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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1201-1300

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1201-1300

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SEMARGL - Ordo Bellictum Satanas ★★★ (2012-05-03 09:12:39)

2010年発表の4th。
これはかなりユニークなアルバムですね…。

基本的にはデスメタル的な音像の重さ、ブラックメタル的な邪悪さによって強固な武装が施された、スラッシーで骨の太いエクストリームメタルという感じで、キレの良い吐き捨てデスと重々しいグロウルを重ねたヴォーカルワークや、東欧というより日本人の耳には中近東系っぽく聴こえる妖しげなメロディが曲の威風を引き立ている…という印象なんですが、そんな音を基本に据えながらも、様々な音楽的要素を取り入れ曲によって表情を大きく変える作風が特徴。

最近のSEPTICFLESHを思わせる、壮大で神秘的なオーケストレーションだったり、トランシーなシンセの音色まで飛び出すエレクトロ要素だったり、シンフォ・ゴシック的な美しいメロディだったり、常に「ここでこう来るか」という驚きがある感じ。ブルージーなメロディに合わせて女性ヴォーカルが歌い始めたときなんて耳を疑いました(笑)。個人的には、3曲目の大仰シンフォが好きですね。この路線で一枚フル出して欲しいくらい。

ただ、これだけ色々な要素を取り入れても散漫にならず、どこか一本筋が通っている感じがするのは、根幹のエクストリームメタルとしての音が、極悪さすら感じるほどに骨太だからなのかもしれません。SEPTICFLESHやWALTARIなどが好きな方にお勧めです。


DETONATOR 666 - At the Dawn of Sadistic Infernal Holocaust ★★★ (2012-05-03 09:07:20)

2004年発表の1st。

ツタツタ疾走するリズムに、荒涼感あるリフを乗せた展開をメインに、時折不穏で邪悪なメロディのトレモロも仕込んでくる、プリミティブブラックにも通じる感性を持ったブラックメタル。起爆装置を意味するバンド名ですが、どちらかというと爆発力よりはじわりと邪悪さが染み出してくるような音。プロダクションにMAYHEMのDMDSを思わせる湿った感触があるのも、個人的にはポイント高いです。

作風自体、ブラックの邪悪さや魅力を分かりやすく伝えてくれるもので、非常に好感触なアルバムなんですが、それ以上に衝撃的なのがヴォーカルのがなり声。病気で会話が困難なレベルで喉が嗄れた時に無理矢理搾り出したような、異様に潰れまくった凄まじい声。声帯の擦れる音が直に聞こえてくるような凄絶さで、ブラックでもここまで潰れた声は珍しいと思う。この異形な感じもまた素晴らしいですけど、喉は心配になりますね(笑)。

曲も良質ですし、異様に潰れたヴォーカルというインパクトを与える要素もあるし、かなりの好盤ではないかと思います。このバンドについて調べてるくらいのブラック好きの方なら、まあ買って損はないかと。


OAKHELM - Echtra ★★ (2012-05-03 09:04:06)

2011年発表の1st。

CDのプレイボタンを押すと、なんの前触れもなく始まる展開が非常に男らしくて良いですね(笑)。メロデス方向に行く前のDISSECTIONや、THULCANDRA、ISTAPP辺りを思わせる、吹き荒ぶような身を切るメロウさのあるリフを武器に、ドラマティックに展開していくメロディック・ブラックで、とてもアメリカ産とは思えない音。音を聴いて北欧のバンドだと思い込んでたので、結構驚きましたね…。

上記のバンドと比較すると、ヴォーカルがダミ声気味のデスだったり、朗々と低音で歌い上げるパートがあったり、ヴァイオリンやアコーディオンを取り入れた、フォーキッシュなメロが出てきたり、ペイガン色も強い感じ。ギターワークも、邪悪さよりも土着的な「泣き」を強く感じさせるもので上記のバンド以上にメロディアスでメロウ。音質はメジャーバンドと比べると少し粗さを残してある感じで、甘過ぎない、荒涼感の強い音に仕上がってるのも良いですね。

5曲38分と割と大作主義の作品ですが、泣きの効いたメロディアスなギターワークを中心としたドラマティックな展開で、しっかり聴かせ切ってくれるかなりの良盤。メロいブラックが好きなら確実に楽しめるであろうアルバムです。


VESPERIAN SORROW - Regenesis Creation ★★ (2012-05-02 00:16:58)

2006年発表の3rd。

アトモスフェリックに曲の雰囲気を彩ってみせたり、華やかでクラシカルなフレーズで聴き手の耳を惹いたり、一部では多少アヴァンギャルドな側面も見せたりするキーボードが大風呂敷を広げつつ、そこにメロブラ/メロデス調のメロディアスなギターが重なり、非常にドラマティックに展開していくシンフォニック・ブラック。邪悪さ重視のリスナーよりもクサ音楽好きへ勧めたいくらいに、大仰な作風。

…こういう作風のバンドって、キーボードやオーケストレーションの比重が高く、ギターを敢えて引っ込み気味にするバンドも少なくないですが、このバンドはギターだけでも十分クサ系好きにアピールし得るくらいに派手。流麗さを感じさせるトレモロもかっこいいし、曲のクライマックスでギターソロに長めの尺を割いたりする展開も、メロディ派には堪らないものがありますね。

ただ、音質は悪くないですが、凄く良い訳ではないのが多少不満かも。ムード重視系の作品ならまだしも、こういうギターが強い実体的な作風なら、硬質で多少オーバープロダクション気味なくらいの音質の方が映えると思う。現状刻みリフで少し音がダマになる感じが気に掛かるので…。とは言え、シンフォブラック好きの心を動かすには十分な荘厳さ・大仰さを備えた作品ではありますので、気になった方は是非。


VESPERIAN SORROW ★★ (2012-05-02 00:16:21)

ABIGAIL WILLIAMSが結成されるずっと前から活動を続ける、アメリカ産シンフォニックブラックの実力者。実は今年6年ぶりの新譜もリリースされる模様です。


MALSAIN - The Never Die ★★ (2012-04-29 21:23:44)

2005年発表の1st。

ショップではメロブラとして紹介されていましたが、トレモロ全開といった作風ではなく、聴き手に抑圧を与えるような、ややノイジーなブラック特有の平坦リフと、不吉な音色・メロディのキーボードで聴かせる、メロウさよりも頽廃的なムードを重視する路線の音。「Claustrophobic Metal(閉所恐怖症的メタル)」を標榜している彼らですが、少し篭もり気味のプロダクションもあって、キャッチコピー通りの閉塞感が強く感じられる音。

結構メロディアスではあるものの、メロディが澱んだ空気感を演出するような、徹底して厭世的で頽廃的なものであるため、変に甘くなったりしていないのが良い感じ。また、女性ならではの声の鋭さを活かしたヴォーカルもかなり良いですね。ドスを効かせつつ、クレッシェンド気味に声を荒げて絶叫するような部分では、獰猛な表現力を発揮していてかっこいいです。

鬱系のバンドの多くが個人のネガティブな感情を可聴化したような音を出しているのに対し、このバンドの描く世界観は、ムードそれ自体が抑鬱的…という感じ。徹底してダークな中に暗い美しさもある音で、多少カルトっぽさはあるものの波長が合えばかなり浸れるであろう作品。


MALSAIN ★★ (2012-04-29 21:22:11)

女性デス・KEY奏者を含むノルウェーのブラックメタルバンド。
GORGOROTHのライブメンバーやAETERNUSのメンバーでもあるPhobos氏も在籍。


NECHIST (НЕЧИСТЬ) - NACHALO DOROGI (НАЧАЛО ДОРОГИ) ★★★ (2012-04-28 22:17:18)

2010年発表の2nd。

シンフォニック・ブラックって、ジャンルの性格上クオリティの高いバンドは多くても、似通った音になってしまいがちな印象がありますが…この作品は質の高さと、ロシア産バンドならではの独特のムードを両立させている所が良いですね。クラシカルで美しいだけでない、土着的でどこか神話的な雰囲気を醸し出すキーボードメロがかなり素晴らしい。要所でピアノやフルート等も取り入れられ、音色が変化に富んでいるのもグッド。

また、メロディや音の華やかさも然る事ながら、DISSECTIONを思わせる寒々しいリフや、メロデスにも通じる刻みリフを取り入れた、動きのあるギターワークがかっこよく、メロブラとしてもかなり高品質なのも特徴。ヴォーカルも典型的なブラックのがなりスタイルながら、どこか威風を感じさせる声で、総じてどの要素を取ってみてもレベルが高い音、という感じ。特にメロディの主張の強さはかなり魅力。

ロシア産のブラックって割とマニアックで辺境っぽさが残ってるバンドがイメージが強いんですが、この作品は辺境的な神秘性も醸し出しつつ、エクストリームメタルとしても純粋に質の高い音を出しているように思います。シンフォニックブラックを好んで聴く方なら押さえておいて損はないですよ。


BLOODY LAIR - TOTAL MAYHEM ★★ (2012-04-28 22:15:00)

2010年発表の2nd。500枚限定でのリリース。

アルバムタイトルがこれだし、メンバーにMAYHEMのTシャツを着ているメンバーがいることからも想像されるとおり、MAYHEMに強烈に影響を受けたブラックメタルを演ってますね。特に怨念が篭もっていそうなトレモロリフのメロディは、1st時代のMAYHEMを明らかに意識している感じ。曲によってはMAYHEM1枚目のタイトルトラックのリフそのままなフレーズがあったりも(笑)。

ただ、プロダクションや曲展開など、MAYHEMの1stと比較するとこちらは大分ストレートなエクストリームメタルの攻撃性が強い感じ。メロディの質は陰湿なものが多いものの、聴かせ方はかなり明瞭でメロブラとしても聴けますね。クリアな音質も地下臭さより直接の暴虐性を伝える事に重きを置いている感じで、邪悪さで譲る代わりより好戦的になったMAYHEMという印象。

ちなみにヴォーカルは呪詛系ではなく、がなり散らすタイプですが…声を荒げて叫んでいる時のAttila Csiharにどこか似ている声なんですよね。かなり邪悪な声が出せてはいるんですが…1曲目で左右のチャンネルから耳に息を吹きかけるような部分があるのは、気色悪いからやめて欲しいです(笑)。…流石にMAYHEMのような、ジャンルの礎となるようなアルバムではありませんが、邪悪で陰湿なメロディを分かりやすく聴かせてくれる、かなりの好盤だと思います。


DRAUGEN - AMONG THE LONELY SHADES ★★★ (2012-04-27 22:21:36)

2011年発表の1st。

これはかなり良いですね。
どこかゴシック的な重厚さも感じるミディアムパートと、ブラックらしい疾走を組み合わせたメロブラで、時々疾走が唐突と思わなくもないですが、かなりドラマティックな仕上がり。トレモロリフを前面に出してくるパートが多いんですが、このトレモロがDARK FUNERALやNAGLFAR並に印象に残る使われ方で、メロディックなものが好きなブラッカーのツボを確実に突きに来てる感じ。DARK FUNERALと比べるとこちらの方が邪悪さは譲るものの、儚さや美しさが強い印象。

また、音像の方も結構独特な作りですよね。リフのディストーションの音色の粒が硬質な感じというか、奥行きを感じるような音色になっていて、聴いていて非常に心地良い。この音作りの中に浮き上がったように聴こえるミックスのトレモロが挿入されると、メロブラ好きならそれだけで悶絶出来てしまいます。店ではシューゲイザー系ブラックとも比較されてましたが、ポストブラック的な要素が薄い割にそういったものが比較対象になるのは、このギターリフの音色やトレモロリフによる儚いメロディに拠る物が大きいのかもしれません。

フランス産らしい頽廃的な雰囲気は醸し出しつつも、病的な雰囲気より美しさの方に重きを置いた感じの、非常にメロディックなブラックメタル。メロディ派の方は是非押さえておいて欲しいバンドです。


TURDUS MERULA - Herbarium ★★ (2012-04-27 22:17:21)

2010年発表の1st。
これはジャケ買いしてしまいました。
男女の頭から植物が生えてるイラスト、アルバムタイトルが「植物標本」、そしてバンド名が鳥の名前…これは期待するなという方が無理でしょう(笑)。

スタイルとしては、アンビエント・ミニマル志向の強い、やや前衛的なブラックメタルという感じで、やはり他のバンドにはない妙な個性を持っている作品ですね。SE的に挿入されるピアノ・ソナタ風のパートで聴けるメロディや、アルペジオ、キーボードに込められたメロディは中世的でアンティークな感じの、頽廃的で暗い美しさがあり、メロディセンスはなかなかのものだと思う。

しかし個人的に「妙な個性」を感じるのは、一部徹底してミニマルなバンドサウンド。ほぼ音の壁と化したギターに変化のないリズムの絡むパートは、時間が止まったのでは…と思わせるほど。そこに植物に体を乗っ取られる妄想に取り憑かれ、体を掻き毟りながら絶叫しているような鬼気迫るヴォーカルが乗ると、少なくとも聴き手を日常の時間の流れから切り離すくらいのパワーはある音になってると思う。

展開があったり、美メロを乗せたりするパートもしっかりありますが、私としてはミニマルなパートに他にない凄みを感じましたね…。アトモスフェリック系やプリミティブ系など、ブラックにもミニマリズムを志向するサブジャンルはありますが、このパートに限って言えばもうドローンに近い感性なんじゃないかとすら思う。かなり癖があり、聴き手を選ぶ(一般的なメタルの文脈で聴くと、正直退屈だと思う)作品ではありますが、このバンドも他で代わりの効かない音を出していると思います。


TURDUS MERULA ★★ (2012-04-27 22:16:20)

スウェーデンの独りブラック。
バンド名はスウェーデンの国鳥であるクロウタドリから。


LUNAR AURORA - Hoagascht ★★★ (2012-04-26 20:31:20)

2012年発表の9th。

…なんかもう、こうして彼らの新作が手元にあるというだけで嬉し過ぎてちょっと泣きそうです(笑)。個人的に神格化するレベルだった前作「Andacht」リリース後、活動休止が伝えられ、新作はもう出してくれないのかと半ば諦めかけてましたが…FUNERAL MISTの時といい、希望は持ってみるものですね。5年近い空白を経はしましたが、遂に新アルバムを発表してくれました。

何気にこのバンド、空間演出に非常に長けたシンフォニックブラックという根幹は残しつつ、作品ごとにスタイルを変える傾向がありますが、今作も前作から引き継いだ部分と、変わった部分が分かれる感じですね。ブラックの中でも頭一つ抜けた神秘性を感じさせる魔性のトレモロ、情景どころか聴き手の魂までも黒く塗り潰さんとする重厚なリフ、アンビエント要素を交えた情景描写、威厳を感じさせるドイツ語での表現力に満ちたがなりなどは、前作と共通する部分ですね。

また、変わった点としては、前作では物理的な圧迫感すら感じたリフの重さは少し控えめになり(と言っても十分過ぎるくらい厚みはある)、代わりにドラムのそれぞれの音やヴォーカルの位置などにも気を配った、よりアンビエンス重視になった音像、時々サイケデリックな禍々しさを演出するギターやキーボードのフレーズ、スロー・ミドルパート多めになり、全体的に抑え目になったテンポ設定等が挙げられますね。

印象としては、より情景描写的になった感じですが、これが前作から引き継いだ要素としっかり合っていて、前作に匹敵するくらい素晴らしい仕上がり。ジャケットにはフクロウが描かれてますが、一般的なブラックメタルバンドが聴き手に夜の情景を想起させる…くらいだとすると、この作品は精神が闇夜を飛翔する猛禽のそれに変貌していく錯覚を覚えるくらいに、非常に描写力に優れたものになってると思う。この描写力の高さは、イラストレーター/グラフィックデザイナーも務める中心人物、Aran氏の感性に拠る所が大きいのかもしれません。

前作が余りにも素晴らしかったので、相当の期待を持って聴きましたが、それを裏切らない、本当に良いアルバムだと思う。前作の「Andacht」とこの作品は、シンフォニックブラックに於ける一つの到達点足りえるのではないか…そんなことすら思ってしまいました。ブラックメタルが好きであろうとなかろうと、これは是非聴いておいてほしい作品。カルトな支持を得るに留まるには余りにも勿体なさ過ぎるバンドです。


PRIMIGENIUM - Faith Through Anguish ★★★ (2012-04-26 20:26:10)

2011年発表の3rd。

ざらついた感触の強い、ノイジーなリフを伴ってツタツタ疾走する、基本的には昔のDARKTHRONE等の北欧プリミティブ・ブラックのスタイルを踏襲した作風のブラックメタル。ブラック慣れした耳には心地良く感じられるノイジーさ、北欧産に全く引けを取らない寒々しさを感じさせるトレモロ、ギラギラしたオールドスクールなリフなど、「分かってる」人が演っている感じの、貫禄のある作品。

この手のプリブラとしてはある程度展開を設けた作風で、全編をメロウなトレモロで覆ったスタイルではなく、あくまで要所で印象に残るメロディを挟んでくる感じで、決して全体的に見てメロディアスと言えるスタイルではないんですが、音作りの上手さや一本調子にならない表現力を持つヴォーカル等も相俟って、メロくないパートにも凄みが感じられるのがまた素晴らしいです。

昔のDARKTHRONEやCLANDESTINE BLAZE辺りが好みであれば買ってまず外れはない作品。プリブラは数枚持ってれば満足…という方でなければ、持っておいて損はないですよ。


PRIMIGENIUM ★★ (2012-04-26 20:25:32)

スペイン産プリミティブブラック。
何気に20年のキャリアを誇るバンドだったりします。


BOSSE-DE-NAGE - Ⅱ ★★ (2012-04-22 22:28:06)

2012年発表の2nd。
特にタイトルは書いてありませんが、検索したら「Ⅱ」で通ってるみたいです。

KRALLICE辺りが引き合いに出される、ポストブラックとして紹介されていたり、ジャケがブラックメタルっぽくないお洒落さだったり、ボサノバでもやってそうな字面のバンド名といい(笑)、お洒落さとか高尚さとかが強いブラック離れした音だろうな…と想像してたんですが、がっつりブラックしてる音でした。

鬱ブラックにも通じる、抑圧された感情の迸りをそのまま練り込んだようなリフのメロディを伴い、悲痛に何かを訴えかけるように叫ぶボーカルを乗せ、疾走メインで展開するブラックで、お洒落とか高尚とかいうよりは、むしろ下世話なくらい感情剥き出しな感じ。2曲目なんか平易な英語で書かれてるので分かりやすいですが、歌詞も結構ヒドいです(笑)。ザラついた音像やミニマルな展開なんかは、確かにポスト/シューゲイザーブラックの要素も感じられますが、感性としては完全にこっち(ブラック)の側にいる感じですね。

鬱ブラックの感情が漏れてくるようなメロディと、シューゲイザーブラックのカタルシスを伴うノイジー・ミニマルな疾走を足して、ドラマティックに仕上げたブラックメタル。メロディ等に満ちた感情から、激情ハードコアなどを好んで聴く方にも愛聴されているようですね。


ALTORIU SESELIAI (ALTAR SHADOWS) - Margi Sakalai (speckledy Falcons) ★★ (2012-04-19 22:29:46)

2007年発表の1st。

民族楽器やアコギ、フルートなどによるフォーキッシュで叙情性に溢れたメロディをフィーチャーしたペイガンブラックですが、バンドサウンド部分はかなり音が薄く、攻撃性の低い音作りが成されており、その音作りによってフォーク要素と溶け合い、一つの情景を演出する事に成功したような感じですね。

小川のせせらぎや虫の声など、自然音のSEも多用するタイプで、自然と情景が浮かんでくる感じですが、3曲目の鶏の鳴き声がひっきりなしに鳴り響くパートはちょっと面白いです(笑)。多少音が刺々しくなる部分もありますが、基本的にスロー~ミドルでゆったり展開し、この手のペイガン系の作品でも牧歌的な作風だと思う。女性ヴォーカルを取り入れた6曲目なんか殆ど民謡です。

カメラを遠景でわざとゆっくり動かす事で、自然の壮大さを演出したりする映像がありますが、聴いているとそういう情景が浮かんでくる作品。世界観が徹底しているからか、割と人気はあるようで、今は亡き秋葉原の某CDショップのブラックコーナーで地味にプッシュされてたり、DISK UNIONのブラックメタル本でも取り上げられてたり、意外に話題になったみたいですね。


ALTORIU SESELIAI (ALTAR SHADOWS) ★★ (2012-04-19 22:29:04)

リトアニアの独りフォーク/ペイガン/アンビエントブラック。
この系統でも徹底した世界観を持った作風でしたが、一枚のアルバムを残して活動を停止してしまった模様。


BAHRRECHT - NUIT DE NEIGE ★★ (2012-04-19 22:25:01)

2011年発表の1st。

一言で表すなら、ほんのり変態なブラックメタル。
過度にノイジーであったり、他ジャンルから変な音を引っ張ってきたりといったギミックはなく、あくまでブラックメタルの基本に忠実な音ではありますが…ブラストで爆走する部分もブルータル系の音圧より、パンキッシュな軽快さを感じたり、フランス産らしいLLN系にも通じる「毒」のあるメロディを練り込んだ刻みリフと、ジャーマンブラックっぽい氷の礫が吹き付けるような寒々しいリフが混在していたりで、微妙に他のブラックメタルバンドとは何かがズレている感じ。ヴォーカルのイガイガしたデス声も、地下臭く得体の知れないムードに拍車を掛けてますね。

ただ、Winterhalter氏のRAWなドラムはストレートにかっこいいと思うし、他のバンドにない雰囲気を持ってはいるんですが、PESTE NOIREのようにぶっ飛び具合がそのままフックとして機能するほど壊れた作風という訳ではなく、多少取っ付きづらさは感じるかも。掴みどころのなさが魅力といえばそうなんですが、個人的にはもう少し取っ掛かりが欲しかったかな…という感じも。割とマニア向けの作品だと思います。


BAHRRECHT ★★ (2012-04-19 22:22:56)

フランス産ブラック。
ALCESTにも参加するWinterhalter氏がドラムを叩いてます。


LOCUS MORTIS - Inter uterum et loculum ★★ (2012-04-17 23:12:11)

2005年発表の1st。
2011年にはこの作品の再レコーディングアルバムも出ている模様。

分離が良い…というよりは、ノイズ質とメロディ質が乖離しかかってるようなギターリフの音色といい、かなりファストなパートでも暴虐というよりはどこか軽快さを感じる軽めの音のドラムといい、音の体裁を整えるよりも、生々しさを重視したプリミティブなブラックメタル。基本左右チャンネルで絡むトレモロ疾走がメインですが、荒れ狂うように刻むパートやドゥーミーに引き摺るパートもあり、この手のプリブラでは結構ドラマ性もある音。

こういう路線の音楽って、リフに込められたメロディのセンスが何よりも重要だったりしますが、このバンドは「持ってる」感じがします。基本ブラックらしい荒涼感や妖しさを感じるメロディがメインですが、時々何故か「和」な印象もあるんですよね…。忍者ゲームの妖術師の潜む夜の森ステージとかで流れてそうな、怪奇な感じ。日本の「あやかし」的な世界観にも通じるような、薄暗い妖しさ。ヴォーカルもがなり系ですが、黒い影を引き摺りながら叫んでそうな、やはり妖しさが感じられる声で良い感じ。

音作りなどは大分マニア向けの印象ですが、ATMFリリースを追ってるくらいのブラックメタル好きで、かつプリミティブ嗜好をお持ちの方ならば、問題なく楽しめるかと。


LOCUS MORTIS ★★ (2012-04-17 23:11:40)

注目のレーベル、ATMF発のイタリアンブラック。
ARCANA COELESTIA、ABSENTIA LUNAEなどのメンバーが関与。


FLAGELLANT - Monuments ★★★ (2012-04-17 23:07:53)

2010年発表の1st。

プリミティブブラックに通じる湿り気やおぞましさを残しつつ、音圧の高さや音像のクリアさを上げて迫力を出したどす黒い音塊を、土石流の如く叩きつけるような、非常に暴虐かつ邪悪さに満ちたブラックメタル。全体的には然程メロディアスという訳ではありませんが、要所要所で繰り出されるトレモロリフは荒涼感と禍々しさに満ちていて、かなり耳を引きますね。

太くてコシのある邪悪さを演出する音像、適度に緩急の付いた展開などはWATAINやOFERMOD辺りに近い感触も。ヴォーカルも野太いデス声で、声量をもってがなり散らすタイプでWATAINのErik似でかなりレベル高いと思う。ただ、近年のWATAINと比べるとリフや展開等のフックは少し抑え目で、その分邪悪で陰湿なムード作りに特化している感じ。WATAINはメタラー全般に勧められますが、こっちはブラックが好きな人向け。

個人的な印象としては、WATAINからDISSECTION的なメロさを引いて、中期DSO的な禍々しさを足したような感じ。流石注目のレーベルであるWTCから出てるだけあって、1stにしてハイクオリティな作品です。


THE ポッシボー - ②幸せの証 ★★★ (2012-04-16 21:45:24)

2012年発表の2nd。

ベスト盤がかなり良かったのでこっちも購入しましたが、期待を裏切らない良いアルバムですね。今年に出たつんく系の2枚のアルバム(Berryz工房と℃-uteのフル)が過去作と比べてちょっと微妙だったので、つんく氏もお疲れモードと思いきやそんな事はなかったです(笑)。

ベストで素晴らしかったのは、雑多過ぎてグループの印象が纏まらないレベルの楽曲の振り幅の広さでしたが、今回もクールでダンサブルな曲あり、普遍性の高いポップスありでそんな特性はある程度継承されてますね。ただ今作は掛け声や合いの手を用いたパンキッシュで盛り上がるアレンジと、爽やかキャッチーな歌メロで攻める曲が多く、それがアイドルソングらしいキャッチーさ、ハイカロリーさに繋がってる気がします。

また、今回は作詞・作曲共にある程度外注してるんですが、突飛でぶっ飛んだ歌詞の乗せ方だったり、基本歌謡曲・ポップスベースの即効性の高い歌メロだったり、彼が手がけていない曲に関してもつんくイズムみたいなのが感じられるのが良いですね。彼自身の楽曲も、今年に入ってから(特にアルバム曲に関して)地味めな曲が多い印象でしたが、今作は彼らしいキャッチーなメロディが多くて良い感じ。

どうもBerryz工房と℃-uteの新作に関しては、商業的に失敗できないプレッシャーがあるのか(質は高くても)手堅い曲が多くて、それが地味さに繋がってしまった感があったんですが、こっちはもっと伸び伸びと作ってる感じで、それが彼の作品らしい、また私が彼の関わる作品に求めている即効性の高さに繋がった気がします。やっぱりアイドル系の音楽はこうでないと、って感じです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 桜色のロマンチック ★★★ (2012-04-16 21:40:20)

パワーコーラスの合いの手入れまくりなパンキッシュな曲調に、歌謡曲的な甘酸っぱい哀愁メロディが乗る展開は、アイドルポップス版の青春パンクと言えるかも。2回目のサビ後の煽りパートやラスサビ後の大サビなど、一度しか出てこないメロディも多くてかなり作りが豪華。明るい哀愁メロに一部ファルセットを交えてアクセントを付けるサビの煽情度も高く、1曲目として掴みはばっちり。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 電光石火Baby! ★★★ (2012-04-16 21:39:35)

アルバム自体ハイクオリティで驚きましたが、その中にあって一際大きな輝きを放つ名曲だと思う。バンドサウンド風の音作りに、掛け声や合いの手などをふんだんに盛り込んだロック調のアレンジですが、あくまで歌メロを大事にしている感じが凄く良いです。
…つんく氏のメロディって、有名な曲で言うとモーニング娘の「恋愛レボリューション21」辺りの曲がそうなんですが、一見軽薄なまでにキャッチーに聴こえても、なんかホロりとくる哀愁があったりして凄くツボなんですよね。この曲は、つんくメロディのそんな特性が凄く表われてるんじゃないでしょうか。どキャッチーだけど胸に来る哀愁。素晴らしいです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 私の魅力 ★★★ (2012-04-16 21:38:49)

この曲と「電光石火Baby!」は数あるつんくワークスの中でも、かなり上位に入るんじゃないかと思います。みんなのうた的な、口ずさみやすいキャッチネスのあるメロディが、歌詞の日常の一部を切り取ったような情景と見事にマッチしてます。純粋に曲が良いと思う。文章では伝えづらい魅力を持った曲なので、是非実際に聴いて欲しいです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - LOVE2パラダイス ★★ (2012-04-16 21:37:46)

平田さんがアレンジを手掛けただけあって、キックやトランシーなシンセに音圧があって良いですね。メロディの明るさもあって、多幸感に浸れるような聴き心地。「LOVE」の「ヴ」の母音までがっつり発音する「ララララLOVE LOVEパラダイス」という歌詞の語感は、正直結構クドいと思うけど、耳に残るキャッチーさはあると思う。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - I love you 私の君 ★★★ (2012-04-16 21:37:08)

跳ねた打ち込みに絡むベースラインが効いた、リズムトラックが非常に心地良い曲。リズムにこだわりを持ったつんく氏らしい曲調。良く聴くとピアノのグリッサンドとかAORっぽいキーとか、かなり色々な音色が入ってるんですが、それぞれが変に主張しすぎることなく、音に溶け合っているアレンジがかなり素晴らしい。キャッチーというよりは、どこかクールでかっこいいイメージで、頭4曲とは少し印象が変わる感じ。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せ花火ゴッゴッGOーッ! ★★★ (2012-04-16 21:36:09)

これは歌詞を見た時は絶対勢いだけの曲だろうな…と思ってましたが、そんなことはなかったです(笑)。「ヤバヤバヤバ…ヤバい!ヤバい!」とか「シュッポー!シュッポー!」という歌詞に、あんな哀愁キャッチーなメロディが乗るなんて思わないですよ(笑)。前曲のクールさとは裏腹の、吐き捨てるような勢いのある歌い方もかっこいい。振り幅が大きいのもこのグループの魅力ですよね。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - FAMILY~旅立ちの朝~ ★★ (2012-04-16 21:35:34)

作詞がつんく氏で、作曲が外注というのは結構珍しいのでは。作曲は真野恵里菜さんに「My Days for You」を提供した中島さんが手掛けているだけあって、普遍的なポップスの魅力がありますね。曲だけ聴くと昔のBeingとかにありそうな感じ。我を張りまくるような曲調の多いアルバムの中では少し地味目に聴こえなくもないですが、単品で聴くとかなり良い曲だと思う。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せの証 (2012-04-16 21:34:58)

流石にアルバムタイトルに冠する曲だけあって、メロディはかなり良いと思う…んですが、派手系ではなく、自然な良さのある感じのメロディに対して、個人的にはトラックの主張・音圧が強過ぎるようにも感じるかも。アイドルの曲なのに、いまいち歌モノっぽく聴こえないというか…。人によっては逆にその辺りはプラスに感じると思いますが。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 希望と青春のヒカリ ★★★ (2012-04-16 21:34:12)

「桜色のロマンティック」「幸せ花火」と同路線の、爽やかな哀愁メロを掛け声や合いの手をふんだんに用いた派手なアレンジに乗っけた曲調ですが、この曲が一番派手ですね(笑)。特に後半の応援団のような煽りパートの高揚感がヤバいです。これ、曲知ってる人とカラオケ行って歌ったら絶対楽しそう。配信されるか微妙ですが…。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せの形 ★★★ (2012-04-16 21:33:26)

つんく氏いわく「自然体の曲が出来上がった」だそうですが…確かにこれ、凄く良い曲だと思う。バラードでも行けそうな、メロウなサビメロと、跳ねた感じのABメロがしっかり地続きで繋がっている、メロディの流れも良いし、曲調も人生訓っぽい歌詞が嫌味に聴こえないような自然さがあると思う。個人的には「でっかい宇宙に愛がある」とかはベタ過ぎていまいち好きじゃないんですけど、これは好みです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - プレイボール (THE ポッシボーVer.) ★★ (2012-04-16 21:32:46)

女子プロ野球のテーマソングだそうです。まあこういう曲を入れるならラストしかないですよね。「幸せの形」がアルバムの締めで、この曲はボーナストラックという感じでしょうか。曲自体はタイアップにぴったりな清涼感のあるもので、本編を普遍的な曲で終わらせて、ラストにもうひと盛り上がりという構成が良いですね。


SUMMONING - Dol Guldur ★★ (2012-04-15 22:23:41)

97年発表の3rd。

「召喚」というバンド名が示すとおり、儀式的なムードを持つアトモスフェリックなブラックメタルを演ってますね。瞑想的な感覚を呼び起こす、パーカッシブなリズムのミディアムテンポにうっすらとノイジーなギターリフ、トラッド色の強い、叙情的で土着的なメロディのキーボードを乗せ、ゆったりと厳かに進行するスタイル。

世界観的にはアトモスフェリックで土着的なブラックだった、最初期のSATYRICONにも通じるものがありますが…こちらの方が更にメタル的な攻撃性から離れた音で、むしろWONGRAVENなどのブラック人脈のアンビエントに近いかもしれません。メロディもどこか優しげというか、仄暗くファンタジックな雰囲気が強く、リズムの酩酊感やミニマルさとも相俟って、ブラック好きには非常に心地良い空間が演出されてます。

ブラックにメタルとしての攻撃性やテクニックではなく、サタニックだったりエピックだったり、「あるムードを色濃く演出する音楽」としての側面を求めている人であれば、かなりツボに来るのではないでしょうか。


AZARATH - Praise the Beast ★★★ (2012-04-14 23:01:02)

2009年発表の4th。

BEHEMOTH人脈ということで興味を持って取り合えず買ってみたんですが、近年のBEHEMOTHやHATE辺りに近い、ブルデスとブラックを足したような路線で期待通り。野太く迫力のあるグロウルや中近東系の邪悪なメロディを練り込んだうねりのあるリフ、重厚なファストパートの畳みかけなど、ベースはブルデスですが、全体に漂うサタニックな雰囲気、アナログ感を感じさせるRAWなプロダクションなどブラック的な部分も色濃く感じられるスタイル。

特に前述のバンドよりも、リフがメロディアスな作りになっているのが良いですね。左右のチャンネルに分けられたギターが絡み合いながら弾かれる、瘴気漂うようなメロディはブラックらしい粗めの音質に良く映え、うっとりと聴き入れます。反面ギターやドラムのヘヴィさはBEHEMOTHやHATE辺りに一歩譲るものの、個人的には乾いた響きのドラミングや重過ぎないギターサウンドもこれはこれで好きだったり。

路線的にはBEHEMOTH、HATE、HELL-BORN辺りのポーランド産らしいスタイルといえますが、現在のこれらのバンドと比べるとブラック色が強めで、メロディアスな路線で似て非なる音という感じ。重さではBEHEMOTHに軍配が上がりますが、こちらも違う魅力があって良い作品ですよ。


AZARATH ★★ (2012-04-14 22:58:31)

ポーランド産デス/ブラック。
BEHEMOTHのInfernoも参加してるバンドです。
バンド名の響きが「あざーっす!」と似てて覚えやすいです(笑)


HAEMOTH - In Nomine Odium ★★★ (2012-04-14 20:30:30)

2011年発表の3rd。
タイトルは「憎悪の名の下に」の意。多分。

DEATHSPELL OMEGAの行き過ぎた神秘主義とか、MUTIILATIONの病気じみた世界観だとかフランス産のブラックって何処かネジが一つ外れてるようなバンドが多い印象なんですが、このバンドも大概ですね(笑)。音圧の高い殺気立ったノイジーなギターリフが、全てを飲み込んだまま暴走する、非常にブルータルなブラックメタル。

ドラムの音もリフと一体化して攻撃性を更に上げるようなプロダクションのため、ファスト系のようなスピード感は然程感じないんですが、代わりに聴くだけで頭が真っ白になるような、もっと直接的な暴力性がありますね。そしてホワイトアウトした視界に、ブラック特有の宗教的で寒々しいメロディが流し込まれると、なにか神々しさすら覚えますね…。

語尾の先まで全力で憎悪を込めて絶叫するヴォーカルも素晴らしく、脳内メーカーをやったら中身が全部「殺殺殺殺殺殺殺殺殺」で埋め尽くされてしまいそうな、猛悪で残虐極まりない音を出している作品。ANTAEUSやAOSOTH辺りの、殺伐感の強い暴虐な路線のバンドが好きな方には大推薦。


NIFELHEIM - Envoy of Lucifer ★★★ (2012-04-13 19:29:51)

2007年発表の4th。

NECROPHOBICとDISSECTIONという、メロブラでも代表格のバンドと人脈的な繋がりがあることもあって、ブラックとスラッシュの中間的な音楽性のバンドとしてはかなり知名度の高いNIFELHEIMなんですが、何故か今まで聴くのを先延ばしにしてしまってました…。これを聴き、もっと早く聴いておけば良かった…と後悔。無茶苦茶かっこいいですよ、これ。

前述したように、早い話ブラックとスラッシュを掛け合わせたスタイルではあるんですが、その各ジャンルからの様式の取り入れ方が実に私好み。まずヴォーカルは、基本的にはブラックメタル系の太く邪悪ながなり声ですが、吐き捨てのキレの良さ、リズムの良さはスラッシュ譲りでこれがまずかっこいい。曲によってはAttila Csihar系呪詛ヴォイスを重ね、邪悪さを増すようなヴォーカルワークを取り入れてるのもいいですね。

曲の方も動きの多く、ブラックの寒々しさとは少し違う、ギラついた感覚の強いメロディを伴うリフ、ギターソロを多く取り入れた曲作りなどスラッシュの要素強めながら、所々で真性ブラック並の邪悪さやブルータリティが顔を出すのが素晴らしい。熱さと邪悪さを迸らせるように疾走するこの音を聴いて、滾るものがない…なんてことはブラック好きなら無いはず。プロダクションも軽過ぎず篭もってもおらず、洗練され過ぎずで非常に気持ち良く聴けます。

これからブラックメタルの各サブジャンルを漁ろうとする人に、スラッシュ寄りのブラックの代表格として聴かせても良い位の素晴らしい作品だと思う。ギラついたメロディが多いことから、スラッシーなメロブラとしても楽しめる、本当に良いアルバムですよ。


BRANIKALD ★★ (2012-04-13 19:24:11)

ロシア産重鎮ペイガンブラック。
現在は活動していない模様ですが、90年代前半より活動し、十枚以上のアルバムをリリースしています。


BRANIKALD - Stormheit ★★ (2012-04-13 19:23:39)

94年発表の5曲入りデモ。何度かCDで再発されてる模様。
バンドとしては一番最初に公に出た音源らしいです。
デモですが、演奏時間は40分以上ありボリュームは結構ありますね。

黎明期ブラックメタルの作品、それもペイガン思想を持つロシアのバンドのデモということで、初期GRAVELAND以上にカルトなものを想像してましたが、案外聴きやすいですね。粗いプロダクションの中に響く、リフに込められた土着的なメロディがじわじわと染み込んでくるようなブラックメタルで、音に埋もれがちですが一部では勇壮なクリーンヴォーカルもあり。音質とメロディがマッチし、枯れた夜の森を歩いているような、不気味な雰囲気が演出されています。

ただ、聴きやすいといっても「思ったよりは」であって、埋もれがちなメロディやプリミティブな音質など、十分にカルト性のある音でこの手の愛好家じゃないと辛い部分はあるかも。まあ、この手のバンドに辿り着くくらい興味を持ってブラックメタルをリサーチしてる方なら、おそらく楽しめるのではないでしょうか。


BORGNE - Entraves de l'Âme ★★★ (2012-04-12 23:38:25)

2010年発表の5th。

ザラついた質感の、RAWなバンドサウンドをキーボードが包み込み、寒々しく幻想的な情景を描き出すアトモスフェリック・ブラックで、タイプとしてはVINTERRIKETやCOLDWORLD、AURVANDIL辺りに近い世界観を持っているバンドですね。これらのバンドと比べると、この作品はより禍々しく邪悪なムードが強く、個人的には少しサイケデリックな感覚も覚えたり。

うっすらとノイジーなリフとアトモスフェリックなキーボードが交じり合い、黒く重く垂れ込めるようなサウンドスケープに、毒素と悪意をばら撒くようにトレモロが響き渡る音は聴いているだけで体の芯から冷えていきそう。時に体の震えと同期するようなおぞましさ、時に日常から乖離した神秘性を感じさせるトレモロリフの使い方は、近年のLUNAR AURORAにも通じるセンスの良さを感じられます。

これはアトモスフェリック系のブラックの中でも大推薦の一枚。上記したバンドと比べても、聴き手を世界観に没入させる力では全く引けを取りません。上記バンドが気に入ってる方や、Cold Dimensions系のリリースが好みの方ならかなりハマれる作品だと思います。


BLUTRACHE - TODESSEHNSUCHT ★★★ (2012-04-12 23:35:33)

2008年発表の2nd。

1曲目を聴いた感じでは、粗めの音質による荒っぽい疾走に、やたらに殺気立ったヴォーカルを乗せたスタイルで、「ああ、バンド名通りのWAR系なスタイルか…」と思ったんですが、聴き進めていくとかなりメロディアスな部分も見せてくれ、意表を突かれました。メロウではあるんですが、派手にメロディを押し出すパートも多く、叙情的というよりは煽情的と言った方がしっくり来るような、聴いていてテンションの上がるものが多い感じ。メリハリが付いてて実に心地良い曲作りだと思う。

しかし、このヴォーカルは一体何なんでしょう…
「ギャアアアアアアアアアアアアウ!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアウ!!!」
何かに取り付かれたようなテンションで絶叫しまくりで、完全に常軌を逸してます。鬱ブラック的な泣き叫びも聴かせますが…多くの鬱系バンドのヴォーカルが狂気や感情表現が行き過ぎてて、デス声としての「かっこよさ」が犠牲になってるのに対し、この人のパフォーマンスは切れもあり、「かっこよさ」も十分。元ENDSTILLEのIblis氏がイカレてしまったかのような歌い方。

ちなみに、CDトレイの下には「True Norwegian Black Metal」ロゴのパロディと思しき「True German Black Metal」ロゴが書かれてますが…TNBMロゴを使ってる代表的なバンドとしてTAAKEがいますが、メロディのセンスに秀でながらブチ切れた部分もあるスタイルは、確かにTAAKEと共通するポイントかもしれません。正直このヴォーカルに55分付き合うのは疲れますが(笑)、荒々しさとドラマティックさを併せ持つ良い作品ですので是非。


モーニング娘。 - ⑬カラフルキャラクター - 恋愛ハンター ★★★ (2012-04-11 22:28:50)

これはもうフラゲ日に速攻で買いに行きました(笑)名曲だ!
今までの曲で言うなら、「I'm Lucky girl」のソリッドで洗練されたノリの良さと、「愛して愛して後一分」の歌謡曲的な哀愁感を掛け合わせて、シングル曲らしいキャッチネスをブーストした感じの楽曲で、ここ4枚くらいのアルバムの音楽性に共感している人なら、すぐにでも気に入ってしまうであろう曲。サビのリズムと歌メロが同期するところは聴いてても歌ってても気持ち良く、カラオケファン的にもポイント高いです(笑)
ただ歌詞が微妙ですね…新メンバーへの心構えを説いてたり、不特定の誰かにエールを送ってたりというのは分かるんですが、そこに「地球の怒り」みたいなやけに壮大なフレーズが入ってきて超浮いてる。つんく氏は独特の言語センスを持ってるとは思うけど、ポピュラーミュージックの作詞家としてはどうも秋元康氏の方に分があるような…。


NUMEN - Numen ★★★ (2012-04-11 22:15:09)

2007年発表の3rd。
フクロウをあしらったバンドロゴがなんだか可愛らしいですね(笑)。

ショップでは、アコギなども取り入れた、フォーキッシュさもあるスペイン産のメロディック・ブラック…という感じで紹介されていた事と、ジャケットの雰囲気からはアトモスフェリックで叙情的なサウンドを予想してしましたが…そういう心構えで聴くと、まず冒頭からしてあっけに取られますね(笑)。一体何なんでしょう、このファストブラック顔負けの、猛然としたテンションの爆走は…初っ端からもうヤケクソとしか思えない飛ばしっぷり。

トレモロリフに込められたメロディは、それだけを取ってみればフォーク/ペイガン系の土着的な叙情性・幽玄さを感じさせるものではありますね…ただ、聴かせる箇所ではがっつりメロディを前に出して聴かせる作風のせいで、却って攻撃的に聴こえます。ヴォーカルの絶叫もかなり強烈で、叙情性は高いながらかなり凶悪な音。ラストの曲ではシューゲイザー系ブラック好きにも受けそうな、高音域のトレモロを活用した儚く美しいパートを経て、アコギ・フルートを用いたアコースティックパートで締める展開があったり、攻撃的でありながらエピックな部分も両立させているのも素晴らしい。

例えば同じメロブラでも、NAGLFARやGRAVEWORMなどのメジャーなバンドの方が、音楽的な完成度が高いというか一般的な評価を得られるであろうサウンドだとは思うんですが、個人的にはこういう暴れん坊な感じの作風もかなり好きですね。ハイテンションで質も高いメロブラですので、気になった方は是非。


DARKENHOLD - A Passage to the Towers... ★★★ (2012-04-11 22:12:12)

2010年発表の1st。

一部のメロディ派のブラッカーに大ウケしたAORLHAC等ともスプリットを出した経験のある、フランス産のメロディックブラックという事で、目を付けていたんですがやはり良いですね。タイプとしては、トレモロだけでなくギターソロやリードギターによる叙情的なメロディを軸に劇的に展開するメロブラで、「The Somberlain」期のDISSECTIONにも通じる音を出してますね。キーボードも取り入れたスタイルですが、派手になりすぎない曲の幽玄さや広がりを増すような音色のチョイスも良い感じです。

ただ、メロデス要素もかなり強かったDISSECTIONと比べると、このバンドはリフの作りだったりプロダクションだったりが、もう少しブラック然としている感じがしますね。反面メロディの邪悪さは比較的薄めで、代わりに中世ファンタジー的な、仄暗く幻想的で、時々勇壮さも感じさせるエピックな感触が強い感じ。メロディの性質は少し違いますが、日常離れした、どこか高貴さを感じさせるのはDISSECTIONと共通するポイントかもしれません。

プロダクションこそ多少RAW(と言っても、ブラックとしては標準的)ですが、十把一絡げに出来ない、確かなクオリティを持ったメロディックブラック。DISSECTIONやTHULCANDRA辺りを気に入って、もう一歩踏み込んでみたくなった方なんかにはうってつけなんじゃないでしょうか。


TSORER - Return to Sodom ★★ (2012-04-11 22:08:52)

2010年発表の1st。

セールで安かった事もあり、イスラエル産ブラックという物珍しさも手伝って購入してしまったんですが、これがなかなかの個性派。黒く塗り潰すようなリフとガラガラに歪んだ絶叫ヴォーカルをオールドスクール通り越して、時々パンキッシュにも聴こえるリズムに乗せた威圧感の漂うブラックメタルで、「Sardonic Wrath」期の、ハードコア方面に行く直前のDARKTHRONEにも近い音。

但し、その頃のDARKTHRONEと比べても音作りは非常に陰鬱。アトモスフェリックなキーボードも用いた音像が醸し出すムードは、腐臭すら漂ってきそうな邪悪さに満ちてますね。リズム的にノリの良い部分はあるものの、酒を呑んでハイになってそうなワルくて楽しそうな雰囲気は皆無で、むしろしかめっ面で陰気な表情で淡々と演奏してそう…というか、この出音だったらしてて欲しい(笑)。

また、もう一つ耳を惹くのが、所々で発揮される独特なメロディのセンス。2曲目の後半や3曲目中間部で聴かれるトレモロなどが分かりやすい例ですが、北欧産のブラックとは一味違う、かといって安易に中東っぽいとも言えないような、奇妙な邪悪さを感じられるメロディなんですよね。このメロディセンスが、楽曲の持つ異様な雰囲気に拍車を掛けている感じがします。

正直ブラックの中でもかなり好みの分かれる音だと思うので、敢えて「必聴」とは言いませんが、興味のある方は是非。ハマる人はかなりのめり込めそうな作品です。


UNCREATION'S DAWN - Death's Tyranny ★★★ (2012-04-10 07:22:10)

2006年発表の2nd。

オールドスクールなリフを伴うミディアムを中心に、北欧産らしい寒々しいトレモロ疾走も織り交ぜて展開する、プリミティブブラックとしてはかなりドラマティックな作風のアルバムで、カルト臭を漂わせつつも、それだけに終わらない筋の通ったクオリティのある、いかにもNorthern Heritageらしいリリースですね。怒号のような、野太さがありつつもねちっこく歪んだヴォーカルも、本能的な恐怖感を呼び起こすようで良いです。

基本的にメロディは寒々しさを覚えるようなものが多めですが、時々不協的な生理的に居心地の悪さを覚えるようなメロ使いもあって、それが作風を更に邪悪かつ個性的なものにしているように思います。展開には衝動性やカルト性に頼りきったところがなく、プリミティブ系の音でありながらチープさではなく、どす黒い威厳を感じられるような確信に満ちた感じ。

この手のプリブラは割と同じような感じになってしまいがちですが、このバンドは展開やメロディ、ヴォーカル等でしっかり独自の色を出せてると思います。CRAFTやARCKANUM、LILYUMなどのしっかり作り込まれたプリブラ、SATANIC WARMASTERやEXORDIUM (Fin)などのNorthern Heritageリリースが好みならほぼ確実に楽しめるであろう一枚です。


MALLEUS MALEFICARUM - Nothing Left to Fight For ★★ (2012-04-10 07:16:05)

2006年発表の3rd。

フランスのインダストリアル・ブラック…という事ですが、ミディアムテンポを基調とした重厚なメロブラをベースに、インダストリアルノイズやサンプリングを用いて更にグルーミーな雰囲気を強調するスタイルですね。ドラムは基本的に生ですが、要所では打ち込みのリズムを取り入れ、無機質さを演出するパートも見られます。

この手のブラックとしては叙情的なアルペジオや沈み込むようなメロディのリフなどで聴かせるパートも多く、メロブラとしての特性もかなり残している作風。ただし、インダストリアルブラックに特有の、醒めたような虚無的な雰囲気も色濃く、それがチープさの無いプロダクションや重厚な展開と良く合っていると思う。

正直即効性の高さや愛想の良さはあまり高くは感じられず、硬派なインダストリアルブラックという感じですが、地に足の付いたクオリティの高さがあり、彼らの描く世界観にはどこか威風も漂ってると思う。グルーミーな世界観のブラックで絶望感に浸りたい方にお勧め。


N.K.V.D. - ВЛАСТЬ (VLAST) ★★★ (2012-04-09 19:24:59)

2011年発表の2nd。
アルバムタイトルの意味はロシア語で「力」だそうです。

サンプリングやキーボードを用いたり、ドラムが打ち込みではあるものの、一応ギター、ベース、ドラムの入ったバンドサウンド(風)の体のインダストリアル・ブラックではありますが…音作りのせいで最早バンドサウンドには聴こえない音塊になってますよね。もっと禍々しい何か…という感じです。

ザーザーとした歪みも伴いつつ、視界を全て黒く塗り潰されるような厚みのあるリフと、曲のリズムを担うというよりは、鋲を打ち込んで破壊するような打ち込みドラムだけで、重苦しく威圧的なムードを醸し出してますが…そこに空気を澱ませる、禍々しく厚みのあるキーボードが入ると、破滅的を通り越して破滅済みという感じの、非常に抑鬱的なムードが漂って来てますね。

そのグルーミーな音作りに加えて、時々演説のようなパートも挿入され、より殺伐とした雰囲気が演出されてますが…そのどす黒いムードに呑まれて忘れがちですが、何気にヴォーカルのパフォーマンスも実は極悪で素晴らしい。声を弄ってないときのArioch(FUNERAL MIST)に近い、怨嗟を感じさせる、かなり太く邪悪ながなり声。

インダストリアルブラックの中でも、生え抜きの極悪ムードを持った作品。唯一不満があるとすればケースでしょうか…紙スリーブにCDが入ってるだけ、という。この仕様、気がついたら盤面がズタズタになってることが多くて、ホント嫌なんですよね。一応CDを布スリーブに包んでケースに入れてますが、布スリーブ用意するのが超めんどくせぇぇコノヤロー!!(笑)


FUNERAL FOG - CHANNELING ANCIENT SOULS ★★ (2012-04-09 04:21:07)

2007年発表の2nd。

まあ、このバンド名でブラックメタルじゃなかったら虚偽表示もいいところですよね(笑)。内容は、「De Mysteriis~」から「Wolf’s Lair Abyss」期のMAYHEMの湿り気や展開と、三部作期のDARKTHRONEのツタツタとRAWな疾走をメインの作風を掛け合わせたようなブラックメタルの王道的な音。曲によってはキーボードも入りますが、あくまでRAWなバンドサウンドを中心とした作風。

しかし、こんなバンド名を付けるだけあって、ブラックの魅力を分かってるバンドですよね。粗めながら低音も効き、厚みのあるバンドサウンドと、ブラック特有の黒く塗り潰すような平坦系のリフの組み合わせで演出される音像はジメっとした感触で、邪悪なトレモロが非常に良く映えてる。気合の入ったがなり系ヴォーカルも、ストレートに憎悪を撒き散らしておりかなりの邪悪さを放ってます。

流石にMAYHEMやDARKTHRONEなどと比べると、決定打不足は否めないものの、ブラックメタルというジャンルが好きならば確実に楽しめる一枚だと思う。ブラックの基本バンドを一通り聴いて、このジャンルに深くハマる決心がついた方にお勧め。


FUNERAL FOG ★★ (2012-04-09 04:19:57)

現在は解散してしまったらしい、カナダのブラックメタルバンド。
…しかし思い切ったバンド名ですよね。


JOHANN WOLFGANG POZOJ - Birth of Pozoj ★★★ (2012-04-08 00:34:25)

2007年発表の1stの再レコーディング盤。2011年発表。
2曲で54分という、この界隈でもかなりの大作主義なアルバム。

ミニマルな展開や、ドローン的な音による体感性を主とした作風のバンドなら、2曲54分という大作振りも珍しくはないですが、この作品は基本バンドサウンドによるドラマティックな展開が持ち味。ダーティながなりヴォーカル、アナログ感のあるRAWなリフの音色など、一応ブラックメタルのフォーマットは踏襲しているものの、攻撃性よりも情景描写を主とした展開が多かったり、メロディも邪悪というより奇妙でロマンティックなものであったり、かなりアヴァンギャルドな路線。

キーボードの音色が、捻じ曲がった引力・重力を感じさせるパートがあったり、アルペジオが未知の惑星の荒涼とした情景を思わせるパートがあったり、個人的にこの音からは宇宙的な世界観が浮かぶんですよね。ビザールで気味悪く、しかし甘美なロマンも感じさせるメロディの使い方からは、未知の宇宙への畏れと希望みたいな感情が伝わってきて、まるでSF好きな少年が想像する宇宙がそのまま音になったかのよう。ARCTURUSやLIMBONIC ARTとは全く異なる宇宙観を持ってる作品だと思う。

ちなみに、歌詞は一部日本語ですが…ダーティなデス声で、「ダレカノハメツ、ミタクナイナラー!!」と何度も絶叫するパートは正直言ってちょっと面白いです(笑)。でも、日本人が歌詞に英語を取り入れてるのもきっとこんな風に聞こえてるんでしょうね(笑)。それはそれとして、LUGUBRUMやVIRUSなど、アヴァンギャルドではあってもガッツリバンドの音を聴かせるブラックが好きな方には、かなりお勧めの作品です。過度にミニマルな部分やアンビエント要素に依存しすぎる部分もなく、2曲目は疾走パートも多いので前衛系ではかなり聴きやすい方かと。


JOHANN WOLFGANG POZOJ ★★ (2012-04-08 00:33:25)

略称はJ.W.Pozoj。
クロアチアのブラックメタルバンドです。
CDによっては略称のみで表記されているので、お買い求めの際は注意。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① ★★★ (2012-04-05 22:26:03)

2008年発表のベスト盤。
これの前に出た1stが6曲入りミニなので、実質1st的な感じかも。

このグループもつんく氏がプロデュースする内の一つですけど…色々調べてたら、グループの方からつんく氏に対して「コンセプトが定まっていない」と苦言を呈した事もあったらしいですね。つんく氏に子供が出来たときは家族をテーマにした曲、彼が米食にはまってる時はお米の曲をリリースしてるという(笑)。しかしこれ、裏を返せば一番つんく氏が好き放題やってる作品と言えるんじゃないでしょうか。

1、2曲目は歌謡メロ+ダンサブルなリズムという、つんく氏の王道的な曲ですが…確かにその後に続く曲がバンド風のパンキッシュな曲あり、和風コミックソングあり、レトロな昭和歌謡あり、80年代アイドルソング風ありで、ホントにその時その時のマイブームを形にしたかのようなバラバラ感。アルバムの構成パーツとしての体裁とか、グループのイメージとか、セールスの見込みとかを無視して作ったんじゃないかと思えるほど(笑)。

ただそれだけに、つんく氏の感性がダイレクトに反映されているのか、無難で中庸な曲が殆ど無くて、聴いていて面白いアルバムなんですよね。「いじわるCrazy love」なんかはクサメロ好きが高じてつんく作品に手を出し始めた方なら確実に悶絶できるメロディがあるし、「GOHAN=主食の唄」は攻め過ぎてて売れそうもない感が漂ってるけど(笑)、私個人としては超名曲だと思う。

ただ、このグループはアルバム2枚、ミニ2枚聴いたんですが、どうもグループとしての印象が固まらないっていうのは事実なんですよね…。個人的には曲聴くまでどういうのが来るか想像付かないのも楽しくていいですけど、やっぱり売れるにはコンセプトがあった方がいいの…かも?


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - いじわる Crazy Love ★★★ (2012-04-05 22:25:15)

ダンサブルなリズムと歌謡メロというつんく氏の王道、しかもアレンジが平田さんという時点でクオリティは保証されたようなものですが…この組み合わせの曲の中でも、スマイレージの「夢見る15歳」とか℃-uteの「都会っ子 純情」辺りに匹敵する名曲だと思う。
サビメロをキンキンしたキーで弾くイントロとか、跳ねた感じのキーボードとかはちょっとだけ90年代初頭(「Risky」アルバム時代)のB’zを思い出したりも。サビのラストをクールに吐き捨てるヴォーカルもかっこいいですね。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 愛して Give Me ★★★ (2012-04-05 22:24:30)

1曲目に続いて、ダンサブル歌謡路線な曲。頭だけ2曲聴くと凄くまとまりのあるアルバムみたいで、騙されますよね(笑)。サビを敢えて低めのキーに設定し、後半の高音も太く歌うことで洗練されたかっこよさが演出されているように思います。全体的に泣きの入った歌メロも非常に美味しく、1曲目に負けず劣らずの良い曲だと思います。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 家族への手紙 (2012-04-05 22:23:53)

メロディ自体はピースフルで、リラックスして聴ける曲だとは思うけど…如何せん同じメロディを繰り返しすぎててちょっとクドい気が。運動会の入場に使えそうな、分かりやすい良い曲ではあると思いますが。ちなみにクラップとコーラスはつんく氏本人ですが、彼が一番楽しそうですよね(笑)。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - ヤング Days!! ★★ (2012-04-05 22:23:15)

サビで「Possible」という単語を印象に残るように置いた構成、陽性ながら哀愁も感じられる、流れの良いメロディライン、合唱曲のごとくユニゾンを多用したヴォーカルと、デビュー曲だからなのか非常に手堅く作られた印象の曲。普通にかなり良い曲ですが他の曲が我を張りまくってるので微妙に地味に聴こえる気も(笑)。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - Happy 15 ★★ (2012-04-05 22:21:35)

この頃はリアルエアバンドというコンセプトであてぶりをしていたらしく、曲調もパンキッシュなバンドサウンド風。曲を明るく華やかにするピアノと、青春映画のエンディングテーマのような陽性のメロディが良い感じ。メンバーの掛け声も半ばヤケクソに聴こえるくらいテンション高く、聴いていて楽しい曲に仕上がってますね。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - ラヴメッセージ! ★★ (2012-04-05 22:21:02)

この曲も「Happy 15」同様、バンドサウンド風のハイテンション路線。「あまのじゃく」を「あまのじゃき」と発音し、無理矢理韻を踏む歌詞からしてあまのじゃくですよね(笑)。冒頭のタングトリルも勢いがあって楽しい。ただ欲を言えば、ここまでやるんだったらドラムも生がいいなぁ…やっぱり金物が打ち込みっぽいので…。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 主食=gohanの唄 ★★★ (2012-04-05 22:20:20)

これはド名曲でしょう(笑)。正気の沙汰じゃないわ…
アイドルグループの曲にご飯をテーマの歌詞を乗せるという暴挙も然る事ながら、アレンジが神懸かってます。三線や尺八風のキーボードをフィーチャーした、和風の音作りなのにゴスペルっぽいコーラスを仕込む時点で変態的ですが、歌の合いの手にデス声寸前のおっさんボイスが乗るとか(笑)。はっきり言って気色悪い声で、「…カモン…」とか「う~ん」とか「ナイス!」とか言いまくりでどん引きもいいとこですが、何故か癖になってしまいます。ゆるキャッチーなメロディも秀逸で、「3分 5分 8分搗き」という歌詞の乗せ方も見事。マジで素晴らしいです、この曲。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 初恋のカケラ ★★★ (2012-04-05 22:19:28)

これはまたイントロから非常にレトロな雰囲気ですね…洋楽ポップスでは絶対出てこないような、昭和歌謡的というか演歌的な泣きを孕んだメロディが素晴らしい。聴いてすぐに世界観が伝わる辺り、即効性は非常に高いと思う。タイトル繋がりで村下孝蔵さんの「初恋」に近い情緒的なムードを持った曲だと思う。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 風のうわさ ★★★ (2012-04-05 22:18:42)

♪風のうわさ ヒュルルル~
なんなんだ、このバタ臭さを隠そうともしない、哀愁ダダ漏れなサビは…。最早一歩間違えばみんなのうたで流れそうというか、泣きメロも行き過ぎると逆に滑稽に感じるというか…当然私的には大満足ですが(笑)。このメロディに「ヒュルルル」というオノマトペを乗っけただけで名曲確定だと思う。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 夏のトロピカル娘。 ★★★ (2012-04-05 22:18:04)

8、9曲目に続いて更にレトロ路線でダメ押し。どの曲もレトロなのに、しっかり曲調が差別化出来てるのも良いですね。この曲は70年代アイドル風の曲で、初期TUBEよりも更に昔っぽい夏の情景が浮かんできます。歌手の顔すらぼやける画質の、昔の歌番組でアイドルが歌ってそう。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 金魚すくいと花火大会 ★★★ (2012-04-05 22:17:11)

マンドリンなども取り入れた、カントリー風アレンジの曲。つんく氏はBuono!の「Take it Easy」でも似た曲調を演ってましたが、こっちの方がもっとゆるい感じ。「オッホッホ~!」「ウ~~、オッホッホ~!」のつんくコーラスが楽し過ぎる(笑)。個人的にこういうカントリーちっくな優しくゆるいメロディと、アイドル歌唱の組み合わせって好きかもしれないです。聴くのに変に肩に力を入れる必要が無くて、癒されるというか…。メタルの合間にこういう曲も良いですよ。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - アン ドゥ トロワ Miracle (the ポッシボー Ver.) ★★ (2012-04-05 22:15:39)

これもパンキッシュな盛り上がりを見せる曲ですが…メタルのような、全力感のあるジャンルを愛聴する人には好ましく映る曲じゃないでしょうか。悲鳴に近いような掛け声とか、全力でやりきってる感じが爽快。トレモロフェチの私としては、サビでトレモロリフが出てくるのも好印象です。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 風のうわさ (more うわさ Ver.) ★★ (2012-04-05 22:15:01)

9曲目のアレンジ違いですが…こちらの方が音の一つ一つをはっきり聴かせる事に焦点を絞ったアレンジですね。リズムの音使いのせいなのか、サビはより賑々しく聴こえる。リミックス然としたアレンジより、このベタベタなメロディはこういう別バージョンとして聴けるアレンジの方が映えるのかも。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 乙女ナゾナゾ ★★★ (2012-04-05 22:13:21)

6曲中3曲はベストと選曲被ってるし、残り2曲はカヴァーだし…と思っていても、1stミニをスルーさせないだけの力を持った名曲。この次が「危ない土曜日」なんですが、ああいうジャンルのクラシックと比較しても何ら聴き劣りのしない、正統派にポップなメロディ。ピアノの低音を強調したアレンジは結構インパクト強めですが、そこも個人的には好き。っていうか℃-uteにもこういう曲を書いてあげればいいのに。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 危ない土曜日 ★★★ (2012-04-05 22:12:30)

キャンディーズのカヴァー。
っていうか作曲森田公一さんだったんですね。クレジット見て初めて知りました。70年代の曲ながら今でも時々耳にする、時代を超えた曲だけあってメロディはやはり最高。これ聴くと最近のヒット曲も洋楽のスタンダードもちょっと味気なく思えちゃうかも。やはり日本のポップスはこのベタさがないと。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 恋するニワトリ ★★★ (2012-04-05 22:11:28)

谷山浩子さんのカヴァー。
これは原曲からして文句無く名曲だとは思うけど、なんだこのコーラスは…(笑)。歌の一節ごとにダーティなおっさんボイスで合いの手入れまくり、ラスサビでは「ふん、ふん、ふん、ふん!」とまるで興奮状態になったかのようにいきんだ声に…。元々谷山さんの持っている世界観自体シュールな側面はあると思うけど、違った意味でシュール。でも嫌いじゃないです(笑)。


NOCTIS IMPERIUM - NIHIL ★★ (2012-04-04 22:09:15)

2010年発表のEP。
ライブ2曲を含む8曲を収録、演奏時間は30分ほど。

2本のギターを絡めたやや凝ったリフや、ブラックとしては頻度の高いソロなど、ドラマティックなギターワークを聴かせつつ、ブラストで畳み掛けるパートでは押し潰すような迫力も感じさせるメロディックブラック。邪悪さやアングラ性よりも、ストレートにかっこよさや暴虐性が伝わってくるスタイルですが、時折トレモロリフにDARK FUNERAL辺りを思わせる暗い叙情を伴うメロディが練り込まれ、しっかりダークな雰囲気が作れているのがいいですね。

ただ、せっかくNick Barkerという有名ドラマーを起用しているのに、バスドラの音がベッチャリしたドラムの音を始め、音作りが今一歩なのが勿体ないですね…。分離が良くてドラマ性のあるギターワークを堪能しやすいのはいいんですが、なんか作り物っぽいような感じもしてしまう音なんですよね。正直、個人的にはライブテイクの方が音作りとしては好みだったり。

Nickが参加ということで、セールで安かったこともあって購入してみたんですが…COFの鬼女といい、なんか音質に恵まれないドラマーという印象が強くなってしまいました(苦笑)。曲はなかなか良い線行ってると思うので、あとは何かプラスαな個性が欲しいのと、音作りは少し見直して欲しいですね…。


NOCTIS IMPERIUM ★★ (2012-04-04 22:08:41)

ベネズエラのブラックメタルバンド。
COFやDIMMUに在籍していたNick Barker氏がライブ/セッションメンバーとして参加してます。


BOOK OF BLACK EARTH - The Cold Testament ★★ (2012-04-04 22:00:23)

2011年発表の3rd。
個人的には、評価の難しいアルバムですね…。

BEHEMOTHやMARDUKを思わせる、重厚感のある猛烈な爆裂ブラストで突進しつつも、トレモロリフで聴かせるパートではしっかりブラック由来の寒々しいメロディを仕込んでくる、デス・ブラックの良いとこ取りをしたようなハイブリッドで、かつ非常にクオリティの高いエクストリームメタル。

爆撃ドラム、ゴリゴリベース、重厚なギターと各楽器の音が相当の迫力を持って聴こえる、モダンで硬質なプロダクションもひっくるめてかなり高品質な仕上がり。デスメタルスタイルの野太く野蛮な咆哮ながら、どこかキャッチネスもあるヴォーカルラインも良い感じですね。

ただ、個人的にはなにか物足りなさも残るんですよね…。ジャンルのトップと比肩しうるブルータリティも、それを支えるテクニカルな演奏も、緩急の付いたドラマティックな展開も、ブラック由来の血腥さや寒々しさも…全部そつなくこなせて「しまっている」という感じが。もう殆ど言いがかりに近いんですけど、出来過ぎてて逆に無機質に感じてしまうというか…

一枚大体2000円くらいだとして、エクストリームメタルを好んで聴くメタラーなら、確実にお値段以上は楽しめると思う。私も楽しめたと思いますし…ただ、ちょっと個人的な特別の思い入れは持ちづらい…そんな感じの印象の作品でした。


UNDERDARK - I Am Above All ★★ (2012-04-02 23:48:11)

2006年発表の1st。

DRUDKHに在籍していたメンバーによる独りブラックという事ですが、こちらはフォーク色は殆どなく、地下臭く湿った雰囲気のプリミティブブラックという感じですね。音作りは典型的なプリブラのシャーシャー系ではなく、低音も効いた汚く冒涜的な篭もり気味の音質で、ダーティに吐き捨てるヴォーカルとも相俟って、WAR系ブラックにも通じる雰囲気があるように思います。1~2曲目でトラック分けをミスったりしてるのもなんかリアルでいいです(笑)。

DRUDKHと比べてもかなりカルト風味強めなんですが、そのカルト性の按配が絶妙なんですよね。汚らしいRAW音質でありながら、耳に痛い寸前で留めてあるバンドサウンドもそうだし、全体的には決してメロディアスとは言えないものの、要所で沼の底から聞こえるように響くトレモロが、秘匿された宗教のような神秘性を放っている曲作りもなかなか魅力的だと思う。初期BEHERITが大丈夫なくらいプリミティブに慣れ親しんでいる方なら、味わいの深さを感じられる作品だと思います。


UNDERDARK ★★ (2012-04-02 23:47:22)

ウクライナ産ブラックメタル。
DRUDKHやASTROFAESにも参加していたAmorth氏によるプロジェクト。


LAMENT CONFIGURATION - DEMONIC INCANTATIONS ★★ (2012-04-02 23:42:49)

2005年発表の1st。

音だけを見ると、かなりRAWな作りの目立つブラックメタルですね。炸裂感あるささくれ立った音質は、初期KRIEGを思わせたりも。ただこっちはフレーズはちゃんと聴き取れるし、ベースを抜いたり一発録りだったりといった無茶はしてないので、もう少しまともな感じではありますが、楽器の残響音が鳴り終わってないのに曲がブツっと終わったり、曲が始まってから音量を調節したような、一瞬爆音になる部分があったりとやっぱり録音状態はかなりラフ。

ただ、そんなラフな音質にも関わらず、かなり長めのギターソロを取り入れた曲があったり、ポンコツな感じのリズムから一転して猛然と爆走する展開や、スラッシーなリズムに勇壮なリフの乗る熱いパートもあったり、意外にも曲自体はメタルとして真っ当にかっこいい部分が多いのも特徴。またリバーブ掛かりすぎて、魔王の声みたいになっているヴォーカルも、なんか半ばヤケクソみたいな感じがあって、個人的にはかなりツボだったり。

確かに音像からはカルト臭が滲み出てますが、曲がかっこいいので意外に聴きやすい作品。普段からRAWブラックを聴き漁っている方なら問題なく楽しめるでしょう。


SIN ORIGIN - IN THE PRESENCE OF A DREAD MAGICIAN ★★ (2012-04-02 23:39:23)

2005年発表の1st。

アンビエント風のイントロ/アウトロを除けば、16分・16分・15分・14分というかなりの大作主義の作風が、RAW音質のブラックメタルで展開される…もうそれだけでかなり聴き手を選びそうな感じなんですが、一歩踏み込んでしまえば非常に味わい深いブラックメタル。本編ではアンビエントやプログレ要素を入れて曲を膨らますようなことはせず、リフやリズムにドゥーミーだったりスラッシーだったりする部分はありつつも、基本RAWブラックなのも何だか潔いです。

最初は曲の凝り方の割に音がしょぼいことで「うーん…」となりがちなんですが、聴いているうちに、リフとリズムの絡みが段々心地良くなってくるんですよね。聴いていて体が動いてしまいそうな、忙しない印象のアンサンブルも何気にかっこいいし、篭もったリフやバスドラが妙に響くドラムなど、音もアナログ感があって妙に気持ちよく感じる。多分整った音質で同じ事をやってもこうはかっこよく聴こえないのでは。ヴォーカルも決して上手さや狂気の部分で頭抜けてるとはとても言えないものの、3曲目の「うえっ!うえうえうえっ!」とか味があって好きです(笑)。

正直広くお勧めはしませんが、ハマる人はとことんハマってしまいそうな、異質な世界観を持ったブラックメタル。あからさまにジャンルをクロスオーバーする系の変態音楽より、一つのジャンルに没頭してるはずなのに何かがはみ出る系の変態が好きな方にお勧めです。


ORDO DRACONIS - The Wing & the Burden ★★★ (2012-04-01 22:04:42)

2001年発表の1st。
これ、マイナー物件の中では相当良い線行ってる作品だと思います。

とにかくクサくてど派手な、クラシカルなキーボードアレンジが持ち味のシンフォニック・ブラック。「出し惜しみ」とか「勿体を付けた」とかいう表現とは一切無縁の、思わず笑いが込み上げて来そうになるほどクサいキーボードメロは、壮麗さも行き過ぎるとちょっとアホっぽく聴こえるなぁ…と、妙な所に感心してしまうほど(笑)。もちろん良い意味でです。

ギターワークはキーボードを立てるように刻む箇所も多いですが、主導権を握るパートではクラシカルでクサい泣きメロをがっつり弾いてみせたり、トレモロリフを駆使して音像を更に飾り立ててみたりで、アレンジの方向性は本当に派手に派手を重ねてドラマティックに仕立て上げている感じ。これと比べるとまだCOFやDIMMUは高尚さというか、上品さが残ってしまってるなぁ…と思わされます。

シンフォニック・ブラックでありながら、はっきり言って愛想の良さ、取っ付きの良さは国産超大作RPGのメインテーマと比較しても劣らないくらいだと思う。ただ惜しいのは音質がやや丸めな感じがすることでしょうか…この派手さをメタリックで硬質な音質でもっとギラギラ強調させて欲しかった。ともあれ、とても真性ブラック好きにはお勧め出来ませんが、クサいのが行ける方は是非チャレンジして頂きたい好盤です。


THEATRES DES VAMPIRE - Suicide Vampire ★★ (2012-04-01 21:59:04)

2002年発表の4th。
…なんかブックレットに徐倫みたいな人がいるんですけど(笑)。しかもジャケはエコ○ル社のロゴそっくり。これはマニア心をくすぐられますね(笑)。

「ヴァンパイア劇場」ってなんか凄いバンド名ですが、名前の通りのホラー/ゴシック要素の強いシンフォニックブラックですね。メロデスにも通じるメロディアスなギターワークに、ブラック的絶叫とゴシック的男女クリーンVo、キーボードやストリングスを乗せて展開するシアトリカルなスタイルですが、このキーボードが個人的にはかなり好き。チャーチオルガン系の音を多用し、いかにも吸血鬼が出てきそうなベタな妖しいメロディを弾きまくり。バンド名を伏せて聴いても吸血鬼がテーマのバンドである事が伝わりそう。

吸血鬼がテーマのブラックというと、CRADLE OF FILTHが有名ですが、流石にあちらと比べると音作りや曲展開などは正直チープさを感じざるを得ません…が、その分一回聴いただけで世界観を共有できるような、分かりやすい感じがあるんですよね。COFが聖書や史実等もモチーフに世界観を展開するのに対し、こっちはヴァンパイアに特化している感じがするのも、分かりやすい一因かもしれませんね。女声ソプラノと男声のマイルドな声によるクリーンパートもかなり直接的にゴシックな情景を描写してますし。

取り合えずブラックメタルが好きな方で、バンド名にピンと来た方は買って損はないんじゃないかと。多少チープな部分はありますが、その辺も味があっていいと思います。


NIHIL NOCTURNE - Necrohell ★★★ (2012-04-01 00:50:38)

2003年発表の1st。
タイトルが端に小さく記載されてる上、側面にバンド名しか書いてないのでレビュー書くまでセルフタイトルの作品かと思ってました…店で買う際は注意が必要かも。

スタイルとしては、純度100%の混じりっ気なしのブラックメタル…という感じですが、RAWな音作りを身上とするバンドの中でも、曲と音質がピッタリ合っているように思います。多少耳に痛いような耳障りなギターの音、意外に良く聞こえるベース、生々しいドラムにうっすら妖しいキーボードが絡む、カルトながら脳内補完が必要な程ではない、ある意味程良いネクロさの音質が、邪悪さを最重視したような陰湿な凶暴さを孕む曲調とマッチしてる。

音質や曲調に衝動的な凶悪さがあったとしても、リフに込められたメロディには叙情性があったりするのがこの手のバンドのお約束で、この作品にもそれは当てはまるんですが…リフのメロディにはメロウさ以上に、RAWブラック特有のヒリついた感覚が強いのも素晴らしい。発声の上手さとか関係無しに、ただ目の前のクソヤローをぶっ殺してやりたいみたいな、憎しみを搾り出して叫ぶヴォーカルとも相俟って、非常に殺伐としたムード。

ちなみに後半は音質がより篭もったものになり、更にカルト風味を増してますが前半に魅力を感じた方なら何の問題も無く没頭できるでしょう。最近はブラックのRAW音質をアンビエント的な陶酔感、シューゲイザー的な浮遊感、ディプレッシブな悲壮感などの演出に活用するバンドも少なくないですが、この作品はストレートに生々しい殺伐さを伝えてくれますね。NEHEMARやTYMAH辺りの、代表格バンドより一歩踏み込んだカルトさのあるバンドがツボな方にお勧めです。


FALKENBACH - Tiurida ★★★ (2012-03-31 11:38:49)

2011年発表の5th。

デス/ブラックベースのフォーク/ヴァイキングメタルの中でも、かなりバランスの良い作品なんじゃないかと思います。フォークメタル特有の民族的なクサメロや、アコギ、笛などのフォーキッシュな要素に加え、どこかブラック由来のダークさも漂っていて、土着的なムードが非常に強く感じられますね。KORPIKLAANIでは明る過ぎて邪悪さが足りず、ELUVEITIEではメタリック過ぎて土着性が足りず、かといってリアルにエスノセントリズム掲げてるようなカルトバンドに走るのも…と思っている、好みのうるさい貴方にも自信を持ってお勧め。

…と、無難なレビューを書いて終わらそうと思ったんですけど…もう一つ言わせてもらえれば、2曲目「…where his ravens fly…」がクサ名曲過ぎてヤバい!やったら耳に残るヴァイキング的なクサメロを、朴訥なクリーン声で何度も繰り返して歌う曲で、中毒性が半端なく高いです。アルバム全体を見ても、ブラックの苛烈さとヴァイキングの泣きメロが融合した3曲目、インストながら彼らの神話的情景が聴いてすぐ浮かぶような描写力が光る4曲目、濃厚なドラマ性を持つ6曲目など、どの曲もキャラが立っててクオリティの高いアルバムなんですが…やはりこの2曲目は頭一つ抜けて名曲だと思う。

際立った名曲もあり、メロディや情景描写のセンスも高く、この手のフォークメタルでもかなりお勧めできる作品。それにしても、このバンドって独りプロジェクトだったんですね…ここまでのものを独りで作り上げるなんて、正直ちょっと天才かも、と思いました。


IRRWISCH - Irrwisch ★★★ (2012-03-31 11:32:39)

2008年発表の5曲入りデモ。
最初自主制作CD-Rでリリースされましたが、その後Those Opposed Recordsより再発されました。

タイプとしては、鬱系の香りも少々漂わせるプリミティブブラックという感じなんですが、まずオープニングが凄く感動的ですよね。トレモロリフが漣のように響き、仄暗く美しいメロディをストリングスに引き継ぐこの部分だけで、なにか悲劇的な結末を迎える、モノクロームの映画でも見ている気分になれます。

本編の方も、プリミティブブラックとしては猛然とした疾走も含む、緩急付いた展開と、リバーブの掛かった絶叫ヴォーカル、RAWながら耳当たりが悪くならない程度に抑えられた音質と、それなりに良い感じのクオリティですが、そこに入るストリングスやギターのメロディが、作品の魅力をグッと上げてますね。うっとりするような、頽廃的な美しさを感じられるメロディで、どこか中世っぽい印象。思わず聴き入ってしまいますね。

Those Opposedと言えばHYPOTHERMIAやKAWIRを始め、それなりに名の通ったバンドの作品をリリースしてる所で、ブラック好きの間でも知名度の高いレーベルですが…そんなレーベルが目を付けるのも良く分かる作品。これはなかなかの掘り出し物ですよ。


TRONUS ABYSS - Kampf ★★ (2012-03-30 01:18:17)

2003年発表の3rd。
2008年にATMFよりデジブック仕様、ボーナス2曲入りで再発。
BURZUMの「Moti Ragnarokum」のカヴァーも収録。

良質なブラックメタルを数多く輩出し、ブラック好きの注目を浴びるレーベルATMFですが、型番を見てみるとこの作品の再発がレーベルとしての第一のリリースみたいですね。ただし今作品は終末的なムードこそブラックと大いに通じるものの、サンプリングやキーボードを駆使してコンセプチュアルな世界観を演出するインダストリアル/アンビエント作品。

無機質なサンプリングやイタリア語の語り、ブラック的絶叫等が絡む非常に厳かな雰囲気を持つ作品ですが、何気にキーボードはメロディアスで耳に残るフレーズを弾いてたりするのも特徴ですね。ピアノの圧迫感ある低音を活用したダークなムードの演出、オルガン系の音色による宗教めいた荘厳さなど、音の選び方も凄くセンスいいと思う。1曲目からエピローグまでは、次第にインダストリアル色が薄れ、キーが前に出てくる構成になってる辺り、なんらかのストーリーが下敷きになっているのかもしれませんね。

ブラック色は希薄…というよりバンドサウンドですらない作品ですが、個人的にはこの濃密に漂うダークで頽廃的、終末的なムードには凄く惹かれますね。BURZUMやVITERRIKETのアンビエント作品が好みの方にはかなりお勧め。特に5曲目なんてBURZUMのアンビエント作品にありそうな神話っぽいメロディで良い感じですよ。


THOU SHALT SUFFER - Into the Woods of Belial ★★★ (2012-03-28 00:38:05)

EMPERORの前身バンドの音源集。91年のデモとEP、リハーサルを収録。
97年にSamothのレーベルからCD化され、2002年に再発されています。

最初期の、4トラックでレコーディングされたEMPERORの音源が余りにもネクロな音質で、それよりも録音時期が前となると、これはもう普通の神経で聴けるもんじゃないだろうな…と思って敬遠してきたんですけど(笑)…これ、めっちゃかっこいいですね。最初期EMPERORと比べると、リマスター効果なのか大分聴きやすい(といってもRAWではある)ことにも驚きました。

スタイルはデスメタル的な汚くうねるリフを伴って、衝動をぶち撒けるように疾走する、WARブラックにも通じるバンドサウンドに、宇宙の曼荼羅とか神秘的な光景が浮かぶ、EMPERORに通じるキーボードを取り入れた感じで、意外にも初期BEHERIT辺りとも遠くない、非常に冒涜的な作風。キーボードを外し、より汚らわしいムードで暴走するリハーサル音源もこれはこれでかっこいい。

そしてIhsahnのEMPERORとは違いすぎるヴォーカルスタイルにもびっくり。吐瀉物を撒き散らすかの如く汚く唸る、低音のグロウルで今の面影は全く無いです。リハーサル音源なんてもうえずき声にしか聞こえないですもん(笑)。初期EMPERORの作品などで、狂気を感じさせる絶叫はしていましたが、こういう「汚い」ヴォーカルスタイルが出来るのにも驚きました。スタイルが違っても、やっぱ彼の声は良いですね。

確かに生々しい音質ではありますが、WARブラックとかを普段聴いている人にとっては何の問題も無く聴ける音だと思う。贔屓目かもしれませんが、このころからやっぱり「持ってる」感じがするんですよね。「Wrath of the Tyrant / Emperor」を含む、EMPERORのアルバムを全て集めているようなEMPERORファンは、こちらも是非買うべきだと思います。


DIABOLICAL BREED - Compendium Infernus ★★★ (2012-03-28 00:34:17)

2004年発表の1st。
何気に日本のレーベル(Worldchaos)から出てたりします。

一言で言うなら、「実際に出力される音量以上に、音圧があるように聴こえるシンフォニックブラック」。バンドサウンドの分離ははっきり言って良くは無く、音がダマになって聞こえる感じなんですが…それが逆に凄まじい迫力を生んでいるんですよね。シンフォ系としては刻みを多用するリフも音の厚みを演出してたり、埋もれ気味のヴォーカルも闇から呻きすめきが聴こえるような感じに思えたり、作風と音作りの相乗効果でより濃い雰囲気を演出出来てる感じ。

また、そうして迫力ある音に蹂躙され、黒く塗り潰された情景に響くキーボードも、アトモスフェリックでホラーな雰囲気を伴う空間系の音色だったり、怨霊の悲鳴にも思えるようなクワイア系だったり、邪悪ムード満点なのがまた良いんですよね。耽美なピアノメロがあったり、ストリングス系の音で派手めなフレーズを弾いてたり、メロディ自体は結構フックのある部分も多いんですが、音作りとの兼ね合いもあり、決して甘口には仕上げてこない辺りが素晴らしいです。

メジャーなバンドにはない、カルトで邪悪な雰囲気の漂うシンフォニック・ブラック。初期EMPERORやLUNAR AURORAなど、神秘性が邪悪さに変換されて聞こえるようなシンフォニックブラックが好きな方にお勧めです。


TVANGESTE - Firestorm ★★ (2012-03-27 00:49:24)

2002年発表の2nd。

キーボード、フルート奏者や女性ヴォーカルを含む、7人の大所帯による、ロシア発のシンフォニック・ブラック。アートワークの、洋物RPGのキャラクターのようなタッチで描かれたメンバーがなんだか面白いですよね(笑)。ブックレット裏側なんてイケメン&美女の集団だし。一人白目剥いてる人もいますが…(笑)。

チェンバロやピアノ等、上品な音色で曲を彩るキーボード、弦が空気を震わせるようなストリングス、混声合唱や女性ヴォーカルによるかなり派手な歌メロなど、シンフォブラックの中でもかなりクサ度の高い音像を誇る、非常にドラマティックな作品。特に耽美さや上品さを感じられるメロディのセンスは、シンフォニック・ブラック全体でもかなり上の方に食い込めるくらいレベル高いと思う。

ただ、メロディや展開など、曲の根本のセンスは高いのに、今一つな部分も多いのが惜しいんですよね…。子音を強調した、憎々しげな歌い方は良いものの、どこか空気が漏れてるようなヴォーカルもそうだし、ドラマ性を強調しようとしすぎなのか、逆にパートによって音圧に差が出来て、却って聴きづらい音像は改善の余地が大有り。ギターワークも正直ちょっと物足りないです。

シンフォ系の中でも優れたメロディセンスは素晴らしいのに、音作りのせいで聴いてると「ここのチェンバロもっと強調した方が…」「ここのリフ音量下げ過ぎじゃない?」とか突っ込みが浮かんでしまい、いまいち世界観にハマりきれない作品なんですよね…。脳内突っ込みも起きないほどに、聴き手を世界観に没入させられる音像が作れれば、名盤クラスも作れそうなんですが…。私的には、この時点ではまだ好盤くらいですね。


MYSTIC CIRCLE - Drachenblut ★★ (2012-03-27 00:43:01)

98年発表の2nd。
現在は廃盤ですが、「幻魔大戦」というタイトルで日本盤も出ています。

ジャケや裏ジャケを見ると、コープスペイントを施したイカツイ野郎共が5人も並んでいて、いかにも邪悪で過激な音楽を想像してしまいますが…実際はかなりクサ方向に傾いたシンフォニックなブラックメタルで、この手でもかなり聴きやすい音。バンドサウンドを抑え気味にし、キーを前に出した音像はアトモスフェリックな感触も強いですが、この作品はアンビエンスよりも、仄暗く美しいメロディの強さを武器としたドラマティックな展開が持ち味になっている感じですね。

この作品は、ドイツの文学作品「ニーベルンゲンの歌」を下敷きとしたものらしいですが、ブラックメタルとしての反キリスト的立場からこの題材を選んだというよりは、純粋に作品のドラマ性を表現したかったんじゃないでしょうか。邪悪さよりも劇伴音楽のような大仰さの方が大分強いんですよね。個人的には、初期CRADLE OF FILTHの物語を下敷きにしたドラマ性と、初期DIMMU BORGIRの攻撃性よりもムードに重点を置いた音作りを合わせたような作品という印象を受けました。

ぶっちゃけジャケのような邪悪さはあまり感じられませんが、キーボード主体のドラマティックなメタルが好きであればかなり楽しめる作品かと。暗く、美しく、フックのあるキーボードメロはなかなか良い感じですよ。


SVARTTHRON - Kraujo Estetika ★★★ (2012-03-25 11:06:45)

2010年発表の5th。
タイトルはおそらく「血の美学」の意。

血液の泡立つジャケット、血に塗れた肉などのアートワークからして生理的嫌悪感を催させるものですが、中身もそれから想像しうるような、醜悪極まりないブラックメタル。一部アンビエント要素を挟みつつ、血腥さが伝わるようなトレモロリフをジクジクと垂れ流しながら疾走も絡めて展開するスタイル。個人的にトレモロのメロディからは、最初期のBURZUMに通じるような、異質なムードを感じたり。とにかく得体の知れない、異様なムードが漂ってます。

しかしその異様さを更に際立てているのが、この不気味で個性的なヴォーカルワークでしょう。低く呟くような、詠唱系のクリーンを左右のチャンネルに振ってハモらせてみたり、裏返り気味のヒステリックな絶叫と重ねてみたり、多重録音を駆使して徹底的に気色悪い雰囲気を演出している感じ。致命的な生物学的エラーにより、筋繊維が剥き出しになった人間が体中から血の泡を吹き出しながら歌っている…アートワークとも合わせ、そんなイメージが思い浮かびました。

メンバーが共通するPERGALEの方にもグロテスクな要素はありましたが、こちらはもっとストレートにグロい作品。個人的には、ゴアとかよりも禁忌に触れている感じが強くて、より気持ち悪さを感じるんですよね。見てはいけないものを見てしまった…的な感じのヤバさの漂う作品です。


SVARTTHRON ★★ (2012-03-25 11:05:32)

ノルウェー語で「黒い王座」を意味するバンド名を冠した、リトアニアのブラックメタルバンド。PERGALEのメンバーも関与しています。


RAVEN WOODS - ENFEEBLING THE THRONE ★★★ (2012-03-25 11:02:31)

2011年発表の2nd。

近年のBEHEMOTHを始めとして、ブルデスの激しさや圧迫感とブラックの宗教的な禍々しさを両立させた音楽性を持つバンドがいますが、RAVEN WOODSもそんな中の一つですね。分厚いリフとド迫力のドラム、野太い怒号による威圧感はBEHEMOTHに匹敵すると言っても過言ではないと思う。近年のBEHEMOTHよりトレモロの頻度は高めですが、北欧のバンドの寒々しさより、血腥いような禍々しさを強く感じるメロディが多いのが、フィジカルな迫力のある音と実に良く合ってますね。

また、この手のブルータリティで押すバンドってどうしても曲が似通ってしまいがちですが、この作品はスラッシーに畳み掛ける曲や、全編に妖しくメロウなギターメロを取り入れた曲、アコギやパーカッションを用いた儀式的パートを大胆に取り入れた曲もあり、曲の作りにバリエーションを付けてくれてるので、アルバムとしても起伏のある、ラストまで緊張感を保った仕上がりになってますね。個人的には儀式的パートで尺八っぽい音を使ってるのが妙にツボったり。

この手のブルデスとブラックの長所を併せ持ったスタイルのバンドの中でも、相当レベルの高い一品に仕上がってると思う。このバンドはトルコ出身ですが、BEHEMOTHの「Demigod」やHATEの「Erebos」辺りのポーランド産デス/ブラック作品が好きな方には特にお勧めです。


HYPERBOREAN - THE SPIRIT OF WARFARE ★★ (2012-03-24 23:09:04)

2011年発表の1st。

勢い良く刻む込むスラッシーなリフと、細かく織り込まれたタペストリーを連想させるトレモロリフによる、なかなかに鮮烈な展開が持ち味の、かなりメロディックなブラックメタル。所々で挿入されるキーボードを用いたアレンジも、派手目なギターワークにより演出されるドラマ性に拍車を掛けてますね。トレモロリフの美しさを全力でシカトするように(笑)、地声を混じらせてやたら憎々しげに絶叫するヴォーカルも良い味出してます。低音のグロウルも使うタイプですが、そちらも汚らしくてグッド。

ただ、展開にしろ音作りにしろ、第一級の品質というにはもう一歩といった感じなんですよね…。ギターワークは鮮烈ながら、ちょっと前衛的な感じのミディアムパートはどうもインテンスさをキープし切れてない感じが。音質も分離が良く、刻みリフの壮絶さ、トレモロリフの叙情性をしっかり伝え、ドラマティックな作風にはピッタリ合ってるんですが…バスドラの音がやけに金属質で耳に痛く、聴いていて疲れるのがネック。

リフの作りとかはかなりかっこいいと思うだけに、その一歩が非常に勿体なく感じる一枚。そこをクリアできたら、メロブラ・メロデス好きに広くお勧め出来そうな作品が出来そうですが…。


MANNGARD - European Cowards (2012-03-24 09:54:26)

2007年発表の2nd。

ex-EMPERORのSamothの運営するNocturnal Artに所属するバンドですが、出音の方はブラックメタルの様式をそのまま踏襲したものではなく、ハードコアやスラッシュに通じるノリの良さと、意表を突くリズムチェンジを多用した暴れ馬的なリズムに、デス的な重さと奇怪なアヴァンギャルド性を感じさせるリフを乗せた、エクスペリメンタルでエクストリームな作風。全体的にはブラックよりもスラッシュの色が強く、ヴォーカルもブラックの絶叫とスラッシュの捲くし立てがなりを使い分けるスタイル。

ただ、個人的にはこのバンドのスラッシュから影響を受けたと思しきがなりは、どうしても受け付けないんですよね…。叫んでいるというよりも、話し声をリズムに乗せたような感じのする、妙にヘナチョコ感のある歌い方。ブラック絶叫の方はまあまあ良い線行ってるんですが…。トリッキーながらフックに富む曲作りもセンス良いと思うし、畳み掛けるパートではブルデス並の迫力を伴うヘヴィな音作りも悪くないと思うんですが、いかんせんヴォーカルが苦手なタイプ過ぎてどうにも…。

とは言え、これは個人的な嗜好の問題であって、他にない音を確かなクオリティで鳴らしている、客観的に見たら十分良いアルバムではあると思う。一応試聴をお勧めしますが、このヴォーカルが大丈夫ならレーベルのネームヴァリューで手を出しても損はないかと。


MANNGARD ★★ (2012-03-24 09:53:48)

ノルウェーの実験的エクストリームメタルバンド。
TRINACRIA、SAHGのメンバーが絡んでます。


ODAL - Einst Vereht Von Allen ★★★ (2012-03-24 09:49:10)

2003年発表の4曲入りEP。

まず最初のプリブラ然としたシケシケな音質でスラッシーなリフを鳴らすパートでは、ドラムもポコポコいってるし「大丈夫か?」って感じなんですが(笑)、疾走パートに入ると一気に緊張感が増しますね。うっすらとしたノイジーさに包まれながら、土着的で陰りのあるペイガン系のメロディをトレモロリフに乗せた疾走は、この手のプリブラ/ペイガン系のバンドを聴いてる人なら誰でも悶絶出来そうなかっこよさ。

ガルガル唸る、獣と化したようなヴォーカルも良い味を出してますし、疾走パートはこのジャンルとしてごく真っ当なかっこよさや叙情性がありますが、個人的には冒頭のシケシケな感じも決して嫌いじゃなかったり(笑)。あれはあれで味があって結構好みなので、もっとああいったパートを増やしても良かったかも…という気はします。

4曲入りで、演奏時間も20分程度とやや短めですが、どの曲もペイガン思想を持つバンドらしい叙情性を感じられるもので満足。実はブックレット内側のバンドやレーベルのインフォメーションが見切れてたりするんですが、こういうのもアナログ感があってなんか良いですよね(笑)。


DAEMONLORD - GODLESS PRAYER ★★ (2012-03-23 20:10:46)

2011年発表の4th。

これ、メロブラ好きなら再生してすぐ「おおおお!」って思いますよね(笑)。ともかく冒頭のDISSECTIONの「Storm~」やSATYRICONの「Nemesis Divina」アルバムを思わせるような、凍てつくトレモロを伴う疾走が、既にかっこよすぎて悶絶。寒々しいばかりでなく、オールドスクールで熱い展開や、近年のSATYRICONに通じる妖しい感性を見せるパート、神秘的なキーボードの導入等もあり、ブラックらしい土着的な邪悪さとドラマ性を感じさせる、水準を軽く超えたメロディックブラックに仕上がってますね。

ただ、最初聴いたときの衝撃には、ものの30秒程度で「ん?」っていう陰りが差してしまうんですが…その理由がヴォーカル。パフォーマンス自体はそれなりに狂気的で迫力もあり、悪くない…むしろ良い方だと思うんですが、わざとらしいリバーブが掛かってるのがどうにも…。曲はメロブラなのに、ヴォーカルミックスだけプリブラのようなチグハグ感。曲はこの手のメロブラの中でも相当にレベル高いと思うのに、この音作りだけは心底残念だと思う。

まあ多少残念な部分はありますが、作品の最も根幹である「曲作り」にセンスが感じられるアルバムなので、その辺りはまだ目を瞑って楽しめるかと。かなりクオリティ高いのでメロブラ好きなら是非。


DORNENREICH - Flammentriebe ★★★ (2012-03-22 23:27:18)

2011年発表の7th。

前作はブラック要素の殆どない作品だったんですが、今作はノイジーなリフやトレモロ、絶叫を交えて疾走する、ブラックメタルのスタイルに戻ってますね。実はブラックメタルとしてのDORNENREICHを聴くのはこの作品が初めてなんですが、このバンドがこんなに素晴らしいブラックを演っていたなんて…リリースは去年でしたが、もっと早く買っておけば良かったかも。

タイプとしては、耳にキツいタイプではなく、どこかアナログ感や温かみを感じさせるノイジーさのギターリフがブラック特有のザラついた音像を作り出し、そこに神秘的なトレモロや仄暗い美しさを感じさせるヴァイオリンなどが乗るアトモスフェリック・ブラックなんですが…このバンドは音像の演出の仕方、音作りと展開のバランス等が絶妙。個人的にはこの手でも最高クラスだと思う。

単にノイジーで抽象的な音像にトレモロを奔らせるだけでなく、ギターフレーズの音色が時にモザイク状に切り刻まれたような独特の音だったり、炎に灼かれるような苛烈さを伴うものであったり、場面によって異なり、かつそのどれもが聴き手の想像力を刺激してやまないんですよね。また、ムードある音像を作るだけでなく、刻みを入れて展開にも貢献するリフ、アコギなども絡めた曲構成など、アトモスフェリックさとドラマ性を両立させた曲作りも本当に素晴らしい。

個人的にはLUNAR AURORAの「Andacht」アルバムに通じるような、スピリチュアルな神秘性を感じる音。スタイルこそ全く違いますが、聴いていて「底知れなさ」みたいなものを感じるんですよね…。Cold Dimensions系の神秘性重視のバンドや、VINTERRIKET、PAYSAGE D’HIVERなどの抽象的ムード色濃いブラックメタルが好きな人には大推薦。ほんと良いバンドですよ。


LUNA AD NOCTUM - Sempiternal Consecration ★★ (2012-03-22 22:48:43)

2004年発表の2nd。

トレモロや刻みを駆使した、メロブラ的なギターワークにシンフォニックなキーボードを絡めつつ、派手に疾走していくメロディック/シンフォニックブラック。コンパクトに纏まりつつもドラマティックな曲展開、メタリックな硬質さを感じさせる、良質な音作りなどからはブラック特有のアングラ感、カルト性は殆ど感じられないものの、聴きやすくてストレートにかっこいいブラックに仕上がってますね。ヴォーカルが凶悪な絶叫ながら、歯切れ良く歌詞を吐き捨てていくタイプなのも、作風とピッタリ合ってる。

シンフォニックなキーボードはあくまで装飾程度で、曲の主導権を握る場面はあまり無いものの、ギターワークはかなりフックに富んだもので、かつブルータルに疾走する場面も多く、キーボード派手目のシンフォニック・ブラックと比べても聴き劣りしない派手さがあるのが良いですね。全編かなりメロディックで、メロデス的な熱いリードフレーズが入る場面もありますが、疾走の苛烈さもあって甘い音にはなっておらず、非常にバランスのいい仕上がり。

正直もう少し「このバンドならでは」という部分が欲しいとも思うんですが、シンフォニック/メロディックブラックの中ではかなり質の高いバンドだと思う。普段ブラックを聴かない人でもすんなり入れそうな音です。もっと聴き手と情景を共有できる描写力を磨いたら大化けしそう。


FINNR'S CANE - Wanderlust ★★★ (2012-03-20 22:30:39)

2010年発表の1st。
1000枚限定でしたが、11年にProphecyより再発盤も出ています。

音像全体に拡散する、ギターリフのノイズに覆われた中で展開する、ザラついた抽象的ムードの強い音作り、攻撃性よりも寒々しく神秘的な雰囲気作りを重視した曲展開、音像に溶け込み、淡々と何かを唱えるようなクリーンヴォーカルなど、シューゲイザー系ブラックとも共通点の多い作風の、アトモスフェリックでダークなブラックメタル。アコースティックなパートでの、メタリックでないどこかお洒落さを感じるドラミングも雰囲気あって良い感じです。

この作品、メロディの叙情性やアコースティックパート等からは土着的なメロウさも感じられるんですが、それと人を寄せ付けないようなミステリアスな雰囲気だったり、神秘性を両立させているのが素晴らしいんですよね。単に神秘的と言うより、もっと底知れないような、ダークなムードがある感じ。リフの歪ませ方もシューゲイザーの激情的な感じよりは、ブラックの粗さを強く感じさせますし、この手の中でもブラック特有の暗黒な感性をしっかり継承してる音になってると思う。

この作品、リリースから1年でALCESTやLES DISCRETS、ARCTIC PLATEAUなどのリリースで知られるProphecy Productionsから再発されてるんですが、レーベルが目を付けるのも良く分かる、ムード作りの上手さが光る作品。AGALLOCHやALTAR OF PLAGUESなど、この系統でもブラックの寒々しさや邪悪さの強いバンドが好きな方にお勧めです。