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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1101-1200

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BORNHOLM ★★ (2012-06-24 01:53:35)

INVICTUSのメンバーが関わるハンガリー産ブラックメタルバンド。
KEEP OF KALESSIN辺りに通じるかなりクオリティの高い音出してます。


SINPULARCTOS - THE VOIDANCE OF MAN ★★★ (2012-06-23 23:59:57)

2005年発表の3rd。
2007年にSabbathidより曲順を変更、新曲を追加して1000枚限定で再発。
私が手に入れたのも再発盤です。

この作品は上のDelnoirさんのレビューを読んで買ってしまったんですが、これは凄まじいですね。買って大正解。鬱ブラック由来の陰鬱極まりないトレモロに、葬式ドゥームの質量感のある暗黒をプラスし、更にノイズ/パワーアンビエント要素を加える事でどす黒さをより増した中で、発狂寸前の絶叫が響き渡る危険極まりない漆黒のサウンド!!…とか言いたいところなんですけど、そんな風に簡単に纏めるのが失礼なくらいカルトなムード漂ってますね…。

確かに、鬱ブラックと葬式ドゥーム、パワーアンビエントを上手いこと絡ませて神経が焼かれそうなレベルのどす黒さを演出している…というのは間違いないんですが、この音は「闇」とか「黒」とかのもう一つ先のレベルって感じなんですよね。真っ黒に塗り潰された視界に、人間を惑わせて発狂に追い込むような、ヤバい光が明滅している感じというか…。ずっと聴いてるとサイケデリックな中毒性すら感じるほど。

そんな暗黒空間に響く、ブラック由来のトレモロリフは音色・メロディ共に精神汚染的な危険さが漂ってますね…ただ気分を落ち込ませるとかじゃなくて、脳波を妨害して人間の意識を衰弱に追い込むような、そんな波形が形成されているような…聴いているとそういう妄想すら浮かんできてしまう陰鬱さ。鬱ブラックをある程度聴き慣れてる人でもこれは脳焼かれると思う。

ただし、音そのものが相当カルトな上に、20分以上に及ぶパワーアンビエント曲もあったりするので、その辺りに耐性がないとちょっと厳しいかも。大分世間様の価値観に背きまくってる感じなので、サブカル志向でXASTHURに手を出したり、プログレ筋からNACTHTMYSTIUM聴いた人が、軽い気持ちでこっちにも手を出すと大火傷するかも。覚悟が決まった人、普段からポーズでないマジな陰惨さの音を求めてる人は是非。


INTHYFLESH - Claustrophobia ★★ (2012-06-23 11:54:14)

2011年発表の3rd。

靄が掛かったようなギターノイズの中で、時折高音域でキリキリした、エモーショナルなフレーズを挟み込むトレモロが、暗く陰りのあるメロディや浄化されるような儚げなメロディを奏でつつ疾走するブラックメタルで、鬱ブラックの湿り気にシューゲイザー系ブラックのカタルシスや疾走感、感情的なムードを加えたような作品…と言った感じでしょうか。

ヴォーカルは基本的に昔のBURZUMを思わせるような、悲痛さ漂う高音絶叫なんですが…時折なにかのスイッチが入ってしまったように、剥き出しのヤバさ漂う感情的な叫びも聴かせるのが特徴的。声を整える事も忘れて、オカマの叫びみたいな変な裏返りをしてる所もあったりするんですが、それもリアルで怖い。こっちは音を聴いてるだけなのに、知らない内に何か地雷でも踏んでたのかとビビってしまうような、マジなヤバさ。

…この手の鬱系の音を出してるバンドって、メロディが物悲しい方向に行き過ぎてて、それが強いインパクトを「残してしまう」傾向がありますが…この作品は音自体は非常にエモーショナルかつメロディアスながら、メロディそれ自体の主張はやや控えめで、それ故に感情の奔流をそのままパッケージしたような、濃いムードを演出することに成功している印象ですね。

取っ付きやすさでいったらXASTHURやWOLVES IN THE THRONEROOMなど、ジャンルの大家と比べてしまうとちょっと譲る印象なんですが、その分恐ろしく感情に訴えかけてくる部分もあるので、ある程度ジャンルを聴き込んでいる人にはお勧めです。


LYKAUGES - SWAN SONG ★★ (2012-06-21 19:37:33)

2010年発表の2nd。

ギリシャ産の鬱ブラックということで先入観を持ってたり、灰色で美しいジャケに騙されてたりするとバンドサウンドの入りでビビりますよね(笑)。いきなり疾走、かつ凄まじい音圧でやたら迫力ある音。まあ作風自体は疾走パートも適度に交えつつも、陰湿なトレモロをメインに展開する音で鬱系のテンプレートに沿ってはいるんですが…一瞬ビビるくらいドスの聴いた音作りがされているのが特徴。特に中~低音域の、暗雲が立ち込めるような厚みのあるドス黒い感触が凄まじい。

また、ネガティブなメロディには定評のあるこのジャンルにおいても、やたらに分かりやすくネガティビティを放出するメロディもインパクト強いですね…。ギリシャのバンドですけど、フィンランド産のメロウさにフランス産の病的さ、日本産の劇的さを加味したような感じで、そのインパクトの強いメロディを執拗なまでに繰り返して展開していくのだから、この手の中でも中毒性の高い音と言えるでしょう。

特に鬱ブラックなのにキャッチネスすら感じるほどのメロディセンスなんかは、かなり素晴らしいと思うんですが残念ながらこの作品を以って解散してしまった模様。似た系統のバンドは多いですが、そこに埋没しないだけの音は出してると思うので勿体ないですね…。


MURMUR - MAINLINING THE LUGUBRIOUS ★★ (2012-06-18 21:55:51)

2010年発表の1st。

怪しげなクスリを静脈注射するジャケ、トレイ下の注射器と「Never Stop the Madness」ロゴからも予想が付く通り、サイケデリックな感覚の強いブラックメタルで、NACHTMYSTIUMが「Instinct : decay」から鬱系のメロディを強めつつ、更にアングラで危険な方向に進んだような音。黒い靄に包まれるような、質量感のあるノイジーなギターの歪み、時折挿入されるドローンめいた音が音像にヴェールを掛け、正体を隠しているようで、どこか底知れないような不気味さがありますね…。

また、曲に聴き手の恐怖感だったり嫌悪感だったり、生理的な部分に訴えかけてくるような表現が多用されているのも特徴ですね。例えばイントロ明けの2曲目では、ただでさえ不安になるような鬱アルペジオから、唐突にメロディを消して疾走し、まるで暗闇に放り出されたような心許なさを感じさせるし、その後のドローン的なパートでは悲鳴のようなギターの音が本気で不気味。音自体の得体の知れなさとも相俟って、聴いていると闇が広がっていくような感覚を味わう作品。

鬱系とサイケデリックな感性を掛け合わせたら、恐ろしく不気味で病気めいたムードに仕上がったような感じの作風。病的な表現の多いアメリカのブラックでもかなりダークな方ですので、XASTHURやLEVIATHAN辺りのアメリカの病巣に注目している方は是非。


LEGACY OF BLOOD - Murder Hymn ★★ (2012-06-18 21:53:15)

2008年発表の2nd。

本気の絶叫が怖気を震うようなイントロから、若干プリミティブ要素強めなブラックに展開していく訳ですが…バンドサウンドが入った瞬間思いました。「軽っ!!」と…(笑)。低音はそれなりに効いているものの、ギターリフがノイジーかつ薄っぺらな音色、しかもドラムの音が抜けの良い、かつ音量の小さいものなので、プリミティブブラックの粗さを通り越して逆に軽快に聞こえる(笑)。しかしこの音で荒涼感のあるリフを弾くと、意外と聴き心地は悪くなかったり。

ただ、ヴォーカルは割と前に出ているんですが、このヴォーカルのパフォーマンスはかなり本気度高くて良い感じだと思う。綺麗にスクリームをするタイプではなく、時々声が乱れて地声が見えてたりするんですが、それが生々しい感情が伴っているようでかなり怖い。ブックレットに教会放火や墓荒しに敬意を表しているとも取れる記述がありますが、半分以上マジじゃないかと思わせるに十分な迫力があると思う。

とは言っても、まだマニア向けである事は間違いないかとも思います。確かに軽快さと荒涼邪悪リフの意外なマッチは面白くはあるんですが、正直ある程度プリブラを聴き込んでる人でないとピンと来ないかも。モダンで硬質な重さがある音に飽きてプリブラ聴いてるような人にはもちろんお勧めです。


LEGACY OF BLOOD ★★ (2012-06-18 21:50:06)

ポーランド産ブラック。
SELBSTMORDやLEICHENGOTTともスプリットを出してるバンドです。


BERRYZ工房 - 愛のアルバム⑧ ★★ (2012-06-16 21:43:16)

2012年発表の8th。

まず、ジャケの衣装が可愛らしくていいですね(笑)
それに加えて、前作、前々作がかなりの好内容で、相当期待しながらアルバムを聴いたんですが…これの少し前に出た℃-uteの新作と全く同じ理由で、初聴の印象は微妙なものでした。収録曲数の少なさ、既発曲の多さ、そして(既発曲以外での)分かりやすい王道キラーチューンの不在、ですね。特に締めの曲が℃-uteの新アルバムのラス曲のヴァージョン違いで、しかも全く好きになれなかった曲なのが辛い…。

しかし、冷静に見ると「Shy boy」「恋愛模様」「新しい日々」はつんく氏らしい哀愁歌謡メロディ、メンバーの個々のスキル、アレンジャーの丁寧な仕事振りが発揮された、どれも名曲と言えるものだし、「Mythology」「世の中薔薇色」も、個人的なツボとは違うものの質は低くない(特に「Mythology」はアイドル曲を毛嫌いしてる人に突きつけたいレベル)ですし、既発シングル「愛の弾丸」「ああ、夜が明ける」は彼女たちのディスコグラフィでも確実に上位に入る楽曲だと思う。

ただ、やっぱり物足りなさが残るのは事実なんですよね…「Shy boy」「恋愛模様」「新しい日々」はどれも哀愁方向に傾き過ぎていて王道とは言えないし、「Because Happiness」も仕掛けとしては面白いけど、曲としては正直そこまで良いとは思わない感じ。収録曲数をあと2曲くらい増やして、前作の「女子会The Night」「マジカルフューチャー!」系のかっこいい曲、「付き合ってても片思い」系の王道アイドルソングをそれぞれ1曲ずつ入れてくれれば、アルバムの印象もガラリと変わったはずなんですが。

ちなみにDVD付きには「Be 元気(成せば成るっ!)」のライブ映像(アングル違い8パターン)とジャケのメイキングが入ってますが…このライブテイクが凄まじいです。菅谷さんのターンが来るたびに笑っちゃうんですけど…なんか、余りにも凄すぎて(笑)。このドスの効いていながら可憐さも残した声はBerryz工房が、いや日本のアイドル界が誇る至宝だと思う。100年後とかに日本のアイドル史を編纂したらこの人の名前は最重要項目として残ると思う。ウォークマンに録音して外でもよく聴いてますが、映像抜きでも奮い立つようなパワーを感じますもん。


BERRYZ工房 - 愛のアルバム⑧ - Mythology〜愛のアルバム〜 ★★ (2012-06-16 21:42:35)

ワウギターやパーカッション、前面に出たベースがリズムを強調し、そこに多幸感を感じさせるブラスが絡むトラックがとっても華やか。ファンク要素の取り入れ方が上品で、洋物ポップスのヒットソングっぽい雰囲気。「FOREVER LOVE」のアイドルの枠を超えるような、やたらソウルフルな歌い回しもメンバーのスキルの高さを見せ付けてくれるし、全体的にレベルは滅茶苦茶高い曲だと思う。ただそれは客観的に見ての話で、個人的なツボとはちょっとズレてるんですよね…なんか穏やか過ぎるというか、彼女達にはもっとガチャガチャした曲を演って欲しいっていうか。ただアイドル曲を舐めてる人が聴いたら驚くようなクオリティはあるので、広義の音楽ファンには自信を持ってお勧め。


Berryz工房 - 愛のアルバム⑧ - 世の中薔薇色 ★★ (2012-06-16 21:41:16)

前作の「一丁目ロック!」の路線を引き継ぐような、可愛らしさを振りまきつつ盛り上げる、アッパーな曲。ただこの曲も、分かりやすい曲ではあるけどあまり個人的にはツボに嵌まらず…。コミカルさと可愛らしさの折衷点が、丁度私のツボではない箇所に着地してしまった感じ(笑)。


BERRYZ工房 - 愛のアルバム⑧ - Shy boy ★★★ (2012-06-16 21:40:21)

これはいいですね。打ち込みを活用した、エキゾチックで妖艶なトラックに、哀愁のある歌メロが乗る曲で、ムーディな空気の中、貫くように響くサビのフレーズ「愛だよ」はかなりのインパクト。アレンジャーのAKIRA氏自ら手掛けるコーラスワークも、曲の情緒溢れるムードを更に引き出してますね。もしBerryz工房のリミックス集とか出る事があるなら、この曲は是非やってほしい。


Berryz工房 - 愛のアルバム⑧ - Because happiness (2012-06-16 21:39:16)

℃-uteの「幸せの途中」と同時再生すると1曲になるという仕掛けがされたことで有名な曲ですが…「♪ね~え(タンタンタンタンタンタン…)」…なんだこの間は(笑)。明らかに間延びしているように感じられるんですけど…正直種明かしされてからも、今ひとつ好きになれない曲なんですよね…感心はするけど、好んで聴こうとは思わないというか。


BERRYZ工房 - 愛のアルバム⑧ - 恋愛模様 ★★★ (2012-06-16 21:38:22)

持続音のような、視界を塗り潰すベース音が主人公の寂寞とした内面とシンクロするかのようなバラード曲ですが…ヒーカップっぽい装飾や震えるような、細かいビブラートを操り異様に切迫した感情を演出する菅谷さんの表現力が凄まじいですね…ここ2枚くらいで異常なくらい歌唱力が伸びたんじゃないでしょうか。Berryz工房の他にこの曲を歌えるグループはアイドル界にはまずいないでしょう。


BERRYZ工房 - 愛のアルバム⑧ - 新しい日々 ★★★ (2012-06-16 21:37:35)

この曲、アルバム中で一番好きかもしれないです。
清水さん、嗣永さん、夏焼さんの3人がヴォーカルを務めてますが、彼女達の歌声が本当に良い。キャットボイスっぽい個性的な声質で、シリアスなバラード系も可愛い系もロック系もこなす嗣永さん、歌唱力で言ったらおそらくグループでもトップと思われる夏焼さんの声も相変わらず素晴らしいですが、この曲では清水さんの歌声が物凄く光ってると思う。クールで哀愁漂う中に芯の強さが感じられるような声で、メロディのメロウさや歌詞の雰囲気と完璧に合ってると思う。流石超絶に個性的なメンバーを率いてるだけはあります(笑)


Berryz工房 - 愛のアルバム⑧ - 青春劇場 (Berryz工房Ver.) (2012-06-16 21:36:39)

いくら彼女たちのヴォーカルが好きと言っても、正直この曲は蛇足だと思うなぁ…アルバムラストなのに何処の馬の骨とも知れない男性ヴォーカルが、リードヴォーカルで入ってくるとげんなりする…。せめてつんく氏が歌ってくれればもう少しリピートするんですけど。アイドルっぽさも薄いしあんまり好きじゃないです。


LEICHENGOTT - Cyrograf ★★★ (2012-06-15 00:49:16)

2009年発表の1st。
5曲で33分という、割と短めながらかなり充実した作品。

曲の多くの部分を覆う邪悪なトレモロ、時折顔を出すオールドスクールなリフ、邪気しか感じられないヴォーカル、RAWな音質…と、使っているパーツ自体は典型的なプリミティブブラックのそれなんですが、音作りも曲もなかなか個性的な作品ですね。低音がグルグルと渦を巻く中に、高音の妖気を孕んだトレモロと左右のチャンネルから聴き手を責め立てるヴォーカルが響く音像は、今正に儀式に立ち会っているような血腥い臨場感があります。

また、プリブラでもトレモロの使用頻度はかなり高い方で、メロディアスかといえばそうなんですが…メロディに聴き手の神経を焼き切るような苛烈さがあって、ブラックの本分から外れるほどメロくは聴こえないのが良いですね。その中で時折見せるメロウさやフックに富んだフレーズも素晴らしい。偶に脱メロブラ後のSATYRICONに通じる不吉さもある気がします。時々ベースが悪魔が何かの信号を発しているような、薄気味悪いメロディを奏でるのも相俟って、邪気の立ち込めるようなムードが演出されてますね。

ぶっちゃけ中古で安かったからジャケ買いしたんですが、想像していた以上に素晴らしかったです。ジャンルとしての芯は残しつつ、定型からある程度外れたプリブラを聴きたい人は是非。


PANOPTICON - Social Disservices ★★ (2012-06-15 00:45:12)

2011年発表の3rd。

聴き手の視界を埋め尽くすような、轟音のギターリフを伴って疾走するパートをメインに据えた、シューゲイザー・ブラック的な音作りの成された作品ですが…ギターノイズの出力に強弱を付けてみせたり、ドラムが音に埋もれない立体的な音色、かつ切り返すようなフレーズの多いものであったり、聴き手をトリップさせるミニマルさや音圧は維持しつつ、色々な工夫がされている感じですね。

また、北欧ブラック風の寒々しいトレモロや、メロウなリードギター、敢えてリフの轟音から浮くような音色を用いたようなキーボード等、ある程度変化に富んだ展開も取り入れているのも良いですね。1曲目は割とミニマルさが強いものの、アルバムが進むほどドラマティックになる感じで、特に3、4曲目で一旦音圧を引かせ、冥府の川がせせらぐようなトレモロを聴かせるパートが、ダークかつメロウで個人的にはかなりツボでした。

ブラック特有の轟音ギターを用いて情景を描く作風はWOLVES IN THE THRONE ROOMやALCESTに通じますが、あちらのバンドのような清浄さ、美しさは薄く、もっと病的でドラッギーな印象で、その辺りブラック好きの感性に合うかもしれません。新世代のブラックが好きならば聴いておいて損はないと思います。


NAHASH - Nocticula Hecate ★★★ (2012-06-11 22:12:24)

97年発表の1st。2007年に再発されました。

今でこそリトアニアってPERGALEやSVARTTHRON辺りなど、ブラック好きの間ではそれなりの知名度のあるバンドがいますが、ブラック黎明期の94年に活動してたバンドとなると相当レアなのでは…。しかもそんな辺境のリリースが、07年になって再発されているという時点で期待してしまいますよね。どんなカルトな音出してるんだろう…と。

で、実際期待を裏切らないカルトっぷりですね、これは(笑)。
まず音の作り方がかなり独特。音像の真ん中(時々右寄り?)に太くてドスの効いたノイズ質が常に居座っている感じで、まるで邪神像があって、そこから発せられる禍々しいオーラで情景が全て黒く塗り潰されていくかのような音。反響するようなヴォーカルの絶叫も、その邪神像のパワーでより邪悪化しているようで、やはりカルトな雰囲気を醸し出してます。

ただし、音作りのカオスさとは裏腹に、曲はかなりメロディアス。全体的にリードギターによるメロディが曲を主導する場面が多く、剰えパートによってはツインリードによる絡みまで聴けたり。と言っても、音像に似つかわしくない宇宙的な音色のキーボードが入ってきたり、曲の展開が大分セオリーを無視した感じだったり、やはり混沌とした音である事には違いありませんが。色々壊れたメロブラって感じです。

最初は音像が独特で戸惑うものの、一度そのカオティックでカルトな世界観に絡め取られたら後は為すがまま、って感じです(笑)。PERGALEもSVARTTHRONも相当独特な音出してましたが、やっぱりこの国のブラックって変り種が多いですね…。しかも94年からこの音っていうのはある意味凄い。


SLAVIA - Strength and Vision ★★★ (2012-06-11 22:04:25)

2007年発表の1st。

まず最初の一音で吹きました(笑)。高らかに鳴り響く、ドヴォルザークの「新世界より」のメロディ。しかも結構尺長め。とてもこれからノイジーなブラックが始まるとは思えません(笑)。そして士気が上がったところで始まるのが、ILDJARNやSORTSINDクラスのノイジーさで武装した、オールドスクールでRAW極まりない、超好戦的なブラックメタル。

ドライブ感のあるリフはスラッシュの疾走感よりはハードコアの炸裂感、高揚感が強く、聴いていると訳もなく暴れたくなるような音で、単純にかっこいいです。ただ一部では北欧らしいメロウなトレモロも聴けたり、磨耗リフと豪速ブラストで聴き手を圧倒したり、しっかりブラックメタルらしいヴァイブも残しているのが嬉しい所。ヴォーカルの恨みの篭もったようながなりもかっこいい。

また、前述の「新世界」など、SE的なパートを多く導入しているのも特徴で、ありがちな戦争SEからおっさん共の朗々と歌う軍歌、民族音楽など、かなりバラエティに富んでいる感じ。ただ、ちょっとSEに時間を割き過ぎているというか、正直クドさを感じる部分もなきにしもあらず。まあそこまでマイナスではないですけど。

ちなみに一部歌詞が面白かったので、素人訳ですが紹介。「新生児の心臓揚げに比肩するステーキはない。殺したての処女の血に比肩するワインはない。この世界では不十分だ。俺は異星人の血を啜る夢を見る」…なんかこういうノリ、凄く好きなんですけど(笑)。


PAROXYSMAL DESCENT - Paradigm of Decay ★★★ (2012-06-11 21:59:06)

2008年発表の1st。

スローテンポを中心にある程度疾走も取り入れた展開、アンビエント要素や空間系のキーボードを取り入れ、篭もり気味の音質と同化させることで頽廃的なムードを演出する音作り、トレモロリフによって奏でられる陰鬱なメロディ…と、典型的なアトモスフェリック/ディプレッシブブラックの音を出している作品で、最初聴いたときは「取り立てて個性がなくて平凡」という印象だったんですが…少し時間を置いてから聴いたら凄く良い作品だと思えるようになってきました。

このジャンルにおける発狂ヴォーカルや、高音域のノイズ質もしくはトレモロによるメロディを殊更に強調した音質などは、それだけで作品の特徴足りえるほど強烈なイメージを聴き手に残すものですが、敢えてそれらを取り入れないことで、より自然に聴き手を音の中に取り込んでいく作品に仕上がっている感じなんですよね。一部が変に耳を惹くのではなく、音全体が自然に存在する感じというか…。

ノイジーでありながら、キーボードの幕が掛けられた篭もった音質も耳に痛くなく、むしろ心地良いですし、篭もった音の中から聴こえてくる絶叫やトレモロリフ、聴き手のテンションをLowに保ったままの疾走など、各要素がその自然な鬱情景を描くことを後押ししている感じ。大っぴらに前面に出てくるわけではないものの、何気にトレモロリフに込められた鬱メロディのセンスもかなり良いと思う。

音が自然な分初聴のインパクトは少なく、ジャンルに初めて触れるような人には敢えてお勧めはしませんが、鬱系を聴いてるとリラックスできるくらいのブラック好きには推薦。ちょっと仮眠を取るときとか、半覚醒くらいの状態で聴くと最高ですよ、悪夢見そうで(笑)。オーストラリアの鬱ブラックではSTRIBORGが有名ですが、もっと聴きやすい音だと思います。


RIVENDELL (AUSTRIA) - FAREWELL – THE LAST DAWN ★★★ (2012-06-06 14:58:25)

2005年発表の3rd。
日本のトラッドバンドと同名という事で、なんか親近感を覚えて購入したんですが、これ、今までに聴いたフォーク/ペイガンブラックでもベスト5に入るかもしれません…。かなり素晴らしい作品です。

スタイルとしては、笛や民族楽器、アコギなどによって奏でられるトラッド風のメロディと、ゆったりしたテンポのブラックメタルを掛け合わせたような作風ですが、叙情的な民族メロディが楽曲の主軸であり、ブラックメタル要素がそれを支えている感じのバランスが大きな特徴。決して呑めや歌えのクサメロ全開という訳ではありませんが、ジャケの夕焼けの森が浮かんでくるような、深い郷愁を感じさせるようなメロディのセンスが本当に絶品。

そしてそのメロディの良さを武器にした、楽曲の充実振りも素晴らしい。トライバルなパーカッションとエキゾチックなアコギも取り入れ、異国情緒を演出するオケに、Garm氏を思わせる深みのある低音ヴォーカルが響き、幽玄な世界観を演出する「The Old Walking Song」はこの名盤の中でも異色かつ出色の出来だと思う。他の曲もブラックメタル要素が哀愁メロディと見事に融和していて、音楽を聴いている事を忘れてしまうくらい、彼の作り出す世界観に没頭してしまいます。

以前DARKTHRONEのFenrizがISENGARDやSTORMなどでトラッドのカヴァーも披露していましたが、ああいった音源が好きであれば引き込まれること間違いなしの素晴らしい作品。フォーク/ペイガンブラックを好んで聴いている方なら買ってまず損はないでしょう。


DODKVLT - Ⅱ ★★★ (2012-06-06 14:54:05)

2012年発表の2nd。

ジャケがコープスペイントをしたメンバーが赤錆びた血のような色で描かれたものだったので、物凄くカルトなものを想像していましたが、意外にもオールドスクールなリフ捌きが真っ当なかっこよさを演出するブラックメタル。時折トレモロリフやピアノ、キーボードによる、メロブラとしてもかなり美しさ・メロウさに重きを置いたメロディが出てくるのも、意外といえば意外かも。このジャケでこんな美メロ来る?みたいな驚きがあります(笑)。

しかし、パートによっては怨霊系のクワイアや、陰湿で不気味なメロディによって儀式的なムードを演出したり、背徳的なSEを挿入したり、しっかりカルトな面も演出してくれるのが嬉しい所。ヴォーカルは基本ブラック特有の高音絶叫ですが、時折見せる鬱ブラック的な、感情剥き出して嗚咽しながらガナったり、かなり真に迫っている印象。色々な要素を取り入れてはいますが、各パートの聴かせ所ははっきりしているため、散漫な印象はなく聴きやすいです。

ただ一つ解せないのが、DODKVLT特有の美しいメロディが華々しく炸裂し、ヴォーカルがリアルな感情を吐露する、14分を超える大作でアルバム中でもかなり作りこまれた楽曲である「Buried Beneath the Rust」が、何故かボーナス扱いなことですね。これ、彼のメロディセンスの高さを証明するような曲だと思うし、普通に本編扱いで良かった気が。

個人的な印象としては、先日フルアルバムを発表したギリシャのブラック、ACHERONTASをもう少しオールドスクールにしたような印象。カルトでオカルトなムードも出しつつ、曲の作りや聴かせ所がしっかりしてる辺りが似てると思う。70分を超える大作アルバムですが、変に長ったらしくは感じない、緊張感をキープした良い作品だと思います。


GRAVDAL - Torturmantra ★★ (2012-06-06 14:48:49)

2010年発表の2nd。
4曲目ではSHININGのKvarforth氏がゲストヴォーカルで参加。

ブラック特有の黒く塗り潰すようなリフの音色と、ミディアムテンポで自然と体が動くようなパート中心のリズムを組み合わせ、邪悪なグルーヴを演出しつつ、サタニックな黒く爛れたメロディのトレモロで止めを刺すような、起伏に富んだブラックメタル。疾走パートも全力でカチ込む部分より、聴いてて気持ちの良い疾走感を感じるような部分が多く、邪悪ムードも重視しつつ、聴き心地の良さがかなり重視されている印象ですね。

ヴォーカルは常に裏返る寸前くらいの、かなりマジな絶叫で、息を吸い込む音が嗚咽のように聞こえたりする箇所もあり本気度高め。4曲目のKvarforthによる、カルグラに通じる低音唸りから、鬱系のネガティブ絶叫までこなす、ジャンルのトップクラスの抑揚スキルを持ったパフォーマンスとは好対照。流石にKvarforthと比較すると表現力に差がある感じはしますが、一心不乱で鬼気迫る感じは素晴らしいと思う。

個人的にはデスメタル化したAETERNUSよりも好みの音ですね。音は分離が良く、各パートの音はしっかり聴こえるものの、やや薄め…なんですが、それが曲調とも合ってて、逆に心地良かったり。ラストの、後味の悪い締め方もグッドです(笑)。


GRAVDAL ★★ (2012-06-06 14:46:38)

AETERNUSのメンバーが関与する、ノルウェー産ブラック。


GOSPEL OF THE HORNS - Realm of the Damned ★★ (2012-06-03 05:38:22)

2007年発表の2nd。

オーストラリアのブラックではかなり古株のバンドで、スラッシュ寄りのスタイル…という触れ込みでしたが、確かに刻みを多用しつつアクセントにブラック由来の邪悪トレモロを仕込むリフ捌き、熱いギターソロを取り入れた展開はスラッシュ色強めなんですが、リフがスラッシーなザクザクした感触と同じくらい、パンク/ハードコア的なドライブ感も強いのが特徴なんですよね。

そのリフ捌きのせいで、聴いていると体が自然と動き出しそうな、ストレートなかっこよさが上手く演出されており、鬱ブラックや陰湿なプリミティブブラックを普段聴いてる人からすれば爽やかにすら聞こえるほど(笑)。ただし、ヴォーカルはかなりエグいブラック特有の高音絶叫で、リフ・リズムの演出するノリの良さと相俟って、非常に野蛮な雰囲気を醸し出してます。人肉とか食ってそうな勢い。

オーストラリアでは重鎮のバンドだけあって、作風にブレがないというか、「俺たちはこういう音を演りたいんだ」というのが伝わる作品。音質も適度に厚みがあって悪くないですし、スラッシュ寄りのダーティでオールドスクールなブラックが好みであればチェックしておくといいかもしれません。


GOSPEL OF THE HORNS ★★ (2012-06-03 05:37:39)

オーストラリア産ブラック/スラッシュ。
何気に来年で結成20周年らしいです。


BEWITCHED - At the Gates of Hell (2012-06-03 05:36:11)

99年発表の3rd。

スラッシュ色の強いブラックというと、AURA NOIRやCADAVER辺りと並んでよく名前が挙がるBEWITCHEDですが…思ってた以上にブラック色は薄めですね。スラッシーなリフには古き良きメタルという感じのメロディアスさがあるし、むしろ正統派寄りのデスラッシュに近い感触。ヴォーカルも時折邪悪極まりない咆哮を聴かせるものの、基本的にはダミ声の吐き捨てでスラッシュに近いスタイル。

確かに、オールドスクールでダーティな感触は強いんですが…それが宗教的であったり、冒涜的であったりといった方向には繋がらず、ワイルドでストレートなかっこよさが演出されている感じですね。VENOM辺りのブラックのルーツになったバンドが好みの方にとっては非常に熱いアルバムだと思うんですが、個人的なツボとはちょっとズレてるかも。なので☆は1つですが、好みが合う方ならもっと評価が高くなるかと。


BUONO! - We are Buono! - One Way = My Way ★★★ (2012-05-28 22:03:08)

クサメロ大好きな私からすると、初聴ではいまひとつピンと来なかった曲なんですが、何回か聴いたらオープニングに相応しい名曲に聴こえてきました。Aメロ~Bメロとボルテージを上げ、サビで開ける展開が非常に爽やか。ラストのギターメロも、未来への希望や期待が表現されてる感じで、それがそのままアルバムのこの先の収録曲への期待感へと繋がっていくような印象を残す曲。つかみはオッケー。


BUONO! - We are Buono! - Our Songs ★★★ (2012-05-28 22:01:35)

先行シングルとは思えないくらい、アルバムの流れに沿った曲だと思う。っていうかつんく氏、普遍的で清涼感のあるポップス苦手だと思ってたんですけど、これは凄く良く出来た曲だと思う。1曲目の「One Way=My Way」の爽やかで前向きなムードを引き継ぎつつ、つんく氏らしい意図的な引っ掛かり(「くち-びる-には-うた」のメロディ使いとか)を設けた展開が光る良曲です。


BUONO! - We are Buono! - Independent Girl〜独立女子であるために ★★★ (2012-05-28 22:00:15)

アイドルポップスでここまでノイジーで尖った音作りの曲も珍しいですよね。曲的には、A~Bメロまでの流れは最高だけど、サビが弱い印象だったんですが、ライブ動画見て印象変わりました。媚びるのではなく、惹き付ける強さを持った歌い回し、それがライブ版では更に強まってて、特にサビのユニゾンでは、オーディエンスを奮い立たせるような、力強いオーラ出まくりで素晴らしかった。歌割的にも、Aメロを表現力の高い鈴木さん・夏焼さんに振って切迫感を出し、Bメロを声を張って歌う嗣永さんが瞬発力を与え、サビのユニゾンで爆発…とよく考えられている感じですが、ライブ版だと各自の役割が更に明確な感じで、より曲が鮮烈に聴こえ、恐ろしいくらいかっこよくなってました。

っていうか一言言わせてください。
ライブ版の「ないアイヤ」がかっこよすぎなんですが!!なんだあの声の張り方、超かっけえ(笑)。正直、本気でライブDVDの購入を考えてるんですけど…。ライブCDが出てないなら買っちゃおうかなぁ…。


BUONO! - We are Buono! - MY BOY ★★★ (2012-05-28 21:57:33)

ニワカなので(笑)、そこまでアイドル系の曲を沢山聴いたわけじゃないんですが…それでも間違いなく、この曲はジャンルの中でもトップクラスの名曲だと言い切れます。暴力的なまでに聴き手のテンションを上げる打ち込みリズム、閃光のようなトランシーなシンセ、音像をより過激にするギター、そしてサビで炸裂するつんく流儀のウルトラキャッチーな歌メロ…とにかくど派手でかっこいい曲。ここまで緻密に作られてて、かつハイテンションでキャッチーな曲はメタルの世界ですらなかなかないと思う。ポップスでは最高クラスの体感速度のリズムを乗りこなす、勢いのある歌い方も素晴らしい。ちなみにライブだとバンドスタイルで演奏することもある模様。…やっぱこのグループ、切実にライブアルバム出して欲しいわ…。


BUONO! - We are Buono! - うらはら ★★★ (2012-05-28 21:55:51)

派手な曲に耳が行く性分なので、最初は微妙に感じたんですが…これ、アレンジのセンスが尋常じゃなく良いと思う。ポストロックっぽい儚くて抽象的な音色のキーと、ノスタルジックな爽やかさを演出するアコギの絡むオケはプログレっぽい香りもしますが、その音像が甘酸っぱい心情を歌った歌詞の世界観と絶妙にマッチしてて、しっかりポップスの感性で作られているのが素晴らしいと思う。歌詞の主人公の心情と自然とシンクロしてしまうアレンジは見事の一言ですが、ロック調のギターが入るサビもシングル曲並にキャッチーで、アレンジのみならず曲自体も凄く良いです。


BUONO! - We are Buono! - Take It Easy! ★★★ (2012-05-28 21:54:59)

このグループがカントリーっぽい曲を演るのはなんか意外。
青空が浮かんでくるような、爽やかで大らかなノリの曲で、リラックスして聴けますね。こういうレイドバックした曲調でも、ちゃんとメロディのフックやアイドルらしいキラキラ感があるのは流石。あとこの曲は鈴木さんの歌声が凄く光っている印象。伸びのある声が曲調とも相俟って、聴き手の心を解きほぐしてくれる感じです。
しかし、前曲「うらはら」との繋がりは音響的には凄く良いんだけど、心情的には微妙ですね…。前曲の胸が疼くような感じをどうしても引き摺ってしまいます(笑)。


BUONO! - We are Buono! - Bravo☆Bravo (2012-05-28 21:53:31)

人気曲だし、シングル曲でつんく氏のペンによる曲でもありますが、未だにピンとこないです、この曲。「P・A・T・I」の所とか、ライブでは盛り上がるんだろうな…って感じですが、如何せんメロディが薄くて…もうちょっと歌謡的な泣きorアイドルらしい溌溂さがあれば良かったんですけど。


BUONO! - We are Buono! - カタオモイ。 (2012-05-28 21:52:51)

前曲に続いて、正直この曲も微妙かも…歌もアレンジも高水準ですが、メロディがちょっと盛り上がりに欠ける気が。歌い出しの嗣永さんの少しのエッジと細かいビブ掛かった低音は色気があって良かったですけど、曲自体は普通のガールズロックって感じですね。ベストにこれを入れるならEarly Birdかco・no・mi・chiを入れて欲しかったかも…。


BUONO! - We are Buono! - Blue-Sky-Blue ★★★ (2012-05-28 21:51:15)

ギターのフレーズをシンセが引き取ったり、ヴォーカルの残響音のようなコーラスが重ねられていたり、音像の美しさにこだわったアレンジの曲。特に軽くノイジーなギターが、伸びのある歌声のユニゾンを際立てるサビが非常に美しいです。反面メロディに派手さはありませんが、ラスサビは一旦音を引かせ、歌唱もソロパートを回して「静」を演出してから、例のユニゾンとギターの美しい絡みを聴かせてみせたり、作りは非常にドラマティック。


BUONO! - We are Buono! - 紅茶の美味しい店 ★★★ (2012-05-28 21:50:30)

タイトルからは可愛らしいものを想像していましたが、意外にも幻想的な曲調。淡い音像の中、重ねられたヴォーカルのハーモニーが非常に美しい。特に夏焼さんの「ha-」の高音綺麗過ぎて聞き惚れます。こっちが「はぁ…」ってなりますね(笑)。歌詞も音像も抽象的なムードが漂ってますが、映像美を意識したような音で聴いていると色々なイメージが頭の中に浮かんできます。


BUONO! - We are Buono! - タビダチの歌 ★★★ (2012-05-28 21:48:28)

ロックユニットなのに、音像/音響重視の曲を2曲続けた後に、(ギターアレンジがロック寄りとは言え)こういうバラードを入れるのはどうかと思いますが(笑)、これも名曲ですね。アレンジにストリングスを取り入れてますが、ヴァイオリンだけでなくヴィオラ・チェロが効いていて、壮大なスケールが演出できていると思う。


BUONO! - We are Buono! - We are Buono!〜Buono!のテーマ♡ ★★★ (2012-05-28 21:46:48)

これ、曲知ってる人とカラオケ行って歌ったらめっちゃ楽しかった(笑)。友人が歌って、私ともう一人が掛け声に回ったときも超楽しかった。…それだけで、歌ってる側もオーディエンスも楽しめる、優れたエンターテイメント楽曲ということが分かりますね。何気に「ドラムズンタカタッタ刻め」のところとか、リズムにぴったり合うと歌ってて凄く気持ち良い。昔はダークな曲ばっかり好んでましたが、年取るとこういう単純に盛り上がれる曲の魅力も分かってきますね。


BUONO! - We are Buono! ★★★ (2012-05-28 01:20:19)

2010年発表の3rd。
最初は2ndが名盤だと思ってたんですけど、聴き込む内にこっちも負けず劣らずの素晴らしい内容なんじゃないかと思うようになってきました。

まず2ndから変化したと思うのは、全体的な音作りですね。前作ではロックテイスト強めながら、キラキラしたポップな感触も強かったんですが、今作はよりバンドサウンドが前に出て、より骨の太い音作りになった印象ですね。ロック寄りの曲ではアイドルポップスとしては珍しいくらい、歪みの強い尖った音を出してると思う。音は骨太になっても、基本3人の歌が中心で、それを引き立たせるスタンスは変わらないのも良いですね。

また、今作はアルバム前半にガールズロック的な清涼感、爽やかさの強い楽曲、後半に映像的な、サウンドスケープの美しい曲を中心に配置し、要所で「MY BOY」「Take It Easy!」などつんく氏のペンによる、アクの強い楽曲がアクセントを与える…と、通して聴くと流れが自然で、聴きやすい構成に仕上がっているように思います。

厚みの増した音作りとも相俟って、最初はアッパーな曲に耳が行きがちですが、「うらはら」の切なさに胸が満たされるようなムード、美しい情景が浮かぶ、どこか幻想的な雰囲気の「紅茶の美味しい店」など、スロー~ミドルな曲も非常に味わい深く素晴らしい。欲を言えば、後半にもう1曲くらいキャッチネス重視の曲があれば、より初見でのインパクトが強くなった気はしますが、十分このジャンルの名盤足りえる作品だと思う。

唯一不満があるとすれば、メンバーのポテンシャルをパッケージし切れてない点でしょうか。この間ライブ動画を見たんですけど、音源では綺麗に歌いがちな夏焼さんや鈴木さんも会場を圧倒せんとするような迫力のある歌を聴かせてくれてたし、嗣永さんはマイクがボフる寸前くらいの息の強い、気迫の篭もった歌い方で恐ろしくかっこよかった。まあ歌い続ける内に洗練されてくのは当然だし、音源だけでみたら特に不満でも何でもないんですが。

…という訳で、いつかライブ盤を発表して欲しいですね。出来れば生バンドでのベストテイク集とかで。アイドルってパフォーマンスありきだと思うんですが、彼女らの場合、音だけ聴いててもCD音源よりかっこいいんですよね。別にライブDVDとか買っても良いんですけど、それだとウォークマンに落とせないので…。個人的に、外ではエクストリームメタルよりポップスを聴きたいんですよね。


ABORIORTH - THE AUSTERE PERPETUITY OF NOTHINGNESS ★★ (2012-05-26 20:25:31)

2011年発表の2nd。

結構ブラックを聴きこんでる人でも、このノイジーで音圧の高い音作りには圧倒されそうですよね。ギターのノイズがまるで土砂が山の斜面を滑り落ちるかのようで、寒々しいリフも用いた作風ながら凍死するまえに圧死しそう。吹雪通り越して雪崩系のメロブラ。ギターノイズが視界を埋め尽くす中、しっかり音像の真ん中で主張するドラム、「グアアアア!!」系の怒声を木霊させるヴォーカルと、圧迫感すら感じるリフの音色を活用した音作りが出来ているのが素晴らしいですね。

また、曲の方は寒々しいだけでなく、どこか儚さや美しさを感じさせるトレモロ疾走を軸に、緩急つけて展開していく感じですが…ただでさえ高い音圧と鬼気迫るヴォーカルによって体力も気力も削られていくような音なのに、こういうメロディで追い討ちされると涅槃が見えてきそうです(笑)。冒涜性や邪悪さといった雰囲気はあまり感じられませんが、切羽詰った感情が伝わってくるような、非常にエモーショナルな作品。

ただ、メロディのセンス自体は優れているものの、それを殊更に強調しない作風で、しかもプロダクションに割と癖が強いので、メロディ派には少し辛いものがあるかも。ノイジーな轟音を心地良く感じられる方にはかなりお勧めです。


HRIZG - Anthems to Decrepitude ★★★ (2012-05-26 11:31:34)

2011年発表の2nd。

以前はセッションドラマーを起用していたようですが、この作品はHrizg氏が全てのパートを手掛けているようですね。アートワークも一部は彼の手によるもので、CDトレイ下のバフォメットのイラストは彼が描いたのだとか。

内容の方は、「情熱の国スペイン」のイメージを吹き飛ばすような(笑)、陰湿極まりないプリミティブブラック。ジクジクと腐食部分が広がるかのような毒の効いたトレモロ、後期MUTIILATIONに通じるダウナーなジャンキー風の低音がなり、泣き叫ぶように搾り出す絶叫など、この手のプリブラの中でも陰湿なムード作りに特化したような音ですね。

曲はいかにもプリミティブ系な疾走を中心としたもので、時折ドゥーミーなパートも挿入するタイプですが…高音のノイジーさを強調するタイプではなく、低音も効かせて荒々しいながらアナログ感や、コシのある音を演出するような音作りが、そのドゥーミーなパートにおいては特に説得力を持たせているように思います。曲作りと音質がしっかりリンクした、ある意味丁寧な作りの作風には好感が持てますね。

プリブラ好きなら何の問題もなく受け入れられるクオリティのある作品。ミニマルなだけではない、ある程度展開も重視した作風ですが、音作りが上手いのでミニマル系のバンド以上に聴いてて浸れる音になってると思います。


KAMERA OBSKUR - BILDFANGER ★★ (2012-05-26 11:25:37)

2011年発表の1st。

発売元があのCold Dimensions(LUNAR AURORAやCOLDWORLDのリリースで有名なレーベル)だったり、メンバーがLUNAR AURORAやNOCTE OBDUCTAなど、人脈やレーベルは思いっきりジャーマンブラックですが…音の方はブラック色の薄い、サイケデリックでアトモスフェリックな、妖気漂うアヴァンギャルドメタルで、雰囲気としてはARCTURUSの2ndに近いでしょうか。あっちよりももっと曲の構成がグニャグニャしてる感じで、他のレビューサイトではエクスペリメンタル・ドゥームと紹介されてたりもしますね。

淡く、それでいて妖艶で得体の知れないムードを描き出すようなギターのフレーズ、その妖気を更に濃厚なものにする、アトモスフェリックなキーボード、インダストリアル要素を始めとした実験的パーツなどが絡み合い、異次元に誘われるかのようなムードを演出する作品で、時折ノイジーなギターが視界を曇らせ、更に曲を不条理なものとして聴かせるセンスはやはりブラック人脈らしい感じがします。ヴォーカルも怪しいクリーンが中心で、作品の世界観への水先案内人を務める怪人のような雰囲気。

ただ、個人的にはこのヴォーカル微妙なんですよね…怪しさ重視なのは分かるけど、時々ヘナヘナに聴こえてしまう…異次元的に誘われるようなムードや、ギターの妖艶なフレーズ自体はかなり好きなので、ヴォーカルがGarm氏やSimen氏くらい表現力・歌唱力があれば素晴らしいものになったと思うんですが…流石に高望みしすぎでしょうか…。


KLADOTUS - VAIENNEET TEMPPELIT ★★★ (2012-05-25 21:41:39)

2011年発表の2nd。
これが出た年は、何気に結成10周年だったらしいです。意外にベテラン。

まあフィンランド産でSATANIC WARMASTERのメンバーが運営しているレーベル(Werewolf Records)からの発売という時点で、良質のプリミティブブラックを期待するに十分な情報ですが…想像してた音そのまんまでした(笑)。北欧産らしいメロウなトレモロを織り交ぜつつ、オールドスクールなノリも混ぜ冒涜感を演出する、如何にもプリミティブブラックという音。

プリブラとしてのセンスもかなり高く、トレモロには分かりやすい叙情性や邪悪さが込められているし、一部で使われるキーの音色選びも上手い。何より、8トラックを使用したというRAWな音質ながら、高音域だけを強調しすぎることのない、ある意味で聴きやすさを感じさせる音作りが素晴らしい。変に聴きづらくないのに、衝動性や荒々しさ、カルト性はしっかり伝える辺りが巧いです。

ただ、良質なプリブラであることは間違いないんですが、ちょっとヴォーカルに癖があるのがネックでしょうか。絶叫している箇所は文句なしにかっこいいんですけど、時折歪みの少ない声で喚くのが微妙…。たまに無気力な感じもするし。曲をスポイルするほど悪いわけじゃないですが、正直普通に絶叫してくれた方が個人的には良かったですね。

それでもプリブラ好きを満足させるだけのクオリティはあると思う作品。上記のレーベルや、Northern Heritage辺りのリリースを追ってる方なら手を出して損はないでしょう。


CHAOS INVOCATION - In Bloodline with the Snake ★★★ (2012-05-23 21:45:43)

2009年発表の1st。

数多くの良質なブラックメタル音源を世に送り出し、ブラック好きからの注目も厚いWorld Terror Committeeですが、そんなアベレージの非常に高いレーベルからのリリースの中でも、最高クラスのアルバムなんじゃないかと思います。発売年度に聴けてたら、年間ベストアルバムの候補に間違いなく入れてたと思う。

ドイツ産のバンドですが、蛇の如く絡みつく、薄気味悪いがメロウなトレモロを軸に、上手く緩急つけて展開していく作風で、WATAINやOFERMOD辺りの邪悪さ重視のスウェディッシュ・ブラックに近い路線でしょうか。結構ギターソロもありますが、メタリックなソロを弾いても音作りが不穏過ぎるせいでカオティックにしか聴こえません。音作りも上記バンドに似た骨の太さはありつつ、変にモダンになってオーガニックさを殺す事のない、非常に良質なもの。

しかし、この作品の何が良いのかって、曲そのものやフレーズ自体が非常に素晴らしいんですよね。特にアルペジオの醸し出す瘴気漂うムード作りは犯罪的とすら言え、インスト明け2曲目のアルペジオとリードギターのメロが絡む、カオスで不気味なパートからもう魂持って行かれます。この部分だけで、他のバンドと違う何かを感じ取れます。トレモロも毒や邪気を耳孔に流し込むような邪悪さがありつつ、メロウで本当に素晴らしい。

また、ヴォーカルは典型的なブラックのがなり声ですが…こちらもWATAINのErik氏辺りを思わせる、太さのある説得力の半端ないがなりで、やはり非常にかっこいい。それに加えて、時折偏執的な熱意と悪意を持って何かを訴えかけるような、感情剥き出しの真に迫った歌い回しをするのもインパクトあります。ヴォーカルの表現力もあって、聴いていて時々息をするのを忘れそうになるくらい引き込まれてしまう…。

これ、マジでWATAINとか、ジャンルのトップクラスのバンドと比較しても見劣りしないアルバムなんじゃないでしょうか…。最近のWATAINの曲ほどキャッチネスがある訳ではありませんが、よりグロテスクで薄気味悪い世界観を演出していると思います。音作り、作曲能力、演出能力どれも一流ですので、ブラックは齧った程度という人にも是非聴いて欲しいですね。ジャンルによりのめり込める契機になるかもしれません。


TEITANBLOOD - Seven Chalices ★★★ (2012-05-23 21:43:04)

2009年発表の1st。

ダーティで不道徳で、デスメタルにも通じるドロドロ感の強いウォーブラックである事自体は「Black Putrescence of Evil」の頃と変わっていませんが、 全てに於いてパワーアップしてますね。隣の部屋から聴こえてくるようだった音質は、今作では圧迫感も増し、地下臭さを感じさせるのに丁度良い篭もり度になっているし、SE的なパートを挟み、更に不敬さを演出する構成もチープとは言えない凝りよう。

特に進歩したと思うのがヴォーカルで、単にがなるというよりも、まるで内腑に蓄えたれた毒素をえずき出すかのような、爛れた表現力を身に付けていると思う。この声がオールドスクールでノイジーなリフと相性ばっちりで、更に作品の野蛮さだったり、宗教やモラルに唾を吐きかけるような不敵さだったりを際立てているんですよね。音源集の時よりもその野蛮さ・不敵さを確信に満ちて演っている感じです。

最初期BEHERIT辺りを始めとした、高音域のシャリシャリ感ではなく、低音域のボロボロな感じを強調し、汚らわしい雰囲気を演出するウォー/プリミティブブラックとしては、決定盤と言っても良いくらいの作品だと思う。流石にNEDが目を付けるだけあって、この手でも冒涜的なムードの濃さでは群を抜いているように思います。


WATAIN - Opus Diaboli (2cd+dvd) ★★★ (2012-05-20 20:18:23)

2012年発表のライブCD2枚+ドキュメントDVDの計3枚組。

「DVD」
海岸を歩く魔術師(?)や、這い回る蛇などを用いた、メンバーの感性による映像美を表現したようなイメージ映像パートと、Erikのインタビュー、そしてライブ映像が交互に出てくる構成。インタビューは要所で映像と共にエフェクトもかかり、ちょっとホラー映画を意識したような感じですね。内容は自分達のメタルバンドとしての立ち位置や、音楽への考えを述べてたりして興味深いですが、何分英語なので…(笑)。あのアートワークでよく見る三叉槍に逆さ十次を組み合わせたマークに、深い意味がある事には驚きました。

そしてライブは文句なくかっこいいですね。
凶悪なエピソードから想像するような、衝動だけに任せたような感じは全くなく、しっかりメタルバンドとして貫禄のある、威風漂うパフォーマンスをしてますね。フロントマンのErik氏の存在感も抜群で、時折悪魔の楽団を指揮するように両手を掲げたり、手を合わせて客席を睥睨したり、一つ一つの所作がいちいちかっこいい。パイロを使用した、凝ったセットとも相俟って、普通のメタルバンドではありえない儀式的な空間が形成されてると思う。勿論、エクストリームメタルとして優れたステージを見せてくれてるのは前提で、「その上で」です。

「CD」
こちらは純粋なライブ盤。
音質は流石にスタジオ盤よりは粗いですが、各楽器の音はしっかり聴き取れ、ブラックのライブ盤としてはかなり良い方だと思う。これを聴くと、如何に彼らがライブ映えする曲を作ってるかが分かりますね…。「Reaping Death」は聴いてるだけで体が動くし、「Stellarvore」は拳を上げたくなるし、「Waters of Ain」のギターメロはうっとりするくらい美しい。スタジオ盤よりストレートに怒りをぶつけるようなErikの声もかっこいい。プロフェッショナルなライブという感じなんですが、一方でステージに上がったら殺されそうな、ステージを自分達の聖域にしているような殺気めいた気迫も伝わってきます。

3枚組の作品という事で、多少値段は張りますがWATAINのアルバムを持っている方なら買って損はない作品。まあ正直言うと、DVDの構成はライブかインタビュー、どっちかに集中できないのでちょっと微妙だったりはするんですが…それでもお勧めです。


UNHUMAN DISEASE - INTO SATAN'S KINGDOM ★★ (2012-05-20 20:15:45)

2009年発表の4th。

アメリカ産の独りプリミティブブラックという触れ込みながら、ジャケットやフォント等、装丁はまるでSATANIC WARMASTERやSARGEIST辺りのフィンランド産のブラックを強烈に意識した感じですが…中身の方もノイジーかつメロウなトレモロと、シンプルでイーブルな展開、荒々しい音質で聴かせるプリブラで、フィンランドのこの手のバンドの様式を踏襲している感じですね。

ただ、単にRAWというよりは、ノイズ質をやや強調した、音圧の高い音作りがなされていたり、ヴォーカルの絶叫の音量がデカく、割れ気味なミックスになっていたり、よりストレートに攻撃性を発散するようなスタイルに仕上がっているように思います。あと細かい点を挙げれば、音圧が引いた時のプチプチ言うノイズが、儀式で使った燃えさしが燻っているようで、雰囲気があって好きだったり。

一般的なプリミティブブラックのスタイルだった頃のSATANIC WARMASTERやSARGEISTが好みな方にお勧め。ジャケを見てピンと来た方、ジャケット通りの音を出してるアルバムですよ(笑)。


AZURE - Moonlight Legend ★★ (2012-05-18 22:44:23)

99年発表の1st。

ブラックメタルバンドらしからぬバンド名(azure=空色)、ファンタジーの物語の情景を切り取ったジャケ、具体的なストーリーを下敷きにしたコンセプトの書かれたブックレットなどから、相当期待して聴いたんですが…一聴して痩せた、薄っぺらい音作りに落胆、ギターソロやアコギを取り入れたドラマティックな曲調とのチグハグ感も相俟って、いまいちとの評価を下したまま、暫く封印入ってましたが…再度聴いてみたら意外に良いアルバムに思えてきました。

前述したように、ドラマティックな構成とコンセプチュアルな世界観を武器に聴かせるメロブラなんですが、メロい刻みにしろトレモロにしろ、ただ漫然と弾いてるような感じじゃなく、常にフレーズにピリッとした緊張感が漂ってる感じなんですよね。音質を上手く脳内補完できれば、彼らのダークファンタジーな世界観に引き込まれること請け合い。音質も、流石に今でも好きとは言えませんが、ドラム、特にツーバスを踏む時のバタバタした感じは、ちょっと気持ちよく感じたりも。

最近のバンドで言うとDARKENHOLD辺りの、中世ダークファンタジー色漂うエピックなメロブラが好きなら気に入るかもしれません。ただ音質は聴けたもんじゃないというほど悪くないものの、中途半端にノイジーで微妙な感じなので、その辺りだけ覚悟して聴くように。


SDN48 - Next Encore ★★★ (2012-05-18 21:15:29)

2012年発表のベスト盤。

1stシングル「GAGAGA」から4thシングル「口説かれて麻布十番」までの表題曲及びカップリング曲、新曲「1ガロンの汗」を収録した全17曲。この内容でCDのみのバージョンなら2000円と、かなりお買い得な内容。私みたいな後追いに対しては凄く優しいアルバムです(笑)。このグループって、セミの羽を付けた衣装を着てたり、みのもんた氏とコラボしてたり、どうも奇抜な印象だったんですが…実際聴いてみると意外にも素晴らしい内容でびっくり。

正統派のアイドルポップスを目指したAKBと比べると、こちらは歌謡曲的な、少し暗めのメロディでムーディな曲が中心で、その哀愁がアイドル曲らしいキャッチネスと融合すると、ある意味クサいと言ってもいいような即効性の高さが生まれてます。アレンジはK-POP風からスパニッシュ、ピアノバラードからトランス風まで様々ですが、メロディの哀愁感は一貫していて統一感のある仕上がり。シングル表題曲のみならず、カップリング曲も含めて印象に残るメロディの宝庫。

また、多くの曲でウィスパー気味の歌唱を多用するのも特徴ですが…これがユニゾン多めの歌割とも相俟って、茫漠としたような妖しげな、抽象的なムードを掻き立てているんですよね。正統派な曲ではしっかりアイドルらしい溌溂とした、可愛らしい歌声も聴かせてくれたり、ソロバラードでは確かな歌唱力で聴かせるメンバーがいたり、ヴォーカルの面では個人的にはAKBよりも断然好きですね。何よりユニゾン多い曲でも没個性な感じがしないのが良いと思う。

しかし、残念ながら今年の3月末、実質的に解散(=全員卒業)してしまったらしいですね…。48系列のグループをいくつか試聴してみたんですが、このグループが一番音的に個性的だし、コンセプトもしっかりしてると思うのに、勿体なさすぎでしょう…。秋元氏のプロデュース方針は良く分からない…。まあともかく、AKB系列を嫌ってる人にもカウンターを喰らわせられる曲の良さがありますので、興味ある方は是非。特に歌謡系クサメタラーには大推薦です。


SDN48 - Next Encore - Gagaga ★★★ (2012-05-18 07:44:12)

アイドルポップス/J-POP的な溌溂とした感じより、洗練されたアダルトな方向に向かうアレンジといい、ハングルでの合いの手といい、K-POPを意識して作られた曲らしいですね。しかし洋楽にはない、歌謡的で起伏に満ちたキャッチーな歌メロはやはりJ-POP的。私としてはK-POPや洋楽ポップスよりも断然好きですね、メロディの下世話なまでの親しみやすさとかほんと素晴らしい。


SDN48 - Next Encore - 孤独なランナー ★★ (2012-05-18 07:43:25)

リミックス然として聞こえるくらいビートの強いアレンジと、哀愁漂うJ-POP特有の歌メロという組み合わせは、モーニング娘でいうところの「女に 幸あれ」にも通じる音という感じですが…個人的にはこっちのほうが好きかも。メロディとビートの距離がより自然な印象。特にサビの「激しく脈打つ」「ランナーよ」の締めのフレーズがかっこいいです。


SDN48 - Next Encore - エロスのトリガー ★★ (2012-05-18 07:42:48)

硬質な打ち込みリズムに、ストリングスとピアノが絡み、艶かしい雰囲気を演出する曲。こんな抽象的なムードの濃い曲もしっかりこなすあたり侮れません。歌メロはキャッチネスはやや控えめですが、十分過ぎるほど哀愁はたっぷり。後は間奏をもう少し凝ってくれれば…という感もありますが、良曲であることは間違いありません。


SDN48 - Next Encore - 佐渡へ渡る ★★ (2012-05-18 07:42:01)

曲名的に和風な曲が来るかと思ってましたが、意外にも「GAGAGA」の洋楽テイストを更に推し進めた感じの、クールな曲調でびっくり。「サドヘ・ワ・タ・ル~」って音だけ聴いたら英詩かと思いますよね。洗練された感じはあっても、口ずさみやすいキャッチネスはしっかり残してくれる辺りが良いですね。


SDN48 - Next Encore - 愛、チュセヨ ★★★ (2012-05-18 07:41:23)

韓国人の作曲家を招いていたり、タイトルに韓国語を使用していたり、この曲も「GAGAGA」同様、K-POPを意識した作りになっている感じですが、歌メロはかなり高音域のファルセットまで使用するもので、サビの特徴的なフレーズとも相俟って歌の重要性は更に上がっている印象。十分名曲だと思いますが、サビのベースとキックがもう少し大きい方が、個人的には気持ちよく聴けたかな…とも。サビ入りのベースが結構インパクトあるので、そこからもっと強調して欲しかったかも。


SDN48 - Next Encore - 天国のドアは3回目のベルで開く ★★★ (2012-05-18 07:40:48)

スパニッシュギターやパーカッシブなリズムを取り入れたアレンジが、グループの持つ刹那的なコンセプトと見事にあった曲。サビの高音域でのハモリは、どこか切迫した感情も伝わってくるもので、昏い情熱が感じられ、スパニッシュギターの音色とマッチして独特の世界観を作り上げてるように思う。


SDN48 - Next Encore - 淡路島のタマネギ ★★ (2012-05-18 07:40:07)

最初のアイドルとは思えないダミ声絶叫MCに吹きました(笑)。大人っぽいムードの曲が多いだけに、アルバム流し聴きしてるとめっちゃビビる(笑)。しかもパンキッシュな曲が始まると思いきや、キラキラしたトランシーな曲調というのも意外。何気に歌声がいつもより可愛らしい感じがするのも面白いですね。


SDN48 - Next Encore - 愛よ 動かないで ★★ (2012-05-18 07:35:24)

西国原さんのソロ(レイチェル名義)のバラード。
アイドル系のグループのバラードって、どうも無難で好みに合わないものが多いんですが、これは結構好きですね。歌唱力は高いのはもちろん、感情をぶつけてくるような抑揚のある歌い方に引き込まれます。


SDN48 - Next Encore - Min・min・min ★★★ (2012-05-18 07:34:45)

テレビで歌ってるのを聴いた時は、「奇抜な衣装だなぁ…」という印象しかなかったんですけど、ちゃんと聴いたら神曲でした(笑)。前半でセミの鳴き声の擬音を使った、特徴的なフレーズでキャッチーに決めつつ、後半で東欧の舞曲を思わせる華麗でメロウな絶品メロディを聴かせる、二段構えのサビがゴージャスで素晴らしい。日本的な「もののあわれ」を感じるCメロも良いですし、これはお勧め。


SDN48 - Next Encore - おねだりシャンパン ★★★ (2012-05-18 07:34:08)

最初はこのキャバクラのコールみたいなノリの掛け声が駄目だったんですけど、聴いてるうちになんか楽しくなっちゃいました(笑)。ああいうのってリアルでは「ノレない奴が悪い」的な暴力性を感じて嫌なんですが、この曲はミラーボールが回ってそうなバブリーな曲調とも相俟って、上手い具合にカリカチュアライズしてくれてるので楽しさだけが残る感じ。リズムに合わせた数々の合いの手や、「ピンクよろしく!」と意味不明ながらやたら耳に残る言い回しも好きです(笑)。


SDN48 - Next Encore - アバズレ (2012-05-18 07:33:31)

はすっぱな感じのする歌メロがそれっぽい感じだし、こういう曲調が得意なグループだとも思うんですけど…なんか他の同系統の曲と比べて押しが弱いような。悪くはないけど中庸な感じ。


SDN48 - Next Encore - Everyday, カチューシャ (sdn48 Ver.) ★★★ (2012-05-18 07:32:47)

まだ本家をちゃんと聴いてないんですけど、これはかなり良いと思う。
くすんだ感じのストリングスの音色から、一気に弾けるように盛り上がるイントロからしてアイドルポップスのリスナーが期待しているであろう溌溂感が全開。サビメロの爽やかなんだけど、少し甘酸っぱい感じのする雰囲気も素晴らしい。AKBやその周辺を馬鹿にしてる人は多いですけど、じゃあこれ以上に溌溂として甘酸っぱくてキャッチーで可愛らしい曲を紹介してみろ、って話です。


SDN48 - Next Encore - 口説きながら麻布十番 (2012-05-18 07:31:57)

これ、確か雑誌で「秋元康は聴き手をどれだけ舐めても許されるか実験しているのかもしれない」って言われてた曲でしたっけ…?メロディはムーディだし、そこまで酷い曲だとも思わないけど、やっぱりみのさんがなぁ…嫌でも顔が浮かんできちゃいますもん(笑)。1対多のデュエット形式で、狙ったキャバクラ感はちゃんと出せてると思いますけど。


SDN48 - Next Encore - やりたがり屋さん ★★★ (2012-05-18 07:31:21)

キック強めのリズムに、「アイヤイヤイヤ」と特徴的なフレーズによる哀愁メロが絡む、如何にも彼女達らしいクールさのある楽曲。こういうインパクト強いフレーズを歌うと良く分かりますが、ユニゾンでもAKBより芯が強い感じで、私的には好み。初出は麻布十番のカップリングですが、みのさんに持ってかれた感のある表題曲に不満な人もこれで溜飲を下げたのでは。


SDN48 - Next Encore - カムジャタン慕情 ★★★ (2012-05-18 07:30:47)

まずアコーディオンやストリングス、レトロなパーカッション等が時代錯誤な雰囲気を醸し出すオケからしてクサクサで最高ですね(笑)。歌メロも思いっきりベタベタな歌謡曲調でモロに私好みのクサさ。歌メロのベタさなんかは正直演歌スレスレだと思うんですが、演歌としてはビート強めのポップな仕上がりなのが良いです。


SDN48 - Next Encore - カシャーサで自白する ★★★ (2012-05-18 07:29:19)

昭和っぽい歌謡クサメロと、ラテンのテイストを取り入れたアレンジが噛み合い、暗い情熱を演出する曲。何気にこのグループ、カップリングが超高水準な気がする…。アダルトな雰囲気は演出しつつも、歌メロはあくまでベタで、しっかり下世話なまでの取っ付きやすさを残してくれているのが素晴らしい。このバランス感覚が私のツボにはクリーンヒットなんです。


SDN48 - Next Encore - 1ガロンの汗 ★★ (2012-05-18 07:28:03)

アルバムの中でも普遍的なポップスで、アルバムのエンディングテーマとしてもぴったりな楽曲。コンセプトのしっかりしたグループで、結構癖の強い曲が多い印象ですが、こういう曲ではアイドルらしい溌溂感とか可愛らしさも出せているのが良いですね。振り幅の広さと、それに対応できる力のある、良いグループだと思うんだけどなぁ…


SDN48 - 負け惜しみコングラチュレーション - 負け惜しみコングラチュレーション ★★ (2012-05-18 07:26:25)

ファンファーレのように派手にブラスを使いつつも、どこか明るくなりきれないメロディは正に負け惜しみコングラチュレーション。正直秋元氏のプロデュースってとても全肯定は出来ないですけど、曲調にあったシチュエーションをポップスの歌詞として提供できる手腕は凄いと思う。曲は今までのシングル曲と比べると、衒いのないポップスで普通に良い曲だと思う。


SDN48 - 負け惜しみコングラチュレーション - クリクリ ★★★ (2012-05-18 07:25:27)

楽曲のアベレージのめっちゃ高いこのグループの中でも、1、2を争うほどの名曲かもしれないです、これ…。タイトルや歌詞からは絶対ネタ曲だろうと思ってましたが、これがムーディなアレンジに民謡並に口ずさみやすい、どキャッチーなメロディが乗る曲で良い意味で裏切られました。歌詞のはっちゃけといい、意外な完成度の高さといい、個人的にはサザンがシングルの表題曲以外でやりそうなイメージ。とにかく一回聴いたら忘れられないインパクトがあります。


SDN48 - 負け惜しみコングラチュレーション - 上からナツコ ★★★ (2012-05-18 07:24:14)

AKBの「上からマリコ」のSDNバージョン。
まだAKBの方はちゃんと聴いてないんですが、これは結構好きです。タイトルだけ聴くと「?」と思うようなテーマなのに、ポップスとしてある程度普遍性を持ってるように聞こえてしまう歌詞は正直感心してしまいました。サビも張り上げて歌って気持ちいい音域に設定されてる(特に「サディスティックな~」辺り)し、カラオケ文化を見越したような曲作りもいいですね。


SDN48 - 負け惜しみコングラチュレーション - 終わらないアンコール ★★★ (2012-05-18 07:22:43)

これはやっぱり実質的な解散についての曲ですよね…完全に後追いかつ思いっきりニワカな私が聴いてもジーンと来てしまうくらいなので、グループを結成当時から応援してきた人にとっては特別な曲なのかもしれません。合唱に聞こえるヴォーカルのミックスも、切ない雰囲気をより強めているように思います。


PALE CHALICE - AFFLICTING THE DICHOTOMY OF TREPID CREATION ★★★ (2012-05-15 23:47:45)

2011年発表の4曲入りEP。

PALE CHALICEはアメリカのブラックメタルバンドで、このEPが初の音源となるようですが…いきなりレベル高いですね、これ…。粗めのプロダクションや陰湿なトレモロ、陶酔感を感じる疾走など、プリブラとしての要件は備えつつ、この手の普通のバンドよりも一歩踏み込んだ作風を演っている感じ。DEATHSPELL OMEGAは「Si~」アルバムで暗黒美や宗教的な禍々しさに重きを置く作風になり、プリブラからは離れた感じですが、この作品はそうした禍々しさをある程度匂わせつつ、依然プリミティブな音を出している感じですね。

何と言っても素晴らしいのは、その陰湿で湿った空気感でしょう。要所で効果的に挟み込まれるトレモロなんか視界が腐り落ちていくような錯覚を覚える程ですし、オールドスクールなリフやリズムを取り入れていても、常に「陰」の気に満ちている感じ。気温でなく、聴き手の体温を直接下げに掛かる系の寒々しさ。また、生々しさを殺ぐほどに整ってはおらず、かと言って陶酔感を妨げるほどノイジーでないプロダクションも絶妙だし、獰猛な攻撃性と、粘着質なダウナーさを兼ね備えたヴォーカルも非常にエグイ声だし、各要素の質も総じて高いと思う。

アメリカのブラックって、サイコな攻撃性だったり病んだ陰鬱さだったりに向かうバンドが多い印象なんですが、このバンドは宗教的な邪悪さをストレートに感じさせる音を出してますね。EPと言っても30分近くありますし、プリブラ好きには推薦…なんですが、1枚目のEPからこうレベル高いと、後からあらぬ方向に変化していかないか、ちょっと心配だったり…(笑)。アルバムタイトルや曲名が微妙に不安(笑)


MORD'A'STIGMATA - ANTIMATTER ★★★ (2012-05-14 19:39:09)

2011年発表の1st。

これは凄まじい…。
基本的には、ポーランド産らしいデスメタルにも通じる、圧迫感すら感じるような畳み掛けや音の太さに負けない、獰猛なグロウルが非常に強烈なブラックメタルという感じで、程よい重さのあるプロダクションとも相俟って実に心地良く耳を蹂躙してくれる作品なんですが…ブルータリティのみに頼らない、テクニカルでアヴァンギャルドな展開も設けて進行する、知的な曲作りも大きな特徴。

例えばギターワークはDODECAHEDRONや近年のDEATHSPELL OMEGAを思わせるような、不協的で不穏、それでいて練り込まれたフレーズも登場するし、魔素の濃い、澱み切った空間を演出するようなアルペジオや、カルト宗教の導師の演説のようなクリーンヴォーカルを取り入れ、宗教的な雰囲気を演出したり、暴虐性以上に曲が作り込まれている感じ。

ただ、こう書くと敷居の高さを感じるかもしれませんが…実際に聴いてみると、ブルータルな音作りに気持ちよくぶっ飛ばされるし、不穏なムードは(勿論良い意味で)気持ち悪くトリップさせてくれるし、難解さを感じる以前に、感覚に強く訴えてくるんですよね。古代の遺跡の石像と目が合ったら、その魔力でスピリチュアルな世界に意識が飛んでしまった…そんな聴き心地のある作品。

歌詞が一部しか載っていないので確実な事は言えませんが、曲から受ける印象としては独特な哲学を持っているバンドだと思う。思わず畏怖を感じてしまうような世界観を、知性やテクニックでしっかり演出できている素晴らしい作品です。


CHELMNO - HORIZON OF EVENTS ★★ (2012-05-13 11:23:03)

2010年発表の2nd。

曲自体は、メロディックなトレモロやオールドスクールなリフと、ハーシュに絶叫するヴォーカルを伴って疾走するスタイルで、ややプリミティブ寄りの曲作りながら基本に外れたことはあまりしていない路線なんですが…音作りの方はなかなか個性的。ギターの音色が変に奥行きのある軽さで、単にRAWとも言い難い、妙なノイジーさ。製鉄所から聞こえて来る、バーナーで鉄を焼ききる音に似てる気がします(笑)。

正直プリブラが行ける人の間でもかなり好みは分かれる音なんですが、個人的にはこの音が神秘性を掻き立てているようにも思えますね。意識が星雲の間を突き抜けて宇宙にトリップするかのような、普通のプリブラとは異なる陶酔感がある。メロディも邪悪さや陰鬱さよりは神秘的な感覚が強く、音作りとも相俟って少しサイケな印象も。アルバムタイトルは随分大袈裟ですが、作風に合ってるといえば合ってるのかも。

音作りは変わってますが、曲自体はそれなりにメロディアスですし、BEATRIKやPERMIXTIO人脈だけあってその質も悪くないかと。王道からは少し外れてる感じなので、ある程度基本バンド聴いてる方にお勧め。


DYSTHYMIA - The Shivering Opus ★★ (2012-05-12 00:54:46)

2008年発表の1st。
中国のPest Productionsよりリリース。
残念ながら、この一枚で活動を停止してしまった模様。

路線としては、本能的に破滅が迫ってくることを感じられるような、陰鬱なメロディを伴って重々しく進行する、鬱ブラック。時に華々しいまでのグルーミーさを演出するキーボードやピアノも取り入れられており、メロディはなかなかに(鬱的な意味で)豊か。初期BURZUMに思いっきり影響を受けたような、裏返り気味の絶叫も、精神が引き裂かれるような真に迫った感じがあって良いですね。

このバンド、メロディのセンスも良いんですが、それ以上に曲の構成が上手いと思う。リフだけでなく、キーボードやピアノによって弾かれる鬱メロディは即効性もあり、それで聴き手を曲に引き込みつつ、凌遅的なミニマルでドゥーミーなパートで、生きる気力を少しずつ奪っていく感じ。ただ、BURZUMの初期作以上に音量が小さいのはかなりマイナス。悪くない作品ですが、個人的に音の小さいプロダクションって大嫌いなんで、それだけで星一つ分は評価を下げたくなりますね…。その辺り気にしない鬱ブラッカーなら星3つ評価でも良いと思う。


CRIONICS - Neuthrone ★★ (2012-05-12 00:51:38)

2007年発表の3rd。

これの前作を聴いた時は、EMPERORに肉薄する素晴らしいバンドがいた!と狂喜したんですが…良くも悪くも変化した感じですね。神秘的なキーボードやトレモロもある程度残してはありますが、今作はスラッシュをゴツくしたらブルデス並にタフになったような、極骨太なブルータルブラックに変化。ヴォーカルもゴリマッチョが叫んでそうなドスの効いデスメタリックな咆哮スタイルに。

個人的には、ヘヴィネスが実体的になりすぎてて、ブラック特有の抽象的なムードが引っ込んでしまったため、初めて聴いた時は少々落胆を隠せなかったんですが…冷静になって聴くと、演奏力の高さや荒れ狂う暴虐性、それらをガッツリ伝える重い音像といい、聴かせるポイントが変わっただけで、クオリティ自体は全く落ちていないと思う。エクストリームメタルとしての質の高さで言ったら、BEHEMOTHやZYKLON、INFERNAL WAR辺りと勝負できるレベルだと思う。つまり超一流です。

個人的に「このバンドまでこの方向に進む必要があったのか…」と思う路線に変化してしまっただけで、アルバム自体は非常に良質な作品。聴く人によっては過去作より断然このアルバムの方が好みという方も多いと思われます。まあ、私は完全に前作の方が好きなんですけどね…。


PERMIXTIO - IL CANTO DEI SEPOLCRI ★★★ (2012-05-10 21:47:37)

2010年発表の1st。

天に召されそうなクワイアによるオープニングから身構えてしまいますが、身構えていても第一音で落とされますよね…。いきなり死者の怨念が肩にのしかかってくるような、霊的なムード漂う厚みのあるリフの音色が、濃霧の如く辺りを多い、聴き手を鬱のどん底に叩き込むようなブラックメタルを展開。一瞬にして自分の部屋が地雨の降り続く、夜の墓場のような湿度も暗度も高い場所に変わってしまうような、非常に濃密なムード。

基本的にはディプレッシブ系統のブラックなんですが、個人的には今まで聴いた中でもバランスの良さを感じる作品なんですよね。トレモロによるメロディは分かりやすく絶望感を感じさせてくれるし、鬱メロディを紡ぎ上げるリードフレーズやアルペジオが入ったり、疾走パートも設けた、ドラマ性も強い展開もあり、この手に慣れていないリスナーも突き放さない求心力がある曲作りが出来てると思う。それでいてこの手のバンドを聴き込んでる人でも引き込まれる、濃厚な雰囲気もあるのが素晴らしい。

最近出た鬱ブラックの中ではかなりお勧めの作品。鬱ブラックってジャンル自体が内包するカルト性のせいで、どうしても内輪受け的な感じが出てしまう傾向がありますが、このバンドは上手くその辺りクリア出来てるかと。…最近イタリアも次々に良いブラックメタルバンドが生まれ始めてますよね。


OGEN - Black Metal Unbound ★★★ (2012-05-10 21:43:43)

2011年発表の5曲入りEP。

2010年に結成されたイタリアのブラックメタルバンドで、このEPが初めての音源となるようですが…これが新人離れした素晴らしい作品です。ミディアムテンポを中心に、近年のENSLAVEDを思わせるようなロック的ダイナミズムと、サイケデリックな幽玄さを両立させた演奏を聴かせる、プログレッシブでアトモスフェリックな路線。ヴォーカルはデスとクリーンを使い分けるタイプですが、このクリーンがマイルドで雰囲気あって良いんですよね。

近年のENSLAVEDと比べると、こちらはトレモロリフでストレートに叙情的なメロディを聴かせるパートが多く、より取っ付きやすい仕上がり。しかしそのトレモロリフも、DISSECTIONだったり初期EMPERORを思わせるような、近寄りがたい神秘性が感じられて、恐ろしいくらいセンスが高いんですよね…。良質な音質ながら、ムードを壊すほど実体的なヘヴィネスにおもねらないプロダクションも、曲の良さを上手く引き立てているように思います。

どこか高尚さや、芸術性の高さみたいなものが感じられ、近寄りがたい雰囲気がありつつもメロディックで即効性も高い、素晴らしい作品。正直、まだ一枚のフルアルバムすら出してない新人とは思えない完成度です。ブラックメタル好きであれば青田買い大推薦。


真野恵里菜 - More Friends Over (2012-05-09 22:15:53)

2012年発表の3rd。

理由は大きく分けて二つあるんですが、最初聴いたときの印象は良くない作品でした…。一つはアルバムの構成。数曲ごとにインターバルで会話が挿入されるんですが、正直こういうのは1回聴けば十分だと思ってしまう私にとっては微妙ですね…。「進行はミチコ」というタイトルですが、これが入るたびにアルバムの進行が止まるのが非常にめんどくさい(笑)。そこでやってる企画も面白くないし、こんなのを入れるくらいなら別ディスクで曲へのコメントやフリートークとかやった方が…とか私は思ってしまうんですが、ファンはこういう構成は嬉しいものなんでしょうか。

しかしそれ以上に問題なのが、アレンジが微妙な曲が多い事。
特にはたけ氏のアレンジは凝り具合や聴き心地の良さといった面で、他のアレンジャーから水を開けられてしまっている気がしてなりません。中でも「Glory Days」のバンドやってる人が急に打ち込みにチャレンジしたみたいな平坦なアレンジは、はっきり言って曲をスポイルしてしまってるように思う。1stの情景描写重視路線ではなく、前作のバラエティに富んだカラフルな路線を引き継いでいるのに、全体的にそれに見合った音圧がないのも気に掛かるところ。

その二点で一時放置気味だったんですが、時間を置いて聴いてみるとそんなに悪くないんですよね。何気に曲はどれも良質で、さっき槍玉に上げた「Glory Days」も曲自体は素晴らしいし、「My Days for You」は彼女を良く知らなかった私に、その曲のシングルだけでなくアルバムまで買いに走らせたパワーがありますからね(笑)。真野さんの歌唱は、決して技巧的ではないものの、弾けてる曲でもどこか真摯さを感じるもので、個人的には凄く好感。というか純粋に彼女の声が好きっぽいです(笑)。「天気予報があたったら」の溌溂とした歌を聴いてると、こっちまで元気になれそうですもん。

…まあそれでも、☆3つはちょっと付けられないかな…というのが私の評価です。「My Days for You」のような、初見でもがっつり引き込まれる超名曲はあるけど、全体としてはまあまあといった感じ。しかし、帯のコピーが「二十歳最後の青春超大作」なのに、このジャケット衣装は…突っ込み待ちなんでしょうか(笑)。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - ジャスミンティー ★★★ (2012-05-09 22:09:45)

カップリングには勿体ないくらいの名曲。
確かにシングルにするにはちょっとサビメロが弱い気もしますが、その他は完璧。イントロから切なくて可愛らしいムードに引き込まれるし、ちょっと頼りなげで可憐な歌声は歌詞の世界観と見事に合ってると思う。多分これ、アイドル嫌いのおっさんが粗探し目当てで聴いたとしても、歌詞の主人公の女の子の心情とがっつりシンクロして聴き入ってしまうと思う。それくらい雰囲気がある楽曲です。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - 21世紀的恋愛事情 ★★★ (2012-05-09 22:08:50)

ツタツタ疾走+クサめのメロディ+ギャングコーラス風の掛け声…この組み合わせでテンション上がらない訳がありません(笑)。真野さんの曲ではここまで疾走するのは珍しいかも。ちょっとBメロがミステリアスな感じだったり、遊園地的なメルヘンチックなキーボードメロがあったり何気に展開も凝ってる。実はA面より好きかもしれません。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - 黄昏交差点 ★★★ (2012-05-09 22:08:10)

触りだけ聴いた時は、シングルとしては地味めな印象があったんですが、通して聴くとこれもかなりの名曲ですよね。イントロのピアノから哀愁全開、歌メロも情景が流れるように自然に哀感を演出してくれてます。真野さんの歌はしゃくりを多用したアイドルっぽいものですが、嫌味さがなくて好きです。作詞/作曲/編曲は本上遼さんという人が手掛けてますが、彼の他の曲を聴くとパンキッシュだったりライブで盛り上がる曲が得意みたいですね。サビ前のベースのグリッサンドや、リズムのキメの部分など、アレンジにさりげないかっこよさがあるのは彼の感性のお陰でしょうか。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - ドキドキベイビー ★★★ (2012-05-09 22:07:31)

多分ファンの間では「元気者で行こう!」がこの路線の代表曲という位置づけになってると思うんですが、個人的にはこっちを推薦したいですね。溌溂とした、極上キャッチーなアイドルポップスに、ポップスとしての普遍性を壊さない程度に電波ソング的な盛り上がりを加えた感じの曲調で、強烈なインパクトがありつつも哀愁や清涼感も強い曲。THE ポッシボーに提供した曲も聴きましたが、本上遼さんってホント良い曲書いてると思う。


真野恵里菜 - More Friends Over - 天気予報があたったら ★★★ (2012-05-09 22:06:01)

個人的に神曲な「My Days for You」を差し置いてトリの曲ですが、アルバムの微妙な部分(コンセプト・アレンジ)を吹っ飛ばすくらいの名曲だと思う。TUBEの爽やか系シングル曲を思わせるような清涼感のある曲調と、真野さんの可憐さと溌溂さを兼ね備えた歌唱が見事に合致して、聴いてるだけで訳もなく良い事がありそうな気分になってきます。休日の早朝のジョギングとかの時に聴くと最高の気分(笑)。ただ、この曲が素晴らしいだけに、アルバムのエンディングは蛇足に思えてしまうんですが…ファンから見たらそうでもないんでしょうか。


真野恵里菜 - More Friends Over - あなたがいるから (2012-05-09 22:05:08)

学園モノのドラマで、紆余曲折があった末のエンディングの卒業証書授与のシーンで流れていそう…そんな印象のバラード曲。盛り上げ方がちょっと無難な印象は受けるんですが、まあアレンジは悪くはない…と思う。でもせっかくピアノ入れたバラードやるなら、1stの頃のような繊細なアレンジが良かった気も。


真野恵里菜 - More Friends Over - I have a dream ★★ (2012-05-09 22:04:17)

3連の穏やかなバラードで、どうしてもサザンオールスターズの「栞のテーマ」を思い出してしまいます(笑)。最初ちょっと地味目に感じましたが、良く聴くとメロディの叙情性はなかなかで、リラックスして聴ける良曲。ただ、音はもう少し太くても良かった気が。録音の細さまで80年代っぽくしなくてもいいと思うんだけどなぁ…。


真野恵里菜 - More Friends Over - 熱血先生 ★★ (2012-05-09 22:03:27)

作詞作曲がシャ乱Q組だと思ったら、カヴァーなんですね。真野さんってなんか品行方正っぽいイメージがあるんですが、演技もやってる人だからか、こういう不良少女視点の歌詞もしっかりそれっぽく歌いこなしてますね。彼女の持つちょっと昭和っぽい雰囲気とも合ってると思うし、なかなかハマってる選曲なのでは。


真野恵里菜 - More Friends Over - 風の薔薇~歩いて地図をつくった男のウタ~ ★★ (2012-05-09 22:02:50)

まさかの伊能忠敬キャラクターソング(笑)。
曲的にも「みんなのうた」的な親しみやすいメロディがあるし、絵本タッチの絵柄をバックに流したら物凄く映えそうでもあります。実際にNHKとかでそういうPVと一緒に流しても全く違和感無いと思う。


真野恵里菜 - More Friends Over - バンザイ! 〜人生はめっちゃワンダッホーッ!〜 ★★ (2012-05-09 22:01:59)

THE ポッシボーの新譜に入ってそうな曲だと思いましたが、作詞/作曲/編曲を本上遼さんが手掛けてるんですね。…こういうアッパーな曲もこなせるあたり、1stの頃と比べると良い意味で図太さが出てきてるように思います。曲も単に盛り上がるだけでなく、鼓笛隊でアレンジしたら映えそうなインパクトの強いメロディもあって良いですね。それにしても歌詞に「!」使いすぎ(笑)。多分100個くらいある気がする(笑)


真野恵里菜 - More Friends Over - 永遠~黄昏交差点 Time Goes By~ ★★★ (2012-05-09 22:00:50)

シングル「黄昏交差点」の別バージョン。
シングルとは歌詞・ヴォーカルテイクが異なってますが、個人的にはこっちのバージョンの方が好きですね。サビのフォールとか、歌い回しの癖が小慣れてきてるというか、表現が自然になっててより歌詞と歌唱のイメージが合っている印象。相変わらず名曲ですよ。


真野恵里菜 - More Friends Over - 青春のセレナーデ ★★★ (2012-05-09 21:59:58)

最初のスキャットの部分で既に昭和時代の青春観が広がってくるのが凄いですよね(笑)。ライブでの盛り上がりを意識したような弾けた感じもありつつ、歌謡的なキャッチネスや哀愁も振りまく、シングルらしい分かりやすい、なかなかの良曲。掛け合いで盛り上がった後の爽やかなサビとか、聴いていて爽快な楽曲に仕上がってると思います。


真野恵里菜 - More Friends Over - Glory days ★★ (2012-05-09 21:58:18)

こんな惜しい曲は彼女のディスコグラフィでは初めてだと思う。とにかく起伏のあるメロディが素晴らしく、シングル曲と比べても何ら遜色無いインパクトで、掛け値なしに名曲だと思えます。「曲は」ですけど…。
そんなメロディが宝の持ち腐れに思えるくらい、アレンジが平坦で微妙なんですよね…。メロディの流れはドラマティックなのに、音像の場面変化が付いていかないもどかしさ。作曲と編曲を同じ人がやってるとは思えないチグハグ感…これ、もっと上手くアレンジしたら代表曲足りえる曲だと思うんだけどなぁ…。


真野恵里菜 - More Friends Over - 純情警察K・I・S・S ★★ (2012-05-09 21:57:24)

インパクトのあるヴォーカルメロで始まる曲で、アルバムの掴みとしてはバッチリ。サビは個人的には歌謡曲的な哀愁がもう少し欲しい感じですが、言葉遊び的な歌詞とも相俟ってなかなかにキャッチー。途中の台詞が昔のラブコメっぽいノリで、ちょっとレトロな感じ…まあそれを言ったら、恋愛と警察を掛けて逮捕しちゃうぞ的なノリのこの曲自体が今っぽくないですけど(笑)。


NEXION - NEXION ★★ (2012-05-08 22:51:22)

2011年発表の5曲入りEP。

冷たいメロディのトレモロを伴う、ノイジーで荒涼とした雰囲気の疾走を軸としつつ、メロデス的なメタリックな刻み、メロディアスなリードフレーズも取り入れつつドラマティックに展開していくブラックで、DISSECTIONの系譜にあたるようなスタイルですね。おそらくバンド名もDISSECTIONの3rdのオープニング曲から取ったのではないかと思われます。

ただ、THULCANDRAほどまんまDISSECTIONという訳ではなく、こちらはブラストの暴虐性とリフの粗い音質の合わせ技で刺々しい攻撃性を表現している感じで、もう少しマニアックな印象。力強い低音がなりと、半ばヤケクソになったような高音絶叫を使い分けるヴォーカルも良いですね。また、時にメタリックな高揚感、時に陰鬱な圧迫感など場面によって感触の変わる刻みリフの使い方も巧み。ごく一部ですが、「Isa」「Ruun」期のENSLAVEDのようなダイナミズムを感じたりする場面も。

正直現時点では初心者に向かってDISSECTIONやTHULCANDRA辺りをすっ飛ばしてでも聴け、とは言えませんが、ノイジーながらごく良質のメロブラを演っていると思います。このジャンル自体が好きな人は是非チェックしてみては。演奏時間は30分あるし、EPとしてはボリュームもなかなかですよ。


GRAVEWORM - Collateral Defect ★★ (2012-05-08 22:50:06)

2007年発表の6th。
実は初めて聴きました、GRAVEWORM。

よくDISSECTIONやNAGLFAR辺りのバンドが「メロデスっぽい」との評価を受けているのを耳にしますが、それよりも更にメロデスに近い音ですね。ムードよりも実体的なドラマ性だったりヘヴィネスだったりを追求した音作りもそうですし、メロディもブラックの邪悪さや陰湿さはまるで感じさせず、派手でかっこいい感じ。フックのあるフレーズも多く、洗練されたクオリティの高さのある作品。

当然音質も各楽器の分離が良く、モダンな重さをしっかり備えた、客観的に見たらエクストリームメタルとしてごく良質なもの。ただ、個人的にはこの音質は今ひとつ好きになれなかったり…。ドラムの音があまりバランスの良いものではなく、「迫力がある」というよりは「聴き疲れする」と感じられてしまう…。ちょっとメロディを食い気味の感もあるので、そこだけは見直して欲しかったですね…。

クオリティが高い事は断言できるんですが、それが個人的な好みにハマるかというと微妙なアルバム。どちらかというとメロデスや、エクストリームメタル全般を好んで聴く方にお勧め。


DIMIDIUM MEI - Flames Of Hatred ★★★ (2012-05-06 22:01:40)

2010年発表の1st。
ぶっちゃけ、ジャケがWATAINっぽくて目に付いた…という理由(加えて、韓国の有名レーベル、Misanthropic Artから出てることや、中古で安かったこともあったけど)でレジに持っていてしまいましたが、これがなかなかの好盤で大満足。

作風としては、RAWな音作りを身上としつつも、2ビート疾走と邪悪トレモロによるプリミティブな展開だけでなく、オールドスクールでダーティな展開やミディアムでペイガン風の土着的な力強さを感じる展開などを盛り込んだ、バラエティに富んだブラックメタルという感じ。空間的なアルペジオや儀式的なリズムを用いた邪悪なムードの演出、この手には意外なベースソロを取り入れた曲もあったり、邪悪さをキープしつつ色々なアイデアが込められてる印象。

しかし個人的に感心したのは、RAWさを演出する音作りの上手さ。ギターは粗い音ながら、ノイズ質が変に前に出てくることなく、しっかりフレーズの邪悪さを際立てているし、ドラムはカッチリした音ではないものの、響きが良くブラック特有の陶酔感を増してくれてる感じ。モダンな重さとは無縁の音作りですが、ベースが結構前に出ているため、意外に骨の太い印象があるのもグッド。また、曲によってメロディの傾向は違いますが、特に陰湿系の邪悪メロのセンスが素晴らしく、音作りとも相俟ってプリブラ的なパートは作品内でも非常に魅力的に聴こえます。

WATAINに似ているジャケに目が行ってしまうくらいブラックメタルを聴いてる人なら、間違いなく楽しめる作品なのではないでしょうか。ジャケ買い上等な良質のブラックメタルです。


DIMIDIUM MEI ★★ (2012-05-06 22:00:57)

ポーランド産ブラックメタルバンド。
バンド名はラテン語で「我が半身」の意。
多分「妻」「恋人」的な意味で使ってるのではないと思われる(笑)


LORD AGHEROS - As a Sin ★★★ (2012-05-04 21:41:23)

2008年発表の2nd。
メンバーの写真が如何にもイタリアの伊達男って感じで、かなりのイケメンですけど(笑)、そんな見た目とは裏腹に、鬱ブラックや葬式ドゥーム以上の悲壮感が感じられる、アトモスフェリックなブラックメタルが展開されてますね。

ノイジーながら控えめなバンドサウンドと、呼気とエッジ音で無理に搾り出すような喉の痛そうなヴォーカルを、空間系のシンセやピアノが包み込む作風で、一枚を通じて聴ける、誰かを悼んでいるかのような沈痛で儚げなピアノのメロディが非常に印象的。セピアの追憶の情景が緩やかに流れていくようなメロディで、鬱系が葬式ムードならこちらは告別式といった感じ。クワイアが入るパートなんかは、むしろ式とか通り越して霊界だか冥界だかに魂引っ張られそうになりますが。

また、SE的なサンプリングを曲に取り込んでいたり、メディテーション音楽的なシンセの音色が取り入れられていたり、パーカッシブなリズムも顔を出したりなど、所々でアヴァンギャルド/プログレッシブなアレンジが顔を出すのも特徴ですね。個人的には、6曲目後半の、日本の伝統芸能をイタリア人がアレンジしたような妙なムードのパートや、タイトル曲の今までに聴いた事がないような、奇天烈なアコギなフレーズなんかは非常に印象に残りました。一部に限って言えば、変態的と言っても過言ではないと思う。

実験的要素が奇抜過ぎて、全体に漂うセピアなムードに対してインパクトがありすぎるきらいはあるんですが、濃厚な雰囲気で浸らせてくれるし、ユニークで面白い作品に仕上がってると思う。悲壮感のある作品、個性派ブラック好きならば是非。


DARKENED NOCTURN SLAUGHTERCULT - Saldorian Spell ★★★ (2012-05-04 21:39:47)

2009年発表の4th。

ブラストによる爆走パート中心に、ブラック特有の平坦系のリフと邪悪トレモロを組み合わせ、緩急つけて聴かせてくれる凶悪なブラックですが、これがかなり素晴らしい。適度にRAWで適度に湿り気を含んだプロダクションは、生々しい邪悪さを伝えつつも耳に心地良いし、時折悲鳴のような声を上げて絶叫する、女性によるデス声も、女性らしいハイピッチでしなやかな感触が獰猛さ、悲壮感といったものを感じさせてくれて良い感じ。

しかし何より素晴らしいのは、曲作りのセンスだと思う。邪悪さとメロウさを高いレベルで両立させ、強烈に耳を引くトレモロリフの魅力も然ることながら、要所で使われる平坦系のリフがそれ以上に良いんですよね。上級悪魔が弾くメロディという感じで、どこか高貴さすら感じる、悪のオーラだだ漏れなリフ。作風としてはダーティさや野蛮さも感じるんですが、同時にどこか上品(行儀が良いという訳ではない)なムードもあるような気がします。あくまで個人的には、ですが。

確かに地下臭さはあるんですが、その地下臭さを普段ブラック中心で聴いていないメタラーにも、魅力として伝える事が出来るくらい、良いアルバムだと思う。バンドの評判が高かったので買ってみましたが、予想以上に良い作品で大満足です。


SEMARGL ★★ (2012-05-03 09:13:47)

ウクライナのブラックメタルバンド。
彼らは自分達の音楽性を「サタニック・ポップ・メタル」と称しているみたいですね。