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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1301-1400

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TROLLSKOGEN - Einsamkeit ★★★ (2012-03-20 22:25:26)

2008年発表の3rd。477枚限定。

トロルおじいちゃんが岩に座って黄昏ているジャケが目を惹いて、つい買ってしまったんですがこれは良いですね。ゆったりしたテンポで叩かれるドラムと、プリブラ的なザラついたギターリフが深い森の中へ一歩一歩踏み込んでいくような叙情性を醸し出し、そこにトレモロ交じりのペイガンメロのリードギターが鳴り響く、フォーキッシュなブラック。このフォーキッシュながらお祭りムードはゼロで、代わりに土着的な、根深いメロウさが感じられるメロディが非常に秀逸で、好きな方なら最初の10秒聴いただけで名盤の予感を感じること請け合い。

アコギパートの挿入等はありつつも、音像に余り変化を設けない、ミニマルな作風とも相俟って、聴いているとまるで孤独死寸前の老トロルが、仲間達と呑めや歌えの大騒ぎをしていた昔を思い返しながら悲嘆に暮れているような、非常に寂寞感・寂寥感のあるムードに呑まれそうになってしまいます。全6曲で構成される作品ですが、5曲目が他の曲よりも幽玄さを感じさせる音作りになっていたり、ラストに振り絞るような絶叫が入っていること、6曲目が霊界を思わせるようなアンビエントであることを考えると、最早バッドエンド的な嫌な想像しか浮かんできません。

ゆったりと聴かせるフォーキッシュなメロディが沁み過ぎて、ある意味鬱ブラックとも通じる悲壮感のあるムードが漂う作品。ペイガンメロやトレモロが好きで、それらを浴びるほど聴きたい人にもお勧め。非常に叙情性の高い、浸れる一枚になっています。


THOU ART LORD - DV8 ★★ (2012-03-20 22:20:12)

2002年発表の3rd。

タイプとしては、ザクザクと刻む、スラッシーなリフを軸にドラマティックな展開を見せる、メロデス要素も強いメロディック・ブラック。所々で挿入される、メロウだったりメタリックな熱さを見せたりするリードギターのフレーズも、思いのほかかっこよかったりします。時折見せるスラッシーに畳み掛けるようなパートも実に爽快で、この手としてはかなり聴きやすい作品と言えるかと。

ただし、粗めのリフの音色や、時折挿入される少しホラーな感触も受けるキーボードの音色など、邪悪さを感じさせる音作りはやはりブラック特有のもの。特にスラッシーなリフが粗い音色で繰り出される部分は、「烈火の如く」という表現を使いたくなるような、苛烈なかっこよさがあると思う。キーボードも味付け程度の頻度ながら、不穏な方向に曲を彩っていてグッド。

HORRIFIEDやORDER OF THE EBON HANDなど、ギリシャのバンドって辺境っぽさがありつつも、メタリックでしっかりした曲作りをするバンドが多いという印象なんですが、このバンドも正にそうした特性を持ってますね。このメジャーになりきれないかっこよさが好きな方も多いのでは。


CAMPO DE MAYO - CAMPO DE MAYO ★★ (2012-03-18 21:53:05)

2006年発表の音源集。999枚限定。
2004年に発表された3本のデモにボーナス2曲を追加したもの。

「Renewing the Call for War」
ジギジギ系の金属質なノイジーさの中から、微かにメロウなメロディが聴こえてくるリフ捌きと、細かく脈動するようなベースライン、単調な打ち込みドラムが特徴の、カルト臭の半端ないプリミティブブラック。エフェクトの掛かりまくったノイジーなヴォーカルや、一頻り暴れ終わったら曲を閉じるミニマルな展開など、この手の中でも衝動性の高い音。時々疲れたように息を吐いてるようなヴォーカルは妙な味がありますね(笑)。どこか忙しないというか、細かい感じのするリズムの取り方は北欧勢とはちょっと違うポイントでしょうか。

「Playing with Toys that would have been Dangerous even for Plato’s Republic」
基本的には「Renewing~」と同路線の、衝動的なプリミティブブラックですが、若干曲が長くなったのと、メロディの煽情度が上がった事で少しだけエピックな感触に。ただ、ノイジーさが大幅アップし、MUTIILATIONの3rdや4thを更に耳に痛くしたような、物理的にキツい音質になってるので、カルト臭は更に増している印象。このパートでも忙しないリズムの取り方、たまに疲れたように息を吐くノイジーヴォーカルなど、味のある部分はしっかり引き継いでるのが良いですね。

「Himno a Jorge Rafael Videla」
このパートとボーナス2曲はシンセアンビエント。
サブタイトルの中に「オーケストラ」「ピアノ」「オーボエ」などの単語が散見される事からも分かる通り、クラシック風の美しいメロディを聴かせる作風。清浄さや荘厳さを感じる音像も美しく、さっきまで粗野なプリブラを演っていたとは思えない曲調。ちょっと音割れ気味な部分があるのは惜しいですが、やはりメロディは良いです。

「漢方でマヨ」なんて、日本語読みすると面白くて可愛らしいバンド名ですが、蓋を開けてみれば南米産らしいカルト臭渦巻くマニア向けな作品。独特な味もあって面白い作品ではありますが、流石に日常的にプリブラを聴いてる人以外にはお勧めは出来ないかも。


SVEDHOUS - Path of Suicide ★★ (2012-03-17 22:37:10)

2007年発表の3曲入りCD-R。
と言っても20分以上あるので、ボリュームとしてはミニアルバム程度ですね。

路線は、音源のみを聴く限りではアジア産であることを殆ど感じさせない、典型的な鬱ブラック。聴き手を洗脳するようにゆったりと、ミニマルに叩かれるドラムに、ざらついた悲壮なリフと厭人の極みに達したような、SILENCER系の裏返り気味の絶叫が乗るスタイル。鬱感情だけでなく、妙な温かみを感じさせるリフのメロディからは、どこか「諦念」みたいなものが感じられるのが特徴。

また、どこかの音楽評論家が「アジアの音楽には独特の間の取り方がある」みたいに言っていた記憶があるんですが、3曲目のリズムなんかはそうした要素が少しだけ感じられますね。この独特なリズムがまたトリップ感を増してるように思います。ただ、歌詞は出来れば母国語の方が良かったなぁ…読むだけで英語苦手なのが伝わってくる(笑)。こんなネガティブな音を作り上げた人が、辞書と首っ引きで頑張ってる姿を想像すると微笑ましいですけど(笑)。

現段階では、例えばチェコのTRISTや、MAKE A CHANGE…KILL YOURSELF辺りに匹敵する…とまでは言い切れないものの、諦念の混じった鬱感情の表現は見事。韓国の鬱系なんて何気に貴重だと思うので、この手が好きならチェックしてみてもいいかも。


SVEDHOUS ★★ (2012-03-17 22:36:23)

韓国産鬱ブラック。
…このプロフィールだけでなんか興味湧いてきますよね(笑)。


CROWN OF AUTUMN - Splendours From the Dark (2012-03-17 22:35:10)

2011年発表の2nd。

確か14年ぶりのフルアルバムでしたっけ…
歳月が経っても路線に大きな変化はなく、中世的・土着的な香りのする、上品で高品質なクサメロとメロデス的なストレートなかっこよさを体現するリフ捌きで聴かせる、ジャンルでも最高級に聴きやすい、かつドラマティックなシンフォニック・ブラック。前作で物足りなさを覚えた音質も、満足とは言えないまでもある程度改善されていて、クオリティ自体は上がった印象。

…なんですけど、個人的には望まぬ方向に行ってしまったな…という感じも。前作から変わった点としては、パワーメタル風のクリーンが大幅増強し、むしろそっちがメインになったことが挙げられますが…このヴォーカル正直苦手なんですよね…。メロデス的なリフ捌き自体も正統派からの流れを感じさせますし、最早エクストリームメタルとは言えない作風だと思う。

…別にエクストリームでなくても自分の好みにフィットすれば全然構わないんですが、正直苦手なタイプのヴォーカルがこうまでフィーチャーされてるとげんなりしてしまうかも…。メロパワも行ける方なら問題なく楽しめるでしょう。


SURRENDER OF DIVINITY - Oriental Hell Rhythmics ★★★ (2012-03-16 23:27:34)

2001年発表の1st。
限定盤らしいですが、日本盤もリリースされています。

ウォーブラックというと、低音域を強調した、篭もった粗野な音質やハードコア的なヤケクソ感を伴う激速リズムなどを連想しますが、この作品はドラムは割と篭もった丸い音質ながら、リフは金属質でメロディが強調された、この手では割と聴きやすい音作り。ヤケクソな爆走中心の緩急付いた展開、「悪魔」「秘教」のようなワードを直接的に連想させる禍々しくメロウなメロディ、ギエエエ系の喉逝きそうな高音絶叫と各要素は北欧の有名バンドと比べても全く引けを取りません。

このバンド、特にオールドスクールなノリのパートで顕著なんですが…北欧のバンドにはない、独特のリズムのセンスがありますよね。しかも狙ってる訳でなく、天然でこうなった感じの。北欧のバンドを基準とすると野暮ったく聴こえるのかもしれませんが、逆にそれがアジアの神秘というか、底知れなさに繋がってる気がします。…多分私だけだと思いますが、アルバムを聴いていて何度か「津軽」というキーワードが浮かんできてしまったり(笑)。

個人的にはウォーブラックの中では最大級にお勧めの作品。ウォー系特有のやけっぱち感もありますし、何より曲が良いです。北欧産にはない味のある、良い作品だと思います。


SURRENDER OF DIVINITY ★★ (2012-03-16 23:26:57)

タイ産ウォーブラック。
何気に日本盤もリリースしてたり、意外に知られたバンドだったりします。


ERHABENHEIT - Missgediehen ★★ (2012-03-15 23:58:30)

2007年発表の2nd。

このバンドロゴに、ジャケの黒さに、有刺鉄線をあしらったアートワークに…もう音を聴かずとも、その手のリスナーにはプリミティブブラックであることは予想できる出で立ちですが…実際聴いてみるとやっぱりコテコテのプリブラですね(笑)。篭もったノイジーさが耳に痛くないギターリフに黒く塗り潰された視界に、影だけを残して現世から消失した人々の断末魔が木霊するような絶叫、悲壮感を伴うトレモロが響く音像は、この手が好きな方であれば、間違いなくどっぷり浸れるものになっていますね。

個人的に特筆なのはインスト明けの2曲目の後半。やたらメロディアスなベースラインに、中近東っぽいような、不可思議で得体の知れないギターメロが絡むパートが凄まじいインパクト、かつ深遠な邪悪さを放ってます。ただ、こういう演出が出来るのに、あまりやらないのが勿体無いんですよね…5曲目ではメロディ派なら悶絶できるベースラインとトレモロの絡みがあるし、7曲目でも場違いなくらいメロいベースが聴けるなど、聴き所自体は多いんですが…どれも2曲目の後半ほどの強烈さはない感じ。

個人的には、王道のプリブラも悪くはないんですが…2曲目の後半みたいな作風に特化して欲しかったな…という感じ。そうしたら他から頭一つ抜き出る個性を手に出来ると思いますもん。


ATOMTRAKT - Schutt & Asche ★★ (2012-03-14 23:24:44)

2006年発表の…多分1st。

VINTERRIKETのメンバーが演っている、戦争をコンセプトにしたアンビエント/インダストリアル…と紹介されてましたが…これ、思いっきりVINTERRIKETのアンビエント作品に近い音ですよね。幽玄で厚みのあるシンセが、聴き手の視界全体をモノクロームに染める音像も、冷えた神秘的なメロディももうモロです(笑)。一応、砲撃や語りのSEが入り、聴き手の意識を誘導しようとはしてますが…どうしても、「冬の王国」的な世界観が浮かんできてしまいます。

ただ、2003年のデモ音源「Zusatzliche Klanglandschaften」を再収録したらしい6曲目以降は、ちょっと毛色が異なってくる感じですね。奥行きのある、神秘的なシンセが世界観の演出を担う音像こそ共通してますが、こちらではインダストリアルのリズムを全体に導入し、より機械的なムードを描こうとしている感じ。こちらはVINTERRIKETの全てが雪に覆われた静寂ではなく、荒廃した、終末観溢れる静けさが感じられる辺り、本隊との差別かも出来ていて良い感じだと思う。

個人的には、作曲時期的には前になる後半部分の方が好みだったり。ともかくVINTERRIKETを追っている方なら、すんなり入れる世界観を持ってますので興味があれば是非。


ATOMTRAKT ★★ (2012-03-14 23:22:04)

VINTERRIKETのメンバーによるアンビエントプロジェクト。
VINTERRIKETとは違い、戦争をコンセプトにしている模様。


VALKYRIE - DESPAIR... ★★ (2012-03-14 23:16:52)

2012年発表の2曲入りデモCD-R。

1曲目は、暗雲が立ち込めるかのごとく重ッ苦しく引き摺るギターリフに、悲壮なトレモロリフや幽玄で邪悪な神秘性を感じるアルペジオが映えるフューネラルなパートが、アルペジオとヴォーカルのみになる静のパートを挟み展開する曲、2曲目は鬱ブラック的な陰鬱なリフに、どこまでも落ちていくような暗いメロディのリードを絡めた曲で、作風としてはこの2曲を聴く限りでは鬱ブラックや葬式ドゥームに近い感じでしょうか。RAWで立体的に聴こえるドラムに圧迫感あるリフ、しっかり気分を凹ませてくれるメロディのセンス…と流石のクオリティで暗黒音楽好きなら安心して楽しめます。

…が、ヴォーカルはもう完全に逝ってしまってますね(笑)。おそらく女性ヴォーカルですが、喉を閉じた状態から、呼気の力で無理矢理こじ開けてホイッスル気味に絶叫したような、常軌を逸したヒステリックさを感じる声。普通にグロウルを聴かせたり、苦しみに喘ぐようなパフォーマンスをしていたと思ったら、突然声を荒げて絶叫するのが怖過ぎるんですが…。まるでレコーディング中に、急に過去のトラウマが蘇って錯乱したような、リアルな狂気を感じる声。SILENCER同様、曲も素晴らしいけどヴォーカルだけでも十分話題の種になるであろう作品。

…取り合えず2曲だけなのでまだなんとも…という感じですが、フルアルバムで全曲このクオリティだったら間違いなく☆は3つ付けますね。お値段も手頃ですし、バンドを取りあえず知るという意味でも、買ってみてもいいのでは。


VALKYRIE ★★ (2012-03-14 23:14:48)

FUNERAL MOTHの藤島さんも参加する国産ブラック/ドゥーム。
先日2曲入りのデモをリリースしました。


BUONO! - Buono! 2 ★★★ (2012-03-14 23:11:50)

2009年発表の2nd。
Buono!は例えば「Café Buono!」とか「MY BOY」とか、他のアルバムにも確かにキラーチューンは多いんですが…トータルの完成度で言えばこのアルバムが断然素晴らしいと思います。

Buono!ってガールズロック風の作風をコンセプトにしてるせいか、全体的にはつんく系の作品と比べるとメロディにクドさがなくて、清涼感のあるものが多く、それがクサメタラーには少々物足りなかったりするんですが…このアルバムはその清涼感をしっかり保った上で、つんく系のトップクラスの完成度のアルバム(モーニング娘「12,スマート」、Berryz工房「6th 雄叫びアルバム」辺り)と比べても遜色ないくらい、印象深くキャッチーなメロディが多いと思う。

しかも曲のバラエティに富んでいるだけでなく、例えば「Early Bird」ならモータウン風、「消失点」ならバラード、「co・no・mi・chi」なら歌謡ロック、「I NEED YOU」ならパンクなど、どの曲もガールズポップの中のその路線で言えば最高クラスの仕上がりなんですよね。加えてクラシックなロックのエッセンスを演奏の随所に感じさせながらも、打ち込みを上手く使ったポップさの演出や、少女マンガ的な世界観の、キラキラした可愛らしさ等も両立させているのがホント素晴らしい。

その優れた楽曲を歌う三人の歌も、艶のある声質でかっこいい曲も大人びた曲も自分のゾーンに引き込む夏焼さん、高い歌唱力とどこか哀愁のある声でどんな曲も歌いこなせる鈴木さん、そしてはっちゃけたキャラとは裏腹に、力強くよく通る、ロック向けの声質でユニットのコンセプトを表現しきる嗣永さんと、三者三様かつ「この三人でなければ駄目」と言い切れるくらい、バランスが取れているのが素晴らしい。こういうユニットでここまで均整の良い組み合わせは他にないのでは。

余談ですが…人形とか彫刻を思わせる整った美形と、モデルっぽい美人系の美形、アイドルらしい親しみやすさのある美形と、ヴィジュアル的にもバランスが取れてるユニットだと思う。ホント絵になる三人ですよね。トーク的にも、仕切りも引っ掻き回しも出来るオールマイティなタイプ、クールな突っ込み系に見えて時々天然以上に大ボケもかますタイプ、ふにゃふにゃしたゆるキャラ的な癒し系タイプと、三者三様でやっぱり奇跡的なバランスだと思うし。

まあそれはそれとして、キャッチーかつハイクオリティな曲が並ぶ、このジャンルでは名盤といえる作品ですので、ガールズポップ好きな方は是非。アイドル的可愛らしさと、ポストロック的美しさが奇跡的に融合した「ゴール」や、普通のガールズバンドでは出来ないであろう、計算されたキャッチネスを持つ「ロッタラ ロッタラ」とか本当に名曲ですよ。


ARCTIC PLATEAU - The Enemy Inside ★★★ (2012-03-13 21:21:32)

2012年発表の2nd。

メタル系の店ではシューゲイザー・ブラックの流れで紹介されていましたが…ブラックとシューゲイザーを繋ぐような、歪みの深いギターリフはあまり使わずに、クリーンなアルペジオと清浄に響くトレモロ、メロウなベースラインを重層的に、丁寧に織り上げて穏やかで美しい情景を演出する作風。ヴォーカルはほぼクリーンで、メランコリックかつ情緒的に歌い上げる声はOPETHのMikaelやALCESTのNeigeっぽくもあるかも。

アートワークや曲タイトル、歌詞などから察するに、このバンドは精神世界のグルーミーな部分を描こうとするコンセプトがあるようで、ごく一部で日常のSEにドローンを重ねて暗黒さを演出したり、ブラック系の絶叫が入ったり、ノイズ的なアプローチもあったりしますが…曲に込められた鬱感情に共感するより先に、ただただ音が美しくて心地良くて穏やかで、ひたすら聴き入ってしまうんですよね…。

例えて言うなら、幼少期になんらかのトラウマを負った人間が、セラピーによって少しずつ心を溶かされていくような、そんな穏やかなカタルシスを感じられる音…と言った感じでしょうか。聴いていると本当に、自分の中で何かが浄化されていくような、そんな感覚を覚える作品なんですよね。心が洗われる、というのは、正にこういうことを言うのではないでしょうか。

ぶっちゃけシューゲイザー系のブラックって最近そんなに熱心に追ってなかったりするんですが、そんな私でもこのアルバムは素晴らしいと思えました。このジャンルの中ではLES DISCRETS辺りとタメを張れる深い耽溺性のある作品。この手のブラック以外にも、OPETHやGREEN CARNATIONのアコースティック作品、KATATONIAの近作などを好む方にも大推薦。


HORSEBACK - The Gorgon Tongue ★★ (2012-03-13 21:16:52)

2011年発表のコンピレーション盤。
07年のCD「Impale Golden Horn」、10年のカセット「Forbidden Planet」を収録の二枚組。

「Impale Golden Horn」
こちらの音源は、メタル色は希薄…というかほぼ皆無な、ドローン/ポストロック路線ですね。ギターの残響音や電子音が絡み合い、心地良くサイケデリックな浮遊感を感じさせてくれる音。一部で登場するヴォーカルも全てクリーンで、マイルドな声質で歌い上げてます。ニューエイジ思想で言うところのアセンション…人間の魂が次の段階にステップアップする次元上昇を体感しているかのような、非常に神秘的で日常から切り離された、しかし心地良い感覚を体験させてくれる作品。

「Forbidden Planet」
こちらは浮遊感は残しつつも、ノイジーさを増した音像、絶叫やトレモロなどを取り入れ、ぐっとブラックメタル色を増した作風。浮遊感は残しつつも音の作りがダークになり、地に足が着かないまま抑圧されているような、寄る辺ない感覚に襲われる音。アセンションに失敗して神の怒りに触れたかのような雰囲気。ただしギターのフレーズはトレモロを弾いていても、リフの役割を半ば放棄して音像の演出に徹底している感じだったり、絶叫もノイズ塗れで生々しさを感じさせないものであったり、やはり感性はポストロック的な部分を色濃く残している作品だと思う。

店ではALCESTなどとは逆に、ドローン/シューゲイザー/ポストロック方面からブラックメタルにアプローチした作品と紹介されてましたが、正にそんな感じ。普通のシューゲイザー寄りブラックよりも、もっと抽象的で形而上学的というか、実体感の希薄な音なんですよね。抽象的な音の世界に、ゆったりと漂う事に心地良さを覚える方にお勧め。


OHTAR - HUMAN FUEL OF DEATH ★★★ (2012-03-13 21:10:56)

2007年発表の3rd。

ポーランドのNS勢に特有の、厭世的な怨嗟と土着的な叙情性の両方を兼ね備えた、薄暗く悲壮感漂うトレモロリフを、まるで缶を叩くようなRAWで軽めのドラムに乗せて疾走する、プリミティブ系に近い音作りのブラックメタル。メロウなアルペジオやリードギターを導入したドラマティックな展開、スラッシュ要素も強いオールドスクールで、ストレートにかっこいいリフ捌きなども取り入れた起伏のある展開、RAWながら耳に痛くない、メロディもある程度立たせた音質で、カルトなブラックの中では割と聴きやすい音。

しかし、ポーランドのNSブラックのシーンって気合入ったヴォーカルが多いですけど、このバンドも大概ですよね…潰れたがなりスタイルなんですが、その潰れ方が尋常じゃない。マジで潰れたカエルを思わせるような、断続的なエッジ音がガリガリ鳴るような凄まじくひしゃげた声。常に歯軋りして額に青筋立てながら歌ってる感じ。これをリリースした時点ではかなりベテランのはずだし、シーンでも有名な存在になってるはずなのに、この衝動全開さは素晴らしい。

そういう訳で、このシーンのバンドを漁っている方なら一回聴いただけでピンと来るような音。個人的にも聴きやすさとカルト性のバランスが丁度良い按配の作品だと思いますし、悲壮なトレモロを従えたRAWな疾走はこのジャンルの魅力を分かりやすく伝えてくれるので、お勧めです。


BUSTUM - The Return of Hate ★★★ (2012-03-11 20:28:59)

2010年発表の1st。
SEVERE STORM絡み、Darker than Blackからのリリースという事で購入。

よりプリミティブ寄りの作風ですが、確かにSEVERE STORMともかなり近いものを感じられるブラックですね。邪教としてのペイガンというか、叙情性だけでない、鬱感情や邪悪さを発散するメロディをトレモロに仕込んでくる曲作りが似てる。こちらの方がメロさは抑え目ですが、やはりセンスの良い、雰囲気に浸れるメロディ。曲によっては荘厳なチャーチオルガンによる装飾も入りますが…プリブラ的な薄暗い音像とは音色にギャップがあって、より非日常感が強調されてるのが良いですね。

個人的に特筆したいのは、プリミティブブラックとしての音作りの上手さ。紙ヤスリ的…よりは少々厚みも感じられるノイジーなギターリフと、RAWで聴いていて気持ちの良い音ながら、それほど前面には出ないドラムの、音像における配分のバランスが凄くいい感じ。この手のバンドは如何に聴き手をトランスに持っていくかだと思いますが、プリブラ好きには非常に心地良くトリップ出来る音。目を剥きながら何かを訴えかけてくるような、頭の毛細血管が何本も逝ってそうなヴォーカルのパフォーマンスもかなり素晴らしい。

ポーランドのペイガン/NSBM関係を追って辿り着いた方ならほぼ確実に満足頂ける一枚かと。やはり目新しさはないですが、この手を聴き漁ってる方は是非。


BUSTUM ★★ (2012-03-11 20:28:21)

ポーランド産ブラックメタルバンド。
SEVERE STORMのKolan氏が在籍してます。


WOLFSHADE - EVENING STAR... ★★ (2012-03-11 20:23:48)

2006年発表の1st。

物悲しく陰鬱なリフを、疾走を交えたミニマルな展開とRAWな音質で聴かせるブラックメタルで、タイプとしてはディプレッシブとプリミティブの両方の特性を持った感じでしょうか。BURZUMとかSHININGとか、この手のバンドの代表格よりも更に、鬱や悲哀の感情を描写する事のみに特化したような作風。

メロディのセンスはこの手のバンドの中でも秀逸な方で、派手さはないものの、じわじわと感情に訴えかけてくるような、メロウなメロディがかなり素晴らしい。暗雲が少しずつ視界を埋めていく様だとか、命の蝋燭が緩やかに溶けていく様だとか、そういう光景が浮かんでくるようなメロディ。割れ気味に叫ぶヴォーカルが、やや埋もれがちなミックスなのも、攻撃性よりも情緒を重視している感じで雰囲気あって良いですね。

正直鬱ブラックとしては割と典型的なスタイルで、目新しさこそないものの、適度なRAWさで心地良く浸れる音質といい、メロディの良さといい、この手が好きならばお勧めできる作品だと思います。


HERESI - Psalm II - Infusco Ignis ★★★ (2012-03-09 22:33:46)

2006年発表の1st。
LEVIATHANのWrestによるアートワークが実に禍々しい…。
一応フル扱いですが、演奏時間は28分とやや短め。

路線としては、多少プリミティブ寄りの感性を感じるものの、説明の必要がないくらい王道のブラックメタル。正にジャンルのど真ん中の、邪悪さを貫いた音を出してます。しっかり低音も効き、迫力がある中に若干ノイジーなリフとドコドコ響くドラムが鳴る音作りは、非日常的な饐えた黴臭さを感じさせてくれるもので、ブラックメタル好きにとってはひたすらに心地良い音。流石Necromorbus Studioでのレコーディングって感じです。

スタイルに関しては説明不要な感じですが、楽曲の素晴らしさ、これは言及せざるを得ません。トレモロリフには北欧産らしいメロウさと、流しているだけで部屋が魔界化していきそうな妖気の匂い立つ、妖しい邪悪さが込められており非常に魅力的。単にトレモロを弾いてるだけでなく、フレーズがしっかり練られているのが良い感じ。ノリのいい、オールドスクールな部分もあり、それがまた音像の毒々しさを強調してるんですよね。瘴気が形を成したかのようなドスの効いた、エグいがなりヴォーカルも素晴らしい。

曲が良すぎて、28分という演奏時間の短さが恨めしくなること請け合いな作品。ONDSKAPTやFUNERAL MISTのような、ブラックの王道の音を出しつつも、宗教的だったり病的だったりといった、非日常の光景にどっぷり浸らせてくれるバンドが好きならば必聴かと。


HERESI ★★ (2012-03-09 22:32:02)

ex-ONDSKAPTのSkamferによる独りブラック。
一枚目のEPの時点ではセッションドラマーを起用していたらしいです。


NASAV - UMR AT TAWIL ★★★ (2012-03-09 22:29:31)

98年発表の4曲入りデモ。
HIRILORNとのスプリットにも収録されているので、そちらで聴いた方も多いのでは。

HIRILORNも大概でしたが、こっちもこっちで音が小さい…まあスプリットで極端に音量に差をつけられても、聴きづらい事この上ないのでいいっちゃいいんですが。ただ、こちらの方が蟲の羽音系のノイジーさのギターといい、RAWな響きのドラムといい、割とクリアに聴こえるリードギターが曲の中心にあったHIRILORNと比べると、よりプリミティブブラック然とした音作りになってると思う。

そして作風もHIRILORNとは大分異なり、よりストレートにプリブラを演ってますが…こっちも相当にメロディアスな作り。うっすらとバンドサウンドを包み込み、時に叙情的なトレモロリフとユニゾンするキーボードが幽玄かつ邪悪。死者の魂を冥界に送るような、ダークながら情緒的なメロディが非常に魅力的。ヴォーカルはハイピッチかつヒステリックな絶叫で、ちょっと女性的な印象も。生々しい憎しみが篭もっているようで悪くないと思う。

…個人的には、このスプリットは音が小さくなければ、特にメロディアスでプリミティブなものが好きなブラック好きに取っては相当の名盤だったと思う。音を粗くするメリットはあると思うけど、録音を小さくする必要性を感じないんですよね。需要もあるだろうし、リマスターして再発したら好意的に受け入れられるのでは。


NASAV ★★ (2012-03-09 22:28:26)

あのHIRILORNともスプリットをリリースしたメキシコのブラック。
残念ながら2本のデモを残しただけで解散してしまったみたいです。


HIRILORN - A HYMN TO THE ANCIENT SOULS ★★★ (2012-03-09 22:25:15)

97年発表の5曲入りデモ。
NASAVの「Umr At Tawil」とスプリット形式のCD-Rもリリースされていて、私が持っているのもそっち。

しかしこの作品、DEATHSPELL OMEGAの中心人物が関わっていた…という予備知識があると、かなり衝撃を受けますよね。オープニング明けの2曲目から、ペイガン風の男泣きの入った、クサいと言っても過言ではないリードギターが登場、しかもそれが作品全編に渡って聴ける…という。3曲目ではアコギと語りを交えたパートも導入されるなど、エピックな展開も見られます。

勿論邪悪に、プリミティブに疾走するパートもあるんですが…メインはペイガン風の非常に美しいメロディの入ったパート。正直初期DSOの延長線上のカルトな路線を期待するとギャップに面食らいますが、このメロディセンスはほんと素晴らしい。ただ、スプリットとして聴くと持ち時間少ないのにオープニング及びエンディングが長めなこと、リードギター以外が消え入りそうな音の小ささはちょっと不満かも。

DSOのメンバーが演っていたバンドの初の音源という、資料的な価値も高い作品ですが、それ以上にこのメロディの素晴らしさに惹かれます。DSOでも音楽性を変えつつ名盤をリリースし続けるし、Hasjarlって何をやっても良い物を作る才能がありますよね。


HIRILORN ★★ (2012-03-09 22:24:34)

覆面バンドの筈なのに、何故かDEATHSPELL OMEGAのメンバーだと広く知られているHasjarlがかつて在籍していたバンド。現在は既に解散してしまっています。


SEVERE STORM - Follow the Paths of Darkness... ★★★ (2012-03-08 23:44:20)

2010年発表の1st。
背表紙のフォントがなんだか可愛いなぁ…(笑)。

ポーランドのNSBM勢の一角を担うバンドという肩書き、インナーのアーティスト写真がいかついスキンヘッド男という時点でなにか恐ろしげなものを想像(期待)してしまいますが、それを裏切らない荒々しいブラックメタルですね。音量が大きく、音圧のあるドラムが鉄火場の空気を醸し出すようなど迫力…なんですが、意外にも音の分離はRAWながら悪くなく、メロウなベースラインやトレモロがしっかり聴こえる、この手の生々しいブラックとしてはかなり良い音だと思う…というか個人的に好きな音です(笑)。

恐ろしげなイメージや荒々しい音作りとは裏腹に、アルバム中で横行するトレモロリフのメロディは非常に魅力的。ペイガン思想を持つバンド特有の男泣きと、人間に対する厭悪をふつふつと煮え立たせているような不気味さ、その両方が感じられる、非常にメロウなメロディ。このアルバムが素晴らしいのは、メロディアスなパートだけでなく、そこ以外の殺伐とした感触も非常に魅力的で、メロディの良さとも相俟って非常に聴き応えがある仕上がりになってる事なんですよね。

また、ヴォーカルのパフォーマンスもその殺伐とした感触を際立ててますね。基本、喉が心配になるレベルの潰れに潰れたがなり声ですが、息が掛かるほどマイクに近づいたような生々しいグロウルや、呪文を唱えるような語りなども入れて、かなり表現力高いです。声だけで本能的な危機を感じてしまうような、ヤバさの漂う歌い方。

…ブラック好きからはカルトな支持を受けるポーランドのペイガン、NSBMシーンですが、その中の代表バンド足りえるくらい、良いアルバムだと思う。この手のブラックに興味持ってる方は是非チェックを。


INFERNAL (COLOMBIA) - THE DEEPEST EMPTINESS ★★★ (2012-03-08 23:40:50)

2009年発表の4th。

ショップにこのCDが並んでた時は、DARK FUNERAL絡みの方のINFERNALの新譜が出たと思っていて…紹介で「コロンビア産」と書いてあったときも、「まあ現代はデータで音源のやりとりが出来る時代だし」と思って、そのままレジに持っていきましたが…いざ帰って聴いてみると、思ってたのと全然違う音で驚きました。大幅な路線変更かと思って調べたら、全く別のバンドだったという(笑)。

…そんな勘違いがありつつも、こっちはこっちでかなり魅力的なブラックメタルを演っているので、まあ結果オーライといったところですね。こちらはファストブラックなスウェーデンの方とは異なり、ミッドテンポもかなり重要視した展開と、メロいギターで聴かせるメロブラ路線。ゆったりとメロディアスなフレーズを紡いでみせたり、刻みを入れメタリックさを演出したり、ギターパートは非常にメロディアス、かつよく練られている印象。

路線自体、特にギターはかなりメロデスに近いんですが、アトモスフェリックさもあるプロダクションや、ヴォーカルの鬼気迫る、喉を痛める寸前みたいな絶叫等、ブラックらしいミステリアスさ、凶悪さもしっかりあるのが良いですね。特に音質、角のない、しかし分離は良いバンドサウンドをキーボードがうっすら包み込む音作りは、メジャーバンドの硬質な音作りよりもある意味耳に優しく、より純粋にメロディの良さを楽しめるんですよね。

勘違いして買ってしまいましたが、これはこれでかなり良いアルバムだと思います。アトモスフェリック系を雰囲気は残しつつ、ギターパートを強化してより実体的にしたような非常に叙情的な作品。メロブラ好きは是非。


IPSISSIMUS - THE WAY OF DESCENT ★★ (2012-03-07 21:04:20)

2011年発表の1st。
何気にあのMetal Bladeから出てるんですね…。

音的にはギターがややノイジーなものの、抜けの良いドラムが心地良い音質に、緩急・押し引きをしっかり付けたドラマ性のある展開で聴かせる、ハイクオリティなブラックメタルで、やはりMetal Bladeが目を付けるだけはある、メタルとして一級品なかっこよさ。一概にメロウや邪悪とは言い切れない、不思議なメロディ使いは一癖ありますが、ファストパートの泥を巻き上げながら迫り来るような迫力は凄まじいものがありますね。

そして個人的にはこのヴォーカルが大好きです(笑)。スタイル的にはハイピッチの絶叫でブラックに典型的なスタイルではあるんですが…何がそんなに憎たらしいのか疑問なほど、一語一語に憎悪を込めて叫ぶブチキレっぷり。ロングトーンの大絶叫も非常に憎々しげで、これとファストパートが噛み合うともう「殺される…」って気分になってきます。低音のグロウルとかは時々微妙ですが、ブチ切れた高音絶叫の素晴らしさには大満足。

決してカルトで、ジャンルのファンに聴き手を限定するような門戸の狭さはないものの、かといってメジャーにもなりきれない…みたいな音楽性は、非常に味があっていいですよね(笑)。何とも言えないメロディとか、ヤケクソみたいなファストパートとか素晴らしいですもん。必聴とは言えないまでも、興味があれば是非。


NUNFUCKRITUAL - In Bondage to the Serpent ★★★ (2012-03-07 20:54:25)

2011年発表の1st。
MAYHEMのAttilaもゲスト参加。

重く纏わり付くようなベースと、ノイジーに引き摺るギターリフが聴き手の視界をどす黒く染め上げるような、スラッジ/ドゥーム色も強い激重なブラックメタル。この黒々しくて質量感を伴う音像、ただ単に物理的に重いというだけでなく、禍々しい儀式が厳かに進行していき、魔や邪が吸い寄せられていくような、非常に邪悪なムードも醸し出しているんですよね。

ブラックらしい神秘的なキーボード、邪悪なトレモロも時折入りますが…この重々しい音の中では実に良く映えてると思う。1曲目では敢えてそうした要素を抑え、スラッジ色を前面に出している構成も、儀式の昏い狂熱の高まりによって次第にトランスし、超自然的で邪悪な何かとの邂逅を果たした…みたいな感じがして良いと思う。…まあ全体像を知った今でこそそういう感想になりますが、初めて聴いたときは危うく一曲目でブラック色が弱い事に不満を覚えかけましたが(笑)。

エクストリームメタル界では有名なメンバーが参加してますが、そのネームヴァリュー以上に良いアルバムだと思う。単純にこの激重な音が気持ちよかったりもしますし、ブラック特有の邪悪さ、神秘性もばっちり兼ね備えてますので、かなりお勧めです。


NUNFUCKRITUAL ★★ (2012-03-07 20:48:57)

NUCLEAR ASSAULTのDan Lilker氏やNIDINGIR、THE KONSORTIUMのメンバーであり、MAYHEMや1349のライブメンバーも務めるTeloch氏の参加するブラックメタルバンド。昨年Debemur Mortiより一枚目のアルバムをリリースしています。


AMYSTERY - EXTERMINATION, FOLLOWED BY CRYPTIC SILENCE (2012-03-07 00:47:16)

2007年発表の1st。

LUNAR AURORAやTHORNGOTHの元メンバーが絡んでるという予備知識のみで買った一枚。ジャンルとしてはザラザラした粗い音質に、メロウなトレモロが映えるプリブラで両バンドとは異なる路線ですが、ザラついた音質が音の抽象性を引き出し、そこにトレモロが乗る音像はLUNAR AURORAの神秘性に通じるものがあるし、大仰でない、そこはかとないメロウさはTHORNGOTHに通じるように思う。正直、現時点ではスケールの違いは感じるものの、フィードバックがある事は感じられますね。

また、このアルバムでドラムを叩いているのは、LUNAR AURORAに在籍した経験を持つMalphas氏ですが…何気に彼のドラムが良い味出してると思う。1曲目や6曲目では、荒涼としたリフに、体を動かしたくなるような妙な味のあるミディアムを合わせて来てるし、3曲目の「ポコッ、ポコッ」みたいな変なフレーズもやたら耳に残る。ただ、これをもってバンドの一番のウリとするには、ちょっと弱いんですよね…音質といい展開といい、聴き心地は決して悪くないんですが、もう一押しなにかウリが欲しい所。


MOONTOWER - PRAISE THE APOCALYPSE (2012-03-07 00:42:57)

2004年発表の1st。

SELBSTMORDのメンバーが関与してる事からも何となく想像は付きますが、プリミティブ・ブラックの中でもかなり過激かつ上級者向けな音。路線こそトレモロ疾走を多用し、所々でオールドスクールさを醸し出すリフも出てくる、いかにもな感じですが…まるで剃刀で出来た洗車機が車を痛めつけるかのような、ジギジギした音質がかなりキツいです(笑)。ULVERの3rdに近い音ですが、あちらほどカリカチュアライズされた音ではなく純粋に耳に痛い。

ノイジーな中に、不気味ながらメロウなトレモロが入ってくるのもこのジャンルでは王道聴かせかたですが…このバンドは、それに加えてクラシック音楽に通じるような大仰さを醸し出そうとしてるように見受けられる気がするメロディが時々出てくるんですよね。あくまで「見受けられる」「気がする」程度ですが。2曲目では、微妙に(ホントに微妙に)ドヴォルザークの新世界思い出しました。音質のせいで分かりづらいですが、ペイガンっぽい世界観を描写しようとしてるのかもしれませんね。

もう聴いた瞬間に、受け入れられるか否かはっきり決まってしまうような音。個人的には、粗いプロダクション自体は嫌いじゃないんですが、こういう耳に痛い系のノイジー音質はいまひとつ好きになれないので星は1つで。ところで、このアルバムを聴いてると時々目覚まし時計のアラーム音みたいな音が聞こえるんですが、これは一体…一瞬部屋の目覚まし鳴ってるのかと思った(笑)。


CROWN OF AUTUMN - The Treasures Arcane ★★ (2012-03-01 22:53:13)

97年発表の1st。

一言で言うなら、メロディアスさを追求する余りブラックメタルの価値観から離れたところに着地したシンフォニック・ブラック…という感じですね。トレモロを交えたリフ捌きやがなりヴォーカル、ファストパートを多く含む展開などはブラック的ですが、そこにメロデス的なメロディックなギター、シンフォメロスピ風の中世ファンタジー的な大仰なオーケストレーションを導入し、更にメロさを強調させたような作風。

ヴォーカル面でもヴァイキング風のダミ声やマイルドな声質のクリーンヴォーカルを導入し、更にメロディアス・エピック・ドラマティックな仕上がりに。最早ブラックメタルの邪悪さとか攻撃性だとかは感じられない音ですが、上品にファンタジックな世界観を紡ぎ上げていて、これはこれでかっこいい。シンフォブラックの中でも最も聴きやすい部類に属すると思う…曲だけなら。

ただ、音質がドラムが軽い・軽い割にやけに前に出てくる、そもそも全体の音量が小さい…という三重苦背負ったものなので、実際の曲よりマニアックに聞こえてしまうのが残念。確かに音の悪さがミステリアスな雰囲気を醸し出しているパートもなくはないですが、こういう作風ならメタリックで硬質な音作りにした方が、より楽曲のドラマ性が強調されると思うんですよね…。少なくともマスターボリューム下げ過ぎたのは失敗かと。

ちなみにこの作品、ケースがかなり凝ってるので必見。CDに傷が付きそうな紙ジャケットでレア感狙うバンドよりも、こういうこだわりあるパッケージングをしてくれるバンドの方が断然好感を持てます。


BUONO! - Buono! 2 - ゴール ★★★ (2012-03-01 22:52:01)

四つ打ちにノイジーでアブストラクトなギターリフが重なる音像は、ちょっとシューゲイザーっぽくてこういうアレンジが来るのは意外。でも未知な未来に一歩を踏み出していくような歌詞と、楽曲の抽象的なイメージがマッチしてて、名作アルバムのエンディングとして申し分のない曲になってると思う。サビでの溶け合うようなユニゾンといい、音像自体が非常に美しいです。


BUONO! - Buono! 2 - OVER THE RAINBOW ★★ (2012-03-01 22:51:23)

この曲、最初聴いたときはちょっと地味に聞こえたんですけど…聞き返してみると大らかなストリングスと広がりのある歌メロで、視界が開けるようなサビが印象的で、悪くなかったりするんですよね。どうしてもミディアムが3曲続く、その真ん中という構成のせいで損をしている印象が。


BUONO! - Buono! 2 - You're My Friend ★★ (2012-03-01 22:50:48)

…これは、ぶっちゃけB’zですよね(笑)
歌の入りの直前のギターメロとか、A~BメロまではB’zのパロディっぽいアレンジになってる気がする。「ELEVEN」アルバムや「GREEN」アルバムに入ってそう。サビの穏やかながら饒舌なメロディはJanne Da Arcのバラードに通じるものがあるかも。メジャー系Jロック聴く人は結構気に入るんじゃないでしょうか。


BUONO! - Buono! 2 - ガチンコでいこう! ★★ (2012-03-01 22:49:50)

タイトル通りの、ストレートかつパンキッシュに疾走していく楽曲…なんですが、4つ打ちやパーカッシブな打ち込みを利用したパートから、バンドサウンドに雪崩れ込むダイナミックな展開もあったり、やはりアレンジは結構凝ってる。アンビエンス重視な間奏は勢いを削いる気もして、ちょっと微妙ですが。欲を言えば、サビの後半は歌にもっとパワーがあると良かったかも。他の曲を聴く限り、この3人はもっとロックっぽく歌えるはずだし。


BUONO! - Buono! 2 - みんなだいすき ★★★ (2012-03-01 22:49:11)

シャッフルのリズムに、キーボードや電子音が絡むオケはそれだけで多幸感を感じるものですが、そこに三人のキラキラした歌声が乗るとめっちゃ乙女チックな世界観に(笑)。歌声もいつもの強めな感じより、ポップな可愛らしさを意識してる感じで、特にAメロの嗣永さんのパートは、こんな歌い回しもできるんだ…と驚きました。しかしこんな乙女チックな曲でもサックスソロ入れたり、ちょっとロックテイストにしてるのが良いですよね。こういう情報量多い、加えてそれがピッタリはまってる曲っていうのは聴いててホント楽しい。


BUONO! - Buono! 2 - co・no・mi・chi ★★★ (2012-03-01 22:48:36)

Buono!では珍しいつんく氏のペンによる楽曲。
頭サビからつんく流儀の哀愁メロが炸裂、そのままトレモロリフも交えてテンションをブチ上げつつ、疾走していく展開の時点でクサメタラー的には名曲確定。清涼感のあるメロディが多いこのアルバムの中に於いては、このストレートなクサメロは異色。曲をグイグイ引っ張っていくベースラインもかっこいいし、非常にカロリー高くて聴き応えのある楽曲です。


BUONO! - Buono! 2 - ロッタラ ロッタラ ★★★ (2012-03-01 22:47:51)

ロッタラって「Lotta Love」の略だったんですね…私はてっきりかったるい時に発する擬音だと思ってました(笑)。おぼっちゃまくんでいう「ヒーコラヒーコラ、バヒンバヒン」的な。
それはそうと、曲の方はただ圧巻。「Lotta Love Lotta Love」のコーラスに同期するギターリフや、間奏のフレーズなんかは単純にかっこいいし、所々インダストリアルっぽいリズムや印象的なキーボードメロを仕込んでくる、緻密ながら勢いを殺さないアレンジも素晴らしい。普通のロックバンドじゃここまでの曲は作れないんじゃないかなぁ…。疾走感を伴う、キャッチーなサビも聴いていて実に爽快。


Buono! - Buono! 2 - キラキラ ★★★ (2012-03-01 22:47:13)

この曲もメロディがどキャッチーですよね。栄養ドリンクとか、受験セミナーとかのCMタイアップが付いたら凄く似合いそうな、元気が出る系のメロディで。何気に長いサビがオールユニゾンなのも、メロディの清涼感を際立てていて、それが応援歌っぽさに繋がってると思う。


BUONO! - Buono! 2 - Kiss! Kiss! Kiss! ★★★ (2012-03-01 22:46:33)

この曲はMarty Friedmanの連載でも取り上げられてましたね。間奏のハーモニカソロなんかバタくさいくらいだけど、その何でもありな感じがいい…みたいな感じで。でも確かにBuono!のロック感ってどこかクラシックな感じだと思う。そのグルーヴ感を受け継ぎつつ、アイドル曲らしいキャッチーなユニゾンのメロディが非常に美味しい曲作りが出来てるのが素晴らしい。個人的にはメタルバンドにユニゾン部分をデス声にしてカヴァーしてもらいたいです(笑)。


BUONO! - Buono! 2 - Early Bird ★★★ (2012-03-01 22:45:56)

前作のオープニング曲「Café Buono」の路線を踏襲したような、モータウン風の楽曲ですが、更にキラキラしたポップ感が強調されている印象。Buono!って少女マンガのタイアップから始まったせいなのか、世界観に日常ラブコメ系の少女マンガのような、邪気のない、可愛らしい優しさがあると思うんですが、この曲はその一面がぎゅっと詰まった曲だと思う。疲れて帰って来た時に、こういう曲を聴くとホント涙が出そうになりますね…なんだかホッとしてしまって…。


LEGACY OF EMPTINESS - LEGACY OF EMPTINESS ★★★ (2012-02-28 22:19:34)

2011年発表の1st。

タイプとしては、鏡面を思わせる幽玄な響きのキーボードがバンドサウンドを包み込むシンフォニックブラックで、デモ~1st期のLIMBONIC ARTに近い作風ですが…このバンドはヴォーカルのがなりがしっかり前に出ていたり、(打ち込みっぽいけど)ドラムの疾走が迫力ある心地良いものであったり、ギターリフも厚みがあったり、よりバンドサウンドを前に出している感じですね。初期LIMBONIC ARTはかなり抽象的でアトモスフェリックな音を出してましたが、そのアトモスフェリックさを引き継ぎつつバンドサウンド部分をもっと実体的にした感じでしょうか。キーやリフのフレーズ自体も初期LIMBONIC ARTより実体的になっている感じなんですが…このバンド、所々逆にやりすぎてて異臭騒ぎレベルなんですが(笑)。

1曲目終盤ではかなりメロディックなツインギターの絡みがあるし、2曲目は頭からメロデス的なメロさだし、3曲目はちょっと引くレベルのクサピアノに、キャッチーなヴォーカルラインが付きやけにノリの良い曲。4曲目は後半サンホラの間奏のような派手なキーのフレーズが聴けるし、エニグマティックで邪悪なムードで始まった5曲目も、後半で我慢の限界を突破したかのようにメロウなメロディをぶちまけてるし、エンディングインストを除けばラストの6曲目は、頭からそれ単品で異臭騒ぎレベルの大仰さ。…はっきり言ってこの手に邪悪さや抽象的な神秘性、情景描写の妙を求める人からしたらやりすぎですけど、このメロディの分かりやすさがこの手にありがちな金太郎飴感をなくしてるんですよね。

アトモスフェリックさと実体的なクサさが妙なバランスで融合していて、個人的にもお気に入りな一枚。即効性も非常に高いですし、シンフォブラック好きだけでなくクサメタラーにもお勧め。


NACHTBLUT - Antik ★★★ (2012-02-26 23:27:01)

2009年発表の2nd。
2011年のデジパック再発盤にはボーナスで4曲を追加。

すみません、これ、最初聴いたとき笑っちゃいました(笑)。
だって一曲目から、卒業式の証書授与で流れているような、やたら甘酸っぱいメロディが…(笑)。しかもオープニングだけかと思いきや、一曲通してそんな感じのメロディですからね…しかも拍を強調するように汚くガナるヴォーカルにザカザカ刻むリフに、そんなメロディのまま演奏のヴォルテージが上がっていく展開がまた面白過ぎる。正直この1曲だけで掴みはバッチリでしょう。

スタイルとしては、ミッドテンポ中心のロック的な力強いリズムにヘヴィな刻みリフが同期し、そこにいかめしくダーティな吐き捨てヴォーカルとゴシック的な耽美さを持ったキーが重なる、個性派なシンフォブラック…という感じですが…如何せんメロディのキャラが立ち過ぎててなんとも(笑)。

例の1曲目だけでなく、初っ端から妖精の王国に誘われるような3曲目、卒業式的な甘酸っぱさとダークファンタジーの大仰さが交錯する5曲目、インダストリアル要素も強くいかめしい雰囲気で展開すると思いきや、ファンタジーの主人公の旅立ちシーンのような派手なメロディが登場する6曲目など、印象深いメロディのある箇所を上げていったら全曲レビューをせざるを得なくなるほど、メロディが「濃い」のが特徴。

ただ、ギターワークやリズム面でのブラックメタルらしさはかなり希薄なので、シンフォニックブラックの熱心なファンは逆に違和感を感じるかも。個人的には同郷の個性派バンド、EISREGENがシンフォブラックを始めたような独特な音で、かなり気に入ってしまいましたが。ブラストにトレモロに大仰クラシカルなキー…みたいなものが好きな方には勧められませんが、派手なメロディやキャッチーな展開が好きな方、意外にクサメタラーにもお勧め出来るかもしれません。


GROMTH - THE IMMORTAL ★★★ (2012-02-25 11:12:55)

2011年発表の1st。

DIMMU BORGIR人脈のバンドで、しかもボーナスディスクとして本編のオーケストラアレンジを付けるほどシンフォ要素に自信を持っている…という時点で、かなり期待はしていたんですが…これ、予想してたよりも凄まじいです。シンフォニック・ブラックが好きなら必聴のレベル。

近年のDIMMU BORGIRに対抗できるくらい、シンフォパートの派手さや緻密さ、バンドサウンドとの絡みの濃厚さに富んだ作品。特にまずバンドサウンドありきで、シンフォ要素を後乗せした感じではなく、シンフォパートが最初にあって、それに合わせてバンドサウンドを付けて行ったのでは…と思わせるほど、シンフォニックな部分の充実振りには目を瞠るものがあります。

大仰なメロディはシンフォパートに振られる事が多く、メロブラ的なトレモロリフやギターソロの頻度は少なめですが、ヘヴィで迫力のあるプロダクションが刻みを多用する重厚な音作りとマッチしており、バンドサウンドの方も疎かになっていないのがまた素晴らしい。このヘヴィなバンドサウンドと大仰なシンフォの融合は、生でオーケストラの演奏を聴いた際、震える空気に飲み込まれそうになるあの感覚と聴き心地が似ているように思います。

オーケストラがホラー的なメロディを奏でれば、バンドの方もおどろおどろしいリズムを演出してみせたり、大仰なメロディのアクセントの部分にヘヴィなリフが同期したりなど、シンフォ要素とバンドの音がしっかり不可分一体になっている、曲作りの丁寧さも重厚感に繋がってますね。音に圧倒されてしまって目が向きづらいですが、何気にヴォーカルの引きちぎるような絶叫もかなり凶悪でかっこいいです。

思った以上にクオリティが高く、素晴らしい作品。
DIMMU BORGIRやANOREXIA NERVOSA辺りと比較してもなんら劣る事のない、超ハイクオリティなシンフォニックブラックです。


GROMTH ★★ (2012-02-25 11:11:08)

ノルウェー産シンフォニック・ブラック。
DIMMU BORGIRの創設メンバーでもある、Tjodalv氏も参加。


SEKTEMTUM - Aut Caesar, Aut Nihil ★★★ (2012-02-23 21:19:11)

2012年発表の1st。

メンバー構成の割に、ショップでジャケットを見たらバンドロゴやアルバム名の表記がなんかパンキッシュで意外な感じでしたが…確かに音の方もリズムにロックのテイストを取り入れた、MUTIILATIONやCRYSTALIUMとはかなり異なる路線のブラックですね。ブラストで暴虐に攻めるパートもありつつ、ミディアムテンポを中心にドラムがグルーヴィなフレーズを叩き、リフもそれに追従するものを多く取り入れ、邪悪だけでないロック(ンロール)的な熱気も感じられる音。

…ただ、そうしたノリの良さが、ロック本来の軽快さに安易に繋がっていかない辺りが、彼らの業の深さですよね。トレモロで弾かれるメロディにはフレンチ・カルトならではの、黒い雨が降り注ぐような毒気があり、陰湿なムードも色濃いのが素晴らしい。リズム的にタフな印象も強いんですが、そのタフさが単に力強いと言うよりも、バンドが発する禍々しい絶望感を強大に、かつ実体的に聴き手に味あわせる方向に向かっている感じ。

そしてMeyhna’chのヴォーカルはやはり素晴らしい。人生に飽いた男が喉を掻っ切って死に、ゾンビとして蘇って裂けた声帯で声を発しているような、凄絶に潰れ切った声。腐った血が滴り落ちるのが目視できそうな、異様に粘着質な歌い方で、この手のダウナー系、ジャンキー系のデス声ではトップクラスの表現力。作風のためかリズミカルなヴォーカルラインも多いんですが、彼のスタイルには合ってる様に思えない…んですけど、合わないスタイルを無理矢理やってるが故の異様さが出てて逆にかっこいいと思う。

MUTIILATIONやARKHON INFAUSTUSって、それぞれプリミティブブラック、ブルータルブラックというサブジャンルのど真ん中の音を出してるバンドですけど、そのどちらとも違う音を出してる辺り、サイドプロジェクトらしい作風だと思う。作風は違ってもMUTIILATIONの異様なヴォーカルの表現力やARKHON INFAUSTUSのどす黒い暴虐性など、各所属バンドからのフィードバックもしっかり垣間見せてくれるのも良いですし、ネームヴァリューで買っても損はしないかと。


SEKTEMTUM ★★ (2012-02-23 21:17:50)

MUTIILATIONのMeyhena’ch、ex-CRYSTALIUM、ex-ARKHON INFAUSTUSのSixらによるフランス産ブラックメタル。


THE AUSTRASIAN GOAT - The Austrasian Goat ★★ (2012-02-23 21:11:25)

2007年発表の1st。

メロディアスなフレーズよりも、ノイジーな引き摺り系を多用するリフと、ネガティブなオーラをそのまま可聴化したようなキーボードがメランコリックを通り越して抑鬱的なムードを描き出し、そこに血を吐くような叫びが乗る、葬式ドゥームと鬱ブラックを掛け合わせたような作風で、NORTTやELYSIAN BLAZE辺りに近い路線ですね…というか、ぶっちゃけこの2バンドの間くらいの作風というのが、初めて聴いたときの印象でした(笑)。

ただ、やはりNORTTなどとは微妙に雰囲気が異なりますね。NORTTが底知れぬ闇を湛えた洞穴に引きずり込まれていく感じだとすると、こっちはノイジーなギターが入った瞬間、周りの空気自体が瘴気に変わってしまう感じでしょうか。NORTTが奥行きのある闇だとすれば、こっちは広がりのある闇。またELYSIAN BLAZEと比べると、メロディの哀愁成分で劣るかわり、どこかサイコで異常性のある雰囲気が強いように思います。

普段から鬱系を聴いている人にとっては特に目新しいような音ではないですが、雰囲気の演出やメロディの絶望感のクオリティは非常に高く、良質な作品だと思う。基本バンド聴いて、この手のジャンルをもっと突き詰めたいと思った方は是非。


THE AUSTRASIAN GOAT ★★ (2012-02-23 21:10:51)

フランスのフューネラルドゥーム寄り鬱ブラック。
THE AUSTRALIAN GOATではないので注意。


ARS MANIFESTIA - The Red Behind ★★ (2012-02-23 21:08:30)

2009年発表の2nd。

Harmful氏による独りブラックという事ですが、独りブラックのスタイルだと個人の感性がダイレクトに反映されるからなのか、独特なヴィジョンを持ったバンドが多いですよね。ARS MANIFESTIAも、そんな独自の感性を持ったバンドの一つだと思います。

一応使っているパーツ自体は、装飾程度にノイズ要素を取り入れているとはいえ、典型的なブラックメタルなんですが…色々なところに妙な歪みを感じる音なんですよね。特にメロディにはそれが顕著で、ブラックの宗教性や鬱感情とも違う、掴みどころの無いものが多く聴いてて洗脳されそうになる。時々邪悪さやかっこよさをストレートに伝えるようなフレーズもありますが、基本メロディは奇妙。安易にアヴァン系の不協的なメロとも言い切れない辺りホント独特。

音作りの奇妙さも、それに輪をかけて作風を個性的な物にしていますね。独りブラックとしてはかなりクリアな音で、フレーズもしっかり聴かせる聴きやすい感じではあるんですが、ドラムの音色がちょっと変わってます。まるで缶を叩くような感じで、ブラスト時にアタック音より、カンカン響く音が強く聴こえる箇所もあって面白い。皺枯れた老婆の呻き声を思わせるヴォーカルも聴き手の生理的嫌悪感を刺激してくるし、やはり奇怪な音。ラストで何故かシューゲイザー系に通じる儚いメロディが出てくるのも、まるで聴き手が彼の作る音世界に取り込まれた事を祝福しているかのよう。

個人的には使っているパーツはブラックメタルそのものなのに、独自の世界観を描いているということでFURZEと共通するものを感じたり。あそこまでイッてる感じはないですが、かなり個性的なバンドだと思う。


IN THA UMBRA - Descend Supreme Sunset ★★ (2012-02-20 23:38:37)

98年発表の1st。

一体何なんだ、この惜しいアルバムは…
ペイガン要素も感じる叙情的なメロディを、トレモロリフに練りこんで疾走するメロディックなブラックメタルですが…ちょっと音質が酷いと思う。単に粗いならまだしも、微妙に(=ノイズ系・RAW系として楽しむには半端に)ノイジーな中で、トレモロが微かに聞こえるような、妙に煮え切らない音作り。ドラムはドラムでまるで「鬼女」期のCRADLE OF FILTHのような軽さ。

…と、音の方は正直褒められるレベルじゃないんですが、曲の方はかなり良い線行ってると思うんですよね。トレモロにがっつり仕込まれたペイガン系叙情メロはそれだけでメロブラ好きを虜にできそうだし、長いギターソロで盛り上げたり、メタルならではの熱気のある展開も実にかっこいい。ピンポイントで挿入されるキーやアコギも非常に効果的に使われてると思うし、ブラックのがなりに交じってフクロウめいたグロウルを聴かせるヴォーカルは、カルトっぽい味わいがあっていいと思う。

なのにプロダクションのせいで熱い、演奏が繰り広げられている・印象的な泣きメロが飛び交っている・ドラマティックに展開している「と思われる」という風に聴こえてしまうのが痛いですね…。一番駄目なのは、チープな音質とメタリック・ドラマティックな演奏のギャップが全く魅力に繋がっていない、むしろお互いスポイルしあっていることだと思う。曲自体は「Nemesis Divina」期のSATYRICONをもっとメロく甘口に、メタリックに、ペイガン寄りにしたような魅力的なものだけに、本当に惜しい。DIMMU BORIGIRクラスとまでは行かなくても、せめて最近のSARGEISTくらいの音質で聴きたいものです。


IN THA UMBRA ★★ (2012-02-20 23:37:47)

ポルトガルのブラックメタルバンド。
IN THE UMBRAではないので注意。


KULT - Winds of War ★★★ (2012-02-18 23:09:48)

2006年発表の1st。

そのものズバリな「カルト」というバンド名や、モノトーンのジャケからはアンダーグラウンド臭がかなり漂ってきますが…。音作りこそRAWながら、ダイナミックなリズムの展開やグルーヴ感もあるリフ、メロウなトレモロリフなどを取り入れたブラックメタルで、アングラ音楽のカルトな価値観だけでなく、ヘヴィメタル本来のドラマ性や叙情性もしっかり継承した音を出している作品だと思う。

個人的には、GORGOROTHを思い出す音なんですよね。特に初期の、Gaahl氏が加入する前までの彼らに近い音だと思う。ヴォーカルやプロダクションによって狂気性やカルト性を演出しておきながら、実は正統派メタルの価値観も引き継いでる辺りかなり近い気がします。時折出てくる、格調の高さ、上品さを感じさせるメロウなリフも、初期GORGOROTHに近いものがあるんじゃないでしょうか。

欲を言えば、既存のスタイルをなぞるだけでない、彼ら特有の何かが欲しい気もしますが、これはこれでかなり良質なブラックメタルだと思います。最近の鬱系やポスト系よりも、黎明期の、邪悪さやメロウさをストレートに伝える音に共感を覚える方にお勧め。


EIKENSKADEN - 665.999 ★★ (2012-02-18 23:06:18)

2004年発表の3rd。

このバンドはアヴァンギャルド・ブラックとして認知されているらしいですが、実際聴いた感じだとインダストリアルな質感も強い音ですね。まず音質が結構インパクト強いです。ギターのノイズ成分が、まるでフレーズから分離したかのように音像の真ん中に居座っている、独特の音作り。音の中でケサランパセランが蠢いているような、そんな奇妙な感触を覚える音。

そしてギターのフレーズ自体も、叙情的なトレモロはある程度弾きつつも、どこか捻くれた感触がある感じ。そのせいかストレートに叙情的というよりは、どこか現実離れした無機質さを感じられるんですよね。ドラムの打ち込みっぽい音(特にファストパートは味があって好き)や、時折挿入されるクラシカルなキーボードメロとのアンバランスさも相俟って、一種異様な空間を作り上げていると思う。

ANAAL NATHRAKHが音数の多さで聴き手を圧殺するような感じだとしたら、こっちはノイジーさを逆手に取った演出でトリップさせる感じでしょうか。かなり癖のある音なのでノイジー音質が嫌いな方にはお勧めできませんが、個性的であることは間違いないと思います。


EIKENSKADEN ★★ (2012-02-18 23:05:37)

MYSTIC FORESTのメンバーが関与するフランス産ブラック。
現在はTHE SKADENに改名して活動している模様。


APTORIAN DEMON - LIBERTUS (2012-02-14 21:49:06)

2012年発表の1st。

まだRAWブラックだった頃のKEEP OF KALESSINでヴォーカルを務め、現在でもMAREやCELESTIAL BLOODSHEDなどで活躍するGhash氏の新バンドという事で、何となく買ってしまいましたが…まさにその経歴から期待できるようなRAWブラック。ノイジーな音から邪悪なトレモロが滲み出してくるような作風は、特にMAREやCELESTIAL BLOODSHEDに近い音だと思う。

時折SEを挟んで不条理というか、得体の知れないムードを演出するのも特徴で、妙にパーカッシブな感じのドラム、変な跳ね方をしたベースラインなど、バンドサウンドにも時々その不条理さが波及したようなフレーズが出てくるのが耳を引きます。ヴォーカルの汚らしいがなりもその雰囲気と合ってると思う。ただ、全体的に分かりにくいというか、ちょっと愛想に欠ける音かな…とも。前述のバンドと比べると今ひとつ引っかかりに乏しい感じも。

そういう訳で、初心者にはあまり勧められない作品。MAREやCELESTIAL BLOODSHEDの、プリミティブまで行かない展開のある、薄暗い雰囲気のRAWブラックを好む方には、まあまあお勧めです。


OPERA Ⅸ - Strix: Maledictae in aeternum ★★★ (2012-02-13 21:01:08)

2011年発表の6th。

このバンドは2枚目を聴いて、「このムードを保ったまま、メタル部分を強化してくれたらもっと素晴らしくなりそう」と思ったんですが、見事に私の望むとおりの進化を遂げてくれたみたいです(笑)。チャーチオルガンやピアノ、ストリングスなどが奏でる、厳かだけど破滅的な感じもするメロディを、ヘヴィなバンドサウンドが後押しし、宗教的・超自然的な畏怖を感じさせるような、シアトリカルなシンフォブラック。

ただこの作品、宗教的モチーフを使いダークな世界観を見せ付ける、視覚にも訴えてくるようなサウンドを作ってるんですが、メタリックな質感もまた強いんですよね。速弾きのリードが入ってたり、がっつり刻みパートがあったりメロブラとしても聴き応えあり。バンドサウンドにメリハリが付いた事、曲がコンパクトになった事で2ndよりも聴きやすくなった印象。

全体的なバランスは格段に良くなり、個人的にも好みの音ではありますが、2ndのキーボードパートにリソースが偏ったような音作りがツボだった人には、もしかしたら不満が残るかも。なお、昔の音源を嬢メタルや女性デス声ヴォーカリスト在籍バンドの文脈で聴かれてた方も多いかもしれませんが、今作は普通に男性デスなので悪しからず。威圧感があって良い声ですよ。

…しかし、個人的にはパッケージはちょっとだけ不満。ブックレットがキツキツに押し込まれてるし、歌詞の曲順がグチャグチャだし…。まあ紙ジャケスリーブにCDを裸で放り込むようなクソ仕様よりは全然マシですし、アートワークも曲のイメージを更に広げてくれる、作風にあったものだとは思いますけどね。


ABSONUS NOCTIS - Penumbral Inorgantia ★★★ (2012-02-11 20:55:20)

2005年発表の1st。

特価品コーナーからサルベージしてきたんですが、なんじゃこりゃ!?
プリミティブ系の中でも頭一つ抜けて素晴らしい作品なんですけど…。この系統のバンドに求められるのって、演出力を含む曲作りのセンスと音作りの上手さだと思いますが、このバンドはどちらも素晴らしい。

まず曲の方ですが、プリミティブブラックの様式を踏襲しつつも、トレモロリフにMAYHEMの1stのメロい部分(「Buried by Time and Dust」「De Mysteriis Dom Sathanas」辺り)に通じる、気温ではなく聴き手の体温を直接下げるような邪悪さが宿ってるんですよね。3曲目のアルペジオとSEが交じるインストでは、核戦争で残された廃墟に黒い雨が降り注いでいるような、破滅的な光景が相当な臨場感を持って浮かんでくる。相当なマニアが聴いても、他のバンドと十把一絡げに出来ない音だと思う。

そしてその曲を、音作りの上手さが更に助長してる。基本RAWなバンドサウンドで聴かせるスタイルなんですが、所々キーボードを重ねてあるのか、ドローンめいた圧迫感もあって、音そのものが悪意を持って迫るかのような迫力、聴き手を引き込むような求心力がある音なんですよね。そこに前述した、邪悪なトレモロが迸ると、LUNAR AURORAの「Andacht」アルバムを想起させるような、魔性なムードが濃厚に立ち込めてきます。リバーブの掛かった、大絶叫を多用するヴォーカルもカルトな雰囲気を更に濃くしてる。

ただ惜しいのは、3曲目がインスト、ラストの大作曲がドゥームめいた曲のため、純粋なブラックメタルのパートはちょっと短いんですよね。個人的にはそれを差し引いても、このジャンルにおける名盤だと思いますが。検索してもあまり情報が出てこないし、レビューもそんなに見かけないんですが、マイナーなバンドなんでしょうか。ほんと良い作品なので、見かけたら即ゲット推奨です。


ABSONUS NOCTIS ★★ (2012-02-11 20:54:16)

アメリカ産ブラック。
1stがかなり素晴らしかったんですが、今は活動してるんでしょうか…


ASTARIUM - Dethroned Of Imposter ★★★ (2012-02-11 07:45:01)

2010年発表の2nd。

スタイルとしては、粗いバンドサウンドをアトモスフェリックなキーが包む、初期EMPERORや初期LIMBONIC ARTに近い路線ですね。音色のパターンの少ないキーボード、厚みの無いバンドサウンド、打ち込み故の豪速さが暴虐さではなく、逆にちょこまかした印象を与えるリズム、エフェクトに頼り気味なヴォーカル…と、はっきり言って音作りはチープもいいところ。しかし、私はこれ名盤だと思う。

その理由は何と言ってもメロディのセンスですね。大仰、荘厳、高貴…そういったシンフォ系の特性をしっかり持っていながら、人を寄せ付けない邪悪さ、畏怖の感情を呼び起こすような神秘性も備えている感じ。個人的には、EMPERORの2ndを聴いた時と同じような畏れを呼び起こされるメロディなんですよね。キーの音色のパターンが少ないのも、華美になりすぎて残忍さを壊す事がなくて、プラスに働いているように思います。

また、曲に邪悪なうねりを与えるようなリフ、痩せた音ながら焼け付くような感覚を与えるリード、時折メロウなフレーズを弾き、曲を更にメロディックにするベースなど、キーの陰に隠れたバンドサウンドも何気に良い仕事をしていると思う。時折SEと交じり合ってカオスなことになってますが、その混沌とした感じが邪悪でミステリアスで、凄く魅力的に聴こえます。

演奏時間は40分と、シンフォニックブラックとしてはやや短めで、うっとりと聴き入ってしまうようなムードの濃さもあって、あっという間に終わってしまう感じ。アトモスフェリック系のシンフォブラックが行ける方には大推薦。素晴らしいです。でも個人的にはロシアっぽくない音だと思います。なんかカナダとかスペインっぽい印象を勝手に持ってるんですよね。


ASTARIUM ★★ (2012-02-11 07:43:27)

ロシア産シンフォニック・ブラック。
SiN氏が全てのパートを担当する、独りブラックのスタイル。
ちなみにGoogleでこのバンドを検索しようとすると、何故か「ASTERIUM」という単語を検索しようとするのがイラっときますね…(笑)。製作者は早く何とかして欲しいんですが。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 桃色スパークリング ★★ (2012-02-10 21:03:50)

最初CMでサビだけ聴いたときはポップ過ぎて微妙だと思ったんですが、全体を聴くと意外に良い曲だと思った。青い海が浮かぶような爽やかなA~Bメロが、上手くポップなサビを引き立てている感じ。でも個人的なツボとはちょっと違うので、☆は2つで。


℃-ute - 第七章「美しくってごめんね」 - ひとり占めしたかっただけなのに ★★★ (2012-02-10 21:03:04)

クサ音楽好きには今作のメインでしょう。
サビメロはRPGのラスボス戦のような悲壮感とキャッチネスを両立させたものだし、あからさまにプログレを意識したような間奏もかっこいい。ポップス好きだけでなく、クサメロを求めてゲーム音楽辺りにまで手を出し始めた、末期のクサメタラーにもきっと気に入って頂けるであろう名曲。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 行け!元気君 ★★ (2012-02-10 21:02:20)

歌詞や歌いまわしはコミカルで、盛り上がる感じの曲ですが、アレンジが昔の洋物ポップスっぽくて良いですね。タイトル通りの元気のいい歌声や、ピアノとギターのゴキゲン(死語?)なノリとか、聴いてて明るい気分になれます。明るいだけでなく、ちょっと哀愁要素があるメロが出てくるのもグッド。ただ、「FUNKY FUNKYしたい」みたいな昔の曲の独特のフレーズを、意識的なセルフパロディでなく使いまわすのはどうかと…。


℃-ute - 第七章「美しくってごめんね」 - 世界一HAPPYな女の子 ★★★ (2012-02-10 21:01:04)

これも「桃色スパークリング」同様、サビだけ聴いたときは微妙だったんですが…全体を聴くと感動的なくらいメロディの流れが良い上、サビ後のメロディが物凄くキャッチー。ドラムは打ち込みですが、ロックっぽいノリがかっこよく、特にBメロ前半→後半、サビ→大サビのドライブ感溢れるフレーズがめっちゃ爽快。アイドルらしい可愛らしさは勿論ありますが、カラオケで男性がシャウト気味に歌っても意外に様になる曲じゃないかと。


℃-ute - 第七章「美しくってごめんね」 - ズンタカマーチ〜人らしく生きよう〜 ★★★ (2012-02-10 21:00:19)

♪あ゛あ゛~、世界が追いついてきたぁあぁあぁあぁ~~(←ビブラート)
…いきなりヴィジュアルからは想像出来ないような野太い歌声で吹きました(笑)。曲の方も、民謡…というか盆踊りの曲みたいなメロディを、鼓笛隊のマーチ調のアレンジに乗せたトリッキーなもので、ある意味即効性は抜群。やっぱりこういうハイカロリーな曲は良いですね、それでこそつんくイズムですよ。


℃-ute - 第七章「美しくってごめんね」 - 都会のネオンが驚くくらいの美しさがほしい ★★ (2012-02-10 20:59:28)

この曲は岡井さんの歌声が良いですね。パワーがあるのは(Berryz工房の)菅谷さんも同じなんですが、女王然とした菅谷さんの声と比べると、ちょっとボーイッシュなパワフルさがあると思う…けど、どこか妖艶さや可愛さもあるのが凄くいいと思う。でも曲は普通かなぁ…つんく流R&Bの中では、中の中って感じ。まあそれなりにメロディは良いですけど。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 輝け!放課後 (2012-02-10 20:58:41)

ピコピコしたアレンジが歌声の溌溂さを際立てるような曲調は好きなんですけど…どうもキャッチネスが中途半端なような。楽曲的にAKBとかに負けてる気がしなくもない。哀愁ダンサブル系やファンク系、飛び道具系、ロック系はともかく、こういう曲は外注にしちゃった方がアルバムの纏まりは良くなる気がする。まあつんく氏にも拘りがあるんだろうけど。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 幸せの途中 (2012-02-10 20:58:02)

普通のバラードって感じだ…それなりに切ないメロディや歌詞があって、それなりに盛り上がって…どうもアベレージ以上に行かない感じ。やっぱりつんく氏って、普遍的な曲を書くのが苦手な気がする。こういう曲調なら織田哲郎さんとかの方が良いメロディ付けられそうな気がするし。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 甘酸っぱい春にサクラサク ★★★ (2012-02-10 20:57:01)

シャッフルの軽快なリズムに、タイトル通りのちょっと切ない、けど明るいメロディが乗る曲で、聴いてるとノスタルジックな気分になれますね。グリッサンドを多用し、うねりのあるベースライン、上手く曲を盛り上げるリズム等、アレンジも非常に丁寧に作られてて、素直に良い曲と思えます。「曲は」ですけどね…。

しかし、この売り方は何なんでしょうね。
まずシングルで出して、年末のオムニバスにも入れて、しかも℃-uteとBerryz工房のオリジナルアルバム両方に収録されるとか…各グループそれぞれのバージョンを収録なら分かりますが、シングルのテイクそのままですからね…。どうせ全員分録ってあるんだろうし、歌割弄ってそれぞれのバージョンにしてくれればいいのに。ちょっとサービス精神が足りないんじゃ。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 - 青春劇場 (℃-ute Ver.) (2012-02-10 20:55:09)

彼女達とBerryz工房が出演した舞台のエンディングに使われた曲らしいです。こっちはちゃんと℃-uteのバージョンになってるのはいいんですが、男性ヴォーカルががっつり入ってるせいもあって、彼女達のアルバムの締めって感じがしないんですよね。何か感動的な物語があって、そのエンディングテーマを無理矢理アルバムのエンディングにも持ってきたような手抜き感。全くつまらない曲という訳ではないけど、アルバムの締めとして最も適切なチョイスだとは思わない。


RAATE - Halki Kuolleen Maan... ★★ (2012-02-09 22:25:06)

2004年発表デモを2007年にWTCがCD化して再発したもの。
CD盤は「Enne/Rauniotorni」「Havitys/Tuhkaa」が一つのトラックに纏められた仕様。

このバンドも鬱系のブラックである事は間違いないんですが…BURZUMの3rdの路線を思いっきり引き継いでるのが特徴。殿様がご乱心したような発狂ヴォーカルはちょっと弱めですが、音の薄いバンドサウンドに神秘的なキーが絡む音作りといい、大作主義の展開や洗脳的なリズム構成といい、フォロワーってレベルじゃなくそっくり。

一応、パーカッションとアコギで聴かせる、ペイガン/フォーク色の強い曲があったり、メタリックな刻みリフを入れたりして本家とは違う感触を打ち出している部分もあるにはあるんですが、1曲目は完全にBURZUM。BURZUMの3rdの1曲目から3曲目を混ぜたような感じで、もしあのアルバムの中にこっそり入ってても違和感無いくらいだと思う。

BURZUMって3rdが特に名盤として扱われる事が多いですが、4thではノイジーさを増しまた違った感触だし、アンビエントからブラックに戻った7th、8thも音に厚みがあってやっぱり3rdとは違うんですよね。そういう訳で、BURZUMの3rdを聴いてこの路線をもっと聴きたいと思った方には大推薦。流石にBURZUMより小粒な感じはするものの、BURZUMishにも程がある作風を聴かせてくれてます。


℃-UTE - 第七章「美しくってごめんね」 (2012-02-09 22:22:44)

2012年発表の、(2ndミニをカウントすれば)7th。

一応、つんく氏プロデュースのグループの直近の作品(モーニング娘「12,スマート」、Berryz工房「7Berryzタイムス」、スマイレージ「悪ガキッ1」)は3枚とも聴いていて、どの作品を聴いても彼の才能の豊かさに感心するばかりだったんですが…このアルバムではなんか煮え切らなさを感じてしまいました。曲は丁寧に、真摯に作ってあると思うし、ソロ曲ではメンバーが個性的な声を持ってることも良く分かるんですけど、なにか足りない印象があるんですよね…。

その原因は、つんく氏のプロデュースの方向性と彼の上手く作れる曲の方向性が食い違ってるからだと思う。上記のアルバムと比べると、衒いのない正統派アイドルソングっぽい曲多めなんですが…つんく氏って、例えばAKBの「Everyday,カチューシャ」やSUPER☆GIRLSの「がんばって青春」みたいな「普通のアイドルポップ」って、意外と苦手にしてますよね。この作品では「桃色スパークリング」が顕著にそういう路線を狙った曲だと思うんですが、悪くないけどどこか「らしくなさ」「無理してる感」がある気がします。

その代わり、歌謡曲的哀愁メロディのダンサブルな曲、ファンクやトラッドなど、様々なジャンルを分かりやすく消化して提示した曲、コミカルで楽しいアッパーな曲、クラシックなロックにルーツを持つ曲などでは、常に結果を出してる感じ。前作はつんく氏の18番の哀愁ダンサブル路線に、グループの持つ洗練されたイメージが見事に嵌まった「Kiss me 愛してる」「会いたいロンリークリスマス」などの佳曲があり、アルバムの山場になっていた感じですが、その手の曲の少ない今作は少々平坦に感じてしまう。

まあ、彼らしいドラマティックなクサメロの聴ける2曲目、コミカルな感じが聴いていて楽しい3、5曲目、ロックテイストの強いリズムと陽性のメロディの調和が心地良い4曲目など、個々の曲の出来は決して悪くはないと思う。ただつんく氏の才能も十分に発揮されてないし、メンバーのポテンシャルも完全には引き出せてないような印象は受けるかも。まだやれる感があるというか。…この路線を貫くなら、もうある程度曲は外注しちゃっていいんじゃないかなぁ…と思います。


WURM - Aux portes de l'agonie ★★ (2012-02-08 22:51:07)

2007年発表の1st。
流石ケベック産、かなりマニアな路線を貫いてますね…

ジャンルとしては寂寥感のあるメロディ、スロー~ミドルを重視したミニマルな展開、泣き叫ぶようなヴォーカルと典型的な鬱ブラックで、BURZUMに影響されている感じなんですが…このジャンルの中でも気が滅入りそうな無気力さが強いのが特徴。BURZUMも初期は直接的な殺気があったし、アンビエント志向を強めてからも神秘性を演出するような、ある意味で芸術性の高さがあった訳ですが…この作品はそういった殺る気や何かを演出する気力とかが一切ないような、ひたすら灰色で倦怠に満ちた世界観があると思う。

特にアルバム冒頭、初っ端からメンバーが帰りたがってるようなローテンションな演奏が続いた後、約2分間に渡ってギター一本でメロディを爪弾くパートがあるんですが、そこのやるせない感覚なんてホント半端ないです。ただ、誰が聴いても覇気を奪われそうなムードを演出できてる辺り、センスは良いのかもしれません。録音状態も小さめで弱々しい印象で、いつメンバーが溜息付いて楽器を放り出してもおかしくないような感じ。

最早鬱系の音に共感できない人には、最初から自分達の音楽を聴かせるつもりはなさそうな程、徹底して暗い音。鬱系好きでもその手のバンドが持つ、メロディの哀愁の濃さだったり、発狂寸前の追い詰められた感じだったり、そういうある意味でキャッチーな部分に良さを見出してる人には辛いかも。本当にディプレッシブ・ブラックが好きな人向けかと。


前田亘輝 - HARD PRESSED - 君だけのtomorrow ★★★ (2012-02-07 20:26:06)

これもホント良い曲ですよね。
TUBEの時以上に、前田さんの歌声におおらかさがあるように思います。ロックのヴォーカリストにしても太い、恵まれた声質があるだけじゃなく、包容力もあるのが素晴らしい。聴いてる人をホッとさせたり、背中を押してくれたりするパワーのある歌声です。


前田亘輝 - GAMBLE - 明・暗 ★★★ (2012-02-07 20:19:52)

これ、うちの親がラジオのオンエアをテープに録音していて、それを車の中で何度も聴かされてたので物凄く思い出深い曲なんですよね。うちの親、プレゼント当選して前田さんに名前読み上げられてたし(笑)。
思い出補正以上に曲としてもお気に入りで、ストレートなハードロックサウンドに前田さんの太くて力強い、それでいて茶目っ気もあるヴォーカルが乗る爽快な楽曲で、この曲が配信されているカラオケの機種に当たったときはもう毎回歌ってます(笑)。前田さんの作詞も絶好調。こういうノリの曲大好き。


WOODS OF INFINITY - 一時退避(アルバム不明) (2012-02-07 20:10:37)

2004年発表の1st。

いわゆる前衛ブラックですが…これはキツい(苦笑)。
LIFELOVER等のバンド同様、曲中にSEを挟みながら展開するスタイルですが、その使い方がLIFELOVER以上にヘンで、かなりグロテスクな音。SM行為が繰り広げられたり、女性の悲鳴があったりなどは背徳感の演出と意図が分かりやすいですが、大半は意味不明。クラシックのピアノソナタとバンドサウンドをコラージュさせて独自な世界観を作ったりする辺りは、なかなか面白いと思う。

曲の方も、まあぶっ壊れてますね(笑)。
ノイジーに暴走するかと思いきやベースが妙にまったりマイペースだったり、打ち込みのかっる~いドラムを超高速で打ち鳴らす疾走パートがあったり、ロックを想像しうる限り気色悪く解釈したようなパートもあり、ホント奇妙過ぎる。8曲目のフォーク/エピックを頭がお花畑の人が解釈したような曲調とか強烈すぎでしょう。電気椅子で処刑される最中のような、頭逝ってる系のヴォーカルもある意味凄まじい。

音像を工夫をしようとしすぎのきらいもあり、時々あるフレーズだけが強調されて浮いたり、ノイズ質が耳に痛かったりする音質もあってお世辞にも聴きやすいといえず、正直自己満足っぽい箇所も多いんですが、とにかくアイデア豊富でクリエイティブである事は認めざるをえない作品。PESTE NOIREとかNUIT NOIREなど、一般的なブラックから逸脱した価値観を持つブラックが好きな方にお勧め。しかし、なんか病的な雰囲気もあると思ったら、HYPOTHERMIAのメンバーも関わってるんですね…納得。


BERRYZ工房 - ⑦ Berryz タイムス ★★★ (2012-02-07 20:08:28)

2011年発表の…7枚目という扱いで良いんでしょうか。

メンバーを入れ替えながら存続しているモーニング娘は別としても、アイドルグループが(最初期に一人抜けてるとはいえ)固定メンバーで7枚ものフルアルバムを出すって珍しいのではないでしょうか。そんな彼女らの、貫禄が出てきた作品なのではないかと思います。

まずはどの曲もキャラが立ってる、アルバムとしての充実度が素晴らしいですね。
モーニング娘の「12,スマート」「10 MY ME」辺りと並んで、つんく氏の作品の中でも1、2を争う出来だと思う。ただモーニング娘のアルバムがバランス重視だったのに対して、こちらは「一丁目ロック!」「ヒロインになろうか!」などパワーで押す曲、「女子会 The Night」「マジカルフューチャー!」などの哀愁系クサメロが堪能できる曲が多く、メタラー的にはより美味しいアルバム。「BOMB BOMB JUMP」「ガールズタイムズ」などアイドルらしい可愛らしい曲もあり、バラエティも豊か。

そしてつんく氏にパワーや哀愁が必要とされる曲を振られても、それをしっかり表現できるメンバーの歌声も素晴らしいと思う。前作よりも声の艶も、迫力もかなり上がっている印象で、全体的により厚みが加わった感じがします。元々ファンクやR&B風のアレンジの多いつんくワークスですが、今作はドゥーワップやモータウンを意識した曲調もあり、彼の作品の中でも黒人音楽のテイストが強い印象。それが可愛らしいだけでなく、貫禄ある、ソウルフルと言っても過言ではない力強さを備えた歌声が見事にフィットしてる感じ。おそらく彼女らはつんく氏の描いた青写真を完璧に表現しきったのではないでしょうか。

ちゃんと聴くまではBerryz工房ってちっちゃい子供がやってるイメージだったんですが、実際聴いてみるとむしろ貫禄十分のベテランって感じですね。曲タイトルに「!」付け過ぎなのが彼女らの溢れるパワーを物語ってます(笑)。個人的には今流行のAKBも決して嫌いという訳ではないけれど、彼女たちの方が断然好きですね。歌声だけでキャラが立ってるのが素晴らしい。もうすぐリリースされる新アルバムも楽しみです。


Berryz工房 - シングル/カップリング/その他 - 大人にはなりたくない 早く大人になりたい ★★★ (2012-02-07 20:07:32)

温存してシングル表題曲として出して欲しかったくらいの名曲。
ギターが結構印象的なフレーズを弾いてて、特にサビの歌メロに対して合いの手的に入るパートがかなりかっこいい。クラシックなロック観の強いBuono!と比べると、こっちはもっとモダンで、加えてつんく氏のダサいと紙一重でかっこいい独特な感性がある感じ。Aメロからどキャッチーでインパクトのある曲。


BERRYZ工房 - ⑦ Berryz タイムス - 女のプライド ★★ (2012-02-07 20:06:39)

黒人シンガー風のコーラスや、ハンドクラップを取り入れたリズム等が、聴いていて実に心地良い佳曲。跳ねたリズムの曲ですが、それを聴き手に変に意識させず、穏やかに聴かせる辺り上手いですよね。何気に一番キャリアの長さ、ゆえの説得力がある曲じゃないかと。安心して聴けるけど、歌唱力を求める余り定型的な歌い回しになったりせず、ちゃんとアイドルらしさ、女の子らしさを残してくれてるあたりホント巧い。


BERRYZ工房 - ⑦ Berryz タイムス - ガールズタイムス ★★★ (2012-02-07 20:05:54)

シャッフルビートの心地良い、モータウン風の楽曲で、飾らない自然な可愛さがありますね。クリスマスに子供達がみんなで合唱しているような、ピースフルな雰囲気。普段ブラックメタルばっか聴いてますけど、たまにはこういう平和な曲もいいですね(笑)。まあ全然クリスマス関係ないですけど。つんく氏は昔のロックやポップスを上手く消化していて、ルーツがしっかりしているからこういう名曲が書けるのでは。
しかし、なんで「タイムズ」じゃなくて「タイムス」なのか…言いづらいと思うんですが…


BERRYZ工房 - ⑦ Berryz タイムス - 真っ白いあの雲 ★★ (2012-02-07 20:04:52)

最初聴いたときは割と地味めな曲だと思いましたが、聴きこむと味が出てくる曲ですね。ゆったりしたストリングスがタイトル通りの、白い雲が青空を流れていくのを、寝そべって眺めているような穏やかな気持ちになれます。パワーで押すだけでなく、こういう温かみのある歌も歌えるのが素晴らしい。


BERRYZ工房 - ⑦ Berryz タイムス - ヒロインになろうか! ★★★ (2012-02-07 20:04:19)

1曲目とは打って変わって、打ち込みを重視した、哀愁と煌びやかさが混在する曲なんですが…なんなんでしょう、このドスの効いたロックな感じは(笑)。サビのど迫力の高音ロングトーンとか他のアイドルでは歌いこなせないと思う。まさにこの感じが、私が彼女達を支持する理由だったりします。


Berryz工房 - ⑦ Berryz タイムス - 一丁目ロック! ★★★ (2012-02-07 20:03:39)

アルバムのオープニングを飾る、漢コーラスも入ったパンキッシュな曲。アイドルの曲らしい盛り上がり方がいいですね、カラオケでもAメロで煽ると盛り上がってくれるので超楽しいです(笑)。つんく氏はバンド出身だけあって、骨太でしっかりしたバンドサウンドを作ってくれますね。メディア露出多かった頃(「命みぢかし~」「最後のアイドル」辺り)の犬神サーカス団っぽいノリ。
ロック好きな人が最近の邦楽ポップスが軟弱になったと嘆くのは良く耳にしますが、こんな曲をアイドルが歌ってそれをファンが受け入れてるんだから、邦楽シーンはまだまだ大丈夫だと思う。


BAHIMIRON - Rebel Hymns of Left Handed Terror ★★★ (2012-02-06 23:18:31)

2011年発表の3rd。

前作は未聴なんですが、何故かより大手のレーベルに移籍したはずなのに、音楽性が1stと比べてカルト・マニアック・プリミティブな方向に進んでますね。路線自体は割とストレートなブラックメタルに特徴的なヴォーカルが乗るスタイルで、大きな変化はありませんが、音作りが低音のドロドロした感触を強調した、ウォー系プリミティブ風のダーティで冒涜的なものになり、更にカルト臭がキツくなっている感じ。初期BEHERITの汚さを引き継ぎつつ、もう少し音を聴きやすく整えたような印象。

ヴォーカルのパフォーマンスも作風に合わせて変化してますね。精神に異常をきたしたような、歪んだ表現力を持つヴォーカルを重ねたり、自然なエフェクトを掛けたりして更にエグみを引き出す手法は変わらないものの、今作は血の塊と臓物とミミズとウジムシを吐き出しながら叫ぶような汚らしい低音咆哮が重視され、プロダクションによりマッチするスタイルになっている感じ。

また、演奏にSEを混ぜて恐怖心を煽る箇所があったり、ラストの曲ではスラッジ/パワーアンビエント的な引き摺る重さを演出してみせたり、少しだけアヴァンギャルドな要素も取り入れてますね。それが冒涜的で不気味な感覚をより強いものにしてると思う。沼地に沈み込むような音作りも相俟って、同郷のLEVIATHANに近いような薄気味悪さも醸し出されていると思う。

1stとは音の傾向が結構変わってますが、こちらもお勧め。ダーティでオールドスクールな音作りを血腥さ、薄気味悪さの演出に利用した音作りは1stとはまた違った良さがあるように思います。


BAHIMIRON - PURE NEGATIVISM : IN ALLEGIANCE WITH SELF WRECKAGE ★★★ (2012-02-06 23:17:00)

2006年発表の1st。
アメリカ産ブラックの中でも、個人的にはかなりツボな音ですね。

まず特徴的なのが、何と言ってもヴォーカルでしょう。
基本全力で殺りにきてるような、ブラックメタル特有の高音絶叫ですが、エモーショナルというには逝きすぎている、泣き喚き系の絶叫や、疫病に体を冒されのたうち回って苦しむかのような呻き声も混ぜたりしてかなりの表現力。それに加えてヴォーカルを重ねたり、エフェクトを掛けたりしているので気味悪さは更にアップしてますね。

エフェクト掛けたヴォーカルを効果的に使っているバンドというと、第一にFUNERAL MISTが思い浮かびますが、あちらのような宗教的なムードは希薄で、サイコな異常性だったりブチ切れた怒りだったり、このバンドはもっとストレートな攻撃性を表現している感じがします。エフェクトの掛け方も自然で、変に人工的になったり生々しい攻撃性を削いだりしていないのが好印象。

曲の方は粗めの音質がリフの荒涼感を強調する、ファストパート多めのややRAWな路線ですが、ドラムとギターのバランスが良好で、粗いながら心地良く聴ける、チープになり過ぎない音作りといい、邪悪さを損なわない程度にメロディがあり、マニアックになり過ぎない展開といい、アングラなブラックメタルとして凄く均整の取れた音を出してると思う。ジャンルの中でブラックが最も好きという方なら、確実に聴いていて気持ち良い音だと思う。

ややマイナーなバンドっぽいですが、これはかなりお勧め。この後バンドはMoribundに移籍したようですが、レーベルが目を付けるのも良く分かる非常に良質なブラックメタルだと思います。


BAHIMIRON ★★ (2012-02-06 23:15:59)

アメリカのブラックメタルバンド。
アメリカ産ながら何気にSARGEISTとスプリット出してたりします。


DODECAHEDRON - Dodecahedron ★★★ (2012-02-06 23:11:45)

2012年発表の1st。

なかなか出てこないと思ってましたが…遂に出てきましたね、DEATHSPELL OMEGAの「Kenose」~「Paracletus」路線を引き継ぐ有望なフォロワーが。複雑怪奇でテクニカルなアンサンブルをブルデス並の超ハイテンションで叩きつける音は、DSOの「Paracletus」アルバムにかなり近い音だと思う。不穏なフレーズを交え、オーガニックな不気味さを伴いながら展開する複雑なリフ構成といい、ドラムセットになんか恨みでもあるのかと思うくらいシバキ倒すドラミングが合わさると、カオティックどころかカオスそのもの。

ドゥームやアンビエント色も感じられるスローパートでも、いつ悪意がこちらに降りかかってくるか分からない、陰湿な緊張感を感じられる辺り、邪悪な世界観の構築振りは徹底していると思う。ヴォーカルもドスを効かせてがなるだけでなく、救いを求めるように呻いてみせたり、地獄の書物を読むかのごとき語りを入れてきたり、表現力豊かでテクニカルでブルータルなアンサンブルに負けない迫力があると思う。

ただ、DSOが凄いのは、テクニカルな演奏が凄まじいだけでなく、それが聴き手の脳内に形而上学的・宗教的なイメージを喚起させることだと思うんですが、このバンドはそうした感覚は(あくまでDSOに比べれば、ですが)やや希薄。その代わり、テクニックに裏打ちされた、こちらを圧倒するような迫力はDSOにも負けず劣らずで、良くも悪くも実体的な音だと思う。プログレメタルやテクニカルデスのファンがどう評価するか楽しみでもあります。

新人にしてかなりの完成度を誇るアルバムを出してきたと思います。取り合えず最近のDSOを聴いてこの路線のバンドをもっと知りたいと思った方は必聴でしょう。近年のDSOや後期EMPEROR同様、他ジャンルのファンが聴いても凄まじい音楽である事は認めざるを得ない音だと思います。


ORANSSI PAZUZU - Kosmonument ★★★ (2012-02-03 21:20:18)

2011年発表の2nd。
某所で妙にプッシュされてたので買ってしまいましたが、素晴らしいですね。

路線としてはバンドサウンドに、キーボードのみならずサウンドエフェクトやインダストリアルノイズなども絡め、ARCTURUSやLIMBONIC ART、DARKSPACE等のバンドとも異なる、独特の奇妙な宇宙観を演出する、アヴァンギャルドなブラックメタル。スペースデブリの浮遊する宇宙空間の中に意識だけが浮遊し、やがて自分もその一部となっていくかのような、瞑想的な雰囲気を持った作品。

妙に太く、脈動する様が聴き手をトランスに持っていくようなベースラインと、音像を抽象的なものにするギターノイズ、効果的に用いられるサウンドエフェクトのコンボによる世界観の演出はやはり巧みで、リアルに宇宙から降り注ぐ有害な放射線を浴びながら漂ってるような感覚を覚えます。基本浮遊感のあるミディアム中心ですが、疾走パートも奇怪に歪んだ音像のせいで、異次元に真っ逆さまに落ちるような感じがありますね。

このバンド、普通の人のそれとは位相がどこかずれた視点から見たような世界観・宇宙観を持ってるのに、それを人に伝えるだけの巧みさがあるのが凄いんですよね。音像や浮遊感の演出も素晴らしいし、2曲目なんかはキャッチーと言ってもいいくらいかと。基本アトモスフェリックな展開ながら、彼らの持つ歪んだ宇宙観を象徴するような、「濃い」メロディが所々に鏤められているのも、聴き手に世界観を共有させるためのフックになってるように思います。

ただ、アンビエントな感触やミニマルな部分もあるので、メタルだけでなく瞑想的なプログレ、ポストブラックなどを聴く人の方が共感しやすい音になっているかもしれません。個人的には興味深く、心地良く聴けたし大推薦のアルバム。店のプッシュに乗っかっておいて良かったです(笑)。


FOLKVANG - SIX STORIES WITHOUT KEYS ★★★ (2012-02-03 21:16:36)

2011年発表の4th。

「FOLK~」なんてバンド名を名乗ってますが、実際にはフォーク/トラッド色はリフのメロディやアコギパート等に感じられる程度で、タイプとしてはトレモロリフを多用した、儚いメロディとドラマティックな展開で聴かせるメロディック・ブラックですね。キーボードの使用はほんの味付けくらいですが、リフにしろアコギにしろギターパートはかなり哀愁のあるメロディを弾いていて、かなり聴きやすい作品。

特にトレモロリフを伴う疾走パートは、メロディの儚さも相俟ってシューゲイザー系ブラックにも通じるカタルシスかあるように思います。シューゲイザー系のバンドと比べると、メロディが抽象性よりもキャッチーさを感じるもので、パートによっては刻みリフも用いてメタリックな質感を出してたりするので、より実体的な印象が強い感じ。アコギパートの、積もった雪を割ってふきのとうが芽吹くような繊細さも素晴らしい。

ただ、音質は悪くはないですが…マニア以外にも推薦できるドラマティックな作風の割には、いまひとつメジャーになりきれない感じの音作りはちょっと勿体無いかも。ただ、前述の疾走パートのカタルシスはタイトな音質にしすぎると薄れる気もするし、6曲目ではサブタイトルの「The Sound of thunder」を意識したようなプリミティブ寄りの音作りがされてたりするし、この音質は意図的にやってる可能性が高いですが。

ちなみにメンバーはネットが発達し、音源や歌詞テキストが単なるデータのやりとりになり、CDを買う事が聴き手を新しい世界に誘うことが少なくなったのに心を痛めているらしく、今作には敢えてテキストを載せず、代わりに曲に関連するイラストを載せることにしたとか。私はデータよりもCDが欲しい派ですね…店の棚を眺めて、ジャケや店コメント、関連バンドやレーベルから吟味してCD買うのは楽しいし、何よりネット上での支払いとかお金を使ってる実感が沸かなそうで怖いので(笑)。


WOODS OF YPRES - Woods 4 : the Green Album ★★★ (2012-02-03 21:10:30)

2009年発表の4th。
某所でかなりの安値で売られてたので購入したんですが、これは掘り出し物。

バンドロゴは如何にもブラックメタルな感じで、レビュー等を見てみてもメロブラとして認識されてる事が多いようですが、ブラックメタル特有のトレモロリフは所々で使いつつも、路線としてはOPETHやBEFORE THE DAWN、BARREN EARTH辺りのプログレ要素の強い、メロディックなゴシックデスに近い音だと思う。ただしこちらはOPETHのような昔のプログレ風味が殊更強い訳ではなく、代わりにトラッドの哀愁感が強調された作風になってますね。

このトラッド寄りの哀愁感が素晴らしく、ドゥーミーで厚みのあるリフと混ざり合う焼け付くような哀メロや、アコギやストリングス、ピアノ等も導入され弾かれるフォーキーなメロがほんと胸に迫ってくる。また上記バンドと同様、彼らもクリーンとデスを使い分けるヴォーカルスタイルを起用してますが、特にクリーンのまろやかな声質が非常に良いです。ハモリも多用してますが、声の良さもあって聴いててうっとりしてしまいます。歌メロの付け方も自然で、心地良く聴ける。

音質もしっかり整えられており、総じて丁寧に作られた作品だと思う。OPETHが結構売れてるようですが、BEFORE THE DAWNやBARREN EARTH、GREEN CARNATION等と一緒にそのファン層に向けて日本盤出したら結構売れちゃうんじゃないでしょうか。哀メロ・美メロ好きには自信を持ってお勧めできるアルバムです。


THOTH - ZAMGLENIE ★★★ (2012-02-02 21:58:08)

2010年発表の2nd。

ペイガンブラックの代表格のバンド、GRAVELANDのRob Darkenらによるバンドという事ですが、これは良いですね。個人的な好みではGRAVELANDよりも好きかもしれません。路線としては、ペイガンの土着性に、鬱ブラックの抑鬱志向を加えたような薄暗いトレモロと、神秘的でアトモスフェリックなキーボードを絡め、ゆったりとしたテンポで展開するスタイルですが、最近のGRAVELAND並に情景描写に富んだ音なんですよね。

まずペイガン由来の妖しさと、鬱感情が上手く混ざり合ったトレモロリフと、バンドサウンドを包み込むような、神秘的なヴェールを思わせるキーボードの絡みは、それだけで薄暗く、深い森の中に誘われていくような暗い叙情性があると思うんですよね。落ち着いたテンポ設定も、一歩一歩その中に足を踏み入れるような、厳かなムードがあると思う。そこにノイジーなギターが入ると、その森が少しずつ炎上しているような、どこか破滅的なムードも醸し出されているように感じます。

また、殆ど言葉になっていない、細い声を裏返しながら絶叫するヴォーカルも、作品のカルト志向をより高めてますね。霊障を起こすような声…というより、霊障そのもののような声。地縛霊とかそんな感じです。…私的にはこのアルバム、BURZUMの3rdやEMPERORの1stに通じるような、マジなムードを感じる作品なんですよね。瞑想的なムードは、特にBURZUMに通じると思う。こちらはペイガン色もありますが、聴き手の意識に寄り添い、スピリチュアルな情景を描こうと試みる音作りはかなり似ているのでは。

個人的にはポーランドのペイガンブラックの中でもトップクラスに気に入ってしまった作品。近年のGRAVELANDに通じる情景描写能力がありながら、メロディはもっと分かりやすいので取っ付きづらさもそれ程でもないと思います。これはお勧め。


THOTH ★★ (2012-02-02 21:57:34)

ポーランドのブラック。
Rob Darkenを始め、ポーランドのペイガンの枢軸メンバーが参加するプロジェクト。


HAUST - Ride the Relapse (2012-02-01 20:48:12)

2005年発表の1st。
元は自主制作でしたが、2008年に新曲を加えて再発されました。

タイプとしては、近年のDARKTHRONEやNONGO NINJA辺りよりも更にハードコア要素を推し進めたブラックメタルで、最早オールドスクールを通り越してパンクの方がメインになってしまっているような作風ですね。ブラック特有のトレモロはほとんど使わず、ノリのいいグルーヴィなリフを中心に、13曲23分を駆け抜けるように聴かせる小気味良いアルバム。

ただ、時折VIRUSやVED BUENS ENDEのエキスをほんの一滴だけ垂らしたような、妙に不安感を煽るフレーズも出てくるんですよね。ヴォーカルがエモーショナルとか熱いとかを通り越した、喉を絞めた感じの怪人系の奇声絶叫なのも相俟って、どことなくサイコなムードも色濃く漂ってます。方向性はかなり異なりますが、精神異常っぽい危なさがある点ではSKITLIVと共通しているのかも。

…個人的にちょっと不満だったのは、紙ケースにCDが直接入ってることですね…最近こういう装丁の作品多いですけど、ほんとCDに傷が付きそうなのでやめて欲しい。保護ケースとか買ってくるの面倒臭いので…。


HAUST ★★ (2012-02-01 20:47:19)

ノルウェー産ブラック/ハードコア。
SKITLIVのメンバーも関与してます。


SELBSTMORD - The Dawn of New Era ★★ (2012-02-01 20:45:31)

2009年発表の2nd。

99年のデモはかなり音質が酷く、ブラック好き相手にも簡単には勧められないような作品でしたが…流石にあれから10年経ってるだけあって、随分(アングラな音楽として)真っ当な音になってますね。と言っても相変わらず未加工な感触の強い音ではありますが、火の粉の飛ぶようなノイジーな刻みリフ、金物が独特の炸裂感のある響きのドラムなど、RAW音質は今作ではプラスに働いていると思う。

作風の方は根幹からの変化はなく、刻みやギターソロも用いたややオールドスクールなRAWブラックに、ペイガン思想を持つバンドならではの叙情的・土着的な感触のトレモロを交えたスタイルで、やはりミニマルさよりもドラマ性を感じられる音。メロディが聴こえやすくなった分、それ自体の良さも際立った感じがします。印象に残るメロディはありながらも、過度にメロディアスになることもなく、カルトなブラックとしてバランスの良い出来だと思う。

デモの方は脳内補完必須、くらいの出音で、個人的にもかなりキツい作品でしたが、こっちは心地良く聴けますね。カルト音源としての質もキープされてる感じで、これなら安心してお勧めできます…と言っても、RAWブラック好き限定ではありますが。


ORCRIST - Fallen ★★ (2012-02-01 20:42:19)

2010年発表の5th。

ILDJARNのトリビュートにも参加した経験のあるバンドの現時点での最新作…ということらしいですが、もうこれは絵に描いたようなプリミティブ・ブラックですね。土砂が崩れるようなノイズから、仄かにメロディが漏れ聞こえてくるようなリフといい、ミニマルなリズムを用いた陶酔誘発系の音像といい、典型的なこのジャンルの音。時々メロウなトレモロが出てくるのも「いかにも」って感じです。
個人的に特筆したいのはリズムの上手さですね。疾走パートもミディアムパートも、速すぎず遅すぎずで心地良く聴けるテンポを常に守って展開している感じ。このリズムの上手さもあり、プリブラの催眠的な感じはしっかり演出できてると思う。

また、この手には珍しく、1曲目ではクリーンヴォーカルが入ってますが…低音は不気味さを出せてますが、中~高音は絶妙なヘタウマ加減で変に味があるんですよね。どんな思想を持ったバンドかは分かりませんが、学生運動でペイガニズムに傾倒し、そのまま音源を作ったような衝動性の高さを感じます。…とは言っても、Goblin氏はISVINDもやってますし、シーンではベテランですけどね。

ジャケの「True Underground Black Fucking Metal」の標語通り、そのジャンルが好きな人のみを対象として発信しているようなアルバムだと思う。昔のDARKTHRONEやILDJARNを聴いて、この手のバンドを突き詰めたいと思った方にのみお勧めです。