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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1701-1800
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1701-1800

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DE INFERNALI - Symphonia De Infernali ★★ (2011-09-02 00:37:40)

97年発表の1st。

私は2010年に再発されるまで、このプロジェクトの存在を知らなかったので、聴いたときは結構衝撃がありましたね。北欧のブラックメタルに関与するミュージシャンは、ダークアンビエントに傾倒する人が多いですが、Jon Nodtveidtもこういうプロジェクトを持っていたとは知りませんでした。

路線は、BURZUMの獄中作やSATYRICONのSatyrのWONGRAVENなどに近い、メロディアスなシンセ・アンビエントと、4つ打ちのリズムにサウンドトラック的な分かりやすいメロディを乗せた、インダストリアル曲の2つが中心。ラストの曲だけはノイズ系のカオスな音ですが、全体的に割と聴きやすい感じ。ヴォーカルも入っており、特に「Sign of the Dark」では、マイルドに、威厳を持って歌い上げる、Jonのクリーンヴォーカルというレアなものまで聴けてしまいます。

しかし、やはりメロディック・ブラックの1スタイルの雛形を作り上げた、真祖とでもいう人のプロジェクトだけあって、メロディが非常に分かりやすいですよね。シンセアンビエントとしては、持続音や反復に過剰に意味を持たせる(聴き手が意味を積極的に探る/感じとる必要がある)スタイルではなく、あくまでメロディで情景を描いてくれる分、取っ付きやすいのではないかと思う。

正直、リズムの単調さとか音作りのチープさとかで、サイドプロジェクトっぽさ(本業のアンビエント職人っぽくない感じ)はあると思うんですが、個人的には入りやすい作品で好きですね。変にマニアックな方向に行かず、ブラックメタルに通じるダークな世界観を分かりやすく演出してくれる、良い作品だと思います。DISSECTIONのJonの違う一面を見たい方なら買って損はないかと。


DE INFERNALI ★★ (2011-09-02 00:36:31)

DISSECTIONのJon Nodtveidtらによるアンビエント。
ダークアンビエントに興味を持ち、特定の目的を持たずに曲を作っていたJonに、ルームメイトのMidvinterが声を掛けた事で結成し、作品をリリースする事になったとか。


SVART - NAMNLOS OCH BORTGLOMD ★★★ (2011-08-31 22:37:24)

2010年発表の3曲入りEP。
ラストの曲はキーボードインストのため、鬱ブラックは実質2曲。
割と曲は長めですが、ボリューム的にはちょっと物足りなさが残るかも。

CDを再生しようとして、いきなり爆音だったので驚きましたが…鬱ブラックにしてはこの音量は珍しい感じもしますが、小さいよりは100倍良いですね。音質自体のほうもしっかりトレモロを際立ててくれて悪くないですし。タイプとしては、物悲しいトレモロリフを音像の中心に据え、スローテンポでミニマルに聴かせる、いかにも鬱ブラックという感じの作風ですね。

ただ、私的にはこの作品、トレモロリフの微妙な変化で展開していく、ミニマルな作風にしてはあまりマニアックさを感じないんですよね。そのリフのメロディの醸しだす、物悲しさや絶望感が、いっそ大袈裟とか大仰とか言っても強ち間違いじゃないくらい強くて、メロディが来た瞬間にこのバンドの作り出す世界観に引き込まれていく感じ。ヴォーカルのノイズにしか聞こえないような、歪みまくった絶叫もそんなムードを更に濃くしてます。

個人的に、鬱ブラックといったらこういう音、という見本みたいな作品。メロディの求心力が高いため、敷居もそんなに高くないですし、鬱系が好きな方ならこのバンドも是非チェックしておいて欲しい所。


SVART ★★ (2011-08-31 22:35:20)

ノルウェー産ディプレッシブブラック。
SHININGやLIVSNEKADにも在籍するDraug氏によるプロジェクト。


LYRINX - Nihilistic Purity ★★★ (2011-08-31 22:32:15)

2007年発表のEP。
と言っても、再発盤は6曲で40分を超え、実質フルと同じくらいのボリューム。

直接的に死や自殺を想起させる、引金ジャケからも分かるとおりのディプレッシブ・ブラックですが、個人的にはこの系統の中でも好みの音ですね。やや軽めのドラム+淡くノイジーなギターによる、攻撃性よりも耽溺性に重きを置いた音作りが好み。その中で、神秘的で幽玄なメロディを奏でるトレモロが、緩やかに包み込むように鳴り響くと、ちょっとした神秘体験の趣がありますもん。

また、ヴォーカルこそBURZUMを思わせる、高音の自棄起こしたようないかれた絶叫ですが、疾走パートや刻みリフを用いたパートも効果的に混ぜた、ミニマルではないドラマ性に富んだ作風は、鬱・自殺系のブラックに耐性がない人にも割と受け入れやすい音だと思う。常に垂れ流しというレベルまではいきませんが、トレモロ含有率は結構高く、メロディアスなサウンドなのも聴きやすいと思う。

メロディアス、起伏のある展開、心地よい音質と聴きやすい要素が揃っている分、この系統のカルトなバンドにありがちな偏執的なムードが希薄なため、マニアには物足りなさが残るかもしれませんが、だからこそ鬱系初心者にもお勧めしたいですね。個人的にもかなりの良作だと思います。


NOCTURNAL DEPRESSION - The Cult of Negation ★★ (2011-08-31 22:27:01)

2010年発表の4th。

もう、バンド名やアルバムのタイトルからして鬱ブラックであることが明らかですよね(笑)。ノイジーなささくれだったリフや、アルペジオやトレモロリフの美しいながらも物悲しいメロディで鬱々とした情景を演出する、バンド名や作品名で買った人の期待にしっかり応えてくれる路線。特にノイジーさに圧力を感じるリフと、抜けの良いドラムによる刺々した音質は、単にメロウなだけではない、自傷的なムードを醸し出していると思う。

個人的に特筆すべきは、アルペジオの使い方の上手さですね。私はトレモロリフフェチですけど、この作品はそれ以上にアルペジオを使ったメロウさの演出に引き込まれる。特に3曲目が素晴らしい。また、ロック的なリズムの導入+太めのギターによる鬱メロで聴かせるパートや、一部のトレモロリフと共に精神世界を疾走するようなパートは、アンビエント志向に目覚める前、1st~2ndの頃のBURZUMを連想したり。

この作品、トレモロリフやアルペジオも使いすぎることがなく、要所で用いるスタイルだったり、ヴォーカルもある意味滑稽に聞こえかねない裏返り高音絶叫ではなく、粘着質ながなり声だったり、鬱ブラックの様式に染まり過ぎていない分、マニア以外にも聴きやすいと思う。BURZUMやXASTHURが行けて、次はどのバンドに手を出して良いか分からなくなったら、取り合えずチェックしてみてもいいかも。


DODSFERD - Suicide and the Rest of Your Kind Will Follow ★★ (2011-08-28 21:07:29)

2009年発表の5th。
20分、16分の大作を2曲収録。

3rdではプリミティブブラックの狂気と叙情性に、ハードコアのやけっぱちな感覚を取り入れた強烈なブラックメタルを演っていましたが…何があったのか、今作は鬱ブラックになってますね。しかもスローテンポにメロウなトレモロで攻める、王道のタイプではなく、狂気と鬱感覚を滲ませたリフの作る波に延々と揺られ続けるような、メロウさはありつつもどこか乾いた狂性が強く感じられる路線。

ただし、路線は変わってもヴォーカルはやはり強烈。
「人間はどこまで悲痛で、憎しみに満ちた声を出せるのか」でギネス申請したら通りそうなほど、凄まじく感情の篭った絶叫で、時折嗚咽したりしてるのが痛々しい。一息ごとに持てる憎しみを全て吐き出しきって、それでも後から後から憎悪と怨嗟の感情が生まれてくる…みたいな凄絶さ。

…個人的には、BURZUMやXASTHUR、NORTTなどの鬱ブラックの代表的なバンドって、ドゥームで言うとフューネラル系だと思うんですよね。その点、この作品から感じる、乾いた狂気はスラッジに通じると思う。というか2曲目の音響実験的な部分なんかはそのまんま。Maniacの演ってるSKITLIV辺りとも共通した世界観があると思います。

メロディアスでないリフをミニマルに聴かせる作風は、正直多少取っ付きづらいと思いますが、絶望的な感覚を共有できれば、危険なレベルで嵌まってしまう可能性も孕んだ作品だと思います。


NEGATOR - Panzer Metal ★★★ (2011-08-27 19:17:25)

2010年発表の3rd。

ENDSTILLEやGRAUPELなど、ファスト系にも何気に良質のバンドを抱えているドイツですが、このバンドもそれらのバンドと似た路線のファストブラックですね。平坦気味のノイジーなリフと共に畳み掛けつつ、メロウなトレモロリフを仕込んでくるスタイルは、この手の王道にして覇道という感じ。単純に聴いてて気持ちいいし、かっこいいですもん。

ただ、このバンドは「ファストブラック好きが喜ぶツボ」を完璧に心得てる感じがします。基本ジャージャーした質感のリフでの無慈悲な疾走ですが、イントロの掴みの部分やサビにあたる部分など、「ここで来て欲しい」っていうところで、がっつりメロウなメロディを仕込んでくるんですよね…。寒々しさや邪悪さだけでなく、儚い美しさを醸しだすメロも時折混ぜてきますが、最早疾走の末昇天しそうなテンション。

特に彼らの「ファストブラックを作曲する」能力の高さが伺えるのが6曲目の「Misanthropic Manifest」で、4分に満たない中にメロウ極まりないトレモロリフ&トレモロリード、暴力的に過ぎる爆走、聴き手のテンションを煽るような高速スラッシュビート、神経を侵すようなミディアムパート…と、この手のブラックの美味しい所を惜しげもなく繰り出していく展開が素晴らしい。

また、DARK FUNERALのCaligula氏の後任を務めることになったNachtgarm氏のヴォーカルですが…ギャーギャー叫びまくりのスタイルでかなり強烈。Maniacのような粘着質さは薄く、真っ直ぐな感じの絶叫はこの手にありがちではありますが…噛み付かんばかりのテンションは尋常じゃないですね。もう聴いてるだけで顎が痛くなってきますもん(笑)。

そういう訳で、ENDSTIILEやGRAUPELなど、ドイツのファスト系が好きならば必聴…と言いたいところですが、個人的には曲の作りがキャッチー(と言ってもファストブラックの範囲内で、ですが)なので、実はこのバンドの作風の方が好みだったり。激烈な音に興味がある方は是非。


NEGATOR ★★ (2011-08-27 19:14:27)

ドイツ産ファストブラック。
このバンドのNachtgarm氏がDARK FUNERALの新ヴォーカルに抜擢されたとか。


MORGUL - All Dead Here... (2011-08-27 19:08:39)

2005年発表の5th。

基本的にはゴシック的な耽美さ・怪奇さを含んだメロディが売りのシンフォニック・ブラックという感じですが…このバンドはキーボードだけでなく、SIRENIAやTRISTANIAにも在籍したMaestro Pete Johansen氏による生のヴァイオリンも入っていて、それがバンドが元々持っている耽美なメロディセンスを更に押し上げている感じですね。アンティークで上品な雰囲気、しかしどこか恐ろしさも感じさせるメロディは聴いていてうっとりできます。

他のシンフォ系のバンドと異なり、リフがトレモロ中心でなく、時にドゥーミーな重さも伴う刻み中心なんですが…ファストなパート、リフがシンフォ要素を支えるパート、ギターにメロディを振ってるパートは良いんですが、リフの重さで引っ張るパートは正直凡庸だと思う。また、クリーン入れてる割には大してインパクトのあるメロディを歌わない、そもそも歌があまり上手くないのも痛いですね…相乗効果で、5作出してるバンドとは思えない垢抜けなさが…。

シンフォ系で最も重要な「メロディセンス」は確固としたものがあるだけに、物凄く惜しい作品。Jack氏が以前在籍していた、MERIDIANくらいリフの練りこみを頑張ってくれれば、見違えると思うんですが…。


MORGUL ★★ (2011-08-27 19:05:55)

ノルウェー産シンフォニックブラック。
中心人物のJack D. Ripper氏はアメリカに拠点を移してアルバムを製作中だとか。ただ直近のアルバムが2005年発表ですけど…


SYN ZE SASE TRI - Intre Doua Lumi ★★★ (2011-08-27 06:18:13)

2011年発表の1st。

私はこれ、買ってきて聴いて、そして驚愕しました。
何にって、音の小ささにです。マスタリングに失敗でもしたんでしょうか…。通常の音量で聴くとまるで蚊の鳴くようなしょぼい音圧で、ほんとイラッと来る…。これ聴いた後に音量調節忘れたまま他のCD聴くと、イヤフォンなら耳が潰れ、スピーカーなら近所から苦情が来るレベル。音上げて聴けばいいって問題じゃないです。

ただ、曲の方はほんとに素晴らしい。
まずシンフォブラックとしてのキーの使い方が良いですよね。クワイア系やオルガン系、ストリングス系でアトモスフェリックな空間を演出しながら、ピアノ等により劇的なメロディを捩じ込んでくる、複数の音色を組み合わせて、重厚なドラマ性を生み出している感じで聴いていて取り込まれそうになる。

ギターワークも、時に刻みリフでキーボードを立たせたり、大仰なメロディの下で邪悪なトレモロを弾いてみせたり、情感溢れるメロディのリードを弾いたりで、キーボードに曲の展開を任せすぎず、シンフォブラックとしてはかなり凝ってるほうだと思う。音量を度外視してもドラムのミックスが小さめですが、その分キーとギターの絡みが強調されているのでマイナスではないですね。

しかし、諸要素も素晴らしいんですが、やはり曲そのものが本当に良いと思う。まず荘厳かつ流麗に、中世的な退廃美を演出するストリングスだったり、時にプログレッシブな不条理性を演出してみせるピアノだったり、勇ましく、クサいと言っても過言ではないメロディを吼え猛るブラスだったり、メロディそのものが濃厚。また、キーとギターが時に補完しあい、時に主導権を争いながら展開するアンサンブルも実にスリリング。作曲に関しては既にベテラン勢を食えるレベルだと思う。

…それだけに音質が本当に惜しい。本来ならこんなしょぼい音量のCDに☆3つ付けたくはないんですが、ここまで曲がいいと付けざるを得ないですもん。音量がまともだったら、少なくとも私の中ではABIGAIL WILLIAMSの1st以上の衝撃作になっただけに、本当に惜しすぎる。ああ、悔しいし腹立たしい…!音量が小さい事に頓着しない、もしくは我慢できるシンフォブラック好きなら絶対買った方が良いです。


SYN ZE SASE TRI ★★ (2011-08-27 06:17:02)

2007年結成のルーマニア産シンフォニックブラック。
ex-NEGURA BUNGETのメンバーが在籍。


IN MY SHIVER - BLACK SEASONS ★★★ (2011-08-26 22:08:34)

2010年発表の1st。
ブラックメタルなのに都会の夜の情景を切り取った、お洒落なジャケが凄く目に付いてしまって…逡巡の末に購入しましたが、これが非常に良い作品でした。

ジャケからはポスト/シューゲイザーブラックっぽさが漂ってるし、確かにロック的なリズムの導入やメロディの儚さにはそうした要素もありますが、基本的にはミディアム中心のテンポにトレモロや掻き鳴らしによる陰鬱なメロディなど、使ってるパーツは鬱ブラックそのもの。

ラストにピアノが出てきますが、本編はSEやノイズなどはおろか、キーボードさえ出てこず、ヴォーカルも全パート喉を潰したようながなりで、クリーンを使わない辺りかなり硬派な路線。疾走も絡めた、ドラマ性のある展開も、安易なミニマリズムに頼らない作曲能力を感じさせてくれ、やはり硬派だと思う。音も適度な生々しさ(低音質ではない)で、特にぼた雪のような刻みリフの音色が好み。

ただ、硬派であっても、ジャケのようなアーバンでサイケな情景描写も当然ないわけではなく、例えば2曲目冒頭のお洒落(?)なギターとベースの絡み、4曲目の何かの警告音のようなギターメロ、5曲目の気力どころか筋力まで萎えしぼんでいきそうな鬱アルペジオなど、アンサンブルやフレーズでしっかりそれを感じさせてくれるところが素晴らしい。

メロディは他の鬱ブラックに比べると、陰鬱さはあるんですが、それが自傷的だったり殺人念慮的だったり、邪悪な方に向かわず、「洗脳的」「倦怠的」な、浮遊感に向かっていっている感じがします。で、時々それが凄まじく効果的に鬱感覚を演出しているんですよね。不安感の中で宙吊りにされたままでの疾走とか、ほんとに怖さを覚えますもん。

何気にこういう、バンドサウンドのみの硬派な音でポストブラック的な浮遊感やアーバニズムを演出しつつ、リフとリズム、メロディの変化のみでドラマティックに聞かせる路線って珍しいんじゃないでしょうか。個人的にはTHRANENKINDやLIAMよりもお勧め。
ちなみにケース内にカプセルが入ってましたが…開けたら何も入ってませんでした。ハッタリでチョークの粉でも入れとけばいいのに(笑)。


IN MY SHIVER ★★ (2011-08-26 22:07:29)

イタリア産ディプレッシブ・ブラック。
1st「Black Seasons」のジャケが素敵過ぎて惚れました。


VARATHRON - Crowsreign ★★★ (2011-08-25 04:02:58)

2004年発表の3rd。

このバンドはギリシャ産ということくらいしか予備知識が無かったんですが、ジャケが爬虫類の爪に目玉が埋め込まれた、なんとも不気味なものだし、裏ジャケのメンバーもスキンヘッドのマッチョが雄叫び挙げながら万歳してるしで、これは絶対アングラで不気味な路線か、ダーティもしくはブルータル路線の音かな…と予想をしてたんですが、これは意表を突かれました。

まずメロウなインスト+語りの1曲目から想像してたのと大分違う音だし、インスト明けの2曲目の冒頭からいきなり正統派的と言っても良いような、メロウでかっこいいツインリードが炸裂していたので驚きました。その後メロブラ的なトレモロリフと共に疾走するパートがあるも、やはり感じるのはメロウさや、ごく真っ当なメタルとしてのかっこよさ。

基本はメロディックなブラックメタルなんですが、メロいギターのフレーズで引っ張るパートはメロデスっぽい…というかそのものですし、時折ゴシックメタルのような暗い耽美さを感じさせたり、キーボードが曲をシンフォニックに彩ったり、様々な要素が取り入れられてますね。諸要素を破綻無く組み合わせてドラマティックに曲を構成してます。

質の高い、丁寧でメロディックな曲作りが成されている反面、聴いてて気持ち悪さを感じるパートや、演奏が凄まじ過ぎて付いていけなくなるようなパートは無く、敢えて言えば優等生的でもあるため、ブラックのショッキングな部分や辺境メタルの異境的な面を求めるには向かない音だと思う。そういうものを求めないのであれば、十二分に推薦できるアルバムだと思います。ジャケと音楽性がいまいち一致しない点を除けばかなりの良盤かと。


VARATHRON ★★ (2011-08-25 04:01:01)

ギリシャ産ブラックメタルバンド。
ギリシャのシーンでは結構名の知られたバンドらしいです。


THE AXIS OF PERDITION - Tenements (Of the Anointed Flesh) ★★ (2011-08-23 22:38:54)

2011年発表の4th。

これ、個人的に凄く楽しみだったんですよ。
ショップの宣伝や、レビューサイト/ブログでもDEATHSPELL OMEGAの影響を受けたと言われてて、今までアンビエントやインダストリアル、それもかなり個性的な路線のものを演ってたバンドがそっち方面に行ったらどんな音になるのか…と、かなりわくわくして聴きました。

確かに、単にダークなだけでない、不協的かつ有機的に蠢くようなメロディは、明らかにプログレ/アヴァンギャルド/テクニカルな方面に行ってからのDSOの影響下にありそうですね。しかしそれが乗るリズムが、手数は多いものの音量の小さい、音に融けるようなドラミングのため、更に有機的な気持ち悪さが強調されている感じ。テクニカルな面の追及をしない代わり、不気味さに特化したDSOという雰囲気で、常軌を逸したムードはBLUT AUS NORDっぽくもあるかも。

今まで作り上げてきた世界観が崩れ落ちるような8曲目、オーケストラルなキー、メロいトレモロとメロディックな要素が何故か気持ち悪い9曲目、アンビエントからノイズで締める後味の悪いエンディングの10曲目と、生理的嫌悪感を催すような世界観を圧倒的に構築しておいて、終盤でそれを覆すも嫌悪感はしっかり保ち続けるようなアルバム構成も、なにか偏執的なものを感じます。

と言っても完全にDSOやBLUT AUS NORD的というわけでもなく…怒りに任せたがなり、泣きながら何かを懇願するような呻き、邪悪な意志を説くようなクリーンなど、感情の流れに従って狂気的なパフォーマンスをするようなヴォーカルが、数億匹の蚯蚓が壁面になったような、赤黒く蠢くバンドサウンドの前に出てパフォーマンスをする音像は、個人的には前作の感性を引き継いでるように思うんですよね。前作はアンビエント+語りというスタイルでしたが、何かをヴォーカルが訴えかけてくるスタイルが似てる。

作品の路線やクオリティとしては、余裕で星を3つ付けても良いところなんですが…音が小さい、ラストが今までと同じ音量で聴くと爆音過ぎて耳が痛い、と私の大嫌いな要素が2つも入っているので、星は2つで。特に音の小ささは…これ聴いた後に、音量戻すの忘れて最近のJ-POPとか聴くとイラッと来て柱蹴りたくなるレベル。ここだけは本当になんとかして欲しかった。1stはまともな音量だったのに…。


SATANS PENGUINS - Birds of Darkness ★★★ (2011-08-23 19:06:09)

2001年発表の1st。
ジャケやバンド名に釣られて買った人も多いのではないでしょうか(笑)。
私もその中の一人です。

しかし、中身は「釣られて良かった」と思える内容。
やや丸い感じの音質が、メタルの攻撃性よりも大らかな情景を感じさせてくれるアトモスフェリックなブラックメタルで、アコギやサックス、可憐な女性ヴォーカル等もフィーチャーし、メロディックに聴かせるスタイル。多くのパートで鳴っている、ペイガンに少し鬱系を混ぜたような、土着的でダークな叙情メロのトレモロが、アトモスフェリックなバンドサウンドに実に映えてます。

ペイガン系やアトモスフェリック系が好きならば確実に心地よく聴けるであろう音作りは成されてますが…歌詞を読んだり、ジャケを見たりしなければ全くペンギンが浮かんでこない音は正直どうかと(笑)。奇を衒った部分は、強いてあげれば子供のような声での粘着質な絶叫があったり、ハンドクラップを挿入したりくらいなもの。一部ではトラッドやクラシックを引用したりもしていて、ネタよりも真摯にメロウさを追求しているのが伺えます。

ただ、歌詞はやはりぶっ飛んでますが…適当に挙げると、「俺たちは嵐と共に飛び/稲妻と共に襲い掛かる/人類を絶滅させる為に/奴らが他のもの全てを絶滅させる前に」…この歌詞がペンギンの事を歌っているというのが衝撃ですよね(笑)。ペンギンが地獄の放射能で、鉄の嘴とチェーンソーの翼を持つクリーチャーに変貌する「Mutant Ninja Penguins(from hell)」辺りも凄い。っていうか曲のタイトルからして凄い。

音的には、正直ネタを求めて、インパクトを期待して買ったらがっかりする内容だと思う。しかし、ゆったりとした情景に浸れる、メロディアスでアトモスフェリックなペイガンブラックが好みの方なら、普通に名盤と評価してもおかしくはないと思う。女性Voも入ってますし、ノルウェーのSTORM辺りが好きな方は聴いてみては。


SATANS PENGUINS ★★ (2011-08-23 19:05:00)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
ブラックメタル史上、最もインパクトのあるバンド名だと思います(笑)。
SATANSの「S」が完全に字余りなバンドロゴも素敵過ぎる(笑)。


AHERUSIA - AND THE TIDES SHALL REVEAL THE TRACES ★★ (2011-08-21 21:29:19)

2009年発表の1st。

まず1曲目の「Birth of Immortals」を聴いて、「えっ?」てなりました(笑)。
弦楽器(これがリラでしょうか)がお祭りというよりも、もう牧場で羊追ってる姿が浮かぶレベルの牧歌的なメロディを奏でたと思ったら、メロブラ的な、体感温度を下げるトレモロリフを入れてきて、「それを合わせちゃうんだ…」と衝撃を受けました。…とは言っても、そんなパートは一部で、全体的にはヴァイキングやメロデスに通じる演奏のパートが多く、牧歌メロや壮大なメロも第一印象ほど浮いてるわけではないですが。

しかし、やはり民族楽器の奏者がいるとメロディが「濃い」ですよね。
単純に壮大だったり民族チックな雰囲気を演出しているというのではなく、もうメロディそのものの主張が非常に強いという感じ。それが壮大な世界観を演出するキーとの兼ね合いもあって、曲を上手く締めている感じがします。クサメロを求めてシンフォブラックやフォークメタルを聴いてる人にはかなりツボかと。

個人的には、寒々しいトレモロと牧歌的フォークメロの融合が面白かったので、その辺りもっと追求して欲しかったところですが…それは置いても質は高いし、フォーク・シンフォ系好きな方にはお勧めできるかと。シンフォブラックの中では、最近話題になったBRYMIRよりも更にフォーク度の高い音出してると思います。


AHERUSIA ★★ (2011-08-21 21:27:34)

ギリシャ産シンフォニックブラック/フォークメタル。
特保みたいなバンド名ですが、リラ(クレタリラ)奏者も在籍する本格派。


KAOS SACRAMENTUM - Bloodcurse Stigmata ★★★ (2011-08-20 20:44:34)

2010年発表のフルレンス。
2008~2010年までにレコーディングされたアルバム3枚が、前に所属していたレーベルとの問題でリリースできず、結局同時に3枚発売することになったらしく、これはその中の一枚。レコーディング時期としては、一番後になるらしいですね。

今まで、Sir.N氏が所属しているバンドはSVARTRIT、GRIFTESKYMFNINGを聴きましたが…それらが神秘的トレモロを駆使した作風だったのに対し、このバンドはWATAINやSORHIN辺りの流れを汲む、メタルのマッシブさが邪悪さに直接結びつくタイプの、典型的なスウェディッシュという感じの音ですね。

こういう音、単純にツボなんですよね…全体としてしっかり重さもありつつ、撲殺されるような生々しいドラムの音が際立つ音質といい、太い声で、厭人感と厭世感を撒き散らしつつがなるヴォーカル、曲を支配する蟲毒を垂れ流すような邪悪なトレモロリフ…曲を構成する要素全てがことごとくツボに入る。
アクセントとして、Sir.N氏の他のバンドでも聴かれるような高音トレモロがあるのもいいですね。同系統のバンドと比べて、トレモロ含有率、メロディアスさはかなり高い方だと思う。

VALKYRJAやOFERMOD、ONDSKAPTなど、似た路線のバンドは少なくないし、SVARTRITやGRIFTESKYMFNINGの方が個性という面では際立っているように思う。しかし、個人的にはSir.N氏関連バンドの中では今のところ一番好きですね…ほんと、単純に私好みの音なんですよ。演奏時間は30分もないですが、私としては満足のいく一枚です。


KAOS SACRAMENTUM ★★ (2011-08-20 20:42:28)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
SVARTRITなどでも活躍するSir.N氏が在籍。


GRIFTESKYMFNING - DJAVULENS BONING ★★ (2011-08-20 20:34:35)

2009年発表の1st。

SVARTRITのメンバーが在籍という事で、作風はかなり似てますね。
特に聴かせどころとも言える、2本のギターで神秘的なメロディのトレモロリフを掻き鳴らし、それが未加工の生々しさを削がない、RAWさを保った音質のバンドサウンドに乗る音作りは一瞬どっちを聴いているのか分からなくなりそうなくらい似てる。イントロ明けからいきなりそのスタイルが炸裂する展開なので、よりSVARTRITが思い起こされるんですよね。

ただ、こちらは靄系のアトモスフェリックなキーで邪悪さを演出したり、ザラついた、プリミティブな質感のリフと共に疾走したり、展開のパターンが多くムードを重視している感じ。ヴォーカルも狂気よりも病的な感じが強いですし。また、時折狂ったように疾走しますが…これがメジャーな音質でないからこその、生々しい狂性が感じられて素晴らしいんですよね。ヤケクソでドラムしばき倒してそうな。

7曲目ではクリーントーンにトレモロを掛けてるのか、他ではあまり聴けない、ある意味雅やかとも言えそうな響きのインストが聴けたり、神秘的トレモロリフ垂れ流し状態のSVARTRITと比べると、こっちは搦め手も使いつつ、要所で神秘トレモロを爆発させる感じでしょうか。どっちにしても、トレモロ含有率はブラックでもかなり高いので、神秘主義的なムードのメロブラが好きな人なら気に入るかと。


SVARTRIT - Ⅰ ★★ (2011-08-20 20:26:59)

2009年レコーディング、翌年リリースされた1st。
2nd、3rdも同時発売。ちなみにどの作品も500枚限定らしいです。

ジャケを見ると、いかにもオールドスクールでプリミティブなブラックを演ってそうな感じで、全然メロディックな曲を作りそうにない雰囲気なんですが…実際には、曲の8割がたを2本のギターによるトレモロリフの絡みが覆い尽くした、非常にメロディックな音。時々ペイガン的な勇壮さも顔を出しますが、基本的にはトレモロによる神秘的なメロディが曲を牽引していってますね。

このトレモロ偏重で、尚且つ高音でキリキリと心を締め付けるような音色も使っている辺り、KRALLICEやDER WEG EINER FREIHEITなどのバンドを思い出しますが…前者がポストブラック、後者がメロディックブラックの感性が強いのに対し、この作品は音作りやヴォーカルなどに未加工の生々しさがあって、プリミティブ的な感性を持っていると言えるかも。と言っても音質は悪くなく、寧ろ分離は良いくらいで、生っぽさを感じさせてくれるドラムの音色が心地よくて個人的にはかなりツボ。

しかし、初のフルも含めた3枚同時リリースって凄い自信ですよね…。初見のバンドだったら、どういう路線か分からないし、どれ買って良いか分からずスルーしてしまいそうですもん(笑)。私は取り合えず1stを買いましたが、結局ジャケとイメージが違いましたし…。


SVARTRIT ★★ (2011-08-20 20:25:10)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
バンド名は「黒の儀式」の意。


OATHEAN - Oathean ★★ (2011-08-20 03:33:21)

2010年発表の4th。

まず最初の、某韓国ドラマで見たような宮殿が、闇の中に浮かび上がるような情景が浮かぶシンフォニックなインストから「来た!」と思いました…が、本編の方は意外にもキーボードよりもリフで押すタイプの、メロデスに近い音で驚きました。まるで剃刀混じりのメイルシュトロームに巻き込まれるかのような、刻み倒すリフで超ハイテンションに疾走するパートは、デスラッシュ的とも言えるかも。イントロを聴いた時点で予想された音楽性とは違いますが、これはこれで実にかっこいい。

曲を引っ張るのはあくまでリフなんですが、時折SAD LEGENDにも通じる大仰なメロディが出てきたり、アジアのバンド特有の霊的なパワーを感じさせる、こぶし入りまくりのクリーンヴォーカルや女性クワイアが出てきて、「アジアのシンフォブラックバンドらしさ」もしっかり演出してくれるのが嬉しいですね。リフとリズムの絡みは怒涛のテンションですが、それだけで押さず、展開美や旋律美にもこだわっているのが素晴らしい。

まあ、1つ注文を付けるなら、こぶしクリーンや女性クワイアはもっとあからさまに取り入れても良かったように思います。特に前者はアジアっぽさがあって、バンドの特徴たる要素にもなりうると思う。ブラック的な邪悪さは希薄(というか、それを志向していない印象)なものの、音のクオリティの高さ、メロディの美しさなど一級品ですので、シンフォなメロデスが好きな方は是非。


OATHEAN ★★ (2011-08-20 03:30:40)

韓国産シンフォブラック/メロディックデス。
以前はSAD LEGENDやSEEDのメンバーも在籍していた模様。


VOID - Void ★★★ (2011-08-20 03:27:15)

2011年発表の2nd。

前作は禁欲的かつクオリティの高いインダストリアルブラックで、そのストイックさが地味に感じる音でもありましたが…なんか随分変わりましたね。今作はインダストリアルブラックとして…いやエクストリームメタルとして、もっと言えば「ギターリフが曲の主軸を担う音楽として」素晴らしいアルバムだと思います。

前作では打ち込みだったドラムが今作では生になり、ブラスト中心の激速リズムにテクニカルなトレモロ混じりのリフが乗るスタイルで、殆ど前作とは別物になってますね。特にTHORNSを思わせる、インダストリアルの無機質さを感じさせつつ、ブラック特有の妖艶さも強く放ちながら、邪悪な流麗さをもって弾かれるリフ捌きが実にかっこいい。あと一割疾走パートが多かったらファストブラックになりそうなくらい疾走パートが多いですし、キャッチーと言っても過言ではない作風かと。

ただ、完全に脱インダストリアルした訳ではなくて…前作とは別の形でインダストリアルしているのが興味深いですね。通常ならマシンドラムで行うようなリズムを敢えて人間に叩かせていたり、リフにインダストリアル的無機質さが感じられたり、アンサンブルでインダストリアルな世界観を表現しているのが面白い。特に5曲目のリズムは、初期VIRUSのようなアヴァンギャルドな悪意的テクニカルさがあって実に聴き応えあり。ダレない程度にサンプリングやピアノソロなどを挿入してムードを醸しだす演出も良い感じ。

個人的には、NADER SADEKの新譜と並んで、今年のベストアルバムの最有力候補の1つになるほど気に入った作品なんですが…このアルバムでハードコア的激情絶叫から、幽鬼的クリーンまでこなしているヴォーカリストのBen Lowe氏は、作品完成後に自殺で亡くなったらしいですね…。この素晴らしい作品でバンドの実力を証明しただけに、惜しいですよね…。ご冥福をお祈りします。


WOLFSMOND - Tollwut ★★ (2011-08-17 23:47:47)

2005年発表の2nd。

音像こそジャリジャリした音色のギターリフを伴って疾走する、典型的なプリミティブブラックという感じですが、要所要所でペイガン風味の民族的なメロディを挿入し、それが大きな特徴になってますね。ラスト曲ではキーやクリーンボイスも導入、よりペイガンらしいムードに。音質はメロディを損なうレベルで粗いわけではないし、メロディ自体もなかなかの煽情力があると思う。

しかし、個人的にはこの作品の素晴らしさはヴォーカルにあると思います。
まずプレイボタンを押した直後から、「必死」という言葉しか浮かんでこないような、真に迫った絶叫。しかも曲の途中の絶叫でも、力を入れすぎて呼気やホイッスル音、喘鳴に近いような音まで漏れていたりかなり凄絶。デス声にしてもこの人より上手い人は沢山いると思いますが、上手い人よりもこういう全力感があるパフォーマンスの方が、私は断然素晴らしいと思う。

それにしても、この作品はジャケが怖いですね…自傷行為をする鬼。
ある意味本編(特にヴォーカル)の凄絶さを予兆させてるのかも。


WOLFSMOND ★★ (2011-08-17 23:45:41)

ドイツのプリミティブ/ペイガンブラック。
ABSURDのメンバーが在籍してます。


GRIEF OF EMERALD - Malformed Seed ★★ (2011-08-17 23:40:48)

2000年発表の2nd。
Soundholicから日本盤も発売されています。

荘厳なキーボードを曲全体に配した、シンフォニックブラックのスタイルですが、キーは主にオルガン系のアトモスフェリックな音色でバンドサウンドを包み込むような使われ方がメインで、曲の展開はデスメタル的な重さを伴う、リフの方が担っている感じです。リフの重さが際立つ作りで、帯には「ドゥーム的ヘヴィネスとアトモスフェリックな空間の融合」と称されてますね。

ヘヴィなリフ+空間系キーという作りなので、劇的なメロディを求める向きには合わない可能性もありますが…それでも、荘厳さを保ったまま畳み掛けるパート、オカルティックなキーの下でトレモロが蠢くパート、キーボードが空間演出の領分を越えてドラマティックなメロディを弾くパートなど、聴かせ所での爆発力は素晴らしいと思う。

ただ、このバンドも「引き」を魅力的に聴かせる能力がイマイチですよね…特にヘヴィなリフの圧力メインで押しているパートは、リフ自体がダイナミックで印象に残るものを弾いてたり、ドゥーム的な重さがキーの荘厳さと交じり合い、絶望的なムードが醸し出されたりしている部分はいいんですが、そうでない部分は正直退屈と紙一重だと思う。


そうは言っても、そんなパートが続くわけではないし、聴かせ所も多いしで差し引きではプラスだと思う。しっかり音を作り込んだ、クオリティの高いサウンドは日本盤が出るのも納得できます。


GRIEF OF EMERALD ★★ (2011-08-17 23:39:21)

スウェーデン産シンフォニック・ブラック。
何気に過去に日本盤を出した経験があったりします。


WOODTEMPLE - Voices of Pagan Mountains ★★ (2011-08-17 23:35:00)

2006年発表の2nd。

このバンドを一人で動かすAramathは、GRAVELANDのRob Darkenと親交があるようで、彼のスタジオを使ってレコーディングを行ったり、同じレーベル(No Colours)からCDをリリースしてたりしますが…それにしても影響受け過ぎでしょう(笑)。特に、脱プリミティブブラックした後の、唯一無二な音楽性になってからのGRAVELANDからは明らかに影響されてると思う。

まずSEに続いて、いかにもペイガン/フォーク風味のインストがイントロとして配置されてますが…この作風が余りにもLORD WIND(Rob Darkenのペイガン・アンビエント)にそっくりでまず苦笑。本編も、うっすらとバンドサウンドを覆うようなギターノイズとシンセによる主張し過ぎない、雰囲気ものなメロディ、勇ましいリズムのドラミングなど、使っているパーツがほぼGRAVELANDと共通してる感じ。

ただ、こちらの方が疾走するパートでの凶悪さを残している辺り、プリミティブの面影がかなり残っている感じはしますね。ともあれ、GRAVELANDやその周辺を追っている方には親しみやすい音源ではないかと。


WOODTEMPLE ★★ (2011-08-17 23:33:07)

オーストリア産ペイガン・ブラック。
現在はAramathの一人体制みたいです。


HAT - Vortex of Death ★★★ (2011-08-16 20:17:48)

2011年発表の2nd。

私は、これ聴いてなんだがホッとした気分になってしまいました…
土着的なトレモロを交えたリフ捌き、狂気的な絶叫にややRAWな音質…曲を構成する要素のほとんどが、典型的なノルウェーのブラックメタルという感じで、聴いてて「ああ、こういうのが好きでブラック聴いてるんだよなぁ…」としみじみ実感できる音。「僕達の好きなノルウェジアンブラック」みたいな(笑)。

しかし、この手の音の中でも、各要素のレベルは非常に高いですよね。
メロウながら土着的な怖さも感じさせるトレモロリフのメロディは、時に口ずさめるほどキャッチーで、曲をビシッと締めてくれているし、1曲の録音で喉が逝きそうな、常に全力でパフォーマンスする高音絶叫ヴォーカルも素晴らしい。薄くドローンを流して聖書の朗読を入れたり、ダークアンビエントをバンドサウンドに絡めたりといった前衛的アプローチも、嫌味にならない程度にムードを演出してますね。

個人的には、ノルウェー産ブラックの名盤群の中でも、TAAKEの「Doedskvad」や、SATYRICONの「Nemesis Divina」のような、メロブラに接近しつつもブラックの王道を貫いている作品を連想しました。ただし、こちらの方が曲の殆どをトレモロリフで攻めるパートに割いていたり、音質が分離はいいがジャリジャリ感も強いRAWなものであったり、多少プリミティブ系に近い印象。

前述のTAAKEやSATYRICONを始め、MAYHEMやDARKTHRONE、EMPERORなどのノルウェー産ブラックメタルバンドの有名どころの作品が一通り棚に並んでいる方には、是非この作品も購入してほしいですね。もしかしたら死や怪奇をテーマにしているバンドに言ったら失礼なのかもしれませんが…そういうリスナーにとっては、物凄くホームな気分で楽しめる、聴いてて安心できる作品に仕上がっていると思います。


HAT ★★ (2011-08-16 20:16:31)

ノルウェー産ブラックメタルバンド。
バンド名は「帽子」ではなくて、ノルウェー語で「憎しみ(hate)」の意。


MORBID - DECEMBER MOON ★★ (2011-08-16 20:11:10)

87年発表の4曲入りデモ。
私はMAYHEMとのスプリット(A Tribute to the Black Emperor)で聴きました。

年代が年代だけあって、曲の方はブラックっぽくはないですね。
音質こそプリミティブブラック並にRAWなものの、スタイルの方はほとんどスラッシュメタル。不気味なアルペジオを交えたムードの演出パート等はありますが、この段階では寒々しさや禍々しさを醸すトレモロや、酩酊感を演出するミニマリズムなどの導入はなく、代わりに狂ったギターソロや刻みを多用したリフなどが耳を引く音。それなりに耳に残るフレーズも多いです。

そしてDeadのヴォーカルですが…この時点でスラッシュの熱さとは全く違う道を行くヴォーカルという事が分かりますね…。叫び方もウィスパーっぽさが混じるような感じで、聴いているとなんだか自傷を唆されているような、厭な感じがします。特に「Disgusting Selma」の、声帯を軋ませるような声でのスキャットはリアルに狂った感じがして、近づきたくなさではManiacやKvarforth以上。こんな声出す人なら、ライブ中に割ったビール瓶で体を刻んで出血多量になるもの頷けるなぁ…って感じ。

という訳で、Deadの狂気的パフォーマンスが、エピソードによって誇張されているものではないということがよく分かる作品。MORBIDのメンバーが正規盤を再リリースしたり、最近リリースされた音源集「Year of the Goat」などにも入っていたりするので、音源自体の入手は難しくないかと。


MORBID ★★ (2011-08-16 20:08:58)

MAYHEMのDeadが在籍した事でも知られるブラック/スラッシュメタルバンド。


NEIGE ET NOIRCEUR - La Seigneurie Des Loups ★★ (2011-08-12 19:45:06)

2009年発表の2nd。
なんか、一言では言い表せない音楽性を持ったバンドですね…。
敢えて言うならアトモスフェリックブラックですが…。

1曲目は、白兵戦的なSEを途中で導入しつつ、寒々しいメロディで疾走するアトモスフェリックな路線の曲で、特に出だしの隙を伺うようなリズムから、一気に疾走する展開がかっこいい。途中のWHENを思わせるビヨンビヨンする効果音からの威風溢れるメロディは、初期SATYRICONへのまわりくど過ぎるリスペクトでしょうか。

…そして1曲目はコールドな雰囲気のまま終わるのかと思いきや、何故かラストではフォーキッシュなお祭りメロが登場、それを引き継いだ2曲目では、クリーンヴォーカルやパーカッシブなリズムも取り入れた本格的なRAWペイガンブラックに。初期NOKTURNAL MORTUMを思わせる作風ですが、メロのクサさも初期NxMxに肉薄しているのが素晴らしい。

アコギメインのインストを挟んだ4曲目は、1曲目のコールド&アトモスフェリック路線を概ね引き継ぎつつも、スラッジ/ドローン的な重く引き摺るリフが耳を聾するパートがあったり、ラストはキーボードアンビエントで締めたり、この期に及んで新機軸を導入。続く5曲目は、考え過ぎて遂に宇宙に飛び出したような奇矯なメロディで疾走するも、バンドサウンドは冒頭のみで、残りは儀式的なダークアンビエント。

…という訳で、全部聴いても「未だ本性掴めず」な印象のまま終わってしまったアルバム。まあ、多分何度聴いても掴めることはないでしょう(笑)。比重としてはアトモスフェリックな部分が多いので、VINTERRIKETやCOLDWORLD、PAYSAGE D’HIVER辺りが好きな方に多分お勧め。


LA DIVISION MENTALE - L'extase Des Fous (introspection Letale) ★★★ (2011-08-12 19:39:11)

2007年発表の1st。

いわゆるインダストリアルブラックと呼ばれるバンドの中でも、筋金入りの音を出してますね。サンプリングやノイズ要素の導入はもちろん、元々ハーシュな響きの絶叫に更にエフェクトを掛けノイズ化したヴォーカル、メタルのリズムを打ち込み化するだけでなく、EBM的なビートも積極的に導入するリズム、バンドサウンドを介さない、ガチなインダストリアル曲の収録等、THORNSやDHGなどの流れにありながら、よりインダストリアルであることに徹底したような作風。

個人的に凄みを感じたのはリフですね。
ブラック特有のノイジーな平坦リフや、リズムを強調しやすい刻みリフなんかはインダストリアルな音とももともと相性が良いはずですが、このバンドはトレモロリフもメロディに一捻り加え、洗脳的な響きを出す事でインダストリアルな音色に溶け込ませているのが素晴らしい。特にEBM的なビートと合わさる箇所では、人間がベルトコンベアに乗せられて、流れ作業で洗脳されていく工場…みたいな、無情で無機質な絵が浮かびます。

かなり徹底してインダストリアルな世界観を描きながらも、リフはしっかりブラックメタルするという一線を守ってくれている辺りが、個人的にはツボなポイントですね。メロいパートが取り立てて多い訳ではないんですが…インダストリアルな音色に合わせたトレモロリフのメロディ、何気に絶品なのでメロディック派もどうでしょうか。


MORTUUS - De Contemplanda Morte - De Reverencie Laboribus Ac Adorationis ★★★ (2011-08-12 00:22:51)

2007年発表の1st。
Disc Unionのガイド本でも取り上げられていた作品ですが…
これは名盤ではないでしょうか。少なくとも雰囲気は最高クラス。

出音としては、メンバーが関わっているONDSKAPTやOFERMODとかなり共通する所がありますね。中音域の、疫病を撒き散らすかのようながなり、プリブラの薄さではなく、メタリックな重量感は残しつつ、ブラックらしいノイジーさも加味したリフの音色など、スタイル的には共通していると思う。また、これらバンドの持つ毒々しさ、鬱な感覚に加えて、宗教的恍惚感をプラスしたようなメロディはDEATHSPELL OMEGA(特に3rd)にも通じるものがありますね。

ただ、このバンドは上記のバンドと比べると、ダークアンビエント的なパートの挿入やSE的な音色の導入、ドゥームに通じる引き摺り感の強いリフを弾くなど、より音を粘着質な方向に持っていこうとしているのが特徴。ファストパートを効果的に用いつつ、タメを作るようなパートも多く導入しているのはOFERMODの1stとも共通しますが、そうしたパートの求心力や心地よさは、こちらの方が断然上だと思う。(反面、OFERMODと比較してメタルのダイナミズムはやや希薄か)

個人的には、粘性と暗黒度の高い引き摺りリフで良い感じに快い気分になっているところに、人生を投げ捨てて悪魔主義に入信したくなるレベルの宗教的毒を含んだメロディのトレモロが来ると、「くぅ~っ」と込み上げてくる物があります(笑)。もう音が余りにもツボ過ぎてしまって…。

今まで、スウェディッシュというとファスト系やメロディック系のブラックが強い印象でしたが、WATAINやFUNERAL MIST、そしてこのバンドやONDSKAPT、OFERMODなど、サタニックな雰囲気濃厚なブラックが一種のスタンダードとなりつつありますよね。個人的にはこの傾向、大歓迎だったりします。


MORTUUS ★★ (2011-08-12 00:20:00)

スウェーデン産二人組ブラックメタル。
ONDSKAPT、OFERMODのメンバーが絡んでます。
ちなみにMARDUKのMortuusとは別人・別バンドです。


RAVENCULT - Morbid Blood ★★★ (2011-08-10 19:17:24)

2011年発表の2nd。

ぶっちゃけジャケ買いならぬ、背表紙買いです(笑)。
フォントがWATAINに近くて惹き付けられるものがあったので、つい買っちゃいました。ジャケのアートワークにWATAINに近い感性を感じたのも決め手ではあったんですが、決定的だったのは背表紙ですね。このフォントでハズレはないだろう、と(笑)。

で、結果は自分の感性が怖くなるくらい(笑)アタリでした。
この作品、エクストリームメタルのマッシブな演奏の中に、脈打つように毒々しく邪悪なメロディを仕込んでくる音の作り、中音域でのドスの効いたがなりが強烈に邪悪さを発散するヴォーカル等、作風や出音がかなりWATAINに近いんですよね。何より共通しているのは、「邪悪さ」に対して確信めいたものを持った音を出しているところでしょうか。

ただ、WATAINと比べるとスラッシュやハードコアの要素が強めで、ブラストと同じくらいスラッシュビートでの疾走にも重きを置いているところがポイントでしょうか。しかし、スラッシーなパートでも爽快感が邪悪さをスポイルするということがなく、むしろ肉体的な野蛮さが邪悪さに説得力を持たせているように感じる辺り、ただならぬセンスを感じます。

最近、WATAINのようにエクストリームメタルのマッシブさと、ブラックメタルとしての禍々しさを直結させた(させようと試みている)バンドが多く現れていますが、WATAINに並ぶレベルでそれを成功させているバンドって少ないんですよね。この作品は、その数少ない例の中に入るアルバムであると思います。本当に良い作品なので、ブラックが少しでも好きな方は是非。


RAVENCULT ★★ (2011-08-10 19:15:46)

ギリシャのブラックメタルバンド。
最近注目を浴びるギリシャですが、このバンドも素晴らしいですね。


TRUPPENSTURM - Salute to the Iron Emperors ★★ (2011-08-10 19:11:10)

2010年発表の2nd。
骸骨が軍服着てドヤ顔してるジャケが可愛らしいですね(笑)。

ショップの紹介では、ファスト/ウォーブラックとあったんですが…実際に聴いてみて、「…ウォーはともかく、どこがファスト?」と一瞬思ってしまいました。どす黒くて質量感を持った、靄のようなリフが他の全ての音を包み込み、1つの黒い塊となっているかのような音で、ブラストしててもそれが音像に飲み込まれて、疾走感でなく蠕動感?のような何かに置き換わっている感じ。

その黒い塊の中から聴こえてくる、低い呻きのようなヴォーカルも非常に不気味で、亡霊的な不吉さに満ちた音像になってますね。リフにバンドの音全体を包み込ませ、ノイズに接近するという音作りは、WOLDの親戚的とも言えますが…こちらはリフにデスメタルっぽい殺伐さやうねりが残っている辺り、もうちょっとメタリックといえるのかも。

耳を劈く系でなく、靄のように包み込み、かつ質量感のある音色のリフで耳を圧迫するウォーブラックって、他にない作風ですよね。エクスペリメンタルではあるけど、完全にノイズの方向に行かないで、デス/ブラックの直接的な禍々しさを保っているところが良い感じです。


TRUPPENSTURM ★★ (2011-08-10 19:08:57)

ドイツ産ウォーブラック。
最新作を聴く限り、かなり混沌とした音出してます。


FROZEN SHADOWS - Empires De Glace ★★★ (2011-08-10 19:03:12)

96年発表デモを99年にリレコーディングして再発したもの。

このバンドは、90年代初期のブラックメタルシーンに相当な思い入れがあるらしく、だから故意にこの作品も音質を粗いものにしているらしいですが…同じカナダではSHADEなんかがそうですが、北欧の初期ブラックシーンへの憧憬が高じて、そのムードを引き継ぎつつ、一部そのシーンの作品を越えたとすら思わせる作品を出すバンドがいますが、この作品はまさにそんな感じ。

作風は、まさしくバンド名が指し示すとおりですね。
凍てつくような寒々しいトレモロリフを交えて疾走しつつ、妖しい影がよぎるような空間系、宗教的な荘厳さを醸しだすオルガン系などの音色のキーボードを挿入した、メロディックなブラックメタル。裏返る寸前まで引き絞ったような高音絶叫スタイルのヴォーカルも、真に迫った何かを感じさせてくれます。

前述したように、この作品は初期ブラックのシーンのムードを継承するため、故意にネクロな音像を演出していますが…これが雰囲気作りに非常に奏功しているんですよね。低音質だからこそ出来る黒い音に靄のようなキーボードが入ると、まるでそれが幽霊の顔に見えるような不気味さがある。個人的には、初期SATYRICONの作品にも通じる超自然的な恐怖感を感じました。

まとめると、ムードの演出に非常に優れた、キー入りのメロディックなRAWブラックと言えるかと。レビューを見ると、最初期のEMPEROR辺りが引き合いに出されることが多いようですが、それも頷けるムードがあるように思います。


FROZEN SHADOWS ★★ (2011-08-10 19:02:40)

カナダのブラック名産地である、ケベック州のキー入りブラック。
90年代半ばから活動していましたが、現在は活動休止中の模様。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS ★★ (2011-08-10 19:01:45)

2010年発表の2nd。

個人的にはいわゆる「ヒット・アンド・ミス」な作品。
前作は、アルバムを通じて、情景がシームレスに移り変わっていくような統一感があったんですが、今作は曲ごとに全く違った表情を見せている感じですね。前作では考えられなかったテンションの1曲目「元気者で行こう!」からして方向性の違いを予感させますし、「堕天使 エリー」のようなネタ曲もあったりで非常にバラエティに富んだ仕上がり。

ただ、どうも曲によってクオリティにばらつきがあるように感じてしまうんですよね…。例えば4曲目~5曲目のハッピーな曲が続くパートは、繋がりも良くて聴いていて多幸感に胸を満たされる感じなんですが、8曲目以降は音源を並べただけな感じがしてしまい、どうも集中して聴けないんですよね…。せめて「嵐の前のキャンドル」が、もうちょっと劇的なメロディだったら引き締まった構成になった気がしますが…。

ハイテンションな曲でも繊細な曲でも、しっかり歌いこなしている辺り、前作よりも着実に引き出しが増えている印象で、彼女の色々な面を見せるというプロデュースの観点から見たら、かなり良い方向へ向かっていると思います。2~6曲目や10曲目なんかは、本当に良い曲だと思う。しかし、純粋にアルバムをひとつの作品として評価するなら、好みなのは前作ですね。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - お願いだから… ★★ (2011-08-09 00:41:10)

シンセの音色やコーラスワーク等、音色はフューチャリスティックなのにメロディや歌詞の世界観はベタベタな哀愁にまみれているという、アンバランスな魅力のある曲。ラストがこういう曲なのは意外ですが、確かにこの曲って他のどこに入れても浮きますよね…アルバムの他の曲となんか世界観が違う曲っていう印象。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - 家へ帰ろう sad ver. ★★ (2011-08-09 00:40:13)

バラード→ダンス系→バラード、っていうアルバムの構成はほんとどうかと思う(私の中でアルバムの第一印象が芳しくなかったのはこの構成が大きいと思う)んですが、曲の方は良いですね。メロディは暗めですが、いかにも日本人的な泣きメロで印象深い曲。ここまで英詩の多い曲は今までにないですが、敢えて日本人的なメロディに英詩を載せるっていう試みなんでしょうか。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - 春の嵐 ★★★ (2011-08-09 00:39:20)

歌謡曲風のキャッチーなメロディ+ダンサブルなバックトラックという、つんく氏の王道とも言える楽曲で、彼のプロデュースしているユニットならどれに歌わせても嵌まりそうな感じの曲。やっぱりつんく氏のこういう曲って大好きです…が、アルバムのパーツとしてはどうかと。聖女的とも言える女性像の前曲の後で、こんな恨み節に近い世界観歌い上げられても、って思います(笑)。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - 嵐の前のキャンドル (2011-08-09 00:38:42)

真野さんのニュートラルな声質を使って、アルバムに芯の強い女性像を感じさせるような静謐に聴かせるセクションを作りたいのは分かるんですけど…曲が地味過ぎると思う。例えて言うなら、中島みゆきさんの「二隻の舟」のラストの盛り上がるメロディを省いた感じ。正直この曲は微妙かも。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - 堕天使 エリー (2011-08-09 00:38:02)

あからさまな「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」へのオマージュ曲で、台詞だけでなくラジオ番組のエンターテイメントコーナーっぽい、ギャグなやりとりも収録された曲。ただ、こういうのって最初は面白いけど、同じやり取りを何回も聴かなくちゃいけないのが微妙ですよね…歌メロはものすごい哀愁メロでいいんですけど。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - Ambitious Girls ★★ (2011-08-09 00:37:19)

ドラムンベースっぽく攻めそうに見せかけてエキゾなパーカッションを入れたり、「ジャンヌダルク」という歌詞のフレーズがやたら耳に残ったり、クラビのちょっと滑稽味のある音色が用いられていたり、色々と耳に引っかかるポイントの多い楽曲。その割には、普通に爽やかでポップなサビメロが微妙に物足りない感じもします。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - Tomorrow ★★★ (2011-08-09 00:36:36)

テレビドラマのエンディングテーマに使われそうな、大らかで情景が浮かぶようなバラード。こういう、歌が情景に溶け込むことを求められるような曲歌わせたら本当に上手いですよね。前作と比べると、より直接的に情景が浮かぶような音作りが成されているように思います。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - Love & Peace = パラダイス ★★★ (2011-08-09 00:35:47)

「ドレミファどうして?」のハッピーなムードは引き継ぎつつ、バンドサウンドからダンサブルな音に自然に移り変わるアルバムの構成が素晴らしいですね。この曲も聴いていると心が浮き立つような感覚を覚えますが、Bメロでちょっとセンチなメロが出てくるのがさらにその感覚を引き立てます。この曲を聴いてると、こういうハッピーな感覚を聴いて共有できる境遇にあるって、実は凄く幸せな事なんじゃないかな…と考えてしまったりします。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - ドレミファどうして? ★★★ (2011-08-09 00:34:56)

分類的にはアイドルソングになるんでしょうけど…アイドルがテクニカルだったりキュートだったりな振り付けで魅了するというよりは、バックバンドを従えてフロントマンを演じてるような図が浮かぶ曲。バンドメンバーも笑顔でアイコンタクトしながら演奏してるようなムードで、凄くハッピーで楽しげな雰囲気。サビメロを聴いてるとなんかいいことありそうな気がしますもん(笑)。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - ダレニモイワナイデ ★★★ (2011-08-09 00:34:21)

KAN氏が作詞・作曲を担当(編曲はシャ乱Qの泰誠/たいせい/たいせー氏と共同)しているせいか、ボサノバ調のピアノメインの穏やかな曲調に、歌謡曲的なメロディが乗る、リラックスしつつもフックのある曲で、前作の収録曲に近いムードに仕上がってますね。「♪あなたは知ってるの」辺りの小悪魔的な声の返し方とか、清楚に歌うだけでない歌い回しが、前作よりも成長したのを感じさせてくれますね。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - ごめん、話したかっただけ ★★★ (2011-08-09 00:33:42)

モータウン風のビートは前作の「世界はサマー・パーティ」を髣髴とさせるものですが、つんく氏が曲作りを担当しているせいなのか、もっとカラフルな仕上がりの印象。ショッピングモールにある、ゼリービーンズとか売ってる店にあるお菓子みたいな、華やかで可愛らしいイメージ。ギターがリズムを刻んでるから、「世界は~」より賑やかなイメージなのかも。


真野恵里菜 - MORE FRIENDS - 元気者で行こう! -Giga Power Mix- ★★ (2011-08-09 00:32:58)

前作と最新シングル(My Days for You)しか聴いておらず、シングルの流れを追ってなかったので、この1曲目は面食らいましたね…いきなり3・3・7拍子に合わせてコール&レスポンス必至なチアリーディング風の掛け声、からのパンキッシュなギターリフにOi!Oi!ですからね…思わずCD止めて考えてしまいました(笑)。曲自体はキャッチーでアッパーで、知ってる人とカラオケ行って、煽りまくって歌ったら楽しそうだし悪くないですけど。まあびっくりはしました。


BRYMIR - Breathe Fire to the Sun ★★★ (2011-08-07 21:36:35)

2011年発表の1st。

某CDショップでは「大型新人」としてプッシュされ、メタルを取り扱う各レビューサイトやブログでもENSIFERUMやEQUILIBRIUM、TURISASなどトラッド/フォーク要素の強い、シンフォニックなクサメタルを愛好する人からは既に高い評価を得ている作品ということで、つい手が伸びてしまいました。まあミーハー代表なんで(笑)。

内容は前述のバンドの路線に近い、シンフォブラックの大仰さ+トラッドの土着的なメロディ+メロデス的なメタリックなギターワーク、という感じなんですが、アルバムオープニングのイントロからまあクサいこと(笑)。メロディを聴いているだけで、最近の映像志向のFFとか、SFX技術を駆使したハリウッド映画だとか、豪奢なエンターテイメント映像作品のようなムービーが脳内で流れてきました(笑)。

何人もの騎士たちが旗を掲げて出陣するような、勇壮ながらも中世的な、トラッド風味の強いメロディセンス自体もかなり良いんですが、それ以上にキーボードの音色の選び方も派手で素晴らしいですね。風を切るようなストリングスに咆哮するブラス、何故かメタルの音と合わさるとやけにクサく聴こえるフルートなど、その時その時に最も映える派手に聴こえる音を選んでいる感じ。

しかし、単に派手なだけじゃなくて、メロディの面でも展開の面でもしっかりメリハリが付いている辺り、新人とは思えない完成度の高さですよね。特に時折挿入される、素朴な泣きメロは派手なメロディ以上に聴き入ってしまいますし、ヴァイキングメタル風のクリーンやクワイアも曲中のフックになってます。

そういう訳で、エクストリームメタルが行けるクサメタラーなら必聴の作品。もうこれだけ話題になってしまうと青田買いも何もないですけど、確かに大型新人と言われるだけのクオリティやインパクトがある音だと思います。普段日本盤以外買わない方にも聴いて頂きたいですね。


DER WEG EINER FREIHEIT - Agonie ★★★ (2011-08-06 19:17:56)

2011年発表の5曲入りEP。
EPにしてはフルアルバムと同じくらいの値段だったんですけど、店頭で聴いて余りにも素晴らしかったので即買いしてしまいました。

端的に言えば、叙情的トレモロで曲全体を覆い尽くした、超メロディ重視型のブラックメタルという感じですが…KRALLICEやLITURGYなど、この手のトレモロ偏重なブラックってブラックメタル本来の価値観を逸脱していく傾向が強いのに対し、このバンドはメロディック・ブラックであることを確固として守りつつ、その上でトレモロリフに拘り抜いている感じ。

例えていうなら、DISSECTIONやNAGLFARの、トレモロリフを用いた、寒々しいパートのみを抜き出して、曲を構成したような感じでしょうか。何気に緩急の付いた曲作りや、一瞬リズムを引かせてタメを作った後の超メロウな疾走など、展開にエクストリームメタルならではのダイナミズムがしっかり息づいている辺り、本当に素晴らしいセンスだと思う。

メタリックさではDISSECTIONやNAGLFARに流石に一歩譲りますが、その代わりメロウさに特化している感じですね。そのメロディも中世的な暗い耽美さがある、非常に上品なもので個人的には大悶絶。これはブラック愛好家ならずとも、メロディックなメタルを愛する全ての人に聴いていただきたい逸品。メロディが本当に良いので、ブラックへの入門にも良いかもしれません。


CRIFOTOURE SATANARDA - CRIFOTOURE SATANARDA ★★ (2011-08-06 19:08:50)

おそらく2000年発表デモの再発音源。

最初の3分くらいを聴いた感じでは、リフにトラッドメロを練りこんだ、プリミティブ寄りの音でそこまでヴァイキングっぽくはない作風なのかな?と思ってたんですが、その後面白いくらい雰囲気が一変しました。

もう本場のノルウェーのヴァイキングメタルバンドでも演らないような、コッテコテのトラッド風メロディが登場して、一瞬で意識を持っていってしまいました。最早やりすぎていて特撮のテーマソングとかに聞こえるような、熱く滾るヴァイキングメロディ。ヴァイキングを脳内に思い描いて作ったら本物よりそれらしく出来てしまった、みたいな感じ。少なくともメロディはそれくらい行ききってます。

収録曲は3曲と少ないですが、メロディが余りにも濃すぎるので物足りない感じはないですね。ブラック特有のRAWな音が大丈夫で、クサいメロディが好物の方は是非。


ANCIENT HORNS - PROFANO ★★ (2011-08-06 19:04:34)

2009年発表の1st。

まず、フィリピンのバンドがDISSECTION(の1st・2nd)に思いっきり影響を受けたようなメロブラを演っているという時点で、なんだか心惹かれるものがありますね。但し、ドラムの音が軽めかつ手数の多い音で、バタバタした慌しく破れかぶれな印象を受けます。ギターよりもドラムの方が前に出気味な音作りも、そういう印象を強めてる感じ。

作風それ自体も、トレモロリフのメロディセンスや、ブラストの勢いに任せたような、DISSECTION辺りよりも衝動性の高い感じで、特にスラッシュの影響の強い、速弾きを交えた狂気的なソロが出てくるのは影響元にはなかった要素ですね。DISSECTIONの作風に、マイナーバンドならではの(?)無闇やたらに力の入った感じを加えたような音、というと近いでしょうか。

ちなみに、何故か2つCDを入れる場所があるDVDケースに入ってたんですけど…入ってるのはCD1枚だったんですが、もしかしてボーナスDVDを入れ忘れたとかないですよね(笑)。


TODTGELICHTER - Schemen ★★★ (2011-08-06 10:51:23)

2007年発表の2nd。
これは本当に素晴らしい作品だと思う。

ファストなパートではファスト系並のブルータリティで攻め、メロディックなパートではメロブラ以上に美しいメロディを強調する、非常にメリハリの効いたスタイルのブラックメタルで、何故かヴォーカルは鬱系に近い高音でのマジな絶叫。神性が流出するかのような、神秘的なメロディを掻き鳴らすトレモロリフが非常に耳に残る、メロディセンスの高い作品。

サンプリングをバンドのバックにさりげなく仕込んできたり、神秘的なトレモロリフに、あたかもアトモスフェリックブラックのキーボードのようにバンドの音を包ませたり、曲の盛り上がりに合わせ、俄かにギターの音圧を増したり、何気に空間演出の巧みさが光る作風で、それが曲のカルト性・神秘性をかなり高めているんですよね。

2曲目の、ブラストとリフの轟音の中に、キリキリとした神秘的トレモロが光が差すように差し込むパートなどでは、LUNAR AURORAの「Andacht」アルバムを聴いたときのような、魔性に取り込まれるような感覚も覚えます。ドイツらしい、格調が高くてどこか気難しい、人を寄せ付けないような表現力のある音だと思います。

そんなカルト性がありながらも、曲自体はメロディックだし、音質も良好だしで決して聴きにくいアルバムではないのが素晴らしい。Disc Unionのガイドブックでもこのアルバムが取り上げられてて、「見る目あるなぁ…」と感心してしまいました(上から目線・笑)。基本的なツボは押さえつつ、捻りも効いてる名盤だと思います。


HIEMS - Worship Or Die ★★ (2011-08-06 10:45:32)

2009年発表の2nd。

火炎瓶を持った軍人と、バンドロゴが厚みのある塗料で描かれている、何気に凝ったジャケや、Moribundからのリリースということからも想像がつく通り、FORGOTTEN TOMB本隊よりも大分オーソドックスに攻撃性を発揮するブラックを演ってますね。独りブラックですが内省的な暗さよりも、エクストリームメタルとしての攻撃性が高い音。

ただ、基本はオーソドックスで凶悪なブラックメタルなんですが、後半ではグルーヴィなリフ・リズムを取り入れたり、ハモンドを挿入した長尺曲があったり、ハードロックやプログレへの傾倒を押し出したり、毛色の異なる展開も見せてますね。剰え、昔のブリティッシュロック(GUNのRace with the Devil)のカヴァーまで演ってますが…個人的にはこういう音楽に何の思い入れも無い(むしろ苦手)ので微妙ですね…サイケ趣味とブラックの凶悪さが上手い事合わさった長尺曲「Hiems」~「290979」は好みなんですが。

そういう訳で、最後はちょっと好みから外れてましたが、悪くない作品かと。しかし、どのバンドもルーツ追及しすぎですよ…私的には懐古より新しいものを生み出す方向に創造力を向けてほしいですけど。ポストブラック聴けって言われそうですが。


HIEMS ★★ (2011-08-06 10:43:31)

FORGOTTEN TOMBのAlgolによるブラックメタル。
バンド名はラテン語で「冬」の意。


BEYOND LIGHT - Eclipsed Sun Path ★★ (2011-08-05 22:40:17)

2010年発表の1st。
TRISTやHAPPY DAYSにも関わったRH-がアートワークを担当。

まずオープニングがピアノとSEによる、かなり本格的に鬱世界に入っていくようなものだったので、本編入った瞬間ずっこけそうになりましたね(笑)。プリミティブ並に軽い、今にも消え入りそうな音。作風としては陰鬱なメロディを配した、鬱系に属するタイプですが…この手としては珍しくトレモロの頻度はそう高くなく、代わりにアルペジオや空間系のキーボードを多用してますね。音質とも相俟ってかなり儚い音になってます。

また、2曲目などでは最近のSATYRICONを平らに平らに、平べったく薄く延ばしたような鬱メロの平坦リフも用いられていますが…これが鬱ブラックが「バンドサウンドによるアンビエント音楽」「トレモロリフ中心のフューネラルドゥーム」というスタイルに落ち着く前の、初期FORGOTTEN WOODS辺りの鬱ブラック黎明期を思わせる感触があって、この手が好きな人には実に美味しい出来。デモのような音質がまたその周辺のバンドを思わせるんですよね。

正直、この軽い音が駄目という方も多いかと思われますが、逆にハマればかなり陶酔出来るであろう一枚。ひたすらに暗くて儚い世界観を繰り広げています。


DARK FURY - Saligia ★★ (2011-08-05 00:33:20)

2010年発表の6th。

「シンフォニック」や「プリミティブ」などの形容詞の付かない、純粋なブラックメタルという感じの音ですね。トレモロリフを聴かせるパートではかなりメロディが強調されるため、敢えて言うならメロブラに近い感じ。NSやペイガン的な思想を持って活動しており、ブックレットにもそれっぽいステイトメントを載せたりしていますが、メロディは民族っぽさはそれ程感じない、ブラックメタルらしい暗度の非常に高いものになっています。

全体的にブラストと暗黒なメロのトレモロで攻めるパートの頻度が高めですが、ミディアムパートにもそれなりに力を割いていて、それらのパートではかなりの威風や存在感を感じさせてくれる辺り、流石ベテランといったところでしょうか。狂犬というより、狂犬病的なダウナーなヴォーカルも、目の焦点が合わないような狂気を感じさせてくれ、結構独特だと思う。

ギターの音色は少しノイズ質を引きずり、圧力の強い傾向はあるものの、適度にアナログっぽさのある音は割と聴きやすいし、ブラックメタルのCDを買うことが日常の一部になってる人ならばすぐに分かる魅力のある一枚。特に特別な事はやってませんが、メロディ・曲・プロダクション共に良質な作品です。


DARK FURY ★★ (2011-08-05 00:31:45)

ポーランド産NSブラック。
人脈的にはFULLMOONやTHOTHと繋がりがある模様。


MONGO NINJA - No Cunt for Old Men ★★★ (2011-08-04 19:20:16)

2010年発表の2nd。
セールで安かったから何となく買ってしまったら、凄く気に入った一枚。

…私はこういう、ロックンロールのノリがある、パンキッシュなブラックメタルを聴くと、どうしてもマジな邪悪さよりも健全なアングライズムを感じてしまって、合わないと思うことが多かったんですが、このアルバムはそんな小ざかしいことを考える前に、凄まじいテンションでこんな困った嗜好の私ですら、ノセてしまう作品でした。

何が良いって、ほんとノリが素晴らしいんですよ!
リフもロックンロールテイストの強いグルーヴィなものですが、このリフがどう…とか分析する以前に体が動いてしまうドライブ感があるものですし、ライブではシンガロング(というよりシャウトアロング?)を誘発させたり、コール&レスポンスが起きる様子が容易に想像できる、キャッチーなヴォーカルラインには物凄いフックがある。

おそらくこの曲作りであれば、大抵の客は初見で心底楽しめてしまうのではないでしょうか。特にラストを飾るタイトル曲の盛り上がりには軽く感動すら覚えるほどで、実にあっという間の30分15曲でした。もう1つ気に入った要因を挙げるなら、ヴォーカルがハードコア方面に行き過ぎず、ドスの効いたダーティながなり声なのもあるかもしれません。

パンクスローン路線のDARKTHRONE、同じくFaustの関与するプロジェクトのSCUM、最近日本盤もリリースされたCHROME DIVISION辺りが好きなら必聴かと。個人的には、今挙げたバンドのどれよりも好みの音でした。ほんと刹那的でかっこいい音出してますよ。


MONGO NINJA ★★ (2011-08-04 19:15:40)

Ex-EMPERORのFaustが参加するパンキッシュブラック。
BLOOD TSUNAMIやSCUMといい、オールドスクールな音が好きなんでしょうか。


SANGRE ETERNA - AMOR VINCIT OMNIA ★★★ (2011-08-03 23:10:37)

2008年発表の1st。
タイトルはミケランジェロの絵画「愛の勝利」から取ったものと思われます。
(直訳すると、ラテン語で「愛は全てを征服する(Love Conquers All)」の意)

この作品、メロデスのメロディックな部分や、ゴシックの暗い美しさに耽溺するような感覚が好きで、その文脈でシンフォニックブラックも好んでいる方にはたまらない作品ではないでしょうか。刻みを多用したメロデス的なリフワークは正直ありふれている感じがしますし、COFのDaniを思わせるホイッスル的な絶叫も出来るものの、出し方を覚えたばかりのような弱いグロウルを多用するヴォーカルもあって、正直B級っぽさはあると思う。

しかし、そんな事は全くマイナスに感じさせないくらい、キーボードやリードギターが奏でるメロディが素晴らしいです。例えて言うなら、「Dusk and Her Embrace」「Cruelty and the Beast」の頃のCOF並の美しさに、更に第一級のメロデス並の分かりやすいキャッチーさを加えたような、ロマンティック極まりないメロディが全編に渡って繰り広げられてます。収録時間は30分弱と短いので、クサメロ好きならメロディ追ってるうちに、あっという間に終わってしまう感じでしょう。

そういう訳で、シンフォブラックにしろメロデスにしろゴシックにしろ、暗くて美しい、更に華やかさも備えたメロディを愛好してこれらジャンルに手を出している人なら、聴いておいて損はない作品かと。マイナーバンドにありがちな音の悪さも無いですし、非常に聴きやすい作品ですよ。


SANGRE ETERNA ★★ (2011-08-03 23:09:38)

セルビア産シンフォニックブラック/メロディックデス。
ゴシック要素の強い耽美なメロディが非常に美味なバンドです。


THYRFING - Farsotstider ★★ (2011-08-03 23:00:36)

2005年発表の5th。

フォークメタルよりもエピック・メロディックブラックに近いスタイルのヴァイキングメタルを演る彼らですが、流石に日本盤リリースも経験した古参だけあって貫禄のある音を出してますね。空間系のキーボードやピアノによって深遠な雰囲気を演出しつつも、トラッドテイストを少し含むリフを中心に、エピックに展開する作風。ヴァイキングの勇壮さだけでなく、ルーンを用いて呪術を行っているような、神秘的なムードも時折垣間見せるのが素晴らしい。

専任のメンバーがいる割にはキーボードは要所で使われるに留まっているんですが、それが濫用するよりも断然曲をドラマティックにしてるんですよね。ピアノが入るパートではメロウ極まりない雰囲気が演出されているし、空間系のキーが入るパートではヴァイキング文化の神秘性がより強調されている感じ。メリハリの効いた使われ方。また、野太くダーティながなり声と、いかにもヴァイキングな朗唱を使い分けるヴォーカルも、出音をより「ヴァイキングらしい」音にしてますね。

リフの響きは日本盤をコンスタントに出してるようなメジャーなバンドと比べると、多少ノイジーですが、曲の方はドラマティックで高品質なので、ヴァイキングメタルに興味のあるメタラーなら買って損はないかと。派手ではないものの、トラッドの影響下にあるメロウなメロディと、ヴァイキングの精神的な神秘性が堪能できる一枚です。


ELDRIG - Mysterion ★★★ (2011-08-01 19:29:07)

2008年発表の3rd。

…これはかなり個性的なシンフォニックブラックですね。
同郷のNIGHTBRIBGERやKRALLICEにも通じる、高音を強調したキリキリした響きを含むトレモロリフや、繊細な音色のリードギターが神秘的かつメロウ極まりないメロディを奏でつつも、そこにオーロラ系の空間的な音色や、星の瞬きの効果音のような音色のキーボードを絡ませるスタイルで、LUNAR AURORAにも通じる神秘性を感じられる音。

ドラムが結構軽めだったり、ヴォーカルパートが比較的少なかったりはしますが、却ってそれがメロディを強調し、より情景描写的な傾向を強めていると思う。10分を超える曲を5曲収録という、大作主義な作風ですが、神秘的トレモロ+キー+疾走による陶酔感、起伏のあるメロウなメロディのお陰で、時間を忘れて聴き入ってしまいます。NIGHTBRINGERが病んだ瘴気漂う方向ではなく、神秘性やロマンティシズムを重視する方向に行ったらこんな感じかも。

このバンドはニーチェ哲学を取り入れた思想など、単なる悪魔主義ではないコンセプトを掲げて活動しているようですが…音の方にも、そうした深遠さが表われている感じがしますね。トレモロリフをメタリックにではなく、シンフォメタルにおけるキーボードのように、空間演出にも活用している作風は、ポストブラックやアトモスフェリックブラック好きにもお勧めできそう。個人的にはこういう、曲が「単なる音」以上の情景を語る作品って大好きです。


CENDRES DE HAINE - Bellum Omium Contra Omnes ★★★ (2011-07-31 19:38:42)

2010年発表の1st。1000枚限定らしいです。
タイトルの意味はラテン語で「万人の万人に対する闘争」。
ホッブズの唱えた、自然状態での人間の有り方についての言葉ですね。

そんな物騒なタイトルを冠した作品ですが、出音の方は「万人の万人に対する闘争」どころじゃないですね…むしろマサカリを持ったブラックメタラーによる一方的な虐殺であり狩りです(笑)。ノイジー極まりないプロダクションやリフ押しの作風はプリミティブの系統に属するものですが、曲のテンションの高さや音圧はファスト/ブルータルブラックのそれで、相乗効果でおっっ…そろしく野蛮な音になってしまってます。

スイスのバンドなのにメロディの方向性がフレンチブラック的な、メロウで、耽美さと毒々しさ、邪悪さを併せ持つもので、しかもそれを轟音で掻き鳴らしてくれるものだから、更に音は派手になる一方なんですよね…。最近のゲリラ雷雨で豪雨が屋根を叩く音を、数百倍激しくしたような凄まじくヤケクソなテンションを誇る音。ヴォーカルのキレキレ振りにも目を見張るものがあります。

そういう訳で、プリミティブ系とファスト系の、過激なところばかりを合わせて、フレンチブラックのメロディセンスを取り入れたような、いわば良いとこ取りの作品だと思う。ハードコア影響下にあった時代のDODFERDや、MOURNING FOREST、QUINTESSENCE辺りが好きな方にお勧め。


CENDRES DE HAINE ★★ (2011-07-31 19:36:57)

スイス産ブラックメタルバンド。
バンド名はおそらく仏語で「憎しみの灰(Cinders of Hate)」。


TEMPLE OF NOT - Μέλαινα Τάξις τοῦ Θανάτου ★★ (2011-07-31 19:28:34)

2010年発表の1st。おそらく150枚限定。
ジャケ買いしたら、NIGHTBRINGERのメンバーのプロジェクトだったとは…
なんか嬉しくなってしまいますね(笑)。

肝心の内容は、インダストリアルノイズやドローンを用いた、まるで地底にいる時に聴こえてくる音をそのまま表したかのようなダークアンビエントで、かなりカルトな内容。この手が好きならば地底にある密教の寺院で瞑想をしているような、宗教的ムードに浸れる事請け合いな一枚。確実にNIGHTBRINGERに通じるような、暗黒性がありますよね。

メロディやドラマ性など、通常メタルに求められる普遍的な価値観とは全く異なる視点から作られてる音ですので、購入の際は覚悟を決めてお求めを。…と言っても、このアーティストページ見てるような人ならまあ損はしないでしょう(笑)。


TEMPLE OF NOT ★★ (2011-07-31 19:26:43)

アメリカ産ブラック/ダークアンビエント。
NIGHTBRINGERのメンバー2名によるプロジェクト。


AVICHI - The Devil's Fractal ★★★ (2011-07-30 21:34:53)

2011年発表の2nd。

ぶっちゃけNACHTMYSIUMメンバーのプロジェクトと、Profound Lore Recordsからのリリースというネームバリューで買ってしまったんですが、これが予想を超える素晴らしさ。…こういう褒め方はバンドにとって不本意かもしれませんが、最近のDEATHSPELL OMEGAの、聴き手の目の前に神や魔のような、超常的な存在となって顕現するかのような、ふてぶてしいまでの存在感を、テクニカルな演奏やブルータリティといった要素を使わず表現したような作品だと思います。

辺りをベタで平らに黒く塗りつぶすような、妙な太さのあるリフの音色や、ヴォーカルの威厳を込めてサタンの預言を説くような低音などから受ける聴き心地、基本的にリフ押しの、プリミティブブラックの延長上にあるような作風は、むしろDSOの3rdに近い感触を覚えるんですが、メロディが不吉で、単に邪悪なだけではないグロテスクさがある辺りがそれ以降のDSOを思わせるんですよね。闇が意志を持って這いずり出してくるような、凄みの効いたドロドロ感。

これだけ別のバンドを引き合いに出して音楽性を語るのは、もしかしたら失礼なのかもしれませんが…ほんとこの作品の比較対象として適切だと思うんですよね、DEATHSPELL OMEGA。3rdの後テクニカル/プログレッシブ/アヴァンギャルドな方向に行かなかったらこういう音出しててもおかしくないと思いますもん。個人的にはムードの濃密さはDSOの3rd以上だと思います。あの辺りの、神秘性すら感じるブラックメタルが好きな方は是非。


AVICHI ★★ (2011-07-30 21:32:56)

アメリカ産ブラックメタルバンド。
現在はNACHTMYSTIUMのAamonaelの一人体制で活動している模様。


HELFAHRT - Drifa ★★ (2011-07-30 21:26:51)

2010年発表の3rd。

このバンドも、ペイガニズムや神秘主義を思想に持っているようですが、民俗楽器を積極的に導入してお祭り的なムードを出すタイプではなく、トレモロリフを中心に疾走し、アコギパート等を絡め叙情性を演出する、メロディックブラックの基本を押さえつつ、その中に時折民族的な響きを持つメロディを入れてくるタイプですね。

最初の3~4分を聴いた時点では、いまいちメロディに起伏が無く「…もしかして地味?」と思ったんですが、その後はしっかり激情のメロディを垂れ流しつつ疾走してくれて一安心。何気にベースの響きが太くて、リフの丁度良い歪みとも相俟って聴いていて心地よい音になってます。

ただ、激情メロディが炸裂するパート、神秘的なキーが覆い被さるパートは心底素晴らしいと思うものの、ちょっと「引き」に当るパートが弱くて、どうも緊張感が持続しないのが勿体無い。DISSECTIONくらい「引き」のパートにおいても、印象に残るフレーズを入れてくれれば、相当な名盤が出来そうな勢いですが…。

良く言えば硬派な部分と劇的なメロディが同居する一枚、悪く言えば叙情的ながら、部分的には地味な箇所もある作品。音のクオリティは決して低くないんですが、多少マイナー臭がするのは否めないかもしれません。お祭りフォークメタルよりも王道メロディックブラックが好きな人向けかと。


HELFAHRT ★★ (2011-07-30 21:24:59)

ドイツ産ペイガン・ブラック。
最初はMaximilianのソロプロジェクトとしてスタートしたとか。
現在はTHULCANDRAのメンバー2名が在籍してます。


THE KONSORTIUM - THE KONSORTIUM ★★★ (2011-07-28 22:50:09)

2011年発表の1st。
歌詞カードかと思ったら、微妙なサイズの微妙なポスターが付いてきたんですが…
どうすれば(笑)。

この作品、もしかするとOV HELL以上に、ノルウェー産ブラックの血脈を正しく受け継ぐアルバムなのではないでしょうか。タイプとしては、SATYRICONの「Rebel Extravaganza」やTHORNSの「Thorns」アルバムを連想させる、金属的な響きがギラついたイメージを与える、鋭利なリフ捌きを中心に展開するブラックで、インダストリアル要素はそれほど強くないのに、リフの音色で機械的に聴こえる音作りですね。前述の2作品と比べると大分音質自体は聴きやすいですが、感触的には確実に共通するものがあると思う。

また、パートによってはKEEP OF KALESSINを連想させる、ストレートにエクストリームメタルならではのテクニカルなかっこよさを持ったギターワークで攻めたり、「Isa」期のENSLAVEDを思わせる、マッシブさとスピリチュアリティが同居した感触があったり、ノルウェー産ブラックの先人の、先進的な部分(かつ私が好きな部分・笑)を上手く消化して取り入れている印象。そういえば、ヴォーカルワークにも「Thorns」でのSatyrとAldrahnの影響が感じられたりしますね。

演奏時間こそ36分と短めですが、個人的にはかなり満足できた一枚。SatyrがBURRN!誌で、THORNSの新作の制作に取り掛かっていることを仄めかしてからかなりの時間が過ぎ、そろそろじれて来たんですが、この作品で大分溜飲を下げました(笑)。4曲目なんか普通にTHORNSの新曲っぽいですもん。OV HELLがブラックメタルとして正統派すぎて、物足りなかった方にも大推薦。いいアルバムです。


THE KONSORTIUM ★★ (2011-07-28 22:48:01)

MAYHEMや1349にライブメンバーとして在籍し、OV HELLやNIDINGRでも活躍するTelochらによるバンド。MAYHEMのBlasphemerの後釜は彼が入ってくれればいいのに…。


MERIDIAN - The Seventh Sun ★★★ (2011-07-27 20:33:53)

2002年発表の1st。
これ一枚で解散したなんて信じられない位、良いアルバムですね…。

路線としては、スラッシュメタルのテクニカルさを十分に引き継いだ、刻み重視の変化に富んだギターリフを中心とした、クオリティの高いブラックメタルに、EBM的な打ち込みパートや、ノイズ・サンプリング、不穏なキーボード等のインダストリアル要素が絡むタイプ。時折ギターの歪みをインダストリアルノイズに近づけたり、(MORTIFERAの)Noktuに近い粘着質ながなり声もハーシュな響きがあったり、音像を上手くインダストリアル要素に溶け込ませる工夫も成されている印象。

このバンドが素晴らしいのは、そうしてインダストリアルを上手く導入しながらも、それを取り去ったとしてもバンドサウンドがマッシブで、十分に聴き応えがあることなんですよね。特に前述のテクニカルなリフや、妖艶なメロディを紡ぎ出すギターワークが素晴らしい。4曲目や8曲目など、バンドサウンドとインダストリアルのバランスが逆転しているものもありますが、基本的にはインダストリアル要素は、EBMっぽいリズムを引きに使ったり、ムードを引き立てたり、バンドサウンドありきで用いられている感じ。しかし決して「なくてもいいもの」ではない所が凄いと思う。

個人的な印象では、KEEP OF KALESSINやANTARES PREDETOR辺りのテクニカルなメロブラを7割、RED HARVESTやVOID辺りのインダストリアルブラックを3割くらいの割合で混ぜたような、意外と他で聴けない優れたバランス感覚のアルバムだと思う。ガチガチなインダストリアルやEBMよりも、エクストリームメタル好きにはこれ位の方が入っていきやすいかもしれません。


MERIDIAN ★★ (2011-07-27 20:32:55)

スイス産インダストリアル・ブラック。
2002年に一枚のアルバムを残して解散してしまったみたいです。


BUNKUR - Nullify ★★ (2011-07-27 20:27:13)

2009年発表の2nd。

最初は聴き手の足元を浸すくらいだったのが、徐々に水位を上げ、聞き手を窒息させんとするような重低音、遅すぎて最早リズムの体を成していないようなリズム、デス声やシャウトというより、助けを呼ぶ哀訴のようなヴォーカル、聴き手の神経に障るノイズ・サンプリングが重なり合って出来る、差し込む光を全て吸収して無に還すようなドローン・サウンド。FF5のラスボスが使っていた「無の力」を音にしたら、こんな感じかもしれませんね。

一応、潮の満ち干きのような重低音の波があったり、ドラムを何かが緩やかに崩壊するように打ち鳴らしてみせたり、全てのものが海の底の藻屑と消えるような景色を思わせるエンディングがあったり、一応展開はあるといえばある…という感じですが、全体的に見たら三部構成だったEARTHの「Earth 2」よりも更にどす黒くて平らな音だと思う。これに比べるとSUNN O)))辺りはまだ聴き手に歩み寄る精神があると言えるのかも。

他のどのバンドよりも、聴き手によってハッキリ1か0かで分かれてしまうような作品。この手に理解が無ければ買うだけお金の無駄かもしれないし、この手が好きなら実に心地よく浸れるどす黒さになっているかと思います。


BUNKUR ★★ (2011-07-27 20:23:57)

オランダ産ドローン/ドゥームメタルバンド。
初期EARTHやSUNN O)))以上にカルトな音出してるバンドです。


FURZE - Reaper Subconscious Guide ★★★ (2011-07-25 23:19:46)

2011年発表の、個人的に密かに待ち望んでいた4th。
CandlelightからAgoniaに移籍してのリリース。

今作は70-75年のBlack Sabbathに捧げるアルバムという性格のせいか、神経症的なメロディをトレモロで弾き疾走するプリブラ的パートはありつつも、2nd以上にドゥーム色の強い作品ですね。プレイボタンを押して流れてきた音が、今にも止まりそうなポンコツカーに乗っているような奇妙なアンサンブルで、面白く思うと同時に安心しました。ああ、やっぱりこの人は変態のままだ…と(笑)。

2ndと比べると、暗黒色は多少薄まっている印象は受けますが、その代わり今までになくサイケな感触が強まってますね。この手の音ってどれだけ聴き手を陶酔させられるかが勝負…的なところがありますが、今作は適度に、というか適切にRAWなギターの音色といい、Woe J Reaper本人の演奏による無理矢理な感じのドラミングといい、聴いていて心地よい音になっていますね。…今までのFURZEの作品を受け入れられた人限定ですけど(笑)。

ただ、今まで通りの、頭の螺子がリアルに緩んでそうな、話が通じなそうな叫び・がなりが多方向から聴こえてくるヴォーカルワークは相変わらず気持ち悪くて素敵なんですが、サイケデリックロックにありがちな、気だるいノーマル声を取り入れているのはちょっと残念。FURZEのヴォーカルはもっと生理的嫌悪感を及ぼすものでないと。

しかし、一応(特定期の)Black Sabbathに捧げるアルバムとはいえ、彼らのように名を残したり、ロック/メタル/ブラックの…それどころか前衛音楽のカテゴリーの中ですら、高い評価を得ようなんて微塵も考えてなさそうな個性は本当に素晴らしいですよね…。同じアヴァンブラックでもVIRUSやULVERと違って知的な感じがしないですもん(笑)。まず根っこが変態で、それを知性で統御する気もさらさら無い感じ。ああ、ほんと聴いてて気持ちいいわ…(笑)

ちなみに、盤面によると、頑張って作ったからネットにアップロードしないでほしい(意訳)そうです。よく見たら裏ジャケにも同じメッセージが(笑)。こういうことを惜しげもなく書いてしまう辺りも「らしい」ですよね(笑)。


IGNIS GEHENNA - Revelations of Sinister Rebirth ★★ (2011-07-25 23:15:43)

2010年発表の5曲入りEP。

ぶっちゃけジャケ買いです(笑)。
このアートワークといいバンドロゴといい、曲名といい、如何にも精神世界や神学レベルで悪魔主義にハマりこんでる感じじゃないですか(笑)。まずイントロからして、クワイアでかなり禍々しいムードが漂ってますが…そろそろSEで引っ張りすぎと思い始めた頃に入ってきたバンドサウンドに驚きました。思ってた以上に、凄まじくブルータルな作風ですね…。

音に叩き潰されるような感覚は、MARDUK等のファスト系にも近いですが…こっちは音がダマになった轟音で、フレーズの聴き取りやすさをある程度犠牲にしている代わりに、異様な迫力が出せていると思う。Mikko Aspaの声をデカくしたようなヴォーカルもあり、特に1曲目のミドルパートなんて、リフの一回一回がコロッサスの踏みつけのように重々しくて暴虐。

肉体的に暴虐なだけでなく、轟音にまぎれて、幽かに聞こえてくるメロディは悪魔の秩序を受け入れ、醜く生まれ変わる世界を祝福しているようであったり、どこか宗教じみた雰囲気もあり、スピリチュアルな面での演出力もかなり高いものがあると思う。SE的なパートを挿入しているのも、雰囲気の演出に一役買ってますね。

EPであることが惜しまれる、優れたセンスの垣間見える一枚。
フルがリリースされたらブラック好きの間で話題になるかもしれませんね。


IGNIS GEHENNA ★★ (2011-07-25 23:14:00)

オーストラリアのブラックメタル。
DROWING THE LIGHTにも関与したNihiliferの独りバンド。


CRIONICS - Armageddon's Evolution ★★★ (2011-07-22 22:03:58)

2004年発表の2nd。
DISK UNIONのガイド本でも紹介されていて、気にはなっていたんですが…実際聴いてみて驚きました。数あるシンフォニック・ブラックの中でも、間違いなく上級の音ですよ、これ。

まずバンドサウンドの轟音が聴き手を一瞬で非日常の魔界へトリップさせ、そこにトレモロリフやキーボードによる上品ながら、どこか空恐ろしい狂熱に浮かされたような、神秘的なメロディが絡んでくる音像の聴き心地は、あのEMPERORの「Anthems~」を想起させます。轟音の中で絶叫を繰り返すヴォーカルの質感も、どこか当時のIhsahnに通じる狂気を感じるもので素晴らしい。

ただ、かなりゴチャついた音像で、それが妙な非日常性を産んでいたEMPERORの2ndに比べ、こっちはデスメタル的な圧迫感のある音像でそれを成している感じ。ギターソロを要所で入れる辺りもデスメタル大国のポーランド産らしい音といえるかもしれません。また、刻みリフを入れるにしても、タメの効いたフレーズを入れたり、禍々しいメロディを仕込んだりして、暴虐性に飽かせた単調な展開にならない曲作りも、かなりセンスが良いと思う。

個人的にはデスメタル的なエクストリームメタルとしての暴虐性を維持しながら、初期EMPERORを思わせる聴き心地、魔性なメロディセンスがあるという時点でかなり高評価な作品ですね。EMPERORミーツBEHEMOTHという感じ。私にとってEMPERORはやっぱり特別なので、軽々しく「EMPERORを超えた」とは言えませんが、少なくとも肉薄する力作だとは思います。


CRIONICS ★★ (2011-07-22 22:01:22)

ポーランド産シンフォニック・ブラック。
デスメタル大国産らしい暴虐性と、シンフォブラックの神秘性を上手く噛み合わせた、稀有なスタイルを持ったバンドです。


INKISITOR - Inkisitor ★★ (2011-07-22 21:49:58)

2009年発表の音源集。
同年のEP「Inkisitor」に07年のS.V.E.S.Tとのスプリットの2曲を加え、DARKTHRONEの「Under the Funeral Moon」のカヴァーを加えてOsmoseよりリリース。

DARKTHRONEのカヴァーを演っていることからも分かるとおり、篭ったノイジーな音質はプリミティブブラックそのものという感じなんですが…このジャンルの王道の音とは多少毛色が異なる感じがしますね。ギターの張ったノイズ弾幕の向こう側で、ドラムが暴れ回り、ヴォーカルがドスを効かせて威圧する、攻撃性の高い音。

プリミティブブラックの酩酊感やサタニックなムードというよりは、ノイジーな音質がやけっぱちな攻撃性や粗暴さを増幅させている感じで、REVENGEやANTAEUS辺りが好きな方に受けそう。ただし、時折出てくるトレモロリフには、フランス産らしい毒気が感じられて、その辺がしっかり個性になっているのもいいですね。


真野恵里菜 - FRIENDS ★★★ (2011-07-22 21:47:37)

2009年発表の1st。
CMで聴いた「My Days for You」が素晴らしくて、アルバムもすぐに買いに走ってしまいましたが…思ってた以上に素晴らしいんですけど。

まず、アルバムを通じてのムード作りが本当に素晴らしい。
全体的にフォーク要素が強い、懐メロっぽいメロディが多いんですが、アレンジの方も音使いがどこかレトロな感じで、聴いていてノスタルジックな気分に浸れるんですよね。曲調の方はピアノバラードありモータウン風あり、ちょっとサイケな曲もありでバラエティに富んでいるんですが、ノスタルジーを感じる情景はアルバムを通じて統一されている感じ。

真野さんはピアノが得意らしく、ほとんどの曲でピアノが使われていますが、このピアノがポップな曲ではより爽やかかつ軽快に、メロウな曲はより胸を締め付ける感覚を強く…と、曲の持っている情景を更に引き出しているんですよね。この点、真野さんのキャラクター(及びプロデュースの方向)と、アルバムの方向性が見事に合致した感じがします。

また、真野さんのヴォーカルは音程を追うのに凄く気をつけながら、感情を表現しようと頑張っている感じで、正直この時点では上手いとは言えませんが…この一生懸命な感じが、ノスタルジックな情景をよりリアルなものとして感じられるようにしてくれるんですよね。曲自体、アレンジ、ヴォーカルが合わさって出来る音は、そこらのプログレよりも余程情景描写に富んでいる音だと思う。

何より、純粋に曲が良いんですよね…アルバムを聴き通して、つまらないと思う部分、ダレる部分が無かったですもん。基本穏やかなテンションながら、常に切なかったり、楽しかったりを聴き手と共有するパワーに満ちている感じ。現在アルバムは2枚リリースしてますが、最初に聴くなら絶対にこっちがお勧め。