと、サビが終わった後の引き取り方も異常なまでにかっこいい。メロディも若干V系的メロウキャッチーからは外れた感じはありますが、これはこれで強靭な印象で良いですね。


ANGELO - PSYCHE - Deep Psyche ★★★ (2015-12-30 10:30:01)

今のV系バンドで、ここまで歌とバンドサウンドの絡みがしっかりしているのも珍しいのでは。攻撃的でかっこよく、一発で惹き付ける魅力がありつつ、どこか成熟味のようなものも感じます。「with conviction」「that freedom brings」と、「SCARE」というフレーズを修飾し、より世界観を拡げる詞も興味深いです。


Angelo - PSYCHE ★★★ (2015-12-30 10:26:45)

2014年発表の7th。

ブレイクスルーを果たした印象の「RETINA」は、超名曲クラスの楽曲が並ぶ名盤ではあったんですが、karyu曲への歌メロの乗せ方が完璧だったのに対して、キリト曲へのバンドサウンドの絡みに多少物足りなさを感じてしまったんですが…それが見事に払拭され、クオリティを保ちつつもアルバムとしての統一感や完成度を更にアップしてきた作品という印象ですね。バンドとしてより着実により強固な存在になりつつあるという感じがします。

今までのキリト氏の作品の傾向として既にあったことですが、この作品は特に楽曲ごとの有機的な繋がりが強い印象がありますね。先行シングル「SCARE」に新たな光を当てるようなオープニング「Deep Psyche」、明らかに「PROGRAM」の詞のフレーズとの対比のある「SCENARIO」、前作のエンディング曲のフレーズを上手く使った「報いの虹」…。何も知らず聴いても魅力的なことは前提で、色々な仕掛けを用意しているのが流石です。

それにしても、キリトさんってマジで英語苦手なんですね…。「hidden」を「ハイドゥン」みたいな発音で歌うし、基本的な主語と述語、目的語の並べ方さえ理解していないのでは…。Angeloになって英詩が増えたから嫌でも気になってしまう…。


ANGELO - FACTOR - Collapse parade ★★★ (2015-12-28 23:19:35)

イントロの、カオティックなトレモロリフの醸し出す雰囲気からして、なにか物々しい感じで期待してしまいますね。そしてサビでは、耳に残る、力強い響きのコーラスと雷鳴を思わせるドラミングが絡み合い、どこか終末的な光景が眼前に広がるかのよう…。ダークなだけでなく、再生の為の終末というか、そういう力強さも同時に感じられるように思います。


ANGELO - FACTOR - Experiment ★★★ (2015-12-28 23:15:50)

AngeloってV系でも歌メロと演奏の絡みがかっこいいバンドだと思いますが、その中でもスリリングな絡みをする一曲ではないでしょうか。特に「郷愁観念の厚い壁は/壊さずドラマティックに演じて消し去る」の所がやば過ぎ。「ドラマティックに」で思わず拳を硬く握り締めてしまいますね…。サビの、独特なアプローチの歌詞も好き。


ANGELO - METALLIC BUTTERFLY - PANDEMIC ★★★ (2015-12-28 23:11:42)

アルバムの幕開けを飾る曲として、本当に素晴らしい曲ですね…あのキリト氏特有の確信に満ちて人を導くような、妖しげな魅力のあるメロディと、V系ロック的な攻撃性が融合しててホントかっこいい。サビ後半~大サビのメロディが和風テイストをキリト流に捻じ曲げたような、妙な魅力があって好きですね。そこに「母体回帰」「カタストロフィ」と、彼らしい単語が乗るのもグッド。惹かれます!


ANGELO - METALLIC BUTTERFLY - 薄紅の欠片 ★★★ (2015-12-28 23:06:05)

メタルにどっぷりだった私が、またキリト氏関連の音楽を聴いてみようと思ったのは実はこの曲がきっかけでした(既に「FAITH」が発売されてた)。やはり彼の書くメロウなメロディは本当に良いです。「ラストレター」「パウダースノウ」等の過去の超名曲と比較しても遜色ない、もしくはそれ以上のドラマ性を持つメロディ。
ただ、ここまでストリングスやキーボードを重視して、メロディの美しさを際立てたアレンジは5人体制のAngeloではあまりやらなそうです。…といって、あっさりその予想を裏切ったりもしそうですけど(笑)。


Angelo - REBIRTH OF NEWBORN BABY - 異境に咲く花 ★★ (2015-12-28 23:02:08)

どこか荒涼とした景色を思わせる、音数の少ない始まりから、攻撃性を剥き出したヘヴィなパートへの変貌が印象的な一曲目。最初はその落差や、妙にメロディアスなベースに違和感があって微妙だと思ったんですが、雰囲気が分かってくると段々良さが分かってきました。


ANGELO - REBIRTH OF NEWBORN BABY - SCRAP ★★★ (2015-12-28 22:59:25)

…ここまで、直接に攻撃的で断罪的な歌詞も珍しいのではないでしょうか。歌もその攻撃性を顕わにした、嫌気たっぷりのがなりでかっこいい。しかしサビで意外なまでの美メロが来る、攻撃性とのコントラストのある曲調は後の名曲「OUTBREAK」にも繋がっていくような気がします。このアルバム、何気に後半に名曲多いですよね。


Angelo - REBIRTH OF NEWBORN BABY - HOLOCAUST ★★★ (2015-12-28 22:57:05)

結成の経緯が経緯だけに、「The Past is like a Holocaust」との歌詞は色々考えてしまいますが…そういう勘繰りをされることも承知で詞を書いてる気がします。そのフレーズの絶叫と、意外なまでに流れのしっかりした歌メロに、メリハリがあってかなりの良曲。アルバム内でも1、2を争うほど印象深い曲ですね。


ANGELO - RETINA - RIP ★★★ (2015-12-28 12:42:26)

これはいいですね、「らしさ」「キャッチーさ」が見事に同居してて、如何にもシングル曲という感じです。サビの疾走感ある中でのメロウさも素敵。ただ、このアルバムは「PROGRAM」「CONVICTION」「シナプス」など、シングル曲以上にシングルっぽい非シングル曲が多いので、最初に聴いたときのインパクトは相対的に少なかったかも。もちろん凄く良い曲であるのは間違いないですが。


ANGELO - FAITH - 評決 ★★★ (2015-12-28 12:35:58)

前作のシングル曲「RIP」を更に発展させたような印象の楽曲。ごくキャッチーなマイナー調メロディに、疾走感溢れる演奏というのは、V系ロックが好きであれば誰もが嵌まれそうな感じがします。Pierrotの「新月」を聴いたときのような、ストレートにぶちのめされるような魅力を感じました。


ANGELO - RETINA - Calvary ★★ (2015-12-28 12:33:21)

この曲、特にリフを始めとした演奏は物凄くかっこいいんですが、若干Aメロなどの歌メロが浮いているように聴こえるんですよね…キリト氏の歌声の美味しい部分を活かしていない歌メロ(特にファルセット部分)というか…。メロディ自体はかっこいいし、サビはそうでもないですが。


ANGELO - RETINA ★★★ (2015-12-28 12:30:21)

2012年発表の5th。

前作「BABEL」よりD’espairsRayのkaryu氏、ヴィドールのギル氏が加入し、新体制となったANGELOですが…前作はどこか手探り感も感じられましたが、今作で歯車がぴったりと噛み合い始めたような印象があります。現時点でフルアルバムはこの後に2枚リリースしていますが、今までよりもエネルギーの総量が膨れ上がっている、そんな印象を受けるんですよね。特に歌メロや曲展開に合わせたリフが物凄くかっこよくなっており、まるで水を得た魚という印象。

この後に出たアルバムは「FAITH」「PSYCHE」も名盤と言って差し支えないクオリティを維持してますが、このアルバムは特に名曲が多いように思います。圧倒的なストーリーの始まりを予感させる「PROGRAM」、衝動性と構築性が完璧なバランスを描く「Script error」、キャッチネスと攻撃性を見事に両立させた「シナプス」などは、どれもAngeloにとってのアンセムと言っても過言ではないのではと思います。一つだけ惜しい点を挙げるなら、「薄紅の欠片」に相当するようなベタベタなメロディの曲がないことでしょうか。アルバムの流れ的に必要なかった感じもありますが。

Angeloはリアルタイムで追って来た訳ではなく、最近になってまた聴き始めたんですが…見事に、思春期にPierrotを聴いて得たような興奮、いやそれ以上のなにかを得られたように思います。このサイトにはV系ファンを上がってメタルに目覚めた人もいるかと思いますが、そんな方にも是非聴いてみて欲しいですね。


Angelo - REBIRTH OF NEWBORN BABY ★★ (2015-12-28 12:29:23)

2007年発表の1st。

キリト氏の新バンドという事でチェックしていましたが…実は最初の印象はあまり良くなかったんですよね。大物バンドにしては派手さが無いというか、印象に残るメロディが少なく、似た感じの曲が多いというか…当時メタルに本格的に嵌まり始めてたこともあって、聴かなくなってしまいましたが…今聴くとこれはこれで悪くないですね。

似た感じに聴こえた楽曲も、一曲一曲ちゃんと聴けばどれも魅力的。「REBORN」「DANCE」などは独特のメロディ使い、キリト節が健在である事をアピールしてくれますし、「HOLOCAUST」「SCRAP」などはメロディと攻撃性が上手いこと融合していてかっこいい。ただ、向き合ってじっくり聴けば魅力が分かるんですが、「RETINA」以降の、例え流し聴きしようとしても無理矢理引き込んでしまうようなほどのパワーはまだ無いかな…と感じます。

しかし、今聴くと「REBORN」のギターの音色とか、思いっきりPierrotを引き摺ってますよね。今のAngeloの音を知っていると、そんな部分も興味深く聴こえます。過渡期な感じのアルバム。


ANGELO - RESULT - RESULT ★★★ (2015-12-28 01:06:22)

Angeloには割と珍しい、頭サビで始まる曲。あるインタビュアーは、このアルバムがこの「光量の多い」情景で始まることの意外さを指摘していましたが…確かに、このサビ、歌メロとリフ・リズムが激しく火花を散らせながら絡み合っているような印象があるんですよね。既存の楽曲と、また違った絡み方をさせている感じ。ただ、後半のパワーコーラスは意外な感じでした。


ANGELO - PSYCHE - SCENARIO ★★★ (2015-12-28 01:02:32)

これは…アルバムを買ってきて聴いて、この曲でテンションブチ上がりましたね…自分がこのバンドに求めている音そのまま過ぎて(笑)。「script error」が全てを蹴散らすような楽曲だとするなら、この曲は確信に満ちた態度で力強く引っ張っていくような感じでしょうか。個人的にこの曲の歌の入りは凄く好き。なにかこのバンドが描いてきたストーリーに、急な展開が起こっている様子が音でも表現されているような気がするんですよね。


ANGELO - FAITH - OUTBREAK ★★★ (2015-12-28 00:58:59)

個人的には、Karyu氏とギル氏が加入してからの新生Angeloの代表曲といえばこの曲ですね。攻撃的なABメロから、メロウなサビ…というパターンは珍しくないんですが、アレンジの緊張感や展開のメリハリが一つ抜けて素晴らしい。初見の人でもバンドの旨みのようなものをしっかり堪能できるであろう名曲です。


ANGELO - RETINA - シナプス ★★★ (2015-12-28 00:52:36)

ライブでよくアンコールなどに演っていることからも、Angeloの代表曲のひとつになりつつあるような楽曲だと思います。しかしこれもホント凄い曲だ…。取っ付き易くてキャッチーなのに、キリト節とでもいうべきあざといフックも含む歌メロもそうだし、それに対しての演奏や効果などの絡ませ方も物凄くかっこいい。「消せない衝動」の所とか、「描けばいい」後の緊張感あるフレーズとか、敢えてソロを短くし、切り返してラスサビに突入する構成とか…バンドのセンスがそこかしこに鏤められていて、一聴で引き込む必殺の曲である事とスルメ曲である事を両立させている感じ。


ANGELO - RETINA - CONVICTION ★★★ (2015-12-28 00:46:31)

このアルバムの完成度の高さを象徴するような曲ではないでしょうか。薄暗くメロウなAメロ、キリト節としかいいようのない、あざとかっこいいBメロ、そしてメロウに歌い上げるサビ…世界観が完成されてて凄く引き込まれる。聴いていて思わず身体に力が入ってしまうようなリフとリズムの絡みもかっこいい。特に青春時代にPierrot聴きまくった身としてはこのBメロで嬉しくなってしまいますね…作曲者が誰でもキリト節になるというか、求められるものを分かっていると言うか(笑)


ANGELO - RETINA - Script error ★★★ (2015-12-28 00:42:21)

完璧です。正直、ここまでかっこいいロックは滅多に聴けるものではないと思ってます。リフがとにかくかっこいいんですが、緊張感のあるAメロ、若干メロウかつリズミカルになるBメロ、例のリフと共にオーディエンスを巻き込んで暴れるサビと、歌メロの流れも素晴らしい。ヘヴィで攻撃的な曲ながら、サンプリングやキーボードの使い方も上手く、メリハリの聴いたアレンジもホント良い。バンドの持つ構築性や思想性を感じさせつつ、ロックの衝動性も感じさせてくれるし、全てが完璧にあるべき場所に嵌まってるかのような完成度。これは本当に名曲だと思います。


Angelo - RETINA - PROGRAM ★★★ (2015-12-28 00:36:37)

なにか、聴いていると「これからのAngeloは物凄いんじゃないか…」という期待感が募るような楽曲。今までと比べると、一皮向けたというか吹っ切れた印象があるというか…。開放感がありつつも、確信に満ちたような攻撃性も秘めていて、空を切り裂くようなイメージのある曲ですね。「database」という単語でロングトーンするサビが他のアーティストではない感じで好きです。


ATRORUM - Structurae ★★★ (2015-12-09 23:34:06)

2015年発表の3rd。

これは一回試聴して「買おう」と決めました(笑)。ミディアム中心ながら一筋縄ではいかない、変則的なリズム構成に、キーボードやサンプリング等が知的に味付けをするプログレッシブ/アヴァンギャルドなブラックで、近年のARCTURUSやSOLEFALD辺りの構築性に、UNEXPECT等の持つ破天荒さを足した感じでしょうか。もう少しマイナーなバンドを挙げていいなら、レーベルメイトでもあるORAKLEの作風を、キーボードをより前面に出した音像にした感じ…というと近いかも。

この作品、アヴァンギャルドブラックではあるんですが、「分かりやすくアヴァンギャルドしてる」のが良いですよね。例えばキーボードの使い方ひとつ取っても、ピアノが何かが崩れていくようなダークさを醸し出したり、ARCTURUS的な煌びやかさを演出してみせたり、インダストリアル風の音色で緊張感を与えたり、そのパートで表現したいものがはっきりしている感じなので、複雑な展開をしてても自己満っぽい複雑さじゃないのが良いです。ギターやクリーンヴォーカルなんかも戯曲めいた印象的なフレーズが多く、楽曲が彩り豊かなものになっているように思います。

これは前述したようなバンドが好きであれば買いだと思います。この知性的だけど狂気的、だけどその中に更に諧謔味も含んでいるようなムード、かなり好きです。


DEEP-PRESSION - Atlantis' Emerge (2015-12-09 23:32:01)

2011年発表の、おそらく4th。
データには「Atlantis’ Emerge」とありますが、CDの背には「Atlantis」としか書いてないですね…。ちなみに100枚限定らしいです。

元はHAPPY DAYSやTRIST、NOSTALGIEを始め、様々な鬱ブラックのアートワークに関与した事で名前を知られるRh-氏と、チェコの鬱ブラッカーとしては最も有名なTrist氏によって始まったプロジェクト。Trist氏の在籍期間は長くないですが、その成り立ちから鬱系以外の音を想像しろ…という方が無理ですよね(笑)。

これ以外の作品は未聴ですが、この作品はメタル要素のない、物悲しげなアンビエント。一曲目からピアノとキーボードのせせらぎのような絡みが、三途の川の水が踝を撫でているような、心地良いけれど彼岸に連れて行かれそうなムードで酔わせてくれます…が、正直個人的に聴き応えがあるのはこの部分くらいで、その後はアンビエントとしても余りにも音の動きが少なくてちょっと…。おそらく一曲目で瞑想状態に入り、意識の底深くへ少しずつ降りていくようなイメージなんでしょうが…もうちょっと変化だったり厚みがあってもなぁ…と思います。

最初は良かったものの、中盤以降は「これを聴くならドローン・アンビエントの大御所(SUNN O)))とかNADJAとか)聴いた方が…」と思ってしまいますね…もちろんそれらバンドには無い感性があるのは確かですが。VELVET CACOONの名盤はAtropineだ!と断言するような人は気に入るかも。


DEVLSY - A Parade of States ★★ (2015-12-07 23:07:54)

2013年発表の1st。
日本のMaa Productionsより発売。

多分偏見ですが…どうもリトアニアのブラックというと、SVARTTHRONやPERGALE辺りのバンドのせいか、どこか病的というか異常性を感じさせるものが多いという印象を勝手に抱いているんですが…この作品も、いわゆるポスト/シューゲイザー系のブラックに分類されるような作風ながら、印象に違わないサイコな雰囲気も持ち合わせているような感じがします。

あからさまにトレモロによるメロウさを強調したりすることは余りなく、心地良く歪んだギターリフの中、じわりと叙情性が広がるような雰囲気を持ち、刻みリフの多用や力強いリズム、しっかり太く聴こえるベースの音色など、若干ロック色も強め。ヴォーカルも近年のIhsahnを思わせる高音絶叫で、変に情けないクリーンを入れてカリスマブレイクしない辺りが良いですね。ただし、叙情一辺倒ではなく、時折見せる陰湿で病んだムードが、リトアニア産ブラックらしいなぁ…という気がします(偏見)。

叙情性と病的さのコントラストが魅力的で、プロダクションも含めた楽曲の質もなかなかなので、叙情系や精神病んでる系のブラックが好きであればお勧め出来る一枚。MORODHやVIDHARR辺りまでチェックしてて、尚且つそれらのバンドが好きであれば是非。


THE TRUE WERWOLF (WERWOLF) - Death Music ★★ (2015-12-07 23:01:15)

2013年発表の音源集。
2004年から2012年にかけて発表された4つのEPや、未発表曲等を収録し纏めたコンピレーションアルバム。

フィンランド産ブラックとしては最も知名度や評価の高い、SATANIC WARMASTERのメンバーによる別プロジェクトとのことですが、しっかり本隊とは差別化された音になってますね。こちらはダークアンビエントとブラックメタルの両方を演るプロジェクトですが、プリミティブな質感を残しつつ、この手としては破格のドラマ性を持つSxWxに対し、こちらはもっとRawでシンプルな感じで、より本質「だけ」になった感じの音。

これくらいシンプルな展開の音にしても、どこか凄みがあるというか聴かせどころを分かっている感じが、ジャンルを牽引してきた人ならでは…という気がします。ダークアンビエントパートも、ノイズ/ドローンに通じる音で薄暗さや圧迫感を感じさせるもので、なかなか悪くないですね。しっかり闇に包まれるような感触を味合わせてくれます。

SATANIC WARMASTERのネームバリューに留まらない、魅力を感じさせてくれる作品。この路線も良いですね。


THE TRUE WERWOLF (WERWOLF) ★★ (2015-12-07 23:00:29)

SATANIC WARMASTERのWerwolf氏によるプロジェクト。
WERWOLFとも表記されますが、THE TRUEが付いても付かなくても「WEREWOLF」ではないので、音源の情報を調べる際は注意。


THORNSPAWN - Sanctified by Satan's Blood ★★ (2015-12-05 17:57:08)

2007年発表の3rd。

プリミティブブラックの「粗さ」って、大きく分けて「音を篭もらせる」「音をノイジーにする」の二種類になると思いますが、この作品は後者でもかなり過激な音ですね。ノコギリの刃で引くような、刃物系な金属質なノイジーさで、メジャーなバンドはほぼやらないであろう音作り。低音質や劣悪音質というよりは極悪音質…いや、むしろ極道音質とでも言いたくなる感じの音(笑)。

ただ、意外にもメロディアスなトレモロリフが多く、ノイジーであってもメロディが埋もれたプロダクションにはなっていないのが特徴ですね。むしろ適度にメロディアスな事によって、より刃物的なギラギラした音の質感が強調されているような印象があります。楽曲の方も衒いの無いブラックで、終始ハイテンションで展開してくれるので話が早い感じ。

INFERNAL WARを始め、良質なブラックを多数リリースし今や名門ともいえるAGONIAから出ているだけあって、その手の期待にはしっかり応えてくれるであろう作品。聴かせたいところがはっきりしてる作品は強いです。


VINTAGE FLESH (INVERTICRUX) - Hour of the Night Gaunts (2015-12-05 17:50:06)

2011年発表の2nd。
2014年に日本のレーベルであるHidden Marlyにより再発。ちなみにバンドはリリース後に改名していて、現在はINVERTICRUXというバンド名になっているとか。

…まず言いたいのは、この作品がディプレッシブ/メロディックブラックとしては非常に良質な作品で、再発を決めたHidden Marlyには惜しみないGOOD JOBの賛辞を送りたいほど…という事ですね。アメリカ産のブラックですが、フレンチ勢にも通じる病的な美しさと、ディプレッシブらしい鬱感の入り混じったトレモロが素晴らしく、使用頻度も高いのでこの手が好きならメロメロになれそう。

ただ、それを差し引いて酷いのがヴォーカル…。最早どこかの素人にやけくそになって鶏の鳴き真似をさせたような、素っ頓狂で喉の絞まった裏声絶叫が多く、聴いていてなんだか情けない気分になってしまう…(笑)。似非オペラのように、キモ裏声に過剰なビブラートを掛けたクリーンヴォーカルが出てくるのも、不快を通り越して滑稽。…ぶっちゃけヴォーカルがまともなら☆は3つですけどね…。

人によってはこのヴォーカルに不条理さの演出だとか、諧謔味とかを感じられるんでしょうが、私には生理的に無理でした…。こういうスタイルのヴォーカルが嫌でなければ、デプレ系・メロブラなど好きであれば気に入りそう。


GMORK - Ave Nihil ★★★ (2015-12-04 00:36:20)

2015年発表の3rd。

日本盤が発売、更にSIGHの川嶋さんがライナー書いているということもあって衝動的に購入した一枚。どうもこのバンド、メロブラとしてかなり評価が高かったらしいですが、今作はそのレッテル貼りを嫌い、敢えてメロディは抑え目にしてあるとか。初聴のバンドなので過去作との比較は出来ませんが、ブラックメタルとしてかなり良いバランスに仕上がっていると思います。

GORGOROTHが支持される理由って、アルバムによって作風はある程度変えても、アングラな衝動性、メタルの構築性、ブラックの土着性がバランスの良い配分で組み込まれているからだと思いますが、このバンドも共通するセンスを感じます。展開やフレーズの構成が緊張感・ドラマ性に富んだ作風、締める所でしっかり締めるリフのトレモロなどは特に。こちらの方がより野蛮で荒っぽい印象ですね。ヴォーカルのがなりに時々混じる地声がちょっとくどいのは…まあご愛嬌でしょうか(笑)。

しかし、確かにこれだけのものを聴かせられると、過去作も気になってしまいますね。このバンドのメロメロな作品も聴いてみたいものです。


MIRKHALL - Heathen Hearted (2015-12-04 00:34:20)

2005年発表の音源集。
98年のデモ「Ring to Rune」、2000年のデモ「Winter of Tragedies Reign」をまとめ、リマスターを施したもの。

このバンド、BEHEXENやSARGEISTを始め、HORNAやMORTUALIA、FINNENTUMなど数多くのバンドに関与し、NIGHTBRINGERやDROWING THE LIGHTなど知名度の高いバンドにも関わっていた、フィニッシュ・ブラックの裏番長的存在ともいえるShatraug氏が正式メンバーのペイガンブラック…という触れ込みですが…そんなハクの付いた出自とは裏腹に、余りにも渋いというか…ぶっちゃけ地味な作風です(笑)。

リフにはペイガン由来の土着的叙情性が込められてはいるものの、ミッドテンポ中心かつ乾いたノイジーさのプロダクションのせいで、今ひとつそれがダイレクトに伝わってこない音なんですよね。BURZUMの名盤、「Filosofem」から緊張感とカリスマ性を取り除いた感じというか…。歌うように弾かれるベースだったり、時折入るおっさん臭い朗々としたクリーンは良い味出してて嫌いじゃないんですが。

…ぶっちゃけペイガンブラックとしてはかなり微妙な作品だと思います(苦笑)。Shatraug氏がこんな活動もしていたという資料的な作品としてなら良いかも…。


THE TRUE FROST - ...in Eternal Strife ★★ (2015-12-04 00:30:05)

2005年発表の3rd。

タイプとしては、オールドスクールな要素の強い展開と、Rawな演奏で聴かせる、特に衒いのないプリミティブブラックという感じですね。ドイツ産のバンドですが、フィンランド辺りのプリブラ勢が如何にもやりそうな路線の音。…ただし、優秀なプリブラとしての要件は満たしており、流石WTC所属のバンドとは思わせるものの、全体的に若干地味な感じは否めないかも。

北欧然としたブリザードリフを伴う疾走、土着的なメロディを前面に押し出した毒々しい展開、キメを多用してふてぶてしい不敵さを演出するフレーズなど、所々にハッとさせられるような箇所はあるんですが、それでも全体の「地味」という印象を覆すには至らない感じですね…。太めのがなり声で、時折悪魔笑いも聴かせるヴォーカルなど、良い味を出してると思う所は結構あるんですが…。結局無駄に長い無音部分が一番印象に残るという(笑)。

似たような路線のバンド、例えばNorthern Heritage辺りの所属バンドと比較して、明確に何か秀でている点があれば化けるような気がしますが…この段階ではまだたくさんいるバンドの中の一つという感じです。バンド名は如何にもでかっこいいですが。


HANDFUL OF HATE - Vicecrown ★★★ (2015-12-02 12:36:20)

2003年発表の3rd。

これ、無茶苦茶かっこいいです。
スラッシーなノリのよさとファストブラックの攻撃性を飲み込み、暴虐の限りを尽くすような作風で、CADAVER INC.辺りの炸裂感のあるブルータリティが好きな人にはドツボに嵌まりそうな音。意外にもリフはメロディアス…というか、メロディのぶっ込み方が上手いので暴虐一辺倒にならないドラマティックさも持ち合わせてますね。

…何が素晴らしいかというと、全体を通じての熱量の高さ。粗くも抜けの良い音色で、速いだけでなく針の筵を転げ回るかのごときオカズを入れつつぶっ飛ばすドラミング、歪み切り声量もある狂犬としかいいようのないヴォーカル、分かりやすい邪悪さを湛えたリフといい、とにかく聴いていて熱くなれる作品なんですよね。その熱量はスローな曲でも発揮されており、焼け付くような緊張感が感じられます。

聴いていると、嫌が応にもテンションが上がってしまう一枚。暴虐な音で頭と鼓膜をぶち抜かれたい方には大推薦です。ほんとかっこいい。


THE GREAT OLD ONES - Tekeli-li ★★★ (2015-12-02 12:32:19)

2014年発表の2nd。

元はMOONREICHやREGARDE LES HOMME TOMBRE、PARAMNESIA、DELUGEなど良質なバンドを抱え、最近大注目のレーベル「Les Acteurs de L’Ombre Productions」より発売されてますが、なんとその翌年日本のレーベル、Maa Productionsからもリリースされてますね。これだけでも注目度の高さが伺えますが、日本盤は約1500円で安いのも嬉しい(笑)。

路線的にはブラック特有の歪んだギターリフにより情景を描き出すような、バンドサウンドを媒介に一つの世界観を演出するようなブラックメタルで、カスカディアンブラックともやや共通点のある音。ただ、カスカディアン勢が自然崇拝をテーマにする事が多いのに対し、このバンドはラブクラフト的な狂気的で、ホラーかつ深遠な世界観を身上としているのだとか。

それは音の方にもよく表れていて、カスカディアン勢のようにフォーキーなメロディを重視したりは余りしない分、フレーズの不気味さ・狂気に焦点を当てたような展開が多く、まるでギターの音色が彼岸からの呼び声に聴こえるような箇所も。ある意味でアヴァンギャルドな感性を持っているので、ショップで近年のDEATHSPELL OMEGA好きな人に推薦されてたり、ポストブラックと共に推されていたのも理解できる音なんですよね。

スケールの大きな狂気を演出する、世界観にこだわった作品。鬱系で味わえるような、個人の狂気に共感して感情を動かされるような感覚とはまた違った味わいのある音だと思います。


FROSTREICH - Geistfahrt ★★ (2015-12-02 12:28:02)

2013年発表の1st。
日本のMaa Productionsから…ということで買ってみた一枚。タイトルの意味は精神の運行…でしょうか?じわりじわりと魂が向こうの世界に引っ張られていくような音にはピッタリのタイトルですよね。

流石に、日本のレーベルが目を付けるだけのことはあって、鬱ブラックとしての完成度はしっかりしたものがありますね。全体を通じて、叙情的ながら緩やかに破滅に向かいつつあるようなメロディ、アコギやストリングスを使ったメランコリックなムードの演出などは上質ですし、ヴォーカルもなかなか真に迫っていて悪くないです。

ただ、若干ですが音の濃密さがちょっと足りない気も…。この手の音なら、もっと厚みがあって、聴いていて飲み込まれてしまいそうになるような音の方が好みなんですよね。特にバンドサウンド部分がちょっと軽いかなー、と感じてしまいます。ドラムの音が軽めなのは、音にジャジーな(?)軽快さを加味しているようにも感じられ、よりポストブラック然とした音になっているので悪くはないですが。

個人的には良質だけど、あと一歩何か欲しいな…という感じですね。緩やかに破滅するような叙情性はかなり好きですが。


THIS GIFT IS A CURSE - I, Gvilt Bearer ★★ (2015-12-02 12:26:07)

2012年発表の1st。

音的にはポスト/アトモスフェリックブラックをめっちゃカオスにした感じ…でしょうか。ブラック特有のノイジーなギターリフを活用し、一つの情景を描いていくような作風自体はこの系統という感じですが、リフにはスラッジ的などす黒い熱量の高さがありますし、ヴォーカルも野太い声質でハードコアにも通じる地声混じりの苦悶絶叫スタイルで、この手としては異例なほど混沌とした音。路線は全く違えど、ANAAL NATHRAKHにも通じる地獄絵図なムード。

メロディやリフ捌きもかなりカオティックで、聴いていると常に緊張を強いられているような感じ。この手のポストブラックって、バンドが描こうとする情景に共感する事で、ある意味安らげたりしますが、この作品の世界観はどこを探しても精神の安息など見付からなそうです。この精神がヒリつくようなムード、リフのスラッジ的なノイジーさと物凄く相性が良いんですよね。良い意味で中途半端さがなく、気に入る人は心底気に入りそう。

路線としてはREGARDE LES HOMME TOMBREやTHE GREAT OLD ONESなど、Les Actuers L’Ombre勢なんかが好きな人は気に入りそう…と思いますが、こちらの方がより人を寄せ付けない感じ。そういえば、最新作は未聴ですが、Season of Mistからのリリースだとか。何気に出世頭のバンドなのかもしれません。


SORDIDE - La France a peur ★★★ (2015-11-26 01:52:00)

2014年発表の1st。

一言で言うなら、スラッジ要素も感じさせる、熱量の高いノイジーさのリフ+オールドスクール+フレンチらしいメロウなブラック、を組み合わせた感じの路線なんですが、これが凄まじくかっこいい!スラッシーで勢いのあるパートはストレートな熱気をよりダイレクトに伝えてくるし、スローパートは焼け付くような乾いた狂気を感じさせ、神経を休める事を許さないインテンスな雰囲気を演出してますね。ヴォーカルの喉を磨り減らすようなパフォーマンスも作風に実にピッタリ。

何気にベースもブオンブオン鳴っててかなり音像はエグいんですが、実はかなりメロディアスなフレーズを弾くパートが目立ち、4曲目の「L’innocence」なんかでは特に顕著なんですが、それが狂気的なトレモロと合わさると何かが脈動するような、ダイナミズムのある邪悪さが表現されているように思います。惜しむらくは、スラッジ/ドゥーム色の濃くなるアルバム後半が若干くどく感じる事でしょうか…。と言っても、これは私が前半の疾走パート・メロウ邪悪パート多めの作風に魅せられているから…というだけで、人によってはこの粘着質でサイコな雰囲気の方をより気に入るかもしれません。

それを考慮しても、これは凄く良い作品だと思います。熱気と狂気、邪悪さの応酬をダイナミックに感じられるパートの多い前半~中盤は特にお気に入り。


ERGOT - Victims of Our Same Dreams ★★ (2015-11-26 01:49:10)

2015年発表の1st。

本編はオールドスクールな要素もあるブラックなんですが、アコギやブラス(っぽい音色のキー)などを使用し、やたらと低音の効いたアンビエントパートが、特にメインという訳でもないのに凄く印象に残る作品。湿った、土着的な叙情性を大きなスケールで描いているというか、思わず畏怖を覚えてしまうような、濃厚な雰囲気があります。

ショップでは初期SATYRICONや初期GORGOROTHが引き合いに出されていましたが、黎明期のバンドと比べると(意図的に粗くしているとはいえ)整った音にも関わらず、それらが引き合いに出されるのは、その「湿った土着的な叙情性」が本編にも色濃く受け継がれているからだと思います。決して派手だったり衒ったりした音ではないですが、染み入るようなダークな雰囲気が通じる気がしますね。また、個人的には2曲目「Red Shining Moon」の後半のギターソロが特筆もの。調子が外れたようなトレモロが狂気的、だけどメロウで嫌でも記憶に残る感じ。

中古で安かったのでレーベル買いしましたが、なかなか悪くない作品です。時折ヴォーカルのパフォーマンスが物足りなかったりなどはありますが、確かにブラック黎明期のダークさに通じる雰囲気のある音だと思います。


NETRA - Melancholie Urbaine ★★ (2015-11-17 21:34:04)

2010年発表の1st。

他のバンドを引き合いに出すなら、エレクトロニカ要素をより強めたGERMや、ULVERの「Perdition City」と鬱ブラックを融合させた感じ…でしょうか。打ち込みリズムやアダルティな雰囲気のキーボードで夜の都会を思わせるエレクトロサウンドを演出しつつ、それを裏返り気味の絶叫ヴォーカルやノイジーなリフなど、鬱ブラックの要素と合わせたような路線。ポスト系としてもエレクトロ要素の濃い方で、ジャズに通じるアーバンでお洒落なメロディと打ち込みの硬質な音色のマッチが心地良い。

ヴォーカルのクリーンも溜息を付くような嘆き節で、雰囲気を壊すことがなく良い感じ…なのですが、個人的には鬱ブラックのある意味での「粗さ」「衝動性」が、エレクトロでアーバンな雰囲気作りの足を引っ張ってしまっている印象も受けますね…。ULVERの「Perdition City」やSTAR OF ASHの作品なんかが顕著ですが、この手のエレクトロ路線の作風は音のレイヤーが丁寧に重ねられて陶酔できる雰囲気を演出することが多いですが、その傾向がプロダクションの粗さと少しぶつかっている感じがするんですよね。

個人的に、作風自体にはかなり共感した作品。このまま煮詰めていって、例えばULVERやPECCATUMの後期作品、IHSAHNのソロ作品くらい練りこんだ音になってくれればホント理想ですね。


DYNASTY OF DARKNESS - Empire of Pain ★★★ (2015-11-11 00:27:14)

2014年発表の1st。

ノルウェー・ドイツの混合メンバーからなるシンフォニック・ブラックメタルバンドで、MAYHEMその他のHellhammer氏がドラムを務める…という事と、日本盤が出てたこともあって購入。シンフォブラックの王道をDIMMU BORGIRやCRADLE OF FILTH辺りとすると、そこからは若干路線を異にする作風の音ですね。

Hellhammer氏のタイトなドラミングを中心に、バンドサウンドもがっつり主張しつつ、壮大なキーボードが被さる路線ですが、バンドの音にしろキーボードにしろ、過剰にはメロディックにならない印象。整った音で刻みを多用する音作りはどこか冷厳で人を寄せ付けないイメージがあるし、そこに冷たい音色のキーボードや霊性を感じさせるクワイアなどが重なると、ある種の閉塞感すら覚える音に。

ただ、メロディを重視していないかというと全くそんなことはなく、要所で聴ける叙情メロがまたたまらないんですよね。ラストを飾る「Frozen」の噎せ返らんばかりの叙情性に、個人的には悶絶しました(笑)。キーのメロディのみならず、トレモロのハーモニーも実に美しい。あそこまで定形外な音と言う訳ではないですが、LUNAR AURORAを始めとしたCold Dimensions勢に通じる雰囲気もある気がしますね。

ただ、オープニングだけは不満が…ノイズに乗せて何かぶつくさ言ってるのを4分もやられても(苦笑)。個人的には、例えばCARACH ANGRENやWINTERBURSTなど、王道でクオリティの高い音を出しているバンドは結構多いのに、こういう尖った部分を持つバンドの日本盤が出てるのがちょっと意外でした。


CROSS VEIN - Royal Eternity ★★★ (2015-11-10 23:49:37)

2015年発表の2nd。

近年、特にメタルを専門にしているわけでもない某レンタルショップにすら嬢メタルのコーナーがあったり、CYNTIAやALDIOUSくらいの知名度のバンドであれば普通に貸し出しを行っていたりなど、女性ヴォーカルをフロントに据えた、いわゆる「嬢メタル」がかなりの支持を受けているようですが…その中でも最も私の好みにフィットするバンドを見つけたかもしれません。

シンフォメタルの絢爛さと、ゴシックの耽美さを兼ね備えつつ、歌モノであることとテクニカルな演奏が主張する事を両立させたメタル…という感じの音ですが、最早「嬢メタル」を通り越して「姫メタル」とでも呼びたくなるような華美で可憐な世界観が特徴。ポップスのキャッチネスにメタルの大袈裟さを掛け合わせた歌メロ、それを十全に引き立てつつ主張も激しい楽器陣と、非常に聴き応えのある音。

…なんというかこのバンド、感性的に幼いころからゲーム音楽の派手でキャッチーなメロディに慣れ親しみ、V系を始めとした分かりやすい攻撃性のかっこよさのあるバンド音楽を聴いて育った、私たちくらいの世代に直撃なものがあるんですよね。音圧の高いギターや暴れるドラムもそうだし、ゲーム音楽に通じるメロディがそこかしこに出てくるのも熱い。「Suite Museum」のジャジーなパートのメロディは艦これの夜戦の曲でしたっけ?に似てるし、「Last Melody」は紅魔郷の頃の東方+ACID BLACK CHERRYっぽい。

あと個人的にですが、歌詞の世界観が凄く魅力的なんですよね。少女趣味だけど気高さがあるというか、何か憧れを抱いてしまうような世界観。一般的なメタルのマッチョイズムなイメージからはかなり掛け離れた世界観。その歌詞の世界観を表現するのが、ちょっと声楽っぽさの入った、ビブラートを掛けて歌い上げる陶酔的なヴォーカル…というのも実にマッチしていて素晴らしいです。

今年は日本のメタルもかなり良質なリリースが多かった印象ですが、現時点ではその中でベスト作品を決めるとしたらこれが第一候補ですね。とにかく歌謡メタル好きで派手な音楽が好きな人で、まだ聴いていない人がいれば非常に勿体無いと言わざるを得ません。


AROUND THE NATION - AtheNa1 Regeneration ★★★ (2015-11-10 23:48:20)

2014年発表の1st。

メンバーがLIGHTBRINGER絡みという事で、その系統の音を期待して購入しましたが…そういう動機で購入した人であれば満足するのではないでしょうか。キャッチーなメロディを個性ある魅力を持つヴォーカルが歌い上げ、楽器陣がテクニカルな演奏でサポート…という路線は似ていますが、こちらの方がよりヴォーカル・オリエンテッドな作風だと思います。

…驚いたのは、何と言っても楽曲が凄く良いんですよね。どの曲も歌メロが、アイドル系のポップスと比較しても何ら劣らないくらいにキャッチー。むしろそのキャッチネスが、メタル者特有の大仰な感性でブーストされている分、より魅力は高いかもしれません。初めてこのアルバムを聴いた時はまず歌メロの良さに目を瞠ったものです。「Rising!」「ExBrave」のキャッチネス、「scar」「君に恋した春桜」の叙情性、「I am You」の演奏との鬩ぎ合い…どれも魅力的なのは前提として、「キャラが立ってる」感じ。

そしてそれを歌い上げる、IBUKI氏のヴォーカルも本当に素晴らしい。LIGHTBRINGERのFuki氏とはまた別の方向でパワーのあるヴォーカリスト。王子様系の女性という感じの、凛々しさとコケティッシュさを併せ持った感じでしょうか。エモーショナルにしゃくり上げたり、挑発的に歌い上げたり、声質の魅力を引き出すような歌い回しに引き込まれる。そして絵が滅茶苦茶上手い(笑)。

随分と買うタイミングは遅れてしまったので今更お勧めするのも…と思わなくもないですが、歌謡曲文化とメタル文化の折衷音楽として物凄くお勧めできる逸品。LIGHTBRINGERやCROSS VEINが好きであれば是非。


SVARTGREN - Prazan Grob ★★★ (2015-11-08 11:51:11)

2015年発表の1st。

日本盤が発売された事もあって興味を持って購入したんですが、これがなかなかに素晴らしい内容。音的には3部作期のDARKTHRONEほどミニマルでない、プリミティブブラックで、SATANIC WARMASTERやCRAFT辺りに近い路線でしょうか。「プリミティブブラック」の様式を崩さない範囲で最大限にドラマ性を演出しつつ聴かせる楽曲は、今挙げたようなベテランと比較しても劣らない魅力がありますね。

これがフルアルバム一作目というのに、一曲目から堂々としたミディアムで聴かせる、かつそれが奏功している辺り貫禄も十分。呼気が強くドスの効いた中にもヒリついた感触のあるヴォーカル、ジャンル内ではクリアながら生々しさ・コシの強さを感じさせるヴォーカル、叙情的ながら邪悪な昂ぶりを感じさせるメロディ、えぐめのベースの音もしっかり絡むアンサンブルなど、各パーツを個別に見ていってもかなりのハイクオリティ。

セルビアといえばBANEやMAY RESULT、THE STONEなどを始め注目バンドが多く、ブラックの名産地になりつつありますが、このバンドもセルビアの注目度を上げるだけの魅力があるように思います。お勧めです。


NIDSANG - Into the Womb of Dissolving Flames ★★★ (2015-11-08 11:47:21)

2014年発表の2nd。

一言で言えば、「Sworn to the Dark」期くらいまでのWATAINや、FUNERAL MISTを思わせるような、ジャンルとして成熟してきてからのブラックの王道…という感じの、邪悪さを追求するような路線の音ですね。コシのある…と表現したくなるような野太いデスボイス、邪悪なだけでなく宗教的な神秘性も感じさせるトレモロなど、表現のレベルは間違いなく高いと思います。

この手のバンドとしては暗黒系のデスメタルに近い、どす黒い靄に覆われるようなノイジーさがあるのも特徴でしょうか。個人的にドラムの音が鋭過ぎないのが、生々しくて良いんですよね。また、3曲目の後半部では最もダークだったころのM.マンソンを思わせるくらいあざとい邪悪メロディが出てきたり、5曲目冒頭ではそれこそWATAINに匹敵するような苛烈な疾走を聴かせたり、印象深い展開が多く楽曲自体もかなり魅力的。

特に目新しい事をやっている訳ではないですが、確かなクオリティのある好盤。この手の音源を聴き漁っている人ならば満足するのではと思います。


SIVYJ YAR (СИВЫЙ ЯР) - Из тьмы вымерших деревень (From the Dead Villages' Darkness) ★★★ (2015-11-08 11:44:46)

2014年発表の4th。

フォーク/ペイガンブラックは大きく分けるとお祭り系のクサメロを乱舞させるタイプと、メロディの土着性により湿った叙情性を演出するタイプがありますが、このバンドは明らかに後者ですね。ミッドテンポ中心で重々しい雰囲気、悲痛な絶叫ヴォーカルと鬱系の要素もある音ですが、この土着の音楽由来と思しき仄暗く湿ったメロディが、鬱要素強い楽曲に見事にフィットしているんですよね。

荒廃した雰囲気の演出の上手さは一流と言ってもいいと思います。曲の要所で挿入されるヴァイオリンがまた泣き泣きで良いんですよね。また、鬱的な暗さだけでなく、時折ポストブラックにも通じる儚さのパートも出てきますが…単に情景描写が巧みなだけでなく、コシの強いベースの音や、メロウさを殊更に強く演出するトレモロ、ロック系のリズムやブラストも取り入れたリズムなど、楽曲のメリハリと両立させているのが素晴らしいです。

巧みな情景描写に、ポストブラック的なカタルシスを感じさせる楽曲と、曲作りのレベルはかなり高いのではないでしょうか。陰鬱なだけではない、叙情的なブラックが好きであれば是非。


SEGOR - Warmageddon ★★ (2015-11-08 11:37:57)

2014年発表の3rd。

音のジャンル自体は明らかにシンフォニック・ブラックと言えるものですが、実は歌詞のテーマはサタニズムではなくキリスト教そのもの、つまりクリスチャンメタルなんだとか。音的には、ブラス等の音色を効果的に使い、緊張感のある雰囲気を維持しつつ、キーボード以上にバンドサウンドを重視した音で、シンフォ寄りのメロディック・ブラックとも言えるかも。

キーボードがメインを張っていないパートもかなり多く、ビキビキした音量高めのドラムを中心に、暴虐なだけではないアンサンブルで聴かせるパートもあり、聴き応えのある作風…とも言えるんですが…。時々ドラムの音にリフやキーなどが負けていて、うるさい音に感じられるときがあるのがちょっとネックかも。展開が全く一本調子ではないのはかなりプラスのポイントですが…。

そしてこの手でクリーンが微妙なのはご愛嬌…ではありますが…。本編ラストの10曲目、これはちょっと…(苦笑)。なんかハイトーンの時の声がゆるキャラが出しそうな声色なんですが(笑)。初めて聴いたときちょっと笑ってしまいました。ボイトレって重要ですね。


RETRIBUTION (SPAIN) - Corpus Antichristi Y3k ★★★ (2015-11-08 11:35:12)

2014年発表の1st。

私は未聴なのですが、どうやらこのバンドのメンバーの別バンドである「OPERA MAGNA」は、スペインのクサメタルシーンでも高い評価を得ているバンドのようですね。その感性が発揮されているのか、派手さを売りにするバンドの多いシンフォニック・ブラックというジャンルの中でも、派手さやクサさは群を抜いているように思います。

路線としてはまあABIGAIL WILLIAMSの1stや、同郷ならGOTHMOG辺りに通じる、いわゆるDIMMU BORGIR系のブラックの系譜という感じで、キーボードにアンサンブルを任せすぎず、しっかりメロディを主張するギターワーク、ドラマ性に富んだ展開とこれらバンドに劣らないクオリティを誇る音。

ただし特異なのは、混成合唱やソプラノをふんだんに使い、これらのバンド以上にメロディを強調した音作りをしていること。特に高音域を強調したソプラノは、畏怖を呼び起こすような感覚も覚えさせ、非常に効果的に使われているように思います。決して攻撃性が低い音ではない、むしろ高めといえる音ですが、このお陰で凄まじくメロディックでクサい印象が強くなってます。

そういう訳で、クサメタル愛好家にもファンの多いこのサブジャンルにおいても、かなりクサメタラー向きの作品だと思います。とにかく派手で見栄え(聴き栄え?)のする音が好きであれば是非。


MIRZADEH - Desired Mystic Pride ★★ (2015-11-08 11:27:49)

2014年発表の3rd。

アトモスフェリックなキーボードと、泣きメロを織り込んだギターワークを武器に、ミッドテンポ中心の展開で聴かせるシンフォニック・ブラックで、派手で攻撃的な路線が人気を集めやすいこの手の音としては、割と渋めの音を出しているバンドですね。ただ哀愁があって浸れるというだけでなく、時折ペイガンやゴシックに通じる妖気を感じさせ、楽曲にメリハリを付けているメロディセンスがなかなかに良い感じ。

ただし、歌謡曲を聴いて育った耳には、このバンドのクリーンは正直「ないわー…」という感じがしてしまいますね…。なんか喉を絞めているというか、おっちゃんっぽいというか…カリスマ性が今ひとつ感じられないのがネック。低音のグロウルやブラック的な絶叫の方は悪くないです。特に後者は切羽詰った感じがして、個人的には好きですね。まあクリーンもアルバム通じて物凄く多いわけではないですし、全然許容範囲内ですが。

本来盛り上がるべきパートであるクリーンの歌い上げが来るとげんなりする…というウィークポイントはありますが、金太郎飴にはならないバラエティ、全体的な雰囲気など、決してクオリティは低くない良作。メロディに浸りたい派のブラック好きに。


MURG - Varg & Björn ★★★ (2015-10-22 11:38:48)

2015年発表の1st。
正直、このペーパースリーブという形式、CDの保存性に難があって個人的には大嫌いなんですが…それを差し引いてでも素晴らしい作品です。

路線としては、ブラスト一辺倒ではなく、スラッシュビートやミディアム等も交えた劇的な展開と、単に邪悪なだけではない、サタニックな神秘性も孕んだトレモロで聴かせる、ストレートなブラックメタル。若干音質がRawな感じはありますが、衒いのないスタイルかつ楽曲が非常に魅力的なんですよね。

特に荒々しくノイジーな音の中で、破滅の光が降り注ぐかのごときトレモロと、ガラガラに歪んだヴォーカルが何かを訴えかけるかのように叫び、宗教的な恍惚感すら喚起するようなあの感じは、かのFUNERAL MISTを聴いたときの感動に迫るものがあります。バンドメンバーの構成も明かされていないし、これが初のアルバムらしいですが、既に何年も演っているような堂に入った世界観の構築振り。

ただ、PCとの相性が悪いのか、もしくはPCがおかしいのか…何故か私の環境だとPCで再生できない(音跳び、ノイズが頻繁に発生)ので、ウォークマンに入れて外で聴けないのが残念…。これが私だけなのか、皆そうなのか気になります。それを除けば、ブラックとしてほぼ完璧に近いです。


IMPETUOUS RITUAL - Unholy Congregation of Hypocritical Ambivalence ★★★ (2015-10-22 11:37:00)

2014年発表の2nd。

あのPORTALの関連メンバーによる暗黒デス/ブラックということですが、PORTALに通じるところもありつつ、差別化もされているような作風ですね。向こうほどノイズ/アンビエント色の強い音ではありませんが、ギターのどす黒い靄に視界を全て奪われるかのような独特の邪気を孕んだノイジーさは、確実にPORTALに通じるものがあるように思います。

但し、攻撃的でキビキビした印象のドラムがそれなりに前に出されていたり、メタリックなイカレ系のギターソロがフィーチャーされていたり、若干音が普通のデスメタルに近い部分もある気もします。ただ、何かの悲鳴のような音をギターが奏でていたり、リフのノイズから漏れ聴こえてくるメロディがやたら黒かったり、感性的には邪悪そのもの。

PORTALを始め、ÆVANGELISTなどどす黒い空間の演出が巧みなデス/ブラック系好きな方にお勧め。


BARBATOS - Straight Metal War ★★ (2015-10-22 11:34:31)

2015年発表の5th。

日本のブラックとしてはトップクラスに有名、しかもバンド名がテイルズオブ~シリーズの悪役っぽくて親しみが持てる、たまたま新譜がセールで安かった…と色々好条件が重なったので購入しましたが…これは思った以上に明るいというか、ファンキーというか、カブいているというか…。ライブハウスで暴れている様が想像出来るような、オールドスクール&パンキッシュで、明るくロケンローなブラックメタル。

マイナスの感情を吐き出すのではなく、ライブハウスの客をアジるような、やたらハイテンションで楽しそうなヴォーカルといい、メタルの楽しさを謳歌するようなギターソロといい、悪魔崇拝や自傷とはかなり距離を置いた、楽しそうな雰囲気がある作風。「バーニン・メタル・ファイヤ~!お前の事さ…♪」…なんというか、不良文化というかツッパリ文化の匂いも感じるのは気のせいでしょうか(笑)。

個人的には陰鬱で部屋で独りで聴くようなブラックが好みなので、正直合わない音ですが…パンク化してからのDARKTHRONEをより突き詰めたような音が好みであればかなり気に入るのでは。


MYRKUR - M ★★★ (2015-09-22 10:29:03)

2015年発表の1st。

Terrorizer誌の表紙を飾ったりだとか、ライブメンバーをMAYHEMの新ギタリストであるTelochを始め、NIDINGIRやGOD SEED、DHGなど知名度の高いノルウェー産ブラックのメンバーで固めてたりだとか、ARCH ENEMYのChristopher Amottがゲスト参加してたりだとか、とにかく話題の尽きない女性ブラックメタラーの初のフルアルバム。しかもULVERのGarmがプロデュースに関与とか…こんなのスルー出来る訳ないじゃないですか(笑)。

音楽性としては、かなりポストブラック的な要素の強い音ですね。可憐で儚げな女性ヴォーカルやピアノなどによる神秘的な雰囲気、ペイガン要素を取り入れたことで醸し出されるエピックで神話的なムードなどと、荒々しいブラックメタルパートが1枚の中で混交する作品。Myrkur氏のヴォーカルは、太さには確かに欠けるものの、女性らしいヒステリックな獰猛さがあって悪くないです。

ブラックメタルパートは音的には確かに荒々しさが感じられるものの、原初ブラックの野蛮な衝動性であるとか、サタニズムであるとかには意図的に距離を置こうとしている気がします。ただ、美と醜の対比や、それによって演出される非日常性は、確かにブラックの感性が反映されてるように思います。個人的には、Myrkur氏のクリーンが可憐な響きなのが本当に良い。…ぶっちゃけポストブラックでマイルドに歌うならともかく、カリスマ性の欠片もない喉絞め男性クリーンとか入ってきたら超萎えますもん(笑)。

という訳で殆ど話題性に惹かれる形で買いましたが、悪くない作品だと思います。新世代ブラックの感性が嫌いでなければ是非。逆に衝動性や邪悪さなどブラックのプリミティブな部分にのみ惹かれてる人には合わないかもしれません。しかし、こういうアーティストが雑誌の表紙を飾れる海外が羨ましくてなりません。


FAMINE - Famine ★★★ (2015-09-21 09:59:32)

2007年発表の1st。
今年Avantgardeより再発され、試聴して良かったので購入。

一言で言うなら、「腐食系」とでも言えそうな、グズグズに崩れるようなカオティックさを感じるブラック。時折アヴァンギャルド性も感じられますが、リフはブラックとしてのオールドスクールさがありますし、カオスさを強調する攻撃的なリズムもかっこよく、根幹の部分はかなり真っ当にブラックしていますが…ヴォーカルや音響のせいで禍々しい雰囲気が凄まじい事に。

まずヴォーカル…単に絶叫するだけでなく、呻いたりして精神のタガが外れたようなパフォーマンスも壮絶ですが、それにリバーブが掛かりまくるので最早訳の分からないことに。音質もノイジーさがあるだけでなく、エフェクト的な音も混ぜて更にぶっ壊れた感覚をブーストさせてますね。個人的には、KATHARSISの「VVorld VVithout End」やLEVIATHANの「Massive Conspiracy Against All Life」辺りのアルバムを想起させるようなカルト性を感じます。

…こんなイカれた作品を、しかも8年も経って再発するとは、流石Avantgarde…と妙に感心してしまった1枚。地獄を体現するような禍々しさです。


BONJOUR TRISTESSE - Par Un Sourire ★★ (2015-09-15 21:15:19)

2011年発表の1st。
まずバンド名が良いですよね(笑)。「悲しみよこんにちは」って、「タッチ」かよ!と思い、思わず購入してしまいました。まあ中古でしたし…。本当はフランソワーズ・サガンの小説が元ネタでしょうけど(そもそも「タッチ」主題歌の方も)。

そんな経緯で買ってしまいましたが、実はHERETOIR、THÄNENKINDのメンバーである、Nathanael氏による独りブラックなんですね。これらバンドがシューゲイザー/ポストブラック的な儚さを感じさせるのに対し、こちらは王道過ぎるくらい王道な鬱ブラック。正直、何も衒いが無さ過ぎてレビューに困るくらい(笑)。

完全に絶望一色ではなく、時折エモーショナルなメロディも登場するのもこの手の常套といえば常套ですね。ヴォーカルは世の中の苦痛から背を向けて駄々を捏ねるかのように、嫌気の篭もった感情を吐き出す絶叫タイプですが、この手にありがちな情けない泣き声になったりせず、かつてのBURZUMにも若干通じるものがある、あくまで歪み切ったかっこいい声なのが良いですね。

正直、クオリティの高い鬱ブラック…それ以上でも以下でもない気がします(笑)。この手が好きで堪らない人ならば買いですし、苦手ならまず縁の無い音源かと。


AUTUMN'S DAWN - Gone ★★ (2015-09-14 22:03:14)

2014年発表の1st。

AUSTEREやGERMなど、それなりに名の知られたブラックのメンバーで結成されたポストブラックの1枚目という事で購入。ぶっちゃけ値引きされてたからです(笑)。バンド名の「秋」を通り越して冬の凍てつく空気を感じさせるリフ、その空気が肌を刺す感触を思わせるノイジーさなど、ポスト/シューゲイザーブラックの感性は感じさせつつ、同系統のバンドと比べるとロック色が強いのが特徴でしょうか。

特に、明確なサビ部分を持つような、ポップス的な構成の曲が多く、剰えその部分がクリーンで歌われたりする事が多いのも、聴きやすさに拍車を掛けていますね。ただ、個人的にはそこが微妙だったんですが…。後半は鬱感情を乗せて歌えてる所もありますが、特に前半近所のロック兄ちゃんが歌ってるような、カリスマ性に欠けるクリーンが出てきてげんなりすることが多々あったので…。

試聴しないで、バンドの出自だけ聞いて購入したので、正直このクリーンが出て来たときは溜息つきそうになりました(笑)。楽曲自体はなかなか悪くないんですけどね。


HATEFUL ABANDON - Liars/Bastards (2015-09-14 21:58:32)

2014年発表の2nd。
あの名門Candlelightからの発売です。

前作は未聴ですが、評判を聴く限りでは個性派の鬱ブラックとして注目されていたようですね。但し今作は、ブラックメタルの要素は殆どなく、鬱インダストリアルとでもいうべき、打ち込みやキーボード、サンプリングなどが主体の音楽に。ギターも入ってますが、ノイズやフィードバックなど音響効果的に使われており、鬱ブラックとは一線を画した使い方がされている感じ。

打ち込みリズムの淡々とした響き、キーボードのアトモスフェリックな音色が破滅し、荒廃した都市の成れの果てにいるかのような、絶望的な光景を臨場感を持って体験させるような音は、ジャンルは変わっても魅力的。ただヴォーカル…これはちょっと酷くないですか…?有って無いようなメロディのラインを、聴いていていたたまれなくなるような微妙な声色で歌い続けていて…ぶっちゃけ聴くのが辛い。声フェチなのでこれは超マイナスですね…。

雰囲気作りが上手く、またその雰囲気も私の好きなものなので、ヴォーカルが無ければ☆3つ献上なんですが…いかんせんヴォーカルが…。やっぱりJ-POPから音楽に目覚めた人としては、ヴォーカル入れるなら魅力あるものでないと受け付けないです。


ATRUM TEMPESTAS - Néant ★★★ (2015-09-13 11:27:09)

2014年発表の1st。
バンド名は「黒い嵐」、アルバムタイトルは「虚無」の意味でしょうか。

ジャンルとしては、鬱系寄りのポスト/アトモスフェリックブラック…というカテゴリの音になりそうですが…「ポストブラック」という言葉の持つ柔和さ…ある意味での生やさしさを排除し、持ち前のアトモスフェリックさがブラックメタル本来の苛烈さを更に強調して体現する、肌を刺すような凍てつく空気感を感じさせるブラックという感じですね。CATAMENIAのメンバーが参加しているだけあって、北欧の寒々しく人を寄せ付けないムードを演出するリフは絶品。

一応、他のポストブラックのようにアルペジオで聴かせる「静」のパートは若干あるものの、ミッド~スロー部分でもリフの音色には摺り込む様な刺々しさが感じられたり、ヴォーカルもナレーション的な語りは挟みつつも、クリーンで歌い上げたりせず悪意を込めたがなり声に徹しているなど、とにかく寒々しく苛烈であることを念頭に置いたような音なんですよね。個人的には、余り「ポスト」な方向に行き過ぎて攻撃性を失ってしまうのは好きでないので、これくらいのバランスが丁度良いと思ったり。

ポストブラック特有の儚げで繊細なムードも感じさせつつ、あくまで厳かでミサンスロピックな空気感を大事にした作品。演奏時間こそやや短めですが、かなりお勧めです。


ECLIPSE (POLAND) - The Act of Degradation ★★ (2015-09-13 11:24:56)

2002年発表の1st。
現時点では、フルアルバムはこの1枚のみみたいです。

「Ad Noctum」期のLIMBONIC ARTを髣髴とさせる、マシンドラムによるブルータルなリズムを前面に押し出したシンフォニック・ブラック。音色にチープさを感じはするものの、耳元で凄まじい勢いで「スココココココ!」と鳴り響くドラムが小気味良いですね。若干キーボードの音色に対して浮き気味なのも良い味を出しているというか、ユニークな聴き心地になっていて面白いです。

ただ、当時のLIMBONIC ARTと比べると、メタリック部分により比重が置かれた音なのがポイントでしょうか。特にギターリフはメロブラ・メロデス並に動きが多く、聴き応えのあるものなのがいいですね。シンフォニックさと打ち込み特有の暴虐性を掛け合わせた作風でありながら、あからさまにDISSECTIONリスペクトっぽいリフとヴォーカルの掛け合いなんかもあるのが意外。

個人的には、LIMBONIC ARTの「Ad Noctum」に於ける、キーボードやギターリフが聴こえにくいレベルのデカさのドラムはちょっと微妙だと思ってたので、これくらいの小気味良さがいいな…と思ってしまったり。なかなか印象深い作品です。


MORODH - The World of Retribution ★★★ (2015-09-11 22:54:41)

2014年発表の1st。
ショップで地味に推されてたので買ってしまいました。

鬱ブラックって、大きく分けて葬式ドゥーム的な凌遅リズムでひたすら絶望的に聴かせるものと、ロック色の強いミッドテンポ中心でメランコリックに聴かせるものが多い気がしますが、このバンドは後者のスタイルですね。鬱ブラックというジャンル自体、聴き手を選ぶマニアックさがあると思いますが、このバンドはその中ではメジャー志向なバランス感覚と質の高さを持っているんじゃないでしょうか。

楽曲や聴かせ方に良い意味でそつがない印象なんですよね。鬱ブラックの生命線である、リフに練りこまれたメロディはしっかりメランコリックだし、リズムも極端に遅かったりせず、展開も過剰な反復は極力せず、ドラマ性を重視した感じ。ヴォーカルも裏返り系でなく、かっこいい歪み切ったがなりですし、クリーンの方もマイルドで変に喉を絞めたりせず聴きやすい声。ヴォーカルが逝ってるバンドや、ミニマルな展開で景色に徹しているバンドのようなカルト性は薄いですが、その分クオリティの高さはなかなか。

極端さが薄いという点でマニアな方にはもしかしたら物足りないのかもしれませんが、鬱な音楽が好きな方であれば安心して浸りきって聴ける良質な作品だと思います。ちなみにロシア産ですが辺境っぽさはあまりなく、むしろアーバンな感性の音。