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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1501-1600
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1501-1600

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IN AETERNUM - Past and Present Sins ★★★ (2011-12-02 19:44:50)

2001年発表の音源集。
95-01年の音源、VENOMやKING DIAMONDのカバー、ライブ音源を収録。

路線としては、リズム面ではブラストで畳み掛けるパートもありつつ、小気味良いノリのリズムで聴かせるパートも多く交えるという特徴がありつつも、割と典型的なメロディックブラックを演ってるんですが…何気にメロディのセンスが一級品。初期~中期SATYRICONを思わせる、トラッドのメロウさとブラックの残忍さを掛け合わせたような、印象的なメロディ。

曲はずっとメロウなメロディを弾き倒している訳ではないんですが、要所でこの印象的なメロディが出てくることで凄く曲が引き締まってると思う。基本キーボードは使用しないタイプの、硬派なブラックですが、メロディが良いお陰でかなりドラマティック。録音年代で多少音質は変わってきますが、メロディのセンスはどの年代でも共通して素晴らしいです。

ただ、惜しいのはその音質ですね…極端にプリミティブな訳でも、メジャー志向な高音質でもなく、パッと音像だけを聴いた感じどこにでもありそうな凡庸なブラックに聴こえてしまうのが本当に惜しい。曲をしっかり聴けば魅力的な作品である事は間違いないんですが、ちょっと掴みが弱いかな…とも思う。ライブテイクも歪みの音が妙に大きく、熱気は伝わるものの彼らのセンスの良いメロが埋もれ気味で勿体無い。

と言っても曲はかなり良いですし、メロディックブラックが好きならばチェックしておいて損はない作品。名盤群を聴き漁って次に何を聴いたら…って感じの人は特に嵌まるのでは。


DEADMAN - SPIRITO DI PIETRA ★★★ (2011-12-01 21:52:21)

2011年発表の1st。

まずオープニングの、アルペジオが浮遊感を演出し、そこにサブリミナル効果がありそうなキーや、脳内を無数のミクロの虫か這い回るようなノイズ、打ち込みのリズムが絡み奇妙な世界観を演出する、凝ったインストからしてかなり期待感は高まりますが…本編の方もちょっとアヴァンギャルド入った、個性派なブラックを展開してますね。

基本は多少ミニマルな部分もありつつ、パーツ自体は典型的なブラックメタルなんですが…出音にしろ展開にしろ、少しずつ変わってるのが特徴。まずドラムの音が結構個性的で、ILDJARNの一部の作品で聴けるようなスチスチドラムに近い、奇妙に抜けの良い音。この音がインダストリアルっぽい雰囲気を加味していて、ギターリフの閉塞感のある歪みとミスマッチな様でいて意外に合ってるんですよね。

ブラックらしくトレモロリフの含有率も割と高めなんですが、他のバンドのように寒々しさや邪悪さ、儚さなどにはあまり向かわず、メロディに洗脳的な雰囲気があるのが独特。ヴォーカルの歯の隙間から憎しみが漏れ出してるような叫びと、語りかけるようなガナリを使い分けるサイコ入ったパフォーマンスも相俟って、更に洗脳めいたムードが高まってます。

また、時折殺伐とした平坦リフの下でベースを生温かく蠢かせたり、人の悲鳴をサンプリングしたような、奇妙な音色のキーを入れたシンフォパートを導入してみせたり、ブラックとしては非定型的なアプローチも随処で見られますが…ポストブラック要素を入れ過ぎてブラック本来の攻撃性を失わないのが良いですね。特にラストの曲、曲の途中でなにか霊的な存在と交信するようなパートが出てくるのが面白い。そのパートのムードが濃いせいで、ポストブラックにありがちな「薄れた」感は全くないですし。

欲を言うなら、イントロであれだけ濃厚に打ち込みを用いて妖しい雰囲気を演出できてるのだから、それを本編にも取り込んで欲しかったところ。ラスト曲の濃さを思えば、このバンドならブラックの攻撃性やカルトさを薄めることなく、それが出来るように思うんですよね。


BLACK CRUCIFIXION - Hope of Retaliation ★★ (2011-12-01 21:48:02)

2011年発表の2nd。
バンド結成20周年を記念した作品だとか。
1~4曲目が新曲、5曲目以降がライブ音源という構成。

速さに任せたブラストで畳み掛けるというよりは、時にロック的なグルーヴ感も感じさせる、心地良い速さのテンポ設定のパートを中心に、丁寧に曲を展開させる作風で、割とオールドスクールな風味が強い感じですね。あまり極端な方向に向かわず、メタルとしてのかっこよさを重視してる感じ。ヴォーカルも発狂系ではなく、地声成分のかなり強いドスの効いた吐き捨てで、妙に貫禄があったりします。個人的にはこのヴォーカル、悪のヒーローが技名叫んでる時の声みたいでちょっと面白く感じたり(笑)。

ただ、基本的にオールドスクールなメタルの感触強めなんですが、ギターのジギジギした感触のディストーションや、トレモロリフの北欧らしい寒々しさ、ブラックらしい邪悪さ・荘厳さなど、黎明期過ぎてからのブラックの価値観もガッツリ継承してるところが素晴らしいんですよね。これがベースのゴリゴリ言う骨太な音像と相俟って、作品を聴き応えのあるものにしてると思う。

不満を挙げるとすれば、アルバムの構成でしょうか…1曲目終わってテンションが高まって来た所でクールダウンするインストを挟むのもちょっと微妙だし、そもそも新曲が4曲しかないし…ライブ音源は、新曲のスタジオ音源とほぼ変わらない質の音で録られてるし、熱気のあるライブが行われてるのは間違いないんですが、新曲よりメロディ成分少なめで私の好みからは少し外れるかも。ライブ音源2曲くらいでいいから、その分新曲多くして欲しかった。


PERPETUAL DREAMER - PERPETUAL DREAMER Ⅰ ★★ (2011-11-30 21:39:06)

2011年発表の1st。
リーフハウンドっぽい帯がまた凝ってますよね(笑)。

「メルヘン・ハードロック」を自称している通り、童話のある意味で残忍なコンセプトを、表現力豊かな女性ヴォーカルが歌うという作風ですが…演奏の方は意外にもハードロックのグルーヴィで骨太な部分が前に出され、ゴス寄りのV系バンドなんかと比べると割とカラッとした感触の音。典型的なメタルのスタイルではない女性ヴォーカルといい、オーソドックスなハードロックのかっこよさを継承した演奏といい、犬神サーカス団辺りに近い世界観を持ったバンドだと思う。

ただ、犬神が歌メロだけ聴いてもサブカルや昭和っぽい如何わしさがあって、それが魅力になっているのに対し、このバンドは歌メロだけ聴くとどこがメルヘンなのか分かりにくいのが残念。SOUND HORIZONも去年メルヘンを題材にしたアルバムを出してますが、個人的には歌メロに関してはあれくらい思い切ってメルヘンしてもいいと思う。ハードロックのかっこよさをガッツリ聴かせる演奏は確かに魅力なんですが、世界観の演出を歌詞とヴォーカルの表現力に頼りすぎだと思う。

とは言っても、多少大味な部分はありつつ、曲の登場人物になりきるヴォーカルの表現力は悪くない(特に「毒林檎怨舞曲」が素晴らしい)と思うし、「赤頭巾ちゃんにご用心」のサビのように、歌メロだけでもメルヘンっぽさを醸し出せてる部分はしっかりあるし、良質な作品である事は間違いないと思う。「赤頭巾~」くらいインパクトのある歌メロがコンスタントに書ければ、キャッチーなコンセプトに負けないインパクトを聴き手に与えられるのではないでしょうか。


GLORIA DIABOLI - Gate to Sheol ★★ (2011-11-27 22:10:17)

2007年発表の7曲入りEP。
ラスト2曲はCD盤ボーナスで、前年に出たEPの曲だとか。

凄みの効いた荘厳さと、甘美な邪悪さを伴うリフ、地獄から蘇ってきたゾンビの如くドスの効いた、禍々しいがなりヴォーカル、タイトに疾走するドラムと、変則的な要素は殆どないものの、どの要素を切り取ってもレベルの高いブラック。特にどの曲も甘美で邪悪なメロディセンスが発揮されたメインリフがあり、ギターソロを入れてもメロのセンスのためか邪悪さの減退しない、曲作りはかなりクオリティが高いと思う。

ただ、個人的に気になるのは音質なんですよね…ドラムがRAWで抜けの良い音なのは良いんですが、リフに対して少し音が大きめなことと、ギター・ドラム・ヴォーカルの音の分離が妙に良いことが重なって、変に軽快に聞こえてしまうんですよね。RAWさが邪悪さを助長していない感じ。個人的にはよりプリミティブに近い音の、ボーナス2曲の方がプロダクション的には好みだったり。

そういう訳で、評価するなら楽曲は3つ星、プロダクションでマイナス1つといったところですね。THRリリースだけあってほんと楽曲は良いので、プロダクションをもっと太い邪性が感じられるものにしてくれたら、WATAIN辺りに肉薄するクオリティになると思います。その手のブラック好きなら手を出して損はないかと。


VIDSYN - On Frostbitten Path Beneath ★★ (2011-11-27 22:03:44)

2004年発表の4曲入りEP。
HellhammerとNocturno Cultoがゲスト参加した事でも有名。
特にHellhammerは全編で叩いてるので、彼のファンなら押さえるべきかも。

路線はヴァイキング風味のメロディの入った、刻みリフを中心に展開していくメロディアスなブラックメタルで、やはりHellhammer氏のドラムが素晴らしいですね。全体的に少し音が小さいのがネックですが、ドラムがやけに締まりの良い音を出していて、それがブラックとしてはメタリックなリフと相性良く絡み、実に心地良く聴けます。

ただ、ドラミングを聴いてるだけでも心地良い好盤ではあるんですが、プリブラなどと比べると展開も音作りも「まとも」なだけに、逆に中途半端になってしまってる気も。アコギパート等を設けたりもしてるし、メロディはそれなりに良いんですが、ドラミング以外のところで何かガツンと来るものが欲しかったところ。ちょっと手堅過ぎると思う。

とは言っても質は決して低くないですし、ほんのりヴァイキング風味のメロディック・ブラックが好きなら手を出してみてもいいかも。ちなみにCDの背ではバンド名が誤植で「VINDSYN」になってるので、CD探すときは注意。


ABSU - Abzu ★★★ (2011-11-27 21:58:48)

2011年発表の6th。
ギターソロでex-MAYHEMのBlasphemerがゲスト参加。
曲数こそ6曲と少ないものの、ラストが組曲形式の大作なので、然程物足りなさは感じないかと。

まずアルバム最初の「あーーーーーーッ」で吹きました(笑)。テレビの企画でジェットコースターに無理矢理乗せられたアイドルの悲鳴を思わせる…と書こうと思いましたが、それよりももっと可愛らしい…と思い直したほどの嬌声ハイトーン(笑)。その声、封印したんじゃなかったのか…しかも、「Tara」アルバムの時より可愛くなってて、思わず萌えてしまいました(笑)。

…それはそれとして、路線の方は前作同様、スラッシュの凶悪さを追求したら、ファストブラックの域に踏み込んだかのようなテクニカルで、疾走感あるブラックメタルでやはりエクストリームメタルとして1級品のクオリティ。Proscriptor氏のセンス溢れるドラミングと、それに追従する刻みを多用した、スラッシーでフックのあるリフの絡みに惚れていた人なら今作も絶対に買うべき。

ただ、前作よりも全体的にヤケクソ感が増してる…というか戻ってきてる印象なんですよね。ヴォーカル面でも前作のシャープさはそのままに、フレーズの一部を強調して吐き捨てる歌い回しをしていたり、リズム面でもスラッシュのハードコア由来のグルーヴィな感覚がより強くなっていたりで、テンションの高さが異様なことに。完成度は落とさずに、前作を洗練されすぎたと感じた人でも、満足できる作品に仕上げてきたと思う。

取り合えず前作に続いて必聴盤であることは間違いありません。エクストリームメタルのような、リフとリズムの絡みで引っ張っていくような音楽が好きならば、まず買って損はしないと思う。


SCHONBERG - Splendid Rosa Birth ~華麗なるロサ、誕生~ ★★★ (2011-11-25 23:04:00)

2011年発表の1st。

以前リリースした二枚のシングル「ロサ・ギガンティア」「ロサ・クライシス」を聴いて、アルバム発表を楽しみにしてましたが…あの2枚を聴いてる人が聴いたら驚くんじゃないでしょうか。何もかもレベル上がり過ぎで…特にシングルで痩せたリフの音が前に出てたプロダクションは大幅に改善され、ネオクラ風のフレーズや絢爛なキーが前に出て、かつギターの音色の厚みも増した音像はシングルとは比べ物にならない説得力があると思う。

作風は…特に「クライシス」の方で顕著だったクラシカルでキャッチー、かつ耽美主義的なムードを、更に拡大させた感じでしょうか。歌謡的なメロスピをベースに、ネオクラやプログレの影響を受けた演奏に、オペラティックかつ陶酔的に歌い上げる女性ヴォーカルが乗って醸造される音は、シアトリカルで聴き手をバンドの持つ世界観に引き込むパワーに満ちている感じ。シングルよりも世界観が更に濃厚になってる。

ヴォーカルも押し引きを覚え、情熱を込めた歌い上げから妖艶な薄笑いを浮かべてそうな妖しい歌唱まで、表現の幅が格段に広がり、明らかにレベルアップしてると思う。何より素晴らしいのは、楽曲が非常に充実してるんですよね…。1曲目だけ名曲で、あとは地味…みたいなアルバムとは真逆の、どの曲をシングルにしてもいい全編キャッチーなメロディに満ちた作品。バンドも相当自信を持ってるんじゃないでしょうか。

世間ではクラシカル版の陰陽座、と言われてますが、確かに演出するものは違っても、どの曲もキャッチーな歌メロがあること、世界観の醸成に妥協がないことなど、共通するものはかなりあると思う。その手の女性ヴォーカルのジャパメタ、ゴシックなどが好きな方は是非。耽美系のV系バンド好きな方にもお勧め。


TEARS OF TRAGEDY - ELUSIVE MOMENT ★★★ (2011-11-25 23:00:17)

2011年発表の1st。

これは2曲目がたまたま店内で流れてて、こらえきれずに購入しました。
路線としてはピアノやチャーチオルガン等、華美なキーボードを配したメロスピに、可憐な女性ヴォーカルによる歌謡曲のキャッチネスと起伏、メロスピの飛翔感を併せ持つ歌メロを乗せた感じの作風で、あそこまで歌メロ超重視主義ではないものの、個人的には「女声ゴシック版のX JAPAN」という印象。

…というか、このバンドのメインコンポーザー、絶対X JAPAN大好きだと思う。ちょっとしたリフであるとか、間奏のギターソロやキーボードの入れ方など、随所に直接的な影響が現れている感じ。しっかりドラマティックさを受け継いでます。ただ惜しいのが、ギターが二人体制ではないことですね…。2曲目とか、ソロパートの後半でハモったら悶絶度が一気に3割は増すのに…。あとドラミングもメロスピなんだし、もっとフレーズが派手でもいいかな…という感じも。

全体的に歌メロはこの手でも高水準だと思いますが、それを歌うヴォーカルの声もまた素晴らしい。いかにも「ずっとメタルに憧れてました」って感じではなく、ましてやアニソン系の歌いまわしでもなく、ちょっと声楽入りつつ、そっちにも傾き過ぎない非常に情感のある声。特に高音の搾り出す感じが心に来る。3曲目のサビ終わり、一瞬溜めてから高音に行くところとか、それだけで聴き手を歌詞の世界観の当事者になったような気にさせるほど、感情移入させる力があると思う。

アルバム全体としても「手堅い」という以上のクオリティがある、かなりの好盤だと思う。多少優等生的で、X JAPAN程の破天荒さはありませんが(むしろそこまで破天荒なバンドは滅多にない)、広くお勧めできる作品だと思う。ところで、バンドの略称が「TOT」になるのは、顔文字の号泣をイメージしてるのでしょうか…。


UNDER FOREST - 月影ニ鳴ク虚像ノ恋詩 ★★ (2011-11-25 22:56:03)

2011年発表の1st。
まずBeingプレゼンツのシアトリカル・ゴシックというのが衝撃ですよね…。

路線としては、初期JANNE DA ARCやラルク、MALICE MIZER等に通じる、キャッチーな歌モノをベースに、シンフォ・ゴシック的なキーボードとメタリックなリフ・リズムでアレンジした感じで、曲によってはエレクトロ・ゴス的なアプローチも。Being発、しかもエンターテイメント的なコンセプトを持ったプロジェクトという事で、色眼鏡で見てる人はまずこのリフの音色とフレーズがしっかりメタルしてることに驚くと思う。

しかしやはりBeingが関わっているだけあって、どの曲も明確な方向性と分かりやすい歌メロがあり、聴き手を意識した音になっているんですよね。プロデュース能力ははっきりいって殆どのセルフでやってるジャパメタよりも上だと思う。クラシカルなキーボード、泣きメロを弾くギターソロ、プログレッシブなリズム変化など、メタラーの耳に引っかかる箇所を多数設けてるのも好印象。ただ、2曲目のメロディ、思いっきりJANNEの「ICE」なんですけど…これはいいんでしょうか(笑)。

またライナーノーツではアニメの声優に準えられているヴォーカルですが…確かにメタルよりはポップス向きの歌い方ですが、媚び系の声質ではなく、情念や妖艶さ、サディスティックさが必要な場面ではしっかりとそれが表現できていて悪くないかと。曲によっては老婆のような声や、人形をイメージしたような無気力な声で歌ったりしてて表現力豊か。この表現の引き出しの多さは、確かにある意味でアニメの声優っぽいのかも。

ただ個人的に惜しいと思ったのは、エレクトロ・ゴシック路線の曲を演るのはいいんだけど、そういう曲だと一気にメタル度が減少すること。ああいうリズムにヘヴィなリフを絡めたら、聴いていて凄く気持ち良いものが出来そうなんですが…。あとメロスピ系の曲では、もっとドラムの音を生々しいものにして欲しいですね。この辺りが改善されれば、更にメタラーにも聴き応えのあるものが出来そう。

大手レコード会社の、プロフェッショナルなプロデュース能力で演出されたゴシック。メタラーの中には、作り手と演じ手が同一でないと受け付けない人もいるかもしれませんが、その辺り気にならない人は聴いてみては如何でしょう。エンターテイメントとして非常に完成度が高い作品ですよ。


ACHERONTAS - Hermeticism ★★★ (2011-11-25 00:57:36)

2011年発表のEP。
CD盤はDROWING THE LIGHTとのスプリットの曲も収録。
…と言っても、その曲を入れても3曲約16分で、割と短め。

しかしこれ、3曲しか入ってないのが本当に惜しいですよね。彼らの標榜する、「True Occult Black Art」、その言葉が指し示すとおりの、神秘主義の深淵を垣間見るかのような、邪悪極まりないブラックメタル。毒々しく密教的なトレモロや邪悪な存在からの啓示を受けているようなアルペジオなど、構成パーツや音像など自体は特に衒いのないブラックなんですが、聴き手の想像力を喚起する力が半端ない。

もう1曲目の頭、ブラック特有の歪んだリフが視界を黒く塗り潰した時点で日常から乖離した彼らのオカルト世界に引き込まれていくし、2曲目の少し明るい?メロディが出てくる部分は現世から解脱したようで逆に怖い。3曲目のトレモロ疾走なんかは今正に神聖な存在が堕落しているかのような、濃厚な邪悪さを感じさせてくれてると思う。構成もドラマティックで、16分があっという間過ぎて辛い(笑)。

当然曲も素晴らしいんですが、何気にこの瘴気の濃密さはヴォーカルも相当貢献してると思うんですよね。血錆を吐き出しながら叫んでいるような、太くうめくようながなりで、黒いバンドサウンドに血腥さを足し、音像をジャケの色合いのような赤黒いものにしている感じ。がなり時の表現力といい、祭壇のある洞穴から聞こえてくるようなクリーンといい、かなりセンス良いと思う。

確かに収録時間は短いんですが、これだけ充実してれば納得ですね。ただ今年フルアルバムが出る(もう出てる?)みたいなので、それを待ってもいいかも。


ENOCHIAN CRESCENT - Nef.vi.lim ★★ (2011-11-25 00:51:18)

2010年発表の6曲入りEP。
EPですが30分以上ありボリュームはそこそこ。

まずジャケや、ブックレットの表紙などのアートワークが素敵ですよね。私はこのジャケを見て、「これは形而上学的な部分にまで踏み込んだ邪悪さを表現する、芯の芯まで真性なブラックに違いないッ」と意気込んで購入したわけなんですが…見事に騙されました(笑)。変態系のブラックであることは間違いないんですが…ポストブラックというより闇鍋ブラックという感じ。

正統派メタルの如くツインギターでハモるギターリフが出てきたり、高速のブラストとマイペ~スに刻むギターリフを組み合わせてみたり、妙に渋いブルージーなメロディを変な残響の付いたギターで弾いてみせたり、様々なアイデアが敢えて生煮えのままぶち込まれているような感じの、奇妙に歪んだ世界観を演出するブラック。5曲目で「ゴー!ゴー!ゴルゴダ!」の煽りと突然のエレクトロ路線が出て来た時には流石に呆れて笑っちゃいました(笑)。

当然、そこに乗るヴォーカルも普通からはかけ離れてますね…ウィスパーと、痰を吐くときの声の中間のような歪み声と、裏返り気味のダメ人間っぽさ全開のがなり、意外に渋いクリーンを使い分けてますが…クリーンもこの作風でこの人がやると妙に胡散臭く聞こえる(笑)。ただ、変な作風ではあるものの、所々正統派やメロデスに通じるところもあり、一般的なポストブラックよりメタルから逸脱しすぎてないのは好印象。邪悪キャッチーなトレモロ+ブラストとか、真っ当なことを演ってるパートはちゃんとかっこいいですし。

という訳で、楽しめはしたんですが、ジャケの印象とは全く異なる音でした…。これはこれで全然アリな作風だとは思うんですが、ジャケ買いは非推奨です(笑)。変態系って分かってる方にだけお勧め。


NAV - The Wolf Sun (2011-11-25 00:46:45)

08年発表の2nd。

このバンドも、かなり独特の視点からペイガンを演ってますね…。
やけにグルーヴィでノリの良いリズムに、ツインギターによる刻み中心にメロディ成分もたっぷり仕込んだリフが絡む作風で、クサメタル並に泣きメロや速弾きを披露するギターソロまであり、最早ロックンロールというかグルーヴメタルというか…ペイガンよりそっちの方が近いんじゃ…的な音。ヴォーカルも邪悪系でなく、ダーティ系の地声混じりのがなりですし。

ただ、やはりブラックメタルがベースになっているだけあって、曲展開の主導権は常にリフが握っている感じ。ツインギターの絡みはなかなか聴き応えがあり、最後まで聴かせきるようなパワーは持ってると思う。ただ、音質もクリアだし、メタルとしての質は悪くないんですが、邪悪さや神秘性よりもメンバーが酒呑んで楽しく演奏する様子が浮かんできてしまうのはペイガニズムを表現する音楽としてはちょっとどうか…という感じも。むしろペイガンとかヒーゼンとか、その辺りの思想や神秘性には拘らないほうが楽しめそうなアルバムだと思います。


FOSCOR - Groans to the Guilty ★★★ (2011-11-22 00:24:11)

09年発表の3rd。

ジャケのムードが良かった事と、販促シールのSHINING、SATYRICON、CODEのファンにお勧めという文句に釣られて購入しましたが、これがなかなかの良盤。近年のSATYRICONやCODEを髣髴とさせる、鬱感覚の強いリフのメロディを聴き手の脳に刻み込みつつも、どこかふてぶてしい鈍色の光を放つかのようなブラックメタル。ヴォーカルがダミ声に近いがなりなのも、ふてぶてしさを更に助長。

ただ、近年のSATYRICONがロック的なグルーヴを取り入れ、ライブでも盛り上がるような曲作りをしているのに対し、こちらは展開こそ凝っているものの、リズム面ではまだブラックの要素を強く残しているのが大きな違い。特にミドルテンポのパートにおいては、SATYRICONよりも更に背徳感が強くなっているように思います。この辺りの鬱蒼とした感じはSHININGに近いのかも。

ちなみに、上記のバンド以外にEMPERORも引き合いに出されてましたが、シンフォ要素は特になし。ただ展開の凝り方に、僅かに共通する部分はあるかもしれません。個人的にはドイツのSECRETS OF THE MOON辺りが好きな方にもお勧めしたいところ。メタルとして質が高い中にも、ミステリアスで深遠なムードがある作風が似てると思う。


SATARIEL - Phobos and Deimos ★★ (2011-11-22 00:17:56)

02年発表の2nd。

…メロデスっぽいブラックとは聴いてましたが、もうこれ殆どメロデスですよね。高揚感を伴う、メロウなメロディを仕込んだ刻みリフとそれを活用したテンションの高い疾走、明確なサビやギターソロを聴かせるパートを含む曲構成など、雰囲気こそブラックに近いものの、曲を形作るパーツがことごとくメロデス的な感じ。

サビでクリーンで歌い上げる曲も多く、メタルコア好きがちょっと邪悪なものに手を出してみようとするのにもいいかもしれません。ただ、曲のクオリティは非常に高く、マニア以外も楽しめる好盤ではあるんですが…微妙にプロダクションがチープなのが勿体無い。厚みやクリアさはあるんですが、ドラムの音のバランスが少し悪く、B級っぽさが多少残ってる気がします。

また、メリハリの付いた曲展開にあわせ、詠唱っぽいマイルドなクリーンやデス的なグロウル、メロデス風のスクリームなどを使い分けるヴォーカルの表現力もなかなかですが、使える声が多過ぎてたまに個人的なツボから外れるのがちょっと…「Stranger World」のサビとか個人的には苦手。時折入るクリーンは太くて、マイルドで良い声だと思うんですが。

ブラックの中ではかなり聴きやすい路線の作風。
ARCH ENEMYとか普段聴いてる人で、多少地下臭いものも行ける方は是非。


PEST (GERMANY) - Tenebris Obortis ★★★ (2011-11-20 23:23:54)

2009年発表の4th。

ファストパートを中心に展開するジャーマンブラックですが…NEGATORやGRAUPEL、INFAUSTなどがそうですが、ファストなリズムと寒々しいトレモロで攻めるタイプのジャーマンブラックって、北欧(特にスウェーデン)の同タイプのバンドの音が「吹雪」だとすると、「氷の礫」が吹き付けて来るようなイメージがあるんですよね。このバンドも、そんな感触のメロディのトレモロを含蓄したタイプですね。

ただ、上記バンドと比べると、このバンドは音の太さといい、メロディの毒々しさといい、もっと悪意的なものが強く感じられるのが特徴。メロディに関しては、一部のパートではフランス産地下ブラックに通じる、病んだ耽美なカルト性も感じられたり。ヴォーカルが鬱ブラック寸前の絶叫なのも、曲の狂気的なムードを更に高めていますね。

また、前述の氷の礫のようなリフが堪能できる2曲目、メロウな中に突き放したような冷厳さが垣間見える5曲目、同郷のKATHARSISに通じる、狂気をぶちまけて暴走するような6曲目、イントロから病んだメロで掴み、メロウな展開を見せる7曲目など、何気に曲ごとの方向性がしっかりしていて、ダレない構成になっているのも良い感じ。ラストはアンビエント風のパートを含む大作曲で締め。

ドイツ産のバンドでもかなりお勧め。
カルトな雰囲気が漂っていながら、しっかりした曲展開で聴かせる良質の作品です。


HARZA - WAR ★★★ (2011-11-20 23:18:21)

09年発表の2nd。

戦車ジャケやアルバムタイトルからはいかにもウォーブラック、もしくはファストブラックです的な風情を醸し出していますが…確かに、ダミ声でがなるヴォーカル、戦場に飛び交う火の粉を思わせるリフの音色、カッチリして軍隊的なイメージも想起させるリズム等、確かに戦争を直接的に匂わせる音ではあるんですが…実はそれ以上に、メロウなメロディが強調された作風で、パートによってはヴァイオリンまで入ってきます。

しかもこのバンドの場合、ただメロディがメロウというだけでなく、時折凄まじく即効性の高いメロディを仕込んでくるのがたまらないんですよね…。ブックレットを読むと、単純に戦争を題材としているだけでなく、意に沿わず殺し合いをさせられたり、自分の家族や国を守るために戦った兵士達に捧げるというコンセプトがあるらしく、この悲哀に満ちたメロディのセンスも頷けますね。

何気にメタリックなリフも多いですし、音もこの手のバンドとしてはかなり整っている方なので、メロデス好きにもお勧め。非常に良質なメロディック・ブラックを演ってるバンドだと思います。


HARZA ★★ (2011-11-20 23:17:30)

ロシアのブラックメタルバンド。
「War」を聴いて、かなり良いバンドだと思ったのに去年解散してたようで残念。


DARKEVER OF THE LIGHT - DEMO TRACKS 2011 ★★★ (2011-11-19 01:08:25)

11年発表の5曲入りデモCD-R。
ケースに入りきらないポストカードと歌詞カードがなんともチープな感じはしますが、中身はかなり良いですね。

ヘヴィな音像と、グルーヴィなリフとリズムの絡みの上に、女性ヴォーカルによるキャッチーなメロディが乗る作風で、個人的には6ft downからゴス要素を減退させ、古典的なハードロック色を強めたような音に感じました。シンフォニックにではなく、曲の骨太さを強調するように入るキーボードも良い仕事してます。ヴォーカルが女性ならではの妖艶さやキュートさと、力強さを兼ね備えた華のある声質なのも良いですね。

また、何より単純に曲が良いと思う。跳ねたグルーヴをヴォーカルが乗りこなし、聴き手をグイグイ引き込む「Ding-Dong」、重厚な世界観を見せ付けるような「MEGALOPOLIS」、ワウギターを用いたリフが印象的な「Communicated」など、どの曲も向いてる方向がしっかり定まってる感じで、金太郎飴になってないのが素晴らしい。特に1曲目の「Ding-Dong」は、試聴した瞬間買うのを決めるほどキャッチーな名曲で、個人的にはストライクです。

音質がヘヴィさに頼っていて多少大味(音が小さいよりは全然良いけど)だったり、英詩の文法ミスがあったり発音に日本語訛りがあったり、まだまだ荒削りな感じはありますが現時点でもかなり魅力的な音源であることに間違いはないと思います。ハードロック要素強めですが、ところどころダークなフレーズがあったり、歌メロが結構メロウだったり、古典的になりすぎないところが個人的には良かったりします。


CROSS VEIN - MOON ADDICT ★★ (2011-11-19 01:03:46)

11年発表の2曲入り自主制作シングル。

また、良いバンドが出てきましたね。
クラシカルで耽美な世界観を演出するキーボード、歌謡的でありながらゴシック的なクサさも放つ歌メロなど、MALICE MIZERやMOI DIX MOIS辺りの「コテ系」なヴィジュアル系バンドの作風に、ツーバスドコドコや刻みリフ、ツインリード等のメタル要素をドーピングし、更に個性的な女性ヴォーカルを乗せた感じの作風。

メロスピにありがちな白玉系の間延びしたメロディではなく、歌謡曲でも通用しそうなほど歌メロを重視してくれていて、個人的にはかなり好みな音なんですが、それを歌うヴォーカルも強烈なキャラを持ってますね。声楽的なソプラノボイスに、猫的な婀娜っぽいエキセントリックさを足したような歌い方でかなり独特かつ耳に残る。同人系のシンガーにも通じる、「全力感」があるのがいいと思う。

タイトル曲の「Moon Addict」は、出だしから荘厳なキーやクワイアが入り、メロディもより耽美色の強い曲で、ジャパメタ好きのみならずV系好きもすんなり入れそうな感じ。カップリングの「Rip My Wings」はイントロからツインリードの印象的なメロディが登場、サビも飛翔感がある、感性的にメロスピと通じるものが強い曲で、どちらもかなり良い曲だと思う。この2曲で500円は正直安いと思うので、興味ある方は是非。


VORDVEN - History ★★ (2011-11-16 23:01:51)

2003年発表のコンピレーション盤。
97年のデモ「When the Wind Blew for the First Time」と99年のフル「Towards the Frozen Shadows」、01年EP「Woodland Passage」の3つの音源を収録した、約78分の長大なボリュームの音源集。ちなみに音源集のタイトルは書かれていないんですが、調べたら「History」というタイトルだそうです。

路線は神秘的なキーボードがRAWなバンドサウンドを包み込む、VINTERRIKETやLUSTREなどのアトモスフェリックなシンフォニック・ブラックを先取りしてやっている感じで、VINTERRIKETのような寒々しい世界観よりも、むしろ精神世界的な神秘性を感じる音。基本キーがメイン楽器的な音像ですが、どの音源においてもバンドサウンドに打ち込みを用いていないので、特にドラムの音が立体的に聴こえるのが良い感じです。

また、時系列順に曲が並んでいるため、バンドの音楽性の変遷を辿れるのも面白いですよね。ほとんどギターが奥でノイズが鳴ってるだけに聞こえる「When~」と比べると、ある程度音に厚みが出て女性ヴォーカルやペイガン的なメロディを導入し、更に神秘性を増した「Towards~」はかなり成長してる印象。「Woodland Passage」では、同路線を引き継ぎつつより展開や音にメリハリが付き、メタルとしての魅力が上がったと同時に、ミステリアスな部分は僅かに減退してる感じですね。

個人的には「Towards~」がバランスが良く、この手に特有の、ある程度メタリックさを犠牲にしてこそ得られる神秘性みたいなものが最もよく表われていると思うのでお勧め。昔のバンドですが、VINTERRIKETが好きで、COLDWORLDやAURVANDIL、LUSTREなどの類似した音楽性のバンドの音源を買い漁ってる方には大推薦です。


CIRITH GORGOR - Unveiling the Essence ★★ (2011-11-16 22:56:51)

2001年発表の2nd。

ジリジリ系のブラック特有のノイジーなギターリフと、靄が掛かったようなベースの音色が溶け合い、暗雲が立ち込めたかの如き仄暗い音像を演出し、そこにメロウなトレモロがうっすらと差し込んでくる、ファストパート多めなメロディックブラック。ヴァンパイアが人間を嘲笑うような、中~高音域で地声交じりのがなりを聴かせるヴォーカルも割と個性的。いきなり高笑いとかしてますし(笑)。

また、メロディが邪悪さ・寒々しさよりも正統派メタルにも通じるような、ストレートなかっこよさを感じられるものなのも特徴ですね。時折ペイガン的な勇壮さも垣間見れたりして、メロディのセンスはなかなかいいと思う。ただし、音像に癖があるので、ある程度ブラックを聴いてる人でないと聴きづらさを覚えるかも。メロブラもプリブラも両方行けて、どちらかといえばメロブラの方が好み…みたいな方はツボに嵌まりそうな作品です。


CIRITH GORGOR ★★ (2011-11-16 22:53:04)

オランダ産ブラックメタルバンド。
このバンドも指輪物語からバンド名を取ってるみたいです。


MARE - SPHERES LIKE DEATH ★★★ (2011-11-12 11:15:31)

2010年発表の4曲入りEP。

これは個人的にモロにツボな路線ですね。
かっこよさと、邪悪なムードを見事に両立させたブラックメタル。ほどよくノイジーなギターと、うっすら靄が掛かったようなキーボードが妖気の立ちこめる雰囲気を演出し、そこにどこか密教的な響きを持つ、邪悪極まりないトレモロリフが絡むスタイル。脈動するように蠢くベース、Attila系の、邪な真言を厳かに唱えるようなヴォーカルも、作品が放つ邪気を更に強いものにしています。

また、アンビエント方向へのアプローチも見られるのが特徴で、特にパーカッシブなドラミングと妖しげな語りが奥行きのある闇を演出し、そこにギターが邪教徒の儀式に使われる楽器の如く響くタイトル曲は、バンドサウンドを用いてアンビエント風の雰囲気を出していて、かなりムードの濃い曲。ただ、それに加えてラストの曲がキーボードアンビエントなので、ストレートなブラックメタルの楽曲は2曲しかないのが物足りない。

…とはいえ、作風がもうツボだし、邪悪さの演出のクオリティが非常に高いので、個人的には☆3つ付けたいところ。フルアルバムの発売が待たれます。


MARE ★★ (2011-11-12 11:14:36)

KEEP OF KALESSIN、CELESTIAL BLOODSHEDの元メンバーが在籍するブラックメタルバンド。まだフルアルバムはリリースしていませんが、SATANIC WARMASTERのメンバーが運営しているWerewolf RecordsよりEPを出しています。


ARCANE GRAIL - Arya Marga - Ninefold Path to the Innocence ★★★ (2011-11-12 11:09:24)

2009年発表の2nd。
ぶっちゃけセールで安かったから衝動買いしてしまったんですけど、まさかここまで素晴らしい作品とは…ほんとこの出会いに感謝、って感じです。

シンフォニック・ブラックの中でも、ここまで聴き手にインパクトを残せる作品ってそうは無いのではないでしょうか。映画音楽のような壮大なキーボードに、叙情的極まりないピアノ、そしてゲストミュージシャンによる弦楽カルテットがバンドサウンドに絡む音像だけでも凄まじく絢爛。更に男女のオペラティックなコーラスが効果的に配されているので、よりキャッチーに聴こえるんですよね。

しかもリフもメロデスのメロディックで高揚感溢れるものと、メロブラのメロウなトレモロの良いとこ取りでかなりキャッチー。これが前述のど派手な装飾(装飾ってレベルじゃないけど)を連れて疾走するのだから、クサメタル好きにはたまったものではありません。例えて言うなら、CRADLE OF FILTHの中でもキャッチーな「Her Ghost in the Fog」「Swansong for a Raven」辺りの路線を拡大解釈してアルバム全編に適用させたような作風。

シンフォニック・ブラックの体裁は保っているものの、はっきり言ってクサメタルよりもクサい音出してます。ブラック好きのみならず、その手の愛好家にも是非手を出して欲しいですね。この作品は本当に素晴らしいです。


THRUDVANGAR - Durch Blut und Eis ★★ (2011-11-12 11:04:10)

2010年発表の4th。

かなりメロデスや正統派の影響の濃い、メタリックなヴァイキングメタル。
正統派的なリフでダイナミックに攻め立てつつ、ここぞという時でメロブラ的な広がりのある、メロウなメロディを聴かせる路線で、キーボードもリフの良さを減衰させない味付け程度に用いられてますね。民族メロの濃度はそれ程高くなく、民謡系というよりは映画のヴァイキング出航のシーンが浮かぶような感じ。

ただこのバンド、曲展開やメロディセンス自体は日本盤出してるヴァイキングメタルと比較しても引けを取らないんですが、プロダクションはブラック特有の粗さが少し残っている感じですね。そのノイジーさが、メタリックな重さと両立されているのでかなり迫力のある音になってます。ただ、このプロダクションのせいで少々エンターテイメント性は減ってしまってる感じで、普段からメタルを愛聴していない人には少し厳しい音になっているかもしれません。この手が元々好みな方には問題なく推薦です。


ETERNITY (GERMANY) - Funeral Mass ★★ (2011-11-08 00:00:33)

2007年発表の2nd。

まず余りにもノイジーな音質に圧倒されますね(笑)。
プリミティブブラックの薄っぺらいノイジーさでも、ノイズブラックのメタル離れした音像でもなく、しっかりメタリックな太さを保ちつつ「ドザァァァアア!」感のあるノイジーさで圧迫感が凄まじいです。バンドがノイズの滝を浴びながら演奏してるようなイメージの音。

曲の方は、特に衒いのないブルータル寄りのブラックで、正直WATAINを平坦にした感じに聴こえてしまうんですが…ノイズの中に地獄から聞こえるようなSEを入れて恐ろしげなムードを演出したり、太い音色のギターが邪悪極まりないメロディを弾いたり、エグい音像を利用した演出がしっかり出来ているのはいいですね。中音域でがなるヴォーカルの本気度も良い感じ。

正直必聴盤とまでは言えないんですが、この手の太さと邪悪さが直結するブラックが好きな方にお勧め。結構有名なレーベル(Anangarde)から出ているだけあって、クオリティは低くないですよ。


LICHT ERLISCHT... - The Narrow Path ★★★ (2011-11-07 22:06:14)

2009年発表の1st。

漫画の光のエフェクトにしか見えないバンドロゴが印象的ですが、出音の方は完全に闇属性ですね(笑)。BURZUMの「Filosofem」やNARGAROTHの「Regens~」を思わせる、金属質なノイジーさで奏でられるギターリフに、物悲しいメロディを練り込んだスタイルの鬱ブラック。鬱系の中でもメロディの素晴らしさは抜きん出てる感じで、悲壮感・分かりやすさ共にメロウ方向に本気出したときのNARGAROTHレベル。

ただしギターの音色自体は上記バンドの作品に通じるものの、比較的音像におけるノイジーリフの占める割合は低めで、代わりにドローンめいたキーボードであったり、叙情的なアルペジオだったりが空間を埋めているのが大きな違いですね。NARGAROTHの「Regens~」なんかと比べると、エモーショナルさで譲るものの、より浮世離れした、神秘的な雰囲気が強いように思います。

NARGAROTH程知名度は無いですが、作品のクオリティ、鬱度は肉薄するものがあると思います。メロディが分かりやすいので、この手に嵌まり始めた方にもお勧めです。


SAMMATH NAUR - Self-Proclaimed Existence ★★★ (2011-11-06 20:34:45)

2005年発表の1st。

縋りつく者どもを傲然と見下すメタル男ジャケがインパクトありますが、中身も凄まじいですね。デスメタル名産地のポーランド産らしい超暴虐なブルデスに、シンフォブラックの荘厳でスペイシーなキーボード加えたような路線。まずブルデスとしての暴虐さが凄まじく、特にドラムとリフの絡みはまるでガトリングガンの掃射と、それが着弾した時の破壊音さながらの凄まじさ。暴虐で速いだけでなく、リフにフックも設けてあり、単純に聴いていて爽快なんですよね。

で、そこに宇宙的な感覚も想起させる、シンフォブラック風のキーボードが入る訳ですが…これがバンドのブルータリティを見事に後押ししているんですよね。上空から降り注ぐ邪悪な宇宙線を浴びて、ガトリングガンを装備した殺人マシーンが更に凶悪化して暴れまわっているような感じ。基本低音グロウル中心ながら、声が野太過ぎて時折入れる高音絶叫が詰まって聴こえる漢らしいヴォーカルも、この暴虐極まりない音にこれ以上ないくらいハマってますね。

人脈的につながりのあるVESANIAもブルータルなシンフォデスでしたが、向こうはシアトリカルで知的な部分も多いのに対し、こちらはもっとストレートに暴虐性を叩きつけてくる感じですね。何か圧倒的なものを聴いてみたいという方になら、メタラー以外にも勧めてみたいところ。当然エクストリームメタル好きには大推薦です。


SAMMATH NAUR ★★ (2011-11-06 20:32:44)

VESANIAのメンバーも在籍するポーランドのシンフォデス/ブラック。
シンフォサウンドとポーランド産らしいブルータリティの融合が凄まじいバンド。


VITSAUS - Sielunmessu ★★ (2011-11-06 20:28:35)

2010年発表の1st。
曲数は5曲と少なめですが、ボリュームは35分でそこそこ。

シャー系の音が際立つ平坦気味のリフと、メロウなトレモロリフを従えて疾走する、典型的なプリミティブブラックという感じの音ですね。割とトレモロのメロディを重視するタイプですが、この手の中でもメロディの泣き具合に「格調の高さ」みたいなものが感じられるのが特徴。

ヴォーカルもそこまで絶叫したら音割れるんじゃ…と思うくらい激しく叫んでくれてるし、特に変った要素はないものの非常に良質なプリミティブブラックだと思う。ただ、せっかくメロディのセンスがいいのに、少しだけ引っ込んだプロダクションなのは惜しいですね。際立って聞こえづらい訳ではないけど、ノイズ分とメロディ分の配分が等分な感じ。メロがいいので、個人的にはそれを押し出すとより良かったかな…と。

SATANIC WARMASTERの初期作等の、北欧のメロウなプリミティブブラックが好みであれば気に入るであろう音源。ただ、SATANIC WARMASTERやSARGEIST、CLANDESTINE BLAZE辺りを聴いて、これ以上このジャンルは掘り下げなくていいかも…と思った人には無用の作品かも。この手を日常的に愛聴してる人向けです。


VITSAUS ★★ (2011-11-06 20:26:42)

SARGEIST、HORNAのVainajaが在籍するブラックメタルバンド。
バンド名はフィンランド語で「ペスト」を意味する単語だとか。


PERGALE - Horizontalios Maldos Palaima ★★★ (2011-11-05 16:36:32)

2011年発表の1st。
DISK UNIONでLIFELOVERが引き合いに出されプッシュされていたので、何となく買ってしまったんですが…最高ですね、これ(笑)。

路線としては儚げなピアノの叙情メロと、ディプレッシブ・ブラック風の絶叫の入った、ブラック寄りのロックンロールをベースに、ジャジーなアンサンブルやフォーク・カントリーから影響を受けたメロディ等を多少滑ろうが空回ろうがお構いなしにブチ込んでくる、アヴァンブラックでもかなり変態度の高い音。分かりやすい「変」さで、余りにも変すぎると逆にそれがキャッチーに聞こえるという、見本のような作風。

LIFELOVERが引き合いに出されてましたが、確かにアーバンでお洒落なピアノや、SEの使い方等は似てるんですが、こちらはもっと不真面目かつ軽妙さがあると思う。ヴォーカルも普通にかっこいい絶叫も出来るのに、情けなく裏返したりいかがわしいオペラ声で歌い上げたり笑い出したり変態パフォーマンスで素敵過ぎる。4曲目の「ボンソワール、マダム。コンサヴァ?トレトレビアン!」とか何処のじまんぐ氏ですか(笑)。

何気にメロディのセンスが優れているのも素晴らしい。
1曲目のピアノフレーズなんかは、それに限って言えばSFC時代のFFやロマサガの、ラスボス戦で流れてもおかしくないようなドラマティックなものも弾いているし、3曲目のフォークメロなんてもうちょっとでお祭り系ペイガンになってしまいそう。意外とクサメタラー受けも良いかもしれません。

という訳で個人的に大推薦のアルバム。
変り種ブラック好きからクサメタラーまで幅広くお勧め。変な音楽が好きなら買っとけ、って感じです(笑)。キャッチーで変なフックが多いため、あまりサイケ/サイコには聞こえないんですが、こういう軽妙さも味があっていいと思います。


PERGALE ★★ (2011-11-05 16:34:56)

リトアニア産ブラックメタル/ディプレッシブロックバンド。
変態系の多いブラックの中でも、真性の変態で変り種、かつそれがキャッチネスに直結してる、ユニークな音楽を演ってるバンドだと思うので、変わった音楽好きは是非チェックを。


CRUCIFIST - Demon-haunted World ★★ (2011-11-05 16:32:01)

2009年発表の1st。

曲名のほうも「Anus Mundi」というものがあったり、パンチが効いてる感じですが、音の方もスラッシュやサタニックなデスメタルの要素の強い、オールドスクールなブラックメタルでダーティ極まりない雰囲気を醸し出してますね。音の分離は悪くないものの、Dan Lilker氏の弾くベースの音色がやたらヴォルヴォル言ってて、ただでさえ地下臭いムードを更に助長させてます。

この手のスラッシーでオールドスクールなブラックって、割とスラッシュ由来のかっこよくて熱いメロディが多かったりしますが、このバンドはどこか病んで湿ったような雰囲気のメロディが多く、ホラーでカルトなムードも強いのが特徴。個人的には酔っ払いダーティなふてぶてしさで地声混じりにがなりヴォーカルのスタイルはいまいちツボに嵌まらないんですが、黴の生えそうな作風自体は結構好きですね。

オールドスクールな路線ではあるものの、Profound Lore産らしい捻りも効いていてユニークな音。ダーティで汚らしいブラック好きな人、レーベルの作品を追っている人にお勧めです。


CRUCIFIST ★★ (2011-11-05 16:28:14)

Profound Loreより1枚のアルバムをリリースしている、アメリカのブラックメタルバンド。既に解散していますが、様々な有名メタルバンドに参加した経歴を持つDan Lilker氏も在籍していました。


GLORIA MORTI - Anthems of Annihilation ★★★ (2011-11-04 23:20:23)

2010年発表の3rd。

メンバーの見た目からしていかついですけど、音はもっといかついですね(笑)。
店の紹介ではメロディック・ブラックとされてましたけど、個人的にはその上に「超攻撃特化型」というフレーズを上乗せしたい感じ。とにかくファストパートの殺傷力が半端でなく、粒の揃ったドラミングと、ブラックの粗さではなく、デスの重さに通じる、ヘヴィなリフによる圧殺サウンドが非常に耳に心地良い。

無慈悲に刻むフレーズを多用し、時折メロデスに通じるフックあるメロディを仕込んでくるリフ捌き自体もデスに近いですし、ヴォーカルが低音グロウルとハイピッチの絶叫をするスタイルなのもデスっぽいですが、この無闇で殺気だった爆走やピアノ・キーボードによる不穏さの演出はブラック的と言えるかも。何気に声量あるグロウルと、顎がイカレそうな絶叫のどちらも迫力満点な、ヴォーカルのパフォーマンスの良さも特筆したいところ。

確かに、音が整い過ぎていてブラックっぽくはないんですが、メリハリの付いた曲展開もド迫力の超いかつい音作りも素晴らしいし、何より単純に聴いていて気分が良いアルバムなんですよね。エクストリームメタルとして非常にクオリティの高い作品ですので、メタラーの間で広く聴かれることを願います。


HELRUNAR - Frostnacht ★★★ (2011-11-04 23:13:17)

2005年発表の1st。
…ドイツ語全く分からない私でも意味が分かるアルバムタイトル(笑)。

Lupus Lounge発の、ジャーマンペイガンブラックという触れ込みでしたが、民族っぽさは多少メロディに感じられるくらいで、実質的にはリフやアコギパートに込められた叙情メロで押す、メロディックブラックに分類できそうな音。しかしその民族っぽさが、かなり良い味になってるんですよね。メロブラの身を切る寒々しさだけでなく、民族的なメロウさも兼ね備えたリフのメロディは、他のメロブラよりも神秘的で、一段奥深いような印象を残します。

また、音質も悪くないし、カルト方向に行かない、メタリックさもかなり強い作風ではあるんですが…ヴォーカルの憎々しげに潰れた絶叫であるとか、クリアながらガリガリと金属質で尖った質感のリフの音色であるとか、メジャーでオーバープロデュースされたバンドよりも生々しさを残してくれているんですよね。この生々しさが、この作品の神秘的なムードを更に強いものにしているように思います。

しかしNEGURA BUNGETにFARSOTにSOTMに…Lupus Loungeってほんと良いバンドとばかり契約を交わしてますよね…。このレーベルの色が好きな方にも大推薦の一枚。


SVART CROWN - Witnessing the Fall ★★★ (2011-11-04 23:09:00)

2010年発表の1st。

なかなかに凝ったイラストが描かれたジャケからは、同郷のバンドなら少し前までのDEATHSPELL OMEGAやGLORIOR BELLI辺りに通じる、宗教的ムード漂う邪悪ブラックが予想されますが…半分当たりといった感じですね。

フランス産らしい病んだメロディが、深遠な邪悪さを演出する、真性ムード剥き出しのブラックメタル…という所まではジャケから予想してた通りだったんですが、思った以上にブルータルなサウンド。特にドラムの、鈍器で目一杯どつきまわすような音色にかなり迫力があり、ファストパートはMARDUKと比肩するレベルの破壊力があると思う。

このドラムに加えて、しっかりリフの音色も太く、毒々しく仕上げてくれているのも素晴らしいですね。音量も適正で問題なし。また、ヴォーカルもやや低め~中音域メインのがなり声ながら、声質が太く邪悪なムードに説得力を持たせる事に成功してると思います。精神のタガが外れたような絶叫パートもありますが、鬱系のように細い裏返り系でなく、あくまで野太さを保ったままの咆哮なのがかっこいい。

個人的な印象では、上記のバンドも勿論思い浮かんだんですが、「やけくそになったWATAIN」みたいな感じがあるんですよね(笑)。起伏のある展開で、DSO的な邪悪メロで押すミドルパートも少なくはないですが、この迫力ある音はファスト好きにもお勧めしたいところ。


SKALDIC CURSE - Pathogen ★★★ (2011-11-04 00:05:36)

2006年発表の1st。

FENのメンバーが在籍するブラックという触れ込みでしたが…最近テクニカルなポストブラックとして、外部からも着実な評価を集めつつあるFENとはある意味真逆で、プリブラ好きがプリブラ好きのために作ったような、カルト極まりないプリミティブブラックですね。音質もジャリジャリしたギターが壮絶な雰囲気を醸し出してるし、ヴォーカルも苦しみもがきなら叫んでいるような、声帯の壊れる音が聞こえてきそうな本気具合でマジなムード全開。っていうかヴォーカル近いです(笑)。

また、普通のプリミティブブラックよりも、メロディが独特なのも特徴ですね。特に2曲目や4曲目の後半など、正体不明の細菌が体内で繁殖して絶命するような、毒々しく気持ち悪いメロディがかなり耳に残る。5曲目頭のリフもまるで歯医者で神経抜いてるかのようなウゾウゾ感。こうしたメロディの毒が、カルトな作風と相俟って得体の知れなさや神秘性に繋がっているように思います。

正直FENのようにブラック好き以外からの支持を受けることはなさそうな音なんですが、音が悪過ぎてなんだか分からないレベルの、フェティッシュな魅力ではなく、カルトなりに楽しめる質の高さがある音源ですので、プリミティブ系が行ける方は是非。


SKALDIC CURSE ★★ (2011-11-04 00:03:34)

イギリス産プリミティブブラック。
意外にもFENやAKERCOCKEと人脈的な繋がりがあるバンド。


LUX FERRE - Atrae Materiae Monumentum ★★★ (2011-11-01 23:29:50)

2009年発表の2nd。

視界全体にどす黒い雲が垂れ込めるかの如き分厚いギターリフの音色と、毒々しく陰鬱なメロディのトレモロリフを特徴としたブラックメタル。曲のかなりのパートをこの毒々しいトレモロリフで覆った作風なんですが、ポストブラックっぽさはほぼなく、常にメタリックな迫力のある音を聴かせてくれる辺り、感性の根っこにはファスト/ブルータルブラックがあると思う。

この作品、出音がメタリックな割にはメロディがかなり陰鬱なんですよね…それがスロー~ミドルのパートでは鬱系に通じる陰湿なムードを、ファストパートではある意味の甘美さを醸し出していて、曲を非常に魅力的にしていると思う。悪魔崇拝的な雰囲気は希薄ながら、病んだ湿り気のある空気感があって、聴いている内に体にメロディに含まれた毒が回っていきそうな音。

ヴォーカルも結構独特で、特に高音絶叫時のエッジの揃い具合がなんか気持ち悪い、ちょっと変わった感じの声。個人的にはこういう骨の太い音には凶悪ながなり声の方が合うかな…とも思うんですが、メロディの陰湿さにはマッチしているので悪くないと思います。ディプレッシブ系の病んだメロディは好きだけど、メタリックで直接的な攻撃性も重視したいという方にお勧め。


FORTERESSE - Par hauts bois et vastes plaines ★★ (2011-11-01 23:25:21)

2010年発表の3rd。

エピック・アンビエント・ブラックメタルを標榜している通り、ブラックメタル特有のノイジーなギターリフと寒々しいムードを演出するキーボードにより、凍てつくような情景を描写する、VINTERRIKET辺りを髣髴とさせる路線ですね。検索するとこのバンドはNS的な主張を持っているとの事ですが、音からはそうした部分は全く感じられない、ひたすら情景描写に特化した作風。

ただしVINTERRIKETと比較すると、こちらはキーボードの音に「包まれている」という感触はやや希薄。ギターリフによるノイジーで寒々しい音の上に、美しいキーボードメロが乗っている感じ。個人的には、アルバムの頭の、ノイジーなバンドサウンドの上にキーボードがフェイドインしてくる箇所が凄く好きですね。日の出のシーンのような美しさを感じさせます。

もう少し「このバンドならでは」というものが欲しいところですが、しっかり寒々しいアンビエンスを演出している良作だと思います。VINTERRIKETやCOLDWORLD、AURVANDIL辺りのアンビエントブラックが好みの方にお勧め。


THOR'S HAMMER - The Fate Worse Than Death ★★★ (2011-10-31 21:10:28)

2002年発表の3rd。

思想面・人脈面からNSブラックやペイガンブラックに分類される彼らの音楽性ですが、出音の方はほぼプリミティブブラックですね。メランコリックなメロディと、スラッシーなリフも織り交ぜながらRAWに暴走していくスタイルで、トラッド色はギターメロに僅かに感じ取れるか取れないか…といった程度で、基本寒々しいメロディ中心で展開。一部の曲での神秘的なキーの導入は、GRAVELANDを思わせたり。

音作りはノイズの薄い壁を隔てて、演奏が聴こえてくるようなかなりRAWなものですが、これがプリブラ好きには実に心地良いんですよね。リヴァーブの効きまくったヴォーカルとこのノイズ質が硬い質感を持って耳孔を蹂躙するような音は、正しく作り込まれた音以上に直接的な快感をもたらしてくれます。演奏の細部が聞き取れないほど音が悪い訳ではないし、一度プリブラの洗礼を受けた人には十分勧められる音。

ちなみに、09年リリースの再発盤にはヴォーカルレスのリハーサル音源が2曲入ってますが、音は確かに悪いものの、ノイズが晴れた分彼らのメロディセンスがより堪能できるものとなっているので、こちらもお勧め。


THOR'S HAMMER ★★ (2011-10-31 21:07:38)

ex-GRAVELANDのCapricornus氏が参加していたNSブラック。
THOR’SがポーランドのNSブラックで、THORR’Sがアメリカの女性Voデスなのでお間違えのないよう。


CRIMSON MOON - The Serpent Beneath the Skin ★★ (2011-10-31 21:02:57)

2007年発表の4曲入りEP。

96年の1stとのカップリング盤を買いましたが、10年以上経っているのにやっていることが殆ど変わらないのが頼もしいですよね(笑)。相変わらず、荘厳でクラシカルな中に、呪いの音楽のような不吉なメロディを含んだシンフォニックブラックを演ってます。

ただ、流石にこちらの方が各パートの音が聞き取りやすくなっているのと、音像の演出の主導権がキーボードからトレモロリフに移ったのが大きな違いでしょうか。それによって、僅かにメタリックになっている印象。LIMBONIC ARTの復活作(5th)辺りにも近い音ですが、LIMBONIC ARTよりも変化の度合いはかなり緩やか。

そういう訳で、1stが気に入った方なら違和感なく聴けるであろう作品。普通に1stアルバムリリース後1年足らずで発表されたEPって言っても信じられるくらい、世界観にブレがないです。


CRIMSON MOON - To Embrace the Vampyric Blood ★★ (2011-10-31 21:02:10)

96年発表の1st。
07年発表のEP「The Serpent Beneath the Skin」とこのアルバムがカップリングとなった音源集「Xepera Xeper Xeperu」もリリースされています。

空間系キーボードの、黒魔術を通じて宇宙の意識とアクセスするかのような音色が禍々しさを感じさせる、オカルティックなシンフォニック・ブラック。初期LIMBONIC ARTをトレモロ増量してギターリフを聴こえやすくし、黒魔術的ないかがわしいムードを更に増幅させたような路線

普通に荘厳なメロディを弾いているパートでは、正直LIMBONIC ARTやLUNAR AURORAに音像のインパクトで一歩見劣りしてしまう気はするんですが…4曲目の、呪いの音楽のような邪悪キーボードメロと、禍々しさで聴き手の体温を下げるトレモロがブレンドされ、どす黒い魔術ムードを醸し出すパートなど、瞬間的な雰囲気の濃さは凄まじいものがあると思う。

このままでも十分邪悪で魅力的ではありますが、こういう音作りに特化した、全体のバランスよりもケレン味重視の曲作りをしてくれれば、個人的にはどツボでしたね…。


INFAUST - BLUTBAD & MELANCHOLIE ★★★ (2011-10-30 22:20:33)

2008年発表の2nd。

ドイツ産五人組メロブラ…と紹介されてたので、割とメタリックな音を想像してたので、頭の出音のRAWさでまず驚きましたね(笑)。パッと聴いた感じでは、バンドの各楽器担当が自分の出音がこれで納得したのか疑問に思うほどの粗さだし、ヴォーカルはやたら潰れた、無理矢理声を絞ってる感じだしで、マニアックな独りブラックみたいな音…というのが第一印象。

しかし1曲目を聴き終わる頃には、その印象が全く変わってました。
低音にメロウなメロディが要るようなパートではベースがしっかり前に出て主張するし、ジャリジャリしたノイズ質で寒々しさを演出しつつ、そこにメロディアスなトレモロを入れるギターワークはメロブラ然としてかっこいいし、何よりアナログ感のあるドラムの音が素晴らしい。…あれ、意外と各メンバーの音のバランス良いじゃん、って感じの音。6曲目のピアノインストもメロディセンスの高さを感じさせますし。

…そもそも、ジャリジャリした音質だからパッと聴きRAWに感じるんですが、意外にも各パートごとの分離は悪くないんですよね。曲展開やメロディもメロブラとして高品質なものがあるし、個人的には☆を3つ付けたい作風。ドイツのブラックとしてはGRAUPELやNEGATORより一歩踏み込んだマニアックさがありますが、メジャーなバンドにはない味もあって良い作品ですよ。


OPERA Ⅸ - Sacro Culto ★★ (2011-10-30 22:15:00)

98年発表の2nd。
05年にAvangarde、09年にPeacevilleより再発されてます。

ジャンルとしては、ゴシックよりのプログレッシブなシンフォニック・ブラックでしょうか。格調高く、薄暗い耽美さを感じさせるオーケストレーションを武器に、平均1曲10分以上の大作をドラマティックに聴かせる作風。メロディのクラシカルな上品さとは裏腹に、リフは結構がっつり刻むタイプで、スローパートはドゥーミー、ファストパートはスラッシーでなかなか聴き応えのあるサウンド。

この盤でヴォーカルを務めるCadaveriaのデス声は、女性らしい地声が混じるところに、獰猛さが垣間見える声でかなりかっこいい。男性のそれよりも憎々しげに聴こえて、作風とも相俟って、聴いてると薄暗い宮殿の中をゴルゴンだかネメシスだかメデューサだかに延々と追いかけられているような気分になってきます。クリーンも鬼女めいた邪悪な感情を入れたり、ソプラノ風に綺麗に歌い回したりなかなかの表現力。

ただ、リフがメタリックなのはいいんですが、ちょっと刻みに頼り過ぎていると思わなくはないかも。キーボードのメロディの美しさと、展開のドラマ性でそこまでは感じさせなくはしてますが、リフだけ聴くとちょっと平坦かもしれないと思う箇所も。個人的にはもう少しメロブラ寄りだともっと好みだったかもしれません。


OPERA Ⅸ ★★ (2011-10-30 22:14:15)

イタリアのゴシック/ブラックメタルバンド。
女性のデス声使いとして割と有名なCadaveria嬢もかつて在籍してたバンドです。


ADVERSARIAL - Prophetic Plain of Abyssal Revelation ★★★ (2011-10-29 10:48:16)

08年発表のデモに未発表曲・新曲を加え、11年にリリースした音源集。

良質のブラッケンド・デスが入荷したとの事で、なんとなく買ってしまったんですが…これは「良質」どころじゃ済まされない、本当に素晴らしい作品。何と言ってもデス・ブラックの良いとこ取りをしたリフが素晴らしい。昔のMORBID ANGELに通じる魔闘気と、真性ブラックめいた邪気をブレンドしたような、極上の妖気を放つリフ。個人的にはこのリフに嬲られてるだけで幸せだわ…(笑)。

音質は少し篭りがちですが、逆にそれが冒涜的なムードを強め、リフの音色に邪悪な響きを帯びさせているので全くマイナスにはなりませんね。デモ音源なんてベースレスですが、むしろRAWでテンションの高い疾走振りと、リフの良さが際立っていて悪くないと思う。ヴォーカルはかなりデスに寄った低音咆哮スタイルですが、篭って光の差さないような音作りに良く映える声で、かなり雰囲気出てて良い感じです。

これはEPですが、正直去年出たフルアルバムよりも断然良かったので、スルーは厳禁です。むしろフル先に聴いてカルト過ぎて駄目だった方にもお勧めしたいところ。


ADVERSARIAL - All Idols Fall Before the Hammer ★★ (2011-10-29 10:47:07)

2010年発表の1st。
EPが良かったので、フルのほうも購入しましたが…こっちは微妙かも。

リフとヴォーカルが引っ込み、代わりに缶を叩くような奇妙な響きのドラムが前に出てきてますが…確かにドラムの響きは変で好きではあるんですが、このバンドの美点であるリフが聴こえづらくなってるのはかなりマイナスかも。ヴォーカルも低音咆哮スタイル自体は変わらないものの、ウィスパー程度にしか聴こえないミックスのせいで迫力が落ちてしまってる…。

ただ、音作りが変化しただけで、リフや曲作りの方は相変わらず素晴らしいんですよね。まあそれが、更に惜しく思わせてしまうんですが。RAWブラックやダーティなウォーブラック、地下臭いサタニックデスなど、篭った音質をむしろプラスと捉えられる人は、EPよりこっちの方が気に入るかも。


MORK GRYNING - Return Fire ★★★ (2011-10-27 22:05:22)

1997年発表の2nd。

マイナー物件な上解散済みのバンドですが、これは素晴らしい。
工事現場の砂袋を一気に引っ繰り返したような、ジャリジャリした音色のリフが耳を引く音像の上に、トレモロリフを含むギターや神秘的なキーボードが印象的なメロディを乗せる、かなりメロディアスなブラックメタル。ヴォーカルの殺気だった、顎が逝きそうな絶叫も迫力あります。

この作品はメロディのセンスがほんと素晴らしいんですよね。
EMPERORの1stをほんの少しだけトラッド寄りにして、メロデス的な親しみやすさを加味したような、残忍さとキャッチネスを備えたメロ。ギターソロも入りますが、しっかり邪悪キャッチーなセンスは引き継いでおり、人間狩りでも煽動してそうな雰囲気がある。幽玄さを醸し出す、キーの音色選びのセンスも文句なし。

既に解散しているのが惜しいですが、90年代北欧ブラックメタルの残虐な雰囲気を余す所なく伝える、かなりの良盤ですので、ブラック好きな方はチェックしてみては。


MORK GRYNING ★★ (2011-10-27 22:04:34)

90年代半ばより活動する、スウェーデンのブラックメタルバンド。
残念ながら05年にセルフタイトルアルバムを発表した後解散した模様。


GRIMFIST - 10 Steps to Hell ★★ (2011-10-27 21:57:41)

2005年発表の2nd。

超ハイテンションで猛然と刻み込む、スラッシーなリフを軸に攻め立てるブラックメタル…というか、演奏だけ聴くとほぼスラッシュメタルですね。ヴォーカルはブラックメタル特有の殺気立ちまくった絶叫で、スラッシュとブラックのゴツイ所のみを合わせたような、野蛮極まりない音。もう音からイカツイ漢どもが演ってそうな感じで、音質のゴツさもあって聴いていて爽快なほど。

ただ、ゴツイだけでは終わらないのがこのバンドの面白いところ。
スラッシュをベースに展開しつつ、所々でメロブラ的な広がりのあるメロディだったり、メロデスの正統派にも通じるメロくて高揚感のあるリフだったり、様々な要素を挟んでくるのが特徴。1曲目から全体のいかつさとは裏腹の、ゴシックのような哀感を醸すクリーンパートを挿入していて、「クリーン入りメタルコアでもここまで落差ある曲作りしないよなぁ…」と、なんか感心してしまいました(笑)。

展開も結構面白いし、なによりスラッシーでゴツいリフの応酬は聴いているだけでスカッとするのでお勧め。


LUROR - Cease to Live ★★★ (2011-10-27 21:49:39)

2008年発表の2nd。

シャーシャーしたリフを伴って疾走する音像自体は紛れもなくプリミティブ・ブラックsのものですが、やはりABSURDの人が演っているだけあって、時折メロディにパンキッシュな爽やかメロウなものが交じるのが特徴ですね。基本は北欧のプリブラに通じる、寒々しいトレモロ中心ですが、それが程よいアクセントになってると思う。常にトレモロだったりソロだったり、何かしらメロディ要素のあるかなりメロディアスな路線。

…ではあるんですが、これだけメロディを曲に練り込みつつ、全く地下臭さが取れていないのはある意味凄いですよね…。ヒリヒリするような緊張感を伴うノイジーな音質は、曲の炸裂感すら感じさせるテンションの高さを際立ててるし、高音絶叫も中音域のがなりも全力で、かつ表現力高いヴォーカルからは半端ない殺気が漂ってます。特に中域がなり、真似したら腹筋攣りそうなくらい(笑)凄まじいです。

アンダーグラウンドの美味しい部分はしっかり押さえつつも、変にマニアックで聴きづらくなっていない音源なのでかなりお勧めです。


LUROR ★★ (2011-10-27 21:48:07)

ABSURDやWOLFSMONDのUnhold氏によるブラックメタル。


ELYSIAN BLAZE - Levitating the Carnal ★★★ (2011-10-26 23:23:38)

2006年発表の2nd。

このバンド(独りだけど)も、鬱ブラックの中でもやりすぎていて、半ばメタルの定義から逸脱しかかった音を聴かせてくれますね…。ドラムを除くフレーズがほとんど分からなくなるくらい、蕩けて音像全体に広がったバンドサウンドと、アトモスフェリックなシンセが溶け合い、ひたすらに黒く沈んだ世界観を演出する鬱ブラック。地獄の穴に死者の魂が引き寄せられていく様子を、眼前で見せ付けられているかのような絶望感。

このバンドはアトモスフェリック系のシンセだけでなく、ピアノの音色も多用してますが…そのメロディのセンスが尋常でなく素晴らしいんですよね。特に2曲目の「Macabre Be Thy Blood」で繰り返し聴けるピアノのメロディは、儚さ、絶望感、美しさ、毒々しさの全てが、キャッチーと言っても過言ではないくらい分かりやすく込められていて、聴いているだけでアッチの世界から喚ばれている感じがしてきます。

鬱系の中でも徹底して美しく、絶望的な情景を描いてくれる作品。
取り合えず暗くて美しい音楽が好きなら楽しめるかと。音楽性的にはかなりカルトな路線なんですが、メロディの美しさや聴き手を惹き込む音像のせいで、意外と聴けてしまう音だと思う。


ELYSIAN BLAZE ★★ (2011-10-26 23:22:48)

オーストラリア産鬱ブラック。
NORTT等同様、フューネラルドゥームの色も濃いサウンド。


NAHAR - La Fascination Du Pire ★★ (2011-10-26 23:19:18)

2009年発表の1st。

プリミティブブラックとしては厚めの、ノイジーなギターリフが、どこか洞窟に閉じ込められたような鬱屈したムードを感じさせるブラックメタル。幽霊コーラスや葬送曲的ギターソロが聴ける5曲目、機器が故障したかと思う奇妙なリフが聴ける6曲目など、プリブラとしてはかなり曲ごとのフックが強い印象。また太いがなり・うめきスタイルのヴォーカルも、曲の閉塞感を更に高めてますね。

トレモロリフやアルペジオによる、フレンチブラックらしい毒の効いたメロディも入ってきますが、迷い人を更に深淵に導く鬼火だったり、鉱毒を誘発する汚水がゆるゆる流れる様子だったり、やはりメロディから受けるのも洞窟的なイメージ。ただメロディから情景が浮かぶほどメロディアスではあるし、プリブラ聴いてる人はこういう「毒」は好物であるはずなので、然程聴きづらい音ではないと思う。


NAHAR ★★ (2011-10-26 23:17:18)

NEHEMAHのメンバーも在籍する、フランス産プリミティブブラック。
Avangarde Musicより1stをリリースしてます。


VREDEHAMMER - Pans Skygge ★★★ (2011-10-25 22:06:14)

2011年発表の5曲入りEP。
ちなみにまだフルアルバムはリリースしていない模様。

ショップやネットの評価でも、最近のメジャー路線のKEEP OF KALESSINの良質なフォロワーが現れたと評判になってて、「これはチェックせねば」とCD買いに走りましたが…確かに「Reclaim」EP以降の、スラッシーに刻み込む、攻撃的かつ繊細でメロいリフワークを主体で攻めるスタイルのブラックで、インスト明けの2曲目からいきなり機銃掃射のようなリフが胸を熱くさせますね。

ヴォーカルの狂気に任せず、一語一語をダーティに、確信を持って吐き出すようなパフォーマンスも、(KOKの)Thebonのスタイルに似たものがあります。ただゴシック的な暗さを演出するインストで始まったり、所々に暗鬱としたメロディを挟んだり、近年のKOKよりも全体的に暗めな印象。また、ヴァイキング的な朗唱や掛け声なども導入しているのが特徴で、ラストの曲はほぼ完全にヴァイキングメタル。

ただ、作曲のクオリティは非常に高いんですが、予算とメンバー構成の違いのせいかプロダクション面ではKOKには今の所水を開けられてる感じですね…特にドラム、打ち込みっぽい違和感こそ少ないものの、KOKの達人が呼吸を合わせる感じがなくて物足りない。ギターがノイジーなのは、時々大味に聞こえてしまう時もあるけど、近年のKOKにはないカルトな迫力も出てるので、一概にマイナスとは言えないと思う。

ちょっと迷ったんですが、スタイル自体がかなり好みなので、☆は3つ付けちゃいます。このバンドもVyl氏のような、超絶ドラマーが加入したらもっと素晴らしいものが作れそうなんですけどね…。


VREDEHAMMER ★★ (2011-10-25 22:04:06)

ノルウェー産ブラック。
ex-ELITEのPer Valla氏が中心となって活動しているバンド。


FALLOCH - Where Distant Spirits Remain ★★★ (2011-10-25 22:00:03)

2011年発表の1st。
某有名メタル取扱店で猛プッシュされてて、つい買っちゃいました(笑)。

個人的には情景描写に徹しすぎて音像にあまり動きがなかったり、メタルとしての形を留めていないポストブラックってちょっと苦手なんですが、これはいいですね。アコースティックなパートと苛烈な疾走も含むブラックパートでメリハリが付けてあるし、曲の展開によって笛やピアノ、休符を上手く使ったベースライン等を取り入れたり、聴き手を更に深く引き込むような音像の変化があるのが良いですね。ラストをピアノインストで締める構成も非常に美しい。

勿論、話題になるだけあってメロディのセンスは抜群に良いです。
笛を使っていることからも分かるように、幻想的で柔和な、トラッド色の強いメロディで、特に3曲目のアコギ・笛・シンセ・パーカッションによるインストの「Horizon」なんかは、リアルに水平線に沈む太陽が脳裏に浮かぶよう。テレビで、早朝の番組が始まる前の時間に自然の風景の映像を流してたりしますが、ああいうのに合わせたらハマりそうなんで、局の方どうでしょうか(笑)。

ちなみにヴォーカルはほぼクリーン。
OPETHやALCESTを思わせるような、優しげに歌い上げるイケメンボイスで、ハモりも多用し実に心地よく聴かせてくれます。OPETHよりもちょっと若い感じで、個人的にはもう少し軽さが無くなれば言うこと無しですが、まあ悪くないです。ただ、時折感情が高ぶったように声を荒げる部分は、デス声未満のかなりヌルいがなりになってるのでそこだけは改善して欲しいかも。叫ぶならNeigeくらいやって欲しい。

…と、色々書きましたが、確かに店の人がプッシュしたくなるのも分かる、良質のポストブラックですね。個人的には普段ワールドミュージックとか、非メタル・非ブラック聴いてる人の感想が聴いてみたい作品。ここはお店の甘言に乗せられて、手を出してしまってもいいのではないかと思います(笑)。


FALLOCH ★★ (2011-10-25 21:59:33)

去年結成された、イギリスのポスト/フォークブラック。
ショップやレビューサイト、ブログ等での評価もかなり高い模様。


CELESTIAL BLOODSHED - Cursed, Scarred and Forever Possessed ★★★ (2011-10-24 23:42:20)

2008年発表の1st。

鬱ブラックにも通じる、気が滅入ってくるような陰鬱なメロディを、ジリジリと聴き手の正気を奪うような音色のギターリフに乗せて展開する、地下でカルトな雰囲気の強いブラックメタル。ただ鬱々としているだけでなく、どこかDMDS期のMAYHEMを思わせるような、背徳的なムードも漂っているのも特徴で、メロディの陰湿さと裏腹の猛然とした疾走にはなにかタガが外れたような狂気を感じられます。

何気にヴォーカルの表現力が高いのも個人的にツボなポイントですね。
ブラック特有のがなりスタイルながら、恨みと憎しみに囚われた亡者が腐った肉を引き摺りながらもがいているような、粘着質で真に迫った感じがある。特に凄まじいと思ったのは「All Praise to Thee」で、恨み以外の感情を全て捨てて、遺恨のみを吐き出し続けているような、異様な迫力があって素晴らしい。歌った後暫くはあっちの世界から帰ってこれなそうな感じ。

ちなみに当時はライブではKEEP OF KALESSINやANTARES PREDATORに籍をおいた経験もあるGhash氏が加わり、このアルバムでも「Truth is Truth, Beyond the God」に参加してますが、それらのバンドのようなメタルとしての真っ当さは皆無で、徹底して地下臭い雰囲気を醸し出してます。アングラなブラックをある程度聴いている方にはお勧めです。


ⅩⅣ DARK CENTURIES - ...den Ahnen zum Grusse... ★★ (2011-10-24 23:37:02)

2003年発表の1st。
フルアルバムとしては一枚目ながら、良くプロデュースされた音の、割とメジャー志向なペイガン/フォークメタルですね。

メロデスとメロブラの要素を備えたメタリックな音を基本に、民族調のメロディを乗せる路線。この手のペイガンメタルではメロデス要素の強いバンドが多い印象で、このバンドも刻みを多用したリフ捌きや、硬く整った音質などはメロデスっぽいですが、ヴォーカルの絶叫やDISSECTIONを思わせるアコギなどはかなりメロブラの要素強め。全体的には、メタルの熱さより情景の冷たさが強く伝わる辺り、メロブラの色がやや強めかな…と思います。

ただこのバンド、メロディは確かになかなかクサめなんですが、お祭り系の明るいメロ+笛などの民族楽器スタイルではなく、あくまで冷厳な音色のシンセによってメロウなトラッドメロを奏で、身を切るような物悲しさを演出する路線なので、SVARTSOT辺りのバンドと比べると即効性は高くはないかも。ただ全編渡ってシリアスなムードで、戦場の冷ややかな空気が伝わるような感触があるのはいいですね。時折入る威厳のあるヴァイキング歌唱も戦場に響く凱歌のようで雰囲気たっぷり。

知名度は高いとはいえないバンドですが、ペイガン/フォークが好きならば押さえておいて損はないかと。このキャッチーなんだけど冷厳さもあるメロディ、なかなか聴き応えあります。


DEFAILLANCE - Contemplation misanthropique de l'humanité... ★★★ (2011-10-20 22:54:35)

2008年発表の1st。

3曲で30分近くという大作主義な作風の鬱ブラック。
鬱ブラックの中でも、聴いていて情景が浮かぶタイプの作風ですね。ギターが聴き手の生気を奪うように、ノイズの霧で全体を覆いつつ、そこにキーボードの淡々としたメロディが絡み、ヴォーカルが泣き叫ぶように絶叫するスタイル。

個人的にはキーボードの使い方が、BURZUMの名曲「Dunkelheit」に通じる、深淵に向かって一歩一歩踏み込んでいくような、神秘性と絶望感を感じさせてくれる音でかなりツボ。特に1曲目・3曲目は、大罪を犯した人間が死後に地獄への回廊をとぼとぼと歩いているような絵が浮かび、その情景の絶望感に打ちひしがれそうになります。

鬱系のアルバムとしては短めで、情景に浸ってると結構すぐ終わっちゃいますが、その分濃く「聴かせる」世界観を持っているのでお勧め。ほんと聴くだけで気力が萎えてきそうです(笑)。


TEITANBLOOD - Black Putrescence of Evil ★★ (2011-10-20 22:49:40)

2004年発表のデモ、05-06年のスプリット音源を集めた編集盤。
09年リリース。外側からはアルバムタイトルが見えない面倒な仕様(笑)。

オールドスクールなデスメタルの、ドロドロした質感の強いリフ捌きで攻める、やたらテンションの高いウォーブラック…が隣の部屋から聞こえてくるような音源(笑)。流して聴くと、どこでSEと曲が切り替わったのか一瞬分からないほどの篭りっぷり。ヴォーカルも喋り声の延長のようなガナリ、ウィスパーの延長のようなブラック絶叫で更にカルトなムードを煽ってます。

しかし、こんな出音なのに、かっこいいリフを弾いているのは十分伝わるし、時折入るギターソロにやたら邪悪なものがあったり、カルトファンにしか楽しめない訳ではない魅力があるのが面白い。ヴォーカルも曲の割に攻撃性が低い感じはしますが、生霊の声をマイクが拾ってしまった…みたいな雰囲気があって、悪くはないと思います。

正直一般のメタラーには全くお勧め出来ない音源ですが、初期BEHERITやINQUISITION辺りに魅力を感じる方は、聴いてみてもいいかと思います。


GOATMOON - Death Before Dishonour ★★★ (2011-10-19 21:13:57)

2004年発表の1st。

プリミティブブラックのローファイ音質にも篭り系とかノイズ系とか、色々と種類がありますが、この作品の音質は「やかましい系」って感じですね(笑)。プリブラお約束ともいえるジリジリギター、まるで金属の食器がぶつかるような、やたらウルサイ(くせに抜けのいい)ドラムの音色、プリブラの中でもテンション高い喚きまくりヴォーカルが合わさり、プリブラ屈指のやかましい音に。しかし、この手の音に慣れてると意外に不快に感じないんですよね。好き者限定とはいえ、まだ心地よく楽しめるレベルのやかましさ。

そしてもう1つ、特筆すべきなのはメロディの良さ。
全体をトレモロで覆い尽くした作風ではなく、基本オールドスクールなスタイルを踏襲しつつ、要所でメロいパートを入れてくる作風のため、冒頭を聞いただけでは世間で言うほどメロウじゃないかな、と思いましたが、3~4曲目辺りから風向きが変わってきました。特に「Humanhate Grows Strong within」は最初期のEMPERORに通じる、神秘性や異境性があると思うし、「Kunnia, Armageddon!」は「ここまでやるか」というくらい、メロディの主張が強い。

この作品、音質だけじゃなくて、曲作りの方もプリミティブと言えるのかもしれませんね。曲のバランスとか考える以前に、降りてきたメロディをそのままの、最も濃い状態で曲に注ぎ込んでいるみたいな感じ。やかましい出音にしろメロディにしろ、あるいは殺気だったヴォーカルにしろ、全力で殺りにきてる感じが素晴らしい作品です。


LUNA FIELD - Close to Prime ★★ (2011-10-19 21:07:51)

2003年発表の1st。

刻みを多用した、メタリックな感触の強いリフはメロデス的であったり、広がりのあるトレモロリフはメロブラっぽかったり、どこかドスの効いた、エグみのある感触はオールドスクールなデスに通じるものがあったり、エクストリームメタルのサブジャンルの良いとこ取りしたようなサウンドですね。

インスト明け2曲目の、デス的なヘヴィネスからブラックの叙情に繋がる「Odial」から、各ジャンルを横断したスタイルならではの、ダイナミックな魅力を見せてくれてます。ただ、デス好きからはブラックっぽい、ブラック好きからはデスっぽいと敬遠されそうな感じはあるかも。私も冒頭を聴いたら「あれ、デスじゃん」って思いかけましたし(笑)。

また、このバンドはヴォーカルがかなり独特。主にデス的な低音グロウルとブラック的高音絶叫を使い分けるスタイルですが、高音の方がローホイッスルボイスを改良してデス声にしたような、笛のような響きのある声で非常に個性的。聴いてて面白いです。時々ガテラルも使いますが、これは声の張りが今ひとつでちょっと微妙かも。

ただ、このバンドのスタイル自体は個人的には好きなんですが、曲によってクオリティにバラつきがある気がするんですよね…。「Odial」「Press the Pressure」「Witness of Delusion」辺りは緊張感があって、このレベルの曲が並んでいれば素晴らしい作品だったかも…と思わされますが、アルバムを通して聴くとダレる箇所も多いのが惜しい。もう少し曲を練り、取捨選択をしてくれれば名盤になったかもしれません。


HILLS OF SEFIROTH - The Neglected Ancestry (2011-10-19 21:02:01)

2005年発表の2nd。

6曲48分の大作主義な作風ながら、基本的にはジリジリとしたギターリフで責めたてる、プリミティブブラックの鋳型に忠実な音ですね。ただし出音は結構独特で、ギターの歪みやメロディ成分が一体となって、ドリルを捩じ込むように耳に刺さるような感触があるのが特徴。ドラムのRAWさを逆手に取った疾走もかっこいいです。時々ズレてる感じがあるのも味があって良いです(笑)。

個人的には、ミックスまで含めたヴォーカルのエグすぎるパフォーマンスも聴き所ですね。明らかに喉を潰して出しているような、ヤケクソ感と無理矢理感たっぷりな絶叫スタイルで、マイクが近いのか音量がかなり大きくて凄まじい迫力。この耳元で叫ばれてる感じがたまらないです(笑)。その声の陰湿さを際立てるような、根暗な感じのメロディも悪くないです。

ただ、「セフィロトの丘」なんて仰々しいバンド名の割には、曲が普通すぎるのが惜しいかも…。確かにヴォーカルは凄絶だし、邪悪が湧き出すようなトレモロリフのパートなんかは聴き応えありますが、もう少しこのバンドならではの何かが欲しかったところ。この時点ではこの系統のブラックが好きな人にのみお勧めという感じです。


モーニング娘。 - 12,スマート - この愛を重ねて ★★ (2011-10-19 21:00:14)

アルバムの中ではリラックスして聴ける感じの曲ですが、こういうリズムのループが強い曲で、しっかりその心地よさを活かしつつ、まったり聴かせられるのは上手いと思う。ただクサメロ好きからすると少しメロは地味目かも…こういう曲に派手なメロディが乗るのも変ですが。


モーニング娘。 - 12,スマート - OK YEAH! ★★★ (2011-10-19 20:59:43)

最近のつんく氏の曲では、スマイレージの「有頂天LOVE」を思わせるような、ユーロビートっぽい曲調。ただ有頂天~は可愛らしさ・元気の良さを重視してたのに対し、こっちはもっと洗練されてる感じ。クールな中に、隠し味っぽく中近東風のメロディが出てくる歌メロも好み。
あと私的には、最初のサビの「乙女は輝く」のほんの少しのタメ具合が凄く好き。インタビューを読むと、つんく氏はリズムに対してかなり拘りを持っているようですが、古参メンバーは特にその指導が行き届いてる感じがします。


モーニング娘。 - 12,スマート - My Way~女子校花道~ ★★★ (2011-10-19 20:59:12)

とにかくドラムがやったらかっこいい曲。
「女が目立ってなぜイケナイ」もそうでしたが、何故かモーニング娘の生ドラム使用曲ってやたらかっこよく仕上がってるんですよね。並のロックバンドよりよっぽどグルーヴィ。メンバーが主役のグループでも、こういうところにも全く妥協せず、全力を尽くしているのが聴いてて伝わってくるところが良いですよね。


モーニング娘。 - 12,スマート - 怪傑ポジティブA ★★★ (2011-10-19 20:58:28)

ブラスやハモンドの音がどこか夜を行くヒーローを連想させる、ちょっとお洒落でキャッチーな楽曲。歌メロはAメロからアイドルらしい愛想のよさ全開、どこを切り取っても極上のキャッチネスで実に素晴らしい!個人的には「カバンの中グッチャグチャ」の歌い方が、年季入ってる感じで好きです。ほんとにsuicaとか簡単には見つからなそうな、絵が浮かぶような歌いっぷりです(笑)。


MOR DAGOR - Necropedophilia ★★★ (2011-10-17 21:54:06)

2004年発表の3rd。
これはなかなかの掘り出し物かもしれません。

路線的には、ギターのノイジーさ強めな、やや粗めのプロダクションでファストに疾走する、ブルータルでRAWなブラックメタル。ヴォーカルもギャアギャア喚く、典型的なブラックメタルのスタイルで個性的ではないものの、かなり好きなタイプ。何気にドラムの畳み掛けが凄まじく、個人的にはブルデスと化してからのBEHEMOTHと共通する攻撃性を感じたり。尤も、プロダクションも重量級の向こうと比べると、こちらはRAWで粗い音作りのため、大分感触は違いますが。

ドラムに加えて、特筆すべきはメロディの良さ。
全体的にメロディから受ける、仄暗い邪悪さが滲み出してくるような感覚は、MAYHEM辺りのいわゆる「トゥルー」系のブラックと似ているんですよね。しかし多くのその系統のブラックとは違い、このバンドはメロディック・ブラックにカテゴライズしてもしっくり来るくらい、メロディを強調してくるのが特徴。メロいギターソロまで入りますが、メロデス寄りメロブラとは一線を画す邪悪でオールドスクールなムードがあると思う。

…しかし、このバンドはMAYHEM好きすぎですよね。まさか曲中で「Necrolust」って叫ぶとは思わなかった。なんかDeadになりきって叫んでそうな感じ(笑)。


MOR DAGOR ★★ (2011-10-17 21:53:28)

ドイツ産ファストブラック。
人脈的にはBELPHEGORと繋がりがある模様。


KLADOVEST - Escape in Melancholy ★★ (2011-10-17 21:46:57)

2009年発表の2nd。

…スタイルは俗に言う鬱ブラックですが、多くのバンドがBURZUMの3rd(の1曲目)に影響を受けた作風に向かうのに対し、このバンドはBURZUMの4th「Filosofem」アルバムの作風を踏襲したような作風で、意外にレアなタイプかもしれません。

特に特徴的なのはギターリフの、インダストリアルノイズすれすれの摺り込むような金属的な歪ませ方で、一聴して「Filosefem」アルバムを思い起こさせます。ヴォーカルが鬱系にありがちな裏返り絶叫でなく、がなりであったり、トレモロリフだけでなく、平坦な摩擦リフも多用する所なども似てますね。ただ、BURZUMの当該作品のような、深淵に向かって一歩ずつ進んでいくような絶望感は薄め。その代わり、メロディにはBURZUMよりも分かりやすい泣きがあるため、取っ付きやすさは悪くないと思う。

BURZUMの「Filosofem」や、NARGAROTHの「Rasluka」シリーズ等、金属質にノイジーな音質かつメロウさもある鬱ブラックが好みの方には大推薦…なんですが、正直言うと4分間ヂリヂリ平坦ギターリフのみで引っ張る導入部だけは辛いです…。


KLADOVEST ★★ (2011-10-17 21:46:02)

ウクライナ産鬱ブラック。
DRUDKHやOLD SILVER KEYなどの活動で知られるRomanがヴォーカルを務めてます。作曲や演奏はDmitriy Kという人物が担当しているみたいです。


DRAUGNIM - Northwind's Ire ★★★ (2011-10-15 00:05:53)

2008年発表の1st。

このバンドはペイガンブラックとして認知されているようですが、出音の方は笛や民族楽器を使うタイプではなく、厚いバンドサウンドをバックにギターやアトモスフェリックなキーボード、勇壮なクワイアなどがトラッド色の強めな、壮大なスケールのメロディを奏でるスタイルで、どちらかというとシンフォ系に近い感触ですね。

ただし、刻みを多用したギターリフはやや辛口なノイジーさなので、作風の割には取っ付きにくさを感じる方もいるかもしれません。私はこのややノイジーで厚いバンドサウンドが、眼前に岩壁が聳え立っているかのようなスケールを感じさせてくれるので、作風に合った音質だと思ってますが。この音色だからこそ、メロディの美しさが際立っている感じがします。

このバンドも、メロディのセンスがほんと素晴らしいと思う。
お祭り系のような派手さこそないものの、ただ壮大なスケールがあるというだけでなく、儚さだったり仄暗い哀愁だったりを感じさせてくれるメロディは、聴いてて胸を打たれる。他のシンフォ系やペイガン系と比べて、展開のスパンが長めなので、じっくりと聴き入りたい作品ですね。

個人的には、近年のGRAVELANDに通じる作風を、もっとメジャーな感性で演ってるような印象の作品。アンビエンス重視のGRAVELANDと比べると、演奏がマッシブでメロディもより実体的。メタルを、作品の風景と一体になって身を委ねるような聴き方で楽しむにお勧めです。


EVANGELIVM - Nightside of Eden ★★★ (2011-10-15 00:02:48)

2010年発表の6曲入りミニ。
と言っても30分以上入ってるので、ボリュームはそれなり。

…もうバンド名からして、ブラックメタラー注目のレーベルNorma Evangelium Diaboliや、ひいてはDEATHSPELL OMEGAを連想してしまいますが、作風の方もかなりDEATHSPELL OMEGAの3rdと共通項の多いサウンドですね。特にアルペジオやトレモロに含有される、毒々しさや邪悪さが漏れ出してくるようなメロディの質がそっくり。ロシアのバンドですがかなりフレンチブラックっぽい音だと思う。

しかも、メロディのセンスはそういった、バースが奇妙に歪んだ絵画のような不気味さがあるにも関わらず、この系統としては意外にメロディアスなんですよね。頭のイントロから結構長めのギターソロまで入ってますし。しかしメロディのセンスがセンスなので、メロいパートであればあるほど「毒」が強くなり、決して甘くならないのが素晴らしい。

また、DSOの3rdとは異なり、ドラムが打ち込みっぽい、割とチープな音なんですが…ドラムの音質が今ひとつだからこそ、ギターのメロディが際立ってる分マイナスにはならない感じですね。むしろこのチープさを逆手に取ったようなフックを持たせている部分まであるのは、かなり感心できるポイントだと思う。

バンドとしてはかなり若く、まだフルも発表していないくらいなんですが、これを聴く限り邪悪さのセンスはかなり優れていると思う。「いかにも」な感じの、神秘主義・邪悪主義全開なバンドロゴにピンと来た方は是非。


モーニング娘。 - 12,スマート - Give me 愛 ★★★ (2011-10-14 23:59:07)

まずアルバムど頭のこの曲でガツンと来ましたね…いや、ありえないでしょ、これでシングル切らないとか。先行シングルが4枚になってもこれはシングルにして欲しかった。

路線はOnly you等同様の、哀愁メロ+ダンサブルな路線で王道という感じですが、これまでのこの路線のどの曲よりも好きかもしれません。聴いてるだけで体が動く、グリグリしたシンセベースや、ガラス細工的な繊細さを醸し出すピアノの音色は聴いてるだけで幸せ。哀愁とキャッチネスが最高のマッチングを見せる歌メロも心底素晴らしいと思う。このレベルの歌メロをコンスタントに書いてるつんく氏は、正直ちょっと異常だと思う。


モーニング娘。 - 12,スマート - シルバーの腕時計 ★★★ (2011-10-14 23:58:22)

これは前作の「愛の炎」に近い世界観かな?
男女ラップも入る、クールなリズムトラックとは裏腹に、ピアノやストリングス、歌メロはこれでもかというくらい哀愁の深いもの。この2要素を、ここまで上手く融和させられてる曲ってなかなか無いと思う。
技術のひけらかしではなく、聴き手を引き込む上手さがある田中さんの歌声も素晴らしい。鞘師さんも声の幼さはあるものの、裏声も含めて凄く安定してる印象。何気にラップが第三者視点になってる歌詞も面白いと思う。


モーニング娘。 - 12,スマート - 好きだな君が ★★ (2011-10-14 23:57:38)

分かりやすい4つ打ちとエフェクトヴォーカルということで、どうしてもPerfumeを連想してしまう曲。聴いていると現実感が薄れていきそうな、どこかサイケデリックなムードのある曲でもあります。でも個性の強い声質のメンバーと組まされ、エフェクト処理全開の曲振られた譜久村さんは微妙に割りを食ってる気が。しかし歌詞はどういう意味なんでしょうか…「見た目は可愛くないのに」「大きい体してるのに」…どうも大型犬のイメージしか出てこないなぁ…。


モーニング娘。 - 12,スマート - 乙女のタイミング ★★★ (2011-10-14 23:56:46)

メロディといいメンバーの声質といい、なんとも可愛らしい印象のある曲。サビメロで合いの手的に入るキーボードが、その可愛らしさをグッと高めてます。あとこの曲は光井さんのヴォーカルが、可愛らしいだけでなく優しさや心地よさもあって、聴いていてうっとりとなってしまいます。良く通る声質の鈴木さん、アイドル然とした声の生田さんの声も、まだまだ先がありそうな感じでいいと思う。
個人的には、アニメソング(萌えソング?)の可愛らしさってどうも演出過剰で辟易しがちなんですが、こういう自然でほっこりするような可愛らしさの曲はかなり好きですね。


モーニング娘。 - 12,スマート ★★★ (2011-10-14 23:54:35)

2011年発表の12th。

長きに渡ってリーダーを務めてきた高橋さんが抜けたり(このアルバムには参加)、新規で若い…というより幼いメンバーが多く加入したり、前作からかなりメンバー構成に動きがあったモーニング娘。ですが、ここに来て過去最高のクオリティのアルバムを作ったのではないでしょうか。「大きい瞳」「Moonlight Night」などの名曲が収録された10thと同じくらい楽曲が充実してて、アルバムを通じてどこか仄暗い哀愁が感じられた11thと同じくらい統一されたムードのある作品だと思います。

特に楽曲の充実振りは本当に素晴らしいと思う。
バラエティに富んでいるというだけでなく、どの曲もその曲の持つ方向性で「やりきっている」という印象があるくらい、完成度の高さがあるんですよね。1曲ごとの感想は曲レビューの方に回しますが、どの曲もシングルになっておかしくないくらいキャッチーかつ、濃いものばかり。聴いててなんか爽快ですもん、この最強のカードばかりを手札に集めて、それを惜しげもなく切ってくようなアルバム構成。

また、今作では3曲において、キャリアの長いメンバー1名+新規加入メンバー1~2名というメンバー構成で歌唱をしてますが、これはクオリティを安定させると同時に、新しいメンバーにも愛着を持ってもらうような効果があって、かなり成功してると思う。9thでのソロ曲と比べると、光井さんの歌が驚くほど上手くなってたり、古参メンバーの成長を楽しめるのもいいですね。新メンバーでは鈴木さんの張りのある声が、将来性を感じさせてくれてると思う。

つんく氏は、(ちゃんと作品を聴いてない)世間からは全盛期と比べて才能が枯れたと思われてそうですが、時流が味方していないだけで、むしろ今が全盛期なんじゃないでしょうか。メンバー構成も大きく変わったし、もう少しガチャガチャしたものを予想してましたが、ここまでガッチリ完成されたアルバムを出してくるとは…取り合えずポップス好きなら確実に楽しめる作品です。ほんと素晴らしい!


YAOTL MICTLAN - DENTRO DEL MANTO GRIS DE CHAAC ★★ (2011-10-13 21:55:42)

2010年発表の2nd。

このバンドの作風も、民族メロディや民族楽器を導入した、ペイガン/フォークブラックと言えますが…それらが全編に渡り乱舞するクサメタラー向けの作風ではなく、基本は苛烈なメロディック・ブラックを演りつつも、要所で民族楽器やパーカッション等を導入し、異教的な感覚を演出するスタイルですね。特に疾走パートのテンションが凄まじく、異境なムードとも相俟って聴き手を深淵に引き込まんばかりのパワーを感じます。

また、メキシコのバンドという事もあってか、「ペイガン」の演出部分にフォルクローレっぽさが感じられるのも特徴ですね。ただフォルクローレって、哀愁と陽気さが混在してる印象なんですが、このバンドの音楽には全く「陽気さ」はないですね(笑)。「哀愁」も、全て邪悪さや陰鬱さに変換された上で出力されているような感じ。ペイガン系の中でも、邪悪さ・陰鬱さはかなり上の方だと思う。

ヨーロッパ産のペイガンブラックとは一線を画すムードを持ったスタイルを持ったバンド。メロディックブラックとしてもかなりクオリティの高い音ですし、邪悪なムードも濃いですし、流石Candlelightが目を付けるだけはあります。


DEATHCULT - Cult of the Dragon ★★ (2011-10-12 01:16:26)

2007年発表の1st。

裏ジャケに燦然と輝く「True Norwegian Black Metal」のロゴや、TAAKEのHoestが参加してることからも予想が付く通り、大分TAAKEに近い音ですね。割と辛口でRAWな音作りをしながら、プリミティブ系とは一線を画す、ギターソロも入る展開のある曲作りが似てると思う。痰を吐くかのような喚き散らすヴォーカルも、Hoestのスタイルに大分影響を受けていそうな感じがします。

ただこちらはTAAKEよりも曲や音の作りが粗く、丁度初期DARKTHRONEのムードを足したような感触があるんですよね。粗さだけでなく、あの頃のDARKTHRONEが持っていて、多くのフォロワーが出せていない、独特の刺々しい雰囲気まで受け継いでいるのが素晴らしいと思う。「True Norwegian Black Metal」のロゴを掲げるのに相応しい音を出してると思います。

TAAKEよりも少しマニア向けの音ではありますが、TAAKEが好きならこちらも押さえておいて損はないかと。


DEATHCULT ★★ (2011-10-12 01:07:45)

TAAKEのライブメンバー、Thurzur・Skagg兄弟が中心となって活動するノルウェーのブラックメタルバンド。TAAKEの作品もリリースするDark Essenceより1枚のアルバムをリリースしてます。


SKALD (韓国) - AMEN ★★ (2011-10-12 01:03:56)

2011年発表の2nd。

サンクスリストを見ると、日本や韓国のバンドに交じってBATHORY、BURZUM、DISSECTIONの名前があったりしますが、このバンドもそれらの初期ブラック、とりわけDISSECTIONに多大な影響を受けたであろう、メロディックなスタイルのブラック。一部「Where Dead Angels Lie」へのオマージュっぽい部分もあるのがなんか微笑ましいです(笑)。ただDISSECTIONと比べると、こちらはミディアムパート中心に曲を展開させたり、全体的にメロディにほんのりペイガン色があるのが大きな違いですね。

一聴した感じでは、あまりアジアっぽさを感じない音ですが、強いて言えばリズムの組み方に独特の呼吸というか、「間」みたいなものがあるのがアジア的…なのかもしれません。それを野暮ったいと感じてしまうか、アジアっぽい神秘性を感じ取れるかで、評価は大きく変わってくる気がします。私は最初はぶっちゃけ前者でしたが、何回か聴くうちに後者に意見が変わってきましたね。

ただ、妙に歪みの(「重い」ではなく)重たい感じのするギターの音色、屋根を叩くようなドラムの音色なんかは、初聴の印象で野暮ったく感じさせてしまいがちなので、もう少し改善の余地がありそう。アジアよりは、北欧のトラッドっぽさを感じる叙情メロや、典型的なブラックの喚きスタイルながら全力感ある殺気ヴォーカルなんかはかなり良い線行ってるかと思います。

アジアっぽさは薄いですが、メロディの良さなど基本は押さえた良盤だと思います。現時点では必聴とまでは言えませんが、悪くない作品かと。


SKALD (韓国) ★★ (2011-10-12 01:02:37)

韓国のブラックメタルバンド。
アジアのブラックってだけでなんか親しみが持てますよね(笑)。
韓流ブームからこのバンドにまで辿り着く人はいるんだろうか…


BEYOND HELVETE - Self-Therapy ★★ (2011-10-08 00:08:19)

2011年発表の1st。

CDショップの紹介で、「病的にダメな感じのヴォーカル」みたいに書かれていて、つい買ってしまったんですが…「確かに!」って膝を打ちたくなるくらい、アッチに逝っちゃってるヴォーカルですね(笑)。最早苦悶を吐き出すとかそういうレベルではなく、自分の不注意で掃除機を壊した男が、顔を真っ赤にして口から泡飛ばしながら抗議してるような、ある意味エモーショナルなガナり声。こじれたらすぐにでも裁判所とかに訴えそうな勢いです(笑)。

しかし、普段の狂気の独り芝居ヴォーカルではなく、「Fears」のような割とまともなヴォーカルラインがある曲は意外にもかっこいいパフォーマンスを聴かせるし、「Confession」の語りは普通に渋くて素敵だし、実はスキルのあるヴォーカルなのかもしれません。何気にホイッスルボイスまで使ってますし。独り芝居ヴォーカルも、最初は滑稽に思えてもずっと聴いてると、ふと「この人マジにマジなのかも…」と、背筋が寒くなる瞬間がありますし。

曲の方は、低音も効いた、どこかドゥーミーな質感のあるブラックメタル。リフは視界を塗り潰すような、オールドスクールで太みのあるものが中心で、あまりメロディアスな音とは言えませんが…このヴォーカルにメロウな音合わせられても困りますね(笑)。また、悪夢に誘うようなアルペジオが聴ける「Fears」の後半や、ジャジーなドラムと気色悪いキーが絡む「A Nameless Desire」など、所々サイケ路線への傾倒が見えるのも特徴。

…とにかくヴォーカルのインパクトが凄い作品。
(SHININGの)Kvarforthのがなり声に苦悶を込めるスタイルが行き過ぎたらどうなるのか、そのサンプルとしても興味深いヴォーカルだと思います(笑)。ある意味脱力しそうにはなるんですが、その中に時折垣間見える狂気にハッとなる作品。


APPARITION - BLACKMUSA FROM THE EAST EMPIRE ★★ (2011-10-06 21:42:13)

2010年発表の音源集。
08年デモの再録、09年デモ、ライブ音源を収録。

…プリミティブブラックって、DARKTHRONEの3rdのメロディックさを強調したような、メロディアスである意味聴きやすいものも意外と多くある印象ですが…このバンドはかなりカルトな路線ですね。ザラついた、毒の粒子を撒き散らすかのようなリフ、肺腑に溜まった邪霊を吐き出すように叫ぶヴォーカル、RAWで迫力あるドラムの音が粗い音質でダマになり、嵐に巻き込まれるような壮絶さを醸し出す、ノイジーさに悪意の詰まった音。

曲的には、初期ノルウェーのプリミティブ・ブラックの音をそのまま受け継いだ感じと言えますが…個人的には日本のCATAPLEXYやFATAL DESOLATIONを想起させる音なんですよね。オールドスクールなプリミティブブラックで、どこか炸裂感を感じさせる音作りが似てると思う。ただし、こちらの方が曲や音質等は大分マニア向けな部類に入ると思う。

CATAPLEXYやFATAL DESOLATIONと違って、いくらアジアのバンドのよしみでも、これをプリミティブ初心者に聴かせるのはエグすぎるなぁ…という感じの音。日常的にプリブラを好んで聴いてる人なら問題なく楽しめる作品だと思います。


APPARITION ★★ (2011-10-06 21:41:03)

韓国産プリミティブブラック。
FENRISULFも参加したコンピ「Oriental Abyss」に音源を提供した事でも知られてますね。


NECROSLUT - BLACK DECEIVER ★★ (2011-10-06 21:01:47)

2010年発表の1st。

…ブラックメタルでこういうジャケ(悪魔集団が裸の女性のワタを引きずりだしてる、ちょっとお馬鹿な感じのイラスト)だと、出音はスラッシュと未分化だった頃のオールドスクールなテイストを受け継いだ、ノリのいいダーティで背徳的な路線と相場は決まってるものですが…想像していた音そのまんま過ぎて吹きました(笑)。低音を効かせた、粗いと言うより「汚い」音でドカドカ蹴散らすような音は単純にかっこいい。

ダーティなノリだけでなく、時折ヤケクソ気味に疾走したり、邪悪メロディをリフに乗せたり、イカレたギターソロを入れたり、意外と曲が一本調子ではないのも良いですね。ただ、「こういう音が好き」「こういう音が出したい」というのは嫌というほど伝わるんですが、それ以上に踏み込んでいないのが惜しいですね…。既存の路線をなぞってる感があるというか。…と言っても、かなり確信的に演ってるんでしょうけど。

プリミティブでもディプレッシブでも(そのジャンルとして)ツボを付いた音源を作っているShatraugだけあって、ダーティ路線でもしっかりした仕事をしてくれますね。彼の音源を追ってる人や、オールドスクールで汚い路線のブラックが好きな人にはお勧め。


NECROSLUT ★★ (2011-10-06 21:01:09)

様々なスタイルのブラックメタルを追及するフィンランドの才人、Shatraugによる独りブラック。このプロジェクトではウォー系にも通じるダーティさを感じさせる、オールドスクールでプリミティブな路線のブラックを演ってます。


MEK NA VER - HERESY (2011-10-05 22:48:01)

2010年発表の1st。

1曲目のSEが終わると、どこか遠くの方から聞こえてくるような幽かな音でバンドサウンドが入ってきましたが…SE~小さな音でフェイドイン~爆音、の流れはFUNERAL MISTの「Salvation」で体験済みだったので、「その手には乗らないぞ」と音量を上げなかったんですが…曲が終わるまで、遠くから聞こえてくるような音量のままでした。もっと言うと、アルバム全部この音量です(笑)。

…正直、こんなに音が小さいって分かってたら買わなかったかも、ってレベルなんですが、曲の方は真っ当にかっこよく、質も高いプリブラなのが小憎たらしい(笑)。プリブラ特有の酩酊感を壊さない程度にドラマ性のある展開、雰囲気あるキーボードやアコギ+トラッドメロの導入など、曲も演奏もまともで、ミュージシャンシップの高い人が作ったプリブラという感じ。SE終わって、最初のトレモロからどこか幽遠な雰囲気があるし、Algolのヴォーカルも歪ませ方のキレがよくかっこいい。

でも、音量がアレなんですよね…演奏時間が33分しかないのに、5分以上もイントロ・アウトロに割く構成もどうかと思うし、正直CRAFTの新譜の方が…とか思っちゃう。プリミティブ系が好きで、音が小さくても全くマイナスにならない人なら☆3つ付けてもおかしくない作品だと思いますが、私は音が小さいCDは嫌いなので☆は1つ。


MEK NA VER ★★ (2011-10-05 22:45:57)

FORGOTTEN TOMBやHIEMSで活動する、Algol氏も参加するイタリアのブラックメタルバンド。去年韓国のレーベルMisanthropic Artより1stアルバムをリリースしています。